ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

カンプルの漫画「26年」と5.18光州民主抗争

2011-10-31 23:56:51 | 韓国の漫画
 私ヌルボ、いろいろ仕入れた韓国関係のネタ(インプット)と、ブログ記事(アウトプット)がほぼ等量だといいのですが、慢性的にインプットが溜まっていって、記事の方が追いついていけない状態になっています。
 この9月以降にしても、光州旅行については簡略版だけしか記事にしていないし、金沢旅行では実は尹奉吉の密葬地といういかにも韓国オタクらしい所にも行ったのですが、調べはじめるとキリがつかなくなってきてまとめるのが難しく、今に至っています。

 そこで思いついたのが2つのネタの合体。
 ・・・ということで、今回はカンプルの漫画と5.18光州民主抗争について。

 カンプルの漫画については、これまで何度も本ブログでとりあげてきました。ネット漫画家の草分け的存在で、これまでほとんどの作品が映画化されています。
 ただ、映画でヒットしたのは今年前半の「あなたを愛しています(당신을 사랑합니다)」が初めて。彼の作品の多くが群像劇で、時間軸・空間軸が複雑に交錯する緻密なプロットが大きな持ち味になっていますが、それをどう構成するかが映画表現での難しいところだと思います。

 彼の作品で、日本で翻訳本が出ているのは初期の「純情物語 1~4」(双葉社.2005)だけ。
 若い会社員と、同じマンション(韓国ではアパート)の女子高生との文字通り純愛を描いた物語ですが、私ヌルボとしてはちょっと純情すぎて、彼の作品のランクとしては水準以下ってとこですねー。

 2004年の時点での彼の紹介記事で、すでに彼のことを「猟奇漫画家(ここではギャグ漫画のこと)」「純情漫画家」「運動圏漫画家」と紹介しています。
 これにもう一つつけ加えると「恐怖漫画家」でしょう。

 上記の「純情物語」以降、翻訳書は出ていませんが、韓国ではネット連載の完結後に本として刊行されています。
 ヌルボは今までほとんど読んできました。ちなみにベスト3(順不同)をあげると、
 ○「바보(パボ.馬鹿)」 
 ○「26년(26年)」
 ○「그대를 사랑합니다(あなたが好きです)」


の3作品。
 恐怖漫画では「timing」あたりですかねー。

 彼の本を購入するのがめんどう、という人は「DAUM漫画」のサイトで読むことができます。

 今年刊行された「당신의 모든 순간(あなたのすべての瞬間)」全30話は→コチラから。
 そして今は「조명가게(照明器具店)」を連載中です。→コチラから。いずれも恐怖漫画です。
※こういうのをイチイチ読んでるのもブログ記事が書けなくなってしまう一因。
 
 さて、上記紹介記事にあったように、カンプルの一側面は運動圏漫画家です。
 「運動圏」とは、学生運動・労働運動、反政府の市民運動の側を一般的にさす言葉です。
 今年6月20日の記事で書きましたが、カンプルは今年問題化している大学登録金(授業料)値上げ反対闘争についても漫画で支援しています。→コチラ参照。
 また、李明博政権批判の本「악 법이라고 : 10년을 거꾸로 돌리는 MB악법 바로보기(悪法だって: 10年逆戻りする李明博の悪法を正しく見る」の筆者にも名を連ねています。

 さて、ここからが本論。

 9月の光州旅行で、偶然の出会いで案内していただくことになった金容哲さんが車で5.18民主墓地まで送って下さいました。
 墓地中央に追慕塔が立っています。この塔にはデジャヴュ(既視感)・・・じゃなくて、明確に見た 記憶がありました。先述のカンプルの漫画「26年」の一場面で初めて見たのです。
 5.18光州民主抗争は、もちろん運動圏の人たちにとっては象徴的な意味をもつ出来事です。この

     
    【国立5.18民主墓地。左はカンプルの漫画「26年」から。】

 この「26年」も「運動圏漫画家」のカンプルらしい漫画の代表です。
 1980年から26年後、自分の親を5.18抗争の中で殺された当時の子どもが成長して、「親の敵(かたき)である全斗煥を亡きものにしようと計画を練り、実行に移す、という話です。(実在の人物をターゲットにした漫画は、日本では発表できるのでしょうか?)
 この漫画も緻密に構成された群像劇で、音楽でいえば、いくつもの楽器のそれぞれの旋律が、最後の瞬間に響きあい収束する、という感じです。
 この漫画も、詳しくは→コチラで直接見ていただくとして、その中に1974年生まれで1980年当時7歳(韓国は数え年がふつう)だったカンプルがどのようにして光州民主抗争を知るようになったかを自ら話し言葉(パンマル)で書いた部分があります。→コチラ

 これを読んでわかったことを略述します。

・カンプルにとって「5.18」という言葉が初めて心に残ったのは中学2年の時(1987年?)。帰宅途中、新川駅の地下道を歩いていると、大学生らしい学生が地下道の壁いっぱいに写真を貼っている。目を開けて見られないほど凄惨な屍体の写真で、言葉にできないほどの衝撃を受けた。説明を見ると、皆光州で同じ日に死んだ人たちだった。少し後に警官が追っかけてきたので、学生たちは走り去った。 
 警官は写真を破っていったが、カンプルはその場に茫然と立ったままだった。あの人たちはなぜ死んだのだろうとの疑問が残った。それが彼と「5.18」の最初の出会いだった。
※今ここでヌルボが知った新事実! カンプルとヒョンビンは同じチャムシン(蚕新)中学校卒です。ただしヒョンビンは1982年生まれなので学年はカンプルの(たぶん)8年下。

       

・高校生の時、明洞に遊びに行ったら、大勢の人が群がっていた。「80年に光州で多くの人を殺した全斗煥は殺人魔だ!」とスピーカーを持った男が叫んでいた。そこでも光州の犠牲者たちの写真を見た。それが「5.18」との2回目の出会いである。

       

・カンプルは大学に入って、先輩から「5.18」がどんなことだったのか教えてもらった。
 カンプルを漫画の道に導いてくれた漫画は、朴在東(パク・チェドン.박재동)先生の「ハンギョレ漫評」だった。カンプルも「5.18」に関する漫画を大字報の形で続けて描くようになった。

・大学1年の時、非常な人気を集めたドラマが「砂時計」。その中で「5.18」が断片的だが出てきた。主人公テスの弟分だった光州の若者は、素手で鎮圧軍に立ち向かうという。その言葉が印象に残る。

      

 映画「ペパーミントキャンディ」も、過去の傷(「5.18」の時の加害者)が現在まで続いていることを思った。

・しかし、その後文民政権が成立した後も、「5.18」の歴史はきちんと清算されていない・・・。


 このようなカンプル自身の経験は、1980年当時、リアルタイムでマスコミ報道がほとんどなされなかった韓国で、直接の体験者ではない多くの人々がどのようにして「5.18」の知識を得ていったかを示す好例といえるのではないでしょうか?

