ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『幸せのちから』

2006-12-13 10:12:03 | 新作映画
(原題:the PURSUIT of HAPPYNESS)

----これって実話ニャんだよね。
ウィル・スミスが実の息子と共演しているんだって?
「そう。彼の名前がまた長いんだ。
ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス。
ね、舌を噛みそうでしょ」

----どう?似ていた?……。
「どちらかと言うと、
お母さん役のタンディ・ニュートンに似ていたかな。
プレスの写真を見ても、目元がそっくり」

----ふうん。でも実の父と子じゃ
演技もしづらいだろうね?。
「ところが、
ウィルの息子と言うよりも
主人公クリスの息子のような錯覚に陥ってしまうほど、
彼は役になり切っていた。
映画は、ホームレスから億万長者になった男クリスの話。
クリスは医療機器のセールスマン。
ところが仕事ははかどら顧客はつかず、
家族を養うこともままならない。
家計を支えてきたパートナーのリンダも
とうとう家を飛び出してしまう。
そんなある日、学歴無用で高給取りへの道が開けると聞いた彼は、
一流証券会社の株式仲介人養成コースへ。
しかし半年の研修期間中は無給。
家賃滞納で、ついには家を追い出されてしまう。
かくして始まるクリスの奮闘の日々。
ホームレスであることを隠しながら厳しい研修をこなす一方で、
日々のねぐらの確保にも奔走しなくてはならない。
そんな彼の心の支えは愛する息子の笑顔だった…」

----うわあっ。大変だね。
日本ではホームレスは多いけど、
さすがに子供を抱えてと言うのは
あまり見かけないよね。
「この映画の中で印象的なのが、
トイレにカギをかけてふたりで寝るシーン。
『ライフ・イズ・ビューティフル』でのロベルト・ベニーニと同じく、
ある<嘘>の物語を作って息子に話して聞かせ、
生活の悲惨さを彼に実感させまいとするんだ」

----原題は『幸せの追求』か。
ニャるほどって感じ。
でも、こういう映画って、最後は心温まるんだろうけど、
あまり、観たくないようなシーンが多いんじゃニャい?
「それはあまりなかったね。
観客を泣かせようとするんだったら、
悲惨なエピソードの積み重ねでいくんだろうけど、
子供のかわいそうな描写は、
彼が大事にしていた人形のエピソードくらい(詳しくは観てね)。
どちらかと言うと、
クリスが体験する苦くて重いエピソードが軸になって展開していく。
セールス商品である医療機器(骨密度計測器)を盗まれたり、
自分の置かれている状況=ホームレスを
研修先に知られまいと必死に隠すという風にね。
でも、この映画の救いは
それらがテンポよく進み、
あまり後を引かないと言うところにあるんだ」

----へぇ~っ。監督はだれニャの?
「日本初登場となるガブリエレ・ムッチーノ。
彼は言う。『アメリカン・ドリームの真髄を理解するには、外国人でなきゃ』。
その一方で、彼はこの話を普遍的なものとして捉えている。
『ホームレスの人は世界中にいる』……と」

----そうか。この映画、日本でも人ごとではないわけだ。
「あと、興味深かったのは撮影。
これはあえてだと思うんだけど、
色が少しくすんでいて、画もザラつき気味。
時代が1981年と言う設定だからか、
その時代の映画のテイストなんだね。
同じホームレスを素材にした映画としては
マット・ディロン主演『聖者の眠る街』と並ぶ作品かも」



                 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ぼくもニャくかも」悲しい


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