ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

国連・北朝鮮人権調査委員会の報告書にある全巨里教化所の衝撃的なイラストについて

2014-02-28 23:56:37 | 北朝鮮のもろもろ
 すでに各メディアで報道されているように、昨年8月から北朝鮮の人権状況を調べていた国連人権理事会の調査委員会が、2月17日報告書を公表しました。
 その内容は北朝鮮の人権侵害行為を「人道に対する罪」と断定したもので、さらに罪を裁くため国際刑事裁判所(ICC)に付託するよう国連安全保障理事会に勧告しました。

 その報告書<Report of the Commission of Inquiry on Human Rights in the Democratic People's Republic of Korea>は→コチラからダウンロードすることができます。
 リンク先の最初にある<Report>のリスト上段は36ページの概要版、下段は372ページの詳細報告書です。ただ、前者は英・仏・スペイン・露・中・アラビア語の6ヵ国語、後者は英語だけなので、ふつうの日本人(ヌルボも含む)にとっては読むのがシンドイところです。

 ・・・ということで私ヌルボ、リンク先のページをなんとなくスクロールしていくと、最下段にあったのが8枚のイラスト。
 おぞましい拷問や、収容者の悲惨なようす等が描かれたものです。

 とりあえずは見てみてください。
  ※ハングルが読みづらいので、訳し間違いがあるかもしれません。

   
         비둘기고문(鳩拷問)。

    
        기중기(起重機)、비행기날기(飛行機飛び)、오토마이(オートバイ)        
        この姿勢をずっと続けさせる。苛酷な拷問に耐えかねて、やってもいない「罪」を認めてしまうのです。



   
       구류장 입방(拘留場入房)
       こんな狭い所から蹴り込むのか!? 犬の穴(개구멍)というのがこれ?


   
       굶주림이 뱀 쥐를 잡아먹는다(空腹がヘビ、ネズミを捕って食う)
       収容所では、ヘビやネズミもごちそう(별식)なのだそうです。


   
            펌프 고문(ポンプ拷問)
        앉다가 서다를 수백번 시킨다(座って、立つを数百回やらせる)


   
          시체보관실(屍体保管所)
       시체들는 쥐들이 눈,코,귀,발가락을 먹어취는다(屍体はネズミが目、鼻、耳、足の指を食う)



 
      시체들을 화장터(불망산)으로 가져간다(屍体を火葬場(プルマン山)へ持っていく)
      これだけ死が日常化していると、人が死ぬことをなんとも思わなくなるとか・・・。


   
         독방처벌 독감방에서“쥐”잡이(独房処罰 独監房で“ネズミ”捕り)

 上記の詳細報告書に書かれている説明文を見ると、この絵は会寧保安所拘留場と、全巨里(전거리.チョンゴリ)教化所のようすを描いたもので、描いた人はキム・グァンイル(김광일)さん、・・・かなと思ったのですが、→コチラや→コチラの記事(韓国語)を見るとクォン・ヒョジン(권효진)さんという脱北者の芸術家が描いた絵のようですね。2000年2月~2007年2月の7年間北朝鮮の北東端に位置する会寧市の全巨里教化所に収監されていて、その後脱北し2009年に韓国に来た人です。
 その絵を、同じ教化所に2年半収監されて、やはり脱北して2009年に韓国に入ったキム・グァンイルさんが聞き取り調査の際説明に用いた、と理解するのが正しいようですが・・・。(おって確認してみます。)

 この全巨里教化所については、韓国書を翻訳した「北朝鮮全巨里教化所」という本(下の画像)が北朝鮮難民救援基金から発行されています。(この本については後日記事にするかも・・・。)

       

 全巨里あるいは전거리で画像検索すると、いろいろおぞましい画像がヒットします。(→コチラや→コチラ。)

 また、YouTubeに動画があったので載せておきますが、あまりにショッキングな映像が次々に出てくるので注意してください。

   

 YouTubeにあるYTNの関連番組(22分32秒.韓国語)は→コチラ

 今回の報告書の公表でようやく北朝鮮の人権問題の数々が世界でかなり広く知られるようになりましたが、強制収容所の実態にしても日本人の拉致問題にしても、決して今回初めて明るみに出たわけではありません。むしろ、なぜ今までそんなに大きな問題とされてこなかったのかということを考えると、東アジアの政治的・軍事的安定を優先してきた韓国・中国・日本・アメリカ・ロシア等の責任も決して小さいものではないと思います。
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[韓国語の新語]李太白は20歳代の無職者!?

2014-02-26 20:04:14 | 韓国語あれこれ
 昨年12月、職安通りの韓国書店に行ったら、たまたま「韓流[ネット]用語99選」という小さな本がありました。本というよりも、100ページちょっとの小冊子です。

       

 タイトルでわかるように、最近主にネット社会で用いられている新語・略語を紹介・説明した本です。

 定価500円だから1語あたり約5円か・・・などとどーでもいい計算をしながらも、とりあえず購入。

 見てみると、①前から知っていた言葉 ②目にはしていたが、よく知らない言葉 ③初めて見た言葉 といろいろ。

 ①の中には대박」「얼짱」「엽기のように新聞等でもわりとふつうに用いられるようになっているものもあります。
 ※대박なんかは朴槿惠大統領まで年頭記者会見で使ってました。(→関連記事。)

 돌싱(→過去記事)、완판녀(→過去記事)、강추비추(→過去記事)、오덕후(→過去記事)、무플(→過去記事)等については本ブログでもこれまで紹介したことがありました。

 고딩(高校生)と중딩(中学生)等は掲示板等でよく見ますね。
 된장녀(味噌女)については→コチラとか→コチラ参照。どちらも、いろんな新語が紹介されていておもしろいです。
 잉여(剰余=役立たず)は最近映画のタイトルにも用いられていましたね。

 その他、私ヌルボが最近知ったのは안습(目湿=涙目)と별다방(星茶房=スタバ)。

 ・・・といろいろあげてはみましたが、私ヌルボ、この本であげられている99語の多くは知らなかったですねー。

 で、次々と見ていって、「あれっ?」と目にとまったのが이태백(イ・テベク)」
 もしかしたら、1年ほど前に放映されていたKBSのドラマ「広告の天才イ・テベク」を思い浮かべた韓国ドラマおたくもいたかも・・・。
 しかし、ふつう「イ・テベク」と言えば李太白ですね。あの唐代の詩人李白
 ところが、この本には次のような説明がついています。

         

 「大半」は韓国語では「太半」つまり「태반」なんですね、「대반」ではなくて。「백수」は漢字だと「白手」です。

 どうも、とくに若い層の就職難を反映して同じような新語がいろいろあるようです。
 しかし、この説明文では漢詩人の李太白のことに全然ふれていませんが、やっぱりモトはこの名前のもじりですよね。

 ・・・とここまで書いて、ふと思い出したブログが<上級韓国語>。
 あ、やっぱり2010年に<李太白>と題した記事でこの新語のことが紹介されていました。(→コチラ。) れれれのれ。
 うーむ、なんといーかげんな記憶力。はずかしいかぎりです。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [2月21日(金)~23日(日)]

2014-02-25 20:00:49 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 先週紹介した3月21日(金)~30日(日)の<2014新大久保ドラマ&映画祭>が開かれます。公式サイト(→コチラ)を見ると、その後さらに上映作品が増えていますよ。そればかりか、チケットの予約(→コチラ)いきなり始まりました。ぬんと、料金は映画が1円以上(!)、ドラマは無料です。なお、「多くの方が楽しめるようお一人様5作品までのお申込をお願いしております」とのことです。今の時点では、初日の<広報大使 キム・シフ記者会見>(at K-STAGE O)と、<開幕式&K-POP公演>(at韓国文化院)だけが申込終了で、あとはまだまだ余裕あり、です。

 この1週間はいろいろ忙しくて映画鑑賞はゼロ。その間、ちょっと気になった韓国の新聞記事を2つ紹介します。
 1つ目は「東亜日報(日本語版)」の連載コラム「횡설수설 (横説竪説.世迷い言)」。2月10日付の<映画産業左派の自己矛盾>と題した一文です。(→コチラ。)
 「全世界で自国映画のシェアが50%を越える国は米国、インド、中国、日本韓国の5ヵ国だけ」なのだそうです。で、記事の要点はというと、マルチ映画上映館のCJCGVは、ライバル会社のN.E.Wが投資した「弁護人」を上映するため、やむをえず系列会社のCJE&Mが投資配給した「家へ行く道」を映画館から下すことになった。N.E.Wはこの映画のおかげで昨年12月29日CJE&Mを抜いて韓国映画年間ヒット1位につけた。それは「純粋映画資本が、大企業が背後にある巨大資本を制した事件だった」とのこと。ここまでが前段。
 記事は続けて「韓国映画産業の成長のもっとも大きな要因は競争を避けなかったということだ。もう一つをあげると、マルチ映画上映館の拡散」と指摘。「そのおかげで、CJ、ショーバックス、ロッテエンターテインメントなど数百億ウォンを投資できる資本も形成された。しかし、まだまだ国内市場を守っているぐらいで、米国のディズニー、中国のワンダなどと競争するには力不足だ。文化市場でも国際競争力を持った企業が必要だ」と続きます。
 そしてしめくくりは次の文章。
「 文化は「現実告発」という特性によって、他の国でもほとんど進歩性向が主流になっている。文化産業の中でもっとも資本主義的と言われる映画でも左派の影響力が強い。公正取引委員会は、ずいぶん前から「不公正な内部取引がない限り、垂直系列化は問題視しない」という方針を維持している。しかし、映画界では投資―配給―上映を総括する垂直系列化を規制しようという左派の主張が引き続き提起されている。対外競争力を考えると、映画資本の規模拡大が急がれているのに」。
 はてさて面妖な・・・。一体何が言いたいのか? するとその後、左派の代弁者というべき「ハンギョレ(日本語版)」が2月24日付で<三星(サムスン) "映画‘もう一つの約束’が真実歪曲" 初反応…団体観覧客 卑下も>という記事を載せました。(→コチラ。)
 前に本ブログでも紹介した、サムソン電子での職業病が原因で死亡したとされる女子従業員の遺族の闘いを映画化した「もうひとつの約束」の上映をめぐる<いろいろ>だけでなく、ついにサムソンが乗り出してきたゾ、という記事です。
 これまでの経緯を考えると、先の「東亜日報」の記事も<そこらへんのこと>を言ってるようですねー。) なんだかなー・・・。

           ★★★ Daumの人気順位(2月25日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①もうひとつの約束(韓国)  9.7(2009)
②弁護人(韓国)  9.5(30023)
③アーネストとセレスティーヌ  9.1(27)
④イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.1(76)
⑤あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.0(104)
⑥怪しい彼女(韓国)  9.0(2487)
⑦名探偵コナン/探偵たちの鎮魂歌<レクイエム>(日本)  8.8(5)
⑧ジャスティン  8.8(47)
⑨あらしのよるに(日本)  8.8(134)
⑩アデル、ブルーは熱い色  8.8(106)

 今回の新登場は、③「アーネストとセレスティーヌ」だけです。2012年のフランス製アニメで、日本でも同年の<フランス映画祭>や、昨年の<横浜フランスアニメーション映画祭2013>で上映されました。(あ、シネマ・ジャック&ベティでやってたのか! あかん、見逃したわー!←悲報。) モトはベルギーの女性絵本作家バンサンの絵本。日本でも「くまのアーネストおじさん」シリーズがたくさん刊行されています。このアニメは、大きくて無愛想なクマのアーネストおじさんが腹ぺこでゴミ箱をあさっている時、「わたしを食べないで!」と声を上げたのが小さなネズミのセレスティーヌだった、という出会いから始まった2人、いや2匹のあたたかい友情の物語。⑨「あらしのよるに」とちょっとだけ似てる、かな? 韓国題は「어네스트와 셀레스틴」です。

          
    【「アーネストとセレスティーヌ」(韓国版)のポスター。】

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③エスケープ・フロム・プラネット・アース  8.0(1)
④アデル、ブルーは熱い色  7.8(5)
⑤風景(韓国)  7.7(4)
⑥そして父になる(日本)  7.6(6)
⑥ある過去の行方  7.6(6)
⑧アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑨あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  7.3(3)
⑨ロボコップ  7.3(3)

 新登場は⑧「アメリカン・ハッスル」だけです。日本でもすでに1月31日から公開されています。韓国題は「아메리칸 허슬」です。
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         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[2月21日(金)~23日(日)] ★★★

         「ポンペイ」が初登場1位

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ポンペイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・462,663・・・・・・・・・542,054・・・・・・・・4,121・・・・・・・・561
2(17)・・チラシ:危険な噂(韓国)・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・440,829・・・・・・・・・536,758・・・・・・・・4,017・・・・・・・・558
3(2)・・怪しい彼女(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・・・383,991 ・・・・・・・7,692,373・・・・・・・55,661・・・・・・・・508
4(1)・・アナと雪の女王・・・・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・・・377,572 ・・・・・・・9,617,412・・・・・・・77,128・・・・・・・・628
5(3)・・ロボコップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/13 ・・・・・・・・・・・・126,716・・・・・・・・・897,308・・・・・・・・6,704・・・・・・・・382
6(4)・・官能の法則(韓国)・・・・・・・・・・・・2/13・・・・・・・・・・・・・・96,198・・・・・・・・・609,832・・・・・・・・4,570・・・・・・・・350
7(20)・・アメリカン・ハッスル ・・・・・・・・・2/20・・・・・・・・・・・・・・67,528・・・・・・・・・・85,324・・・・・・・・・・664・・・・・・・・245
8(6)・・神が送った人(韓国)・・・・・・・・・・・2/13・・・・・・・・・・・・・・60,904・・・・・・・・・274,210 ・・・・・・・1,995・・・・・・・・241
9(5)・・もうひとつの約束(韓国)・・・・・・・・2/06・・・・・・・・・・・・・・32,700・・・・・・・・・442,793・・・・・・・・3,142・・・・・・・・156
10(7)・・名探偵コナン/・・・・・・・・・・・・・・2/13・・・・・・・・・・・・・・27,314・・・・・・・・・154,753・・・・・・・・1,016・・・・・・・・131
         探偵たちの鎮魂歌<レクイエム>(日本)
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 長く続いていた「アナと雪の女王」と「怪しい彼女」の1・2位が僅差ながら4・3位に後退。
 今回の新登場は1・2・7位の3作品です。
 1位「ポンペイ」は、西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火により火砕流で埋まったあのポンペイを舞台にした歴史アクション超大作。主人公の奴隷のミロは無敵の剣闘士。旅の途中で裕福な商人の娘であるカッシアを助け恋に落ちるが、彼女はあくどい元老院議員コルヴィスと無理やり婚約させられていた。火山が噴火し、火砕流でポンペイが壊滅する前に、ミロはカッシアを救うべく戦う・・・って、彼らは助かるの? どーなの? 韓国題は「폼페이: 최후의 날(ポンペイ:最後の日)」。日本公開は6月です。
 2位「チラシ:危険な噂」。主人公は熱血芸能マネジャーのウゴン(キム・ガンウ)。担当する女優の成功のために汚れ仕事も厭わずやってきたが、証券街のチラシによる大型スキャンダルに巻き込まれて女優は命まで失うことに。全てを失ったウゴンはそのチラシを流布した犯人を探し始める。その過程でチラシを作って売る業者のパク社長、情報を掘り出して確認する不法盗聴の専門家ペンムン(コ・チャンソク)の他、チラシを利用して「操作」を実行し、それによって生じた問題を武力で解決する解決専門家のチャ・ソンジュ(パク・ソンウン)まで登場。彼の脅しを受けながらウゴンはチラシの根源とその中に隠された真実を追い始める・・・。うーむ、これってどこまで事実を反映しているのかな? 原題「は찌라시: 위험한 소문」ですが、「찌라시(チラシ)」は日本語がそのまま韓国語になった言葉。証券街のチラシというのが実際はどんなものなんだろう? あ、アン・ソンギも特別出演してるのか! あの「トガニ」の悪校長役だったチャン・グァン(張光)も。
 7位「アメリカン・ハッスル」は上述のように日本でもすでに公開されています。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・インサイド・ルーウィン・デイヴィス・・・・1/29 ・・・・・・・・・・・・・3,892・・・・・・・・・・・・・・94,838・・・・・・・・・・737・・・・・・・・・34
             名もなき男の歌
2(新)・・舟を編む(日本) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/13 ・・・・・・・・・・・・・2,842・・・・・・・・・・・・・・・4,819 ・・・・・・・・・・・38・・・・・・・・・25
3(3)・・アデル、ブルーは熱い色・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・・・・・・775・・・・・・・・・・・・・・47,837・・・・・・・・・・367・・・・・・・・・・8
4(新)・・スティル・マイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・・・・752 ・・・・・・・・・・・・・・・1,439・・・・・・・・・・・・8・・・・・・・・・12
5(4)・・そして父になる(日本)・・・・・・・・・・・・・12/19 ・・・・・・・・・・・・・・・655 ・・・・・・・・・・・・118,784・・・・・・・・・・901・・・・・・・・・・3

