ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

=注目のSF= ミエヴィル「都市と都市」を読んで、南北朝鮮の分断を考える

2012-03-31 19:08:00 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 時には韓国・朝鮮と関係なく、おもしろそうなミステリーやSFを、いろんな書評や、「このミステリーがすごい!」、「SFが読みたい!」等を参考にアタリをつけて読んだりしています。

 しばらく積ん読になっていた「ねじまき少女」にそろそろ取りかかるかなと思った矢先、たまたま書店で目に入ったのがチャイナ・ミエヴィル都市と都市」(ハヤカワ文庫)でした。

 裏表紙にある内容紹介には、
 ふたつの都市国家<ベジェル>と<ウル・コーマ>は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく・・・・・・。ディック-カフカ的異世界を構築し、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞をはじめ、SF/ファンタジイ主要各賞を独占した驚愕の小説。
 ・・・とあり、帯にはカズオ・イシグロ氏が絶賛する話題作」とも。

 これはSFとミステリーの両方にまたがっていて一挙両得だし、とくに「カズオ・イシグロ氏が絶賛」なら読むに値する本だろう、ということで衝動買い。
 そして読み始めたところ、これはどうじゃ(←表現が古い)、韓国・朝鮮と関係ないどころか、大あり名古屋の金のしゃちほこ(←表現が古い)、いろいろと考えさせられてしまって、息抜き本にはなりませんでした。まあ、「思いがけない収穫」と言えないでもないですけど・・・。

 物語の舞台は、ヨーロッパの、およそバルカン半島あたり(?)に設定されている架空の都市国家<ベジェル>と<ウル・コーマ>。ただし時代はほぼ現代で、アメリカ、イギリス、カナダ等々はふつうに存在し、アメリカ人も登場します。
 この2つの都市国家は隣接していて、言語も異なるものの「先祖は共通」です。ただ、両国の分裂(?)の歴史は謎です。
 しかし社会体制は異なっていて、対立している・・・、というより「相容れない」といった方が適切かもしれません。
 何といってもこの両国が特異なことは、隣接しているといっても、かつての東西ベルリンのように壁が存在するわけでもなく、南北朝鮮間の軍事分界線のような明確な境界線が造られているわけでもありません。そして、完全に自国の領域である<完全(トータル)>な地区、相手側の領域の<異質(オルター)>の他に、道路等や鉄道等が重なりあって(隣接して?)いる<クロスハッチ>地区も存在します。

 またこの2国は全的に対立しているというわけではなく、境界線上(すき間?)にコピュラ・ホールという建物があって、そこで定期的なミーティングが開かれ、電線網や下水等の官吏、犯罪事件等についての協議が行われます。このコピュラ・ホールを通れば合法的に両国間を行き来することができます。(ただ、ウル・コーマからべジェルに入国すればウル・コーマが見えなくなり、ベジェルからウル・コーマに入国すればベジェルは見えなくなります。)

 本書の設定の奇妙さは、このようにモザイク状に組み合わさっている両国の領域が、壁が存在しないにもかかわらず、両国の国民は、たがいに相手の国が存在しないようにふるまっていること。また、そうした訓練を、ふたつの都市の住人は幼い頃からの鍛錬によって自然に身につけています。
 したがって、<クロスハッチ>地区の道路では、たとえば<ベジェル>のドライバーは<ウル・コーマ>の車や運転者を決して正視することなく、かつ事故を起こさないように意識と無意識のあわいで車を走らせるのです。

 このタブーが、故意あるいは偶然にでも破られた場合、それは<ブリーチ>行為とよばれ、絶対権力<ブリーチ>の要員がただちに現れ、排除されます。<ブリーチ>の実体はほとんど謎ですが、両国民にとって恐怖の対象です。

 この小説は、<ベジェル>で若い女性が死体で発見されたところから始まります。<ウル・コーマ>で考古学を専攻していたアメリカ人大学院生であることがわかり、ベジェルの警部補はウル・コーマに行き、そこの刑事とともに事件の捜索にあたることになるのですが・・・。

 愛国主義団体や、統一主義派といった政治的組織の動きが複雑にからんで、ラスト近くまで、警部補たちにももちろん読者にも真相はつかめないまま物語は進むのですが、ポイントとなるのはやはりこの2国間の不可思議な境界。

 この一風変わったSFを読むと、読者の多くは現実の、たとえば東西ベルリンや、旧ユーゴ(セルヴィア、モンテネグロ、クロアチア等)、あるいはパレスチナ等を思い浮かべるのではないでしょうか? そしてもちろん南北朝鮮も。

 大森望氏の解説によると、ミエヴェル自身は「本書が現実の政治状況のアレゴリー(寓意)として読まれることに強く異を唱えている」とのことです。
 しかし、しかし、アメリカ国務省あたりの政治学者が「「都市と都市」に出てくるような方法でエルサレムをパレスチナ側とイスラエル側に分割するプランを提案していたという」のは必ずしも荒唐無稽な説でもなさそうに思えます。
 対立する2国(や2民族)の宗教や文化、教育によって育まれた意識もしくは無意識が、分断・対立の状態を支える大きな力になっているのは明らかですから。

 大森望氏はこの作品を「早い話、「裸の王様」を国家レベルで(しかもリアルな警察小説として)やってのけるようなもの」と書いていますが、現実の国家・社会も「裸の王様」的な黙契の例はたくさんあるわけで、例えば戦前「天皇は人間だ!」と本当のことを叫んだらどうなったか? いや、今の北朝鮮でも同様ですね。また北朝鮮の人も肩書きや手続き等によって自然に国境を越える人もいれば<ブリーチ>のごとき国境警備員によって捕えられたり射殺されたりする・・・。(日本人でも、またどこの国の人間でもほぼ同様ですが・・・。)

 本書に、ベジェルを訪れる観光客たちは、事前に強制的なトレーニングを受けるということが記されています。
 思い起こせば、21年前に北朝鮮に行った時にも「北朝鮮と言わずに<共和国>とよぶ」とか「<韓国語>ではなく<朝鮮語>という」等々の注意を聞きました。板門店(コピュラ・ホール!)に行った時に案内員から聞いた説明・注意と、翌年韓国から板門店に行った時に聞いた説明・注意は非常によく似たものでした。韓国側から板門店ツアーに参加した観光客は、間近に立っている北朝鮮兵士は正視したりせず、いないかのごとくふるまうことを求められるはずです。手を振ったり、話しかけてはいけません。<YAHOO知恵袋>板門店ツアーで北朝鮮兵士と肩を組んで写真撮ることは可能ですか?というダイタンな質問があるのを見つけました。これに対し「下手すると、銃殺ですよ! あなたは社会体制の違いとか全く理解していなくてテレビの視聴者に都合の良い部分しか見ていないでしょう? 常識ある人なら、こんなことは聞きませんよ!」という「常識のある人」の回答がベストアンサーになっていました。
 このような、「王様は裸だ!」のような不都合な真実は決して叫ばないという常識によって守られている「秩序」(あるいは「抑圧」)は確実にあると思います。
 分断と対立が双方の権力維持に役立つのは当然です。しかしたとえば南北朝鮮の人々が本気で南北統一を願うのなら、なぜ大挙して軍事分界線(いわゆる38度線)に押し寄せ、境界をなくしてしまわないのでしょうか? 
 (なぜ朝鮮戦争の時、北朝鮮軍の突然の侵攻に対して南の人たちが戦ったのはなぜか? それ以前に、終戦直後にソ連が一方的に38度線を封鎖してしまったことになぜ強く抗することがなかったのか・・・? 関連の疑問が次々にわいてきます・・・。)

 本書のラスト近くで、1人の<ブリーチ>のメンバーはこのように語ります。
この二つの都市ほどうまく機能している場所はほかにない。両者を分け隔てているのはわれわれ(ブリーチ)ばかりではない。ベジェルの住人すべて、それにウル・コーマの住人すべてだ」。

 「現実の政治状況のアレゴリーとして読まれることに強く異を唱えている」と言われても、それはとてもムリ。

※この作品の結末は、<三軒茶屋 別館>というブログの「カタルシスに欠ける気がしないでもないです」という感想とまったく同感です。(私ヌルボ、このような設定の小説を読むと、長い間眠っていたアナーキーな心情がゾンビのごとく蘇ってきちゃったりして・・・(笑)。)

※このSF、(北朝鮮はダメだとしても)韓国の人たちにはぜひ読んでほしいものです。ミエヴィルはいくつか訳されているようですが、この作品はまだのようです。
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韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20(2012年3月19日~25日)

2012-03-28 19:21:49 | 韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20
 2ヵ月に1回の記事です。前回は→コチラ

 データの出所は韓国の視聴率調査機関TNmSのサイトです。

 今回第2位の「ギャグコンサート」(KBS2)は1999年から続いている代表的なお笑い番組。昨秋は、「カマキリ幼稚園」のコーナーに出ているギャグマンのチェ・ヒョジョンが国会議員に訴えられたことが話題になりましたが、この件は本ブログ「韓国芸能界 2011年の10大ニュースをみる」「大塚愛と死の哲学」を参照してください。
 この番組中のコーナーの1つに、3人のギャグマンによる「カムサハムニダ♪」というコーナーがあって、私ヌルボ、いつかこういうギャグを韓国人と同じタイミングで笑える日が来るのだろうか?と思いつつ見ているのですが、最近韓国の方が日本語字幕付きでこのコーナーをYouTubeにupしてくれているのを見つけました。今年元日放映の回を載せます。
 この中で語られているように、この「ギャグコンサート」は「2011年KBS芸能大賞」で<視聴者が選ぶ最高の番組賞>を受賞しました。そして左端のチョン・テホは35歳で新人賞を受賞。この時彼は4年間交際していた本番組の放送作家チョ・イェヒョンさんにプロポーズし、今月4日結婚式を挙げたとか。

   
  【自然に頭に残るリズム&メロディです。3月4日の記事で紹介した<新体操の妖精>ソン・ヨンジェ選手も映ってますよ~。】

 ところでこのチョン・テホ氏ですが、3月18日にこの「ギャグコンサート」中の「勇敢なやつら(용감한 녀석을)」コーナーで、次のような<勇敢な発言>をしています。
 「キム・テヒに「帰れ。来れば死ぬぞ」と言った海の彼方の君たちよく聞け。君たちが絶対持つことのできない宝物2つが私たちにはある。キム・テヒそして独島だ」。
 会場から熱い拍手を受けましたが、日本のいわゆる嫌韓サイトからは当然のように非難の声があがっています。あいかわらず、です。

【3月19日(月)~25日(日)】
①週末連続ドラマ「タナボタのあなた[넝쿨째 굴러온 당신]」(KBS2)  34.5%
 2月25日からスタートし、快調な視聴率です。ドラマ制作会社のPDの女性(キム・ナムジュ)は、嫁姑の問題を避けて、最初から考えた上で孤児の夫(ユ・ジュンサン)と結婚します。彼は幼い頃に養子としてアメリカに渡り、医学部を優秀な成績で卒業して韓国に戻ってきて病院の医師をしています。ところが、この夫婦がマンションを出ることになって、新しく移り住んだマンションの家主というのが・・・。と、この辺からよくある偶然がいろいろあって、物語はめまぐるしく展開。しかし、ここでも外国に行った養子(=入養児(입양아.イビャンア))の話が・・・。(参考記事は→コチラ。) 実母役がユン・ヨジョンなのかー。ごく最近観た「青い塩」にも出てたなあ。あと「ハウスメイド」等々たくさん。あ、キム・サンホも出てますね。この俳優の出演してる映画も一杯観たぞー。なお、このドラマのタイトルは「호박이 넝쿨째 굴러 들어오다(カボチャが蔓ごと転がり込む)」ということわざから。「棚からぼた餅」と同義です。「鴨ネギ」のような気もしますが・・・。
②日日連続劇「あなただけよ[당신뿐이야]」(KBS1)  24.2%
 前回から2つ上昇。
③ギャグコンサート[개그콘서트](KBS2)  20.0%
 ⑦位から再浮上。
④KBSニュース9(KBS1)  19.2%
⑤創社50周年特別企画<光と影>[빛과 그림자]」(MBC)  19.2%
 3年ぶりにアン•ジェウクがドラマに復帰。1960年代のショーの公演団に身を投じて、最高のショーマンに生まれ変わる金持ちの家の長男を演じています。ナム•サンミ、ソン•ダムビ、イ•ピルモ、チョン•グァンリョル等も出演。50周年特別企画とあって、60年代から現代までの韓国の現代史をたどったドラマということで、主な撮影場所となったのが順天のセット場。観光ポイントにもなっていますね。→関連ブログ記事。→写真いっぱいの韓国ブログ
⑥ハッピー・サンデー[해피선데이](KBS2)  18.2%
⑦日日ドラマ「私の娘コンニム[내딸꽃님이]」(SBS)  18.1%
 前回の⑪位から上昇。コンニム(꽃님)はその後幸せになってるかな?
⑧週末劇場「明日が来れば[내일이오면]」(SBS)  17.7%
 裕福な家庭で育った女性(ソウ)と平凡な家庭で育った男性(ハ・ソクチン)が、親に反対されながらも試練を乗り越えて愛を確認するヒューマンドラマ。
⑨日日朝の連続劇「太陽の新婦[태양의신부]」(SBS)  17.3%
 ⑲位から大幅up。
②水木ミニシリーズ「ザ・キング2HEARTS [더킹2HEARTS]」(MBC)  16.6%
 前回②位だった「太陽を抱いた月[해를 품은 달]」に比べると数字的にはかなり落ちています。
⑪週末特別企画ドラマ「神々の晩餐[신들의만찬]」(MBC)  16.2%
 絶対味覚を持った天才料理人(ソン・ユリ)と努力家の料理人(ソ・ヒョンジン)が韓国料理対決を通して夢と愛を伝える物語で、「現代の「チャングム」と評判をよんでいる」というのはネット上のまた聞き。これに超エリートの男性(チュ・サンウク)と世界的な料理人(イ・サンウ)が登場して、三角関係になって・・・。
⑫大河ドラマ「広開土大王[광개토태왕]」(KBS1)  15.9%
 前回の⑨位からまた落ちてしまいましたが、視聴率は少しアップ。
⑬日曜日がいい[일요일이 좋다](SBS)  15.7%
⑭瞬間捕捉 世の中にこんなことが[순간포착 세상에 이런 일이](SBS)  14.9%
⑮韓国人の食卓[한국인의밥상](KBS1)  13.9%
 先々週(3月15日)の釜山のフグ料理も興味深い内容でしたが、先週(3月22日)は韓国海苔の30%を生産するという莞島(완도.ワンド)。これはとくによかったですね。最初に「莞島」は「にっこり微笑む島(빙그레 웃을 섬)」という意味だと・・・。そういえば「莞爾として笑う」の「莞」でしたね。養殖ノリ(←日本人がかつて技術を伝えた、と最後の方で説明してました)の他に、岩海苔を採っているお年寄りもいます。ワカメ・コンブ・ヒジキ等の海藻を採っているようす、海女たちがアワビ、サザエ、ウニ等を採ったりしているようす等々も映されていました。また粟の粉を溶いて醤油・コチュジャン・ゴマを入れて混ぜて、板海苔に塗り、干しているようすも。昔はうるち粟(메조)ではなくもち粟(차조)を使っていたとか。米がない所なので粟を食べていたんですね。粟飯(서숙밥)を海苔に包んで食べたりしていました。その他、海苔のお好み焼きのキムジョン(김전)、海苔の和え物(김물회)、海苔の一杯入った澄まし汁(물김국)、クロダイ(감성돔)を生ワカメと一緒に煮るミヨククィ(미역귀)等が紹介されていました。うーむ、これだけで独立した記事になりそう。毎度ですが・・・。

