ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画の興行成績 [11月19日(金)~11月21日(日)]と人気順位 ▶長寿番組「全国歌自慢」のMC宋海さん94歳!のドキュメンタリー公開 ▶観客動員数1位は韓国映画「ジャンルだけロマンス」

2021-11-24 19:15:23 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回の記事で注目の韓国映画その1は「ソン・ヘ 1927」です。韓国KBSの長寿番組「全国歌自慢(のど自慢)」(→ウィキペデイア)のMCとして知られるソン・ヘ[宋海]さんについてのドキュメンタリーです。私ヌルボ、彼が90歳を超える今も現役で活躍していることは知っていましたが、タイトルにあるように1927年、それも現在は北朝鮮の黄海道出身で朝鮮戦争中に単身越南して来たということは知りませんでした。
 下左の画像は私ヌルボが2018年11月のソウル旅行の折にタプコル公園北の楽園楽器商街のビルの下でたまたま撮った写真です。後で知ったことですが、その辺りはソン・へさんにとって<第二の故郷>ともいうべき縁がある所で、楽園商街の東側から南のユギジョンビルに至る240mの道は2016に<ソン・ヘの道(송해길)>と命名され、近辺には彼の胸像(地下鉄5号線鍾路3街駅の5番出口の前)の他、ソンヘサウナといった彼の名を冠したサウナ等の商業施設や店舗もあります。下右画像のクッパ専門店<ウワサの店(소문난집 국밥전문)>は上の看板に<ソン・ヘの店(송해의 집)>の文字と彼の似顔が描かれていますが、実際彼の行きつけの店のようです。うーむ、ソン・ヘさんのこととか全国歌自慢のことだけで優に1つの記事になるな・・・。
     

 注目の韓国映画その2は、これもドキュメンタリーの「幸福の速度」。タイトルからは全然わかりませんが、パク・ヒョクジ監督が偶然目にした尾瀬で70~80kgもの荷物を背負って運ぶ歩荷(ボッカ)の写真に強い衝撃を受け、その後歩荷の仕事をしている五十嵐さんと石高さんを中心に取材し撮影した作品ですが、単にその仕事の紹介ではなく、監督が自身の人生を考えるということを意識しつつ制作したとのことで、観客にもそれが伝わっているようです。日韓間の政治的な葛藤を引き起こしている人たちにはぜひ観てほしいとふと思いました。もちろんその前に観てみたいですが・・・。

▶外国映画ではウェス・アンダーソン監督の新作「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」に期待! それにしてもタイトル長すぎ。意味もわからん!

    ★★★ NAVERの人気順位(11月23日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(2) 往十里 キム・ジョンブン(韓国)  9.54(26)
②(3) 若い盛りのソンニョさん(韓国)  9.52(40)
③(新) ソン・ヘ 1927(韓国)  9.47(43)
④(新) 君に行く道(韓国)  9.39(159)
⑤(4) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  9.33(2,951)
⑥(7) コーダ  9.24(651)
⑦(9) 奇跡(韓国)  9.19(4,277)
⑧(-) 休暇(韓国)  9.06(63)
⑨(-) 最後の決闘裁判  9.03(871)
⑩(-) 花束みたいな恋をした(日本)  9.00(514)

 ③と④が新登場です。
 ③「ソン・ヘ 1927」は韓国のTVでおなじみのソン・ヘ[宋海]さんについてのドキュメンタリーです。現役最高齢の芸能人であり、歌手、喜劇人、DJでもあり、そして何よりも韓国一の長寿番組「全国歌自慢」のMCとして1988年以来(途中半年のブランクはありましたが)国民と喜怒哀楽を共にしてきたソン・ヘ[宋海]さん。タイトル中の<1927>は1927年生まれということ。つまり現在満94歳です。→ウィキペディア等によると、彼は現北朝鮮の黄海道に生まれ、その後朝鮮戦争中の1951年に延坪島から単身アメリカの軍艦に乗って脱北し釜山に到着したとか。「今は私の人生もピンポ~ン(大正解)です!」と語るソン・ヘさんですが、そんな彼の人生の裏話から30年ぶりに出会った<特別な贈り物>(なんだろ?)まで。誰もが知っているが誰も知らなかったソン・ヘさんの人生の物語がいろいろ盛り込まれています。原題は「송해 1927」です。
 ④「君に行く道」は韓国のドキュメンタリー。今春開催の<第22回全州国際映画祭>韓国コンペ部門で審査委員特別言級賞・ドキュメンタリー賞を受賞し、第23回ソウル国際女性映画際等々に公式招待される等、注目されている作品です。制作主体は女性主義メディア共同体の<性的少数文化人権連帯 薄桃チマ(연분홍치마)>。その10番目の作品で、「3XFTM」「レズビアン政治挑戦」「鍾路の奇跡」に続くカミングアウトシリーズ第4作です。今作でスポットが当てられたのは性少数者の両親、消防公務員34年目のナビと航空乗務員27年目のビビアン。ピョン・ギュリ監督は「彼らが話したい話を語り終えるまで記録しました。性少数者の両親もまた日常的なことを侵害されており、社会が彼らを人格体として尊重しているのか疑問です」と言います。原題の「너에게 가는 길」は「君に行く道」は「君のところに行く道」「君の方に行く道」「君に近づく道」等にする方が自然な日本語ですね。監督によれば「道は未完成のイメージ。両親が性少数者の当事者に近づく旅程であり、同時に自分がすすんであなたの方に行く道という意味を込めました」とのことです。
です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ファースト・カウ  8.40(10)
②(-) サマ  8.25(4)
③(-) 水を抱く女  8.00(6)
④(-) スパイの妻(日本)  8.00(5)
⑤(4) あの日のように抱きしめて  7.80(5)
⑥(-) アイダよ、何処へ?  7.67(3)
⑦(5) プチ・ママン  7.63(8)
⑧(6) DUNE/デューン 砂の惑星  7.50(8)
⑨(7) アネット  7.44(9)
⑩(-)モガディシュ(韓国)  7.27(11)

