ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[11月23日(金)~25日(日)]

2012-11-27 23:54:30 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 12月3日の韓国文化院での「未熟な犯罪者」の特別上映会は、応募したもののみごとにハズレ。翌4日にも上映するということで、再挑戦の結果は明日。どうなるかなー。なんとか当たって、その勢いで年末ジャンボも当てるぞっ・・・って、まずは買いに行かないと・・・。

 この1週間もなんやかやで映画館に行かず、ということで観る予定の映画が貯まってきました。
 私ヌルボが観る映画を決める時の指針としているのは、<映画生活>(とくに「上映中満足度」のランキング等の映画専門サイト、「毎日新聞」等の金曜夕刊の映画欄、「日経」の「映画エンタメガイド」中の「おすすめ映画」、「週刊文春」の「Cinema Chart」(おすぎの評は無視して)、そして2つのすごいブログ<こんな映画は見ちゃいけない!><三角絞めでつかまえて>。“映画検定1級”の放送作家・松崎まことさんのtwitter。それから横浜のシネマ・ジャック&ベティや渋谷のイメージフォーラム、ポレポレ東中野、銀座シネパトス等々の映画館のラインナップ、
 韓国映画については、<シネマコリア>は言うまでもありません。そしてSARUさんのtwitterや、<yohnishi's blog><confuoco Dalnara><kazumiのミーハーワールド!>等のブログ。ここらへんはネタバレに要注意ではありますが・・・。
 およそこんなところですかねー。その結果、たとえば情報がなければ100本に1本の名作は100本の映画を観ないと出合えないところ、30本に1本くらいの確率にはなっているのではないかと思います。
 さあ、今後1週間で5本は観るぞっ!

          ★★★ Daumの人気順位(11月27日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①Mac Korea(韓国)  9.7(132)
②SEARCHING FOR SUGAR MAN  9.5(78)
③桃さんのしあわせ  9.4(23)
④MBの思い出(韓国)  9.3(695)
⑤南営洞1985(韓国)  9.2(574)
⑥おおかみこどもの雨と雪(日本)  9.1(252)
⑦ファースト・ポジション  9.1(23)
⑧バービー(韓国)  9.1(28)
⑨未熟な犯罪者(韓国)  8.8(27)
⑩私が殺人犯だ(韓国)  8.7(1422)

 ③、⑤、⑨の3作品が初登場です。
 ③「桃(タオ)さんのしあわせ」は日本でも10月13日から公開されています。私ヌルボは未見ですが、評判いいようなので観に行こうかな。韓国題は「심플 라이프」です。
 ⑤「南営洞1985」は後述します。
 ⑨「未熟な犯罪者」は、東京国際映画祭で審査委員特別賞と最優秀男優賞(ソ・ヨンジュ)を受賞した作品。少年院への入所と出所を繰り返していた少年(ソ・ヨンジュ)を、母親(イ・ジョンヒョン)が13年ぶりに訪ねてきます。10代の頃に生んだ息子ですが、未熟な母親だった彼女は彼を捨ててしまったという過去がありました。そんな2人が再会して、どんな物語が展開していくのか・・・。原題は「범죄소년(犯罪少年)」です。

【専門家による順位】

①おおかみこどもの雨と雪(日本)  8.1(6)
②007 スカイフォール  8.0(7)
③あなたはまだ何も見ていない  8.0(2)
④ミッドナイト・イン・パリ  7.8(7)
⑤シュガーマン 奇跡に愛された男  7.7(4)
⑥二つの扉(韓国)  7.6(6)
⑦タッチ(韓国)  7.6(3)
⑦桃さんのしあわせ  7.6(3)
⑨テイク・ディス・ワルツ  7.5(6)
⑩バービー(韓国)  7.5(2)
⑩家族シネマ(韓国)  7.5(2)

 ③と⑦「桃さんのしあわせ」が新登場です。
 ③「あなたはまだ何も見ていない」は、満90歳になる巨匠アラン・レネのカンヌ映画祭出品作。有名な劇作家・演出家が死んだ後、その邸宅に招待されたのは、かつて彼の演劇「エウリディス」に出演した13人の俳優たち。彼らは今、若い俳優たちが演じる新しい「エウリディス」を録画された映像で観る。最初は観客あるいは評論家の立場から見ていた彼らだが、いつの間にか自分たちの過去の役に没頭するようになり、そして・・・。詳しくは「河北新報」の齋藤敦子さんの記事(→コチラ)参照。韓国題は「당신은 아직 아무것도 보지 못했다」。日本公開は未定のようです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[11月23日(金)~25日(日)] ★★★

         「オオカミ少年」が4週連続トップ、600万人を超える

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・オオカミ少年(韓国) ・・・・・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・・・・・・・550,864・・・・・・・・6,015,654 ・・・・・・・42,153・・・・・・・595
2(2)・・トワイライト・サーガ・・・・・・・・・・・・11/15 ・・・・・・・・・・・・・・・468,965・・・・・・・・1,940,7866・・・・・・・13,882・・・・・・・536
        ブレイキング・ドーンPart.2
3(新)・・ドント・クライ・マミー(韓国) ・・・・11/22・・・・・・・・・・・・・・・・425,912・・・・・・・・・・538,134 ・・・・・・・・3,809・・・・・・・444
4(3)・・私が殺人犯だ(韓国)・・・・・・・・・・11/08・・・・・・・・・・・・・・・・310,814・・・・・・・・2,109,437 ・・・・・・・15,799・・・・・・・382
5(20)・・南営洞1985(韓国)・・・・・・・・・・・11/22 ・・・・・・・・・・・・・・・147,759 ・・・・・・・・・188,020 ・・・・・・・・1,357 ・・・・・・・310
6(5)・・光海、王になった男(韓国)・・・・・・9/13・・・・・・・・・・・・・・・・・62,629・・・・・・・12,064,504 ・・・・・・・87,213・・・・・・・166
7(新)・・不思議の国のガーディアン ・・・11/29 ・・・・・・・・・・・・・・・・50,523・・・・・・・・・・・56,850 ・・・・・・・・・・505・・・・・・・197
8(90)・・出前持ちのウスさん(韓国) ・・・11/22 ・・・・・・・・・・・・・・・・26,250・・・・・・・・・・・42,208 ・・・・・・・・・・286・・・・・・・119
9(18)・・音痴クリニック(韓国)・・・・・・・・・11/29 ・・・・・・・・・・・・・・・・25,876・・・・・・・・・・・42,208・・・・・・・・・・・272・・・・・・・203
10(6)・・007 スカイフォール ・・・・・・・・・・10/26 ・・・・・・・・・・・・・・・・23,232・・・・・・・・2,349,438・・・・・・・・17,304・・・・・・・122
7(39)・・殺人小説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/15 ・・・・・・・・・・・・・・・・26,386・・・・・・・・・・・33,809 ・・・・・・・・・・251・・・・・・・183
8(5)・・アップサイド・ダウン・・・・・・・・・・・11/08・・・・・・・・・・・・・・・・・11,328・・・・・・・・・・169,384 ・・・・・・・・1,192・・・・・・・107
9(7)・・ジャングル大帝 劇場版(日本)・・11/08・・・・・・・・・・・・・・・・・9,984 ・・・・・・・・・・・38,984 ・・・・・・・・・・243・・・・・・・・56
10(10)・・メリダとおそろしの森・・・・・・・・・9/27・・・・・・・・・・・・・・・・・・5,424 ・・・・・・・・1,228,678 ・・・・・・・・9,010・・・・・・・・34
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「光海、王になった男」、歴代3位「王の男」(1230万人)にとどくまで引っ張るのかなー?
4週連続1位の「オオカミ少年」は600万人を超えました。700万人にはいきますね。
 今回の新登場は3・5・7・8・9位の5作品です。
 3位「ドント・クライ・マミー」は、性的暴行を受け自殺した一人娘に代わり、母親が加害者に復讐する過程を描いた作品。その加害者は罪の意識に乏しい未成年者。「アイドルのイメージが崩れるかと最初はためらった」というU-KISSのドンホが演じています。
 しかし、「悪い血」等々、犯罪被害者による復讐を描いた映画が最近ずいぶん多いです。「朝鮮日報」も9月そのことを記事にしていました。(→コチラ。) そういえば、29日公開される「26年」も復讐物ですね。原作は乃南アサですが「凍える牙」もそうでした。「26年」と同じくウェブトゥーンが原作で、まもなく映画化される「ザ・ファイブ」も被害者遺族の主婦が連続殺人犯を捕まえようと立ち上がる話で、私ヌルボが今読んでいる昨年のベストセラー「7年の夜」も映画化されるのかー。なるほど、これも復讐譚だな。「朝鮮日報」の記事では「政治的・社会的不条理が原因」と、なんともありきたりな説明が・・・。原題は「돈 크라이 마미」です。
 5位「南営洞1985」は、2011年12月30日に死去した往年の民主活動家で、その後進歩陣営の国会議員として活躍した金槿泰(キム・グンテ)の手記「南営洞」に基づいた映画。1985年の韓国は全斗煥の軍事独裁政権の時代。沐浴湯(モギョクタン=銭湯)から帰る途中で民主化運動家キム・ジョンテ(パク・ウォンサン)は警察に連行され、連れて行かれた所が対共分室で、その住所が南営洞。ソウル駅の南隣が南営駅ですね。そこの拷問室で供述を拒否するキムへの拷問が延々と続きます。22日間も! 拷問場面が映画のほとんど全部なんだそうで、うーむ、これはねー・・・。「見た人たちは誰もが見るのがつらい映画だと語る。だが同時に「必ず見なければならない映画」だとも付け加えた」と→コチラの記事には書かれてますがねー・・・。この映画の原題は「남영동1985」です。
 さてこの拷問室があった建物は、現在は1987年水拷問で殺されたソウル大の学生・朴鍾哲の記念館になっています。愛読している<大塚愛と死の哲学>の記事によると、ブログ主さんは2009年5月にすでに訪れていたのですね。(ホントに普通の観光客の行かない所あちこちに行っている方です。) 今ハングルで検索したら、そこの紹介記事(→コチラ)がありました。また多くの写真入りの訪問記(韓国語)は→コチラ
 7位「不思議の国のガーディアン」はウィリアム・ジョイスの絵本が原作の、アメリカの3DCGアニメ。地球に向けて放たれた悪霊に対し、世界の子どもたちを守るために守護神たちが集結する・・・って、おなじみの「正義の国」アメリカらしい設定。しかし、世界で最初に11月16日から中国本土で上映なんて記事を見たけど、中国の人たちは「もしかしたら自分たちが悪霊かも」なんて思わないかな? 韓国題は「가디언즈」です。
 8位「出前持ちのウスさん」。本ブログの過去記事でも書きましたが、韓国語で「철가방(鉄カバン)」とは「岡持ち」のことです。原題の「철가방 우수氏」を「鉄カバン ウス氏」としている日本サイトは少なくなり、多くは「おか持ちウスさん」になっています。中華料理屋の出前として働くウス(チェ・スジョン)は孤児として育ち、貧困の中で生きてきましたが、70万ウォンという少ない月給ながら5人の恵まれない子どもたちを援助し、感謝される喜びを体験します。ところが、そんなウスが、突然交通事故に遭って・・・、という話。実在のキム・ウスさんの人生を映画化した作品だそうです。
 9位「音痴クリニック」は、片想い中の男性のために音痴を脱出しようとする女性(パク・ハソン)と、そこで出会った講師(ユン・サンヒョン)との間のロマンティックコメディ。「致死率100%の低質声帯vs完治率100%のスター講師が出会った!」というのがキャッチ・コピー。原題は「음치 클리닉」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(10)・・未熟な犯罪者(韓国) ・・・・・・・・・・・11/22 ・・・・・・・・・・・・・・3,982・・・・・・・・・・・・・・・7,638 ・・・・・・・・・54・・・・・・・・・・55
2(27)・・桃さんのしあわせ・・・・・・・・・・・・・・11/22 ・・・・・・・・・・・・・・2,240・・・・・・・・・・・・・・・3,832 ・・・・・・・・・28・・・・・・・・・・21
3(2)・・テイク・ディス・ワルツ・・・・・・・・・・・・・・9/27 ・・・・・・・・・・・・・・1,444 ・・・・・・・・・・・・・59,459 ・・・・・・・・473 ・・・・・・・・・・5
4(5)・・私たちのバカ兄貴 ・・・・・・・・・・・・・・11/29・・・・・・・・・・・・・・・1,401 ・・・・・・・・・・・・・・2,296 ・・・・・・・・・15・・・・・・・・・・・6
5(1)・・私が告白したら(韓国) ・・・・・・・・・・・11/15 ・・・・・・・・・・・・・・1,340・・・・・・・・・・・・・・・7,242 ・・・・・・・・・54・・・・・・・・・・15

 新登場は1位と2位の2作品ですが、ともに上述しました。
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韓国の作家パク・ソンウォンとその作品、中村文則との対談のこと等 

2012-11-26 20:09:39 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 11月20日と21日「読売新聞」に、「日韓作家リレー書簡」というタイトルで朴晟源(パク・ソンウォン.박성원)中村文則がやりとりした書簡が載っていました。(なぜか読売のサイト内を検索しても何も載っていませんが・・・。)

 中村文則は2005年「土の中の子供」で芥川賞、2010年には「掏摸<スリ>」大江健三郎賞を受賞したりしているので、それなりには知られているのではないでしょうか? ウィキの説明では1977年生まれで35歳。
 私ヌルボは「何もかも憂鬱な夜に」という小説を読んだことがあります。一応死刑関係の作品には目を通しておこうと思って・・・。感想は、文字通り「何もかも憂鬱な」作品でした。じめっとした、というか、ぬるっとした、というか・・・。

 朴晟源は中村文則の8歳上の1969年生まれ。日本での知名度はヒジョーに低いと思います。第一、韓国作家の名を1人でもあげられる人からして少ない現状ですから・・・。
 しかし、こうした感じで全国紙が取り上げてくれると多少なりとも韓国作家の認知度が高まるというものです。

 このリレー書簡の企画は、クオンという出版社が「新しい韓国の文学」というシリーズの第5巻で、朴晟源の「都市は何によってできいるのか」をこの9月に刊行したことと、続いて11月9日池袋のジュンク堂書店で、以前から(2008年~)知り合い同士の中村文則と、刊行記念としてトークイベントが開催されたことが前提となっています。