   
 【昔は飢饉の時に食べたというケースバク(イヌスイカ)。スイカというより葛のようなもの? おろして小麦粉を入れてワカメにまぶしていたようです。】

⑯朝のドラマ「危険な女[위험한여자]」(MBC)  13.8%
⑰VJ特攻隊[VJ특공대](KBS2)  13.4%
⑱知りたい話Y[궁금한이야기Y](SBS)  13.3%
⑲視聴者コラム 私たちが暮らす世の中[시청자칼럼 우리 사는 세상](KBS1)  13.2%
⑳TV小説「ポッキ姉さん[복희누나]」(KBS2)  13.0%
 炭坑事故で父親を亡くした主人公ポッキは腹違いの弟ポンナム、そして炭鉱村酒場の酌婦をしているポンナムの母親と暮らしている。その義母はダラシがない。ポッキの実母は醸造場社長と再婚しているが、ポッキを忘れたことがない。・・・という設定か。60年代からスタートで、例によって子役の回が長かったようです。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[3月23日(金)~25日(日)]

2012-03-27 18:55:56 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 公開初日3月24日に「カエル少年失踪殺人事件」を観てきました。原題は「아이들(子どもたち)」ですが、事件自体は韓国で「개구리소년실종사건(カエル少年失踪事件)」とよばれてきたので、別に奇を衒ったものではないですね。むしろいいかも。肝心の内容ですが、観てよかった点は事件の概容がわかったこと。ただ、事実の部分とフィクションの部分の境い目がわかりにくいですけど。前半部分で大きな役割を果たすあの大学教授は実在のモデルがいて、昨2011年2月韓国での映画公開直後のインタビューで自身の誤りを認め、遺族に謝罪しています。物語の展開については、韓国のあるネチズンが「2種類のスリラーがおかしな形で同居している」と書いていましたが、私ヌルボも同感です。

 同じシネマート六本木で観た「ピアノマニア」は、調律師シュテファン・クニュップファー氏のドキュメンタリーで、音楽ファンとしてはとても刺激的でした。「丸い」音というのはなんとかわかるとして、「伸びのある」音、「広がりのある」音、「暗い(or温かい)」音とか聴き分けられるものなのか・・・。そんな注文をつけるエマールも、それに応えるクニュップファー氏も、なんという人たちか・・・。エマール以外にもブレンデルやランランのような大物ピアニストが登場する中で、イグデスマン&ジュー(Igudesman & Joo)というコメディスタイルのパーフォーマンスをするヴァイオリンとピアノの2人組を初めて見ました。そのピアノの方のジューが「1、2、3」のかけ声を「ハナ、トゥル、セ」と言ってたので、後で調べたら、イギリス生まれのイギリス育ちの韓国人のRichard Hyung-Ki Jooこと주형기(チュ・ヒョンギ)という人。両親とも韓国人で、夫人は日本人とのことです。2009年に来日しているんですね。相方のロシア人イグデスマンとの楽しいパフォーマンスがYouTubeにたくさんありました。1つだけ紹介します。わかりやすい韓国語で話しています。韓国公演の録画なんでしょうね、たぶん。

     
 【「ラフマニノフは大きな手を持っていた」が、韓国人チュ・ヒョンギ氏は手が小さいので一工夫・・・。】

 昨日(3月26日)の「ハンギョレ」に、光州民主化抗争のその後を描いたカンプルの漫画「26年」が市民の力を集めて映画化再挑戦、という記事が載っていました。この件については、本ブログの今年1月8日の記事を参照してください。

         ★★★ Daumの人気順位(3月27日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①かたつむりの星(韓国)  9.5(26)
②天使の息づかい(韓国)  9.5(22)
③オペラ座の怪人 25周年特別公演  9.4(107)
④最強のふたり  9.2(336)
⑤偕老(韓国)  8.9(30)
⑥ミンク・コート(韓国)  8.9(30)
⑦スタンリーのお弁当箱  8.9(121)
⑧ダンシング・クィーン(韓国)  8.9(1292)
⑨アーティスト  8.9(207)
⑩メアリー&マックス  8.6(51)

 ①、④、⑤が新登場。
 ①「かたつむりの星」は韓国のドキュメンタリー。このランク、ホントに韓国産ドキュメンタリーが多いです。この作品は、全盲で難聴という重複障害者の青年チュ・ヨンチャンさん日常と、妻のキム・スンホさんとの愛情を描いたもの。「カタツムリのように、ただ触覚だけでゆっくりと生きる」というのがタイトルの意味。スンホさんは脊椎傷害のため背丈は小さいが、ヨンチャンを外の世界へ導こうと手を差しのべる・・・。原題は「팽이의 별」です。
 ④「最強のふたり」は昨年の第24回東京国際映画祭で最高賞の東京サクラグランプリを受賞した実話に基づくフランス映画。パラグライダーの事故で首から下が完全に麻痺してしまった富豪と、介護役となった刑務所を釈放されたばかりの黒人青年との交流を描く。韓国題は「언터처블: 1%의 우정(アンタッチャブル 1%の友情)。上位1%の貴族男と下位1%の無一文の男の間の友情、という意味です。日本公開は今年9月とか。
 ⑤「偕老」は、40年以上を共に暮らしてきた夫婦の物語。ある日夫が心臓麻痺で倒れるが、幸い危機は乗り越える。しかし彼は、いつか自分が妻に先立つことになった時を考えて、妻のために小さなプレゼントを用意する・・・。・・・という老夫婦の愛を描いた作品ですが、はたして昨年の「あなたを愛しています」のように多くの高年齢層の心をとらえられるか? (あれは夫婦じゃないしなー。) 原題は「해로」、ケロでなくヘロになるんですね。しかし、今の若い韓国人&日本人、「偕老同穴」なんて言葉知ってるのかしら?

【専門家による順位】

①自転車に乗った少年  8.8(6)
②ニーチェの馬  8.5(2)
③2本の線(韓国)  8.0(1)
④アーティスト  7.8(6)
⑤ファミリー・ツリー  7.8(5)
⑥犯罪との戦争:悪いやつらの全盛時代(韓国)  7.3(6)
⑦ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)  7.3(3)
⑧ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ  7.1(6)
⑧建築学概論(韓国)   7.1(6)
⑩ヒューゴの不思議な発明  7.0(5)

 今週も新登場はありません。
 ⑧「建築学概論」は先週観客動員数の方で紹介済み。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月23日(金)~25日(日)] ★★★

         韓国のラブ・ロマンス「建築学概論」がトップに

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(8)・・建築学概論(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・565,329 ・・・・・・・・・・・716,990・・・・・・・・・5,402・・・・・・・593
2(新)・・最強のふたり ・・・・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・393,907 ・・・・・・・・・・・443,517・・・・・・・・・3,352・・・・・・・454
3(1)・・火車(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・324,708・・・・・・・・・・2,124,041 ・・・・・・・16,163・・・・・・・473
4(3)・・ジョン・カーター ・・・・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・82,574 ・・・・・・・・・・・803,853・・・・・・・・・6,971・・・・・・・258
5(2)・・クロニクル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/15 ・・・・・・・・・・・・・・63,519 ・・・・・・・・・・・359,404・・・・・・・・・2,782・・・・・・・288
6(7)・・Black&White ブラック&ホワイト・・2/29・・・・・・・・・・・・・・49,385 ・・・・・・・・・・・824,207・・・・・・・・・6,295・・・・・・・173
7(4)・・珈琲(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/15 ・・・・・・・・・・・・・・32,155・・・・・・・・・・・・253,782・・・・・・・・・1,855・・・・・・・256
8(新)・・コントラバンド ・・・・・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・30,455・・・・・・・・・・・・・37,369 ・・・・・・・・・・284・・・・・・・179
9(32)・・宇宙犬物語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・22,813 ・・・・・・・・・・・・23,355 ・・・・・・・・・・156・・・・・・・148
10(5)・・君への誓い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/14 ・・・・・・・・・・・・・・21,754 ・・・・・・・・・・・227,806・・・・・・・・・1,723・・・・・・・210
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1、2月と違ってこのところ大ヒット作らしい映画が登場していないですね。観客動員数も4位以下はとてもさびしい数字になっています。
新登場は2・8・9位の3作品です。
 2位「最強のふたり」は上述しました。
 8位「コントラバンド」はアイスランド映画「レイキャビク-ロッテルダム」(2008)をリメイクしたアクション・スリラー。ニューオーリンズで妻と息子とともに平凡に暮らしている男、実は過去腕利きの密輸屋だったのだが、今は決別した・・・はずだったのが、ある日、義理の弟がマフィアとのトラブルで襲われ、大怪我を負ってしまう。そこで彼は義理の弟を助けるため密輸業を再開し、かつての仕事仲間とパナマへ向かう・・・。足を洗っていた○○があるきっかけで再び・・・というパターンはた~くさんありすぎじゃないの? 韓国題は「콘트라밴드」。日本公開は未定です。
 9位はロシアの3Dアニメです。「宇宙犬物語」というのは仮題。韓国題は「스페이스 독(スペース・ドッグ)」。ガガーリンによる初の宇宙飛行以前に、宇宙に行って無事に帰ってきた世界で初めての動物となった宇宙犬ベルカとストレルカの飛行から50年を記念して2010年に作られた作品です。<日本出身モスクヴィチカの徒然>の2010年の記事や、<ろしあんあにめ>というブログにも詳細情報あり。約3分半の動画を含む。うーむ、これは観たくなってきたゾ。初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げが1957年10月4日。ライカ犬を載せたスプートニク2号はそのわずか1ヵ月後の11月3日に打ち上げられたのですね。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・語る建築家(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・2,922 ・・・・・・・・・・・・・15,776 ・・・・・・・・126・・・・・・・・・・14
2(22)・・かたつむりの星(韓国)・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・・2,837 ・・・・・・・・・・・・・・4,836 ・・・・・・・・・34・・・・・・・・・・32
3(3)・・アーティスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/16 ・・・・・・・・・・・・・・・1,391 ・・・・・・・・・・・・116,955・・・・・・・・・894 ・・・・・・・・・15
4(1)・・スタンリーのお弁当箱・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・1,201 ・・・・・・・・・・・・・43,759・・・・・・・・・294 ・・・・・・・・・11
5(新)・・偕老(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・・・・886 ・・・・・・・・・・・・・・1,659・・・・・・・・・・11・・・・・・・・・・24
                                      
 2位「かたつむりの星」と5位「偕老」が初登場。いずれも前述しました。
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韓国の習いごと1位=「学習誌」をめぐる状況[1]

2012-03-26 23:51:25 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
  ≪「学習誌」とは何か?≫

 2月6日付「朝鮮日報」に「小学生、勉強に酷使・・・休む時間1日に3時間、高校生と同じ」という記事がありました。「小学生は習い事がたくさんあって休む暇さえない」というのがその趣旨ですが、この記事中に「일주일에 한번은 학습지교사가 집으로 찾아오고」という部分がありました。「1週間に1回は학습지教師が家にやってきて」ということですが、この「학습지」が「学習紙」なのか「学習誌」なのか、またいずれにしろどういう意味なのか、私ヌルボ、よくわかりませんでした。

 まもなく日本語版に載ったこの記事の訳を見ると、「週に1度は学習誌の訪問教師が家に来る」となっていました。
 つまり「学習誌」というのは、学習誌の購入とセットで業者派遣の教師が定期的に家庭を訪問して、その学習誌を用いて子どもを指導する、というものなんですね。(教師の指導時間は1科目について約15分前後のようです。)

 その後この「学習誌」について調べてみて、韓国の幼児教育の場で非常に大きな比重を占めていることを知りました。
 たとえば、下の図。ベネッセ教育開発センターが2006年東京・ソウル・北京・上海の3~6歳の就学前の幼児をもつ保護者を対象として実施した「幼児の生活アンケート」の調査結果の一部です。 (参照サイトは→コチラ。<アジアの人気習いごと、韓国「学習誌」、中国「絵画教室」>という見出しがついています)

    
  【ソウルでは「学習誌」が半数以上と圧倒的。「英会話など」は東京の方が少し多いが、「学習誌」には英語も含まれている。】
※ベネッセ教育開発センターの他の調査結果も興味深いものがあります。(→コチラ。)

 さて、その「学習誌」についてもう少し詳しくみてみると・・・。

  ≪各社が競合する大教育市場≫

 代表的な学習誌会社としては、以下の各社があげられます。
 業界トップの<ヌンノッピ(눈높이)>という学習誌を運営している大教(대교.テギョ)、<シンクビッグ(씽크빅)>の熊津(웅진.ウンジン)、「48カ国・地域に教室を展開している」という、日本が本家の教元公文(キョウォンクモン. 교원구몬)は、1月30日のニュースによると、学習誌部門の価値評価1位だった<赤ペン(빨간펜.パルガンペン)>を発行。 ※2位はヌンノッピ、3位はシンクビッグ(씽크빅)となっています。
※日本では<赤ペン先生>といえば公文のライバルの進研ゼミの採点者のことですが・・・。そして<才能教育(재능교육.チェヌンキョユク)>のJEI
 以上がビッグ4とよばれる最大手4社です。
 ハンソル教育(ハンソルキョユク.한솔교육)はサムスン系の業社で、タイや北京・上海にも進出しています。(「ハンソル」は「大きな松」という意味。)
 その他、壮元教育(장원교육.チャンウォンキョユク)、<英才二倍に学習(영재두배로학습.ヨンジェトゥベロハクスプ)>の発行元の英教(영교.ヨンギョ)、UP教育(UP교육.ユピキョユク)等の業者があります。

