ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [10月22日(金)~10月24日(日)]と人気順位 ▶麗水・順天事件(1948)の今を描いた独立系映画「ツバキ」に注目! ▶「DUNE/デューン 砂の惑星」、韓国でも高評価

2021-10-29 01:52:16 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶先週の記事で書いた韓国文化院主催の<コリアン・シネマ・ウィーク2021>の件。6作品応募して当たりは半分の3勝3敗。予測の範囲内ではありますが、なんだかなー・・・の結果です。来年は同じラインナップで韓国文化院で観たいものです。

▶今回の記事中で注目の韓国映画は《独立・芸術映画》のランキングで2位の「ツバキ(椿)」です。韓国語で<동백(トンベク.冬柏)>。<トンベク>といえば、1960年代の李美子(イ・ミジャ)の大ヒット曲「トンベクアガシ(椿娘)」を思い起こす往年の韓国歌謡ファンも多いのでは?
 この映画のあらすじなんですが、日本語サイトの→Wow!Korea等だけでなく、→NAVER映画を見てもボンヤリしすぎていて、何についての映画なのかさえ全然不明。で、他の韓国記事をいくつか読んでやっとわかりました。映画のあらすじについては本記事の最後の方を参照されたし・・・ということにして、この作品の柱となっている70年以上前の出来事、<麗水・順天(ヨス・スンチョン)事件>について説明します。

[関係年表]
1945年8月15日・・・日本の敗戦と韓国の<光復>。朝鮮半島の北半はソ連により送り込まれた金日成、南半はアメリカを後ろ盾とした李承晩を中心とした政権が成立するが、それぞれ国内派-(米・中・露等の)国外派、左派-右派の政治家&政党の対立が続く。
1948年4月3日~1949年5月・・・済州島四・三事件。5月10日の南朝鮮の単独選挙に反対して島民が蜂起。政府軍、警察、民間右翼等によって島民の5人に1人にあたる6万人(?)が虐殺された事件。※最左翼政党、南朝鮮労働党(南労党)の関与(扇動)もそれなりにあったが、昨年改訂された歴史教科書には南労党のことは全然記されていないとか・・・。
1948年5月10日・・・国際連合監視下で南朝鮮のみの単独総選挙。朝鮮半島の南北分断を固定化するとの理由から民族派の金九や中道派の金奎植等も反対する中で強行され、各地で反対派による武装闘争が展開された。
1948年8月15日・・・大韓民国政府樹立。李承晩が初代大統領に就任。
1948年9月9日・・・金日成首相の下で朝鮮民主主義人民共和国建国
1948年10月19日~10月27日・・・麗水・順天事件。済州島四・三事件鎮圧のため麗水に駐屯していた国防警備隊に出動命令が下されたが国防警備隊はこれを拒否し反乱。順天等広範囲に反乱は広がるが、李承晩が投入した鎮圧部隊により1週間後に鎮圧された。事件後政府による苛酷な左翼勢力摘発で、国防警備隊内で反乱を扇動した南労党員だけでなく、非武装の民間人約8千人(?)が殺害された。その中には、反乱軍と共に鎮圧軍と戦った市民の他に、反乱軍に脅されて食料を与えただけで同調者と見なされて殺される等、明確な根拠もなく犠牲になった人も多かったと考えられています。(→ウィキペディア。)

済州島四・三事件は長く韓国内ではタブーとされ歴史の教科書にも載っていませんでしたが、約20年前の金大中政権以降の進歩系政権の下で真相究明や名誉回復、犠牲者の慰霊が進められてきました。(在日朝鮮人作家・金石範さんの大作「火山島」はぜひオススメ!)
 麗水・順天事件も、国家反逆のレッテルを貼られた住民は長い沈黙を強いられ、事件の全容が公にされたのは1990年代以降だった。そしてやはり金大中政権時代の2001年以降4回国会で事件の真相究明及び犠牲者の名誉回復に関する特別法案が発議されたものの毎回自動廃棄。それが昨年5回目発議された法案がこれまで反対してきた保守政党が態度を変えて国会を通過し、今年6月に可決したとのこと。※→コチラの動画は昨年10月家族の再審や特別法の制定を求める人々、10月19日の慰霊祭のようす等を伝えるYTNニュース。最後に映画「ツバキ」の制作についても触れています。
 ※この映画が10月21公開ということは、10月19日に合わせたもの。
 ※ツバキは麗水市の市花でもあります。

    ★★★ NAVERの人気順位(10月26日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(新) 若い盛りのソンニョさん(韓国)  9.82(22)
②(新) 休暇(韓国)  9.74(31)
③(4) シャーマン・ロード(韓国)  9.58(19)
④(7) コーダ  9.35(541)
⑤(8) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  9.34(2,900)
⑥(10) 奇跡(韓国)  9.28(3,497)
⑦(新) 最後の決闘裁判  9.25(554)
⑧(-) 映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(日本)  9.23(427)
⑨(-) 花束みたいな恋をした(日本)  9.13(439)
⑩(-) オクトノーツと火のリング  9.13(45)

 ①②⑦の3作品が新登場です。
 ①「若い盛りのソンニョさん」は韓国のドキュメンタリー。<第13回DMZ国際ドキュメンタリー映画祭>で観客賞を受賞した作品です。「木こり? いなくても大丈夫だよ!」。仔が生まれた牛の世話もして、屋根に並べておいたハタハタも取り込まなくちゃならないし、木に登って柿も取って、タクシーに乗ってハングルを勉強しに町にも出なければならないし・・・。江原道江原道・三陟[サムチョク]のある山の中で1人で暮らす68歳のイ・ソンニョさんは座って休む暇がありません。体が十あっても足りないそんな歳のソンニョさんがさらにもう1つ仕事を増やしました。これまでの人生でたった1つの山しか越えたことのない彼女が、長い間住んでいた家を離れて新しい家を建てることを決心したのです。カチカチトントン、今日も忙しいソンニョさんの1日です・・・。原題は「한창나이 선녀님」です。
 ②「休暇」は韓国のドラマ。イ・ラニ監督の初の長編作品で昨年の<第25回釜山国際映画祭>のニューカランツ部門で初公開され、その後<第46回ソウル独立映画祭>の長編競争部門で大賞を受賞する等、韓国内外の映画祭に招待され注目されている独立系の作品です。本作は、ひょっとしたら自分かもしれないどこにでもいそうな解雇労働者であるお父さんジェボクを通じて、を通じて、私たち皆の生活の中での仕事とメシ、廉恥と道理、責任と献身、権利と義務等々、多くの価値とその意味を考えさせる人権映画です。解雇5年目、テント座り込み1882日目。ジェボク(イ・ボンハ)は労組が整理解雇無効訴訟で最終的に敗訴すると10日間家に休暇で帰ります。久しぶりに家族にも気遣って、アルバイトで稼ぎ、忘れていたワーキング&クッキングホリデーで日常の楽しさを発見します。休暇の終わりが見えた頃、ジェボクの2人の娘は、パパが座り込みの場所に戻らないよう願うのですが…。原題は「휴가」です。
 ⑦「最後の決闘裁判」はアメリカのバイオレンス。日本でも10月15日から公開されているので紹介は省略します。韓国題は「라스트 듀얼: 최후의 결투(ラスト・デュエル: 最後の決闘)」です。