 新登場の作品はありません。

    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績11月19日(金)~11月21日(日) ★★★
          2ヵ月ぶりの韓国映画、「ジャンルだけロマンス」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(9)・・ジャンルだけロマンス(韓国)・・11/17 ・・・233,081・・・・・・・・331,653・・・・・・3,407・・・・・1,192
2(1)・・エターナルズ・・・・・・・・・・・・・・・11/03 ・・・・220,512 ・・・・・2,846,428・・・・・29,754 ・・・・1,257
3(3)・・DUNE/デューン 砂の惑星 ・・・10/20 ・・・・・91,314・・・・・・1,344,613・・・・・14,485 ・・・・・・674
4(2)・・江陵[カンヌン](韓国) ・・・・・・・11/10 ・・・・・42,156 ・・・・・・・280,937・・・・・・2,922・・・・・・・606
5(新)・・ディア・エヴァン・ハンセン ・・11/17 ・・・・・41,023・・・・・・・・・73,170・・・・・・・・745・・・・・・・621
6(23)・・フレンチ・ディスパッチ ・・・・・11/17・・・・・24,783・・・・・・・・・37,882・・・・・・・・420・・・・・・・273
       ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
7(4)・・アダムス・ファミリー2 ・・・・・・11/10・・・・・21,136・・・・・・・・102,961・・・・・・・・926・・・・・・・378
       アメリカ横断旅行!
8(新)・・鬼滅の刃 那田蜘蛛山編(日本)・・11/10・・・・17,411・・・・・・・・・29,665・・・・・・・・290・・・・・・・310
9(新)・・BanG Dream! FILM LIVE・・・・11/18・・・・・・5,582・・・・・・・・・・9,672・・・・・・・・102・・・・・・・・90
       2nd Stage(日本)
10(5)・・鬼滅の刃 兄妹の絆(日本) ・・・・11/10・・・・・・4,621・・・・・・・・・60,315・・・・・・・・597・・・・・・・228
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 久しぶりに韓国映画が1位。その「ジャンルだけロマンス」はそんなに抜きん出た数字というわけでもないので来週までもつかは疑問。内容は最初ドタバタめいた恋愛コメディか?と思いましたがそうでもないみたいな・・・。少なくとも主演のリュ・スンリョンの演技は観客・評論家を問わず好評のようです。
 新登場は5・6・8・9位の4作品です。
 5位「ディア・エヴァン・ハンセン」はアメリカのドラマ。日本でも11月26日公開で予告編等々諸情報が流されているので説明は省略します。韓国題は「디어 에반 핸슨」です。
 6位「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」はアメリカのコメディ。今年の<第74回カンヌ国際映画祭>コンペ部門で初上映されました。そして監督は「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014)や「犬ヶ島」(2018)のウェス・アンダーソン監督となると、それだけで私ヌルボの期待が高まります。(・・・と書きながらも、ジツは<東京国際映画祭2021>で9月末からチケット先行抽選販売してたことに気づかず見逃してしまさったんですけど。) タイトル中の<フレンチ・ディスパッチ>とは20世紀初頭のフランスの架空の都市で発行されたアメリカの雑誌「ザ・フレンチ・ディスパッチ」のこと。(そのモデルはザ・ニューヨーカーだそうです。) その編集長がある日突然に急死し、最精鋭のジャーナリストが一堂に会することに。遺言によって追悼かつ最終号が発行されることになりますが、それに載せる4つの特ダネについての話がオムニバス形式で紹介されていきます。韓国題は「프렌치 디스패치」。日本公開は来年の1月28日です。もうウェス・アンダーソンらしさが凝縮されている→予告編ができてます。待ち遠しいなー!
 8位「鬼滅の刃 那田蜘蛛山編」も「兄妹の絆」と同様9月にTV放映されていたのですね。ただコチラは劇場公開はされてないようですね。いずれにしてもTVも漫画も見てないので私ヌルボとしては何とも言えませんが・・・。韓国題は「귀멸의 칼날: 나타구모산 편」です。
 9位「BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage」、このシリーズは日本アニメの中で私ヌルボにとって一番遠くて疎い部類かもしれません。一応YouTubeにあったロングPV(→コチラ)を見てみましたが、女ノコたちの顔の見分けがつかん! ファンの人たちは髪の色&髪型で区別しているのかな ?? 韓国題は「뱅드림! 필름 라이브 세컨드 스테이지」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・恋の病・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/17・・・・・・・・・1,612・・・・・・・・3,234・・・・・・・・・・・29 ・・・・・・133
       ~潔癖なふたりのビフォーアフター~
2(2)・・アネット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/27 ・・・・・・・・1,509 ・・・・・・37,829 ・・・・・・・・・333・・・・・・・・20
3(1)・・ファースト・カウ ・・・・・・・・・・・11/04・・・・・・・・・1,171 ・・・・・・10,437・・・・・・・・・・・96・・・・・・・・24
4(11)・・ソ・ンヘ 1297(韓国)・・・・・・・11/18・・・・・・・・・1,041・・・・・・・・2,360・・・・・・・・・・・20 ・・・・・・・60
5(21)・・幸福の速度(韓国)・・・・・・・・・・11/18 ・・・・・・・・・・835・・・・・・・・3,120・・・・・・・・・・・20 ・・・・・・・18

 1・4・5位の3作品が新登場です。
 1位「恋の病 ~潔癖なふたりのビフォーアフター~」は台湾のラブロマンス。奇跡的に出会うラブコメ。日本では8月20日に公開されています。韓国題は「괴짜들의 로맨스(変人たちのロマンス)」です。
 4位「ソンヘ 1297」については上述しました。
 5位「幸福の速度」は韓国のドキュメンタリー。2人で暮らす特別な縁(正妻と2号さん)を持つ2人のおばあさんの日々を描いた「チュニ、マギ」で<第16回全州国際映画祭>(2015)のCGVアートハウス賞を受賞して長編デビューしたパク・ヒョクジ監督の3作目のドキュメンタリーの舞台は右のポスターを見てみて下さい。どこかわかりますか? 日本の、尾瀬です。尾瀬では車が入れないため、必要な物資は人が背負って運ぶしかありません。その仕事に携わっている人が歩荷(ボッカ)で、背負子(しょいこ)に70~80kg(あるいは100kg以上)の荷物を積み重ね、担いで山道を歩いて運びます。(参考記事→コチラ。)
 2016年、忘れられた昔の職業にスポットを当てるドキュメンタリーを依頼された監督が企画中に偶然目にしたのがそんな巨大な荷物を背負った歩荷の写真でした。その強烈な第一印象をきっかけに歩荷をテーマにした放送番組を演出します。その後も監督は尾瀬と歩荷が持つ魅力に導かれ、とくに2人の歩荷に焦点を絞って本作の制作に取り組みます。歩荷24年目のベテラン五十嵐さんは山小屋の主人や後輩の歩荷たちから厚い信任を受けている人物です。その仕事に誇りを持ち、毎日同じ道を歩く中でも毎瞬間新しい楽しさを感じているようです。尾瀬の冬は長いため歩荷の働ける日は半年ほどですが、彼はひたすら歩荷として働くために長い冬を黙々と待ちます。一方、石高さんは歩荷という職業を広く知らせるために物心両面で努力しています。大阪出身ですが歩荷をするために尾瀬に来たという彼は<日本青年ボッカ隊>を作って活動し、尾瀬の外にも出るなど五十嵐さんとは対照的な姿を見せます。本作はこのような2人の対比を軸に展開していくように見えますが、それによって人の生き方をより深く考えることになるという狙いとのことです。人生の省察は監督自身の思いに止まらず、観客の多くも彼らの姿から、あるいは尾瀬の自然や動植物からも、自分の人生を振り返る契機となりそうな作品、というのは観客のレビューからもうかがわれます。原題は「행복의 속도」です。
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韓国内の映画の興行成績 [11月12日(金)~11月14日(日)]と人気順位 ▶「往十里 キム・ジョンブン」等マイナーな映画から韓国の歴史や社会を垣間見る ▶観客動員数「エターナルズ」の独走続く

