ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [4月25日(金)~4月27日(日)]

2014-04-29 17:19:02 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 先週、以前からずっと気になっていた川崎市アートセンターに初めて行ってきました。そして、これまたずっと気になっていた映画「独立少年合唱団」(2000)を見てきました。横浜からはちょっと不便な新百合ヶ丘ですが、行って大正解! 青春映画でもあり、思想的・社会的な要素もありの深みのある作品です。多くの人にお薦めしたい・・・といっても、DVDは出ていなくて、DVDは現在アマゾンでは19,800円! あーあ。また香川照之が俳優として大きく注目された作品で、ヨコハマ映画祭、高崎映画祭、キネマ旬報ベスト・テン、ブルーリボン賞、毎日映画コンクール、日本放送映画藝術大賞と最優秀助演男優賞を総なめにしています。→コチラの記事(2004年の緒方明監督・香川照之・藤間宇宙の鼎談)では、その撮影時の興味深いエピソードがいろいろと語られています。緒方監督の最新作「友だちと歩こう」(2013)は、さいわい5月24日から横浜のシネマ・ジャック&ベティで上映とのことなので、ぜひ観に行かなければ・・・。

 もう1つ。昨日観た「レイルウェイ 運命の旅路」も、危うく見逃すところだった佳作。先週の「あなたを抱きしめる日まで」と同様に、これも原作は泰緬鉄道の敷設現場で捕虜として過酷な拷問を経験した元イギリス軍兵士エリック・ローマクス自身による本。(角川文庫で出ているのですね。) <映画生活>でレビューを見ていたら、中に「・・・過去の過ちを責め立てるのではく、互いに話し合いをして許しあう・受容する広さがなければ、いつまでたっても憎しみしか残らず進展することはないだろう。中国や韓国のトップにも観てほしい作品。まあ観て頂いても日本の残虐さだけを問いただして許容する精神に至らなければ元も子もないが」というくだりがありました。同じようなことを思う人はけっこういるかも・・・。
 関係ないけど、ニコール・キッドマンがなかなか風情があっていいなー。

 さて、拷問といえば渋谷アップリンクXで26日から「南営洞1985~国家暴力、22日間の記録~」が始りました。金斗煥による軍事政権下の1985年。民主化運動の闘士キム・ジョンテが公安警察に逮捕され、極悪非道な拷問を受ける、という内容の、これもキム・グンテによる自伝的小説に基づいた映画です。(なんか、すごく痛そうだなー・・・。) 同じくアップリンクXでは「南部軍」も上映開始。私ヌルボとしてはむしろコチラに興味があるんですけどね。

 韓国映画界関係今日の速報。「チョン・ドヨンが韓国人俳優・女優としては初めてカンヌ国際映画祭で審査員を務めることになった」とのことです。(→コチラ。)

 4月25日の「朝鮮日報」、久しぶりに「封切映画 ぴったり10字評」が載っていました。

        
  [左] 「アメイジング・スパイダーマン2」悪党を愛してもいいの?★★★ 「ミスター・ピーボディ&シャーマン」子供の日これで決まり!★★★☆ 「オンリー・ゴッド」「過ぎたる」が「及ばざる」例。★★☆ 
  [右] 「シャトルコック」羽根が君の胸をチクリ。★★★★ 「お父さんのEメール」父親の時代との和解を。★★★☆ 「10分」「安全な位置確保」、難しい。★★★☆
  ※「オンリー・ゴッド」は日本公開済。「シャトルコック」と「10分」については→ソウルナビの記事参照。

           ★★★ Daumの人気順位(4月29日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①弁護人(韓国)  9.5(30499)
②ミスター・ピーボディ&シャーマン  9.5(34)
③貪欲の帝国(韓国)  9.3(50)
④アーネストとセレスティーヌ  9.1(55)
⑤ハン・ゴンジュ(韓国)  9.1(164)
⑥リバー・ランズ・スルー・イット  9.1(120)
⑦あなたを抱きしめる日まで  9.0(49)
⑧怪しい彼女(韓国)  9.0(2692)
⑨イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.0(85)
⑩ベルとセバスチャン  8.9(57)\t

 ②「ミスター・ピーボディ&シャーマン」が初登場です。これについては後述。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③罪の手ざわり(中国・日本)  8.1(8)
④ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
④ミス・ヴァイオレンス  8.0(4)
⑥グランド・ブダペスト・ホテル  7.8(7)
⑦萬神(韓国)  7.7(4)
⑧そして父になる(日本)  7.6(6)
⑨アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑩物語る私たち  7.5(4)

 先週に続いて今回も新登場はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[4月25日(金)~27日(日)] ★★★

         「アメイジング・スパイダーマン2」が一人勝ち

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(30)・・アメイジング・スパイダーマン2・・4/23 ・・・・・・・・1,296,179 ・・・・・・・1,665,402 ・・・・・・・14,362・・・・・・1,312
2(新)・・ミスター・ピーボディ&シャーマン・・4/16・・・・・・・・・126,792・・・・・・・・・135,987 ・・・・・・・・1,034・・・・・・・・533
3(1)・・キャプテン・アメリカ/ ・・・・・・・・3/26・・・・・・・・・・・・107,134 ・・・・・・・3,881,824 ・・・・・・・31,110・・・・・・・・369
           ウィンター・ソルジャー
4(3)・・さまよう刃(韓国)・・・・・・・・・・・・・4/10 ・・・・・・・・・・・・・87,281・・・・・・・・・958,995 ・・・・・・・・7,597・・・・・・・・374
5(2)・・ダイバージェント ・・・・・・・・・・・・・4/16 ・・・・・・・・・・・・・58,581・・・・・・・・・399,235 ・・・・・・・・3,114・・・・・・・・336
6(6)・・ハン・ゴンジュ(韓国) ・・・・・・・・・4/17・・・・・・・・・・・・・・47,337 ・・・・・・・・141,558 ・・・・・・・・1,118・・・・・・・・215
7(7)・・グランド・ブダペスト・ホテル ・・・3/20・・・・・・・・・・・・・・36,448・・・・・・・・・676,191 ・・・・・・・・5,231・・・・・・・・155
8(4)・・サン・オブ・ゴッド ・・・・・・・・・・・・4/10・・・・・・・・・・・・・・24,905・・・・・・・・・309,055 ・・・・・・・・2,252・・・・・・・・235
9(新)・・パガニーニ・・・・・・・・・・・・・・・・・4/23・・・・・・・・・・・・・・10,914 ・・・・・・・・・15,956 ・・・・・・・・・・120・・・・・・・・・96
           愛と狂気のヴァイオリニスト
10(8)・・フェイス・オブ・ラブ・・・・・・・・・・・4/16・・・・・・・・・・・・・・・8,646 ・・・・・・・・・71,091・・・・・・・・・・527・・・・・・・・・91
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「アメイジング・スパイダーマン2」が130万近い動員数を記録したものの、2位はその1割にも達せず、以下も軒並み低調。まだセウォル号沈没事故の余波が続いているようです。
 今回の新登場は1・2・9位の3作品です。
 1位「アメイジング・スパイダーマン2」は、日本でも4月25日から公開されているので、説明は省略します。韓国題は「어메이징 스파이더맨 2」。
 2位「ミスター・ピーボディ&シャーマン」はドリームワークス製作のアニメ。犬の姿をしたミスター・ピーボディは最強のビジネスマンにして発明家、その上オリンピック・メダリストや科学者でもあり、そして犬! ところが彼の養子シャーマンは女ともだちペニーを連れてピーボディが発明したタイムマシンに無断で過去に行き、歴史を大きく変えてしまいます。異変に気づいたピーボディは世界を破滅から救うため彼も過去の世界に行き歴史の修復に乗り出します・・・。それにしても、アメリカアニメに登場する女の子はアナにかぎらず目がでかいなー。いや、鼻と口が小さいのか? しかし、歴史の改竄は過去に行かなくても簡単にできるんだけどな、というのは冗談。韓国題は「천재 강아지 미스터 피바디(天才子犬ミスター・ピーボディ)」。日本公開は11月1日。中国でも3月28日公開なのに、この遅さはなぜ?
 8位「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」は、モデルとしても活躍するヴァイオリニストのデイヴィッド・ギャレットが主演。才能も認められず金も尽きていたパガニーニを見込んだ男がさまざまな手段で彼に最高の舞台を用意します。そこで才能を発揮したパガニーニはたちまち富と名声を手に入れるのですが・・・。韓国題は「파가니니:악마의 바이올리니스트(パガニーニ:悪魔のヴァイオリニスト)」です。日本公開は7月11日。デイヴィッド・ギャレットのステージはYouTubeでいろいろ見られます。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・パガニーニ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/23 ・・・・・・・・・・・・10,924・・・・・・・・・・・・・・15,956・・・・・・・・・120・・・・・・・・・96
       愛と狂気のヴァイオリニスト
2(1)・・あなたを抱きしめる日まで ・・・・・・・・・・4/16・・・・・・・・・・・・・・2,046・・・・・・・・・・・・・・33,121・・・・・・・・・239・・・・・・・・・25
3(新)・・リバー・ランズ・スルー・イット・・1993/4/24・・・・・・・・・・・・・・1,801・・・・・・・・・・・・・・・2,298・・・・・・・・・・・5・・・・・・・・・・1
4(新)・・お父さんのEメール(韓国)・・・・・・・・・・・4/24・・・・・・・・・・・・・・・523・・・・・・・・・・・・・・・1,452・・・・・・・・・・・9・・・・・・・・・21
5(15)・・エル・シド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1971/9/21・・・・・・・・・・・・・・・418・・・・・・・・・・・・・・・5,271・・・・・・・・・・・6・・・・・・・・・・1

 1・4・5位が新登場です。2位「リバー・ランズ・スルー・イット」は<DAUM>の人気順位にしばらく前から入っています。
 1位「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」については上述しました。
 4位「お父さんのEメール」は韓国のドキュメンタリーです。「컴맹(computer盲)」だった73歳の父が世を去る前に1年間次女に送ってきた43通のメール。父の葬儀を終えた後再び開いたメールは父が家族全員に残した最初で最後の自分の話だった。朝鮮戦争、ベトナム戦争、88オリンピック、そしてアパート再開発の嵐まで・・・。韓国近現代史の大枠の中で父の足跡は小さいとはいえはっきりと足跡を残した。そして、その歩みが揺らぐ度に私たちの家族の生活も一緒に揺れた。父の人生は家族史である同時に大韓民国の時間だった。父はどのように生き、何を言いたかったのだろうか? そして、なぜ私たち家族は父に一度も聞かなかったのだろうか? 今私は父の手紙に返事を送ろうとしている・・・。うーむ、これは観てみたいな。原題は「아버지의 이메일」です。
 5位「エル・シド」は、1961年米・伊合作のスペクタクル歴史大作。日本では1962年公開でしたが、韓国では1971年なのか。話題にはなってましたが、少年ヌルボは観てなかったですね。チャールトン・ヘストンとソフィア・ローレンといういかにもの配役。音楽のミクロス・ローザはあの「ベン・ハー」でアカデミー賞音楽賞を受賞した作曲家ですね。韓国題は「엘 시드」です。
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「親日詩人」(?)金鍾漢(キム・ジョンハン)の作品を読む

2014-04-24 23:46:35 | 韓国の小説・詩・エッセイ
         

 黒川創(編)「<外地>の日本文学選3 朝鮮」(新宿書房1996)は、高浜虚子「朝鮮(抄)」や中西伊之助「不逞鮮人」等、他ではほとんど目にすることがない日本の統治期の日本人と朝鮮人の17作品を集めたアンソロジーです。

 私ヌルボが金鍾漢(キム・ジョンハン)という詩人の名前とその日本語詩数編を知ったのも、この本で読んだのが最初でした。
 最近この本を久しぶりに読み直して、その詩の意義を再認識しました。

 金鍾漢は1914年2月咸鏡北道明川郡(現在は北朝鮮)に生まれました。37年に渡日して日本大学に入学し、卒業後婦人画報社に勤務しながら詩作を続けました。
 この本には、1943年7月に刊行された『たらちねのうた』という日本語の詩集から7編が抜粋・収録されています。

 読みづらい小説をいくつか読み終えて、箸休めみたいな感じで読みやすそうな詩のページがあったのでなんとなく目に止まったのがそれらの詩です。

    一枝について 

 年おいた山梨の木に 年おいた園丁は
 林檎の嫩枝(わかえだ)を接木(つぎき)した
 研ぎすまされたナイフをおいて
 うそさむい 瑠璃色の空に紫煙(けむり)を流した
 そんなことが 出來るのでせうか
 やをら 園丁の妻は首をかしげた

 やがて 躑躅が賣笑した
 やがて 柳が淫蕩した
 年おいた山梨の木にも 申譯のやうに
 二輪半の林檎が咲いた
 そんなことも 出來るのですね
 園丁の妻も はじめて笑つた

 そして 柳は失戀した
 そして 躑躅は老いぼれた
 私が死んでしまつた頃には
 年おいた 園丁は考へた
 この枝にも 林檎が實(な)るだらう
 そして 私が忘れられる頃には

 なるほど 園丁は死んでしまつた
 なるほど 園丁は忘られてしまつた
 年おいた山梨の木には 思出のやうに
 林檎のほつぺたが たわわに光つた
 そんなことも 出來るのですね
 園丁の妻も いまは亡(な)かつた


 「なんだ、これは!?」という驚きで目がさめたような気分でした。
 躑躅(ツツジ)=진달래(チンダルレ)も柳=버드나무(ポドゥナム)も、いかにも朝鮮らしい植物です。国民的愛唱歌「故郷の春」の歌詞にツツジも出てくるし、柳の都といえば平壌のことで、だから例の柳京ホテルもあるわけです。(ヤマナシは、ソウルの特産種の문배나무(ムンベナム)のことかな?)
 山梨に林檎を接木するというのが「日韓併合」「内鮮一体」を指すことは隠喩というにはあまりに明らかです。すると「柳は失戀した」とか「躑躅は老いぼれた」とかは・・・。

 次は、朝鮮で創刊された日本の国策雑誌『国民文学』の1942年7月号に<徴兵の詩>として掲載されたという詩です。

    幼年 

 ひるさがり
 とある大門のそとで ひとりの坊やが
 グライダアを飛ばしてゐた
 それが 五月の八日であり
 この半島に 徴兵のきまつた日であることを
 知らないらしかつた ひたすら
 エルロンの糸をまいてゐた

 やがて 十ねんが流れるだらう
 すると かれは戦闘機に乗組むにちがひない
 空のきざはしを 坊やは
 ゆんべの夢のなかで 昇つていつた
 絵本で見たよりも美しかつたので
 あんまり高く飛びすぎたので
 青空のなかで お寝小便(ねしょ)した