 また、最近のソウル市長選挙で、進歩陣営の無所属・朴元淳氏が当選した背景に<SNS世代>ともいわれる20~40代(<2040世代>ともいう)の若い層の政党離れがある、と韓国メディアは報じていました。カンプルや、彼の主要読者層も、革新性向を示すこの世代の一般的な構成員ということでしょうか。
※<SNS>とはソーシャル・ネットワーク・サーヴィスの頭文字。

★★★ 2011年11月23日の付記 ★★★
 <夾竹桃日記>というブログ中の記事<韓国のマンファ ストーリーが秀逸?>で、この記事が紹介されていました。→コチラ 
 韓国の漫画について、当記事を参考にして下さるのはうれしいですが、さらに補足しておきます。<夾竹桃日記>にカキコミしようと思ったのですが、うまくいかなかったので・・・。

○漫画の漢字を個別に発音(「漫、画」と)するとマンファですが、続けるとマヌァとなります。

○韓国漫画の歴史について。ソウル近郊の富川(プチョン)市にある漫画ミュージアムに行ったことがあります。その記録もブログ記事にしてあります。→コチラ
 そこにも書きましたが、「日本の漫画の流入や影響について全然触れられていない!」という大きな問題があります。「意識的に(精力的に、必死になって・・・)日本の影響を漫画の歴史叙述&展示から除去していった」とのことです。
 関連で「コネスト」という韓国関係サイト中に「韓国漫画事情」(←オススメ!)という連続(3回)記事があり、歴史や現況をかなり詳しく紹介しています。

○ベストセラー上位20位以内に、現在韓国漫画は6点、他はすべて日本の漫画です。
 韓国の漫画ファンも、作家の国籍とは関係なく作品のレベルで選んでいるわけなので、数は少ないにしても、韓国漫画の中にも高い評価を得ているものがあるのは事実です。

○カンプルの漫画は、「絵がヘタ」というのは韓国内でも指摘されているようです。最初からネット漫画家としてスタートせざるを得なかったという事情が、日本の作家のようにアシスタントが背景等を丁寧に描き込んでいくようなものとは全然違うものになっている背景としてあると思われます。
 ただ、緻密なストーリー展開とテーマ性は評価されるべきで、だからこそ多くの作品が映画化されていると思います。「26年」や「あなたを愛しています」は本当に読み応えがありました。

○ホ・ヨンマンという韓国漫画界の大御所の「食客」は、「美味しんぼ」を参考にしたということを作家自身が書いています。「主人公を記者にするのは避けた」とも。これは綿密な取材に基づいて描かれていて、「美味しんぼ」に勝るともおとらないレベルの作品になっています。2009年に講談社KCDXから翻訳本が出ましたが、売れなかったのか第5巻で止まったままです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

たいした本だなあ・・・・ 金文京「漢文と東アジア 訓読の文化圏」(岩波新書)

2011-10-28 21:06:13 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 半年以上も前から感想をぜひ書かなければと思いながらも延び延びになっていました。
 金文京「漢文と東アジア ― 訓読の文化圏」(岩波新書)のことです。

        

 昨日発売の「週刊文春」で、仏文学者の鹿島茂さんが専門外にもかかわらず見開き2ページの4分の3を費やしてこの本の内容を「目のさめるような仮説」「傑作」等の賛辞入りで詳しく紹介しているのを読んで、私ヌルボも自らに課した課題を等閑にしていたことに気づきました。

 近年(・・・って、この10年くらい)読んだ新書の中では抜群に内容豊富で、非常に勉強になった本です。いや、勉強になったというよりも、目からウロコどころか、脳内の一部分がパッと明るくなったような感じですね。

 決して読みやすくもなく、楽しく読める本ではありません。しかし一流の研究者はすごいもんだなあということを実感させてくれる、非常に中身の濃い本です。

 内容を大雑把にいえば、「中国、朝鮮、日本、ヴェトナムなど東アジアの国々で、漢文を共通の知識とする文化圏があったことを「訓読」という現象を通して明らかにした文化論」で、「訓読に関する新発見の資料などを使いながら、漢文訓読が日本独自のものではなく、東アジアに共通する現象であったことが豊富な事例を通して明らかに」するとともに、とくに「漢文訓読の根底には仏典の漢訳体験があった」ことを示す等、「文化の伝播のわくわくするような面白さ」がある、と岩波新書の宣伝文には記されています。

 これだけでは、この本のすごさがわからないと思います。
 具体例をあげると、インドで生まれた仏教を中国で受容する際、文法構造が全然違う梵語(サンスクリット語)の仏典をどのような手順・方法で翻訳していったかが説明されます。
 そして中国から仏教を受け容れた朝鮮や日本等の場合、やはり文法構造の違う中国語の仏典をどのような形で理解していったかが説明されます。たとえば、日本では漢文の授業でおなじみの返り点。そして私ヌルボは名称しかしらなかったヲコト点についても詳しく記されています。

 このようなテーマの研究では、中国語と梵語、そして中国周辺の諸言語(日本、朝鮮以外も)に通じていなければなりません。学者として当然とはいえ、ヌルボにとってはそれだけですごいなー、というレベルです。
 そのような空間的(地理的)広がりだけでなく、日本の中だけでも時代によって訓読の方式が変化しているんですね。「之」を読まずにスルーするか、「これ」と読むか等々。それにはたとえば儒学だと孔子をどう理解するか、原典にどこまで密着・重視するか等の各時代各学派の姿勢に関わっているということなのだそうです。
 つまり、そんな時間的(歴史的)広がりをも金文京先生は垣間見させてくれるのです。

