ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『クワイエットルームにようこそ』

2007-08-28 23:09:55 | 新作映画
----偶然にも松尾スズキ離婚発表の日に観たんだよね。
キャッチコピーの
「目醒めたら、『そこ』にいた。」って、どういうこと?
「うん。これはね内田有紀演じる28歳のライター佐倉明日香が、
ある日目醒めると、白い部屋で拘束されていたというところから
話が始まっていくんだ。
そこは通称“クワイエットルーム”と呼ばれる、
女子だけの閉鎖病棟内にある保護室。
明日香はアルコールと睡眠薬の過剰摂取により、
自宅で昏睡状態となっているところを
同棲相手の焼畑鉄雄(宮藤官九郎)に発見され、
ここに運び込まれたわけだ。
明日香は自分は自殺しようとしたわけではないと説明するものの、
担当医と焼畑双方の同意がもらえず
退院したくても退院できない。
かくして逃げるに逃げられない状況に陥った明日香の
めくるめく絶望の14日間が始まる……と、こういう話だね」

----そういえば、最近韓国にも
そういう病院の患者を描いたお話がニャかった?
「『サイボーグでも大丈夫』だね。
残念ながらあれはぼくには合わなかったな。
病院とその患者をあまりにもファンタジーよりに描きすぎ。
ちょっとシラケてしまう。
この映画には、
入院患者の方が外にいる人たちよりも心が美しく純粋などという、
古めかしい描写は一切ない。
りょう演じるナース・江口の設定を
“ステンレスの心を持つ冷酷な女性”とするなど、
『カッコーの巣の上で』を思わせるシーンくらいはあるけどね」

---あっ、『カッコーの巣の上で』か。
あの映画は、この手の作品を語るときには外せないよね。
「そうなんだ。『カッコーの巣の上で』が与えた影響は大きく、
<病院=管理VS.患者=自由>の図式が
いつの間にかでき上がったような気もする」

---他の患者はどうニャの?
「摂食障害、過食症、拒食症-------
“食”に関する患者が多かったな。
同じ“食べない”でもいろんなケースがあるんだね。
まあ、それはさておき、
この映画の何よりの素晴らしさは、
役者の個性を知りつくし、
それを生かしたキャスティングだろうね。
元AV女優、過食症の患者・西野を演じる大竹しのぶは圧巻。
金にうるさいところは少し『魂萌え!』の 加藤治子 とダブルかに見えたけど、
もっと悪魔的。
『黒い家』を彷彿させるモンスターぶり」

---『17歳のカルテ』のアンジェリーナ・ジョリーみたいなもの?
「(笑)。そうも言えるかな。
それと、さすがに笑わせ方が巧い。
鉄雄の子分、その名もコモノを演じる妻夫木聡も
ここまでバカに徹したのは初めてじゃないかな。
あと、徳井優の使い方も
ここで教えるわけにはいかないけど爆笑もの。
そんな中でぼくのオススメはナース山岸を演じた平岩紙。
こういう人、確かにいるよなという
あまりにも自然な表情を見せてくれる」

---役者の演技以外の見どころは?
「構成の妙かな。
最初のうち、時制が不思議な飛び方をして、
それぞれのシーンが
どのように繋がっているのか分からなくなる。
一体、原作ではどういう風に描かれているんだろう。
ちょっと読んで確かめてみたくなったな」

---ふうん。ニャるほどね。
原作を読みたくさせる映画か。
それって、
やはり映画化に成功したってことのような気がするニャあ。
「そうだね。
実はこの映画、
クライマックスに向けて怒濤の展開を見せる。
そこで明かされる真実、
その衝撃は重量級。
甘く見ていると火傷する、そういう映画だねこれは」


     (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これも一つの才能だニャあ」いいねぇ

※舞台の人が監督した理想的姿だ度
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