ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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ツルニンジン? ケンポナシ? 日本ではなじみのない韓国の食材

2019-08-26 23:23:12 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 今年2~3月の韓国旅行の記録については、次の2つの記事にまとめました。
 → 雑談・韓国旅行(2019年2~3月) [その1]「パイノパイノパイ」のことなど
 → 雑談・韓国旅行(2019年2~3月) [その2]弘大(ホンデ)の和食店、トゥムルモリ等々のこと
 7泊8日の旅だったので、ネタは一杯。かなり端折って書きましたが、今回はそのこぼれ落ちた部分から、新たに仕入れた小ネタを紹介します。

 清渓川の基点、つまり、あの赤と青の巻貝のオブジェからすぐの所では、大綱引き大会に備えて巨大な綱を作っていました。(下左) 日本でも北海道から沖縄まで全国各地で大綱引きが行われていますね。

   
 この大綱引きは記事の本論とは関係ナシ、です。
 綱引きの場所のすぐ南側。清渓川沿いの道で歩道に埋め込まれたプレートが目に留まりました。(上右)
 何だろう?と思って見てみると・・・。

   
 <한성권번 터(漢城券番址>とあります。(日本ではふつう「検番(or見番)」と表記するが、朝鮮では「券番」。)
 その説明文を読むと、次のように書かれています。
 日帝強占期に制度的に女性の人権を弾圧した代表的な妓生組合があった場所
 うーん、なんかすごく一面的だなー。券番には妓生の管理という側面だけでなく、伝統的な技芸の伝習といった面もあったことは、→学問的な論文を読むまでもなく、いろんな一般書や、券番を舞台にしたハン・ヒョジュとチョン・ウヒ主演の映画「愛を歌う花」を見ればおおよそわかるのに・・・。

 この券番の話も記事の本論とは関係ナシ、です。(スミマセン)
 地図(上右)のは大綱引きの場所、はプレートの場所ですが、プレートの南側のビル(右画像)を見てみると・・・。
 「서울특별시(ソウル特別市)」云々と書かれた看板が2つ。都市基盤施設本部等、ソウル市の庁舎の1つのようです。その左手に「한미리(ハンミリ)」とあるのは、このビル内の店のようです。後で調べたら「わりと名の知れた高級韓定食のお店」なのだそうです。→コチラの記事に詳しく書かれていますが、画像を見るとフンイキも料理もなかなかのもの。ただ、やっぱりお値段の方はベラボーとまではいかないけどちょっとナニかな?と・・・。ま、いつか機会があれば・・・。(^^;)
 えっ、これもまた本論じゃない!? ひらにお許しを・・・ m(__)m

 さて、私ヌルボがこの日注目したのは、同ビルの北西角にあった店の看板です。(下左)
 やっと本論です。(やれやれ)

   
 なぜ注目したかというと、<더덕봅(トドクパプ)>という文字が目に入ったから。
 トドクは、私が昨年11月ソウルに行った時に初めて食べたモノ(下左)です。(→コチラの記事参照。) その時、けっこう格の高い食材だという話も聞いたような・・・。なるほど、ソウルの中心部に格調高そうな専門店もあるのか、と思いました。そして3つ並んでいる店名中1番上の산채향(サンチェヒャン.山菜香)というのがそのトドク専門店の店名です。(上右)

   
 上左はヤンニョムを塗って焼いたトドックイ(더덕구이.トドク焼き)。昨年食べた時に撮った写真です。トドクはツルニンジンという和名の植物(上右)で、ウィキペディア等には根の部分を漢方で用いるとありますが、私ヌルボは全然知りませんでした。(たぶん大抵の日本人も?) 朝鮮ではもっとポピュラーなようで、「チャングムの誓い」第21話にも出てきたそうな。(全然記憶ナシ。(^^;))
 そして今、サンチェヒャン(or山菜香)で検索してみると、→<ソウルナビ>の記事等々がヒットしました。あ、それはソウル歴史博物館の裏手の方にある本店の方ね。そして清渓川路の店に行った方の記事は→コチラや→コチラ。なかなか好評のようですね、料理も店の雰囲気も。→本店のメニューを見ると定食もほとんど2万ウォン未満だし、今度行ってみよう!という気になりました。(サークル仲間の皆さん、たまにはこんな店どうですか? トドクマッコリというのもありますよ。)

 ところで、先の記事の中で書いてないことがありました。トドクを食べた店でアジュマがザル(?)に入れて持ってきて見せてくれた植物の実です。(下左)

   
 ピントが合ってなくて(^^;)なんだかよくわかりませんが、球状のものもあれば、それらがヒョウタンのようにつながっているものもあります。<헛개나무(ホッケナム)>という木の実なのだそうです。和名は<ケンポナシ(玄圃梨)>。漢字だけだと読み方がわかりません。10月頃に上右画像のように「枝つき干し葡萄のような実がなる」ので英語では<Japanese raisin(レーズン) tree>というとか。ただし韓国サイトでは<Oriental raisin tree>。韓国はこういうところまでこだわっているのかとつくづく思いますが、まあいつものことではあります。
 その(本来はサムギョプサルの)店ではホッケナムの実は見せてもらっただけ。私ヌルボもただホッケというモノと名称を知っただけでした。
 ところが旅行中の2月27日、ホテルの近所のコンビニでドリンク類を物色していると、<헛개수(ホッケス)>つまり<ホッケ水>と表示されたペットボトルがあるではないですか。  

     
 その上の字は<갈증에 한水위>。「のどの渇きに一枚上」といった意味でしょう。
 さっそく買って飲んでみました。するとクセのない味で飲みやすく、少し香ばしい香りで、ちょっと気に入りました。〇〇に似た味、と言えばわかりやすいでしょうが、似てる飲み物は全然思いつかず。後で見た韓国記事に「二日酔いに良い」とありましたが、たしかにそうかもしれません。
 ※→コチラのブログ記事では「佐賀県の神社でお祭りの時に枝付きの束が売られている」とか、「秋田出身の父親がケンポナシを食べながら遊んだ」とか書かれています。日本でも、時代や地方によって違いがあり、私ヌルボはたまたま知らなかっただけなのでしょうか?

 その後、<ホッケナム茶>という商品もあることを知りました。(下左右) もしかして売ってるかなと思って横浜市内の韓国食品店で探してみましたが見つかりませんでした。

  
 このホッケ水の製造販売元はCJグループ内のCJヘルスケアという会社で、こうした健康飲料の他医薬品も製造しています。またホッケ水はこれ以外にもハイト真露の<새벽헛개(セビョクホッケ)>という製品等も発売されています。<セビョクホッケ(夜明けのホッケ)>というネーミングは、これまた「숙취해소(宿酔解消)」というキャッチコピーに沿ったものでしょう。両社のCFを比べてみると、健康志向のCJヘルスケアに対し、本来は焼酎メーカーの<セビョクホッケ>の方はとれもお酒とワンセットになってるのは当然ですね。
 このようにホッケ水が大量に商品として製造されているとうことは、もちろん野生のホッケナムの実を採集しているのではなく、広い農場で栽培したものを出荷しているからです。例えば→コチラは慶尚北道・亀尾(クミ)市にある農場の公式サイトです。(画像多数)

 いろいろ書きましたが、トドク=チョウセンニンジンにしてもホッケ=ケンポナシにしても、一般的な飲食文化の中で漢方(韓国では「韓方」)の占める比重は韓国の方がはるかに大きいようです。
 考えてみれば、1992年の最初の韓国旅行でアマドコロ(둥굴레.トゥングルレ)に出会って以来、実にいろんな漢方関係の食材を知ったなー。ウルシ(옻나무.オンナム)のドリンク等々、未だ味わったことのないモノもたくさん。そしてまた、知れば知るほど新たな興味がわいてきます。
コメント (2)
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無計画→結果オーライ! ソウル3泊4日の旅 ③楽園商街の近くの店では2千ウォン(約200円)で朝食が食べられる

2018-12-10 23:47:53 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 → <無計画→結果オーライ! ソウル3泊4日の旅 ①ホテルは鍾路3街至近。すぐ近くにあの楽園商街とか、いろいろ便利な立地>
 → <無計画→結果オーライ! ソウル3泊4日の旅 ②楽園商街の地下食堂で激安の朝食(チャンチククス)を食べる>
の続きです。

 前日と違って少し早起きした私ヌルボとS氏の2人。早起きと言っても7時過ぎなんですけどね。そして7時半頃にホテルを出たのは、前日の街歩きで、すぐ近くにある校洞(キョドン)初等学校がこの日の修学能力試験(修能)の会場になっていることを知ったから。つまり、どんなようすか見てみようということ。結果はみごとに<空振り>だったのですが、その件は別記事で。
 結局とくに何事もなく8時10分の受験生集合時刻を過ぎ、ヌルボたちはその場を去って仁寺洞の裏道から鍾路3街駅の北の益善洞(イクソンドン)、そして駅の南側の多文化通り(屋台通り)をぶらぶら散歩。前夜の益善洞など、木曜とは思えない人でどの店も驚くほど賑わってましたが、朝はやっぱりほとんど閉まっていて静かです。
 鍾路の大通りまで出て、タプコル公園の入口を過ぎ、結局また楽園商街の方へ。
 その楽園商街の南東側に隣接する細い道に、ウゴジタンとかの安い店があったなと歩いて行くと、どの店も安いです。およそ9時頃。なかなか繁盛している店があったので入るかなと思いましたが、ほぼ満席のようだったので、隣の小さな店に入りました。コチラの方が安いし。・・・というのが下画像の店。

    

 メニューはウゴジヘジャングク(우거지해장국)、ファンテヘジャングク(황태해장국)、コンナムルヘジャングク(콩나물해장국)の3つだけで、お値段は2000ウォンという安さ! この安さ自体がウリとばかりに、看板が2つと、入口にもメニュー+お値段が目立つように書かれています。
 
 中に入るとテーブル席はなく、立ち食い蕎麦みたいなお一人様用の台に背もたれナシのイスがいくつか。ハルモニ(おばあさん)が1人で切り盛りしている店のようです。

 注文したのは、ヌルボがファンテヘジャングク(下左)、S氏はウゴジヘジャングク(下右)でした。
 <ファンテ>は、漢字だと<黄太>。 産卵期の<ミョンテ(明太)>つまりスケソウダラを何度も凍結・乾燥を繰り返した、つまりは干しタラ。
 干しタラのスープ(プゴグク.북어국)といえば、武橋洞プゴククチプが有名ですね。(→wowSeoulの記事。) ヌルボが最初に行った2001年にはまだガイドブツクにも載ってませんでしたが、すっかり有名になりました。その<プゴ(북어)>は漢字で<北魚>。これは<ミョンテ>を乾燥させ水分を完全に除いたものなのだそうですが、ヌルボには違いがよくわかりません。<プゴ>の中で上質の黄色味がかったものが<ファンテ>ということでいいのかな?
 私ヌルボにしてみれば赤くなく辛くなくということで選びました・・・って前日のチャンチククスといっしょか。まあ店の名もファンテヘジャングクだし、入口上の看板にも干しタラの絵が描かれてるしね。

     
 で、味はというと前日のチャンチククスほどの感動(?)はナシ。武橋洞プゴチプは今6,500ウォン。この値段相応といったところか。要は味で選ぶか、値段で選ぶかというごくありきたりの判断。

 ウゴジヘジャングク(とか、ウゴジタン)は食べたことナシ。S氏のを1匙味見させてもらいましたがよくわからず。
 そもそも、<ウゴジ(우거지)>とは何か? 辞書にはふつう「乾燥させた白菜の外葉や大根の葉」と説明されています。ただ、ややこしいのは<シレギ(시래기)>というよく似た意味の言葉があり、地域による意味の違いもあって韓国人でもよくわかないらしいです。→コチラは韓国在住の日本人のお母さんのブログ記事ですが、それによると①どちらも同じ ②ウゴジは白菜の外葉、シレギは大根の葉 ③ソウルではウゴジで慶尚道ではシレギ 等々、諸説あるみたい。記事中のパック入りの商品を見ると、色から判断してウゴジは白菜、シレギは大根の葉のようです。
 そしてここ楽園洞の食堂のウゴジは、白菜にしては色が濃いので、もしかして大根の葉なのかな?