 ひるさがり
 とある大門のそとで ひとりの詩人が
 坊やのグライダアを眺めてゐた
 それが 五月の八日であり
 この半島に 徴兵のきまつた日だつたので
 かれは笑ふことができなかつた
 グライダアは かれの眼鏡をあざけつて
 光にぬれて 青瓦の屋根を越えていつた


 後の「親日派」批判の風潮に大きな影響を及ぼした林鍾国(イム・ジョングク)「親日文学論」(1966)では、先の「園丁」(のち「一枝について」に改題)を全文引用しているそうです。つまり、代表的親日作品として。
 「幼年」も、翌1942年5月8日からの朝鮮人徴兵制度実施を宣揚する日本語詩として批判の対象としているとか・・・。
 しかし、戦闘機に乗組むにちがひない十年後の坊やはなぜ「青空のなかで お寝小便(ねしょ)」をするのでしょうか? なぜ詩人は「笑ふことができなかつた」のでしょうか?
 もっと「わかりやすい」作品が、真珠湾攻撃の日12月8日を歌った「たらちねのうた」です。

    待機

 雪がちらついてゐる
 しんみりしづかに 雪がちらついてゐる
 そのなかを ききとして きみたちは
 いもうとよ またいとこよ おとうとよ
 まなびやへと急いでゐる
 ながいながい 昌慶苑の石垣づたひ
 雪がちらついてゐる

 しんみりしづかに
 雪がちらついてゐる ちらついてゐる
 いもうとよ またいとこよ おとうとよ
 それはふりかかる きみたちのかたに
 たわわな髪の毛に ひひとして やぶれ帽子のうへに
 十ねんわかくなつて わたくしも
 きみたちと 足なみをそろへてゐる
 雪がちらついてゐる

 たしか きよねんの十二月八日にも
 雪がちらついてゐた あれから一ねん
 たたかひはパノラマのやうに
 みんなみの海へひろげられていつた
 そしてきみたちは ごはんのおいしさをおそはつた
 またいとこよ いもうとよ おとうとよ
 きみたちのうへに 雪がちらついてゐる

 雪がちらついてゐる
 ながいながい 昌慶苑の石垣づたひ
 かくも 季節のきびしさにすなほなきみたちに
 あへてなにをか いふべき言葉があらう
 雪がちらついてゐる しんみりしづかに
 いもうとよ またいとこよ おとうとよ
 雪がちらついてゐる きみたちの成長のうへに
 ひひとして 雪がちらついてゐる


 あの高村光太郎の「十二月八日」や三好達治の「捷報いたる」のような昂揚感は微塵もありません。それどころか、(南富鎭静岡大教授によると)当日の京城には雪はちらついていなかったというではないですか。
 雪は「きみたちの成長のうへ」にちらついているのです。

 これらの詩に「親日文学」とレッテルを貼って排斥してしまうとは、まさに政治的尺度のみで文学の価値づけをするようなもので、スターリニズムやナチスドイツ、そして現在の北朝鮮と同様のものになってしまいます。

 金鍾漢全集」(緑陰書房.2005)の布袋敏博早大教授の解説によると、研究者として金鍾漢に注目したのは大村益夫名誉教授の論文「金鐘漢について」(1979)が最初だそうです。
 大村名誉教授は、その論文の中で次のように記しています。

 金鐘漢という文学者の生き方は、抵抗か親日かという二者択一をせまる単眼のみではとらえられぬ複雑な様相を呈している。「大東亜戦争」下に生きた文学者たちの発言を一度当時の時点にもどし、かれらが置かれた状況のもとにおいて相対的に眺めるとき、鐘漢は一面、親日文学者でありながらも一面、抵抗詩人であったことがわかってくる。このことはなにも鐘漢ばかりでなく、同時代に生きた多くの文学者についてもいえることである。金史良とて例外ではなかったはずである。

 また、「<外地>の日本文学選3 朝鮮」の編者黒川創さんも解説で次のように記しています。

 金鐘漢は、一九四四年九月、三〇歳で急逝する。もし、彼が戦争下を生きぬいて植民地朝鮮の解放を迎えていたなら、この詩人の存在は、「親日」批判とも「転向」批判とも異なる植民地下の文学活動への批評の視座を、もたらすことになったのではないかと想像してみずにはいられない。

 上の文中にあるように、彼は1944年9月京城で急性肺炎のため世を去りました。
 彼の3歳年下尹東柱(ユン・ドンジュ.1917年生)が福岡刑務所で獄死したのは1945年2月です。
 今、尹東柱は韓国では知らぬ人はなく、日本でも多くの人が知っています。彼の有名な作品「序詩」は、

 いのち尽きる日まで天を仰ぎ 
 一点の恥じることもなきを、
 木の葉をふるわす風にも
 わたしは心いためた。


 ・・・と、傷ましいほど清冽な言葉を連ねています。

 一方、金鍾漢については、「金鍾漢全集」の巻頭で大村益夫さんは彼の「雷」という詩の一節を引用しています。

 はんかちのやうに つつましくあらうと希ひ
 はんかちのやうに よごれては帰る


 どんな心で彼がこういう詩句を書いたか、親日派を批判する人たちの想像力はそこまで及ばないのでしょうか?

 彼の遺稿に「くらいまつくす」という詩があります。『民主朝鮮』創刊号に掲載されたのは、戦争後の1946年4月でした。

    くらいまつくす 

 三本の鉉(いと)が切れても
 G線上のありあは奏でられる
 ぴん止めにされた蝶よ
 はかない生命(いのち)よ はばたくがよい
 死と生の刃(やいば)の上で
 お祈りした三十歳の言葉は
 高麗古磁の意匠よりも絢爛であつた
 こはれた樂器のやうに
 音樂を欲しながら


 ・・・三本の鉉が切られたような時代状況にあって、残された一本でかろうじて奏でたアリアを、70年後の現代に生きる者たちはどれほど聴き取ることができるのでしょうか?

 「一点の恥辱なきことを」自ら希って純粋に生き、獄死した尹東柱だけでなく、このような「親日詩人」にももっと関心が向けられなければならないと思います。

※参考→藤石貴代「金鐘漢論」

※神奈川新聞社の社員だった金達寿は1943年韓国に渡り、京城日報の社員になりますが、そこで前年1月頃から朝鮮に戻っていた金鍾漢と会ったりしています。後に書かれたその当時の回想は「金鍾漢全集」に収録されています。なお、上記文中の『民主朝鮮』は金達寿が創刊した雑誌(文芸誌?)。

               
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [4月18日(金)~4月20日(日)]

2014-04-22 23:58:58 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 この1週間、映画は観てないなと考えながらこの記事を作成していたら、<DAUM>の人気順位中に「あなたを抱きしめる日まで」があるのを発見。まだ観ていなかったことに気づき、横浜ブルクに直行。ありきたりのラブロマンスっぽいタイトルだから見過ごしていたのですよねー。
 で、観に行って大正解。今年に入って観た20本の中で1番かも。以前はなんとなくよく見る脇役のオバサンだったジュディ・デンチ、観るごとにその演技の深さがわかってきます。
 内容はというと、1952年アイルランドで10代で未婚のまま妊娠したフィロミナはカトリックの修道院に入れられ、生まれた男の子は修道院によってアメリカに養子に出されてしまうのですが、60年近く経ってフィロミナがジャーナニストと2人でアメリカに息子を探しに行くという実話に基づいた話。観終わって思ったのは、この話は韓国にも共通するということ。つまり海外への<入養児(입양아.イビャンア)>の問題。韓国が外国に送り出した多くの養子の問題については、本ブログ゛でも映画「冬の小鳥」(→コチラ)や「はちみつ色のユン」(→コチラ)についての記事で取り上げてきました。
 というわけで、韓国の映画ファンはどう受けとめたのかなと思い<DAUM映画>で見てみると、映画評論家のファン・ジンミさんだけがこのことに触れていました。「孤児輸出国韓国の観客が見るには、この映画の告発は薬菓でしょう★★☆5.0」との評です。
 しかし、この朝鮮戦争とその戦後の頃、多くの養子を外国から受け入れたアメリカ側の事情についても気になるところです。また、こんなとこでもアイルランドと韓国の共通項があるのかということも。
 ・・・と、思わぬところで韓国がらみの問題と遭遇。

 先週16日に起こった旅客船セウォル号の沈没事故以来、韓国社会は日本の東日本大震災後にも近いようなTVの娯楽番組や芸能関係の公演等の中止の波が広がりました。プロ野球やサッカーも応援自粛です。20日の「朝鮮日報」の記事(→コチラ.韓国語)によると、映画もその影響で週末の興行成績は半分、1日33万人の落ち込みで、歴代最低レベルだそうです。そのためか、18日の「朝鮮日報」には映画欄なし。「ぴったり10字評」もありませんでした。

 その他「朝鮮日報」の映画関連の記事でとくに注目は、その1が「ハン・ゴンジュ」と「さまよう刃」に共通する問題について。(→コチラ.韓国語。) 見出しは「10代少女の残酷史・・・それでも希望を」です。「ハン・ゴンジュ」については後述します。
 その2は「5月15日公開予定の「ゴジラ」、旭日旗を活用したポスターで論乱」という見出しの記事。(→コチラ.韓国語。)

           
      【背景はもろ「旭日旗」。あえてコメントは致しません。】

           ★★★ Daumの人気順位(4月22日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①ハン・ゴンジュ(韓国)  9.5(87)
②弁護人(韓国)  9.5(30474)
③貪欲の帝国(韓国)  9.4(46)
④アーネストとセレスティーヌ  9.1(55)
⑤リバー・ランズ・スルー・イット  9.1(120)
⑥あなたを抱きしめる日まで  9.1(37)
⑦怪しい彼女(韓国)  9.0(2688)
⑧イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.0(84)
⑨ベルとセバスチャン  8.9(53)\t
⑩舟を編む(日本)  8.9(46)

 ①「ハン・ゴンジュ」と⑥「あなたを抱きしめる日まで」が初登場です。
 ①位「ハン・ゴンジュ」はいろんな意味で大注目作。昨年の第18回釜山国際映画祭でCGVムービーコラージュ賞と市民評論家賞を受賞、その他第43回ロッテルダム国際映画祭等多くの映画祭での受賞が相次いでいます。(→コチラ参照。) タイトルの「ハン・ゴンジュ(한공주)」は主人公の女子高生の名前。「ある(1人の)お姫様」とも読めますが・・・。予期せぬ事件で友人を失い、地方の小都市から逃げるように都会の高校に転校することになった彼女が直面する痛みとその傷を癒しながら克服していく過程を淡々と描く・・・と、ぼやかした説明が多く見られますが、実は2004年に起きた「密陽女子中学生事件」がモチーフとなった作品です。この何ともひどいとしか言いようのない事件については、本ブログの<韓国映画「ビー・デビル」の感想と、モチーフとなった3つの事件のこと等>と題した記事(→コチラ)で書きました。(ウィキペディアにも項目あり。)
「何ともひどいとしか・・・」というのは、事件そのものも残酷であるばかりか、その後の警察の対応や、彼女を取り巻く「世間」のどうしようもなさに言葉を失います。それだけでもすでに彼女がかわいそうなのと義憤で涙が・・・。この上、映画まで視たらぐちゃぐちゃになりそう。この作品が作られたこと、そして高評価を受けていることが1つの希望ではあります。こうした韓国の現実を、嫌韓のネタにしないことを望みます。(なぜこんな事件が多く起こるのか、についてはヌルボなりに考えてみます。)
⑥「あなたを抱きしめる日まで」については上述しました。韓国題は「필로미나의 기적(フィロミナの奇跡)」です。日本では3月15日から劇場公開されています。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③罪の手ざわり(中国・日本)  8.1(8)
④ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
④ミス・ヴァイオレンス  8.0(4)
⑥グランド・ブダペスト・ホテル  7.8(7)
⑦萬神(韓国)  7.7(4)
⑧そして父になる(日本)  7.6(6)
⑨アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑩物語る私たち  7.5(4)

 今回の新登場はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[4月18日(金)~20日(日)] ★★★

         「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」が4週連続1位だが、数字は大幅減

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・キャプテン・アメリカ/ ・・・・・・・・3/26・・・・・・・・・・・・242,938 ・・・・・・・3,705,395 ・・・・・・・29,735・・・・・・・・558
             ウィンター・ソルジャー
2(18)・・ダイバージェント・・・・・・・・・・・・4/16 ・・・・・・・・・・・・212,933・・・・・・・・・278,424 ・・・・・・・・2,195・・・・・・・・507
3(2)・・さまよう刃(韓国) ・・・・・・・・・・・・4/10 ・・・・・・・・・・・・189,515・・・・・・・・・801,763 ・・・・・・・・6,371・・・・・・・・489
4(4)・・サン・オブ・ゴッド ・・・・・・・・・・・・4/10・・・・・・・・・・・・・・67,940・・・・・・・・・258,437・・・・・・・・1,888・・・・・・・・348
5(新)・・ニード・フォー・スピード ・・・・・・4/16 ・・・・・・・・・・・・・・60,654 ・・・・・・・・・81,887・・・・・・・・・・657・・・・・・・・349
6(64)・・ハン・ゴンジュ(韓国) ・・・・・・・・4/17・・・・・・・・・・・・・・47,467 ・・・・・・・・・60,931・・・・・・・・・・486・・・・・・・・225
7(6)・・グランド・ブダペスト・ホテル ・・・3/20・・・・・・・・・・・・・・43,051・・・・・・・・・613,912・・・・・・・・4,811・・・・・・・・182
8(37)・・フェイス・オブ・ラブ・・・・・・・・・・・4/16・・・・・・・・・・・・・・28,649 ・・・・・・・・・46,097・・・・・・・・・・348・・・・・・・・222
9(7)・・ミニスキュル 劇場版・・・・・・・・・・4/10・・・・・・・・・・・・・・27,935 ・・・・・・・・・88,260・・・・・・・・・・635・・・・・・・・236
10(3)・・ザ・レジェンド・オブ・ヘラクレス・・4/10 ・・・・・・・・・・・・18,847 ・・・・・・・・212,557 ・・・・・・・・1,603・・・・・・・・240
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 冒頭に書いたように、今回は数字がどかっと落ち込んでいます。4週連続トップの「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」も24万人強ですからねー。
今回の新登場は2・5・6・8位の4作品です。
 2位「ダイバージェント」は、アメリカの10代に人気の作家ベロニカ・ロスのベストセラー「ダイバージェント 異端者」(翻訳あり)を映画化したSFファンタジーアクション。舞台は、世界が崩壊してから100年後のシカゴ。そこでは住民を「無欲」「高潔」等の5つの派閥に振り分けることで争いのない社会を維持しています。主人公の少女トリスは16歳になった年に所属する派閥を選ぶ儀式を迎えますが、適性テストで下された診断結果は5つの派閥のどこでもない存在=ダイバージェント(異端者)。彼女はそのことを書くして「勇敢」派閥に加わるためのハードな入会儀式に挑みますが、やがて派閥間の争いに飲みこまれていきます・・・。韓国題は「다이버전트」。日本公開は7月です。
 5位「ニード・フォー・スピード」は、人気レーシングカー・ゲームを映画化したアメリカのアクション。レーサーのトビー(アーロン・ポール)は、かつてパートナーだったディーノ(ドミニック・クーパー)により無実の罪を負わされていまいます。その復讐を胸に、公道を走る危険なストリート・レースに挑みますが、勝つためには手段を選ばないライバルたちや、彼の逮捕に執念を燃やす警察に追われながらトビーはゴールを目指します・・・。韓国題は「니드 포 스피드」。日本公開は6月7日です。
6位「ハン・ゴンジュ」については前述しました。
8位「フェイス・オブ・ラブ」は、アメリカのドラマ、なのかロマンスなのか・・・。5年前に最愛の夫を亡くした女性が、その彼と瓜二つの男性に出会って、親切なところやユーモアなども共通していてたちまちトムに魅了され・・・、というところまではわかるのですが、はたしてその先には幸せが待っているのか、それとも・・・。どうも彼女の愛の一人よがりな点がカギみたいだぞ。韓国題は「페이스 오브 러브」、日本公開は未定です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・あなたを抱きしめる日まで・・・・・・・・・・・4/16 ・・・・・・・・・・・・12,595・・・・・・・・・・・・・・23,494・・・・・・・・・173・・・・・・・・192
2(10)・・グランドピアノ ~狙われた黒鍵~・・4/17 ・・・・・・・・・・・・・7,343・・・・・・・・・・・・・・13,140・・・・・・・・・・94・・・・・・・・・88
3(新)・・渚にて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,702 ・・・・・・・・・・・・・・・1,702・・・・・・・・・・・3・・・・・・・・・・1
4(新)・・SHORT PEACE(日本)・・・・・・・・・・・・・4/17・・・・・・・・・・・・・・・536・・・・・・・・・・・・・・・・・713・・・・・・・・・・・5・・・・・・・・・・5
5(新)・・避暑地の出来事・・・・・・・・・・・・1972/8/19・・・・・・・・・・・・・・・452・・・・・・・・・・・・・・・5,888・・・・・・・・・・11・・・・・・・・・・1

