ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20(2011年5月23日~29日)

2011-05-30 22:12:23 | 韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20
 2ヵ月に1回の記事です。前回は→コチラ
 データの出所は韓国の視聴率調査機関TNmSのサイトです。

 人気の韓国ドラマも、4月の「朝鮮日報」を見ると、<大コケ韓国ドラマが抱える「三大慢性病」>という記事もありました。ふーむ・・・。→ (上) (下)

【5月23日(月)~29日(日)】
①週末連続ドラマ「愛を信じて[사랑을믿어요]」(KBS2)   22.4%
 前回の②位から上がりました。
②スターオーディション偉大な誕生[스타오디션위대한탄생](MBC)  19.2%
 本ブログ3月3日に関連記事を載せました。前回の⑥位から大幅アップです。
③連続ドラマ「わが家の女たち[우리집여자들]」(KBS1)  17.9%
 5月16日に始まったばかり。前回①位の「笑えトンヘ」のアト番組。ロックバンドTRAXのボーカル・ジェイが有機農企業の後継者を演じる、といっても祖父の方針で見習い社員からスタート。いろんな苦労を経験して・・・、というお話のようです。正確には<日日連続劇(일일연속극)>なんですね。これは1話約35分前後で月~金の夜に放送。半年ワクで総話数150程度続くドラマのこと。
④ハッピー・サンデー[해피선데이](KBS2)  17.7%
⑤世界を変えるクイズ セ・バ・クィ[세상을바꾸는퀴즈세바퀴](MBC)  17.0%
 前回⑪位からアップ。
⑥週末連続劇「きらきら光る[반짝반짝빛나는]」(MBC)  16.2%
 内容は前回紹介しました。
⑦特別企画「新妓生伝[신기생뎐]」(SBS)  16.1%
 韓国最高にして唯一の伝統芸者料理屋である芙蓉閣を取りまく人たちの数奇な生と哀切な愛の物語とか。4月に週末ドラマの1番人気に。「伝」の表記が「전」ではなく「뎐」なのは昔の雰囲気を出すためで、林権澤監督の「春香伝(춘향뎐)」に同じ。
⑧ギャグコンサート[개그콘서트](KBS2)  15.4%
 私ヌルボ、昨晩チラッと見ました。次の記事でちょっとだけ取り上げます。
⑨水木ミニシリーズ「最高の愛[최고의사랑]」(MBC)  14.8%
 ガールズグループのリーダーとして人気の絶頂にあったが転落し、暮らしのためにきつい仕事を引き受けるエジョンと、トップスターのゴジンのラブストーリーを描くドラマ。「チャ・スンウォンとコン・ヒョジンに人気」という聯合通信の最新ニュースがありました。
⑩週末特別企画ドラマ「私の心が聞こえる?[내마음이들리니]」(MBC)  14.6%
 精神年齢7歳の父親の目線に合わせ、バカなふりをする女性と、聴覚障害者なのに聞こえるふりをするた財閥家の子息の愛の物語。「欲望の炎」の後続ドラマですが、視聴率はイマイチかな?
⑪KBSニュース9(KBS1)  14.4%
 2ヵ月前の第③位20.7%から大きく下がったのは何か理由が? 1月も第⑤位20.4%だったしなー。
⑫無限挑戦[무한도전](MBC)  13.1%
⑬特別企画ドラマ「相棒[짝패]」(MBC)  12.6%
 内容等は前回紹介しました。
⑭1泊2日(再)[1박2일](KBS2)  12.4%
 カン・ホドンと5人の仲間が1泊2日の旅に出て、韓国の美しさを紹介しながら笑いを絶えず与えてくれるロード・バラエティ。29日の放送では<チェ・ジウ“転んで溺れて”体をはったギャグ披露>なんてInnolifeの今日の記事にありましたよ。
⑮黄金漁場[황금어장](MBC)  12.1%
 カン・ホドンさん、こちらでも活躍。先週の<膝打ち導師>出演は、女優ヨム・ジョンアとか。
⑯瞬間捕捉世の中にこんなことが[순간포착세상에이런일이](SBS)  11.9%
 前回の⑨位からまた逆戻り。
⑰ヒューマンドキュメンタリー「愛[사랑]」(MBC)  11.6%
 先週27日には「ジンシルの母」編で、自殺した女優チェ・ジンシルさんの子供2人を引き取り育てている母チョン・オクスクさんに焦点をあてたそうです。詳しい内容は→コチラ。先々週はチャ・インピョがナレーションを担当した「お母さんという名前」編
⑱月火ドラマ「童顔美女[동안미녀]」(KBS2)  11.3%
 5月2日スタート。私ヌルボ、原題の「동안(トンアン)」がすぐにはわかりませんでした。そういえば、リュ・ジン氏の大ファンのtorakoさんのブログ<京城蒼月倶楽部>でさすがに愛をこめて、細かく記事にしていらっしゃいます。
⑲全国歌自慢[전국노래자랑](KBS1)  10.7%
 1月の記事で紹介したように、昨年11月に30周年を迎えた最長寿芸能番組です。
⑳朝ドラマ「あなたは本当に美しい[당신참예쁘다]」(MBC)  10.5%
 出張にきたソウルの男と愛に陥った済州島の女が、ソウルに発った男を追いかけて行くが・・・。詳しい配役等は→コチラで。
月~金の7:50~。ウーム、朝から疲れそうだなー・・・。
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「女性東亜」 申京淑の実家のオンマにアポなし取材記 +[動画]作家・申京淑「私の話の源泉はオンマ」

2011-05-29 18:23:45 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 月刊「女性東亜」、やっぱり重い! 重すぎます!! 夫婦喧嘩でこんなの投げつけられたら、頑健な韓国人男性でも当たり所によっては致命傷となるでしょう。いや、投げる以前に持ち上げられないか?
 横浜市立図書館でその5月号を見ていて目にとまった記事が「‘21年ぶりに出会ったあなた’ ク・チャンモ」と、「‘オンマをお願い’でアメリカを虜にした申京淑作家のオモニ・朴福禮さんに突撃インタビュー」

 ク・チャンモは、80年代の人気グループ・ソンゴルメのリードヴォーカルとして人気を博した実力派歌手で、90年代初めから歌謡界を離れていましたが最近復活し注目されています。
 ・・・が、彼については(得意の)またいずれ、ということにします。

 さて本ブログでは、これまで申京淑さんとその作品については何度もとりあげてきました。一昨年の大ベストセラー「オンマ(お母さん)をお願い」「どこかで私を呼ぶ電話の音が鳴って」の紹介&感想、そして最近では4月28日の記事で「オンマをお願い」の英訳本が出てアメリカで注目されているということを書きました。

 韓国では作家が自分の経験や実生活を素材に小説を書く例が非常に多くあり、申京淑さんも画期的名作「離れ部屋」など明らかに自身の経験をそのままふまえているようです。日本の文学史にも私小説の確固たる伝統はありますが(ありましたが?)、彼女の場合は例の西村賢太氏のような破滅型私小説とは正反対ですが・・・。そして「オンマをお願い」も彼女自身の母や家族の実像とかなり重なっていることがうかがわれます。

 ・・・ということもあって、彼女の愛読者としては「オンマをお願い」に描かれたオンマに実際に会ってみたいと思うのも無理からぬ話ではあるでしょう。

 私ヌルボ、「女性東亜」の記事をコピーして読みましたが、後で「女性東亜」のサイトを見たら、その記事が全文載っているではないですか!
 →コチラ① (→同・日本語自動翻訳)
 →(続き)② (→同・日本語自動翻訳)

 記事にもあるように、申京淑さんの実家は全羅北道井邑(정읍.チョンウプ)市の農家です。(ご両親は数年前に農業をやめて「今はお米を買って食べるというぜいたくをしています」と語っています。)
 私ヌルボが「アレレ!」と思ったのは、記事中の約束もなしに訪れた記者を、「"留守だったらどうするの"と言いながら迎えた」というところ。えっ、事前のアポなしで直接訪問取材してるのか!? ここらへんが日韓の違いなんでしょうね。続けて「内心拒否されるんじゃないかと心配したが、そのように冷たくすることができないのが田舎の人の心だった」と(ヌケヌケと、とは言いませんが)書いてるとこまで含めてね。
 また、「娘が有名になって、家を訪ねてくるお客さんもいると語った。学校から団体でやってきたりもし、数日前にも女性(読者)が訪ねてきたと語った」とのことです。(自動翻訳では「家に持ち帰るお客さん」(!)とか「馬鹿な女性(読者)」とかメチャクチャな訳になってますが・・・。)

 記事によると、小説との大きな違いは、オンマが認知症を患っていないこと。それに小説では5人兄妹ですが実際は6人です。オンマの話では6人全員国民学校の時は皆勤賞とか。ソウルでの夜間高校卒業に際し、家族皆が集まった場で、大学入学を決めたという京淑さんの言葉に怒ったオンマに対して、「自分が学費を稼いで通えばいいじゃない」と京淑さんが反発したというエピソードは彼女のファンにはよく知られていることかも・・・。(自動翻訳の「魂を出した」とか「化を出した」は「怒った」の誤訳。)

 「オンマをお願い」と実際のオンマが同じ点は文字が読めないこと。「残念ではないですか?」と問う記者に簡単に글치(クルチ)と答えています。「글(クル)」=文字と、音痴(음치)などの「痴(치.チ)」の複合語。
 4月30日の記事「韓国の非識字者の問題(2)成人人口の7%がハングルの読み書きできない(?)」にも書いたように、地方の女性高齢者の非識字者は今も決して少なくはないのです。

 取材を終えて帰る記者に、オンマは「途中で飲んでね」と豆乳3個を持たせてくれたというのは、やっぱり伝統的な心やさしいオモニですね。

 ナットクの記事でしたが、ヌルボとしては、この記事を読んだ彼女のファンが同様のアポなし訪問に押しかけるのでは?ということがちょっと心配になりました。それも日本人的感覚? しかし、「あの青い屋根の家」とか、すぐわかるように書いちゃってるしなー・・・。