 2位と4位の2作品が新登場です。
 2位「舟を編む」の韓国題は「행복한 사전(幸福な辞典)」。なるほどね。見た人たちの評価(→コチラ)もなかなか高いようです。1つ具体的に紹介。「最近見た映画の中で断然ベスト。素朴だが本当に暖かい映画。感情過剰というか、そんな無駄なく簡潔に、思慮深く相手を思いやる慎重な態度、膝まづいて相手を迎える姿勢等、日本映画の中で見られるその国の文化的特性というか。このような部分が目に焼き付く。過度の一般化した誤謬なのか」。
 4位「スティル・マイン」は2012年のカナダ映画。カナダの小さなな農村で暮らす80代の老夫婦。夫のクレイグが自分の手で新しい家を建て始めます。ところが、この手作りの家が違法であるとされ、政府から訴えられてしまいます。彼はただ自分の父と同じ方法で建てていただけなのに。ところがクレイグはなかなかの頑固者のようで、中止命令を受けても家の建設を続け、ついに裁判にかけられてしまうのですが・・・。実話に基づいた映画だそうです。韓国題は「해피엔딩 프로젝트(ハッピーエンディング・プロジェクト)」。日本公開は未定のようです。
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[韓国の<聖地>上海 ③] 2008年の<建国節>や<建国60周年記念>をめぐる論争

2014-02-24 23:40:47 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 前の記事[韓国の<聖地>上海②]からもう19日も経ってしまいました。

 そこでこのシリーズ[韓国の<聖地>上海]のテーマを確認しておくと、次のようなことです。

[1]韓国の現憲法(1987年制定)の前文には「3・1運動により建立された大韓民国臨時政府の法統と不義に抗挙した4.19民主理念を継承し・・・」と記されている。  
[2]したがって、盧泰愚以降、朴槿恵に至るまで大統領は訪中して上海の旧臨時政府の建物を訪ねているのは、<聖地訪問>である。
[3]1987年の憲法で初めて「大韓民国臨時政府の法統」の文言が盛り込まれたのはなぜか?
[4]大韓民国臨時政府(上海臨時政府)は現在の大韓民国と歴史的につながるものか、否か?
[5]「大韓民国臨時政府の法統」という文言や、現大韓民国の淵源・「歴史的アイデンティティ」について、韓国内ではどんな議論があるか?


 前回の記事を書いた後、韓国サイトをあれこれ見てみると、このテーマは知れば知るほどややこしくなるばかりです。それが続きがなかなか描けなかった大きな理由です。
 なぜ「ややこしい」のかといえば、韓国でも政治的・思想的立場によって<歴史認識>が大きく異なるから。
 <歴史認識>問題は日韓間のような国家間の問題には限らないのです。最近では、韓国内で「教学社の歴史教科書」問題がニュースでも大きく取り上げられ、また日本でも報道されましたね。

 で、そんなややこしい状況の中、現大韓民国の歴史的アイデンティティをわりと鮮明に読み取ることができる(?)事例として、2008年李明博大統領の時に催された<建国60周年記念行事>をめぐって巻き起こった論議と、同年の<建国節>制定をめくる論議を検証してみます。

 韓国についてそれなりの知識のある人なら、8月15日が韓国にとってどういう日かご存知でしょう。
 1945年8月15日。日本の植民地支配から解放された日で、<光復節>という祝日になっています。
 ※ウィキペディア(日本)の<光復節>の説明文(→コチラ)には「朝鮮の大日本帝国(日本)からの独立を祝う大韓民国の祝日」とあります。
 しかし私ヌルボ、以前から疑問に思っていたことは、「1945年8月15日に「独立万歳」を叫び、太極旗を振っていた人たちは、自分たちの「国」をどう認識していたのか?」ということです。政府が「ある」と認識していたかどうか? 「ある」とするとその指導者や政体は?
 ヌルボの見解としては、「解放」とは言えてもそれを「独立」とはいえないのでは? 独立していなかったから朝鮮信託統治問題が起こるわけだし、連合国軍の軍政下におかれていた日本が独立国でなかったように、同様に軍政下にあった南朝鮮が独立国だったとは言えないはずです。国号さえもなかったわけだし・・・。  
 実は韓国内でも「解放」「独立」「光復」「建国」等の言葉の解釈からして見解が分かれています


 さて、この8月15日という日は、1945年8月15日の<光復>の日であるだけでなく、1948年8月15日の、李承晩を大統領とした大韓民国が成立した日です。
 実はその時点では<光復節>という祝日(国慶節)はありませんでした。<光復節>が制定されたのは翌1949年9月からです。その年の8月15日は「第1周年独立記念日」でした。

 以来、「8月15日」といえば1945年の<光復節>を指すことがふつうとなり、その一方で1948年の大韓民国「建国」の意義が忘れられるようになった・・・と、あの(ニューライトの)李榮薫(イ・ヨンフン)ソウル大教授が問題提起したのが2006年7月でした。
 その流れで、2007年9月、ハンナラ党のチョン・カビュン議員は<光復節>を<建国節>に改称する内容を盛り込んだ祝日に関する法律の改正案を国会に提出しました。その理由は「1945年8月15日が重要視されて、建国日である1948年8月15日の意味は縮小されてきたので改称すべきだ」というものです。

 また、2008年李明博政府は大韓民国建国60年記念事業委員会を設立し、建国60周年記念行事の推進を図りました。これも1948年の大韓民国の成立を(ことさらに?)重視するものです。

 ところが、野党や大韓民国臨時政府記念事業会など55の団体は<建国節>の制定や建国60周年記念行事に反対する運動を展開しました。

 結局、建国60周年記念式典は開かれたものの野党は不参加、また<建国節>制定を内容とする法律改正案は同年9月に撤回されました。

     
   【建国60周年記念式典に反対の声を上げた民族団体。2008年8月14日タプコル公園。】

       
       【建国60周年記念式典。(2008年8月15日)】

     
   【8月14日に発行された建国60周年記念銀貨(直径35mm)。額面3万ウォンで5万枚鋳造された。】

 なぜこの8月14日を<光復節>から<建国節>に替える案や、李明博大統領が主導した建国60周年記念式典が大きな反発をよんだのかというと、その主な理由は次のようなものです。

①1945年の<光復>を否定するとなると、それまでの独立運動は一体何だったというのか? 独立運動があったからこそ、1945年の光復を迎えることができたのではないか? (これはとくに独立運動家の子孫等からの抗議。)  
②上海臨時政府の意義を軽んずるのか?
③大韓民国は李承晩が多くの国民の統一への熱望を抑えて建てられた国で、朝鮮半島の南半を統治するに過ぎず、朝鮮全土に及ぶ真の独立とはいえない。
④1948年の「建国」を讃揚する者たちは(親日派を排除しなかった等々問題の多い)李承晩に対して肯定的で、その後の軍政等も含む60年の政治についてもあまりに肯定的である。


 逆に言えば、たしかに李栄薫教授は李承晩に対して肯定的だし、また1945年の<光復>は日本からの「解放」ではあるが「独立(=「建国」)ではなく、また「大韓民国の建国は米国の日本帝国主義の解体と処理過程の産物であった」と<光復>に対して冷めた見方をしています。
 つまり、1945年の<光復>の意義は否定的に捉え、その後の発展の起点となる自由民主主義を掲げた1948年の<建国>を積極的に評価するという立場です。

 上記のように、<建国節>批判派が<光復節>=○、<建国節>=×と見るのに対し、<建国節>推進派は<光復節>=×、<建国節>=○と見るわけです。しかしそれまでは一般に<光復節>=○、<建国節>=○というのが一般的で、とくに問題にもならなかったようです。たとえば1958年の8.15記念式は「光復節13周年兼政府樹立10周年」で行われたし、朴正煕政権の時の1968年や1978年も同じ方法で記念行事が行われました。
 つまり<光復節>を否定する形で<建国節>が提起されたのは2006~08年のこの時が初めてでした。
 しかし、<光復節>が広く定着した今の韓国で、それを否定するような<建国節>の提起はやはり無理があったと私ヌルボは思います。

 さて、この<建国節>論議の中で、1948年の<建国>を否定する所説もいろいろ出てきました。
 韓国のウィキペディアに「대한민국 건국절 논쟁(大韓民国建国節論争)」という項目があります。(→コチラ。)
 そこには、いつが大韓民国の建国の日であるかについて次の5つの説があげられています。
 ①1919年4月11日   
 ②1919年4月13日
 ③1919年9月16日
 ④1945年8月15日
 ⑤1948年8月15日


 ④と⑤については上述の通り。(まだ書き足りませんが。)
 ①~③はすべて大韓民国臨時政府(上海臨時政府)関係です。
 ①~⑤それぞれに、それなりの根拠もあれば弱点もあります。続きではそれらについて見ていきます。
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[韓国の漫画]キム・ギュサム「安いです 千里馬マート」は、なんかシュールなギャグ漫画 

2014-02-22 23:52:40 | 韓国の漫画
        

 このところブログの更新が滞っている理由の1つは、アップ予定の記事が内容的に書きにくいということです。

 2週間ほど前にイッキに読了したギャグ漫画「安いです 千里馬マート(쌉니다 천리마마트)」も、感想をどう書くか思案のはてに、結局いまだ方針不明のまま書き始めた次第です。

 この漫画の購入のきっかけは<innolife>の書籍通販のページ。説明文には「<NAVER漫画>の代表的ウェブトゥーン(ネット漫画)作家キム・ギュサム(김규삼)の2作目の長編。マート(=スーパーマッケット)」を背景に、今日の韓国の経済・経営・政治等を才知あるパロディとして描き、その漫画的才能と時事的な感覚が完璧な共感を得た最高の作品」とあります。

 <NAVER漫画>のサイト等で直接確認すると、2010年8月~2013年10月連載されて、第2部の最後の方はまだ→コチラで見ることができます。
 連載中から人気で、この書籍版(全5巻)の第1巻は2012年7月に発行されました。

 で、肝心の内容について。上記innolifeの説明文だけ見て何か山口六平太とか島耕作とかをちょっと連想してしまいましたが、実際に読んでみるとこれがぜ~んぜん大違い。
 早い話がギャグ漫画で、「ありえねー!」という場面がわんさか。
 しかし、まったく現実を描いてないかというとそうでもなし。ベンキョーになる箇所もないわけではなし。
 では、ギャグ自体がおもしろいかというと、(私ヌルボとしては)うーむ・・・。つまらないかと言われると、これまたうーむ・・・。

 たしかに<NAVER漫画>では高ポイントだし、たとえば<Y&S2女子のふんわか生活共感>という韓国ブログ(→コチラ)では激賞・推薦しています。
 社会の不条理と不合理性の中で、商人の真正性のようなものをひそかに表わしている。
何も考えずに笑おうとして読んだコミックにこんな内容を入れると重くておもしろくないんじゃないのと思いますが、ストーリーにうまく混ぜられていて、ぜんぜん負担がないというのがキム・ギュサム漫画の魅力だ。

 ・・・とか、
 ホントに、現実にはありえないような事件の展開で、最後の逆転までずいぶん笑った後、何か少し考えるようになったというか...
 ・・・とか。まあ、他の多くの読者もおもしろく読んだから高ポイントになってるわけで、同様の感想が多数あるということでしょうね。

 しかし、笑いのツボというのは個人によりor世代によりor国により等々さまざま。
 ヌルボの場合、1970年代後半の代表的ギャグ漫画の「がきデカ」はおもしろいと思いましたが、同じ「少年チャンピオン」に連載されていた「マカロニほうれん荘」の方は「???」でした。
 で、この「安いです 千里馬マート」も、ストーリー性はあるとはいえ、笑いの質からいうと日本ではその頃あたりからよくみられるようになった不条理ギャグ漫画と重なるところがあるようです。

 書く順序を間違えたかも。
 ここから具体的な内容の一部を紹介します。

 主人公その1は、企業グループの有能な重役(だった)チョン・ボクトン。
 ある日の重役会議で、会長が自分が発案した車用ワックスを新製品として提案します。それは「塗ると毛が生えてくる」というなんともキテレツなワックス。皆内心あせりながらも、「さすがは会長!」とか「大当たり(テバク)しますよ!」とか心にもないおべんちゃら。その中で「ダメです!!!!」と待ったをかけたのがこのチョン・ボクトン。「会長さん、しっかりしてください。売れませんよ、こんな物!」と直言。
 すると会長、「チョン・ボクトン、おまえはなんと・・・立派なんだ!!」。
 アララ。つまり、老衰したとか痴呆症になったとかいう噂も立ち、経営権まで狙う勢力もあるような中で、最後まで自分に直言をして補佐してくれる人物が誰か見定めたいという会長の策略だったんですね。
 ここで会長とチョン・ボクトンが固く抱き合い、他の重役たちががっくりしているところへ、「会長様、大事件です!」とドアを開けて入ってきた社員。
 「ライバル社が毛が生える車用ワックスを発表しました。市場の反応は大変なもので株価は暴騰、16ヵ国から注文が入ったそうです!」。
 そして「このままだとわが社のシェアは落ち込むでしょう」。
 ・・・これでチョン・ボクトンは左遷され、その先は大馬グループ内で<流刑地>といわれるソウル近郊の鳳凰(ポンファン)市(←架空)の千里馬マートの社長に追いやられるのです。

