ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

[韓国語]オクスス(トウモロコシ)の別称(←ちょっとギモンあり)は?

2015-10-29 18:27:50 | 韓国語あれこれ
 26日韓国文化院で観た「許三観」はなかなかおもしろかったです。監督・主演のハ・ジョンウもがんばってましたが、原作の力が大きかったかも。中国人作家・余華「血を売る男(許三観売血記)」(河出書房新社)です。同作家の「兄弟」(文春文庫)とともにオススメ!の小説です。

 さて、この映画。舞台は公州で、1953年から始まります。下の画像は、冒頭から少し後の、市場でオンナン(ハ・ジウォン)がポップコーンを売っている場面です。
    
 彼女ホ・オンナンの漢字表記は許玉蘭(옥란)ということに思い至るまで、私ヌルボちょっと時間を要しました。なんせ字幕ナシですいすい意味がわかるほどのレベルにはほど遠いので・・・。美人で愛嬌もあってとくに男たちに大人気。その許玉蘭に一目惚れした許三観(허삼관.ホ・サムグァンが彼女の父親に「同じ許氏だから好都合です!」とか言って彼氏のいたオンナンとちゃっかり結婚しちゃうのですが・・・。

 で、問題はこのポップコーンの売り声。字幕では「ポップコーンはいかがですか」でも、팝콘(パプコン)とは言ってないのです。では何と言っているかというと、カンネギと聞こえるのですが・・・。
 しかし、강내기等見当をつけて辞書を引いてもナシ。そういえば、と思い出したのがネコ(고양이)。単語帳等には<コヤンイ>というカタカナ表記がついていますが実際は<コヤギ>と聞こえますよねー。で、正解は강냉이。ゆっくり読めばカンネンイですが、ふつうはやっぱりカンネギと聞こえます。
 <映画「許三観」制作記映像>という動画(→コチラ)等の字幕にもこのハングル表記がありました。
      
 うーむ、ハジォン、とても3*歳とは思えない・・・。おっと、それはそれとして、ポップコーン=강냉이、これにて一件落着・・・とはならないのです。「朝鮮語辞典」等の辞書で<강냉이>を引くと⇒<옥수수(オクスス)となっています。玉蜀黍(トウモロコシ)の音読みで、オクスス茶等々でよく知られている単語ですね。
 一方、강냉이で画像検索した結果は→コチラで、例外のないほどポップコーンばかりです。
 また、統営市(慶尚南道)にお住まいの方のブログ記事(→コチラ)には「韓国語ではオクススですが、こちらの地方では、カンネギといいます」と書かれていました。

 あれこれ探してみた結果、頼りになるのはやっぱり<ナムウィキ>でした。「옥수수」の項目(→コチラ)を見ると、강냉이関係のことがいろいろ記されていました。要点を略述します。

・本来はトウモロコシ(옥수수)と同義だったが、地域差や現代の意味の変化等もあり、完全に同一視はできない。
・강냉이を油で煎った食べ物(ポップコーン)と思っている人がけっこう多いが、実際にはトウモロコシ(옥수수)と同じ。正確には옥수수の方言が강냉이・・・.とはいえ、実際には地域ごとに異なっている。いくつかの地域では옥수수と강냉이を同じように用い(代表的に北部地域と江原道)、ある地域では煎った옥수수のみを강냉이といい、また、ある地域では옥수수の大きさで区分したりもし、またある地域では色で区分したりもする。あるいは옥수수の実を강냉이と規定したりもしている。きっちりと断定することは難しい。
・강냉이という単語により옥수수の伝播過程を説明することができる。강냉이は江南つまり中国の長江流域つまり華南地方から来たという意味。강낭콩(=インゲン豆)、친구따라 강남간다(人にくっついて同じ行動をする)、강남갔던 제비(遠い南へ行っていたツバメ)等と同じ中国の江南地方に由来する言葉である。


 ところで、元に戻って1953年の公州でポップコーンを「강냉이 사세요(カンネギ サセヨ~)」と売っていたのは、はたして1953年だからか、公州だからか、あるいは今でもフツーの言葉なのか?

 日本でのポップコーンの歴史はというと、終戦後アメリカの進駐軍が日本に入ってきて以来で、韓国でも同様でしょう。しかし市場で小さな紙袋で売っていたのはそんなハイカラ(?)なものでもなし・・・。で、これまた<ナムウィキ>で「팝콘」の項目(→">コチラ)を見てみると、次のような記述があります。

 厳密に言えば、강냉이 뻥튀기(カンネギのポン菓子)のようなものもポップコーン(팝콘)と系譜が同じである。穀物に高い熱と圧力を加えてポンと煎る原理はほぼ同じである。爆裂種特有の殻のため特に強い圧力容器がなくても作ることができ、トウモロコシ(옥수수)の品種が違うので煎った食感が違い、表面に付いた調味料が違うだけである。

 そういえば、映画の中でも下の画像(これは釜山の40階段にある造形物)のようなポン菓子製造器が登場していました。
 これでお米だけでなくトウモロコシのポン菓子を作っていたのですね。 <ウィキペディア>(→">コチラ)によると、20世紀初めアメリカで発明されたお米のポン菓子が大正時代頃から日本に入り、その後日本が統治していた台湾、朝鮮半島、中国東北部にも持ち込まれて広まったとのことです。つまり、この映画のカンネギはその系譜というわけです。
 ・・・ということで、やっと一件落着、かな?

 ※韓国語でポン菓子は뻥튀기(ポントィギ)。直訳すると<ポン煎り>。やっぱり、その音からの命名です。
 
 ※「강냉이」と表示されている、駄菓子っぽいポップコーンの袋。
    
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [10月23日(金)~10月25日(日)]

2015-10-27 23:53:51 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 7年前に読んだ中国人作家・余華の小説「兄弟」はホントにおもしろかったですが、今日読了した「血を売る男」もイッキ読み。語り口が実に巧みです。この本が昨日<コリアン・シネマ・ウィーク2015>で観た「許三観」の原作です。映画はもちろん韓国・公州に舞台を置きかえていますが、セリフ等の細部まで原作に忠実で楽しめました。隣りの席の女性は涙を拭っていました。ただ、原作では文革の頃のようすがしっかり書かれていたのにたいして映画の方は政治的なことは抜けていて、そのあたりはハ・ジョンウ監督or今の韓国映画の限界かな? 昨日の夜の部は「あなた、その川を渡らないで」は98歳のおじいさんと89歳のおばあさんという「超」高齢夫婦を描いたドキュメンタリー。といっても、2人のたどってきた歴史とか高齢社会問題とかではなく、ひたすら2人の夫婦愛を描いた映像詩のような趣き。こういうドキュメンタリーもあるんですねー。今日観た「お父さんをお貸しします」といい「足球王」といい、昨年とはガラッと違ってハートウォーミングな作品が続いています。明日は「愛が勝つ」を観てきます。

 大阪韓国文化院でも、11月13日(金)~15日(日)グランフロント大阪のナレッジシアターで<第1回 大阪韓国映画祭>を開催するそうです。(→コチラ参照。) 私ヌルボ、行きたいんですけど、11月10日までやっている<韓日食博>(→コチラ参照)と日が重なっていなくて残念。ソチラは3日あたりに行くかな。入場料タダの日だし。

「朝鮮日報」10月23日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

 「ディーパン」

   偽の家族が幸福を問う ★★★☆


 「ザ・フォン」

   虚構を押し通すど根性 ★★★☆


 「特ダネ:リャンチェン殺人記」

   歪んだ情報の使用説明 ★★★


 「突然変異」

   問題作だが矮小である ★★★


 「ディーパン」は今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したフランス映画。内戦下のスリランカを舞台に、見知らぬ女と少女の3人で偽の家族を作り、フランスへと亡命する男ディーパンを主人公にしたヒューマンドラマです。日本公開は2016年の予定。他の3作品については下の記事中で紹介しています。

           ★★★ Daumの人気順位(10月27日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①チュニ マギ(韓国)  9.5(35)
②ミューン:月の守護者  9.4(27)
③バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2
④危路工団(韓国)  9.3(32)
⑤バック・トゥ・ザ・フューチャー
⑥JSA(韓国)  8.9(358)
⑦PK  8.9(133)
⑧あん(日本)  8.8(60)
⑨あなたをずっとあいしてる(日・韓)  8.8(87)
⑩リトル・トムと魔法の鏡  8.6(40)

 今回の新登場は③と⑤の2作品・・・といっても、同じシリーズの旧作の再上映です。
 ③「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」は、1989年のシリーズ第2作(韓国題「빽 투 더 퓨쳐 2」、⑤「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はもちろんその第1作(1985年.「빽 투 더 퓨쳐」)です。

     【専門家による順位】

①ザ・ホームズマン  8.2(4)
②今は正しいがその時は間違いだ(韓国)  8.2(4)
③危路工団(韓国)  8.0(7)
④エヴァの告白  8.0(5)
⑤スロー・ウェスト  7.8(6)
⑤オデッセイ  7.8(6)
⑦ルック・オブ・サイレンス  7.6(5)
⑧ハリール・ジブラーンの預言者  7.5(4)
⑨ベテラン(韓国)  7.3(8)
⑩ミューン:月の守護者  7.0(2)

 若干入れ替わりはありましたが、新登場の作品はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月23日(金)~10月25日(日)] ★★★

