ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 週末の興行成績 [1月24日(金)~1月26日(日)]と、人気順位 ►「リチャード・ジュエル」は期待通り。数多くの冤罪事件が現実に数多くあることを認識しましょう!

2020-01-28 23:58:17 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸この1週間もグッと抑えて観た映画は「リチャード・ジュエル」だけ。で、やっぱりクリント・イーストウッド監督作品に裏切られることはありませんでした。テーマも構成もわかりやすく、主人公の側に感情移入できる作品で、観た人たちの高評価もうなずけます。
 テーマは冤罪なのですが、事実に基づいた作品という点では過去の冤罪関係の映画の多くと軌を一にしています。たとえばサッコ=バンゼッティ事件を扱った「死刑台のメロディ」(1970)のように。また「リチャード・ジュエル」によく似たマスメディアによる誤報道が大きな要因となった点で共通しているのが松本サリン事件ですが、これは「日本の黒い夏 冤罪」(2000)として映画化されました。その他、松川事件・帝銀事件・名張毒ぶどう酒事件・袴田事件・狭山事件・菊池事件等々が映画化されています。その中には菊池事件のようにもしかしたら間違って死刑にされてしまったものも含まれています。悲劇に終わらないでよかったという映画の背後に、多くの悲劇が過去だけでなく現在もあるということを多くの人に認識してほしいと思います。(袴田事件など、ふつうに考えても無罪なのに、いまだに決着をみないのはなぜなんでしょうか?)

▸韓国では1月25日(土)が旧正月で、24日(金)~27日(月)が4連休。後述のように期待の新作がどっと登場し、韓国映画が興行成績のベスト3を独占しました。
 その第1位「南山の部長たち」は早くも観客動員数200万人を超える好調なスタート。1979年10月朴正熙大統領を暗殺した中央情報部部長金載圭(キム・ジェギュ)の側に重点を置いて1961年の5.16軍事クーデター頃から暗殺までをたどった作品のようですが、虚実が入り混じっていてその判別がむずかしそうです。日韓を問わないかもしれませんが、概して観客は映像を事実として受けとめる傾向が強そうな点が懸念されます。<NAVER映画>のネチズンの寸評を見ると、否定的評価とともに「自分の知ってる史実と違う」というものもあったり、「現在の政権は朴正熙大統領を貶めるため、金載圭を英雄として持ち上げようというのか!?」「2016年の総選挙前には「インサイダーズ/内部者たち」が公開されたが今度はこれか?」「親北の「白頭山」に続いてこれも・・・」といったカキコミも相当数ありました。以前も書いたことがありますが、日本人がそれと気づかない歴史物にも韓国を二分する進歩系と保守系の観方の違いが込められている例はいくつもあって、この作品もどうやらそのひとつかもしれません。
 ※<ナムウィキ>の「남산의 부장들(南山の部長たち)」の項目(→コチラ)に、<事実との違い>が全25項目記されています。

▸ごく最近の韓国映画関係の情報で一番うれしかったのは、ようやくキム・ボラ監督(女性)による話題の作品「はちどり(벌새)」が4月日本公開されると決まったこと。→昨年9月4日の記事で初めて紹介した時「注目は10位「ハチドリ」!」と書いて以来5ヵ月近く。国内の映画祭で上映されないか、ずっと期待していたのに何度も裏切られ、しかたないからソウルで上映している間に観に行ってくるか、とあきらめかけていたところでした。この作品は、2018年の第23回釜山国際映画祭で最優秀アジア映画賞・観客賞を受賞して以降、第69回ベルリン国際映画祭のジェネレーション14プラス部門でグランプリの受賞をはじめ、これまで世界の映画祭で世界の映画祭で44以上の賞を受賞する等、非常な高評価を得てきました。[以下は昨年9月の記事から] 物語の時代は1994年。主人公は14歳の女子中学生ウニ(パク・ジフ)。彼女は周囲から愛されるために、世界と自分だけの関係を構築していきます。タイトルの「はちどり」は、愛されるのは下手だが不断の努力をするウニを1秒に90回羽ばたきをするハチドリに喩えているようです。そんな彼女に進むべき道を示してくれた<航海士>が漢文学院のキム・ヨンジ先生(キム・セビョク)でした・・・。なぜ1994年かというと、(監督によれば)聖水大橋が崩落した年を背景に作ろうと考えた、とのこと。また、その事件がウニが結んでいた関係の崩壊につながり、また韓国社会でいくつもの崩壊が起こる時、彼女がどのように生を乗り越えていくのかを示すことが重要だったとも・・・。とくにドラマチックなストーリーが進行するという作品でもない?ようですが、多くの観客はウニの物語が当時の自分の話のように共感したとのこと。映画評論家ソン・ヒョジョンは「エドワード・ヤンの初期作品が思い浮かぶ」と評していますが、キム・ボラ監督自身も「ヤンヤン 夏の想い出」を参考にした」そうで、また「一個人が主人公ではなく、互いに影響を及ぼしあう形が似ていたらと思った」と語ったそうです。評論家や映画記者の評を見ると、「一番平凡な少女が書いた大叙事詩」(イ・ジヘ)、「個人の経験談が普遍の感性として拡張される魔法」(チョン・ジウ)、「時代のしわを広げてアイロンがけした回想の映画。その頃願ったことを今聞かせる、幻想の映画」(ソン・ギョンウォン)、「デビュー作で驚くべき世界観、加えてしっかりした女性の視線を見せてくれたキム・ボラ監督の出現は、それ自体で韓国映画の事件として、より良い未来に記録されるに値する」(イ・ファジョン)等々。
 ※「はちどり」の日本公開情報は→コチラと、→コチラ

         ★★★ NAVERの人気順位(1月28日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.76(116)
②(2) モンマルトルのパパ(韓国)  9.76(87)
③(3) フォードvsフェラーリ  9.53(7,456)
④(4) 主戦場  9.51(1,338)
⑤(5) ヘロニモ(韓・米)  9.46(236)
⑥(新) スパイズ・イン・ディズガイズ  9.42(924)
⑦(新) 娘は戦場で生まれた  9.42(60)
⑧(9) 2人のローマ教皇  9.38(494)
⑨(7) 星の庭園(韓国)  9.37(199)
⑩(10) タバルガと氷姫  9.35(108)

 ⑥と⑦の2作品が新登場です。
 ⑥「スパイズ・イン・ディズガイズ」(仮)については後述します。
 ⑦「娘は戦場で生まれた」は、シリア・イギリス合作のドキュメンタリー。昨年のカンヌ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した注目作です。ジャーナリストに憧れるシリア・アレッポ大学の女子学生ワアド・アルカティーブは、2011年アサド政権に対するデモ運動への参加をきっかけにスマホでの撮影を始めます。しかし、内戦は激化の一途を辿り、都市は破壊されていきます。そんな中、ワアドは医師を目指す若者ハムザと出会いました。彼は仲間たちと廃墟の中に病院を設けて空爆の犠牲者の治療にあたっていましたが、多くは命を落としていきます。そんな中で2人は夫婦となり、女の赤ちゃんが誕生します。ワアドは自由と平和への願いを込めて、アラビア語で“空”を意味するサマと名付けます。アサド政権側の攻撃が激しさを増し、ハムザの病院は街で最後の医療機関となります。ワアドはその間スマホで内戦とその中での人々の苦しみや自分たち家族の生活等を映像を撮り続けました。この作品は彼女が6年間にわたり撮影した映像を共同監督のエドワード・ワッツ監督と共に編集したもので、「シネ21」の記者の「血と闘争の現場で書いた育児日記」という言葉がまさにぴったりです。なお、ワアドは2016年家族と共にアレッポから避難して、現在は夫と2人の娘と一緒にロンドンに住んでいます。韓国題は「사마에게(サマへ)」。日本公開は2月29日で、すでに→公式サイトが用意されています。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(2) アイリッシュマン  9.11(9)
③(3) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(新) 小さな光(韓国)   8.67(3)
⑤(4) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑥(5) はちどり(韓国)  8.38(13)
⑦(-) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  7.90(10)
⑧(-) ジョーカー  7.64(11)
⑨(7) フォードvsフェラーリ  7.63(8)
⑩(-) キム君(韓国)  7.57(7)

 ④「小さな光」が新登場です。韓国では昨年「私たちの家」「はちどり」「なまず」といった独立系映画が注目されましたが、本作もその後をうけて、2018年の第44回ソウル独立映画祭でトクプル将軍(=一匹狼)賞を受賞し、第7回茂朱(ムジュ)山谷映画祭ではニュービジョン賞(大賞)と映画評論家賞を同時受賞した注目作です。脳の手術を間近に控えたジンム(クァク・ジンム)は、手術の後に記憶を失うかも知れないという医師の言葉を聞いて、バラバラになっていた家族たちの姿等々、忘れたくないものを一つ一つビデオカメラに収め始めます。そうしているうちに、家族との思い出、そして今まで思い出すことのなかった父への思い出が蘇ってきます・・・。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月24日(金)~1月26日(日) ★★★
           1~3位を「南山の部長たち」以下韓国映画が占める