 めずらしく、全部新登場です。
 1位「あなたを抱きしめる日まで」については冒頭でいろいろ書きました。
 2位「グランドピアノ ~狙われた黒鍵~」は、日本では3月8日から公開されています。韓国題は「그랜드 피아노」です。
 3位「渚にて」は、1959年のアメリカ映画の再上映。グレゴリー・ペックとか、エヴァ・ガードナーとか懐かしいなー。韓国題は「그 날이 오면(その日が来れば)」で原題「On the Beach」とは全然違います。
4位「SHORT PEACE」は、大友克洋等4人のアニメ作品のオムニバスですが、日本での反応は今ひとつだったかな? ヌルボも観てません。韓国で評点をつけてるネチズンは2人だけ。一応どちらも10.0なんですけどね。韓国題は「쇼트피스」です。
5位「避暑地の出来事」もアメリカ映画の旧作の再上映。1959年の作品なんだけどな。トロイ・ドナヒューとかサンドラ・ディーとか、これまた懐かしい名前。映画は見てませんが、パーシー・フェイス楽団による主題曲「夏の日の恋」なんてのもよく聴いたもんだ。(&ハーモニカで吹いたりもしていた。) 韓国題は「피서지에서 생긴 일(避暑地で起こったこと)」です。
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[韓国語の旧語] 「ハコバン(箱部屋)」は日本語由来なので「パンジャッチプ(板子家)」に・・・

2014-04-21 23:56:37 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 神保町にある韓国専門書店の老舗で、私ヌルボも四半世紀前(?)からひいきにしている三中堂が来月佐倉に移転することになりました。横浜在住の私ヌルボとしてはとても残念なことです。
 ※1ヵ月ほど前の「朝鮮日報」でも報じられました。(→コチラ。→日本語版。)

 実はちょうど2週間前、ちょっとした偶然が重なって、この三中堂の店主・佐古さんとお酒を飲みながら話をするという機会を得ました。
 このことは、佐古さんがご自身のFACEBOOK(→コチラ)に記されていて、私ヌルボとしては甚だ恐縮の至りです。
 今まで私的な話を交わすことはなかっただけに、伺いたいことがいろいろありました。

 その中で、佐古さんが初めて行った時のことが聞けたのがよかったです、・・・と言っても、限られた時間だったので、そのサワリの部分なのですが・・・。
 驚いたのは、その初の韓国旅行というのが1968年だったということ。(2回目は1973年。) 佐古さんは私ヌルボと同い年。大学生の頃です。(ヌルボは大学の第三外国語で朝鮮語を選択するもわずか数回で脱落するという最初の挫折を経験した頃。)

 船で釜山へ行ったとのことで、関釜連絡船と思ったら、神戸港からの貨客船だったそうです。そういう船便があったのですね。
 それから正味16日間の韓国あちこち旅行となるわけですが、上記FACEBOOKを見るとやっぱり旅行記録をきっちり残されているようです。早く読みたいものです。

 いろいろ伺った中で、当時のソウルの街の印象ということで佐古さんが口にした言葉が「ハコバン」駱山(ナクサン.낙산)に密集しているそのハコバンを見て驚いたとのことでした。

 私ヌルボ、なんとなく聞いたことはあるといった程度の言葉です。箱+パン(방.房=部屋)でハコバン。バラックといった意味の言葉です。
 
 帰宅後하코방(ハコバン)」でネット検索すると約1,370,000件のヒット。「하꼬방」だと約27,700件です。
 このような日本語由来の、あるいは日本語混じりの言葉は別の言葉に言い換えるという「基本方針」に則って、この言葉も판잣집(パンジャッチプ)」とするのが正しいとされているようです。「판자(板子)」+「집(家)」の合成語で、「판자집」という表記例も多数あります。しかし、検索のヒット数は판잣집が約232,000件、판자집が約129,000件で、하코방よりはるかに少ない数字です。
 実際、2010年11月の「OhmyNews」の<「ハコバンに住む人は人ではないのか」 行き場所のない(仁川市)トファ洞の住民たち、開発のあおりで生活基盤を失う>という記事(→コチラ)でも見出しに하코방という言葉を使っています。

 また、하꼬방촌(ハコバンチョン[村])という言葉もありますが、近年はこれも「달동네(タルトンネ.月の街)」「판자촌」(パンジャチョン.板子村)とすべきだ、と指摘されています。(90年代以降の親日清算の流れで、日本語由来の言葉を否定する執念情熱はなみなみならぬものがあります。)
 ※タルトンネ(月の街)というのは、そのような貧民街が丘の上にあるため、月に近い所という意味でよばれたのです。サントンネ(산동네.山の街)も同じ。イ・チョルファン(作)草剛(訳)の「月の街 山の街」の題意もそういうことです。原題は「연탄길(練炭の道)」ですけど。
 駱山も、東大門の北、恵化駅の東の方の丘です。
 ※現在の駱山の外観については→コチラや→コチラに写真&説明があります。

 しかし、ハコバンは基本的に板切れで囲ったバラックなので板子家でOKですが、タルトンネの家は基本的にセメント壁。道もセメントで固められていてたりしています。
 また時代的にも、ハコバン村(パンジャ村)は終戦後~朝鮮戦争の時期に形成され、70年頃まで続いたのに対し、タルトンネは70年代以降現代に至るまでの経済成長期に形成されてきた街区とみる方がより的確です。
 もっとも、タルトンネはソウル五輪の前後から再開発が進められ、とくに今世紀に入ってからはどんどん消えていってます。それとともに、最近では人々に蔑視され忌避される所というよりも、人情を厚かった昔を思い出させる所としてドラマや映画の舞台になったり(「製パン王キム・タック」等)、観光客が訪れたりする街となっています。また、かつて板子村が並んでいた清渓川沿いには清渓川板子家体験館ができ(→コチラ参照)、仁川のかつてタルトンネがあった水道局山にはタルトンネ博物館が造られました。(→ソウルナビ。→コネスト。)
 どちらも、日本の1950~60年代を思い起こさせる懐かしい雰囲気が漂っているようです。私ヌルボはどちらも行ったことはありませんが・・・。
 ※このタルトンネの歴史については、立命館アジア太平洋大学の轟博志准教授の→コチラの論稿に詳しく述べられています。

 また、現在もパンジャッチプがないわけではありません。2008年のコチラ→の<OhmyNews>の記事は「31年暮らしてきてもパンジャッチプは自分の家にならないのか?」という、公園造成のため追い立てをくらっている住人に取材しています。(コチラはハコバンではなくパンジャッチプ。) 外見はバラックそのものでも、中は冷蔵庫やガス台もあって、けっこうフツーです。

 ちなみに、韓国で最初のパンジャ村はソウル市龍山(ヨンサン)のヨンサン洞2街を中心とした辺りで、「해방촌(ヘバンチョン.解放村)」とよばれてきました。終戦後日本や旧満州等から引きあげてきた人、「越南(월남)」すなわち北朝鮮から38度線を越えてきた人たち等が米軍部隊から流れてきたボール紙の箱や板で囲って壁にした家が多かったとか・・・。そして朝鮮戦争中に避難したり、家や財産を失った人たちが多数定着したということで、そんな歴史に由来する呼称です。
 昨2013年にこの「解放村」に行ってきた人のブログ記事を2つ(→コチラと→コチラ)読みました。お二方とも越南してきたおばあさんの話を聞いているんですね。いい話です。写真からも今の「解放村」の雰囲気がよく窺えます。

 ところで、私ヌルボがなんでハコバン村(パンジャ村)やタルトンネに興味を持ったかというと、最近たまたま大阪の日之出書房(→関係記事)で購入した櫻井義之「明治と朝鮮」(復刻版)という本の「土幕民と火田民」という一文を読んでいたからです。この土幕民とは、ウィキペディア(→コチラ)の説明にもあるように、日本の統治時代に「官有地私有地を無断占拠して居住する者」(京城府の定義)で、その住居(=土幕)は写真にもあるように竪穴式住居と見間違えるようなものさえあったということです。

       
 【1964年に刊行された本の1995年の復刻版。「土幕民と火田民」は1932年の論考。右の写真の場所は記されていません。】

 問題は、土幕民たちに公有地・私有地等という土地の所有権という観念が希薄だったということのようで、それは現代にまで及んでいるのでは、ということ。(上述の31年板子チプに[不法に]住んでる人もそんな感じが・・・。)
 また上掲のウィキペディアには、(日韓併合後日本に移り住んだ朝鮮人たちは)「内地においても土地を不法占拠し、土幕を形成するようになった」(例:ウトロ等)と相当に批判的な筆致で書かれていますが、ヌルボが考えたのは、そのような観念も歴史的に形成されるものなので、その点を理解しないとただ軋轢を生むばかりではないか、ということ。とくに必要がなければ、竹島とか尖閣のような領有権なんてどうでもいいわけだし、現に近代以前はどうでもよかった。それと同様です。
 最近読んでちょっと驚いたのは「李朝社会には村境もなければ、荘園台帳の一冊もない。あるのは、流民の集まる粗放な同族中心の村と、所有権のない荒蕪地ばかりである」という古田博司筑波大教授の著書の記述と、それを紹介している辻本武さんのブログ記事(→コチラ)に記されているたとえば次のような知見です。
 李朝時代に荘園台帳がなかったのは、地縁共同体が成立していなかったから荘園台帳を作成する必要がなかった、ということです。また村境がないのも、地縁共同体としての範囲を定める必要がなかったからです。男系血縁共同体である宗族のみが重要な李朝社会では地域全体の利益を考えることはなかったのですから、地域の記録・文書を作成すること自体がなかったのです。
 ・・・いやー、私ヌルボ知りませんでした。もしかして、こういう歴史もいろんな形で現在にまで影響を及ぼしているのでは、と思った次第です。

 いかんなー、この頃たくさん書きすぎだなー・・・。

     
          【現在の駱山(ナクサン)方面の景観。(GoogleEarthから加工。)】
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野間秀樹「日本語とハングル」は日本語への認識が深まる本だが、言語ナショナリズムはきっちり批判◎

2014-04-19 23:51:10 | 韓国語あれこれ
       

 韓国語学習者の必読書「ハングルの誕生」(2010年)(→関係過去記事)の著者・野間秀樹先生の新刊書です。
 発行日は2014年4月20日となっていますが、すでに書店に出てます。私ヌルボ、即購入してきてイッキ読みしました。

 まず書名を見て「あれっ?」と思う人は多いはず。ヌルボもその1人でした。
 「日本語」は言語の名称で、「ハングル」は文字の名称なのに、堂々と並列しちゃっていいの?・・・という疑問です。(この点は必ずしも常識にはなっていないので、「ハングル語」という言葉を使ったり、「ハングルを話せますか?」と言ったりする例はよくありますね。)
 で、本書を開くと最初のページで野間先生、この題名にした意図を説明しています。「本書では<ハングルという文字から日本語という言語を照らす>ということを、行います」というわけです。
 では、何のためにハングルから日本語を見るのか?というと、「答えは鮮明です。面白い、これは圧倒的に面白いからです」ですと。(笑)
 いやー、これはよくわかります。ウチらのハングルサークルでも、この表現は日本語と同じだとか、違うということでよく盛り上がります。英語サークルとかなり違うのではと思います。

 たしか、あの李御寧「「縮み」志向の日本人」でも、日本人は欧米と比較して日本文化の特色を自ら思い描いてきたが、その中身は日本の特色というよりも朝鮮・中国も含んだ東アジアの特色といったものが多く含まれている。むしろ、朝鮮・中国と比較することで日本文化の特性が見えてくる、・・・といったことが書かれていました。
 日本語についても、韓国語という非常に共通点の多い言語と対照してみると、英語等との比較では見えてこなかったようなことが見えてくるというわけです。
 読み進んでいくと、なるほどたしかに、「ハングルという文字から」日本語の音や文字、語彙等々を「照らす」という内容・・・ではありますが、後に行くほどハングルというよりもやっぱり韓国語とした方がいいんじゃないの?という疑念も再びフツフツと・・・。
 野間先生、文法関係の章で、「主語+動詞+目的語」などと言ってるのは「主語」「目的語」といった<文の成分>の述語と、「動詞」という<品詞>における述語という異なるレベルの概念を並べているからよくない。「哺乳類と爬虫類と鶴」と言ってるようなものだ、と指摘されていますが、この書名も「爬虫類と鶴」のような違和感は読み終わっても残ってるんですけど・・・。
 やっぱり、「韓国語からとらえ直す日本語」とでもした方が具体的で内容に即しているのではないかなー。(惹きつける要素がないか?)