2021-11-18 22:45:30 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回の記事で注目の韓国映画はネチズンの人気ランキングで2位のドキュメンタリー「往十里 キム・ジョンブン」と、《独立・芸術映画》の興行ランキング3位の「アワー・ミッドナイト」です。
 韓国映画の新作を紹介する日本の記事はもちろん、<NAVER映画>等の記事でも作品の肝心な部分が抜けていることがこのところ目につきます。→先々週の記事で書いた「ツバキ(椿)」も少し調べてみて初めて麗水・順天(ヨス・スンチョン)事件関係の作品ということがわかりました。
 で、今回の「往十里 キム・ジョンブン」ですが、往十里(ワンシムニ)駅近くで長年露店で野菜等を売ったり焼き餅等の軽食を提供しているジョンブンおばあさんを撮った、よくある頑張ってるおばあさんのドキュメンタリーかなと思ったらそれだけではなく、盧泰愚政権時代に活発化した学生たちの街頭闘争の中で当時成均館大の学生だったジョンブンさんの次女キム・ギジョンさんが警察部隊の度を越したデモ鎮圧によって死亡しているのですね。今年は彼女の30周忌ということで制作されたドキュメンタリーとのことです。
 日本で警察との衝突で命を落とした学生と言えば1960年の樺美智子さん、1967年の山崎博昭君の名が思い浮かびます。が、韓国の場合→コチラの記事に書いたようにソウル大のキャンパス内だけでも拷問死した朴鍾哲(パク・ジョンチョル)君をはじめ焼身自殺した2学生等計10人を超える学生の追慕碑があり、→延世大には「1987、ある闘いの真実」カン・ドンウォンが演じた李韓烈(イ・ハニョル)君のモニュメント等があり、また他の大学にも<烈士>とよばれる闘争の犠牲者の慰霊碑等があるようです。日韓のこの数字の差は李承晩政権を倒した韓国の<4.19学生革命>(1960)以来の伝統(?)等政治風土の違いによるものか、熱くなりがちな韓国人の国民性(???)によるものか、そこらへんはよくわかりません。
 次に「アワー・ミッドナイト」は初めて出会った若い男女が夜のソウルをただ話をしながら歩くという盛り上がりに欠けるとの見方もあるものの、今の韓国の若者が抱えるいろんな悩みをすくい取った作品のようです。
 ついでにもうひとつ「1984 チェ・ドンウォン」。コチラは10年前に亡くなった80年代の韓国野球のレジェンドというべき投手チェ・ドンウォンの韓国シリーズでの活躍を回顧するドキュメンタリーです。
    
【ソウル大の朴鍾哲追慕碑(左)と、延世大の李韓烈君のよく知られた新聞写真の形象化作品 】

    ★★★ NAVERの人気順位(11月16日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(-) パクカン・アルム結婚する(韓国)  9.56(45)
②(新) 往十里 キム・ジョンブン(韓国)  9.55(20)
③ (3) 若い盛りのソンニョさん(韓国)  9.52(40)
④(4) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  9.33(2,944)
⑤(-) BanG Dream! Episode of Roselia II:Song I am.(日本)  9.29(35)
⑥(5) パリの星空の下  9.27(11)
⑦(6) コーダ  9.25(650)
⑧(9) 映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(日本)  9.22(470)
⑨(8) 奇跡(韓国)  9.19(4,205)
⑩(10) 私にはとても大切なあなた(韓国)  9.12(367)

 ②「往十里 キム・ジョンブン」が新登場。<往十里[ワンシムニ]>はソウル市城東区にある街。中央電鉄線、地下鉄2号線と5号線の駅がある交通の要地で、駅ビルには大型スーパーEマートや映画館等もあります。本作は、その往十里駅11番出口で50年以上露店を営んできた最古参の80歳キム・ジョンブンさんについてのドキュメンタリーです。
 この露店は、経済的な意志が少し足りない夫に代わってジョンブンさんが子供に食べさせ、着るものを着せ、勉強させようと始めた店ですが、子供たちのことが片付いた後もずっとそこの路上でで商売を続けています。
 30年前、ジョンブンさんは次女のキム・ギジョンさんをやはり路上で亡くしました。(私ヌルボ、最初は交通事故?と思いましたが・・・。) ギジョンさんは1991年当時24歳で、成均館大学の3年生でした。同年4月に明知大学の学生運動家カン・ギョンデ君が<学園自主化・盧泰愚政権打倒>を掲げた集会・デモに参加した時<白骨団>(=警察デモ鎮圧部隊の別称)に捕まり、鉄パイプで頭部を強く叩かれて死亡しましたが、その後抗議の闘争が繰り広げられる中、ギジョンさんは翌5月ソウル市中区筆洞でデモの途中催涙弾の洗礼を浴びる中で<白骨団>により路地に追い込まれ、殴打された末に圧迫・窒息死したとのことです。以後ギジョンさんの同窓の友人たちはお正月と母の日、そしてジョンブンさんの誕生日には忘れずに訪れるそうです。ギジョンさんと同じ花のような年齢だった彼らも今は50代になりました。本作では路上で娘を亡くしてもまた別の子供たちを抱くジョンブンさんの姿を通じて都市の変化も合わせて辿ります。
 実はこの作品はキム・ギジョン烈士の30周忌を記念するために作られたドキュメンタリーだそうです。しかし本作はこの事実を最初から明かさず、露店商キム・ジョンブンさんの人間的な姿だけを序盤で撮り、中盤に入ってからキム・ギジョン烈士の話に入ります。この後成均館大同期生のインタビューと共にギョジョンさんの追悼のようすを映しています。彼女の忌日になると墓を訪ねる学生が数百人もいて数十台のバスに分乗して墓所に向かったとか・・・。原題は「왕십리 김종분」です。
 それにしても、冒頭でも書きましたが韓国で過去デモに参加して警官隊の過剰な実力行使で死亡したり、抗議の焚身自殺の道を選んだりした学生の数の多さには驚くばかりです。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ファースト・カウ  8.40(10)
②(2) グリーン・ナイト  8.20(5)
③(3) ノマドランド  8.00(8)
④(4) あの日のように抱きしめて  7.80(5)
⑤(5) プチ・ママン  7.63(8)
⑥(6) DUNE/デューン 砂の惑星  7.50(8)
⑦(7) アネット  7.44(9)
⑧(9) 終着駅(韓国)  7.20(5)
⑨(新) 言葉と行動(ラヴ・アフェアズ)  7.17(6)
⑩(10) ファーザー  7.13(8)