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(36)・・南山の部長たち(韓国)・・・・・・・1/22 ・・・・・・・2,012,079 ・・・・・2,604,693 ・・・・・・・23,257・・・・・・1,659
2(22)・・ヒットマン(韓国)・・・・・・・・・・・1/22・・・・・・・・・928,776 ・・・・・1,146,204 ・・・・・・・10,202・・・・・・1,121
3(41)・・ミスター・チュ:消えたVIP(韓国)・・1/22・・・・289,296・・・・・・・393,862 ・・・・・・・・3,378 ・・・・・・・692
4(新)・・スパイズ・イン・ディズガイズ・・1/22 ・・・・・・・174,652・・・・・・・233,833 ・・・・・・・・1,969 ・・・・・・・712
5(1)・・傷つけない(韓国)・・・・・・・・・・・・1/15・・・・・・・・・130,975 ・・・・・1,128,520 ・・・・・・・・9,522 ・・・・・・・603
6(3)・・ドクター・ドリトル ・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・・42,331 ・・・・・1,573,165 ・・・・・・・13,194 ・・・・・・・352
7(2)・・バッドボーイズ フォー・ライフ・・1/15 ・・・・・・28,963・・・・・・・513,818 ・・・・・・・・4,620 ・・・・・・・302
8(7)・・燃え立つ若い女性の肖像・・・・・・1/16・・・・・・・・・・16,332・・・・・・・・73,383・・・・・・・・・・625・・・・・・・・90
9(4)・・白頭山(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・11,191 ・・・・・8,242,747 ・・・・・・・69,750 ・・・・・・・123
10(新)・・オズの魔法使い・・・・・・・・・・・・1/22・・・・・・・・・・10,865 ・・・・・・・15,426 ・・・・・・・・・・123 ・・・・・・・251
       :妖術の靴と話す本
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 この3週間はベスト10中2作品ずつしか入れ替わりがなかったのが、今回は1~4位と10位の5作品が新登場。旧正月の連休を見越して満を持していたということでしょうか。
 1位「南山の部長たち」は、1979年10月26日朴正大統領が側近の中央情報部(KCIA)部長金載圭(キム・ジェギュ)によって射殺された事件を、金載圭を中心に据えて事実と推測や虚構を織り交ぜつつ描いたドラマ。したがって実在の人物が多数登場しますが、実名は後に大統領になった金泳三だけで、金載圭はキム・ギュピョン、朴正熙はパク・トン、国軍保安司令官だった全斗煥はチョン・ドゥヒョク、金載圭の前の中央情報部長だった金炯旭(キム・ヒョンウク)はパク・ヨンガクと別の名前を用いています。以下はあくまでも本作の概要です。1979年10月26日、中央情報部長のキム・ギュピョン(イ・ビョンホン)がパク・トン大統領(イ・ソンミン)を暗殺します。この事件の40日前、前中央情報部長パク・ヨンガク(クァク・ドウォン)がアメリカでの聴聞会の場で全世界にパク政権の実態を告発して波紋を起こしていました。それに対処するためキム・ギュピョンと警護室長のクァク・サンチョン(イ・ヒジュン)が出向き、大統領の周辺には忠実な勢力と反対勢力が入り混じってぶつかり始めます・・・。原題は「남산의 부장들」です。
 2位「ヒットマン」は、韓国のコメディ&アクション。秘密プロジェクト<バンペヨン(長凧)>出身の伝説の暗殺要員ジュン(クォン・サンウ)が国家情報院を辞めたのはウェブトゥーン作家つまりネット漫画家になりたかったから。しかし、現実は連載漫画を描く度に誹謗中傷を浴びるばかりです。ある時酔った勢いで描いてはいけない1級機密を描いてしまい、ウェブトゥーンは思わぬ超大当たりになりますが、そのためにジュン国家情報院とテロリストからダブルターゲットになってしまいますが・・・。原題は「히트맨」です。
 3位「ミスター・チュ:消えたVIP」は、韓国のコメディ&ドラマ。国家情報局のエース要員テジュ(イ・ソンミン)は、特使として派遣されたVIPの警護の任務にあたっていましたが、突然の事故でVIPはいなくなり、さらに悪いことに動物たちの鳴き声が言葉として聞こえ始めます。突然奇妙な行動をするテジュを疑うミン局長(キム・ソヒョン)とマンシク(ペ・ジョンナム)を後に残して、テジュは軍犬アリと一緒にVIPの行方を追いますが・・・。なんか目下上映中の「ドリトル先生~」と「傷つけない」をミックスしたような? 原題は「미스터 주: 사라진 VIP」です。
 4位「スパイズ・イン・ディズガイズ」(仮)は、アメリカのアニメ。SFアクション、コメディ等々いろんな要素が織り込まれた作品です。全世界を脅かす違法な武器取引情報を入手したスパイエージェントは、スーパースパイのランスを派遣します。ところが最先端の装備で武装した正体不明の極悪人キリアンはランスに偽装して武器を盗み、彼をわなに陥れます。武器を盗んだ濡れ衣を着せられ、スパイエージェントにまで追われることになったランスは、キリアンに対抗するためにMIT出身の超秀才ウォルター(トム・ホランド)を訪ねて行きますが、ランスはそこで実験中の謎の液体を飲んで一瞬にして無数の鳩に変身してしまいます。1人では世界を救うことができない鳥になったスパイのランスは、力を合わせれば、世界を救うことができると信じるウォルターと組んで特級のミッションを開始するのですが・・・。韓国題は「스파이 지니어스」。日本公開は未定のようです。
 10位「オズの魔法使い:妖術の靴と話す本」は、ロシアのアニメ。名作「オズの魔法使」(1939)の主演女優ジュディ・ガーランドに焦点を当てた「ジュディ 虹の彼方に」(日本公開3月)が話題になっていることとは関係ない、のでしようね。まあ元はといえばライマン・フランク・ボームが1900年に刊行して以来1世紀以上も世界で親しまれてきた児童文学作品が原作なので、どこの国がアニメを作っても気にする方がおかしいかも・・・。で、物語の舞台はもちろん神秘的な魔法の世界オズ! 貪欲狡猾な悪役オピンは王になるために邪悪な計画を立ててエメラルドシティを危険に陥れます。このニュースを聞いて、ドロシーはティムと仲間たちと共に再び幻想の世界へ旅立ちます。ドロシーの強固な支援軍ブリキの木こりや弱虫ライオン、そしてカカシと力を合わせてオピンのたくらみ防ぐためには、いくつものわなを通過しなければならないのですが・・・。韓国題は「오즈의 마법사: 요술구두와 말하는 책」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・燃え立つ若い女性の肖像 ・・・・・・・・1/16・・・・・・・・16,332・・・・・・・・・73,383 ・・・・・・・・・625 ・・・・・・・・・90
2(3)・・ロイヤルコーギー ・・・・・・・・・・・・・12/24・・・・・・・・・4,340・・・・・・・・199,386・・・・・・・・1,503 ・・・・・・・・・・9
3(2)・・パヴァロッティ ・・・・・・・・・・・・・・・・1/01・・・・・・・・・2,407・・・・・・・・・43,280 ・・・・・・・・・346 ・・・・・・・・・21
4(新)・・エリック・クラプトン~12小節の人生~・・1/23・・1,972・ ・・・・・・・・3,198 ・・・・・・・・・・25・・・・・・・・・・24
5(4)・・ギャング(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・1,204・・・・・・・・・・6,779 ・・・・・・・・・・19・・・・・・・・・・・3

 4位の「エリック・クラプトン~12小節の人生~」が新登場です。日本ではすでに2018年11月公開されています。韓国題は「에릭 클랩튼: 기타의 신」です。
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韓国内の映画 週末の興行成績 [1月17日(金)~1月19日(日)]と、人気順位 ►「ジョジョ・ラビット」←へそ曲がりと言われようとナチス映画にはきびしいゾ!

2020-01-21 23:54:34 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸私ヌルボがしばしば参考にしている<キネ旬Review>で、「パラサイト 半地下の家族」に対する3氏の評価は★5、★4、★3と別れました。(→コチラ。)
 ヴィヴィアン佐藤さん以外の藤木TDCさん、真魚八重子さんはわりと辛口。個人的には藤木さんの評に共感しました。

▸昨年は観た本数が多過ぎたとの反省もあり、1月17日公開の気になる3作品「ジョジョ・ラビット」「リチャード・ジュエル」「ラストレター」中、自制して観たのは「ジョジョ・ラビット」だけで、残る2作は後回しにしました。
 なぜ「ジョジョ・ラビット」を優先したかというと、アカデミー賞作品賞候補で、ネット上の評価も高いから。しかし、「パラサイト~」同様に睡眠不足だったこともあって(?)あまり気がのらず。・・・というだけでなく、いろんな疑問がわいてきました。最初のちょっとした違和感は、ドイツ人なのにセリフが英語ということ。まあこれはアメリカ映画の常なのでまあそんなもんですが・・・。(4月公開予定のディズニーの「ムーラン」(実写版)では中国系アメリカ人女優リウ・イーフェイを起用して当然登場する中国人みんな英語ですからねー。) それよりも何よりも、大きな疑問は「ナチス関係の映画がこんなに「軽くて、笑える」ものでいいのか?ということ。そもそも、なんで「軽さ」や「笑い」が必要なのか? 観客の、あるいは作り手の「こうであってほしかった」というイメージを作品化したのでしょうか? しかし、それだと事実を覆い隠すことにならないかな?という懸念が残ります。
 ウィキペディアに<ナチズム・ファシズムの台頭を主題とした映画の一覧>(→コチラ)という項目があります。これまでの数多くの映画作品が挙げられていてますが、私ヌルボも約30本ほど観ています。その中で、とくに心を動かされたのは「黄色い星の子供たち」「サラの鍵」(共に2010.仏)、「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」(2005.独)、あるいは「サウルの息子」(2015.ハンガリー)といったヨーロッパの作品で、その中でもなんらかの形でナチスに加担してしまった側の問題意識が基底にある作品です。その分、観ていて切実さが伝わってきます。
 一方、戦勝国の作品、とくに被害者であるユダヤ人の立場だとナチスは<絶対悪>で、それは間違いないとしても、何がそれを生み出したかまで想像力が働きにくいのかもしれません。つまり「安心して批判できる」っこと?
 <ぴあ映画生活>のクチコミ欄でしばしば見かける<無責任な傍観者>さんと<odyssさん>は、全体的にヌルボよりずっと評価は辛いのですが、共感を覚えるコメントは多く、「ジョジョ・ラビット」についても→「ユダヤ人の洗脳活動」、→「安全な場所でナチ映画を作るな!」と厳しい一文を寄せています。私ヌルボもほぼ同意。また「ハリウッドはユダヤ人に支配されている」という言説の信憑性は措くとしても、アメリカの映画人が真に平和や人権を追求するのなら、もっと視野を広く、また自国(やイスラエル等)の軍事行動についても批判の目を向けてほしいと思います。

▸アカデミー賞の授賞式が2月10日と間近に迫ってきて、「パラサイト~」の件をはじめ関連記事が多くなっていますが、歴代のアカデミー賞作品賞を→コチラ等を見ながら振り返ってみると、「コレは感動した! みんな観てね!」という作品はあまりないんですよねー。むしろ少ないです。とくに近年。多くのファンが楽しむ娯楽性重視で選んでくれた方がいいと思いますが・・・。なお、個人的に一番印象に残っているのは「ウエスト・サイド物語」(1962)かな?