     【記者・評論家による順位】

①(2) グリーン・ナイト  8.20(5)
②(-) イントロダクション(韓国)  7.67(3)
③(8) プチ・ママン  7.63(8)
④(新) DUNE/デューン 砂の惑星  7.50(8)
⑤(-) イントロダクション(韓国)  7.67(3)
⑥(-) 冬の夜に(韓国)  7.33(6)
⑦(10) モガディシュ(韓国)  7.27(11)
⑧(-) 終着駅(韓国)  7.20(5)
⑨(-) ファーザー  7.13(8)
⑩(-) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  7.00(9)

 ④「DUNE/デューン 砂の惑星」が新登場です。フランク・ハーバートのSF小説「デューン砂の惑星」(ハヤカワ文庫)を映画化したアメリカのSF。この作品は日本でも韓国より5日早い10月15日に公開されているので説明を省略します。韓国題は「듄」です。

    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月22日(金)~10月24日(日) ★★★
         「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」が2週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・ヴェノム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/13 ・・・・・343,004・・・・・1,649,433・・・・・16,481・・・・・1,568
       :レット・ゼア・ビー・カーネイジ
2(新)・・DUNE/デューン 砂の惑星 ・・・10/20 ・・・・275,956・・・・・・・383,166・・・・・・4,086 ・・・・・1,576
3(2)・・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ・・9/29・・・・・・22,821 ・・・・・1,197,221 ・・・・11,712・・・・・・・473
4(24)・・最後の決闘裁判・・・・・・・・・・・・10/20・・・・・・21,179・・・・・・・・・33,189 ・・・・・・・323・・・・・・・367
5(3)・・ボイス(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・9/15・・・・・・17,572・・・・・・1,385,837 ・・・・13,672・・・・・・・421
6(4)・・奇跡(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/15・・・・・・・9,347 ・・・・・・・675,684・・・・・・6,353・・・・・・・268
7(5)・・映画クレヨンしんちゃん ・・・・・・9/15・・・・・・・6,350 ・・・・・・・196,934・・・・・・1,872・・・・・・・174
       激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(日本)
8(新)・・富川国際ファンタスティック映画祭2021 ・・3,682 ・・・・・・・・・・4,082・・・・・・・・・20 ・・・・・・・・・3
       韓国短編コンペB(韓国)
9(7)・・劇場版ポケットモンスター ココ(日本)・・9/15・・3,488 ・・・・・212,712・・・・・・1,932・・・・・・・121
10(6)・・ノ・フェチャン[魯会燦]6411(韓国)・・10/14・・2,722・・・・・・・23,697・・・・・・・・210 ・・・・・・・105
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は2・4・8位の3作品です。
 2位「DUNE/デューン 砂の惑星」と4位「最後の決闘裁判」については、上述のように日本でも公開されているので説明を省略します。
 8位「富川国際ファンタスティック映画祭2021 韓国短編コンペB」は今年7月7日~17日に開かれた<第25回富川[プチョン]国際ファンタスティック映画祭>の1部門です。原題は「BIAF2021 한국 단편 경쟁 B」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(50)・・2度と雪は降らない・・・・・・・・・10/20 ・・・・・・・・1,987・・・・・・・4,300・・・・・・・・・・・30 ・・・・・・・63
2(13)・・ツバキ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・10/21・・・・・・・・1,950・・・・・・・3,052・・・・・・・・・・・24 ・・・・・・・60
3(11)・・休暇(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・10/21・・・・・・・・1,627・・・・・・・3,191・・・・・・・・・・・24 ・・・・・・・55
4(新)・・あなたの顔の前で(韓国) ・・・・・10/21・・・・・・・・1,367・・・・・・・1,956・・・・・・・・・・・17 ・・・・・・・66
5(15)・・若い盛りのソンニョさん(韓国)・・10/21・・・・・1,158・・・・・・・2,483 ・・・・・・・・・・・18 ・・・・・・・74

 1~5位すべてが新登場です。
 3位「休暇」と5位「若い盛りのソンニョさん」については上述しました。
 1位「2度と雪は降らない」(仮)はポーランド・ドイツ合作のコメディ&ドラマ。<第77回ヴェネツィア国際映画祭>のコンペ部門で初公開され、<第93回アカデミー賞>国際長編映画賞のポーランド代表として出品された作品です。
 「1、2、3。息を吐くたびに体がホコリのように軽くなります。自分の特別な能力を使って人々の心の中の悲しみと渇望を覗く催眠術師のゼーニャ(アレク・ウトゴーフ)。彼の能力は瞬く間に口コミに乗って広まり、大勢の人たちが彼に会いたくて血眼になる中、ミステリーに隠された彼の催眠術が人々をとらえ始めます・・・。彼はウクライナ出身で母親をチェルノブイリの事故で亡くしています。ポーランドにマッサージ師として出稼ぎに来ましたが、個室で応対した役人を眠らせて自分で居住許可証を発行します。その特技と巧みな語りで人々を集め、カルトのような雰囲気にもなりますが、反社会的な集団にはならず人々を幸福な夢の世界に誘い、悩みを癒すだけで、その点ではファンタジーともいえそうです。タイトルの意味は、チェルノブイリの死の灰のことか、地球温暖化でポーランドで雪が観られなくなるという意味か、いずれにしても象徴的な意味合いがありそうです。韓国題は「첫눈이 사라졌다」。日本公開は未定のようです。
 2位「ツバキ」は韓国のドラマ。本作品の歴史的背景については本記事冒頭に書きました。頑固な老人スンチョル(パク・クンヒョン)は朝鮮半島の南の海に面した麗水で72年続くクッパ専門店の冬柏[トンベク]食堂の3代目の主人。しかし不景気で店は存廃の危機にさらされ、そんな中優しいだけの息子ナムシク(チョン・ソニル)や分別がない孫クィテ(ソ・ジュニョン)は頼りになりません。そんなある日、店に見慣れない客がやって来ます。それは有名な全国チェーン店を展開している企業からのフランチャイズ店加盟の提案でした。それも店の伝統は残すという形で。家族は皆喜びます。そしてスンチョルはソウルにあるその企業の本社を訪ねます。が、そこでたまたまある人物の写真を見て彼の表情が突然変わります。それは彼の父の命を奪った1948年の悲惨な出来事の記憶につながるものでした・・・。原題は「동백」です。右画像は本作品の1場面。予告編は→コチラ
 4位「あなたの顔の前で」は韓国のドラマ。ホン・サンス監督の新作です。サンオク(イ・ヘヨン)は高層マンションで暮らしたことはありません。彼女は、妹(チョ・ユニ)はこんなに高いところに住んでいて大丈夫なのかという疑問を感じますが、数日前からその妹の住まいに入り込んで韓国での暮らしを再び経験しています。隠している秘密があるようですが、それでも一日一日に集中して暮らせるように勤めています。そんな中、彼女より若い映画監督(クォン・ヘヒョ)から彼女を映画に使いたいとの連絡がきて、1度は辞退したものの結局今日その監督に会いに行くことに。ソウル都心の路地にある小さくて古い酒場。昼間から酒を飲み、外では雨が降り、雷が鳴っています・・・。原題は「당신얼굴 앞에서」。あいかわらずのホン・サンスの作品世界ですねー。
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韓国内の映画の興行成績 [10月15日(金)~10月17日(日)]と人気順位 ▶<コリアン・シネマ・ウィーク>の上映作品に注目 ▶韓国系アメリカ人監督による「ブルー・バイユー」(来年公開)に期待