         1位「ザ・フォン」など韓国映画6作品がランクイン

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(11)・・ザ・フォン(韓国) ・・・・・・・・10/22 ・・・・・・・・・・・613,253 ・・・・・・・・・・729,128・・・・・・・・・・5,781・・・・・・・・・794
2(1)・・オデッセイ ・・・・・・・・・・・・・・10/08・・・・・・・・・・・・534,870・・・・・・・・・3,948,437・・・・・・・・・32,416・・・・・・・・・731
3(16)・・特ダネ:リャンチェン殺人記(韓国)・・10/22 ・・312,320 ・・・・・・・・・・401,549・・・・・・・・・・3,151・・・・・・・・・767
4(2)・・マイ・インターン ・・・・・・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・・・212,569・・・・・・・・・3,163,514・・・・・・・・・25,064・・・・・・・・・447
5(25)・・突然変異(韓国)・・・・・・・・・10/22・・・・・・・・・・・・・61,726 ・・・・・・・・・・・76,846 ・・・・・・・・・・・578・・・・・・・・・399
6(3)・・怒れる弁護士(韓国)・・・・・・10/08 ・・・・・・・・・・・・53,552 ・・・・・・・・1,101,879 ・・・・・・・・・・8,532・・・・・・・・・334
7(6)・・思悼(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・9/16・・・・・・・・・・・・・17,362・・・・・・・・・6,229,110・・・・・・・・・48,721・・・・・・・・・115
8(5)・・探偵:ザ・ビギニング(韓国)・・9/24 ・・・・・・・・・・・13,153・・・・・・・・・2,618,947 ・・・・・・・・・20,418・・・・・・・・・130
9(4)・・トランスポーター イグニション・・10/15・・・・・・・・・9,384 ・・・・・・・・・・158,174 ・・・・・・・・・・1,241・・・・・・・・・124
10(19)・・ラブライブ!・・・・・・・・・・・・・9/03・・・・・・・・・・・・・7,518 ・・・・・・・・・・100,296・・・・・・・・・・・・764・・・・・・・・・・23
       The School Idol Movie(日本)
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 数字的にはさほどではないものの、韓国映画が6作品ベスト10入りというのは久しぶりかも。
 今回の新登場は1・3・5位の3作品で、すべて韓国映画です。
 1位「ザ・フォン」は、アクション・スリラー。タイトルはThe Phoneつまり電話。2014年、ソウル江南の瑞草洞の住宅地で殺人事件がありました。殺されたのはドンホ(ソン・ヒョンジュ)の妻のヨンス(オム・ジウォン)。ところがその1年後、ドンホにかかってきた電話は、なんとその妻から。1年前の事件を変えられる? 、過去からかかって来た電話でチャンスが与えられた!? 妻を救うため、ただ1日の時空を超えた死闘の死闘が繰り広げられます・・・。原題は「더 폰」です。
 3位「特ダネ:リャンチェン殺人記」はスリラー。離婚と解雇という二重の危機に追いつめられた記者ホ・ムヒョク(チョ・ジョンソク)、偶然提供された情報により連続殺人事件と関連した特ダネをモノにします。ところがその後、入手した連続殺人犯の自筆メモが小説「リャンチェン殺人記」の一節であることを知り、彼は自分の特ダネがとんでもないミスだったことに気づきます。これを知らない報道局は続報を待ち続け、警察は事件の取材過程を明らかにしろと彼に迫ります。さらには特ダネの真実を知っているという目撃者まで現れ、状況が混沌とする中、ムヒョクが報道した誤報そのままに実際に殺人事件が起こり始めます・・・。原題は「특종:량첸살인기」です。량첸(リャンチェン)は韓国語ではなさそうなので確かめてみたら、中国語の良辰(良い日)のこと、なのかな?
 5位「突然変異」はコメディ。青年パック(イ・グァンス)は、薬を飲んで寝るだけで30万ウォンがもらえるということで生物学的同等性試験とやらの被験者になりますが、副作用で<魚人間>になってしまいます。その姿は<人面魚>ならぬ<魚面人>。→コチラの画像参照。<半魚人>をもっとユーモラスにした感じか? ところがパックは一躍青少年を代表するシンボルになり、<魚人間パックシンドローム>まで起こります。しかし製薬会社の陰謀でパックはスターの魚から憎らしい魚へと追いやられ、この世から追い出される危機にさらされます・・・。結局この顔はどうなるんだろ? 原題は「돌연변이」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・ミューン:月の守護者・・・・・・・・・・・・・・9/24・・・・・・・・・・・・・・6,716 ・・・・・・・・・・・310,178・・・・・・・・・・2,269 ・・・・・・・・・61
2(1)・・モルタデロとフィレモン・・・・・・・・・・・10/15・・・・・・・・・・・・・・5,225 ・・・・・・・・・・・・23,841 ・・・・・・・・・・・174 ・・・・・・・・・82
3(新)・・劇場版 境界の彼方 ・・・・・・・・・・・・10/22 ・・・・・・・・・・・・・2,173 ・・・・・・・・・・・・・2,790・・・・・・・・・・・・・20 ・・・・・・・・・32
       -I’LL BE HERE- 過去篇(日本)
4(4)・・今は正しいがその時は間違いだ(韓国)・・9/24 ・・・・・・・・2,124 ・・・・・・・・・・・・73,080 ・・・・・・・・・・・603 ・・・・・・・・・29
5(新)・・ライオットクラブ・・・・・・・・・・・・・・・・10/08 ・・・・・・・・・・・・・・1,971 ・・・・・・・・・・・・・3,004 ・・・・・・・・・・・・24 ・・・・・・・・・53

 2・3・5位の3作品が新登場です。先週は記事を仕上げた後に今回2位の「モルタデロとフィレモン」が1位に入ったようですね。
 2位「モルタデロとフィレモン」はスペインのコメディ。原作はフランシスコ・イバニェス作のスペインの国民的人気コミックで、2002年と08年に実写映画が作られました。で、この3作目は3Dアニメ。モルタデロとフィレモンは平均以下のスパイ。今回与えられた任務は、秘密情報局の最大の敵ジミーが小型バッグの中から盗んでいった極秘文書を取り返すこと。このミッションを通してスーパースパイに生まれ変わるという覚悟を固めた彼らですが、ミッションを解決するどころか、とんでもない事件・事故をひき起こすばかりで、はたして目的を果たせることやら・・・。韓国題は「슈퍼 스파이:수상한 임무\t」です。日本公開は未定。
 3位「劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 過去篇」は私ヌルボの苦手な日本アニメ。日本での認知度はどのくらいなんだろ? 韓国題は「경계의 저편 : I'LL BE HERE -과거편-」です。
 5位「ライオットクラブ」は、名門校出身の特権階級を批判した(?)イギリス映画。ライオットクラブというのはオックスフォード大学に古くから伝わる貴族たちの集まり。家格、財力、学歴、ルックスすべてが上位1%に属するというロイヤルクラブです。10人とされている定員に欠員が生じたため、新入生の中から補充することになります。有力な新会員候補に上がったのがマイルとアリスターの2人。入団テストを経て、最終的にクラブに合流することになりますが、相反する性格のため何かにつけ対立します。そんなある日、新会員歓迎のために開かれた秘密の晩餐会でゲームに負けたアリスターはマイルを苦境に陥れせようと危険ないたずらを開始するのですが・・・。韓国題は「라이엇 클럽」です。日本公開は未定のようです。
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韓国の文学館 ⑤京畿道編(上)

2015-10-23 23:56:08 | 韓国の文学館(全)
 韓国の文学館 ④江原道編(下)の続きです。

 前回から2ヵ月も空いてしまいましたが、忘れていたわけではありません。ようやく京畿道に入ります。全部で13館。2回に分けて紹介します。
 韓国では日本に比べて詩文学が大きな比重を占めています。今回紹介する6つの文学館も小説家のものはありません。いや、もしかしたら日本でも近世以前まで主流だった漢詩はもとより、近代広く親しまれた抒情詩の文化も今は見る影もありません。日韓を比べるだけでなく、それぞれの歴史的な推移も見るべきなのでしょうね。

※基本的なデータは韓国文学館協会の公式サイト(http://www.munhakwan.com/)です。
※各欄の背景の色がピンクのものは韓国文学館協会所属の施設、緑色のものは所属していない施設です。
※紹介した作品は日本で刊行されているものです。(絶版書を含む。)

«京畿道(上)»
22江華文学館/趙敬姫(チョ・ギョンヒ)随筆文学館
강화문학관/조경희수필문학관
○住 所 :417-803 仁川広域市江華郡江華邑官庁キル 40
       (417-803 인천광역시 강화군 강화읍 관청길 40/2F)
○電 話 :032-933-0605
○開館年 :2010年
○観覧時間:9:00~18:00
○休館日 :月曜、1月1日、旧正月、秋夕
○施設概要:1Fは江華文学館で、李奎報(イ・ギュボ)、鄭(ジョン・チョル)、鄭斉斗(チョン・ジェドゥ)といった江華島に関連のある昔の文人の作品を紹介している。2Fは趙敬姫随筆文学館で、趙敬姫の肉筆原稿や作品の他、机等の遺品を展示している。
○作 家 :趙敬姫(チョ・ギョンヒ)=1918~2005年。号は月堂(월당)。江華島生まれ、梨花女子専門学校卒のエッセイスト、記者。1938年からエッセイを「朝鮮日報」に発表。翌年から同紙記者。戦後は「ソウル新聞」「釜山日報」「韓国日報」に在職し、1978年韓国女流文学会会長、1989年芸術の殿堂理事長等々の要職を歴任。その間1971年韓国随筆家協会を創立、自ら理事長となる。(逝去の時まで。)
23露雀(ノジャク)洪思容(ホン・サヨン)文学館
노작홍사용문학관
○住 所 :445-170 京畿道華城市露雀路206
       (445-170 경기도 화성시 노작로 206)
○電 話 :031-8015-0880
○mail  :master@nojak.or.kr
○公式サイト:http://www.nojak.or.kr/services/front
○開館年 :2010年
○観覧時間:9:00~18:00
○休館日 :月曜
○施設概要:洪思容の直筆記録・資料写真・所蔵書籍等を展示。講演会・文学教室等の開催。洪思容文学賞の運営。展示室、講義室の他、カフェテリア等もある。文学館の背後の山には洪思容の墓と「われは王にてあり」の詩碑がある。
○作 家 :洪思容(ホン・サヨン)=1900~1947。号は露雀(ノジャク)。大韓帝国の大地主・官人の子として龍仁郡(現・龍仁市)に生まれる。1916年京城の徽文義塾(現・徽文高校)に入学。在学中1919年三一独立運動の先頭に立ち逮捕される。同校卒業後郷里に戻り、本格的に文芸活動開始。文芸誌を創刊して詩・戯曲等を発表する。戦時中は日帝当局から「金玉均伝」の戯曲執筆を強要されるが気が進まず未完成に終わる。生家の莫大な財産を食いつぶしたが、生涯に20数編ほどの詩しか発表せず、路頭に彷徨いながらも1冊の詩集もまとめることができなかったが、民族主義的意識を持っていたロマン派の詩人として評価される。日本統治期の最後の時期、親日詩を創作したり親日活動をしていない少数の詩人のうちの1人である。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%AA%E6%80%9D%E5%AE%B9
○作 品 :金素雲訳「朝鮮詩集 前期」(興風館.1943)に「われは王にてあり(나는 왕이로소이다)」所収。
○参考ブログ記事(韓国語):(文学館・墓・詩碑の写真・詩碑の全文等掲載)
      http://blog.daum.net/_blog/BlogTypeView.do?blogid=03Vn2&articleno=15250648&categoryId=606577®dt=20141130150921
24萬海(マネ)記念館
만해기념관
○住 所 :464-810 広州市中部面南漢山城路792番キル24-7
       (464-810 광주시 중부면 남한산성로792번길24-7)
○電 話 :031-744-31004
○mail  :jbs@manhae.or.kr
○公式サイト: http://www.manhae.or.kr (休止中?)
○開館年 :1981年
○観覧時間:3~10月10:00~18:00、11~2月10:00~17:00
○休館日 :月曜
○施設概要:韓龍雲研究家の新丘大学校・全宝三(チョン・ボサム)教授が自ら収集した資料をもとにソウル城北洞で1980年に開館し、その後1990年現在の南漢山城(UNESCO世界遺産)近くに移転した。詩人・韓龍雲の「ニムの沈黙」の初刊本をはじめとする刊本や、三一独立運動関連資料、遺品等を展示。絵画展等の特別展も催されている。※全宝三館長は2015年京畿道博物館館長に就任。
○作 家 :韓龍雲(ハン・ヨンウン)=1879~1944年。号は萬海。詩人、僧侶、独立運動家。忠清南道洪城に生まれる。1918年に来日して東京や京都等全国各地を巡回し、東京YMCAの朝鮮独立運動に参加した。三一独立運動の際、民族代表33人の1人として独立宣言書に署名した。1926年発表された唯一の詩集「ニム[あなた]の沈黙(님의 침묵)」は戦前の朝鮮文学を代表する詩集の1つとされている。1927年民族協同戦線の新幹会の結成を主導。その後朝鮮総督府による神社参拝の強要に抵抗して投獄されたり、出獄後も創氏改名反対運動や朝鮮人学徒兵制反対運動を展開した。1944年6月京城府東大門区城北洞(現・城北区)の自宅尋牛荘(심우장.シムジャン)で中風と栄養失調によって死去。忘憂里共同墓地に埋葬された。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E9%BE%8D%E9%9B%B2
○作品:安宇植(訳)「ニムの沈黙」(講談社.1999)・金素雲「朝鮮詩集 前期」(興風館.1943)に「桐の葉」他4編所収・金時鐘「再訳 朝鮮詩集」(岩波書店.2007)に「知りようがないのです」他2編所収・大村益夫[編訳]「対訳 詩で学ぶ朝鮮の心」(青丘文化社.1998)に「ニムの沈黙」他3編所収。
○尋牛荘は現在公開され、遺品等が展示されている。
     →関連記事:http://www.kampoo.com/travel/seoul/seongbuk/simujang.htm
             http://travel2.innolife.net/list.php?ac_id=53&ai_id=5073
○参 考 :<東国大学校 萬海(マネ)マウル>→江原道編(上)
25米坪(ミピョン)文学館
미평문학관
○住 所 :456-862 安城市金光面加峡キル45-13
       (456-862 안성시 금광면 가협길 45-13)
○電 話 :031-674-3155
○公式サイト: http://www.kimyounbae.com/
         http://www.kimyounbae.com/mipyeong/flash/bg.html
○開館年 :2006年
○施設概要:1986年「世界の文学」で登壇した詩人金潤培(キム・ユンベ.1944~)が2006年華城市教育長を退任後、金光湖を見下ろす山の麓に自身の執筆室として詩境斎を創設し、そこを安度眩(アン・ドヒョン)、鄭浩承(チョン・ホスン)等現在活躍している100余人の詩人の肉筆原稿1000点近くを展示した文学館として開館した。
○参考ブログ記事(韓国語):http://daesan.or.kr/webzine/sub.html?uid=462&ho=23
○「米坪(ミピョン)」は、金潤培の生地・清州の地名(及び号?)と思われる。
26朴斗鎮(パク・トゥジン)文学館
박두진문학관
○住 所 :456-872 安城市宝蓋面総合運動場路205 (安城市立宝蓋図書館3F)
       (456-872 안성시 보개면 종합운동장로 205안성시립보개도서관 3층)
○電 話 :031-678-5334
○開館年 :2011年
○観覧時間:9:00~18:00
○休館日 :月曜、公休日(日曜以外)
○施設概要:2004年安城市立図書館に設けられた兮山朴斗鎮資料室を2011年リモデリングした施設。朴斗鎮の詩集・随筆集や遺品等を展示している。図書館入口に詩碑がある。後述のように2016年に新しい文学館の建設が決められている。
○作 家 :朴斗鎮(パク・トゥジン)=1916~1998年。号は兮山(혜산.ヘサン)。 安城市生まれの詩人。京城師範学校、1946年朴木月、趙芝との共著「青鹿集」は、金素月のように主に自然を民謡風に作品化している詩集として注目され、以後この3人は<青鹿派(청록파)>と称される。1949年第一詩集「太陽」刊行以降も詩作を続けながら延世大・梨花女子大の教授を務めた。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%B4%E6%96%97%E9%8E%AD
○作 品 :「韓国の現代文学 第6巻」(柏書房.1992)に「絶壁に」「氷河期」「愛に」「天地」「八月」所収。
○関連記事(韓国語):
    http://tour.anseong.go.kr/bbs/tour/view.html?page=&number=133&mode=view
    http://kwaus.org/liter_story/14292
    http://blog.daum.net/_blog/BlogTypeView.do?blogid=0QA0T&articleno=1577&categoryId=46®dt=20091222181507
○「朝露」等で知られる韓国の代表的フォーク歌手楊姫銀(ヤン・ヒウン)の歌「ハヌル(空)」は朴斗鎮の詩によるものである。→https://www.youtube.com/watch?v=ViLJj44gAn0
○2015年8月のニュース(→http://news.joins.com/article/18520265)によると、安城市は朴斗鎮の生誕100周年である2016年完成に向けて朴斗鎮文学館の建設を決めた。2016年10月の開館が目標で、遺族から寄贈された書画・陶磁器等2500余点の遺品を展示するとのこと。なお安城市では2000年から毎年10月に朴斗鎮文学祭を開催している。
27松江(ソンガン)文学館
송강문학관
○住 所 :412-070 19.高陽市徳陽区護国路1283キル36
       (412-070 고양시 덕양구 호국로1283번길 36)
○電 話 :016-776-7215
 ※あらかじめ電話して行かないと閉まっていることが多いようである。
○開館年 :1998年
○施設概要:文学館のある松江マウルは鄭が新院洞にあった父母の墓地を世話するために住んでいた村である。村の入り口に詩碑がある。文学館は李殷晩(イ・ウンマン) 館長が私費を投じて運営・管理している私設文学館で、鄭関連資料等を展示している。2005年から毎年5月松江文化祭を催している。文学館の背後の丘には鄭を愛していた妓生・江娥(강아.カンア)の墓があり、その裏面には鄭の詩が刻まれている。丘の頂上から200mほど行くと鄭の父母と長男の墓がある。※鄭の墓は忠清北道鎮川郡文白面にある。
○作 家 :鄭(ジョン・チョル)=1536~1593年。号は松江(ソンガン)。李氏朝鮮の文人、官僚。李氏朝鮮初期に発生した詩歌の一形式である歌辞(韻文形式の中に散文的内容を含んでいる歌謡)を収めた「関東別曲」等により、文学史上大きな影響を与えた。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%B4%E6%96%97%E9%8E%AD
○作 品 :「韓国の現代文学 第6巻」(柏書房.1992)に「絶壁に」「氷河期」「愛に」「天地」「八月」所収。
○関連記事(韓国語):
    http://m.blog.daum.net/firsteng/15707883
    http://goyangcity.tistory.com/m/post/1789
    http://www.newshankuk.com/news/content.asp?news_idx=20080303003818h1104
    http://m.blog.daum.net/heon8515/856
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [10月16日(金)~10月18日(日)]