▸都内の主にミニシアターで上映しているマイナーな映画で、ちょっと惹かれる作品はよくあります。そんな時は直接その作品の公式サイトで劇場情報を観ると、かなりの確率で地元・横浜のシネマ・ジャック&ベティが上映予定アリでうれしくなります。目下のところでは
「つつんで、ひらいて」「プリズン・サークル」「彼らは生きていた」等々。もちろんシネマ・ジャック&ベティのサイトで今後の上映予定をまめにチェックしていればいいのですが・・・。

         ★★★ NAVERの人気順位(1月21日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(2) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.75(103)
②(1) モンマルトルのパパ(韓国)  9.73(78)
③(4) フォードvsフェラーリ  9.54(7,308)
④(5) 主戦場  9.52(1,332)
⑤(6) ヘロニモ(韓・米)  9.45(233)
⑥(3) 梨泰院[イテウォン](韓国)  9.42(55)
⑦(7) 星の庭園(韓国)  9.41(198)
⑧(新) 神のおかげで  9.41(17)
⑨(10) 2人のローマ教皇  9.39(470)
⑩(9) タバルガと氷姫  9.35(108)

 ⑧「神のおかげで」(仮)が新登場です。司祭による少年への性犯罪を題材にしたフランスのドラマで、フランソワ・オゾン監督の新作です。幸せな家庭を設けたアレクサンドル(メルヴィル・プポー)は、幼年時代、教会で自分を性的虐待したプレナ神父(ベルナール・ヴェルレー)はまだ子供たちを教えているという知らせに大きな衝撃を受けます。アレクサンドルと同じような被害を受けたフランソワ(ドゥニ・メノーシェ)とエマニュエル(スワン・アルロー)は、それ以上の苦痛を防ぐために<ラ・パロール・リベレ(解放された発言)>という団体を結成して、教会にプレナ神父の罷免を要求します。これに対し、教会は時効を理由に犯罪を隠蔽しようとしますが・・・。原題の「Grâceà Dieu」はそのまま訳すと「神のおかげで」ですが、「幸いにして」といった感じの常用句のようです。韓国題は「신의 은총(神の恩寵)」です。事実に基づくこの作品はカトリックの多いフランスでは、元の事件だけでなく、本作品の上映についても裁判沙汰になるほど論議を呼んだそうです。信徒の多い韓国でも関心が高いと思われますが、日本ではどうかな? 日本公開は未定のようです。

     【記者・評論家による順位】

①(新) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(1) アイリッシュマン  9.11(9)
③(2) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(3) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑤(4) ハチドリ(韓国)  8.38(13)
⑥(5) 象は静かに座っている  7.67(3)
⑦(6) フォードvsフェラーリ  7.63(8)
⑧(7) われわれを引き裂くもの(韓国)  7.50(2)
⑨(-) 顔たち(韓国)  7.40(5)
⑩(8) 主戦場  7.33(6)

 ①「燃え立つ若い女性の肖像」が新登場です。この作品については後述します。
 ⑨「顔たち」については→昨年1月30日の記事で紹介しました。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月17日(金)~1月19日(日) ★★★
           動物園コメディ「傷つけない」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(26)・・傷つけない(韓国)・・・・・・・・・・・1/15・・・・・・・・・573,524・・・・・・・813,402 ・・・・・・・・6,902 ・・・・・1,216
2(新)・・バッドボーイズ フォー・ライフ・・1/15 ・・・・289,855・・・・・・・402,589 ・・・・・・・・3,654 ・・・・・・・896
3(1)・・ドクター・ドリトル ・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・271,248 ・・・・・1,454,276 ・・・・・・・12,213 ・・・・・1,081
4(2)・・白頭山(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・97,132 ・・・・・8,200,648 ・・・・・・・69,403 ・・・・・・・621
5(3)・・スター・ウォーズ ・・・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・・47,701・・・・・・・485,471 ・・・・・・・・4,513 ・・・・・・・458
       /スカイウォーカーの夜明け
6(4)・・天文:空に問う(韓国) ・・・・・・・12/26 ・・・・・・・・・・34,731・・・・・1,968,709 ・・・・・・・16,302・・・・・・・435
7(48)・・燃え立つ若い女性の肖像・・・・・1/16・・・・・・・・・・23,453・・・・・・・・33,624・・・・・・・・・・289・・・・・・・118
8(5)・・ミッドウェー・・・・・・・・・・・・・・・12/31・・・・・・・・・・21,200・・・・・・・941,075 ・・・・・・・・8,106・・・・・・・279
9(6)・・始動(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/18・・・・・・・・・・17,844 ・・・・・3,308,874 ・・・・・・・28,032・・・・・・・326
10(7)・・アナと雪の女王2 ・・・・・・・・・・11/21・・・・・・・・・・17,250 ・・・・13,721,192 ・・・・・・114,593・・・・・・・224
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・3位の2作品です。
 1位「傷つけない」は、韓国のコメディ。弁護士のテス(アン・ジェホン)に訪れた一生に一度の機会、それは危機の動物園・東山(トンサン)パークを救え! その新しい園長になった彼は、観覧客どころか動物さえない動物園の再生のため従業員たちを動物に偽装させようという奇想天外なプランでした。ホッキョクグマ、ライオン、キリン、ゴリラ、ナマケモノ担当の東山パーク5人衆。無言で遂行は基本。肩こり、筋肉痛等々の苦労が続く中で、のどが渇いたテスはホッキョクグマに扮していることをつい忘れ、観覧客の前でコーラを1口飲んじゃったりします・・・。原題は「해치지않아」です。
 2位「バッドボーイズ フォー・ライフ」は、アメリカの人気アクショクシリーズの第3作なんですが、最初の「バッドボーイズ」が1995年、第2作「バッドボーイズ2バッド」が2003年で、ちょっと以上に間が空きすぎの感あり。性格が正反対の刑事二人組を演じるマーティン・ローレンスとウィル・スミスももう50代。それでも銃撃戦やカーチェイスで大暴れするそうですよ。え、今作で二人組解消って? ・・・日本公開は1月31日なので詳しい内容は省きます。韓国題は「나쁜 녀석들: 포에버(悪いやつら:フォーエバー)」です。
 7位「燃え立つ若い女性の肖像」(仮)は、フランスのドラマ。セリーヌ・シアマ監督が昨年の第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で脚本賞を受賞した話題作です。舞台は18世紀末のブルターニュ地方。若い女性の画家マリアンヌ(ノエミ・メルラン)は、伯爵家の令嬢エロイーズ(アデル・エネル)の肖像画を描くために派遣されます。エロイーズは修道院を出たばかりで、肖像画は近く結婚するために描かれるのです。ところが彼女自身は結婚を望んでいないため、協力的ではありません。そんな心を閉ざしたミステリアスな彼女を観察するうち、マリアンヌは未知の感情に包まれていきます・・・。韓国題は「타오르는 여인의 초상」です。この作品、上の【記者・評論家による順位】で1位だし、→コチラの記事(ネタバレ注意)では「圧倒的大傑作。人生ベスト。」とまで書かれているのに、日本公開は未定だって???

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(22)・・燃え立つ若い女性の肖像 ・・・・・・・1/16・・・・・・・・23,453・・・・・・・・・33,624 ・・・・・・・・・289 ・・・・・・・・118
2(3)・・パヴァロッティ ・・・・・・・・・・・・・・・・1/01・・・・・・・・・4,276・・・・・・・・・38,122 ・・・・・・・・・307 ・・・・・・・・・42
3(5)・・ロイヤルコーギー ・・・・・・・・・・・・・12/24・・・・・・・・・3,749・・・・・・・・190,037・・・・・・・・1,455 ・・・・・・・・・22
4(新)・・ギャング(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・1/16・・・・・・・・・2,846・・・・・・・・・・3,838 ・・・・・・・・・・15・・・・・・・・・・53
5(1)・・タバルガと氷姫 ・・・・・・・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・1,766・・・・・・・・・26,635 ・・・・・・・・・186・・・・・・・・・・37

 4位の「ギャング」が新登場。韓国のアクションです。刑務所を改造して作った国内最悪の高校テフン高校。そして、そこに来た転校生チェ・ジフン(チャ・ジヒョク)。彼の目標はただ一つ、それはここで番長になること。しかし現実はそんなに甘くはない。チャイムが鳴ると売店ではなく地下室に集まっていく生徒たち。そこには毎日密かに彼らだけのバトルが開始されていたのだが・・・。先生はもちろん、生徒たちまで戦いに夢中になる場所。優勝する者だけが番長になれるところ。ここは学校? いや、ファイトクラブだ・・・! 原題は「갱」です。
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韓国内の映画 週末の興行成績 [1月10日(金)~1月12日(日)]と、人気順位 ►「フォードvsフェラーリ」はIMAX効果で( ?)単純に★5つ。「パラサイト 半地下の家族」は、話せば長い・・・

2020-01-14 23:49:15 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸この1週間は、1月10日に「パラサイト 半地下の家族」、今日14日に「フォードvsフェラーリ」と、話題作を2本観てきました。先週の「週刊文春」では、5人の評者の付けた★の合計が前者は満点の25個、後者は24個。合わせて49個というのはたぶん前例がないと思います。
 「フォードvsフェラーリ」は、今朝ブルク13のIMAXで観たのがよかった! 大スクリーンでズボンまで震動する迫力はクルマが高速で疾走する場面が多いこの作品にはうってつけでした。物語も登場人物もわかりやすく、私ヌルボも単純に★5つを付けちゃいます。マット・デイモンは、同僚に薦められて「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(1998)を観たのが22年前か。当時印象に残ったツラガマエの片鱗は残っているような・・・。データを見ると、その前に観た「戦火の勇気」(1996)にも出てたのか。くだらん作品だったからか、その記憶はナシ。

▸九鬼太郎「"超"格差社会・韓国」(扶桑社新書)によると、日本の会社の場合社長の給与は新入社員の10倍くらいなのに対して、韓国では100倍もの差があるそうですよ。韓ドラ等で見る財閥家族のようすを見るとうなずけます。それはそれとして「パラサイト 半地下の家族」について。多くの評論家等々からほとんど<絶賛のアラシ>といった状態? なるほど、高評価の理由はよくわかります。→コチラのポン・ジュノ監督のインタビュー記事によると、「貧しい家族が一人ずつ裕福な家に侵入するという、物語の前半部分がまず浮かびました。そのあとに何が起きるのか、明確な答えは出ず、曖昧なままアイデアを持ち続けていたんです」とのことですが、たしかに先が読めません。ドタバタ喜劇の目もあればサスペンス等々にもなりうる・・・。まあ、どうなっても格差社会がテーマにはなるのでしょうが・・・。評論家の皆さんの評はそれぞれ興味深く読みました。大場正明さんのコラム(→コチラ)等々。
 ただ、私ヌルボとしては今ひとつ夢中になれなかったのは、睡眠不足だったこともあるかもしれませんが、それだけでもないような気がします。考えるに、その理由の1つは<自分自身の立ち位置>についてちょっと考えてしまったこと。あの大富豪にはもちろん足元にも及びませんが、半地下住まいほどには窮迫していないし、すくなくとも映画館で料金を払って映画を楽しむことができる。つまりこの映画の<高>と<低>のどちら側にも感情移入はできないのです。やはり格差社会を扱ったケン・ローチ監督の「家族を想うとき」の場合は、フランチャイズ制の本社側の不正義が明らかですが、「パラサイト」の場合は違います。むしろ少なくとも直接的な不正義を働いているのは(原題の)「寄生虫」の側だし・・・。
 <NAVER映画>のネチズンの平均評点は8.48、観た人の場合は9.06で、最高とまではいかないものの高いレベルです。現在34,149人もの人がコメントを寄せているので10点満点で1点しかつけていない人も大勢います。その中から、他のネチズンの賛成が多いものを3つだけですが拾ってみました。「貧困と階級を本と映画で学んだ監督のブラックコメディ。」(賛26反8)・「成功した者のお金や貪欲をテーマに本人の努力と苦労は生計維持手段であるピザボックス折りにすら入っていない低劣さがすべて貧困の原因。偽造と操作、フィクションと詐欺のみで生きると水に浸かる半地下を脱出できないだろう」(賛15反3)・「貧富の格差を戯画化した? 笑わえないね。あらゆる陰湿な攻撃と工作でだまして、人の血を吸って暮らす奴らを貧しいという理由で正当化するのか? 中間まで見ればその以上見る価値が感じられない映画」(賛15反5)
 この他に「大富豪のモデルはチョグクか!?」というものもありました(笑)。 