 主人公その2が青年ムン・ソック。名門大を出たのになかなか就職ができず、苦労の末屈指の大馬グループに就職して喜ぶのですが、初出勤で行った先がここ。

         
  【千里馬マート(左)。宣伝文には「向かいのマートで夏の大セール」等々書かれています。右は本家?平壌の千里馬像。】

 宣伝の文言には、「向かいのマート(店名はヒドラ・マート)より安いです。安物買いの銭失い」などとも・・・。
 マートの雰囲気もなんだかヘン。彼は店長になったのですが、不安と疑問が募る・・・と、そこに社長としてやってきたのが彼もその名を知っていたチョン・ポクトン。
 ムン・ソッキは喜びます。が、そのチョン・ポクトンも社長室で何か書類を書いてるかとみると「会長、18世紀ブラジル、死ねㅋㅋㅋㅋ」などと書き連ねていたりしてかなりヘン。

 まもなく新社員をどんどん採り始めるチョン・ポクトン社長。
 ところが、どうみても問題外の希望者に次々に「採用!」を連発していきます。ムン・ソッキ店長は呆然とするばかりです。

     
 【いつも無表情のチョン社長(上)、履歴書も持たずに来たヘヴィメタ系バンドをやってる若者(下左)を採用。あせるムン店長。】

 もっといいかげんな採用例は、就職希望者でもない、「ここで買った魚を食ったら首にブツブツができた」と苦情を言いに面接中の部屋に怒鳴り込んできたチンピラをなんとその場で採用決定(!)。(その彼が顧客満足センター担当をリッパに務めるのです。

     
 【そのチンピラ社員が出した広告用スローガンの案は、「わが町内の割引犯(핳인범.ハリンポム)、千里馬マート」。】

 上は殺人犯(サリンポム.살인범)のダジャレですね。

 このチンピラりもさらにありえない!という新社員(たち)がアマゾンからやってきたという40人ものパヤ族たち。白人たちが森に火を放ち、自分たちは追われて丸太でここまで泳いで来た、と・・・。これも全員即採用。

    
       【入口で客を迎える・・・っても、この「なり」でねー。】

    
       【そして、「人間バスケット」として客について行って・・・。】
    
    【「これがピラニアで・・・」等々、商品の説明もしたりして、すこぶる好評。】

 この漫画、韓国ウィキペディア(→コチラ)にもいろいろ詳しい説明が書かれているし、<エンハ・ウィキ・ミラー>(→コチラ)にはさらにオタクっぽい説明がたくさん書かれています。
 それらによると、実はチョン・ボクトンが会長への復讐のつもりでグループにダメージを与えようとして常識外れの人事やその他の施策を打ち出したら、「意に反して」大当たりし、どんどん営業成績を伸ばす結果に・・・、というのが物語の骨格なんですね。

 初めの方で、私ヌルボはなんとも感想が言い難い、と書きました。結局は「評価放棄」とします。

 実はこの作品を含む韓国NAVERで人気の無料漫画アプリがあるんですねー。
 ヌルボはスマホの使い手ではないので今ひとつどんなものかよくわかりませんが、→コチラとか→コチラを参照してみてください。
 また、読んでみたという月猫さんの一昨年のブログ記事(→コチラ)によると、「安いです、千里馬マート」「ペットダイアリー」「俺たちの青き時代」「ミステリー短編集―逆さに浮かぶ月―」がオススメとのことです。

 興味のある方はちょっと見てみてください。

 うーむ、私ヌルボ、スマホはあまり持ちたいという気にはなりませんが、世の趨勢を見るとだんだん持たざるをえないような圧力を感じざるをえません。年を取るにつれ、もうこれ以上新製品なんかはいらん!という気持ちが強くなっているんだけどねー・・・。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [2月14日(金)~16日(日)]

2014-02-18 23:28:56 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 ユーロスペースで上映中(~21日)の<死刑映画週間>(→コチラ)で韓国映画の「執行者」(2009)を昨日観てきました。感動作、とまではいきませんが、同じ死刑を担当する刑務官を主人公にした日本映画「休暇」と比較したりして、いろいろ考えたこと、知ったことがありました。別記事で詳述するつもりです。
 ※今後の「執行者」の上映は、20日(木)18:30の1回だけです。

 予告編で、3月1日公開の「北朝鮮強制収容所に生まれて」と、3月29日「チスル」をやっていました。どちらもYouTubeにあります。
 →「北朝鮮強制収容所に生まれて」、→「チスル」

 3月21日(金)~30日(日)<2014新大久保ドラマ&映画祭>が開かれます。公式サイトは→コチラ
 上映作品は「裸足の夢(맨발의 꿈)」・「ハナ~奇跡の46日間~(코리아)」・「7級公務員(7급공무원)」・「私は幸せです(나는 행복합니다)」・「完全に大切な愛(완전 소중한 사랑)」・「マイ・ラティマ(마이 라띠마)」・「怒りの倫理学(분노의 윤리학)」「隣人(이웃사람)」「夜の女王(밤의 여왕)」の9作品でうち太字の4作品が日本初上映です。

           ★★★ Daumの人気順位(2月18日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①もうひとつの約束(韓国)  9.7(1890)
②弁護人(韓国)  9.5(30003)
③イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.1(70)
④怪しい彼女(韓国)  9.0(2402)
⑤あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.0(99)
⑥名探偵コナン/探偵たちの鎮魂歌<レクイエム>(日本)  8.8(47)
⑥ジャスティン  8.8(47)
⑧あらしのよるに(日本)  8.8(134)
⑨アデル、ブルーは熱い色  8.8(103)
⑩神が送った人(韓国)  8.7(543)

 今回の新登場は、⑥「名探偵コナン/探偵たちの鎮魂歌<レクイエム>」と⑩「神が送った人」の2作品です。
 ⑥「名探偵コナン/探偵たちの鎮魂歌<レクイエム>」は2006年日本公開作。韓国題は「극장판 명탐정 코난 : 탐정들의 진혼가」です。このシリーズ、韓国での公開が日本での順序と違うようで疑問だったのですが、ちょっと調べてみたら2009年以降下記の順に公開されています。漆黒の追跡者<チェイサー>(2009)→天空の難破船(2010)→沈黙の15分(2011)→11人目のストライカー(2012)→銀翼の奇術師(マジシャン)(2004)→水平線上の陰謀(2005)→探偵たちの鎮魂歌<レクイエム>(2006)。つまり、劇場版が好評だったのでこのところ旧作を順次公開している、ということのようです。
 ⑩「神が送った人」については後述します。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③エスケープ・フロム・プラネット・アース  8.0(1)
④アデル、ブルーは熱い色  7.8(5)
⑤風景(韓国)  7.7(4)
⑥そして父になる(日本)  7.6(6)
⑥ある過去の行方  7.6(6)
⑧あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  7.3(3)
⑧ロボコップ  7.3(3)
⑩弁護人(韓国)  7.2(10)

 ③と⑧「ロボコップ」の2作品が新登場です。
 ③「エスケープ・フロム・プラネット・アース(仮題)」はアメリカ・カナダ合作の3DSFアドベンチャー・コメディ・アニメ。国民的ヒーローの宇宙飛行士スコーチ・スーパーノヴァが任務のため<危険な惑星>地球へ向かうものの、地球人に捕まってしまい、エリア51へと運ばれてしまいます。そこで彼の兄が救出に向かい、兄弟は地球脱出を試みる・・・。「地球人がエイリアンに捕まって・・・」という初期SFのパターンを逆転させたところがミソ、かな。観た人の感想によると、安心して見られる子ども向きアニメとのことです。韓国題は「슈퍼노바 지구 탈출기(スーパー・ノヴァ 地球脱出記)」。日本公開は未定。
 ⑧「ロボコップ」については後述します。
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         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[2月14日(金)~16日(日)] ★★★

         どこまで伸びる? 1位「アナと雪の女王」

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・アナと雪の女王・・・・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・・・747,397 ・・・・・・・8,952,454・・・・・・・71,800・・・・・・・・805
2(2)・・怪しい彼女(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・・・680,968 ・・・・・・・6,961,863・・・・・・・50,443・・・・・・・・688
3(54)・・ロボコップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/13 ・・・・・・・・・・・・508,953・・・・・・・・・603,258・・・・・・・・4,567・・・・・・・・627
4(21)・・官能の法則(韓国)・・・・・・・・・・・2/13・・・・・・・・・・・・・272,600・・・・・・・・・351,699・・・・・・・・2,667・・・・・・・・588
5(5)・・もうひとつの約束(韓国)・・・・・・・・2/06・・・・・・・・・・・・・・96,260・・・・・・・・・358,683・・・・・・・・2,561・・・・・・・・169
6(49)・・神が送った人(韓国)・・・・・・・・・・2/13・・・・・・・・・・・・・・94,850・・・・・・・・・124,999 ・・・・・・・・・932・・・・・・・・262
7(新)・・名探偵コナン/・・・・・・・・・・・・・・2/13・・・・・・・・・・・・・・84,897・・・・・・・・・・94,267・・・・・・・・・・627・・・・・・・・294
         探偵たちの鎮魂歌<レクイエム>(日本)
8(3)・・男が愛する時(韓国) ・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・・・・57,609 ・・・・・・・1,928,200・・・・・・・14,149・・・・・・・・220
9(6)・・レゴ・ムービー・・・・・・・・・・・・・・・・2/06 ・・・・・・・・・・・・・34,951・・・・・・・・・164,538 ・・・・・・・・1,129・・・・・・・・143
10(36)・・エスケープ・フロム・プラネット・アース・・2/06・・・・・20,919 ・・・・・・・・・・26,388・・・・・・・・・・177・・・・・・・・230
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 2ヵ月続いた「弁護人」がベスト10落ちの11位。累計動員数は今1135万6756人。歴代韓国映画のランクをみると、この数字は「シルミド」(1108万人)に替わって8位ですね。なお7位は「ツナミ(海雲台)」(1145万人)、6位は「ブラザーフッド」(1174万人)です。(→コチラ参照。)
 1・2位は今回も接戦。「アナと雪の女王」は900万人、「怪しい彼女」は700万人目前です。
 今回の新登場は3・4・5・6・7・10位と半分が入れ替わりました。
 3位「ロボコップ」は、1987年に初公開された人気シリーズのリメイク。時代設定が2028年とは、なんかもうすぐのような気がします。日本公開は3月14日。韓国題は「로보캅]です。
 4位「官能の法則」は、「熱く燃えたい40代の女性の物語」なんだそうです。で主役もアラフォー(?)の女優たち3人。高級レストランで堂々と母親のカードでおごると言う年下の男性とつき合っているゴールドミス(高学歴で金も地位もある30~40代の未婚女性)のシネ(オム・ジョンファ44歳)、「いろいろと」問題のある夫にウンザリしつつ堂々と欲望を見せるミヨン(ムン・ソリ39歳)、娘に隠れて恋愛しているシングルマザーのヘヨン(チョ・ミンス48歳)の大胆ななエピソードが注目を集める、とのこと。(桑原桑原。) 原題は「관능의 법칙」です。あ、BoAがミヨンの隣に住む女性として登場するそうです。
 5位「神が送った人」は、脱北者に関わる映画。北朝鮮でチョルホは1級政治犯として妻とともに収容所に送られます。自分は死ななかったものの妻を失い、1人生き残ったという罪の意識を持ちます。2年ぶりに故郷の村に戻った彼は妻との最後の約束にしたがい村人たち連れて南朝鮮へ行くことを決心しますが、その準備中彼は再び1級政治犯として告発されることになり、脱北を決心した村人たちもまた捕えられるのではないかと怯え、また彼らを援助した宣教師との連絡も途絶えて脱北計画に支障が生じます。しかし・・・。ネチズンの評定をみると(→コチラ)10.0の最高評価がズラッと並ぶ中で、時たま0.0と1.0が現れます。それを読むと「キリスト教徒(プロテスタント)が作った独立系ドキュメンタリー映画のようだ」というものがいくつか。そういえば、この映画に登場するような北朝鮮の地下教会の信徒たちについてのドキュメンタリー映画で「アー・ユー・レディ?」という作品がありました。それはそれとして、どちらの作品とも観てみたいです。原題は「신이 보낸 사람」。
 7位「名探偵コナン/探偵たちの鎮魂歌<レクイエム>」と、10位「エスケープ・フロム・プラネット・アース」については前述しました。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・インサイド・ルーウィン・デイヴィス・・・・1/29 ・・・・・・・・・・・・・8,359・・・・・・・・・・・・・・86,309・・・・・・・・・・671・・・・・・・・・45
             名もなき男の歌
2(3)・・ドリーマーズ・・・・・・・・・・・・・・・・2005/3/25 ・・・・・・・・・・・・・2,251・・・・・・・・・・・・・・35,936・・・・・・・・・・244・・・・・・・・・23
3(2)・・アデル、ブルーは熱い色・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・・・・1,442・・・・・・・・・・・・・・46,180・・・・・・・・・・354・・・・・・・・・12
4(4)・・そして父になる(日本)・・・・・・・・・・・・・12/19 ・・・・・・・・・・・・・1,303 ・・・・・・・・・・・・116,907・・・・・・・・・・887・・・・・・・・・・9
5(新)・・愛は3年間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/13 ・・・・・・・・・・・・・・・575・・・・・・・・・・・・・・・1,113・・・・・・・・・・・・8・・・・・・・・・12

 5位「愛は3年間」が新登場です。フランスの人気作家ベグベデが自作を映画化。中身はラブコメみたいな・・・。評論とかコラムを書いている主人公マルク・マロニエ、最初の結婚は3年で破局。「愛は3年で終わるものだ」との確証?を得てしまいます。心の傷を癒すためにマルクはこの経験を小説にしたら意外にヒット。その頃彼はいとこの妻のアリスと出会って恋に落ちるのですが、やっぱり3年しか続かないのかどうか? 韓国題は「사랑의 유효기간은 3년(愛の有効期間は3年)」です。日本公開は未定。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [2月7日(金)~9日(日)]

