ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 週末の興行成績 [3月20日(金)~3月22日(日)]と、人気順位 ►やっぱり良かった!60年前のソ連映画の佳作「誓いの休暇」

2020-03-24 23:55:23 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸下掲の3月20日(金)~22日(日)の興行成績ベスト10を見ると、「透明人間」が4週連続1位。とは言っても、2月22日の公開からほぼ1ヵ月で累計観客動員数がわずか50万人とは! 昨年の3月22日(金)~24日(日)の数字は、1位の韓国映画「金」は3日間で111万人。公開日の20日からは5日間で153万人です。
 1~10位の週末観客動員数の合計は昨年の183万人に対して今年は14万人で昨年の7.7%にすぎません。「2月の映画観客数77%減 新型コロナ影響し05年以降で最低=韓国」という見出しの記事(→コチラ)がありましたが、3月はさらに落ち込んでいるようです。こんな時節に宣伝費を注ぎ込んだ自信作を上映しても全然儲かるはずもなく、韓国の映画館では旧作の再上映が相次いでいます。
 日本の場合はどうなんでしょうね? 私ヌルボ、2月以降映画を全部で21本観ましたが、とくに観客の数がずいぶん少ないなと思ったことはありませんでした。逆に、意外なほど多かったというのも「ミッドサマー」をはじめいくつか。映画館以外では、平日の午後行った近場のスパなど、いつも以上に多かったなー。もしかしてポイント2倍デーだったから?

▸21日(土)は、予定していたミーティングが中止になったので、昨年始まったシネマ・ジャック&ベティでの仁川・ミリム劇場との共同企画に行ってきました。当初は→コチラにあるように日韓合作の映画「大観覧車」「ひと夏のファンタジア」を両劇場で15時から同時上映し、上映後は両劇場を繋いでゲストトーク・・・という予定だったのが、新型コロナでミリム劇場は休館。ネットで中継挨拶予定だったペク・チェホ監督はビデオメッセージのみとなり、「大観覧車」の主演・堀春菜さんの舞台挨拶となりました。堀さんは監督から「感情の切り替えを速くしてほしい」と最初に言われたとか。概して韓国人は日本人より感情表現がストレートだから、そこらへん演技の上でもギャップがあるのかも・・・。事故報道などで日本では「遺族は悲しみを堪えて・・・」がふつうなのに、韓国人は「なんで堪えなくちゃならないの?」ですからねー。
 「ひと夏のファンタジア」は以前観たので、今回は「大観覧車」の方だけ鑑賞。「ひと夏の~」同様に日本に来た韓国人がゆったり伸びやかな時を過ごす、という感じ。良くも悪くもユルーイ感じ。どうもアクションに限らず登場人物がしきりに怒鳴っている映画はよくある感じですが、その逆もたまにありますね。緊張と弛緩、仕事と休養等がバランスよく混じっているのがフツー・・・だといいのだけど、現実はそうもいかない?
この両劇場の交流は今後も続くそうで、期待したいと思います。昨年は「1991、春」「妓生:花の告白」といった他で上映機会のない作品を上映してくれましたが、できればそういう線で・・・。

▸19日(木)はシネマヴェーラ渋谷に行って、観て来ましたよ~、観て来ましたがな、ソ連映画の名作「誓いの休暇」! これも意外と混んでいていて、客席数142の半分ほど埋まってたかも。この作品を初めて観たのは何十年前だったかな? 映画より前に、高校の頃「ギターで弾く映画音楽名曲集」みたいなので主題曲の方を最初に憶えたのですが、今観ると最初のあたりからでそのメロディーが流されるのですね。物語の細部はラスト以外は記憶なし、でしたが、やっぱり心に沁みる佳作です。今はDVDで観られるということは知りませんでした。そのカスタマーレビュー(→コチラ)や、<YAHOO映画!>のユーザーレビュー(→コチラ)を見ると、「何十年も前にたまたまTVで観て強く印象に残っている」といった人が何人もいて、また大勢の人がその感動を記しています。そんなに上映の機会はないと思いますが、多くの皆さんにおすすめしたい作品です。

         ★★★ NAVERの人気順位(3月24日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(新) サンティアゴの白い杖(韓国)  9.55(11)
②(2) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.53(154)
③(3) 主戦場  9.51(1,377)
④(4) フォードvsフェラーリ  9.50(7,935)
⑤(5) 2人のローマ教皇  9.29(595)
⑥(6) 映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!  9.27(200)
⑦(7) ジョジョ・ラビット  9.18(1,212)
⑧(8) 娘は戦場で生まれた  9.16(164)
⑨(-) ネヴァー・ルック・アウェイ  9.12(100)
⑩(10) ナイブズ・アウト  9.11(3,819)

 ①「サンティアゴの白い杖」が新登場です。視覚障碍者の巡礼の旅を記録した韓国のドキュメンタリーです。1級視覚障碍者として事物のうっすらした形状だけやっと見ることができるジェハンと不認可のフリースクール上級で不確実な将来に対する悩みを抱えているダヒは、数百キロにも及ぶ長く険しい巡礼の道へと旅立ちます。目が見えない障碍を持っていてもフラメンコという情熱的なダンスを踊るジェハンは、巡礼路の終着点スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の広場でいつも夢に見てきたままにフラメンコをみごとに踊ることができるでしょうか・・・。原題は「산티아고의 흰 지팡이」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(2) アイリッシュマン  9.11(9)
③(3) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(4) 小さな光(韓国)   8.67(3)
⑤(5) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑥(6) はちどり(韓国)  8.38(13)
⑦(7) ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語  8.00(10)
⑧(8) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  7.90(10)
⑨(9) 1917 命をかけた伝令  7.67(9)
⑩(-) 象は静かに座っている  7.67(3)

 今回新登場の作品はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績3月20日(金)~3月22日(日) ★★★
           「透明人間」が4週連続1位。しかしこんな数字では・・・

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・透明人間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/26 ・・・・・・・・・・41,731・・・・・・・493,249 ・・・・・・・・4,316 ・・・・・・・594
2(3)・・1917 命をかけた伝令・・・・・・・・・2/19 ・・・・・・・・・・34,160・・・・・・・666,593 ・・・・・・・・6,116 ・・・・・・・546
3(2)・・ダーク・ウォーターズ ・・・・・・・・3/11 ・・・・・・・・・・20,759・・・・・・・103,430・・・・・・・・・・904 ・・・・・・・504
4(5)・・正直な候補(韓国)・・・・・・・・・・・・2/12 ・・・・・・・・・・10,825 ・・・・・1,520,807 ・・・・・・・12,740 ・・・・・・・312
5(4)・・藁にもすがる獣たち(韓国)・・・・2/19 ・・・・・・・・・・・7,002・・・・・・・612,038 ・・・・・・・・5,313 ・・・・・・・298
6(新)・・アガサ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/19 ・・・・・・・・・・・6,598・・・・・・・・・9,666・・・・・・・・・・・86 ・・・・・・・370
7(6)・・ストーリー・オブ・マイライフ・・2/12・・・・・・・・・・・6,392・・・・・・・847,956 ・・・・・・・・7,150 ・・・・・・・246
       わたしの若草物語
8(7)・・アリー/ スター誕生 ・・・・・2018/10/09 ・・・・・・・・・・・6,242・・・・・・・519,163 ・・・・・・・・4,401 ・・・・・・・211
9(9)・・アバウト・タイム ・・・・・・・2013/12/05 ・・・・・・・・・・・3,596 ・・・・・3,435,478 ・・・・・・・25,223 ・・・・・・・・81
       ~愛おしい時間について~
10(再)・・ワイルド・スピード ICE BREAK・・2017/4/12・・・3,457 ・・・・・3,657,537 ・・・・・・・30,024 ・・・・・・・・35
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 観客数の減少率は小さくなってきたといっても、まだ減り続けています。はたしていつ下げ止まるのか、先が読めません。。
 新作は6位のみ、再上映は3・10位の2作品です。
 6位「アガサ」は、アメリカのホラー。舞台は1950年代にジョージア州の小さな町。元不良少女だったアガサ(サブリナ・カーン)は、ボーイフレンドの子供を身ごもってしまいます。妊娠した独身女性が子供を産むと周りから白い目で見られていた時代で、彼女は人里離れた修道院に避難を求めてやってきます。そこの若いシングルマザーたちはなぜか怯えた表情で彼女を迎えます。修道院では修道院長により厳格な規律が科せられたものでしたが、その中でメリーははっきりとはわからない恐怖感に包まれ、やがてこの修道院に隠された衝撃的な秘密を知ることになります・・・。主人公はメリーなのになぜタイトルが<アガサ>かというと、それは乳房を切り取られる拷問をうけたキリスト教の聖人<聖アガサ>のことで、内容に関係するようです。韓国題は「세인트 아가타(セント・アガサ)」。日本では一般劇場公開はなく、配信のみのようです。
 10位「ワイルド・スピード ICE BREAK」は、アメリカのアクションシリーズ第8弾の再上映。日本でも同じ17年4月2週間ほど遅く公開されました。韓国題は「분노의 질주: 더 익스트림」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ダーク・ウォーターズ ・・・・・・・・・・・・3/11 ・・・・・・・20,759・・・・・・・・103,430・・・・・・・・・・904 ・・・・・・・504
2(新)・・アガサ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/19 ・・・・・・・・6,598・・・・・・・・・・9,666・・・・・・・・・・・86 ・・・・・・・370
3(再)・・シンドラーのリスト・・・・・・・・1994/3/05 ・・・・・・・・2,085・・・・・・・・・10,314・・・・・・・・・・・69 ・・・・・・・110
4(2)・・メメント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2001/8/24 ・・・・・・・・1,973 ・・・・・・・・・28,635 ・・・・・・・・・192 ・・・・・・・・73
5(再)・・ミッドナイト・イン・パリ・・・・2012/7/05 ・・・・・・・・1,836 ・・・・・・・・379,196・・・・・・・・2,802 ・・・・・・・106