▸今シネマート新宿では<のむコレ3>という企画特集でいろんな作品をちょっとずつ上映しています。その中で「虐待の証明」というのは原題が「ミス・ペク(미쓰백)」という韓国映画で、2018年の<第31回東京国際映画祭>で上映された作品。主演のハン・ジミンがそれまでのイメージを破る演技で青龍映画賞等々の主演女優賞を受賞しました。これはなかなか良い作品だと思います。ハン・ジミンのファン以外にもオススメ、なんですが、今後の上映日は15日(10:00~)と23日(18:40~)の2回だけ、ってか、うーむ・・・。

<第15回大阪アジアン映画祭>は2020年3月6日~15日に開催されます。上映作品等は→公式サイトで。

         ★★★ NAVERの人気順位(1月14日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(-) モンマルトルのパパ(韓国)  9.76(51)
②(新) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.66(86)
③(3) 梨泰院[イテウォン](韓国)  9.57(53)
④(1) フォードvsフェラーリ  9.54(7,169)
⑤(2) 主戦場  9.52(1,333)
⑥(4) ヘロニモ(韓・米)  9.44(229)
⑦(9) 星の庭園(韓国)  9.41(198)
⑧(5) アンカー(韓国)  9.41(17)
⑨(新) タバルガと氷姫  9.39(105)
⑩(7) 2人のローマ教皇  9.37(420)

 ②と⑨の2作品が新登場です。
 ②「泣くな、トンズ2:シュクラン ババ」は、韓国のドキュメンタリー。2010年の「泣くな、トンズ」の10年ぶりの続編。ンズは人の名前ではなく、スーダンの小さな町の名。内乱が長く続く中、貧困や病に苦しむ人々の中に入って、医者として教師として、さらには指揮者や建築家としても献身的に尽くした「トンズの父」こと故イ・テソク神父の48歳の生涯を撮ったドキュメンタリーが前作でした。今作は、そのイ・テソク神父の秘められた物語とのことです。「シュクラン ババ」とは「神よ 感謝します」の意味の現地語で、イ・テソク神父が作曲した曲。この曲が彼が創設したブラスバンドの演奏で村に響き渡ります・・・。原題は「울지마 톤즈 2 : 슈크란 바바」です。
 ⑨「タバルガと氷姫」は、ドイツのアニメ。タバルガはロックミュージシャンのペーター・マファイによって1983年に生み出されたドイツの人気キャラクターの子供ドラゴンで、年は8歳(産まれてから800年)。空を駆け抜け、火を吹き奮闘するお話はミュージカルや アニメ、絵本にもなってドイツ語圏の子供たちに愛され続けています。物語は、グリーンランドに住むタバルガが<真のドラゴンの火>を見つけるためにアイスランドに行き、そこで氷の王女リリーと出会って友だちになります。一方、策略によってアイスランドを支配していた悪党アクトスは最終的に生き残ったドラゴンのタバルガを亡き者にしようとグリーまで手に入れようとしますが、はたしてタバルガとリリーは、グリーンランドとアイスランドを守ることができるでしょうか・・・。原題は「타발루가와 얼음공주」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) アイリッシュマン  9.11(9)
②(2) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
③(3) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
④(4) ハチドリ(韓国)  8.38(13)
⑤(5) 象は静かに座っている  7.67(3)
⑥(6) フォードvsフェラーリ  7.63(8)
⑦(7) われわれを引き裂くもの(韓国)  7.50(2)
⑧(8) 主戦場  7.33(6)
⑨(9) ボーダー 二つの世界  7.29(7)
⑨(9) 家族を想うとき  7.29(7)

 3週続いて順位、評点とも同じです。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月10日(金)~1月12日(日) ★★★
           おなじみの「ドクター・ドリトル」の新作が新登場で1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・ドクター・ドリトル ・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・717,764 ・・・・・・・929,646 ・・・・・・・・7,903 ・・・・・1,290
2(1)・・白頭山(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・12/19 ・・・・・・・・・265,385 ・・・・・7,996,771 ・・・・・・・63,311 ・・・・・・・881
3(新)・・スター・ウォーズ ・・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・261,957・・・・・・・381,514 ・・・・・・・・3,572 ・・・・・・・948
       /スカイウォーカーの夜明け
4(2)・・天文:空に問う(韓国) ・・・・・・・12/26 ・・・・・・・・・137,650・・・・・1,886,376 ・・・・・・・15,625・・・・・・・685
5(3)・・ミッドウェー・・・・・・・・・・・・・・・12/31・・・・・・・・・103,018・・・・・・・884,245 ・・・・・・・・7,632・・・・・・・581
6(4)・・始動(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/18・・・・・・・・・100,712 ・・・・・3,251,381 ・・・・・・・27,550・・・・・・・632
7(5)・・アナと雪の女王2 ・・・・・・・・・・・11/21・・・・・・・・・・43,286 ・・・・13,684,656 ・・・・・・114,295・・・・・・・425
8(6)・・神秘アパート 劇場版・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・30,985・・・・・・・867,160 ・・・・・・・・6,843・・・・・・・320
       空トッケビ 対 ヨルムンガンド(韓国)
9(7)・・フォードvsフェラーリ・・・・・・・・12/04・・・・・・・・・・17,753 ・・・・・1,323,860 ・・・・・・・11,682 ・・・・・・・129
10(9)・・ナイブズ・アウト・・・・・・・・・・・・12/04・・・・・・・・・・17,458・・・・・・・753,093 ・・・・・・・・6,425 ・・・・・・・116
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・3位の2作品です。
 1位「ドクター・ドリトル」は、アメリカのファンタジー・アドベンチャー(&コメディ)。H・ロフティングのロングセラー「ドリトル先生」シリーズの最初の映画化作品「ドリトル先生 不思議な旅」は1968年公開。それを「現代的に」リメイクしたのが1998年の「ドクター・ドリトル」でその間30年。そして本作は「「ドリトル先生」シリーズに着想を得た・・・」ということは原作からかなり離れた? 。動物たちの言葉がわかる特別な能力の持ち主ドクター・ドリトル(ロバート・ダウニー・ジュニア)は、愛する人を亡くして世の中と断絶したままの動物たちと友だちになって暮らしています。ところがある日、女王も手のつけようがない難病が発生して王国が危険な状態に陥ると、ドクター・ドリトルの驚くべき能力だけですべてが解決できことを知ります。世界を救うためには、必ず指定された時間内に誰も行ったことのない神秘の島を見つけなければならず、ドリトルは友人たちと一緒に危険な冒険に出るのですが・・・。韓国題は「닥터 두리틀」。日本公開は3月20日です。
 3位「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」は、日本ではめずらしく19日も早い12月20日に公開されています。韓国題は「스타워즈: 라이즈 오브 스카이워커」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(37)・・タバルガと氷姫 ・・・・・・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・11,553・・・・・・・・・18,381 ・・・・・・・・・138・・・・・・・・・304
2(14)・・泣くな、トンズ2 ・・・・・・・・・・・・・・・1/09・・・・・・・・・5,883・・・・・・・・・・9,942 ・・・・・・・・・・80・・・・・・・・・232
       :シュクラン ババ(韓国)
3(2)・・パヴァロッティ ・・・・・・・・・・・・・・・・1/01・・・・・・・・・5,602・・・・・・・・・29,143 ・・・・・・・・・232・・・・・・・・・・51
4(3)・・永遠の門 ゴッホの見た未来・・・・・12/26・・・・・・・・・3,107・・・・・・・・・31,160 ・・・・・・・・・254・・・・・・・・・・40
5(1)・・ロイヤルコーギー ・・・・・・・・・・・・・12/24・・・・・・・・・2,358・・・・・・・・182,081 ・・・・・・・・1,394 ・・・・・・・・・37
       レックスの大冒険

 1・2位の「タバルガと氷姫」「泣くな、トンズ2:シュクラン ババ」が新登場ですが、いずれの作品についても上述しました。。
 なお、先週の記事公開の後に4位になった「永遠の門 ゴッホの見た未来」は、日本では昨年11月8日に公開されています。原題は「고흐, 영원의 문에서」です。
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≪論述問題(笑い話? クイズ?)から考える≫ 酒が気に入った村長が欲しがったのは水の入ったビンだった

2020-01-09 22:30:55 | エッセイ・雑文(韓国・朝鮮関係以外)
≪論述問題(笑い話? クイズ?)から考える≫

  酒が気に入った村長が欲しがったのは水の入ったビンだった


 前置きナシ。さっそく問題に取りかかってほしい。

 次の文章を読み、設問に答えよ。

 発展途上国の奥地。文明から取り残されたようなその村では、酒を造って飲むという文化がなかった。その村に入った日本人M氏は、リュックから焼酎のビンを取り出して村長の持つ器に注(つ)ぎ、水で割った。
 「おお、これは美味い! 身体が温まってきて舞い上がるようだ。」
喜ぶ村長に、M氏は別のビンを出しながら「では、これはどうですか?」と勧めた。中身は梅酒。度数が高かったので、同じように水で割った。
 「うん、これもすばらしい! 味も香りも申し分ない。」
 村長はその梅酒の水割りを飲みほした。
 酒のビンはもう一本あった。極上のウイスキーだ。M氏は水割りにして差し出す。
 「いやあ、本当にいい心持ちだ。こんなものを飲めるのは実にしあわせだ。ところで、もしよかったら、そのビンを私にくれないだろうか?」
 村長が指さしたビンは、酒が入った三本のビンではなかった。それは四本目のビン、すなわち水の入ったビンだった。

【設問一】なぜ村長は四本目のビンを欲しがったのか?
【設問二】村長彼自身はその選択が間違っていたことに気づいていない。では彼はなぜ間違えたのか? 論理的に説明せよ。


 この問題は、十数年ほど前だったか、ある大学の推薦入学試験で出題された論述問題をアレンジしたものである。
 とりあえず、解答例から。

【設問一】村長は、三種の飲み物に共通して入っている四本目の液体が自分を「いい心持ち」にしてくれたエッセンスだと思ったから。
【設問二】単純化すれば次のように数式化することができる。
 aは焼酎、bはブドウ酒、cはウイスキー、そしてxは水で、0は酔った状態を示す。
  ①a×x=0
  ②b×x=0
  ③c×x=0
 この①~③が成り立つ条件を考えてみよう。
 これは簡単。x=0 であればよい。・・・と多くの人は即座に答えるだろう。
 しかし、これだけでは不十分である。
 xの数値を問わずa=b=c=0 でもよいのだ。
 つまり、「いい心持ち」にさせるエッセンスは、第四のビンの液体に含まれているという見た目でわかる推定以外に、第一~第三のビン(a~c)のそれぞれに個別に含まれているという推定も可能なのだ。
 三種類の酒には、実は「いい心持ち」にさせる真の原因であるアルコールという共通成分が含まれているが、それが視認できないから村長は気づかなかった、と言ってもよい。


 上記の数式で、a、b、cのように違う文字だと、それらがすべて同じ数字で、それも0(ゼロ)という特別な数字だとは気づきにくいということだ。中学生レベルの決してむずかしくはないレベルの数学なのだが。
 一般に、人はすぐわかる共通点に目が行き、それぞれの事物がその共通要素によって特色づけられていると考えるものだ。しかし、いつもそうとはかぎらないのである。