2014-02-11 23:57:52 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 2つ前に<期待以上だったポン・ジュノ監督「スノーピアサー」を観て考えたこと。(ネタバレなし)>というちょっとだけネタバレありの記事をアップしました。思うに私ヌルボ、ポン・ジュノ監督作品についてはフツーの映画ファンより明らかに評価が高いですね。

 1月14日の記事で紹介した「キネマ旬報」の作品賞ベスト・テン[外国映画]を再掲します。詳細は→コチラで見ることができます。。
①愛、アムール ②ゼロ・グラビティ ③ハンナ・アーレント ④セデック・バレ ⑤三姉妹~雲南の子 ⑥ホーリー・モーターズ ⑦ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日 ⑧ザ・マスター ⑨熱波 ⑩もうひとりの息子 <次点>嘆きのピエタ

 「キネマ旬報 2月下旬決算特別号」にその採点表が載っていて、自分のベスト10(→コチラ)と比較してみるのも個人的には興味深いところです。
 で、今回うれしかったのは、佐藤忠男先生と①セデック・バレ ②少女は自転車にのって が一致していたこと。一致していたことだけでなく、それが佐藤忠男先生であることがとくにうれしいところ。「④ハンナ・アーレント」と「⑥もうひとりの息子」もベスト10に入れているので、4/10が重なっています。それより多い5/10重なっているのが森卓也さんで、これまた結構。彼は①少女は自転車にのって ②ハンナ・アーレント ③もうひとりの息子 ⑥嘆きのピエタ ⑧セデック・バレ でした。
 なお、60人以上いる審査員(外国映画部門)の約3分の1はヌルボのベスト10と全然重なる作品ナシでした。本当に、映画の評価というのは専門家の間でも大きく分かれるものです。
 韓国映画を得点&順位の上位から拾っていくと、「嘆きのピエタ」(67点・11位)・「3人のアンヌ」(33点・31位)・「悪いやつら」(20点・49位)・「10人の泥棒たち」(6点・111位)・「王になった男」(4点・126位)・「建築学概論」(4点・126位)・で、2012より明らかに低調。私ヌルボの感触も同じでした。

 この「キネ旬特別号」掲載の今年の外国映画の上映予定作のリストから、韓国映画をみてみると、けっこうたくさんあって、これはとても紹介しきれない・・・と思ったら、<アジア映画巡礼>の2月6日の記事「『キネ旬』情報<その2>2014年アジア映画公開予定作」(→コチラ)で韓国映画の上映予定21作品だけでなく、他のアジア映画についてもバッチリ掲載してくださっています。ホントにありがとうございます!

 その韓国映画中、注目は「チスル」(3月下旬)、「観相」(6月)、ホン・サンス監督の「誰の娘でもないヘウォン」「私たちのソニ」(ともに夏)、第26回東京国際映画祭でコンペティション観客賞を受賞した「レッド ・ファミリー」(秋)、それから「ソウォン/願い」といったところか。
 済州島四・三事件を描いた「チスル」については、すでに公式サイト(→コチラ)ができています。

 今年の<大阪アジアン映画祭>は3月7~16日。公式サイトは→コチラ
 韓国映画は、人気俳優ハ・ジョンウ初監督作の必笑スクリューボール・コメディ「ローラーコースター」と、チョ・ウンソン監督の恋愛コメディ「サンシャイン・ラブ」の2作品だけで、韓国映画ファンにはちょっとさみしい。今回は台湾映画が充実。「日本統治下の台湾で撮られた貴重な短編記録映画も上映」とのことで、その他のアジア映画も含めてここでしか視られないような作品も多く、私ヌルボ、行けるものなら行きたいところ。

 先週も書きましたが、ユーロスペースで2月15~21日の<死刑映画週間>。詳細は→コチラ。私ヌルボ、韓国映画の「執行者」(2009)も含めいくつか観るつもりです。

           ★★★ Daumの人気順位(2月11日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①もうひとつの約束(韓国)  9.7(1209)
②弁護人(韓国)  9.5(29943)
③イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.1(54)
④あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.1(93)
⑤怪しい彼女(韓国)  9.1(2225)
⑥アデル、ブルーは熱い色  8.9(89)
⑦あらしのよるに(日本)  8.8(132)
⑧ジャスティン  8.8(45)
⑨ブラック・ゴスペル(韓・米)  8.7(99)
⑩私はロランス  8.6(25)

 大きく入れ替わって、新登場は①③⑦の3作品。
 ①「もうひとつの約束」が「弁護人」の上にきました。サムスン電子で働いていて白血病で亡くなったファン・ユミさんの実話を映画化した作品です。労災の認定を得るため被害者の家族が人々の支援を受け裁判を通じて告発するという内容は、今も韓国では<運動圏>の系譜をひく映画が力を持っているということでしょう。この映画の上映に際しては、上映館の確保をめぐっていろいろせめぎあいがあったようで、その件については<レイバーネット>の記事→123を参照のこと。この映画の原題は「또 하나의 약속」です。・・・しかし、日本でもたとえばブラック企業を糾弾する映画とか作れないものかな?
 ③「イングリッシュ、ヴィングリッシュ」(仮題)は、昨年9月の<あいち国際女性映画祭2013>で上映された監督も主人公も女性のインド映画です。ごくふつうのインドの主婦シャシの悩みは英語ができないこと。ある日ニューヨークに住む姉から姪の結婚式の手伝いを頼まれ、1人でニューヨークへ。しかしコーヒーも頼めず、意地悪な店員の態度にも悲しい思いをさせられてしまう。そんな彼女の目に飛び込んできたのは「4週間で英語が話せる」という英会話学校の広告。彼女は姉たちにも内緒で学校に通うことに・・・。教室には、英語が話せないいろんな生徒たちがいて、仲間とともに順調に英語を学んでいき、そして最終課題はスピーチ。彼女は何を話すのだろうか・・・。この映画、香港でも人気でロングランだったようですよ。またムンバイ在住の方(日本人)が→コチラのブログでとても深いコメントを書いていらっしゃいます。「インドの都市部で「英語を話せない人間」というのはイコール「高等教育を受けていない人間」と見なされる」とか。そんな「社会的に評価される機会のない家庭の主婦が自分の価値を見いだすために苦心している点が非常に共感できる」とのことです。うーむ、これは観てみたい!と思ったら、幸い今夏の日本公開が決定(タイトル未定)したとのことです。韓国題は「굿모닝 맨하탄(グッドモーニング、マンハッタン」です。
 ⑦「あらしのよるに」は日本では2005年公開。そんな前だったか。韓国題は「가부와 메이 이야기(カブとメイの物語)」です。
 なお、⑨「ブラック・ゴスペル」は11月19日の記事で紹介しました。ソウルミュージックを学び、そして現地の人たちとにコンサートを開くというミッションの下に本場ニューヨークのハーレムへと向かった男2人と女1人の仲間のドタバタ音楽旅行を描いた韓・米合作のドキュメンタリーです。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③アデル、ブルーは熱い色  7.8(5)
④風景(韓国)  7.7(4)
⑤そして父になる(日本)  7.6(6)
⑤ある過去の行方  7.6(6)
⑦あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  7.3(3)
⑧弁護人(韓国)  7.2(10)
⑨マイ・プレイス(韓国)  7.1(6)
⑩ウルフ・オブ・ウォールストリート  7.0(6)

 こちらも3作品が入れ替わりましたが、新登場は⑨「マイ・プレイス」だけです。
昨年の全州国際映画祭でも上映されたドキュメンタリーです。カナダへ移民した韓国人の一家=パク・ムンチル監督自身の家族が韓国に帰国してからの姿を描いた物語。とくに監督の妹は韓国になじめない上、シングルマザーになったことから父親との対立が深まるのだが、赤ちゃんの誕生と成長にともない克服されていく。また監督は、それまでの仕事を辞め、映画の道を選ぶ。そんな無数の選択の中で、家族たちは葛藤しつつも「私の席(マイ・プレイス)」を見つけるために生きてきた、その記録です。原題は「마이 플레이스」。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[2月7日(金)~9日(日)] ★★★

         「アナと雪の女王」が再逆転して1位に

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・アナと雪の女王・・・・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・1,170,483 ・・・・・・・7,793,158・・・・・・・62,307・・・・・・・・939
2(1)・・怪しい彼女(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・1,042,398 ・・・・・・・5,749,800・・・・・・・41,773・・・・・・・・768
3(3)・・男が愛する時(韓国)・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・・・212,021 ・・・・・・・1,755,152・・・・・・・12,904・・・・・・・・404
4(新)・・アイ、フランケンシュタイン ・・・・2/06 ・・・・・・・・・・・・186,870 ・・・・・・・・・230,885・・・・・・・・1,693・・・・・・・・376
5(33)・・もうひとつの約束(韓国)・・・・・・2/06・・・・・・・・・・・・・139,120 ・・・・・・・・・175,589・・・・・・・・1,274・・・・・・・・192
6(新)・・レゴ・ムービー ・・・・・・・・・・・・・・2/06 ・・・・・・・・・・・・106,126 ・・・・・・・・・113,423・・・・・・・・・・783・・・・・・・・317
7(7)・・ナット・ジョブ ・・・・・・・・・・・・・・・・・1/29 ・・・・・・・・・・・・・94,362 ・・・・・・・・・433,280・・・・・・・・3,016・・・・・・・・329
        :ピーナツ泥棒たち(韓・カナダ・米)
8(5)・・弁護人(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・12/18・・・・・・・・・・・・・・75,094 ・・・・・・11,311,753・・・・・・・82,446・・・・・・・・302
9(4)・・血沸く青春(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22・・・・・・・・・・・・・・61,314 ・・・・・・・1,646,415・・・・・・・11,482・・・・・・・・289
10(6)・・朝鮮美女三銃士(韓国) ・・・・・・1/29 ・・・・・・・・・・・・・17,766 ・・・・・・・・・473,332・・・・・・・・3,422・・・・・・・・196
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1・2位が今回もハイレベルの争いの結果、「アナと雪の女王」が「怪しい彼女」を再逆転。累積でも800万人の大台は確実に超えますね。「怪しい彼女」も600万人に迫っています。
 今回の新登場は4・5・6位の3作品です。
 4位「アイ、フランケンシュタイン」は、200年前にフランケンシュタイン博士によって生み出され、その名を引き継いだ人造人間アダム・フランケンシュタイン(アーロン・エッカート)が、不死者の一族同士の長年の戦争に終止符を打つため、たった1人で戦うというという物語。人造人間といってもブキミ系ではなく、鍛えあげられた筋肉が魅力的!みたいです。日本公開は未定のようです。韓国題は「프랑켄슈타인:불멸의 영웅(フランケンシュタイン:不滅の英雄)」。
 5位「もうひとつの約束」は上述しました。こうした映画がこの順位までくるとは、組合等の組織の力だけでもなさそうです。
 6位「レゴ・ムービー」は、アメリカ・オーストラリア合作の3DCGアニメ。レゴとは、あのプラスチック製の組み立てブロック。平凡な男のエメットはレゴの世界を救う特別な存在であると誤解され、平和なレゴの世界を壊そうとするおしごと大王と闘うことになる・・・。予告編(→コチラ)
を見たら、たしかにレゴの世界だ・・・。韓国題は「레고 무비」。日本公開は3月21日です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・インサイド・ルーウィン・デイヴィス・・・・1/29 ・・・・・・・・・・・・16,235 ・・・・・・・・・・・・・69,408 ・・・・・・・・・542・・・・・・・・・60
             名もなき男の歌
2(3)・・アデル、ブルーは熱い色・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・・・・3,077・・・・・・・・・・・・・・42,445・・・・・・・・・・325・・・・・・・・・29
3(新)・・ドリーマーズ・・・・・・・・・・・・・・・2005/3/25 ・・・・・・・・・・・・・2,281・・・・・・・・・・・・・・31,000・・・・・・・・・・207・・・・・・・・・14
4(2)・・そして父になる(日本)・・・・・・・・・・・・・12/19 ・・・・・・・・・・・・・1,968 ・・・・・・・・・・・・113,997・・・・・・・・・・864・・・・・・・・・15
5(新)・・熱いトタン屋根の猫・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・680・・・・・・・・・・・・・・・4,729 ・・・・・・・・・・・・9・・・・・・・・・・1

 3・5位が新登場です。
 3位「ドリーマーズ」は2003年のベルトルッチ監督作品の再上映です。韓国題は「몽상가들(夢想家たち)」。
 5位「熱いトタン屋根の猫」は、エリザベス・テイラー、ポール・ニューマン等が出演した1858年のアメリカ映画の再上映。韓国題は「뜨거운 양철 지붕 위의 고양이」です。(トタンは「양철(洋鉄)」というのか。)
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北朝鮮の地獄のような強制収容所から脱出したシン・ドンヒョクさんの話を聞きに行く

2014-02-11 11:10:49 | 北朝鮮のもろもろ
 1月28日(火)の夜(18:30~19:30)、北朝鮮の強制収容所から脱出した申東赫(シン・ドンヒョク)さんの話を聞くという催しに行ってきました。会場は参議院議員会館です。

 北朝鮮の強制収容所といっても<革命化区域><完全統制区域>の2種類あって、前者は一定期間を経て審査が通れば(ワイロを効かせれば)出所できるのですが、後者は死ぬまで収容される終身収容所です。
 申東赫さんは、その後者の収容所から脱出した唯一の人物です。それも収容所で生まれて、脱出した23歳までの地獄のような生活を経て・・・。
 ※その場所は平安南道价川(ケチョン)の第14号管理所。北朝鮮の強制収容所については、ウィキペディア(→コチラ)にかなり詳しく記されています。

 私ヌルボ、以前彼が書いた「収容所に生まれた僕は愛を知らない」というとても衝撃的な本を読みました。彼とこの本については、過去記事(→コチラや、→コチラ)で書いたことがありますが、彼の想像を絶するような体験は、次の記事に詳細に記されています。

▶<e-Story Post> 「北朝鮮の強制収容所で生まれ育った脱北者が明かす、地獄のような牢獄生活」
▶三浦小太郎(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会代表) 「政治犯収容所で政治犯として生まれた私 (シン・ドンヒョク)」

 2008年以来2度目という彼の今回の来日は、3月1日から渋谷ユーロスペース等で公開されるフランスのドキュメンタリー映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」の紹介・アピールが主目的ですが、25日~29日(かな?)の間明治大学での試写会&トーク等の催しのほか、多くのマスコミの取材があったりという過密スケジュールで、28日夜は相当お疲れのようすでした。

 で、やっとその28日夜の催しの報告です。
 最初の有田芳生参議院議員や北朝鮮難民救援基金の加藤博さんの話も含めて1時間という限られた時間で、申東赫さん自身の話は正味15分くらい。あまり具体的な話はなく、残り15分くらいが質問にあてられました。