 さて、この本を手に取る人を想定すると、その1は、韓国語学習者、あるいは韓国語に興味を持っている人
 言っておきますが、「日本語とハングル」という書名でも、力点は「日本語」の方にあります。日本語をより深く理解するための本です。まあ韓国語の勉強になる部分もあるし、韓国語を知っている読者の方が理解しやすいということはありますが・・・。
 想定読者その2は、日本、日本人、日本文化といったものに「とくに」思い入れの深い人
 ヌルボがちょっと気になったのは、この帯に記されているキャッチコピーです。「ハングルから日本語のスゴさが見えてくる!」
 いかがですか? 書店によってはこの本がいろんな嫌韓本と同じ台に平積みされているとか・・・。 すると「ハングルに比べて、日本語がいかに優れているかについて書かれた本か」とか誤解されてしまいそうです。いや、帯の文言はそれを狙ったんだって??
 ところが、最初の章で野間先生はちゃんと<言語≠国≠民族>。最も深いところにあるこの原理を見誤ると、大変恥ずかしいことになります」と記しています。想定読者その2に該当する皆さんはまずそこんとこから考え直してくださいね、と私ヌルボも申し添えておきます。

 以下、ヌルボ自身おもしろいと思ったところや勉強になったところをメモ代わりに列挙しておきます。

①この遊びゴコロが楽しい!
 <日本語の文字をめぐる絢爛豪華=エクリチュールの群雄割拠カテドラル>という小見出しのついた一節です。ぜひ音読してみてください!

 仮名、漢字。万葉仮名に変体仮名。アラビアではインド数字と言っている、アラビア数字の1、2、3。ローマ数字のⅠ、Ⅱ、Ⅲ。もひとつおまけに漢数字。ラテン文字、別名ローマ字abc、大文字小文字入り乱れ、忘れてならないギリシャ文字、α(アルファ)β(ベータ)、γ(ガンマ)δ(デルタ)の大文字は、聞かれて難しΩ(オメガ)かな。振り仮名、読み仮名、送り仮名。音読み、訓読み、音訓を、並べて読めば、重箱(ジュウばこ)読み、訓音並べて湯桶読み(ゆトウ)読み。修行(しゅぎょう)、言行(げんこう)、行脚(あんぎゃ)行(ゆ)く。呉音、漢音、唐宋音。縦書き、横書き、散らし書き。明朝、ゴシック、勘亭(かんてい)流。王羲之(おうぎし)、仮名書(かなしょ)に、ペン習字。

 私ヌルボ、福沢諭吉が七五調で書いた世界地理の本「世界国盡(くにづくし)」を思い出しました。
 ※「世界国盡 世界は広し」で検索してみて下さい。

 この他、「ネットは一音節で発音できないネット」とか「僕って何?──それってゼロ体」のような小見出しの文言にも軽いオアソビが見受けられます。

「わっしょい」は韓国語の왔어(ワッソ.来た)から来たという語源説は、現段階の学問的な判断からは、そうである蓋然性はほとんどない。また、奈良は韓国語の나라(ナラ.国)に由来するという説も、蓋然性はないとはいえない程度

③日本語の場合、文語というと事実上擬古文であるのに対して、韓国語で<文語(ムノ)>というと、現在の書き言葉を指す。

④漢文で書かれた書物を、韓国語に訳し、ハングルを用いて書いた書物をといい、15世紀以来多く作られている。漢文で書かれた「訓民正音」を諺解したのが最初の例。16世紀の有名な儒学者・李退渓も自分の著作の諺解を著している。
 ハングルで手紙を書くことも行われ(=諺簡(げんかん))、17世紀後半~18世紀にはハングルを筆でしたためる<宮体(きゅうたい)>という書体が王宮の女性たちを中心に用いられた。

⑤イザベラ・バード「朝鮮紀行」には、「わたしの観察したところでは、漢江沿いに済む下層階級の男たちの大多数はこの国固有の文字が読める」と記している。
 ※しかし、「朝鮮日報」今年1月1日付の<韓国の文盲率が低いのはハングルのおかげ>という記事(→コチラ)には「1945年光復当時文盲率は77.8%にのぼった」と書かれているんだけどなー。

⑥「日本語や韓国語では、主語を自由自在に明示したり隠したりできる」ということに関連して、野間先生は「思っていることを、書けばいい? ── そりゃ、だめだ」と強調しています。これについては私ヌルボ激しく同意。ただ、野間先生は「思っていることを書けばいいという考え方は、感情的な言葉を書きなぐるということなどに陥りやすい」とその理由を述べているが、小・中・高校時代のヌルボは「自分が思っていることは何だろう?」に始まって、「思っていることは、自分が思っていることは何だろう?ということなのだから、そのことを書けばいいのかな?」と、どんどんわけのわからない思考にのめり込んでいって、結局は何も書けないまま白紙の原稿用紙に名前だけ書いて出すというのが常だったという、感情的とは逆のパターン。しかし、野間先生の「<書く>ことは造り上げていくことだという認識が不可欠」という主張は、そんな昔のヌルボのような少年に対する作文指導にも有効だと思う。

⑦最後の章で、主として金珍娥(キム・ジナ)「談話論と文法論」を紹介しつつ、日本語と韓国語の実際に話されたことばを分析しているのは非常興味深い。
 意外なのは、どちらも文末が述語で統合されている<述語文>よりも、文末が述語で統合されていない<非述語文>の方が多いということ。
 ※<非述語文>の例としては、名詞止めの他、「え?」「全然。」「だから。」「~かも。」など。
 そして<述語文>の比率は日本語が42.9%で韓国語が46.4%。韓国語の方が多いのはうなづける。google翻訳でも日本語で「いい天気ですね。」と打ち込むと韓国語では「날씨가 좋네요.(天気がいいですね。)」とちゃんと変換される。
 うなづけるといえば「日本語は韓国語より<発話の重なり>が多い」という点も同様。日本人と比べると韓国人の場合あまりあいづちを打たないので、日本人としてはちゃんと聞いてくれてるのか不安になるというのは、韓国のTVやラジオでの会話を聴いたりするとよくわかる。

 うーむ、またたくさん書きすぎてしまったなー・・・。
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韓国の旅客船沈没事故と「アクプル」の横行に心が傷む

2014-04-17 18:38:00 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 昨日(4月16日)、おキラクなブログ記事を書いている時分、仁川から済州島へ向かった旅客船セウォル号が珍島郡の観梅島(クァンメド)沖で沈没するという大きな事故が起こっていました。修学旅行中だった安山市の檀園(タンウォン)高校の生徒325人と教員14人を含む475人が乗船していたとのことで、今も救助作業が続いています。

 今日17日の16:45現在、乗船者475人(檀園高生徒325人)中、死亡9人(5人)、不明287人(245人)、救助された人179人(75人)です。
 ということは、今現在も船内に閉じ込められたままで助けを待っている人たちが大勢いるのでしょうか?

 私ヌルボ、パソコンでKBS1テレビの現場生中継等を心配な気持ちで見ています。とくに高校生の親たち(韓国では학부모(学父母))や、救助された高校生の映像には心が傷みます。

        
  【午後4時頃のKBS1テレビの生中継画面。沈没現場近くの海域は天気が悪く、視界がはっきりしません。】

 この大事故とともに、心が傷むのが日本のネット社会での「アクプル」の横行です。

 2011年、あの大地震の翌々日の3月13日、私ヌルボは<地震に対する韓国ネチズンの反応 と日韓の「無概念な人たち」>という記事を書きました。(→コチラ。)
 そこでも書いたように、「アクプル(악플)」とは悪性のカキコミ(악성 댓글)のことです。
 大地震直後、韓国のネット内では「「因果応報だ」とか「関東大震災の時に朝鮮人が6千人殺された・・・」とか、紹介するに堪えないようなもっとひどいアクプルが飛び交いました。一方で、それを厳しく批判する意見も多くありました。

 愛読している木村幹神戸大教授のツイッター(→コチラ)に、今日次のようなツイートがありました。

 阪神大震災の頃、とある韓国の新聞販売人がこれを「嬉しいニュース」といいながら新聞を売って問題となった事があった。今、珍島沖沈没事故に関わる日本のネット上の発言を見ると、それよりも更に酷いものが沢山ある。情けない限り。

 すでに阪神大震災の時から「そういうこと」があったのですね。
 こうした問題では常に話題とされる<2ちゃんねる>にはあえてリンクを張りませんが、その「盛り上がりよう」は一体何なのでしょうか?

 「中央日報(日本版)」を見ると、現時点でのニュースランキング1位)という記事は、→コチラの「<韓国旅客船沈没>救助人員錯誤、290人余りの生死不明、再確認…大型惨事の憂慮」という記事ですが、記事下段の読者の感想を見ると、面白い(3890件)悲しい(1290件)すっきり(201件)腹立つ(62件)役に立つ(40件)と、「面白い」が「悲しい」の3倍もあるのです。

 この数値が日本人全体の気持ちをそのまま反映しているとは思いませんが、「面白い」をクリックする人が4千人近くもいること自体驚きです。

 先週の11日、四国八十八箇所の遍路道の「差別貼り紙事件」についての記事(→コチラ)でも、私ヌルボ、「いわゆる「嫌韓」日本人はいわゆる「反日」韓国人とよく似ているなー」と書きましたが、今回もまさにその通りになっています。(「嫌韓」日本人も「反日」韓国人も身近にはいなくて、よくは知りませんが・・・。) そんな人がたくさんいるだろうなと予測はしていましたが、その多さは予測以上です。
 そういう人たちに韓国を批判・非難する資格はないし、批判してもまともに聞いてはくれないでしょう。理性的な批判をしている人(日本人)の足を引っ張ることにもなってしまいます。(すでになっている。)

 ある語録に、「馬鹿な人ほど他の人を馬鹿呼ばわりし、馬鹿な人ほど馬鹿と言われて怒るものだ」という言葉があります。同様に、他の人からの暴言や嘲笑に即座に頭に血が上る人ほど平気で他の人を罵倒し嘲笑するようです。時代や場所を限らず、そんな人たちが少なくないのは悲しいことです。
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例の「中山美穂、辻仁成と離婚準備中」のニュースを朝鮮日報でも大きく報道 そのポイントは・・・・

2014-04-16 14:28:29 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 元々あまりTVを見ず、最近は週刊誌もあまり読まず、電車に乗る機会も減ったため中吊り広告も目にしなくなりました。
 その結果、新聞やネットで韓国のニュースを通じて日本の情報に初めて接することもちょくちょくあります。

 横浜市立図書館の新聞閲覧台で4月12日「朝鮮日報」を見ていたら、こんな見出しが目に入りました。

    <남편 中性化에・・・ 悲劇이 된 '러브레터'>
    (夫の中性化に・・・ 悲劇となった「Love Letter」)\t

        

 つまりは、中山美穂&辻仁成夫妻の離婚をめぐるゴシップ記事なんですけどね。これも私ヌルボ、この記事を読んで初めて知りましたよ。あ、まだご存知ない方は→コチラの記事(日本語)で概容を把握できます。

 さて、この見出し中にある '러브레터'(「Love Letter」)とは、あの岩井俊二監督の映画のこと。
 1995年制作のこの映画の韓国公開は1999年です。なぜ4年遅れたのかというと、1995年当時は韓国で日本映画の上映は認められていなかったからです。

 金大中政権下、条件付きながら日本映画が開放されたのが1998年10月。最初の上映作は98年12月公開の北野武監督「HANA-BI」で、その観客動員数は6万人でした。(ソウル封切り館のみの暫定数値。)
 翌1999年9月、規制がさらに緩和され、「キスシーンはあってもトロント国際映画祭で観客賞(1995年)を受賞したからOK」となり、99年11月に公開されたのがこの「Love Letter」でした。
 この映画は日本でもヒットし、日本アカデミー賞等も受賞しましたが、韓国では日本以上の大きな反響をよび、「HANA-BI」をはるかに上回る115万の観客を動員する興行を記録しました。30万枚の裏ビデオが流通したというのは、そんな日本文化解禁の前後という時代によるものでしょうか。(※日本映画の全面解禁は2004年。)
 主演した中山美穂が叫ぶ"오겡키데스카"(「お元気ですか?」)というセリフは日本語のままで流行語になり、また舞台となった小樽には多くの韓国人観客が訪れるようになりました。
 最近でも、昨年(2013年)2月と11月に再公開され、今年1月にはSBSテレビで放映されました。
 ※SBSテレビの放映(吹替)では、「お元気ですか?! 私は元気です!」のセリフだけは吹替ではなくオリジナルの中山美穂の声が流されたとのことです。
 ※この映画について、上記のウンチク等は韓国のオタク系サイト<エンハウィキ・ミラー>の「Love Leter」の項目(→コチラ)に詳述されていて、本記事も相当部分依拠しています。

         
   【記事中の写真も、中山美穂の方は「お元気ですか~!」と叫んでいる場面を用いています。】

 長々と映画の説明をしてしまいました。新聞記事に戻ります。

 副見出しの文言は次の通りです。

     <日 여배우 나카야마 미호, 유명 작가와 이혼 준비 중>
     (日本の女優中山美穂、有名作家と離婚準備中)
     <男性 여성화, 女性 남성화・・・ 일본 사회문제로 떠올라男性 여성화, 女性 남성화… 일본 사회문제로 떠올라>
     (男性の女性化、女性の男性化...日本の社会問題に浮上)


 「Love Letter」で一気に人気女優となった中山美穂に対して、夫の辻仁成の名前は見出しにはありませんが、彼も韓国の文学ファンの間でそれなに知られている作家です。韓国語の訳本も、「クラウディ」1997年以来20作品近く(?)刊行されています。とくに江國香織との共作「冷静と情熱のあいだ」や、韓国の人気作家・孔枝泳(コン・ジヨン)との共作「愛のあとにくるもの」は注目されました。
 そういえば、2010年彼の原作の映画「サヨナライツカ」がイ・ジェハン監督(「私の頭の中の消しゴム」「戦火の中へ」等)により映画化されましたが、その主演も中山美穂(&西島秀俊)でしたね。

 ・・・というわけで、東京特派員が書いた上記の新聞記事が大きく取り扱われた背景(その1)がわかると思います。

 本文記事(→コチラ参照)を見ると、最近の辻仁成の「中性化」についてかなり具体的に書いています。「15㎏の減量に化粧を楽しんで髪は肩まで伸ばした。あげくの果てに、2011年には女装の男性を素材にした「ぼくから遠く離れて」という小説を出した」等々。
 そして中山美穂がドラマ撮影のためパリから羽田に戻ってきた時の記者たちとのやりとりも。ただ、彼女が記者たちを皮肉った「この国は平和だにゃ~@(・●・)@」(4月10日「日刊スポーツ」等→コチラ)というツイッターの呟きのニュアンスまでは韓国語で表現されてなかったのがザンネンですが。

 概して、韓国のメディアは最近では四国の遍路道での「差別貼り紙」事件(→過去記事)のように、嫌韓や歴史認識関係の話題は即座に反応する(ように思える)感じで、記事にも怨念や揶揄が籠っているような感じ(??)ですが、この記事についてはふつうにすんなり書かれています。
 ただ、記事の末尾に「中性化」について次のような説明がつけられているのは、疑問に思う日本読者もけっこういるのではないでしょうか?