 <空間的(地理的)広がり>で、さらにもう一例ヌルボが「そうだったのか!」と今になって視野が広がったのは、国風文化の前提や背景について。
 これまでのヌルボの日本史理解だと、衰えゆく中国からはもはや学ぶべきものはない、と遣唐使を廃止し、以後日本独自の繊細優美な国風文化が発達した・・・とここまでは一応よいとしても、中国その他外の世界に対する知識・関心も低下していったような受けとめ方をなんとなくしていました。
 ところが本書によると、(儒教とは異なり)「インド起源の仏教では中国の存在が相対化されるのであって、中国の漢文を日本語で読むという訓読の発想は、そのような中国文化の相対化、特にインドの梵語と日本語が類似の言語であるという認識をテコにして生まれたものであったと考えられる」、つまり、インドと中国のどちらが優位か、という問題も背景にして、「(語順が似ている)梵語と日本語の対応関係を通じて、日本語の訓読と漢文が対等の関係に立ったことの結果であり、いわゆる国風時代のはじまりとも軌を一にしている」というわけです。

 このように、重箱の隅をつつくような細かな作業や考証を積み重ねて、それを土台に大きな歴史像を構想してゆく過程が、むずかしいなりにヌルボのような門外漢にも理解できるように叙述されています。

 「重箱の隅」といえば、角筆についても興味深く説明されています。(10年ほど前だったか、新聞記事で初めて角筆について知った時にはびっくりしたものです。)
 これは先のとがった木や竹で墨をつけずに紙をへこませて書くもので、1961年に小林芳規現広島大名誉教授が世界で初めて古文書にその痕跡を発見し、今では全国で約3500点見つかっているそうです。
 この角筆によるヲコト点が日本で確認されたばかりでなく、韓国でも2000年に角筆によるオコト点方式の11世紀の訓読が発見されたとのことで、<日・韓訓読シンポジウム>の報告記事等でその意義や研究の現況をうかがい知ることができます。

 大学の先生方が執筆している新書にもピンからキリまであって、別に大学の先生でなくても書けるゾ、というレベルのものも少なからずありますが、この本については私ヌルボ、ただ平伏するばかりです。
 アマゾンのレビューや、一部のブログを見ると、堂々と批判してる人もいるからたいしたものです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

萩原朔太郎の詩と韓国(2) 韓国での文学研究の現況 =民族主義的文学史からの脱却

2011-10-26 23:52:42 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 先の記事で、「現代詩手帖」10月号の林容澤教授の書いた韓国における萩原朔太郎について記しました。今回はその続きです。

 今日は天気も好く時間もあったので、初めて世田谷文学館に行ってきました。
 菅野昭正先生が館長で、かねてから行こうとは思っていたのですが、今ちょうど企画展で「生誕125年 萩原朔太郎展」をやっているので、この機会をとらえて行ってきたというわけです。

    

 朔太郎の自筆資料では、有名な「竹」の「光る地面に竹が生え」以下の「竹が生え」は下書きでは「竹が立ち」、「蛙の死」中の「かわゆらしい」は「かわいらしい」だったこととか、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」に、「世界第一の書物はこれである」「この書物をよんだ人は一晩の中で急に賢人になることができる」等の書き込みをしていたり等々に注目しました。
 しかし、少年~青年時代の朔太郎の写真を見ると、いいとこの坊ちゃんにありがちな軽佻浮薄な感じですねー。実際いくつもの学校で中退を繰り返してまともに卒業したためしはないし・・・。雰囲気的に堀口大學の若い頃と似ているような・・・。
※工藤美代子「黄昏の詩人―堀口大学とその父のこと」の感想を書いてないことに気づきました。堀口大學の父九萬一は閔妃暗殺に深く関わった外交官です。

 この特別展に行ってよかったのは、朔太郎もさることながら、私ヌルボの好きな司修のとても印象的なリトグラフ作品を観ることができたこと、そしてムットーニのからくり劇場「猫町」その他を初めて鑑賞できたことです。

     
       【「猫町」朗読の音声が流れ、箱の中の人形などが動くのです。】

 ただ、予測はしていましたが、韓国・朝鮮に関わるネタはとくにありませんでした。

 ここから本論です。
 林容澤教授の「韓国における萩原朔太郎」を読んで勉強になった2つ目の点は、朔太郎の詩が当時の朝鮮人詩人たちに及ぼした影響と、それについての韓国での研究の現況についてです。

 林教授は、韓国詩壇で最初に朔太郎を紹介したのは、象徴主義系列の詩人・黄錫禹(ファン・ソグ)が1920年「廃墟」創刊号中の「日本詩壇の二大傾向」」という一文で「萩原朔太郎は三木露風氏の攻撃者で、一時日本詩壇において有名を振るっており・・・当時の野口米次郎、室生犀星にいわせると、日本の大天才とのこと。しかし・・・」等々と記しているのが嚆矢とのこと。
 そして、「当時の(韓国の)詩人たちに少なからぬ知的興味を呼び起こしたものと察せられる」として、その代表格という感覚派抒情詩人・李章熙(イ・ジャンヒ.1900~29)の猫の詩を例としてあげています。

   봄은 고양이로다                  春は猫ならし  (金素雲訳「朝鮮詩集」(1940))

 꽃가루와 같이 부드러운 고양이의 털에    花粉のやうな軟らかい猫の毛並に
 고운 봄의 향기(香氣)가 어리우도다.       仄かな春の香気はこもり、

 금방울과 같이 호동그란 고양이의 눈에    鈴のやうに見開いた猫の瞳に
 미친 봄의 불길이 흐르도다.           狂ほしい春の光は閃(きらめ)く。

 고요히 다물은 고양이의 입술에         しづかに結ばれた猫の口辺に
 포근한 봄 졸음이 떠돌아라.            のどかな春の睡(まどろ)みは宿り、

 날카롭게 쭉 뻗은 고양이의 수염에       突き延びた猫の鋭い髯に
 푸른 봄의 생기(生氣)가 뛰놀아라.         あたらしい春の生気は動く。 



 この作品について林教授は「・・・なかでも、春の気だるさに誘い出された“狂ほしい春の光(原詩では炎)”は読者を情炎と官能の世界に導き、『月に吠える』での「猫」を思い浮かばせるものがある」とコメントしています。
 この他にも、同じ李章熙の「猫の夢」という詩も朔太郎との接点が見受けられる作品として紹介されています。

 大正~昭和前期に日本に渡ってきた多くの韓国人の中で、文学を志した人々が当時の日本の作家や詩人の影響を受けただろうことは至極当然のことで、上記の朔太郎の例もとくに意外なものでもありません。