 さて、隣の店のメニューもついでに見てみました。

     
 店名はモリコギ(머릿거기)
、つまり(ブタの)アタマの肉。コチラの店はウゴジグクが3000ウォン。たぶん看板メニューのデジモリクッパ(되지머리국밥.ブタのアタマ肉のクッパ)が5000ウォン。

 帰ってからいろいろ検索してみたら、すぐ近くのソムンナンチプウゴジタンがいろんな記事で紹介されていますね。
 その他にも、この(地下鉄5号線の)鍾路3街駅近辺は実にいろんな食堂や飲み屋街があって、吉村剛史(トム・ハングル)さんが書いているように(→コチラ)「庶民派グルメの宝庫」です。同じく、鄭銀淑さんの→コチラや→コチラの記事にもぜひ目を通してみて下さい。なお、コネストにも→関連記事があります。
 また、ちゃんと下調べをして目当ての店に行くというだけでなく、テキトーに見当をつけて店に入るのもいいですよ。

 あ、ウゴジ関係の記事をいろいろ見ていてひとつ驚いたことがありました。それは→コチラ<茹でてから洗う韓国!洗ってから茹でる日本!>というのが記事のタイトルです。
 ウゴジの作り方を韓国人のお仲間から聞いてメモって・・・という話ですが、①沸いているお湯に白菜又は大根の葉を入れて湯がく(ぐらぐらと煮立たせず1分~2分) ②冷たい水で綺麗に洗い必ず水気を絞る ・・・と、そこで「茹でる前に洗わないの?」と訊くとお仲間の答えは「韓国では茹でてから洗うのよ」
 ありゃ。ということは、このブログ主さんが考えたことは・・・
 「葉っぱの間に泥や砂とかがあった場合 泥砂水で全体をこっくりと茹でる事にならんかい? そして 万が一 虫虫ちゃんがいたなら・・ お虫出汁の中で茹でられる葉っぱちゃん・ (虫ちゃんが茹でられるのも想像したくない・・)」
 うーむ、ということは、ウゴジを作る時だけじゃなくて、野菜等を茹でる時はいつも茹でて洗っているということなんでしょうか? うーむ・・・。
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無計画→結果オーライ! ソウル3泊4日の旅 ②楽園商街の地下市場で激安の朝食(チャンチククス)を食べる

2018-12-08 00:34:03 | 韓国料理・食べ物飲み物関係

 → <無計画→結果オーライ! ソウル3泊4日の旅 ①ホテルは鍾路3街至近。すぐ近くにあの楽園商街とか、いろいろ便利な立地>
の続きです。

 上の画像は楽園商街を南側から見たものです。つまり、タプコル公園の西側から北方向を見た眺めです。建物の中央下方の、青地に白の「낙원악기상가(楽園楽器商街)」の下の小さめの文字は「지하시장(地下市場)」です。
 「こんな建物の地下に市場があるの?」「デパ地下の食品売場のような?」と思う人も当然いると思うでしょう。
 しかし、歴史的にみると建物ができるずーっと前からこの場所には楽園市場という在来市場があって、60年代に楽園商街が建てられた時にその市場の店が入ったとのことで、市場には楽園商街の建物よりも長い歴史があるのですね。

 さて、11月14日(水)朝、今回宿泊した仁寺洞クラウンホテルを出てこの楽園商街の北の方(つまり北側)から歩道を少し南に行くと、下左のようなスロープがあります。地下駐車場かな?とも思いますが、この画像のようにアジュマ(おばさん)とか商売用オートバイ等が出入りしています。で、ヌルボたちも下って行って、じゃなくて、別の入口から入って地下に行ったのですが・・・。

   
 そこにあるのは、先の看板通りの地下市場。

 なるほど、ずうーっと店が立ち並んでいます。テーブルに椅子があって、食堂も兼ねています。ちょっと(?)寝坊したヌルボ&S氏が行った時間は午前9時40分頃。客の姿がほとんど見当たらないのは時間が遅かったからかなと思いましたが、後でネットで見たら11時開店とか。つまり早すぎたってこと?
 そんなことは2人とも頭になく、テキトーに座って、メニューを眺めます。下左はS氏です。

     
 黄色いメニュー板の下に「잔치국수(チャンチククス)」2500ウォンと、「떡만두국(トクマンドゥクク)」3500ウォン。どちらも「500ウォン」の部分は最近貼った紙で、少し前までは2000ウォンと3000ウォンだったのでしょう。まあ、それでも十分に安いですけど。

 前の晩北倉洞で飲み食いして二日酔い気味の私ヌルボ、あまり食欲はなく、結局値段で決めたのがチャンチククスで、S氏も追随しました。

 と言っても、2人ともチャンチククスなるものは食べたことはナシ。実は聞いたこともありませんでした。
 <チャンチ(잔치)>という言葉が<宴(祝宴)>を意味することはなんとなく知っていましたが、メニュー中の最低価格で<宴>にふさわしいようなご馳走が出てくるわけないしなー、と思っているところにアジュマが持ってきてくれたチャンチククスがこれ!(左画像)。

 いやあ、これを注文して正解でしたね。
 その理由は・・・
 ・量が多すぎない。
 ・おつゆが赤くなく、辛くない。(ヌルボ好みの)おとなしい味。
 ・ネギ、ズッキーニ、そしてなにか黒っぽいモノ(たぶん大根葉か?)等が入っていて、見た目もいい。
 ・なによりも、これでこの値段なのがウレシイ。


 食べている途中で、別の客が席につきました。男性のお一人様。常連さんか? 時間はまだ10時を少し過ぎたくらいです。

 なんでこれを<잔치국수>というのだろう?という疑問は宿題にしておきます。NAVER辞典では「にゅうめん」と訳されていました。
 つまり、主に秋冬の寒い時期に食べる温かい素麺です。(なーんだ、そういうことネ。)

 帰国してから知ったのですが、このチャンチククスについて、そしてここ楽園商街の地下食堂について鄭銀淑(チョン・ウンスク)さんがいろいろネット上で記事を書いていることを知りました。
 その1つの<早くて安くて旨い韓国版かけそば>(→コチラ)をぜひ読んでみてください。同じチャンチククスでも、店によっていろいろ違いがあるようですね。
 ※この鄭銀淑さんの記事は2015年から続いている<韓国の旅と酒場とグルメ横丁>と題したシリーズ中の1つです。最新記事は72回ですが、バックナンバーは記事の最下段参照。これはどれもオススメです!

 最後に、「簡単で素早い、チャンチククスの作り方」という動画があったので貼っておきます。

 材料(2人分)は、素麺(소면)200g、タマネギ(양파)55g、ニンジン(당근)30g、ズッキーニ(애호박)100g、シイタケ(표고 버섯)3個50g、わけぎ(쪽파)10g、タマゴ(계란)2個、その他コンブ(다시마)、カタクチイワシの煮干し(국멸치)、刻みニンニク(다진 마늘)、醤油(간장)等です。
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[日本では鯛焼きですが・・・] 韓国の鮒焼き(プンオパン)と鯉焼き(インオパン)の違い

2018-01-17 23:47:01 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
12月初めにソウルに行った時、行きのアシアナ機内で東亜日報に目を通していたら、<여태 우리가 먹은 건 붕어빵? 잉어빵?(今までわれわれが食べてきたのはプンオパン? インオパン?)>という見出しが目に留まりました。

 プンオパン(붕어빵)は直訳すると鮒(ふな)パン。日本でいう鯛焼きのことで、日本の統治期の1930年代に日本から入ってきました。※なぜタイがフナになったのかはよくわからず。
 ※その時期からの韓国の食べ物について「実は日本のパクリだった」などと批判的に言うのはちょっと無理があると思うゾ。(たとえば→コチラ。) すると日本の洋食や洋菓子も全部パクリじゃないの?
 そして戦後も長く韓国の人々に好まれてきました、・・・と続けて書こうと思ったら、戦後は朝鮮戦争等があって小麦の供給も不十分だったりしてしばらく絶えていたのが、1990年代懐古ムードが高まる中で再登場した、と→日本のウィキペディアや、いくつかの韓国記事に記されていました。
 ※しかし、韓国アニメ「追憶のプンオパン(추억의 붕어빵)」(2011)[右画像]の時代設定は1960年なんだけどなー。

 (それはそれとして)とくに寒い冬、日本での鯛焼き人気は言うに及ばずですが、韓国はもしかしたらそれ以上? おなじみの<ナムウィキ>の記事(→コチラ)によると、韓国の軍隊には冬季限定で各警備隊を廻ってプンオパンを作る<プンオパン兵士>がいたとか今もいるという余談も書かれています。また上記の「東亜日報」の記事によると、最近では<역세권(ヨクセクォン.駅勢圏)>=<駅チカ>という言葉をもじって<붕세권(プンセクォン)>=<鮒焼き屋の近所>という新造語もあるそうです。(って、どれだけ定着してるのか?)

 このプンオパンという物および<붕어빵>という単語はずっと前(90年代半ば?)から知っていました。おそらく、初級レベルの韓国語学習者の皆さんの多くもご存知なのでは?
 そして私ヌルボが初めて韓国でこのプンオパンを食べたのは1999年10月でした。水原華城のナントカ門近くの屋台で。
 ところが、その後何年か経って<잉어빵(インオパン)>=<鯉パン>という同じようなものが出回り始めたということを聞きました。その時は、なんとなく「フナよりコイの方が大きいんだろうな」くらいしか思いませんでした。※プンオパンは、一般的に日本の鯛焼きよりやや小ぶりです。

 ところが(と、ここから本論)、上記の東亜日報の記事(→コチラ.韓国語)によると形や作り方、食感といったものが少し違うようなのですね。その見分け方を簡単に書くと・・・。
     

 《プンオパン》(左)
 ・中のあんが見えない。
 ・あんが入っているのは腹の部分だけ。
 ・形が丸みを帯びている。
  ・表面がパリッとしている。

 《インオパン》(右)
 ・生地が薄く、中のあんが透けて見える。
 ・尾まであんが入っている。
 ・形がスマート。
 ・表面に油が多い。
  ・食感が柔らかくてしっとりしている。

 ・・・と、こんなところ。

 このプンオパンとインオパンの違いは韓国人の間でもよくは知られていないとみえて、だからこそこうした記事が書かれるわけで、同じネタの記事も相当数ありました。
 中央日報2013年1月の<붕어빵이냐, 잉어빵이냐…프랜차이즈 전쟁 불 붙었다(プンオパンか、インオパンか・・・フランチャイズ戦争に火が点いた)>(→コチラ)では次のようなことを記しています。
 ・プンオパンも、チキン同様ブランドを前面に出して熾烈な競争が繰り広げられている。
 ・プンオパンのフランチャイズ業体は全国で40以上に上る。プンオパンを売る露店10店中9店が加盟していることになる。ソウルの場合は、元祖プンオパン(원조붕어빵)黄金インオパン(황금 잉어빵)全店舗の80%以上を占めているが、幸福なインオパン(행복한 잉어빵)糯(もち)粉入り麦インオパン(찰보리잉어빵)も加盟店を増やしている。
 ・生地からあんまで全材料を一度に供給する方式。
 ・ブランドごとに特徴があり、鉄板で焼くのは同じだが、サイズ・形・中味等はすべて異なる。インオパンには糯米粉が入っていて、サクッとした食感が特徴的である。元祖プンオパンは、マーガリンやバターを入れて香ばしい風味を出している。生地にピーナッツ等を入れて高級化したインオパンは3匹千ウォンだが、伝統的なプンオパンは1、2cm小さくして7匹で千ウォン(安い!)である。

 ちなみに、日本の鯛焼きについては、私ヌルボ全然詳しくありません。チェーン店は2つだけ知っていますが、韓国ほど系列化は進んでいないのではないでしょうか?(未確認) 近年は小豆あんとかクリームだけでなく実にいろんなものが入った鯛焼きが登場しているそうです。今度そんな店の近所に行ったら買って来るか。あ、1909年創業という老舗の浪花屋(麻布十番)等の鯛焼きも1度食べてみるかな、・・・と思って「東京 たい焼き」で検索すると<3大たい焼き>、<5選>、<10選>等々いろいろあるんですねー。毎度のことながら、何についても入れ込んでいる人たちがいるものです。

【おまけ】<新大久保で売上げベスト3の韓国菓子を食べてみました>という過去記事(→コチラ)で1位にランクされたオリオンのお菓子チャムプンオパン(참붕어빵)の画像を貼っておきます。
    
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[韓国の食]微細粉塵がひどい春、「ハンドン」のサムギョプサルはいかが?・・・って何のこと?