2015-10-20 19:51:46 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 一昨日夜観た「江南ブルース」は200近い座席で観客は10数人。ゆったり観られました。原題は「江南1970」で、つまり1970年ソウル江南の開発が端緒についた頃の話。左の画像は1978年の狎鴎亭洞現代アパート前です(出処は→コチラ)が、この映画でも牛で畑を耕している場面が出てきました。一挙にこの辺りの地価が高騰して、その背後で政治家やヤクザが暗躍してことは当然予測がつきますね。その他、劇中で「ブルーライト・ヨコハマ」(1968)が日本語で歌われたり、風俗史的にも興味深いネタがありました。BGMのように流されていたフィリピン・ポップスの「ANAK(息子)」が流行ったのは70年代後半なんですけどね。

 先週は「“記憶”と生きる」も観てきました。<慰安婦問題>についての意見は別にして、観るべき価値のあるドキュメンタリーだと思います。旧慰安婦の女性が描いた絵がいくつも映されていましたが、どれも印象に残る作品でした。右画像の金順徳さんの「連れていかれる」は韓国の教科書にも掲載されている絵のようですが、教師の教え方によっては官憲や軍人によって「強制的」に「連行された」と印象づけられるでしょうね・・・。

 韓国文化院のサイトで申し込んでいた<コリアン・シネマ・ウィーク2015>の韓国映画5作品は全部当選、・・・って外れた人いるのかな?

「朝鮮日報」10月16日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「ヴィジット」
   恐怖と笑いの黄金配合 ★★★★

 「アデライン、100年目の恋」

   「ピョルクデ」よりも優雅 ★★★☆


 「イングリッド・バーグマン」
(仮)
   堅い芯とはまさにこれ ★★★☆

 「ディーン、君がいた瞬間(とき)」

   カメラの中のディーン ★★★☆


 「リグレッション」

   「アザーズ」を期待するな ★★★


 「秘密」

   根が浅ければぐらつく ★★★

 「イングリッド・バーグマン」(仮)は今年生誕100年の大女優のドキュメンタリー。<2015東京国際映画祭>で上映されます。(→コチラ。) 「ディーン、君がいた瞬間(とき)」はジェームス・ディーンの伝記映画。これも<2015東京国際映画祭>で特別招待作品として上映されます。(→コチラ。) また12月から一般公開も予定されています。「リグレッション」はエマ・ワトソン、イーサン・ホーク共演のサイコスリラー。詳しくは→コチラ参照。日本公開は未定です。他の3作品については下の記事中で紹介しています。※「ピョルクデ」とは人気ドラマ「星(ピョル)から来たあなた(クデ)」のこと。

           ★★★ Daumの人気順位(10月20日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①チュニ マギ(韓国)  9.5(35)
②ミューン:月の守護者  9.4(26)
③危路工団(韓国)  9.3(31)
④JSA(韓国)  8.9(356)
⑤PK  8.9(132)
⑥あん(日本)  8.9(57)
⑦あなたをずっとあいしてる(日・韓)  8.8(87)
⑧リトル・トムと魔法の鏡  8.6(40)
⑨Dearダニー 君へのうた  8.6(66)
⑩暗殺(韓国)  8.6(4175)

 今回の新登場は④「JSA」だけです。言わずと知れた韓国映画の世界化を切り開いた2000年公開の名作の再上映。原題は「공동경비구역 JSA」です。

     【専門家による順位】

①ザ・ホームズマン  8.2(4)
②今は正しいがその時は間違いだ(韓国)  8.2(4)
③危路工団(韓国)  8.0(7)
④エヴァの告白  8.0(5)
⑤スロー・ウェスト  7.8(6)
⑤オデッセイ  7.8(6)
⑦ルック・オブ・サイレンス  7.6(5)
⑧ハリール・ジブラーンの預言者  7.5(4)
⑨ベテラン(韓国)  7.3(8)
⑩私の母  7.2(4)

 入れ替わりはありましたが、新登場の作品はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月16日(金)~10月18日(日)] ★★★

         マット・デイモン主演の「オデッセイ」以下1~3位は変わらず

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・オデッセイ ・・・・・・・・・・・・・・10/08 ・・・・・・・・・・・819,491 ・・・・・・・・3,111,025・・・・・・・・・25,472 ・・・・・・・1,040
2(2)・・マイ・インターン ・・・・・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・・・317,195・・・・・・・・・2,793,031・・・・・・・・・22,157・・・・・・・・・529
3(3)・・怒れる弁護士(韓国)・・・・・10/08 ・・・・・・・・・・・222,764 ・・・・・・・・・・952,685・・・・・・・・・・7,404・・・・・・・・・469
4(新)・・トランスポーター イグニション・・10/15・・・・・・93,771 ・・・・・・・・・・115,086・・・・・・・・・・・・914・・・・・・・・・432
5(5)・・探偵:ザ・ビギニング(韓国)・・9/24・・・・・・・・・・・88,448・・・・・・・・・2,571,065・・・・・・・・・20,070・・・・・・・・・335
6(4)・・思悼(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・9/16・・・・・・・・・・・・・83,814・・・・・・・・・6,175,586・・・・・・・・・48,333・・・・・・・・・371
7(新)・・ヴィジット・・・・・・・・・・・・・・10/15・・・・・・・・・・・・・30,687 ・・・・・・・・・・・38,396・・・・・・・・・・・・299・・・・・・・・・280
8(新)・・秘密(韓国)・・・・・・・・・・・・10/15・・・・・・・・・・・・・28,252・・・・・・・・・・・・37,750・・・・・・・・・・・・282・・・・・・・・・302
9(新)・・アデライン、100年目の恋・・10/15 ・・・・・・・・・19,017・・・・・・・・・・・・24,266・・・・・・・・・・・・192・・・・・・・・・239
10(6)・・PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~・・10/08・・15,951 ・・・・・・・180,268・・・・・・・・・・1,384 ・・・・・・・・・138
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1~3位は変わらず、ですが、数字はどれも落ちています。以下全体的に落ち込んでいるのは秋夕の反動?
 今回の新登場は4・7・8・9位の4作品です。
 4位「トランスポーター イグニション」は2002年にスタートしたフランスのアクションシリーズが新主役を迎えて再始動。日本でも24日公開ということで諸情報が流されているので内容等は省略します。韓国題は「트랜스포터:리퓰드」。←このハングル、何かと思ったら原題「THE TRANSPORTER REFUELED」の音訳。リピュルドゥねー・・・。
 7位「ヴィジット」は、アメリカのホラー。これも日本でも24日公開なので委細は省略します。韓国題は「더 비지트」です。
 8位「秘密」は、韓国のミステリー。全国を騒がせた連続殺人事件の犯人を劇的に検挙した刑事イ・サンウォン(ソン・ドンイル)は、1人残された殺人者の娘チョンヒョン(キム・ユジョン)を施設に預けず、自分で育てることにします。そして10年の月日が流れ、平穏に暮らしていた2人の前に秘密をつかんだ謎の男チョルン(ソン・ホジュン)がチョンヒョンの先生として現れます。出会うべきでなかった3人の再会で、10年前の事件の秘密がだんだん明かされていきます・・・。原題は「비밀」。
 9位「アデライン、100年目の恋」は、日本でも2日遅れの17日から公開されています。韓国題は「아델라인 : 멈춰진 시간」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ミューン:月の守護者・・・・・・・・・・・・・・9/24・・・・・・・・・・・・・・9,845 ・・・・・・・・・・・302,547・・・・・・・・・・2,216 ・・・・・・・・105
2(3)・・今は正しいがその時は間違いだ(韓国)・・9/24 ・・・・・・・・3,394 ・・・・・・・・・・・・68,898 ・・・・・・・・・・・568 ・・・・・・・・・38
3(4)・・スロー・ウェスト・・・・・・・・・・・・・・・・・10/08 ・・・・・・・・・・・・・・1,295 ・・・・・・・・・・・・・7,090 ・・・・・・・・・・・・56 ・・・・・・・・・26
4(6)・・Dearダニー 君へのうた ・・・・・・・・・・9/30・・・・・・・・・・・・・・・・673 ・・・・・・・・・・・・54,892 ・・・・・・・・・・・414 ・・・・・・・・・・7
5(2)・・リトル・トムと魔法の鏡 ・・・・・・・・・・・9/24・・・・・・・・・・・・・・・・529 ・・・・・・・・・・・・87,245 ・・・・・・・・・・・639 ・・・・・・・・・11