 ただ、昨年11月8日の記事でも書きましたが、韓国・北朝鮮では、長く<比較文学という学問がありえなかった>ということです。
 強い民族主義、ナショナリズムが学問の世界をも包み込む中で、「われわれの民族を代表する○○の作品が外国の(とくに日本の)影響を受けたなどということはありえない」というわけです。「影響を受ける」は剽窃と等価で、独創性・主体性を否定するものと受けとめられたのでしょう。
  しかし、その記事の末尾で私ヌルボも記したように、近年韓国内でも変化が目立ってきているようです。文学研究の分野でも、話題となった「解放前後史の再認識」の編集に参画した金哲延世大教授をはじめ、ナショナリズムを脱した研究者が増えてきているように思われます。
 この林容澤教授の論考では、「日本文学についての研究自体が一九九〇年代に入ってから本格的に始まった」とあり、朔太郎研究も、「質と量ともにまだ不備な点が多い」としながらも、何人もの朔太郎研究者の名をあげています。
 ・・・ということは、朔太郎だけでなく、北原白秋等々、他の日本詩人と韓国人詩人との人間関係や影響などについても研究が進められている、あるいは今後進められていくと見ていいのでしょうか? 
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[10月21日(金)~23日(日)]

2011-10-25 17:26:08 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 過去1週間に観て良かった映画は、1つ前の記事で紹介した「牛と一緒に7泊8日」と、「アリス・クリードの失踪」。後者はやっと観ることができましたが、期待通り。わずか3人の登場人物で、深みはポランスキーの「死と乙女」に劣るものの、最初からラストまで緊張感が持続して目が離せません。私ヌルボとしては「猿の惑星:創世記<ジェネシス>」よりもず~っとおもしろかったけど、<映画生活>の平均評点は「猿の惑星~」が78点で「アリス・クリード~」は66点。映画に何を求めるかは人によりけりですからねー・・・。あ、「アジョシ」も78点ですね。これはナットク。

         ★★★ Daumの人気順位(10月25日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①トゥルー・マッ(味)・ショー(韓国)  9.6(400)
②るつぼ(韓国)  9.5(781)
③折り梅(日本)  9.4(20)
④アンサンディ  9.2(126)
⑤ただあなただけ(韓国)  (392)
⑥庭を出ためんどり(韓国)  9.1(776)
⑦ナデルとシミン  9.1(23)
⑧リアル・スティール  9.0(575)
⑨インファナル・アフェアⅢ 終極無間  8.9(85)
⑩最終兵器 弓(韓国)  8.4(2625)

 「ワンドゥギ」がこのランクにも登場。なかなかの高評価です。
 初登場は③だけ。2002年公開の日本映画ですが、私ヌルボは観ていません。「痴呆の老母を抱えた家族のとまどいと葛藤を描いたドラマ」とのこと。韓国で人気の日本映画といえばアニメが突出している感じですが、こういう地味な映画も3館とはいえ上映されて観客の共感を得ているんですね。韓国も日本以上の高齢社会だし、同様の問題を抱えているということもあるのでしょう。韓国題は「소중한 사람(大切な人)」。

【専門家による順位】

①手のとどく限り(韓国)  9.0(1)
②北村(プクチョン)方向(韓国)  8.0(8)
②ナデルとシミン  8.0(8)
④四つのいのち  7.5(2)
⑤庭を出ためんどり(韓国)  7.0(7)
⑥トゥルー・マッ(味)・ショー(韓国)  7.0(5)
⑦るつぼ(韓国)  6.7(8)
⑧ワンドゥギ(韓国)  6.7(5)
⑨モーツァルトの街(韓国)  6.6(3)
⑨ダンス・タウン(韓国)  6.6(3)\t

 新登場は④だけ。日本では4月に公開された伊・独・スイス合作映画です。韓国題は「네 번(4回)」で、コチラが原題「Le quattro volte」には忠実。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月21日(金)~23日(日)] ★★★

         多文化社会を背景にした青春ドラマ「ワンドゥギ」がトップに

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数
1・・ワンドゥギ(韓) ・・・・・・・・・・・・10/20・・・・・・・・・・・515,989・・・・・・・・・・・・・664,551・・・・・・・・・627
2・・リアル・スティール ・・・・・・・・10/12 ・・・・・・・・・・・502,141・・・・・・・・・・・1,551,601・・・・・・・・・593
3・・ただあなただけ(韓) ・・・・・・・10/20 ・・・・・・・・・・・304,170・・・・・・・・・・・・・414,665・・・・・・・・・550
4・・依頼人(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・9/29・・・・・・・・・・・・130,405・・・・・・・・・・・2,281,028・・・・・・・・・378
5・・三銃士/王妃の首飾りと・・・10/12 ・・・・・・・・・・・109,791・・・・・・・・・・・・・580,278・・・・・・・・・374
    ダ・ヴィンチの飛行船
6・・るつぼ(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/22 ・・・・・・・・・・・・90,936・・・・・・・・・・・4,563,584・・・・・・・・・367
7・・パラノーマル・アクティビティ 3・・10/20 ・・・・・・・・・56,133・・・・・・・・・・・・・・64,394・・・・・・・・・213
8・・ヒット(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・・・10/13 ・・・・・・・・・・・・19,935・・・・・・・・・・・・・・94,175・・・・・・・・・・86
9・・劇場版MAJOR ・・・・・・・・・・・・10/20 ・・・・・・・・・・・・・8,256・・・・・・・・・・・・・・・9,442・・・・・・・・・124
     友情の一球(日)
10・・最終兵器 弓 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5,436・・・・・・・・・・・・・・・6,511・・・・・・・・・・70
     監督拡張版(韓)
                                      ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。

 「リアル・スティール」が1週でトップの座を「ワンドゥギ」に譲りました。
  今週の初登場は7位と9位の2作品です。
7位、ホラー・シリーズの第3作。前2作に登場した姉妹が幼少時代に遭遇した恐怖体験を・・・って、なんと悲惨な姉妹なんだ・・・。日本では11月1日公開。
 9位は日本映画得意のジャンルで、2008年公開のアニメ。韓国題は「극장판 메이저:우정의 강속구(劇場版メイジョ:友情の剛速球)」です。

        
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国映画「牛と一緒に7泊8日」、観てきてよかった! 