2017-04-16 23:33:17 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 今日(4月16日)の日曜日、横浜・伊勢佐木町では<ヨコハマ大道芸イセザキ>という催しが開かれていました。年間を通じて土日にはよくやってます。
 私ヌルボ、なんとなく3月20日に同じ場所でペットを連れた若い女性を見かけたことを思い出しました。正確に言えば、思い出したのはその女性の方ではなく、ペットの方。イヌとかネコではなくて・・・。
 小さなブタです。見ているとけっこう動きが速くて、うれしそうにシッポを振ったりしてかわいらしく、道行く人も足を止めて写真を撮ったりしてました。「 誰かが「名前は何というの?」と訊いたら「ハムです」との答え。ハハハ。

 さて、ブタ関連で思い出したのが図書館で読んだ「女性東亜 3月号」に載っていた記事。
   
 (表紙の女性はハン・ウンジョンです。) このページの見出しは・・・。


 <미세먼지 심한 봄날, 한돈 삼겹살 어때요?(微細粉塵)の多い春の日、ハンドンサムギョプサルはいかが?)>

 미세먼지=微細粉塵は、例年この時期になるととくに大きくマスコミで取り上げられる社会問題で、おなじみの言葉でもあります。しかし、それがサムギョプサル=ブタの三枚肉(と、その焼肉)と関係がある?
 それよりも、私ヌルボ、この「한돈(ハンドン)」というのが何か、すぐにはわかりませんでした。もしかして副詞か、1ドンといった数詞かな?などと考えながら記事を読むと、予想順位3位の「韓豚」でした。この漢字の音読みです。つまり、韓国の国産豚肉のこと。
 ※この記事は「女性東亜」のサイトで読むことができます。(→google翻訳。)

 記事によると、韓豚と微細粉塵の関係はおおよそ次の通り。

 体の免疫力が低下しやすい季節の変わり目には、栄養成分が豊富な食品を十分食べることが大切で、そのために気軽に味わえる国産豚肉のハンドンを薦めます。大気中の黄砂と微細粉塵によるのどの痛みにも適していて、ハンドンには重金属を解毒する亜鉛成分が含まれていてり、呼吸器を通して体内に溜まった黄砂と微細粉塵などの有害物質を体外に排出してくれます。

 この内容の信頼度はヌルボはわかりません。
 記事では、続けて2つの韓豚の店を紹介しています。鍾路3街・タプコル公園東側のピマッコル市民食堂(시민식당)と、忠正路駅近くの中林洞にあるドゥトゥム(두툼)という店。
 前者では、熱伝導率が高く遠赤外線が発生する自然石のの焼き板を使用しているとか、後者では店内にある熟成庫で21日ほど熟成させた肉を用いているとかいった店の「こだわり」が記されています。(熟成肉の味というのを、ヌルボは知りません。ネット検索してわかった店に機会があれば行ってみようかな。)
 ※下画像はドゥトゥムの熟成庫。(→コチラの韓国ブログより)。
       

 また、これらの店では入口あたりに韓豚認証店というマーク(下左画像)が掲げられています。なお、下右のマークは韓豚のロゴ。돈の字の最後がくるっと輪になっているのは豚のシッポの意味です。
          

 韓豚認証店については、記事からリンクが張られていた→コチラ
のサイトで地区別の認証店名が見られます。鍾路区で5店、中区だと8店といったところ。
 そして、このサイトの元締めといったサイトが<韓豚com>(→コチラ)で、またその運営主体は<韓豚自助金(한돈자조금)>という業者組織で、韓国ウィキペディア(→コチラ)によると、2003年<養豚自助金>の名称で創立して以後、04年に消費促進のためTV・ラジオでのCMを始め、11年に<韓豚自助金>と改称。14年からは10月1日「韓豚デー(한돈데이)」と決めて各地で広報イベントを催しています。また、人気芸能人を韓豚広報大使に委嘱し、TVCMや各種イベントを通して広報・宣伝活動を通して宣伝活動をするということも何年も前から行っています。
 ※なぜ10月1日を韓豚デーにしたかというと「1001」という数値の配列がブタの鼻の形を連想させるからとのこと。(下画像)

 ※2017年の韓豚広報大使となったのは、映画「建築学概論」で注目されたチョ・ジョンソクと、HELLOVENUSのナラの2人。(関連ブログ記事は→コチラ。)
 TVのスポットCMは→YouTubeで見られます。下はその静止画像です。

 ところで、いろいろ関連記事を漁っていたら、その中で「금한돈」という言葉を発見。「金韓豚」? ・・・とすると高級な韓豚のこと? かと思ったら、この場合の돈は豚ではなく、またお金のことでもなく、薬や貴金属等の重さの単位の「匁(もんめ)」のこと。1匁= 3.75gです。ところが画像検索すると下のようなものが見つかりました。

 匁と豚が同じハングル表記ということを念頭に置いているわけです。

 ・・・ということで、毎度のことながら歴史好奇心にかられていろいろ連鎖的に探っていくときりがなくなり、意外に長い記事になつてしまいました。やれやれ。(実は韓国(と日本)の養豚業の歴史にまで深入りしかけちゃいました。)

 しかし、韓国と日本、あるいはその他の国との豚肉の違いがどれほどあるのでしょうかねー? 牛肉の場合、韓国では横城の韓牛といった高級肉がもてはやされていますが、ヌルボの場合は日韓を問わずそのようなブランド肉はとんと無縁で語る資格がありません。牛丼チェーン店の牛肉の米国産と豪州産の違いは体験的によくわかっているのですけどねー。(笑)

 冒頭に書いたミニブタのハム君、自分がブタとしては実に幸運だということは全然知らないのですね。まあ、シアワセというのはそんなものでしょう。
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大人の皆さんにもぜひオススメ! <絵本 世界の食事>全20巻 - もちろん「韓国のごはん」も◎

2015-12-23 16:48:03 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
   

 銀城康子「韓国のごはん」(農文協.2007)は<韓国食博>(→過去記事)で見て知った絵本です。

 横浜市立図書館1Fの児童書コーナーにあったので読んでみました。
 ページを開くと、韓国の家ごはんではどんな料理が食べられているか、具体的に記されています。朝・昼・晩のごはんのそれぞれのメニューや、子供が持っていくお弁当のこと等・・・。そして1週間分のメニューが各3食分すべて(!)細かく書かれています。もちろん絵も。下左は月曜の分です。
 

 料理のことだけでなく、台所のようすや調理道具、食事マナー等々についても書かれているのがとくに興味深いところです。上右画像はマナーのページ。お客さんが一緒の時は「お客さんが食べ終わってから自分も食べ終わる」というのは韓国通の皆さんはご存知だったですか?
  

 上左は韓国各地の食文化と代表的料理について。私ヌルボ、全州ピビンパや南原(ナムォン)のドジョウ汁(チュオタン)等は現地で食べましたが、知らない記述の方がずっと多いです。上述のように韓国の食文化について幅広く、わかりやすく書かれていて、また何といっても絵本なのでスイスイ読めます。これはホントにオススメの1冊です。
 欠点というものでもないですが、ひとつだけ留意点を挙げておくと、基本的に<伝統的>な食生活やそれに関わる習慣に重点を置いているので、たとえばパン食のような食の洋風化や、カップラーメンの普及等についてはふれられていません。また、上右の画像のような「お父さんは大事にされています」というような、父親や長男を重視するような家族倫理や、別のページにあるような一族総出でキムチ漬けの作業をするといった習慣は現在急速に変貌しつつあるのでは、と思います。

 なお、巻末には「もう少し韓国のごはんの話」というページが付いていて、さらに詳しい説明や関連する表等が載せられています。右の表はその1つ。韓国人は日本人より穀類を3割以上多く摂っているという数字は「やっぱりなー」です。

 この「韓国のごはん」は、冒頭の画像にあるように「絵本 世界の食事」(全20巻)というシリーズ中の1冊です。全20巻の内訳は次の通りです。
 ①フランス ②インド ③韓国 ④イタリア ⑤メキシコ ⑥ドイツ ⑦ブラジル ⑧中国 ⑨タイ ⑩トルコ ⑪モンゴル ⑫フィンランド ⑬ベトナム ⑭スペイン ⑮ペルー ⑯ポルトガル ⑰インドネシア ⑱ロシア ⑲モロッコ ⑳イギリス
 どの巻も当然ほぼ同様の構成で、朝・昼・晩の料理や1週間の料理、食事の時間、台所のようす、基本的マナー、「○○(←国名)のごはんをつくってみましょう」といった記事は共通しています。1つの国だけでなく、他の国と比べてみるのもおもしろいところ。スペインとポルトガルなんてどこが違うのかと思って見てみると、ポルトガルはタラやイワシ等の豊富な魚料理に特色がありそうです。
 とくに韓国や日本との関連でいえば、注目すべきはベトナム。たとえば食事マナーについては下の画像参照。
    
 「茶碗を持って食べる」というのは日本と同じですね。韓国では置いたまま食べます。「茶碗をかきこむように食べてもよい」も同様。国民性なんかもけっこう共通性があるんですかね? ちなみにタイはというと、下の画像参照。
 「右手にスプーン、左手にフォーク」です。「食べる前に手を合わせる」というのは日本では人によりますね。
 「ベトナムのごはん」の巻末の「もう少しベトナムのごはんの話」に、[箸を使う国]という見出しで次のような記述がありました。
 箸を日常的に使っているのは、中国の漢民族、台湾、朝鮮半島の人々、ベトナム、日本です。この中で朝鮮半島では、箸のほかにスプーンもセットにして使い、ごはんはスプーンで食べ、箸は汁気の少ないおかずをつまむ時に使います。中国や台湾では、ごはんもおかずも箸で食べますが、スープはレンゲを使います。箸だけを使って食べるのは、世界の中で、ベトナムと日本だけです。
 スープも箸を使うので、器を持ち上げて直接口をつけて飲みます。ナイフとフォークを使う欧米やスプーンが主体の韓国などでは、器を持ち上げて食べるのは、行儀が悪いしぐさですが、逆に日本やベトナムでは、器を手に持たずに置いたまま食べるのは、とても行儀が悪いことです。
 なお、通常は箸を使わないモンゴル、タイ、カンボジアなどてべも、麺を食べる時には箸を使います。