2021-10-22 18:44:48 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶韓国文化院主催の<コリアン・シネマ・ウィーク2021>(→コチラ参照)は、昨年に続いてオンライン上映となりました。期日は11月2日(火)~7日(日)で、視聴可能時間は18:00~22:00。
 上映作品は上映日順に担保[담보]」「私は私を解雇しない[나는 나를 해고하지 않는다]」「ハンガー [헝거]」「私にはとても大切なあなた[내겐 너무 소중한 너]」「最善の人生[최선의 삶]」「子どもたちは楽しい[아이들은 즐겁다]」です。
 いやあ私ヌルボ、このラインナップには目をみはりました。どれも日本初上映だし、それも日本で一般劇場公開があるかどうかわからない独立系映画が多いし、とくに→「最善の人生」、→「私は私を解雇しない」「子どもたちは楽しい」については本ブログでけっこう詳しく画像付きで紹介しました。・・・と言っても抽選に当たらなければ観られないのがなんだかなー、なので申込(24日締切!)の際には「来年にはぜひ韓国文化院で上映してほしい」と書いておきましたが、どーだかなー。もちろん一般公開されればいいのですが・・・。
▶今回の記事中の注目作は「ブルー・バイユー」です。今年の<第74回カンヌ国際映画祭>で上映されたアメリカ映画ですが、ジャスティン・チョン監督はカリフォルニア生まれの韓国系アメリカ人で、この作品も自身の出自に関わる作品です。彼のフィルモグラフィを見ると2014年に「Twinsters ~双子物語~(트윈스터즈)」というドキュメンタリーの総括プロデューサーだったのですね。米仏に別々に養子に出された韓国人の双子姉妹が奇跡的と言えるほどの偶然により26年ぶりに再会したという実話ドキュメンタリーです。(詳しくは→過去記事参照。) 
 この作品の主人公も3歳の時養子としてアメリカに来て以来アントニオという名で30年アメリカで暮らしている男性です。
 近年「フェアウェル」や「ミナリ」等アメリカで暮らす中国人や韓国人の物語をそれぞれの血を引く監督が制作した作品が相次いで公開されていますが、これもそれらに連なるものですね。
 また作中には明らかな差別意識を持った警官が登場します。そして移民局に送られ、「市民権がない」という自分でも知らなかった事実のために韓国に強制送還されそうという危機に直面します。・・・と、このあたりはアメリカ内の東洋人差別だけではなく、本人の事情・現状等を全く無視した入管問題を想起させます。日本公開は来年公開とのこと。これは観なければ・・・。※→予告編(日本語字幕)

    ★★★ NAVERの人気順位(10月19日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 夢見るネコ(韓国)  9.85(41)
②(新) 2人の恋人の殺害  9.67(18)
③(2) 学校に行く道(韓国)  9.56(160)
④(4) シャーマン・ロード(韓国)  9.56(18)
⑤(-) 蒸発(韓国)  9.44(54)
⑥(5) BanG Dream! Episode of Roselia II:Song I am.(日本)  9.39(31)
⑦(6) コーダ  9.36(527)
⑧(7) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  9.34(2,891)
⑨(新) ブルー・バイユー  9.32(41)
⑩(10) 奇跡(韓国)  9.28(3,425)

 ②と⑨の2作品が新登場です。
 ②「2人の恋人の殺害」はアメリカのドラマ&ラブロマンス。デビッド(クレイン・クロフォード)とニキ(セピデ・モアフィ)は4人の子供を持つ夫婦。しかしニキは結婚と育児で断絶してしまった夢を叶えるため法律事務所に就職したのですが、そこの同僚のデレク(クリス・コイ)に好意を持つようになります。またデレクもニキとの関係を発展させたくて家の近辺にやってきたりしています。そんな事情は、ある朝2人がベッドで寝ているのを見たデビッドも知っていましたが、彼は銃は手にしたものの発砲できず、近くにある実家に引き上げてしまい、実質的な別居状態に入ります。ところが、母親の不倫を知っている高校生(?)の娘ジェス(エイブリー・ピッツート)は戦おうとしない父親がはがゆく、憤りさえ感じるほどになっています。ただ、3人の弟たちは父親と遊んだりしているし、夫婦間で話をする場面でもデビッドはすぐ自分の非を認めて引き下がるので大きな破局には至らないのです。しかしデビッドもデレクの存在が目障りでしょうがないと思っているのも事実。どこまでも寛容で善き父親であろうとしていた彼もついに本心をニキとデレクにぶつけることになりますが・・・。この作品、タイトルを見ると何かスリラーっぽい、陰惨な事件が?といった雰囲気を感じさせますが、そうではないようです。韓国題は原題のまま「킬링 오브 투 러버스(Killing of Two Lovers)」。日本公開は未定のようです。
 ⑨「ブルー・バイユー」はアメリカのドラマ。今年の<第74回カンヌ国際映画祭>ある視点部門に正式出品されて各国のメディアから絶賛された作品とのことです。ジャスティン・チョン監督(主演も)はカリフォルニア州ガーデングローブ市生まれの韓国系アメリカ人で、本作もそんな自身の出自に関わる作品です。※タイトル中の<バイユー(Bayou)>とはアメリカ南部のミシシッピ川の三角州地帯によくある細くてゆっくりと流れる小川のこと。
 「私の名前はアントニオ・ルブランです。」 韓国で生まれて3歳の頃にアメリカに養子に出され、アントニオ・ルブランという名前をもらった1人の男。彼には誰よりも自分を信じてくれる(シングルマザーだった)妻のキャシー(アリシア・ヴィキャンデル)とその娘ジェシー(シドニー・コワルスケ)、そしてじき生まれる赤ちゃんがすべてです。ところがある日、些細なことで差別意識丸出しの警官に捕まった彼は、英語もわからないまま身柄を拘束されて移民局に送られ、初めて自分に市民権がないという事実を知ります。そして最悪なことに、当局はアントニオを韓国へ強制送還するという決定を下します。彼の選択肢は処分を受け入れるか、当局と裁判で争うかの2択。しかし前者は心情的に受け入れられず、また後者を選ぶと5千ドル必要ですがそんな余裕はありません。どうしても家族とは別れなくない彼は窮地に立たされます。そこで彼が決心したこととは・・・。韓国題は「푸른 호수(青い湖)」。日本公開は2022年です。うーん、なんか日本でも聞いたような話だなあ・・・。