 さて、たまたまYouTubeで申京淑さん自身がオンマについて語っている動画が見つかりましたのでここに載せておきます。
 早口ではないので、聴き取りやすい方ではありますが・・・、ハハハ(汗笑)。


    【タイトルは「申京淑作家、私の話の源泉はオンマです」】
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「週刊金曜日」の<合成甘味料を入れた「マッコリもどき」が横行中>という記事を読んで・・・

2011-05-28 18:50:41 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 マッコリの語源は「マッ+コルダ」(막 거르다、粗雑に+濾す)、つまり「粗く濾した酒」という意味だということを、この記事を読むまで知りませんでした(恥)。ウィキを見たらたしかにそう書いてありました。

 さて表題の「週刊金曜日」の記事、連載の<新 買ってはいけない>の161回目の記事として渡辺雄二さんが書いています。
 渡辺さんは「これまで伝統的なマッコリ(加熱殺菌していない生マッコリ)を何度も飲みましたが、さわやかな酸味と甘み、さらに発行による炭酸が加わり、「とても味わい深いお酒」という印象を受けました」と書いています。
 ところが最近多く出回っている「真露マッコリ」「にっこりマッコリ」「ソウルマッコリ」等、市販の多くのマッコリは合成甘味料のアスパルテームを使っているため、自然の甘みが奪われている、と指摘しています。
 アスパルテームは安全性にも不安があり、「化学物質に敏感な人の場合は頭痛やめまい、不眠などを起こす心配」がある、とか、「脳腫瘍のリスクを高める可能性」や「動物実験では、白血病やリンパ腫の発生が認められ」等々から、「アスパルテームを含んだ食品はできるだけ食べないほうがよいのです」と結論づけ、「本当に生マッコリの味に近づけたいというのであれば、今すぐアスパルテームの使用をやめるべきです」としています。

 渡辺雄二さんのように「~です」「~べきです」と明確に断定する記事を読むと、「えっ、そうだったのか!」とすぐに感応する人も多数いらっしゃると思いますが、性格的には素直であっても知的な面では疑り深いことを信条としている(!?)私ヌルボとしては、問題とされるアスパルテームについて関係の本やサイト等で確かめてみました。

 アスパルテームは砂糖の約200倍の甘みを有するアミノ酸系甘味料で、ダイエットシュガー、キシリトールガム、コカコーラ・ライトやダイエツトペプシ等の炭酸飲料、そして上記のマッコリ等に用いられています。

 すぐわかったことは、アスパルテームに対する肯定論・否定論どちらの立場にも「専門家」はいて、また同様の断定的表現をする人が少なからずいるということですね。

 実践女子大の西島基弘教授の著書「安心して食べたい!食品添加物の常識・非常識」の肯定論の要点は次の通りです。

・1980年に国連のFAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)が安全性を確認した。日本でも1983年食品衛生調査会の審査を経て食品添加物として認められた。現在は世界120ヵ国以上で使用されていて、とくに規制はされていない。 
・アスパルテームは体内で分解・消化・吸収され、代謝される。妊娠中の女性や子どもが使用しても問題はない。
・アメリカで脳腫瘍との関連が話題とされてきたが、FDA(アメリカ食品医薬品局)はアメリカがん研究所の調査を公表し、関連はないとの結論を出した。
・先天性代謝異常であるフェニルケトン尿症患者は注意が必要。
・厚生労働省の調べでは日本でのアスパルテーム摂取量は1人平均2.55㎎。これは1日摂取許容量の0.2%にすぎず、まったく問題にならない。


 なかなか説得力があるように思えますが、いかがでしょうか? 問題は、JECFAやFDA、日本の食品衛生調査会によるチェックの内実ですね。

 ウィキには、次のような内容のアスパルテームをめぐる政治疑惑めいた記述もあります。

 1979~1981年アメリカの政府機関食品医薬品局(FDA)の長官だっGoyanはアスパルテームを承認しなかったが、レーガン大統領が就任すると長官を解雇され、後任のヘイズは翌1982年アスパルテームを承認している。ヘイズは1983年に辞任、人工甘味料製造会社G. D. Searle & Companyに就職した。同社はアスパルテームの販売で莫大な利益を得ている。その利益のために人体への悪影響を無視し承認に踏み込んだのではないかという疑惑がある。なお、国防長官等を歴任したラムズフェルドは同社のCEOである。

 強力な反アスパルテームの代表例として、<THINKER>というサイトに「最も論争をよんでいる人工甘味料」という記事がありました。いろいろ怖ろしい事例(?)があげられていますが、感情先行の書き方で客観的説得力はやや不足。最後の方の対処法の1つに「1週間に1日(2食抜くだけ)の断食も非常に有効です」というのもあったりして、頭の中に「?」がよぎってしまいました。

 こうした論議を概観して思うことは、歴史分野も同様ですが、思い込みを排し、緻密にありのままを追究することが、専門家といわれる人たちにとっても難しいことなんだなあということです。中には政治や経済関係の組織等との関係が疑われる「専門家」もいるようなのは嘆かわしいかぎりです。

 ・・・で、はじめに戻って「週刊金曜日」の記事についてのヌルボの判断は、「参考になった」が「書き方が一方的」。
 結論としては「アスパルテーム入りのマッコリについては、害があるかどうかはわからないが、あったとしてもただちに害があらわれるものではない(!)と思われます。各自で判断しましょう」。こんなとこですかねー。

 なお、この記事では「マッコリ飲むならこちらがおすすめ!」としてアスパルテームの入っていない草家マッコリ高矢禮マッコリをあげています。
 はたして違いがわかるかどうか、今度飲み比べてみます。

[2011年6月3日の追記]麹醇堂(ククスンダン)の米夢マッコリもアスパルテームなしということを知りました。追加しておきます。

 
     【アスパルテームが入っていない草家マッコリ、高矢禮マッコリ、米夢マッコリ(左から)】
コメント (4)
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韓国の作家殷熙耕(ウン・ヒギョン)、「日本文学の魅力は悲観と虚無のスケール」

2011-05-26 23:49:31 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 「毎日新聞」に連載中の新世紀 世界文学ナビ 韓国編。8回目は殷熙耕(은희경.ウン・ヒギョン)でした。
 記事の内容は→コチラ

 殷熙耕は、まあ予想の範囲内でしたね。私ヌルボも4月28日の記事「申京淑の小説「オンマをお願い」がアメリカで好評」の中で、5回目の予想で本命孔枝泳の対抗としてパク・ヒョヌクとともにあげておいた作家ですからねー。(・・・と一応言っておきたかった。(笑))

 とはいうものの、実はヌルボ、彼女の作品はまだ読んでいません。その大きな理由は翻訳書が少ないこと。「毎日」の記事にある安宇植先生訳の「他人への話しかけ」と短編「妻の箱」の外は短編1つくらいかも(?)。
 「二重奏」で「東亜日報」新春文芸当選と、長編「鳥の贈り物」で文学トンネ小説賞の2つを受賞して注目のデビューを果たしたのが1995年。同じ年に両賞を受賞したのは1979年の李文烈(イ・ムニョル)、1987年の蔣正一(ジャン・ジョンイル)以来だそうです。以後もいくつも作品を刊行して読者も多く、本ブログ4月21日の記事「韓国の「今」の作家たち」で紹介したように、YES24の恒例の企画している「ネチズン推薦 韓国の代表作家・若手作家」では、05年の孔枝泳、06年の申京淑に続いて07年に[代表的若手作家]に選ばれています。
 それだけの実績のある作家なのに、翻訳書の少ないのはなぜなんでしょうね? (ヌルボの推測もないではないですが、それはいずれ・・・。)

 ・・・ということで、私ヌルボの情報としては、雑誌「新東亜」2月号に載っていた「新作「少年を慰めてやって」を著した殷煕耕」という記事をたまたま読んだり、詩人のウォン・ジェフンが書いた「私はひたすら文章を書き本を読んでいる間だけ幸福だった」という本の中にあった殷煕耕のインタビュー記事を読んだ、という間接的なものにとどまっています。
 ・・・ということで、ヌルボとしても気になっていたので、上記の彼女の新作「소년을 위로해줘(少年を慰めてやって)」をちょうど購入して読み始めたところなのです。(下写真)

     

 「毎日新聞」のきむふなさんの記事で紹介されていた鳥の贈り物については、「統一日報」で「原書で読む韓国の本」を連載している翻訳家吉原育子さんのブログ「韓国ブックカフェ」
紹介されています。

 さて、今回の「毎日新聞」の記事でヌルボが注目したのが殷煕耕自身の次の言葉。
 「日本文学や文化を魅力的にするものは何だろう、と時々考えてみる。それはもしかすると悲観と虚無のスケールではないだろうか。人間が有限な存在だという認識は虚無につながり、それは人々を多少なりとも淡泊で温かく繊細に、そしてユーモアを持つリアリストにするのではないだろうか。3月にあった悲劇を心を痛めながら見つめるうち、また同じことを考えた。運命を受け止めることから来る悲しみには、人生を扱うスケールがある。私はそれを日本文学から学ぶ。」

 本ブログ5月19日の記事で、「21世紀の韓国と、1970年代の日本の文学状況と通底するものがある」と書きました。その共通項こそ明るく軽く、そして意外に根の深い虚無感。日本ではすでに常態化したそんな感覚が、韓国ではこの10数年の間の、新しい時代感覚なんですね。

 最近読んだ李禹煥の「時の震え」(みすず書房)の中に「酒の周辺」というエッセイがありました。以下略述。

 「韓国の雑誌編集者で、すごい美人」というJ女史が「韓国文学にはまだリアリティが生きてますよ」と韓国文学の素晴らしさを訴えると、日本の評論家のN氏と小説家のM氏、「だから韓国文学の印象はうっとうしい」「まだテーマ主義が本流で、依然として意味を求めている感じだね」、と否定的な返事。・・・・「だから文学がまだ自惚の段階である証拠で、表現が対自化されてないと思う」 「結局、リアリティなんて幻影なんだ」と話し続けるN氏に、彼女は憮然とした声で「この酒も幻影かしらね」と言って、いきなりグラスを突きつける。「ゲームだか幻影だか知らないけど、さ、これ飲める?」「いや、これは」「これはエイズ菌入りのお酒さ、どうです?」