 いやあ、児童書の、それも絵本でこれだけ勉強になる本があるんですね。ところでこの20巻のシリーズ、著者は?と見ると全巻銀城康子さんではないですか! なんという方だ! 絵の方は複数で分担して描かれていますが、それでもたいしたものです。
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[韓国の珍味(というか、なんというか・・・・)]ケブルのすべて(その4)

2015-09-14 05:40:39 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 →ケブルのすべて(その1)
 →ケブルのすべて(その2)
 →ケブルのすべて(その3)

⑩寺沢大介「将太の寿司」の韓国編 ケブル鮨をめぐって
 寺沢大介「将太の寿司」は1992年週刊「少年マガジン」で連載が始まった人気漫画で(~1 997年)、続編の「将太の寿司〜全国大会編」(1997~2000年)、続々編「将太の寿司2 World Stage」(2013~15年)と続いています。
 韓国でも1998年から「미스터 초밥왕(ミスター寿司王)」というタイトルで鶴山文化社から刊行され、料理漫画の先駆的作品として注目され、250万部以上売れて、漫画界のみならず大きな影響を及ぼしてきました。とくにあの「チャングムの誓い」は原作者が料理勝負の着想等を本作からを得たとのことです。

 この「将太の寿司」に「韓国編」があります。2000年「全国大会編」完結後、少し間を置いて「週刊少年マガジン」に掲載された読切作品で、KCコミックスと講談社漫画文庫の全国大会編最終巻(各17巻と8巻)に併載されています。
 私ヌルボ、文庫版で読んでみました。
     
 お、表紙カバーを外すと、内表紙には中央に大きく「ケブル」と書かれているではありませんか! 「ブ」の字が半分隠れちゃってますが・・・。
 将太が韓国に行くことになったイキサツは、将太の長年の宿敵(妨害者か?)だった笹木剛志が、業績悪化の打開を図って韓国へ進出したものの結果が思わしくなく、将太に助けを求めてきたのに応じたというもの。
 技量は決して悪くはないその店の職人たちに将太が提案したのは、何か店独自の、できれば韓国らしいネタの寿司を創作すること。
 職人たちの中でも意欲的な若者テジ(泰志←韓国人ぽくないゾ)がまず考案したのは白髪ネギキムチの納豆巻き生臭さのないサバの寿司。それから高麗人参の寿司。チョジャン(酢醤)に漬け込んでおいた高麗人参を強めの出汁に砂糖を多めに入れて煮るとエグ味や苦みが消えるとのことです。しかし「これだけじゃ足りないよ!!」と将太。「あとひとつ・・・・何かが足りない気がするんだ」・・・とボンヤリした言葉に、テジが怒ったり同様したりするのは当然。
 しかし、突然テジの頭にひらめいたのは・・・というのが左下のコマ。
     
 それは昔テジがおばあさんに食べさせてもらった本当においしい刺身>。テジはそれを求めて将太たちとともに故郷・釜山のチャガルチ市場まで行きます。
 (※前回書いたように、釜山に行かなくても鷺梁津(ノリャンジン)水産市場に行けばあるんですけどね。)
 そして、<それ>で作った寿司を出したところ、最初に注目した客の1人がまず挑戦。



 左のコマに続いて・・・・


 「箸がきかねえ!! 何てえ滑らかさなんだあ・・・・!?」

 「フオオッ」  (連れの女性)「キャッ」

 「これッ この赤い寿司まだあるのか!?」  (店員)「ハ・・・ハイ!!」

 「皿に山盛り持って来い!! あるだけ全部だ!!」


 続いて笹木が食べてみます。(画像右)

 この手の漫画の<お約束>で、なかなか豊かな表現力です。

 関係ないけど、すぐ前の客と顔つきが実によく似ています。(笑)

 「いったいこれは・・・・これは何なんだ 関口!?」

 ・・・と訊く笹木の思いはこの漫画の読者も同じ。


 そこでページをめくると・・・・




 いやあ、当然とはいえコマ割りの妙ですねー、ハハハ。












 驚く人たちの前で、将太がケブルについて説明します。




 「ケブルは韓国の南西部・・・・全羅道の海岸で獲れます」
 (※忠清南道や慶尚南道の海岸でも獲れます。)









 そして皆の前でケブルを調理してみせます。下の画像。 (コマの流れは右→左。)
    

 ・・・と、このようなわけで以後お店は繁盛、めでたしめでたし。

 ところで、この「将太の寿司 韓国編」のネタを作者・寺沢大介氏はいかにして仕入れたか?・・・ということですが、寺沢氏は韓国版の出版元・鶴山文化社の招きで韓国に行っているんですね。正確にはわかりませんが1998~2000年の間です。
 その時に、彼は当時新羅ホテル和食レストランの責任シェフだった安孝珠(アン・ヒョジュ)さんと会っています。→コチラや→コチラの記事(ともに韓国語)によると、その際寺沢氏は「日本にはなく韓国にだけある寿司を作ってくれ」と頼み、安孝珠さんはそれに応えて1週間の研究後水蔘(수삼.生の高麗人参)の寿司を出したとのことです。
 安孝珠さんはその後2003年に18年間働いていた新羅ホテルを辞め、寿司孝(스시효.スシヒョ)を開店。<韓国のミスター寿司王>として知られるようになります。
 ※「指先で世の中と疎通する:韓国の寿司王安孝珠(손끝으로 세상과 소통하다:한국의 미스터 초밥왕 안효주)」という著書もあります。(→コチラ参照。)
  ところで<ナムウィキ>の「ケブル」の説明文中には、「作家の言葉によるとケブル寿司は新羅ホテルに行った途中実際に食べてみたという」とありますが、それが安孝珠さんが握って出したものかは不明。また続けて「以後ケブル寿司を作ってくれという客たちの要求に多くの料理師たちが脂汗を流さざるを得なかった」とも。つまり当時ケブル寿司は全然一般的なものではなかったようです。(そして、当時ほどではないにしろ今でも・・・。)
 寺沢大介氏は、2007年2月来日した「食客」で有名な韓国の代表的な漫画家の1人ホ・ヨンマン氏との会見の場でもこのケブルのことを語っています。(→<イノライフ>の記事。)
 「韓国で美味しく食べた寿司の上に乗っていた“ケブル”(ユムシ)の正体を知るために、釜山まで夜行列車に乗って行った。実際に見たら何か虫のようなもので、SF映画にでも出てくるような形だった」。
 「韓国編」の中で、チャガルチ市場で云々は寺沢氏自身の体験だったのですね。
 以上から考えると、この「韓国編」の発表は「将太の寿司」の韓国版のヒットに呼応したものなのでしょう。韓国の読者たちにも好意的に受けとめられたようです。ただ、日本での反応はやはり拒絶反応の方が圧倒的。ヌルボの周りの韓国オタク10人くらいに訊いてみると、食べたことがあるのは好奇心旺盛で「何でも知ってる」S谷氏だけでした。

 以上で<その1>以降長々と書いてきたケブルの記事は終わりますが、私ヌルボが気づいたのは、その味について「まずい」「キモチ悪い」等の否定的評価が全然ないこと。これまで調べたり書いたりしてるうちに抵抗感がなくなってきたので、今度韓国に行った時にはぜひ食べてみようと思います。

★追記その1。
 <ナムウィキ>の説明文に、「海岸周辺の刺身店に行けばセコシ(세꼬시)として出す場合が多い」とも記されています。日本語の背越し(せごし.フナ・アユ等を頭・ヒレ・ハラワタを取って中骨のあるままぶつ切りにすること)という言葉がそのまま韓国でも用いられているのですね。その他、韓国のお寿司屋さん関係もいろいろおもしそうですが、日本の寿司についてもよく知らないからなー。(資金面での制約が・・・。とほほ。)

★追記その2。
 「큰개불알풀」オオイヌノフグリ。これは日本語と同じ。和名を直訳した? 一方、개불알꽃アツモリソウのことです。

★追記その3。
 朴宗海(박종해.パク・ジョンヘ)詩人(1942~)の詩集「ケブル(개불)」より
     좌우명                 座右銘
  무엇이든 먹으면 물이 되어 나오니        何であれ食べると水になって出てくるので
  배속을 한 번 뒤집어 보고 싶다         腹の中を一度ひっくり返してみたい

  더러운 것들 훌훌 털어내고           汚いものをパラパラ振り落として  
  햇볕에 말렸다가               日光で乾かすと 
  다시 뒤집어 놓을 수는 없을까          もう一度ひっくり返すことはできないか

  어시장 목판                魚市場の木箱の
  다랑이 안에 담긴 개불을 본다.          棚の中に入れられたケブルを見る。
  창자도 뼈도 없는              腸も骨もない
  이 세상에서 제일 단순한 놈을 본다.        この世の中で一番単純な奴を見る。

  나도 개불처럼                私もケブルのように
  단순화 되어 가고 있는지도 모른다.         単純化されてきているのかもしれない。

  그렇지. 간단하게 살자             そう。簡単に生きよう。
  복잡한 것은 싫다.              複雑なことは嫌だ。


★追記その4。
 この記事の翌年に書いた関連記事です。
 → 韓国生まれの大人気学習漫画<サバイバルシリーズ> ジオたちが干潟であのケブル(ユムシ)と遭遇!
コメント (3)
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[韓国の珍味(というか、なんというか・・・・)]ケブルのすべて(その3)

2015-09-06 23:55:54 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 8月20日28日の記事の続きです。知れば知るほどケブル(개불)(日本名ユムシ)に対する興味が増してきます。

⑦韓国でのケブルの食べ方は?
 やっぱり、まずは刺身(개불회)。その他では、ヤンニョム(薬味・調味料)で味付けをしてホイル焼きとか、野菜炒めとか。また慶尚南道海南郡で長年ユムシを獲っているキム・グックァおばさんの話(→コチラの記事)によると雑煮に入れたり、さっと茹でたケブルをチャプチェ・青物と和えたり、ネギ・ニンジン・ホウレンソウ等と一緒にチヂミにして食べてもいいし、野菜を切ってセリ・タマネギ等とケブルの刺身と和え物(회무침)にするのもいいとのことです。
 なお、私ヌルボ、ある商品宣伝記事で「乾しケブル(건개불포)」という物があることを知りました。しかし、あまりポピュラーではないみたい。
 ついでに中国のケブル状況を見てみましょう。中国語ではこれを海腸と書きます。簡体字では海肠です。
 「とくに大連や青島ではニラ等と共に炒め物にしたり茹でて和え物にして食べる」とのことですが、大連でこのニラ炒めを食べた方のブログ記事(日本語)は→コチラ(←ちょいグロ画像注意!) 感想は「淡白であっさりコリコリした食感で意外と美味」とあります。
 ところで私ヌルボ、軽い気持ちでこの「海肠」で画像検索をしてみました。すると結果はお゛え゛~~!!
 リンクは張りません。好奇心旺盛な方は自己責任で試みてください。 さすが、2本足は親以外、4本足では机以外、空を飛ぶ物は飛行機以外なんでも食べるという中国です。(「コタツは4つ足だ、食ってみろ!」「当たるもは食わねえ」←落語。)

⑧韓国でもフツーの食べ物でもない? ドラマ「星から来たあなた」の<チョン・ジヒョン効果>は?
 韓国では、ケブルは知っていても、食べたことがないという人はふつうにいます。とくに女性。やっぱり見た目がキモいし・・・。そんな中で画期的だったのが韓国SBSで2013年12月~14年2月放送されたドラマから来たあなた(별에서 온 그대)」。チョン・ジヒョンキム・スヒョンの共演で話題となった人気ドラマで、日本でも今年に入って放映されていますね。あ、今BSジャパンで再放送中か。(→日本・公式サイト。)
 で、この第4話のワンシーン。豪勢な船上パーティの場面です。
 おなかがすいたというソンイ(チョン・ジヒョン)に、フィギョン(パク・ヘジン)は「フォアグラもキャビアもある」と言いますが、「そんなモノはアンタが食べて」と無視してソンイがウェイターくんを呼んで注文したのがケブルと焼酎(ソジュ)
 同席していたセミ(ユ・インナ)フィギョンの反応は下の画像の通り。ウェイターくんはもっと驚いてます。
 「ちょっと・・・」と当惑気味のセミに対しソンイは「せっかくこんなところに来たんだから・・・」と強気。「何なの? わたしが恥ずかしい?」と逆に問うとフィギョンもセミも何も言えず・・・。この場面の動画は→コチラで見られます。
        
