↑写真は撮影で使われた1920型インディアン・スカウト復元モデルです。
(原題:The World's Fastest Indian)
----このタイトルってどういう意味?
陸上かなにかで速く走ったインディアンの話?
「ね?よく分からないよね。
まさかアンソニー・ホプキンスが
ネイティブ・アメリカンを演じているとも思えないし…。
実はこれ、
それまで革製だったチェーンを初めて金属で製作したことで
世界的な成功を収めたマサチューセッツ州スプリングフィールドの工場が
1901年に販売を開始した“エンジン付き自転車”のこと。
ネイティブ・アメリカンの人々のように、
自由に“鉄の馬“を走らせたいと言う願いを込めて
“インディアン”と名付けられたらしい。
その後、このバイクはハーレーダビッドソンなど、
他社を大きく引き離して
No.1の地位を維持するものの、
第2次大戦後、イギリスの安価な輸入バイクに押されて
1953年に工場をクローズしたらしい。
ちなみにスティーブ・マックィーンの愛機は
1930年型の“インディアン・チーフ74サイドカー”だったらしい」
----と言うことは、これはそのバイクを乗って
世界記録を作った人のお話だね?
「うん。そう言うこと。
この映画のモデルとなっているバート・マンローと言う人は
1899年ニュージーランド南端のインバーカギル生まれ。
1920年、生涯の相棒となる1920型インディアン・スカウトを購入。
もともとの最高時速は80キロ台だったものの、
26年より改良を始め、
48年以降は仕事を辞めてフルタイムで
あらゆるパーツの改良に励んだらしい。
この映画は、その彼が62年に、
アメリカのボンヌヴィル塩平原(ソルトフラッツ)で
世界記録に初挑戦し、
時速288キロの世界記録を達成したときのことを描いたものなんだ」
----ちょっと待って。
それ計算あわないよ。
その記録を作ったときは62~63歳ってことになるじゃニャい?
「そうなんだ。
彼は以後、70歳を越すまで毎年のように
ボンヌヴィルへ行き、自己記録を更新。
この映画は、その彼が最初にボンヌヴィルへたどり着き、
記録を達成するまでを
ロードムービー形式で描いていく。
1920型インディアン・スカウトの独自の改良により、
ニュージーランドやオーストラリアで
数々の国内スピード記録を出したバート・マンロー。
しかし彼の夢は、こんなところで収まりはしない。
ライダーの聖地ボンヌヴィルで世界記録に挑戦するべく、
家を抵当に入れて銀行から借金した彼は、
貨物船にコックとして乗り込み、ロサンゼルスに上陸。
砂漠の真ん中でトレーラーの車輪がはずれるなど、
さまざまなトラブルに見舞われながらも、夢の土地へ向かうのだった……。
まあ、こういうお話だね」
----ホントだ。ロードムービーになってる。
じゃあ、行き交う人々のキャラクターがポイントになるね。
「うん。女装のフロント係をはじめ、癖はあるものの基本的にいい人ばかり。
違法駐車も、警官は物わかりよく見過ごしてくれるしね。
ボンヌヴィルでのレース参加も
事前登録していなかったことから
最初は受付で門前払いされるものの、
回りの人たちの応援で特例が認められる」
----それってあまりにもアメリカ万歳だね。
少し気にならないでもないけど……。
「うん。その中にあって
ベトナム休暇兵ラスティ(パトリック・フリューガー)のエピソードは
少しだけチクリとくる。
彼はこの戦争がすぐに終わると思っている上に、
枯れ葉剤を使用した作戦に対しての罪悪感がまったくない。
そんな青年に、
バートは、戦争はそんなに甘いものではないと、自分の経験を語る。
かくしてバートに親近感以上のものを抱いたラスティは
ボンヌヴィルに着いた時のバートの顔が見たいと、
彼の地まで同行を申し出るんだ」
----それはハイライトだね。
「うん。そこは真っ白な塩がガチガチに固まった広大なデザートエリア。
『夢を追わない人間は、野菜と同じだ』と言い続けていた彼の目には
熱い涙が浮かぶ。
つまり、この映画は『人のやらないことをやろう』として、
一生をその夢に賭けてきた男がそれを実現させる物語。
人生を前向きに生きている彼には年齢など関係ない。
ガールフレンドフラン(アニー・ホイットル)とはもちろんのこと、
アメリカで一夜の宿を提供する未亡人エイダ(ダイアン・ラッド)とも
一夜を共にする。
これって前立腺に障害まで抱えているのに、スゴいよね」
----う~ん。それはよく分からないニャ。
フォーンは、○○手術受けているから(汗)。
「あっ、そうか(汗)。
今日は、試写室前に展示されていた
映画撮影に使われた“インディアン”を写してきたので
それを見せることにしようかな。
オイルキャップはブランデーのコルク、
オイルタンクのカバーは台所の古いドア。
ブレーキはあまり利かず。
スピードメーターは付いていない。
極めつけはタイヤ。
スリックタイヤがないので、
普通のタイヤの溝を自分で削っているんだ。
監督のロジャーー・ドナルドソンが実在のバート・マンローに惚れ込み、
かつて彼のドキュメンタリーを撮ったにもかかわらず、
また映画化したと言うのもうなずける。
でも、何よりの見ものはアンソニー・ホプキンス。
彼がここまで“普通に明るいおじさん”を演じているとは?
ホプキンス自身も
『ずっと変質者や神経質な人間を演じているのにうんざりしていたからね』
とコメント。
ほんとアンソニー・ホプキンスとは思えないほどだよ」
----う~ん。確かに珍しいかも。
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「ロードムービーはいいニャ」
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