☞中性化
 男女の性的•社会的役割が曖昧になり、男性が女性的に変化したり、女性が男性的に変化する現象である。特に日本では、男性性を失い、恋愛や結婚生活を放棄する「草食系男子(草食男•草食動物のように従順な男性)」が増え、社会問題となっている。 このような男性の多くは、ファッション・ビューティーに関心が高く、濃い化粧を楽しむ。


 しかし、日本で「草食系男子」が話題になると、ほどなくして韓国でも「초식남(草食男)」と訳され、そのまま新語として定着したことからもわかるように、韓国でもそんな男性をわりとふつうに見かけるようになっています。したがって韓国の読者もこの記事をすんなりと読んで、「韓国でもあり得る話だなー」と思うのではないでしょうか?
 ・・・という点がこの記事が大きく取り扱われた背景その2です。

 こんな芸能人の私事をことさらに大きく取り扱うというのも、たしかに「この国は平和だにゃ~@(・●・)@」ということなんでしょうね。(ヌルボも含めて。)
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [4月11日(金)~4月13日(日)]

2014-04-15 23:20:12 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 12日(土)のシアター・イメージフォーラム。「アクト・オブ・キリング」の公開初日はすごい大勢の人が殺到したようで・・・。やっぱりなー。当初の予定通りシネマジャック&ベティの上映(5月9日~)まで待つか。

 毎週火曜日のこの韓国映画情報記事は、私ヌルボにとって韓国映画だけでなくほとんどは日本より公開が早い洋画の情報を得るというメリットも大いにあります。
 ただ、先週観た「フルートベール駅で」はちょっと期待度が高すぎたかも・・・。
 韓国映画は、例によって六本木と新宿のシネマートで数本ずつ上映中。「悪戯」とか「ファイヤー・ブラスト 恋に落ちた消防士」とか、ちょっと気になるものの、「気になる」止まりで足を運ぶまでに至らず。それよりも、キネカ大森で「彼とわたしの漂流日記」、「ワンドゥギ」といった佳作を上映中なので、未見の方はぜひ観てみてくださいな。

 今後注目の韓国映画は、4月26日(土)からアップリンクで<韓国社会派映画監督 チョン・ジヨン特集>と銘打って上映される「南部軍」「南営洞1985」。詳細は→コチラ
 あ、アップリンクでは今週19・20日には<花開くコリア・アニメーション2014>というのもありますね。(→コチラ参照。)

 先々週から載せている「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」。4月11日掲載分です。ヌルボ訳も「ぴったり10字」でやってみますか。(句読点や!?等は除く。)

        
  [左] 「さまよう刃」演技が刃のように鋭い。★★★ 「お弁当箱」母が作ったお弁当の味。★★★☆ 「ミス・ヴァイオレンス」最も冷酷な恐怖の家族。★★★★ 
  [右] 「とげ」すごく笑った。コメディ?★★ 「サン・オブ・ゴッド」日曜学校がこうだった。★★☆ 「ミニスキュル 劇場版」かそけきものは美しい。★★★☆

           ★★★ Daumの人気順位(4月15日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①弁護人(韓国)  9.5(30463)
②貪欲の帝国(韓国)  9.4(45)
③アーネストとセレスティーヌ  9.1(54)
④リバー・ランズ・スルー・イット  9.1(120)
⑤怪しい彼女(韓国)  9.0(2685)
⑥イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.0(84)
⑦お弁当箱(The Lunchbox)  9.0(21)
⑧舟を編む(日本)  8.9(46)
⑨ベルとセバスチャン  8.9(50)
⑩ダラス・バイヤーズクラブ  8.8(132)

 ⑦「お弁当箱」だけが新登場です。インド・米・仏・独の合作で、昨年のカンヌ国際映画祭の批評家週間で上映されました。インドでお弁当と言えば、昨年日本公開の「スタンリーのお弁当箱」を思い出しますが、あのような家から持参の弁当の他にこの映画の舞台のムンバイにはお弁当の宅配サービス業もあります。日本のお弁当屋さんのように作って売るのではなく、たとえば家庭の主婦が作ったお弁当を夫の勤める会社まで届ける(&戻す)という配達専門。この映画は、夫との間にミゾを感じている人妻が作ったお弁当が配達人の間違いで妻を亡くして寂しく暮らしている定年間近のビジネスマンに届けられてしまうところから物語が始まります。弁当箱返却時に添えられたメモ書きのやり取りから、だんだん2人の関係が発展していきます・・・。観た人の感想を読むと、どれも好評。韓国題は「런치박스(ランチボックス)」、韓国式発音だとロンチバクス。日本でも「初夏」公開とのことです。
 ※ムンバイのお弁当配達人の興味深い写真が→コチラや→コチラのブログ記事にありました。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③罪の手ざわり(中国・日本)  8.1(8)
④ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
⑤ミス・ヴァイオレンス  8.0(3)
⑥グランド・ブダペスト・ホテル  7.8(7)
⑦萬神(韓国)  7.7(4)
⑧そして父になる(日本)  7.6(6)
⑨アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑩物語る私たち  7.5(4)

 ⑤「ミス・ヴァイオレンス(仮題)」だけが今回の新登場。ギリシア映画です。11歳の誕生日に少女がバルコニーから投身自殺をします。警察は自殺の原因を突き止めようと躍起になりますが、家族は事故だと主張して何事もなかったように振る舞うのはなぜ? 最初の30分は家族の情景が淡々と描かれますが、ある事実(書かぬが花)が明かされると観客の間に衝撃が・・・。昨年の第70回ベネチア国際映画祭では賛否両論を巻き起こしたそうですが、アレクサンドロス・アブラナス監督に銀獅子監督賞、父親役のテミス・パヌには男優賞が授与されました。韓国題は「은밀한 가족(秘密の家族)」。日本公開は未定、ってなんなんだー! ヽ(`Д´)ノ
 ※韓国ネチズンのレビューを見ると、隣の席の男性が悪辣な主人公に対してずっと「シバル、シバル、ミッチンケーセッキ!(コンチクショー!)」と呟いていたそうです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[4月11日(金)~13日(日)] ★★★

         「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」が3週連続1位

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・キャプテン・アメリカ/ ・・・・・・・・3/26 ・・・・・・・・・・・・470,767・・・・・・・3,324,476 ・・・・・・・26,750・・・・・・・・706
             ウィンター・ソルジャー
2(40)・・さまよう刃(韓国)・・・・・・・・・・・・4/10 ・・・・・・・・・・・・383,329・・・・・・・・・457,817 ・・・・・・・・3,707・・・・・・・・592
3(新)・・ザ・レジェンド・オブ・ヘラクレス・・4/10 ・・・・・・・・・・130,509・・・・・・・・・158,454 ・・・・・・・・1,217・・・・・・・・388
4(10)・・サン・オブ・ゴッド ・・・・・・・・・・・4/10 ・・・・・・・・・・・・104,664・・・・・・・・・132,660・・・・・・・・・・997・・・・・・・・418
5(31)・・とげ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・4/10 ・・・・・・・・・・・・・71,099 ・・・・・・・・・95,270 ・・・・・・・・・・751・・・・・・・・356
6(5)・・グランド・ブダペスト・ホテル ・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・・67,391・・・・・・・・・539,105 ・・・・・・・・4,289・・・・・・・・200
7(新)・・ミニスキュル 劇場版 ・・・・・・・・4/10・・・・・・・・・・・・・・50,891 ・・・・・・・・・56,489・・・・・・・・・・408・・・・・・・・303
8(2)・・スリーデイズ・トゥ・キル ・・・・・・・4/03 ・・・・・・・・・・・・・29,917・・・・・・・・・219,791・・・・・・・・1,682・・・・・・・・265
9(6)・・ローン・サバイバー ・・・・・・・・・・・4/02 ・・・・・・・・・・・・・25,666・・・・・・・・・179,970 ・・・・・・・1,356・・・・・・・・180
10(7)・・映画クレヨンしんちゃん ・・・・・・4/03 ・・・・・・・・・・・・・25,448・・・・・・・・・・75,351・・・・・・・・・・531・・・・・・・・224
             バカうまっ! B級グルメサバイバル!!
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

  「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」が3週連続トップ、といっても数字的にはさほどでもありません。10万人以上は4位までだし、全体的のパッとしません。とくに韓国映画。
 4月11日の「朝鮮日報」で大きくとりあげられていたのは6位「グランド・ブダペスト・ホテル」。ブロックバスター映画ではない、多様性映画といってもよい作品で累積50万人というのは500万人動員の商業映画にも優る、という記事内容でした。(→コチラ。)
 今回の新登場は2・3・5・7位の4作品です。
 2位「さまよう刃」は韓国映画。と言っても、原作は東野圭吾の小説。日本でも2009年寺尾聰主演で映画化されました。妻を亡くし、中学生の娘スジン(イ・スビン)と2人で暮らしているサンヒョン(ジョン・ジェヨン)でしたが、ある日スジンは近所の廃れた銭湯で死体となって発見されます。ひどい性暴行の末に殺されたのです。その後サンヒョンの携帯に犯人の情報を伝える匿名のメッセージが届きます。そこには性暴行を受けて死んでいく娘の動画が・・・。そしてそれを見ながら高笑いする加害者の若者も。理性を失ったサンヒョンは加害者たちへの復讐に乗り出します。一方、事件の担当刑事はサンヒョンの追跡を始めますが・・・。この作品について、4月11日の「朝鮮日報」は「ズレた父親感情か、正当な復讐か」という見出しの記事(→コチラ)で「この2、3年性暴行犯罪に対する私的復讐を扱った映画が多い」(←たしかに!)という指摘とともに、この作品は「未成年者の刑事罰を主張したり憤怒の排出を象徴するものではなく、・・・この映画の加害者少年だけでなく大人たちにも向けられている」と記しています。原作との違いの有無等については未確認です。原題は「방황하는 칼날(彷徨の刃)」です。
 3位「ザ・レジェンド・オブ・ヘラクレス」はアメリカのアクション・ファンタジー。紀元前1200年の古代ギリシャが舞台。神ゼウスの血を引くヘラクレスは義父である王の計略により追放されるが、超人的な力で試練に打ち勝ち、王になることを誓う・・・。なんか「300」とか「トロイ」とか「グラディエーター」とか「スパルタカス」とかを寄せ集めたような映画みたいですよ。韓国題は「헤라클레스:레전드 비긴즈(ヘラクレス:レジェンド・ビギンズ)」。日本公開は未定。
 5位「とげ」は、韓国のサスペンス・ロマンス。高校の体育教師ジュンギ(チャン・ヒョク)は、女生徒ヨンウン(チョ・ボア)の告白に新鮮な刺激を受け感情がときめくものの、そんな感情を抑えようとします。しかしヨンウンは、自分を避けるジュンギに近づくため、彼の妻(ソン・ウソン)等にも接近するようになり、彼の不安は大きくなっていきます・・・。原題は「가시」。上掲の「朝鮮日報」の「ぴったり10字評」の担当者、なんで「すごく笑った」のかな? (わからないでもない(笑)。)
 7位「ミニスキュル 劇場版」はフランスの3Dアニメ。毎度のように登場する日米以外のアニメだろうと思ったら(そうではあるが)、2012年4月からNHK Eテレで放送中「minuscule ミニスキュル~小さなムシの物語~」というCGアニメシリーズがあって、その映画版なんですね。ノルマンディーの美しい田園に暮らす小さな虫たちの冒険を魅力たっぷりに描いたコメディーアニメだそうです。というわけで、日本でも今年中に公開されるそうです。で、この作品は、森の中の空き地で始まったピクニックの残飯をめぐる2種類のアリの戦いに巻き込まれたテントウムシ(무당벌레)の物語です。韓国題は「슈퍼미니(スーパーミニ)」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(10)・・マイボーイ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・4/10 ・・・・・・・・・・・・・・・831・・・・・・・・・・・・・・・2,486・・・・・・・・・・16・・・・・・・・・33
2(5)・・萬神(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・・・464・・・・・・・・・・・・・・35,109・・・・・・・・・263・・・・・・・・・11
3(3)・・罪の手ざわり(中国・日本)・・・・・・・・・・3/27 ・・・・・・・・・・・・・・・434・・・・・・・・・・・・・・・5,446 ・・・・・・・・・・42・・・・・・・・・・7
4(新)・・麗しのサブリナ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・387・・・・・・・・・・・・・・・6,329 ・・・・・・・・・・12・・・・・・・・・・1
5(4)・・ミスティック・アイズ・・・・・・・・・・・・・・・・4/03 ・・・・・・・・・・・・・・・318・・・・・・・・・・・・・・・1,895 ・・・・・・・・・・13・・・・・・・・・12

 今回も先週の順位と矛盾が出現。で、1・4・5位が新登場です。
 1位「マイボーイ」は韓国作品。若い母親(イ・テラン)の生活は厳しい。幼い男の子2人を残して夫は世を去った。夫の友人だった陶芸家(チャ・インピョ)の助けを受け、マートで働いている。下の子のユチョンは障碍児で病院生活をしているため、その費用もかさむ。小学生の兄イチョン(イ・ソクチョル)は、胸の痛みと自分の小さなミスによる罪責感にかられ、車椅子のユチョンと共にあてもなく家出する。その過程でいろんな人たちと出会ってイチョンの心の傷も消えてゆくのだが、ある感情が爆発するようなことになり・・・。どうも、「貧しい中にも心温まる・・・」といったお涙頂戴的な映画でもなさそうです。原題は「마이보이」です。
 4位「麗しのサブリナ」は、もちろんオードリー・ヘプバーン主演の名作(1954年)の再上映です。韓国題は「사브리나」です。
 5位「ミスティック・アイズ」は、日本では2月に公開されているので、説明省略。韓国題は「레커스(Wreckers)」です。
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韓国でも知られつつある四国八十八箇所霊場巡り・・・・と書き始めるはずだったのに。

2014-04-11 22:50:05 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
           

 「갑신년의 세 친구(甲申年の3人の友)」を読み終えた後、次は何を読むかな、とツンドクになったままの韓国書の中から選んだのが「남자한테 차여서 시코쿠라니(男にふられて四国って)」という本です。