 ここで連想したのは、アガサ・クリスティの有名な推理小説『オリエント急行殺人事件』である。くわしくは記さないが、ふつう関係がありそうもない人々が実は思いもよらぬ共通項を持っていたのである。
 たとえば現実の連続殺人事件や放火事件などの場合、各犯行現場に共通して存在が確認された人物が容疑者とされるのは自然な推定といえよう。しかし絶対ではない。そこにもひとつのミステリーのネタがありそうだ。たとえば、三件の犯行現場に居合わせた重要参考人Aは実は犯人に仕立て上げられた人物で、そのように仕組んだのは相互に関係はない被害者たちに共通に怨恨あるいは利害関係のあったBという人物だった・・・とか。
 いや、そんなフィクションだけの話ではなく、冤罪に関わる部分もあるかもしれない。

 もっと日常的な事例で考えてみよう。
 旅行好きの友人が国内の各地で撮った写真を見せてくれた。何枚もある写真の共通点は何だろう? 「山や海など風景が多い」「史跡が多い」等、被写体の特色はすぐわかる。カメラにくわしい人なら、色調や鮮明度などから使用したカメラのことがわかるかもしれない。あるいは、この撮影者に特有の構図のとり方に注目する人がいるかもしれない。また、ゴッホなどの絵画は何を描いたものでも彼の作品だとわかるが、そこまではいかないまでも撮影者の興味・関心、美的感覚、あるいは人となりといった「彼らしさ」が読み取れるかもしれない。
 次の例。ある会社で、同じ時期にいくつもの部署で同じような問題が発生したとする。原因は、会社の基本方針のような全体に関わるルールにあるかもしれない。いや、共通といえば同業他社にも同様のことが起こっていないか見てみる必要もある。逆に、各部署の個別の問題がたまたま同時期に起こったのかもしれない。目に映ったことだけで即断すると、先の話の村長のように間違うことが多い。
 最後はある高校での話。授業から戻ってきた先生が嘆いている。「あーあ、ここの生徒もやる気がないなあ。どのクラスに行ってもおしゃべりや居眠りばかりで、こっちもかったるくなるよ」。
 おそらく、一部の高校を除いてよくある光景ではないだろうか? ふつうに考えて、その要因は複合的だ。入試制度やカリキュラムなどの教育制度や教育内容、生徒を取り巻く社会や家庭の問題等々。その学校の教育方針のような個別の問題もあるかもしれない。
 しかし、この先生には尋ねたい。担当している三クラス以外でもおしゃべりや居眠りが蔓延しているのか? あるいはこの三クラスの他の科目の授業のようすはどうなのか?
 彼にとっては、生徒のおしゃべりや居眠りなどの「やる気のなさ」は一目でわかる全クラスの共通項ということか?
 彼は、もしかしたら自分自身が、(あるいは「自分も」)そんな状況を作ってしまっている可能性に気づいていないのかもしれない。先の話で、村長が三本のビンの液体に共通に含まれているアルコールに気づかなかったように。
 大切なことは、他の同僚の先生や当の生徒たちとのコミュニケーションを緊密にとって実際の状況の把握に努めること。つまりは教師としての基本姿勢だ。

 要はa~cのような個別のことと、xのような全体に共通することの間の関係性をどう理解するかということだ。目についたことだけで判断せず、視点を変えてみると、最初は見えていなかったものも見えてくる。さまざまな可能性を想定し、全体像を念頭に置きながら個別を緻密に見ることである。まあ、これも「言うは易くして・・・」の部類ではあろうが・・・。
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韓国内の映画 週末の興行成績 [1月3日(金)~1月5日(日)]と、人気順位 ►「エクストリーム・ジョブ」と「国家が破産する日」の事前学習と事後学習

2020-01-07 23:49:10 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸5日(日)はブルク13で「エクストリーム・ジョブ」、6日はシネマ・ジャック&ベティで「国家が破産する日」と、今年最初の映画鑑賞は2日連続の韓国映画となりました。
 「エクストリーム・ジョブ」は、<ぴあ映画生活>の<初日満足度ランキング>で「男はつらいよ お帰り 寅さん」の93.0を上回る93.6ポイントで1位。警察の麻薬捜査班が組織捜査のためフライドチキンを開店したら云々というアクションコメディで、こんな設定ありえないだろ(笑)というのが日本のジョーシキでしょうが韓国だったらあるかも(笑)と思えてきます。18:20の回で観客数は約100席の数3分の1程度とまずまず。随所で笑い声も上がっていました。韓国人ならもっといろんな場面で笑えるんだろうな、と思いつつ・・・。
 ・チキン店の名は「수원왕갈비통닭(水原王カルビ丸揚げ鶏)」。水原(スウォン)の名物カルビに用いるヤンニョム(タレ)を牛の焼肉でなくフライドチキンに使った点がポイントか? たぶんレシピ等が出回っているだろうと探したらすぐ複数見つかりました。たとえば→コチラ
 ・主演のリュ・スンリョンは麻薬班の班長。職位としてはかなり下で、後輩に追い越されたりして、奥さんからも愚痴というか溜め息というか・・・。そんな中、娘が中学(高校?)で班長になったと報告。日本では級長のこと。クラスの会計等も担当してなかなかタイヘンみたい。
 ・ソウルの広蔵市場に麻薬キンパプ(のり巻き)の有名店があります。<麻薬>は「病みつきになる」という意味ですが、「これは麻薬チキンだ」などと客が言ってたら、ご本家に因縁をつけられたり・・・。
 ・食堂に来た若い男性が店員のオバサンを「이모(イモ)」と呼んでます。辞書だとたぶん「叔母」しか載ってませんが、けっこう前から店で「ちょっとお姉さん」という意味でもちいられています。
 ・ostとして用いられていた歌は「미안 미안해」。テ・ジナ(태진아)が歌ってます。→YouTube
 おっと、こんな感じでタラタラ書いてると、これだけで1つの記事になっちゃいそう。いや、ホントに書くにはもう1度観ないとダメか。

▸「国家が破産する日」は、1997年の韓国通貨危機(→ウィキペディア)、韓国でいうところのIMF事態(IMF사태)またはIMF外換危機(IMF외환 위기)を正面からテーマに据えたドラマ。私ヌルボも、約20年前よく聞いた新自由主義とか規制緩和とかフリードマンとかトリクルダウンという言葉やテレビでよく見た専門家たちの顔などをボンヤリ思い出しながら観ました。が、時代劇同様事実とフィクションの境い目がよくわからず、パンフレットを読んでナットク。主演キム・ヘスが韓国銀行の通貨政策チームのカッコいい女性チーム長を演じているのですが、脚本のオム・ソンミン自身「“こんな人がいたらどれほど良かっただろうか”という気持ちで造った人物です」と語ってます。エンドクレジットの最後の方、<協賛>中にハンギョレが名を連ねているように進歩系の側に立った作品。配給会社のCJエンタの立ち位置についてチラッと考えたりもしました。(よくわからん。) 私ヌルボも含めて日頃庶民にはなじみのない分野なのでそれなりに予備知識を仕入れて行った方がいいかも。細かな点までとてもよくわかるのが→コチラの大場正明さんの記事です。(多少以上にネタバレ?)

         ★★★ NAVERの人気順位(1月7日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(2) フォードvsフェラーリ  9.55(6,895)
②(3) 主戦場  9.53(1,327)
③(1) 梨泰院[イテウォン](韓国)  9.50(46)
④(4) ヘロニモ(韓・米)  9.44(223)
⑤(-) アンカー(韓国)  9.41(17)
⑥(新) パヴァロッティ  9.37(63)
⑦(7) 2人のローマ教皇  9.35(363)
⑧(8) 家族を想うとき  9.32(249)
⑨(-) 家の話(韓国)  9.29(84)
⑩(9) 教会のお兄さん)  9.27(1,565)

 ⑥「パヴァロッティ」が新登場です。20世紀の代表的なオペラ歌手の1人で、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスと共に<三大テノール>と称されたルチアーノ・パヴァロッティ(1935~2007)の青年期から世界的な名声を得るまでの軌跡をたどったアメリカのドキュメンタリー。インタビューやコンサート等々の映像で構成されています。韓国題は「파바로티」。日本公開は未定のようです。そういえば、声楽家になりたいという夢を持ちつつチンピラの道を選んでしまった若者を主人公にした「パパロッティ(파파로티)」という韓国映画があったな。(2012年の作品)

     【記者・評論家による順位】

①(1) アイリッシュマン  9.11(9)
②(2) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
③(3) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
④(4) ハチドリ(韓国)  8.38(13)
⑤(5) 象は静かに座っている  7.67(3)
⑥(6) フォードvsフェラーリ  7.63(8)
⑦(7) われわれを引き裂くもの(韓国)  7.50(2)
⑧(8) 主戦場  7.33(6)
⑨(9) ボーダー 二つの世界  7.29(7)
⑨(9) 家族を想うとき  7.29(7)

 順位、評点とも前週と同じです。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月3日(金)~1月5日(日) ★★★
           「白頭山」が3週連続1位で700万人を超える