 順位の変動はありましたが、新登場の作品はありません。
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最近読んだ韓国本いろいろ ①期待外れだった小説3つ

2015-10-19 22:03:22 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 この1年、韓国書や韓国について書いた本をいろいろ読んできました。その都度内容・感想等をこまめにブログ記事にすればよかったのに、すべて怠ってきてしまいました。そこで今ヌルボなりにいくつかの項目ごとに整理して紹介します。
 タイトルでは大雑把に<韓国本>としましたが、韓国人が書いたものと日本人が書いたものに大別されます。まずは前者から。
 その中で、最初は<期待外れだった小説>です。一応で評価をつけました(満点は5つ)が、私ヌルボ自身の個人的な<期待>がうらぎられたという意味なので、小説作品としての評価とはズレがあります。

 イ・ウォンホ「黎明」(「新東亜」連載) ★★
 振り返ってみると、この1年で原文で読んだ長編小説はこれだけ。トホホ。本ブログでは、この小説について昨年3月(→コチラ)、9月(→コチラ)、10月(→コチラ)と、3つの記事でふれてきました。月刊誌「新東亜」の2014年3~12月号に連載されていた小説で、公式サイト(→コチラ)で全部読めます。
 主人公ユン・ギチョル(29歳)は衣料品の生産・輸出を行うヨンソンという企業の社員。この企業は2003年の開城工団の生産開始から3年後れで2006年開城に現地法人を設立し操業を開始します。法人長以下韓国人社員は8人、現地(北朝鮮)の労働者は650人です。
 その開城への転勤を命じられたユン・ギチョル。やむなく従いますが、その話を恋人に「1年間で2千万ウォン(←ホントはその半分)貯められる」とか「出世コースだ」とか誇張して話したものの、あっさり「別れましょ」と振られてしまいます。
 で、業務課長として開城に赴任することになった彼、能力を発揮し、北側の上級幹部の信頼も得て会食に招かれたりもしますが・・・。
 私ヌルボとしては、開城工団で韓国の社員が見た「北」の実態やそこの労働者との意思疎通等々、当事者でないとわからないような事実が書かれているかなと思ったのですが、その期待もせいぜいこのへんまで
 この後は本社からの呼び出しで一時的にソウルに戻ると、実は国家情報院も彼の行動等を把握していて、ギチョルの秘書役の北朝鮮美人チョン・スンミは党の指示でアンタに接近してるんだ等々の話があって、そんなこんなで南北間の裏の連絡役に相応の現金をもらってなって等々。
 全10章の物語の半分にもなっていない第4章で、チョン・スンミの伯父である人民軍中将が失脚し逮捕されたため、上流階層だった彼女一家は突然転落。父母は収容所送りでスンミ自身も不安な日々に。そして第5章でスンミはギチョルに中国脱出の意思を打ち明けます。後はラストまでスンミとギチョルの脱出行。北の機関からだけでなく、北との関係悪化を恐れる南からも追われて・・・。ま、結局はハッピーエンドなんですけどね。複雑な心理描写もなくて展開が早く、スイスイ読めたので★2つつけましたが、当初の期待はうらぎられてしまいました。以前開城工団関係者でそのあたりをきっちり書いている記事があるかと思って探してみたのですが、見つからないまま今に至っています。
 ※関係ないですけど、ラストの場面は中国雲南省の大理。東洋のスイスとも呼ばれる標高1900mの美しい山岳都市で、大理石の名はここに由来しているとか。ビルマ方面に道が通じていて脱北者たちの脱出ルートの1つにもなっているそうです。大理の北の都市・麗江については今年初めに読んだ西本晃二先生の翻訳によるピーター・グゥラート著「忘れ去られた王国」に描かれていました。東アジアと東南アジアの境界近くのこの地方はこれまでよく知りませんでしたが、政治・風俗・文化等々なかなか興味深いものがあります。

 洪盛原「されど」(本の泉社.2010) ★★★
 ほとんどエンタメっぽい「黎明」に比べるとはるかに文学らしい小説。1960年代から数多くの作品を世に出している洪盛原(ホン・ソンウォン.1937~2008)が1996年に発表した<歴史認識>がらみの長編です。
 主人公金亨真(キム・ヒョンジン)は元新聞記者のフリーライター。交通事故で亡くなった妻の実家の韓氏一族はソウル近郊のY郡(もしかして龍仁?)の名望家で、叔父は流通業の財閥会長。傘下に大学も抱えています。その会長が金亨真に祖父の略伝を書いてほしいと頼むのですが・・・。祖父というのは三一独立運動を主導して投獄され、その後も旧満州で抗日運動を続けた人物で、国家報勲処でも烈士として認定されている独立功労者>です。ところがおりしも、当地では韓氏とライバル関係にある徐氏の側から土地所有権に関する訴訟を起こされたり、件の<独立功労者>の「親日行為」が流されたりし始めます。徐氏の当代の祖父はというと、韓氏の側とは逆に<親日派>のレッテルを貼られている人物。
 金亨真はいろんな人に会って話を聞くことになります。<独立功労者>の祖父の血を引いている日本人女性とか、中国人の農場主とか・・・。そして明らかになってきたことは、韓氏(祖父)は徐氏(祖父)をかばうため裁判で「彼は無関係だ」と証言したことがその後徐氏(祖父)が「親日派」である根拠になってしまったこと、あるいは徐氏(祖父)は満洲の韓氏(祖父)に金銭的支援をしていたこと等々。
 ・・・というわけで、現在<抗日烈士>とか<親日>とされていても背後にはいろいろフクザツな過去がある、ということが描かれています。また主人公が日本人たちと植民地時代の評価等をめぐって議論する場面もあります。
 で、私ヌルボ、何が期待外れだったかというと、<親日><抗日>といったレッテルの<貼り方>は問題としていても、レッテルそれ自体の意味は掘り下げられていない点。また<親日派>の子孫として生まれたことの不幸を訴えるセリフはあるものの、50~70年も前の祖父の所業が現代に生きる孫の政界進出等に大きな影響を及ぼしたりしていることを疑問視していない点も疑問。
 本筋以外では、日本人の語る歴史論議がややステロタイプ的なのはしかたないか?(韓国人としてはわりとがんばって植民地近代化論のような見方を書いてますが・・・。) また中国人が「韓国に来て歴史を再認識しました」と語っている内容というのが「朝鮮は中国に出自を持つ箕子朝鮮に始まるのでなく檀君が云々」とか「渤海は韓国人の国で云々」といった韓国の<公的歴史観>そのまんまなのも「なんだかなー」といった印象を受けてしまいました。
 しかし、ウィキペディアの洪盛原の項目(→コチラ)の説明文にあるように「修飾語を排除し、対話と行為に対する描写が圧倒的」という文体で、イッキに読めるし、飽きさせないストーリー展開なので★3つにしました。

 孫錫春「美しい家」(東方出版.2009) ★★
 著者も書名も知らなかったこの本を横浜市立図書館で手にとったのは、副題に「朝鮮『労働新聞』記者の日記」とあるのが目に入ったからです。もしかして、北朝鮮で「労働新聞」の記者だった人が脱北し、韓国に来てから発表した日記かな?と思いました。著者の孫錫春(ソン・ソクチュン)という人の経歴を見ると、韓国の進歩系の代表紙「ハンギョレ」で労組委員長や論説委員等で活躍し、韓国記者賞等多くの賞を受賞している人物とのことです。
 冒頭で「日記」入手のイキサツが書かれています。「愛読している記者のアナタに若い頃から書き溜めた日記を託したいので中国・延吉に来てください」という北朝鮮の老人からの電話が入り・・・云々。そして1938年4月1日その男・李真鮮が延禧専門学校(現・延世大学校)の入学手続きをした日に始まる膨大な日記を受け取るのですが、その内容は驚くべきもので・・・。以下、秘密の抗日闘争に関わっていた学生時代、南労党のメンバーとして朴憲永の下で活動していた時代、朴憲永の配慮でソ連に留学し、金日成による南労党粛清を免れて以降、金日成を経て90年代の金正日の時代に至るまで、主な出来事と、それに対する感想等が記された「日記」がそのまま掲載されている・・・のかな?と思いきや、最初の数ページも読まないうちにこれは創作だ!ということがわかっちゃいます。
 延禧専門学校入学の翌5月、眠れないので寄宿舎をこっそり抜け出した時、たまたま出会った学生が3歳年長ながら同期の尹東柱だったり、その翌月にはその彼から「見てほしい」と送られてきたのが「小川を渡って森へ 峠を越えて村へ」という詩句で始まる、今はよく知られている(?)「新しい道(새로운 길)」という詩だったり、日本の中央大学哲学科に留学した時には当時同大学の法学部にいた黄長と知り合ったり、学生時代秘密組織で活動中にウワサを聞いて傾倒していた朴憲永に偶然会ったり、その他著名人士が「ありえねー」ほど都合よく登場するし、原爆投下その他のニュースも、情報統制の時代、それも智異山とかにいたりしてて「どういうルートで情報得たの?」という記述が多すぎ。後の方で「日記の中身は後から書き足しもした」とか逃げを打ってはありますが・・・。また1939年12月の金三龍事件とか京城コム・グループ事件とかいう(ヌルボの知らなかった)事件は、当時どの程度詳しく報じられたのでしょうか? 41年4月1日金日成の部隊が撲滅されたとの新聞記事(?)なんかも・・・。
 この本の宣伝文句には「本書が刊行されるや、韓国では「日記」の作者李真鮮が実在するか否か、出版界、歴史学会で波紋を呼んだ問題作」とありますが、「ホンマカイナ?」といった感じ。歴史学会でこの「日記」を信じちゃった人がいるの!?
 書いた本人(孫錫春)は事実とも創作とも言ってないとのことですが・・・。まあ、この翻訳書では表紙裏の著者紹介中にも「2001年に発表された著者最初の長編小説」と書いてあるし、韓国の書店サイトでもちゃんと小説分野になっているので、「看板に偽りあり!」とはならないんでしょうけどね。
 とはいっても、前述のように「脱北者が書いた?」と思って読み始めたヌルボとしては肩すかし。つまりは、韓国の<進歩系>のヒトが「こういう時代だったら私はこのように生きたいな~」といった今の価値観そのままで、今イメージされている「過去」にタイムスリップしたらこうなりますという物語。ちゃんと抗日独立運動に携わり、社会主義の理想を持って祖国建設に尽力し、金日成の独裁体制が築かれていく時代にも良心と批判精神を失わず・・・。・・・といった著者(や進歩系の人たち)が歴史に投影する「夢」がおよそわかったことと、南北朝鮮の主だった出来事についてのベンキョーにはなったということで一応★2つにしました。しかし、この本を読んで「だまされた!」と怒る人もいたんじゃないかなー?
 ※1年後輩の恋人も実に「理想的」な女性として描かれています。恵まれた家庭の美人で賢いお嬢さんで、とくに積極的にモーションをかけたわけでもないのに好きになってくれちゃったりして(笑)。朝鮮戦争で愛児とともに爆撃を受けて死んでしまうのですが・・・。

<最近読んだ韓国本いろいろ ②唯一感動した小説は、18年ぶりに再読した「神の杖」>
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[韓国語]目下増殖中(?)のキバナコスモスはそのまま訳してOK。ヨメナの類はまとめてノギクにしちゃおう!