 ・・・と、この本の紹介文を書き始めたのが1ヵ月ほど前。ま、早い話が30歳ちょっとの韓国人女性キム・ジヨン(김지영)さんの四国八十八箇所巡礼記録なんですが・・・。

 ところが一昨日、その記事を仕上げようと再度取りかかったところ、たまたま<お遍路に外国人排斥の紙 徳島 霊場会「差別許されない」>という見出しのニュース記事が同日(4月9日)「東京新聞」に掲載されました。(→コチラ)。
 「日刊スポーツ」(→コチラ)、「産経新聞」(→コチラ)でもほぼ同内容の記事が載りました。(つまり、共同通信の配信。)

 チェ・サンヒ(崔象喜.최상희)さんという韓国人女性がハングルの案内シール(4000枚)を遍路道の道沿いに貼ったことを念頭において、次のような文面の貼り紙が徳島県の休憩所に貼られていたというものです。
 「大切な遍路道」を朝鮮人の手から守りましょう。最近、礼儀しらずな朝鮮人達が、気持ち悪いシールを、四国中に貼り回っています。「日本の遍路道」を守る為、見つけ次第、はがしましょう (日本の遍路道を守ろう会)
 続報では、その後香川・愛媛両県でも見つかったとのことです。

 チェ・サンヒさんについては、これまでも何度か新聞に取り上げられてきました。
 2013年5月9日「毎日新聞」地方版の<お遍路:日韓の橋渡し 崔さん「大窪寺」到着、4度目の結願果たす 韓国人初の「先達」へ>、2013年5月16日「徳島新聞」の<「お遍路」韓国に広がれ 崔さん、道沿いに案内シール>、2013年12月17日「四国新聞」の<外国人女性初の「先達」/韓国の崔象喜さん公認>等です。
 ※チェ・サンヒさんが開設したホームページは→コチラです。

 これらのチェさんへの好意的な記事に対して、早くから疑問を呈していたのは2013年5月の→コチラのブログ記事。<無許可で遍路道にハングル自作ステッカーを貼る韓国人の愚行と、美談として報じるNHK・毎日新聞・読売新聞>という見出しです。
 韓国に対する批判記事が多いブログですが、感情露わな嫌韓ブログではなさそうです。
 批判の主旨は「もっと韓国人に知ってほしい、来てほしい、というチェさんの気持ちはありがたいですが、そこまでお遍路に惚れ込んでいるのなら、ハングルで案内をあちこちに貼るという発想がどれほど短絡的で傲慢なことかも考えてほしかった」というものです。また、「ちゃんと許可を得て貼っていたかどうか?」も気にかかっているようです。
 私ヌルボとしては、「ふうん、そういうふうに考える人もいるのか」ということと、「ステッカーがハングルではなく英語だったらどういう反応を示すのだろうか?」ということを思いました。「許可の有無」については、多くの日本人が気にするのでは? NHK徳島が「許可を得てからステッカーを貼っていました」と報じたというのも、当然その点が引っかかったからでしょう。

 ところが、今回の<日本の遍路道を守ろう会>による貼り紙は、浦和レッズのサポーターの「差別横断幕」事件同様、日本を愛していると思っている人のオウンゴールのようですね。
 (はたして、この貼り紙は許可を得て貼ったのかな?) 

 先に引用したブログ主さんも、4月9日のニュース報道直後に<遍路休憩所に朝鮮人批判の紙 良くない行為なのは確かだが差別の一言で片付けずその背景と対策も考えるべき>(→コチラ)という記事で、その貼り紙自体について否定的に見ています。

 一方、この報道をめぐる2ちゃんねるの<「『大切な遍路道』を朝鮮人の手から守りましょう」お遍路休憩所に貼り紙>というスレ(→コチラ)はシッチャカメッチャカ。ステッカーを剥がす行為を「除染」とよんだり、まあいろいろ。中には「同じ日本同胞として世界からレイシストと誤解されて恥ずかしい」というのもありますが・・・。
 レッテルの貼り合いというのは実に不毛です。
 この件でも私ヌルボが思うのは、いわゆる「嫌韓」日本人はいわゆる「反日」韓国人とよく似ているなー、ということ。
 たとえば、次のようなカキコミ。

 逆のケースを考えてみれば良い。もし日本人の旅行者が韓国のハイキングコースなどに勝手に日本語で書いたシールを貼って、それを朝鮮人が新聞で取り上げて「日本人が勝手に我が国の自然を汚すのを止めさせよう」と言ったとする。おそらく誰もこの朝鮮人を非難しないどころかシールを貼った日本人に批判が殺到することだろう。

 この文章中の「日本」を「韓国」に、「韓国」を「日本」におきかえると、そのまま同じことを今一部の日本人がやっているということ。「韓国人が日本人に嫌われても当然のことをしているなら、日本人が韓国人に嫌われても当然のことをしてもいい」と思ってしまうと、結局は「お互い仲間同士」ということになりますが、そう思わないのかなー?

 先の「徳島新聞」の記事によると、チェさんは「四国に来てお遍路をすれば、日本に対するイメージは大きく変わる。国と国との問題も、人と人との交流で変えられるはず」と言ってたのに、今回のことが韓国で報じられて、「日本のイメージは変わらない」ということになっちゃうとはねー。
 チェ・サンヒさんのステッカー貼りについて批判的な意見を持つのはいいとしても(←ヌルボがそれに賛同しているわけでもないが)、先の読みが全然ない短絡的・感情的な方法を取ってしまったことで、かえって日本のイメージを損なってしまったのは非常に残念なことです。
 四国八十八箇所巡礼の国際化は、地元関係者だけでなく多くの人が望んでいることなのに、思わぬところでミソをつけてしまったという感じです。(多くの日本人を困らせ、一部の韓国人(?)を喜ばせてどーする?)
 ※4月6日「朝日新聞」の記事<ハロー「日本の巡礼路」 お遍路歩く外国人客>は→コチラ

 それにしても、どこのどういう人がこういう貼り紙をしたり、ハングルの案内ステッカーを剥がしていったのかわかりませんが、なんともすごい情熱だなあと思います。その人は、このような事態になることをどこまで想定していたのでしょうか?
 ヌルボ思うに、「レイシスト!」とか「バカウヨ!」とかの言葉を投げつけても意味はないので、立場を問わず、たとえば上久保誠人立命館大学教授の<浦和レッズ問題と保守派の言動から垣間見える、日本人の「経験不足」>という論考(→コチラ)でも読んでいろいろ考えてみましょう。

 ・・・「明らかな差別貼り紙なのに、ヌルボはずいぶん手ぬるい書き方だな」と思われるだろうな・・・。

 あ、冒頭に掲げた本のことを全然書いてなかった!
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [4月4日(金)~4月6日(日)]

2014-04-08 20:10:33 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 大体、上映最終日かその前日に映画を観ることが多いような気がします。先週木曜に観た「60万回のトライ」もそうでしたね。ネットの評判から判断して、これは観ておこうと・・・。ユーロスペースで9:50~の1回だけの上映で、ウィークデーで、小雨という空模様にもかかわらず、100人以上は入っていたのでは? 7割方は埋まっていました。内容も期待通り。主に2010年以降の大阪朝鮮高級学校のラグビー部の軌跡を描いたドキュメンタリーなのですが、とくに朝鮮学校の関係者やラグビー関係者でなくても感動させるものがあります。とくに部員たちの屈託のなさがいいですね。例の補助金をめぐる厄介な問題もあり、考えさせられる要素も当然ありますが、観終わって気持ちよさが残る映画です。
 続けて観たのが「チスル」。思った以上に、済州島四三事件についての記録という要素よりも、鎮魂としての象徴的な性格の強い映画だなという印象を受けました。いずれもう1度観てみようと思います。

 3週間前の記事のカキコミで、シム・ウンギョンの演技力等々についのやりとりがありました。その関連の動画をYouTubeで見つけたので、そのまま貼りつけておきます。以前の作品の映像も収められています。

      

 今日横浜図書館で4日(金)の「朝鮮日報」を見たところ、映画欄がなく、「封切映画 ぴったり10字評」もなし。「朝鮮日報」のサイトを検索したら、6日(月)付の紙面にありました。日本の新聞の映画評同様、ミニシアター系の作品に対する評価が高いようです。

          
    【★4つ「웨이스트 랜드(ウェイスト・ランド)」は日本語タイトルは「ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡」(→後述)です。】

           ★★★ Daumの人気順位(4月8日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①弁護人(韓国)  9.5(30451)
②貪欲の帝国(韓国)  9.4(45)
③アーネストとセレスティーヌ  9.2(53)
④リバー・ランズ・スルー・イット  9.1(120)
⑤怪しい彼女(韓国)  9.0(2681)
⑥イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.0(84)
⑦舟を編む(日本)  8.9(47)
⑧ベルとセバスチャン  8.8(45)
⑨ダラス・バイヤーズクラブ  8.8(127)
⑩私はロランス  8.7(8)

 入れ替わりがいくつかありますが、新登場はありません。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③罪の手ざわり(中国・日本)  8.1(8)
④ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
⑤グランド・ブダペスト・ホテル  7.8(7)
⑥萬神(韓国)  7.7(4)
⑦そして父になる(日本)  7.6(6)
⑧アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑨物語る私たち  7.5(4)
⑩それでも夜は明ける  7.3(6)
⑩キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー  7.3(6)

 こちらも入れ替わりはありましたが、新登場はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[4月4日(金)~6日(日)] ★★★

         「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」が今週もダントツの1位

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・キャプテン・アメリカ/・・・・・・・・3/26 ・・・・・・・・・・・・762,110 ・・・・・・・2,611,936・・・・・・・21,000・・・・・・・・926
             ウィンター・ソルジャー
2(新)・・スリーデイズ・トゥ・キル ・・・・・4/03 ・・・・・・・・・・・・117,175・・・・・・・・・144,593 ・・・・・・・・1,124・・・・・・・・388
3(2)・・ノア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・117,022 ・・・・・・・1,957,960・・・・・・・15,014・・・・・・・・401
4(3)・・優雅な嘘(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/13 ・・・・・・・・・・・・・95,631 ・・・・・・・1,551,975・・・・・・・11,286・・・・・・・・352
5(4)・・グランド・ブダペスト・ホテル ・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・・88,522・・・・・・・・・424,500・・・・・・・・3,363・・・・・・・・233
6(11)・・ローン・サバイバー・・・・・・・・・・4/02 ・・・・・・・・・・・・・78,956・・・・・・・・・118,297 ・・・・・・・・・898・・・・・・・・305
7(新)・・映画クレヨンしんちゃん ・・・・・・4/03 ・・・・・・・・・・・・・44,377・・・・・・・・・・47,476・・・・・・・・・・333・・・・・・・・301
             バカうまっ! B級グルメサバイバル!!
8(81)・・8月の家族たち ・・・・・・・・・・・・・4/03・・・・・・・・・・・・・・29,633 ・・・・・・・・・40,518・・・・・・・・・・312・・・・・・・・249
9(新)・・Mr.Perfect(韓国)・・・・・・・・・・・・4/03 ・・・・・・・・・・・・・22,178 ・・・・・・・・・29,136・・・・・・・・・・223・・・・・・・・236
10(新)・・サン・オブ・ゴッド ・・・・・・・・・・・4/10 ・・・・・・・・・・・・・・6,850・・・・・・・・・・・8,090・・・・・・・・・・・66・・・・・・・・174
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

  2月21~23日の「ポンペイ」以来「ノン・ストップ」「300<スリーハンドレッド>」「優雅な嘘」「ノア」とずっと週替わりだったトップの座ですが、ここにきてようやく「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」が久しぶりの連続トップです。
 新登場は2・6・7・8・9・10位の6作品です。
 2位「スリーデイズ・トゥ・キル」はケヴィン・コスナー主演のアクション・スリラー。政府管理下の秘密組織に属するヒットマンのイーサン・ランナー(ケヴィン・コスナー)は、これまで任務のためおざなりにしてきた妻や娘と過ごすため引退を決意するが、死の病に冒されていることがわかる。彼はその病を治せる新薬と引き換えに、謎の美女(アンバー・ハード)が依頼してきた危険なミッションを請け負うことにする・・・。リュック・ベッソンが製作&脚本ということで、「96時間」といろいろ似ている点があるそうで・・・。韓国題は「쓰리데이즈 투 킬」です。日本公開は初夏という情報はホント? たぶん年内には・・・。
 6位「ローン・サバイバー」は、日本では3月21日に公開され、目下上映中です。アメリカ人がなんでアフガニスタンで死んだり、危険な目にあわなければならないんだろ?という基本的な疑問はアメリカ人自身どう解決していめのかな? 韓国題は「론 서바이버」です。
 7位「映画クレヨンしんちゃん バカうまっ! B級グルメサバイバル!!」は日本では約1年前の公開作。韓国題は「짱구는 못말려 극장판:엄청 맛있어! B급 음식 서바이벌」です。
 8位「8月の家族たち」は日本では4月18日公開予定。ピュリツァー賞&トニー賞を受賞した戯曲の映画化で、メリル・ストリープとジュリア・ロバーツが偉大なる母とまじめすぎる長女を演じて、わけあって疎遠にしていた彼らの隠された秘密が明かされていく・・・という物語で、TOHOシネマズ シャンテがヘッド館で・・・とのことで、フンイキはおおよそわかる感じ。韓国題は「어거스트:가족의 초상(オーガスト:家族の肖像)」。
 9位「Mr.Perfect」は韓国のヒューマンコメディ。制作年は2013年となってますが、日本では韓国に先がけて<アジアフォーカス福岡映画祭2012>で1回だけ上映されていたんですね。それも英語字幕のみで。その時にこのタイトルで上映されました。原題は「백프로」。つまり「製パン王 キム・タック」等で人気のユン・シユンが演じる天才プロゴルファーの名前がペク・セジンなので「白(ペク)プロ」。しかし、これは「100%」ともまったく同音同表記。どちらの意味もかけているというわけです。物語ですが、その天才プロゴルファーのペク・セジン、傲慢な性格が災いして誰もが彼に背を向けた時に1人だけ力になってくれたマネージャーのヨンミンを、自分の飲酒運転のため死なせてしまいます。そのショックで、セジンは失語症となり、夢も失ってしまいます。その後彼は昔の先生からの誘いで小さな島の学校に行って、子供たちにゴルフを教えることになります。子供たちと接するうちにセジン自身も変わっていき、子供たちのゴルフの実力も次第に上がってゴルフトーナメントの試合が近づいてきますが、そこで問題が持ち上がってくるのです・・・。シユンは、最初と最後しかセリフがないということです。アジア・フォーカスで鑑賞した方はブログ記事(→コチラ)で「『ぼくらの落第先生』、『ホームランが聞こえた夏』、そしてつい先日DVDレンタルも開始された『フェニックス~約束の歌~』などをごちゃ混ぜにした感じのヒューマンドラマ作品だと感じましたが、見た目だけで言わせてもらえば、お世辞にも完成度が高いとは言えず、短絡的な展開であることも手に取るようにわかってしまう内容(^_^;)」・・・と感想を記しています。
 10位、「サン・オブ・ゴッド」は、神の子、すなわちイエス・キリストのことですね。アメリカのTV局「ヒストリー・チャンネル」が昨年3月に全10回で放映して100万人以上が視聴したというドラマ「The Bible」の中から、イエス・キリストの物語を中心にまとめたものとのことです。といっても、説明によると「ノアの箱舟」とか「モーセの奇跡」等も「圧倒的なスケールとひきつける映像で再現」しているそうです。クリスチャンの多い韓国では当然の公開でしょうが、日本ではどうでしょうね? 今のところは未定のようです。韓国題は「선 오브 갓」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・心の旅路・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,684・・・・・・・・・・・・・・11,039・・・・・・・・・・・22・・・・・・・・・・1
2(3)・・罪の手ざわり(中国・日本)・・・・・・・・・・3/27 ・・・・・・・・・・・・・・・772・・・・・・・・・・・・・・・4,343・・・・・・・・・・・33・・・・・・・・・24
3(2)・・萬神(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・・・560・・・・・・・・・・・・・・34,169・・・・・・・・・・256・・・・・・・・・・9
4(新)・・ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡・・4/03・・・・・・・・・・・・554・・・・・・・・・・・・・・・1,493・・・・・・・・・・・10・・・・・・・・・12
5(1)・・ベルとセバスチャン ・・・・・・・・・・・・・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・・・・502・・・・・・・・・・・・・・29,736・・・・・・・・・・213・・・・・・・・・11

