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世界遺産 屋久島〔太古へのロマン、シンボルツリー〕

2014年07月05日 | World Heritage in Japan
7月3日~5日、1993年12月、日本初の世界自然遺産登録された『屋久島』を訪問。
鹿児島空港からプロペラ機で35分。周囲約130km、面積500k㎡、北緯30度よりすこし北に位置し、中央には九州最高峰の宮之浦岳(1,936m)がそびえる亜熱帯の気候を示す海岸線から冬の山頂は雪と氷に閉ざされる日本列島を垂直に凝縮したかのような気候。原生状態の広大な照葉樹林、そして日本固有の杉(スギ)の優れた生息地であり、数千年の時をお越え生きる「屋久杉」に出会える神々の島。それらすべてが屋久島の世界自然遺産たる所以。
屋久島において「屋久杉」と呼ばれるのは樹齢1,000年を越えた杉だけ。樹齢1,000年以下の杉は「小杉」(「子杉」)と呼ばれる。樹齢1,000年を越えた「屋久杉」は幹にコブが出来る。このコブの有無が樹齢の見分け方のひとつらしい。江戸時代、年貢として納められていた平木の杉板。そのため真直ぐに天に伸びる杉は伐採の対象になり、多くの杉が伐採されてしまった。伐採されず残った杉は、コブだらけの古木。江戸時代に価値無き古木の杉が、世界自然遺産登録とともに一転お宝の「屋久杉」になったということ。江戸時代の木こりが聞いたら驚くことだろう。そもそも屋久島は花崗岩のかたまり。この栄養の少ない岩山で、かつ森林の中では太陽の光が得られず、台風にさらされる厳しい環境ながらも、唯一新鮮な水に恵まれ、ゆっくり育つ杉。それ故、年輪は虫メガネで見るほど細かく、油脂と呼ばれる油がぎっしりつまり、結果腐りにくく、長生きして巨木になると考えられている。現在、「屋久杉」として高級加工品として流通しているのは、江戸時代に伐採された「屋久杉」の根っこの部分が土に埋もれ「土埋木(ドマイボク)」となったものを掘り起こし、乾燥させて使用しているとのこと。土埋木は、世界遺産後、「屋久杉」伐採が許されない中、江戸時代の贈り物。これも「屋久杉」特有の油脂の防虫防腐効果になせる業なのだそう。
さてさて、屋久島に名前が付いた杉は数あれど『縄文杉』は別格。樹高25.3m、幹廻り16.4mは日本で最も太い。樹齢は採取した組織で樹齢2,170年、推定7,200年を越すとも云われる。但し『縄文杉』を目の当たりにするには、その道のりは遠く登山道を往復8~10時間。今回は天候不順の中のショートステイであったことと、4月からの腰痛を鑑みトレッキングは断念し、その折れた枝「縄文杉いのちの枝」を実感することで我慢。
それでも『紀元杉』ほか、名だたるスター級の「屋久杉」たちに出会うことが出来、その歳月を想い、はるかなる思いに包まれる。心があらわれるような自己満足とともに、太古へのロマンを感じるに充分な「屋久杉」めぐりの散策となりました。


















[縄文杉いのちの枝]平成17年に折れた縄文スギの枝(屋久島自然館)





[紀元杉枝]紀元杉最高部の枝を折落危険回避のため切りとった枝(屋久島自然館)




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