 ・・・と、こうした反応をみると、こんな場で女性がこんなモノを注文することの突飛さがわかります。
 このドラマでのソンイのケブル愛はなかなかのもので、この後ト・ミンジュン(キム・スヒョン)鷺梁津(ノリャンジン)水産市場まで行ってケブルを買ってきて、ソンイにプレゼントする場面もあったりします。(下画像。)
    
 ケブル好きとは「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョンにぴったりみたいな趣向ですが、視聴者の反響は少なからずあった模様で、主産地のひとつ康津(カンジン)の地元紙「康津日報」は、前回の記事で紹介した<ケブル祝祭>でケブルが飛ぶように売れて大成功だったのももしかして<チョン・ジヒョン効果>のためだったか?・・・と書いています。(→コチラ。)
 ところで、役柄ではなくチョン・ジヒョン自身はホントにケブルをよく食べるのかな? 調べてみたけどわからず。(どう答えても問題ありそうだし・・・。)

⑨(ソウルでは)鷺梁津水産市場に行かなくてもあるけど・・・
 「鷺梁津にケブルの買い物」で思い出したのがオンスンマム(엉슝맘)という女性ブロガーの記事。(→コチラ。)
 2012年の記事ですが、3年ほど前のこととして書かれています。知人がやっているという広蔵(クァンジャン)市場の寿司店に彼女に行った時のこと。日本人4人連れがやってきて、店の主人に何やら熱心に説明するものの、お互い相手の言葉がわかるレベルでもなく、そこで少しはマシな自分が話を聞くと、「去年来た時に刺身を食べたがとても美味しくてまた食べたい」と言う。しかし「円筒形で長くて赤みかがっているが、名前はわからない」。ケブルだと思ってネット検索して画像を見せると「それだ!」。
 ここで彼女が思ったのは「器や(料理の)美感、色感、食感すべてにこだわる日本人が、韓国人でも最初はビビるケブルを求めてやってくるとは!」というオドロキ。
 少し混乱しつつも、店の主人にケブルはあるか訊ねると、広蔵市場では日によってなかったりして、その日もないとのこと。そして親切に「鷺梁津市場に行けばありますよ」と教えつつ、タクシー用に「この方たちを鷺梁津市場に・・・」と手帳に書いてあげると、日本人たちは主人の出すタコやサザエの刺身を美味しく食べた後鷺梁津に向かったそうです。
 ところで、前々回の記事で書いたように私ヌルボが(たぶん)初めてケブルを見たのが7、8年前(?)頃の鍾路3街近辺の刺身店の店頭の水槽。その後もいろんな所で見たような気がします。
 
 上の画像は一昨年行った所なのにもう懐かしい、全羅南道・莞島(ワンド)の水産市場にあったケブルです。ホヤもたくさんありましたねー。プサンのチャガルチ市場等にも場所柄当然ですがあります。
 しかし、ドラマといい広蔵市場での話といい、ソウルで求めるとなるとやっぱり<ソウルの築地>ともいわれる(?)鷺梁津ということになるのでしょうか。
 で、もうひとつの「?」は、上記の4人の日本人がどういう機縁でこれほどまでにケブルを探し求めるのか?・・・ということについてですが、おっと、もう字数が・・・。

 最初は2回だけのつもりだったのが前回に1回分延長にして上中下の3回シリーズに変更。しかしそれでも足りなくなったのでさらに1回分つけ足します。あはは。(汗)

 → ケブルのすべて(その4)
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[韓国の珍味(というか、なんというか・・・・)]ケブルのすべて(その2)

2015-08-28 16:13:13 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 8月20日の記事の続きです。

④韓国のケブル産地
 ケブル(ユムシ)が棲息している所は干潟等の浅い海域の砂地。ということは、西海岸・南海岸に広大な干潟が点在する韓国は、干潟ならではの生物がいろいろいて、ケブルもその1つ。
 ケブル捕りの画像や記事等から具体的にその産地をみてみると、(釜山あたりから時計回りで)統営・三千浦・南海島・麗水・康津・保寧・安眠島・泰安等々。つまりは、南~西海岸の至る所といってよさそう。
 ※韓国の干潟の総面積は約2500㎢で、国土総面積(10万㎢²)の約2.5%。日本の干潟の総面積約500㎢(←うち有明海だけで4割を占める)の5倍! いかに多いかわかります。それでも20年前に比べて約20%もの干潟が開発のためになくなったそうです。→<コネスト>の記事参照。
⑤ケブルの獲り方
 ケブル捕りのニュース記事はほとんど1~3月の冬期に集中しています。ケブルは水温が高い夏場には干潟の表面から1m近く埋もれて過ごしますが、冬場になると繁殖のため表面に上がってくるので捕まえやすいということです。
 
 獲り方その1は、シャベル等で砂を掘って探し出す方法。
 右上の画像は忠清南道保寧市の武昌浦(ムチャンホ)海岸。) →コチラのブログ記事(韓国語)は、男性4人が忠清南道安眠島近くの浜にシャベルを持ってケブル獲りに行った時の記録。ケブルの巣穴(右画像)や捕った時の写真等もあります。 また、→コチラはその動画です。
 宝探しのようでおもしろそうでもあり、一般人や家族の行楽客などが潮干狩りのような感じで捕る分にはいいかもしれませんが、水を含んだ砂を掘る作業は相当疲れるのではないかと思います。

 獲り方その2。地元の漁民による本格的な獲り方はさすがにもっと大々的かつ効率的です。下の画像は全羅南道康津(カンジン)郡薪田面の沙草里(サチョリ)りものです。浜に立って砂を掘るのではなく、下半身が浸かるくらい海に入っています。
    
 2人が一組になって、1人がピッチフォークで干潟の泥を引っ掻き回し、もう1人が浮かび上がったケブルを玉網(?)ですくい取ります。

⑥冬場の収入源として近年注目! ネット通販もある。康津では養殖に成功、ケブル祝祭まで開催とは!
 韓国の記事をいろいろ見ると、このケブルを食べるという文化は近年むしろ注目度が高くなっているようです。
 ネット通販の商品リストにもナマコ(해삼)やホヤ(멍게)等とともに掲載されています。(※たとえば→<Gマーケット>。)
 ふつう7、8匹~30匹単位で売られているようですが、1匹あたりの値段は1000ウォン強~2000ウォン弱といったところ。
 <KoreaDaily>の記事(→コチラ)によると、上の2人一組でのケブル捕りの場合、うまく呼吸を合わせて捕れば1すくいで10匹を超えるケブルが網にかかるとか。つまりそれだけで1万ウォン以上になるわけです。もっとも地元の沙草里(サチョリ)の漁民は日常的にケブル漁をやっているのではなく、資源保護のため期日を限定し、それもわずか2時間半だけ。それでも総計1億1千万ウォン、150人の漁民1人あたり平均70万ウォンの収穫があり、そのほとんどは事前予約した人たちに宅配便で送ったそうです。
 とくにこの沙草里で注目されるのは、2012年当地の沿岸漁場でケブルの養殖に初めて成功」というニュースが報じられたこと。(→コチラ(韓国語)。)この記事は<2ちゃんねる>(→コチラ)でも日本語訳とともに紹介され、いろんなコメントが寄せられています。「養殖!」というだけでオドロキなのに、元記事に「年間ユムシの国内消費量は3000~4000トンだが生産量は200トン余りに過ぎず、大部分を中国から輸入している」とあるように国内消費の9割以上は中国産ということ。ホンマカイナ!?という数字です。
 沙草里に注目その2は、2014年3月8・9日そこで<第1回 ケブル祝祭>が開かれたこと。右画像はそのポスターです。 1万6千人もの観光客が訪れ、ケブルの売上1億6千万ウォンとその他の農水産物の売上を含めて2日間の総売上額は2億1千万ウォンに達して祝祭は成功裏に終わり、「所得創出祝祭」のモデルを提示した、と地元紙は報じました。(→コチラ。)

 続いて、韓国ではケブルの料理法とか、それがどんな食べ物として受け取られいるかとか、そんな韓国のケブルの日本での認知度等々について一気に書くつもりだったのですが、例によっていろんなことを書きすぎて予定字数オーバー。もう1回続けることにします。

 → ケブルのすべて(その3)
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[韓国の珍味(というか、なんというか・・・・)]ケブルのすべて(その1)

2015-08-20 12:49:02 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 とりあえずは寿司と刺身の画像をご覧ください。
    

 ネタは何だと思いますか? マグロの赤身、じゃなくて、「もっと表面の肌理が細かく滑らか」「コリッとした歯応え」があって「ほのかな甘み」があり、「海藻のような香り」がして「サクサクとした食感」なのだそうです。
 左の寿司はソウルの寿司屋(すし銀)のものですが、日本ではまず考えられない寿司ネタです。
 
 正解は右の画像なんですが、ちょっと得体の知れない生物でしょ? 私ヌルボ、「なるべく穏当なものを」と思って「海辺にいる生きもの」(永岡書店)に載っている写真を小さめにして載せたんですけどね。

 で、何という生物なのかというと、韓国語でケブル(개불)、日本語ではユムシです。韓国では必ずしも日常的・一般的とは言えず、食べたことがない人もふつうにいるようですが、(たぶん)誰もが知っている食材です。
 ちなみに私ヌルボは食べたことがありません。7、8年前だったかソウルの街歩きをしていた時、海鮮料理の店の前に置かれた水槽で初めて見て、以来ずっと気にはなっていました。
 今月初めちょっとしたキッカケでコイツに再び興味を持ち、いろいろ探ってみました。以下、いくつかの項目に分けてその成果(?)を備忘録的に記してみます。

①生物学上の分類
 ユムシ動物門ユムシ綱ユムシ目ユムシ科の海産無脊椎動物。
 これはスゴいことです。私ヌルボ、遠い昔「生物」を受験科目の1つとして選択していました。当時は生物の分類とかもその暗記項目の中にあって、その系統樹の下位から種・属・科・目・綱・門・界と分類階層が上がっていく、ということも憶えました。
 で、たとえばライオンとかトラとかエラそうにしてますが(笑)、どちらも分類学上は動物界・脊索動物門・脊椎動物亜門・哺乳綱・ネコ目・ネコ科・ヒョウ属に属する動物にすぎないのですね。ようするに下っ端ですよ。(別に彼らを軽蔑してるわけではないが・・・。) その上の上の上(!)に位置づけられるネコは「目」。これでも大したもので、その上に哺乳「綱」。
 つまり、環形動物「門」・軟体動物「門」・節足動物「門」等々に伍して、このチャチな動物だけでもってユムシ動物「門」と堂々たる一家を構えているというわけです。ま、体節がないので環形動物「門」には入れられないし、しかたなく独立させたようでもありますが・・・。(他にも星口動物「門」などというのがあるそうです。)