   ≪多種多彩な内容 英語や漢字はもちろん、迷路・音楽(楽譜)・読書なども≫

 さて、その学習誌で何を教えるか、ということですが、共通しているものは、まずはハングル算数。ハングルも、レベルによって書き取り、作文、読み物等々いろいろあります。また英語も各社共通。単語のスペルがメインですが、絵とかカードとか、各社それぞれに工夫しています。英語以外にも、中国語日本語を含む学習誌もあります。その他、漢字もほとんどの学習誌で扱っています。世界の国とか、科学歴史もあります。
 およそ子どもが5~6歳の時に始めるのが一般的のようですが、もっと早くから(満3歳頃)始める子どももいて、そんな幼児用に、遊び感覚で学べる教具・教材を用意しているところもあります。上記各社のサイトを見ると、迷路や切抜き、紙工作等々、子どもの興味を引きそうなものがいろいろあります。

       
    【ウンジン発行の幼児向け歴史全集。個人的には読んでみたい気もしますが・・・。】

       
  【切り貼りして筆立てのようなものを作って、「~아리」の付く言葉を覚えようというのかな? どう使うのでしょう?】

    ≪親が教えるタイプも。増えるオンライン利用≫

 前述の各学習誌はいずれも各家庭を指導教師が訪問して教えるというものですが、それ以外に、毎週または毎月学習誌が配達され、各家庭で親が教える方式の学習誌会社もあります。
 このタイプの学習誌会社としては、<プルネット(푸르넷.プルネッ)>を刊行している金星出版社(금성출판사)や、<ソロモンシリーズ(솔로몬시리즈)>のノーベルとアリ(노벨과개미)などがあります。
 最近の目立った変化といえば、パソコン(とくにモバイル)を利用する学習誌が登場したことです。
 昨2011年3月の「スポーツ韓国」の記事「学習誌市場に変化の風」によると、2010年9月ウンジンが初めてオンラインとオフラインを結合させて自己学習を可能にした「シンクU数学」を開始。以後3ヵ月で4万9千人の会員を確保して好調なスタートを切り、以後他科目も開設しているとのことです。同じ大手のテギョもその後を追って同様のタイプを始めました。
 さらには、モバイルを利用したオンラインに限定した運営を進めている業者も出てきているそうです。
 私ヌルボが探してみたところでは、<エニースクール(애니스쿨)><セムトゥルアイ(샘틀아이)>がその例で、オンラインを利用して親が指導するという方式に特化した業者のようです。
※「セムトゥル(샘틀)」とはコンピューターの韓国語固有語だそうです。

    ≪みんな大変! 子どもも親も、業者も、そして・・・ ≫

 以上、長々と韓国の学習誌のあらましをみてきました。
 他国と比べて教育熱が非常に高く、私教育費の負担が大きい韓国ならではの状況がこの学習誌に如実に現われているようで、業者間の競争の激しさを読み取ることができます。
 親たち(韓国では「学父母(학부모.ハクプモ)」)も必死で、ポータルサイトのQ&A掲示板では「どの学習誌がいいか?」「何歳から始めるとよいか?」等の質問も多くみられ、またそれに対して多くの人が多様な回答を寄せています。
 そして何よりも、当の子どもたちこそ一番大変かもしれませんね、きっと。

 そしてさらに近年、また別にとても大変な思いをしている人たちがいて、それがニュースにまでなっているんですね。
 ・・・その人たちのことについては<続き>で書くことにします。
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イ・ヨンスク教授と、カミュ「異邦人」の読み方

2012-03-25 21:27:22 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 いつものことながら、何冊も併行して読んでいる本の中で、質・量ともに圧倒的な1冊がイ・ヨンスク『「国語」という思想――近代日本の言語認識』です。今年(2012年)、岩波現代文庫から刊行されたのを機に読み始め、3分の2くらいまで読み進みました。最初に岩波書店から刊行されたのが1996年。サントリー学芸賞も受賞した本ですが、これまでつい読みそびれてきたことを深く後悔しています。

 この本については、読了した後で書くこととして(書ければ、の話ですけど・・・)、とりあえずの感想の1つが、どんな偉大な学者や偉大な作家でも、時代と場所(国など)を超えることはできないのだなー、ということ。別の言い方をすれば、学者や作家、あるいは彼らによる研究や作品等も時間軸と空間軸に規定されている、ということです。

 たとえば、21世紀に入った現代日本であれば、別にあのベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」(1983)を読んでいなくても、多くの人々が自分の属する「国」や「民族」が近代という時代の産物にすぎないことを認知しているでしょう。しかし100年前の明治末だと、イッパシのの学者・知識人でも、「国民国家」を客体化して捉えることができた人はいなかったんですね。ま、当然のことではありますが・・・。
 さらにその100年前に遡ると本居宣長がいて、「国民国家」だのナショナリズムだのという時代以前に「やまとごころ」を熱く追求したのは、むしろその点にこそ時代を先取りした大学者たる由縁があるというものでしょう。

 「時間軸に規定される」といえば、イ・ヨンスク先生のこの『「国語」という思想――近代日本の言語認識』が1990年代という時代に書かれた、ということ自体も「時間軸に規定」されているといえるでしょう。そしてもうひとつ、この本は韓国人の学者だからこそ書けた、つまり「空間軸に規定されている」という部分も大きいのでは、とも思いました。

 さてイ・ヨンスク先生、もう少し読みやすそうな本を書いてないかなと探すと異邦の記憶」(晶文社.2007)という本が横浜市立図書館にあったのでさっそく読んでみました。

 雑誌や新聞等に掲載された小文を集めたこの本の中で、とくに注目したのが「小説TRIPPER」1997年10月秋季号掲載のアジアの植民地から読むアルベール・カミュという一文。

 そこに、「自称文学少女だった」高校生のころ読んで以来、久しぶりに読み返したカミュの『異邦人』についての省察が記されています。
 要点は、次のようなものです。

 ところが、今あらたにカミュの『異邦人』を読み返してみると、これまで思いもかけなかったカミュの世界が肉薄してきた。そのなかで一番大きな発見は、『異邦人』はまぎれもない「植民地文学」であるということだった。

 ・・・以下、新潮文庫版『異邦人』の白井浩司の解説により、カミュが19世紀半ばにアルジェリアに入植した曾祖父の血を引く貧しい労働者階級の植民地4世であること、そして「アルジェリアのフランス人」であることにアイデンティティをおきながらも、「故郷」はあくまでもアルジェリアであり、アルジェリア人であることに誇りと愛着をいだいていたようである等々のことが記されています。

 その上で、『異邦人』の中でムルソーに殺されたアラブ人も含め、すべてのアラブ人が名前も明らかにされない非人格的な集団であること、そればかりか「太陽、砂浜、岩石、光、風といったアルジェリアの風景のなかに溶けこむ自然物と化してしま」い、そして「かれら無名の集団は、これらアルジェリアの風景と同様に、ムルソーをしだいに追いつめる強迫観念となる」ことが指摘されています。

 さらに続けて、次のように考察しています。

 この描写でもわかるように、ムルソーを絶体絶命の状態においやったのはけっして個人としてのアラブ人の殺意ではない。むしろ、太陽と砂浜にとけあった無名の集団としてのアラブ人の幻影におびやかされたというべきだろう。そして、殺されたアラブ人の名前がなんというかは、取り調べや裁判のなかでもけっして明らかにされない。まるで殺されたのは無名の物体かなにかのように。 
 まるで、いくらふりきっても執拗に追いかけてくる幽霊のように、アラブ人たちはムルソーにつきまとう。これは、植民地における支配民族が被支配民族に対して感じる恐れの表現ではないだろうか。


 ・・・実は私ヌルボ、40年以上も前、サルトルがあーだ、カミュがこーだ、実存主義がどーだといってた頃に読んで、ご多分に漏れずいたくカンドーした口でして、そして今回イ・ヨンスク先生のこの一文を読んだのが40年の年月を超えての目ウロコ体験だったというわけです。これが書かれてからも15年も経ってしまっているんですねー・・・。時代に遅れているなー。

 ネット検索してみると、jchzさんという方も、ご自身のブログで「『異邦人』の舞台がなぜアルジェリアなのか、なぜそこにフランス人の主人公がいるのか、彼はアラビア人(アラブ人)の集団をなぜ恐れるのか(植民地における支配民族が、被支配民族の怨念に対して感じる恐れではないか)など、分かるわけもなかった」と書いていらっしゃいます。(2007年ですが。)

 ところで、「異邦人」については、かのエドワード・サイードが、ポストコロニアル批評の立場から、このような画期的な視点の転換的読み方を早くから提示している、ということです。

 これに関して、上智大の水林章教授は「サイードとともに読む『異邦人』」(『みすず』2005年6月)と題した論稿をご自身のサイトに掲載しています。(イ・ヨンスク先生の上記の「卓抜なエッセイ」も紹介されています。)

 ここで紹介されているサイード『文化と帝国主義』(1998)の中で、なるほど、と思った部分を孫引きします。

 カミュの小説の細部から、かつてはカミュの小説とは無縁だと思われたものを見いだすことができる、と。無縁だと思われたものとは、1830年に開始され、その後、カミュの生きていた時代ならびにカミュのテクストの構成そのものにまで流れこんだ、きわだってフランス的な帝国主義支配の現実なのである。 
 これは失われたものを取り戻す解釈ではあるが、復讐を意図してはいない。ましてや、わたしは事後的にカミュを非難しようというわけではない。・・・・わたしがおこないたいのは、フランスが体系的に構築したアルジェリアの政治地理 — 完成するのに何世代にわたる年月を要したのだが — のなかの一要素として、カミュの小説をたちあがらせることだ。


 次に、この「サイードとともに読む『異邦人』」を読んだ方のブログ<読書な日々>の記事も私ヌルボ、興味深く、かつ共感を持って読みました。たとえば、次の一節。

 実存主義や構造主義の嵐のふきあれる時代に、とてもサイードのように、被支配者の側から植民地問題を見る視点でもって、カミュの作品を批判的に読むということはできなかった。
 カミュの『異邦人』や『ペスト』などの作品がアルジェリアの乾いた風土にその舞台を置いているということも、それはムルソーのような無関心を生み出す風土として位置づけるだけで、そこに住む人々にとっては支配者の言説でしかないということには、まったく意識が向かなかった。
 それにしても、私の妻の母親は中国のチンタオ(青島)で20歳まですごし、終戦直前に日本に帰ってきた引き上げ組なのだが、中国に20年も暮らしていながら、まったく中国語がしゃべれないという事態に、いささか不思議な思いをしたことがあるが、それがいったいどういう意味をもっているのか結婚したての頃は分からなかった。しかし今となっては、それが支配者の人間として、けっして現地の中国人と接していたわけでもないにも関わらず、中国語は被支配者の言語として、習得する必要性をまったく認めなかったのだということが分かっている。これが植民地支配者ということなのだろう。


 ・・・この記事の後半、「20年も暮らしていながら、まったく中国語がしゃべれない」ということについて。ヌルボも日本統治下の朝鮮で生まれ育った、あるいは長年暮らした日本人の多くが朝鮮語がほとんど話せないことについて、同様の疑問を持ったことがありました。
 その後、それがむしろ支配民族の「自然なありよう」であることに思い至りましたが、まさに上述の植民地アルジェリアでのフランス人の姿に重なります。

 ところで、ヌルボがふと思ったことは、90年代後半にイ・ヨンスク先生がこのような『異邦人』の読み方することができたのはなぜなのか、ということです。
 ①韓国人だから、か?
※サイードの思想形成には、「キリスト教徒のパレスチナ人としてエルサレムに生まれた」ことが大きく作用していると考えられます。
 ②日本にやってきた韓国人だから、か?
 ③韓国人とは関係なく、ご自身の資質によるもの、か?
 ④以前からサイード等を読んできたから、か?
 ・・・どの要素が大きく作用しているのでしょうか?

 ①に関連して、過去「被支配民族」だった韓国人は、この小説を読むにあたって、日本人よりも「アラブ人の無名性」に気づきやすいのかな? ということも考えて、少しばかり韓国の書店サイトでこの小説の読者レビューを読んでみましたが、全然そんなことはなさそうです。(少しなので断定はできませんが。)

 しかし、90年代後半に、日本に来ている韓国人の学者が、このような読み方をした、ということは、そのまま時間軸的にも空間軸的にもジグゾーパズルの1ピースのようにぴったりとあてはまっているように思われます。

サイード著「オリエンタリズム」に対するアマゾンの読者レビューの中に、「例えば「韓流」ブームの裏にこの感情がないかどうかは批判的に検討されるべきだろう」という少し気になる記述がありました。
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一昨日発売のマッコリキャンディーとか、(5年後?発売の)ロッテビールとか・・・・

2012-03-22 21:28:51 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 2月27日の記事で2月7日にロッテが発売したマッコリチョコレートを紹介しました。

 しかし、その後あまり見ないうちにほとんど見なくなってしまいました。(←ちょっと日本語ヘン?)
 やっぱり(!)あまりウケがよくなかったのかな、と思っていたところ、一昨日(20日)同じくロッテが今度はマッコリキャンディーを発売!
 ・・・というニュースを何かで見ていたのを、今日ファミマに「週刊文春」買いに行ったに思い出して探したらありました。
 ・・・というわけで、さっそく買って食べてみると、マッコリチョコ同様それなりにマッコリ風味。軟らかくて、甘い。甘酒キャンディーと銘うっても通用するかも・・・。

    
     【商品名のロゴやかめ入りのマッコリの図柄はソウルマッコリやマッコリチョコと共通。】

 ロッテの宣伝文によると、「ターゲットは、20~50代女性を想定」だそうですが、どうでしょうかねー?