 2位が新登場、3・5位は旧作の再上映です。
 2位「アガサ」については上述しました。
 3位「シンドラーのリスト」は、いうまでもなくスティーヴン・スピルバーグによるホロコースト関係の代表的作品。日本でも韓国と同じ年1週間早く公開されました。韓国題は「쉰들러 리스트」です。
 5位「ミッドナイト・イン・パリ」は、アメリカ・スペイン合作で、ウディ・アレン監督によるラブコメディ。日本でも同じ2012年に2ヵ月早く公開されています。韓国題は「미드나잇 인 파리」です。
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内灘へ 私的現代史の旅

2020-03-23 23:12:13 | エッセイ・雑文(韓国・朝鮮関係)
 もう9ヵ月も経ってしまったが、昨年6月所用で金沢に行った折、時間があったので内灘に行ってきた。
 しかし、今「内灘」と聞いて「ああ、あの・・・」とわかる人は地元の人以外でどれほどいるだろう?
 私の大雑把な見当では、かなり具体的な記憶がある人は80歳代半ば以上の一部、「聞いたことはある」「本で読んだ」等の記憶がある人もほぼ70歳以上ではないだろうか?
 つまり、〈内灘闘争〉の内灘なのだが・・・。

 内灘駅は、金沢駅から北陸鉄道浅野川線で20分あまり。金沢に近いが同市内ではなく、河北郡内灘町というベッドタウンだ。南北約9キロに伸びる内灘海岸に沿った幅約2キロの細長い町で、内灘駅はそのほとんど最南部に位置する。(※記事末尾の地図参照)

    
【石川県内灘町は日本海に面した町。(左) 金沢駅から北北西に伸びる北陸鉄道浅野川線の終点が内灘駅。】

 朝の天気は雨混じりの強風で、予定変更して映画館に行ったが、出た頃には好天になっていたので金沢駅から電車に乗り込んだ。もう午後2時だ。
 内灘駅近辺を見回すと、人も商店も少ない、穏やかそうな街だ。とりあえずの目的地、〈道の駅 内灘サンセットパーク〉は駅から約3キロ。酔狂なことに歩いて行った。

 道の駅の眼前の、河北潟放水路に架かる内灘大橋は、〈サンセットブリッジ内灘〉という愛称にふさわしい美しい姿で、町が観光スポットにしているのもうなずける。

   
【〈サンセットブリッジ内灘〉(左)と〈内灘町歴史民俗資料館 風と砂の館〉】

 〈内灘町歴史民俗資料館 風と砂の館〉は、その橋を渡ってすぐの所にある。
 ここの展示のテーマは3つだ。凧と、粟崎遊園と、内灘闘争である。
 粟崎遊園は初めて知った。1925年に地元の資産家がこの地に開設した広大な娯楽施設で、大劇場では宝塚に倣って少女歌劇団の公演もあったとか。また、この浅野川線自体遊園地用に敷設された鉄道だという。
 凧についても知らなかったが、展示されている凧の数々のユニークさにはたしかに引きつけられる。
 そして1952~53年頃の内灘闘争については、展示だけでなく往時の映像資料も見せてくれた。ただ、私は当時は幼児だったので記憶はなく、受験生時代日本史で内灘闘争という言葉を憶えたかどうかもさだかではない。
 その少し後の砂川闘争(1955~57年)の頃は小学生で、児童用の学習年鑑に載っていた記憶が残っている。

【説明版には「15サンチ榴弾砲を射つ」(左)、「試射場正門前の座り込み小屋」(右)とある。】

 その砂川闘争が米軍の立川基地拡張に対する規模の大きな反基地闘争だった。一方内灘闘争は、朝鮮戦争を背景に日本のメーカーからアメリカ軍に納入されることになった砲弾の性能を検査するための試射場として内灘砂丘が指定されたことに対する反対闘争である。53年3月に始まった試射は4月末で終わったが、6月に入って政府が試射場の再使用強行を決定すると、反対運動は地元住民だけでなく金沢大学の学生など支援者も増えてゆき、さらには私鉄総連や全学連といった全国組織の関与・支援も始まった。7月19日の金沢で開かれた日教組主催の集会には1万人が集まったという。
 闘争は、結局は住民間の対立や民有地の買収等で終息してゆくのだが、戦後の一連の米軍基地反対運動の最初の闘争として位置づけられている。

 ここまでは「80歳代半ば以上の一部」の人たちが体験したり新聞等の報道で知っていることである。以下は「本で読んだ等の記憶がある、ほぼ70歳以上」の一人である私自身の学生時代のことだ。
 その本とは、五木寛之の小説「内灘夫人」である。
 この小説は1968年8月~69年5月まで東京新聞夕刊に連載され、69年10月に単行本が刊行された。まさに全国的に大学闘争が沸騰していた時期に書かれたのだ。
 冒頭は、活動家学生の一人、森田克巳が新宿駅東口広場で米軍野戦病院撤去のための署名運動をしている場面である。そこで彼に声をかけた30代の美人が沢木霧子。それを契機に、克巳とは深い関わりを持つようになる。表面的には金持ちの奥様の誘惑ということだが・・・。後で克巳がなぜ自分に声をかけたのか問うと、霧子はその場で答えず彼を空路小松空港へ、そしてタクシーで内灘に連れてゆく。若い頃内灘闘争に関わった自分たちと、今の克巳が重なって見えたからという。
 霧子と夫の良平は、その内灘闘争に参加し結ばれた夫婦である。当時闘争に積極的だったのは良平の方だったが、今の良平は広告会社の社長で、運転手付きの黒塗りのベンツに乗っている身分だ。
 かつて良平に誘われて内灘に出かけ、デモに加わり、抗議の座り込みにも参加した霧子は、今そんな良平との間の溝を感じている。
 「おれは汚れてきたんじゃなくて、視野が広くなり、物の考え方に柔軟性が増しただけだ。内灘時代のおれたちは狭い世界のなかで甘ったれた感傷にひたっていただけなんだ」と言う良平に対し、霧子は「あの内灘時代は独りよがりの青臭いヒューマニズムに陶酔してた気恥ずかしい存在だったかもしれない。でもあそこには大事な物、美しいもの、一片の真実のようなものがあったと思うの」と言う・・・。
 五木寛之は、その1953年当時はちょうど20歳で、早稲田大の学生だった。彼がその頃内灘闘争に関わりがあったかどうかはわからないが、68~69年の学生運動に全面的な支持というものではないにしても、シンパシーを感じていたことはこの作品から読み取れ、それは自身の青春時代が底流にあるのかもしれない。
 この小説の最後で、霧子は新たな出発を決意する。それは、どのような仕事であれ、自分の力で仕事をはじめること。その出発にあたって霧子は、内灘闘争の時代を「青春」と呼び、それと決別するのである。このラストは、当時(今も)よくあった年配者による上から目線の若者評とは違っていて、納得できるものだった。
 (余談だが、私も大学1年だった68年、新宿東口広場である署名運動に立ったことがあったが、霧子のような奥様から声がかかるようなことはあろうはずもなかった。)

 内灘闘争関係の〈遺跡〉は今も多くはないが残っている。そのひとつが着弾地観測所跡だ。
 地図を見ると歴史民俗資料館から2キロと離れていない。すぐ行き着けると思ったのだが、甘かった。霧子たちが座り込んだという権現森の砂丘にあるものと思っていたが、今は起伏のある雑木林だ。結局1時間ほどもかかり、たどりついた時はもう5時だった。
 説明がないと着弾地観測所跡だとかは全然わからない。トーチカのようなもので、外のようすを見る隙間が開いているコンクリート製の建造物である。
   
【周囲の草木が時の流れを感じさせる着弾地観測所跡。入口の反対側。細いすき間から砲弾の的中率や爆発のようすを確認する。】

 そこから権現森海水浴場に下りようとしたが、これまた難儀をした。湘南海岸などでは松林のあたりから海岸まではすぐだが、ここは雑木林からまっすぐに下りる道がないのだ。結局直線距離で100メートルの所まで30分かかった。だが日が長い時期でよかった。6時を過ぎてもまだ明るい。
 内灘の海岸は広かった。鎌倉~藤沢あたりの見慣れた海岸だと、海自体がなんとなく観光用のように見えてしまう。しかし内灘で見た海岸と日本海ははるかにスケールが大きく、自然の荒々しさを垣間見たように思った。
 海岸には案の定韓国からの漂着物がすぐ見つかる。以前唐津の海岸を歩いた時もそうだった。日本海側の海岸ではむしろふつうのことだ。中国語のラベルがついたペットボトルもあった。

    


 海を越えて来るものはゴミの類ばかりではない。
 歴史民俗資料館の展示物の中に町指定文化財の〈室青塚(むろあおつか)〉の写真があった。「高句麗・渤海国使節らが室に漂着し、彼らの死去により築かれた塚であると古くから伝承され、江戸時代には青塚として地名になっていた」と説明にある。

 ここからはまさに現在の話である。
 近年北朝鮮の木造船が多数日本海側各地に漂着している。2013年の時点で年間の漂流・漂着数は80件あった。17年には漂流・漂着数104件で、遺体35体、確認された生存者は42人。そして18年は漂流・漂着数は225件に急増する。遺体は12体発見された。
 報道によると北朝鮮が外貨獲得のため中国に漁業権を売ったことが背景にあるらしい。そこで能登半島沖合の好漁場である大和堆にイカ釣り漁船が押し寄せてくるのだそうだ。ところがその木造船というのが日本の漁師に言わせれば「百年前の船」という無謀な出漁で、同情の声も出ているという・・・。
 石川県にはもちろん木造船の漂着は多く、この内灘町だけでも18~19年に計3件あり、また18年には砂浜上で遺体が発見されたそうだ。
 しかし、ネット上には工作船ではないかと疑ったり、警戒する主張は多い。日本人と比べて、あるいは外国人の中でも国籍や民族によって命や人権の軽重が極端に異なることに疑問を感じない人がそんなにも多いのだろうか?