 ⑨「言葉と行動(ラヴ・アフェアズ)」が新登場です。フランスのドラマ&ラブロマンス。昨年の<第33回東京国際映画祭>で上映された作品です。作家志望のマクシム(ニルス・シュナイダー)は執筆のためバケーションを田舎で過ごしている従兄フランソワ(ヴァンサン・マケーニュ)の別荘を訪れますが、フランソワは病気の同僚の仕事を肩代わりするため急遽パリに行くことになり数日は戻れないということで、妊娠3か月の奥さんダフネ(カメリア・ジョルダナ)が1人で彼を迎えることになります。そしてダフネとマキシムは4日間フランソワの帰りを待ちますが、その間互いの身に起きている愛の物語を語り合います。「欲望と愛情の違いとは?」、「既婚の相手に対し一歩踏み出せるか?」、「成就しなかった恋に再挑戦できるか?」等々。そんな親密な語らいは彼らを近づけていきます・・・。韓国題は「러브 어페어 : 우리가 말하는 것, 우리가 하는 것(ラヴ・アフェア : 私たちが話すこと、私たちがすること)」。日本での一般劇場公開はないのかなと思ったら、今年3月東京のユーロスペースを皮切りに大阪・京都・広島等で開催されてきた<映画批評月間 フランス映画の現在 vol.3>で上映される17作品中に入っていました。そして横浜在住の私ヌルボの近所のシネマ・ジャック&ベティでも明後日11月20日(土)~12.10(金)にこの特集上映があるとは何という偶然! 「言葉と行動」は11月22日(月)と12月2日(木)・9日(木)の3回上映されます。詳しくは→コチラと→コチラを参照されたし。

    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績11月12日(金)~11月14日(日) ★★★
          2週連続1位「エターナルズ」の独走続く

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・エターナルズ・・・・・・・・・・・・・・・11/03・・・・・501,264 ・・・・・2,465,865・・・・・25,872 ・・・・1,976
2(新)・・江陵[カンヌン](韓国) ・・・・・・11/10 ・・・・125,629 ・・・・・・・185,360・・・・・・1,939・・・・・・・760
3(2)・・DUNE/デューン 砂の惑星 ・・・10/20 ・・・・124,980 ・・・・・1,198,415・・・・・12,839 ・・・・・・748
4(35)・・アダムス・ファミリー2 ・・・・11/10・・・・・・60,607・・・・・・・・・73,711・・・・・・・・672・・・・・・・748
       アメリカ横断旅行!
5(新)・・鬼滅の刃 兄妹の絆(日本) ・・・11/10・・・・・・29,172・・・・・・・・・48,341・・・・・・・・482・・・・・・・383
6(3)・・ヴェノム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/13・・・・・・14,408・・・・・・2,109,675・・・・・20,986 ・・・・・・337
       :レット・ゼア・ビー・カーネイジ
7(4)・・ロン 僕のポンコツ・ボット・・・10/27・・・・・・・8,007・・・・・・・・150,623・・・・・・1,367・・・・・・・170
8(新)・・tick, tick... BOOM! ・・・・・・・・11/12 ・・・・・・7,028 ・・・・・・・・・・7,028・・・・・・・・・63・・・・・・・108
       : チック、チック...ブーン!
9(新)・・ジャンルだけロマンス(韓国)・・11/17 ・・・・・3,800・・・・・・・・・11,100・・・・・・・・・98 ・・・・・・・・21
10(31)・・1984 チェ・ドンウォン(韓国)・・11/12 ・・・3,669・・・・・・・・・・6,523・・・・・・・・・61・・・・・・・168
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は2・4・5・8・9・10位の6作品です。
 2位「江陵[カンヌン]」は韓国の犯罪&アクション。
江陵[カンヌン]は七夕で知られる日本海に面した都市。キルソク(ユ・オソン)はその地の最大組織の一員です。平和と義理を重要視し、秩序を守って生きてきた彼の前に、江陵最大のリゾート所有権を狙う男ミンソク(チャン・ヒョク)が現れます。最初の出会いから冷めた雰囲気が漂う2人。ミンソクが自身の目標のために本格的に動き出し、2つの組織間で手のつけようのない戦いが始まります・・・。原題は「강릉」です。
 4位「アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!」はアメリカのファンタジー・アニメ。モンスター一家のアダムス家の物語「アダムス・ファミリー」(2019)の続編です。
アダムス夫妻の2人の子供ウエンズデーとパグズリーは思春期に入り、倦怠した家族の雰囲気に危機を感じます。そこでパパとママが家族の和合のために実行したのはアメリカ横断家族旅行。ナイアガラの滝からグランドキャニオンまでの壮大な旅に出発します。が、なんだか生まれから格別だったウェンズデーの驚くべき秘密が明らかになる・・・って? 韓国題は「아담스 패밀리 2」。日本公開は来年です。
 5位「鬼滅の刃:兄妹の絆」は日本では2019年3月公開か。その時は「無限列車編」のようにヒットしたわけでもないようですが、この9月だかTV放映されていたとか。ただ韓国での観客の評価を見ると7.3/10前後で「無限列車編」より2.0ポイントほど低いんですよね・・・。韓国題は「귀멸의 칼날: 남매의 연」です。
 8位「tick, tick... BOOM!: チック、チック...ブーン!」はアメリカのドラマ。ミュージカルの作曲家ジョナサン・ラーソンの自伝ミュージカルを映画化した作品です。日本でも韓国と同日公開されているので説明は省略します。韓国題は「틱, 틱... 붐!」です。
 9位「ジャンルだけロマンス」は韓国のドラマ&コメディ。ヒョン(リュ・スンリョン)はベストセラー作家、とは言っても目下7年目のスランプに陥っています。彼の古い友人スンモ(キム・ヒウォン)はヒョンの元妻ミエ(オ・ナラ)と秘密恋愛中。そのミエはスンモには甘い姿を見せる一方、ヒョンには養育問題等で厳しく対応というのは当然か。ヒョンのアパートの屋上部屋には作家志望の弟子ユジン(ム・ジンソン)が住むが師とは主客転倒関係? またヒョンの従妹でほとんどの時間を家庭で過ごしているチョンウォン(イ・ユヨン)というミステリアスな女性も登場して、彼らの間の平凡でないロマンスで絡み合った私生活が明らかになっていきます・・・。原題は「장르만 로맨스」です。
 10位「1984 チェ・ドンウォン」は韓国のドキュメンタリー。チェ・ドンウォン[崔東原](1958~2011)は、KBOリーグ(韓国プロ野球)発足2年目の1983年に釜山が本拠のロッテ・ジャイアンツに入団し、80年代を通じて<鉄腕><釜山の心臓><の闘魂>等と呼ばれたレジェンドとも言うべき投手で、ロッテ・ジャイアンツは彼の背番号11番を永久欠番にしています。本作はそのチェ・ドンウォンのプロ2年目の1984年の韓国シリーズに焦点を絞り、絶対強者のサムスンライオンズを相手に、チェ・ドンウォンの活躍を中心に奇跡のような優勝を遂げた時を回顧します。本作は、今年が2011年大腸がんで亡くなったチェ・ドンウォン投手の10周忌ということで作られたようです。原題は「984 최동원」です。※おりしも韓国では14日から優勝をかけたKTウィズと斗山ベアーズの韓国シリーズの真っただ中・・・って、この時期に公開日を合わせたのでしょう。14日から始まり、KTウィズがここまで3連勝で初制覇に王手をかけ、今日18日の第4戦はちょうど今(18日午後16分頃)KTが勝って優勝を決めたところです。※韓国シリーズの方式は日本シリーズ以上にヤヤコシイですが、→コチラの記事を参照されたし。また韓国プロ野球と言えばこの方、→<span style="color:limegreen;">室井昌也さんのツイッター(→コチラ)も。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(2)・・ファースト・カウ ・・・・・・・・・・・11/04・・・・・・・・・2,132・・・・・・・・8,024・・・・・・・・・・・73・・・・・・・・35
2(1)・・アネット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/27・・・・・・・・・1,409 ・・・・・・35,524 ・・・・・・・・・312・・・・・・・・31
3(18)・・アワー・ミッドナイト(韓国)・・11/11・・・・・・・・1,092・・・・・・・・2,229・・・・・・・・・・・17 ・・・・・・・44
4(39)・・言葉と行動(ラヴ・アフェアズ)・・11/21・・・・・・1,082・・・・・・・・2,458・・・・・・・・・・・20 ・・・・・・・28
5(14)・・ニュー・オーダー・・・・・・・・・・・11/11 ・・・・・・・・・・929・・・・・・・・1,667・・・・・・・・・・・15 ・・・・・・・30