②名称とその意味
 学名Urechis unicinctusはよくわからんので措くとして、ユムシを漢字で書くと螠虫。ウィキペディア(→コチラ)を見ると、「和歌山ではイイ」とありますが、この読みは中国語の音読みによるもののようです。そもそもユムシというのがイイムシから転訛したものではないか、というのは私ヌルボが今思ったこと。また「九州ではイイマラなどとも呼ばれている」というのはもちろんその形状によるものでしょう。(その昔、東京五輪の際(?)天皇への説明役が「マラソンは・・・」等々と説明していると侍従(?)だかが「陛下に対してそんな品のない言葉を使ってはなりません!」と注意した、というエピソード(笑い話?)を聞いたことがあります。)
 そして韓国語の개불。これは「개」+「불알」の縮約語で、つまりはイヌのナニですなー。
 さらに英語では「fat innkeeper worm」またはpenisfish(!)なんですと。いずれも同じような発想。(笑) なお「penisfish」で検索すると、その2割くらいに「korean penisfish」と「korean」が付いてます。

③日本では主に釣り餌。えっ、平安貴族が食べた!? 北海道でも!?
 日本でこのユムシを見たいという人は、クロダイやマダイ等の釣り餌として用いられるとのことなので釣具店で訊いてみるといいかも・・・。私ヌルボ、釣りのことは全く疎いので、ふつうにあるものかどうかはわかりません。ただ、<釣餌ギャラリー>(→コチラ)というサイトには当然のように載っています。(それにしても、釣りファン以外の者にとってはオゾマシイ画像のオンパレード!) また釣り餌の通販でこのユムシを購入することもできます。→コチラでは1匹150円になってます。
 ところで、今回ユムシに再び関心を呼び起こすきっかけになったのは、8月7日の記事(→コチラ)で日本古代のスプーンの使用に関して横浜市立図書館所蔵の「類聚雑要抄指図巻」を見てみたこと。1116年内大臣藤原忠通の食膳(下左)に上がった料理の中にユムシがあったのです。
    

 飯のすぐ右上。「海月(クラゲ)」、「老海鼠(ホヤ)」の右の「蝙[虫若]」がユムシとのことです。(鈴木晋一「馬琴の食卓」(平凡社新書)参照。) ただ、それが塩辛だったと考えるのが「最も必然性に富む」としながらも「憶測の域を出ない」と記し、和え物等それ以外だったかもしれないとのことです。
 しかして現在。大方の日本人の食生活には無縁のユムシが北海道に一部では食されているそうです。
 石狩市浜益区では、数年に1度という大しけの翌朝海岸に打ち寄せられるルッツすなわちユムシを地元の人たちが拾って調理して食べる。あるいは内臓を取って冷凍保存するそうで、→コチラの記事には拾って→調理して→盛りつける、一連の写真が掲載されています。(キレイに撮られていてエグい写真はない(?)ので安心して見てみてください。)
 この記事によると、調理法は炒める、茹でる、刺身にする等、家庭によりさまざま。青南蛮・麹・醤油を各一升ずつ漬け込んだ三升漬という保存食もあります。
 ※石狩市浜益区のルッツについては2013年1月「北海道新聞」にも大きく取り上げられました。(→コチラ。)
 ※2014年オホーツク海に面した紋別市でもしけの後2度ユムシが大量に浜に打ち寄せられたことが報じられました。→コチラと→コチラ

 とりあえず、日本国内でのユムシ状況を概観してみましたが、はたしてここまで読んでくださった皆さんは「よし、食べてみよう!」と思われたかどうか?(10人に1人くらい?)

 続きでは本論、すなわち本場韓国の状況について書きます。

 → ケブルのすべて(その2) ④韓国のケブル産地 ⑤ケブルの獲り方 ⑥冬場の収入源として近年注目! ネット通販もある。康津では養殖に成功、ケブル祝祭まで開催とは!
 → ケブルのすべて(その3) ⑦韓国でのケブルの食べ方は? ⑧韓国でもフツーの食べ物でもない? ドラマ「星から来たあなた」の<チョン・ジヒョン効果>は? ⑨(ソウルでは)鷺梁津水産市場に行かなくてもあるけど・・・
 → ケブルのすべて(その4) ⑩寺沢大介「将太の寿司」の韓国編 ケブル鮨をめぐって ★追記その1~4
 → 韓国生まれの大人気学習漫画<サバイバルシリーズ> ジオたちが干潟であのケブル(ユムシ)と遭遇!

※他ブログの参考記事
 → 食材【ユムシ】ってなに?韓国「ケブル」北海道「ルッツ」謎の珍味
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朝倉敏夫教授の講演「食文化を通じてみる韓日比較」を聴いて知ったこと、考えたこと(下)

2015-08-10 13:04:38 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 1つ前の記事の続きです。

○「お膳の脚が曲がるほど」たくさんの料理を出してもてなす。
 ・・・という話とともに提示されたのが下左の画像。
 8月27日から国立民族学博物館で開かれる「韓日食博」(右画像)のチラシに載っています。
    
  「なるほどねー」と思う一方、私ヌルボが少し気になったのは「曲がる」という箇所。상다리가 부러지도록 나오는 한정식(お膳の脚が「折れる」ほど出てくる韓定食)」といった表現はありますが、「曲がる」というのはあるのか? また、こうしたお膳の形態に、そのような意味がホントに込められているのか?
 韓国語でお膳のことを一般に밥상(パプサン)といいますが、とくにこのような1人用の小さな食膳を소반(ソバン.小盤)といいます。日本のお膳に比べて脚が長くなっているのは、茶碗や椀を手に持って食べないので、口に近づけるためとのことです。
 なお、上掲画像の小盤は→コチラの記事に載っている小盤と同型のものと思われます。
 関連記事をいくつか読んだところ、このような脚の曲がった小盤は動物の足になぞらえて次のように分けられるとのことです。
        
 左から<狗足盤(구족반)><虎足盤(호족반)><馬足盤(마족반)>です。見分け方は脚の先。内側に曲がっているのが狗足盤、外向きに曲がっているのが虎足盤です。馬足盤は台が長方形のもの(・・・だと思います)。(また、これら以外にもまっすぐな脚の小盤もあります。)
 しかし、弯曲した脚の調度といえばたとえば香炉が思いつきますが、ほかにもいろいろあると思います。こうした小盤がはたして「お膳の脚が曲がるほどたくさんの料理を出してもてなすという意味が込められている」かどうかについては、結局確証は得られないままです。
 そのこととは別に、先のリンク先の記事に興味深い記述がありました。
 「朝鮮は身分・男女・長幼等の区別が厳格だったので、格の違う人と食事を共にすることはないため一人膳が多かった。このため小盤がよく用いられた。」
 これはナルホドですね。ただ、日本でも「現代でこそ、家族一同が一つの食卓をかこんで食事をすることが一般になったが、それはここ数十年間の流行であり、それまでは一人が一つのお膳を使う銘々膳であったのだ」(石毛直道「食卓の文化誌」)ということで、日韓の違いは文化自体の違いというよりも年差と考えた方がいいのかもしれません。「食卓の文化誌」が最初に書かれたのは1970年代ですから、日本ではその頃銘々膳は過去の話になっていたわけです。ところが韓国ではそうではありませんでした。
 たとえば申相玉監督の佳作「離れの客とお母さん」が公開されたのが1961年。原作の朱耀燮(チュ・ヨソプ)の短編小説は1935年発表されましたが、この映画の時代設定は現代(1960年頃)になっていると思われます。そこでも一人用の食膳が用いられていました。
      
 別棟の台所で作った食事を載せたお膳をお手伝いさん(食母)が内庭を通って離れ(サランバン)まで運び、客は1人で食べています。これは馬足盤のようですね。
 石毛直道「食卓文明論」(中公叢書)には次のようなことが書かれています。
 韓国では、[1]朝鮮戦争後の「家庭の民主化」 [2]伝統家屋からアパートへの居住様式の変化 [3]大家族から核家族への家族形態の変化 によって家庭の食習慣は大きく変化した。そして1970年代には家族全員が一つの食卓を囲んで食事をすることが一般的になった。しかし地域差があり、地方農村の一部では80年代後半でも男女別室で食べる風習も残っていた。
 日本でも、60~70年代アパートが増えて、それとともにちゃぶ台が姿を消していったということはこの本等でも記されています。
 こうしたところにもその時代・その社会のありようが反映されているということですね。

○8月27日~11月10日国立民族学博物館(みんぱく)で開催される「韓日食博」にぜひお越しを!
 ・・・と、朝倉先生、講演の最後に宣伝されてました。詳細はみんぱくの公式サイトを参照とのこと。(→コチラ。)
 朝倉教授によると、さっそく「なんで<日韓>でなく<韓日>なんだ!?」と批判めいた電話もあったそうですが、内容的に韓国の方がずっと多いから、という理由なのだそうです。
 またとくに強く薦めていらっしゃったのが特別展解説書の「韓国食文化読本」。なんかわからないけどおもしろそう。現地でないと入手できないようなので、これは行くしかないか・・・。
 さまざまある展示内容の中で、日韓の学生の皆さんの調査によるものとして「日韓の漫画の中のオノマトペ」というのがあるそうです。ものを食べる時の音とか、かな?
 たまたま最近ソウル在住のゆうき先生のブログ記事(→コチラ)を見ていたら、Film Forumというミニシアターの注意書きの画像が貼られていました。
 6項目中5つがものを食べる時の音ではないですか! 意味はゆうき先生がきっちり書いてくださっています。
  바스락(パスラ)=がさごそ(袋が擦れ合う音)
  춥춥(チュプチュプ) =チューチュー(液体を吸う音)
  짭짭(チャプチャプ) =クチャクチャ(唾液を混ぜて食べる音)
  냠냠(ニャムニャム) =もぐもぐ(頬張って食べる音)
  호로록(ホロロ)ズルズル(麺をすする音)
  슉슉(シュクシュク) =ツルツル(麺などが滑らかにすべる音)
 いやー、こういう擬声語・擬態語はなかなか覚えられないんですよねー。(国際結婚の)ゆうき先生も「日本語訳をつけるにあたり、嫁はんと娘たち(!)の力を借りました」とのことですが・・・。

 おまけ。講演が終わって外に出ると、信号待ちの朝倉先生を発見。この機会にと思い、以前から疑問に思っていたことをお訊ねしました。以前過去記事(→コチラ)でも記したことですが、脱北者の女性博士イ・エラン教授の本には「北朝鮮にはサンチュという言葉もなく、肉をサンチュに包んで食べる食べ方を知らない」ということが記されていました。すると、もしかして「肉をサンチュに包んで食べる」というのはそんな昔からの習慣ではないのかもしれない、といったことを考えたりもしていました。
 そうした疑問を口にすると、朝倉先生は「昔(←何百年前だったかな?)、北の人が「サンチュで包んだ料理が懐かしい」といったことを書いてます。つまり以前からあった食習慣です」と即座に説明されました。今の北朝鮮の状況については、「北は昔から食糧事情が厳しく、とくに現在は極度の食糧難に直面しているといったことが昔からの食習慣が消えてしまっている背景にある」ようです。なお、「イ・エランさん関係の展示も(特別展で)あります」とのことでした。
 信号待ちのわずかな間に、内容のあるお答えが聞けたのは実にラッキーでした。

 うわ、こんなに長くなるとは思わなかったな。

[8月11日の追記] 朝倉敏夫「韓国」(農山漁村文化協会<世界の食文化1>)に講演内容の多くが記されています。すぐ上の<おまけ>で書いた「包んで食べる」については次のような記述がありました。
 これ(=野菜にご飯を包んで食べること)が高麗から蒙古(元)に伝わったというが、その陰に、蒙古につれて行かれた高麗の宮女が失郷の悲しみをいやすため、故郷を想ってサンチュ(チシャの葉)にご飯を包んで食べたという悲しい話がある。
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朝倉敏夫教授の講演「食文化を通じてみる韓日比較」を聴いて知ったこと、考えたこと(上)