 逆に海を越えて行った人で想起されるのは北朝鮮拉致被害者の人たちである。政府認定の拉致事件は1977年久米裕さんが拉致された宇出津(うしつ)事件だが、その宇出津は能登半島北部だ。しかし、そのずっと以前から北陸地方では時折不審者を見かけることがあり、ある記事によると「70年代まで、福井から能登、富山にかけての日本海側の浜辺には、地元警察署の不審者注意の看板がいたるところで目についた」という。
 そして私にも関わるのは高校時代同学年だったS君のことである。非常に弁の立つ、しっかりした生徒会長だった。将来どんな政治家になるか期待していたのは私だけではなかっただろう。その彼が大学3年だった1970年2月行方不明になった。金沢市のユースホステルを出発して能登半島に向かい、輪島市で宿泊。その後また金沢市のユースホステルに戻って再度宿泊し、10日の朝出発したが以後消息不明となった。北朝鮮の拉致事件の一部が明るみに出てから彼の名は〈特定失踪者〉のリストに入っている。「拉致の可能性を完全には排除できない失踪者」のことだ。拉致問題関係のチラシやポスターには、今も昔のままの彼の写真が載っている。S君がいなくなってちょうど50年になる。高校時代、仲間の誰も彼にこのような将来が待っていたとは思いも及ばなかった違いない。

 高校・大学時代から約半世紀。かつての友人たちにもいろんなことがあった。
 冒頭に「所用で金沢に行った」と書いた。その所用とは、故郷の金沢で独居していた大学時代の学友が亡くなり、当時の仲間たちと墓参に行ったのである。いつも何事かに熱心に取り組む人だったが、富や栄達には生涯無縁だった。今にして思えば、彼も私も、そして共に墓参をした仲間たちも、〈全共闘世代〉のずっと後列で同じ時代に足掻いていた同志と言えるかもしれない。その時だけでなく、もしかしたら今に至るまでも・・・。

 歴史・社会の一般的なことと個人的なこと、あるいは70年前・50年前・現在のことを織り交ぜて書き始めたら、さまざまなことが交錯してほとんど収拾がつかなくなってしまった。しかし、そんなもろもろの中心に今の私がいるのだということをあらためて実感することになった旅だった。


 地図の横(南南西~北北東)は約9キロ、縦は3キロ弱。内灘駅 道の駅 内灘サンセットパーク 内灘町歴史民俗資料館 風と砂の館 着弾地観測所跡 権現森海水浴場 ※室青塚は⑤からさらに2キロほど右手の方なので行くことができなかった。
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[韓国語]韓国のラジオで聴いたCMのメロディー(子供の遊び歌)は知ってたけど、歌詞が聴き取れなかった(トホホ)

2020-03-19 00:54:03 | 韓国語あれこれ
 17年9月ガラケーを失くしたのを契機にスマホに切り替えて2年半。利用の幅は多少広がったものの、あいかわらず初心者レベルです。
 韓国語関係では→コチラの記事に書いたように韓国のラジオをよく聴いています。(韓国語学習者の皆さん、スマホを活用してますか? もしかして、それってフツー?)

 その韓国ラジオで、1年以上も前からの懸案事項が先日やっと解決しました。番組の内容等ではなく、しばしば流されているCMが聴き取れず、気になっていたのがやっとわかったのです。

 そのCMは子供たちの遊び歌の替え歌なのですが、元歌の方は前から知っていました。
 まずソチラの方から聴いてみましょう。


 この歌(&遊び)は「무궁화 꽃이 피었습니다(ムクゲの花が咲きました)」といいます。見て(たぶん)おわかりのように、日本の「だるまさんがころんだ」と同じ遊びで、このハングルの字数も音節数も10なので、やはり10まで数える時に使われたりします。※実際に子供たち(&先生)が遊んでいる動画は→コチラ。なかなか楽しいです。)
 もしかしたら、1993年韓国の(100万部の?)ベストセラー小説「ムクゲノ花ガ咲キマシタ」を思い浮かべた人もいるかもしれません。金辰明(キム・ジンミョン)の小説ですが、あらすじはというと、南北朝鮮が核兵器の共同開発を極秘で進め、日本が竹島を軍事占領したのに対抗して日本の無人島に核が打ち込まれ、さらには南北共同軍が対馬や九州を占領云々・・・といったブッソウな話で、「ムクゲノ花ガ咲キマシタ」という言葉は核の攻撃のゴーサイン、というものでした。この小説は95年に映画化されました
 なお、小説の方は94年日本でも翻訳書が出ましたが、映画の方は未公開です。(やっぱり・・・。) 物語の内容をもっと詳しく知りたい方は→コチラ参照。
 あ、2017年の同タイトルの韓国ドラマもありましたね。ただし上記の小説等とは関係ない、男性&女性警官の恋愛物。ヒロインの名前が무궁화(ム・グンファ)=ムクゲで、日本では「恋の花が咲きました~2人はパトロール中~」というタイトルで放映されていました。

 さて、ここから本論に戻ります。私ヌルボが聴いてわからなかったCMはコレ👇です。
 ウェブ検索をしたら見つかったので、とくに韓国語学習者の皆さんは聴いてみてください。


 いかがですか?
 私ヌルボの基準では、初級は「意味がわかる単語がポツ、ポツと聴きとれる」レベル。中級は「ニュースや会話を聴いて、およそ何について話しているかがわかる」レベル。上級は、より細かな点までほぼ鮮明にわかり、ポツポツとわからない言葉が混じる」レベルです。(で、ヌルボ自身はかろうじて上級に引っかかる(?)レベルです。韓国語の本はけっこう読んできましたが、聴き取りに少しは慣れてきたとはいえ、まだまだ遠いです。)

 TVや映画等と比べて、ラジオの聴き取りがむずかしいのはヒントになるような映像やテロップが入らないこと。
 以前→コチラの記事で、やはりラジオを聴いていて「<パンナメ>という言葉の意味は(ほぼ?)瞬時にわかった」などとうれしげに書いちゃったりしましたが、今回はホントにわからなかったです。
 聴き取れたのは、最初の「ノーラン(노랑.노란?)」=黄色以外に、「カマソテ(가마솥에)」=釜に、「コンガンハニダ(건강합니다)」=健康です。あとは「ウェーヨ?( 왜요?)」=なんで、「ウア(우와아)」=うあ、「テーバ!(대박!)」=やったー! ・・・と、これだけ。
 最初と最後の、肝心カナメの「ノーラントンダ(ソンダ?)」からしてわかりません。
 結局は「라디오 CM 노랑 가마솥 대박」とわかっている言葉を入れて検索し、やっとこれが<노랑통닭>、つまり<黄色丸揚げ鶏>というチキンチェーン店のCMであることがわかりました。(上の画像のハングルを見れたらすぐわかるのに・・・。) しかし公式サイトに歌詞が載ってるわけでもなく、さらにいくつか別の記事を見ることになりましたが・・・。

 その歌詞全文は次の通りです。
  노랑통닭치킨 맛있습니다 (왜요?)
  가마솥에 튀겨서 바삭합니다 (우와아)
  불만제로 착한 치킨 나왔습니다 (대박!)
  염지를 하지 않아 건강합니다 (♫♩♩♩)
  가마솥에 치킨 노랑통닭 (노랑통닭)

   [訳]
  黄色の丸揚げチキン おいしいです (なんで?)
  釜で揚げて カリッとしています (うあ)
  不満ゼロ優しいチキン 出てきました (やったー!)
  塩漬けしないで 健康です。
  釜揚げチキン ノーラントンダ (ノーラントンダ)


 なぜすぐわからなかったか、以下自己分析。
・통닭の最後のㄱが聞こえなかった。カタカナで<トンダ>程度にも聞こえればわかったのに・・・。ずっと以前ネイティブの韓国語の先生に、「歌の始めに、日本だと「サン、ハイ」というのを韓国では「シージャ」と言ってますが「シージャク(시작)じゃないんですか?」と質問したことがありました。すると「口の奥でㄱ(k)と言ってますが구(ku)じゃないので聞こえないのです」と説明してくれたのを憶えています。今聴き直すとㄱが聞こえるような聞こえないような?? しかしテーバのㄱも同じなのに、なぜかソチラはわかったんだよねー・・・。
 日本語でも、「ウーッ、からい!」「シッ、静かに!」と言う時は無意識に前者の<ッ>はk、後者の<ッ>はtをつけて発音していて、<ッ>抜きの「ウー」や「シ」だとちょっと違うゾ感はあるんですけどね。
・치킨(チキン)がメロディーに合わせて「チーキン」と長く発音されていたので意味がわからなかった。
・初級レベルの맛있습니다(マシッスニダ)も、<シ>が<ジ>に聞こえてしまった。後の方の<チーキン>も<チーギン>と聞こえた。
 ・・・うーむ、まだまだ修行が足らんなー。