 そのトークイベントの動画がYouTubeにあって、2作家のやりとりを視聴することができます。(→コチラ!)
 韓国語学習者にとっても勉強にはなるのですが、約1時間30分にも及ぶ長尺なので、ちょっとかったるいかも・・・。そこをがんばって最後まで見てみると、中村文則氏は小説よりも語りがずっとおもしろく(あの小説を思えば当然)、朴晟源氏は雰囲気も実際の話もユーモアが漂っています。翻訳者の吉川凪さんと、通訳としてきむ・ふなさんが登壇しています。
 朴晟源氏が写真を見ながら自身の経歴等を語っていますが、トルチャンチ(満1歳のお祝いの宴席)の時、トルチャビで鉛筆を取ったというエピソードはできすぎてますね。

 さて、「読売新聞」のリレー書簡の内容は、朴晟源氏がトークイベントの前に吉川凪さんとサンシャイン60や雑司ヶ谷霊園を歩いたりして、過去と現在が共存するものだと改めて思ったこと、翌日は東京駅→三越本店→銀座を歩いて、font color="maroon">を歩くのと似ているので「見慣れた感じがした」ことを記していました。(これも当たり前。) また彼の小説は主に都市での生活を描いているけれども、「東京もソウルも、妙に似ていてなじみがあるようであり、またよそよそしかったです」とも。(よくわかります。)
 一方、中村氏はトークで語っていたように、映像メディアがその国の人々を「外面」から映し出すのに対し、文学は「内面」を深く描くもので、「そのようにお互いの国がお互いの国を「内面」からとらえ続ける限り、世界はよくなっていく」ことを強調しています。

 その朴晟源の作品でこれまで翻訳されているのは、少し前に「あの鄭泳文さんが文学賞三冠王」と題した記事で紹介した鄭泳文の短編が収められている安宇植編・訳「いま、私たちの隣りに誰がいるのか」(作品社)に、「デラウェイの窓」という短編が1つあるだけです。
 この作品については、上記のトークショーの中で中村氏が「なんとも言えない喪失感みたいなものがあって・・・、とてもいい短編」と評しているのは、本人を前にしての社交辞令ではないと思います。
 私ヌルボもこの短編は以前読み、印象に残っています。「デラウェイ」というのは作品内で語られる写真家の名前です。静物画や人物画のようなありきたりの写真を撮っていて、無名のまま世を去った写真作家。ところが彼の死の直前に、弱視のためいつも拡大鏡で写真を観察していたあるアマチュア写真家が、デラウェイの写真に対して最初の発見をしたというのです。のどかな農家のジャガイモやスープが並ぶ食卓をそのまま撮ったような写真。しかし食卓に置かれたスプーンには何かがぼんやりと写っている。それを拡大すると、一人の兵士が農夫を射殺している光景が浮かび上がってくる。ユーゴ内戦当時の政府軍による民間人虐殺の場面を、「デラウェイは反射した物体を通して映し出したのだった」。その後一見平凡そうな写真と、その中の眼鏡やガラスのような反射物に隠されている「真実」を人々は探し求めるのですが・・・。作品冒頭には、そのデラウェイの言葉が掲げられています。「窓というのは、真実をうかがうことができるチャンスだ。もしも窓がなかったら、四角い壁の中に閉じこめられている真実をどのようにして救い出せるというのだろうか。」
 しかし、本当にそれは真実なのか? それとも・・・、というのがこの短編のキモ。

 で、肝心の彼の新作「都市は何によってできているのか」ですが、私ヌルボ、さっそく読んでみようと思ったものの、横浜市立図書館では目下のところ貸出し中なので読むのはしばらく先ですね。
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「韓国における日本文学翻訳の64年」その他いろいろ

2012-11-25 23:35:53 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 今日11月25日は憂国忌(三島由紀夫の命日)ということで、コチラのサイトにその案内が載っていましたが、どんな人たちが、どれくらい集まったのでしょうかねー?
 同サイトには、その実行委員会の発起人のリストもありましたが、いかにもという名前が多々ある中で、「あれ、この人も」という名前もチラホラ(立松和平とか)。

 私ヌルボ、個人的に思い起こせば、三島事件のニュース自体にはさほど衝撃を受けませんでした。
 それよりも、1970年の同じ日に、ニューヨークのイーストリヴァーでアルバート・アイラーの死体が発見されたという事件の方がずっとショッキングだったと思います。
 ※もしかして、今も命日にアイラー特集をやってるようなジャズ喫茶があるのでは、と思って探したら、案の定ありましたね。稲毛のJazz Spot CANDYという店。(→コチラ。) 毎年やってるようです。

 翌1971年5月3日には高橋和巳39歳で世を去りました。・・・いろんなことが思い出されます。

 それから40年あまり経った今、世の中はどう変わったのでしょうか?
 「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」(村上龍の「希望の国のエクソダス」)という認識は、とっくに常識化してしまったようです。

 11月20日に届いた「週刊文春」メールマガジン。アンケートの設問が「野田佳彦、安倍晋三、石原慎太郎 あなたが総理にふさわしいと思うのは誰ですか?」というもの。
 以前流行った「究極の選択」みたいです。「俺を怒らせたいのかっ!?」って感じですねー。・・・しかしこれが現実。

 韓国でも大統領選挙が間近に迫っています。(12月19日投票) しかし木村幹神戸大教授のtwitter(→コチラ)によると、今回の特色は「盛り上がっていないこと」だそうです。23日出馬取り止めを発表した安哲秀氏にたいする「シンドローム」も、日本のマスコミの思い入れ(?)ほどには盛り上がってなかったようで・・・。韓国の政治風土も、近年大きく変わってきているようです。
 日本でも、すでにポピュリズムが効かなくなってきているという観測もあるようです。はや橋下市長も賞味期限が切れかかってるという気配も漂ってきている、かな?
 マスコミもしょーもない政党の離合集散をくだくだしく追っかけてばかりいないで、「原発」「改憲」「TPP」等々の争点についてわかりやすく解説するとともに、各立候補(予定)者がそれらにどんな意見を持っているかをきっちり伝えてほしい、と切に望んでいます。(同じ政党内でもバラバラのようだし、個人ごとにリストを作っておくれでないかい?)

 さて、今日の「毎日新聞」の読書欄を紹介、・・・する前に、気持ちが明るくなった記事をまずとりあげておきます。
 <隣国のホンネ・日中民間対話>シリーズの第3回で、「白か黒か、未熟な世論 人権活動家・何培蓉さんに聞く」というもの。(今のところ→コチラで読むことができます。) 何培蓉(か・ばいよう)さんは盲目の人権活動家・陳光誠の脱出劇を支えた人権活動家の女性です。もともと英語教師で「ごく普通の中国人でした」という彼女は決して「妥協を排する闘士」ではなく、「民主の実現は、妥協するプロセスであるべきだと思うのです」と語っています。また反日デモについても、「人々が政治に参加することは良い現象ですが、(略奪行為などの)過激行為が起きたことは世論が未熟な証拠です」とも。(反中国で熱くなってる一部の日本人の対極ではないですか。)
 ・・・私ヌルボ、民主主義の少年期における清新さを彼女に感じました。民主主義の老年期にある日本の私たちは、昔を懐かしむか、「大人になったら(そんなに素晴らしいものでもないことが)わかるよ」とシニカルな言をとばすしかないのでしょうか・・・。

 ほとんど記事にしない時事放談めいた文章をたらたら書き連ねてしまいました。
 やっと本題、「毎日新聞」の読書欄です。
  ※とりあえずは「毎日jp」で読むことができますが、恒久的には→コチラのサイトで朝・読・毎・産の4紙の書評のバックナンバーを読むことができます。

 今回は、伊東光晴先生による「ノーベル経済学賞の40年 上・下」(トーマス・カリアー著)の評はとてもためになったし、ヌルボが目を瞠った「ひとたばの手紙から」を著した尊敬すべき俳人・宇多喜代子さんが「今週の本棚:好きなもの」で好きなものとして「絵巻・緑茶・宝塚歌劇」の3つをあげていたのも興味深く読みました。しかし、17歳の時に見た小林一三の眼光を記憶に留めているとはねー・・・。

 で、ようやくタイトルに掲げた尹相仁ほか著、舘野・蔡星慧訳「韓国における日本文学翻訳の64年」(出版ニュース社.4200円)について。この本の説明文だけで知らなかった重要な事実が次の2点。
 ①日本文学が戦後、韓国に再登場するのは1960年の4月革命以後。強力な排日政策を進めていた李承晩が失脚して対日文化政策が変化したため。読み物に飢えていた一般読者が日本文学の復権を求め、出版資本がそれに応えた。
 ②60年代半ばに三浦綾子「氷点」がベストセラーになった。三浦人気は、戦後にキリスト教が韓国社会に対して果たした役割とも関わる。

  ※三浦綾子の小説が韓国で多くの読者を得たことは知っていましたが、少し前に本ブログ記事で紹介した浅見雅一・安廷苑「韓国とキリスト教」(中公新書)にはそのことは書いてなかったし、私ヌルボも思いつきませんでした。
 また、
 ③90年代以降の経済成長後の韓国の若者たちが、村上春樹作品の主人公たちに自身の自画像や理想形を見出した。
・・・という指摘もあるそうです。
 そして、翻訳された作品の目録も付いているそうで、これはなかなか意義のある書物といえそうです。横浜市立図書館では目下「準備中」。早く現物を見たいものです。

 もう1つ。<浪花の歌う巨人・パギやん>こと趙博さんが「パギやんの大阪案内 ぐるっと一周 [環状線]の旅」(高文研.1890円)を出しました。おもしろそう! これも読むぞ!!
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[韓国語の新語] 「三抛世代(サンポセデ)」の抱える悩みは日本の若年層と共通

2012-11-21 23:57:02 | 韓国語あれこれ
 1つ前の記事で韓国映画情報を探索中、オムニバス映画「家族シネマ(가족시네마)」についての記事(→コチラ)に「대한민국 '삼포세대'의 불편한 진실 확인<가족시네마>(大韓民国'サンポ世代'の不都合な真実確認<家族シネマ>)」という見出しがついていました。この映画について記された他の記事にも、この「삼포 세대」という言葉は多く用いられていました。
 意味は、記事本文にあるように恋愛、結婚、出産の3つをあきらめた世代(연애, 결혼, 출산 세 가지를 포기한 세대를)」のことです。
 「포기」は漢字では「抛棄」です。(「放棄」だと「방기」なので要注意。)
 要するに「三抛世代」なのですが、この漢字を見ても日本人は意味不明ですね。

 この言葉は初めて見たので、どれくらい一般的か探ってみたら、韓国ウィキ(→コチラ)にすでに載っていました。
 その説明によると、2011年5月の「京郷新聞」の企画シリーズ<福祉国家を語る>の記事(→コチラ)中の新造語とのことですが、その記事を読むと、その時点で存在していた言葉のようです。

 このような「三抛世代」を生んだ背景として、現代の韓国の青年を取り巻く経済的社会的状況が指摘されています。
 就職難や、物価・授業料・住宅価格などの高騰等で生活に余裕がなく、恋愛と結婚をあきらめたり、出産を先送りしているというわけで、このような三抛世代の出現によって伝統的な家族形成の公式の瓦解が進行しているそうです。
※「家族シネマ」の中の「E.D.571」という作品は、学生時代授業料のために卵子を売ったことのある39歳のゴールドミス(独身貴族的な働く女性)の前に、ある日娘だと名乗る少女が訪ねてきて心理的葛藤に陥る物語です。

 上記「京郷新聞」の記事では、背景の説明として2010年の韓国全体の失業率が3.7%であるのに対して、青年層(15~29歳)の失業率が8.0%に上るという数字をあげています。日本では2011年の15~24歳の年齢層の失業率は8.2%、全世代では4.6%で、よく似た傾向を示しています。。
 しかし、今年9月の「東亜日報」の記事(日本語訳は→コチラ)によると、2011年の韓国の15~24歳の雇用率は23.1%で、スペイン(24.1%)やポルトガル(27.1%)よりも低く、深刻な水準とのことです。そして先の8.0%という失業率の数値には、学院(ハグォン.塾)に通いながら就職をめざしているる就職準備生や、公務員試験をめざす長期浪人生、アルバイトで生計をつなぐニート等は含まれていないので、実際の失業率はもっと高いのだとか・・・。

 一方、最初に引用した「家族シネマ」についての記事の見ると、結婚に要する費用がイラストで描かれています。
 新婚の家をソウルで伝貰で購入するには1億4921万ウォン、結婚式費用が1722万ウォン、結婚のための品や礼物、新婚旅行等の費用4867万ウォンとのこと。これでは親の支援がないと無理ですね。もちろん得られればの話ですが。

 結婚しても、出産や育児をめぐる問題も山積で、とくに働く女性にとっては問題は深刻です。
 「家族シネマ」中の「イン・グッド・カンパニー」という作品は、出産の問題で不当解雇の危機に瀕した女性職員の話。利己的な職場の同僚たち(←「身に覚えがある」ということか)がたがいに顔色をうかがい始める・・・、ということのようです。
 また「星形のしみ」という作品では、過去幼稚園キャンプ火災事故で娘を亡くしたことに自責の念を抱いている女性の前に、1年後死んだはずの娘が現れる(!?)という話で、いずれもそんな女性の労働環境をめぐる問題が描かれています。
 この映画の英語題が「Modern Family」とは・・・。

 出生率について、→コチラのデータを見ると、2011年の数値では韓国1.24、日本1.39と、世界最下位を争っています。
 韓国はまた、日本以上の高齢社会にもなっています。

 こうしてみると、日韓両国の、とくに若年層の直面している問題状況は共通点が非常に多いことがわかります。
 だったらどうすればいいのか? ・・・という難問にきっちり方向性を打ち出してくれる政治が期待できればいいのですが、これも現実はまったく逆のようで、暗澹とした気持ちにならざるをえません。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[11月16日(金)~18日(日)]

2012-11-20 20:12:53 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 この1週間は映画館に足を運ばずじまい。今ひとつ、いやそれ以上に観たいという気を起こさせる映画が見当たらないというのが大きな理由。
 もう1つの理由は、やっぱり本がおもしろい。川上未映子「ヘヴン」はちょっと期待しすぎたこともあって今ひとつでしたが、パチガルビ「ねじまき少女」は上巻の半分くらいまで読み進んでにわかにその世界に没入。久々の韓国語本、昨年のベストセラー小説鄭裕靜(チョン・ユジョン)「7년의 밤(7年の夜)」も、成長小説であり純文学である以前にミステリー小説なので、読み進むのが苦になりません。(←スラスラ読める、ということでは全然ない。) 韓国小説といえば、具孝書(ク・ヒョソ)「長崎パパ」(クオン)も少しミステリーの味があって、意外と(?)興味深く読めました。(コチラはスイスイ、翻訳書で。)