2015-10-17 23:48:04 | 植物の韓国語
        

 道すがら、キバナコスモスが咲いていたのでコンパクトカメラで撮りました。左と真ん中の写真は10月4日の桜ヶ丘駅(大和市)付近、右は今日(17日)横浜駅の近くです。実物は色がもう少し赤みがかっています。(「月見草」の記事でも書いた通り、ヌルボのデジカメ(オリンパスSZ31-MR)は赤色が苦手。)

 どうもこの頃キバナコスモスが目につくようになった気がします。いくつかのサイトによるとふつうのコスモスに比べて繁殖力が強く、「数株のキバナコスモスが2、3年後には4畳半くらいに増殖する」ので、生命力の強い花の種をまいてやせた土地を緑化するワイルドフラワーに用いられたりもしますが、<要注意>なのだそうです。

 9月8日の「朝鮮日報(日本語版)」に<秋の訪れを告げるキバナコスモス>という見出しでソウルのオリンピック公園に咲き乱れるキバナコスモスの写真が掲載されていました。(→コチラ。)
 なるほど、ずっと彼方まで一面のオレンジ色の光景が広がっています。
 下の画像は、別サイトのものですが、同じ辺りの9月21日のようす。

 で、このキバナコスモスを韓国語で何というのかと思ったら、노란코스모스。つまりきいろコスモスそのまんま。漢字を音読みにして황색코스모스(黄色コスモス)というのもありますが・・・。

 さて、上記の「朝鮮日報」の記事で思い出したのが2010年の韓国旅行です。まさに9月、このオリンピック公園&夢村土城(モンチョントソン)に行ってきたのです。その時はキバナコスモスは全然みかけなかったように思います。
 ふつうのコスモスは水辺に咲いていましたが・・・。(下の写真。)
    
 
 そして丘の上の方には、遠くから見ると白っぽい霞がかかっているようにたくさんの花が群れ咲いていました。
    

 近くで見れば薄紫色で、そんなに小さい花でもありません。

 この花は何かということですが、私ヌルボ、その時は「たぶんノコンギクあたりだろう」でテキトーに済ませてしまいました。ところが、今調べてみるとこのノコンギクはヨメナとよく似ていて、見分け方がむずかしいんですね。
 韓国語だとヨメナは쑥부쟁이でノコンギクは까실쑥부쟁이です。
 ところが、これらの語で韓国サイトを検索してみると、他にも紛らわしい花がいろいろあることがわかりました。
 たとえば→コチラのブログ記事では쑥부쟁이と구절초と벌개미취の見分け方が書かれています。구절초(九節草)は<NAVER辞典>ではシベリアノギクという訳語が出てきますが、日本のいくつかの記事ではイワギクとなっています。また벌개미취の方はチョウセンヨメナあるいはチョウセンシオンとなっています。(고려쑥부쟁이ともいう。また개미취だけだとアスターという訳語が出てきます。)
 で、ハングルでの画像検索等々もしたりして総合的に考えた結果、上掲の写真の花はこの벌개미취つまりチョウセンヨメナ(チョウセンシオン)を一応の答えとしておきます。(100%の確証はありませんが・・・。)
 まあここらへんの花の区別はむずかしいので、日本でもノギクと総称しているように、韓国語でもこれらの花をひっくるめて들국화という言葉を使う方がずっと自然ではないかと思います。

 しかし、上記のようなチョウセンヨモギ(?)の群落はまだあるのかな? 一面のキバナコスモスもきれいですけど、それが他の花々を駆逐し、これからもこの時期この地を席巻するとなるとちょっと心配な気持ちにもなります。
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韓国人原爆犠牲者慰霊碑をめぐる問題 平和公園外の慰霊碑を「差別」とみなした80~90年代のマスコミ

2015-10-16 19:54:17 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ

 11日(日)、広島の平和公園に行ってきました。前来たのは20年以上前。今回は限られた時間で、見たい所の一部しか行くことはできませんでしたが、平日仕事を持ちながら、月2回日曜日のガイドを10年間続けているというIさんのていねいな説明を聞きながら主な石碑やモニュメント等を見学し、とても勉強になりました。
 続いて原爆資料館へ。外国見学者の来館者がとても多く、展示物の前は割り込みもむずかしいほどの混みようでした。
 一緒に行った仲間の1人が吉永小百合による吹き込みに引かれて音声ガイドを借りたので、同じ物はあえて借りずリスニングの訓練のつもりで韓国語の音声ガイドを借りました。すると「강제징용(強制徴用)」なんて言葉が際立って聞こえるのは時節柄? あるいは私ヌルボ気にしすぎ? 中身は「約35万人の被爆者の中には、強制徴用された労働者を含め数万人の朝鮮人・中国人その外にも東南アジアの人々が含まれていました」というもので、まあ<徴用>=<強制徴用>だし、とりたてて目くじらを立てるほどのものでもないんですけど・・・。仲間に訊いたら日本語版と同じで、その文章をそのまま訳したようですね。
       

 ガイドさんから聞いた話で初めて知ったのは「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」(写真上)移設をめぐる話。ヌルボは、90年代「慰霊碑が公園外にあるのは差別だ」との声が高まったので移設した、と思っていました。ところがガイドさんの説明では「被爆した朝鮮の王族の○○(?)殿下が発見された場所に建てられたもので、差別があったというものではない」とのこと。
 慰霊碑を見ると、なるほど、「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」の刻字の横に李鍝公殿下外貳萬餘霊位」と刻まれています。
 後で調べたところでは、李鍝[イ・ウ](1912~45)は大韓帝国皇帝だった高宗の五男の子。純宗や李王垠の甥にあたる人物で、当時は広島に置かれた第二総軍の教育参謀中佐で、8月6日は馬に乗って司令部への出勤途中福屋百貨店付近で原爆投下に遭い、本川橋西詰でうずくまっているところを夕刻発見され、市内似島の病院に収容されたが翌7日死亡したとのことです。

 以前広島を訪れた時、「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」を見た記憶はあります。移設が1999年7月なので、その時はまだ本川橋西詰めにあったわけですが、しかとは覚えていない上、撮ったであろう写真も行方不明です。
 ただ、当時(80~90年代)のマスコミ等で「公園外にあるのは差別」との主張に接していたので、なんとなく私ヌルボもそのように受け止めていました。
 
 そう思い込んでいたのは、文芸評論家・加藤典洋氏も同様で「敗戦後論」(1995年「群像」1月号に初出)に次のように記しています。

 護憲派は、原爆の死者を「清い」ものとし、同じく改憲派は兵士として死んだ自国の死者を「英霊」とし、「清く」する。広島の平和記念公園は韓国・朝鮮人の碑を受け入れていないが、ともに死者を「清い」、無垢な存在として祀ろうとしている点、平和記念公園と靖国神社は相似なのである。

 そして、この文章に次のような注をつけています。

 広島の原爆による朝鮮・韓国人の死者の存在はわたし達に深い意味をもっている。それは、原爆の死者の無垢性というものにわたし達の疑いを向けさせるたぶんはじめての契機となった。この敗戦の死者の問題の「ねじれ」が浮上するのに、この無垢な死者の碑石が取り除かれることはわたし達に不可欠の条件だったはずである。この文章の初出とほぼ同時期に訳書が刊行されたイアン・ブルマ『戦争の記憶—日本人とドイツ人』によれば、広島の記念公園には本国から強制連行され、広島で働かされている時に原爆にあった朝鮮人犠牲者の碑は、おかれていない。一九七〇年に大韓民国居留民団によって建てられた碑が「平和記念公園の外、片隅に隠れるように」立っている。「のちに地元の朝鮮人がこの慰霊碑を公園内に移転させようとしたが、失敗に終わった。広島市当局は、平和公園には慰霊碑は一つでよいといった。そしてその慰霊碑には朝鮮人の過去帳は納めてもらえなかった」。日本人以外には入れない。しかし、日本人でさえあれば、ほぼ個人の特定なしに入ってしまう、というあり方が、やはりこの平和記念公園と靖国神社の共通性格として浮かび上がる。なお、後者に関連し、死者の遺族の意思を無視しての護国神社への合祀をめぐり、山口県の殉職自衛官未亡人中谷康子が訴訟を起こしたことは記憶に新しい。

 上記の引用部分は、単行本の「敗戦後論」(1997.8)にも当然そのまま載っています。しかし最近刊行されたちくま文庫版(2015.7)には、次のような長い補注がつけられています。

 この注記とこれに関連する本文63頁の「広島の平和記念公園は韓国・朝鮮人の碑を受け入れていないが、ともに死者を『清い』、無垢な存在として祀ろうとしている点、平和記念公園と靖国神社は相似なのである」との記述に、重大な事実誤認のあったことを後に読者からの指摘によって教えられた。上記の本文記述を撤回するとともに注を次のように訂正したい。
  前広島市長平岡敬氏の手になる『希望のヒロシマ』(岩波新書.1996.7)によると、この碑は、「原爆の犠牲となった同胞を追悼するために、朝鮮王族李(イ)鍝(ウ)公を敬慕する張泰煕氏ら在日韓国人有志によって建立され、1970年4月10日に除幕された。」。碑の表面に「在日原爆犠牲者慰霊碑」という文字と並んで「李鍝公殿下外弐萬余霊位」と記されている通り、この碑は「韓国人原爆犠牲者の慰霊と李鍝公の追悼というふたつの性格をあわせも」つ。この碑の立つ場所についてはイアン・ブルマの著作『戦争の記憶』(TBSブリタニカ.1994)に「平和記念公園の外、片隅に隠れるように」立っているとあり、わたしも注に引いているが、それはこの地点がこの碑の追悼する李氏の終焉の地(本川橋西詰め)であることからそこに建てられた。碑には、「公の被爆された由緒深い場所に確定された」と記されている。従って、ここに日本人による韓国・朝鮮人差別が見られるというイアン・ブルマとその記述に従ったわたしの判断は、事実を正しく伝えない誤認である。
 このほか、わたしが注に引用したブルマの記述が、以下の点で事実と違っているので訂正する。
 一、慰霊碑の移転を広島市が断った事実はない。広島市は慰霊碑の平和記念公園内への移転にもし希望があれば応じたいと候補地を用意しているが、現在のところ、在日韓国人間にさまざまな意見があり、実現していない。
  二、平和記念公園内の原爆犠牲者の慰霊碑には日本人、韓国・朝鮮人全員の名前が記載されている。また、平岡氏によると、この在日原爆犠牲者慰霊碑の裏面には、建立協力者として、「李鍝公」の陸軍士官学校での同期生である多くの日本人の名前も記されている。
  元ジャーナリストから市長となった平岡氏は、この碑をめぐる誤解が世に広まっていることについて、「私は、いまの日本に韓国・朝鮮人に対する差別が存在しないといっているのではない。慰霊碑ができるまでのいきさつ、背景を調べないで、碑の建立”場所”を差別ととらえてしまう(日本のマスコミの—引用者)固定観念、先入観を問題にしたいのだ」と述べ、不正確な記述が広島に関し出回っている例としてこの一件に言及している。
  わたしの場合がその悪しき一例だろう。深い反省の意をこめてこの誤認を訂正させていただく。