 以上、ずいぶん時間が(日数か)かかってしまいましたが、わかってよかったです。ことのついでに、韓国で「おいしいチキン専門チェーン店ベスト10」といった記事も読んだし、今度韓国に行ったらそんな店に入ってみようという気になりました。ハハハ。
 (ジツは、まだよくわからないラジオCMがあるんですよねー・・・。)
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韓国内の映画 週末の興行成績 [3月13日(金)~3月15日(日)]と、人気順位 ►「スウィング・キッズ」、ネタバレなしですがちょっと詳しくご紹介

2020-03-17 22:06:36 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸1つ前の記事<30年来の韓国映画オタクが450本(?)の中から選んだ★韓国映画ベスト30★>は→コチラ

▸15日(日)夜、桜木町のブルク13で「スウィング・キッズ」鑑賞。EXOのD.O.[ド・ギョンス]が主演なので、わりと高評価のカキコミを見ても彼の人気ゆえか?と思って2月21日の公開後もあまり観る気が起こらなかったのですが、朝鮮戦争がらみで物語の舞台は巨済(コジェ)捕虜収容所ということで、これはベンキョーになるかも・・・と考え直しました。もう1つの興味は、政治的な視点はどうなのか ?という点。北朝鮮の兵士が登場する韓国映画は、「北も南も同じ民族!」という進歩系の立場からの<片思い的>親北朝鮮の観点。もう一方は、ずっと以前からある<北朝鮮=敵!>との戦いを主軸に据えた伝統的な保守系の側の観点。近年は前者が目につくようですが、はたして?・・・という興味です。
 本作の元となったのは「ロ・ギス」(←主人公の名)と題して上演されたミュージカル作品で、キム・シヌによるその脚本を元にカン・ヒョンチョル監督が映画の脚本を書いたとのことです。その2つの内容にはいくつかの違いがあるそうで、中でも決定的に違うのはエンディングとか・・・。(ということは・・・。)
▸観てみると、案の定史実とフィクションの区別は(デヴッド・ボウイやビートルズの楽曲はアレレでしたが)すぐにはわからず、後で探索することになりました。すると、そもそも最初のモチーフになったのはフォトジャーナリストとして知られるスイス人のワーナー・ビショフが撮影した写真(右画像.出所は→コチラ)ということが判明しました。ただ、この写真はそれなりに知られている(?)ようで、作家・崔秀哲(チェ・スチョル.1958~)は「捕虜たちの踊り(포로들의 춤)」という小説を書いています。しかし、写真を見ると、自由の女神像もあり、その前で捕虜兵士たちが踊っていますが、タップダンスじゃないですよね。(スクエアダンス?)
 これも史実なの?と考えたのは、収容所内なのに捕虜たちの間にあんなに死傷者が出るほどの厳しい対立があったのかということ。これはたしかにあったのですね。いや、それどころか実際に収容所では反共vs親共捕虜の暴動が時々起こったそうで、殺し殺される殺戮劇が繰り広げられる地獄だったといいます。1952年に起こった暴動では、米英の軍隊が出動して鎮圧したそうです。(その時の映像は→youTubeで視聴できます。)
 上述の<親北>or<反北>をめぐって。<ナムウィキ>の「スウィング・キッズ」の項目(→コチラ)には「右派側からは北朝鮮軍が主人公という理由で左派映画と非難しますが、いざ見たらどちらの側の肩を持っているかは難しい」と評しています。しかし、捕虜たちの間の理念対立が激化する場面で、可憐なヒロインのパンネ(パク・ヘス)が「ファッキング・イデオロギー!」と吐き捨てるように言う場面があります。これがまさにこの映画の立場だと思います。それぞれのイデオロギーを信じ込み、自分たちばかりか多くの人々を不幸にするイデオロギー。それと対置されるのがタップダンスという構図です。なるほど、こういう考え方は今の若い世代には受け入れられそうです。ヌルボ個人としては、親北色や国防意識涵養に比べればナルホドねーではあります。が、あの時代を描く際ににこのような見方がどれだけリアリティを持ち得ているか、疑問もなきにしもあらずです。しかしいろいろ知識も得たし、何より娯楽作として楽しめたのでよかったです。

▸先週は、近場で見逃した「さよならテレビ」を観にポレポレ東中野まで行ったことを書きました。先週11日は<大阪アジアン映画祭>の中で上映されていた「ポーランドに行った子供たち」を観にわざわざ新幹線に乗って行ってきました。朝鮮戦争の時に孤児となった子供たちを金日成はポーランド等に送ったそうで、その時に子供たちの養育にあたったポーランドの人たちを訪ねて話を聞いたり・・・というドキュメンタリーですが、私ヌルボが一番知りたかったことが解明されず、ちょっと残念。そして、その後この映画はいずれ一般劇場公開されるという情報に接し、またトホホ。天王寺動物園にはアムールトラ(チョウセントラ)がいるのですが、コロナのため休園中だったし・・・。まあそれでも何ヵ所か廻ってこられたので良しとするか(涙)。

         ★★★ NAVERの人気順位(3月17日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(3) モンマルトルのパパ(韓国)  9.55(110)
②(2) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.53(151)
③(4) 主戦場  9.51(1,375)
④(5) フォードvsフェラーリ  9.50(7,923)
⑤(6) 2人のローマ教皇  9.29(594)
⑥(7) 映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!  9.27(200)
⑦(8) ジョジョ・ラビット  9.19(1,200)
⑧(9) 娘は戦場で生まれた  9.17(162)
⑨(新) リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ  9.13(30)
⑩(10) ナイブズ・アウト  9.11(3,788)

 ⑨「リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ」(仮)が新登場です。元オアシスのリード・ボーカルだったリアム・ギャラガーがその後つらい日々を経た後、ソロとして復活するまでの姿を撮ったイギリスのドキュメンタリーです。韓国題は「리암 갤러거」。日本公開は年内とのことです。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(2) アイリッシュマン  9.11(9)
③(3) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(-) 小さな光(韓国)   8.67(3)
⑤(4) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑥(5) はちどり(韓国)  8.38(13)
⑦(6) ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語  8.00(10)
⑧(8) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  7.90(10)
⑨(9) 1917 命をかけた伝令  7.67(9)
⑩(10) ジョーカー  7.64(11)

 今回新登場の作品はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績3月13日(金)~3月15日(日) ★★★
           観客数がさらに落ち込む中「透明人間」が3週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・透明人間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/26 ・・・・・・・・・・56,466・・・・・・・420,326 ・・・・・・・・3,675 ・・・・・・・617
2(新)・・ダーク・ウォーターズ ・・・・・・・3/11 ・・・・・・・・・・44,452・・・・・・・・62,191・・・・・・・・・・549 ・・・・・・・575
3(2)・・1917 命をかけた伝令・・・・・・・・・2/19 ・・・・・・・・・・39,000・・・・・・・610,698 ・・・・・・・・5,620 ・・・・・・・539
4(3)・・藁にもすがる獣たち(韓国)・・・・2/19 ・・・・・・・・・・13,799・・・・・・・597,645 ・・・・・・・・5,188 ・・・・・・・382
5(5)・・正直な候補(韓国)・・・・・・・・・・・・2/12 ・・・・・・・・・・12,214 ・・・・・1,498,969 ・・・・・・・12,607 ・・・・・・・343
6(4)・・ストーリー・オブ・マイライフ・・2/12・・・・・・・・・・10,368・・・・・・・835,165 ・・・・・・・・7,042 ・・・・・・・300
       わたしの若草物語
7(再)・・アリー/ スター誕生・・・・2018/10/09 ・・・・・・・・・・・9,420・・・・・・・506,865 ・・・・・・・・4,339 ・・・・・・・246
8(再)・・メメント・・・・・・・・・・・・・・2001/8/24 ・・・・・・・・・・・4,956・・・・・・・・23,933・・・・・・・・・・168 ・・・・・・・122
9(10)・・アバウト・タイム・・・・・・2013/12/05 ・・・・・・・・・・・4,710 ・・・・・3,429,612 ・・・・・・・25,193 ・・・・・・・・73
       ~愛おしい時間について~
10(6)・・ブラームス: ザ・ボーイII・・・・・3/05 ・・・・・・・・・・・3,513・・・・・・・・22,973・・・・・・・・・・208 ・・・・・・・124
       アズカバンの囚人
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 前々週→前週の減少率ほどではありませんが、前週からさらに落ち込み、1位の観客動員数も通常ならベストテン後半の数字です。
 こんな中、旧作の再上映が目につきます。新作は2位のみで7・8位の2作品が再上映です。
 2位「ダーク・ウォーターズ」は、事実をモチーフにしたアメリカのドラマ。タイトルは<汚染水>の意。例の原発事故を思い浮かべる人も多いと思いますが、あのデュポン社が川に流出させた有害な化学物質を含んだ汚染水のことです。物語は弁護士のロバート・ビロット(マーク・ラファロ)が1人の農夫から村で連続して起きている得体の知れない病気や先天的に障碍を持って産まれる子供、そして不審死等の調査を頼まれるところから始まります。調査を始めたビロットはやがてデュポン社からの汚染水が原因であることを突きとめますが、会社側は隠蔽や脅迫等々を行使して彼に圧力をかけます。部下や上司の支援も失われた中、ロバートは真実を明らかにするため勇敢にも裁判闘争を開始します・・・。韓国題は「다크 워터스」。日本公開は未定のようです。
 7位「アリー/ スター誕生」は、日本では2ヵ月遅く2018年12月公開されました。韓国題は「스타 이즈 본」です。
 8位「メメント」は、クリストファー・ノーラン監督によるサスペンス&ミステリー。日本でも韓国と同年ヵ月ほど遅く公開されています。韓国題は「메멘토」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・ダーク・ウォーターズ・・・・・・・・・・・・3/11 ・・・・・・・44,452・・・・・・・・・62,191 ・・・・・・・・・549 ・・・・・・・575
2(再)・・メメント・・・・・・・・・・・・・・・・・・2001/8/24 ・・・・・・・・4,956 ・・・・・・・・・23,933 ・・・・・・・・・168 ・・・・・・・122
3(2)・・はじまりのうた・・・・・・・・・・・・・2014/8/13 ・・・・・・・・3,080・・・・・・・3,460,447 ・・・・・・・・・・27・・・・・・・・134
4(3)・・チャンシルは福も多いね(韓国)・・・・3/05・・・・・・・・・2,829 ・・・・・・・・・15,499 ・・・・・・・・・133・・・・・・・・・91
5(再)・・言えない秘密・・・・・・・・・・・・・・2008/1/10 ・・・・・・・・2,634 ・・・・・・・・170,785 ・・・・・・・・1,199 ・・・・・・・108