 ロッテといえば、3月10日付「朝鮮日報」「ロッテもビールに進出・・・ハイト、OBと<三国時代>に」という記事(韓国語)がありました。ほぼ同内容の「東洋経済日報」の記事(日本語)は→コチラです。
 ロッテの<念願>だったそうで、これによってこれまでの「飲料水から炭酸飲料、果汁飲料、茶飲料、焼酒、ウイスキー」に加えて「飲料から酒類に至るフルラインアップ体制を整えたことになる」とのことです。
そして韓国ビール業界は「OB麦酒、ハイト眞露とのし烈な三つ巴戦が予想される」とありますが、本格的な生産は2017年からとのことなので、まだ少し先ですね。
 現在のシェアは2011年11月現在でOB麦酒48・22%、ハイト眞露47・78%、輸入ビール4%だそうですが、ロッテ参入で今後(といっても5年後以降)どうなるのかな?

※韓国ビール関係の話題では、今日の「朝鮮日報」(日本語版)キム・ヨナ、ビールのCMに初挑戦」というニュースが・・・。彼女がハイトビールのCMに起用されたという内容です。念のため年齢を確認すると、もう満21歳なんですね。韓国では満19歳から飲酒OK(正確には数え年20歳のようですが)なので、当然ダイジョーブです。(そりゃそーだ・・・。インドではダメみたいですけど。)
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[3月16日(金)~18日(日)]

2012-03-20 21:47:04 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 横須賀TOHOで観た「戦火の馬」も、上大岡TOHOで観た「シャレード」も、客がずいぶん入ってましたねー。「シャレード」は80人くらいでは? 私ヌルボにとっては、めったにないことです。

 で今日は桜木町の横浜ブルク13で青い塩を観てきました。ヤクザ関係となると、やっぱり釜山なんですかねー。「哀しき獣」とはずいぶん趣きは違いますが・・・。コチラの方がリラックスして観ることができます。冷たい飲み物を飲んだため、ラストあたりはスクリーン上のソン・ガンホの運命と同様私ヌルボのボウコウも切迫感を増して個人的にはリラックスどころじゃなかったですが・・・(笑&油汗)。
 ストーリーと関係のなさそうなことを少しメモ代わりに書くと・・・、
①塩田とか、日本料理店もつ鍋のやまやとか、少し折れ曲がったビルとか、ロケ地関係が気になる人は
<ばつ丸の「ロケ地を旅する」>を見ればわかります!
②セビン(シン・セギョン)がドゥホン(ソン・ガンホ)に訊ねます。「世の中に3つ重要な금(クム)があります。黄金(황금)、塩(소금)、そして後1つは・・・」と、ここで途切れるのですが、ヌルボも頭の中で考えてみました。正解が気になる人は、検索して調べるか、この映画を観てください。ある韓国の会社員のTwitterによると、職場でこの問を発したら「현금을 지금 입금해 주는 것이다!」という秀逸な答えが返ってきた、とのことです。③魚介料理の店(←撮影後撤去)で、セビンが「サザエが少ないわよ」と言ったら、店のおばあさんが潜水服姿で前の海に向かった(!)というのは、何というアソビ心!(笑)
 初めて「サニー」の予告編を観ました。いじめ問題との関係で「<サニー>はイルチン会ではないのか?」という「プレシアン」の記事を思い出しましたが、観てみないことにはわかりません。「イルチン会」については、本ブログ3月7日の記事参照。

         ★★★ Daumの人気順位(3月20日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①天使の息づかい(韓国)  9.5(22)
②オペラ座の怪人 25周年特別公演  9.4(103)
③猫おどり(韓国)  9.1(87)
④ミンク・コート(韓国)  8.9(30)
⑤スタンリーのお弁当箱  8.9(114)
⑥アーティスト  8.9(203)
⑦ダンシング・クィーン(韓国)  8.9(1286)
⑧自転車に乗った少年  8.7(38)
⑨マリリン 7日間の恋  8.7(44)
⑩メアリー&マックス  8.6(50)

 新登場は⑨「マリリン 7日間の恋」だけ。日本では3月24日公開で、すでに映画関係サイトでは内容紹介も出ているので、ここでは省略します。韓国題は「마릴린 먼로와 함께한 일주일」。

【専門家による順位】

①自転車に乗った少年  8.8(6)
②ニーチェの馬  8.5(2)
③2本の線(韓国)  8.0(1)
④アーティスト  7.8(6)
④奇跡(日本)  7.8(6)
⑥ファミリー・ツリー  7.8(5)
⑦犯罪との戦争:悪いやつらの全盛時代(韓国)  7.3(6)
⑧ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)  7.3(3)
⑨ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ  7.1(6)
⑩ヒューゴの不思議な発明  7.0(5)

 今週も新登場はありません。
 ⑨、⑩はこのランク初登場ですが、観客動員数の方で既出。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月16日(金)~18日(日)] ★★★

         「火車」が2週連続トップ

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(18)・・火車(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・561,669 ・・・・・・・・・1,567,555・・・・・・・・11,983・・・・・・・522
2(新)・・クロニクル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/15 ・・・・・・・・・・・・・205,509 ・・・・・・・・・・・241,374・・・・・・・・・1,825・・・・・・・324
3(2)・・ジョン・カーター ・・・・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・179,655 ・・・・・・・・・・・679,831・・・・・・・・・6,001・・・・・・・355
4(26)・・珈琲(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/15 ・・・・・・・・・・・・・139,717 ・・・・・・・・・・・170,226・・・・・・・・・1,265・・・・・・・339
5(新)・・君への誓い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/14 ・・・・・・・・・・・・・110,309 ・・・・・・・・・・・165,229・・・・・・・・・1,258・・・・・・・314
6(3)・・ラブフィクション(韓国) ・・・・・・・・・・・2/29 ・・・・・・・・・・・・・・89,757・・・・・・・・・・1,653,951・・・・・・・・12,674・・・・・・・309
7(4)・・Black&White ブラック&ホワイト・・2/29 ・・・・・・・・・・・・・・81,916 ・・・・・・・・・・・730,013・・・・・・・・・5,573・・・・・・・231
8(新)・・建築学概論(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・65,013 ・・・・・・・・・・・・80,953・・・・・・・・・・・613・・・・・・・282
9(3)犯罪との戦争 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/02 ・・・・・・・・・・・・・・35,874・・・・・・・・・・4,646,419・・・・・・・・35,991・・・・・・・210
         悪いやつらの全盛時代(韓国)
10(新)・・ハングリー・ラビット・・・・・・・・・・・・3/15 ・・・・・・・・・・・・・・24,405・・・・・・・・・・・・・29,302・・・・・・・・・・・220・・・・・・・142
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 2・4・5・8・10位と、半分が新登場です。
 2位「クロニクル」は英米合作のSFスリラー。森の奥で謎の物体に触れて超能力(空を飛ぶとか)を身につけた3人の高校生が面白半分に能力を使っていくうちにえらい事態になってしまうが、それを自分たちが撮影したビデオ映像を通して描くという映画、なのかな。あの大友克洋の「AKIRA」のパクリとの説も出ているとか・・・。韓国題は「크로니클」。日本公開は未定です。
 4位「珈琲」の原題は「가비(カビ)」。「珈琲」の韓国語読みです。日清戦争後の1896~97年、日本の支配が強まる中で、国王・高宗が宮女用のかごに乗り、ロシア公使館に移って政治を行った<俄館播遷>を背景に、コーヒーと高宗を囲んだ陰謀と秘密を描く。チュ・ジンモとキム・ソヨンがロシアから金塊とコーヒーを盗んで朝鮮に来たロシア人を演じる。<OKWave>のサイト内に
に、この映画に悪役として出演している元Jリーガーの吉村謙一さんのインタビュー記事がありました。演技以外にも、日本語の台詞の翻訳や、日本語台詞指導等々もやっているとか・・・。「(キム・ソヨン演じる)ターニャは朝鮮最初のバリスタになった」と公式サイトのあらすじ中にありましたが、「バリスタ」という言葉、韓国でもふつうに用いられるようになってきてるのかな?
 5位「君への誓い」は、実話をもとにしたアメリカ映画。幸せな新婚カップルが、自動車事故で妻が記憶を失ってしまうという突然の悲劇に・・・。しかし、夫が愛する妻のために献身的に尽くす。韓国題は「서약(誓約)」。日本公開は6月1日。
 8位、「建築学概論」は、建築家(オム・テウン)のところに家を建ててほしいと訪ねてきた女性は、15年前の学生の頃一目惚れした、当時音大生だった彼女(ハン・ガイン)。2人で家を完成させていく間に、過去の記憶を思い浮かべながら新しい感情を築いていく・・・。過去の2人を演じるのはイ・ジェフンとmiss Aのスジです。原題は「건축학개론」。
 10位「ハングリー・ラビット」は、ニコラス・ケイジ主演のサスペンス・アクション。無実の男が見えない敵に立ち向かう・・・。日本公開は6月16日。韓国題は「저스티스(ジャスティス)」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(3)・・スタンリーのお弁当箱・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・4,864 ・・・・・・・・・・・・・41,355・・・・・・・・・278・・・・・・・・・44
2(3)・・語る建築家(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・3,513 ・・・・・・・・・・・・・・9,938 ・・・・・・・・・・81・・・・・・・・・21
3(2)・・アーティスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/16 ・・・・・・・・・・・・・・・2,974・・・・・・・・・・・・113,860・・・・・・・・・870 ・・・・・・・・・29
4(新)・・慕情 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/14 ・・・・・・・・・・・・・・・2,181 ・・・・・・・・・・・・・・4,600 ・・・・・・・・・・9・・・・・・・・・・・1
5(4)・・ロマンス・ジョー(韓国) ・・・・・・・・・・3/08・・・・・・・・・・・・・・・・・702 ・・・・・・・・・・・・・・2,270 ・・・・・・・・・17・・・・・・・・・・17
                                      
 初登場は4位の「慕情」だけ。もちろんあの「Love Is a Many-Splendored Thing」(1955)の再上映です。韓国では1972年公開だったんですね。韓国題は日本題にならって「모정」。よくいわれることですが、昔の配給会社が洋画につけた日本題は味がありましたね。
コメント (3)
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ソウル大学校の高校別合格者数 = 今年も特目高(科学高&外国語高)・自私高が多数

2012-03-19 22:03:34 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 韓国の新学期は日本よりなぜかひと月早く3月から。初等学校から大学校まで、新入生は浮き浮き気分の毎日、かな?

 ソウル大の入学式も3月2日(金)同大総合体育館で開かれ、学部3290人、大学院3812人の新入生を迎えました。
 本ブログでは、2009年10月17日の記事「韓国の進学成績最上位高校の現況」という記事で主にソウル大多数合格者出身高校について記しました。
 その時点で概観した結果は、「特目高・自私高が目立つ」というものでした。特目高(특목고とは、本来的には外国語・理科系・芸術系等の特定分野に重点を置いた高校で、自私高(자사고)(自立型私立高校の略)とは、政府の支援金を受けず、独自の財政・独自の教育課程で運営している私立学校です。

 その後、何らかの変化があったかどうか、2012年度の入試結果が報道されているので、見てみました。

 2012年度のソウル大合格者の出身高校ベスト20は以下の通りです。
 高校の種類を色分けしました。
   ピンク=科学英才学校
   橙=特目高(科学高)
   青=特目高(外国語高)
   緑=自私高
   茶=一般高
   紫=卒業生は一般高だがその後自私高に移行
  ※( )内の数字は2011年度。

①ソウル科学高93(37)
②大元外国語高75(70)
③龍仁外国語高57(44)
④漢城科学高50(46)
⑤象山高47(31)
⑥公州韓一高39(20)
⑦世宗科学高38(49)
⑧民族史観高校36(34)
⑨明徳外国語高35(34)
⑩韓英外国語学校34(27)
⑪韓国科学英才学校33(41)
⑫安山東山高32(33)
⑬高陽外国語高31(28)
⑭浦項製鉄高29(30)
⑮大一外国語高26(36)
⑮現代青雲高26(14)
⑰安養外国語高24(22)
⑰徽文高24(17)
⑲大邱大倫高21(22)
⑳中東高21(20)
※20人以上が合格したソウル芸術高、国楽高、仙和芸術高の3校は除外されています

 この結果に対して、各新聞が分析記事を載せています。
 その内容を見ると、ほとんどが「今年も特目高(科学高&外国語高)と自私高が多かった」というもの。
 一部、「外国語高が減って普通高が増えた」との分析もありますが、前の記事にも記した通り<高校平準化>、つまり日本でいえば総合選抜制の導入で沈下していった伝統校が復活してきたというわけではありません。(地方の「一般高」で高い実績を出している高校は、ほとんどが「非平準化高校」で、広くレベルの高い生徒を集めている高校です。※第12位の安山東山高も京畿道の「非平準化高校」。)

 また、大学入試関係の分析で注目したのは、「「ソウル江南の修能上位圏減少」はなぜ? ・・・「推薦入試拡大で「江南集中」減少緩和」という「コリア・ヘラルド」の記事
 レベルの高い江南エリアの「受験名門高校」をめざして、あの手この手で学区外からの進学を試みたり、進学後も各教科ごとに家庭教師をつけたり塾(韓国では学院(학원))に通わせたり、という江南の受験状況は、ドラマ「江南ママの教育戦争」でも(多少戯画的に)描かれていました。
 ところが近年は修能(修学能力試験←日本のセンター試験に相当)を経ない推薦入試の拡大でようすが変わってきたということです。
※推薦入試を、韓国では<随時(수시.スシ)>といいます。
 つまり、レベルの高い生徒が多い江南の高校に行くと、内申書で上位の成績を取るのは容易ではないので、以前のように越境してまで江南の高校をめざす生徒が減った、ということで、それが「ソウル江南の修能上位圏減少」の要因だ、との分析です。

 前述の高校平準化(総合選抜制)といい推薦入試の拡大といい、この分野でも韓国は日本の後を追い続けているようですね。そのうち大学生のレベル低下が取り沙汰されるようになるでしょう、きっと・・・。

⑧民族史観高校のユニークさについては、2009年10月17日の記事で少し記しました。
⑰安養外国語高は花巻南高校と交流していることが「岩手日日新聞」の記事にありました。「百人一首に取り組んでいるという訪問団生徒が日本の生徒顔負けのスピードで札を取ると、花南生から驚きの声も上がっていた」・・・ということだそうです。

[2014年5月8日の追記] 2014年度のソウル大合格者の出身高校に関する記事は→コチラです。
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[韓国の観光地]テーマ別ベスト10 ⑤祭り・写真撮影によい花の名所・テーマパーク