 今後期待の映画は、と見てみると、さしあたっては「人生の特等席」「ミロクローゼ」あたり。韓国映画では、「プンサンケ」「高地戦」レベルを期待するとなると、12月22日公開の「拝啓、愛しています」まで待つかねー。「王になった男」は来年2月16日か。<シネマコリア>
http://cinemakorea.org/korean_movie/schedule/schedule.htm
には他にもいろいろ載ってますが・・・。今上映中のホン・サンスは悪くはないけど、どれも金太郎飴みたいで、まったりしすぎだし、「リターン・トゥ・ベース」とかは最初からパス。あ、12月3日に韓国文化院で「未熟な犯罪者」の特別上映会がありますね。東京映画祭で観られなかったので、これはぜひ行かなくては・・・。※申込は→コチラ。締切は11月25日ですよ。

          ★★★ Daumの人気順位(11月20日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①Mac Korea(韓国)  9.7(111)
②SEARCHING FOR SUGAR MAN  9.5(73)
③MBの思い出(韓国)  9.4(552)
④おおかみこどもの雨と雪(日本)  9.1(249)
⑤ファースト・ポジション  9.1(23)
⑥バービー(韓国)  9.1(28)
⑦ピエタ(韓国)  8.8(1603)
⑧私が殺人犯だ(韓国)  8.8(1206)
⑨オオカミ少年(韓国)  8.7(2668)
⑩テイク・ディス・ワルツ  8.5(69)\t

 今回も新登場の作品はありません。。

【専門家による順位】

①おおかみこどもの雨と雪(日本)  8.1(6)
②007 スカイフォール  8.0(7)
③ミッドナイト・イン・パリ  7.8(7)
④シュガーマン 奇跡に愛された男  7.7(4)
⑤二つの扉(韓国)  7.6(6)
⑥タッチ(韓国)  7.6(3)
⑦テイク・ディス・ワルツ  7.5(6)
⑧家族シネマ(韓国)  7.5(2)
⑧バービー(韓国)  7.5(2)
⑩光海、王になった男(韓国)  7.2(8)

 新登場は⑧「家族シネマ」だけです。「家族シネマ」というと、柳美里原作小説の映画化(1998年.朴哲洙監督)を思い起こす人もいるでしょうが、これは新作のオムニバス映画。妊娠・出産を主なテーマとした4作構成で、うちシン・スウォン監督「環状線(原題「순환선(循環線)」は、今年のカンヌ国際映画祭批評家週間の中短編コンペティション部門でカナルプリュス賞を受賞した作品。突然の失業と妻の2度目の妊娠でピンチに陥った一人の男、焦って乗り込んだ環状線の車内で、赤ちゃんを負ぶった女が前に立ち、粉ミルク代をめぐんで下さいと・・・。
 その他、出産の問題で不当解雇の危機に瀕した女性職員をめぐって、利己的な職場の同僚たちがたがいに顔色をうかがい始める・・・、というキム・ソンホ監督「イン・グッド・カンパニー」等、このオムニバスのキモは、就職をめぐる社会的状況が厳しい中、妊娠・出産・育児等々の問題すなわち家族のありようの基本が危機に瀕している、ということ。そしてそれが、とくに働く女性にとって大きな負担になっているということ、のようです。実数は少ないとはいえネチズンの評点(→コチラ)
高く、また<OhmyNews>中の関連記事(韓国語)(→コチラ)を読んで、私ヌルボ、これは観てみたいと強く思いました。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[11月16日(金)~18日(日)] ★★★

         「オオカミ少年」が3週連続1位で500万人突破!

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・オオカミ少年(韓国) ・・・・・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・・・・・・・901,841・・・・・・・・5,093,649 ・・・・・・・35,741・・・・・・・678
2(新)・・トワイライト・サーガ・・・・・・・・・・・11/15 ・・・・・・・・・・・・・・・880,690・・・・・・・・1,080,744 ・・・・・・・・7,799・・・・・・・665
        ブレイキング・ドーンPart.2
3(2)・・私が殺人犯だ(韓国)・・・・・・・・・・11/08 ・・・・・・・・・・・・・・・416,075・・・・・・・・1,538,297 ・・・・・・・11,545・・・・・・・388
4(新)・・ジャッカルが来る(韓国)・・・・・・11/08・・・・・・・・・・・・・・・・108,697・・・・・・・・・・140,964・・・・・・・・・・966 ・・・・・・・300
5(4)・・光海、王になった男(韓国)・・・・・・9/13・・・・・・・・・・・・・・・・・98,381・・・・・・・11,933,676 ・・・・・・・86,328・・・・・・・283
6(3)・・007 スカイフォール ・・・・・・・・・・・10/26 ・・・・・・・・・・・・・・・・69,179・・・・・・・・2,285,073・・・・・・・・16,875・・・・・・・239
7(39)・・殺人小説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/15 ・・・・・・・・・・・・・・・・26,386・・・・・・・・・・・33,809 ・・・・・・・・・・251・・・・・・・183
8(5)・・アップサイド・ダウン・・・・・・・・・・・11/08・・・・・・・・・・・・・・・・・11,328・・・・・・・・・・169,384 ・・・・・・・・1,192・・・・・・・107
9(7)・・ジャングル大帝 劇場版(日本)・・11/08・・・・・・・・・・・・・・・・・9,984・・・・・・・・・・・38,984 ・・・・・・・・・・243・・・・・・・・56
10(10)・・メリダとおそろしの森・・・・・・・・・9/27・・・・・・・・・・・・・・・・・・5,424 ・・・・・・・・1,228,678 ・・・・・・・・9,010・・・・・・・・34
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「光海、王になった男」は「王の男」(1230万人)にとどかず、歴代4位にとどまりそうですね。今回も1位の「オオカミ少年」は500万人を超えてまだ勢いがあるようなので7~800万人にはいくかな? しかし、「泥棒たち」(7/25公開)から切れ目なく「光海、王になった男」(9/13公開)「オオカミ少年」(10/31公開)と続いている大ヒット作3本、作品自体のレベルはどうなのかなー? 大鐘賞では「「光海、王になった男」の圧勝でしたが・・・。
 今回の新登場は2・4・7位の3作品です。
 2位「トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーンPart.2」は、人間の少女とヴァンパイアの青年とのラブストーリーの完結編の後編。韓国題は「브레이킹 던 part2」。12月28日日本公開です。あ、この予告編(→コチラ)もう観たぞ。
 4位「ジャッカルが来る」は、JYJのキム・ジェジュン主演ですと? 「伝説の殺し屋」(ソン・ジヒョ)が依頼を受けて、「女心キラー」といわれる人気スター(キム・ジェジュン)を拉致するわけね。助かろうと必死の彼、自分はニセ者だとウソをついたりしてるうちに、っておよそ見当がつくような・・・。要はコメディ映画ってことです。ジェジュン君、束縛されたまま便器の上に座ってオシッコをしたり、よだれを流して気を失う等の「屈辱的」なほどの演技もよどみなくこなしたそうですよ。19歳年上のキム・ソンニョンと濃厚なキスシーンもあるとか・・・。韓国在住でこの映画の日本語字幕試写会を観た方のブログ記事(→コチラ)
によると、「ジェジュンの風呂上がりシーンで日本のおばさまたちが、「あら~」とか「きゃあ~」とか歓声の入り混じったタメ息を漏らしてました」とのこと。ブログ主さん、「映画の内容は・・・よく分からなかった」とも書いていらっしゃいますが・・・。原題は「자칼이 온다」です。
 7位「殺人小説」はアメリカのスリラー。新居の屋根裏で作家はテープを見つけ、そこでかつて一家惨殺事件があったことを知る。そして彼の家族は超常現象に巻き込まれることになる・・・。脚本を書いたロバート・カーギルは、あの中田秀夫監督の「リング」を観て寝たら屋根裏部屋で8mm殺人フィルムを探すという内容の悪夢を見て、それでインスピレーションがわいたそうです。ある記事では「「シャイニング」と「リング」が混ざったような映画」と評してました。韓国題が「살인 소설」で、原題は「Sinister」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・私が告白したら(韓国) ・・・・・・・・・・11/15 ・・・・・・・・・・・・・・2,143・・・・・・・・・・・・・・・3,915 ・・・・・・・・・29・・・・・・・・・・37
2(2)・・テイク・ディス・ワルツ・・・・・・・・・・・・・・9/27 ・・・・・・・・・・・・・・1,976 ・・・・・・・・・・・・・56,711 ・・・・・・・・451 ・・・・・・・・・・5
3(5)・・シュガーマン 奇跡に愛された男・・10/11・・・・・・・・・・・・・・・・846・・・・・・・・・・・・・・18,540 ・・・・・・・・131・・・・・・・・・・・5
4(4)・・MBの思い出(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・10/18 ・・・・・・・・・・・・・・・673 ・・・・・・・・・・・・・13,502 ・・・・・・・・103・・・・・・・・・・11
5(新)・・私たちのバカ兄貴・・・・・・・・・・・・・・・11/29 ・・・・・・・・・・・・・・・521 ・・・・・・・・・・・・・・・・895 ・・・・・・・・・・6・・・・・・・・・・・2

 新登場は1位と5位の2作品です。
 1位「私が告白したら」、<Kstyle>の記事によると「見ると恋愛がしたくなる映画」なのだそうです。江陵が好きな映画監督のソウル男(キム・テウ)と、江陵で自分が所有しているアパートに住みながらもソウルが好きでよく行く看護師(イェ・ジウォン)。どちらも恋愛には興味がないのに、毎週末お互いの家で過ごしたりする。・・・そんな「草食男(チョシンナム)」と「鉄壁女(チョルビョクニョ:周りを鉄壁で囲んだように恋愛を拒んできた女性)が出会って、はたしてどのように物語は展開していくのか、まあ大体読めそうな気がします。原題は「내가 고백을 하면」。
 5位「私たちのバカ兄貴」は、バカ正直で純粋な心をもった兄の面倒を見る羽目になった三姉妹の喜劇を描いたコメディー。で、どんなふうにバカなのかなとちょっと見てみたら、彼が出した露店に制服警官がやってきて「なんと言うか、、吹かすヤツないかな・・・」(マリワナのこと)と軽くひっかけを試みる。その手に乗るもんか、と一度は苦笑してみせた彼ですが、警官が「辛い一週間だったんだよ」と呟いて視線を落とすと、「それじゃあ」とマリワナをを手渡してしまって、あっけなく現行犯逮捕。いかにもアメリカだねー。韓国題は原題「Our Idiot Brother」そのままで「아워 이디엇 브라더」。日本では劇場未公開ですが日本語字幕の無料動画だかDVDだかあるようです。
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[長崎と韓国・朝鮮④] 軍艦島と、軍艦島ツアーの概要

2012-11-16 23:10:13 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
    

[長崎と韓国・朝鮮①] 岡まさはる記念長崎平和資料館を見学
[長崎と韓国・朝鮮②] 齋藤茂吉と朝鮮(+長崎)
[長崎と韓国・朝鮮③] 日本二十六聖人記念聖堂で、なぜか朝鮮三国時代の弥勒菩薩像が・・・
 ・・・と続いてきたシリーズの最後です、一応。

 前回の記事の末尾で「最後の記事がメインです」と書いてからすでに半月以上、また10月15日に長崎の軍艦島に行ってからは1ヵ月と1日経ってしまいました。

 長崎に行くことになって、中国やオランダではなく、韓国・朝鮮関係のネタで何があるか、と考えて最初に思い浮かんだのが軍艦島でした。といっても、かつてそこの炭鉱で多くの朝鮮人が苛酷な労働に従事していた、という程度のわずかな知識だけで・・・。
 そして長崎最後の半日、他の著名観光地探訪を全部断念して軍艦島ツアーに行ってきました。
 事前学習もせず、予備知識もほとんどなかった状態で行ったこともあって、いろいろ収穫があった上、帰ってからも関係書をあれこれ読んでいたら、きりがなくなって今に至りました。写真集とか証言記録とかいろいろ出ているし、小説では内田康夫「棄霊島」赤川次郎「三毛猫ホームズの無人島」は一気に読了しました。ただ「毎日新聞」で昨年6月~今年8月連載されていた大沢在昌「海と月の迷路」はまだ単行本化されてなくて未読です。韓国作家・韓水山の小説「軍艦島」(原題「까마귀(カラス)」(2009.作品社)も刊行されていますが、これもまだ最初数ページ読んだだけです。
[11月17日の追記]長崎出身の作家・吉田修一の短編「キャンセルされた街の案内」(新潮文庫)も軍艦島のことを書いています。

 軍艦島については、炭鉱を中心とした歴史、そこで暮らした人々の生活、近代化産業遺産関係等々いろんな切り口があるなあと痛感しています。知れば知るほど本ブログで何をどう書くかを考えると、収拾がつかなくなってしまいそうです。

 またそれらのことを全然知らなくても、軍艦島の遠望や、島内の廃墟と化した建築物群の写真を見ただけで人の目をひきつける「異様さ」といったものがあります。
 上記のような推理小説の舞台とされたのもそれゆえでしょう。昨日発売の「週刊文春」11月22日号の「CATCH UP」には、映画「007 スカイフォール」で悪の本拠地として描かれるマカオ沖の島のモデルにもなったとか。昨年7月にスタッフが来てロケハンをし、その写真をもとにロンドン郊外にセットを造って撮影したそうです。

      
    【「007 スカイフォール」より。長崎市としては当然世界に向けての宣伝のチャンスと捉えていますね。】

 軍艦島ツアーのガイドさんの話では、福山雅治B’zもこの島に来たことがあるそうで、船内でもB’zのミュージックビデオを流していました。
 帰ってから探したら、B’zの「MY LONELY TOWN」という歌で、YouTubeにもありました。(→コチラ。)

 福山雅治は歌の方ではなくて、この島を撮った「残響 Photo Exhibition 2008」と題した写真展を開いたことがあり、それについて語った動画(→コチラ)も見つかりました。ただし、福山雅治は長崎出身ということもあって、軍艦島の「異様な」外貌よりも、自身語っているように故郷とか時の流れといったものに撮影の主眼が置かれているようです。