 1位が新登場、2・5位は旧作の再上映です。
 1位「ダーク・ウォーターズ」、2位「メメント」については上述しました。
 5位「言えない秘密」は、ジェイ・チョウ(監督も)とグイ・ルンメイ共演の台湾ラブロマンスの定番的作品で韓国では(たぶん)3度目の再上映。日本でも同じ2008年半年以上遅く公開されています。
韓国題は「말할 수 없는 비밀」です。
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30年来の韓国映画オタクが450本(?)の中から選んだ★韓国映画ベスト30★

2020-03-16 21:01:39 | 韓国映画(&その他の映画)
 最近「パラサイト 半地下の家族」のアカデミー賞作品賞受賞をきっかけに、韓国映画関係の記事が活字メディアやウェブ上でたくさん見られますが、本記事はそれとは全然関係ありません。
 2009年の記事 →<1ヌルボの韓国映画の思い出 & ★韓国映画ベスト12★>
 2010年の記事 →<150本の中から選んだ・・・ ★韓国映画ベスト20★>
の、久しぶりの続き記事です。
 上記の記事以降、2011年~19年に観た韓国映画の本数を鑑賞記録で確認したところ、計304本でした。ただし北朝鮮映画が少し含まれ、また複数回観た作品もあります。また今年に入って観た韓国映画は昨日(3月15日)までで6本です。そこで大雑把にみて11年以降に観た回数を300本と算定しました。(年平均約33本で、観た映画全体の約3分の1。) その数を加算して、今回は「450本(?)の中から選んだ・・・」としました。
 ちなみに、すべて映画館等でのスクリーン上映で観たものです。DVDや、ネット配信等で観ることもないわけではありませんが、基本的には「映画は映画館で観る」ことにしているので、それ以外で観た作品は数に含まれていません。
 その他の説明は後回し。さっそく1位から順に目を通してみてください。
   (カタカナの監督名の後は日本での公開年、ハングルの監督名の後は韓国での公開年です。)

    ★韓国映画ベスト30★

1位・・・「神様こんにちは」(ペ・チャンホ.1991)  '안녕하세요 하나님'(배창호.1987)
2位・・・「風の丘を越えて ~西便制」(イム・グォンテク.1994)  '서편제'(임권택.1993)
3位・・・「息もできない」(ヤン・イクチュン.2010)  '똥파리'(양익준.2009)
4位・・・「猟奇的な彼女」(クァク・ジェヨン.2003)  '엽기적인 그녀'(곽재용.2001)
5位・・・「僕が9歳だったころ」(ユン・イノ.2006)  '아홉살 인생'(윤인호.2004)
6位・・・「金子文子と朴烈」(イ・ジュニク.2018)  '박열'(이준익.2017)
7位・・・「彼とわたしの漂流日記」(イ・ヘジュン.2010)  '김씨표류기'(이해준.2009)
8位・・・「ワンドゥギ」(イ・ハン.2012)  '완득이'(이한.2011)
9位・・・「殺人の追憶」(ポン・ジュノ.2004)  '살인의 추억'(봉준호.2003)
10位・・・「われらの歪んだ英雄」(パク・チョンウォン.1997)  '우리들의 일그러진 영웅'(박종원.1992)
11位・・・「拝啓、愛しています」(チュ・チャンミン.2012)  '그대를 사랑합니다'(추창민.2011)
12位・・・「グエムル 漢江の怪物」(ポン・ジュノ.2006)  '괴물'(봉준호.2006)
13位・・・「鯨とり -コレサニャン-」(ペ・チャンホ.1984)  '고래사냥'(배창호.1985)
14位・・・「ソウォン/願い」(イ・ジュニク.2014)  '소원'(이준익.2013)
15位・・・「ペパーミント・キャンディー」(イ・チャンドン.2000)  '박하사탕'(이창동.2000)
16位・・・「過速スキャンダル」(カン・ヒョンチョル.2010)  '과속 스캔들'(강형철.2008)
17位・・・「八月のクリスマス」(ホ・ジノ.1999)  '8월의 크리스마스'(허진호.1998)
18位・・・「太白山脈」(イム・グォンテク.2000)  '태백산맥'(임권택.1993)
19位・・・「王になった男」(チュ・チャンミン.2013)  '광해,왕이 된 남자'(추창민.2012)
20位・・・「チェイサー」(ナ・ホンジン.2008)  '추격자'(나홍진.2009)
21位・・・「新感染 ファイナル・エクスプレス」(ヨン・サンホ.2017)  '부산행'(연상호.2016)
22位・・・「新しき世界」(パク・フンジョン.2014)  '신세계'(박훈정.2013)
23位・・・「トンネル 闇に鎖された男」(キム・ソンフン.2017)  '터널'(김성훈.2016)
24位・・・「シークレット・サンシャイン」(イ・チャンドン.2008)  '밀양'(이창동.2007)
25位・・・「サニー 永遠の仲間たち」(カン・ヒョンチョル.2012)  '써니'(강형철.2011)
26位・・・「オールドボーイ」(パク・チャヌク.2004)  '올드 보이'(박찬욱.2003)
27位・・・「Green Days 大切な日の夢」(アン・ジェフン等.2012)  '소중한 날의 꿈'(안재훈,한혜진.2011)
28位・・・「牛と一緒に7泊8日」(イム・スルレ.2011)  '소와 함께 여행하는 법'(임순례.2010)
29位・・・「離れの客とお母さん」(シン・サンオク.1996)  '사랑방 손님과 어머니'(신상옥.1961)
30位・・・「授業料」(チェ・インギュ、パン・ハンジュン.1940)  '수업료'최인규, 방한준.1940)

 念のため。順位差が5程度だとさして大差はありません。しばらく時をおいてまたベスト30を組むと相当入れ替わりがあると思います。ただ、1~3位はこの10年間不動だし、この先も変わることはないでしょう。なお2・3位は多くの人が高く評価している名作ですが、1位は私ヌルボの個人的思い入れが9割くらい(?)入っています。

 最近韓国映画関係の記事を読んで、筆者の皆さんにとって2000年公開の「シュリ」が大きな画期として位置付けられていることに気づきました。(→コチラや→コチラなど。) たしかに「シュリ」は韓国映画史の上で画期的な作品です。しかし、日本から見た韓国映画史は私ヌルボの見解では①1987年以前②1987~1999年③2000~03年④2004年以降 の4つの時期に分けられ、「シュリ」は③の時期の幕開けにあたる作品です。以後韓国映画は日本そして世界に注目されるに至ったわけですから。(関連記事は→コチラ)
 しかし、それ以前韓国でも半世紀以上にわたる映画の歴史がありました。「シュリ」「カル」「JSA」あたりから韓国映画ファンになった韓国映画ファンを第2世代とすると、その約10年前の1990年前後日本で公開された「シバジ」や「ソウルの虹」を観たり、同じ頃NHKテレビで佐藤忠男先生の解説付きで放映されていた<アジア映画劇場>に触発されて韓国映画を観るようになったファンが第1世代で、私ヌルボのその1人です。
 今回の★ベスト30★には、①②の時期の作品も少し含まれています。あ、1・2位も29・30位もそうですね。それらも含めて日本語版DVDが出ていなかったり、あっても今入手困難で、レンタル店にもないものも相当数あることをご承知おき下さい。
 ※韓国語がそれなりにわかる方なら本ブログの→YouTubeで視聴できる韓国映画(1936~2000年)のリストを利用していただければいいのですが・・・。往年の韓国映画の名作が満載されています。なお、日本統治下の朝鮮で作られた30位「授業料」は、日本語のセリフが多い上、朝鮮語の部分は日本語字幕がついています。YouTube(→コチラ)で視聴できます。(「授業料」の紹介記事は→コチラ。)