2011-10-24 21:07:41 | 韓国映画(&その他の映画)
 3ヵ月前、韓国KBSで観ようと試みるもダメだった牛と一緒に7泊8日。東京国際女性映画祭で上映ということで、昨日(23日)行ってきました。
 とくにネット上での評判もそんなに高いわけでもないし、あまり期待していなかったのですが、結果的に大正解! 一般的な評価はどうであれ、私ヌルボは気に入りましたね、この映画。多くの人にも観てほしいと思いましたが、この映画祭では昨日だけ、それも18時~の1回だけの上映なんですね、残念ながら・・・。

 主人公は大学出で独身のアラフォー農村男性。鬱々と暮らしているある日、親の反対も無視して牛をトラックに乗せて売りに出ます。が、そこに昔の恋人から電話。夫が事故で急死したというのです。主人公と元恋人とその夫の3人は過去にいろいろあって・・・。以下、ネタバレになりそうなので一切省略。もっと知りたい方はネット検索すればいろんな記事がヒットしますよ。

 牛がなかなか売れないまま、男はトラックで韓国各地を周ることになります。その間、元恋人がやってきて一緒に酒を飲んだり言い争いをしたり・・・。

 原作はキム・ドヨン(김도연)作の「牛と一緒に旅する方法(소와 함께 여행하는 법」)。これが映画の原題でもあります。
 ある韓国ブログによれば、最初の方に主人公の先輩の文学賞祝賀会の場面があるのですが、そこで詩を朗読している先輩を演じているのがキム・ドヨンさんだとのことです。

 設定はやや深刻でも、随所にユーモアが散りばめられていて楽しめる映画です。怒りっぽい父親をはじめとする人間だけでなく、動物も。酔って夜遅く帰宅した主人公が飼い犬にフランスの詩を聞かせる(!)と、犬は眠ってしまいます。
 そしてなんといっても牛! 上映後のイム・スルレ監督の話では、「いつもは主演俳優と一緒に来るのですが、今回は牛なので連れて来られなかった」とのこと。演技をする牛を飼っている人は1人だけだが、その飼い牛5頭のうち一番男前の1頭」で、먹보(モクポ.食いしんぼ)という名前もあるそうです。そういえば、キム・ヨンピルコン・ヒョジンと並んで配役に名前がありましたね(笑)。

 牛と一緒に、というこのユニークなロードムービー。場所はどの辺りかな、と興味を持って観ていました。おおよそはわかる所もあり、全然わからない所もあり。で帰ってから韓国サイトをいくつか探ってみました。

 まず起点は江原道の山あいの村の農家。キム・ドヨン作家も江原道の平昌(ピョンチャン)で農業をやりながらこの小説を書いたそうで、その辺りかも。
 牛市場があるのは横城(フェンソン)
 そこから南下して慶尚北道に向かいます。
 順不同で列挙すると・・・・
 闘牛(소 싸움)で知られる清道(チョンド)韓国唯一の露天風呂という徳邱(トック)温泉
 「なんてこった寺」というヘンな名前の寺は韓国語では「맙소사(マプソサ)」。「사」がついてるので寺らしくも見えますが、この3文字で「なんてこった!」の意味の感動詞。実際には義城(의성.ウソン)にある水浄寺(수정사.スジョンサ)というお寺で撮ったそうです。
 あの美しい海岸は盈徳(ヨンドク)海岸の北端のコレブル海岸。ここで牛が寝そべって海を眺めている場面は本当に絵になってます。ここで牛に語りかける言葉もいいです。(下の予告編参照)
 その後トラックは慶尚南道に向かったようで、「晋州に向かっている」という道の両側には桜が咲き誇っています。
 次には「イシモチで有名な霊岩(ヨンアム)」とか。全羅南道ではないですか。
 最後のちょっと前はソウル市街。鍾路の普信閣の前を牛が歩いてる(!)とは、道行く人たちも驚いたでしょう。思わぬ「落とし物」までしちゃったりして・・・。(笑) ケータイで写真を撮ってた人たちはフツーの通行人かな?
 そして曹渓寺でもいろいろあって、最後にふり出しに戻ります。
※酔狂な人たちがこの映画の撮影地を旅行した記録があったので助かりました。(コチラは1泊2日。)
コチラ(コレブル海岸)と、コチラ(水浄寺)です。


     【コン・ヒョジンの関連インタビュー動画もぜひ見てみてください!】

 上述のように、映画の後にイム・スルレ監督の話とQ&Aの時間がありました。昨年見た「飛べ、ペンギン」にもいろいろ盛り込まれていたユーモアは監督自身のお人柄の反映のようで、とても楽しい話が聞けました。
 昨年韓国で公開された作品ですが、興行的には「むずかしい」「わかりにくい」等の感想が多くてふるわなかったとか・・・。
 私ヌルボとしては「飛べ、ペンギン」同様の高評価で、はっきり言ってファンになりましたね。

     
        【話も楽しいイム・スルレ監督】

※先に「ネット上での評判もそんなに高いわけでもない」と書きましたが、寺脇研さんはtwitterで激賞してました。→コチラ
 <SUMの韓国News落穂拾い+α>というブログでも絶賛してますねー。→コチラ

 イム監督、来年に予定している次作は「タイトルはまだ発表できない」が、「日本の作家の作品が原作」とのことです。ただし「村上春樹ではありません」とのこと。ある韓国サイトには「ネコの話」とありましたが、さて何でしょう?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

萩原朔太郎の詩と韓国(1) 韓国語の特性と、韓国詩翻訳のむずかしさ

2011-10-22 23:56:36 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 1960年代、全国の多くの高校には文芸部があって、たぶんその部員たちの大半は萩原朔太郎にかぶれていたのではないでしょうか? 少なくとも私ヌルボの出身校ではそうでしたね。なんでこんなに不健康な詩を彼らは好き好んで書くのか、健全な少年ヌルボは理解できなかったです。
 その後、朔太郎にも、「こころ」(こころをばなににたとへん こころはあぢさゐの花・・・)等のような不健康でもない作品があることを知り、とくに「陽春」(ああ、春は遠くからけぶつて来る・・・)はホントに好きな詩になりましたが、それでも朔太郎はヌルボの好きな詩人の中には入りません。

 さて、書店でたまたま見た「現代詩手帖」10月号の特集が<萩原朔太郎 2011>でした。内容とは関係ないけど、1400円とは高いです。かなりぜいたくな夕食が食べられる値段だなー、と思いつつも意を決して買ったのは、冒頭に菅野昭正先生と、詩人&作家の松浦寿輝さんの対談があったから。そして「金素雲『朝鮮詩集』の世界―祖国喪失者の詩心((中公新書)」の著者・林容澤(イム・ヨンテク)仁荷大教授韓国における萩原朔太郎という一文を寄せていたからです。