2012-03-18 20:14:11 | 韓国の街ネタ、観光ポイント、店・施設等
[韓国の観光地]テーマ別ベスト10 ①山・島・散策コース  
[韓国の観光地]テーマ別ベスト10 ②寺・湖・樹木園&休養林
[韓国の観光地]テーマ別ベスト10 ③滝&渓谷・民俗村&遺跡地・日の出&日没の名所
[韓国の観光地]テーマ別ベスト10 ④海水浴場・映画・ドラマ撮影地・洞窟の続きです。

 今回が(たぶん)最終回です。

≪祭り(축제)≫
華川ヤマメ祭り(ファチョンサンチョノチュクチェ.화천산천어축제) [江原道華川郡] 2012年は1月7日(土)~29日(日)。ヤマメの氷釣りにつかみどり等。江原道に100万人が訪れるとか。札幌の雪祭り、中国のハルビン氷祭りと並んで「冬のアジア3大祭りのひとつ」なんだって。知らんかったなー(笑)。
鎮海軍港祭(チネグナンジェ.진해군항제) [慶尚南道昌原市鎮海区] 2012年は4月1日(日)~10日(火)。約34万本という圧倒的な本数の桜! リンク先の<コネスト>の記事中に「60年代に入り鎮海に多かった桜の品種、王桜の原産地が済州道であることが判明」とありますが、この件については、本ブログの関連記事<鎮海・ヨイド・慶州など- 韓国でも桜の季節だが、複雑な事情も・・・>をぜひご参照ください。
大関嶺雪花祭(テグァルリョンヌンコッチュクチェ.대관령눈꽃축제) [江原道平昌郡] 2012年は1月13日(金)~21日(土)。
保寧マッドフェスティバル(ポリョンモドゥチュクチェ.보령머드축제) [忠清南道保寧市] 大川(テチョン)海水浴場で7月第3週の土~日曜の9日間に開かれているようです。マッド(mud)は英語で泥のこと。つまり、泥んこ遊びの大規模なもの、かな? 体中に泥を塗って滑る泥んこ滑りとか、美容にも良い泥風呂とか、マッド化粧品の販売等々もあって、とくに「外国人観光客が最も多く訪れる祭りとして文化体育観光部の認定を受けた」そうですが、いかがですか? 尻込みする人は見物だけして海水浴を楽しめばいいんですけどね。
求礼(クレ)サンシュユ祭り(クレサンスユチュクチェ.구례산수유축제)  [全羅南道求礼郡]  2012年は3月23日(金)~25日(日)開催。山茱萸(サンシュユ)はヤマグミともいい、早春まだ芽吹いていない枝にいっぱい黄色い花が咲きます。漢方薬にもなり、求礼は韓国で山茱萸の生産量の70%以上を占めているそうです。
務安白蓮大祝祭(ムアンペンニョンデチュクチェ.무안백련대축제) [全羅南道務安郡] 例年8月に開催。深さ1mほどの貯水池を4人乗りのボートを漕いで、蓮の花の間をかきわけながら鑑賞する体験コースがあります。
光陽梅祭り(クァンヤンメファチュクチェ.광양매화축제) [全羅南道光陽市] 2012年は3月17日(土)~25日(日)。 
※求礼サンシュユ祭りと一緒に周ろうという人は→コチラ
※本ブログ2010年2月26日の記事「日本と韓国の梅の話(1)梅干しのことなど」に、ヨン様が光陽市の<青梅農園(청매실농원)>を訪ねたこと等々を書きました。ご参照ください。
高城(コソン)スケトウダラ祭り(コソンミョンテチュクチェ.고성명태축제) [江原道 高城郡]
咸平(ハムピョン)菊香大展(ハムピョンクキャンテジョン.함평국향대전) [全羅南道咸平郡] 2004年に始まり、以後毎年10月末から11月中旬まで開催。咸平と福島・二本松の菊祭りとは2009年から交流を深めているそうです。
民屯山ススキ祭り(ミンドゥンサンオクセチュクチェ.민둥산 억새축제) [江原道旌善郡] 9月末~10月。ススキ原のみごとな写真は→コチラ。すすきの後はアザミ葉ご飯(コンドゥレパプ.곤드레밥」がおすすめ! →コチラのブログ参照。

≪写真撮影に良い花の名所(사진찍기 좋은 꽃여행지)≫
荏子島(イムジャド)チューリップ公園(イムジャドテュルリプコンウォン.임자도 튤립공원) [全羅南道新安郡]
通度寺(トンドサ)瑞雲庵のケマンソウ(서운암 금낭화) [慶尚南道梁山市]
永平寺(ヨンピョンサ)の九節草(岩菊)(ヨンピョンサクジョルチョ.영평사 구절초) [忠清南道公州市]
クワウ村のひまわり(クワウマウル ヘバラギ구와우마을 해바라기) [江原道太白市]
禅雲寺(ソヌンサ)の彼岸花(ソヌンサコンムルッ.선운사 꽃무릇) [全羅北道高敞郡] ※仙雲寺という漢字表記も若干あります。
蓬坪(ポンピョン)蕎麦の花祭り(봉평 메밀꽃) [江原道平昌郡] 韓国人なら誰でも知ってる小説「そばの花咲くころ」(1936年)の舞台として有名。蓬坪はその作家・李孝石(イ・ヒョソク)の出身地でもあり、李孝石文学館がある。
鎮海余佐川桜の町(チネヨジョアチョンポッコッコリ.진해 여좌천벚꽃거리) [慶尚南道昌原市鎮海区] ≪祭り≫の項で紹介した鎮海軍港祭の桜の中でも、とくに有名な桜のトンネルがあります。
ソウル大公園バラ園(ソウルテゴンウォンチャンミウォン.서울대공원장미원) [京畿道果川市] 5月末~6月いっぱい、数万本のバラを楽しめるバラ園祭りが開かれます。
九里漢江市民公園コスモスの道(クリハンガンシミンコンウォンコスモスコッキル.구리한강시민공원 코스모스꽃길) [京畿道九里市] →コチラのブログも写真がいろいろ。
利川サンシュユ村(イチョンサンスユマウル.이천 산수유마을) [京畿道利川市]

≪テーマパーク(테마파크)≫
エバーランド(エボレンドゥ.에버랜드) [京畿道龍仁市] 1976年に龍仁自然農園として開園し、96年に現在の名称になった韓国最大の野外テーマパーク。運営はサムスンエバーランドです。集客数で世界ベスト10以内に入るとか。絶叫マシーン、ほのぼの系アトラクション、サファリパーク等々があるエバーランドと、屋内外プール&スパのあるウォーターパークのカリビアンベイの2つに大きく分かれ、その他エバーランド・リゾートには交通博物館、湖巌美術館、ゴルフクラブ等があり、またホームヴィレッジという丸太小屋宿泊施設もあります。行こうかなという人はリンク先(コネスト)のクチコミ掲示板や、ソウル・ナビの口コミ・Q&Aを参照されたし。公式サイトは→コチラ(韓国語)。
ロッテワールド(ロッテウォルドゥ.롯데월드) [ソウル特別市松坡区] 室内娯楽施設としては世界最大級。リンク先のコネストの記事には、「人気のアトラクションは1時間待ちなんてのはザラなので、限られた時間で賢くまわっちゃいましょう!」とのことで、おすすめアトラクションを提示してくれてます。コチラもリンク先(コネスト)のクチコミ掲示板やソウル・ナビの口コミ・Q&Aを参照されたし。公式サイトは→コチラ(韓国語)。
※2007年1月施設の安全性について深刻な問題があるという診断を受けた後、全面的な安全改補修を済ましてから同年7月1日「ロッテワールドシーズン2」を宣言して営業が再開されました。
春香テーマパーク(チュニャンテーマパーク.춘향테마파크) [全羅北道南原市] 韓国人なら誰でも知っている「春香伝」の名場面等を再現。光州在住の方の関連ブログ記事→コチラ。公式サイトは→コチラ(韓国語)。
富川アインスワールド(プチョンアインスウォルドゥ.부천아인스월드) [京畿道富川市] 世界25カ国の有名建築や遺跡109点の超精巧なミニチュアが並ぶテーマパーク。日本の建物では姫路城・熊本城があります。公式サイトは→コチラ(韓国語)。
テーマ動物園ZooZoo(テーマトンムルォンジュジュ.테마동물원쥬쥬) [京畿道高陽市] 「ジュジュ」とは何だろう、と思ったらZooZooでした。公式サイトは→コチラ(韓国語)。

         
    【2010年寅年に正装で新年の挨拶、う~む・・・。(テーマ動物園ZooZoo)】

雪岳ウォーターピア(ソラクウォトピア.설악워터피아) [江原道束草市] 1997年にオープンした韓国初の総合温泉テーマパーク。天然の温泉水の温泉浴と、最先端の施設を備えています。公式サイトは→コチラ(韓国語)。
ソウルランド(ソウルレンドゥ.서울랜드) [京畿道 果川市] 動物園、植物園、ハイキングコース、国立現代美術館等があるソウル大公園内の遊園地。公式サイトは→コチラ(韓国語)。

         
   【ソウルランドの絶叫マシン<スカイX>は映画「猟奇的な彼女」の一場面に。】

     
 【最高時速110㎞とか。しかし「見た目ほどは怖くなかった('A`)」いう体験者のコメントもあります。(ホントかな?】

済州ウォーターワールド(チェジュウォトウォルドゥ.제주워터월드) [済州道西帰浦市] ワールドカップ競技場内にあり、3千人以上を収容できる済州最大の水のテーマパーク。公式サイトは→コチラ(韓国語)。
何瑟羅(ハスラ)アートワールド(ハスルラアートゥウォルドゥ.하슬라아트월드) [江原道江陵市] 8万坪の広大な山を切り開き、環境と芸術の共生を目指してつくられたアートセンター。体験学習もできる。何瑟羅とは、朝鮮時代に正東津のある江陵地域を指す言葉。公式サイトは→コチラ(韓国語)。
済州ラブランド(チェジュロブレンドゥ.제주러브랜드) [済州道済州市] 2004年に大韓民国の済州島にできた野外彫刻公園兼セックスミュージアム。いわゆる<秘宝館>の大規模なもの。リンク先のブログ(貴重!)にもあるように「本当に、よくこんなものを作ったものだ」。ウィキによると、「18歳未満の入園は不可で、一部の遊園地エリアは大人と同伴してきた未成年者たちのために開放されている」とのことです。
公式サイトは→コチラ(韓国語)。同(日本語)
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[韓国語]抑揚で意味が変わる「モモゴヨ?」 → 「何食べますか?」と「何か食べますか?」

2012-03-16 23:20:07 | 韓国語あれこれ
 ごく最近教わったことを備忘録がわりに書いておきます。

 韓国語で「何を食べますか?」を何というか?

 ・・・「뭘 먹어요?」あたりがふつうのテキストに載っていると思います。
 「무엇을 먹습니까?」というのもありますが・・・。

 しかし、日本では助詞抜きで「何食べますか?」という言い方をより多用しているのではないでしょうか?
 韓国でも同様で、助詞(을)を抜いて「뭐 먹어요?(モモゴヨ?)」とふつうに言います。

 話し言葉重視の長渡陽一先生のテキスト「いちばん話せる韓国語」(新星出版社)の会話例でもそうなっています。※このテキストの特色等は本ブログ2011年3月2日の記事参照)
 この場合、カタカナの上下で示されているイントネーションとおりに最初の「モ(뭐)」は低く抑えて発音するのがポイント。(下の画像参照)

     

   【「モモゴヨ?」のイントネーションは「それから?」と同じ。リズムは♪♪♪♪です。】

 ところが、やっかいなことには、最初の「モ(뭐)」をやや高く、強く発音すると何か食べますか?」という意味になってしまう、ということです。(「뭔가 먹어요?」の省略形です。)

 一般的に、日本人の韓国語学習者は日本語と同じイントネーションになりがちなので、意識的に発音しないと、「뭐 먹어요?」はほとんど

    ムォ    ヨ?
       モゴ

・・・となってしまいます。先の「モモゴヨ?」に対し、こちらは「そうなのか?」と同じイントネーションで、リズムは ♪♪♪です。私ヌルボももちろんそうでした。これだと、後者(「何か食べますか?」になってしまいますね。

 この「뭐」と同じことが「어디(オディ)」=「どこ」についてもあてはまります。
 「어디 가요?」を

           ヨ?
      ディ ガ
    オ

・・・のように「어디(オディ)」を低く抑えて言うとどこ(に)行きますか?」の意。多くのテキストでは「어디에(어디로) 갑니까?」あたりが一番多いと思いますが。
 しかし、

             ヨ?
       ディ
    オ     ガ

・・・と「ディ」を少し強く高く言うとどこか行きますか?」という意味になるということです。「어딘가 갑니까?」の省略形ですね。

 うーむ、ややこしいなー。やっぱり習うより慣れろだな、というわけで、一昨日横須賀に映画(「戦火の馬」を連れ立って観に行った仲間たちは、たまたま入った韓国スナックで全州出身のママ相手に韓国語の実践的な会話学習に臨んだのでありました。

 「ふつうに「何を食べますか?」というのは韓国語で何と言いますか?」と訊ねたら、彼女はたしか「뭘 먹을래요?」と言ってた、・・・ような気がします。・・・って、せっかくの向上心も、すでにかなり酔いが回っていて、記憶が定かならず。ハハハ。また勉強しに(?)行かなくちゃ・・・。

☆下の画像は「いちばん話せる韓国語」より。
 韓国語学習者の皆さんの中で、日本語の発音と同じように「한국에서」を
ハン
   グゲソ
・・・とか、「경복궁 보고」を
キョンボッ
      クンポゴ  
・・・のように高→低というイントネーションで発音している人はとても多いと推察していますが、このテキストによると低→高(ひくたか)や高→高(たかたか)はあっても高→低(たかひく)はないということです。(先日KBSで聞いた釜山(慶尚道)方言はモロ高→低だったですが・・・。)

   
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[3月9日(金)~11日(日)]

2012-03-13 23:51:51 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 キネカ大森はたまに行く映画館の1つですが、<名画座2本立て>というのをやっていて、見落とした映画を安く観るには好都合です。今上映中の2本立てがキム・ギドク監督の春夏秋冬そして春「悲夢」。もちろん新作「アリラン」公開に合わせたプログラムでしょう。先週の記事で書いたように、私ヌルボ、最近その「アリラン」を観たのですが、キム・ギドク監督作品でこれまで観たのは「弓」だけ。思うに、歴史や社会関係の映画とは波長が合うものの、芸術性とか映像美が前面に出るような映画とは相性がよくないという自覚があって2004年の初公開時には観ずじまいだったのが「春夏秋冬そして春」。今回観てみて、やはり合わないなりにも、完成度の高い作品で、大鐘賞と青龍賞ダブル受賞したのもむべなるかなと納得しました。(こういうのを作っちゃうと、監督にとってみれば、自分自身を超えるのはたしかにむずかしいわなー・・・。) やはりあの美しい絵柄がいいですね。周王山国立公園の注山池に、わざわざ造った寺だそうで・・・。

    
     【池の中の寺。よく造ったものです。この狭い世界で物語が展開する。】
 
 バックに流れていた国楽の無形文化財歌手・金栄姙(キム・ヨンイム.김영임)が伸びのある声で歌う旌善(チョンソン)アリランは映画「アリラン」でも流されていました。探したらYOUTUBEにあったので、聴いてみてください。→コチラ。
http://www.youtube.com/watch?v=FDdkJCFWZC0&feature=related
それから、全然関係ないけど、老僧がマッチを擦る場面で目に入ったのが<アリラン・マッチ(아리랑성냥)>。韓国の人たちにとっては懐かしのマッチのようです。(日本でいえばパイプ印みたいな?)