 ・・・なんて感じでさらにシッチャカメッチャカな展開に。
 このエッセイが書かれたのが何年かは確認していませんが、日韓の文学状況の年代差を象徴する出来事かもなーと思いながら、ヌルボは興味深く読んだのでした。
そして上記の殷煕耕の言葉。韓国はどんどん変わりつつあるということです。

 さて、この「毎日新聞」のシリーズ。8回まできた韓国編、キリのよい10回まで続くとしてあと2、誰を取り上げるのか、ここでまた予想をたてると、今度は男性。朴玟奎(パク・ミンギュ)、朴賢(パク・ヒョヌク)、尹大寧(ユン・デニョン)、成碩済(ソン・ソクチェ)といったあたりか?
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「韓流 美・味展」で聞いた「韓流セミナー」①李映林さん&コウ静子さんのお話

2011-05-25 23:45:17 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 昨日からそごう横浜でエネルギッシュコリア 韓流 美・味展が始まりました。
 私ヌルボの住まいから歩いて約15分、行かないわけにはいきません。

 昼近く、8F催会場に行くとなかなかの盛況。実は横浜での開催を知らなかったヌルボ、先月池袋西武池袋店に行ったのですが、広さもあまりかわらない感じ。八田靖史さんのブログ<韓食日記>によると横浜の方が少し狭いそうですが・・・。
 店舗等の情報は<そごう>のサイトでご確認を。→コチラ

 で、ヌルボのこの日の目当ては、胃の調子もイマイチだし、「韓流セミナー」で話を聞く、なんですねー。
  13:00~13:40 李映林さん&コウ静子さん「お茶とお菓子の時間」 これだけのつもりだったのが、
  15:00~15:40 八田靖史さん「韓国屋台の楽しみ方」 も聞くことになりました。

 各々「30分前に整理券配布」となってますが、50分前くらいから列ができはじめて、整理券配布の時刻にはもう座席数分の30枚は確定済み。10数人分の立ち見はありますが、今後行こうと思っている方はセミナー開始時刻の1時間前には行ってようすを見て並ぶことですね。

 さて、李映林さん&コウ静子さんのセミナーを聞こうという30人+立ち見15人くらいをざっと見回すと、男性はヌルボだけ。まあ平日の昼だし、こういうテーマだし、意外でもないですね。

 お話の内容は、「薬食同源」という基本理念に続き、「五味五色」とかヤンニョムについての説明。その後はいろんな伝統茶についてその原材料や効能等を、画像をスクリーンで提示しながら紹介。代表的な伝統飲料シッケやスジョングァについても。
 そして漢方(韓方)薬材の市場として知られる京東市場のようす。マッコリで蒸した蒸しパン、ソンピョン(송편)やシルトク(시루떡)等々の餅菓子の紹介等々。
 ※「五味」=辛・甘・酸・鹹・苦、「五色」=青・赤・黄・白・黒。陰陽五行説に基づくものです。

 ヌルボにとっては、トゥングルレ茶、オミジャ(五味子)茶等々、大体はすでに知っている内容でしたが、初めて知ったこともあり、また帰宅して調べてみた事柄もありました。以下メモ程度に記しておきます。

韓国料理の薬味・ヤンニョム(양념)は、辞書を引いても漢字はないし、固有語だろうとなんとなく思い込んでいました。ところが李映林さん、「薬(약)に念(염)と書いて・・・」とおっしゃったので、「あら!」と思って少し探ってみました。するとたしかに「薬念」と書かれた記事が多くありました。しかし、「朝鮮新報」のサイトに朝鮮料理の大家・鄭大聲先生の<薬念(ヤンニョム)は調味、香辛料の総称>と題した記事がありました。
 それによると、「「薬塩」という表現が本来の字であった。つまり、塩が貴重な時代、薬のような価値を持っていた時代に、単純に「塩」とは呼ばず「薬塩」と呼んでいたわけである」とのことです。そして「確かに、朝鮮では食べ物に薬の字がよく使われる。薬飯、薬水、薬酒、薬果など多く見られる。これは朝鮮時代から始まった儒教文化の「薬食同源」思想の現れであろう」と結んでいます。あ、塩の音読みが「염(ヨム)」です。

なつめは花が咲くと一つの花が必ず実を結び、1本の木から大量の実を収穫できるため、多産の意味を含んでいるそうです。
 幣帛(폐백.ぺベク)すなわち新婦の家で婚礼をした後、新婦が新郎の家に行って新郎の両親に挨拶する儀式の際に、新婦はなつめを舅に捧げると、舅はそれを花嫁のチマに投げ入れる、という習慣があるのも、子どもをたくさん産むようにとの願いが込められているということです。

ソウルの「お餅博物館(떡박물관)」の話をされていました。ヌルボは行ったことがありませんが、コネストの記事を見るとおもしろそうです。近いうちに行ってこようと思いました。
 떡박물관のサイト(韓国語)は→コチラ。(日本語)→コチラ

「ウメギ」というお菓子を紹介されていました。実は本ブログ2009年8月23日の記事でこれについて記しました。北朝鮮の開城(ケソン)に行った時に出されて食べた、思い出のお菓子です。映像を見ると、ヌルボがいただいたウメギとは違って、見映えも良く、いかにも美味しそうでした。

 ・・・・考えてみれば、私ヌルボ以外に講師も聞いてる人も全員女性という経験は生まれて初めてかも。両先生の話し方もお召し物も、そして会場全体の雰囲気もなんかフワ~っとした感じでしたねー。少し予定時間をオーバーしたためか質問タイムはありませんでしたが、あったとしてもヌルボが考えていたような質問はちょっとそぐわないかな、と思いました。
※質問したかったことは、たとえば「ハレの日に食べる菓子と日常生活で食べる菓子について」とか「両班の菓子と庶民の菓子について」とか、「庶民は水以外に何を飲んできたか」等々です。まあ図書館で鄭大聲先生の本でも見てみますかねー。

 次の八田靖史さんのお話はすごい盛り沢山! 大学ノート数ページに及んだヌルボのメモを精選して記事にしてもかなりの分量になりそう。しかしあまり詳しく書くと営業妨害にもなりそう(?)だし・・・。八田さん、たぶん「韓食日記」にこの催しのことを連日書くでしょうから、それを読んだうえで記事にしますね。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[5月20日(金)~22日(日)]

2011-05-24 20:06:29 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 本ブログ2009年8月12日13日の記事で紹介した孔枝泳の小説「るつぼ(도가니)」が映画化されることになり、今年2月から撮影に入っていましたが、今月8日クランクアップしました。主演はコン・ユチョン・ユミ。実際にあった、光州の聴覚障碍児施設での性暴行事件を扱った小説で、いいかげんな幕引きになっていたところを、孔枝泳自身が取材し作品化したことで昨年8月地元で調査委員会が作られたとが伝えられています。そんな深刻な内容の映画がはたしてどのように描かれるか、期待よりも心配の方が大きいですね。チョン・ユミは、1年前の「韓国映画スタッフブログ」の記事で「「家族の誕生」を見てこの子はかなり期待できる!!と思い、その後の作品を見るたびに、まるで別人のように姿を変えてくるので、すごい女優が誕生する!!と思ってきました」と書かれていました。昨年の「僕のヤクザみたいな恋人」で主演をはたし、今回はさらに難しい役どころに挑戦ですね。コン・ユについては、見た感じでは小説のイメージとはちょっと以上に違う感じ(小説はもっと内向的)。しかし私ヌルボは彼のドラマも映画も観ていないので、とりあえず6月18日公開の「あなたの初恋探します」を観てみるとしましょう。
 この「るつぼ」は9月公開予定とのことです。伝えられるところでは、8日に大田で行われた最後の撮影が「イノを含むデモ隊が警察から放水車攻撃を受ける場面」だった、・・・って、そんな場面原作にあったっけ? まあ、原作の結末については読んだ人の間でも賛否の意見もいろいろあるようですし、映画では原作を変えるのもありかもしれません。

 別件。私ヌルボの住まいからバイクで10分以内のブリリアショートショートシアターで、米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭と銘打った『ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2011』が6月16~26日開かれます。その<アジア&ジャパン部門>の特別招待作品として、「オールドボーイ」等のパク・チャヌク監督が弟のメディアアート作家パク・チャンギョンと共作した「波瀾万丈」が上映されます。2月1日の記事でも少し紹介しましたが、全編をiPhoneで撮影した33分の短編で、ベルリン国際映画祭短編部門で金熊賞を受賞した作品です。リンク先からトレーラーも見られます、と思ったら開かず。韓国版のトレーラーは→コチラ
また特別制作作品として、日本人監督によるオールソウルロケの作品「スーパースター」(出演:櫻井淳子等)、韓国人監督によるオール鎌倉・藤沢ロケの作品「スマイルバス」の2作品も上映されます。

    ★★★ Daumの人気順位(5月24日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①召命3:ヒマラヤのシュヴァイツァー(韓国)  9.9(20)
②なくな、トンズ(韓国)  9.6(1084)
③あなたを愛しています(韓国)  9.6(1536)
④サニー(韓国)  9.4(1710)
⑤クレヨンしんちゃん  9.3(61)
    超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁(日本)
⑥番人(韓国)  9.2(77)
⑦世界で一番美しい別れ(韓国)  9.1(254)
⑧鞭(むち)(韓国)  9.1(148)
⑨茂山日記(韓国)  9.0(25)
⑩逮捕王(韓国)  9.0(667)

 ①と⑧が初登場です。
 いやー、驚きましたねー。昨年9月14日から先週まで36週トップを続けていた「なくな、トンズ」が②に落ちました。かわって①は、同じようなキリスト教関係のドキュメンタリーです。78歳の医療宣教師、奥地生活30年のカン・ウォンヒ宣教師夫婦の感動ストーリーだそうで・・・。これについてはいろいろ話がありそう。たぶん来週もう少し詳しく書きます。
 ⑧は後述。

【専門家による順位】

①トスカーナの贋作  8.3(6)
②Another Year  8.0(6)
③茂山日記  7.9(11)
④番人(韓国)  7.6(6)
⑤インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実  7.5(2)
⑥豆満江(韓国)  7.4(7)
⑦告白(日本)  7.3(9)
⑧Source Code  7.3(6)
⑨REDLINE(日本)  7.3(3)
⑩ジェイン・エア  7.2(4)

 ⑤が「ウルトラミラクルラブストーリー」から初登場の「インサイド・ジョブ」に代わりました。日本では21日から公開されています。
 その他は先週とまったく同じ。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[5月20日(金)~22日(日)] ★★★
         「パイレーツ・オブ・カリビアン」、初登場で100万人突破!