 ・・・というわけで、一体何から書こうかあれこれ考えましたが、とりあえずは島の名称や位置等、地理上の基本事項から。

[軍艦島の名称・位置・広さ等]
 軍艦島の正式名称は端島(はしま)。かつての住民や、長崎の地元では端島といいます。(私ヌルボが長崎に行った時、地元の方に「軍艦島に行こうと思ってるんですよ」と言ったら「ああ、端島は・・・」と言い換えていらっしゃいました。)
 「軍艦島」の名は、戦艦土佐に似ていることからその名がついたと言われています。しかし2004年閉山30周年記念の写真集「端島~軍艦島~」によると「1916年4月7日に大阪朝日新聞が、端島を二本煙突の巨大な軍艦に似ていると報道」したのが最初とか。
 ※戦艦土佐は、三菱重工長崎造船所で建造されたものの、1922年ワシントン軍縮条約の結果完成を見ることなく標的艦として沈められました。(→参考。)

 軍艦島の位置は下の地図参照。
 長崎港からは南西約17.5kmの位置にあります。長崎半島からは約4.5km離れています。
      
  【崎戸・高島とともに、かつて端島は三菱が経営した海底炭鉱で知られた島でした。林えいだい「死者への手紙」(明石書店)所載の地図より。】

 軍艦島は、南北約480m、東西約160mの小さい島です。
 面積は約63,000㎡で、東京ドーム(46,755㎡)の約1.35倍。
 元々は現在の3分の1ほどでしたが、1897~1931年の6度の工事で埋立てと護岸堤防の拡張を繰り返し、現在の大きさになりました。
 ※軍艦島にボタ山がないのは、その埋立てに用いたため。また廃坑を埋める時にも用いたそうです。
 1974年1月の炭鉱閉山後まもなく、4月20日までに残っていた約2千人の住民が全て島を離れ、島は無人化しました。以後現在まで、島の人口はゼロです。
 その後も島は三菱の所有でしたが、2001年当時の高島町に無償譲渡され、2005年1月合併により長崎市に編入されました。

[軍艦島ツアーの概要]
 次に、2009年4月から始まった一般対象の軍艦島上陸ツアーのあらましです。
 島への上陸は長く禁止されていましたが、2009年4月22日から見学通路内からに限って見学ができるようになりました。
 当初年間2万5千人程度と予測していた上陸者数は、初年度の実績が約5万5千人。その後も2010年が8万5千人、11年が8万4千人で、順調という言葉以上の人気をよび、地元に約65億円もの経済波及効果をもたらしたとのことです。
 現在、上陸ツアーを実施している運航会社は以下の通りです。
 長崎港から発着は次の4つ。集合・発着場所等は異なるので要注意!
  やまさ海運
  高島海上交通
        ※伊王島からでも乗船可。高島にも上陸し、石炭資料館(端島模型)・岩崎弥太郎銅像等見学。
        ※やすらぎ伊王島という伊王島宿泊観光とのセットプランもあります。
  軍艦島コンシェルジュ
  シーマン商会
 各社で若干の差はありますが、ツアーのあらましは次の通り。
 ・料金・・・大人でおよそ4000円前後。これに施設見学料として300円がプラスされます。
 ・時間・・・長崎港発~軍艦島~長崎港着 計2時間30分前後。
       軍艦島のすぐ近くまでは約30分で行くが、上陸の前(または後)に島の周囲を20分くらい(?)時間をかけて周る。
       上陸して見学する時間は40~50分程度。
 ・各社とも、午前と午後各1便運航。
 ・天候によって欠航になることもあります。
    ※①のサイトによると、今年4~6月の運航率・上陸率は83.3~96.8%だったが、7月は運航率74.2%、上陸率61.3%。
 ・乗客定員は、①170名 ②200名 ③130名 ④45名
    ※②は客室内座席60程度で、他も定員=客室内座席数ということではないようです。
 ・上陸ツアーはなかなかの人気で、とくに土・日は早くから満席になることもよくあるようです
 上記4社以外に、長崎半島の野母崎の手前の野ノ串港から出航するのが、
  アイランド号・・・15分で軍艦島に到着と、航行時間は長崎港発の半分以下。

 見学地は、下の地図のように非常に限定されています。距離にしてわずか230mで、見学ポイントが3ヵ所あり、ガイドさんの説明があります。

     
    【「廃墟」の中を自由に歩き回れるわけではありませんが、それでも失望する人は少ないと思います。】

 ツアーのようすは各社サイトの画像でおよそ見当をつけてください。③と④のサイトには動画もあります。

 実際に私ヌルボが行った時のことや、撮影した写真については続きで、ということにします。
 島の歴史や、歴史遺産等については、さらにそのあと、かな?

 → <[軍艦島ツアーで考えたこと] 「いつ、どんな立場で見たか」で大きく異なる思い出>
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[11月9日(金)~11日(日)]

2012-11-13 23:31:07 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 私ヌルボが観る映画の平均観客数は15~20人くらいだと思います。ところが、今日行った銀座テアトルシネマは50人を越えていましたね。それも原題「The Conspirator(共謀者)」をわざわざ意味不明の「声をかくす人」などという邦題にした地味目な内容の映画なのに、この観客数の多さはなぜ? しかし、期待通りロバート・レッドフォード監督の気骨が感じられる良い映画でした。
 この銀座テアトルシネマですが、来年5月銀座テアトルビル売却に伴い営業終了とのこと、寂しいですね。こういう話題、近頃多いです。
 その近所、京橋のフィルムセンターで、今日は幸い「五人の斥候兵」を上映していたのでこれも観てきました。2回目かな? やはり田坂具隆監督作品には端正な美しさがあります。映像も登場人物も。(とくに彼の「路傍の石」はサイコー!)

 実は先週載せるべき話題でしたが、10月30日の大鐘賞授賞式で「光海、王になった男」が最優秀作品賞、最優秀男優賞、監督賞など史上最多の15部門で受賞しました。しかし、そんなにすごい作品なのかなあ? まあ、来年2月16日に日本でも公開されますから、観た上で判断しましょう。邦題は「光海」を削って「王になった男」です。大鐘賞の詳細は、例によって<海から始まる!?>を見ればかります。(→コチラ。)
 続いて11月7日には韓国映画評論家賞が発表されました。コチラは「ピエタ」が4冠。男優賞は「折れた矢」のアン・ソンギ、健在です。これも詳細は大鐘賞と同じく→コチラで。

          ★★★ Daumの人気順位(11月13日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①Mac Korea(韓国)  9.7(104)
②シュガーマン 奇跡に愛された男  9.5(72)
③MBの思い出(韓国)  9.4(519)
④悪い血(韓国)  9.3(43)
⑤おおかみこどもの雨と雪(日本)  9.1(247)
⑥ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!  9.1(23)
⑦バービー(韓国)  9.1(27)
⑧私が殺人犯だ(韓国)  8.9(793)
⑨オオカミ少年(韓国)  8.8(2193)
⑩ピエタ(韓国)  8.8(1579)

 今回は新登場はありません。⑧と⑨はこのランキングは初めてですが、前回観客動員数の方で紹介済みです。

【専門家による順位】

①おおかみこどもの雨と雪(日本)  8.1(6)
②007 スカイフォール  8.0(7)
③ミッドナイト・イン・パリ  7.8(7)
④少年は残酷な弓を射る  7.7(7)
⑤シュガーマン 奇跡に愛された男  7.7(4)
⑥二つの扉(韓国)  7.6(6)
⑦タッチ(韓国)  7.6(3)
⑧テイク・ディス・ワルツ  7.5(6)
⑨メゾン ある娼館の記憶  7.5(2)
⑨バービー(韓国)  7.5(2)

 新登場は⑦「タッチ」だけです。あだち充の漫画とは全然関係ありません。「生命の大切さや家族の愛をテーマ」に10月の釜山国際映画祭で上映された作品で、すでに日本を含むアジア6ヵ国・地域で上映されることが決まったそうです。
 この作品は主人公は、前国家代表の射撃選手だったがアルコール中毒ですべてを失って、中学校の射撃コーチをしている男(ユ・ジュンサン)。・・・というあらすじの最初だけ見ると「ホームランが聞こえた夏」を思い起こしましたが、その後が大違い。以後酒を絶っていた彼は、ある日コーチの座が危ういと聞いて理事長に会うために会食の席に出席しますが、再契約のために理事長がすすめる酒を飲んでしまいます。その帰り射撃部の女生徒を車でひいてしまい、あわてて逃げて帰宅したところ警察に捕まってしまいます。彼の示談金を用意するために孤軍奮闘する妻も、病院での介護の仕事でいろいろあって病院をやめさせられ、娘もいなくなったりして、(私ヌルボは半分以上自業自得と考えるのですが)どんどんハチャメチャな状況になっていく・・・。「ますます絶望の沼に沈んでいくが、家族に平凡な幸せという奇跡の瞬間は訪れるだろうか?」とオリジナルの映画紹介文は結ばれていますが、ヌルボとしては「訪れない」と思っちゃうんですけどねー。原題は「터치」。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[11月9日(金)~11日(日)] ★★★

         「オオカミ少年」が2週連続1位

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・オオカミ少年(韓国) ・・・・・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・・・・・1,333,826・・・・・・・・3,603,922・・・・・・・・25,389・・・・・・・854
2(6)・・私が殺人犯だ(韓国)・・・・・・・・・・11/08 ・・・・・・・・・・・・・・・568,568・・・・・・・・・・726,795 ・・・・・・・・5,544・・・・・・・547
3(2)・・007 スカイフォール ・・・・・・・・・・・10/26 ・・・・・・・・・・・・・・・222,365・・・・・・・・2,119,973・・・・・・・・15,735・・・・・・・350
4(3)・・光海、王になった男(韓国)・・・・・・9/13・・・・・・・・・・・・・・・・174,700・・・・・・・11,734,859 ・・・・・・・84,967・・・・・・・317
5(新)・・アップサイド・ダウン・・・・・・・・・・11/08・・・・・・・・・・・・・・・・・94,029・・・・・・・・・・126,343・・・・・・・・・・899 ・・・・・・・308
6(新)・・ナウ・イズ・グッド・・・・・・・・・・・・・11/08 ・・・・・・・・・・・・・・・・26,505・・・・・・・・・・・34,752 ・・・・・・・・・・247・・・・・・・144
7(新)・・ジャングル大帝 劇場版(日本)・・11/08・・・・・・・・・・・・・・・25,189・・・・・・・・・・・25,725 ・・・・・・・・・・164・・・・・・・159
8(4)・・容疑者X(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・10/18 ・・・・・・・・・・・・・・・・22,640 ・・・・・・・・1,534,541 ・・・・・・・11,128・・・・・・・192
9(5)・・アルゴ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/31・・・・・・・・・・・・・・・・・14,548・・・・・・・・・・128,422 ・・・・・・・・・・919・・・・・・・121
10(7)・・メリダとおそろしの森・・・・・・・・・・9/27・・・・・・・・・・・・・・・・・・9,711・・・・・・・・・1,222,736 ・・・・・・・・8,969・・・・・・・・58
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今日のニュース(→コチラ)によると、「光海、王になった男」は「ブラザーフッド」(1174万人)も抜いて韓国映画歴代4位に。しかし、この映画も「泥棒たち」同様記録達成のため上映館を無理に確保したあおりを受けて、他の作品の上映枠が狭くなったとかの悪評も聞かれます。この先、さらに歴代3位の「王の男」(1230万人)を抜くまで引っ張るかどうか?
5・6・7位の3作品です。
 5位「アップサイド・ダウン」は、カナダ・フランス合作のSFラブストーリー。主人公の2人アダムとイブが住むのは、重力が異なって上下に隣接する2つの逆さまの世界のそれぞれ。で、SFながら設定はやっぱりロミオとジュリエットのようで、異なった世界に住む2人がひかれ合った時にはたして何が起こるのでしょうか? 予告編の視覚効果だけでもアタマがヘンになりそう。韓国題は「업사이드 다운」。日本公開は未定のようです。
 6位「ナウ・イズ・グッド」は、いわゆる難病物。イギリスで文学新人賞を受賞したYA小説ジェニー・ダウンハム「16歳。死ぬ前にしてみたいこと」(PHP)の映画化作品。少女のみずみずしい感性が胸をうつ、白血病の末期で、余命を宣告されてしまった女の子が「死ぬ前にしてみたいこと」とは・・・? 韓国題は「나우 이즈 굿」。日本公開は未定。
 7位「ジャングル大帝 劇場版」、1997年の作品がどういう経緯で今上映されるのでしょうね? 韓国題は「밀림의 왕자 레오2(密林の王者レオ2)。ハングル表記だと「王者」も「王子」も同じですが。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・タッチ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・11/08 ・・・・・・・・・・・・・・3,522・・・・・・・・・・・・・・・5,624 ・・・・・・・・・40・・・・・・・・・・95
2(1)・・テイク・ディス・ワルツ・・・・・・・・・・・・9/27 ・・・・・・・・・・・・・・2,721 ・・・・・・・・・・・・・53,126 ・・・・・・・・423 ・・・・・・・・・13
3(新)・・リトル・ジェイコブ(韓国)・・・・・・・・11/08・・・・・・・・・・・・・・・2,016・・・・・・・・・・・・・・・2,016 ・・・・・・・・・・8・・・・・・・・・・・9
4(3)・・シュガーマン 奇跡に愛された男・・10/11・・・・・・・・・・・・・1,347・・・・・・・・・・・・・・17,015 ・・・・・・・・120・・・・・・・・・・13
5(2)・・おおかみこどもの雨と雪(日本)・・・・9/13 ・・・・・・・・・・・・・・・・651 ・・・・・・・・・・・・330,345 ・・・・・・2,284・・・・・・・・・・・4

 新登場は1位と3位の2作品。
 1位「タッチ」は上述しました。
 3位「リトル・ジェイコブ」は、韓国最初の3Dキリスト教アニメ。2011年第9回ソウルキリスト教映画祭上映作って、そういう映画祭があるんですね。神様の子どもとしての大切な「自分」を探すジェイコブの冒険物語。ジェイコブは韓国人なのか西洋人なのか、予告編を見ても、わかりません。→コチラのサイト(韓国語)によると、「創造論と進化論の問題について、「"私は神の子」というテーマを物語としてわかりやすく解き明かしたこの映画は、進化的な世界観が唯物論、快楽主義のような現代社会の弊害はもちろん、神から離れる理由を提供することを指摘している」とのことで、この映画の製作を後援した牧師は、自分の退職金と私宅まで投じたとあります。原題は「리틀 제이콥」です。(進化論を否定しているのかな?)
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2012年11月の修能試験(韓国版センター試験)、ちょっと首を傾げた問題も・・・・