 その林容澤教授の記事がなかなか興味深い内容で、勉強になりました。その要点や考えたこと等を整理してみます。
 ポイントは、大きく分けて次の2点です。

A.日本の(or萩原朔太郎の)詩を韓国語に訳す際のむずかしさについて。 
B.『月に吠える』に代表される萩原朔太郎の詩が当時の朝鮮人詩人たちに及ぼした影響と、それについての韓国での研究の現況について。


 少し長くなりそうなので、今回はAに限定して書くことにします。

 林容澤教授は、民音社が1998年刊行した「世界詩人選」中に日本詩人4人を選定した際、その1人の萩原朔太郎の巻として彼の作品35篇を選んで翻訳したとのことです。
※萩原朔太郎以外の3人は松尾芭蕉、石川啄木、北原白秋です。芭蕉がどう訳されているか興味深いところですが、それはまたいずれ。

 日本の詩を外国語に訳したり、逆に外国の詩を日本語に訳す場合、ヌルボのような門外漢でも「ここらへんがむずかしそうだな」とふつうに察せられるのは、たとえば次のような点です。

②ある言葉の語感(ニュアンス)、イメージといったものがどれほど正確に伝えることができるのか? 
③原詩の韻律(リズムや母音の配列等)や音声の効果(軟らかさや、ざらざらした感じ等)をどれだけ他言語で表現できるのか?


 ここで②、③と番号をつけたのは、それ以外に林容澤教授の記述の中で、とくにあげられていた点に盲点をつかれたような感じがしたからです。それは、

日本語と韓国語それぞれの特性の違いによって、たとえば文法的・語法的に同じような表現をとり得ないことがある
・・・ということです。

 ここに掲げられていた具体例は「蛙の死」。『月に吠える』中の短い詩です。

 蛙が殺された、 
 子供がまるくなつて手をあげた、
 みんないつしよに、
 かわゆらしい、
 血だらけの手をあげた、
 月が出た、
 丘の上に人が立つてゐる。
 帽子の下に顔がある。


 これを韓国語に移す過程で露呈した問題点というのが次のようなこと。
 「蛙が殺された」について、「韓国語には受身の表現が発達しておらず、しかも動物には普通使わない」ので、「結局“死んだ”としか言いようがないわけだが、“死んだ”では蛙の死が他意による不可抗力のものという状況がうまく表現できない」と林教授は記しています。

 それから「かはゆらしい」にしても、「辞典的な意味の韓国語を探し当てるだけでは、・・・蛙の死に些かの罪意識も感じない子どもたちの無邪気な行動の不気味さと、その裏に身を隠した、人間の残虐さへの詩人の冷笑的な視線は伝えきれない」と指摘しています。こちらの問題は上記②に分類されるでしょう。

「韓国語は日本語に比べ、口語と文語の使い分けが曖昧」なので、「「氷島」のような漢語脈の文語詩と、他の口語詩との差別化に最新の配慮が要求される」という点も①の問題に属するでしょう。

 ・・・なるほど。では林先生、そこのところを実際どのように乗り越えて韓国語に訳したのかな、と韓国語学習者としては当然知りたくなりますね。この論考にはそれは載ってないので、韓国サイトを検索して見つけましたよ。次の通りです。原詩と並べてみます。
   
  蛙の死                  개구리의 죽음        
 蛙が殺された、            개구리가 살해되었다,
 子供がまるくなつて手をあげた、  아이들이 둘러서서 손을 들었다,
 みんないつしよに、          모두 함께,
 かわゆらしい、              앙증스러운,
 血だらけの手をあげた、        피범벅이 된 손을 들었다,
 月が出た、                달이 떴다,
 丘の上に人が立つてゐる。     언덕 위로 사람이 서 있다.
 帽子の下に顔がある。        모자 아래 얼굴이 있다.


 「개구리가 살해되었다, (蛙が殺害された)」ですか。ふーむ・・・。
 また林教授は、「猫」(『月に吠える』所収)でのオノマトペアの再現には、「詩の移植の難儀さを改めて実感させられた」と述懐しています。猫が、「ニャー」とか「にゃあ」ではなく、「おわあ」「おぎやあ」などと異様な鳴き方をしている詩で、ご存知の人も多いと思います。

 これも韓国サイトで探してみました。

     猫                      고양이 
 まつくろけの猫が二疋、           새까만 고양이가 두 마리,
 なやましいよるの家根のうへで、      나른한 밤 지붕 위에,
 ぴんとたてた尻尾のさきから、        쪽 세운 꼬리 끝으로,
 糸のやうなみかづきがかすんでゐる。   실 같은 초.승.달.이 희미하다.
 『おわあ、こんばんは』             [야옹, 안녕하시오]
 『おわあ、こんばんは』             [야옹, 안녕하시오]
 『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』      [야아오, 야아오, 야오오]
 『おわああ、ここの家の主人は病気です』 [야아오옹, 이 집 주인은 병이 났어요] 


 ・・・야옹(ヤオン)だと、ふつうの猫の鳴き声ではないですか? 야아오(ヤアオ)とか야아오옹(ヤアオン)になると、ニュアンスがどう変わってくるのか、ヌルボにはよくわかりません。
 これは上記の分類だと②と③両方に関わる問題になりますかね。
 
 萩原朔太郎ではないですが、以前からこれは韓国語に訳しようがあるのかとかねがね思っている詩があります。
 それは谷川俊太郎の『ことばあそびうた』中の諸作品。

 たとえば「かっぱ」

 かっぱかっぱらった  
 かっぱらっぱかっぱらった
 とってちってた

  (以下略)

 あるいは「いるか」

 いるかいないか
 いないかいるか
 いないいないいるか
 いつならいるか
 よるならいるか
 またきてみるか


  (以下略)

 これらは上記の分類③。
 このおもしろさを韓国の人(や世界の人)にも知ってほしいんですけどねー。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

下北沢で申京淑さんの話を聞く (1)

2011-10-20 23:29:42 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 年を取ると2年間はあっという間です。しかし、その2年という間には実にいろんなことがあって、自分を直接取り巻く状況もさまざまに変わるということを実感しました。

 2年前、たまたま読んで感動した「母(オンマ)をお願い」の感想に「翻訳本刊行を期待!」とタイトルをつけて本ブログ開設の最初の記事にしました。
 その後この本は世界31ヵ国で刊行される大ベストセラーになり、日本でも翻訳書が文庫本で発売され、そして来日した作者の申京淑さんが目の前にいて、私ヌルボと話をしている・・・。2年前にはとても想像もつかなかったことです。