         
   【アリラン・マッチについて書くとさらに映画から離れるので説明省略。】

         ★★★ Daumの人気順位(3月13日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①折れた矢(韓国)  9.6(2650)
②天使の息づかい(韓国)  9.5(21)
③オペラ座の怪人 25周年特別公演  9.4(98)
④猫おどり(韓国)  9.1(86)
⑤ミンク・コート(韓国)  8.9(30)
⑥アーティスト  8.9(196)
⑦ダンシング・クィーン(韓国)  8.9(1280)
⑧アメリ  8.9(105)
⑨スタンリーのお弁当箱  8.8(81)
⑩ビッグ・ミラクル  8.8(46)

 新登場は⑨だけ。学校が舞台のインド映画です。スタンリーは家庭の事情で学校に持っていくお弁当がなく、水を飲んでごまかしたり昼食時だけ校外で時間をつぶしたりしていたが、それを知った周りの友だちはみなで彼に弁当をシェアすることを提案したりします。ところが食いしん坊の先生(=グプテ監督)のせいで傷ついたスタンリーは学校に来なくなってしまう・・・。観た人が書いたブログには「よかったです!!!めちゃめちゃ感動しました!!」とありました。またコチラのブログで昼食の写真を見ると、美味しそう! 日本でも公開してほしいです。他のインド映画も・・・。韓国題は「스탠리의 도시락」。
 ②は先々週<多様性映画>のランクで紹介済み。

【専門家による順位】

①自転車に乗った少年  8.8(6)
②ニーチェの馬  8.5(2)
③戦火の馬  8.2(4)
④2本の線(韓国)  8.0(1)
⑤アーティスト  7.8(6)
⑤奇跡(日本)  7.8(6)
⑦ファミリー・ツリー  7.8(5)
⑧折れた矢(韓国)  7.7(7)
⑨犯罪との戦争:悪いやつらの全盛時代(韓国)  7.3(6)
⑩ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)  7.3(3)

 今週も新登場はありません。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月9日(金)~11日(日)] ★★★

         宮部みゆき原作「火車」がトップに

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(18)・・火車(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・607,448 ・・・・・・・・・・・685,916・・・・・・・・・5,308・・・・・・・547
2(新)・・ジョン・カーター ・・・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・368,749 ・・・・・・・・・・・413,699・・・・・・・・・3,738・・・・・・・511
3(1)・・ラブフィクション(韓国)・・・・・・・・・・・2/29 ・・・・・・・・・・・・・252,083・・・・・・・・・・1,478,245・・・・・・・・11,362・・・・・・・434
4(2)・・Black&White ブラック&ホワイト・・2/29 ・・・・・・・・・・・・145,183 ・・・・・・・・・・・583,160・・・・・・・・・4,461・・・・・・・306
5(3)犯罪との戦争 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/02 ・・・・・・・・・・・・・・93,374・・・・・・・・・・4,570,449・・・・・・・・35,421・・・・・・・301
         悪いやつらの全盛時代(韓国)
6(29)・・スタンリーのお弁当箱・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・24,892 ・・・・・・・・・・・・31,575・・・・・・・・・・・213・・・・・・・163
7(4)・・ハウリング(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・2/16・・・・・・・・・・・・・・・24,189・・・・・・・・・・1,583,549・・・・・・・・11,559・・・・・・・240
8(9)・・トール-ヴァルハラの伝説 ・・・・・・・2/09 ・・・・・・・・・・・・・・20,382 ・・・・・・・・・・・738,984・・・・・・・・・5,367・・・・・・・169
9(6)・・セーフ・ハウス ・・・・・・・・・・・・・・・・・2/29 ・・・・・・・・・・・・・・15,203 ・・・・・・・・・・・155,311・・・・・・・・・1,162・・・・・・・180
10(8)・・ダンシング・クィーン(韓国)・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・・・・・・14,746・・・・・・・・・・4,000,786・・・・・・・・29,729・・・・・・・114
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 後発の「犯罪との戦争」には大分前に先を越されながらも、「ダンシング・クィーン」も400万人に到達しました。
 新登場は1・2・6位の3作品です。
 1位「火車」については、2月21日の記事で少し書きました。ネチズンの評価は8.1で、まず良好ってとこかな。まあ、この原作を超える映画やドラマはありえないでしょう。韓国題は「화차」です。
 2位「ジョン・カーター」は、「ターザン」の生みの親でもあるエドガー・ライス・バローズの古典的SF冒険小説「火星のプリンセス」が原作、なのにこのタイトルは何なの!? ジミー・カーター元大統領と関係があるのかと思う人もいるかも・・・って、いないか。原作本の知名度、けっこう高いと思うんだけどなー。韓国題の方は「존 카터:바숨 전쟁의 서막(ジョン・カーター:粉々戦争の序幕)」。日本では4月13日公開で、すでに予告編もupされています。ブキミな生き物がわんさか登場!→コチラ
 6位「スタンリーのお弁当箱」については上述しました。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(3)・・スタンリーのお弁当箱・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・24,892 ・・・・・・・・・・・・31,575・・・・・・・・・213・・・・・・・・・163
2(1)・・アーティスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/16・・・・・・・・・・・・・・・・9,190 ・・・・・・・・・・・105,392・・・・・・・・・809・・・・・・・・・・77
3(11)・・語る建築家(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・2,540 ・・・・・・・・・・・・・・4,049・・・・・・・・・・33 ・・・・・・・・・20
4(新)・・ロマンス・ジョー(韓国)・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・・・707 ・・・・・・・・・・・・・・1,016 ・・・・・・・・・・7・・・・・・・・・・19
5(2)・・啐啄同時(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・3/01・・・・・・・・・・・・・・・・・376 ・・・・・・・・・・・・・・2,373・・・・・・・・・・11・・・・・・・・・・10
                                      
 3・4位が新登場。
 3位「語る建築家」は、あの佳作「子猫をお願い」のチョン・ジェウン監督の久々の新作。この作品は昨年大腸癌で亡くなったチョン・ギヨンさんという建築家を撮ったドキュメンタリーで、昨年(2011年)の釜山国際映画祭で上映されました。彼は韓国建築文化の在り方を求めることに一生を捧げてきた建築家で、全国6都市に子供図書館を造るプロジェクト等を推進したり、ゴミを量産する現代建築の弊害を克服するために土を利用する建築方法にも苦心したとのこと。大腸癌のため大手術を受けながらも退院後にも仕事を続け、治療の副作用で声が出にくくなっても、マイクを用いて話す・・・。このタイトルはそれゆえなのでしょう。原題は「말하는 건축가」。
 4位「ロマンス・ジョー」は洋画かと思ったらこれも韓国映画。イ・クァングク監督は「よく知りもしないくせに」や「ハハハ」等のホン・サンス監督作品の助監督をやってきた人で、この作品もあらすじを読むかぎりでは同じような雰囲気が漂っているような感じです。300万の観客を動員してスター監督の座を占めた監督が、物語に窮して作業が滞る中、プロデューサーの計略でいなかの旅館にカンヅメにされてシナリオを書くはめになりますが、気晴らしに呼んだ喫茶店のレジから偶然に「ロマンス・ジョー」の奇妙な恋物語を聞くことになる、というのですが・・・。
原題は「로맨스 조」。
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[韓国]中国による脱北者強制送還反対運動の高まりと、その波及効果

2012-03-12 20:15:33 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)

 本ブログ2月24日の記事で、中国政府による脱北者の強制送還に対して、韓国で抗議の運動が起こっているということを紹介しました。

 日本では、俳優チャ・インピョさんが強制送還反対集会でマイクを持って訴えていること等が2月22日の「毎日新聞」で写真入りで報じられました。
 そして3月5日NHKテレビは、韓国で4日夜人気歌手や俳優ら50人がコンサートを開いて、脱北者の痛みを分かち合おうと訴えたことを伝えました。→コチラ(動画あり。)
 このコンサートのことは「朝日新聞」でも「「一緒に泣いて」 韓国で脱北者支援コンサート」との見出しで伝えられました。

 その間、2月28日「毎日新聞」の「韓国:脱北者の強制送還禁止を訴え 国連人権理事会で」という記事等はありましたが、日本のメディアではあまり報じられていなかったようです。

 しかし韓国では連日のように反対集会が続けられ、メディアでも多く取り上げられてきました。
 このような動きと相俟って、韓国政府も国際社会に訴えています。
 なぜ日本のメディアがこの問題に関心を払おうとしないのか、首を傾げざるをえません。
 もしかしたら、最近のこのような動きは、何らかの大きな変化の兆しかもしれないのに・・・。

 ・・・ということで、最近のこの問題についての韓国の状況と、その波紋について整理してみます。
 ※以下の韓国紙の引用は、すべて日本語版です。

 今回の中国による脱北者強制送還問題が、韓国で大きな問題となった最初は、2月13日午後の聯合ニュース、翌14日の新聞報道です。その内容は中国・瀋陽で8日公安に抑留され北朝鮮へ送還される危機にある脱北者10人が韓国の国家人権委員会に緊急救済を要請したと13日人権委員会が明らかにした。
というものでした。
 さらに自由先進党の女性議員朴宣映(パク・ソニョン)議員が、彼らのほかに24人の脱北者が逮捕され北へ送還される危機にあると発表しました。
 15日には、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが、中国で逮捕された脱北者たち24人が北朝鮮に送還される危機に直面しているとの声明を発表し、彼らが送還されれば拘禁、拷問、ひいては処刑もあり得る」と中国政府に脱北者の保護を促しました。(「聯合ニュース」2月15日)

 新聞報道をふり返ってみると、韓国の市民の反応は早く、すでに17日に複数の北朝鮮人権団体が記者会見を開き、中国に抑留された脱北者の強制送還中止を求める署名運動を始めています。(「中央日報」18日)
 同じ17日には、インターネットを通じて集まった脱北住民たちが光化門の李舜臣像の前で強制送還反対のデモを行ったことが「息を殺していた脱北住民も立ち上がった」との見出しで「東亜日報」で報じられています。この記事では、光州でも脱北住民約10人が南区の中国領事館前で記者会見を行い、デモをしたことも伝えられています。この記事は「ソウルではなく地方の脱北住民が自発的に集まってデモまでしたのは異例のこと」と結んでいます。

 その後運動は大きく拡がり、韓国内の政治だけでなく国家間、あるいは国際的なイシューとして、中国政府にとっても頭の痛い問題になってきました。北朝鮮指導部にとっても当然悩みは深まるばかりでしょう。

 これまでも、中国は多くの脱北者を北朝鮮に送還してきました。2月29日付「東亜日報」の記事によると過去17年間で10万の脱北者を送還」したとのことです。

 ところが今回、韓国内で強制送還反対運動がこれまでになく拡がった理由としては、次のようなことが考えられます。(私ヌルボの個人的な推測ですが・・・。)

①リアルタイムの、さし迫った危機にある脱北者たちの状況が伝えられたこと。 
 強制送還されたら強制収容所に送られる(処刑の可能性も?)人たちがそこにいる。それも家族や同胞。阻止すべく声を上げるのは自然の感情、というもの。

②韓国内の脱北者自身が声を上げたこと。
 とくに代案学校(フリースクール)に通っている脱北者の生徒たちの訴えが多くの人を動かしたのではないでしょうか? たとえば2月22日付「朝鮮日報」には次のように書かれています。 
 「SAVE」という書かれた白いマスクの学生約30人が、のどがかれるほど声を張り上げた。・・・21日午後5時、孝子洞にある教会の前で、向かい側にある中国大使館に向け「助けてあげてほしい」と叫ぶ学生たちの目尻は、涙でぬれていた。
 この学生たちは、脱北青少年が通うフリースクール「黎明学校」の在校生と卒業生。・・・在校生のイさんは「私も脱北して北朝鮮に連れ戻されたことがあるため、強制送還がどれだけ恐ろしいことか知っている。まさに自分と同じ、自分の家族と同じで黙っていられなかった」と語った。家族を北朝鮮に残して昨年脱北したという在校生キムさんも「・・・脱北者が捕まったというニュースが流れた日、学校では誰も安易に話を切り出すことはできなかった」と語った。・・・ハングルや中国語で書かれたプラカードを持った学生たちは震えていた。卒業生のパクさん(仮名)は、震える声で「死を覚悟して来た」と語った。大げさなことではない。普段、学生たちはメディアへの顔の露出を極力避ける。韓国内外の報道を精密分析する北朝鮮の公安機関が学生たちの身元を追跡し、北朝鮮に残る家族を「背信者の群れ」として追及・処断するからだ。パクさんは「道を歩いていて、カメラが見えただけでもうつむく。脱北者の家族保護本能のせい」と語った。黎明学校のチョ・ミョンスク教頭は「ここに来た子にとっては、顔を隠すことが自分の家族を守る唯一の道」と語った。


③俳優チャ・インピョさんをはじめとする多くの芸能人が集会でよびかけたり、支援コンサートを開いたりして注目を集めたこと。
 とくに「脱北者を助けることに左右の理念の違いがあってはならない」との意見は説得力があったのではないでしょうか?