2012-11-11 12:12:29 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 11月8日(木)韓国版センター試験ともいうべき修学能力試験(修能)が行われました。
 4Minuteのクォン・ソヒョン、B.A.Pのジョンオプ等のアイドル歌手も受験したことが報じられています。(→コチラ。)

 修能については、以下の本ブログの過去記事でもいろいろ紹介してきました。
・2009年11月15日「11月12日実施 <修能>(センター試験の韓国版)は国家的イベント!」
・2011年1月17日「修能の「日本語」-正解がわからないぞ~」
・2011年11月14日「修学能力試験の「日本語」をやってみました」

 この頃日本のテレビ等でも報道されているように、韓国では日本のセンター試験を上回る一大行事です。交通規制とか、遅れそうな受験生を警察等が受験場に運ぶ等の受験生サービスや、英語の聞き取りテスト中の騒音防止対策等、日本人の常識からみると破格の措置ですが、過去記事で述べたように、昔からの科挙制度の伝統の延長線上で、国家に有用な人材を選抜するという国家的な試験というコンセンサスが公私で共有されているのだと私ヌルボは思っています。

 今回も、コチラのサイトから、その試験問題の中身をちょっと見てみました。

 例年、間違いは許さんぞ、みたいな気持ちで見てしまう「日本語」(→コチラ)は、このところ語学問題といっても日本文化の理解といった性格の問題が出されています。今回は「温泉」についてでしたね。

     
         【「たまごを料理する」というのはちょっと違うような・・・。】

 しかし、この「日本語」の問題には、毎年日本人でも首を傾げる問題が何か1題はあるんですよ。
 今回は明らかに「これはヘンだぞ」という問題はありませんでしたが、日本人でもかなり大勢の人が間違うのでは、と思ったのが次の問題。
    
 「長さ(拍子)が他の4つと異なるものは?」という問題です。
 私ヌルボ、最初は長音がある「人形」「住所」「ニュース」・・・と思ったら、「去年」と「コップ」の2つが余ってしまうではないですか。
 で、問題文中の「拍子」に着目して、リズムを取りながら発音すると、去年は「きょ・ね・ん」、人形は「に・ん・ぎょ・う」、住所は「じゅ・う・しょ」、ニュースは「にゅ・う・す」、コップは「こ・っ・ぷ」で、人形だけ4拍子で他は全部3拍子。で、正解は②人形です。
 言語学者N先生によると、これは「韓国での日本語学習では最初に習う基本事項」なんだそうですが、日本では小学校~高校まで習っていないはず。ハングルサークルの仲間も即正答を出せなかったのもしょうがないな、と思いました。

 「日本語」のその他の問題はまずこんなものでしょうが、けっこうビミョーな問題もありますね。

 他の科目に目を移すと、昨年は例の「独島」に関する問題(もちろん韓国側の見解に立脚した)が出題されて一部で注目されましたが、今回は「国史」の問題で次の問題に目がとまりました。

     

[訳] 
 次の日程表の下線部分の(ㄱ)~(ㄹ)に対する説明として正しいものを下欄の①~⑤から選べ。
  午前 奈良 (ㄱ)法隆寺訪問 
          (ㄴ)曇徴が描いたと伝えられる金堂壁画の復元図鑑賞
          (ㄷ)高松塚古墳観覧
  午後 大阪 (ㄹ)王仁の墓として知られるところを探訪

   ㄱ.(ㄱ)-百済の仏像様式の影響を受けた観音菩薩像がある。
   ㄴ.(ㄴ)-仏経と仏像を持って行き、仏教を初めて伝えた。
   ㄷ.(ㄷ)-水山里古墳の壁画とよく似た壁画が描かれている。
   ㄹ.(ㄹ)-聖徳太子の師となって先進文化を教えた。
 ①ㄱ, ㄴ ②ㄱ, ㄷ ③ㄴ, ㄷ ④ㄴ, ㄹ ⑤ㄷ, ㄹ


 正解は(←範囲指定すると現れる)で一応問題はありません。法隆寺にはたしかに百済観音があります。水山里古墳は日本人には知られていませんが、この文も正しいです。
 しかし、「曇徴が描いたと伝えられる金堂壁画」という部分は日本人にとっては「ウッソー!」です。日本史の教科書には、曇徴は「推古朝に高句麗から来日して紙・墨・彩色の法を伝えた」とありますが、「法隆寺金堂の壁画云々」の記述はありません。日本ウィキの「曇徴」の項目には、「近年韓国では、法隆寺金堂壁画は曇徴の手によるものと主張されることがあり、国定の歴史教科書にも記述されている。しかし、それを支持する史料は一切なく(また現在の法隆寺は7世紀後半に再建されたものである)、空想の域を出るものではない」と書かれています。
 韓国でなぜこのように教えられているのか、よくわかりません。韓国サイトを見ると、ごく一部を除いてほとんどが韓国の教科書をそのまま信じているものばかり。法隆寺を訪れる韓国人観光客もそうした「予備知識」を持って期待感を抱いて来るので、実際に来てからとまどったりしているようです。

※「朝鮮新報」(日本語)にも「法隆寺金堂壁画描いた曇徴」(→コチラ)と題された、まったく疑いを入れない見出しの通りの記事がありました。

 修能のその他の科目も一通り見てみたい気持ちもありますが、時間がかかりそう・・・。
コメント (4)
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浅見雅一・安廷苑「韓国とキリスト教」を読む ~歴史と現在、特色や問題点等を概観~

2012-11-09 23:37:39 | 韓国・朝鮮に関係のある本
         

 韓国の宗教については、日本人の目から見ると、共通点もいろいろありますが、驚いたり疑問に思ったりすることもいろいろあります。
 とくにキリスト教に関することは、「なぜ信者が多いのか?」をはじめ、私ヌルボも質問されたことがしばしばあります。しかし、韓国オタクではあっても専門的研究者でもなくクリスチャンでもないので、自信をもって答えられないことの方がずっと多いです。
 また、自分自身でも、韓国のキリスト教については知りたいことがたくさんあります。
 以下、いろんな疑問を列挙してみました。(内容的に、重なっているものが多いですが・・・。)

 ※カトリックのことは韓国では天主教(천주교.チョンジュギョ)、プロテスタントは改新教(개신교.ケシンギョ)または基督教(기뎍교.キドッキョ)といいます。

Q1.なぜあんなにネオンの十字架が多いのか?
 韓国を初めて訪れ、とくに夜の街を見渡した人がすぐ気づき、発する質問がこれですね。見通しの効く場所から眺めると、赤く輝く十字架が数十も数えられるほど。
 ※<ソウルナビ>にも「ソウルの夜空に浮かぶ赤い十字架」と題した記事がありました。

Q2.なぜキリスト教信者が多いのか?
 日本のキリスト教人口は、総人口の約1%。それに対して、韓国ではキリスト教人口が総人口の30%に達しているそうです。

Q3.なぜニューカマーの韓国人は教会に通っている人が多いのか?
 これは私ヌルボ自身がこれまで接した中での実感。横浜在住という地域性も多少は関係あるかな?

Q4.なぜ海外布教に出るキリスト教組織が多いのか?
 本ブログの過去記事に書いたように、韓国語を話している人たちが大勢(10数人?)いるな、と思ってつい声をかけたら、オンヌリ教会とかサミル教会の人たちでした。
 ウィキペディアの<韓国のキリスト教>の説明によると、やはり「海外に対する宣教活動が活発なことも韓国キリスト教の特徴で、2000年にはプロテスタントだけでも10,646人の宣教師156ヵ国で活動していて、この数字はアメリカについで世界2位なのだそうです。海外布教といえば、2007年7月にセンムル教会の男女23人がアフガニスタンで短期宣教中にタリバンに拘束され、牧師と一般信徒各1人(ともに男性)が殺害されたことがありました。どうも危険な所、生活等が困難な所に行くケースもかなり多いようです。

Q5.(Q4と関連しますが)海外布教の牧師を描いたキリスト教関係のドキュメンタリー映画がしばしば一般公開されていますが、その舞台も危険な所、困難な所が多いのはなぜ?
 たとえば・・・、
 ①「なくな、トンズ」・・・トンズとはスーダンの小さな町の名。内乱が長く続く中、貧困や病に苦しむ人々の中で、「トンズの父であり、医者であり、教師であり、指揮者であり、建築家であった」というイ・テソク神父。48歳という短い生涯を終えた献身的な彼の人生を描いたドキュメンタリー映画。
  ※韓国人(キム・テイさん)の感激ぶり(→コチラ)と、日本人男性2人の冷静な感想(→コチラ)は対照的。
 ②「召命」・・・アマゾン川流域に住む少数民族バナワ部族の中で暮らす韓国人宣教師夫婦の日常。ネズミや亀の肉(地元では贅沢品)を食べられなくて往生する話とか・・・。
 ③「召命2:モーケン族のワールド・カップ」・・・タイの沖合に浮かぶ小さな島を舞台に、そこで暮らす海洋民族モーケン族の村で、教師や医者としての活動もしている韓国人宣教師カン・ソンミンさんの生活。若い頃サッカー選手を志したという彼は、タイの少年サッカー全国大会に向けて、村の子供たちの指導もしている・・・。
  ※やや辛口の対話式映画評は→コチラ
 ④「召命3:ヒマラヤのシュヴァイツァー」・・・ヒマラヤの奥地生活30年の、78歳の医療宣教師カン・ウォンヒ宣教師夫婦を描いたドキュメンタリー。

Q6.所属信者が約75万人以上(!)という汝矣島(ヨイド)純福音協会という大型教会(メガ・チャーチ)はどんな経緯で成長したのだろう?

Q7.著名な牧師等が社会的政治的に広く影響力を持つこのと意味(背景等)は?
 1989年平壌を訪問して注目され、ソウルに戻って5回目の獄中生活を送った統一運動の推進者・文益煥(1918~94)牧師。あるいは、民主化と人権の伸張のために献身し、2009年2月亡くなった時には多くの韓国民に大きな衝撃を及ぼした金寿煥枢機卿(1922~2009)等については、マスコミでも大きく取り上げられてきました。

Q8.近世後期~近代初頭の、キリスト教に対する日韓の違いは?  
 江戸後期、日本では蘭学が発達していった頃、韓国では中国(清)に行ってきた実学者の中から西洋の学問・知識とともにキリスト教も受容した人たちがいて、その後弾圧を受けた。彼らにわりと寛大だった正祖(イサン)も、弾圧に乗り出さざるをえなくなったとか。
 ・・・つまり、かなり日本とはようすが違うぞ。

Q9.さらに歴史をさかのぼって、朝鮮へのキリスト教伝来の歴史は?

Q10.現在相当数のキリスト教組織が脱北者支援に関わっているということは、どんな宗教的・歴史的・政治的背景があるのでしょうか?
 本ブログ今年7月8日の記事でとりあげた黄晳暎(ファン・ソギョン)の小説「客人(ソンニム)」>に記されていたように、1880年代、朝鮮で最初にキリスト教(プロテスタント=改新教)の教会が建てられ、布教が進められた地が現北朝鮮の黄海側に位置する黄海道ですが、そんなこととも何か関係があるのかな?
  ※先ごろ死亡した文鮮明世界基督教統一神霊協会教祖は黄海道の北の平安道定州出身でしたね。

 ・・・ことほどさように、キリスト教をめぐる状況は日韓の間に大きな差異がありますが、たとえば上記のようなふつうの日本人が抱く疑問に7割ほどは答えてくれる本が今年(2012年)7月刊行の浅見雅一・安廷苑「韓国とキリスト教」(中公新書)です。

 先に掲げたQ1~10すべてを解明してくれているわけではありませんが、韓国のキリスト教についてさまざまな角度から叙述し説明している本です。以下、要点をかいつまんで紹介します。

 まず、韓国でのキリスト教徒の多さと、その理由について。 
 日本のキリスト教徒は、新旧諸教派合わせても1%弱であるのに対し、韓国は29.2%で、仏教(22.8%)を凌いで人口比1位。(2005年調査。)  宗教人口(全人口の53.1%)では、仏教43%、プロテスタント(34.5%)、カトリック(20.6%)で、新旧両教を合わせると55.1%にもなります。
 では、キリスト教が国家的宗教になり得た原因はどこにあるのか?
 本書では、以下の4点に集約しています。
1.韓国の原信仰が一神教的要素を持っていたので、一神教であるキリスト教を受容する下地となった。
 ※本書では、「韓国の創世神話に出てくる桓因(ファニン)=ハナニム(하나임)は「唯一のお方」の意」と説明しています。「ハナ(하나)」は「一」の意です。しかし、韓国語で神を意味する語はハヌニム(하느님)で、これは「ハヌル(하늘)」=「天」に由来する言葉です。韓国のキリスト教会が神をハヌニムでなくハナニムとよぶようにしたわけで、本書の論理は転倒しているように私ヌルボは思いました。
2.朝鮮王朝の朱子学の理気二元論には、キリスト教の世界観に類似する点があった。
3.儒教の倫理を重視する姿勢が、キリスト教の倫理への接近を容易にした。
4.植民地時代にキリスト教が抗日独立運動の精神的支柱となっていた。

 さらに、韓国特有のシャーマニズムや一種の現世利益的な思想が横たわっているとも。
 また外部的な要因として、アメリカの影響もあげられています。朝鮮戦争の時に、アメリカに助けてもらったという意識と、アメリカに対する憧れから親米思想が生まれた。

 また、選民思想が韓国の人々を捉えたという論はヌルボとしてはありうると思いました。本来はイスラエルの民が神から選ばれたとする選民思想ですが、日本による植民地支配などの民族的苦難を、韓国人はイスラエル的選民思想と重ね合わせて、神は韓国人を自らの民としてお選びくださった、というものです。
 他にも、韓国のキリスト教が祖先崇拝をうまく取り入れたこと、キリスト教に似ている東学(天道教)の存在などが挙げられています。

コチラのブログ管理者さんは、韓国でイエズス会の神父から聞いた話として、社会全体の不安定さが信者の増加の根本的な理由としています。日本軍の占領、朝鮮戦争、軍事独裁政権などによって国内のすべての秩序が崩壊していく中で、人々がキリスト教に心の拠り所を求めたとのこと。
 李承晩を始め抗日運動を推進したプロテスタント信徒たちがそのまま戦後のリーダーになったことから、プロテスタント教会は軍事政権に対し寛容な立場を取ったのに対して、カトリックは日本の植民地支配における神社参拝問題に妥協的であったことから戦後支持を失ったが、60年代末から政治の民主化を求める運動に深く関わっていくようになる。警官隊に追われた学生を明洞大聖堂に匿った金寿煥枢機卿に象徴されるように、カトリック教会はこの民主化運動の中で人々の信頼を得ていったという。

