ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ダ・ヴィンチ・コード』

2006-05-19 00:16:53 | 新作映画
----この映画、全世界での公開直前になって
いくつもの障壁が立ちはだかってしまったね。
「あっ、カンヌで評判が悪かったことね。
カトリック系団体によるソニー製品の不買運動もあったりで、
大変な船出となってしまった」

----宗教界の批判の方は日本では逆に宣伝にもなるかも知れないけど、
そのカンヌでの辛口批評は痛いね。
「そうなんだよね。
そういった情報が伝わると、
日本でもみんな構えてしまうからね」

----確か、映画になる前から本も読んでいたよね?
「うん。映画化が予定される作品の原作は
あらかじめ読まないようにしているぼくにしては
珍しくこれだけは読んでいた。
そのとき思ったのは、
『これって映画向きだな』ってこと。
後半のアクション・シーンなんて
本を読みながら映像が頭に浮かんできたものね。

----でも、この本って
いくつもの謎を解き明かしながらアクションが展開。
これってけっこう難しいんじゃニャいの?
「うん。ミステリーとアクション、
どっちに重きを置くかで映画はまったく変わってくる」

----そうだよね。で、どっちだったの、この映画は?
「ミステリー部分は、なぞっただけって感じ。
ウィトルウィウス的人体図、フィポナッチ数列、黄金比……。
原作では最初のヤマ場ともなる、
このルーヴル美術館でのくだりが
あっという間に終わってしまう。
主人公の二人はいささかも逡巡することなく
次々と隠された謎を読み解いていくんだ」

----ちょっと待って。
それじゃあ、原作を読んでいない人には分かりにくいのでは?
「そうなんだ。
もしかして製作側は、
これは“すでに誰もが知っているお話”ということを前提にして
映画を作っているような気がする。
あの『ハリポタ』の第一作と同じようにね」

----じゃあ、映画は原作に忠実なんだ。
「いや、ところが
人間関係やキャラクター設定も含め、
けっこうはしょっている部分がある。
しかも映画向けに改変された箇所まであるから、
公開されたら喧々囂々ありそうな気もする。
ぼくはこれは映画を観る前に原作を読むことをお勧めするな。
そうしないとシラスの過去や
オプス・デイのアリンガローサの狙いとかも分からない気もする。
ただ、原作に添ったミスリードも行なわれているから、
映画だけで楽しめないこともないんだけどね」

----じゃあ、逆に映画として膨らませている部分は?
「これは聖地エルサレムや
十字軍遠征、魔女裁判のシーンだろうね。
なんとフラッシュバックでその当時の情景が再現される。
これはハリウッドのお家芸。
<人類の歴史最大のミステリー>という
スケール感がよく出ていたと思う」

----キャスティングはどうニャの……?
「うん。観る前は
トム・ハンクスとオドレイ・トトゥは
ミスキャストと思っていたけど、
さすが実力派だね。
観ているうちにそんな懸念は完全に吹き飛んでいた。
シラス役のポール・ベタニーも
『ブレードランナー』のルトガー・ハウアーを彷彿させ、
怪物性の中にも<生>の哀しみが出ていた。
もっともこれも原作を読んでいないと分かりにくいけど…。
そうそう、原作と言えばラストは
大ロングの俯瞰をイメージしていたけど、
これもまったく予想ハズレ。
なるほど、こうきたかって感じだったね」


        (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「原作、オモシロかったのにニャ」小首ニャ

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