 次に映画を評価するモノサシについて。
 「パラサイト」関係の記事の中に、これまで韓国映画を観てこなかった人のためにオススメの作品を紹介している記事もいくつかありました。3月12日のFRYDAY DIGITALの<『パラサイト』にハマった人がいま見るべき「韓国映画10」>と題した記事(→コチラ)でライターの児玉愛子さんは次の作品を挙げています。「新感染 ファイナル・エクスプレス」・「神と共に(第一章:罪と罰)」「神と共に(第二章:因と縁)」・「猟奇的な彼女」・「インサイダーズ 内部者たち」・「サニー 永遠の仲間たち」・「ベテラン」・「怪しい彼女」・「国際市場で逢いましょう」・「王になった男」・「建築学概論」
 私ヌルボもこの11作品は全部観ましたが、至極妥当なチョイスだと思います。内容も時代劇、ホラー、SF、ヤクザ物、人情ドラマ等々バラエティに富んでいるし・・・。(この他にポン・ジュノとソン・ガンホの代表作もついています。)
 この記事に対するコメントの中で「わざと軽いエンタメ系のリストなのか??」と書いてた人もいましたが、もちろんそうでしょう。児玉さん自身「以上の10作品は、韓国内で秀作とされる作品群とは少し違ったラインナップだが、韓国の歴史や文化に特別の興味のない日本人が観ても分かりやすい作品ばかりだ。韓国映画ならではの情緒や力強さを感じてほしい」と記しています。文句ナシ!です。
 映画を評価するモノサシを、[A] エンタメ&シネコン系、一般的な映画ファン目線 と [B] 芸術・社会&ミニシアター系、キネ旬的映画オタク目線 の2つに大別すると、上掲の「韓国映画10」は、意識的にAの観点に絞ったものだと思います。
 そしてこの★韓国映画ベスト30★は[B]の傾向がわりと強いと自覚していますが、[A]の要素を排除したわけではなく、単に「結果的にこうなった」というものです。私ヌルボ個人としてどれほど深く心を打たれたか、ということを重視しました。したがって、児玉さんのように「情緒や力強さを感じてほしい」と願うような読者は全然想定していません。それでも、読者の皆さん個々に何か参考になったり、興味関心を持った箇所でもあれば幸いです。

 ☆追記 30位に入れる作品は大いに迷いました。その候補をあげておきます。
    ・「ハロー!? ゴースト」(キム・ヨンタク.2012)  '헬로우 고스트' 김영탁.2010)
    ・「ほえる犬は噛まない」(ポン・ジュノ.2003)  '플란다스의 개' 봉준호.2000)
    ・「灼熱の屋上」(イ・ミニョン.1997)  '개같은 날의 오후'(이민용.1995)
    ・「霧の村」(イム・グォンテク.1986)  '안개 마을'(임권택.1983)
    ・「開闢」(イム・グォンテク.1993)  '개벽'(임권택.1991)
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韓国内の映画 週末の興行成績 [3月6日(金)~3月8日(日)]と、人気順位 ►「さよならテレビ」は東海テレビのホンキ!のドキュメンタリー

2020-03-10 23:44:35 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸いつもは人出の多い関内の街も目に見えて通行人も車も減りました。まったく想定外の新型コロナ騒ぎで仕事に大きな支障をきたしている皆さんは大変なこととお察しします。
 私ヌルボはほとんど気にせず外を歩き回っていますが、昨日(9日)は1週間ほど前に寝違えて以来肩の痛みと指のしびれが続いているので整形外科医院に行ってきました。初めての所で、ネット情報だと「2~3時間は待たされる」というその医院で先に待ってる人は1人だけ。10分ちょっと待つだけですみました。
 その前日の10日(日)はシネマ・ジャック&ベティで「プリズン・サークル」鑑賞。この映画館では、観客は「間隔を空けて座ってもらう」ということでチケットも定数の半分しか売らないという方針との掲示物がありましたが、この作品のこの回は坂上香監督のトークがあるとのことで例外措置発動。115席ほとんど埋まってたんじゃないかなー。で、このドキュメンタリーの撮影場所は浜田市にある島根あさひ社会復帰促進センターという官民協働の新しいタイプの刑務所。とくに何が新しいのかというと、TC(Therapeutic Community=回復共同体)という更生プログラムを日本で唯一導入していること。具体的には、受刑者のグループごとに物語を作ったりロールプレーをしたり、あるいは家族のことや犯行のこと等自分のこれまでの生き方や物の考え方を語り合ったりして自分を見つめ直し、更生を促すというもの。このような(応報ではなく)教育に重点を置いた刑務所ができたのは2006年の刑法改正で改善指導・教科指導等の矯正処遇が定められたからなのだそうで、日本の刑務所の歴史でいえば「ごく最近」のことなんですね。そこで4人の若い受刑者4人を中心に2年間撮影した映像とのことです。観終わって、「TC出身者の再入所率は他のユニットと比べて半分以下」という調査結果がなるほどと合点がいきました。(「最初から見込みがありそうな<矯正可能な受刑者>を選んだからでは?」との憶測もありそうですが・・・。)
 関連で、たまたま今読んでいる千野帽子「物語は人生を救うのか」の中に次のような一節がありました。
 (2018年NHKTVで)娘さんを強姦殺人で失った(犯人は自殺)中谷加代子さんが、
 「罪を犯した人は自分が幸せを感じなくなっている。自分が幸せを感じられなくて他人の幸せを願えるだろうか。自分が幸せを感じることができて初めて償いにとりかかれる」(大意)という意味ののことを言っているのを見て、胸を打たれました。

 私ヌルボもほとんど同感です。しかしこの発言に対しては別の被害者遺族から批判があったといいます。一方、ネット内を探すと、元看守長だった人による「殺人犯を擁護する『中谷加代子』氏に異論あり」という記事(→コチラ)が見つかりました。感情的な内容かな?と思いましたが、内容的には冷静で、異論はあっても全否定でもありません。
 なお、上で<ほとんど>同感と書いたのは、やはり応報刑一辺倒だと問題が大きい一方、この批判記事にもあるように教育刑万能とも思われないから。ただ、日本のこれまでの刑務所のありようも国民感情も応報刑に偏り過ぎているようなので、ぜひこのような新しいタイプの刑務所のことは多くの人に知ってほしいと思いました。

▸6日(金)はわざわざポレポレ東中野まで行ってこれもドキュメンタリーの「さよならテレビ」を観て来ました。なかなか評判がよさそうなので、まず近場で上映館をさがしたら、シネマ・ジャック&ベティで1月18日〜2月7日ですと!? ありゃりゃ、みごとに見逃し、トホホ。今度で何度目かな? ま、一昨年行った幸手(さって)に比べれば東中野は近いからよしとしよう(涙)。内容について。メディア関係には関心が大いにあるし、とくに新聞関係は若干の接触もありましたが、放送関係の現場の仕組みだの、そこで仕事をしている人については知識がほとんどありませんでした。そういったもろもろ、とくに自らの仕事に対する使命感とか職業倫理といったものを、青年時代をかなり前に過ぎた人たちがちゃんと持ち、議論し合ってる姿に共感を覚えました。また、こういう企画を出し、それが実際にTV番組さらには映画として実を結ぶとは、監督をはじめ直接担当者だけではなく、東海テレビという組織環境にも恵まれていたということでしょうか。

▸韓国での観客数の落ち込みはさらに進行して、6~8日は1位「透明人間」も10万人にとどかず。
 しかし、日本でもこの<自粛ムード>はなんだかなーといった感じ。毎日新聞で読んだ藻谷浩介さんの記事(→コチラ)によると、「アメリカではこの冬インフルエンザに推計2600万人が感染し1万4千人が死亡している」とか、「日本でも昨年、一昨年とも3千人以上が亡くなっている。交通事故死並みの数」だが、「報道も、国民の注意も、死者が累計十数人の新型コロナウイルスだけに向いている」と疑問を呈しているのはナルホドと思われました。<非常時>となるとやたらエラそうに人を叱ったり指図したりする人や即買い溜めに走ったりする人等もあらわれ、また多くの庶民は(若干の疑問はあっても)素直にお上の方針・支持に従うという構図が繰り広げられるのは、なんとなく<非常時>=戦時中を思い出してしまいます(・・・って生まれてないけど)。

         ★★★ NAVERの人気順位(3月10日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(5) 長雨(韓国)  9.60(94)
②(1) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.55(150)
③(2) モンマルトルのパパ(韓国)  9.54(107)
④(3) 主戦場  9.52(1,371)
⑤(4) フォードvsフェラーリ  9.50(7,895)
⑥(6) 2人のローマ教皇  9.28(588)
⑦(7) 映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!  9.27(199)
⑧(9) ジョジョ・ラビット  9.19(1,168)
⑨(10) 娘は戦場で生まれた  9.18(159)
⑩(-) ネヴァー・ルック・アウェイ  9.16(80)

 今回新登場の作品はありません。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(2) アイリッシュマン  9.11(9)
③(3) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(5) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑤(6) はちどり(韓国)  8.38(13)
⑥(7) ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語  8.00(10)
⑦(8) ペイン・アンド・グローリー  8.00(7)
⑧(9) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  7.90(10)
⑨(10) 1917 命をかけた伝令  7.67(9)
⑩(-) ジョーカー  7.64(11)

 今回新登場の作品はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績3月6日(金)~3月8日(日) ★★★
           「透明人間」が2週連続1位だが週末観客数は10万人を割る