 韓国で、キリスト教信者の増加が目立つのは、戦後の経済成長期に入ってからだそうです。
 第2次世界大戦直後10万人ほどに過ぎなかった韓国のプロテスタント信者は、1950年代には100万人を上回り、以後年平均25ポイントもの成長率を15年に渡って維持して一気に教勢が拡大しました。
 それを主導したプロテスタントのメガ・チャーチは現世利益を前面に出していて、アメリカの一部のメガ・チャーチに近いとのことです。

 日本へのキリスト教伝来はもちろんザビエル。1549年鹿児島に来航しました。朝鮮半島のキリスト教は1784年に李承薫が北京で受洗した年を起源としています。
 しかし一方、1593年豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄の役)の際に、イエズス会の宣教師セスペデスが、日本から朝鮮半島に渡ったという史実があります。ところがキリスト教が日本の侵略戦争に乗じて伝播したとは韓国教会にとっては心情的に受け入れがたいようで、李元淳ソウル大学名誉教授は、「その後朝鮮社会にも根づいていないし、証拠とされる資料はすべて伝聞によって作成されたもので、これを起源とすることはできない」としています。
 ※関連で、ジュリアおたあの物語は興味深い。(→ウィキの説明。)
 ※→コチラのブログでは、「証言」の信頼性や「資料の有無」等について、従軍慰安婦問題との間のダブルスタンダードを批判しています。「信頼できる資料がない」と否定するのなら、慰安婦問題も否定されるべきだ、との主張ですが、ヌルボが思うに、ダブルスタンダードはどっちもどっち。

 以上、とくに韓国でのキリスト教信者が多い理由を中心に、本書の一部を紹介しました。それでも、まだ十分納得するには至りません。
 しかし、これまで韓国のキリスト教事情について幅広く多様な観点から概観したコンパクトな本がなかっただけに、本書が刊行された意義は大きいと思います。
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あの鄭泳文さんが文学賞三冠王 ②唯一翻訳されている短編を読んでみる

2012-11-07 23:53:54 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 私ヌルボ、高2の頃授業中の半分は寝ていました。聞いていた授業は倫理社会だけ。残りの起きていた時間に「カラマーゾフの兄弟」を読破しました。さすがに受験を前にした高3では居眠りはやめましたが、授業はやはり現代国語しか聞かず。中村光夫の「風俗小説論」や平野謙の評論等をネタ本に私小説論を展開してくれたのがおもしろくて・・・。他の授業中は必死で内職。そして読んだ小説がサルトルの「嘔吐」
 ボリュームでいえば「カラマーゾフの兄弟」>「嘔吐」ですが、難解さでいえば「嘔吐」>「カラマーゾフの兄弟」です。
 あ、難解さと、つまらなさと、名作度はそれぞれ別の尺度ですね。「カラマーゾフの兄弟」は難解でも、おもしろかった。そして名作、いや傑作、大傑作。
 一方「嘔吐」は難解で、しかもタイクツでした。(でも授業よりはるかにマシ。) この作品を読み終えたことは、私ヌルボにとって青春の勲章というか若気の至りというか・・・。その頃に比べると、脳力・体力・忍耐力の衰えは無残なものです。

 そして大学に進学した頃は、実存主義に加えて、さらにワケのわからんヌーヴォー・ロマンとかアンチ・ロマンとかいう文学が話題になったりしていました。
 「「私は」や「彼は」じゃなくて、「あなたは」なんて二人称で語られているんだぜ」とか、「物語性が排除されているんだ」のような「???」といった刺戟的な(?)ウワサを聞いて、学生ヌルボもビュトールだかロブ・グリエの本を書店でちょいとめくってみました。で、感想は、「自分には、合わない」。同じ頃ベケットの「ゴドーを待ちながら」は「ベケット戯曲全集」だったかでフツーに読みましたが、やはり拒否感まではいかないもののピンと来ず。
 概してジャンルを問わず雑多な本を読むヌルボではありますが、上記のようなヌーヴォー・ロマンっぽい雰囲気のあるもの(金井美恵子とか・・・)は以後もずっと敬遠してきました。

 ところが、鄭泳文さんにとってはベケットは特別な存在のようですね。
 「朝鮮日報」のインタビューで、「あなたに世界を眺める新たなレンズを与えた最初の作家は?」と問われて次のように答えています。

 ベケット。ふつうは彼の代表作の戯曲「ゴドーを待ちながら」を思い浮かべるが、彼の核心であり本領は小説である。 언어를 통해 사유의 극단까지 밀어붙인 글쓰기.言語を通じて事由の極限までつきつめた書き方。特に彼の末期の作品は無数の単語と文章で構成されているが、何の意味も発生しない。その作品を通じてベケットが語ろうとしたのは生の究極的な無意味だった。"

 ソウル大卒業後フランスに留学に行った鄭泳文さんは、「適性に合わないような勉強は喜んで断念」して1年近く図書館で小説を読んで時間を過ごしましたが、前衛的な小説家たちの作品をたくさん読んだ中で最も魅了された作家がやはりベケットだったそうです。「彼の文体をまねて文章を書き始めたし、彼からユーモアを学んだ」と語っています。

 毎度の長すぎる前置きはここまでにして、彼の作品を読んでみます。・・・といっても、日本語に訳されているのは安宇植(編訳)「いま、私たちの隣に誰がいるのか」(作品社)という韓国作家の短編集に納められている「微笑」「蝸牛」の短編2作のみです。(タイトル中の「唯一」は誤りですね。)

 まず、「微笑」について。この作品紹介は簡単に書けそう。
 刑務所を出所した男が歩き、バスに乗り、市場に行き、猿を使いながら薬を売る商人の商売にたまたま関わり、自殺を企てて夜の道に寝そべってトラックに轢かれる直前までを淡々とした一人称で叙述した作品。

 このテの小説の主人公は、概して無気力なんだな。三島賞作家の中原昌也もそうなの? 読んでないけど・・・。わざわざ轢かれやすそうな路上に横になるんだねー・・・。車に轢かれる短編だったら、筒井康隆の「お助け」が圧倒的におもしろいし、ヌルボには合ってます。

 2つ目の「蝸牛」は、雨の日の午後、男がうたた寝をして、木の幹を這い上がってゆく蝸牛の夢を見る、その男の独白です。
 本文を少し紹介します。

 なおも蝸牛は、木とぼくの意識の木目に沿って移動していた。ぼくはやつがいることになる場所、いやいまはまだ不在だがそれが存在することになる場所、すなわちやつ自身の存在に、その不可能なパラドックスに近づきつつあるということを、それからやつの存在が一個の消失の場をなしているこということを、労せずして知ることができた。自分が出発したそれが自分に迫っていこうとするけれど、飽くまでも到達することのできない、その間隔の無限の隣接性の困惑から、ぼくはぼくたちの同一の苦痛を感じた。

 目覚めた彼は、窓の外に木の幹を這い上がってゆく蝸牛を見る。・・・ふーむ、ちょっとあの「胡蝶の夢」を連想しました。のろい蝸牛の動きをさらに微分的に叙述した、わずか日本語で4000字ほどの短編ながら、密度の濃い作品です。われながら、意外に好感を持って読み終えました。しかし、この文体で長編となると、到底無理。

 ところで、韓国で今なんでこの種の小説が書かれ、また文学賞を受賞するほど注目されるのでしょうね?
 日本ではこの数十年(?)忘れられているようなタイプの文学ではないでしょうか? 他の文化ジャンル(音楽・映画等)と同様に、90年代以降一度に「なんでもあり!」状況になった中でひょいと出てきたのか・・・。
 ・・・などと考えつつ、いくつか関係ありそうなブログを見ていたら、<哲学するサラリーマン>というブログの「ヌーヴォー・ロマン、ベストテン」という記事の中に次のような記述がありました。

 誕生から半世紀以上が経過して、時代はようやくヌーヴォー・ロマンの描いた世界に追いついたと言えるだろう。以前のような単なる知的流行としてではなく、現代を先取りした作品として、ヌーヴォー・ロマンはもっと注目されるべきだ。

 なるほどねー。以前本ブログで、柴崎友香とか江國香織とかの作品が「ストーリー性が排除されていておもしろくない」と書きました(→コチラ)が、そういうこととも関係があるんでしょうかねー・・・。

 しかし、ヌルボ思うに、韓国でもそのうち「物語の復権」なんてことが言われるようになるのでは?
もしかして、すでに言われているかも、と思ってハングルで検索してみたら、「復権」が「福券(宝くじ)」と同じ(복권)だもんで、わけがわからなくなってしまった(笑)。

 元に戻って、鄭泳文さんの文学賞3賞受賞作「ある作為」の内容も少し紹介するつもりでしたが、出版元の<文学と知性社>のサイト中の紹介記事(→コチラ)及びその自動翻訳(→コチラ)とリンクを張るにとどめておきます。もう十分アタマを使いすぎたので。

 と言いつつ、ついでにもう1つ。
 <innolife>の通販の本(韓国書)のリスト中に、彼の小説「月に魅せられた役者(クァンデ.広大)」がありました。その内容紹介文をそのまま載せます。

 チョン・ヨンムンの「月に魅せられた役者」は我々に錬金術の恍惚の境を経験させる小説だ。「月に魅せられた役者」はただ、絶え間無く、つぶやく。そうやってつぶやくだけなのに、このつぶやきを聞いたら、ある一瞬にして現存在の担った真理は非本来的な価値として転換し、現存在の真理に向けた実践は騷音と騷乱に伝導される。そして代わりに'月に魅せられた役者'のような現存在から捨てられたものなどと沈黙を強要されたものなどが、刹那的に事由の中心に浮び上がる。
 しかしその光と光のもたらす驚異はただちに消え、その驚異の去った場所は不安と倦怠と冷笑に満たされる。「月に魅せられた役者」はこのように何ら化学的変化もなしに光が闇で、闇が光で転化する魔法でいっぱいの小説だが、こういう部分から我々は真の意味の解体小説に出会うこととなった。


 この文章だけでも疲れるなー・・・、ふー。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[11月2日(金)~4日(日)]

2012-11-06 23:48:11 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 今日は雨の中、ポレポレ東中野まで足を運んで「三池 終わらない炭鉱(やま)の物語」を観に行きました。着いたところで、この映画は(昨日も行った)近所のシネマ・ジャック&ベティでも17日から上映することに気づき、ホゾを嚙みかけましたが、終了後に熊谷博子監督とポレポレ東中野のオーナーでもある写真家・映画監督の本橋成一さんとの中身の濃い対談が聞けた上、その後はお2人及び観客有志10数人との茶話会にまでノコノコ出席したりして、大収穫の映画鑑賞でした。茶話会の場で、私ヌルボが熊谷監督に、この映画のエンドクレジットに「企画 大牟田市・大牟田市石炭産業科学館」とあったが、とくに内容に注文がつけられることはなかったかお伺いしたところ、担当の市の職員の方が関係方面への説得・折衝等にすごく奮闘してくださったとか。第二組合の人の証言も入っているのはその人の意向だったとも。三井との関係等で困難なことも多多ある中、お役人の中にも気骨のある方がいらっしゃいます。(黒澤明監督「生きる」をちょっと連想。)
 本橋さんは対談の中で、1968年作品「炭鉱(ヤマ)」で太陽賞を受賞したが、その前に「上野英信さんの筑豊文庫に飛び込んだのが運のつき(笑)」と語っていました。上野さんから「おまえはどこから撮っていくんだ?」と問われたとか。自身の立脚点、視点を自覚的に確立すること、と私ヌルボは解しました。お二人の対談や茶話会でも出ていたのが炭鉱問題(とくに死者458名を出した1963年三川炭鉱爆発事故問題)と原発問題との共通性。財界・政界・司法・学界の強固な結びつきは半世紀経った今もあいかわらずです。

 上記シネマ・ジャックで昨晩観たのはドキュメンタリー「情熱のピアニズム」。フランスの天才ジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニを名前だけ、あるいはCDだけでしか知らなかった人(ヌルボは後者)は、最初のシーンで驚愕! こういう身体を持った人だったのか、と・・・。(→参考動画)
 しかし彼は「ぼくは他の人にはなりたくない。違うからすばらしい」と人生に対してすごく前向き。「人生を150%生きてきたからね」とも。そして36歳で世を去ります。ふつうの人だと54歳分? いや、50%ほどの密度でのんべんだらりと生きているヌルボの場合は100歳長生きしても内容的に負けてますね、あきらかに。

 「ハンギョレ(日本語版)」の10月31日の記事によれば、8日開幕の光州国際映画祭で中国と北朝鮮の初の合作映画「平壌での約束(평양에서의 약속)」(原題:アリラン)が特別上映されるそうです。中国人女性舞踊家が北朝鮮を旅行して、北朝鮮の舞踊家らと友情を育む内容とのことです。しかし統一部は、北朝鮮でのアリラン公演シーンが7分間あり、そこで北の体制を称賛するスローガンが見えるという理由からこの作品を特殊資料に分類して、鑑賞希望者は身元確認手順を踏んで「秘票」を受け取らなければならないとしているとか。最近釜山国際映画祭で上映された北朝鮮・イギリス・ベルギー合作の「」の場合は一般資料として承認されたためとくに制限等もなかった。しかし映画界の一部では、国際映画祭出品作を冷戦時代の定規で判断することを疑問視する声も出ているようです。
 こういう時代になったのだから、韓国政府も自信を持って北の文化を受け入れ、また南の文化を北にどんどん流すようにした方が自国の宣伝にもなると思うんですけどねー。

          ★★★ Daumの人気順位(11月6日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①Mac Korea(韓国)  9.8(89)
②悪い血(韓国)  9.5(34)
③シュガーマン 奇跡に愛された男  9.5(64)
④MBの思い出(韓国)  9.4(461)
⑤ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!  9.2(21)
⑥ヤコブへの手紙  9.2(30)
⑦バービー(韓国)  9.1(24)
⑧おおかみこどもの雨と雪(日本)  9.1(241)
⑨オオカミ少年(韓国)  8.9(1202)
⑩ピエタ(韓国)  8.8(1541)