2015-08-07 21:32:43 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 7月31日(金)の夜、韓国文化院で朝倉敏夫国立民族学博物館教授の講演を聞きました。
 演題は「食文化を通じてみる韓日比較」。<2015『韓日文化比較』>というシリーズの第8回目の講演会です。

 しかし「食文化」とはずいぶん幅が広いというか、ネタがありすぎてかえって大変では?と思いました。
 講演は配布された資料プリントにほぼ沿って進められました。案の定、多岐にわたる内容でしたが、興味深い内容を巧みな語り口で話され、とても勉強になりました。
 プリントの項目だけ拾ってみると・・・。

 ①韓国人にとってのご飯とは?
 ②韓国人のご飯の食べ方は?
  (a)ご飯の世界・・・ビビンバ(混ぜる)、クッパ(汁に入れる)、サムパプ(包む)
  (b)箸と匙
 ③韓国人のご飯の出し方は?
  (a)お膳
  (b)おかわりと山盛り


 ・・・と、ざっと 見てもこれらの内容を1時間30分弱で話すとはなかなかのものです。おまけに日韓の文化のような、よく似ているが違う、つまり「似て非なる点にこそ双方の違いがよくわかる」とか、韓国の「情の深さ(情が多い)」と日本の「情の細やかさ」、韓国の「わかちあい(나늠)」と日本の「おもてなし」の対照比較といった文化論にまで話が及んだりして、実に密度の濃い講演でした。

 以下、私ヌルボが興味をもったこと、その後調べてみたこと、疑問に思ったこと等をメモみたいな感じで書いておきます。
 ※青字は朝倉教授の話あるいは配布プリントに記されていることです。

○朝倉教授の最初の訪韓は1979年。当時外食食堂ではご飯には麦が混じっていなければならなかった。 ※韓国は1983年に米の自給率が100%に達した。
 ・・・日本で麦飯がふつうだったのは60年代までだったでしょうか? 以前知り合い(1950年代前半生まれ)から「学校(高校?)で弁当箱を開けるとご飯が黒っぽい(←麦の比率が高い)ので恥ずかしくて、弁当を蓋を立てて隠して食べていた」という話を聞いたことがあります。
 韓国については→コチラ(韓国語)に記されている戦後食生活史はおもしろいです。
 1960年代半ば~70年代、すべての食堂ではご飯に麦等の雑穀と麺類を25%以上混合して売らなければならなかった。学校でも混粉食の歌(혼•분식의 노래)を歌わせ、昼食時に麦などの雑穀が25%以上混ぜられているか弁当検査をした、等々。
 また、→コチラの記事(韓国語)には次のようなことが記されています。
 (ちょうど日本の1950年代、アメリカの膨大な余剰農産物処理のためパンとか脱脂粉乳が学校給食に使われたように)韓国では63年からアメリカの余剰農産物を受け入れ、小麦粉はバランスのとれた食品で美容にも良く頭が良くなるとのふれ込みで韓国社会に広がり、70年代のセマウル運動で食生活の改善の名で欧米の食文化の無批判に受け入れていき、韓国の食文化は崩れていった。

○ご飯は、食べる人によってよび方が違う。
  반(パン)[밥(パプ)]=ご飯の一般的な語。
  진지(チンジ)=目上の人が召し上がるご飯。
  수라(スラ)=王の食事。    ※「チャングムの誓い」にも出てくる수라간(スラカン)は王の食事を調理する所。
  메(メ)=祭祀の時に祖先に差し上げるご飯。


○最初の<①韓国人にとってのご飯とは?>で金芝河の詩「飯」を紹介。詩句(全)は次の通りです。
  飯が天です 天を独りでは支えられぬように 飯はたがいに分かち合って食べるもの
  飯が天です 天の星をともに見るように 飯はみんなで一緒に食べるもの
  飯が天です 飯が口に入るとき 天を体に迎えます
  飯が天です  ああ 飯は みんながたがいに分かち食べるもの

 ・・・この詩については、たぶんそのうち別立ての記事にします。

국(クク.汁)탕(タン.湯)の区別はむずかしい。
 「국は祖先祭祀の膳には上がらないが탕は上がる」と言う人もいる。たとえばカルビ湯は結婚式による出されるが、汁は出ない。
 국밥(クッパ)は汁の中に飯を入れた(말다)もの。


日本人も昔は匙を使っていた。ex.正倉院御物 (箸の使用は7世紀以降。一般は9世紀から。)
 1116年(永久4年)の<大臣大餐>の図(「類聚雑要抄指図巻」所収)によると箸と匙がセットで用いられていたことがわかる。

 ・・・その後探してみたところ、正倉院御物の佐波理匙の画像は→コチラ参照。なお<朝鮮新報>の記事(→コチラ)によると<佐波理>とは「銅と錫の合金」のことで、朝鮮語「사발(サバル.沙鉢.どんぶり)」の日本語音表記と説明されています。
 また「類聚雑要抄指図巻」については、なんと横浜市立図書館にあったので見てみました。すごい豪華本で、奥付を見ると4万5千円出して購入したようです。1116年の大臣(=内大臣藤原忠通)大膳の図には、なるほど箸と匙のセットが置かれています。薄くてほとんど見えませんが、中央手前に横向きに置かれています。右は部分拡大図です。
      
 ※<神戸市兵庫区>のサイトに、「清盛時代の料理再現にチャレンジ」という催しの記事(→コチラ)と、再現した1115年の大饗のメニューとその説明の写真入り記事(→コチラ)がありました。とくに後者。よくここまで再現したものです。もちろん箸と匙のセットもあります。
 ※「類聚雑要抄指図巻」とは何なのか?については→コチラ参照。しかし、こうした宴席の膳の記録を詳細な絵入りで残すとはすごいものです。

○古代では用いられたは匙がなぜ後世なくなっていったか? 「ジャポニカ種の米は粘り気が強いので匙だとくっついて食べづらい」という説もある。
 ・・・山内昶「食具」(法政大学出版局)には、この説(故・青木正兒博士の説)とともに「日本では台所ですべて一口で食べられるように調理して食膳に出すので箸だけでよく、ナイフもスプーンも不要」といった<切断料理説>を紹介しています。(朝倉先生の話にもあったかな?) しかし決定的な説はないような・・・。韓国で匙を頑として使用し続けているのは「『礼記』以来の礼節を遵守してきたせいだった」という記述もあります。
 ※韓国の匙については以前<スッカラ(韓国のスプーン)はくぼみが浅い。 その理由は?>と題した記事を書いたことがあります。(→コチラ参照。)
 ※この「食具」という本はとても興味深い本です。匙&韓国関係では、「現在の西洋でスープを食べる時、スプーンを向こう側に動かして掬って口に運ぶが、コリアではそんなことをしたら福が逃げるといって、スプーンを手前に動かして掬って飲んでいる」といった記述もあります。

 後で図書館で調べたりネット検索で知ったこと等をあれこれ書き足していったらずいぶん字数が多くなってしましました。一応ここでひと区切り。

 → 朝倉敏夫教授の講演「食文化を通じてみる韓日比較」を聴いて知ったこと、考えたこと(下)
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グルメやショッピングとはぜ~んぜん無縁のソウル4泊5日の記録 ⑤これがチキンライスだって!?

2015-05-17 19:22:32 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
<グルメやショッピングとはぜ~んぜん無縁のソウル4泊5日の記録 ①国立中央図書館等>
<グルメやショッピングとはぜ~んぜん無縁のソウル4泊5日の記録 ②ソウル歴史博物館と「大京城府大観」>
<グルメやショッピングとはぜ~んぜん無縁のソウル4泊5日の記録 ③慶熙大学校のキャンパスをハイキング!>
<グルメやショッピングとはぜ~んぜん無縁のソウル4泊5日の記録 ④街なかの散歩と発見>

 順序からいえば、23日(木)午後に行った大韓民国歴史博物館のことを書くところですが、記事に載せようかなと思った写真が30枚以上になってしまったので思案中。その代わりに、今回の旅行で食べた中で、印象に残ったメニューを1つ紹介します。
 場所は教保文庫光化門店のフードコート멜로디스(メロディース)。2010年の改装以前は、小ぢんまりとした軽食コーナーといった感じでしたが、サンドイッチのようか軽いものだけでなく、今はうどんやスパゲティ、ご飯類等メニューの幅が広がっています。といっても、改装後入ったのは今回が初めて。
 何かご飯関係のものを、と思って食券売場(例の震える円盤を受け取るのですが)背後のメニューを見ると、最初に目に入ったのが치킨라이스(チキンライス)だったのでそれに決めました。しかし、チキンライスにも순한맛(まろやかな味)매운맛(からい味)の2種類あって、私ヌルボはもちろん前者にしました。
 ほどなくして例の円盤が振動し、窓口で受け取ったチキンライスがこれ!

 え、これがチキンライスってか!?
 あの日本式洋食の定番チキンライスとは全然違うではないですか。ケチャップのケの字もないし、チキンはやけにデカい! まあ、たしかにチキンがあってライスも当然あるので、チキンライスですと言われれば「あー、そうですか」と言うしかありません。が、ちょっと口になじんだメニューで一息つくか、思っていたのが肩すかし。まあ、何年か前に食べたチャンポンほどの大衝撃ではありませんでしたが・・・。
 ※韓国の凶悪なチャンポンについての過去記事(写真付)は→コチラ
 さて、気を取り直して食べ始めたこのチキンライス(まろやかな味)ですが、独特の甘みだけでなく少し辛味も混じっているのがやはり韓国。うーむ、何というか、まあ日本にはない味でしたね。
 もう1つのチキンライス(辛い味)の方ですが、ハングル検索して見つかったのが次の画像。
 ライスの色が違うくらいで、大差なし。これでたしか7000ウォンだったかな?
 量はとくに少ないとは思いませんでしたが、韓国の人の感想(→コチラ)を見ると「値段が高めなのに量が少ない」というものがいくつかありました。
 ところで、韓国ウィペディアの「치킨라이스」の項目(→コチラ)を見てみると、説明文は次の1行だけ。
 チキンライス(Chicken rice)は、ご飯に鶏肉を入れた日本料理である。
 これはこれでよしとして、気になったのはそこに付けられている画像です。
 なんだ、これは!? これじゃポチもタマも顔をそむけそう・・・。
 しかし、ヌルボが今回食したのもチキンライスだし、また韓国サイトでも近年紹介されるようになっているものにハイナンチキンライスがあります。シンガポールやタイ等東南アジアの定番料理です。東京でもハイナンチキンライス(海南鶏飯)が食べられる店が何軒もある(→コチラ参照)ようですが、韓国でも一部のタイ料理店である、かな? ま、それらも含めてチキンライスってことで、安易に日本式チキンライスと思い込んでしまったヌルボが甘かったのかもしれません。
 ※下の画像は弁当屋チェーン<ハンソッ・トシラク>のスパイシー・チキンライス弁当。


 ことのついでに、韓国の오므라이스(オムライス)事情についても少し調べてみました。
 <エンハウィキミラー>の오므라이스の項目(→コチラ)を見ると、さすがにオタクサイトだけあって「いわゆる和洋式料理で、東京銀座の煉瓦亭と大阪の北極星が互いに自分が元祖と言い張っている」とか、その2店の違い等も記されています。また注目点は「通常はケチャップライスやチキンライスを入れるが、韓国ではチャーハンを使う場合が多い」ということ。チキンライスでも、日本人のようなケチャップライスへのこだわりはないのでしょうかねー?
 また、試みにカタカナで「オムライス」で画像検索した結果(→コチラ)と、ハングルで「오므라이스」と入力して画像検索した結果(→コチラ)を比べてみました。すると明らかな違いが・・・。
      