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・パイレーツ・オブ・カリビアン・・5/19・・・・・・・1,244,684・・・・・・・・・・・・1,430,277・・・・・・・1,021
     /生命の泉
2・・サニー(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・555,486・・・・・・・・・・・・2,663,266・・・・・・・・・612
3・・Source Code・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・・78,453・・・・・・・・・・・・1,239,067・・・・・・・・・389
4・・三国志:名将関羽・・・・・・・・・・5/19・・・・・・・・・・64,553・・・・・・・・・・・・・・・74,781・・・・・・・・・248
5・・逮捕王(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・・50,584・・・・・・・・・・・・・・833,713・・・・・・・・・304
6・・鞭(むち)(韓)・・・・・・・・・・・・・・・5/19・・・・・・・・・・29,455・・・・・・・・・・・・・・・49,328・・・・・・・・・171
7・・マイティ・ソー・・・・・・・・・・・・・・4/28・・・・・・・・・・18,022・・・・・・・・・・・・1,695,524・・・・・・・・・224
8・・ワイルド・スピード MEGA MAX・・4/20 ・・・・・・17,343 ・・・・・・・・・・・・1,616,870・・・・・・・・・155
9・・クレヨンしんちゃん(日) ・・・・・・5/05 ・・・・・・・・・・5,673・・・・・・・・・・・・・・354,047・・・・・・・・・・66
     超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁
10・・肉蒲団 3D ・・・・・・・・・・・・・・・5/12・・・・・・・・・・・4,498・・・・・・・・・・・・・・・82,425・・・・・・・・・101

 新登場は1・4・6位の3作品。「サニー」は2位に落ちましたが、勢いはあまり衰えてません。次週は300万人にとどくのでは?
 1位、日本では韓国から1日遅れて20日に公開されました。韓国題は「캐리비안의 해적:낯선 조류(カリビアンの海賊:見慣れぬ潮流)」で、原題「Pirates of the Caribbean: On Stranger Tides」の直訳。
 4位、原題は「関雲長」。中国で今春メーデー連休で一番人気だった映画だそうです。中国の人も韓国の人も三国志はホントに好きですね。日本人も昔から好きですが、中韓には及ばない? 韓国題「삼국지:명장 관우」。日本公開は未定のようです。
 6位、過去のものとして消えたはずの学堂と訓長(훈장)が今も存在している、という設定だそうで・・・。いくつかのサイトで훈장が勲章になっちゃってますが訓長すなわち学堂の先生ですよ。場所は江原道鉄原の山奥。そこの礼儀学堂に13歳の優秀な少女訓長ソンイがいて、その彼女が抱えることになった大問題が社会から棄てられた大人トヨルを更正させること。ところが・・・、というお話だそうです。原題は「회초리」。映画でよく見る子どものしつけでふくらはぎを叩くムチが회초리(フェチョリ)。ムチといえば、채찍(チェチク)は牛馬を叩いていうことをきかせるためのムチ。「매(メ)」というのは一般に人を打つムチで、愛の鞭(사랑의 매)などと用いる、でいいのかな?
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カタツムリクリーム 韓国MBCテレビ「不満ゼロ」での検証結果は・・・?

2011-05-23 22:44:21 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 このブログのURLに「dalpaengi」とあります。私ヌルボ、gooブログ内ではdalpaengiさんとよばれています。韓国語で「달팽이(タルペンイ)」カタツムリのことです。

 10数年前、韓国人の先生がいつも大きくて重たい鞄を持っているヌルボを見て「全財産を持ち歩いているんですか? カタツムリみたいですね」と笑って、この달팽이という単語を教えてくれたというのが命名の由来です。(「ヌルボ(늘보)」については書くと長いので(?)またいずれ。)

 さて、そのカタツムリなんですが、この頃韓国渡来のカタツムリクリームというものが流行っているということを実は昨日初めて知りました。
 韓国オタクとしては感度が鈍いと思われるかも・・・。まあ私ヌルボ、「韓国文化の海へ」なんてフロシキ広げてあれやこれやとおもしろがって情報を集めてはいますが、コスメ関係は大きな弱点でして、昨日話をした女性の方々は皆ご存知なのにヌルボ1人は初耳でした。まあ男だしねー・・・。

 ・・・ということで帰宅後いろんなサイトで一夜漬け的情報収集。
 いやー、なーるほど、ですね。より美しくありたいという女性(IKKOさんを含む)の情熱は国を問わずすごいものです。

 韓国のたまたま見たツイッターにはチリでもカタツムリクリームが流行ってるんだね~。ロッズヒップの化粧品もスペインで人気なんだって」とありましたよ。(4月16日)
 またあるブログでは特価で9900ウォンで初めて買いました^^」って喜んでますね。これ去年の5月29日。

 ブームの始まりは、2009年9月に잇츠스킨(It's skin)が2PMのニックンを起用したテレビCMの<KISS 編>が当たってから、ということのようです。そのCMは→コチラ
 最初の方で「자신에대해 알려주지 않는,불친절한 여자에 빠지다(自分のことを教えてくれない、不親切な女に溺れる)」、キスシーンが途中で手前の通行人に遮られ、カタツムリが現れた後に「그녀를 믿지 마세요(彼女を信じないでください)」、そして彼女がPRESTIGEを手に取ったところで「달팽이 크림,그녀에 새 피부를 주다(カタツムリクリーム、彼女に新しい肌をあげる)」というコピーが入っています。

 さて、日本のgoogleでカタツムリクリームを検索すると、商品の宣伝・販売がズラ~っと続いているようです。1年以上経った韓国では、多少落ち着いたかな、という感じで、日本のサイトにはないor見つけにくい情報もあるように思いました。一夜漬けの知識だから断言できませんが・・・。

 たとえば、韓国MBCに불만제로(不満ゼロ)という番組があります。話題になっているいろいろな商品を検証して、消費者の不満や疑問、あるいは誤解を解いたりする社会番組です。この番組で今年1月26日このカタツムリクリームを取り上げているんですね。その内容を伝える記事が「ヘルス朝鮮」のサイトにありました。→コチラ。(日本語自動翻訳→コチラ)
 ※自動翻訳は細かな点はまだまだ。意味不明な語は次のように読み換えてください。
 「ハムリャンハン」→含んだ、「アクネの傷」→ニキビの痕、「デフォルトでは」→基本的には、「ブンソクヘボン」→分析した、「累積剤」→添加物、「バルリルできるように」→塗られる。

 また別のブログでは「苦情ゼロと一緒に、各ブランドごとのカタツムリクリームの比較」と題して、4つのブランドを成分表示とか価格等について比較検討していますよ。→コチラ
日本語自動翻訳→コチラ。※「ヨグァムル」→濾過物(여과물)、「ジョムジュンジェ」→添加剤。

 ふーむ、エリシナクリーム(40g)は5万ウォンなのかー。(高いのか安いのか、ヌルボにはわかりません。)
 ムチン(mucin.ミュシン)とかパラベンについては興味のある方はご自身で調べてみてください。

 韓国語のわからない方も、以下の言葉をいくつか並べてgoogle窓にコピペして検索すると、ハングルの記事がどかっとヒットしますから、その中のどれでもテキトーに[このページを訳す]をクリックしてみると上記レベルの自動翻訳日本語で読むことができますよ。

달팽이   크림   효과 가격 우행 효능
(カタツムリ クリーム 効果 価格 流行 効能)

 どうも、今回のように苦手な分野のことを書くと不安が心配だなー・・・・。
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[韓国語] 「カガ カガ カガガ」の意味は?