 3・4・5位の3作品が新登場です。
 3位「アワー・ミッドナイト」は韓国のドラマ。無名の俳優ジフン(イ・スンフン)は学校の練習室と屋上部屋と行き来し、半分失業者のように暮らしています。長くつき合った恋人は彼に結婚を知らせて別れを告げました。会社員のウニョン(パク・ソウン)は社内恋愛中に彼氏からひどい暴力を受け、警察に申告しましたが、会社でも噂の当事者となり抑圧を日々感じています。ジフンが漢江秘密パトロールのアルバイトを始めた日の夜遅く、彼は偶然橋の上で倒れたウニョンを救います。こうして出会った2人は言葉を交わし、缶ビールを手にソウルの夜の街を歩き、また歩きます。映画、友人、家族等たわいのないな話から人生や夢についての話まで。とくに劇的な要素もない展開ですが、いつの間にか彼らの話に耳を傾けて共感することになるのではないでしょうか・・・? 原題は「아워 미드나잇」です。
 4位「言葉と行動(ラヴ・アフェアズ)」については上述しました。
 5位「ニュー・オーダー」はメキシコのドラマ。これまで<カンヌ国際映画祭>のある視点部門でグランプリを受賞した「父の秘密」(2012)等で高い評価を得てきたミシェル・フランコ監督の2020年の作品です。舞台は202×年の仮想の未来のメキシコ。街には不安が沸騰しています。マリアンと家族が高級マンションで豪華な結婚パーティーを楽しんでいる渦中、社会全域では深刻なレベルの暴力デモが広がっています。マリアンたちの邸宅にもデモ隊が侵入して阿修羅場となり、病気の乳母を助けるために家を出たマリアンは衝撃的な出来事に巻き込まれます。韓国題は「뉴 오더」。日本公開は未定のようです。
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韓国内の映画の興行成績 [11月5日(金)~11月7日(日)]と人気順位 ▶「エターナルズ」が新登場で100万人超え1位 ▶韓国でも記者・評論家の圧倒的支持! 「ファースト・カウ」の日本公開はあるの?

2021-11-10 20:01:40 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今年は例年より2割ほど多いペースで映画を観ています。1週間に約3本で、年間150本に届くかどうか?といったところ。その分読書等の時間も減るし、生活費も切り詰めなくちゃということになり、反省点がたくさん。映画の短評も書くつもりではいるものの書かないまま何ヵ月も経ってしまいました。
 ということで、とりあえず7月以降に観た53作品の中からこれはぜひオススメ!という作品を列挙します。(といっても、すでに上映が終わったものがいくつもありますが・・・。) ※新作・旧作ごちゃまぜ。
 「お引越し」・「逃げた女」・「ヘヴンズ ストーリー」・「サマーフィルムにのって」・「アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3/Bプログラム:岡本忠成作品」(の中の「「おこんじょうるり」」)・「ドライブ・マイ・カー」・「子供はわかってあげない」・「座頭市物語」・「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」・「ソウルメイト/七月と安生」・「ルパン三世 カリオストロの城」・「カウラは忘れない」・「モーリタニアン 黒塗りの記録」・「リスペクト」・「サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜」
「ドライブ・マイ・カー」と目下上映中の「サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜」必見!です。
     
【「ヘヴンズ ストーリー」の上映後トークで来館の山崎ハコさんと、いただいたサイン】

▶今回の興行成績ランキングは10位までにアメリカ映画が7作品とほぼ席捲というレベル。その中で個人的に注目したのは「ファースト・カウ」「セバーグ」。とくに前者は今年7月からシアター・イメージフォーラムを皮切りに各地で特集上映が続いている<ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ>の、そのケリー・ライカート[ライヒャルト]監督の作品で、スリリングな展開と語り口は意識的に避けるという監督の姿勢は一貫していると見えて、「眠くなる」という感想も多いようですが、そこが<取り柄>かも・・・。(詳しくは下の記事で。) アメリカ等でも一般の映画ファン以上に批評家から絶賛されているようだし、下記の記者・評論家の人気ランキングでも1位だし、こういう作品はスルーされないだろうとは思いますが、今のところ日本公開は未定のようです。
 「セバーグ」は、ブラック・パンサー等をサポートしたためFBIからマークされていた女優ジーン・セバーグがそのために精神面でバランスを崩して・・・という事実に基づくはなしですが、FBIからマークされて・・・という事実に基づく話のようです。で、コチラも日本公開未定のようなんですね。日本公開の場合でも韓国に数ヵ月~1年程度遅れをとるのは日本では公式サイトを作ったり等の事前準備を要するため云々といった記事を読んだりもしましたが、どうにかならんですかねー・・・。