     【記者・評論家による順位】

①(1) サマ  8.25(4)
②(2) グリーン・ナイト  8.20(5)
③(3) ノマドランド  8.00(8)
④(6)あの日のように抱きしめて  7.80(5)
⑤(8) プチ・ママン  7.63(8)
⑥(10) モガディシュ(韓国)  7.27(11)
⑦(-) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  7.00(9)
⑧(-) アシスタント  7.00(6)
⑨(新) みんな一緒に!  7.00(5)
⑨(新) エデュケイション(韓国)  7.00(5)

 ⑨の2作品が新登場です。
 ⑨「みんな一緒に!」(仮)はフランスのコメディ&ドラマ。エリック・ロメール風といわれるギヨーム・ブラック監督の恋愛バカンス映画です。パリのあるの熱い夏の夜、フェリックス(エリック・ナントチュアン)はセーヌ川沿いの野外ダンスパーティでアルマ(アスマ・メサウデネ)と出会って恋に落ちます。翌朝アルマは家族がいる南フランスのリゾート地に行きますが、彼女への思いの止みがたいフェリックスは親友のシェリフ(サリフ・シセ)と共に彼女をサプライズ訪問することにします。車のない2人はライドシェアをやっている見ず知らずの男エドゥアール(エドゥアール・スルピス)の車に乗って600キロ離れた目的地に向かいます。現地についてフェリックスが電話するとアルマは当惑し不機嫌になるものの、妹のルーシー(ルーシー・ガロ)と一緒にやってきて合流。到着と同時にエドゥアールの車が故障したこともあって、結局3人は1週間(?)逗留し、結局はそれぞれに楽しく有意義な(??)日々を過ごすことに・・・。というなんともノーテンキなお話。評論家・記者の皆さんは「エリック・ロメールの映画よりも可愛くユーモラス。主演俳優3人の演技にリズムを合わせればいつのまにかエンディング。夏にふさわしい映画に追加してもいい作品」「居心地の良いコメディ」「楽しくて幸せ。笑いだけが残った」等々と上々の賛辞。ふうん・・・。原題のフランス語「A l’abordage!(搭乗!)」も英題「All Hands on Deck」も適訳がみつからず、一応韓国題「다함께 여름!(みんな一緒に夏!)」を参考に仮題をつけておきました。日本公開は未定のようです。
 ⑨「エデュケイション」は韓国のドラマ。<第24回釜山国際映画祭>のニューカレンツ部門で上映され注目された作品で、主演のムン・ヘインとキム・ジュニョンは<今年の俳優賞>を受賞しました。社会福祉学科の卒業を控えている女子学生ソンヒ(ムン・ヘイン)は 韓国を離れてスペインでの新たな生活を夢見ています。彼女はその資金を貯めるため障碍者の活動補助のアルバイトを始めます。ところが仕事が難しくないことを期待していたのとは違って、彼女に割り当てられたのは1日の大半を横になって生活している重度障碍者の家でした。より多くバイト代はもらいたい一方、ソンヒは他の人たちのようには働く気にはなりません。ところが、1人でお母さんの面倒を見てきた高校生ヒョンモク(キム・ジュニョン)は事あるごとにソンヒを煩わせます。仕事に関心がないソンヒと関心が必要なヒョンモク。2人のかみ合わない関係が始まります・・・。「残酷な現実を生きていく青春の姿を一握りのぬくもりもなく入れた。関係の頻度と共に増えていく交感も憐憫も見つけることができない2人の間には、各々の必要性が存在するだけだ。切迫だけがお互いを結ぶ共通分母になった2人の主人公の姿から、関係を結ぶことが下手な今日の私たちが見られる」というシム・ギュハン記者の文から察すると、安易な予定調和的落としどころでまとめたような作品ではなさそうです。(ではどんな結末?) 原題は「에듀케이션」です。