2011-05-22 18:16:15 | 韓国語あれこれ
 2つ前の記事<慶尚道の方言では「キョンサンド」とは言わない!>で、慶尚道すなわち釜山・大邱方面の方言の、特に母音の変化について記しました。
その記事の最後の方で、<Korean Gyeongbuk Satoori Dialect(경북 사투리)>と題された、KBS2の「自由宣言」からの動画を入れておきました。YouTubeで見る方は→コチラです。

 で、この動画の2:18あたりを聴いてみてください。
 女生徒(キム・ミンジさん)が「내 가방을 네 교실로 가가가・・・(ネ カバグル ニ キョシルロ カーガガー・・・)」と言ってます。

 「가가가」と가が3つ続くのは慶尚道方言で、ここではテロップにあるように標準語では「가지고 가서(カジゴ カソ)」。したがって全体の意味は「私の鞄をあんたの教室に持って行って・・・」となります。

 가が続くのはおもしろいし、何かで読んだ記憶もあるような・・・。この番組でもうけているところをみると、これをテーマにしているブログがありそうだと思って探してみると、案の定いくつもありました。その中で<어두컴컴한 흙바람소굴>というブログ中に、「"가" 그 오묘한 세계("가"その奥妙な世界)」と題して「가」1つから7つまで、意味を添えて並べている記事がありました。
 それを基に日本語訳をつけてみました。

가! = 行け!
가? = その子? (그애? [걔?])
가가? = その子なの?
가가. = 持って行け (가져가라)
가가 = 賈(カ)氏 (賈家)
가가가? = 賈氏か?
가가가 = 持って行って (가져가서)
가가 가 = 賈氏、その子
가가 가가? = その子がその子なの? (賈氏のその子なの?)
가가 가가 = その子が行って
가가가 가 = 持って行け
가 가가가? = その子、賈氏なの?
가 가가가 = その子、持って行って
가가가? 가 = 賈氏なの? その子。
가가 가가가? = その子が賈氏なの?
가가 가가가 = その子が持って行って
가가가 가가? = 賈氏がその子なの?
가가가 가가 = 賈氏が行って
가가 가가 가가? = 賈氏のその子がその子か?
가가가 가가가 = 賈氏が持って行って
가가 가가 가가가 = 賈氏のその子が持って行って

 日本語でいえば「すもももももも・・・」のようなものですかねー。
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チョン・イヒョン「マイ スウィート ソウル」を読む =孤独な都会の<甘さ>=

2011-05-19 21:40:55 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 「毎日新聞」に連載中の「新世紀 世界文学ナビ 韓国編」の7回目はチョン・イヒョンでしたね。彼女は1972年生まれ。先週の記事で、年齢の若い順から並べているのかな?と思ったのが見当違いでした。記事は→コチラです。
 この記事でも紹介されているマイ スウィート ソウル」(講談社)、私ヌルボも読みましたよ。翻訳本の方ですが・・・。

 読みっぱなしになっていたので、今回はこの本の感想に絞って書きます。

     

 主人公は雑誌の編集者31歳独身女性ウンス。ソウルで一人暮らしをしています。
 ・・・と、こんな設定の小説を韓国一の発行部数を誇る「朝鮮日報」が連載を始めたのも、いろいろ考えての上でしょう。若い層、それも女性の関心を集めるため。あるいは、伝統的な購読者である熟年男性をつなぎとめるため?
 案の定、この小説は若い女性から圧倒的に支持され、ドラマにもなりました。
 そして「韓国」の、「若い」、「女性」という作者や主人公とは全然かけ離れた、「日本」の、「オジサン」の、「男性」である私ヌルボにとっても興味深く、またとても楽しめる本でした。

 新聞連載小説の必須条件は、まず次回への期待感がかきたてられること、でしょう。
 次の条件は、読者が自分に即して感想や意見を語れること。
 さらに次の条件は、時代を半歩先取りしていること。つまりトレンディ、ですね。
 「マイ スウィート ソウル」は、これらの必須条件を十分充たしています。
 次回への期待感。具体的にはまず、主人公ウンスは一体どの男を結婚相手に択ぶんだろう、という興味ですね。
 登場人物を作者がとても巧みに肉付けしているので不自然な印象は受けませんが、候補の男性三人はみごとに図式的です。

 男A=七歳年下で若さと男性的魅力があり、自分を愛してくれている。
 男B=年上の男性で、地位・財産があり安定している。 
 男C=気心の知れた親友で何でも話せる。

 三人については作中でウンス自身分析しているように皆マイナス面もしっかり(?)あります。おそらく多くの女性読者は、自分なら誰を択ぶかを考えもし、朝の職場で話題にもしたでしょう。熟年の男性なら、「Aにいっとき傾いても、どうせBだろう」と予測したり、三人の欠点(「若いのに遊び暮らしている」とか・・・)をあげつらって「ケシカラン」と激したり・・・・。そんな感想・意見をいろいろ語り合って盛り上がれる。二つ目の条件にかなってますね。
 図式的といえば、ウンスの女友だち二人も同様で、

 女友だちA=30代に入っても、職をなげうって夢に挑戦する。
 女友だちB=現実的に考えて結婚の道を択ぶ。

 ウンスは(そして読者も)そのはざまで考え悩むのです。
 しかし、物語の結末は伏せますが、人生そんなに甘くはないのですね。。

 「時代の半歩先」を行っている点も、「流行に後れてはいけない」若い女性だけでなく、「最近のことも知ってるんだぞ」とちょっと自慢したい熟年男性にとっては読まれる要素です。
 小説にあるように、ソウルはホントに「過剰な街」です。古いものから最新のものまで。格安のものから超リッチなものまで。食べ物だけとってみてもメウンタンやビビンバなどの韓国料理のほかに、ハンバーガーはもとより、フェーやマグロのような物まで好んで食べる時代になっています。
 知識・教養も多様かつ重層的になっています。
 学校で教わった詩人柳致環の「岩」から、古典の分類に入ったミケランジェロ・アントニオーニの映画。民主化闘争の残光という感じの「動物園」の歌『道で』や崔勝子(チェ・スンジャ)の詩。そして日本の漫画『20世紀少年』等々・・・・。

 この小説を読んだ日本人女性は、「なんて私たちとこんなに共通点が多いのだろう」とか、「どこの国でも同じなんですね」と驚きの感想をブック・レビューに記していました。
 しかし、若い彼女たちは知らないのでしょうが、決して「どこの国でも同じ」でもないし、韓国も昔から日本と共通点が多かったわけではありません。

 日本は1960年代が学生運動の時代で、「シラケ」という流行語とともに始まった70年代以降は、それまでとうって変わって、文学も音楽も、すべてが明るく、そして軽くなりました。
 韓国の場合は80年代が民主化闘争の時代。それが90年代、文民政権の成立頃から急激に変わってきました。
 その変化は、端的にいえば伝統的なシステムの崩壊が進み、表面的には軽やかで明るく見える中で、個人の孤絶化が進行していったということでしょう。
 日本の純文学は、70年代以降、田中康夫や村上龍、村上春樹等が登場し、吉本隆明から吉本ばななの時代に変わります。都会の若者を描いた小説が主流になりました。
 ところが都会で暮らす人々の自由を保証する「匿名性」は両刃の剣でもあります。

 以前韓国人の先生から「韓国だと、一人で食堂で食事をしているとヘンだと見られる」という話を聞きました。この小説の登場人物の1人も言います。「俺って、映画館とかマンガ喫茶、銭湯やゲーセンだったら、どこでもひとりで行けるんだけど、レストランだけは、ダメなんだ」。レストラン以外はすでにOKになっているというわけです。たぶんレストランも何年か後には「お一人様」をふつうに見かけるようになるでしょう。今の日本のように。
 作品中には、主人公と同じアパートの、やはり一人暮らしの女性が襲われたが、発見されたのは事件の三日後、というたぶん実際にあったらしい出来事が物語られています。
 またワンルームに帰った主人公ウンスは電気をつけた時孤独感に捉われます。

 「社会を構成する最小単位は、家族だと教わった。だが、この世のなか、無数のひとり世帯があることは、教科書に出てこない。彼らにとって、社会の最小単位は自分自身なのだ」とウンスは考えます。
 伝統的世界の中の確固たる位置を占めていたはずの母も、今や決して安定した存在ではないようです。
 一昨年韓国では申京淑のベストセラー「オンマをお願い」をはじめ「オンマ・シンドローム」がまき起こりました。急速な社会の発展変化の中で、ふと思い出した郷愁のような感情のあらわれかな、とヌルボは考えたのですが、伝統的な世界が崩壊していく中で、母をも「個」として認識されるに至ったと見る方が正しいかもしれない、とこの小説を読んで思いました。
 ウンスのお母さんも、携帯の待ち受けにテ・ジナのド演歌を使っている旧世代ですが、悩みながらも自身の人生を生きようと考え、行動するようになっています。

 つまり、このような小説が書かれるようになった21世紀の韓国と、1970年代の日本の文学状況と通底するものがあるということです。

 訳者の清水由希子さんは、主人公と同年代の女性にとって「痛い小説」であると記しています。
 軽い虚無と心地よい軽さ。しかしマジに考えると、「軽い」ではすまされない厳しい生活や将来への不安があり、心地よさを味わうべくもない現実に直面している。ウンスは、そんな数多い都市の若い世代の1人です。
 ・・・とはいうものの、悩みを抱え孤独感や不安感に襲われ、なんのかのと言いながらも、ウンスは、さして離れてもいない親の家に戻ろうとはしないのです。
 ソウルの、今の生活を捨てようとはしません。そこが「私の」、「甘い」、「ソウル」たるゆえんなのでしょう。
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[韓国語] 慶尚道(キョンサンド)の方言では「キョンサンド」とは言わない!

2011-05-18 23:14:11 | 韓国語あれこれ
 私ヌルボ、生まれは名古屋だもんで、名古屋弁には郷愁めいたものを感じています。
 名古屋弁の特徴は、母音が8つあることで、アイウエオの他に、連母音のaiがæ:に、uiがy:に、oi→œ:にと変化した3つの母音が加わります。(8母音説を否定する見方もあるようですが・・・。)

 ただ、近年は昔ながらの名古屋弁の話者は非常に少なくなってるようです。そういえば、以前は「ハヤシもあるでョ~」で知られる(?)南利明のように、名古屋弁をウリにしていた俳優もいましたが、この頃は誰がいるか・・・。作家では清水義範がそれなりに、ってとこですかねー。
 以前、1988年のオリンピック開催地の投票で名古屋がソウルに勝っていたとして、その開会宣言を名古屋弁でやったらどうなっていたか、というのを誰だったか、漫才だか漫談の人がやってたのをかすかに記憶しています。
 およそこんな感じ。
 「第24回オリンピアード名古屋大会の開会を宣言する。」
 →「でゃあ24きゃあオリンピャアド名古屋てゃあきゃあのきゃあきゃあを宣言する。」
 ま、軽い宴会芸にはなりますかねー。

 あ、当ブログは100%韓国ネタというのが大前提だった。

 上記の例のように、特定の母音が他の地方と異なるという特色を持つという方言は韓国にもあって、代表例が慶尚道方言。次のように変化します。
 ・・・ということを、先週韓国語の先生から教わりました。(忘れないうちにブログにメモって感じですかねー。)

