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6月18日、鶴見駅西口近くの鶴見画廊に行って池貴巳子(ち・きみこ)絵画展を見てきました。
池貴巳子さんは韓国民画作家で、NHKハングル講座テキストの表紙絵等々いろんな本の表紙や挿絵を描いてきました。名前は知らなくても、絵を見れば「ああ、あの・・・」とわかる人も多いのではないでしょうか? ※googleの画像検索の結果は→コチラ。
この鶴見画廊での絵画展はもうずいぶん前から毎年6月開催が恒例になっています。私ヌルボが池さんのことを知ったのはちょうど20年前です。地縁と人の縁で、池楨官(ジョンカン)・池貴巳子さんご夫妻や鶴見区等の小中学校の先生方と光州・ソウルに研修旅行(?)に飛び入りみたいな感じで参加させていただきました。
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その間もいろいろ池さんの絵は見てきました。中でも注目は昨2016年に刊行された絵本「かくれんぼ」(福音館書店)です。(右画像)
副題に「朝鮮半島のわらべうた」とあるように、韓国の伝統童謡をご自身が訳して、その歌詞の内容に即した楽しくかわいらしい、そして美しい絵を、多くは左右見開きで描いています。
たとえば、下左画像は「さあ もちを たべよう みんなで つくった もちの いえ」という1節ではじまる歌のページ。
真ん中の家が「もちのいえ」です。緑色の瓦(?)もおもち。屋根の上の子が鳥に投げ与えています。
右の拡大画像は「ひとりで たべて こっそり たべて」という歌詞そのままの女の子。おもちをくわえて歩いている犬だけでなく、家の軒にさがっている魚板の魚までもが笑顔になっています。このように、歌詞と照らし合わせながら絵を見ると一段と楽しめる絵本です。
背全体的に、花や人物等の伝統的な民画の画法と、池さんの独創性、現代性がよく調和していると思いました。
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これらの歌をできれば直接聴いてみたいと思ったヌルボ。もしかして、元になる韓国伝承童謡集といった韓国本があるのかと思ってお訊ねすると、いろんな本等から絵に描くのによさそうなわらべうたの歌詞を拾って訳したとのことでした。したがって実際聴くにはそれなりの情報収集作業が必要ということか・・・。
さて、展示作品を見ると、花や自然や子供たち等のおなじみの絵が約30点(かな?)。以前と比べて原色系が少なくなって明るさを増したように感じられました。
それらの展示作品の中で、ヌルボが「あれっ?」と首をかしげたのが「チェッコリ」という題が付けられた2作品。
チェッコリとは何だと思いますか? 私ヌルボがすぐ思い浮かべたのは最近何度か行っている神保町の韓国本喫茶。「책」(チェク.本)と「거리」(コリ.街)をつなげた語で、「거리」には「材料、ネタ」といった意味もありますが、神保町というまさに<本の街>にある店ならではの店名だとなんとなく思ってきました。(それも正解かもしれませんが・・・。)
しかし絵を見ると、描かれているのは箱に積まれた書冊と、その周りには文房具や花や果物(ザクロだったかな?)等。池さんに伺うと、本とその周辺の文房具・植物等々をひっくるめてチェッコリといい、民画でよく描かれる画題の1つとのこと。
帰宅後、책거리の語をあらためて辞書で確かめてみると、なるほど「本や硯、墨、筆、筆立て、巻物立てなどの文房具類を描いた絵」とありました。そしてこの<책거리>で画像検索すると、さまざまなチェッコリの民画がヒットします。その中で、3例だけピックアップしてみてみます。
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細かく見るとおもしろそう。わからない物もたくさんありますが・・・。しかし、このような種類の絵は日本(や中国)にはあるんですかねー?
・・・というわけで、久しぶりに池貴巳子さんや池楨官先生ともお話できたし、また新しい知識も仕入れたし、で行って良かった絵画展でした。今年は行った翌日(19日)が最終日でしたが、興味を持たれた方はぜひ来年のこの時期に鶴見に来てみてください。(沖縄料理店とセットで、というプランがオススメです。)
[付記1] 一緒に行った元同僚F氏が「チェッコリ」で思い浮かべたのは近年小学校の運動会で流行っている(?)チェッコリ玉入れで流される「♪チェッチェッコリ 二酸化マンガン 酸化マンガン・・・」という歌詞(??)のガーナ民謡「チェッチェッコリ」でした。これは韓国とは関係ありません。(※→参考動画)
[付記2] 今度神保町のチェッコリに行ったら、店名は<本の街>のことなのか上述の絵のことなのか訊いてみます。
[2018年8月29日の追記] この記事を書いて40日くらい後にチェッコリに行ったら、「ここに書いてあります」ということで下画像のしおりを見せてくださいました。読んでみると、<本の街>でも上のような絵でもありませんでした。
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