 オムライスの標準形。左が日本、右が韓国です。韓国でも、専門店の場合はいろんなバリエーションがあるようですが、一般家庭で作るオムライスはおよそこんなふうに玉子の上にケチャップを何度も往復させるのがふつうなんですかねー。またケチャップで「사랑해요♡」などと書いたりして・・・というのは日本でもやってますか。
 日本人ヌルボとしては、見た目があまりごちゃごちゃしているのは嗜好に合わないんですけど、その点韓国では逆のようで、同じフードコートのメニューにあるカレー豚カツ(7000ウォン.下画像)を見ると食欲がわいてくる、・・・のでしょうね。
 豚カツは、このゴテゴテしたカレーソースの下に隠れているみたいですよ。

 いやー、何度行ってもその度に新しい発見とオドロキがあるものです。
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スニッカーズと、韓国のホットブレイクを食べ比べてみましたが・・・・

2014-09-04 18:17:53 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 キム・オンスの小説「設計者」の紹介&感想(→過去記事)の中で、コンビニ店員ミトがレセンに話しかけた言葉を紹介しました。

 「・・・・スニッカーズがアメリカ的な味なら、ホットブレイクが国の味なんですよ。歯にくっついたりもしないし。それにコストパフォーマンスからしても、優れたチョコバーです。スニッカーズの半分の値段なんですよ。もちろん十年前の価格を維持するために、だんだん小さくなっきてはいるんですけど。悲しい現実ですね。・・・・」

 私ヌルボ、これまでチョコバーにはとくに関心がなく、自分で買って食べたこともたぶんなかったように思います。しかし上記の本の引用部分は少し気になって、その後職安通り等に行った時にスーパーの菓子売場を見てみたりしたものの見当たらず。(後述の自由時間はありましたが。)

 そして先週。ソウルでコンビニに入ったらホットブレイクがあるのに目がとまり、スニッカーズも一緒に1本ずつ買ってきました。(あ、値段をメモしてなかった。)
 スニッカーズはもしかしたら日本と韓国でなにか違いがあるかもしれないと思い、近所のコンビニで買ってきて3つ食べ比べてみました。(自分で言うのもなんですけど、やってることがヒマ人だなー・・・。)


 最初にスニッカーズ(日本)から。スニッカーズのハングル表記は스니커즈(スニコジュ)です。


 なるほど。たしかにミト嬢が言うように「歯にくっつく」ような粘りがありますね。
 噛みごたえは、ネチョという感じ。


 断面が、糸を引いています。

 次にホットブレイク。ハングルだと핫브레이크(ハッブレイク)です。



 カバン内の圧力でちょっと表面がくずれてます。



 コチラの噛みごたえは、ザク
 スニッカーズに比べるとたしかに粘着力は小さめです。

 次にスニッカーズ(韓国)を食べてみましたが、日本的に日本のものと同じ。成分表示を照らし合わせてみると、熱量が韓国=245㎉・日本=247㎉、タンパク質が韓国=7%・日本=6%等と少し違いますが、ほぼ同じ。味に違いはありませんでした。

 一応、まったく個人的な尺度でスニッカーズとホットブレイクの違いを数値化してみました(笑)。

 ・スニッカーズ  粘着度 8
          甘さ  7
          ピーナツの存在感 5
          お気に入り度 5

 ・ホットブレイク 粘着度 5
          甘さ  6
          ピーナツの存在感 6
  ※アーモンドも入っているのに香りがしないゾ!
           お気に入り度 6

 チョコバー関連の韓国記事を検索したら、たくさんヒットしました。(ヌルボ同様の食べ比べをしているヒマ人は韓国にもいることを確認しました。)
 とくに参考になったのは→コチラ
 チョコバーの歴史が少し書かれています。それによると・・・
・1929年アメリカでスニッカーズが初めて作られた。この商品名snickersはくすくす笑いを意味しますが、創業者家族が飼っていた愛馬の名前ということです。
・1985年オリオンがホットブレイクを発売
・1990年ヘテ製菓が自由時間(자유시간)発売
  ※CMでは食べる自由、旅行する自由等々<自由>を強調した、というのは民主化後の風潮の繁栄でしょうね。ドラマ「砂時計」で人気を獲得したチェ・ミンスがドラマ終了後CMに起用されたそうです。
・1997年ロッテ製菓がアトラス(아트라스)を発売
・1998年スニッカーズが韓国で広告を開始。CMソングやブレイクダンス等のイメージ広告でブランド名の定着を図った。

 そして今、韓国のチョコバーのシェアは次のようになっているとのことです。
    自由時間  ②スニッカーズ  ③アトラス  ④ホットブレイク

 ところで、実はスニッカーズに続いてホットブレイクをひと口食べた時の偽らざる感想は「なんだ!? たいして(ほとんど?)変わらないじゃないか!」というものでした。
 ミト嬢が熱を込めて語るほどの違いがホットブレイクにあるのか?という疑問が残ります。
 さらにいえば、韓国のお菓子にいくつも事例がみられる「パクリ」に属するものかも・・・。と思ってネット検索すると、→コチラのブログ記事で「かっぱえびせん→セウカン」、「ポッキー→ペペロ」等のおなじみの日本菓子の事例の後に、スイスの「キットカット(ネスレ)→キッカー(クラウン)」と、このアメリカの「スニッカーズ(マーズ)→ホットブレイク(オリオン)」が記されていました。

 韓国では「パクリ」に対する罪悪感とか恥ずかしい気持ちが薄いのかな? 「벤치마킹(ベンチマーキング)」という言葉も恣意的に使われているような・・・。(あ、ここらへんヘタすると嫌韓ブログみたいな書き方になってる?) それとも、過去の経緯は考えず、今の上記4製品を単に横並びのものとして捉える発想なのか? とすると、例の過去史認識問題にも関わる??(ここまでくると「妄想」レベルかな?)

 チョコバーを3つ食べて、「もういいや」というレベルに達したので、自由時間やアトラスもこの際食べてみよう、という気は当分起こらないと思います。

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近所のスーパーでチャメ(韓国のマクワウリ)発見! さっそく食べてみました。

2014-07-20 19:47:29 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 今の時期、韓国での旬の果物といえばやっぱりチャメ(참외)です。ハウス栽培をしているので冬でもあることはありますが・・・。

 6月に韓国に行った時も至るところで目にしました。下の写真はともに6月17日ソウル・清涼里駅近く。とくに左、1かご6個くらい入っていて2000ウォンとは安いです!(1個40円もしない。)

  

 色は日本のマクワウリのような黄色ですが、ずっと小ぶり。マクワウリの変種なんだそうです。
 マクワウリの名は岐阜県の真桑村(現・本巣市)に由来するということはたしか昨年新聞で読みました。近年めったに見ることがありませんが、昨夏たまたま徳島のスーパーにありました。(下写真)

 チャメは、日本でも新大久保・職安通りの韓国スーパーや、横浜のコリアタウン(→過去記事参照)等で買えます。

 ところが数日前、近所のスーパーで売っているのを見つけました。(下写真)


 1個248円か、うーむ。日本では大体こんなものですかねー。

 箱の表示を見ると・・・

  

 やっぱり星州(성주.ソンジュ)。慶尚北道星州郡。韓国のチャメ生産の7割を占める一大特産地です。右の写真の「성주월항」は星州郡月恒(월항.ウォラン)面のこと。そこの農協だかで出荷しているのでしょう。
 そういえば、星州のチャメについては過去記事<[クイズ]韓国の果物の特産地は?>(→コチラ)でちょっと紹介しました。
 私ヌルボは行ったことがありませんが、韓国サイト等をみるとホントに星州はチャメだらけ!


 これはチャメ博物館というべきチャメ生態学習園。展示内容等は→コチラ(韓国語)の写真参照。

 韓国ではおなじみの地域特産物のキャラクターの像もあります。


 チャムドリ(左)とチャムスニという、いかにものネーミング。(昔話等で「〇〇ドリ」は男、「〇〇スニ」は女の典型的な名前。)
 そして・・・


 こんなチャメ型のトイレまで・・・。この他にも、チャメの街路灯や大きなモニュメント等。(→コチラ(韓国語)参照。)

 ※韓国ウィキペディアの<チャメ>の項目(→コチラ)や、星州郡の公式サイト中の<チャメの歴史>という記事(→コチラ)を見ると、1957年に日本から導入されたタキイ種苗の育種による銀泉という糖度の高いマクワウリの品種がその後の韓国チャメを席捲したといえそうなんですね。

 はてさて。調べたりしたことはおいといて、以下「食べました!」という報告。


 2つに切って、種を取って、小さく切って・・・。


 食べてみると、甘さがイマイチだな。そしてプリンスメロン等と比べると歯ごたえのある食感が日本人の好みにあうかどうか・・・。

 ・・・等々と、この記事の締めの言葉を考えていた時に、重大な誤り!に気づきました。

 これも過去記事で、たがみようこさんの本「새댁 요코짱의 한국살이(新妻ヨーコちゃんの韓国暮らし)」を紹介したことがありましたが(→コチラ)、そこで「チャメ(참외.マクワウリ)の切り方は、輪切り、三日月形、種を取る取らない等々、人によりさまざま」とありました。

 しかし、スーパーの売り場の貼り紙をみると・・・。


 「種のまま食べられます」と書いてあったではないですか。

 また、人気ブログ<hime(韓国マニア)>中に「韓国人旦那によるチャメのむき方講座」といった内容のおもしろい記事(→コチラ) があって、そこでは「種も食べるのが韓国式である」と明記されています。

 もうひとつオマケに、韓国で人気のブロガー小松清香(サヤカ)さんのブログ(韓国語)の「日本人がチャメを食べる猟奇的方法?!」という記事(→コチラ)を見ると、サヤカさん、韓国人の友人たちに「チャメはあんまり甘くないねー」と言って議論となり、皆の前でチャメを切って食べることになったのですが、何年間も韓国で暮らしながらサヤカさんは種を取った上、ボールの水で洗って食べたのです。そのあと友人が切ってくれた種つきのチャメを食べたサヤカさん、「うわ~、サプライズ!!! チャメが甘い~」

 そういえば、ヌルボも今まで3回くらいしか食べたことはありませんでしたが、いつも種を取っていましたね。

 そういうわけで予定外のやり直し。


 その結果はというと、種を取った場合の甘さを6/10とすると、種を取らない場合は8/10にはなりますね。種も小さくてほとんど気にならないくらい。いやー、気がついてよかったわー、ハッハッハ。

 星州郡月恒面の農協の記事(→コチラ)によると、今年5月からチャメをシンガポールや香港に輸出するようになったとのこと。
 しかし、日本人好みの、甘くて果肉が軟らかくジューシーなメロンがいろいろある日本では、はたして韓国チャメは今後受け容れられるかどうか・・・?

[オマケの話その1] <エンハウィキミラー>の「チャメ」の項目(→コチラ)中のジョーク。
 A : 너 참외 이야기 알아?   おまえ、チャメの話知ってるか?
 B : 아니 그게 뭔데?     いや、それどんなの?
 A : 그럼 이 참외 알아둬.    じゃあ、この際知っておいて。
  ※「이 참에」(この際)と「이 참외」(このチャメ)の発音がほとんど同じ、というのがミソ。

[オマケの話その2] ヌルボのテキトー韓国語失敗談。
 ネイティブ韓国人の先生の娘さん2人、とてもよく似ているので「やっぱり姉妹(자매.チャメ)はよく似てますねー」と言ったら、先生から「その発音だとウリ(참외.チャメ)に聞こえます」とのご指摘。(チャメの「チャ」は息を強く出す激音、姉妹の「チャ」は「ジャ」に近い平音。)
 「瓜ふたつ」という言葉もあることだし、別にどっちでもいいじゃないか、と苦しいイイワケ。
コメント (8)
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