 加藤博さんの話では、まず上述のような政治犯収容所の概要や、12号・13号・26号の各管理所(収容所)が秘密が露見したため閉鎖されたこと、咸鏡北道の11号管理所は「金日成の別荘を建てるため閉鎖されたこと等が説明されました。
 管理所はとても広大で、行政区画でいえば道の下の郡が丸々相当するほどとのこと。
 ※後で調べたら、咸鏡北道化成(ファソン)郡の第16号収容所は面積約560km²。ソウル市(605.2km²)や東京23区の面積(621km²)にも迫るほどの広さで、そこに約2万人が収容されているとみられているそうです。(2011年時点)
 14号(价川)や15号(耀徳.ヨドク)等の管理所は山奥の谷間に立地していて、そのさらに奥にはダムがある。そして北朝鮮の体制崩壊というような危機の際は、ダムを破壊して管理所全体を水没させ、証拠を隠滅をするということです。(この話は、一昨年12月の小川晴久先生の著書「北朝鮮いまだ存在する北朝鮮強制収容所」の出版記念講演会の時に<NO FENCE>事務局長の宋允復(ソン・ユンボク)さんから初めて聞きました。)
 また、北朝鮮の人権侵害状況を調べる国連調査委員会は、昨年申東赫さんや安明哲さん等から聞いた証言をもとに今年3月に報告書を提出し、10月に総会にかけられるとのことでした。(この件についての関連情報は→コチラ。)

 申東赫さんは、今回の来日で横田さん夫妻と会って、日本にも拉致された人が大勢いることを知ったと語りました。韓国の拉致被害者家族に対して韓国政府は無関心で、支援もないことと比べると、日本の政府や世論は国際社会にアピールしていますが、そのような努力ににもかかわらず解決されないまま迷路にはまっているようなので、もっと強い力をかけていかなければ・・・とも。
 「強制収容所の収容者も拉致被害者も、北朝鮮の独裁者によって受けた苦痛はまったく同じなので、思いを共有することができる」という彼の言葉には、私ヌルボももちろん深く共感しました。
 ただ、「北朝鮮の政権は、対話を通じて問題を解決できるようなものではありません。国際社会は無駄に時間を浪費しているようで、いらだちを覚えます」という発言については、たとえば韓国の進歩陣営や日本の人権派の中では「あくまでも対話重視」という人が多いと思います。(私ヌルボも人権派のはずなんですけど・・・。)

 集会参加者は主催者・関係者等含めて約40人。その会場からの質問で個人的にウンザリしたのは、「収容所でどんな拷問を受けたのですか?」とか「どのようにして脱出したのですか?」というような、本を読まなくても事前にちょっとネット検索をすればわかるような基本事項を質問した人がいたこと。(どちらの質問も同じ人。) それまでの取材の新聞記者の中にもそんな人がいたそうですけど・・・。またその中で「疲れさせるような質問」(母や兄の処刑に関する質問だったようです。)をする人もいたようです。
 ドキュメンタリー映画や、申東赫さんの本の韓国での反応は?・・・という質問の答えは、案の定一言でいえば「無関心」といったものでした。
 今回の映画は韓国では上映されず、前記の著書「収容所に生まれた僕は愛を知らない」日本では1万部売れたそうですが、韓国では3000部印刷して売れたのがわずか500部だったとは!
 その後2012年にアメリカ人ジャーナリストのブレイン・ハーデン氏が彼のインタビューをもとにを刊行した「ESCAPE FROM CAMP 14」(もちろん英語)は25ヵ国で読まれ、大きな反響があって、表彰されたりもしたそうです。
 ※昨年5月の<VOA>の記事(→コチラ.韓国語)によると、スイス・ジュネーブにある国際国連監視機構のUN WATCHから<2013年MORAL COURAGE AWARD>(モラルの勇気賞)を受賞しています。

 「将来の希望は?」という質問に対して、彼の答えは「収容所の地も自然だけは美しかった。星も美しかった。その場所で静かに暮らしたい」というもの。また自ら「(血液型A型のとおりに?)もともと用心深く気が小さい」と語る性格のとおりに、穏やかな感じの、ふつうにどこでもよく見かけるような青年で、私ヌルボとしてはなんとなく少し救われたような気持ちになりました。
 ※「強制収容所で生まれたシン・ドンヒョクさん、自由や家族という言葉は最近まで知らなかった」と題した<シネマトゥデイ>の1月27日の記事(→コチラ)でも同様のことが記されていました。また次のようなことも・・・。

 脱走後、もっとも衝撃を受けたのは、収容所の外の北朝鮮の普通の人たちの暮らしを見たときだったという。「収容所のすぐ外に、好きなものを食べ自由に語り合い、警察に恐怖を感じない世界があった、ということが信じられなかった」とシンさん。

 1月28日の集会については以上ですが、その後「ESCAPE FROM CAMP 14」の日本語訳「14号管理所からの脱出」を読んでみました。
 管理所での体験の部分は「収容所に生まれた僕は愛を知らない」とほぼ同じですが、母と兄の処刑に至る経緯については、ハーデン氏が彼から直接聞いた驚くべき「新事実」が書かれています。
 また、とくにこの本で興味深いのは、収容所を脱出した後がいろいろ書かれていること。北朝鮮領内から中国への脱出、中国での生活、偶然に上海領事館を経て韓国へ、韓国社会での違和感と適応の困難、アメリカでの生活まで。
 すでに2万人を超える韓国内の脱北者が北で受けてきた教育や、そこでの常識といったものがほとんど南では役に立たないどころか障害になり、またそれが感情面や人間関係においても問題を生じることも具体例があげられています。まして彼の場合は北の中でも「特殊」な所だからなおさらです。

     
  【500部しか売れなかったという申東赫の韓国版の著書「世の中の外に出て来る 北韓政治犯収容所 完全統制区域】

※脱出後して韓国に来てからの彼について、韓国紙「中央日報」(日本語版)に詳しい記事がありました。
 →北朝鮮収容所、肉体的拷問より残酷な「表彰結婚」(2012年2月29日)
 →“北朝鮮の政治収容所生まれ”シン・ドンヒョク氏の半生を綴った本が25カ国で出版(2013年5月3日)

※<残虐な人権侵害-決して見逃さない>というブログに、韓国での状況や国連の対応等が記されています。
 → “北朝鮮の政治収容所生まれ”シン・ドンヒョク氏が嘆く 韓国での北朝鮮人権問題の関心の低さ(2013年5月4日)
 →北朝鮮の人権問題の突破口になるか “北朝鮮の政治収容所生まれ”シン・ドンヒョク氏が期待する国連事実調査委員会(2013年5月15日)
 →当事国である韓国の北朝鮮人権問題の世論の関心の低さに国連北朝鮮人権委員会委員長が怒りを表す(2013年8月27日)

※加藤博さんのテーブル上に「北韓人権白書2010」の日本語版が置かれていました。
 「北韓人権白書」は韓国の統一研究院が毎年出しているもので、最新版(韓国語.2013年版)は→コチラで直接ダウンロードできます。英語版は→コチラから。
 ただ、日本語版は2010年版以降は出ていません。しかし、大きくは変わっていないようです。
 この「北韓人権白書2010」は、<北朝鮮難民救援基金>(→公式サイト)中の→コチラのページ(の右上)
からPDFファイルでダウンロードすることができます。(E-bookとして読むこともできる。)
    
        【「北韓人権白書2010」(日本語版)の目次】

    
  【「北韓人権白書2010」(日本語版)中の公開処刑に関する記事。あまりのひどさに言葉を失う。】

※2月4日(火)「産経新聞」<きょうの人>に、申東赫さんがとりあげられていました。→コチラ

☆<アムネスティ>のサイトから ・映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」の紹介記事は→コチラ
 ・「朝鮮民主主義人民共和国で、不当に拘禁されている人びとを救う!」ハガキ書きアクション等については→コチラ
 ・「朝鮮民主主義人民共和国:衛星画像が語る収容所の抑圧」→コチラ
 ・「衛星画像が示す抑圧施設の拡大(2013年12月.アムネスティ・インターナショナル報告書)」(PDF)→コチラ
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期待以上だったポン・ジュノ監督「スノーピアサー」を観て考えたこと。(ネタバレなし)

2014-02-08 19:56:59 | 韓国映画(&その他の映画)
 今朝外を見ると一面の銀世界。一瞬自分はスノーピアサー(の後方車両)に乗っているのかと錯覚しました(笑)。

 昨日観た「スノーピアサー」はおもしろかったです。とても。
 リクツは後回しにして、最初から最後まで緊張感と、この物語をどういうふうにケリをつけるのか、という興味シンシン感も持続。

 やっぱりポン・ジュノ監督、期待を裏切らなかった。いや、それ以上。
 いや、主に韓国サイトで少なくない数の「画面が暗い」とか「ほとんどが列車内という限定された密室のセット撮影で、変化に乏しい」といった否定的評価があったので、期待度が2割ほど低下してましたけど。

 以下、それなりに具体的なことも書きますが、基本的に「ネタバレなし!」です。極力これから観ようという人の妨げにならないように心がけます。(それ以上に、興味を持っていただければ幸いです。)

 ま、一応アウトラインだけは昨日の「毎日新聞」<シネマの週末>の記事を援用させていただいて・・・。(一部省略)

 氷河期到来後の2031年の地球。生き残ったわずかな人類は、永久エンジンを搭載した列車スノーピアサーに乗っていた。劣悪な最後尾車両に押し込められた貧困層の人々は、革命を起こすべく決起し、富裕層に支配された前方車両への進撃を開始する。
 地球をノンストップで周回する列車を、管理化された“ノアの方舟”に見立てたスケールの大きさ。車両を移動するごとに驚くべき光景が出現する面白さ。文明批評や人間ドラマを織り交ぜながら、緻密な映像設計に裏打ちされた奇想をぎっしり詰め込み、巧みなひねりを利かせた終盤まで一気に見せる。贅沢なスリルが満喫できる娯楽大作だ。(諭)


 ・・・と、なかなか好意的な紹介。
 しかし、続く[◇もう一言]を見ると・・・

 密室空間で世界の今を描く展開になじめず。支配者の論理やアクションの末のラストにもカタルシスや希望は見いだせず。(鈴)

 ・・・という感想を持った方もいたりして・・・。

 この映画の原作がフランスのバンドデシネ(劇画)、バンジャマン・ルグラン「Le Transperceneige」なので、その文法というか枠組み自体に違和感を持ったらダメでしょうね。「ありえねー!」なんて言ってたら、「ONE PIECE」にしろ「進撃の巨人」にしろ「ありえねー!」のオンパレードなわけだし。
 視覚効果の点でも、前方の扉が開けられる度にオドロキがあるし、外の世界もたまにチラッと見える程度なのがむしろ成功していると思いました。

    
 【原作本の韓国語版。韓国題は「雪国列車」。表紙は映画と全然違う感じです。絵はバンジャマン・ルグラン。】

 私ヌルボ、この作品を観たいろんな人の感想・レビューを読んでみましたが、中でも「単純に楽しむことも、じっくり咀嚼することもできる映画」と題したものがあり、そのタイトル自体に共感しました。「各シーンの意味やメタファー。非常に細かい伏線やアイテム。根本的な設定などの細部を考え始めると、この単純明快なストーリーの裏に潜む奥深さが見えてきて、すっかり嵌まってしまいました」というものです。

 ヌルボも、まず単純に「おもしろい!」度で◎をつけた1人ではありますが、考えたことも少し書いてみます。

 メタファーといえば、この列車が階層社会・格差社会という現実を写し出していることは多くの記事等にも書かれています。
 そして最後尾車両の<虐げられた人々>が反乱を起こし、1両また1両と最前部の車両をめざす・・・。
 いわば支配者の打倒、体制の変革=<革命>ですが、ヌルボの興味としては、その<革命>についてポン・ジュノ監督はどのような観点からどのように描くのか?ということ。単純化していえば[A]<革命>を称揚するのか、[B]否定するのか? [C]どちらでもなければ、どのような方向・方法をめざすのか?

 これはネタバレにはならないと思いますが、[A]か[B]かについての監督の答えは、ヌルボの解するところでは「一筋縄ではいかない」のです。

 日本の場合、60年代頃までなら一途に<反権力><反体制>を志向する映画や読み物が広範な層に受け入れられていたと思います。(ex.今は懐かし、白土三平の劇画とか。)
 しかしその後半世紀経ち、私たちはあまりにも多く「残念な」現実を見てor経験してきました。たとえばソ連や北朝鮮の「その後」。あるいは複雑化する社会の中で、権力を「倒すこと」だけでなく、新しく「創ること」の困難さ。近年ではエジプトやシリア等、そんな例にはこと欠きません。
 もちろん、だからといって現在の格差社会がいいと思っている人は一握りにすぎないでしょう。そんな中で結果的にはほとんど闘うことなく日々生活している人が多いのでは・・・。

 つまり、以前なら観客としては丸ごと最後部車両の人々に感情移入できたでしょうが、今はどうでしょうか?
 私ヌルボはよくわかりません。そこでこの映画を観た人に質問します。
 
 あなたは、この車両のどのあたりの乗客ですか?

 もう1つ質問します。ひたすら前方の車両の扉の突破を試みる主人公ですが、別の扉、つまり横の、外の世界に通じる扉に注目する人物がいます。

 あなたが開けたいのは「前の扉」? それとも「横の扉」? 