    ★★★ NAVERの人気順位(11月9日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(新) 共鳴の誕生(韓国)  9.80(10)
②(3) 学校に行く道(韓国)  9.57(162)
③(4) 若い盛りのソンニョさん(韓国)  9.49(37)
④(5) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  9.33(2,936)
⑤(新) パリの星空の下  9.27(11)
⑥(6) コーダ  9.25(624)
⑦(8) ロン 僕のポンコツ・ボット  9.22(577)
⑧(7) 奇跡(韓国)  9.21(4,077)
⑨(9) 映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(日本)  9.22(457)
⑩(-) 私にはとても大切なあなた(韓国)  9.12(365)

 ①と⑤の2作品が新登場です。
 ①「共鳴の誕生」は韓国のドキュメンタリー。小児麻痺の孤児で片耳の聴力さえ喪失した彼を抱いてくれたのは太鼓作りの職人でした。この厳しい世の中で生き残るためには太鼓を作らなければならないという師匠の教えを心に刻み、歯を食いしばって耐えてきた60年。70歳を控えているイム・ソンビン楽器匠は、残された片耳の聴力までも失うだろうという悲報に接して、幼い頃初めて聞いたあの音を盛り込んだ太鼓を作るために23年間のとっておきの木を取り出します。しかし天気も体も、伝授相手の息子トングクとの協業も思うようにはいかないのですが、60年の間頭の中を離れることのなかった最初の太鼓の音の響きが出せる太鼓を作ることができるだろうか、それが彼の一番の気がかりです・・・。原題は「울림의 탄생」です。
 ⑤「パリの星空の下」はフランスのドラマ。人知れぬ事情や心の傷のためホームレスとしての人生を送ることになった女性クリスティーヌ(カトリーヌ・フロ)。世間の無視と冷遇の中で人生を続けてきた彼女の前に、寝場所も母やも失くしたアフリカの難民少年スーリー(マハマドゥ・ヤッファ)が現れます。互いに話すことはありませんが、クリスティーヌはスーリーのお母さんをみつける探すために人々の冷たい視線に耐えながら自分が飾ってきたすべてを投げうちます。夜空を彩る星のように数多くの人々が一人で闇に耐えているというパリを舞台に、疎外された彼らが作った奇跡の物語です・・・。韓国題は「파리의 별빛 아래」。日本公開は未定です。※参考→パリで(?)観た方のブログ記事。ことのついでに同ブログの→パリで観た「ドライブ・マイ・カー」(と観客の反応等)の記事

     【記者・評論家による順位】

①(新) ファースト・カウ  8.40(10)
②(1) グリーン・ナイト  8.20(5)
③(2) ノマドランド  8.00(8)
④(-) あの日のように抱きしめて  7.80(5)
⑤(4) プチ・ママン  7.63(8)
⑥(5) DUNE/デューン 砂の惑星  7.50(8)
⑦(6) アネット  7.44(9)
⑧(7) モガディシュ(韓国)  7.27(11)
⑨(8) 終着駅(韓国)  7.20(5)
⑩(9) ファーザー  7.13(8)

 ①「ファースト・カウ」が新登場ですが、この作品については後述します。

    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績11月5日(金)~11月7日(日) ★★★
          1位「エターナルズ」等アメリカ映画が7作品

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・エターナルズ・・・・・・・・・・・・・・11/03・・・1,138,949・・・・・・1,614,781・・・・・16,962 ・・・・2,646
2(1)・・DUNE/デューン 砂の惑星 ・・・10/20 ・・・・126,493 ・・・・・・・999,695・・・・・10.673 ・・・・・・680
3(2)・・ヴェノム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/13・・・・・・47,164・・・・・・2,077,536・・・・・20,656 ・・・・・・777
       :レット・ゼア・ビー・カーネイジ
4(3)・・ロン 僕のポンコツ・ボット・・・10/27・・・・・・33,893・・・・・・・・135,066 ・・・・・1,230・・・・・・・539
5(6)・・オクトノーツと地上のミッション・・10/27・・6,434・・・・・・・・・19,732 ・・・・・・・170・・・・・・・168
6(7)・・アネット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/27・・・・・・・3,186・・・・・・・・・29,010 ・・・・・・・174・・・・・・・・78
7(新)・・セバーグ・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/04 ・・・・・・・3,155・・・・・・・・・・6,058 ・・・・・・・・59・・・・・・・101
8(10)・・奇跡(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・9/15・・・・・・・2,530 ・・・・・・・700,927 ・・・・・6,536・・・・・・・・37
9(新)・・BILLIE ビリー・・・・・・・・・・・・・11/04 ・・・・・・・2,456・・・・・・・・・・4,034 ・・・・・・・・42・・・・・・・・67
10(89)・・ファースト・カウ ・・・・・・・・・11/04 ・・・・・・・2,391・・・・・・・・・・3,666 ・・・・・・・・33・・・・・・・・34
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1~4位、そして7・9・10位の計7作品がアメリカ映画とは、少なくともこの10年はなかったのではと思います。
 新登場は1・7・9・10位の4作品です。
 1位「エターナルズ」はアメリカのアクション&ファンタジー。日本でも2日遅れの5日に公開されているので説明を省略します。韓国題は「이터널스」です。
 7位「セバーグ」は、アメリカのドラマ&スリラー。タイトルはジーン・セバーグ(1938~79)のこと。ジャン=リュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」(1959)に主演する等1950年代末~70年前後にヌーヴェルヴァーグの寵児となった女優です。彼女は公民権運動や反戦運動に強い関心を持ち、映画の舞台は1968年。パリの五月革命等々世界各地でさまざまな政治・社会運動が起こった激動の60年代のピークともいうべき年です。当時パリに住んでいたジーン・セバーグ(クリステン・スチュワート)は、ハリウッドでの仕事のため空路アメリカに向かいます。そこへ1人の黒人男性が客室乗務員に差別があったと怒鳴り込んできます。彼の名はハキーム・ジャマル(アンソニー・マッキー)。あのマルコムXのいとこの黒人活動家でした。セバーグはLAの空港に降り立つと、記者に囲まれるジャマルの横で他の黒人活動家たちと共に抗議の拳を振り上げます。そして彼女は夜遅くLAの自宅を出てジャマルたちのアジトを訪れ、ウィスキーを緒に飲み、彼と一夜を共に過ごします。しかしその一部始終はFBIに盗聴されていました。FBIは早くからジャマルをマークし、彼の家やアジト等の全てを盗聴していて、その後彼と親密になったセバーグも捜査の対象になってしまいます。そしてジャマル同様自宅も宿泊先のホテルも、全てが盗聴されることに。どこへいっても監視される日々の中で彼女の心は病んでいきます・・・。韓国題は「세버그」。日本公開は未定のようですが・・・。
 9位「BILLIE ビリー」は、ジャズシンガー、ビリー・ホリデイを題材にしたイギリスのドキュメンタリー。日本では(めずらしく)韓国より4ヵ月早い7月に公開されていて、私ヌルボも観ました。韓国題は「빌리 홀리데이」です。彼女があの有名な「奇妙な果実」をNYのナイトクラブ、カフェ・ソサエティで歌っているライブ映像があり、その場にいた白人の客がぞろぞろ出ていくようすも映っているとは思いませんでした。※「奇妙な果実」をご存知ない方は→コチラでぜひ聴いてみてください。(歌詞対訳。閲覧注意です。)
 10位「ファースト・カウ」はアメリカのドラマ。配給は話題のA24です。2020年12月発表の<第86回ニューヨーク批評家協会賞>では「ノマドランド」等を抑えて作品賞を受賞する等、多数の映画賞を受賞しました。物語の舞台は西部開拓時代、1820年のアメリカ。腕利きの料理人クッキー(ジョン・マガロ)は思うように稼げない状況を打開しようとオレゴン州へと向かい、毛皮を取る猟師たちのグループに加わります。そこでロシア人に追われていたルー(オリオン・リー)という中国人を救ってやったことがありましたが、数年後定住した村でクッキーはルーと再会することに。そして2人は金儲けを企てますが、商売の元手も工面できない有り様。そんなある日、2人が暮らす村の村長ファクター(トビー・ジョーンズ)が極上のミルクを出す雌牛を買い付けたことを知り、夜の闇に紛れてその牛のミルクを搾り取り、それを元にクッキーやケーキを作って売り出したところあっという間に大人気! ところがこんなヤクザな商売が長続きするはずがないのが世の常で・・・。韓国題は「퍼스트 카우」。日本公開は未定。ハラハラドキドキの作品ではなく友情の物語です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・アネット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/27・・・・・・・・・3,186 ・・・・・・29,010 ・・・・・・・・・259・・・・・・・・78
2(33)・・ファースト・カウ ・・・・・・・・・・11/04・・・・・・・・・2,391・・・・・・・・3,666・・・・・・・・・・・33・・・・・・・・34
3(3)・・ツバキ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・10/21・・・・・・・・・・・976・・・・・・・10,348・・・・・・・・・・・77 ・・・・・・・17
4(5)・・2度と雪は降らない・・・・・・・・・・10/20 ・・・・・・・・・・514・・・・・・・・7,689・・・・・・・・・・・55 ・・・・・・・17
5(65)・・クリーム・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/04 ・・・・・・・・・・460・・・・・・・・・・600・・・・・・・・・・・・5・・・・・・・・22