 当時の平岡敬広島市長(1927~)はコチラの記事によると戦時中は京城帝大予科に在学中で、終戦は学徒動員先の興南(現・北朝鮮咸興市)の化学工場で迎えたとのことです。その後広島市に引き揚げて広島高校(現広島大)に編入し、早稲田大学を経て中国新聞社へ入社。中国放送代表取締役社長などを歴任した後、1991~99年の2期8年にわたり市長として在職しました。地元のジャーナリストして豊富な経験・知識を持ち、韓国・朝鮮への思いも深い人です。
 その平岡敬市長(当時)の「希望のヒロシマ」が刊行されたのが「敗戦後論」の1年前なのに、加藤典洋氏も編集者等も気づかなかったのは手落ちでしょう。(・・・って、今まで気づかなかったヌルボも言えたガラではありませんが・・・。)
 ※ここまでは→コチラの記事に拠りました。(大変情報通の、かつ熱心な<嫌韓>サイトですけど。)

 「公園外にあるのは差別」といった新聞記事は、広島大・石田雅春氏の論考(→コチラ)によると「昭和50年代初めごろから韓国人原爆犠牲者慰霊碑が平和記念公園から意図的に締め出されたとか、差別されているという解釈が次第に広まっていった。・・・・関係者の間では、韓国人原爆犠牲者慰霊碑の公園内移設を求める声が高まっていった。」とのことです。新聞各紙も、80年代後半から「広島市の差別的な措置によって同碑が平和記念公園の対岸に建設された」という言説を形成していきました。
 こうした中、1980年広島市は慰霊碑の公園内移設を認めるとともに、それを期に南北統一の慰霊碑を造るように求め、市と民団と朝鮮総聯の協議が始められました。(1997年はすでにその段階だったのですね。) で、移設が現実のものとなったのが1999年7月21日。翌8月5日に移設後初の慰霊祭が営まれたことは、「毎日新聞」等でも報じられました。移設がこれほども遅れたのは、たとえば「韓国」という名称を維持しようという民団側と、反対する総聯側の協議がまとまらなかったため。結局当面の間は従来の「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」を公園内に移すことで総聯側が譲歩してようやく移設が実現したというわけです。

 ・・・と、ここまで長々と書きましたが、全体的にみると、80~90年代の<進歩系>言論と、それを支える<良識的>読者(←私ヌルボのような)を取り巻く<時代的フンイキ>といったものがあって、それがちょっと冷静に調べればわかることまで怠って、この「公園外の慰霊碑は差別だ」問題についても誤解がそのまま事実であるかのように流布したといえそうです。例の「慰安婦報道」問題と通じるところがあるようですね。

 ・・・と、ここで記事をオシマイにすると加藤典洋氏の反省を数年遅れでなぞるだけになってしまいます。
 しかし、広島市&平和公園にとっても、韓国・朝鮮人と関係団体にとっても、私たち個々にとっても、重要な、そしてむずかしい問題は依然残っていることを忘れてはいけません。1999年の慰霊碑の公園内移設によって一件落着では決してないのです。
 それについては続きで・・・、といってもいつになるか。むずかしい問題はなおのこと書くのがむずかしいからなー・・・。
 ※イアン・ブルマ「戦争の記憶—日本人とドイツ人」はヌルボも読みましたが、(上記のことは別として)良い本だと思います。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [10月9日(金)~10月11日(日)]

2015-10-13 20:37:53 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 10日夜、NHKの番組「SONGS」でを初めて映像を見、まとめて聴きました。詞といい曲といい、若い層での人気がわかるような気がします。しかし、私ヌルボにとっては遠くから光源を見ている感じ、といったところか。(感覚の老化も如何ともしがたいか、あーあ。) それにしても、小学生ファンがけっこういるようなのは何なんだ!? あんな早口がよく理解できるものです。

 先週キネカ大森で「風の歌を聴け」(1981)を観ました。登場人物の会話が「~だ」調というのは村上春樹の原作通りか。活字だと軽やかな感じなのが映画のセリフとなると生硬な感じになってしまい、俳優の表情も硬いのでキュークツな印象を受けてしまいました。しかしここに描かれた青年像、今と重なるところがはたしてあるのか・・・。大森一樹監督、今年の第28回東京国際映画祭ではコンペティション部門審査員なんですってねー、ふーん。

 ブログ記事の1週間のブランクは3日間広島に行っていたからですが、一昨日の夜急いで帰ってきたのは国立新美術館に行くため。韓国国立現代美術館との共同主催で開かれていた「アーティスト・ファイル2015 隣の部屋」の最終日が昨日で、かろうじてセーフ。日韓の作家各6人によるさまざまな形の作品が紹介されている中で、注目はイム・フンスンさんの「済州島の祈り人」(悲念)と題された映像作品、というよりもドキュメンタリー映画です。1948年軍隊や警察によって島民の5人に1人にあたる6万人が虐殺されたという済州島四・三事件(→wiki/%E6%B8%88%E5%B7%9E%E5%B3%B6%E5%9B%9B%E3%83%BB%E4%B8%89%E4%BA%8B%E4%BB%B6">ウィキペディア)に焦点をあてた作品で、3面スクリーンの70分に及ぶ長編です。これは期待以上に見応えがありました。くわしくは→コチラ参照。
 イム・フンスン監督は今韓国で上映中の「危路工団(ウィロコンダン)」の監督でもあり、その作品で今年のベネチア・ビエンナーレで最も有望な若手アーティストに贈られる銀獅子賞を韓国人として初めて受賞しているのですね。その「危路工団」ですが、9~10日熊本で開催された<東アジア市民共生映画祭>(→コチラ)の中で上映し、監督もゲストとして来場したそうですが、ぜひ一般公開か、せめて各地で上映会を開くなりしてほしいものです。

「朝鮮日報」10月9日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「オデッセイ」
   温もりあるSFの境地 ★★★★


 「PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~」

   目と耳共に満足できる ★★★☆

 「ザ・ホームズマン」

   H.スワンクのパンチ力 ★★★


 「怒れる弁護士」

   法廷を過ぎ道端に戻る ★★★


 各作品については下の記事中で紹介しています。

           ★★★ Daumの人気順位(10月13日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①奇跡のピアノ(韓国)  9.7(42)
②チュニ マギ(韓国)  9.5(34)
③ミューン:月の守護者  9.4(26)
④危路工団(韓国)  9.3(31)
⑤今日の映画(韓国)  9.0(21)
⑥PK  8.9(132)
⑦あん(日本)  8.9(52)
⑧あなたをずっとあいしてる(日・韓)  8.8(87)
⑨アマゾン大冒険~世界最大のジャングルを探検しよう!~  8.7(32)
⑩Dearダニー 君へのうた  8.7(58)

 今回の新登場はありません。

     【専門家による順位】

①ザ・ホームズマン  8.2(4)
②今は正しいがその時は間違いだ(韓国)  8.2(4)
③ひと夏のファンタジア(韓・日)  8.0(7)
③危路工団(韓国)  8.0(7)
⑤エヴァの告白  8.0(5)
⑥スロー・ウェスト  7.8(5)
⑦オデッセイ  7.7(4)
⑧インサイド・ヘッド  7.6(9)
⑨ルック・オブ・サイレンス  7.6(5)
⑩ハリール・ジブラーンの預言者  7.5(4)

 ①⑥⑦の3作品が新登場です。
 ①「ザ・ホームズマン」は、トミー・リー・ジョーンズ監督・主演の2014年カンヌ映画祭コンペティション部門出品作。舞台は1850年代のアメリカ西部、というと西部劇かと思いますが、この作品が画期的なのは、これまでの西部劇ではほとんど添え物のように扱われていた女性にスポットを当てたこと。メアリー・ビー(ヒラリー・スワンク)はネブラスカの開拓地で馬を飼いながら1人で暮らしています。数えるほどの家族しか住んでいない所で夫となる男を見つけられず、31歳になっています。厳しい暮らしの中、家族を持つ他の女性たちの多くは心を病んでいました。3人の子供を次々と病気で失ったり、夫からの性の道具のような扱いを受けつつ母親の看病に追われたり、伝染病で家畜を失ったり・・・。そうした原因で心が壊れてしまった3人の女性を、村人たちはアイオワにいる村の牧師の妻のところまで送り届けることを決定します。そしてその役目を自ら引き受けたのがメアリーでした。アイオワまでは1ヵ月の旅。その途中、彼女きは馬に乗せられたままで木から首に縄で繋がれていた老いた男を発見します。助ける見返りとして旅に同行することになったその男は小悪人のジョージ・ブリッグス(トミー・リー・ジョーンズ)。彼を含めて5人の旅の行方は・・・。テキサスで生まれ育ったというトミー・リー・ジョーンズは本作をジェンダー等現代のアメリカ社会を映した西部劇と語っているとのこと。特に男性にとっては見るのがつらい作品との感想もありました。ネチズンの平均評点7.7に対し専門家は8.3と、フツーとは逆。まあわかるような・・・。韓国題は「더 홈즈맨」。日本公開は・・・未定ってか!?
 ⑥「スロー・ウェスト」は、2015年のサンダンス映画祭で観客賞を受賞したイギリス・ニュージーランド合作作品。舞台は1870年のコロラド。16歳の少年ジェイ(コディ・スミット=マクフィー)は、故郷のスコットランドで生き別れた恋人ローズを探すため単身で渡米します。東海岸から西海岸に向かう旅の中で、危機に直面した彼を助けれくれた賞金稼ぎのサイラス(マイケル・ファスベンダー)を用心棒として迎えたり、さまざまな人々と出会い、インディアンに襲われたりもし、それでもひたすら西へと向かいます。その旅路の果てに、彼を待っていたのは・・・、一体何だったのかな? 韓国題は「슬로우 웨스트」です。
 ⑦「オデッセイ」については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月9日(金)~10月11日(日)] ★★★