 ②⑤⑨の3作品が新登場。
 ②「悪い血」は韓国製犯罪映画。交換学生としてスペインへの出国を待つ女子学生(ユンジュ)は、病気で死期の迫っている母から衝撃的な事実を聞く。死んだと思っていた父が生きているというのだ。そしてなんと、自分は彼の強姦により生まれたのだと・・・。彼女はその父なる男を直接殺す計画を立て、嘘をついて彼との危ない同棲を始める。キャッチコピーは「私の体の中にお前の血が流れるんだなんて汚らわしい」。うーん、これはヤバいぞ。(設定自体もヤバいように思います。強姦により生まれた子をこういう見方で見ていいのか?) 原題は「나쁜 피」です。
 ⑤「ファースト・ポジション」は、プロを目指して世界最高峰のバレエ・コンクールであるユース・アメリカ・グランプリに挑む6人の子どもたちを追ったドキュメンタリー。世界中から毎年5000人を超える応募があり、各地での予選後、ニューヨークで行われる最終選考に残るのは200~300人。そこからさらにファイナルステージですからねー。韓国題は「퍼스트 포지션」。日本では12月1日公開。
 ⑨「オオカミ少年」は後述します。

【専門家による順位】

①007 スカイフォール  8.3(6)
②おおかみこどもの雨と雪(日本)  8.1(6)
③Keep the Lights On  8.0(1)
④ミッドナイト・イン・パリ  7.8(7)
⑤少年は残酷な弓を射る  7.7(7)
⑥シュガーマン 奇跡に愛された男  7.7(4)
⑦二つの扉(韓国)  7.6(6)
⑧テイク・ディス・ワルツ  7.5(6)
⑨メゾン ある娼館の記憶  7.5(2)
⑨バービー(韓国)  7.5(2)

 新登場は③「Keep the Lights On」だけです。90年代ニューヨーク。映画作家と弁護士の男性2人の10年に渡る愛を描く。つまりゲイ同士のラブ・ストーリー。今年のベルリン国際映画祭でテディ賞(セクシュアルマイノリティを描いた作品中の最優秀賞)受賞作。韓国題は「라잇 온 미」。日本公開は未定のようです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[11月2日(金)~4日(日)] ★★★

         「オオカミ少年」が1位

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(32)・・オオカミ少年(韓国) ・・・・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・・・・・1,030,259・・・・・・・・1,294,453・・・・・・・・・9,283・・・・・・・706
2(1)・・007 スカイフォール ・・・・・・・・・・・10/26 ・・・・・・・・・・・・・・・458,991・・・・・・・・1,694,338・・・・・・・・12,667・・・・・・・581
3(2)・・光海、王になった男(韓国)・・・・・・9/13 ・・・・・・・・・・・・・・・272,725 ・・・・・・・11,418,829 ・・・・・・・82,752・・・・・・・404
4(3)・・容疑者X(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・10/18 ・・・・・・・・・・・・・・・108,246 ・・・・・・・・1,462,104 ・・・・・・・10,625・・・・・・・316
5(17)・・アルゴ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/31・・・・・・・・・・・・・・・・・56,645 ・・・・・・・・・・・79,987 ・・・・・・・・・・581・・・・・・・238
6(27)・・私が殺人犯だ(韓国)・・・・・・・・・11/08 ・・・・・・・・・・・・・・・・49,809 ・・・・・・・・・・・59,519 ・・・・・・・・・・460・・・・・・・214
7(5)・・メリダとおそろしの森・・・・・・・・・・・9/27・・・・・・・・・・・・・・・・・23,145・・・・・・・・・1,211,558 ・・・・・・・・8,896・・・・・・・106
8(4)・・鋼鉄デオ:救国の岡持ち(韓国)・・10/25 ・・・・・・・・・・・・・・・21,287 ・・・・・・・・・・215,887 ・・・・・・・・1,498・・・・・・・195
9(36)・・桃の木(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・10/31・・・・・・・・・・・・・・・・13,980 ・・・・・・・・・・・24,048・・・・・・・・・・・172・・・・・・・201
10(新)・・野蛮なやつら・・・・・・・・・・・・・・・10/31・・・・・・・・・・・・・・・・・8,340 ・・・・・・・・・・・13,278 ・・・・・・・・・・・・96・・・・・・・171
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「光海、王になった男」は「シルミド」(1108万人)と「TSUNAMI -ツナミ-」(1132万人)を抜いて韓国映画歴代5位に上がりました。4位「ブラザーフッド」(1174万人)にとどくかな? 今回の新登場は、1・5・6・9・10位の4作品です。
 1位「オオカミ少年」は、オオカミ少年(ソン・ジュンギ)と、世の中に心を閉ざした少女(パク・ボヨン)の恋物語。療養のため家族と静かな村に引っ越した少女は、闇の中に潜む謎のオオカミ少年を見つける。野生の目つきをした少年がなぜか気になる彼女は、食べる時の行儀や服の着方、読み書き等を一つずつ教えてやる。生まれて初めて自分に手を差し伸べる少女に切ない感情が芽生える少年だが、やがて予期せぬ危機の中で少年の危険な本性が現れて・・・。「一言も発することなく感情を表現しなければならなかったソン・ジュンギ、相手の行動と視線だけで感情を理解しなければならなかったパク・ボヨン」といったあたりが見どころのようです。原題は「늑대소년」。
 5位「アルゴ」は、日本でも10月26日公開。韓国題は「아르고」です。
 6位「私が殺人犯だ」は、韓国製アクション・スリラー。時効後に姿を現した連続殺人犯と、彼を追い続けてきた刑事、犠牲者の家族が繰り広げる対決を描く。15年前世の中を騒がせた連続殺人事件は、結局犯人をつかめないまま時効に。ところが2年後、「私が殺人犯だ」という自叙伝を出した男(パク・シフ)が出現。それも美男子で話術も巧み。かつての担当刑事(チョン・ジェヨン)は何とか彼を捕まえようと、未知の最後の未解決失踪事件を追う・・・。「練り上げられた脚本と個性的な演出、ブラックコメディーの要素も盛り込まれた緊迫感あふれるアクションシーンや結末を予想できないストーリー展開」と宣伝文句にはあります。原題は「내가 살인범이다」です。
 9位「桃の木」は、女優ク・ヘソンの監督としての長編第2作。
父の世話の下、外の世界を知らないまま30年を暗い家の中で生きてきた双子の兄弟。従順な性格のサンヒョン(チョ・スンウ)とは違って、隠れて過ごす生活が不満なドンヒョン(リュ・ドックァン)は、こっそり本を読み文章を書く練習をして小説家を夢見ている。父はこんなドンヒョンに、偶然知り合ったを夢見て遊園地で似顔絵を描くイラストレーター志望のスンア(ナム•サンミ)に息子と一緒に本を作ってくれることを頼む・・・。ク・ヘソンは自ら「好き嫌いが分かれる映画だと思います」と語っています(→コチラ)
が、<DAUM映画>のネチズンの感想(→コチラ)もたしかにそのようです。「映像はキレイ」と言ってる人は多いですけどねー。原題は「복숭아나무」。
 10位、「野蛮なやつら」は、オリヴァー・ストーン監督によるクライム・サスペンス。日本でもでたくさん翻訳書が出ているドン・ウィンズロウの「野蛮なやつら」(角川文庫)の映画化。アマゾンの読者評によると「麻薬、抗争、恋愛、友情というテーマは金太郎飴のごとくで、これまでウィンズロウを読んできた者には、ストーリーも意外性はないのだけれど、ついつい読まされてしまう」とのこと。原題は「Savages」で、韓国題は「파괴자들(破壊者たち)」。日本公開は未定。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・テイク・ディス・ワルツ ・・・・・・・・・・9/27 ・・・・・・・・・・・・・・・・2,288 ・・・・・・・・・・・・・48,406 ・・・・・・・・386 ・・・・・・・・・14
2(2)・・おおかみこどもの雨と雪(日本)・・9/13 ・・・・・・・・・・・・・・・・1,811 ・・・・・・・・・・・・329,218 ・・・・・・2,276・・・・・・・・・・10
3(4)・・シュガーマン 奇跡に愛された男・・10/11・・・・・・・・・・・・・1,529・・・・・・・・・・・・・・14,710 ・・・・・・・・103・・・・・・・・・・15
4(新)・・ウェストサイド物語・・・・・・・・・1999/5/29・・・・・・・・・・・・・・1,276・・・・・・・・・・・・・・・1,297 ・・・・・・・・・・2・・・・・・・・・・・1
5(4)・・愛の沈黙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/11・・・・・・・・・・・・・・・・・・880・・・・・・・・・・・・・・16,400 ・・・・・・・・110・・・・・・・・・・13

 新登場は4位「ウェストサイド物語」だけ、といってもおなじみの過去の名作の再上映なので説明略。1999/5/29という公開年月日はネタ元のKOFICそのままなのですが、実際はもっと昔。しかし、何年にどんな形(削除の有無とか)かは未確認です。韓国題は「웨스트 사이드 스토리」。
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あの鄭泳文さんが文学賞三冠王 ①ストーリー性を拒絶する作家

2012-11-05 19:17:46 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 「あの」鄭泳文さん、と書きましたが、私ヌルボがたまたま知っている人なので、決して日本人の間での知名度が高い人ではありません。全国で数百人くらい? 千人はいるかな? 

 先日「朝鮮日報」のサイトをなんとなく見ていたら、10月31日のコラム「萬物相」の「文学賞三冠王(문학상 3관왕)」というタイトルに目がとまりました。読んでみると、チョン・ヨンムン(정영문)という作家が「ある作為の世界(어떤 작위의 세계)」という作品で今年1月に韓戊淑(한무숙.ハン・ムスク)文学賞、9月に東仁(동인.トンイン)文学賞、そして10月には大山(대산.テサン)文学賞と、1年に3つの文学賞を受賞したとのこと。
 (たぶん)日本では注目されそうにない記事だから、「朝鮮日報日本語版」にはこの記事は載ってないですね、やっぱり。

 私ヌルボ、すぐにはわからなかったものの、この名前はなんか覚えがあるぞ、とぼんやりした記憶をたどると、そういえば本ブログの昨年10月の記事「下北沢で申京淑さんの話を聞く(1)」で彼すなわち鄭泳文さんのことを書いてましたね~(笑)。申京淑さんの前に、むつかしげな自らの小説論(メタ小説論?)を話された作家ではないですか。まー、[慶]この度はおめでとうございます![祝]
 先の記事でも記したように、その時は冒頭から起承転結をもった物語を強く否定し、「何も起こらない」ことや「メッセージの不在」を強調。メッセージの有無よりも「小説の形式そのものについての実験に関心があり、行為そのものよりも意識の動き、内面を重要視している」と語っていました。
 いろんな場で「ベケットから強い影響を受けた」と明かしていますが、この時も「彼の最後の頃の三幕劇から大きな示唆を得た」と言ってましたね。

 過去記事を読み直すと、講演後、個人的に「80年代までの韓国文学の伝統を意識しないのか、それとも意識的に否定しようとしているのか」と質問して、「後者」とのお答えをいただいてました。(うーむ、自分のこととは思えん・・・。)

        
   【実は質問の後、いつものなぐり書きメモノートにサインをいただいたのです。만나게 되어 반갑고 늘 건강하세요 정영문(お目にかかってうれしいです。ずっとお元気で 鄭泳文)←もっと破格の方が彼らしいんだけどな。】

 昨年10月19日の下北沢で開かれたその「韓国作家と集う夕べ」の翌日には、彼は韓国文化院でやはり申京淑さんとともに「韓国文学への誘い」と題した催しでステージに立ちました。
 「東洋経済日報」に、その時の詳しい報告記事があります。(→コチラ。) 写真付き。身長185㎝で体重62㎏と、韓国人作家中きっての長身で、痩躯です。

 さて、この文学賞三冠王の記事は「ハンギョレ」にも載っていました。それによると3賞の賞金を合わせると1億1千万ウォンとか。「萬物相」の記事には「13年前東西文学賞を受賞した後、今まで小説12冊を出したが合わせて2万部が売れただけ」だったそうで、それが今回一挙に「テ~バク(대박)!」と相成ったわけで、めでたいはずなのに、写真を見るとあんまりうれしそうでもないのが彼らしいところか? 
 「朝鮮日報」10月17日のインタビュー記事(→コチラ)
によると、借金の返済や家賃の足しにするほかは、好きな先輩後輩作家たちにご馳走と酒をおごってあげて、今まで必死に文を書いてきたので、一息ついて、どこかへ行ってちょっと休んで、健康を回復するつもりとのことです。

 そんな下世話なことはおいといて、難解といえども彼の小説世界にほんの少しでも触れてみよう、という私ヌルボのほとんど無謀ともいうべき試みは続きの記事で・・・。(って、ホントかなー?)
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韓国のベストセラー漫画(2012年11月) [教保文庫の1~20位]

2012-11-04 17:49:02 | 韓国の漫画
 前回、韓国のベストセラー漫画についての記事を載せたのがいつだったか見てみたら、2011年8月。<デジタル漫画奎章閣>のサイト中にあるランキングをそのまま「韓国漫画編」「外国漫画編」(※すべて日本漫画)
に分けて紹介しました。

 それからもう1年以上も経ってしまったんですね。・・・ということで、久しぶりに最新情報をお知らせします。
 しかし、前の記事に記したように、<デジタル漫画奎章閣>のランクは何に基づいているかがよくわからず、大手ネット書店の<YES24>のランキングと照らし合わせてみると、「ビミョー以上に違いがあるような」感じもあるので、今回はその<YES24>のランクを紹介することにしました。

 ・・・と、ここまで書いて、その<YES24>の漫画ランキングを見て「ありゃ??」と少々ビックリ!
1位が이시부미 이치에이 저/미야마 제로 그림「하이스쿨 DxD 5」となっている。つまり石踏一榮:作、みやま零:画「ハイスク-ルD×D」でないの! これってライトノベルじゃん。(←ヌルボは横浜人) さらに下を見ていくと、10位には마츠 토모히로(松智洋):作、나카지마 유카(なかじまゆか):画「아빠 말 좀 들어라! 8(パパのいうことを聞きなさい 8)」というのもあります。
 <YES24>の「漫画」の内訳を確かめてみると、教養・恐怖・純情・アクション・歴史等々19種のジャンルがある中で、最後に「라이트노벨(ライトノベル)」なんてちゃーんと入ってる・・・。
 これは日本人の感覚とはちょっと違うんでないの !?