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・上映館数
1(1)・・白頭山(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・565,102 ・・・・・7,479,709 ・・・・・63,311・・・1,222
2(2)・・天文:空に問う(韓国) ・・・・・・・12/26 ・・・・・・・343,202・・・・・・1,611,403 ・・・・・13,373・・・・・922
3(41)・・ミッドウェー・・・・・・・・・・・・・・12/31・・・・・・・・306,231 ・・・・・・・669,808・・・・・・・5,818・・・・・842
4(3)・・始動(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・12/18・・・・・・・・264,165 ・・・・・3,037,908 ・・・・・25,729・・・・・825
5(4)・・アナと雪の女王2 ・・・・・・・・・・・11/21 ・・・・・・・112,534 ・・・・13,593,956 ・・・・113,543・・・・・644
6(5)・・神秘アパート 劇場版・・・・・・・・・12/19 ・・・・・・・・74,413・・・・・・・・810,301・・・・・・・6,399・・・・・513
       空トッケビ 対 ヨルムンガンド(韓国)
7(7)・・フォードvsフェラーリ・・・・・・・・12/04・・・・・・・・・47,384・・・・・1,288,963・・・・・・11,368・・・・・204
8(29)・・21ブリッジズ・・・・・・・・・・・・・・・・1/01・・・・・・・・・34,171 ・・・・・・・66,370 ・・・・・・・・・577・・・・・225
9(10)・・ナイブズ・アウト・・・・・・・・・・・・12/04・・・・・・・・・31,260・・・・・・・719,802 ・・・・・・・6,127・・・・・155
10(9)・・雪の女王4・・・・・・・・・・・・・・・・・12/24・・・・・・・・・20,729・・・・・・・184,801 ・・・・・・・1,313・・・・・250
       /名探偵と刃の館の秘密
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は3・8位の2作品です。
 2位「ミッドウェー」は、アメリカの戦争物。1941年の真珠湾攻撃は序幕に過ぎませんでした。それ以降日本の野心は拡大してゆき、アメリカ本土への攻撃まで計画します。米軍は、日本の続く攻撃目標がどこなのかを解読するために苦労しつつも戦列を整えていきます。そして日本ののターゲットがミッドウェーとわかったアメリカは反撃を準備しますが、戦局は絶対的に不利な状況でした。ところが・・・。あとは大方の日本人が知っている通り。「もし、あの時・・・」と悔しい思いをしている人も相当数いるのでは? 本作は、歴史観とか人間ドラマ云々よりも、視覚効果に重点を置いた作品のようです。韓国のネチズンのコメントを見ると、案の定「なんだか痛快、爽快な気分」といった感想が散見されます。また「「白頭山」と比べるとずっと上」との感想も目につきました。韓国題は「미드웨이」。日本公開は今年の秋の予定です。
 8位「21ブリッジズ」は、アメリカの犯罪&スリラー。ニューヨーク。マンハッタンの中心で警察官連続殺害事件が起こります。事件担当を命じられたのはベテランのアンドレ・デイヴィス(チャドウィック・ボーズマン)刑事。そして彼とタッグを組むことになったのはフランキー・バーンズ刑事(シエナ・ミラー)なのだが、えっ、彼女は麻薬中毒!? 犯人を捕まえるためアンドレは市当局やFBI等の許可を取り付けて翌朝までマンハッタン一帯を全面封鎖するという極端な措置をとりますが、与えられた時間はわずか3時間。はたして・・・。韓国題は「21 브릿지: 테러 셧다운브릿지: 테러 셧다」。日本公開は未定のようです。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ロイヤルコーギー ・・・・・・・・・・・12/24・・・・・・・17,168 ・・・・・・167,037・・・・・・1,302・・・・・・・・238
       レックスの大冒険
2(6)・・パヴァロッティ・・・・・・・・・・・・・・・1/01・・・・・・・・8,099・・・・・・・・17,126 ・・・・・・・139 ・・・・・・・・・85
3(2)・・家族を想うとき ・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・2,261・・・・・・・・29,505 ・・・・・・・232 ・・・・・・・・・37
4(3)・・ワイルドライフ ・・・・・・・・・・・・・12/25・・・・・・・・1,275・・・・・・・・10,751 ・・・・・・・・86・・・・・・・・・・36
5(28)・・モンマルトルのパパ(韓国)・・・・1/09・・・・・・・・1,173・・・・・・・・・1,569・・・・・・・・・・9・・・・・・・・・・12

 2・5位の2作品が新登場です。
 2位「パヴァロッティ」については上述しました。
 5位「モンマルトルのパパ」は、韓国のドキュメンタリー。中学校の美術教師として生涯を生きてきた父はいつの間にか定年退職の時が迫ってきています。ふと父の定年退職後のことが気になった息子は尋ねます。「お父さん、これからどうするつもりなの?」。「ちゃんと計画はできている」。驚いたことに、父の計画はパリのモンマルトルの丘で絵を描くことでした。長い間夢見てきた父の夢を実現するためにパリに向かうことになるのですが・・・。一点一点と絵が積まれてゆき、モンマルトルの丘の1人の画家になった父に語りかけます。「お父さん、今気分がいい?」 「言うなれば、すばらしい」 原題は「몽마르트 파파」です。
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「希望」と「善意」が彼らを死地に追いやった

2020-01-05 23:55:36 | エッセイ・雑文(韓国・朝鮮関係)
  「希望」と「善意」が彼らを死地に追いやった

   今振り返る 北朝鮮帰国事業の開始から六〇年


 一九九一年八月。
 三池淵(サムジヨン)号の船内で二泊し、三日目に元山(ウォンサン)に入港した。
 船が着岸する前から岸壁からブラスバンドの音楽が聞こえる。歓迎の人たちも集まっている。
甲板に出て元山の町を眺めると、目につくのは低い山々の赤い地肌だ。そして市街地は・・・。いや、市街地と呼べるような景物があっただろうか? 殺風景というより、荒涼とした感じだ。
 「ここは時間が半世紀以上前で止まっている」。それが最初に訪れた外国の第一印象だった。
 ブラスバンド曲のメロディーは今も憶えている。その演奏の虚しいまでの無表情ゆえだ。曲名が『4号歓迎曲』ということは最近知った。

 われわれ約百人の旅行団は前々日新潟港の中央埠頭を出発した。
 一九五九年十二月在日朝鮮人と日本人妻たちが北朝鮮に「帰国」した帰国事業の第1次船が出港して以来、八四年まで九万三千人を超える人々が北朝鮮に渡った。その出発点がこの港だった。
 今、帰国者たちを待っていた「地上の楽園」の実態がどのようなものだったかは多くの人の知るところだ。彼らの中でその後脱北し、日本に戻って生活している人は約二百人ほどいるという。(韓国には二百人弱) 彼らの書いた手記を読むと、ほとんどの人が(元山よりずっと北の)清津(チョンジン)に入港した瞬間に「だまされた」という衝撃に襲われている。日本から持参した弁当は「捨てろ」と言われて捨てたが、代わりに与えられた食事は残飯のようなものだったりお菓子だったりしてとても食べられない。そして清津の町や人々を初めて見た時感じたことは私と同じだ。ただ決定的に違うのは、彼らの場合はほとんど自分の人生がその時点で終わってしまった、致命的に選択を誤ってしまったという絶望感に苛まれたことだ。
 私自身の「追体験」でさえも衝撃的だったが、多くの帰国者たちの衝撃に比べれば微々たるものに過ぎないことは言うまでもない。
 「衝撃」といえば、清津港で初めて彼らを迎えた北朝鮮の人々も驚いたという。在日同胞は差別と貧困の中で苦労してきたので乞食同然の姿で来ると思っていたら、自分たちよりずっといい服を着ているし、血色も良かったので。(彼ら北朝鮮住民のことも北朝鮮の人権をめぐる問題として同じように視野に入れるべきだと思う。)

 先週十二月十四日は、第1次帰国船が出港した日からちょうど六十年目の日だった。
 この日私は拓殖大学文京キャンパスで開かれていた<北朝鮮に自由を! 人権映画祭>で「キューポラのある街」(一九六二)と「未成年 続・キューポラのある街」(一九六五)を観てきた。前者はもちろん当時十八歳の吉永小百合主演の名作で、キューポラのある街=川口を舞台に、吉永小百合の演じる中3のジュンが困難な家庭環境の中で希望を失わず成長してゆく姿を描いた感動的な作品だ。この中でジュンや小学生の弟タカユキと親しい在日姉弟の一家が北朝鮮に行くという話が盛り込まれている。
 作家早船ちよが原作小説を刊行したのが映画公開の前年の一九六一年。当時は北朝鮮という国が輝いて見えた時代だった。半島の南では李承晩政権が一九六〇年四月の学生革命でやっと倒れたと思ったら、約一年後に朴正熙がクーデターで政権を奪取し、独裁を進めるという状況とは比べるまでもない。宮島義勇監督が北朝鮮を長期取材して作った『千里馬』を、高1だった私も徳島の映画館で観たのは一九六四年だったと思う。実際、六〇年代の経済水準は北朝鮮が韓国を上回っていたということだ。この時期、北朝鮮を美化して描いたことを今の誰が責められるだろうか?

 ところが、帰国運動のピークは最初の三年で終わる。つまり五九~六一までに七万人以上(全帰国者の8割以上)が北朝鮮に渡り、六二年になるともう激減するのだ。最初から日本に残るという人だけでなく、北朝鮮の実情がわかって渡航をやめた人もいたようだ。先に帰国する家族と事前に手紙の符丁等を決めておいて、たとえば「来るな」の意味で縦書きでなく横書きにしたり、「こちらの家は日本の〇〇のように良い所です」と貧民街や刑務所の地名を書いたり・・・。
 手紙は当然のように検閲されるし、思っていることを言うだけで場合によっては家族ともども命とりになってしまう、そんな体制だった。北朝鮮に着いて最初の頃につい「本音をもらして」収容所送りになった人も大勢いたようだ。ある脱北者は、父親から「口は本当のことを外にもらさないシャッターのようなものだ」と忠告されたことを語っていた。

 「未成年 続・キューポラのある街」は今回初めて観た。いや、この作品は存在さえ知らなかった。内容も前作の三年後で、主人公のジュンは定時制高校に通いながら工場で働いている。しかし厳しい社会の現実を前に悩む場面が目につき、その分希望の光も少し陰ってきた印象を受けた。帰国運動関係では、サンキチの家族でひとり残っていたサンキチ母(菅井きん)=日本人妻のもとにサンキチ父が病に倒れたとの知らせがあり、やはり自分も北朝鮮に行くべきかと悩むのだが、ジュンは彼女に北朝鮮に行くことを強く勧めるのである。そしてサンキチ母は「二度と帰って来れないかもしれない・・・。私はやっぱり日本に住んでいたいんだよ・・・」と泣きながらも北朝鮮行きを決意する。
 この時点で、当初朝鮮総聯などが言っていた「三年経ったら里帰りできる」という言葉は反故にされている。サンキチ母はジュンに「私のことを思い出しておくれね」と言い残して別れる。映画では、この会話の後のジュンの表情になにか不安が兆しているように思えたが、それは六五年の時代状況をふまえた野村孝監督の演出か、私の後知恵に基づく主観に過ぎないのか、よくわからない。

 北朝鮮に「帰国」した在日朝鮮人のほとんどは元はと言えば韓国の南部や済州島出身者だ。それなのになぜ大勢の人たちが故郷というには無理がありそうな北に渡ったのか?
 日本社会での差別と貧困からの脱出ももちろんあっただろう。が、しかし・・・。何と言っても一番責任があるのは金日成をはじめとする北朝鮮政府と朝鮮総聯だ。在日朝鮮人への生活保護費負担とともに治安対策の問題の解消がねらいだったという日本政府も責任を免れないだろう。そして大きな(マイナスの)役割を果たしてしまったのが新聞等のメディアだ。確実な裏付けのないまま希望を持たせるような記事を大量に流してしまった。確かなことと不確かなことを見極めて伝えるという基本を踏み外してしまったのは、ジャーナリストたち自身も「見たかったこと」が「見えてしまった」のだろうか? さらに、60年代後半以降も後追い記事をずっと書き続けるべきだった。実態がわかった後、一般の人たちや、帰国者の家族の中にさえも「自分の意思で行ったんだから」と突き放す人がいるのはあまりに酷というものだ。
 とくに重い責任のある者たちや組織から反省や謝罪の言葉が聞かれたことはない。そればかりか北朝鮮と朝鮮総聯は「罪の上塗り」をしている。帰国者に限らず、戦後社会主義の理想を信じて「北」を選んだ多くの在日を含む朝鮮人たちがいた。北朝鮮建国当初のそんな理想は一体どこに行ってしまったのか、北朝鮮の指導者や総聯の関係者は自問することはあるのだろうか?