①ㅕ → ㅐ
②ㅓ → ㅡ


 ①の具体例が、まさに「慶尚道(경상도.キョンサンド)」。これが「갱상도(ケンサンド)」となります。
 (自分の地元の呼称からしてなまるというのは、茨城県出身の父がそうでした。正しくは「イバラキ」ですが、「エバラギ」との中間音のようなはっきりしない発音をしていました。)
 ㅕ → ㅐのよく聞く例に「몇 개(ミョッケ)」「맻 개(メッケ)」というのがある、との先生の説明に、現地での経験豊富なお酒の好きなTヒョン(兄貴)は「よく聞いたねー」と即座に反応。
 私ヌルボが思い出したのは、ずいぶん以前に韓国語入門テキスト付録のカセットテープで「며칠간(ミョッチルガン)(何日間)はよくメッチルガン(매칠간)と発音されます」と説明されていたこと。あの著者は慶尚道の人から韓国語を習ったのかな?
 先生の経験では、以前パスだか切符だか失くした韓国人が「トンゲン、トンゲン」というのが(当時は)意味がわからなかったそうです。標準語だと「東京(동경.トンギョン)」というところを、慶尚道の人で「동갱(トンゲン)」と言ってたんですね。
 ※今、東京はそのまま「도쿄(トーキョー)」という方が多いようです。

 ②の例は、ヌルボ自身体験的に知りましたよ。
 思い出したくないことですが、釜山のタクシー内に不注意でカメラを置き忘れて、警察に連絡し、交番(파출소. 派出所)で事情聴取。そこでお巡りさんからの質問の1つが「지급이 뭡니까?」。 え、「지급(チグプ)」が何ですかって、何のこと? 「至急(지급)」でもないようだし・・・、と考えていると、今度は英語で尋ねてきました。「I’m a policeman,and you?」 ああ、そういうことなの。「지급」じゃなくて「직업(チゴプ.職業)」ね。・・・というわけで、カメラを代価に(涙)慶尚道方言の基本形の1つを学習したのです、とほほ。

 先生は、オマケに忠清道方言の母音変化についても少しふれました。
 忠清道では、ㅜ(u)の前にyのついたㅠ(yu)の他に、ㅡ(ɯ)の前にyのついた、ハングルでは表記不能のyɯという音があるそうです。ㅡのように口を横に引っぱってユと発音するのですが・・・。

※갱상도でググると、慶尚道関係のいろんなサイトがヒットしました。
その中で、<釜山語の練習 短い文章いろいろ>という動画がありました。イントネーション等わかりやすいです。



 続編の<<釜山語の練習 あいさつと返答>→コチラと、<久しぶりに友人と会った時>というのもあります。→コチラ

 さらに、次のようなおもしろいのも・・・。何をしゃべってるかは、ヌルボの場合、何度も止めて字幕を見なければわかりませんが・・・。(KBS2「自由宣言」より) 「가 가 가」と、「가」が連続するのはおもしろいですね。韓国のブログを見ると、これが6つも7つも続くというのもあるそうです。この件はまたいずれ。

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一葉記念館の企画展「樋口一葉と韓国」を見に行く

2011-05-18 18:50:13 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 昨年のGWは佐賀県を中心に韓国に関係のあるいろんな所を廻って非常に収穫がありましたが、今年のGWは別に地震とは関係なく、結局全然遠出はしませんでした。ビートル号が空いているようなので、ちょっと釜山方面に行ってみようかな、とも思ったのですが、なんせ首都圏から福岡に行くまでの時間と運賃が大きなネックで、結局断念。近場で何かあるかなと<日韓文化交流カレンダー>を見てみたら、4月19日~5月29日、台東区立一葉記念館で開館50周年記念企画展として「樋口一葉と韓国」というのをやっているという情報。GWの最初の方で行ってみました。

     

 三ノ輪辺りを歩いたのは初めて。一葉記念館は裏通りに立つ、下の写真の通りなかなか立派な建物でした。

   

 チラシを見ても、なぜ今「韓国」なのかはわからず。特に理由はなさそう。ただ、<民団>のサイトに、同館専門員の塩屋朋子さんが書いている「一葉を触発 韓国文学 企画展で浮き彫りに」と題する記事があり、参考になりました。なぜ「朝鮮」ではなくて「韓国」なのかという大疑問は解けないままですが・・・。国号が大韓帝国になったのは樋口一葉(1872~96年)の死後(1897年)だし・・・。
 まあ、それはそれとして、先に進みます。

 一応このテーマの前提となるキーパーソンは半井桃水(なからいとうすい.1861~1926)。1890年代初め、一葉の小説の師であり「思慕の対象」でもあったという人物。(・・・と、ここらへんまでは高校時代国語の授業で教わった、と思う。) そして1880年代朝日新聞社の海外特派員として朝鮮から送った記事が評価された、ということは以前何かで読みました。
 行ってみて、そして帰ってから少し調べてわかったことの要点は以下の通りです。

 今回の記事は分量が多いので、あまり関心のない方とお急ぎの方は①~⑥のタイトルだけでもいいですよ。

①半井桃水は、父が対馬の典医だった関係で少年時代から朝鮮にも行き、朝鮮語ができた。
②半井桃水は、物語「春香伝」を初めて翻訳・紹介した。また朝鮮の小説「九雲夢」を愛読した。
③半井桃水は、朝鮮と日本を舞台にした小説「胡砂(こさ)吹く風」を書いた。
④樋口一葉は、桃水の小説「胡砂吹く風」を読み、非常に感動した。
⑤樋口一葉が書いた小説中に、朝鮮文学の影響がある、という説がある。
⑥朝鮮最初の近代文学作家・李光洙から「金一葉」と名づけられ、1920年代に小説、論説などを通じて女性解放を主張した女性作家・雑誌編集者がいた。


①半井桃水は、父が対馬の典医だった関係で少年時代から朝鮮にも行き、朝鮮語ができた。
 桃水は西歴1861年1月対馬で生まれました(和暦では万延2年12月)。父湛四郎は対馬領主宗家の最後の典医で、しばしば釜山の倭館に行き来していました。桃水も12歳の時(1872年)倭館に赴き、給仕として16歳まで(?)朝鮮で過ごし、その時現地の少年から朝鮮語を教わったそうです。

②半井桃水は、物語「春香伝」を初めて翻訳・紹介した。また朝鮮の小説「九雲夢」を愛読した。
 桃水は、パンソリを代表する作品「春香歌」として広く知られている、また何度も映画化されたりもしている朝鮮の代表的な物語「春香伝」を「鶏林情話春香傳」という作品名で1882年全20回にわたり「大阪朝日新聞」に連載しました。
 三枝壽勝先生の「朝鮮文学を味わう」によると、「春香伝」にはいくつも版本がある中で、「京板三十張本」という木版本が桃水の用いた原本に近いとのことです。

    
  【「京板三十張本」。ハングルの表記法が現在と違うので読みづらいです。】

 「九雲夢」は李氏朝鮮の作家・金萬重(キムマンジュン.1637~92)が1687~88年ハングルで著した小説。内容は→コチラのサイトでおよそわかりますが、「光源氏顔負けのダンディーが活躍する」という点が気に入ってたのかな?
「韓国古典文学選」(第三文明社)という本にこの作品が収められていますが、現在絶版。アマゾンでは定価2242円のこの本に8000円の値がついてます。ふっふっふ、ヌルボ持ってますよ~。とはいうものの問題はどっかに埋もれたままの状態ということ。やむなく市立図書館で読み直してみると、やっぱり上記のサイトにあるような「オトコの願望」をそのまんま無邪気に(?)書いちゃったような物語で、晩年に虚しさを感じ胡僧の説教を聞いて仏門に帰依した、・・・なんて結末にしてはいるものの、もう十二分に歓楽を極めちゃってるしなー。登場する8人の美女たちが嫉妬もケンカもせず仲よく暮らすなんてなー、ハハハ。
※美女たちが「なぜ8人なのか?」を追究した新潟大高桑美帆さんの卒論がありました。→コチラ

③半井桃水は、朝鮮と日本を舞台にした小説「胡砂(こさ)吹く風」を書いた。
 「胡砂吹く風」は、桃水が1891年から150回にわたって「朝日新聞」に連載した小説です。<樋口一葉メモ>の記事によると、日本人の武士と朝鮮の両班女性の間に生まれた林正元が、朝鮮にわたり母の仇を討ち、朝鮮の女性と結婚し、親日派として守旧派と闘い、国王を補佐して日朝清同盟の委員長になるという物語だそうです。また、桃水の影響からか、樋口一葉は日記で朴泳孝を朝鮮の忠士と書いているそうです。
劉銀さんの埼玉大の修士論文には、後に書かれた続編の「続胡砂吹く風」と合わせて、桃水の韓国理解等についての考究が記されています。

④樋口一葉は、桃水の小説「胡砂吹く風」を読み、非常に感動した
 「胡砂吹く風」が単行本になることが決まった1892年暮れに、桃水は一葉に本に載せる和歌を頼んで贈ってもらいます。1893年2月23日桃水は一葉の家を刷り上がった本(前後編)を持って訪れます。その前編には主人公林正元の肖像と並んで一葉の歌が掲げられています。
 その夜さっそくこの本を読んだ一葉は日記に感想を記しています。
 「桃水うしもとより文章粗にして、・・・ひたすら趣向意匠をのみ尊び給ふと見えたり」等々、作家の視点から批判していますが、一方読者の立場からは次のような感動の文章を連ねています。
 「いでよしや、此小説うき世の捨ものにて、人の為には半文のあたひあらずともよし。我が為生涯の友これを置て外に何かはあらん。」(たとえこの小説が世間から見捨てられ、人々には何の価値もなくても、私にとっては生涯の友はこれだけだろう。)

