ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『あなたを忘れない』

2006-12-01 01:19:17 | 新作映画
※注:ひさびさの辛口注意報発令!

----これって実話なんだよね?
JR新大久保の駅で韓国の若者が
ホームから線路に転落した人を助けようとして
命を散らしたと言う…。
「うん。でもあのとき、
実は日本人カメラマンも同じ行動に出て
同じく命を落としている。
ただ、それが「異国の地」だったというところがやはり強烈で
ニュースでも、彼イ・スヒョンさんを中心に取り上げていた。
この映画は、その話を基に
事実とは異なるエピソードを盛り込んで作り上げた
日韓合作映画なんだ」

----えっ、まったくの実話というわけじゃニャいんだ?
「そういうこと。
主人公のイ・スヒョン(イ・テソン)は韓国からの留学生。
兵役を終えたばかりの彼はギターが抜群に巧く、
またスポーツも大好き。
両親を心から敬い、性格は明るい。
この映画の彼を観ていると、
韓流映画、そして韓国スターが
年配の女性に受ける理由もわかってくる。
日本に比べて、韓国の青年たちは遥かにオトナ。
彼らは兵役と言う、自由を奪われた世界を経験している。
その中で、国とは?男とは?ということを考えるわけだ。
それが自分の好きなものを自由に選択でき、
しかも実力もないくせに、
夢が叶えられといって嘆く日本の若者と対比して描かれる。
彼らから見れば、まさしく甘えたコドモというわけだ」

----ニャるほど。韓国の男性は男気があるというワケだニャ?。
「うん。それがかつての日本映画で育った女性達の郷愁を誘う。
石原裕次郎や高倉健、そして加山雄三。
もちろん、いまの韓流ブームを作っているのは、
それよりももっともっと若い世代だけど、
いまの日本映画にはとても望みえない理想のオトコが、
少なくともそこにはいるわけだ」

-----う~ん。でもこの映画ってそんな映画だったっけ?
「いや、そうじゃないはずなんだけど、
決して嫌韓じゃないボクが見ても、
この映画はなぜかあまりにも
韓国の青年を日本の若者と比較し、
しかも美しく描きすぎている。
さらに言えば、
在日の問題にまで目を向け、
日本の過去を断罪しているところもある。
主人公は山登りが好きで富士山を登山。
その上、父がかつて住んでいた大阪まで
マウンテンバイクで向かうんだ」

-----体力もあるんだね?
「映画の中で本人も『体力には自信がある』と言っていた。
つまりすべてにおいて秀でているわけだ。
でも、プレスなどでは彼は<特別な人>ではないと触れている。
正直、よく掴めない映画だったね。
彼とロマンスの花を咲かせる女性・ユリ(マーキー)は
ストリートミュージシャン。
人に心を開かない彼女を支え、
見守るのがイ・スヒョン。
クライマックスはインディーズの決勝大会。
う~ん。やはりこの描き方だと、
実在のイ・スヒョンさんが
なぜあのような行動に出たのか、
そしてどういう人だったのかに迫ることはできないのではないかな。
あまりにも作りものめいている」

----う~ん。辛口ダニャ。
「それでも線路に落ちた酔客を救おうとするシーンは
やはり泣ける。
なぜ、逃げる時間があったにもかかわらず
彼は電車を避けようとしなかったのかも明らかにされる。
ここは実話らしいけど、それはやはり感動的」

----つまり映画よりも実話が勝っているというわけか。
「う~ん。ぼくにそれを言わせないでよ」
                  
    (byえいwithフォーン)


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