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・透明人間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/26 ・・・・・・・・・・85,171・・・・・・・314,599 ・・・・・・・・2,739 ・・・・・・・702
2(2)・・1917 命をかけた伝令・・・・・・・・・2/19 ・・・・・・・・・・60,568・・・・・・・538,686 ・・・・・・・・4,967 ・・・・・・・599
3(3)・・藁にもすがる獣たち(韓国)・・・・2/19 ・・・・・・・・・・30,389・・・・・・・568,272 ・・・・・・・・4,930 ・・・・・・・491
4(5)・・ストーリー・オブ・マイライフ・・2/12・・・・・・・・・・18,758・・・・・・・813,021 ・・・・・・・・6,853 ・・・・・・・401
       わたしの若草物語
5(4)・・正直な候補(韓国)・・・・・・・・・・・・2/12 ・・・・・・・・・・17,629 ・・・・・1,477,104 ・・・・・・・12,443 ・・・・・・・417
6(新)・・ブラームス: ザ・ボーイII・・・・・3/05 ・・・・・・・・・・10,157・・・・・・・・14,781・・・・・・・・・・133 ・・・・・・・179
7(新)・・ウルフズ・コール ・・・・・・・・・・・3/05 ・・・・・・・・・・10,125・・・・・・・・13,914・・・・・・・・・・116 ・・・・・・・336
8(6)・・ザ・ジェントルメン ・・・・・・・・・・2/26 ・・・・・・・・・・・8,902・・・・・・・・71,329・・・・・・・・・・577 ・・・・・・・304
9(7)・・ハリー・ポッターと・・・・・・2004/7/16 ・・・・・・・・・・・8,893 ・・・・・1,823,867 ・・・・・・・11,369 ・・・・・・・・45
       アズカバンの囚人
10(新)・・アバウト・タイム ・・・・・2013/12/05 ・・・・・・・・・・・8,883・・・・・3,418,443・・・・・・・25,136 ・・・・・・・138
       ~愛おしい時間について~
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 6・7・10位の3作品が新登場です。
 6位「ブラームス: ザ・ボーイII」は、アメリカのホラー。2016年新宿シネマカリテの特集企画<カリコレ2016>の中で上映された「ザ・ボーイ~人形少年の館~」の続編です。前作は、老夫婦から8歳の少年のベビーシッターを任された女性がその少年と対面すると、そのブラームスは人間サイズの人形であり、また世話する際10のルールの遵守を命じられて・・・という話でした。今作で前作と共通して登場するのはブラームスだけ、かな? 夫のショーン、息子のジュードと一緒にロンドンで暮らしていたライザは、ある日家に押し入ってきた強盗に襲撃されて頭部を負傷します。その様子を見ていたジュードは精神に大きなダメージを受け、感情表現等に支障をきたすようになったため、一家は田舎町に引っ越します。しばらくしてジュードが散歩していると、墓地に陶器製の人形が埋まっていたのでそれを掘り起こして家に持って帰ります。その後ジュードは引きこもりがちになり、自室から出るときは必ず人形を同伴させるようになりますが、実はその人形がブラームスだったのです。両親がその正体を知った時にはもう時すでに遅し!? 韓国題は、「더 보이 2: 돌아온 브람스」。日本公開は未定のようです。ネット配信?
 7位「ウルフズ・コール」は、フランスのアクション。昨年の<フランス映画祭2019>の中で上映されました。シャンテレッド(フランソワ・シヴィル)は<黄金の耳>と呼ばれるほどの聴覚を生かし、フランス海軍で原子力潜水艦の分析官を務めています。ある日、シリアでの潜航任務で彼は判断ミスから危機を招いてしまいますが、その際に彼の耳を惑わせたのは正体不明のウルフズ・コールつまり“狼の歌”のようなソナー音を放つ艦艇でした。その後シャンテレッドは、秘密裏に“狼の歌”の解析を進めますが、やがてベーリング海からフランスを狙った核ミサイルが発射されます。相手はまさに“狼の歌”。海軍は衝撃的な敵の秘密に気付きます・・・が、残り時間は、えっ、発射まであと10秒!? 韓国題は「울프 콜」。日本での一般劇場公開はなさそう、かな?
 10位「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」は、2013年のイギリス作品。日本で14年に公開されています。韓国題は「어바웃 타임」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・ウルフズ・コール ・・・・・・・・・・・・・・・3/05・・・・・・・・10,125 ・・・・・・・・・13,914 ・・・・・・・・・116 ・・・・・・・・336
2(28)・・はじまりのうた・・・・・・・・・・・・2014/8/13・・・・・・・・・5,769・・・・・・・3,452,979 ・・・・・・・・・・27 ・・・・・・・・131
3(20)・・チャンシルは福も多いね(韓国)・・・3/05・・・・・・・・・5,698・・・・・・・・・・・8,938 ・・・・・・・・・・75 ・・・・・・・・241
4(新)・・シング・ストリート 未来へのうた・・2016/5/19 ・・・4,702 ・・・・・・・・・569,211 ・・・・・・・4,536 ・・・・・・・・129
5(新)・・キャロル・・・・・・・・・・・・・・・・・・2016/2/04・・・・・・・・・3,595 ・・・・・・・・・331,486 ・・・・・・・2,731 ・・・・・・・・124

 5作品すべてが新登場ですが、うち3作品は旧作の再上映です。
 1位「ウルフズ・コール」については上述しました。
 2位「はじまりのうた」は、2013年製作のアメリカ作品の再上映。日本では2015年公開されました。韓国題は「비긴 어게인」です。
 3位「チャンシルは福も多いね」は、韓国のドラマ。ちょうど今開催中の<大阪アジアン映画祭>のコンペティション部門で上映されています。家もなく男もいない、映画プロデューサーのチャンシル(カン・マルグム)は、長年タッグを組んできた監督が突然亡くなって仕事さえなくなってしまいます。人生は終わったと思いましたが、妹のような女優のソフィー(ユン・スンア)の家の家事手伝いとして生きる道を見出します。ところがソフィーのフランス語の先生ヨン(ペ・ユラム)が彼女の心をときめかせ、レスリー・チャンと言い張る謎の男(キム・ヨンミン)まで登場します。新しく引っ越した家の家主もちょっと風変わりだけど人情あふれるおばあさん(ユン・ヨジョン)。一生仕事ばかりと思ってきたのが、映画をやめると今までなかった福も入ってくるのでしょうか? 原題は「찬실이는 복도 많지」です。
 4位「シング・ストリート 未来へのうた」は、2016年製作のアイルランド・英・米の合作作品の再上映。日本でも同年公開されました。韓国題は「비긴 어게」です。
 5位「キャロル」は、2015年のアメリカ作品の再上映。日本では韓国と同じく16年に公開されています。韓国題は「캐롤」です。
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韓国内の映画 週末の興行成績 [2月28日(金)~3月1日(日)]と、人気順位 ►「ミッドサマー」と「名もなき生涯」と、新型コロナウイルス騒ぎ

2020-03-03 23:47:32 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸先週の記事での韓国での週末観客動員数は、1位の韓国映画「藁にもすがる獣たち」が約22万人。10万人超えが3作品だけで、いつもと比べてやっぱり減っているなーと思いましたが、後掲の2月28日(金)~3月1日(日)の動員数はさらにガタ減りしています。10万人以上は1位「透明人間」だけ。ベスト10の8位以下はふだんだとミニシアター並みの数字です。昨日2日のの記事(→コチラ)によると、前の週末の50万5000人から28万5000人に激減したとか。平常時にはヒット作の場合週末だけでも100万人を超えることはめずらしくないのに・・・。映画館だけでなく、業種によってはそれ以上の痛手を被っているところも多いのでしょうね。

▸新型コロナのためイタリアでは国内の約半数の映画館が閉鎖されたとか。日本でも岩波ホール、早稲田松竹等が休館になっています。
 ところが私ヌルボ、昨夜TOHOシネマズ 川崎に「ミッドサマー」(18:30~の回)を観に行ったら、意外なことに240席のうち約100席も埋まっていました。この映画は韓国でも観客の3分の2は20代でしたが、日本でも若い層を中心に注目されてる、のかな? なるほど、いろいろ興味深い、というか、おもしろい。スウェーデンの奥地、明るい陽光の下で繰り広げられるホラー。グロいところエロいところ、笑える(?)ところ等々。あのポン・ジュノ監督が<2020年代に注目すべき監督20人>(→コチラ)の中にこのアリ・アスター監督を選んでいるのもよくわかります。(他の監督も・・・ってヌルボが作品を観たのは20人中7人ですけど。)

▸1日(日)はみなとみらいのkino cinemaで「名もなき生涯」を鑑賞。米・独合作の反ナチス映画で、セリフもほとんどは英語ですが、「ジョジョ・ラビット」のような疑念を抱くことはありませんでした。ヒトラーへの忠誠を拒み、自らの信念を貫いて殉じた農夫の物語ですが、史実に基づいていること、他の村人たちによる彼への<村八分>をちゃんと描いていること、そして多くの人が彼のためor自分のため「単に形だけサインすればいい」等々説得をする場面などで観客自身が「自分ならどうするか?」を考えさせられるから。少し地味で、後半は長過ぎの感もありますが、良い作品だと思いました。

▸2月27日は横浜シネマリンで「〈片隅〉たちと生きる 監督・片渕須直の仕事」を観て、「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の監督が物語の生活史(道具等)や街の景物等の考証のほか、着物の柄についても何人ものスタッフを配して人物の動きに伴う変化を自然に見えるようにした等々の実に細かな点までこだわって制作したことがわかりました。料理でいえば、さまざまな隠し味を仕込んだということ。原作のこうの史代さんは登場しませんが、その原作自体すごく正確に描き込まれているのですね。それを片渕監督が自力で謎解きをしていく・・・。アニメに感じられる<奥行き>も、そんな背景があったのですね。