 ・・・と思いつつ、今度は<教保文庫>の漫画ランキングの方を見たところ、コチラにはラノベはなし。念のため「小説」のジャンルの中を見てみると、コチラに「라이트노벨」が入っていました。

 そういうわけで、今回は<教保文庫>の週間漫画ランキングの1~20位を紹介します。20作中、韓国の作品が11で、半分以上になっているのはめずらしいかも・・・。

①ユン・テホ(윤태호)「未生(미생):未だ生きられない者 1(아직 살아있지 못한 자 1)」
     
 ユン・テホは、映画「黒く濁る村」の原作漫画「苔(이끼)」の作者。
 この作品は、囲碁の1989年の第1回応氏杯で、薫鉉9段(韓国)と聶衛平(中国)という当時の韓中の第一人者が対決したことが背景になっているそうです。
 主人公は幼い時から町内の囲碁教室に通い、両親の期待を受けてプロ棋士だけを目標に生きてきた青年。11歳の時棋院に入ったが、7年後父の事業は傾き、彼もプロ入りに失敗。結局、学歴は検定試験の高卒のみで趣味・特技もない彼がどんな会社員生活を送るか・・・、というのがこの漫画の基本設定。

②ユン・テホ(윤태호)「未生(미생):未だ生きられない者 2(아직 살아있지 못한 자 2)」
 プロ棋士を目指したもののかなわなかった会社員の主人公。小心で内省的なように見えて、実は内に勝負師魂を秘めていた・・・。・・・ということで、会社員たちの共感をよんでいる漫画だそうです。

③椎名軽穂(Karuho Shiina.시이나 카루호)「君に届け(너에게 닿기를) 16」
     

④亜樹 直(Tadashi Agi):作、オキモト・シュウ(/Shu Okimoto):画「神の雫(신의 물방울) 34」

⑤よしなが ふみ(Fumi Yoshinaga)
「きのう何食べた?(어제 뭐 먹었어?) 6」

⑥尾田栄一郎(Eiichiro Oda)「ONE PIECE(원피스) 67: Cool Fight」


⑦チョン・チョリョン(정철연)「MAJO&SADY(마조앤새디) 2」

     
 イラストレイターで主夫のマジョ(クマ)と、会社勤めの妻サディ(ウサギ)の夫婦の、心がホンワカとなるような漫画エッセイ、というか・・・。<カメコミー。>というブログの先月の記事では「帯についていた30秒に1度の爆笑というのはあながち嘘ではなかった」とか「メインは面白い話なのだけれども、中にはぐっとくるようなものもあったり・・・」とのこと。その次の記事では1話分日本語に訳されて紹介されていました。
 オリジナルのNAVER連載中のウェブトゥーンは→コチラ

⑧青山剛昌(Aoyama Gosho)「名探偵コナン(명탐정 코난) 77」

⑨ろびこ(Robico)「となりの怪物くん(옆자리 괴물군) 10」

⑩矢吹健太朗(Kentaro Yabuki)、長谷見沙貴(Saki Hasemi)「To LOVEる -とらぶる- ダークネス (투러브 트러블 다크니스) 3」

⑪チュ・ホミン(주호민)「神と一緒に あの世編 セット(신과 함께 저승편 세트)」
     
 私ヌルボが今年前半に読んだ中で一番の大感動・大収穫の漫画です。本ブログでは5月21日の「韓国漫画名作100選」の記事の冒頭で少し触れ、「本ブログで紹介するのはちょっと先伸ばしにします」と書きましたが、それっきりになっています。「あの世編」だけでも近いうちに紹介しようと思います。
この「あの世編」は現在「ヤングガンガン」で三輪ヨシユキ:画による日本語版が連載中です。その作品紹介は→コチラで、7月には単行本第1巻が刊行されました。
 物語は、若くして亡くなってしまった会社員が主人公。彼は閻魔大王(韓国では閻羅大王.염라대왕)の使いに従い冥界に向けて旅立つのですが、日韓の「仏教的あの世観」が共通していることを知るとともに、この作家の創造的イマジネーションにびっくり! またあの世に行く手段として深夜の地下鉄に乗ったり、49日の裁判を受ける過程で、最初から彼の担当の新米弁護士が有能ぶりを発揮したり等々、あの世もつまりは現代の反映、という描き方もおもしろかったです。
 <NAVER漫画>で、予告編から読むことができます。→コチラ

⑫大場つぐみ(Tsugumi Ohba):作、小畑健((Takeshi Obata):画「バクマン。(바쿠만) 19」

⑬ネオンB(네온비):作、キャラメル(캐러멜):画「ダイエット(다이어터) 3 健康持続編(건강지속 편)」
     
 25歳の平凡な女性銀行員は93kgの高度肥満。しかし肥満体質というものはなく、太る理由はすべて生活習慣、食習慣のためで、これを正していくことが大切、というコンセプトで書かれたダイエット挑戦漫画。昨年<DAUM漫画>でキャラメルが連載が始まると人気を集め、単行本化されると全3巻合わせて10万部売れたそうです。韓国でもダイエットに対する関心がそれだけ高いということですね。直接この漫画を見てみたいという方は→コチラで(予告編から)。
 ネオンBさん(27歳.女性)は元々はキャラメル氏のファン。3歳上の彼と昨年11月結婚したそうです。

⑭ネオンB(네온비)「ダイエット(다이어터) 2 運動適応期編(운동적응기 편)」

⑮ユン・ジウン(윤지운)「アンチ・レディ(안티 레이디) 5」
 会計事務所で働くOLの、職場での人間関係や、恋愛模様を描く。
 この作品も<DAUM漫画>で読むことができます。(→コチラ。)
     
  【<DAUM漫画>で見る「アンチ・レディ」。韓国漫画は、日本と違ってまずネット連載から。】

⑯ネオンB(네온비)「ダイエット(다이어터) 1 食餌調節編네(식이조절 편)」

⑰空知英秋(Hideaki Sorachi)「銀魂(은혼) 44」

⑱チョン・チョリョン(정철연)「MAJO&SADY(마조앤새디) 1」

⑲ナンダ(난다)「アコースティック・ライフ(어쿠스틱 라이프) 1」
 新婚夫婦の日常生活でおきる暖かく、穏やかな漫画エッセイ。
 これまた<DAUM漫画>で読むことができます。(→コチラ。) 韓国語ができなくても、絵を見ると雰囲気はわかります。

⑳ユン・テホ(윤태호)「内部の者たち(내부자들) 1」
 「未生」の作者ユン・テホが2010年から<ハンギョレ>のサイトで連載している政治漫画で、→コチラで見られます。内容は、<ハンギョレ(日本語版)>の記事「20年ぶり…うれしい、政治漫画」(→コチラ)に詳しく記されています。韓国の種々の組織・機関の中で自分の利益のために隠密に活動する「内部者たち」の醜悪な取引と陰謀を扱っている作品、ということです。
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こういう事典を待っていました! 「韓国近現代文学事典」 =基本的な作家・作品・用語等を網羅

2012-11-01 22:40:54 | 韓国の小説・詩・エッセイ
            

 9月「読売新聞」でこの事典が紹介されていました。8月に刊行された権寧(クォン・ヨンミン)編著・田尻浩幸訳『韓国近現代文学事典』(明石書店)です。

 最近横浜市立図書館にも入ったので、直接見てみました。
 「(19世紀後期~現代の)韓国近現代文学史上、主要な作家、小説・詩・戯曲等の作品、用語、485項目を取り上げた、日本初となる韓国文学事典」と明石書店のサイトの紹介記事にあるように、これまで類書がなかっただけに、韓国文学に興味を持っている人や、研究者及びそのタマゴの人たちにとっては大変役に立つ事典だと思います。

 <事典編>では①人物(239項目)②作品(213項目)③文芸雑誌・新聞等(25項目)④文学関係団体・文学用語(8項目)の計485項目について詳しく説明されています。
 また<事典編>に続く<概説編>では、韓国の近現代文学史が各時期ごとに叙述されています。
 原著は1600頁にもなる『韓国現代文学大事典』で、本書はその抄訳ですが、それでも527ページと重量感のある本です。写真等も適宜掲載されていて見やすく工夫されていますが、とくに便利なのは、翻訳書が出ている作品についてはその書名が翻訳者名・出版社・刊行年付きで紹介されていること。
 つまり、訳された田尻浩幸さんは、原著の訳出だけでなく、たとえば上記のように、いろいろと日本の読者の便宜を図って下さったようで、この事典の完成に注いだ多大な労力がしのばれます。

      
     【<事典編>の目次の最初の部分(右)と、<概説編>の目次(左)。およその詳しさがわかります。】

    
         【内容例。雑誌や小説家の説明、作品の内容等がかなり詳しく記されています。】

 ・・・ということで、私ヌルボとしては手許に備えておきたい事典です。が、本体8000円+税400円というお値段が、ちょっとねー。(実はそれなりの手立てはなくもないようですけど・・・。) ま、とりあえずは公共図書館でちゃんと置いてもらうことですね。

[付記]「訳者あとがき」に、「韓国詩の日本語訳がインターネット上でも読める」例として、ヌルボが愛読している「晴読雨読ときどき韓国語」「佐川亜紀のホームページ」が紹介されています。
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[韓国語]この映画のタイトルはどういう意味? →「鋼鉄隊列 救国の鉄カバン」

2012-11-01 16:30:06 | 韓国語あれこれ
 本ブログで毎週火曜日に掲載している韓国映画観客動員数ランクの記事作成は、テマヒマはかかりますが、私ヌルボ自身も新しい情報を得ることができて、楽しい作業です。

 そこで少し厄介なのが韓国映画のタイトルの訳し方。ひと目では意味のわからないもの、複数の意味にとれるもの、誤解のワナにかかりそうなもの等々いろいろあります。
 ヌルボがいまだによくわからないのが「男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW」の邦題で2011年日本でも公開された「무적자」。最初「無敵者」と思ったのですが、内容を考えると後から考えついた「無籍者」の方が正しいようで、記事にはそちらを載せました。いつも関係サイトをいろいろ見たり、ネット検索して情報を集めるのですが、どちらの表記もありました。今調べなおしたら、「両方の意味を持たせている」と書かれているものもあります。(根拠は不明。)

 で、本論。一昨日の記事の中で、10月公開の韓国映画中の「강철대오:구국의 철가방」を紹介しました。
 これは「ひと目では意味のわからないタイトル」です。もちろんわかる人もいらっしゃるでしょうが・・・。
 最初の「강철(カンチョル)」「鋼鉄」でほぼOK。「구국(クグク)」はおそらく「救国」「철가방(チョルカバン)」は、ヌルボはたまたま知っていましたが、直訳すれば「鉄カバン」
 こういう場合は、「韓国映画」と「鋼鉄」をキーワードに日本語サイトを検索してみるのが安直な方法。すると、いくつもの韓国映画・娯楽・芸能サイトで「鋼鉄デオ 救国の鉄カバン」「鋼鉄の隊伍:救国の鉄のボックス」等という日本語として意味不明なままの記事ばかり。あ、「救国の鋼鉄隊列」などという「鉄カバン」をスルーしちゃってるのもたくさん。
\t
 問題の1つは「대오(デオ)」の訳し方です。これを漢字の熟語だとすると「隊伍」。しかし、隊伍を組むといってもわからない日本人がたぶん増えているだろうから「隊列」にさらに手直ししたという感じですね。
 たぶん、各サイトの担当者の皆さん、自動翻訳を利用して結果をそのまま使ったのでは?
 google翻訳は「鋼鉄の隊伍:救国の鉄のボックス」、エキサイト翻訳は「鋼鉄隊列:救国のチョルカバン」ですからね。

 ここで<DAUM映画>でこの作品の説明を見ると、主人公の青年の名が대오(カン・デオ.姜大午?)。なーんだ、コレじゃん。1980年代の民主化闘争がらみの内容なので、デモの隊列の意味もかけてあるかもしれませんが。(「강(カン)」という姓も「鋼」「強」と同音というのも意味ありげ。)

 ・・・ということで、タイトルの前半は「鋼鉄デオ」と訳すのが自然でしょう。

 次に、「철가방」が軒並み「鉄カバン」あるいは「鉄のボックス」となっているのはどういうわけでしょうか? 韓国人はもちろんそれが何を指すかわかっています。しかし直訳しても日本人にはわかりません。もし記事を書いた人が韓国語のわかる日本人で、しかも「철가방」が何かを知らない人なら「철가방」で画像検索してみれば一目瞭然です。結果は→コチラ

 正解は「岡持ち」。蕎麦屋等で出前の際に料理を入れて運ぶ、あの箱ですね。

 映画の内容は、民主化闘争の最盛期だった1985年、出前持ちの青年カン・デオが女子大生に一目惚れして・・・という物語。だから岡持ちなんですね。

 で、タイトルの後半の正しい訳は「救国の岡持ち」。映画のタイトルとしてはヘンですけど、まあ一応コメディだから・・・。

 私ヌルボがこの「鉄カバン」の意味を知っていたのは、だいぶ以前に出前持ちの青年を描いた漫画を2つほど読んだからです。(1つはカン・モリム「風味堂」、もう1つは、・・・忘れた。)
 話はそれますが、韓国の出前はすごいみたいです。韓国の人たちは野遊会つまり景色がいい所での飲食(+歌舞)が大好きなのですが、そんな場所にも配達してくれるのです。
 以前「彼とわたしの漂流日記(原題:キム氏漂流記)」という韓国映画(佳作!)を観たら、飛び込み自殺に失敗して漢江の中洲に落ち、そこで原始的生活をしている男の所に、チャジャンミョンが出前で届けられるシーンがありましたが、これは決して映画による誇張とは思えませんでした。

 また、産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏が「韓民族はペダル民族」と題する随筆を書いています。(→コチラ。)
 錦江の上流の方に黒田氏が仲間たちと釣りに行った際、昼食時に、韓国人の仲間が朝途中の村の食堂で予約しておいた鶏の蒸しもの(ペクスク)が届けられて驚いたというエピソードを紹介しています。遠い距離を食堂の主人が車で出前してきたのだそうです。
感動した黒田氏がそれを称えると、韓国人の釣り仲間が即座に返した言葉が「だからわれわれは“ペダル民族”だというんだよ!」
 ペダル(배달)」とは朝鮮の昔からの美称「倍達」で、これと「配達」の掛け言葉。
 黒田氏は「このユーモアにはもっと感動した」と記してます。たしかに、おもしろい!
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