2020年の東京五輪&パラリンピックのメインスタジアムとなる「新国立競技場」の建設計画について、建築家の隈研吾氏と大成建設が提案する「木と緑のスタジアム」をテーマにした「A案」と、伊東豊雄氏と竹中工務店・清水建設が提案した「白磁のスタジアム」をテーマとする「B案」の2つの案で争われましたが、22日の閣僚会議でA案の採用を決めました。
最終決定日の3日前の19日に日本スポーツ振興センター(JSC)の審査委員会が開かれ、審査委員7人による採点で、A案が610点、B案が602点(980点満点)と、A案が8点差で勝利。合計点では僅差でしたが、「工期の短縮」でA案が177点、B案が150点とA案が27点も上回り、「業務の実施方針」でもA案112点、B案104点と8点の差がつきました。
正式採用された「A案」は、地上5階・地下2階建て。高さも49.2mと神宮外苑の景観に配慮しております。主な特徴は、①木と鉄のハイブリッド構造の屋根、②伝統的な「和」を表現としたデザイン。スタンドも3層式になっていて、収容人数も五輪開催時に6万8000人、五輪後は8万人にまで増やすという。工期は2016年の12月から始まり、2019年の11月末までに完成を予定しています。総工費は1490億円と、白紙撤回されたザハ・ハティド氏の旧設計案の総工費2651億円より1161億円も削減しております。
安倍首相も「新整備計画で決定した基本理念、工期やコスト等の要求を満たす素晴らしい案だった」と評し、「世界の人たちが感動するスタジアムにしたい」と述べました。舛添要一東京都知事も「厳粛な審査ができてよかった。あとは期日に間に合うように建ててもらいたい」と語りました。
一方、不採用となった「B案」をデザインした伊東豊雄氏は「基本理念では負けていない。工期で大差が付いたのは納得できない」と不満をもらしました。
新国立競技場の新たな建設計画案が決まったことを受け、前任のザハ・ハティド氏は事務所を通して声明を発表し、「レイアウトや座席の構造と驚くほど似ている」と指摘しております。
新国立競技場の建設計画は、2012年に「ザハ設計案」が選ばれ、当初は総工費1300億円と言われました。しかしその後、総工費が3000億円→1650億円→2520億円と変更され、当初の金額より大幅にオーバーすることに批判の声が上がりました。そして今年7月に新国立の建設計画の見直しを発表。同時に2019年のラグビーワールドカップの新国立競技場での使用も断念。ザハ案の白紙撤回から5ヵ月後に、ようやく新たな建設計画が発表されました。
採用された「A案」は、大会組織委員会の森喜朗会長が「A案はお墓のようだ」と言ってましたが、個人的にはシンプルな作りで、自然に優しそうな感じがする。それに開放感があって良いと思います。B案は遠くから見たらUFOと間違えそうなデザインでした。「生牡蠣がドロッとしたような」デザインのザハ案も、近代的でカッコよかったんだけど…。ザハ氏が「我々のデザインのパクリじゃないか」と訴えてますけど、屋根の作りがなんか全然違うもん。
2020年の東京五輪では、サニブラウン・ハキーム選手や、桐生祥秀選手などが新国立競技場のトラックで走り、サッカー日本代表がプレーすると思います。五輪後はコンサート会場や、サッカーとかラグビーの試合で使われることでしょう。新国立競技場が、日本人が誇れるような美しいスタジアムになること期待しています。