④メディア、とくに3大保守紙(「朝鮮日報」「東亜日報」「中央日報」)で連日関係記事を掲載していること。
 ニュース以外にも、論説とか、背景を探る記事とか、多様な記事が毎日のように・・・。一方左派系の「ハンギョレ」はあまり多くは載っていない上、本ブログ2月26日の記事で記したようにハギレが悪く、扱い方に苦慮しているような感じです。
  
⑤上記の朴宣映自由先進党議員が新聞(とくに3大保守紙)で大きく扱われ、注目を集めていること。
 本ブログ2月24日の記事では「保守政党の自由先進党・朴宣映議員発表の情報なので、たぶん左派系の人たちは聞き流したのでは?」などと軽く書いてしまいましたが、マスメディアでその存在感は増すばかり。かいつまんで紹介します。 ※自由先進党は2007年12月の大統領選挙に出馬して敗北した李会昌が中心となって結成された新保守主義の右派政党(野党)。
 朴宣映議員は、中国公安に情報源がある(?)のか、中国の脱北者の情報を次々に発信するだけでなく、2月21日から在韓中国大使館前で断食闘争に入りました。「政府は彼女を無視するのか!」との論調に押されてか(?)26日には千英宇大統領府外交安保首席が朴宣映議員を励ますため訪れ(「中央日報」2月27日)、29日には李明博大統領が激励の電話をかけて「みんながすべきことを一人でしていて申し訳なく思う。よい契機を作ってくれて感謝している」と語ったそうです。(「中央日報」3月1日)
 その後朴宣映議員は3月2日抗議集会中に意識を失って倒れ、病院に搬送されたことも広く報道されました。(「中央日報」3月3日)
 朴宣映議員の断食闘争突入の2日後の23日からは、脱北女性として初めて韓国で博士号を取得した敬仁女子大学の李愛蘭(イ・エラン)教授も断食に入りました。
 朴宣映議員同様、彼女もただ座っているだけでなく、「あれだけ多かった『ろうそく』や『希望バス』はどこに行ったのか?」(←朴婉緒の作品名のもじり?)と脱北者問題に沈黙守る韓国の進歩勢力に問いかけたり(「朝鮮日報」2月28日)、オバマ大統領夫人とクリントン国務長官宛てに手紙を送付したりもしています。その間、彼女の公開電子メールでの呼びかけに応じて、進歩勢力のキーパーソンの安哲秀ソウル大学融合科学技術大学院院長が3月4日集会の現場に彼女を訪れ、手を取り「以前から高い関心を持っていた。李教授からの手紙を受け取り、非常に心が痛かった」と話すと、彼女は泣きながら何度も「ありがとう」とお礼の言葉を繰り返したことは、政治的にも注目されるべきことでした。(「朝鮮日報」3月5日) 彼女は現在も断食闘争続行中です。

 これらのことによって脱北者への注目度が高まるとともに、一般市民の人たちもこの運動に関わるようになっているようです。

 たとえば、「日頃脱北した子どもや若者に勉強を教えている大元外国語高校のボランティア・サークルのメンバー14人が北朝鮮人権リレー写真展、音楽会、強制送還反対署名運動、そして中国の刑務所に拘禁されている脱北者に希望の手紙を送る運動などを展開する予定」(「朝鮮日報」3日)とか、「国内外の大学生70人あまりで構成されたインターネット放送局の「リアルコリア」が脱北者の強制送還を即時中断するように訴えた」等々。(「東亜日報」9日)

 以上、この脱北者強制送還反対運動について、主に運動の担い手の側に焦点を絞ってその展開をたどってきました。この拡大する運動の影響が、韓国の政界や政府にも波及し、さらには国際社会でも注目されてきているようです。
 その方面については、また続きの記事で書くことにします。

◎つけたし&予告
 さて、この記事を書くにあたって読んだ韓国紙の過去記事の中で「アレレ!?」と驚いたのが、そもそもの発端のニュースが「実は誤報だった!」(2月15日「中央日報」)というもの。
 最初の方に引用した「・・・危機にある脱北者10人が韓国の国家人権委員会に緊急救済を要請した」13日人権委員会が明らかにした」というニュース中の「人権委員会が明らかにした」という部分が事実と異なるというもので、「ある人権委員が秘密情報を外部の人間(知り合い)に漏らしてしまった」というのが正しいらしいのです。
 そのため韓国政府や外交通商部(日本の外務省に相当)は苦心したようですが・・・。
 あ、このあたりは次回で・・・。

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[韓国の観光地]テーマ別ベスト10 ④海水浴場・映画・ドラマ撮影地・洞窟

2012-03-11 12:29:24 | 韓国の街ネタ、観光ポイント、店・施設等
 [韓国の観光地]テーマ別ベスト10 ①山・島・散策コース
 [韓国の観光地]テーマ別ベスト10 ②寺・湖・樹木園&休養林
 [韓国の観光地]テーマ別ベスト10 ③滝&渓谷・民俗村&遺跡地・日の出&日没の名所の続きです。

≪海水浴場(해수욕장)≫
鏡浦海水浴場(キョンポヘスヨクチャン.경포해수욕장) [江原道江陵市]
広安里海水浴場(クァンアンニヘスヨクチャン.광안리해수욕장) [釜山広域市水営区]
中門海水浴場(チュンムンヘスヨクチャン.중문해수욕장) [済州道西帰浦市]
格浦海水浴場(キョクポヘスヨクチャン.격포해수욕장) [全羅北道扶安郡]
洛山海水浴場(ナクサンヘスヨクチャン.낙산해수욕장) [江原道襄陽郡]
海雲台海水浴場(ヘウンデヘスヨクチャン.해운대해수욕장) [釜山広域市海雲台区] 映画「TSUNAMI-ツナミ-(原題「海雲台」」)の舞台。 
望祥海水浴場(マンサンヘスヨクチャン.망상해수욕장) [江原道東海市]
大川海水浴場(テチョンヘスヨクチャン.대천해수욕장) [忠清南道保寧市]

        
      【大川海水浴場の馬車。鏡浦海水浴場にもあるようだし、韓国ではふつうなのかな?】

コッチ海水浴場(コッチヘスヨクチャン.꽃지해수욕장) [忠清南道泰安郡] 1回目の≪島≫で紹介した安眠島にあります。
湫岩海水浴場(チュアムヘスヨクチャン.추암해수욕장) [江原道東海市] 湫岩(=ロウソク岩)は前回の≪日の出&日没の名所≫で紹介しました。

≪映画・ドラマ撮影地(영화•드라마촬영지)≫
プチ・フランス(プティプランス.쁘띠프랑스) [京畿道加平郡] ドラマ「ベートーベンウィルス」のロケ地。
南怡島(ナミソム.남이섬) [江原道春川市] あの「冬のソナタ」でメタセコイア並木が一躍有名になりました。
新羅ミレニアムパーク(シルラミルレニオムパーク.신라밀레니엄파크) [慶尚北道 慶州市(普門観光団地内)] 「善徳女王」のセット場や、新羅時代の人々が暮らした村を再現した「千年古都」等がある。
加川(カチョン)タレンイマウル(カチョンタレンイマウル.가천다랭이마을) [慶尚南道南海郡] 2006年の映画「裸足のギボン」の舞台。タレンイは、棚田を意味する韓国語タランイの慶尚道方言です。
※参考ブログ→コチラと、そのつづき
新城里葦原(シンソンニカルデバッ.신성리갈대밭) [忠清南道 舒川郡] 映画「共同警備区域 JSA」撮影地。幅200m、長さ1kmのススキ野が広がる。
潭陽(タミャン)竹林テーマ公園(テナムゴルテマコンウォン.대나무골테마공원) [全羅南道潭陽郡] ドラマ「茶母(タモ)」の撮影地。同じ潭陽の竹緑苑の方はドラマ「一枝梅(イルジメ)」の撮影地。≪散策コース(걷기 좋은 길)≫の中で紹介しました。
 ※潭陽のバス・ターミナルで竹林テーマ公園に行きたいと話すと「そこはバスの本数が少ないし、行きにくい場所だから竹緑苑(죽녹원)へ行きなさいと言われ方針変更、というブログは→コチラ。(地図を見ると徒歩旅行者には妥当なアドバイス。記事によると竹緑苑の方が多少人工的な雰囲気とか。)
富川ファンタスティック・スタジオ(プチョンパンタスティクステュディオ.부천판타스틱스튜디오) [京畿道富川市] エッ、2011年8月施設老朽化のため閉園だって! 別名「野人時代スタジオ」。日本統治下の京城の街(和信百貨店や路面電車等)のセットがあった・・・。
 ※本ブログ関連記事→「韓国ドラマ「英雄時代」を読み解く[10] 京城の街、和信百貨店など」
          →「ソウル近郊・富川市内で延伸工事中の地下鉄7号線のこと」

         
【富川ファンタスティック・スタジオ。私ヌルボ、ここまで行ってこの写真も撮ったのに、台風による破損点検のため入館できず、とほほでした。】

扶安(プアン.부안) [全羅北道扶安郡] 扶安映像テーマパークは映画「王の男」「韓半島」「ファン・ジニ」「宮女」ドラマ「不滅の李舜臣」「イサン」「根の深い木」など多くの作品の撮影地。
金城山城(クムソンサンソン.금성산성) [全羅南道潭陽郡] ドラマ「善徳女王」撮影地。
陜川映像テーマパーク(ハプチョンヨンサンテーマパーク.합천영상테마파크) [慶尚南 陜川郡] 1930~60年代のソウルの風景や建物が再現されている。ここも映画「ブラザーフッド」「風のファイター」「田禹治(チョンウチ)」「砲火の中へ」「マイウェイ」ドラマ「エデンの東」「太王四神紀」「京城スキャンダル」「ソウル1945」「英雄時代」「ファッション70's」等々、多数の映画やドラマの撮影地。
 ※詳しいブログは、→コチラ
★韓国ドラマや韓国映画のロケ地を網羅した<ばつ丸の「ロケ地を旅する」>というすごいサイトがあります。→コチラ

≪洞窟(동굴)≫
幻仙窟(ファンソングル.환선굴) [江原道三陟市]

      
 【幻仙窟の逆つらら。洞窟の中と外の温度差により発生する水蒸気と、天井から落ちる水が凍りついてできるそうです。】

聖留窟(ソンニュグル.성류굴) [慶尚北道蔚珍郡]
画岩洞窟(ファアムドングル.화암동굴) [江原道旌善郡] 1922~45年まで国内5位の金鉱だった泉布鉱山内の天然の鍾乳洞や、坑道を利用した韓国唯一のテーマ型洞窟。
高氏洞窟(コシドングル.고씨동굴) [江原道寧越郡]
龍淵洞窟(ヨンヨンドングル.용연동굴) [江原道太白市]
紫水晶洞窟の国(チャス ジョンドングル.자수정동굴나라) [蔚山広域市蔚州郡]
 ※接待で行ってきた方のブログ→コチラ、おもしろい!
泉谷洞窟(チョンゴクトングル.천곡동굴) [江原道 東海市] 全国で唯一都心にあり、アクセスは便利。
山葡萄ワイン洞窟(モルワインドングル.머루와인동굴) [全羅北道茂朱郡]
古藪洞窟(コスドングル.고수동굴) [忠清北道丹陽郡]
 ※さるブログに「秋芳洞より、ええやん」。鍾乳洞マニアのU子さんが驚いている。なかなか見応えのある素晴らしい鍾乳洞だ」とありました。
(⑩は、この項目にはありません。)
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[韓国語の新語] 大きな社会問題 「いじめ」関係の新語

2012-03-07 15:32:46 | 韓国語あれこれ
 2月25日に観た韓国映画「ポエトリー アグネスの詩」ではいじめ被害者の女生徒の自殺が大きなモチーフになっています。
 ちょうどその日発行の「朝鮮日報」にいじめについての記事がありました。→コチラ(→日本語版)
 さらに「新東亜」2月号にも「衝撃!学校暴力の実態(충격!학교 폭력 실태)」と題した現場取材記事が載っていました。→コチラで全文読むことができます。

 それほど現在の韓国では、いじめが大きな社会問題になっているようです。
※1月14日「産経新聞」で黒田勝弘氏が「ソウルからヨボセヨ 韓国イジメ でっかい?」という外信コラムでやはり韓国のいじめ問題の深刻化について記していました。

 これらの記事を読んでいて、いくつか辞書に載っていない新語に気づきました。いずれもいじめの実態に直接関わるキーワードです。

 韓国のサイト等で探ってみたことも含めて、いくつか紹介します。

왕따(ワンタ) いじめ
 この言葉は、すでに多くの韓国語学習者に知られているでしょう。따돌리다(のけ者にする)に、「大きい」を表す「왕(王)」をつけたもの。いじめ行為、またはいじめ被害者をさす。

은따(ウンタ) 隠れたいじめ
 은근히 따돌린다(ひそかにいじめる)の略語。

찐따(チンタ) まぬけ、ばか
 上記「東亜日報」の記事には、「찌질한 왕따(ぱっとしない、貧乏くさいいじめ)」を指す言葉、とあります。しかしNAVERのオープン辞典には、本来の意味は脚の不自由な者の意味で、朝鮮戦争以後には地雷を踏んで脚を切断された人が多かったので、「ぼけっとして地雷を踏んでしまった」という意味で最近は用いられている、と説明されています。
 「東亜日報」の記事では、たとえば休み時間などに、「あいつに触るとチンタ・ビールス(찐따 바이러스)がうつるから汚いぞ」等の言葉の暴力として用いられるそうです。

일진(イルチン) 不良、番長 上記「朝鮮日報」の記事の見出しは「폭력 피해 학생들, 교사 아닌 일진에 기댄다」。「暴力被害生徒たち、教師ではなく<イルチン>に頼る」です。
 「일진(イルチン)」という言葉については、NAVERオープン辞典には「짱(チャン)」の次にケンカが強い少年のことで、名称は朝鮮時代に由来するが、今では学校の不良生徒をさす、というように書かれています。しかし、韓国ウィキの「일진회(一陣会)」の項目には次のような説明があります。

 イルチン会(一陣会)は日本に由来した語で、大部分の学校によくある暴力組織をさす言葉として用いられる。語源は日本の森田まさのりの漫画「VIVA!ブルース(비바! 블루스)」に出てくる団体である。1990年代以後韓国にも登場、韓国の中・高校でも多く使う名で、一部ではこの漫画が学校暴力の直接的な原因になったともみるが、論議の余地がある。
※「VIVA!ブルース」の原題は「ろくでなしBLUES」です。