⑤樋口一葉が書いた小説中に、朝鮮文学の影響がある、という説がある
(1)上記「九雲夢」を一葉は1892年5月に桃水から借りて筆写している(県立山梨文学館蔵)が、その「九雲夢」をモチーフにしたと思われる場面が「にごりえ」の中に登場する。
※「九雲夢」中の気位の高い妓生・蟾月(ソムォル)と、「にごりえ」の主人公・銘酒屋の気丈な酌婦お力の共通性、ということのようですが、私ヌルボとしては「そうも読めるか・・・」程度で、肯定も否定もできません。
(2)一葉が桃水の主宰する雑誌「武蔵野」に発表した「五月雨」は「春香伝」の影響を受けている、という説がある。
※ヌルボは「五月雨」は未読ですが、<樋口一葉と水仙>というサイトであらすじを見たかぎりでは「影響」の具体的内容はわからず。

⑥朝鮮最初の近代文学作家・李光洙から「金一葉」と名づけられ、1920年代に小説、論説などを通じて女性解放を主張した女性作家・雑誌編集者がいた。
 本名は金元周(1896~1971)。この女性について書くとなると、それだけで長大な物語になってしまいそう。とりあえずは<朝鮮新報>の中の記事を紹介するにとどめます。→コチラ

[付記1]この一葉記念館の企画展は、やっぱり一葉よりも半井桃水がメインですね。ただ、桃水のことや彼の作品について調べようと思っても、市販の書籍は皆無に近く、横浜市が誇る(?)市立図書館には11,000円という高い古書価がついている上垣外憲一「ある明治人の朝鮮観 半井桃水と日朝関係」(筑摩書房)があったのがラッキーといった程度。いくら文学史的には評価されていない桃水とはいえ、明治期の朝鮮観や日朝関係を知る資料としては価値がありそうなんですがねー。いろんなジャンルの文学を収めている明治文学全集も大衆小説はほとんどないし・・・。残念なことです。

[付記2]<太陽さくらandサニーライフ平井>というブログにも一葉記念館の企画展の記事
がありました。その過去記事にも「胡砂吹く風」の刊本等について、非常に詳しい説明が載っています。
[付記3]対馬市厳原町の桃水の生家跡に半井桃水館があります。HPは→コチラ桃水の略歴が詳しく書かれています。
 <東京対馬館>というサイトの記事によれば、2004年頃の生家跡の解体をめぐる公共工事には問題があったということですが・・・。
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[韓国語の新語] 「カンチュ」の映画と「ピチュ」の映画

2011-05-17 18:30:44 | 韓国語あれこれ
 1つ前の記事で、香港映画「肉蒲団」に対するネチズンの酷評の数々を見ていたら、中に次のようなものがありました。

 영화 처음부터 끝까지 잘 보는 편인데 스킵하면서 본 영화는 이 영화가 두번째네요. 강력비추!!
 [訳] 映画の初めから最後まできちんと観る方だが、飛ばし飛ばし観た映画はこの映画が2回目ですね。強力비추!!

 問題はこの비추(ピチュ)。動詞の비추다は関係ないし、辞書にもないし、で困った時のNAVER辞典頼み。
 するとあっけなく解決しちゃいました。→コチラ

 비(非)に「추천(推薦)する」の「추(推)」をつけたもので、つまりは「推薦しない」という意味の新語というわけです。
 강추(強推.カンチュ)」=強力推薦から派生した単語なんだそうです。
 そういえば、강추の方は字面から漢字を思い浮かべやすいし、なんか見た記憶があるなー・・・、
と思いついたのが「コネスト」のサイト中の<暮らしのハングル>。案の定ありましたね。
 そこには、この강추・비추以外にもいろんな略語が載ってますが、知ってるのもそれなりにある中で、<これが分かれば略語の達人?!>としてあげられている버카충(ポカチュン)、문상(ムンサン)、생선(センソン)、안습(アンスプ)なんて言葉はまったくお手上げ。엄친아(オムチナ)なんてのも、字を見れば大体見当はつきますが、聞いてもわかりそうにないです。
 あ、正解はリンク先で見てください。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[5月13日(金)~15日(日)]

2011-05-17 17:48:41 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 1つ前の記事で「昼間から呑む」の感想を記しました。先に観た「素晴らしい一日」とともに、ナットクの佳作でした。本ブログ3月1日の記事で「一昨年の「韓国映画ショーケース2009」で上映された韓国映画10本は粒ぞろいだったかも」と書いたのは間違っていなかったようです。(まだ観ていない作品は「バンドゥビ」「ヒマラヤ」「携帯電話」「ヨガ教室」「執行者」と5つもありますが・・・。)
 さて、先週の記事に載せたもの以外で、韓国映画上映情報を<シネマコリア>で見ると、おっ、5月28日(土)18:00~と31日(火)15:40~、アテネ・フランセ文化センター金綺泳(キム・ギヨン)監督「下女」(1969)のビデオ上映があるではないですか。春の恒例企画「映画の授業」の中で、「映画史上の名作や重要作など必見の11作品」の1つとして上映されるとのことです。私ヌルボ、実は未見なので、この機会にでも観に行こうかな。

    ★★★ Daumの人気順位(5月17日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①なくな、トンズ(韓国)  9.6(1083)
②あなたを愛しています(韓国)  9.6(1515)
③サニー(韓国)  9.5(1308)
④クレヨンしんちゃん  9.4(54)
    超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁(日本)
⑤茂山日記(韓国)  9.4(21)
⑥番人(韓国)  9.2(77)
⑦小さな村の小さなダンサー  9.2(76)
⑧世界で一番美しい別れ(韓国)  9.1(246)
⑨逮捕王(韓国)  9.0(518)
⑩ワイルド・スピード MEGA MAX  8.8(451)

 若干の順位変動はありましたが、初登場はありません。観客動員数好調の「サニー」、評点も高いです。

【専門家による順位】

①トスカーナの贋作  8.3(6)
②Another Year  8.0(6)
③茂山日記  7.9(11)
④番人(韓国)  7.6(6)
⑤ウルトラミラクルラブストーリー(日本)  7.5(2)
⑥豆満江(韓国)  7.4(7)
⑦告白(日本)  7.3(9)
⑧Source Code  7.3(6)
⑨REDLINE(日本)  7.3(3)
⑩ジェイン・エア  7.2(4)

 初登場は⑨だけ。日本映画とはいえ、このテのアニメは私ヌルボの苦手なジャンルで、認知さえしてませんでした。ヌルボ同様全然知らなくて、ちょっと好奇心のある方は→公式サイトで。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[5月13日(金)~15日(日)] ★★★
         「サニー」、さらに観客数アップ

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・サニー(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・616,435・・・・・・・・・・・・1,775,321・・・・・・・・・648
2・・Source Code・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・222,885・・・・・・・・・・・・1,080,873・・・・・・・・・433
3・・逮捕王(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・5/04・・・・・・・・・135,149・・・・・・・・・・・・・・724,291・・・・・・・・・400
4・・マイティ・ソー・・・・・・・・・・・・・・4/28・・・・・・・・・131,219・・・・・・・・・・・・1,638,622・・・・・・・・・385
5・・ワイルド・スピード MEGA MAX・・4/20 ・・・・・・92,341 ・・・・・・・・・・・・1,561,922・・・・・・・・・328
6・・肉蒲団 3D ・・・・・・・・・・・・・・・・5/12・・・・・・・・・・45,515・・・・・・・・・・・・・・・58,250・・・・・・・・・304
7・・倩女幽魂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・5/12・・・・・・・・・・39,091・・・・・・・・・・・・・・・48,223・・・・・・・・・278
     ~A CHINESE FAIRY TALE
8・・クレヨンしんちゃん(日) ・・・・・・5/05 ・・・・・・・・・35,688・・・・・・・・・・・・・・344,788・・・・・・・・・259
     超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁
9・・危険な顔合わせ(韓)・・・・・・・・3/31・・・・・・・・・・20,376・・・・・・・・・・・・2,544,241・・・・・・・・・175
10・・劇場版イナズマイレブン(日)・・5/05・・・・・・・・12,432 ・・・・・・・・・・・・・123,105・・・・・・・・・137
     最強軍団オーガ襲来

       
  【「サニー」のポスター。800万人を超えたカン・ヒョンチョル監督の前作「過速スキャンダル」の域に達するか?】

 ふつう2週目以降は観客数が減っていくものですが、1位「サニー」は先週の約38万人から1.5倍以上の驚異的伸びを示し、他を圧倒。200万人を超えは目前で、どこまでいくか注目。
 1~5位は先週と同じ。6・7位が新登場です。
 6位は「世界初の3Dポルノ」というふれこみの香港映画で、原題は「3D肉蒲團之極樂寶鑑」。中国の古典官能小説「肉蒲團」を基に明代の淫らな宮廷の様子を描いた作品とのことです。韓国題は「옥보단3D」。英語題は「3D Sex and Zen: Extreme Ecstasy」ですが、なんで「Zen」が関係あるの?(笑)
 4月14日から公開した香港では、「アバター」の初日収益を超えるという大フィーバーから、「早くも続編制作の可能性が高い」とのことです。
 しかーし。<DAUM映画>でネチズンの評価を見ると、およそこんな酷評はめずらしい、という最低レベルで、★ゼロか半分だけのオンパレード! 「星をやるのが惜しい。金を出すのが惜しい」とか、「これより最悪はないだろう。・・・官能的という感じより汚らしくて変態的という思いが先にくる」とか、「美しくも俗っぽくもなく、感動的でもなくおかしくもない映画・・・時間のムダ!!」等々・・・。
 もしかして、作品そのものだけでなく、香港のor韓国の人たちの感覚の違いというのももしかするとあるのかもしれません。
※映画とは直接関係ないですが、ウィキで「肉蒲団」を見ると「韓国の金弘道の「春画十図」に影響を与えた作者未詳の十六葉の春画冊(「玉香行水図」など)と、未央生と妻の玉香が物語中で見る春画として元代の画家・趙孟頫の「三十六幅春画冊」(韓国ドラマ「イ・サン」の図画署の画員・李チョンもどちらかの存在を知っていた)で知られる。韓国で東廂記」「北廂記などの好色文学に影響を与える」とあって、思わぬところで朝鮮文化史の勉強になりました。
 7位は、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」(1987)のリメイク版。原題を見るとオリジナルも同じ「倩女幽魂」だったんですね。韓国題は「천녀유혼」です。
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韓国映画「昼間から呑む」 ★いいかげんで、無責任で、おしつけがましくて、酒好きで、愛すべき韓国人