    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月15日(金)~10月17日(日) ★★★
         「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」が他ほ圧倒 初登場で1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・ヴェノム・・・・・・・・・・・・・・・・・10/13・・・・・778,065 ・・・・・1,096,578・・・・・10,975・・・・・1,998
       :レット・ゼア・ビー・カーネイジ
2(1)・・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ・・9/29 ・・・・65,342 ・・・・・1,150,452・・・・・11,259・・・・・・・690
3(2)・・ボイス(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・9/15 ・・・・・34,506・・・・・・1,351,487・・・・・13,346・・・・・・・555
4(3)・・奇跡(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・9/15・・・・・・18,797 ・・・・・・・655,849・・・・・・6,177・・・・・・・458
5(4)・・映画クレヨンしんちゃん ・・・・・9/15・・・・・・・9,851 ・・・・・・・189,852・・・・・・1,804・・・・・・・221
       激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(日本)
6(45)・・ノ・フェチャン[魯会燦]6411(韓国)・・10/14・・9,238・・・・・・17,405・・・・・・・・155・・・・・・・148
7(7)・・劇場版ポケットモンスター ココ(日本)・・9/15・・5,715・・・・208,739 ・・・・・・1,896・・・・・・・172
8(5)・・竜とそばかすの姫(日本)・・・・・・9/29・・・・・・・5,270・・・・・・・・・59,862 ・・・・・・・・583・・・・・・・111
9(49)・・10ヵ月のミレ(韓国)・・・・・・・10/14・・・・・・・5,121 ・・・・・・・・・・8,718 ・・・・・・・・・62・・・・・・・146
10(新)・・スペース・ドッグ3・・・・・・・・10/14・・・・・・・3,414・・・・・・・・・・3,705・・・・・・・・・・31・・・・・・・172
       :トロピカル・アドベンチャー
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は1・6・9・10位の4作品です。
 1位「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」は、アメリカのSFアクション大作「ヴェノム」(2018)の続編。ジャーナリストのエディ(トム・ハーディ)と、彼の体に寄生して奇妙な共同生活をおくる地球外生命体のヴェノムが、最凶の敵カーネイジと激闘を繰り広げます。日本公開が12月3日で→公式サイト&予告編もすでに用意されているので、説明はここまでにしておきます。韓国題は「베놈 2: 렛 데어 비 카니지」です。
 6位「ノ・フェチャン[魯会燦]6411」は韓国のドキュメンタリー。<第22回全州国際映画祭>の全州シネマプロジェクト選定作です。タイトルのノ・フェチャン(1956~2018)は進歩系の政治家です。彼の経歴等は→ウィキペディア参照。2018年に違法政治資金を貰っていたことが発覚し、自宅マンションから飛び降りて自殺しました。葬儀場には2日間で8千人の弔問客がを訪れ、文在寅大統領をはじめとする進歩系の側だけでなく保守系からも彼の死を悼む声が寄せられたとのことです。その3周忌に当たって、彼の若い頃のからの足跡をたどったドキュメンタリーです。その中には多くの人の知らなかったことも盛り込まれていて、たとえば政治家になるまでは溶接工をしていたとか。これは上記ウィキペディアにもあるように<偽装就業>ですね。高麗大在学中から朴正熙政権に対する民主化運動に飛び込み、全斗煥時代の1982年に自分が大卒の労働運動扇動者であることを隠すために職業学校に入って溶接技術を学び、就職して労働組合を組織したということです。(※→コチラの過去記事参照。彼の6歳下で裕福な家庭出身の作家孔枝泳も延世大を出て九老工団の電子部品会社に入ったものの、わずか1ヵ月で<偽装就業者>がバレてクビになったことも書いてます。
 ところで、タイトル中の<6411>とは、九老区を起点にずっと東の江南を経て開浦洞までのバスの路線番号です。最初上記の経歴と関係あるのかなと思いましたがそうではなく、よく知られた彼の演説によるものでした。その内容というのは、午前4時九老並木公園から出る始発バスの乗客のこと。途中で乗る客も含めてほとんどがいつもの顔なじみの客で、各々が乗り降りする停留所もわかっています。その人たちの多くは江南のビルの掃除人で、午前5時半の出勤時刻に間に合わせるには午前3時半に起きて地下鉄の始発前にバスに乗らなければならないのです。職場ではとくに深い人間関係はない空気のような存在。「朝のTVニュースも見られず、月85万ウォンの給料で働くそんな透明人間のような皆さんにとって私たちの党は目に見えない透明政党でしかありませんでした」・・・と述べる彼の演説(→動画&自動翻訳)は、(韓国の進歩系政党支持者というわけでもない)私ヌルボにも彼の真摯な姿勢を感じさせます。(日本の政治家諸氏にも参考にしてほしい!)
 ただでさえ右派・左派に大きく二分される韓国で進歩系政治家のドキュメンタリーとあってで評点を付けた約500人の6割は評点10、3割は1と分かれました。保守系政治家のドキュメンタリーだったら数字が逆になりそうです。原題は「노회찬6411」です。
 9位「10ヵ月のミレ」は韓国のドラマ。ミジャンセン短編映画祭で最優秀賞を受賞したナムグン・ソン監督の長編デビュー作です。主人公のチェ・ミレ(최미래)は29歳の女性。ところがある日突然、自身が妊娠10週という事実を知ってあわてます。<최미래>の名前に2文字入って<최 악의 미래(最悪の未来)>になってしまいました。ボーイフレンドのユノ(ソ・ヨンジュ)はミレの妊娠の知らせを聞いて結婚を提案しますがちゃんとした展望があるとも思えず、結局彼は先輩の詐欺事件に巻き込まれて最終的に父の経営する豚農場で仕事をすることに。家族や親友等々身近な人たちの意見はさまざまで、それぞれ違った方向を提示する中、ミレの10ヵ月は速い速度で流れていきます・・・。
 妊婦が登場する既存の作品のほとんどは、彼女たちが自身の<母性>を第一に考えて産むか、あるいは<中絶>を選択するか、確固たる意志で決断してそれに伴う苦難を乗り越えていくというものでした。ところが本作の主人公ミレは選択の瞬間を先延ばしにして悩み苦しむ女性です。周囲の人たちのアドバイスにも「なぜ?」という問を投げかけます。
 監督によれば、シナリオを読んだ人たちの反応が両極端に分かれたとのこと。「ただ産めばいいのに、なぜ悩むのかわからない」と、「なぜ子供を下ろさないのが理解できなくて首を傾げる」というもの。それに対して監督は「私が見せたかったのは、妊娠をした当事者の感情はこのような単純なものとは違って、複雑で右往左往することができるという点を見せたかった」と語っています。
 つまり、本作のキモは、妊娠という予期せぬ混沌の中で悩みつつも「私」を失わないという女性の成長物語ということのようです。(で、どう決断したんだろか??) 原題は「십개월의 미래」です。
 10位「スペース・ドッグ3:トロピカル・アドベンチャー」はロシアのアニメシリーズの第3作。シリーズ第1作は、ベルカとストレルカという2匹の宇宙犬(スペース・ドッグ)が1960年スプートニク5号に乗って宇宙で1日を過ごした後無事地球に帰還してから50年を記念して2010年に作られた作品で、内容的にもそれなりに事実が取り込まれていました。しかし2014年の第2作は、月で危機にさらされている夫と息子を救うためベルカが盟友のストレルカと月に向かうという創作冒険物語になっています。そして本作は、カリブ海に発生した正体不明の渦の調査のために世界初の宇宙探査犬マーフィーとマークが出動しますが、海クラゲ海賊団の陰謀でなすすべもなく捕まり、彼らの長年の友人レニーが友人を救うために海に出る・・・と、さらに現実から離れて、名前まで変わってる・・・のは韓国版だけか。ポスターの顔は同じだし・・・。韓国題は「스페이스 독 3: 트로피컬 어드벤처」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(22)・・10ヵ月のミレ(韓国)・・・・・・・・・10/14・・・・・・・・5,121・・・・・・・8,718・・・・・・・・・・・62 ・・・・・・146
2(再)・・子猫をお願い(韓国)・・・・2001/10/12・・・・・・・・2,480・・・・・・・3,459・・・・・・・・・・・34 ・・・・・・・77
3(3)・・TADA : 大韓民国・・・・・・・・・・・・・10/14・・・・・・・・2,413・・・・・・・6,564・・・・・・・・・・・58 ・・・・・・・70
       スタートアップの肖像(韓国)
4(1)・・プチ・ママン・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/07・・・・・・・・1,551・・・・・・12,285 ・・・・・・・・・112 ・・・・・・・53
5(新)・・糸(日本) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/14・・・・・・・・1,338・・・・・・・2,746・・・・・・・・・・・26 ・・・・・・・74

 1・5位の2作品が新登場です。
 1位「10ヵ月のミレ」については上述しました。
 5位「糸」は私ヌルボ未見です。菅田将暉&小松菜奈だし、「ヘヴンズ ストーリー」「菊とギロチン」等々の瀬々敬久監督作品だし、観に行くつもりだったのが観た人の感想を読むと悪くはないもののイマイチの感だったので見送りました。今後再上映でもあれば・・・。(いや「護られなかった者たちへ」が先か。) 韓国題は「실: 인연의 시작(糸: 因縁の始まり)」です。
 なお、2位「子猫をお願い」は日本では2004年公開。前年公開の「ほえる犬は噛まない」に続きペ・ドゥナの知名度・注目度が一気に高まりました。03年公開のチョン・ジヒョン主演の「猟奇的な彼女」と共に韓国映画ファンのすそ野を拡げた佳作。当時のワクワク感が懐かしい・・・。
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韓国内の映画の興行成績 [10月8日(金)~10月10日(日)]と人気順位 ▶セリーヌ・シアマ監督の新作「プチ・ママン」、韓国で公開←日本ではいつ? マット・デイモン主演「スティルウォーター」も・・・