 今思うことは、考えてみればそんな不確かな情報しかないのに信じたい「希望」があれば人は死地への道を選択してしまうということだ。そして身近に信頼できる知人が「善意」で後押しをしてくれれば迷っていても決断してしまったりもするのである。
 「続・キューポラのある街」のさらに続きの物語のことを考えてみる。今、ジュンはサンキチ母との最後のやりとりをどう思い返しているのだろうか?

 帰国船の発着地・新潟港中央埠頭近くにボトナム通りという道がある。第1次帰国船出港の前月に帰国者たちが街路樹として寄贈したヤナギ三百五本が約二キロメートルにわたって植えられた道で、これに当時の県知事が「柳」の朝鮮語を通りの名としたとのことだ。(ポドゥナムと表記した方がより原音に近いが。なお平壌は「柳京(ユギョン)」ともよばれるほど柳で有名である。)
 六〇年経った今、ボトナム通りのヤナギはずいぶんまばらになってしまったようだ。

 ところが、始まりは六〇年前でも、この帰国事業の問題は今も続いていることを忘れてはならない。日本の国籍を持つ人は六七三〇人が北に渡り、亡くなった人も多いが、数百人(?)が彼の地で暮らしているという。しかし、拉致被害者に対する関心に比べると、政治家はもちろん日本人の多くも関心を寄せていないのではないだろうか?
 脱北して日本に戻った人の話を聞く機会が何度かあった。その中で、大きなマスクをしたりサングラスをかけたりして素顔を隠している人は何人もいる。北朝鮮側の人間の危険な接触をさけるためだ。日常的にも十分な公的支援もなくひっそりと暮らしているという。

 一方、朝鮮中央通信が伝えた最新のニュースによると、平壌で12月15日、在日朝鮮人の帰国実現を記念する報告会が行われた。
 報告会には朝鮮総聯のK顧問を団長とする在日本朝鮮人感謝団や、北朝鮮に滞在中の在日朝鮮人が参加する中で「在日同胞の社会主義祖国への帰国を実現して在日朝鮮人運動の全盛期をもたらし、海外同胞運動の世界史的模範を創造した金日成主席と金正日総書記の不滅の業績は祖国の歴史とともに子孫万代に末永く輝くであろう」といった内容の報告があったという。
 帰国者たちの生命や人生をふみにじったことへの憤りはもちろんだが、彼らがそれぞれに信じていた「希望」のことを思うといたたまれない気持ちにかられる。このような体制がここまで存続している現実を、われわれは直視しなければならない。

※三池淵(サムジヨン)号は、比較的知られている万景峰(マンギョンボン)号の姉妹船。ただし初期の帰国船はソ連船クリリオン号、トボリスク号が使われた。
※『4号歓迎曲』は→YouTubeで聴くことができる。
※いわゆる日本人妻の里帰りができないことは、北朝鮮住民が自由に国外に行けないこと等とも通底している。拉致問題も当然合わせて北朝鮮の人権問題中の重要な案件として取り組むべきだろう。
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★2019年 ヌルボの個人的映画ベスト10

2020-01-03 09:27:40 | 韓国映画(&その他の映画)
 1月7日の「アリー/ スター誕生」から12月29日の「アイリッシュマン」まで、合計すると1年間では2回観た分を引いて計123作品。これまでの最多記録104作品(たぶん)を大きく更新しました。
 しかし、ふつうの映画ファンなら観たような作品(「アナと雪の女王2」等々、主にエンタメ系)はたくさんあるし、ぜひ観なくてはと思っていても見逃がしてしまった作品もかなりあります。

 まあそれはそれとして、まずはベスト10の発表。

[2019年]
①金子文子と朴烈
②象は静かに座っている
③半世界
④バジュランギおじさんと、小さな迷子
⑤幸福なラザロ
⑥ i-新聞記者ドキュメント-
⑦存在のない子供たち
⑧ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん
⑨東京干潟
⑩リトル・フォレスト 春夏秋冬
 [次点] RBG 最強の85才・ブラック・クランズマン・ナディアの誓い - On Her Shoulders・劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~・EXIT イグジット・流転の地球
 [別格] サタンタンゴ
 [別枠] 沖縄スパイ戦史

赤色は韓国映画または韓国・北朝鮮に関係する映画です。

 いやあ、今回は1位からおおいに迷いました。ベスト10の候補は20作品以上ありました。どれも僅差というか、差をつけるのがムリというか・・・。連続している3作品はほとんど同順位と思って下さい。
 以下、各作品についてのコメント。
 1位「金子文子と朴烈」は、一昨年3月大阪アジアン映画祭で観て強く印象付けられました。原題は単に「「박열(朴烈)」ですが、どうみても邦題の方が内容に合っています。金子文子を演じたチェ・ヒソが数多くの主演女優賞や新人女優賞を受賞したことが十分うなずけます。物語は1923年9月1日の関東大震災の2日後に逮捕された無政府主義者朴烈が天皇・皇太子の暗殺を計画したという朴烈事件(→ウィキペディア)を素材にした歴史ドラマで、近年の韓国に多いトンデモ歴史ドラマに比べるとはるかに史実に基づいています。2018年のベスト10で1位にした「菊とギロチン」と同じく大正末期のテロリスト関連の映画ですが、<ギロチン社>も<朴烈事件>も映画を観るまで知らなかった人が多いのではないでしょうか? それにしても、その時代にこんなに真正面から天皇制の虚構性を主張した人物がいたのですね。映画を観てない人にも金子文子の自伝「何が私をこうさせたか」(岩波文庫)は強く薦めしたいです。一昨年私ヌルボがわざわざ大阪まで観に行ったのは、もしかして日本での一般公開はないかなと思ったからです。例えば立松予審判に対する朴烈のセリフに次のようなものもあるし・・・。「あなたのところのおぼっちゃん、迪宮(みちのみや)・・・ミッチンノミヤ!)」。迪宮とは当時の皇太子(後の昭和天皇)の幼少時の称号ですが、それを少しもじった朝鮮語の<ミッチンノミヤ(미친 놈이야)>は<狂った奴め>という意味の今もふつうに使われる罵倒語です。しかし、渋谷イメージフォーラムでの公開初日に<反日映画>非難の人たちが若干やって来た程度で終わったのでほっとしました。(もちろん、心配するような現実自体に大きな問題あり、ですが。なお、この作品について敬愛する四方田犬彦先生が「週刊金曜日」誌上で<韓国映画のナショナリズム自己陶酔は、これでいいのか?>というタイトルで批判しているのは首を傾げてしまいました。
 2位「象は静かに座っている」については、1つ前の記事で書いたことをほぼそのまま載せます。4時間近い長尺ですが苦にならなかったです。フー・ボー監督はタル・ベーラ監督の弟子とのことで、たしかにカメラワークは似ています。が、<感触>はずいぶん違います。過去のハンガリーの村と現代の中国の地方都市(石家荘、orその外れの町)の違いだけではなく、リアリティの問題? 物語全体の構図と流れを把握するのに時間を要しましたが、終わって振り返ればなるほど、またパンフを読んでなるほど、でアタマの中でじわじわとわかってきた感じ。個々の人物状況の描写がはからずも(??)大状況を掴んでいる点でエドワード・ヤン監督の名作「牯嶺街少年殺人事件」と相通じるところがあります。それにしても、最初から最後まで明るい笑い声や笑い顔が皆無とは、何という映画か!? その果てに監督までこの1作の長編を遺して自殺してしまうとは・・・。
 3位「半世界」は、期待ほどではなかった日本映画が少なからずあった(アニメを除く)中で、すなおに観てよかったと思ったほとんど例外的な作品。じわっと心に沁みます。男優陣もさることながら、池脇千鶴がいい。助演女優賞に推薦!
 4位「バジュランギおじさんと、小さな迷子」は、19年で一番の感動作! 誰彼問わずオススメしたい! 隣国同士の仲の悪さといえば、インドとパキスタンの間もその代表例。宗教も違うし、領土紛争(カシミール紛争)では過去何度も武力衝突もしてきました。したがって相手国に対してアタマに血が上る人たちは双方とも多いようですが、それぞれに争いを好まぬ人、心優しい人もたくさんいるのですね。主人公その1はパキスタンの6歳の(口の利けない)女の子(すごくカワイイ!←この映画の魅力の3割)。ところがこの子がお母さんとインドの寺院にお詣りに行った時迷子になっちゃうのです。なぜかその女の子に頼られてしまったインド人のオジサンが主人公その2。すごい苦労して国境を越え、女の子を親元に届けるという話です。印パの間には食生活のタブー等々もあって、その点も日韓間のミゾどころじゃないですね。それでも、主人公が寛容なイスラム導師の保護を受けたりして、ラスト近くではオジサンも相手方の言葉で「サラーム」と挨拶するのです。両国のそんな政治的宗教的対立を乗り越えて、人間として通じ合うものがある・・・というのが魅力の5割以上。そしてお約束の歌と踊り。基本はエンタメですが、いろんな要素がてんこ盛り。・・・ところが私ヌルボがこの映画を観た日(2月22日)の半日後、なんと<インド政府、パキスタンで武装勢力を空爆と発表 300人死亡>というニュースを読むことになるとは・・・。
 5位「幸福なラザロ」は、イタリアの人里離れた小さな集落で閉鎖的な暮らしを営む住民に昔からの領主が外の世界の変貌を知らせず、やっと20世紀後半になってそんな前近代的な集落の存在が外の世界にも知られることになって・・・というウソのような事実に基づく作品で、その構図からして寓話的。規模を大きくしたら北朝鮮とダブるところがいろいろあるような・・・。
 6位「i-新聞記者ドキュメント-」は、望月衣塑子記者のタフさに舌を巻きました。体力的にも精神的にも。ずいぶん大勢いると思われる感情的な批判者の人たちも、せめて彼女の半分でも必死に頑張って批判してほしいものです。そしてもちろん大勢の新聞記者の皆さんも頑張れ!とエールをおくりたいです。菅義偉官房長官は神奈川県第2区選出つまり私ヌルボの居住地で関係のポスターはいやというほど目にするので、「わたしはブレない」というキャッチコピーは否応なく憶えてしまいました。あの答弁を見ると、およそどんな質問にたいしても決してブレていないことがよくわかります。
 7位「存在のない子供たち」は、中東の貧民窟に生まれた少年を主人公に、<不法労働>や児童労働、子供の教育等々、難民たちの置かれた悲惨な状況を掘り下げた社会派ドラマ。難民関係の映画はこれまで何本か観ましたが、これは出色! 自身がシリア難民という主演の少年ゼイン・アル=ラフィーア君の演技とは思えないような<ツラガマエ>がすごくいい。両親を「自分を産んだ罪で告訴したい」という訴えは、日本にも似たような状況がありますね。
 8位「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」は、この1年けっこう観た外国アニメ(アメリカを除く)の中で一番の感動作。氷山の浮かぶ海の夕焼けの景色等々、画面(が美しい! 物語は、サンクトペテルブルグの貴族の令嬢サーシャ(14歳)が、1年前に北極航路の探検に出たまま未だ行方がわからない祖父を探しに北極圏へと旅に出るというもの。物語も、輪郭を描かない絵柄もシンプルなのですが、「太陽の王子 ホルスの大冒険」のような黎明期の日本アニメを彷彿とさせる魅力が感じられました。
 9位「東京干潟」は、とくに予備知識もなく、なんとなくタイトルに惹かれて観に行ったドキュメンタリー。撮影場所はほとんど多摩川下流の大師橋の下あたり。そこの干潟(というより泥地)でシジミを獲って生活している85歳のおじいさんに村上浩康監督が4年間密着して撮影。近年増えているというシジミの乱獲のこととか、土手の下のビニールハウスで一緒に暮らす15匹のネコのこととか、台風による増水等の自然のこととか、干潟で知られる有明海の近くで育って復帰以前の沖縄に行って等々のおじいさんの人生のこととか、興味深い話がいっぱい。泥にはまって動けなくなった人が救急隊に運ばれていく場面もあったり・・・。観に行って大正解!
 10位「リトル・フォレスト 春夏秋冬」は、ベスト10のラストに片手にあまるほど候補がある中、一応当ブログの立ち位置も考慮して(笑)韓国映画から選ぶことに・・・。37作品観た韓国映画中、新作は約半分。その中で、「飛べ、ペンギン」「牛と一緒に7泊8日」等と同様穏やかな優しさが漂っていてヌルボと波長が合うイム・スルレ監督作品を選びました。五十嵐大介の原作漫画も読んでないし、橋本愛主演の映画も観てませんが、主演のキム・テリもいいフンイキで、とても後味の良い作品でした。。
 [次点] 「RBG 最強の85才」は、アメリカ最高裁の80代の女性判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの若い頃、つまり70年代頃からアメリカ社会の女性の権利に対する認識(&法律や政治等)が大きく変わっていくわけですが、その大きな流れを彼女が直接関わったいくつもの裁判の事例を通してたどっていくというドキュメンタリー。そんな大きな流れが他の多くの人権闘争と同様<自然に>、<歴史の流れ>で現実化するのでなく、多くの人の闘いの末に実現したものであるということを教えてくれます。また彼女が、この世代としては稀有な男性ともいうべき生涯の伴侶と10代に出会って等々といった家庭生活や、最近の若い世代との交流等も紹介されています。驚いたのは、アメリカでは70年代でも裁判官も含めて男性たちの認識がこんなにも低レベルだったのかということ。法律まで差別が一杯だったとは! (関係ないけど、バックでジャニス・ジョップリンの「サマータイム」が流されていました。懐かしい!) そういえば、日本でもその頃<フェミニスト>といえば部屋のドアを開けて女性に「どうぞお先に」と言うような男性のことを指していたなー。また「女は家事と育児に専念すべし」という男はざらにいたし・・・。(当時の<ウーマン・リブ運動>、見直しました。その中心人物の1人田中美津さんは「この星は、私の星じゃない」と上映後のトークで現況を知りました) 「ブラック・クランズマン」は、人種差別をテーマとしている点で「グリーンブック」と共通していますが、コチラの方がずっとアグレッシブ。個人的にはコチラが好み。「グリーンブック」の高評価もわかるけど、主人公も作品自体も行儀がちょっとよすぎるような・・・。(たぶん感動する観客も?) 「ナディアの誓い - On Her Shoulders」は、イラク北部の小さな村でISIL(イスラム国)に捕らえられながらも脱出に成功し人権活動家として活動を続け、2018年ノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドに密着取材したドキュメンタリー。2週間の間をおいて「バハールの涙」と両方観たのがよかった。(直接関係ない(?)けど、例の<慰安婦>を<性奴隷>と呼ぶ人たちはISILに捕らえられて悲惨な目に遭った彼女たちを何と呼ぶのでしょうか?)  「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」は、登場人物も作品自体もとてもナイーブ(←否定的に言ってるのではありません)。外国の人たちにどれだけ、どんなふうに通じるのかな? 「EXIT イグジット」は、観客動員数941万人の大ヒットがうなずける娯楽作。よく考えればツッコミどころも多々ありますが、笑える場面、韓国社会を反映している場面、韓国らしい家族愛あふれる場面の配合もよく楽しめました。「流転の地球」はマイナーながらも注目に値する中国SF。話題の小説「三体」の作者・劉慈欣の短編が原作とあって、発想がユニーク。太陽が膨張して地球自体が大ピンチ!ということになるのですが、「全人類(orその一部)は地球を脱出して云々」というんじゃなく、なんと、地球を丸ごと太陽系から離脱させようというもの。ところが・・・、ということで物語は核心に突入します。制作技術面でも中国初の超大作ブロックバスター作品ということで、視覚効果等々はすごいすごい! ただ、人物の描き方に深みが欠けるのがなんとも残念。それは監督等制作スタッフの問題なのか、(今の)中国人・中国社会に基因するものかはわかりません。
[別格] 「サタンタンゴ」は、上映時間が438分というだけでなく、登場人物の会話が少なくてただ黙ってるだけのシーンがやたらと多いし、それも無表情。延々と続くまっすぐな道を数人がこれまた無言で延々と歩く。やたら雨が降っていて風景も陰鬱。7時間以上耐えた自分を褒めたい、という点で別格。いや、それでも後の方になるとむしろおもしろくなってきたのはなぜ?(笑)
[別枠] 「沖縄スパイ戦史」は、18年に一般劇場公開された作品なので、自己基準によりベスト10から外しました。しかし今年観たドキュメンタリーの中では文句なくベストです。三上・大矢両監督の<本気>が伝わってきます。キネ旬のベスト・テン<文化部門>第1位等々多くの賞を受賞したことが十分以上にナットクできます。

