ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『さよなら、僕らの夏』

2006-05-11 22:54:33 | 新作映画
----この映画、タイトルだけ聞くと
甘酸っぱい青春映画って感じだけど……。
「いやいやどうして。
映画は観てみなくては分からない-----ということを
久しぶりに感じ入った一作だったね。
ヘビーもヘビー。
感傷なんて甘いものはまったく入り込む余地がない」

----でも、チラシのビジュアルを見ると男の子たち5人に、
深い緑に囲まれた川をゆくボート。
『スタンド・バイ・ミー』みたいな映画じゃないわけ?
「夏のあるできごと-------
それによって、彼らはイノセンスな少年の日々と別れを告げる……
そのプロットだけ取り上げれば
確かに同じなんだけど、
この映画は悪意とまでは言わないけど
“負の感情”で映画を牽引していく」

----“負の感情”?どういうこと?
「うん。
シンプルなほどにシンプルな
そのストーリーをまずは語ってしまおう。
同級生ジョージのイジメに悩むサム(ローリー・カルキン)。
そんな弟を思いやった兄ロッキー(トレヴァー・モーガン)は、
仲間とともにジョージを懲らしめるための、ある計画を立てる。
それはジョージをボートの川下りに誘い、
川に突き落として裸で帰らせる……というもの。
しかし、この他愛もない悪戯の先に、
思いもよらぬ出来事が待っていた」

----ふうむ。何が起こるんだろう?
「プレスを読んでしまい、
それが何かを知ってしまったぼくの失敗から言っても、
この<出来事>については知らない方がいいと思う。
だから、ここでは喋らないことにするよ」

----あらら。
じゃあ、さっき言っていた“負の感情”について教えてよ。
「そうだね。
彼らはサムの誕生日と嘘をついて、
ジョージを誘い出すんだけど、
彼が意外にいいヤツで
サムへのプレゼントまで抱えてくる。
あまりにも無邪気に川下りを楽しむその姿に、
みんなはこの突き落とし計画をやめようと考え始める。
ところが、リーダー格のマーティだけは猛反対」

----あ~、このブラピに似ている人?
スコット・ミシュロウィックだっけ。
「そう、彼は父親の死にトラウマを抱えている。
もう一人のクライド(トレヴァー・モーガン)も
父親が同性愛者でそのことをからかわれている。
彼らの復讐計画を知っているスクリーンのこちら側の観客としては、
ジョージがそのことに触れなければいいのに、
彼らの心を傷つけるようなことを言わなければいいのにとハラハラ。
この緊張感が映画全編を覆っているんだ。
決してクリアとは言えない、
16mmフィルムを引き延ばしたような
ざらついた感触の映像も効果的だったね。
映画スタッフの存在をまったく感じさせないんだ。
そこにキャメラがあって,たまたま撮ったって感じ」

----そうか、ドキュメンタリーみたいな効果が出るわけだね。
「うん、そうだね。さらに言えば、
ぼくは映画の魅力の一つに<空気感>があると思っている。
だれか一人が取った言動、
それに対する個々のリアクションを<文字>で詳説する文学と違い、
映画は計算されたカメラポジションと演出によって
その場にいる全員のリアクションを映し出し、
そのときに生まれた<空気感>を丸ごと捉えることができる。
ある意味、<瞬間の芸術>とも言えると思うんだ」

----おやおや、またわけ分かんニャいことを。
あれっ、この子、マコーレー・カルキンに似ていない?
「うん。カルキンを長男とする7人兄弟の末っ子だって。
女の子とのキスシーンもあって
マコーレーとアンナ・クラムスキー(最近どうしてるんだろう?)の
『マイ・ガール』を思い出したよ」

----えっ、女の子も出ているの?
そういうことこそ、早く言ってよ。
「ごめん」
 
        (byえいwithフォーン)

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