 関連記事としてリンクが張られている「Oh!MyNews」の2005年3月の記事「イルチン会、暴力漫画の模倣ではないか」と題した記事によると、この漫画は最初「캠퍼스블루스(キャンパス・ブルース)」の名で刊行されましたが、1997年イルチン会問題で絶版となり、それが2004年「「VIVA!ブルース」の題で19禁等級を受けながらも再登場したということです。

 話を戻すと、先の新聞記事の続きですが、いじめにあっている生徒がイルチンに助けを求め、そのイルチンがいじめている連中に「○○をいじめたらタダじゃおかないからな」などと脅しをかけると、いじめがぴたりと止む、ということです。しかしさらに問題は続くのです・・・。
※この言葉、<スペースアルク>の「辞書にない韓国語」の中にありました。

빵셔틀(パン・ショトゥル) パシリ(使い走り)
 いじめ被害者がイルチンの力に頼っていじめを免れたとしても問題解決にはならない、と「朝鮮日報」の記事は続きます。
 つまり、その後イルチンの歓心を買うために、あるいは強制で、貢いだりパシリになったりせざるをえないケースが多いからです。この記事では、いじめから救ってやった先輩(イルチンの女生徒)がその後2年にわたりいじめ被害者生徒をこき使っている事例が紹介されています。「ほぼ毎日パンと牛乳を買って届けるお使いをしている。ときには小遣いを上納することもある」とのことです。
 ここで出てくるのが빵셔틀という新語。この記事では「シャトルバスのように売店でパンを買ってくる役割」と但し書きが付いていますが、NAVERオープン辞典には次のように説明されています。
 パン・シャトルは中・高校で力の強い生徒たちの強要によりパンやタバコ等を代わりに買ってくる行為や、その行為をする人を意味する新語で、学校暴力を背景に誕生した用語である。パン・シャトルの「シャトル(shuttle)」は戦略シミュレーションゲームの「スタークラフト」で兵力輸送を担当する仮想種族のプロトスのユニットを意味する。他のイルチンにパンを奪われると「シャトル墜落(셔틀추락)」、使い走りの速度が速いと「速業シャトル(속업셔틀)」という。使い走りの種類によって「金シャトル(돈셔틀)」、「バス・シャトル(버스셔틀)」、「カバン・シャトル(가방셔틀)」ともよぶが、大体は「パン・シャトル」という。
※「スタークラフト」については、本ブログ2011年8月23日の記事「韓国で人気絶大のゲーム スタークラフトのすべて」を参照のこと。

 以前、韓国では社会のさまざまな事象が日本の20数年遅れで起こっている、というようなことを記しました。(→コチラ)
 日本で、東京都中野区のいじめを受けていた中学生が「このままじゃ生きジゴクになっちゃうよ」という遺書を残して自殺したのが1986年。教師も葬式ごっこに加担していたりして、いじめが社会問題化しました。(もう四半世紀も経ったのですね・・・。)
 近年、20数年という年差が縮まっているように思えますが、こんなところまで日韓2つの社会が共通の要素を持っているということなんでしょうね。
 日本も決していじめ問題は克服されていないし、課題は依然多いですが、韓国ではそんな「いじめ先進国(??)」日本のいじめ対策をいろいろ参考にして取り組んでいるようです。

★古狸案先生こと今井久美雄先生のブログ「上級韓国語」では、すでに一昨年(2010年3月)「パンシャトル…いじめにもいろいろ」という記事でいじめ関係の新語が取り上げられていました。そこでは「代わりに宿題をやらせる숙제셔틀,タバコを買いに行かせる담배셔틀,替え玉試験をさせる시험셔틀,自分の体操着を持ってこないで貸せと迫る체육복셔틀」等も紹介されています。
 (いつもながら、勉強になる記事満載のブログです。)

※「韓国のパシリたちよ、集まれ!」ネットに『使い走り連合会』結成で話題に」という2009年のニュースを見つけました。(日本語)→コチラ
 「パン・シャトル」の生徒たちのためのサイトのようです。→コレかな?
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[3月2日(金)~4日(日)]

2012-03-06 18:42:57 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 今日観てきた「おとなのけんか」で今年13本目。すでに、「今年は映画のレベルが高いぞ」という予感が・・・。先々週の「ニーチェの馬」に続き、もう例年でいえば年間ベスト3レベル、と思ったのが先週観た「ヒューゴの不思議な発明」。私ヌルボにとって初めての3Dがこれで、正しい選択だったと一人納得。(3Dが2Dより「不自然」なところが、逆にこの作品にマッチしていた。)
 しかし、<映画生活>等の映画館系サイトの評点は意外なほど高くないんですねー(73点)。レビューを読んでみると、大方の人はタイトルや予告編を観て子ども向きのファンタジーと思っていたようで・・・。たしかに原題は「ヒューゴ」だけで(韓国題も)、内容をみるとそんな不思議でもないし、第一発明もしないのはアレレ?ではありましょうが・・・。しかし、たとえば元木一郎という人(一朗でなく)は「総統閣下はお怒りです」という個人的ニュース動画(?)で「眠い。物凄く眠い」に始まって「もっと面白い映画がたくさんあるから見なくていいかな」と未見の人に語っています。悲しいなー。面白い映画、そんなにたくさんありますか???? さる若い女性のレビューには「ディープな映画好きな方や年配の方は心揺さぶられる部分があるようです」って、ヌルボはまさに該当者か・・・。評論家諸氏は概して高く評価している中で、「週刊文春」シネマチャートでのおすぎ氏は★2つだけ。(他の4人は皆4つ。) 彼は1992年から担当していますが、初めの頃から首を傾げたことがしばしば。ヌルボ同様の映画ファンはそれなりにいるようで、さるブログには「おすぎが誉める映画は行かない。けなす、あるいは、ポイントが低い映画は出来るだけ観に行く」とまで書かれていました。ヌルボとしては、昨年公開の「アリス・クリードの失踪」なんかは彼も★5つつけていたし、そこまでボロクソには書きませんが、「大手の配給はだいたいべた褒めし、独立系や中小の配給映画に冷たい」ということは明白に感じていました。

 さて、昨日観た韓国映画がキム・ギドク監督の「アリラン」。「ニーチェの馬」等とは違った形で、これもひとつの画期的な映画表現、ということは頭ではわかるような気もしますが、小説でいえば元々私小説に対してはちょっと生理的に拒否感めいたものがあって、このような「私映画」にも波長が合わないのです。高校時代、国語の授業で教わった私小説論の影響が後々まで及んでいるようです。(後で知ったことですが、中村光夫「風俗小説論」がネタ元の授業でした。) 過去のキム・ギドク監督作品も少ししか観てないしなー、・・・で語る資格ナシ。

         ★★★ Daumの人気順位(3月6日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①折れた矢(韓国)  9.6(2648)
②オペラ座の怪人 25周年特別公演  9.4(98)
③十八、十九(韓国)  9.2(26)
④猫おどり(韓国)  9.2(84)
⑤バンバン・クラブ-真実の戦場-  9.0(31)
⑥ビッグ・ミラクル  9.0(44)
⑦アーティスト  9.0(177)
⑧アメリ  9.0(102)
⑨ミンク・コート(韓国)  8.9(30)
⑩ダンシング・クィーン(韓国)  8.9(1268)

 新登場は②だけ。原題は「열여덟,열아홉」。半分はとても似ていて、半分はとても違う二卵性双子の兄妹ホヤとソヤ。友人たちが誤解するほど仲が良い2人だが、18歳になった冬、ソヤはホヤに隠した心を告白するが、動揺したクラスの女の子トミとつきあい、ソヤも女子たちの憧れのボクシング部先輩イルガンと衝動的につきあうが別れてしまう。交錯した4人の葛藤は大きくなるばかり。結局ホヤは葛藤にうちかとうとボクシングを始める・・・。青春成長映画、ですね。

【専門家による順位】

①自転車に乗った少年  8.8(6)
②ニーチェの馬  8.5(2)
③戦火の馬  8.2(4)
④2本の線(韓国)  8.0(1)
⑤アーティスト  7.8(6)
⑤奇跡(日本)  7.8(6)
⑦ファミリー・ツリー  7.8(5)
⑧折れた矢(韓国)  7.7(7)
⑨ミッション:インポッシブル  7.6(5)
      ゴースト・プロコトル
⑩犯罪との戦争:悪いやつらの全盛時代(韓国)  7.3(6)

 先週と全く変わらず。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月2日(金)~4日(日)] ★★★

         ハ・ジョンウ、コン・ヒョジン共演の「ラブ・フィクション」が1位

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(22)・・ラブフィクション(韓国) ・・・・・・・・・2/29 ・・・・・・・・・・・・・567,811 ・・・・・・・・・1,013,810・・・・・・・・・7,836・・・・・・・615
2(新)・・Black&White ブラック&ホワイト・・2/29・・・・・・・・・・・212,504 ・・・・・・・・・・・337,264・・・・・・・・・2,590・・・・・・・351
3(1)犯罪との戦争・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/02 ・・・・・・・・・・・・・194,748・・・・・・・・・・4,389,185・・・・・・・・34,039・・・・・・・350
         悪いやつらの全盛時代(韓国)
4(2)・・ハウリング(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・2/16 ・・・・・・・・・・・・・103,286 ・・・・・・・・・1,529,539・・・・・・・・11,164・・・・・・・372
5(3)・・崖っぷちの男・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/22 ・・・・・・・・・・・・・・70,953 ・・・・・・・・・・・545,414・・・・・・・・・4,050・・・・・・・284
6(新)・・セーフ・ハウス ・・・・・・・・・・・・・・・・2/29 ・・・・・・・・・・・・・・70,204 ・・・・・・・・・・・115,474・・・・・・・・・・・865・・・・・・・291
7(新)・・Act of Valor・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/29 ・・・・・・・・・・・・・・54,420 ・・・・・・・・・・・・99,257・・・・・・・・・・・743・・・・・・・222
8(4)・・ダンシング・クィーン(韓国)・・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・・・・・・59,396・・・・・・・・・・3,960,461・・・・・・・・29,437・・・・・・・220
9(6)・・トール-ヴァルハラの伝説 ・・・・・・・2/09 ・・・・・・・・・・・・・・42,278 ・・・・・・・・・・・717,166・・・・・・・・・5,216・・・・・・・249
10(41)・・ヒューゴ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/29 ・・・・・・・・・・・・・・22,397 ・・・・・・・・・・・・40,415・・・・・・・・・・・427・・・・・・・・85
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は1・2・6・7・10位の5作品です。
 1位「ラブフィクション」はハ・ジョンウとコン・ヒョジン主演のロマンティック・コメディー。ベルリンで三流小説家(ハ・ジョンウ)は、外国映画の輸入会社に勤める女性(コン・ヒョジン)と灰皿をきっかけに出会い、ラブレターや花束の攻勢で、彼女も彼を家に入れる仲にまで急進展。バツイチで自由奔放な性格等々問題はあるものの彼は彼女への攻勢を続け、原稿もすらすらと書けるようになるが、その後の2人の心は・・・。しかし何なんだ、「アラスカのワキ毛女」というのは?(笑) 原題は「러브픽션」。
 2位、CIAのイケメン2人が1人の女性をめぐってバトルを繰り広げるアクション・コメディ。日本では4月20日公開。韓国題は原題「This Means War」そのままで「디스 민즈 워」。
 6位、これもCIAのエージェントが登場するアメリカ映画ですが、コチラはアクション・スリラー。元CIAの優秀な工作員だった重犯罪者(デンゼル・ワシントン)が南アフリカにある凶悪犯収容所セーフハウスに護送されてくる。ところが極秘のはずのセーフハウスが武装集団に襲撃され、管理人で新米工作員(ライアン・レイノルズ)がその元工作員を連れて脱出するが・・・。韓国題は「세이프 하우스」。日本公開は未定です。
 7位、なんだなんだ、これもCIAが出てくるアクションだって!? アメリカ海軍の特殊部隊ネイビーシールズは国際テロリストに拉致されたCIA工作員の救出に成功するが、アメリカを攻撃する大規模な計画を知らされ、部隊はテロリストの計画を阻止するためさらに困難な任務へと向かう。実際の事件を土台に再構成した作品とか。最大の売りは、物語で活躍するネイビーシールズが全員、本物の現役兵士だということだそうで、装備等もすべて実物なのだそうです。なんかアメリカの軍事戦略の問題点が見えるような気がするんだけど・・・。韓国題は「액트 오브 밸러:최정예 특수부대」。日本公開は未定。
 10位は冒頭でも記したように日本でも3月1日から公開。皆さんも観てください!

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・アーティスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/16・・・・・・・・・・・・・・・・17,308 ・・・・・・・・・・・・・86,502・・・・・・・・・666・・・・・・・・103
2(新)・・啐啄同時(韓国)・・・・・・・・・・・・・・3/01 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・561 ・・・・・・・・・・・・・・1,640・・・・・・・・・・11・・・・・・・・・16
3(24)・・十八、十九(韓国) ・・・・・・・・・・・・3/01・・・・・・・・・・・・・・・・・・・446・・・・・・・・・・・・・・・・・965・・・・・・・・・・・6・・・・・・・・・17
4(3)・・神々と男たち・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/19・・・・・・・・・・・・・・・・・・・442・・・・・・・・・・・・・・12,204・・・・・・・・・・91・・・・・・・・・・4
5(7)・・番人(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・2011/3/03 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・279 ・・・・・・・・・・・・・22,958・・・・・・・・・178・・・・・・・・・・2
                                      
 2・3位が新登場。
 2位、「啐啄同時(そったくどうじ)」とは、雛が卵から産まれ出ようとするとき、殻の中から卵の殻をつついて音をたてる(=啐)と、すかさず親鳥が外から殻をついばんで破る(=啄)ように、機が熟して悟りを開こうとしている弟子に師がすかさず教示を与えて悟りの境地に導くことをいう禅語。で、この作品ですが、ガソリンスタンドで働く脱北者の少年と朝鮮族の女の子、モーテルを転々として体を売るゲイの少年が、絶望の中から希望を捜し出す過程を描いた作品で、昨年の第68回ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門出品作。原題は「줄탁동시」。
 3位「十八、十九」は前述。
 5位「番人」、ずいぶん息長く上映されています。
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