北村薫著"夜の蝉"を読みました。
大学生の「私」が語る物語です。
私の知り合いの落語家の円紫が登場して謎を解き明かして
くれます。
前に読んだ"空飛ぶ馬"とシリーズになっています。
"朧夜の底"
大学の友人に高岡正子(しょうこ)と江美がいます。
正子は本屋さんでアルバイトをしています。
不思議な状態を見ます。
本が何冊かの本がさかさまになっていることが何度か
ありました。
その後箱入りの本の中身が別の本のものと入れ替わって
いることがありました。
円紫にその話をしたところ思わぬ推理を展開します。
ネタバレです。
この本を買って読み終わってから本の中身が違っていたと
本屋さんにお金の返却を求めるのではないかというのです。
びっくりしました。でもありそうです。
一般の本屋さんで売られている本ですから高いといっても
限りがあります。
でももっと大きな金額で同じような詐欺?をしようとすれば
できるのではないかと思ってしまいました。
これは犯罪とはいえないでしょう。本屋さんが本来の本と
交換するといえば結局いらない本を手にすることになります。
現実には本屋さんは箱と中身を確認するでしょうから
起こりえないことだろうとは思います。
これ読んだ時なんて心の貧しいことするんだろうとすごく
さみしい気分になりました。
こんなことする人はどうだ頭いいだろうと自慢げな
気分でいるんじゃないかと思えて嫌な気分です。
人それぞれゆずれないものがあります。
それが正しいことなのかどうか、なんともいえませんが
自分で情けないと思うようなことはしたくありません。
正子は誕生日を言いません。円紫がわかりますよと
言います。誕生日を言いたがらない、正子をしょうこと
読むことからお正月に生まれたのだろうと予想します。
なるほど。
"六月の花嫁"
友人たち4人で軽井沢の友人の別荘へ遊びに行きます。
チェスの駒が一つなくなります。
その駒が冷蔵庫で見つかり卵が一個なくなります。
卵は脱衣室で見つかり鏡がなくなります。
鏡はチェス盤の中で見つかります。
一応誰かのいたずらで鏡の国のアリスの見立てだと
思われました。
円紫が別の見方をします。
チェスの駒がどこでなくなったかをごまかすために
思いついたことではないのかといいます。
"夜の蝉"
私とお姉さんとの確執を描いた話です。
といってもお姉さんが妹が生まれて感じる理不尽な
感情を何をきっかけに抜け出したかを妹に打ち明け
話です。
お姉さんは人が見つめてしまう超美人です。
お姉さんが付き合っていた男性は二股をかけるような
あまり感心しない人です。
会社でもらった歌舞伎のチケットの1枚を会社で
封筒に入れ彼の家宛に会社の前にあるポストから
投函しました。
劇場に現れたのは彼が付き合っているもう一人の
女性でした。
お姉さんが嫌がらせをしたと彼女と彼の両方から
非難されます。
円紫が謎を解き明かします。
ポストに投函された郵便を取り返す方法は?
この本実家に行った時に近所のBookOffで買いました。
裏表紙の所に我楽多書房の紙切れが貼ってありました。
この本屋さんも古本屋です。昔よく行きました。
同じ岐阜市内ですから本が回転していて不思議ではない
のですが、なつかしい気分になりました。8/20