 日本の俳優で目立ったのは、女優では上掲の池脇千鶴。そして「さよならくちびる」の門脇麦、だけじゃなくて小松菜奈も。映画関係の記事を見ると、「よこがお」の筒井真理子の名前も上がっていますが、あいにく観てないもので・・・。「岬の兄妹」の和田光沙も熱演していましたが、私ヌルボとしては作品自体になにか肝心なものが欠けているような感じなのでその分印象としてはイマイチ感が残ります。
 男優は、ソモソモ顔や名前が憶えられなくて・・・(恥)。かろうじて記憶にあるのは、「タロウのバカ」の新人YOSHI。菅田将暉よりも彼の演技(なんだろな?)に目をみはりました。「岬の兄妹」の松浦祐也も、「宮本から君へ」の池松壮亮も頑張っているのは認めるけど、ちょっと頑張りすぎの感がなきにしもあらずだし、それ以前に作品がどうも・・・。
※気になりつつも結局観てない日本映画は「ひとよ」「蜜蜂と遠雷」等。「天気の子」「プロメア」も観てませんが近いうち観るつもり。
※話題作・注目作で観てない代表は「主戦場」「新聞記者」です。
※マイナーながらも、観てよかったドキュメンタリーには「シード ~生命の糧~」「タリナイ」「妓生:花の告白」等があります。

 ・・・というわけで、今回のキーワードは<混沌>ということにあいなりました。たくさん見過ぎて<混沌>の中で自分の位置がちょっと定まらず、かな? 今年はもっと減らさなくては・・・。

[参考]過去10年のベスト10
[2018年]①菊とギロチン②顔たち、ところどころ③判決、ふたつの希望④犬ヶ島⑤止められるか、俺たちを⑥坂道のアポロン⑦ラ・チャナ⑧カメラを止めるな!⑨生きてるだけで、愛。⑩ニッポン国VS泉南石綿村
 [次点] 謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス・万引き家族・孤狼の血
 [別格(旧作の新版)] ファニーとアレクサンデル

[2017年]①わたしは、ダニエル・ブレイク②あゝ、荒野③ベイビー・ドライバー④米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー⑤抗い 林えいだい⑥ブレードランナー 2049⑦みかんの丘⑧トンネル 闇に鎖された男新感染 ファイナル・エクスプレス⑩KUBO/クボ 二本の弦の秘密
 [次点] 哭声/コクソン・人生タクシー
 [別格(旧作の新版)] アンダーグラウンド完全版・牯嶺街少年殺人事件(デジタル・リマスター版)

[2016年]①キャロル②トランボ ハリウッドに最も嫌われた男③この世界の片隅に④ブリッジ・オブ・スパイ⑤ソング・オブ・ザ・シー 海のうた⑥ズートピア⑦インサイダーズ/内部者たちそばの花、運のいい日、そして青春⑨私の少女時代-Our Times-⑩牡蠣工場
 [次点] シアター・プノンペン・ハドソン川の奇跡・危路工団
 [別格(初見の旧作)] チリの闘い・アルジェの戦い(デジタル・リマスター版)

[2015年]①ボーダレス ぼくの船の国境線②顔のないヒトラーたち③セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター④雪の轍⑤マッドマックス/怒りのデスロード⑥神々のたそがれ⑦幕が上がる⑧海街diary⑨ストレイト・アウタ・コンプトン⑩KANO~1931海の向こうの甲子園~
 [次点] バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)・人生スイッチ・恋人たち・傷だらけのふたり許三観
 [別格(初見の旧作)] ショア・裸の島

[2014年]①イーダ②グランド・ブダペスト・ホテル③ジャージー・ボーイズ④罪の手ざわり⑤ソウォン/願い新しき世界ソニはご機嫌ななめ怪しい彼女テロ,ライブ⑩ある精肉店のはなし
 [次点] 60万回のトライ私の少女(扉の少女・ドヒや)・祖谷物語 おくのひと

[2013年]①セデック・バレ②少女は自転車にのって③きっと、うまくいく④もうひとりの息子⑤嘆きのピエタ⑥あの頃、君を追いかけた⑦シュガーマン 奇跡に愛された男⑧ハンナ・アーレント⑨王になった男建築学概論
 [次点] 殺人の告白・凶悪
 [別格] 阿賀に生きる
 [多くの人に観てほしい作品] ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして

[2012年]①ニーチェの馬②ヒューゴの不思議な発明③プンサンケ(豊山犬)ワンドゥギ拝啓、愛しています⑥ロボット 完全版⑦桐島、部活やめるってよ⑧三池 終わらない炭鉱(やま)の物語⑨かぞくのくに⑩ピアノマニア 別格:春夏秋冬そして春

[2011年]①サラの鍵②テザ 慟哭の大地③愛する人④彼とわたしの漂流日記⑤アリス・クリードの失踪⑥阪急電車 片道15分の奇跡⑦牛と一緒に7泊8日⑧未来を生きる君たちへ⑨ゴーストライター⑩エンディングノート

[2010年]息もできない過速スキャンダル冬の小鳥④ゲキシネ蛮幽鬼(日)⑤実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(日)⑥告白(日)⑦瞳の奥の秘密⑧飛べ!ペンギン⑨川の底からこんにちは(日)⑩ONE SHOT ONE KILL

[2009年]①グラン・トリノ②ディア・ピョンヤン(日)③妻が結婚した母なる証明チェイサー⑥チェンジリング⑦劔岳 点の記(日)⑧チョコレート・ファイター⑨戦場のワルツ⑩牛の鈴音
コメント (2)
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