         マット・デイモン主演の「オデッセイ」がトップに

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(28)・・オデッセイ・・・・・・・・・・・・・・10/08・・・・・・・・・1,533,704・・・・・・・・・1,814,946・・・・・・・・・14,890・・・・・・・1,132
2(1)・・マイ・インターン ・・・・・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・・・490,021・・・・・・・・・2,272,444 ・・・・・・・・18,143・・・・・・・・・545
3(20)・・怒れる弁護士(韓国)・・・・10/08 ・・・・・・・・・・・453,160・・・・・・・・・・556,309・・・・・・・・・・4,404・・・・・・・・・593
4(2)・・思悼(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・9/16・・・・・・・・・・・・241,921 ・・・・・・・・6,013,241 ・・・・・・・・47,153・・・・・・・・・471
5(3)・・探偵:ザ・ビギニング(韓国)・・9/24・・・・・・・・・・211,083 ・・・・・・・・2,412,821 ・・・・・・・・18,895・・・・・・・・・450
6(33)・・PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~・・10/08・・126,549・・・・・・144,983・・・・・・・・・・1,129・・・・・・・・・428
7(6)・・ミューン:月の守護者 ・・・・・9/24・・・・・・・・・・・・・45,504 ・・・・・・・・・・291,266 ・・・・・・・・・2,134・・・・・・・・・200
8(4)・・メイズ・ランナー2 ・・・・・・・・9/16・・・・・・・・・・・・・43,742・・・・・・・・・2,721,356・・・・・・・・・21,427・・・・・・・・・163
        :砂漠の迷宮
9(5)・・ベテラン(韓国)・・・・・・・・・・・8/05・・・・・・・・・・・・・22,961・・・・・・・・13,397,782・・・・・・・・105,058・・・・・・・・・110
10(13)・・映画ドラえもん・・・・・・・・9/17・・・・・・・・・・・・・10,875・・・・・・・・・・・110,900・・・・・・・・・・・・800・・・・・・・・・・53
      のび太の宇宙英雄記〈スペースヒーローズ〉(日本)
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・3・6位の3作品です。
 1位「オデッセイ」は、リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演のSF。しかし火星への有人飛行というのは今はたしてSFと言っていいのかどうか? 原作のアンディ・ウィアー「火星の人」はたしかにハヤカワ文庫SFに入っていますが・・・。火星での探査中、宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)は強烈な嵐に巻き込まれてしまいます。彼は死亡したと思った仲間は火星を離脱してしまい、1人火星に取り残されたワトニーは、限られた物資と自身の知恵をたよりに4年後のNASAの救出まで生き延びようとします・・・。私ヌルボが思い出したのは江戸時代のいくつかの漂流物語。たとえば吉村昭の「漂流」です。しかし鳥島での12年と比べても火星での4年間は環境的にキツそう。どっちもいやですけど・・・って書くまでもないか。韓国題は「마션」。日本公開は2016年2月です。
 3位「怒れる弁護士」は、韓国の犯罪アクション。勝訴確率100%のエース弁護士ピョンョン・ホソン(イ・ソンギュン)に入った新しい依頼は新村女子大生殺人事件の有力容疑者の弁護。死体も証拠もないという難物の事件。しかし彼の脳はすぐに作動し、パートナーの朴事務長(イム・ウォニ)と共に事件現場で容疑者の容疑を晴らす決定的な証拠を確保します。そして裁判当日。ことあるごとにぶつかる後輩検事チン・ソンミン(キム・ゴウン)の反論に対抗して反論するピョン弁護士、いつものように勝利を確信したその瞬間、なんと容疑者が「自分が被害者を殺害した」と告白します。突然の告白に形勢逆転。ピョン弁護士は勝訴のために証拠を操作したという疑惑もかけられ、人生最大の危機にさらされます。・・・が、そこからエース弁護士の痛快な反撃が始まる・・・んですよね。原題は「성난 변호사」です。
 6位「PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~」は、ピーター・パンの誕生ストーリーを新視点から描いた実写版。日本公開は10月31日。当然諸情報はたくさん流されています。韓国題は「팬」。同じスペルなのでfanかと思ってしまいました。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ミューン:月の守護者 ・・・・・・・・・・・・・9/24・・・・・・・・・・・・・45,504 ・・・・・・・・・・・291,266・・・・・・・・・・2,134 ・・・・・・・・200
2(3)・・リトル・トムと魔法の鏡 ・・・・・・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・・・・・・7,489 ・・・・・・・・・・・・86,544 ・・・・・・・・・・・634 ・・・・・・・・・49
3(4)・・今は正しいがその時は間違いだ(韓国)・・9/24 ・・・・・・・・7,068 ・・・・・・・・・・・・61,399 ・・・・・・・・・・・508 ・・・・・・・・・46
4(新)・・スロー・ウェスト・・・・・・・・・・・・・・・・10/08 ・・・・・・・・・・・・・・2,556 ・・・・・・・・・・・・・4,165 ・・・・・・・・・・・・34 ・・・・・・・・・36
5(5)・・チュヒ マギ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・9/30 ・・・・・・・・・・・・・・1,688 ・・・・・・・・・・・・26,452 ・・・・・・・・・・・185 ・・・・・・・・・52

 4位「スロー・ウェスト」が新登場です。これについては上述しました。
コメント (3)
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [10月2日(金)~10月4日(日)]

2015-10-06 14:43:03 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 韓国語についての9月25日の記事10月4日の記事で「1億クイズショー」というSBSで3年前にやっていた番組のことを書きました。この番組で映画関連問題も出題されていたんですね。→コチラ(韓国語)なんですが、問題は、国際映画祭で受賞した①「オールド・ボーイ」②「サマリア」③「オアシス」④「酔画仙」の4作品を受賞した順に並べよ、というもの。ほぼ同じ頃なので紛らわしいなー。私ヌルボは見当で答えてちょっと間違い。調べたら①=2004カンヌ(グランプリ)、②=2004ベルリン(銀熊)、③=2002ヴェネチア(最優秀監督賞)、④=2002カンヌ(監督賞)やんけ。正解は④③②①の順、・・・ってこれは無理。しかしパク・ジソン&パク・ヨンジン(←俳優ではない)のギャグマン組は正解して賞金1180万ウォンをゲットしたそうです。

 横浜のシネマ・ジャック&ベティで「“記憶”と生きる」を16日(金)まで上映中。アップリンクで見逃した方はぜひ。
 気になっている韓国映画「提報者~ES細胞捏造事件~」はヒューマントラストシネマ渋谷で1週間(~9日)だけ、それも夜遅く1回だけという上映。なんだ、これは!!? とても困る。明日行けるかどうか・・・。

 この1週間は映画鑑賞ナシ。あ、今日は時間あるから何か肩の凝らないものでも観てくるかな?

「朝鮮日報」10月2日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

 「チュニ マギ」

   2老女性の凄絶な運命 ★★★☆


 「ノーブル」

   意味あるが面白み不足 ★★★


 「ノーブル」はイギリス・ベトナム合作の、クリスティーナ・ノーブルという女性の物語。1944年アイルランドのスラム街で生まれた彼女は自身の悲惨な境遇を克服し、ベトナムで多数のストリート・チルドレンの栄養・医療・教育等の支援活動を続けている人です。彼女については→コチラ、この映画については→コチラ参照。日本公開は未定(ない?)のようです。「ジュニ マギ」については下の記事中で紹介しています。

           ★★★ Daumの人気順位(10月6日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①奇跡のピアノ(韓国)  9.7(41)
②ミューン:月の守護者  9.4(26)
③チュニ マギ(韓国)  9.4(30)
④危路工団(韓国)  9.3(29)
⑤今日の映画(韓国)  9.3(20)
⑥今日  9.3(22)
⑦戦場のピアニスト  9.3(592)
⑧PK  9.0(127)
⑨Dearダニー 君へのうた  9.0(50)
⑩あん(日本)  8.9(46)

 新登場は③と⑨の2作品です。
 ③「チュニ マギ」は韓国のドキュメンタリー。タイトルは2人の女性の名前です。はしかと台風で2人の息子を失った本家の嫁マギは、一家の血筋を繋ぐため、分家のチュニを第二夫人として本家に迎えますが夫はその後亡くなり、女2人の生活に・・・。以後46年間共に生きてきた2人ですがすでに老境に入って久しく、腰も曲がっています。ほとんど過去のものとなった息子選好思想が生んだ悪習、高齢化社会の老後問題、日本同様に重要な課題となってきた<終活>(韓国では웰 다잉(ウェルダイイング))の問題等についても考えさせられますが、それよりも落ち葉を見ても笑う少女の感性顔負けの2人の天真爛漫さが感動的、とのことです。原題は「춘희막이」です。
 ⑨「Dearダニー 君へのうた」は日本では9月5日公開で現在上映中です。韓国題は「대니 콜린스」。

     【専門家による順位】

①セッション  8.4(7)
②今は正しいがその時は間違いだ(韓国)  8.2(4)
③ひと夏のファンタジア(韓・日)  8.0(7)
③危路工団(韓国)  8.0(7)
⑤エヴァの告白  8.0(5)
⑥インサイド・ヘッド  7.6(9)
⑦ルック・オブ・サイレンス  7.6(5)
⑧ハリール・ジブラーンの預言者  7.5(4)
⑨ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション  7.3(8)
⑨ベテラン(韓国)  7.3(8)

 順位・評点とも前回と同じです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月2日(金)~10月4日(日)] ★★★

         日本では10日公開の「マイ・インターン」がトップ

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(4)・・マイ・インターン ・・・・・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・・・532,778・・・・・・・・・1,453,571 ・・・・・・・・11,724・・・・・・・・・659
2(1)・・思悼(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・9/16・・・・・・・・・・・・492,525 ・・・・・・・・5,571,316 ・・・・・・・・43,819・・・・・・・・・767
3(2)・・探偵:ザ・ビギニング(韓国)・・9/24・・・・・・・・・・472,536 ・・・・・・・・2,004,876 ・・・・・・・・15,780・・・・・・・・・666
4(3)・・メイズ・ランナー2 ・・・・・・・・9/16・・・・・・・・・・・・191,521・・・・・・・・・2,608,165・・・・・・・・・20,581・・・・・・・・・414
        :砂漠の迷宮
5(6)・・ベテラン(韓国)・・・・・・・・・・・8/05・・・・・・・・・・・・・82,578・・・・・・・・13,341,104・・・・・・・・104,621・・・・・・・・・294
6(8)・・ミューン:月の守護者 ・・・・・9/24・・・・・・・・・・・・・57,877・・・・・・・・・・・241,824 ・・・・・・・・・1,769・・・・・・・・・283
7(5)・・西部戦線(韓国)・・・・・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・・・・43,077・・・・・・・・・・・578,912・・・・・・・・・・4,535・・・・・・・・・344
8(38)・・呪怨 -ザ・ファイナル-(日本) ・・10/01・・・・35,913 ・・・・・・・・・・・・45,535・・・・・・・・・・・352 ・・・・・・・・・317
9(7)・・エベレスト 3D・・・・・・・・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・・・31,387 ・・・・・・・・・・・315,841・・・・・・・・・・2,920・・・・・・・・・171
10(新)・・Dearダニー 君へのうた・・9/30 ・・・・・・・・・・・22,714 ・・・・・・・・・・・・40,290 ・・・・・・・・・・・303・・・・・・・・・309
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「ベテラン」がまだベスト10内に留まっていますが、韓国映画動員数歴代2位の「国際市場で逢いましょう」(1425万人)には届かないみたいですね。
 秋夕(チュソク)に向けて5作品が新登場だった前週と対照的に、今回の新登場は8・10位の2作品だけです。
 8位「呪怨 -ザ・ファイナル-」は、おなじみの、と書きたいところですがヌルボ個人的にはおなじみじゃなくてコメントする資格ナシ。日本では6月公開でしたが、今はもしかして涼しすぎるのでは? 韓国題は「주온:더 파이널」です。
 10位「Dearダニー 君へのうた」は、上述の通り目下日本でも上映されています。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(6)・・ミューン:月の守護者・・・・・・・・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・・・・・57,877 ・・・・・・・・・・・241,824 ・・・・・・・・・1,769 ・・・・・・・・283
2(58)・・Dearダニー 君へのうた・・・・・・・・・9/30 ・・・・・・・・・・・・・22,714 ・・・・・・・・・・・・40,290 ・・・・・・・・・・・303 ・・・・・・・・309
3(2)・・リトル・トムと魔法の鏡・・・・・・・・・・・9/24 ・・・・・・・・・・・・・12,241 ・・・・・・・・・・・・77,797 ・・・・・・・・・・・573 ・・・・・・・・111
4(3)・・今は正しいがその時は間違いだ(韓国)・・9/24・・・・・・・10,137 ・・・・・・・・・・・・47,453 ・・・・・・・・・・・394 ・・・・・・・・・53
5(19)・・チュヒ マギ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・9/30 ・・・・・・・・・・・・・・8,182 ・・・・・・・・・・・・21,068 ・・・・・・・・・・・147 ・・・・・・・・247

 2位「Dearダニー 君へのうた」と5位「チュヒ マギ」3位「今は正しいがその時は間違いだ」が新登場です。いずれについても上述しました。
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[韓国語] 「進上」に悩まされるコンビニ店員・・・って、どういう意味?