 9月17日の記事で<10月の申京淑さん関係の催し at東京&名古屋>についての情報を流した張本人が行かない法はありません。20日の韓国文化院の方が本番のような感じですが、20日は都合がつかず、昨日19日の夜下北沢のギャラリーKYOに行ってきました。

 広くはない(はっきり言って狭い)会場に椅子が30数脚。予約しないで来た人もいて(実は私ヌルボもその1人)、20人近くは立ち見でした。

     
          【私ヌルボも立ち見だったもので・・・】

 申京淑さんの話については、数日後に記事にします。

 小ぢんまりとした会場でラッキーだったのは、ごく近くで話が聞けた上、その後にサインしていただいたり、一緒に写真を撮らせていただいたりできたこと。そして直接話もできたこと。「어디선가 나를 찾는 전화벨이 울리고(どこかで私をよぶ電話の音が鳴って)」にあった(「母をお願い」にもちょっと出てくる)冬葵(아욱.アウク)のこととか・・・。

         
    【話しぶりもお召し物も、思っていた通りの穏やかな雰囲気の方でした。】

 「母をお願い」の原書は手許になかったので、その「어디선가 나를 찾는 전화벨이 울리고」にサインをいただきました。

        
   【8色のサインペンセットを出して「お好きな色で書いて下さい」と言ったら紫色を選びましたね。】

 申京淑さんの前に「私の作品世界」というテーマで話された鄭泳文さんは、1965年生まれで、申京淑さんの2歳年下。しかし「物語」の意味を広く捉え、現代の中で積極的にその役割・意義を見出していこうという申京淑さんとは対照的に、鄭泳文さんは冒頭から「小説といえばほとんどの人は起承転結をもった物語が展開すると思うでしょうが、そうでなければならないものではない」と話を切り出しました。さらに「何も起こらない」ことや「メッセージの不在」を強調。伝えるメッセージの有無よりも「小説の形式そのものについての実験に関心がある」とのことです。10年ほど前にベケットから強い影響を受けた、とも・・・。「東京及び名古屋フォーラム資料集」によると、「多くの評論家が鄭泳文の小説を「メタ小説」と解釈する」等々と書かれていますが、むべなるかな。
 講演の後、個人的に質問しました。80年代までの韓国文学の伝統を意識しないのか、それとも意識的に否定しようとしているのか、どちらですかと・・・。お答えは後者でした。
 他の分野でも同様ですが、文学の面でも、韓国は日本等の先進国が4~50年かけて歩んできた道をこの20年の間に2倍速の早送りのように駆け足で辿ってきているようです。鄭泳文さんの話を聞いてとくにそのことを痛感しました。

 この日司会を担当された集英社の岩本さんとも少し話をする機会が持てました。ヌルボが「「母をお願い」も同じ集英社文庫の「風の影」のようなステディ・セラーになるといいですね」というと、「あの本も私が担当しました」とのこと。あー、そーなんだ(笑) はからずもうれしいこと言っちゃったネ。あと、「離れ部屋」も文庫本にしてほしい旨、要望しておきました。

 なお、上記「資料集」の他に、韓国文学翻訳院が出している「list Books ffrom Korea」(英文)という韓国書の紹介冊子を2冊いただきました。これがなかなか充実した内容のもので、個人的にも今後の本選びの指針ともなりそうですごく得した気分。さらには「スッカラ」の12月号\\790もタダでいただいちゃってラッキー!でした。 この日に行って、ホントによかった!
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「るつぼ(トガニ)」が韓国社会に起こしている旋風 =障害児童への性暴力問題= (つづき)

2011-10-19 23:58:34 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 9月30日の記事のつづきです。

 先の記事では、9月22日韓国で公開された映画るつぼ(도가니.トガニ)が起こした社会的波紋について、主に「朝鮮日報」(日本語版)の記事を中心に9月30日までのニュースの要点を日付順に追ってみました。
 今回は、10月に入ってからの動きを見てみます。

○10月5日 性的暴行:インファ学校経営の社会福祉法人、認可取り消し。
 映画「るつぼ」のモデルとなったインファ学校を経営する社会福祉法人ウソクに対し、光州広域市は設立認可の取り消しを決めた。
 「同法人は性的暴行事件の加害者を復職させ、再発防止を怠るなど、公益を害して社会に大きな衝撃を与えた。そのため道徳性に致命的な欠陥があることは否定できず、本来の目的を達成するのは不可能」との判断で、社会福祉法人の認可が取り消されるのは初めて。
 今回の決定を受け、学校に通う障害児たちは転校の手続きを7日までに進めることになった。

○10月6日 教員など100万人対象に性犯罪の経歴を調査
 韓国政府は、全国のすべての教員その他教育機関の従事者100万人を対象に、今月末までに性犯罪の経歴調査を終える方針を固めた。
 幼稚園・小・中・高の他、塾の講師や自動車教習所の指導員、家庭教師、国公立科学館の指導員等も含まれる。
 このうち85%に当たる約87万人については、7月までに調査を終えているが、残る約15万人についても今月末までに調査を終える予定。これまでの調査の結果、性犯罪の経歴があることがわかった教職員は100人未満だった。
 教科部は、性犯罪の経歴がある者が教育機関に勤務している場合は、各自治体の教育庁に人事異動を要請する意向とのこと。

○10月6日 「児童・障害者対象の性犯罪、量刑を見直す」大法院長官が表明
 映画「るつぼ」の公開をきっかけに、大法院(日本の最高裁に相当)が、障害を持つ子どもたちを対象にした性犯罪に対する量刑基準を強化する方針を固めた。
 梁承泰大法院長官は、障害のある子どもたちを含め、児童を対象とした性犯罪に対し、量刑が非常に軽いという指摘が多かったとし、「今後は、社会の安全を脅かす犯罪に対し、相応かつ適正な量刑を適用していく」と述べた。
 梁長官はこの問題に対して「司法が国民の感情や目線の変化を十分に認識できなかった点を突いた、骨身に染みる指摘だと思う」として、上のように述べた。