 2・5位の2作品が新登場です。
 2位「ファースト・カウ」については上述しました。
 5位「クリーム」はハンガリーのラブロマンス。真の愛だと信じていた恋人に裏切られ、毎日涙に暮れていた悲恋の女性ドラ(ヴィツァ・ケレケシュ)。泣きっ面に蜂で、人生の唯一の太鼓判デザートカフェ、<クリーム>まで失う危機にさらされます。カフェを蘇らせるための打開策として<家族事業対象支援大会>に参加するため、ドラは歯科医のマルシー、隣家の子供ラシカと契約して家族を急造して、賞金を獲得するための孤軍奮闘を始めます。ところが元カレとその妻が競争相手として登場するという笑えるけど悲しい状況の中で、ドラはマルシーにますます惹かれていくのですが・・・。韓国題は「크림」。日本公開は未定のようです。
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韓国内の映画の興行成績 [10月29日(金)~10月31日(日)]と人気順位 ▶韓国旅行で必要不可欠な言葉は<ファジャンシル、オディエヨ?> ▶初めて知ったKATUSA=駐韓米軍に配属された韓国陸軍

2021-11-03 18:13:24 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶私ヌルボ、韓国で公開されている日本映画の半分以上は観てないのでは?と思います。(とくにアニメ。) 今回の記事で初登場の作品中「これは観たゾ!」というのが「アジアの天使」。石井裕也監督作品&韓国ロケということで7月に観ました。が、少し期待しすぎたかも・・・。相互理解は個人間では相当程度まで可能だと思いますが、深い理解となると歴史や価値観、一般常識等も違うし、さらに国レベルとなると、国としての、また個々人にとってもアイデンティティに関わるからなー・・・。
 それはそれとして、作中「この国で必要な言葉は<メクチュ・チュセヨ>(ビール下さい)と<サランヘヨ>(愛してる)だ」というセリフがありましたが、私ヌルボとしては<サランヘヨ>よりもはるかに<ファジャンシル、オディエヨ?>(トイレどこですか?)の方が必要不可欠だと思います。まあ映画のフンイキに合うかどうかは別問題ですけど・・・(笑)。

▶今回の記事中で注目の韓国映画は、人気ランキングで1位の「いしょに行っきましょう」(仮)です。後述のように原題「가치 캅시다」の訳し方がむずかしく、無い知恵を絞って仮題をつけました。兵役関係の話ですが、内容は兵役も含めた韓国社会の現実に関わる作品のようです。※「韓国で英語が少しできる男なら夢見る兵役の志願先」というのことは初めて知りました。

▶昨日から始まった韓国文化院主催の<コリアン・シネマ・ウィーク2021>。2日の「担保」、3日の「私は私を解雇しない」(右画像)、6日の「最善の人生」と、観たかった3作品がそろってハズレ。とほほ。その代わりに今夜は「モーリタニアン 黒塗りの記録」でも観に行こうかな・・・。

    ★★★ NAVERの人気順位(11月2日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(新) いしょに行っきましょう(韓国)  9.58(36)
②(3) シャーマン・ロード(韓国)  9.58(19)
③(-) 学校に行く道(韓国)  9.57(161)
④(1) 若い盛りのソンニョさん(韓国)  9.49(35)
⑤(5) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  9.34(2,927)
⑥(4) コーダ  9.23(3,846)
⑦(6) 奇跡(韓国)  9.22(3,797)
⑧(新) ロン 僕のポンコツ・ボット  9.22(577)
⑨(8) 映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(日本)  9.22(442)
⑩(-) ブルー・バイユー  9.12(56)

 ①と⑧の2作品が新登場です。
 ①「いしょに行っきましょう」(仮)は韓国のドラマ。原題は「가치 캅시다」なのですが、このハングルの綴りは誤りで、正しくは「같이 갑시다(一緒に行きましょう)」と書きます。どちらもカタカナだと<カッチカプシダ>なのですが、少しだけ違う程度。意味はわかるが書き方が違うゾということで仮題をつけてみました。韓国人男性の義務である兵役に関わる作品です。韓国で英語が少しできる男なら夢見る兵役の志願先はKATUSA(駐韓米軍に配属された韓国陸軍)。TOEICだと780点以上程度の語学力が求められ、名門大や裕福な家庭出身のエリートたちがほとんど占有しています。ところが最終学歴高卒の兵長チュ・ヘジン(キム・ギヒョン)は学閥・地縁・血縁等あらゆる差別が幅をきかす韓国を脱出するための突破口としてこのKATUSAをめざします。あらゆる侮辱にも我慢の笑みを失わず最善を尽くした結果、やっと米軍入隊が目前に・・・というところで思わぬ窃盗事件に巻き込まれ、嘆願書に5人の署名をもらわなければならない羽目に。ヘジンはやっとの思いでその難関を乗り越えますが、その先にもう1つ、最後の手続きが残っていました・・・。
 ⑧「ロン 僕のポンコツ・ボット」は日本でも10月22日から公開されているので説明は省略します。韓国題は「고장난 론(壊れたロン)」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) グリーン・ナイト  8.20(5)
②(-) ノマドランド  8.00(8)
③(2) イントロダクション(韓国)  7.67(3)
④(3) プチ・ママン  7.63(8)
⑤(4) DUNE/デューン 砂の惑星  7.50(8)
⑥(新) アネット  7.44(9)
⑦(7) モガディシュ(韓国)  7.27(11)
⑧(8) 終着駅(韓国)  7.20(5)
⑨(9) ファーザー  7.13(8)
⑩(10) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  7.00(9)

