雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

RUN!RUN!RUN!

2011-11-21 20:08:05 | 
桂 望実
文藝春秋
発売日:2006-11


桂望実著"RUN!RUN!RUN!"を読みました。
ねたばれなしでは話しにくいのでねたばれです。
読んでみようという方はご注意を。

岡崎優は走ることが好きです。
裕福な家庭に生まれ育ちました。
二つ上の兄は医学部の学生です。
これまで常にトップの成績で走ってきました。
毎日体の状態や食べたものの記録をつけてます。
お父さんが長距離選手で箱根駅伝でリタイアした経験が
あり自分の夢を優にたくしています。
お母さんはお兄さんしか注目していません。

優の大学は新興大学で陸上部も昔からのしがらみは
ありません。最新の練習メニューを提供して部員を
サポートしてくれます。
優は陸上は個人種目といって部の仲間と交わろうとは
しません。
部員の岩本は優が拒否しても仲間として接してきます。
熱を出して寝込めば食事を作りに来てくれます。

兄が電車に轢かれて亡くなります。
自殺の可能性が強いです。
お兄さん一途だったお母さんは精神に異常をきたします。
正常でなくなったお母さんが兄弟の出生について話します。
遺伝子を操作して兄はお母さん好みの子に、弟は
お父さんが望む子に作られたのだと口にします。
お兄さんはそれを知ってしまったための自殺の可能性が
あります。

優の望みは箱根駅伝を走り、オリンピックに出ることです。
箱根駅伝にはDNA鑑定が取り入れられる見込みです。
優はそれを怖れて駅伝の出場を辞退します。
その代わりに補欠選手になった岩本のサポートをする
ことを命じられます。
誰かのために何かをするという意識がない優ですがしかた
なしに練習に付き合うことになります。

遺伝子操作という問題と、同じスポーツをする仲間と
交わって成長していくのだということを描いた物語です。
まだ今の技術で思いのままに人が作れるという話は
聞きませんがいずれできる様になるかもしれません。
そんなことしてもいいのかという課題はこれから
議論されるでしょう。

優は変ります。自分で意識して変ったのではなくまわりの
人たちによって変えられたといっていいでしょう。
いつの間にか変ったという部分は自然でいいです。

出生をカミングアウトした後は後進を指導する立場に
なります。
さまざまな困難が有りましたが仲間が支えてくれした。
なかなかいい本でした。

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