 いや、もしかしていちばん多いのはどちらも開けず、今いる場所に留まる、という選択かも・・・。

 韓国では、無名の弁護士だった頃の盧武鉉元大統領をモデルにした「弁護人」が昨年暮れから大ヒットしています。
 今朝の「毎日新聞」の注目記事<韓国:司法、ぶれる判断 国民に根深い不信>(→コチラ。会員制)の中でも<「弁護士・盧武鉉」に脚光 独裁との対決、映画大ヒット>という見出しで大貫智子記者が関連記事を書いています。

 「大韓民国の主権は国民にあり、国家が国民だ」と熱弁するなど法廷シーンが半分近くを占める硬派な内容だが、観客は若いカップルや家族連れも多い。
 大学生の金弦珠さん(26)は「社会に対する怒りを、映画がすっきりさせてくれた」と話し「共感した」と隣の彼氏と口をそろえた。


 ・・・ということですが、韓国市民の約半数を占める<進歩陣営>の人たちはやはりそんな「カタルシス」を求めている、ということでしょうか? しかし、それは「スノーピアサー」からは得られない(得られなかった)と思います。(あ、かなりネタバレに近くなってきたゾ。)

 関係あるかな、ということで、過去記事(2013年8月6日の興行成績の記事)からコピペ。

 「雪国列車(スノーピアサー)」に対するネチズンの評点平均は7.0(DAUM映画)とそんなに高くありません。「殺人の追憶」の9.4、「グエムル」の9.0よりずっと下。「暗すぎる」とか「後半が退屈」との声が出ているそうです。しかし熱血会員の評点平均は7.8、専門家は7.6と一般ネチズンの評点を上回っているのは異例。今回2位の「ザ・テロ・ライブ」の評点がネチズン8.5、熱血会員8.0、専門家6.8であるのと対照的。

 ちなみに、「ザ・テロ・ライブ」を観たあんみつさんのブログ記事(→コチラ)によると、
 「この映画のテーマも、やっぱり国家権力や権力を持つ上層への反発。上司、そして政治家、警察が悪役です。決して、ハッピーエンドではないのですが、鑑賞後、痛快ではあります。観客の普段の鬱憤を、主人公たちが晴らしてくれる(?)。そんな感じかなぁ…?」とのこと。
 いろんな意味で「スノーピアサー」と対照的な作品かなと思われます。

 さて、ではこの「スノーピアサー」でポン・ジュノ監督が提示した結末は? ・・・というと、それを言っちゃおしまいよ。もろネタバレ。
 はたしてこのラスト、「明るい」のか「暗い」のか、「希望」なのか「絶望」なのか?
 それは実際観て判断してください。

[おまけ] この作品で聞こえてくる日本語のこと。
 「スミマセン」
 「何やってんだ、コノヤロ。バカヤロ」
 「チキショー」
 「だいじょぶですか?」
 ・・・ずいぶん前、インドネシアではその後もバカヤロという言葉が残っているということを何かで読みました。(参考→コチラ。)
 韓国でも依然として「残っている」ということでしょうね。

 ※日本関係では、寿司バーの場面(!?) 「ふぐ」とか「海老」とか書かれていたりして、こんな「お遊び」っぽいシーンもあるところもおもしろい。

[おまけ その2]
 観終わってから「映画芸術」440号を立ち読みすると、<荒井晴彦×寺脇研「韓米☆映画合戦」>と題した対談記事が載っているのですが、どうもご両人ともずいぶん冷静に(タラタラと?)話していて、この人たちはあの映画をこんなに淡々と観ていたの?と疑問を感じてしまいました。
 しかし、寺脇研さんのツイートを見ると・・・

寺脇研 ‏@ken_terawaki •2月6日
いよいよ明日、ポン・ジュノ監督「スノーピアサー」が公開される。この題名でお客が入るかどうか心配だが、ヒットしてほしい。それだけの中身のある傑作だ。壮大にして、圧倒的に面白い。
寺脇研 ‏@ken_terawaki •2月6日
「スノーピアサー」。近未来、列車内での「階級闘争」という寓話を通して、明らかに行き詰まってきた近代資本主義社会の閉塞状況を打破するには何が必要なのかを、ポン・ジュノ監督は真摯に追求する。
寺脇研 ‏@ken_terawaki •2月6日
「スノーピアサー」。欧米からも資本参加を得て38億円の製作費を投じ全世界公開されるこの大作の構えは、そのまま、韓国映画の勢いの表れでもある。世界市場に通用する作品を送り出す一方で、ハリウッド映画に起用される監督も続出だ。その勢いが、この疾走し沸騰する映画には迸っている。


 ・・・と全然逆なんだけどな。「映画芸術」だとあんな感じになるのかな。

※ネタバレ系では→コチラのブログ記事の「深読み」がおもしろかった。
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[韓国の<聖地>上海 ②] 現行憲法前文にある「大韓民国臨時政府の法統」の意味を考える

2014-02-05 23:19:29 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 9月に<上海という韓国の<聖地>①>を書いた後4ヵ月以上ほったらかしになっていましたが、つい3日前に<朝鮮半島の南北統一問題と、安重根記念館の関係など>で上海臨時政府のことにふれたことでもあり、この際ちゃんと続きを書くことにしました。

 大韓民国臨時政府(上海臨時政府)は1919年三一独立運動勃発の翌4月、李承晩・呂運亨・金九などによって上海で設立された臨時政府です。
 たとい弱体なもので国際的な支持や承認を得たものではなくても、日本の統治期に存在したこの上海臨時政府こそが現在の大韓民国という国の淵源である、というのが今日の韓国の、公的な歴史的アイデンティティである、ということです。
 ※それをファンタジーと言うなら言え。<建国神話>はおしなべてファンタジーではないですか!・・・と私ヌルボ、韓国になりかわって居直り正論を唱えるにやぶさかではないのですが、どうもファンタジーについての認識が日韓間でかなり隔たりがあるようで・・・。

 さて、①の記事でも記したように、「大韓民国臨時政府の法統を継承する」とされたのは大韓民国成立時の1948年ではなく、1987年の第九次憲法改正によって憲法前文に記されたのが最初です。
 また大統領が上海臨時政府旧址という「聖地巡礼」を始めたのも1992年の盧泰愚大統領からです。
 では、なぜ「その時期」だったのか、ということを考えてみることにします。

 上に第九次憲法改正と書きましたが、憲法の基本理念が大きく変わったのは5回です。
 以前全斗煥政権時代を描いた「第5共和国」というドラマがありました。で、現在はその後だから第6共和国です。
 つまり、最初の李承晩政権を含めると6つの性格を異にした政権が推移してきて、それぞれの政権の理念が憲法に反映されているのです。そして、そのエッセンスが盛り込まれているのが憲法前文です。

 主な項目ごとに、6つの憲法前文を対比したものが次の表です。
  
制憲憲法
(1948.7)
3次改憲
(1960.6)
5次改憲
(1962.12)
7次改憲
(1972.12)
8次改憲
(1980.10)
9次改憲
(1987.12)
大韓民国の成立



李承晩(大統領)


第一共和国
4・19革命で李承晩が亡命した後


許政(大統領代行)


第二共和国
1961年の5・16軍事クーデター後


朴正煕(国家再建最高会議議長)

第三共和国
1972年10月の「十月維新」後


朴正煕(大統領)


第四共和国
1980年の5・17クーデターで実権を握った全斗煥の軍政

全斗煥(大統領)


第五共和国
民主化運動の高まりの中で制定された憲法

全斗煥(大統領)
これにより直接選挙で盧泰愚大統領選出。
第六共和国へ
三一運動により大韓民国を建立して世界に宣布した偉大な独立精神を継承し・・・三一運動により大韓民国を建立して世界に宣布した偉大な独立精神を継承し・・・三一運動の崇高な独立精神を継承し・・・三一運動の崇高な独立精神を継承し・・・三一運動の崇高な独立精神を継承し・・・3•1運動により建立された大韓民国臨時政府の法統と不義に抗挙した4.19民主理念を継承し・・・
4.19義挙と5.16革命の理念を継承し・・・4.19義挙と5.16革命の理念を継承し・・・4.19義挙と5.16革命の理念を継承し・・・
平和的統一の歴史的使命平和的統一と民族中興の歴史的使命祖国の民主改革と平和的統一の使命
正義・人道と同胞愛で民族の団結を強固にし・・・正義・人道と同胞愛で民族の団結を強固にし・・・
すべての社会的弊習と不義を打破し・・・すべての社会的弊習と不義を打破し・・・
「檀紀4281年」7月12日この憲法を制定同左「1948年」7月12日に制定
(以後も同じ)
他のすべてにある「民族の団結を強固にして」という文言がない。

 こうしてみると、大きな民衆闘争、あるいはクーデターというドラマチックな出来事による政権交代が何度もあったがゆえの憲法改正であることがよくわかります。
 (日本国憲法がこれまで1度も改定されずにきたことは、世界的にみて「ふつうではない」と否定的に語る人たちがいますが、それだけ国情が安定していたということです。)

 上述したように、韓国の場合は1948年の建国から現在の第6共和国まで、指導者とその施政理念等が大きく違っていて、それがそのまま憲法に反映されていることが前文の文言だけでもうかがわれます。
 朴正煕~全斗煥時代の「5.16革命の理念を継承し・・・」はお手盛りそのものですね。
 第四共和国以降「平和的統一」という言葉が入っているのも一考に値するのでは・・・。
 最初の憲法から「三一運動」という言葉はありますが、続く文章の差異には意味がありそうです。

 それらはとりあえずおくとして、上記のように9次改憲で「3・1運動により建立された大韓民国臨時政府の法統と・・・」という新しい文言が入りました。

 この時の改憲は、もちろん軍事政権に終止符を打った民主化運動の1つの帰結として行われたものです。
 したがって、その80年代の民主化運動を担った人たちの見方考え方が反映しています。

 建国以来の国としての存立理念は、思い切って単純化して書くと、次のようなものでした。

・北朝鮮及び社会主義は不倶戴天の敵である。(朝鮮戦争こそ、その実例。)  
・北朝鮮と対峙するためにアメリカと密接な関係を維持することは不可欠である。(だからベトナム戦争にも参戦した。)
・経済発展のために、アメリカはもちろん、日本の支援も当然受け入れる。
・日本の統治期は当然否定的に教育するが、そのことが両国間のバトルとなるような場面は、1980年代の「教科書問題」以前はなかった。
・70年代までは、「韓民族」であるという民族としてのアイデンティティより、「韓国の国民」という国民としてのアイデンティティの方が強かった。

 ※朝鮮戦争を背景にした映画「戦火の中へ」について書いた過去記事で、私ヌルボ、「1945年の<光復>で民族独立(「解放」ではあってもは「独立」はしていない??)マンセーを叫んで喜んだはずの同胞同士がなぜわずか5年後に殺し合ったのか?」という疑問を提示しましたが、要はその当時は戦争を否定するほどの「同じ民族、同じ仲間」という強い意識がなかった、ということですね。

 ところが、80年代民主化運動の担い手たちはどう考えたか?

・歴代の軍事政権は、反共を口実に民衆を抑圧し、人権を否定する政治を続けてきた。 
・軍部による光州民主化運動弾圧を、アメリカは座視(容認? 支援?)した。(→釜山アメリカ文化院放火事件(1982)) ※以後、反米軍基地闘争等の反米世論は高まり、今に及ぶ。
・「反米」といえば、北朝鮮の方が一貫して反米でがんばっているではないか!
・「親日派」の排除についても、北朝鮮では徹底していたではないか! 韓国ではむしろ「親日派」がずっと政界・経済界で幅を利かせている。
 ※「反米」が民族主義と結びつく例は1950~60年代の日本共産党にみられる。「民族行動隊の歌」なんてタイトルは、今の目で見れば右翼の歌とだれもが思うでしょう。私ヌルボ、学生時代に民青の人を相手に「祖国と学問のために」という日共系全学連の機関紙の紙名について議論したことを覚えています。
・その北朝鮮では主体思想を柱として金日成が「民族」を旗印にして働きかけている(ようである)。


 あ、この民主化運動の主な担い手というのは、端的にいえばいわゆる<386世代>ですね。

 さて、このような民主化運動の高まりが結局軍事政権を倒し、そして諸勢力のそれなりの妥協もたぶんあったりして成立したのが1987年の憲法。

 ここではすでに<反共>は絶対の国是とは言えなくなってしまっています。386世代にとって朝鮮戦争は生まれる前のことだし、金日成も言ってることはよさそうだし・・・。
 さりとて、北朝鮮の<金日成神話>のような強力な抗日闘争の物語があるか?と考えた時に、それまで以上に注目されたのが金九と上海臨時政府。
 金九は抗日運動家で、真珠湾攻撃の翌日には対日宣戦布告をして(実効性はなかったが)、反共民族主義者で、李承晩の手先に暗殺されるまで南北の分断に反対して・・・と、<神話>の素材としてはまさにうってつけの人物です。
 ※金九→ウィキペディア。ついでに、彼を暗殺した安斗煕(アン・ドヒ)については→コチラ。ついでのついでに、その安斗煕を撲殺した
朴(パク・キソ)については→コチラ

 で、ようやく本論。
 私ヌルボ、1987年の憲法改定でこのように「上海臨時政府の法統」という文言を新しく入れたのは、左派・民主勢力に対して保守側が主導して提示し実現した新機軸かな、と思いました。
 ところが最近いろんな韓国サイトの記事を読んで、そうではなく、むしろ左派・民主勢力の意思が強く反映されたものであることを知りました。
 また憲法前文に入れたこの「大韓民国臨時政府の法統」という文言に疑義あるいは異議を唱える人たちも少なからずいるということも・・・。

 ・・・と、本論に入ってたった5行ですが、諸事情により今回はここまでです。(ありゃりゃ、ですが。)
 あと2回は続きます。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [1月31日(金)~2月2日(日)]

2014-02-04 23:54:23 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 今夜のシネマ・ベティ(「鉄くず拾いの物語」)は私ヌルボを入れて観客2人。昨晩の109シネマズMM横浜(「新しき世界」)は8人。どちらも夜遅い回ではありましたが・・・。

 その今年最初の韓国映画「新しき世界」は見応えがありました。いくつかのブログ記事でも同様のコメントがありましたが、ファン・ジョンミンがいい味出してましたねー。チェ・ミンシクは「酔画仙」(2002)、「悪魔を見た」(2010)等々を思い起こしてみると、だんだん太ってきてるんでないの? 変わらないのはイ・ジョンジェ。ドラマ「砂時計」以来ずっと表情を変えないキャラクターばかりにような・・・。

 先週「近日中にをアップする予定」と書いたシン・ドンヒョクさんの話を聞く催しの報告記事はまだ書いてません。
 その代わり、ユーロスペースのサイトに3月公開予定の「北朝鮮強制収容所に生まれて」の詳しい説明があったのでコピベしておきます。

 世界中の映画祭で衝撃的な内容が大きな話題を呼んだドキュメンタリー!!
 北朝鮮の政治犯強制収容所第14号管理所で、政治犯の両親の“表彰結婚”の結果として生を受け、生まれながらの政治犯として育った申東赫(シン・ドンヒョク)。「北朝鮮強制収容所に生まれて」は、2005年、収容所から脱出して現在は韓国に暮らすシン・ドンヒョクの想像を絶する半生と、北朝鮮強制収容所の実態を、本人へのインタビューをもとにドイツ人監督が描きだしたドキュメンタリーです。映画は脱北した元北朝鮮の秘密警察員オ・ヨンナムと、虐待、拷問、処刑を行っていたクォン・ヒョクにも取材。衝撃的な内容に、世界の映画人が驚きの声を上げた作品です。
[14号管理所について]
 14号管理所は“完全統制区域”で、1つの都市ほどの大きさを持ち、500㎢に4万人が収容されている。首都平壌の80キロ北、平安南道の价川(ケチョン)市外東(ウェドン)里に位置するこの管理所の中には、炭鉱、セメント工場、セラミックやゴムの加工場、縫製工場のほか、牧場もある。食事は粗末だ。1日につき、大人700グラム、子供300グラムのトウモロコシと、ごく少量の白菜の塩漬けだけである。最厳重警備の“完全統制区域”では、収容された人々は決して釈放されない。死ぬまでそこに閉じ込められる。