2015-10-05 21:52:10 | 韓国語あれこれ
 2つ前の記事の関連でピョンドリ(편돌이)すなわちコンビニのアルバイト店員関係の記事を読んでいたら、「진상」という言葉に出くわしました。店員の悩みのタネの1つがこの「진상」だという内容です。このスペルに該当する漢字語を思い浮かべると「真相」それから「進上」くらいですが、それだと意味がとれず。例によって<NAVER辞書>を引いてもそれらしい説明はナシ。ネット検索すると、やっぱりピョンドリ(편돌이)同様に、若者を主としたネット社会でよく用いられるような言葉は<ナムウィキ>です。その「진상」の項目(→コチラ)の説明文中にありました。以下はその要点です。
 漢字では「進上」で、本来の意味は日本語同様モノを差し上げることです。ところが、封建時代だと進上する相手は王とか上級の役人等。否応なく差し出さなければならないので、「とくに最上品じゃなく、質の落ちるモノでもテキトーに差し出しておけばいいんじゃない?」というわけで、「진상」には「粗末な品物」という意味も込められるようになりました。(←これは各辞書にも載っています。) 他に、商人の中でもとくに無教養で不作法な者を意味したという説もあるようです。
 このような背景の下で、嫌でも相手にしなければならないような困った客「진상손님」というようになり、それが短縮されて「진상」だけで店員を困らせる嫌な客をさす侮蔑語になった、とのことです。「진상」に固定化されたのが「2011年現在」とありますが、検索にかかった2007年の<YAHOO!知恵袋>に「진상 손님 って?」という質問がありました。(→コチラ。) ということは、大雑把に言って「近年広まってきた言葉」とみてよさそうで、その質問では「진상 손님」ですが回答文は「진상」になっています。回答には「昔の王に対するように嫌でも従わざるをえない、そんな困った相手」といった説明がついています。

 <ナムウィキ>によると、類似の言葉として블랙컨슈머(ブラックコンシューマー.Black Consumer)」の他に「손놈(ソンノム)」というのがありました。これはわかりやかいですね。손닙(ソンニム.お客様)」の닙を놈(奴)に変えて「손놈」。いやー、意味の大変化!(笑)

 日本でもたまに嫌な客がいますね。私ヌルボ、以前スーパーで「社長を出せ!」とか大きな声を出している客を見たことがありました。スーパーの場合(→コチラ)やコンビニの場合(→コチラ)を見ると、韓国の事例とほぼ重なります。(韓国の方がちょっとカゲキかも・・・。) そのことに気がついていない客もけっこういそうです。いや、気がついてないからこそ「ソンノム」なのか?
 ところで、日本語では嫌な客を指す特定の言葉はないのですか?

※商品に「王に進上するほど良い物という意味で「진상」の文字がパッケージ等に入れられる例は多いが、上記のように「質の悪い物」という意味もあるので嘲笑されたりもするとか・・・。また진상애호박」という애호박(子カボチャ=ズッキーニ)があるとのことですが、これは光陽市津上(진상)面で作られたズッキーニなのだそうです。ハングルだけの表記はやっぱりまぎらわしいなー。
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[韓国語] 「蒸し暑さ(ムドウィ)」と「虹(ムジゲ)」の共通項は?

2015-10-04 21:28:35 | 韓国語あれこれ
 9月25日の記事<双八年度>って、いつのこと?>(→コチラ)の中で韓国SBSの番組「1億クイズショー(1억 퀴즈쇼)」のことを画像付きで少し書きました。
 そこで私ヌルボ、8月にもこの番組の画像を見たことを思い出しました。その時は「虹」つまり「무지개(ムジゲ)」という言葉に関する問題でした。

 で、その「무지개」について検索したきっかけは、「朝鮮日報」の連載コラム「萬物相」でした。8月8日は<무더위 강더위(蒸し暑さ、強烈な(?)暑さ)>という見出しで書かれていました。(→コチラ。)
 いかにも、とくに暑かった今年の夏の真っ盛りの記事です。見出しにある<무더위><蒸し暑さ><더위(トウィ)>=<暑さ>に무(ム)が付いてしあつさ>なので、日本人としては憶えやすいですね。
 ところが、もう1つの<강더위>という言葉は知りませんでした。
 記事の冒頭に「<강(強)추위>「雪が降って刺すような風が吹く厳しい寒さ」だ」とあるので、<강추위>や<강더위>の강は強。つまり「強烈な」寒さ・暑さのことをいうのかと思いましたが、それは一瞬。次のような文章が続いています。
 純粋の韓国語<강추위>は全然違う。「雪も降らず、風も吹かない、ひたすら厳しい寒さ」だ。」
 つまり、この場合の강は漢字の「強」ではなく、固有語の接頭語。たしかに辞書にもあります。「厳しい・酷い」といった意味です。
 <강추위>の意味は上記のように雪のような水気のない寒さ。そして同様に<강더위>湿気のないカラカラの暑さのことをいうのだそうです。これに対して<무더위>「湿度と温度が高く、蒸すような堪えがたい暑さ」です。今年の夏は降水量が少なく、貯水量も9月半ばの時点で平年の約7割だし、まさに<강더위>の夏だったということでしょう。

 さて、この記事を読んで知ったのが「なんで<暑さ.더위>にが付くと<蒸し暑さ.무더위>という意味になるのか?」ということ。記事によると、この물(ムル.水)から転じたものだとか。えっ、そうなの!?と私ヌルボ、目からウロコ。
 で、この물に由来した무が頭に付いている言葉として<무좀>(ムジョム.水虫)<무지개>(ムジゲ.虹)が例にあげられていました。後者については、물방울(水滴)が作った<지게>(チゲ.지게문すなわち門)という意味なのだそうです。

 と、ここで関連の韓国記事をいくつか見てみた中に上述の「1億クイズショー」があったというわけです。(→コチラ。)
 2012年6月の放送で、出された問題は「무지개の語源は何か?」
 しかし、その問の内容は무の部分についてではなく지개の意味を問うもの。「무지개は元々水で 作られた「これ」であるという言葉だった。「これ」とは何か?」という2択問題で、選択肢は①활(弓) ②문(門)。先に「萬物相」を読んでたので当然ラクショー。画像を見ると正答者6人で間違った人2人。英語のrainbowが「雨+弓」なので、「それはないだろう」という読みがほしかったところ。

 この「1億クイズショー」という番組についてちょっと興味を持ったので調べてみたら、2011年11月にスタートして1年後に終わったようで、今はありません。
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[韓国語と韓国文化] 「ドリ」と「スニ」をめぐるいろいろ ④差別語や自嘲の言葉として

2015-10-02 23:52:17 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 → 「ドリ」と「スニ」をめぐるいろいろ ①

 → 「ドリ」と「スニ」をめぐるいろいろ ②

 → 「ドリ」と「スニ」をめぐるいろいろ ③

 「ドリ(돌이)」「スニ(순이)」がテーマなのに、前回の記事ではコンドリ・コンスニのことよりも80年代の<偽装就業者>や孔枝泳のことをたくさん書きすぎてしまいました。で、今回は軌道修正。

 前回少しだけ書いたように、コンドリ(공돌이)コンスニ(공순이)は70~80年代の工場労働者を示す言葉として、また差別的なニュアンスを込めて用いられました。「공」は工場の「工」です。
 そして30年以上経った今。コンドリ・コンスニの語は多少ニュアンスは変わったようです。つまり、工場での機械化が進んだことで労働の質も変わり、現在では専門的な知識・技術を持った人たちが工場で働いているので、とくに劣等感を持ったり差別の対象とされたりといったものではなくなり、<愛称>(?)あるいは<便宜上>(?)として使われる軽い言葉になっているようです。・・・というのは<ナムウィキ>の「コンドリ」の項目(→コチラ)の説明に拠るものですが、「往時(1970~80年代)を経験した年配者は昔の認識のままの人が多いので要注意!」とも記されています。
 また、現在は工学系の学生(理系の高校生を含む)をコンドリ・コンスニと呼ぶこともあるそうです。ただ、工大生同士がこの言葉を使う分にはいいのですが、「他人からそう言われると不愉快」というのもわかるような気がします。※関連でレプトリ(랩돌이)レプスニ(랩순이)という語もあるそうです。「レプ(랩)」laboratory(研究室)の略。研究室通いの理系院生を指す言葉のようですが、一般的な言葉ではなさそう。
 もっと一般的な言葉にはムンドリ(문돌이)があります。こちらは文系の学生のこと。昔からあった言葉ではなく、コンドリが一般化した後にその反対概念としてできた言葉です。コンドリ同様、当初は軽蔑的なニュアンスがあったそうです。(←とくに文系の就職難の時代。)

 以下、コンドリ・コンスニ以外に、時代の変化とともに新しく生まれた「ドリ」「スニ」語を拾ってみました。

ピョンドリ(편돌이)ピョンスニ(편순이)コンビニ(편의점.ピョニジョム.便宜店)のアルバイト店員のこと。週末連続で夜勤とかのきつい勤務もあり、店によってもさはりますが、概して仕事自体は大変ではないとか・・・。しかし最低賃金(時給5580ウォン)さえ支給されないケースもあるようです。

<青年ユニオン(청년유니온)>という青年世代の労働組合にピョンドリ(병돌이)ピョンスニ(병순이)という言葉に関わる記事がありました。(→コチラ)。「병(ピョン)」は「病院(병원)」「病(병)」です。記事の筆者が以前酒の席で、お医者さんを相手に「医師や看護師といったピョンドリやピョンスニ・・・」と言うと、そのお医者さんはすごく怒って「人の命を預かる貴い仕事を蔑む言葉をなんで口にできるんだ!?」と非難されたとのことです。
 筆者にしてみれば、長時間病院でゆとりのない労働をしている、という意味で使った言葉とのことですが、上述のような齟齬があったようです。

韓国で8月から公開されている「危路工団(위로공단)」という映画があります。イム・フンスン監督によるドキュメンタリーで、女性労働者の約40年間の歴史をたどりつつ、現在の彼女たちの置かれている厳しい状況を描いたものです。その中で、ソウル市の120茶山(タサン)コールセンター(120 다산 센터)の担当職員が自分たちのことをコルスニ(콜순이)と言ったそうです。120茶山(タサン)コールセンターは2007年設置されたソウル市の苦情処理担当部署で、120は電話番号、茶山は朝鮮時代後期の実学者・丁若(チョン・ヤギョンの号)です。ところが、その担当職員は市の正規職ではなく、民間委託業者3社からの間接雇用非正規職で、「最低賃金、残業、感情労働の沼」の中で働いているとか・・・。(参考→<レイバーネット>の記事。) つまり、こうした過酷な労働実態がかつてのコンスニと変わらないという意味でコルスニと言っているというわけです。

タンスニ(탕순이)も辞書にない言葉です。この場合の「탕(タン.湯)」とは何のことなのか、私ヌルボ最初はわかりませんでした。いろいろ検索してみると、どうも「증기(蒸気湯)」のことのようです。日本でいうところのソープランド。そこの従業員がタンスニ(탕순이)。つまりはソープ嬢。10年ほど前の記事を見ると、売春で摘発されたとか、また女性専用の蒸気湯が「雨後の竹の子のごとく」増えていて(→コチラ)、男性従業員のことをタンドリ(탕돌이)と呼ぶとかのニュースがありました。また当のタンスニの「タンスニ、タンスニとバカにしないで! タンスニも人間よ!」といった訴えもありました。

チプトリ(집돌이)チプスニ(집순이)「집(チプ)」はもちろん「家」家に籠っている人、つまり「引きこもり」。公式には「은둔형 외톨이(隠遁型一人ぼっち)という言葉があるようですが・・・。

ケムドリ(겜돌이)ケムスニ(겜순이)。これは見ればおよそ見当がつきます。「겜」は「게임(ゲーム)」の縮約語。ゲームにはまってる人・・・でしょう。

パスニ(빠순이)は、カタカナで検索してもそれなりに(1500件くらい)ヒットします。「スターの追っかけ」をしている女性ファンのこと。オッパ(오빠.お兄さん)を追いかけるオッパスニ(오빠순이)が簡略化してできた言葉だそうです。男性の追っかけはパドリ(빠돌이)。なお、→コチラの記事によると昔はバー(바)で働く女性を蔑んで用いた言葉だったそうです。

 上記以外のドリとスニの用例を見てみると、イヌ等のペットの名前はそれなりにあるようですね。
 ようやくこのシリーズも終わり。で、ドリ・スニの意味を一応分類してまとめておきます。
  [1] 伝統的な男性・女性の名前
  [2] 組織・団体や、催しのマスコットの名称
  [3] 低く見られている職業に対する蔑称または自嘲の言葉
  [4] 低賃金・長時間労働を強いられている労働者
  [5] ペット、人形、幼児等の愛称


※自分用のメモ。私ヌルボがスニという名前を記憶に留めた最初は、在日の歌手・李政美(イ・ジョンミ)のカセット「キム・ミンギ(金敏基)を歌う」(1988)に収録されている「川辺で(강변에서)」の歌詞の「우리 순이가 돌아온다(私たちのスニが帰ってくる)」という一節です。
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