雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

チョコレートコスモス

2011-11-06 22:08:51 | 
恩田 陸
毎日新聞社
発売日:2006-03-15


恩田陸著"チョコレートコスモス"を読みました。
あぁ、いい本でした。
今年読んだ本の中でよかったものの上位に入ります。
演劇を極めたいとする人々を描いたものです。
佐々木飛鳥は大学一年生。
東響子は21歳、子供のころから役者をやってきて
実力がある女優です。
飛鳥は家が空手道場で空手をやってきました。
骨折して入院した時に隣室の映画関係者に数多くの
映画を見せてもらいました。
高校は映画、演劇を見ることに費やしました。
大学生になって同じ大学の男性10人が立ち上げた
劇団に入れてもらいます。
彼女はすっと出来てしまうのです。
その人になりきれてしまいます。
2日間だけ劇場を使わせてもらえることになり上演する
のですが1日目の演技で人の目をうばうような演技を
するのですが、しかしそれまでの流れを壊したという
批判も多くありました。
翌日にはまったく違う演技をして観客のどぎもを
抜きました。

新国際劇場のこけら落しに女性二人だけの芝居が
上演され、このオーデションが行われることに
なります。
飛鳥もこのオーデションを受ける一員に選ばれます。
準備していった物だけではだめで突然その場で考えて
表現することを求められます。
飛鳥は相手役の役者を演じてよかったと満足させる
ほどの解釈で一次オーディションを通ります。

東響子はオーディションの一員に選ばれていません。
二次オーディションの相手役の依頼があります。
残ったのは4人、しかし飛鳥は辞退してしまいます。
次々と全身全霊を尽くした演技が演じられます。
その場に立ち会うことになった飛鳥は・・・

なんだか場面が見えるような気がしてくる本です。
演技に懸ける人々の情熱に圧倒されます。
飛鳥がどんな人なのかもあたかもいるみたいに感じられます。
普段の彼女は存在してないかのようにみえる女性です。
自我、エゴ、自尊心、虚栄心、羞恥心、そんな自分がないと
演出家に言われています。
どこかで壁にぶちあたるかもと言われています。

演技の向こう側にあるものを知りたい、それが飛鳥の
望みです。
壁を乗り越えすごい女優となってゆくだろう飛鳥が
見えます。


一次オーデション、二次オーディションは4通りに
演じられるわけですが、それをぜんぜん別物に
描き分ける恩田さんはすごいです。
これを映画で見てみたい気がします。
でもそれを見たら却ってそれは違う!と言ってしまい
そうです。読んで感じた方がいいものなのでしょうね。