2021-10-13 22:15:05 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回は前週以上に各ランキングの作品の出入りが少なく、韓国映画の初登場作品はナシ。外国映画で注目は、韓国で10月7日公開の「プチ・ママン」(仮)。セリーヌ・シアマ監督の新作なんですが、私ヌルボがシアマ監督作品で観たのは日本では昨年12月公開の「燃ゆる女の肖像」だけ。カンヌ国際映画祭で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞、その他世界での受賞数は計44に及ぶとのことでさっそく観にいきましたが、感想はというと「多くの人が賛辞を寄せていますが、私ヌルボとしては「なるほど、ごもっとも」というものばかり。しかし(ラストシーンを除いて)感情を揺さぶられないのはなぜ?」などと、内心懸念していた通りになってしまいました。今→<キネノート>のレビューを拾い読みすると、「こういう映画を、昼間から女ひとりで観ることができる世の中になったことの幸せ。ほんの少しだけど世界が広がったことを感じられる幸せ。オトコにはわかんないだろうなぁ…」という一文が目に留まりました。はい、わかんなかったです、トホホ・・・。その後発表されたキネ旬ベスト・テンの外国映画部門で①パラサイト 半地下の家族 ②はちどり に次いで③位に入っていたのは全然異存はないですけどね。
 ・・・と、ここまで書いたところで思い出したのは、シアマ監督の「水の中のつぼみ」(2007)に続く第2作「トムボーイ」(2011)が近所の横浜シネマリンで上映中ということ。10年前の作品を6月以降少ない映画館で細々と公開しているのですね。(<tomboy>は<おてんば>、<男の子のようにふるまう女の子>の意。) 韓国では昨年1月公開で、映画評論家・記者から高く評価された作品です。で、記事を書きかけのまま観に行く見に行くことに・・・。→(この間約6時間)→
 さて、観終わった感想。両親&妹と共に引っ越した10歳の女の子、服装・髪型等見た目も男の子みたいで、近所の新しい遊び仲間の間でも男の子と見られ、自分でも男の名前を名乗り、妹をいじめる男子をやっつけたり、親しくなった女の子から熱い視線を送られたりしますが、やがて・・・、というストーリー。やはりこれもシアマ監督が女性の感性から思春期直前の女の子の心理を家族や社会との関わりとともに描いた作品で、私ヌルボとしては「アタマでは理解できるが、直接的な共感や感動にはつながらないかなー」という感じでした。しかし、この作品もシアマ監督のファンに限らず多くの人にオススメしたい作品だと思います。
 「プチ・ママン」についてのあらましは下の<記者・評論家による順位>の説明を参照してくたさい。しかし、日本での公開はどうなっているんでしょうね? やっぱり1年くらい待たされる?
※横浜シネマリンでは、ホン・サンス監督の初期作「カンウォンドのチカラ」「オー!スジョン」を上映中(~10/22(金)。全国で1館だけ! 東京等で見逃した方はどうぞ。

    ★★★ NAVERの人気順位(10月12日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 夢見るネコ(韓国)  9.85(40)
②(4) 学校に行く道(韓国)  9.58(157)
③(3) パクカン・アルム結婚する(韓国)  9.56(45)
④(5) シャーマン・ロード(韓国)  9.56(18)
⑤(6) BanG Dream! Episode of Roselia II:Song I am.(日本)  9.41(29)
⑥(7) コーダ  9.35(513)
⑦(-) 玆山魚譜 チャサンオボ(韓国)  9.34(2,885)
⑧(-) 再び出会った日々(韓国)  9.34(171)
⑨(8) 映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(日本)  9.30(361)
⑩(9) 奇跡(韓国)  9.29(3,279)

 新登場の作品はありません。

     【記者・評論家による順位】

①(-) サマ  8.25(4)
②(1) グリーン・ナイト  8.20(5)
③(2) ノマドランド  8.00(8)
④(3) 水を抱く女  8.00(6)
⑤(4) バクラウ 地図から消された村  8.00(5)
⑥(5)あの日のように抱きしめて  7.80(5)
⑦(6) イントロダクション(韓国)  7.67(3)
⑧(新) プチ・ママン  7.63(8)
⑨(7) ガールフッド  7.60(5)
⑩(8) モガディシュ(韓国)  7.27(11)
 ⑧「プチ・ママン」(仮)が新登場です。フランスのドラマ&ファンタジー。「燃ゆる女の肖像」「トムボーイ」等々の作品で知られるセリーヌ・シアマ監督の新作です。祖母の遺品を整理するために、8歳の女の子ネリー(ジョゼフィーン・サンス)は父(ステファン・ヴァルペンヌ)、母(ニナ・ミュリス)と共に田舎の家に来ます。ネリーがもっと幼い頃来た時にママン[母]が家の近くの森に建てた小屋を憶えていました。その森でネリーはママンと同名で自分と同い年のマリオン(ガブリエル・サンス)と出会います。一気に親しくなった2人ですが、ネリーはこの偶然の出会いの中できらめくような秘密を知ることになります。「私の秘密で、あなたの秘密でもあるの・・・」。私ヌルボ、→韓国版の予告編を見たら女の子2人がよく似ていて見分けがつきません。そしてママンと同名ということは・・・。そこらへんにファンタジーのカギがありそう。予告編の最後の方に「ジブリを思わせる魅力的な物語」という惹句がありましたね。韓国題は「쁘띠 마망」です。

    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月8日(金)~10月10日(日) ★★★
         「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」が2週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ・・9/29・・・212,816・・・・・・・・981,229・・・・・・9,583 ・・・・・1,764
2(2)・・ボイス(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・9/15 ・・・・・84,998・・・・・・1,270,416・・・・・12,546・・・・・・・863
3(3)・・奇跡(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・9/15・・・・・・42,636 ・・・・・・・610,008・・・・・・5,744・・・・・・・688
4(6)・・映画クレヨンしんちゃん ・・・・・9/15・・・・・・12,986 ・・・・・・・171,393 ・・・・・1,627・・・・・・・289
       激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(日本)
5(5)・・竜とそばかすの姫(日本) ・・・・・9/29・・・・・・12,100・・・・・・・・・47,804 ・・・・・・・464・・・・・・・199
6(4)・・シャン・チー ・・・・・・・・・・・・・・・・9/01 ・・・・・11,531・・・・・・1,730,042 ・・・・17,616・・・・・・・317
      テン・リングスの伝説
7(7)・・劇場版ポケットモンスター ココ(日本)・・9/15・・12,395・・・196,502・・・・・・1,783・・・・・・・255
8(9)・・モガディシュ(韓国)・・・・・・・・・・7/28・・・・・・・7,023・・・・・・3,597,706 ・・・・34,425・・・・・・・222
9(再)・・ゼロ・グラビティ・・・・・2013/10/17・・・・・・・6,793・・・・・・3,292,520 ・・・・32,412・・・・・・・155
10(28)・・スティルウォーター・・・・・・10/06・・・・・・・6,732 ・・・・・・・・・13,427・・・・・・・・121・・・・・・・353
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は10位「スティルウォーター」だけです。2007年イタリアのペルージャで起きた英国人留学生殺害事件(アマンダ・ノックス事件)(→ウィキペディア)をモチーフにしたアメリカの犯罪&ドラマ。タイトルの<スティルウォーター>はオクラハマ州にある人口4万に満たない小都市。そこの石油会社に勤めるビル・ベイカー(マット・デイモン)は、マルセイユに1年間留学して疎遠になっていた娘アリソン(アビゲイル・ブレスリン)がレズビアンのガールフレンドを殺害した容疑で逮捕・起訴されたことを知ります。獄中のアリソンに面会するためにフランスを訪れたビルは、彼女が法的手段をほとんど使い果たし、打つ手がないことを知ります。彼はフランスに移住してアリソンの無実を晴らすために奮闘します。その間言語の壁や文化の違い、そして1994年に制定された複雑な法制度に立ち向かうことになりますが、プレッシャーが高まる中、彼は自分がどこまでやれるか決断を迫られます・・・。韓国題は「스틸워터」です。
 なお9位「ゼロ・グラビティ」はサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニー共演のサスペンス大作で、日本でも2月遅れの同年12月に公開されて大ヒット。この手の作品はふつうは選にはいらない(?)「キネマ旬報」の外国映画ベスト・テンでも「愛、アムール」に次いで2位に入っていたのですね。ところが私ヌルボ観た記憶ナシ。アレ?と思って記録を見るとやっぱりナシ。そうか、観てなかったのか・・・。韓国題は原題と同じで単に「그래비티(グラビティ)」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・捜索者(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/29・・・・・・・1,838・・・・・・・22,912・・・・・・・・・・173・・・・・・・88
2(4)・・コーダ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/31・・・・・・・1,335・・・・・・・58,399・・・・・・・・・・540・・・・・・・20
3(3)・・TADA : 大韓民国・・・・・・・・・・・・・・10/14・・・・・・・1,190・・・・・・・・3,100 ・・・・・・・・・・・29・・・・・・・・4
       スタートアップの肖像(韓国)
4(2)・・セッション・・・・・・・・・・・・・・・2015/3/12・・・・・・・・・473 ・・・1,645,493・・・・・・・13,158・・・・・・・19
5(15)・・映画の街(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・9/16・・・・・・・・・254・・・・・・・・1,989 ・・・・・・・・・・・14・・・・・・・・6