 また、これもユーロスペースでの上映で、同じくアムネスティにも関係あるのが2月15~21日の<死刑映画週間>。詳細は→コチラ。韓国映画の「執行者」(2009)も上映されます。

           ★★★ Daumの人気順位(2月4日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①弁護人(韓国)  9.5(29804)
②八月のクリスマス(韓国)  9.5(546)
③あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.2(82)
④アンニョン?! オーケストラ(韓国)  9.1(31)
⑤怪しい彼女(韓国)  9.1(1816)
⑥ワイルド・ビル  9.1(79)
⑦スターリングラード  9.0(22)
⑧ラブ・アクチュアリー  9.0(624)
⑨アデル、ブルーは熱い色  9.0(79)
⑩サンダーと魔法の屋敷  8.9(56)

 新登場は⑦「スターリングラード」だけ。1993年の独・米合作映画の再上映です。韓国題は「스탈린그라드-최후의 전투(スターリングラード-最後の戦闘-)」です。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②楽園の瑕  8.5(2)
③ゼロ・グラビティ  8.2(5)
④アデル、ブルーは熱い色  7.8(5)
⑤グロリアの青春  7.7(4)
⑤風景(韓国)  7.7(4)
⑦そして父になる(日本)  7.6(6)
⑦ある過去の行方  7.6(6)
⑨イントゥギ(韓国)  7.6(3)
⑩あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  7.3(3)

 ①「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」だけが新登場です。コーエン兄弟の2013年カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞作。デイブ・バン・ロンクの生涯を下敷きにして、1960年代のニューヨーク・グリニッチヴィレッジを舞台に、売れないフォークシンガー・ルーウィン(オスカー・アイザック)の1週間をユーモラスに描いた作品。キャリー・マリガンや、「ソーシャル・ネットワーク」で注目を集めたジャスティン・ティンバーレイクが共演。韓国題は「인사이드 르윈(インサイド・ルーウィン)。日本公開は初夏。これは早く観たいな。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[1月31日(金)~2月2日(日)] ★★★

         「怪しい彼女」が驚異の観客増で「アナと雪の女王」を逆転し、1位に

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・怪しい彼女(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・1,755,157 ・・・・・・・3,920,438・・・・・・・28,654・・・・・・1,022
2(1)・・アナと雪の女王・・・・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・1,642,573 ・・・・・・・6,004,146・・・・・・・47,713 ・・・・・・・969
3(4)・・男が愛する時(韓国)・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・・・341,911 ・・・・・・・1,326,375・・・・・・・・9,786・・・・・・・・470
4(3)・・血沸く青春(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・・・280,944 ・・・・・・・1,501,404・・・・・・・10,471・・・・・・・・422
5(5)・・弁護人(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・12/18 ・・・・・・・・・・・・278,912 ・・・・・・11,145,710・・・・・・・81,239・・・・・・・・408
6(17)・・朝鮮美女三銃士(韓国) ・・・・・・1/29・・・・・・・・・・・・262,071 ・・・・・・・・・402,269・・・・・・・・2,927・・・・・・・・380
7(31)・・ナット・ジョブ・・・・・・・・・・・・・・・・1/29 ・・・・・・・・・・・・215,976 ・・・・・・・・・304,401・・・・・・・・2,148・・・・・・・・372
        :ピーナツ泥棒たち(韓・カナダ・米)
8(57)・・ポリス・ストーリー2013・・・・・・・1/29 ・・・・・・・・・・・・・80,620・・・・・・・・・・121,751 ・・・・・・・・・909・・・・・・・・250
9(99)・・インサイド・ルーウィン・デイヴィス・・1/29・・・・・・・・・・22,235・・・・・・・・・・・38,260 ・・・・・・・・・301・・・・・・・・・70
         名もなき男の歌
10(新)・・ダイナソー・キングダム~DINOTASIA~・・1/29・・・14,394・・・・・・・・・・・20,411 ・・・・・・・・・144・・・・・・・・128
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 旧正月の連休で、とくに1・2位が大幅観客増。「アナと雪の女王」は40万人先週から増やしましたが、「怪しい彼女」は倍増以上の驚異的数字で逆転1位。3・4位も逆転しましたが、5位までは新登場なし。「弁護人」は「シルミド」を抜いて韓国映画歴代8位に達しました。
 一方、6~10位は全部新登場です。
 6位「朝鮮美女三銃士」は娯楽アクション時代劇。女性3人の賞金稼ぎの面子はリーダーの万能剣客ジノク(ハ・ジウォン)、主婦剣客ホンダン(カン・イェウォン)、言葉よりこぶしが先に出るタフ剣客カビ(ソン・ガイン)。消えた十字鏡を探してほしいとの王の密命を受けた彼女たち三銃士の手に懸賞金ではなく朝鮮の運命がかかっている! <韓国映画スタッフブログ>によると「チャーリーズ・エンジェルの韓国版として企画されたものだと思います」とのこと。その記事中の予告編を見るとハチャメチャでやりたい放題。振袖の日本娘?が川に落ちちゃったり、ヘソ出しねーちゃんたちの踊りがあるかと思えばハ・ジウォンがハンググライダーというより(犬じゃない方の)リリエンタールのような飛行機で空中を飛んでたり・・・。いったい何なんだ!? 原題は「조선미녀삼총사」です。
 7位「ナット・ジョブ:ピーナツ泥棒たち」は、「中央日報」の記事によると朴槿恵大統領が1月29日ソウルの大韓劇場で児童・青少年160人余りと一緒に観た映画だそうですよ。韓国の資本と技術で制作されたコメディ・アニメで、監督はカナダのレペニオティス監督で、1月17日に北米全域で公開され、韓国映画としては過去最高の興行記録を更新しているとか・・・。公園から追放されたずる賢いリスのサーリー、腹ペコでさまようが、ナッツを売っている店を見つけ、商品の強奪を企てて仲間をかき集めるが・・・。韓国題は「넛잡: 땅콩 도둑들」です。
 8位「ポリス・ストーリー2013」はジャッキー・チェンの人気シリーズ最新作。ジャッキーはヘアスタイルを角刈りにして、シリーズでは初めて香港ではなく中国の警官を演じるとのこと。韓国題は今年公開ということで「폴리스 스토리 2014」に変えています。日本公開は初夏。
 9位「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」については前述の通り。
 10位「ダイナソー・キングダム~DINOTASIA~」は2012年のアメリカのアニメ・アドベンチャー。2億5千万年前の二畳紀→1億5千万年前のジュラ期→7千万年前の白亜紀後期の恐竜たちの生き残りを賭けた闘争や、家族愛(?)を雄大に描く。日本では劇場未公開ですが日本語版DVDが出ているようです。韓国題は「디노타샤:공룡대탐험(ディノタシャ:恐竜大探検)」。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(29)・・インサイド・ルーウィン・デイヴィス・・・1/29 ・・・・・・・・・・・・22,235 ・・・・・・・・・・・・・38,260 ・・・・・・・・・301・・・・・・・・・70
             名もなき男の歌
2(2)・・そして父になる(日本) ・・・・・・・・・・・・12/19 ・・・・・・・・・・・・・5,194 ・・・・・・・・・・・・110,316・・・・・・・・・・836・・・・・・・・・31
3(1)・・アデル、ブルーは熱い色・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・・・・4,858・・・・・・・・・・・・・・33,276・・・・・・・・・・261・・・・・・・・・38
4(新)・・ニュー・シネマ・パラダイス・・・1990/7/07 ・・・・・・・・・・・・・2,122・・・・・・・・・・・・・・29,154・・・・・・・・・・202・・・・・・・・・・1
5(3)・・オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ・・1/09 ・・・・・・・・・・・・1,165・・・・・・・・・・・・・・31,194・・・・・・・・・・236・・・・・・・・・13

 1・4位が新登場です。
 1位「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」は上述しました。
 4位「ニュー・シネマ・パラダイス」はいうまでもなくトルナトーレ監督の名作の再上映です。この作品の韓国題は「시네마 천국(シネマ天国)」です。
 2位の「そして父になる」、なかなか息長く健闘しています。
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辻原登「韃靼の馬」  歴史ロマンを楽しみつつ、朝鮮通信使等について学ぶ

2014-02-04 18:11:14 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 辻原登「韃靼の馬」を読了しました。

 この小説の時代設定は18世紀初め。将軍の侍講として幕政を担当していた新井白石が<正徳の治>とよばれる幕政の改革を進めていた時期です。

       
      【600ページを超える大部ですが、読み始めたら一気!】

 主人公は対馬藩士の青年・阿比留克人。雨森芳洲の薫陶を受けて朝鮮語に通じている彼は、朝鮮の倭館にあって、朝鮮側の役人等と直接交渉にあたる任務を担当しています。また彼は薩南示現流の使い手として武芸にも秀でています。

 物語は大きく第一部と第二部に分かれています。
 第一部では、1711年(正徳元年)朝鮮通信使を迎え入れ、その一行の対馬を経て江戸まで往復する間の物語で、幕府と朝鮮、そして対馬藩のせめぎ合いと、その中での阿比留克人の活躍が描かれています。

 読んでいて思うのは、この作家が史実をディテールまで詳しく書き込むとともに、そこに巧みにフィクションを織り交ぜてのびやかにストーリーを展開しているということ。
 日本史の教科書にも書かれている<朝鮮使節の待遇簡素化>という新井白石の基本施策とその背景もきちんと説明されているし、また朝鮮側からの将軍の呼称を<日本大君>というから<日本国王>に改めさせるという史実については、そのまま物語のひとつの動因にもなっています。
 読み進むうち、書名がなんで「韃靼の馬」なの?という疑問が起こりました。
 それが解けるのはやっと第二部に入ってからです。第一部から十数年後。将軍吉宗所望の「韃靼の馬」を求めて主人公たちがモンゴルまで冒険の旅に出るというのが物語の主軸です。
 辻原登の言によれば「馬将軍と言われる吉宗が『清馬より、いい馬はないか』と望んだのは史実」で、「この小説はまずタイトルが浮かんだ」のだそうです。(→コチラ参照。)

 第一部が日朝間の貿易や文化交流や通信使をめぐる挿話等の史実に密着したオーソドックスな歴史小説であるのに対して、第二部は朝鮮~モンゴルを主舞台にした冒険小説的な要素が色濃くなっています。
 ※ラスト近くには鬱陵島まで出てきます。そしてこんな会話もちゃっかり入れています。
 「やあ、きょうはよくみえるぞ、あそこからはもう日本だと先生が教えてくれた。松島(現・竹島)というらしいが、岩だらけのちっぽけな島だ」。

 私ヌルボの10段階評価では(←よくないクセかも)、第一部が9、第二部が7.5で、全体としては8.5といったところ。
 第一部の緻密な描写の魅力が第二部では薄れてやや大味で、展開もほぼ予定調和的になっている印象を受けました。

 ただ、近年の芥川賞作品では心を病んだ主人公の身辺雑記的なものが多く、読んでいる自分まで鬱々とした気分になってしまうのに対して、この芥川賞作家・辻原登の小説は「おもしろくてためになる」ストーリーテリングの魅力は十分。また別の作品を読んでみようという気になりました。
 なお、純文学系の歴史小説では、以前よく読んだ井上靖の歴史小説(「蒼き狼」等)を思い出しました。アクション度(←こんな言葉ある?)では「韃靼の馬」に軍配が上がりますが、抒情性という点では井上靖が優っていると思います。)

 上記のように、史実と虚構が巧みに組み合わされているため、そこにこだわる私ヌルボとしてはその判別にかなり手間取りました。まだわからない点も多々あります。
 以下、それら「ためになった」箇所のメモを列挙しておきします。

阿比留文字・・・トンデモ本ぽい神代文字の1つかな? ハングルと共通点多し。→ウィキペディア

広大(クァンデ)=旅芸人の演じるチュルタギ(綱渡り)は次の4つの基本芸の組み合わせからなる。以下は本書の引き写し。辻原さん、どこで調べたんだろ?(その1)
 ①トゥイサンホンジァビ=綱の真ん中に立ち、1回宙返りのあと、綱を両足で挟んですわる。②トゥムルプクルキ=すわった状態から跳び上がり、降りる瞬間身体を45度ひねって両膝で綱にすわる。③トゥムルカセトゥルム=両膝ついた姿勢から跳び上がり、左に180度ひねって両爪先で綱に乗る。④ホゴンチャビ=宙返りの連続技。

雲南白葯(うんなんびゃく(はく)やく)・・・漢方の秘薬。ネット通販だと10ml×30本で1万5千円とあるのを見たなー、うーむ・・・。

ヒトツバタゴ・・・対馬には3千本を越える自生木があり、5月初旬にいっせいに花をつける。「この木が雪を被ったように一面に白い花をつけ、散った花で海が真っ白になる」とか。その時期に対馬に行ってみたいなー。姉妹都市の岐阜県中津川市もヒトツバタゴの自生地。

保命酒・・・福山の健康酒、かな? 東京駅近くの<TAU-広島ブランドショップ->でも売っているようです。

アストロラーベ・・・天体観測機器。これも知らなかったなー。→ウィキペディア

通信使メンバーによる鶏泥棒・・・ネット上でも話題(議論)になっていますが、その<事件>は1748年の通信使のことで場所も大坂(本書では福山)です。

伝書鳩・・・この時代の日本で用いられることがあったのか。伝書鳩で堂島の米相場の情報を伝えたかどで罰せられた大坂の相場師もいたことは→ウィキペディアで知りました。

・通信使一行は大坂の浪華江(淀川)の河口の九条の港で朝鮮船から航川用の平底船に乗り換える。これを「船改め」という。(数万の群衆が見物に押しかける。←ホンマかいな?)
 西進すると川は堂島川と土佐堀川に分かれるが、船は土佐堀からに入り、天神橋で上陸。行列は土佐堀通り→北浜→堺筋→道修町→御堂筋を進んで・・・。

北御堂(西本願寺津村別院)客館・・・大阪駅からほど近い(地下鉄本町駅から至近)のここが朝鮮通信使の迎賓館だったのか。参考→コチラと→コチラ

・通信使の一員(従事官)が案内されて行った堂島米会所のようすは興味深い。米会所といっても米俵等はなく、つまりは「たてり」(先物取引)が行われていたのです。登場人物の言葉で、読者にもわかりやすく説明されています。(それでもフクザツ。)
 ※西鶴の「日本永代蔵」に唐金屋という大坂人がたてり商いで大もうけする話がある、と本書中の登場人物の唐金屋が語っています。
 ※その従事官の心中の描写。これはフィクションでしょう。「口外しないでおこう」とあるし・・・。
 「きょう、米会所で体験したこと、・・・垣間見た奇妙な世界については決して口外しないでおこう。・・・わが朝鮮は、儒教の教えで国を支え律しているが、それとは全く異質の思想がこの国で生まれ、深く根付いている。数字にもとづいて符牒を操り、巨額の金銭を動かすという方法が発明され、それを体現した人間が商品経済の中心にいる。このことは、我が国や大陸の将来に暗い影を投げかけてくるような気がしてならない・・・・。」

李礥(イヒョン)・・・通信使の製述官という重要なポストにある彼は実在の人物なんですね。「野牛村の領主であった新井白石が李礥に書いてもらった」という扁額が埼玉県白岡市野牛の久伊豆神社にあるそうです。(→コチラ参照。)
 「科挙でトップ合格」したが「庶子の生まれ」ということが大きな「泣きどころ」とは(事実だとすると)、どこで調べたんだろ?(その2) しかし「極端に原則を振りかざす性格」とか、さらには彼のもう1つの「泣きどころ」というのが痔疾というのはどこまでホントなんだか・・・。

「<恵比須堂>の不思議膏」が痔疾に効果、とあるのは<大黒堂>のことかな?虎斑

虎斑(とらふ)ヤマネコ・・・・と本書にあるのはツシマヤマネコのことと思われます。日本国内のネコは、イエネコ以外では対馬のツシマヤマネコと西表島のイリオモテヤマネコの2種のヤマネコのみ、だそうです。ともに絶滅が危惧される希少動物です。→ウィキペディア

諱(いみな)法・・・将軍から朝鮮国王への返書の文中に、16世紀の国王・中宗の諱の「懌(エキ)」の字があることを正使・趙泰億が強く抗議。幕府側はこれに対して朝鮮の国書中に3代将軍家光の諱「光」があることを指摘。結局双方が改めることとなった。←これも史実に基づいているのでしょうか?