 今回は1・4位が新登場です。
 1位「心の旅路」、ついに昔の名画の再上映作品が1位になりましたね。これは1942年マーヴィン・ルロイ監督によるアメリカ映画です。うーむ、これは私ヌルボも未見。
 4位、「ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡」はブラジル・イギリス合作のドキュメンタリー。日本では昨秋~ユーロスペース等で上映されてします。リオデジャネイロの郊外の巨大な処理場で生活のためにリサイクル品を漁るカタドールと呼ばれる人々。リオ出身の芸術家ヴィック・ムニーズは、彼らに目を向け、その姿を写真に収めるとともに、このガラクタの山から新たなアートを生み出そうとする・・・。韓国題は「웨이스트 랜드(ウェイスト・ランド)」です。公式サイト(→コチラ)に今後の自主上映会情報が載ってます。観に行こうかな・・・。
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[韓国語の新語] 「ソムタンダ」「ソムナム」「ソムニョ」とは、どういう意味?

2014-04-06 23:58:08 | 韓国語あれこれ
 今日の夕方、パソコンで何となくKBS1ラジオの<생방송 일요일 저녁입니다(生放送 日曜日の夕方です)>という番組を聞き流していました。
 すると、その中の1コーナーで、「ヘラルド経済」紙のソ・ビョンギ記者が썸탄다(ソムタンダ)という新語(신조어.新造語)について説明していました。関連語で、썸남(ソムナム)썸녀(ソムニョ)という言葉もあります。

 これらは私ヌルボも当然知らなかった言葉です。
 以下、ネット検索でわかったことを記します。

 たとえば、2012年7月の<NATEパン>に、「썸탄다という言葉はどんな意味?」という質問がありました。(→コチラ。)
 その回答には、「つきあう前(사귀기전)の、たがいに好意を持っている間柄」とあります。

 最近では、→コチラの記事(2月26日)に썸탄다の詳しい説明があります。
 それによると、썸(ソム)とは英語のサムシング(something.섬싱)の略語です。つまり、何か引きつけるものを感じる、ということでしょうか。
 また、次のような用例も示されています。
  “나 요즘 썸타는 남자 있어” “와~ 그 썸남 기대되는걸?”
  (「私、最近ソムタヌン男子がいるの」 「わ~、そのソムナム、期待できるのね?」)

 つまり、썸남(ソムナム)とは、ちょっと気になる(いい感じの)男性といったところでしょうか。女性の場合だと썸녀(ソムニョ)です。
 ある記事では、「オレ、썸녀がいるんだ」と言わずとも「관심있는 여자(関心がある女性)がいる」でいいだろう、と書いている人がいましたが・・・。ま、そういうこと。

 私ヌルボが近ごろ愛用している<エンハウィキミラー>の<썸>の項目(→コチラ)の説明文によると、この語が用いられるようになったきっかけはわからないが、男女学生の間で2009年以降使われ始めたそうです。
 この文中にも“나 걔랑 썸이야.”(オレ、あの子と썸なんだ)という用例があります。
 つまりは「友だち以上、恋人未満」と言えばわかりやすいですね。
 また、次のような問題点も指摘しています。
 それは自分が相手を「썸남(썸녀)」と思っていても、それは主観的・一方的なものにすぎないということ。
 したがって、「に乗っていると錯覚していて、わかってみればだったという場合もあるようだ」とも(笑)。
※쌈は싸움(ケンカ)の略語。

 最近、この썸탄다という言葉は「京郷新聞」にも登場しました。3月27日付の、ちょっと政治がらみの記事です。(→コチラ。)
 セヌリ党の最高委員会議で、青年政策提案として招かれた梨花女子大の学生キム・アヨンさんが議員たちに썸탄다という言葉を聞いたことがあるか尋ねたところ、一部を除いてほとんどの議員は知らなかった。そこでキムさんが「恋人でも友だちでもなく、その中間で塩加減をみはからっている程度」と説明すると、チェ・ギョンファンセヌリ党院内代表が安哲秀共同代表のような・・・」と彼の名を出したので同党議員たちは爆笑した、というもの。(なるほどね。)
 ※安哲秀(アン・チョルス)は3月26日成立し、セヌリ党に次ぐ第2党となった新政治民主連合の共同代表。もう1人の共同代表は旧・民主党の金ハンギル。

 つまりは、4年ほど前に若者たちの間で使われ始めた流行語がここにきて新聞・TV・ラジオでも取り上げられ、オジサンたちの間にも関心を持たれるようになってきたということですね。

 TV番組関係では、tvNの日曜夜のお笑い番組「コメディリーグ(코미디빅리그)」の中で放映された、まさに「썸&쌈」と題されたコメディがYouTubeにアップされていました。
 上述のような、いいフンイキの「썸」と、ケンカの「쌈」が対照的に演じられています。
 今年1月の初回から8回分あるようですが、3回までの分のリンクを張っておきます。韓国語中級レベルであまりちゃんと聞き取れなくても(←ヌルボ自身のこと?)、おおよそはわかると思います。
 <코미디빅리그 썸&쌈>→コチラ
 <코미디 빅리그 썸&쌈 2>→コチラ
 <코미디 빅리그 썸&쌈 3>→コチラ
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見知らぬ野草の名前を韓国語ではどう言うか?をつきとめる  ★ハナニラの場合

2014-04-05 23:52:05 | 植物の韓国語
 昨晩のように急に寒くなったりしながらも、春は確実に到来しています。
 横浜の街に出てみると、桜はもとより、いろんな花がいつのまにか開花しています。
 その中で、私ヌルボが注目したのは、下の画像の野草。日本大通りの歩道に楚々とした風情で咲いていました。

 

 これを見て、花の名がわかる人はどれほどいるでしょうか?
 私ヌルボ、野草については、中学時代の理科(生物)の授業で四季それぞれの野草を採集し、名前を調べ、定期テストでは前から回ってくる現物の野草を見てその名を解答用紙に書くという教育を受けたおかげでずっとそれなりに興味を持ち続けてきました。
 しかしこの野草については知りませんでした。

 こうした時、今日びのインターネットはホントに便利です。
 まずは「春 野草 紫 6枚 花弁」でgoogle画像検索。その中で、「これだ!」という画像がすぐ見つかりました。開いてみると→コチラのブログ記事です。ラッキーなことに、記事のタイトルが「春の野草 ハナニラ」。たしかに葉の形態を見ると、なるほどニラだな、とナットク。

 では、このハナニラを韓国ではどういうか? そもそも韓国にはハナニラがあるのか、を調べるにはどうするか?

 安直な方法で、<NAVER辞典>(→コチラ)の検索窓に「ハナニラ」とカタカナを入力して検索してみると、結果は「검색결과가 없습니다(検索結果がありません)」ということで空振り。「サクラ」とか「レンギョウ」のようなおなじみの植物だとすぐに韓国名がわかるのですが・・・。

 で、次の手段としては、ウィキペディア(日本版)で「ハナニラ」の項目を見ること。結果は→コチラ。ここで、その学名がIpheion uniflorumであることがわかります。

 次にこの「Ipheion uniflorum」をもう1度<NAVER辞典>に入力し、統合検索をしてみます。
 その結果(→コチラ)は、今ひとつわかりにくいものの、学名をそのままハングルにした「이페이온(イペリオン)」というのがあるな、ということがわかります。

 あるいは、「Ipheion uniflorum 꽃」でgoogole検索をかける方法があります。ハングルの言葉(ここでは꽃(花))をセットにするのがミソ。すると韓国サイトがヒットします。
 その結果は→コチラ。ヒットした各記事のタイトルを見ると、「이페이온」のほか、「향기부추(ヒャンギブチュ.香ニラ)」「자화부추(チャファブチュ.紫ニラ)」「향기별꽃(香星花)」等のそれらしい単語があります。続けて画像検索すると当然「ハナニラ」で間違いなしです。

 その検索結果の中で、いくつかの韓国サイトを開いてみました。
 たとえば→コチラ。3月27日、つい9日前に、韓国のどこかで同じ花を見て、写真を撮った方がいるのですね。ここでは「이페이온」となっています。

 そして名前のこと等いろいろ書かれている記事は→コチラ
 アルゼンチン原産とか、ニンニクあるいはニラの匂いがする等のほか、上記のようないろんな名称について記しています。英語では「Spring Starflower」というので、韓国でも「봄별꽃(ポムピョルコッ)」というのが自然だとご意見ですが、漢字で「春星花」と書くと堅苦しい・・・というのは私ヌルボ今ひとつわかりません。

 しかし、今日初めて注目したこのハナニラという野草に帰化植物としての歴史があり、またそれに心を留める人たちが韓国にも何人もいるということを知って、また自分の世界がわずかながら広がった気分になりました。 
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韓国のベストセラー漫画(2014年4月) [教保文庫・1~20位]

2014-04-04 23:36:50 | 韓国の漫画
 前回、韓国のベストセラー漫画の記事を載せたのが2012年11月4日(→コチラ。)
 それから1年と5ヵ月も経ってしまいました。だんだん、こういうお気楽な記事が減ってきたような・・・。
 ということで、今回も前回同様<教保文庫>の漫画ランキングの週間漫画ランキングの1~20位を紹介します。

①尾田栄一郎(Eiichiro Oda)「ONE PIECE(원피스) 73」
            
  【韓国版(左)と日本版。日本語がハングルになっているほか、題字と絵の位置関係が微妙に違います。】

②チョン・ククチン(전극진):作、ヤン・ジェヒョン(양재현):画「熱血江湖(열혈강호): 63」
       
   【ウェブトゥーン登場以前の韓国漫画らしいタッチです。】
 1994年~「영챔프(ヤング・チャンプ)」の創刊時から連載している武侠漫画。一昨年(2012年)5月21日の記事で紹介した<韓国漫画名作100選>(→コチラ)では堂々第5位にランクインしています。

③青山剛昌(Aoyama Gosho)「名探偵コナン(명탐정 코난) 82」

④益田ミリ(마스다 미리)「オレの宇宙はまだまだ遠い(나의 우주는 아직 멀다)」

           
   【昨年以来韓国で大ヒットの益田ミリの最新刊(今年3月)。原本と題字がよく似ています。】
 益田ミリの本が3つもベスト20入りとは! 昨年来ブームになっているといってよさそう。韓国の新聞にも紹介されています。たとえば、昨年12月の「中央日報(日本語版)」(→コチラ)には、「今年一年コラムを通じて紹介した作品の中で最も多くの人々の「いいね」を受けた主人公は日本の漫画家益田ミリの「すーちゃんシリーズ」であった」と書かれています。 

⑤安倍夜郎(Abe Yaro)「深夜食堂(심야식당) 12」

⑥よしなが ふみ(Fumi Yoshinaga)「きのう何食べた?(어제 뭐 먹었어?) 8」

⑦枢やな(Yana Toboso)「黒執事(흑집사) 18」


⑧ホ・ヨンマン(허영만)「人相(꼴)」(全10巻セット)
        
   【第1巻の表紙。「映画化された「食客」はおもしろくてためになる漫画でしたが・・・。】

⑨ネオンB(네온비):作、キャラメル(캐러멜):画「ダイエット(다이어터) 3 健康持続編(건강지속 편)[完結]」
 この3冊シリーズは、前回もランク入りしていました。

⑩ネオンB(네온비)「ダイエット(다이어터) 1 食餌調節編네(식이조절 편)」

⑪ネオンB(네온비)「ダイエット(다이어터) 2 運動適応期編(운동적응기 편)」

⑫ユン・テホ(윤태호)「未生(미생)」(全9巻セット)
 
 前回は1巻・2巻がベスト20の1・2位でした。

⑬益田ミリ(마스다 미리)「す-ちゃん(지금 이대로 괜찮은 걸까)」
 韓国題は「今のままでいいのだろうか」です。

⑭尾田栄一郎(Eiichiro Oda)「ONE PIECE(원피스) 72」

⑮穂積(호즈미)「式の前日(결혼식 전날)」

 2012年9月に刊行され、話題を呼んだ漫画が約1年後韓国でも刊行されました。

⑯ガスファード(가스파드)「先天的マヌケたち(선천적 얼간이들) 4」(限定版)
            
          【第4巻(左)と第3巻の表紙。とても凝っています。】
 <NAVER漫画>の人気ウェブトゥーン。今も→コチラの「予告編」から2013年10月の「EP.70」まですべて見ることができます。しかし、私ヌルボとしては、どこがおもしろいのかよくわかりません。しかし表紙の絵を見ると、作者ガスファード(本名チョン・ヨンシク.전용식)、さすがにデザイン学科(釜山大学校)を出ただけのことはある、と思います。

⑰益田ミリ(마스다 미리)「す-ちゃんの恋(수짱의 연애)」

⑱ガスファード(가스파드)「先天的マヌケたち(선천적 얼간이들) 3」(限定版)

⑲井上雄彦(Inoue Takehiko)「リアル(리얼) 13」

⑳エド・ブルベイカー:作、スティーブ・エプティング等:画「キャプテン・アメリカ:ウィンターソルジャー(캡틴 아메리카: 윈터 솔저)
 韓国では3月26日から映画版が公開されています。(日本は4月19日から。)
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「用意、ドン!」を韓国語でどう言うか?

