村山早紀著"カフェかもめ亭"を読みました。
"コンビニたそがれ堂"の姉妹編だそうです。
風早の町にあるカフェが舞台です。
曽祖父の代から70年続くカフェです。
今は前のマスターの祖父が亡くなって孫の女性が
美術大学を中退して店を継いでいます。
店は代々のマスターが描いた絵が飾ってあったり
花が活けてあっり自動ピアノが演奏していたりと
どんな店なのか頭の中に描いてみようとするのですが
あまりうまく描けません。
居心地のよさそうなお店です。こんな行きつけの
喫茶店があったらいいなぁと思います。
お客さんがやって来て不思議な話をしていきます。
お客さんが話しているという形式を取っています。
連作短編集です。
はじめのいくつかの話はなんかたいくつな話と思って
読んでいましたがその後のいくつかは泣かせる話でした。
猫が好きですから猫が出て来る"ねこしまさんのお話"が
一番好きかな。
"ねこしまさんのお話"
今度高校生になるかおるちゃんが語り手です。
小学生の時友達と合わせるのが苦痛になり学校に
行けなくなりました。色がわからなくなり白黒の世界
しか見えなくなりました。
学校へ行くように出かけて公園で時間をつぶしていました。
奥のベンチに置き去りにされた大きな長毛のちゃとら猫が
座っていました。
かおるはベンチで泣き出しました。猫が膝に乗ってきて
顔をなめてくれました。
それからねこしまさんと呼ぶようになった猫との交流が
始まりました。
ねこしまさん、実は誰にも心を開かない猫でした。
飼い主が引越す時捨てられたのです。
かおると会うときだけとてもいい顔をします。
ねこしまさんは病気になってしました。
その時フリースクールをやっている人と出会います。
ねこしまさんを病院へ連れていってくれますが
ねこしまさんは死んでしまいます。
かおるはねこしまさんを探して泣き叫んでいます。
そこへ人間に姿を変えたねこしまさんが現れます。
ねこしまさんは実は猫の国の王子様なんだといいます。
国へ帰ります。かおるに出会えてうれしかった。
ずっと忘れないと、さよならを言いにきてくれました。
かおるはフリースクールへ通うことにします。
引越して一旦は離れた町へ、高校生となって戻って
きました。
これで終わってもいい話なのですがこの話には続きがあります。
かおるが帰った後に男性が店にやってきます。
かおるの話を聞いていました。この人が実はねこしまさん
に扮してお芝居をしたのでした。
彼も仕事に行き詰っていて公園にきていて、かおると
ねこしまさんをずっと見ていました。
かおるは人間になったねこしまさんにはげまされて
立ち直るきっかけを得ました。
この男性もかおるとねこしまさんに出会って立ち直りました。
こんな風に心を打つ話が続きます。
コンビニたそがれ堂に行って買い物をしたという人も
出てきます。
やさしい気分になりたい時にどうぞ。8/30