キタタキ・・・キツツキ科の鳥。もともと朝鮮半島と日本の対馬で確認されていたが、対馬では森林伐採で生息地が失われたり、博物館の標本用等のため乱獲されてほとんど姿を消してしまった。1920年に対馬で1つがいの標本が発見され、1923年には天然記念物に指定されたが、50年間確認がされなかったため1972年に指定が解除された。
 韓国でも森林伐採の拡大により希少種となり、1952年に保護動物に指定されたが、1978年までにほとんど姿を見ることができなくなった。1993年に南北間の非武装中立地帯で1つがいが発見されている。現在は京畿道の国立樹木園の森林に数つがいが生息しているとされる。今日、この亜種が最も多く生息するのは北朝鮮である。→ウィキペディア

哥老会・・・中国近代の反体制秘密結社。哥弟会などともいう。その起源はアヘン戦争以前にさかのぼるようだが、太平天国滅亡後の湘軍解散にともない長江流域一帯に広く勢力を分布するにいたった。もともと<反清復明>の伝統をもつ下層民衆の相互扶助的組織だったが、排外暴動の組織者として著名である。のち辛亥革命の際にも重要な役割をはたした。→コトバンク

大宛(フェルガーナ)の汗血馬・・・世界史でちょっと出てきたな。→ウィキペディア。本書では、張騫のこと等けっこう詳しく書かれています。

「♪サケサオ サケサオ オラムバエトルリ サケオサ」・・・鞦韆(ぶらんこ.クネ)に乗って歌う歌の歌詞。意味不明。→그네뛰기(ぶらんこ遊び)の風俗等について記した→コチラの韓国サイトに海州(ヘジュ)地方のぶらんこ関係の民謡が紹介されていますが、その歌詞中に「사게사오 사게 사오/오람배 뚤리 사게사오(サゲサオ サゲサオ/オラムベトゥルリ サゲサオ)」という一節があります。しかし、こんな歌について辻原さん、どこで調べたんだろ?(その3)

海参・・・いりこ(干しナマコ)のこと。その効果が高麗人参に匹敵し、かついりこの形状が人参に似ているところから海参と名付けられた。・・・って、ナマコのことを韓国語ではふつうに해삼(ヘサム)というのですが、その漢字表記がこれで、こういう意味だったとは知らなかったわー!

会寧の市・・・公市→私市→馬市の順に開かれ・・・とか、とか、街のようすとか、史実と作者の想像との境目がわかりません。会寧窯は昔から知られた陶器の産地で、唐津焼にも影響を及ぼした(?)とか・・・。→参考

・主人公夫婦が吐含山(トハムサン)の樹木と藪に埋もれてしまった石窟に行き、御堂の中央に安置されている高さ十六尺余(4.84m)の釈迦如来像の前に立つ場面があります。つまり、あの石窟庵。ホントにサービス満点、というか・・・。しかしウィキペディアによると像の高さは3.4mとなってるんですけど。まあいいですけど。

・最後の方でロシア人まで登場。「(ピョートル)大帝は只今、御不例・・・」なんて言葉も・・・。
 また「ネルチンスク条約はロシア語と満語、それに羅甸語で書かれている。おそらくこのたびのキャフタでもそうなるだろう」とも。
 ※キャフタを漢字で「怡古图」と書いてあって、「そーか、知らなかったなー」と思いつつ、一応確認したら「恰克图」が正しいみたいですよ。

※この小説にハマった<かぶとん>さんのブログ記事は→コチラ。いろいろ詳しく書かれているので、参考にさせていただきました。
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朝鮮半島の南北統一問題と、安重根記念館の関係など

2014-02-02 15:54:39 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 1月30日発売の「週刊文春」(2月6日号)も<怒りの総力特集「韓国の「暗部」を撃て!」>と威勢よく看板を掲げて以下のような内容の記事に8ページも費やしています。
 ①「安倍はストーカー」韓国政府 ダボス会議妄言録/「朴槿恵は対話能力ゼロ」韓国発暴露本の衝撃度
 ②日本刀で少女恫喝 慰安婦マンガをフランスに大量輸出
 ③安重根記念館で共闘「中韓反日キャンペーン」最前線ルポ
 ④“慰安婦捏造”朝日新聞記者がお嬢様女子大教授に
 ⑤「靖国失望」ケネディ大使に叱られて喜ぶマゾ新聞

 これだけ各雑誌で同様の記事が続いても、多くの読者はまだ食傷気味にもなっていないのかな? 私ヌルボとしてはあんまり引き込まれるような内容でもなかったのですが・・・。

 朴槿恵大統領は1月6日に国内では就任以来初の記者会見を開き、22日にはダボス会議で基調講演をしました。
 それらを伝える日本メディアの多くは「反日発言」の有無に重点をおいているようです。読者の関心もその点にある、という前提でしょう。

 しかし、たとえば朝日新聞・武田肇記者のツイートには次のようなことが記されていました。

武田 肇 다케다 하지무 ‏@hajimaru2 1月5日 突然ですが、1年ぶりにソウルに来ました。昨日、久しぶりに友人(30代の韓国人女性)とお茶したら、会話がすっかりかみ合わず。私「日韓関係が悪化し、残念で…」 友人「えっ、何のこと?」 私「韓国で反日感情が高まっているのでは…」 友人「本当に? 私が知らないだけかな?」 1 →

武田 肇 다케다 하지무 ‏@hajimaru2 1月5日→私「韓国民は安倍首相に不安を感じているとか?」 友人「ごめん。あんまり関心がなくて」 私「…」 友人「それより朴槿恵大統領が韓国を壊すんじゃないかと、心配で、不安で。労働者への弾圧はひどいし、国情院の事件とかめちゃくちゃで、ああ、あと4年もどうやって我慢したらいいのか…」 →2

武田 肇 다케다 하지무 ‏@hajimaru2 1月5日→私「その朴大統領のために、日本では嫌韓という言葉が広がっているのだけど」 友人「どうして?」 私「恨み千年論とか、外遊先で厳しい日本批判を続けているとかで、不信が不信を呼んで」私「親日派なのに、なぜか安倍総理と仲が悪いとは聞いたような気がするけど、そこまでは知らなかった」 3→

武田 肇 다케다 하지무 ‏@hajimaru2 1月5日→私「それに、対馬の仏像問題とか、米国での慰安婦像建立をめぐる問題もあり、日本では韓国に対する感情が悪化していて」 友人「なにそれ?慰安婦問題がもめているのは昔からのことでは?」 私「韓国が軍事的驚異になると心配する人までいて」 友人「それは北朝鮮じゃないの?信じられない」→4

武田 肇 다케다 하지무 ‏@hajimaru2 1月5日→私「結構、日本では話題のテーマなんだけどなあ」 友人「そうなの? 隣の国なのに、いろいろ考えいることが違うのね。私も武田氏みたいに国際ニュースに関心を持たないとね」私「…」5終


 また、1月31日「毎日新聞」の記事((大沢文護客員編集委員<記者の目>:<[北朝鮮・張成沢氏粛清]日韓関係改善の好機>)によると、「韓国の有権者のうち、歴史問題や領土問題を投票の基準としているのはわずか8%」とのこと。何かで見ましたが、韓国の一般市民の日本に向ける関心は、日本人が思うほど高くはないように思えます。ちょっと<自意識過剰>かも・・・。

 ぼちぼち本論。
 で、朴槿恵大統領が1月6日の記者会見でもダボス会議でも共通して強調したのは南北統一問題。
 記者会見では「南北統一は<テバク>だ」と言いました。<テバク(대박)>とは、数年前以来の新語で「大当たり!」「大もうけ!」「やった!」という意味です。またダボスでは「統一は南北朝鮮ばかりでなく周辺諸国にとってもプラスになる」と訴えました。

 南北統一問題については、6日の記者会見より前、1月1日の「朝鮮日報」で1~3面にわたって大きく特集記事が組まれ、その後も継続記事が掲載されていました。

    
 【1月1日の「朝鮮日報」1面。写真は中部戦線DMZ(非武装地帯)の北側から鉄柵を越えて南側に降りてくる鶴の群れ。】

 この「朝鮮日報」の記事中のアンケート調査の結果からも明らかなように、韓国の国民は<南北統一:「分断維持すべき」が2倍に 「早く統一を」20年間で半減>と、近年ますます統一には消極的になっています。(→「朝鮮日報(日本版)」)

 統一問題には冷めた世論は当然承知の上で朴槿恵大統領や「朝鮮日報」がずいぶん<本気>で統一問題についてアピールしているのはもちろん最近の北朝鮮情勢を見ての上でしょう。

 1月1日の「朝鮮日報」で、南北の統一についての各国の識者たちの発言を紹介した記事の見出しに"눈사태처럼 올 통일… 지금 준비 안하면 北은 중국의 속국 될 것"(雪崩のようにやってくる統一・・・今準備しなければ中国の属国になるだろう)」という文言がありました。

 つまり、国民(あるいは政府首脳等)が望むが望むまいが、北朝鮮が崩壊する可能性が増してきており、またそのような状況下で中国の影響力が韓国として座視できないほど大きくなっている、という判断から朴槿恵大統領も「朝鮮日報」も新たな世論形成に打って出たということでしょう。

 実は、この問題については日本経済新聞社編集委員の鈴置高史氏が1月30日付で<このままでは北も南も中国の属国だ 「北の自壊」に公然と備え始めた韓国>という興味深い記事を書いています。(→コチラ。)
 ※鈴置高史氏の<早読み 深読み 朝鮮半島>はどれもおもしろいです。前回(1月16日)は<靖国で「しめた!」と叫んだ韓国だが・・・>(→コチラ)。

 さて、このような南北統一問題と直接関係ないかのようにみえる中国・ハルビンの安重根記念館の建設ですが、つい先日(1月30日)の「毎日新聞」の連載コラム<木語>で金子秀敏専門編集委員が<北朝鮮の人、安重根>と題して興味深い記事を書いています。(→コチラ。※会員制)
 会員でないと読めないので、一応記事の要旨を記しておきます。

 昨年(2013年)6月、朴槿恵大統領は訪中した際、習近平国家主席にハルビン駅に安重根記念碑、重慶市に光復軍(上海臨時政府の軍隊)総司令部記念碑を建てることを要望した。 
 この2つのモニュメントを合わせると、反日とは別の意味が浮かび上がる。
 韓国の憲法には、現在の韓国は「大韓民国臨時政府の法統を継承している」と記されている。 要するに、抗日独立武力闘争の本流は韓国だから、朝鮮半島を統一する権利は韓国にあるということだ。2つをセットにすると、朝鮮半島の唯一合法政府は南にあることを示す法統のモニュメントになる。しかも、それを中国に作らせれば、中国がこの法統を認めたことになる。朴大統領の狙いはこれだろう。
 一方、北朝鮮にはもちろん金日成の「抗日パルチザン伝説」がある。中国共産党軍はその抗日パルチザンの兄弟軍だった。1950年に北朝鮮軍が38度線を破って南進したときも中国は義勇軍を派遣した。北朝鮮を正統と見なしていたからだ。北朝鮮にすれば、韓国の法統モニュメントを建設するとは中国の裏切りだ。
 中国は1月19日、ハルビン駅内に安重根義士記念館を開館した。韓国紙によると、重慶の光復軍総司令部の復元も決めた。(→1月23日「中央日報(日本版)」)
 韓国メディアは「外交勝利」で高揚している。
 北朝鮮の官製メディアは26日「中国が安重根烈士の壮挙をたたえたのは極めて正当」と記念館を容認した。安重根の生まれ故郷は黄海道で、もともと北朝鮮の人だ。だが光復軍への言及はなかった。


 金子秀敏専門編集委員は、昨年7月の<木語>でも朴槿恵大統領の訪中について、同趣旨の記事を書いています。
 それについては、本ブログでも取り上げたことがありました。(→コチラ。)
 その過去記事のネタとなった「文藝春秋」(2013年10月号)の座談会で、松本健一先生が「(韓国が)独立戦争らしきものを求めると、金日成の抗日ゲリラ伝説くらいしか見いだせない。だから、韓国が国家の正当性をいおうとすると、北朝鮮と手を組むしかないわけです」というピントはずれの発言をしていますが、だからこそ逆に、北朝鮮の<建国神話>に対抗すべく、独自の<建国神話>を90年前後からせっせと構築してきたわけです。

 北朝鮮と中国との関係がギクシャクしてきている現在、また張成沢処刑にみられるような北朝鮮権力層内の不安定要因がさまざまに伝えられる現在、「<抗日の同志>でしょ」とモニュメント建設等により中国にすりより、北朝鮮をソデにして中国との結びつきを強化するとともに、「南北統一は周辺諸国(もちろん中国も含む)にとってプラス」と宣伝する・・・、とまあこういった外交戦略の構図が見てとれます。
 ・・・といっても、韓国政府や韓国メディアがそのように説明してくれてるわけではないし、ただそう考えると合点がいくな、ということを上記の金子秀敏氏や鈴置高史氏の記事や韓国各紙の記事を読んで思った次第です。

 そういえば、リンク先の過去記事の続きをまだ書いていませんでしたね。近いうちに書きます。

[2月5日]さっそく書きました。
 →[韓国の<聖地>上海 ②] 現行憲法前文にある「大韓民国臨時政府の法統」の意味を考える
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