2014-04-02 23:48:25 | 韓国語あれこれ
 김지영(キム・ジヨン)という女性の「남자한테 차여서 시코쿠라니(男にふられて四国とは)」という本を読んでいたら、次のような文章がありました。

 시코쿠 오행로 순례은 누가 어딘가애서 ‘요이~땅!’해서 시작되었다고 하는 명확한 가원이 알려져 있지 않다.
 (四国お遍路巡礼は、誰かがどこかで「用意、ドン!」と言って始まったという明確な起源が知られてはいない。)


 ここで私ヌルボが「あれっ!?」と注目したのは「用意、ドン!」の部分。韓国語では‘요이~땅!’になっていますが、発音は「ヨ~イ、タン!」。つまり、ヨ~イの部分は明らかに日本語ではないですか。
 日本語由来の言葉がどんどん排斥されてきた韓国で、この言葉がまだふつうに使われているのか、ちょっと調べてみました。

 たとえば、2006年の<DAUM知識>に次のような質問がありました。(→コチラ。)
 Q.駆けっこをする時、出発点で「ヨーイ タン!!!」と叫ぶ理由は?
 これに対する回答は次の通り。
 A.日本語から来たもので、お年寄りたちも使うのをみると日帝時代に入ってきたようですね。もちろん当国で日本語をわざわざ使うようになるわけはないので、当然日本から入ってきたものでしょう。日本語で書けば次のようになります。  
 「ようい,どん」。
 ここで‘ようい'は漢字では次のように書きます。
  用意 
 韓国語でも使用する漢字ですね。「用意周到だ」、こういう時の言葉です。その意味は、心の準備をする、心を決める、そんな意味です。したがって、この「요이 땅(ヨ~イ、タン)」は‘준비 (←ママ)’と変えて使用することになりました。


 それから、いくつかの韓国サイトを見て、およそわかったのは次のようなことです。

・요이 땅(ヨ~イ、タン)という日本語「用意、ドン!」に由来する言葉は、戦後も今に至るまで長く使われてきた。しかし、「ヨ~イ」の意味を知らずに使っている人が時代とともに多くなった。
※韓国にも「用意(용의)」という漢字語もあるにはあるが、ふつうは「준비(準備.チュンビ)」という言葉を用いる。

・「요이 땅(ヨ~イ、タン)」という日本語由来の言葉を避けて、10年ほど前(?)から次のような言葉が使われているようである。
  제자리에~ 차려~ 탕!(チェジャリエ~ チャリョ~ タン!) 
  (「正しい位置に~」 「ちゃんとついて~」 「タン!」)
 または、
  제자리에~ 준비~ 탕!(チェジャリエ~ チュンビ~ タン!)
  (「正しい位置に~」 「準備~」 「タン!」)

 また、このような言語愛国主義といったものも、やっぱり90年代以降の風潮のように思います。

 1つ気になったのは、カタカナ書きでは同じなんですが、「ドン!」の音に相当する「タン!」の表記が「ヨ~イ、タン!」の方が「땅!」なのに対し、「チュンビ、タン!」では「탕!」になっていること。
 韓国語を正しく使おうという組織の方の記事(→コチラ)によると、「땅!」は日本の銃声で、「탕!」は韓国の銃声なんですと。カタカナ表記は同じ「タン」ですが、前者は濃音のddangで後者は激音のthang。韓国語学習者が発音するにも聴き分けるにもむずかしい音です。そんなビミョーなところにまで韓国と日本の違いが感じられるのですかねー・・・。

 今、韓国の運動会や、陸上競技大会等ではスタートの合図は何が標準になっているのか? やっぱり、ネットで調べるより先にネイティブの韓国の方に聞くべきですね。近いうちに聞いて、追記を書くことにします。
コメント (3)
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [3月28日(金)~3月30日(日)]

2014-04-01 20:52:44 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 <新大久保ドラマ&映画祭>で観た「怒りの倫理学」はおもしろろかったです。最初の方で女子大生が殺されるのですが、観客はそこで犯人はわかります。ところが彼女を取り巻く男たちというのが、昼間は実直な警官で夜は彼女の隣室で盗聴している男(イ・ジェフン)、「不適切な関係」にあった大学教授、叔父を自任していた残忍な金貸し、とっくに振られたのにストーカー行為を繰り返す昔の恋人・・・というヘンな奴ばかり4人。後半、それぞれ勝手な自己主張をしている彼らの前に別の女性(ムン・ソリ!)が現れ、展開が読めないままラストヘ・・・というなかなか凝ったブロット。韓国での観客動員は20万人ちょっと程度で、ヒットとはほど遠い数字。しかし、<DAUM映画>の評点(→コチラ)を見るとネチズン平均(6.3)よりも熱烈会員(6.9)や専門家(6.7)の方が高ポイント。たしかにそんな感じの作品でした。

 もう1つ観た「マイ・ラティマ」は、知的障碍の男性の嫁(&働き手)として金で買われたタイ人女性が、偶然出会った無職青年の誘いで家を飛び出し、ソウルに行って・・・という哀しい物語。チンピラと出稼ぎ外国人との偽装結婚を題材にした「パイラン」を少し連想しましたが、コチラは純愛とはいえないかも・・・。ちょっと「東京難民」に似てるかも。しかし、次々と悪い男が出てくるものだ。同じような現実がいろいろあるんだろうな。

 以上2作品は、案の定9割方は女性というこの映画祭の上映作としては疑問なきにしもあらず。私ヌルボとしては、それゆえに観に行ったんですけどね。

 29日(土)から始まった「チスル」はいつ観にいけるか? シネマジャック&ベティの上映まで待つかな?(日程未定)

           ★★★ Daumの人気順位(4月1日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①もうひとつの約束(韓国)  9.7(2237)
②弁護人(韓国)  9.5(30441)
③貪欲の帝国(韓国)  9.3(44)
④アーネストとセレスティーヌ  9.2(52)
⑤リバー・ランズ・スルー・イット  9.1(120)
⑥怪しい彼女(韓国)  9.0(2674)
⑦イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.0(82)
⑧あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.0(118)
⑨アデル、ブルーは熱い色  8.9(130)
⑩舟を編む(日本)  8.9(47)

 今回の新登場はありません。ただ、⑩「舟を編む」はこのランキングでは初。韓国題は「행복한 사전(幸福な辞典)」。この映画自体もさることながら、日本語の通じない外国で日本語がどう訳され、その辞典編纂作業がどう受けとめられるか、という点に興味があるのですが、DAUMのレビューにはそこにふれたものはなかったですね。映画についてはほとんど好評。とくに静かでゆっくりした時の流れに対して。→コチラ。(→自動翻訳。)

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③罪の手ざわり(中国・日本)  8.1(7)
④ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
⑤萬神(韓国)  8.0(3)
⑥グランド・ブダペスト・ホテル  7.8(7)
⑦アデル、ブルーは熱い色  7.8(6)
⑧そして父になる(日本)  7.6(6)
⑨アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑩物語る私たち  7.5(4)
⑩キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー  7.5(4)

 新登場は③「罪の手ざわり」と、⑩「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」の2作品です。
 ③「罪の手ざわり」は、「천주정」という韓国題を見ても意味が全然わかりませんでした。「天注定」という原題(中国語」の音読そのままなんですね。「人的命、天注定」(人の運命は天が定める)という中国の伝統的な運命観を示す言葉からつけたもののようです。「長江哀歌」(2006年)の賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督の7年ぶりの長編で、2013年の第66回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞。また第14回東京フィルメックスではオープニング作品として特別招待されました。日中合作ですが、監督も舞台も中国です。物語は、中国で急速に拡大する社会的格差の中で起こった4つの事件を素材に、苦闘する人々の姿を描き出します。村の共同所有だった炭鉱の利益が実業家に独占されたことに怒った山西省の男、 妻と子には出稼ぎだと偽って強盗を繰り返す重慶の男、しつこく迫る客に我慢できず、切りつける湖北省の女、ナイトクラブのダンサーとの恋に苦悩する広東省の男・・・。そんな彼らが起こす「驚愕の結末」とは? 日本では5月31日から一般公開。公式サイトは→コチラです。上映館は東京ではBunkamuraル・シネマ。ヌルボおなじみの横浜シネマジャック&ベティも。(´∀`)ノ ヤター
 ⑩「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月28日(金)~30日(日)] ★★★

         週替わり首位の座、今度は「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」が・・・

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(28)・・キャプテン・アメリカ/・・・・・・・3/26 ・・・・・・・・・・1,170,441 ・・・・・・・1,474,013・・・・・・・11,722・・・・・・1,106
             ウィンター・ソルジャー
2(1)・・ノア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・326,741 ・・・・・・・1,740,854・・・・・・・13,363・・・・・・・・629
3(2)・・優雅な嘘(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/13 ・・・・・・・・・・・・200,652 ・・・・・・・1,385,140・・・・・・・10,099・・・・・・・・435
4(5)・・グランド・ブダペスト・ホテル ・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・115,172・・・・・・・・・268,501・・・・・・・・2,101・・・・・・・・233
5(3)・・ノン・ストップ ・・・・・・・・・・・・・・・・2/27 ・・・・・・・・・・・・・25,742 ・・・・・・・2,072,851・・・・・・・15,982・・・・・・・・201
6(4)・・300<スリーハンドレッド>・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・16,456 ・・・・・・・1,586,200・・・・・・・13,343・・・・・・・・224
             ~帝国の進撃~
7(新)・・チベット犬物語・・・・・・・・・・・・・・3/27・・・・・・・・・・・・・・15,967・・・・・・・・・・17,494・・・・・・・・・・121・・・・・・・・192
             ~金色のドージェ~(日本・中国)
8(新)・・緑林大冒険 ・・・・・・・・・・・・・・・・3/27 ・・・・・・・・・・・・・・9,859・・・・・・・・・・10,898・・・・・・・・・・・74・・・・・・・・162
9(8)・・怪しい彼女(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・・・・・8,160 ・・・・・・・8,642,367・・・・・・・62,618・・・・・・・・・90
10(6)・・モンスター(韓国)・・・・・・・・・・・・3/13 ・・・・・・・・・・・・・・7,644 ・・・・・・・・・522,189・・・・・・・・4,105・・・・・・・・138
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 また今回も1週でトップ交代。この状態はいつまで続くのかな? 韓国映画の期待作、ヒョンビンが正祖を演じる「逆鱗(역린)」の公開は4月30日か。まだ1ヵ月先なのに、DAUMの評点欄にはもう125人が点を付けてるゾ。(平均9.0。)
 今回の新登場は1・7・8位の3作品です。
 1位「「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」は、前作「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」の続編。舞台は戦時中のノルウェーから今回は現代です。日本公開は4月19日で、公式サイト
(→コチラ)を見ると「アベンジャーズ以外、全員敵。」だそうです。ヌルボも敵か、恐ろしや、と思いつつ説明文を読むと、キャプテン・アメリカが聞いた計画とは「平和維持のために巨大空中母艦ヘリキャリアで世界を監視しようとするものであり、それは、全人類をシールドの監視下に置き、実質的に世界を支配することを意味していた。キャプテン・アメリカは、そんなシールドのやり方に疑問を持ち始める」のですと。お、ついにアメリカの世界支配に異義を唱えるのか?! 韓国題は「캡틴 아메리카: 윈터 솔져(キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー)」です。
 7位「チベット犬物語~金色のドージェ~」は日本・中国合作のアニメ。中国のベストセラー小説が原作で、少年とチベット犬がある事件を経て成長していく姿を描いた作品で、日本では2012年に公開されました。韓国題は「초원의 왕 도제(草原の王ドージェ)」です。
 8位「緑林大冒険」は、昨年の春節に上映された中国アニメ。主人公ライニ(男の子?女の子?)はお母さんと2人暮らし。お母さんは科学研究所の上級研究員、という設定は中国らしいところ? お母さんはいつも忙しく、ライニは誕生日さえも1人きり、というのも中国らしい? 恨みがましい気持ちでお母さんの研究所に訪ねて行ったライニは、研究者のミスで空間移動レーザーによって見知らぬジャングルの世界へ! そこで恐竜たちの攻撃から救ってくれたのが妖精ブルー。おりしも欲張りの研究所所長は、ジャングルの特殊な鉱物を掘り出すためのロボットと特殊部隊を派遣。これに対し長年ジャングルで生物を研究してきた博士は、自然が破壊されるのを防ぐためにレイニやブルーと力を合わせてジャングルを救おうとします。。一方、ライニのお母さんもライニを探しにジャングルに向かいます・・・。中国の現実を見ると、欲張りの皆さんたちによって自然がどんどん破壊されていってるようですが・・・。韓国題は「아바타 정글의 비밀(アバター ジャングルの秘密)」。画像を見ると、ブルーの顔は「アバター」の緑色を思わせる鮮やかな青色。なんだかなー・・・。日本公開はないでしょ、たぶん。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ベルとセバスチャン ・・・・・・・・・・・・・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・・2,686・・・・・・・・・・・・・・28,459・・・・・・・・・・203・・・・・・・・・45
2(5)・・萬神(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・1,470・・・・・・・・・・・・・・32,878・・・・・・・・・・247・・・・・・・・・16
3(新)・・罪の手ざわり(中国・日本)・・・・・・・・・3/27 ・・・・・・・・・・・・・1,334・・・・・・・・・・・・・・・2,607・・・・・・・・・・・20・・・・・・・・・21
4(新)・・女の一生[1968](韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,313・・・・・・・・・・・・・・・6,999・・・・・・・・・・・12・・・・・・・・・・1
5(新)・・メイジーの瞳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/27 ・・・・・・・・・・・・・・・624・・・・・・・・・・・・・・・1,619・・・・・・・・・・・11・・・・・・・・・13

 新登場は3・4・5位の3作品です。
 3位「罪の手ざわり」については上述しました。
 4位「女の一生(여자의 일생)」というタイトルの作品は過去いくつもあります。情報元では韓国映画ということしかわからず。候補は3つ。いくつかのサイトを見ると、どうも申相玉監督の1968年の作品のようです。申相玉監督作品といえば、もちろん主演女優は崔銀姫。彼女が演ずる21歳の乙女ナンジュは、ソウルから訪ねて来た亡兄の大学時代の同期の男と親しくなって結婚しますが、彼の財産は意外に少ない上、使用人とはもめるし、浮気癖はひどいし、サンザン。結局は浮気相手の夫に狩猟用散弾銃であっけなく殺されてしまいます。彼との間の息子も困ったちゃんで、ソウルに遊学したものの車で事故ったりと、これを一体どういうふうにまとめるのだろうと思ったら、結局は「女性の一生はそんなに幸せなことも不幸なこともない」というモーパッサンのような(いいかげんな?)ソーカツでしめくくっているみたいだぞ。
 5位「メイジーの瞳」は、日本ではすでに1月31日公開されています。韓国題は「메이지가 알고 있었던 일(メイジーが知っていたこと)」。韓国題を見て、一瞬「明治」かと思ってしまいました。(´∀`*)
コメント (2)
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