▸上記の「ミッドサマー」「名もなき人生」「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」は、いずれも一種の<非常時>を扱ったものです。(あ、戦争と祝祭は相通ずるところがあるので・・・。) その点で、現今の新型コロナウイルス騒ぎと共通する要素があります。数日前からスーパー等でトイレットペーパー等の商品がすっかり消えていることに気づきました。買い溜めとはねー、いかにもそんな<非常時>らしい現象。それにしても、73年のオイルショックの時のトイレットペーパー騒動の経験が教訓化されてないとはナサケナイねー。

▸6~15日<第15回大阪アジアン映画祭>公式サイト)。注目の韓国映画「はちどり」でさえ前売券発売日の数日後まで空席が残ってたりして「なんだかなー・・・」でしたが、まあちょっと離れてみればそんなものかもねー・・・。映画祭最終日15日の1回だけの上映で、私ヌルボ、その日は別にゼッタイの予定が入っていたのでチケットも買ってなかったのですが、コロナ騒ぎで当初の予定はその後取り消しになっちゃったのも「なんだかなー・・・」。しかし、ここにきてようやく一般劇場公開日が4月25日に決まったこともあって、かなり細かな紹介記事も出てきました。→コチラとか→コチラ等。まあ、そんな長く待つわけでもないので良しとするか。

         ★★★ NAVERの人気順位(3月3日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(2) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.61(147)
②(1) モンマルトルのパパ(韓国)  9.56(102)
③(-) 主戦場  9.52(1,370)
④(3) フォードvsフェラーリ  9.51(7,848)
⑤(新) 長雨(韓国)  9.51(78)
⑥(5) 2人のローマ教皇  9.35(573)
⑦(4) 映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!  9.35(196)
⑧(7) 劇場版 ミニ特攻隊: 恐竜王 ディノ(韓国)  9.21(163)
⑨(8) ジョジョ・ラビット  9.20(1,007)
⑩(9) 娘は戦場で生まれた  9.20(154)

 ⑤「長雨」が新登場です。北朝鮮への帰国船で北朝鮮に渡った在日朝鮮人の息子イ・ウンテクのドキュメンタリーです。彼は飢餓と人権弾圧に苦しめられる中、自由を求めて脱北して韓国に移り住みますが、その脱北の過程やこれまでの韓国定着の苦労、そして市民社会活動家に変身するまでの紆余曲折を盛り込んだ作品です。原題は「장마」です。しかし、こういう北朝鮮モノは進歩系メディアも大方の評論家も無視なんだよね。上映館も韓国内でソウル乙支路3街の明宝アートシネマ(명보 아트시네마)1館だけとは何なんだ? これはぜひ観てみたい! しばらく経ってまだ上映していたらぜひ行かなくては・・・。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(2) アイリッシュマン  9.11(9)
③(3) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(4) 小さな光(韓国)   8.67(3)
⑤(5) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑥(6) はちどり(韓国)  8.38(13)
⑦(7) ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語  8.00(10)
⑧(8) ペイン・アンド・グローリー  8.00(7)
⑨(9) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  7.90(10)
⑩(10) 1917 命をかけた伝令  7.67(9)

 順位・評点とも前週と同じです。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績2月28日(金)~3月1日(日) ★★★
           SFの古典「透明人間」の現代版が1位 日本では5月公開

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・透明人間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/26 ・・・・・・・・・107,410・・・・・・・153,514 ・・・・・・・・1,319 ・・・・・・・745
2(2)・・1917 命をかけた伝令・・・・・・・・・2/19 ・・・・・・・・・・75,034・・・・・・・431,903 ・・・・・・・・3,963 ・・・・・・・660
3(1)・・藁にもすがる獣たち(韓国)・・・・2/19 ・・・・・・・・・・58,711・・・・・・・507,441 ・・・・・・・・4,394 ・・・・・・・681
4(3)・・正直な候補(韓国)・・・・・・・・・・・・2/12 ・・・・・・・・・・36,419 ・・・・・1,439,036 ・・・・・・・12,118 ・・・・・・・557
5(4)・・ストーリー・オブ・マイライフ・・2/12・・・・・・・・・・29,030・・・・・・・774,921 ・・・・・・・・6,525 ・・・・・・・484
       わたしの若草物語
6(新)・・ザ・ジェントルメン ・・・・・・・・・2/26 ・・・・・・・・・・23,393・・・・・・・・49,425・・・・・・・・・・388 ・・・・・・・489
7(新)・・ハリー・ポッターと・・・・・2004/7/16 ・・・・・・・・・・15,639 ・・・・・1,805,682 ・・・・・・・11,199 ・・・・・・・・45
       アズカバンの囚人
8(9)・・ジョジョ・ラビット ・・・・・・・・・・2/05 ・・・・・・・・・・・3,233・・・・・・・105,060・・・・・・・・・・901 ・・・・・・・112
9(6)・・パラサイト 半地下の家族(韓国)・・2009/5/30 ・・・・2,789 ・・・・10,284,749 ・・・・・・・87,231 ・・・・・・・101
10(5)・・クローゼット(韓国)・・・・・・・・・2/05 ・・・・・・・・・・・2,623 ・・・・・1,265,778 ・・・・・・・10,926 ・・・・・・・144
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1・6・7位の3作品が新登場です。
 1位「透明人間」は、アメリカのホラー&スリラー。もちろんSFの代表的古典の1つH・G・ウェルズの「透明人間」(1897)が原作で、すでに1933年ジェイムズ・ホエール監督による同名の映画化作品が作られていますが、本作はそれを現代的にアレンジしたものです。原作の主人公は、もちろん自ら透明人間になった科学者ジャック・グリフィン博士ですが、本作品ではセシリア(エリザベス・モス)という女性。彼女にはエイドリアン(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)という富豪で天才科学者の恋人がいますが、彼は強迫観念に囚われていて、セシリアは彼の束縛に苦しめられています。ある夜セシリアが計画的に脱出を図ると、悲しみに暮れたエイドリアンは手首を切って自殺をし、莫大な財産の一部を彼女に残しますが、セシリアは彼の死に疑念を抱きます。その後不可解な出来事が続き、やがて彼女は見えない何かに脅かされ、徐々に正気を失っていきます・・・。え、エイドリアンのフルネームはエイドリアン・グリフィンなの? 韓国題は、ほぼ原題(The Invisible Man)の「인비저블맨」。日本公開は5月1日です。
 6位「ザ・ジェントルメン」は、アメリカの犯罪&アクション。ヨーロッパを掌握したその<業界>の絶対強者ミッキー・ピアソン(マシュー・マコノヒー)は、貧困家庭で生まれながらもオクスフォード大の学生時代以来築き上げたマリファナ帝国をかけて、アメリカの億万長者とのビッグディールを開始します。噂を聞いて訪ねてきた無法者ドライ・アイ(ヘンリー・ゴールディング)と、金の臭いを嗅いだ私立探偵フレッチャー(ヒュー・グラント)までゲームに割り込んできて、長い間守られてきた<業界>の秩序は徐々に崩れ始めます・・・。韓国題は「젠틀맨」。日本公開は未定? それとも年内かな?
 7位「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」は、もちろんおなじみのシリーズ中の1つ。日本でも同じ2004年に公開されています。韓国題は「해리포터와 아즈카반의 죄수」です。囚人は<罪囚(죄수)>というのがふつうなのか。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・長雨(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/27・・・・・・・・・1,464 ・・・・・・・・・・1,790 ・・・・・・・・・・11 ・・・・・・・・・・1
2(1)・・ネヴァー・ルック・アウェイ ・・・・・・2/20・・・・・・・・・1,383 ・・・・・・・・・・8,471 ・・・・・・・・・・64 ・・・・・・・・・41
3(2)・・燃え立つ若い女性の肖像 ・・・・・・・・1/16・・・・・・・・・1,156 ・・・・・・・・141,610・・・・・・・・1,188 ・・・・・・・・・38
4(8)・・Shine シャイン・・・・・・・・・・・・・1997/1/25・・・・・・・・・・・812・・・・・・・・・18,241 ・・・・・・・・・140 ・・・・・・・・・26
5(新)・・錯乱 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/27・・・・・・・・・・・186 ・・・・・・・・・・・538 ・・・・・・・・・・・4 ・・・・・・・・・17

 1・4・5位の3作品が新登場です。
 1位「長雨」については上述しました。
 4位「Shine シャイン」は、1995年製作のオーストラリア作品の再上映。日本でも韓国と同じ1997年に公開されました。韓国題は「샤인」です。これは観たゾ。オーストラリア&ピアノといえば、その少し前「ピアノ・レッスン」があったな。
 5位「錯乱」は、トルコ・フランス・カタール合作の犯罪&スリラー。<ヴェネチア映画祭2015>で審査員特別賞を受賞した作品です。韓国題は「더 테러리스트(ザ・テロリスト)」ですが、日本では2015年の<第28回東京国際映画祭>で「錯乱」のタイトルで上映されました。しかしその後一般劇場公開はありません。物語の舞台はテロ事件が多発するイスタンブール。警察の高官ハムザは20年以上服役していた囚人のカディルを牢獄から釈放させますが、それと引き換えにカディルはゴミ収拾の仕事とともに情報員としての任務を課せられ、テロに結びつく爆弾の部品をゴミの中から探すことを命じられます。そんな中で偶然弟のアフメットに再会しますが、野良犬を処分する仕事に就いているという弟はなぜか自分を避けているようで、カディルは不審なものを感じます・・・。
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