2011-05-16 22:25:47 | 韓国映画(&その他の映画)
 先週水曜日(5月11日)、シネマート新宿で昼間から呑むを観てきました。

 1日1回しか上映していないんですねー。それも13時からとは・・・。
 まあ、おりしもそんな時間だし、タイトルに合わせて飲みながら観るかと思って売店を見たら、やっぱりありましたねー、ソウルマッコリ\\300。しかし私ヌルボは炭酸系はちょっと苦手なのでハイボール\\250を選んでしまいましたが・・・。公式サイトによると14・15日に続き21・22日にもにっこりマッコリの試飲をやるとのこと。なんにしろ、実際映画を観てみると、やっぱり飲みながら観るのが正解ですねー。「ハッハッハ、こいつカワイソーだなー」などと笑ったりしながら・・・。

 ヌルボが観に行った映画としては30人を超える大入り(?)とはいっても、座席数335もある映画館ですから、韓国映画ファンとしては平日とはいってもこの4~5倍は入ってほしいところ。

 さて肝心の映画について。
 冒頭部分だけは公式サイトにも各映画評でも具体的に記されているので、本サイトでも少し詳しく紹介します。

 冒頭から4人の若者が飲み屋で飲んでるシーン。もういきなり本論から始まってます。失恋した青年を、3人の友人が元気づけようとしている図です。
 日本人が抱いている韓国人男性のイメージとして、「声がでかい」「自己主張が強い」「外向的」等があるかもしれませんが、日本人にもいろいろあるように、韓国人男性にも小心で優柔不断な人間もいて、この失恋青年ヒョクチンもその1人。
 飲んでいるうち、友人の1人が「気晴らしに皆で一緒に旅に出よう」と提案します。いや、提案というよりかなり強引な勧誘ですね。目的地は江原道の旌善(정선.チョンソン)旌善アリランで有名で、映画「春の日は過ぎゆく」のロケ地として有名で、それからウォンビンの出身地ということは彼のファンなら知ってるはずですよね。

 さて、ヒョクチンは強く誘われても気乗りがしない雰囲気で「犬の世話があるから」などと逃げていたのが、なぜか最後に自分の方から「行く」と言って決まり。
 そして翌朝ソウルを発って旌善のバスターミナルに降り立ったヒョクチン。あたりを見まわしても友人は誰もいない。1人で有名という五日市を訪ねて行くと市の日はもう過ぎていて閑散としている。食堂に入って名物のじゃがいもソバに焼酎。
 電話をかけると「ごめん。まだソウルの家にいる。今起きたところで、他の2人は寝てる。今日は用があってそっちには行けないが、後から合流するから」と、そんなにすまなくもなさそうな口ぶり・・・。
 たいていの日本人だったら「何だって!?」と大声をあげるところでしょう。激怒しても当然かも・・・。いや、それ以前にこういうことにはまずならないでしょうね。
 ところがヒョクチンの場合は激怒はせず、しょうがないな、という感じ。そのままソウルに帰ろうとも思うが、結局は友人が電話で「先輩がやってるペンションに電話しておくから・・・」とか「自然が美しい。ぜひ行くべきだ」とかの相当に強引な物言いに、結局は一人で先輩の勧める道を行く。たどりついたヘンなペンション。部屋で所在なくここでも1人酒。ところが隣室にも若い女性1人の泊り客がいて・・・。

 ・・・とその後も2人酒、3人酒とか、飲む場面が次々と。「焼酎やウイスキーなど蒸留酒の1人当たりの消費は、韓国が世界最多」という最近の報道がうなづけます。
 また、上述の冒頭の友人の、旅を勧めるというより、おしつけがましい、いや、それどころか有無を言わせぬ強引さも、韓国人っぽいですねー。親切心からなんでしょうが、おせっかいというか、ありがた迷惑というか・・・。その後も同じようなキャラの人物が登場してきます。

 しかし、こんな「いいかげんで、無責任で、おしつけがましくて、酒好きで・・・」等々の言葉を非難・罵倒ととらないでください。逆に人間臭さがあっていいなーと思えてくるんですよ。
 パンフに世界各地の映画祭等で上映された時、国によって人の笑うシーンが違う、とのノ・ヨンソク監督の言が載っていましたが、共感の笑いという点は共通しているでしょう。

 韓国人の国民性(?)のおもしろさと、もう1つの要素は、詳述はしませんが、小心者ではあってもヒョクチン君、積極的なアタックはしなくてもフツーの男性としてフツーに女性の方になびいていってしまう。そのあたりのおかしさが次々に繰り広げられます。

 とりたてて感動作、名作という映画ではないにしても、この作品に描かれた酒好きでいいかげんな韓国人のように、この映画も味のある愛すべき映画でしたね。アルコールが入ったこともあって、心地よく帰途につきましたよ。
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韓国作家・金薫(キム・フン)62歳、第一線で活躍中!

2011-05-12 22:31:50 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 「毎日新聞」で4月4日から木曜日ごとに連載している「新世紀 世界文学ナビ」韓国編、まだ続いてますね。今日の6回目は金薫(김훈.キム・フン)です。
 記事は→コチラ

 今までの6人の年齢の若い順になってるのかなと思って1回目から振り返ってみました。
1回目・金愛爛(キム・エラン)=1980年生。
2回目・金英夏(キム・ヨンハ)=1968年生。
3回目・金衍洙(キム・ヨンス)=1970年生。
4回目・申京淑(シン・ギョンスク)=1963年生。
5回目・孔枝泳(コン・ジヨン)=1963年生。
6回目・金薫(キム・フン)=1948年生。

 ・・・ということで、大体年齢順ですね。
 ただ金薫の場合は、年配の作家といっても、過去の名声で地位を保っているのでは全然なく、現在も、というより、むしろ今次々とベストセラーを生み出している活躍中の作家です。蓮池薫さんが訳して(一部で?)注目された「孤将」(新潮文庫)が今のところ唯一の翻訳書ですが、原作「칼의 노래(刀の歌)」は2001年刊行。以後、長編だけでも「현의 노래(弦の歌)」(2004)・「개(犬)」(2005)・「남한산성(南漢山城)」(2007)・「공무도하(公無渡河)」(2009)とコンスタントに出していて、今も韓国人作家による小説のベストセラー中にこれらの作品があげられています。

 私ヌルボは、彼の小説は「孤将」を翻訳で読んだだけなんですけどね。歴史物を原文で読むのはキツイと思って・・・。(現代物でもキツイですけどね。)

     
【金薫(&朴来富)のロングセラー「文学紀行」。】

 しかし、「毎日新聞」の記事中でも紹介されていた「文学紀行-名作の舞台」は少しだけ読みました。
 原題は「김훈 박래부의 문학기행(金薫、朴来富の文学紀行)」という2巻本。1986年から2004年まで20年間文学の現場を踏査して作品を批評した文を集めたもので、第1巻には朴景利「土地」黄皙暎「張吉山」等々の26編の小説、第2巻には李清俊「あなた方の天国」崔仁浩「広場」趙廷来「太白山脈」等々の25編の小説が取り上げられています。
 ヌルボとしては、金薫の本だからというよりも、韓国のこの数十年の代表的な小説を(読まないにしても)概観しておこうと思ってとりあえず1巻だけ購入したわけです。・・・と言いながらも、目を通したのは実際読んだ作品(全部日本語訳)の金承「霧津紀行」李文烈「皇帝のために」権正生「モンシル姉さん」等について書かれた部分だけなので、全体の2割程度ってとこですね。

 あ、金薫といえば、現在韓国MBCテレビで放映中のドラマキラキラ輝く(반짝반짝 빛나는)」で、キム・ソクフンが演じている主人公の「文学と人生」社編集長ソン・スンジュンという人物が、この金薫をモチーフにしているのだそうです。・・・という情報の出所は今年1月の「朝鮮日報」の<キム・ソクフン、「キラキラ輝く」で2年ぶりにドラマ復帰>という記事。また、この月曜日(9日)のInnolifeの<本格的な三角恋模様に、自己最高視聴率…19.1%>という記事によると視聴率も好調のようで・・・。しかしどこまで金薫と重なってるのかなー?

 さて、「新世紀 世界文学ナビ」韓国編が来週も続くとすると、いよいよ大御所李文烈の登場? 彼も金薫と同じ1948年生まれ。(金薫は5月5日、李文烈は5月18日。)
 ただ、李文烈はこのところ保守派の論客としての政治的な発言はしばしば報道されるものの、文学史的には1990年代までの作家になっちゃってますからねー。
 三枝壽勝先生も<現代文学 読書案内>の中で、
 「普段は本を読まない人でも絶対に読むという本がある。それは「水滸誌(水滸伝)」と「三国志(三国志演義)」である。なぜか韓国でこのニつを読んだことがないという人に出会うのは非常に難しい。男女共にこの二つは愛好されている。おかげで作品の売れ行きが芳しくない作家はこの二つの作品を翻案して出版することで一息つくのが慣例となっている。売れっ子に見える李文烈も例外ではない」
 「ある有名な出版社の売り上げの半分は李文烈の本だという。ところがその本とは「三国志」と「水滸誌」、すなわち「三国志演義」と「水滸伝」の翻案なのである。大衆的な読者が有名作家に求めるのが周知の物語の焼き直しで、作者も名声維持のためそれに応じるなどというわけで、百年以上も変わらぬ伝統の根強さを感じるのである。」

 ・・・と、もろ書いちゃってるくらいですからねー。

 ・・・ということで、来週も注目。

※「毎日新聞」の過去記事は1ヵ月で<毎日jp>から消され、以後は<日経テレコン21>で見出し&記事で計105円で見るくらいしかないようですね。
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