 新登場の作品はありません。
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韓国内の映画の興行成績 [10月1日(金)~10月3日(日)]と人気順位 ▶ドキュメンタリー「TADA: 大韓民国 スタートアップの肖像」で知る世界レベルの大きな社会の変化←現在進行中

2021-10-08 13:53:11 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回は各ランキングに入っている作品の出入りが少なく、当方の作業は「こりゃあラクだな~。久しぶりに火曜のうちに終わるゾ」と思ったのですが、そうは問屋がおろしてくれませんでした。[独立・芸術映画]の興行成績第3位の「TADA: 大韓民国 スタートアップの肖像」という、一目見て全然意味もわからないタイトルの韓国ドキュメンタリー関係の記事を読み、内容を理解してあれこれ考えたりしているうちに丸2日以上費やしてしまいました。
 まず、<TADA>とは2018年の起業以来爆発的に成長してきたベンチャー企業です。この<ベンチャー企業>という言葉は和製英語で、本来の英語では副題にもある<スタートアップ(Startups)>なんですね。ポスター(右画像)を見ると、「三ト二ト」という字がありますが、三と二に縦棒を入れると「타다」(TADA)というハングルになります。「乗る」という意味があります。
 この<TADA>という企業は「韓国のUberと呼ばれる」とのことで・・・、と言うとコロナ禍でよく見かけるようになった<Uber Eats>のようなフードの宅配かと思う人も多いのではと思いますが、そうではなくてモビリティサービス・プラットフォーム[MSPF]関係。これまた耳慣れない言葉ですが、車もスマホアプリ等を活用して関連するサービスを構築していこうというもので、さすがにトヨタなんぞは→このような構想をすでに公表してますね。って当然か。(しかしマイカーで帰宅して車庫に入れる前にスマホアプリで部屋のエアコンの電源を入れるなんてのが暮らしの向上になるとも思えんのですが・・・。) Uberの場合は、2009年にアメリカで誕生して以来主事業は配車サービスで、現在世界63ヵ国450都市で事業展開されています。(→コチラ参照。) ←この記事にあるように、Uberは客からスマホアプリで連絡を受けるとそれを(タクシー免許のない)一般人の登録者に伝えて客の送迎をする仕組みで、料金は利用者が事前に登録したカードで決済されます。このような方式で拡大してきたというわけですが、どうもこれがUberの世界標準のようです。
 しかし、日本人の場合は「それって白タクじゃないの? 違法じゃん!」と思う人が多いのではないでしょうか? Uber側もそれは承知で、日本ではタクシー会社と契約し、(とりあえずは)法律に触れない形で今のところ東京・京都等9都市で運営しているとのことです。※詳しくは<Uber Taxi>の説明記事(→コチラ)を見てみてください。
 そのUberの<世界標準>に沿った方式でスタートしたのが「TADA」で、起業後急成長したのですが、当然のようにタクシー業界から「違法タクシーだ!」との声が上がり、裁判沙汰になり国会でも論議・・・となるわけですが、続きは記事の最後の方を御覧ください。
 映画から離れて関連記事を探すと<滴滴出行(ディディチューシン)>という多様な配車サービスを主事業としている中国の大企業が2016年Uberの中国事業を買収し、同年「Uberを大幅に上回る等世界で最も支配的なライドシェア企業となった」ことや、その滴滴出行が2018年には「トヨタ、フォルクスワーゲン、ルノー、日産、三菱アライアンス等とライドシェア用の電気自動車を共同開発する企業連合<洪流連盟(Dアライアンス)>を立ち上げた」といった記事が見つかりました。そして「2019年よりソフトバンクとの合弁会社DiDiモビリティジャパンがサービスを行っている」とのことで、そのDiDiのサイトが→コチラ。以前佐野眞一「あんぽん 孫正義伝」を読んで金持ちになるには「先見の明」と「行動力」と「交渉力」が必須なんだなと思いましたが、その彼が動いたということは、この分野が今後発展するという確信があるんでしょうね。
 車関係では、電気自動車はもちろん、自動運転それも無人車が近い将来のものとなっているようです。
 しかし、こういう技術の進歩が多くの人々の生活の改善や幸福増進につながるとは言えないのが問題で、車に限って言えば、将来的にタクシー運転手という職業はなくなるものなのか?等の不安要素はあるし、車以外でも、無人レジ等々機械が人間にどんどん取って代わっている現状がありますよね。このまま行くとそれなりのスペック(!)の持ち主以外の人々に残される仕事に一体何があるんだ!ということになる・・・というのが橘玲「無理ゲー社会」が読まれる理由なんだろうな。そういえば毎日新聞にも最近2日連続で橘さんのインタビュー記事が載ってましたね。→コチラと→コチラ
 うーん、なんだかカナシイねー・・・。(ベーシックインカムへの関心も必然的か・・・。)

    ★★★ NAVERの人気順位(10月5日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 夢見るネコ(韓国)  9.85(40)
②(2) さすらいのシェフ(韓国)  9.63(350)
③(3) パクカン・アルム結婚する(韓国)  9.63(43)
④(4) 学校に行く道(韓国)  9.58(156)
⑤(5) シャーマン・ロード(韓国)  9.56(16)
⑥(9) BanG Dream! Episode of Roselia II:Song I am.(日本)  9.37(27)
⑦(8) コーダ  9.34(486)
⑧(6) 映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者  9.29(317)
⑨(10) 奇跡(韓国)  9.28(2,965)
⑩(-) 花束みたいな恋をした(日本)  9.12(412)