 ⑥「アネット」が新登場ですが、この作品については後述します。

    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月29日(金)~10月31日(日) ★★★
         「DUNE/デューン 砂の惑星」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(2)・・DUNE/デューン 砂の惑星 ・・・10/20 ・・・・243,540 ・・・・・・・762,528・・・・・・8,062 ・・・・1,415
2(1)・・ヴェノム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/13・・・・・193,785 ・・・・・1,974,742・・・・・19,592 ・・・・1,296
       :レット・ゼア・ビー・カーネイジ
3(55)・・ロン 僕のポンコツ・ボット・・10/27・・・・・・60,295・・・・・・・・・84,650 ・・・・・・・757・・・・・・・904
4(5)・・ボイス(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・9/15・・・・・・11,331 ・・・・・1,410,691・・・・13,894・・・・・・・290
5(3)・・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ・・9/29・・・・・・10,597・・・・・1,218,848 ・・・・11,914・・・・・・・245
6(54)・・オクトノーツと地上のミッション・・10/27・・10,392 ・・・・・・11,596 ・・・・・・・100・・・・・・・205
7(57)・・アネット・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/27・・・・・・・9,614・・・・・・・・・20,074 ・・・・・・・174・・・・・・・321
8(4)・・最後の決闘裁判・・・・・・・・・・・・・10/20・・・・・・・8,469・・・・・・・・・52,560 ・・・・・・・502・・・・・・・226
9(新)・・アフター 砕かれる心 ・・・・・・・10/27・・・・・・・6,728・・・・・・・・・13,589 ・・・・・・・120・・・・・・・341
10(4)・・奇跡(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・9/15・・・・・・・6,002 ・・・・・・・692,991 ・・・・・6,483・・・・・・・189
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は3・6・7・9位の4作品です。
 3位「ロン 僕のポンコツ・ボット」は、上述のように日本でも公開されているので説明を省略します。
 6位「オクトノーツと地上のミッション」は、韓国でもTV放映されているイギリスBBCの子供向きTVアニメシリーズで、本作はその劇場版の最新作。毎回動物たちのエージェント集団オクトノーツがタコ状の乗り物に乗って出動します。今回のオクトーナツは海の嵐に巻き込まれて偶然砂漠に上陸するところから始まります。ゾウのいる熱帯からアザラシやトナカイのいる寒帯まで、海岸から砂漠まで、深い海から高い山頂まで。これまで海を舞台に活躍してきたオクトノーツは陸地にもさまざまな問題があることを知ります・・・。韓国題は「바다 탐험대 옥토넛 : 육지수호 대작전(海の探検隊 オクトノーツ:陸水号 大作戦)」。日本ではNetflixで配信されています。
 7位「アネット」は、フランス・ドイツ・ベルギー・日本・メキシコ合作のミュージカル。これまで「ポンヌフの恋人」等の長編5作品がいずれも高評価を得ているレオス・カラックス監督作品です。今年の<第74回カンヌ国際映画祭>のオープニングとして上映され、監督賞を受賞しました。舞台はロサンゼルス。スタンドアップコメディアンのヘンリー(アダム・ドライバー)はキャリアの低迷に悩まされていました。そんなある日彼はオペラ界のスター歌手アン(マリオン・コティヤール)と恋に落ち、そのまま結婚します。ヘンリーのキャリアは結婚後も落ち目になる一方で、自分以上の成功を収めるアンに嫉妬心を募らせます。やがて2人の間に娘アネット(デヴィン・マクダウェル ※最初から結構長くパペット)が生まれます。彼女には母親譲りの歌の才能があり、ヘンリーはその才能を磨くことに存在意義を見出すようになりました。しかしアネットを通したヘンリーの自己実現は徐々に狂気をはらみ始めます・・・。韓国題は「아네트」。日本公開は2022年です。いろいろ<ユニーク>なミュージカルのようで、観た人のレビューを読むと波長が合わない人もわりといるようですが、はたして・・・。
 9位「アフター 砕かれる心」は、チャラ男ハーディン(ヒーロー・ファインズ=ティフィン)がナンパで知り合った名門大学の女子学生テッサ(ジョセフィン・ラングフォード)との出会い→「アフター」(2019)、就職後→「アフター -壊れる絆-」(2020)に続くアメリカのラブロマンスシリーズの第3弾。ハーディンとテッサは夢の実現のためにしばらく互いに離れることになりました。それぞれロンドンとシアトルという長距離恋愛を前に、2人は時と場所を選ばず甘い愛をささやきます。しかし恋愛と夢の分かれ道に立った2人はお互いに隠していた<誰か>の存在へと、予想外の秘密まで知り、恋のクライマックスに突き進むのですが・・・。韓国題は「애프터: 관계의 함정(アフター: 関係の落とし穴)」。日本では劇場です公開はなく、Netflixでの配信のみです。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(18)・・アネット・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/27・・・・・・・・・9,614・・・・・・20,074・・・・・・・・・・174・・・・・・・321
2(13)・・アジアの天使(日本)・・・・・・・・10/28・・・・・・・・・1,893 ・・・・・・・4,458・・・・・・・・・・・34・・・・・・・・95
3(2)・・ツバキ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・10/21・・・・・・・・1,207・・・・・・・・6,394・・・・・・・・・・・49 ・・・・・・・31
4(5)・・若い盛りのソンニョさん(韓国)・・10/21・・・・・・・・885・・・・・・・・4,755・・・・・・・・・・・31 ・・・・・・・30
5(1)・・2度と雪は降らない・・・・・・・・・・10/20 ・・・・・・・・・・686・・・・・・・・6,015・・・・・・・・・・・43 ・・・・・・・36

 1・2位の2作品が新登場です。
 1位「アネット」については上述しました。
 2位「アジアの天使」については冒頭で書きました。韓国題はなぜか「당신은 믿지 않겠지만(あなたのことは信じないけど)」です。
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