 新登場の作品はありません。

     【記者・評論家による順位】

①(2) グリーン・ナイト  8.20(5)
②(3) ノマドランド  8.00(8)
③(4) 水を抱く女  8.00(6)
④(5) バクラウ 地図から消された村  8.00(5)
⑤(6) あの日のように抱きしめて  7.80(5)
⑥(7) イントロダクション(韓国)  7.67(3)
⑦(-) ガールフッド  7.60(5)
⑧(9) モガディシュ(韓国)  7.27(11)
⑨(10) 終着駅(韓国)  7.20(5)
⑩(-) アシスタント  7.00(6)

 新登場の作品はありません。

    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月1日(金)~10月3日(日) ★★★
         日本と同じく「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ・・9/29・・・383,679・・・・・・・・564,255・・・・・・5,400・・・・・2,201
2(1)・・ボイス(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・9/15 ・・・・・90,881・・・・・・1,120,163・・・・・11,054・・・・・・・860
3(2)・・奇跡(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・9/15・・・・・・45,330 ・・・・・・・532,947・・・・・・5,015・・・・・・・674
4(3)・・シャン・チー ・・・・・・・・・・・・・・・・9/01 ・・・・・19,195・・・・・・1,705,627 ・・・・17,370・・・・・・・464
      テン・リングスの伝説
5(30)・・竜とそばかすの姫(日本) ・・・・9/29・・・・・・15,217・・・・・・・・・22,455 ・・・・・・・213・・・・・・・214
6(4)・・映画クレヨンしんちゃん ・・・・・9/15・・・・・・14,612 ・・・・・・・148,262 ・・・・・1,407・・・・・・・314
       激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(日本)
7(5)・・劇場版ポケットモンスター ココ(日本)・・9/15・・12,395・・・178,202・・・・・・1,616・・・・・・・324
8(新)・・捜索者(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・9/29・・・・・・10,635・・・・・・・・・16,240・・・・・・・・118・・・・・・・205
9(6)・・モガディシュ(韓国)・・・・・・・・・・7/28・・・・・・・9,214・・・・・・3,583,662 ・・・・34,286・・・・・・・318
10(7)・・キャンディマン ・・・・・・・・・・・・9/22・・・・・・・1,649・・・・・・・・・49,426・・・・・・・・489・・・・・・・・93
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は1・5・8位の3作品です。
 1位「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」は日本でも10月1日から公開されています。韓国題は「007 노 타임 투 다이」です。
 5位「竜とそばかすの姫」は私ヌルボも観たゾ! ただね、映画ジャーナリストのイ・ウンソンさんが書いているように「作画や音楽はますます完璧になっているが、物語の領域だけ足踏み状態のようだ」という感想は多くの人に共通しているのでは? 宮崎駿監督作品にあって細田作品にかけているのはテーマの掘り下げ。どれだけ自身の問題として深く考えているか?ということではないかなあ・・・。韓国題は「용과 주근깨 공주」。<주근깨>(チュグンケ)=そばかすという韓国語は初めて知りました(恥)。
 8位「捜索者」は韓国のスリラー。軍隊で暗い夜に銃声が鳴り、派遣されていた教育将校が死亡する事件が起きます。何一つ声を発することなく、という不可解な事件でした。同時刻、北朝鮮との間のDMZ[非武装地帯]で脱走兵が逃走する事態が発生し、3小隊がDMZ捜索作戦に緊急投入されます。現地には事件の調査官としてカン・ソング(ソン・チャンイ)大尉が派遣されます。隊員たちはDMZ脱走兵でも捜索隊員でもない正体不明の兵士を目撃します。そして不可解な死の連鎖が始まります。しかし事件を暴こうするたびにカン・ソングはペク・ヨンチョル中佐(ソン・ヨンギュ)という壁にぶつかります。それにもかかわらず彼は勇気を持って事件を最後までつきとめようとします・・・。原題は「수색자」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・捜索者(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/29・・・・・・10,635・・・・・・・16,240・・・・・・・・・・118・・・・・・205
2(再)・・セッション・・・・・・・・・・・・・・2015/3/12・・・・・・・1,109・・・・1,644,361・・・・・・・13,146・・・・・・・18
3(新)・・TADA : 大韓民国・・・・・・・・・・・・・10/14・・・・・・・・・727 ・・・・・・・・・・890 ・・・・・・・・・・・・9・・・・・・・・2
       スタートアップの肖像(韓国)
4(4)・・コーダ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/31・・・・・・・・・638・・・・・・・56,516・・・・・・・・・・526・・・・・・・20
5(3)・・アイム・ユア・マン ・・・・・・・・・・・・・・9/16・・・・・・・・・451 ・・・・・・・・7,430・・・・・・・・・・・66・・・・・・・18

 1・3位の2作品が新登場です。
 1位「捜索者」については上述しました。
 3位「TADA: 大韓民国 スタートアップの肖像」は韓国のドキュメンタリー。記事冒頭にも書いたように、<TADA>とは2018年の起業以来爆発的に成長してきたベンチャー企業です。
 つまり、この作品は<韓国のUber>と呼ばれるベンチャー企業の悪戦苦闘の物語です。
 TADAは、前述のUberの<世界標準>方式でスマホアプリを介してのカーシェア(配車サービス)を主事業として2018年スタートしました。その9ヵ月後にはユーザーが100万人、2020年には170万人にまで達すると共に、顧客・ライダー(運転者)の満足度も4.7/5と高い評価を維持してきました。ところが案の定タクシー業界から「違法タクシーだ!」との反発の声が上がります。一方、2019年7月国土交通部(省)がタクシー制度改編方案を発表すると、「TADAの参入障壁を高めてタクシー業界だけ保護している」「(ベンチャー等による)革新的成長を阻害するものだ」という批判があふれます。
 論議は法廷に持ち込まれ、TADAは旅客自動車運輸事業法違反の疑いで起訴されます。その判決は2020年2月ソウル中央地裁で下されました。「無罪」! これは「顧客との間の短期間レンタル契約」とのTADAの主張を認めたものでした。ベンチャー側がこの判決を歓迎したのはもちろんですが、法曹界でも罪刑法定主義に基づく当然の判決だという評が多かったそうです。
 ところがそれからわずか14日の間に国会で旅客自動車運輸事業法改正案(別名TADA禁止法)が与党・共に民主党側から発議され、国会国土交通委員会を全会一致で通過しました。この法案が本会議を通過すると、TADAが合法だとする根拠自体が消えてしまい、その事業は大きな制約を受けることになります。そして現在、結局TATAの営業形態は日本のUberと同じような方式になっているようです。(ということは、カカオモビリティのような配車サービスアプリと同じものになってる?)
 このドキュメンタリーは、とくにこのTADA禁止法以後6ヵ月間の悪戦苦闘の記録のようです。1審で無罪判決が出た日に全チームメンバーが集まって紙コップワインパーティーで祝ったのも束の間、となったわけですが、技術の発展とそれに伴う社会の変容、人々の意識の変化が急速に進む中、今後どうなるか、予測がむずかしいところです。本作に対する評価も、「スタートアップを目指す学生に貴重な教材になるだろう」と評価する米スタンフォード大教授もいれば、「企業からの投資して製作されたのか」という誤解もあってか「TADAの宣伝か」という見方もあるようです。原題は「타다: 대한민국 스타트업의 초상」です。
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