○10月7日 性的暴行:障害者施設に外部理事制導入へ
 映画「るつぼ」の上映を機に、一部福祉施設での障碍者に対する不当な扱いが問題となっていることを受け、再発防止のために、一部の理事を外部から任命する公益理事制を導入する方向で法改正が行われる見通しである。
 また保健福祉部は6日、社会福祉施設の透明性向上等を目指し、社会福祉事業法の改正に乗り出す方針を固め、専門家や障害者福祉施設の代表等からなる社会福祉の透明性・人権強化委員会を発足させた。

○10月6日 性的暴行:5年前のインファ学校訴訟、担当した判事とは
 2006年、光州広域市光山区庁がインファ学校を経営する社会福祉法人・ウソクに役員の解任を命じた際、ウソク側がこれを不服とし、命令の取り消しを求めて裁判を起こした。また同時に、命令の効力停止を求める仮処分申請も提出していた。
 当時この訴えを審理したS判事は「命令取り消しについての訴訟で判決が出るまで」という条件付きで仮処分申請を受け入れ、同時に仲裁案を提示し、区庁とウソク側はその仲裁案を受け入れた。しかしその内容は「理事4人と監査2人のうち、理事3人と監査1人はウソクが新たに選任し、残りの理事1人と監査1人は裁判所が推薦する」というウソク寄りのものだった。
 インファ学校性暴力対策委員会は「法人側の意向に従わない役員がもっと多く選任されていれば、インファ学校問題はもっと早期に解決していた」と主張している。
※記事ではS判事の実名が載っています。

○10月6日 性的暴行:インファ学校、生徒に強制労働
 副題が<インファ学校卒業生が証言「6年間ずっと強制的に働かされた」>
 「登校しても、やることはシャベルで穴を掘ることばかりだった」とインファ学校卒業生のチョさん(40)が手話で訴えた。
 彼をはじめとする卒業生21人は今年4月「ウソクによる悪行の事実を公表してほしい」と国家人権委員会に集団で陳情書を提出した。「1978年から84年にインファ学校に通っていた生徒たちは、まともな教育を受けられなかったばかりか、運動場の整備や法人施設の拡張工事などに強制的に動員させられていた」とのことである。1980年代にはインファ学校高等部はまだ認可を受けておらず、苦しい労働に耐えて受け取った卒業証書もすべて偽物だという。

○10月7日 性犯罪:「法施行前の犯罪も個人情報の公開可能」 最高裁が判決
 性犯罪者の個人情報公開を認める「性暴力犯罪の処罰等に関する特例法(性暴力特例法)」の適用は、罪を犯した時点ではなく、司法当局の情報公開命令が下された日を基準にすべきだとする大法院の判決が出た。法施行前の犯罪でも、性犯罪者の個人情報公開が可能だとの趣旨の判決である。
 大法院は「性暴力特例法は、対象となる犯罪が発生した時期には制限を設けていない。特例法が情報公開による性犯罪の予防を目的としている限り、法の施行前に罪を犯したとしても、情報公開命令の対象になる」と説明した。

○10月9日 【萬物相】映画の力
 ※<萬物相>はさまざまな話題を取り上げる連載コラム。
 ギロチンによる死刑を描いたフランス映画「暗黒街のふたり」(1973)は死刑制度廃止論を呼び起こした。「キリング・フィールド」(1984)はクメール・ルージュが行ったカンボジアでの大虐殺を世界中に知らしめた。大ヒットした「シルミド」(2004)によって国防部は部隊の存在を公式に認めた。「梨泰院殺人事件」(2009)の上映を機に、検察は1997年ソウルの梨泰院で起こった大学生殺害事件の再捜査を行うことを発表した。今年2月公開された「子供たち」は韓国で3大未解決事件の1つとされるカエル取り少年失踪事件を描いた映画だが、大きな反響をよんで再捜査を求める世論が起こった。
 そして公開初日から5日間で100万人以上の観客を動員した「るつぼ」。障碍者生徒への性的暴行を繰り返していた教職員が裁判で軽い刑を宣告されたり、数人は復職して同校に勤務している等の事実が広く知れわたり、非難の声が殺到した。こうした世論を受け、警察はついに昨日、該当する教職員に余罪がないかどうか捜査することを発表した。
 大法院の梁承泰長官、「今は量刑の基準がかなり高くなった」と世論を鎮めようとしたが、映画によって扇動された「公憤のるつぼ」は簡単には落ち着きそうにない。映画が大衆の心を吸いこむ吸引力を改めて実感する。映画が現実を反映するのではなく、現実が映画のメッセージを反映する世の中だ
※映画によって<扇動>ねー・・・。

○10月12日 性的暴行:加害者の特殊学校教諭、生徒と隔離へ
 光州広域市庁は11日インファ学校で14年前に生徒に性的暴行を加えたことが明らかになったA教諭に対し、役職からの解任、担任の交代、授業の再配置などの措置を取り、生徒たちと隔離すると発表した。A教諭は事件後もインファ学校に勤務し、2007年に公立の特殊学校に移っていた。
 また、警察庁特別捜査チームは上記の事件の他に1996年にも性的暴行が発生していたことを突き止めた。しかし加害者だった教師は現在もインファ学校に在職中で、最近になって市教育庁の特別監査により複数業務の怠慢が摘発され、解任が要求されている。

○10月14日 性的暴行:国家人権委、インファ学校など調査
 インファ学校での性的暴行事件をめぐり、国家人権委員会は、同校や同じくウソクが経営するインファ園を対象に、人権侵害の有無について調査に着手した。人権委は、先週行った事前調査の結果、インファ学校やインファ園が2006年に人権委へ告発された後も、人権を侵害する行為を続けていた可能性があり、また最近、法人認可の取り消しを前に、学校側が児童・生徒たちの退学・退園を食い止めるため、圧力をかけていた可能性もあることがわかった、と発表した。
※なんともひどい話だ・・・。

○10月18日 「インファ学校、47年前に餓死した児童埋めた」元教諭が証言
 インファ学校の元教諭キムさんは、「40数年前、教頭が飢え死にさせた男の子を自らの手で埋めたことがある。時期は1964年10月頃で、孤児だった7歳の男の子だったと記憶している。私はほかの教諭一人と共に、光州市東区鶴洞から7キロほど離れた無等山のふもとにその子を埋めた」と証言した。
 キムさんはまた「長い間部屋に閉じ込められていた男の子は、空腹のあまり、壁紙をはがして食べていた。6カ月後には、当時6歳と推定される女の子も長期間放置され、結局飢え死にした。警察に届け出たが、遺体がないという理由で無視された。これに失望し、68年ごろに退職した。その後2年間、この事実を暴露し続けたが、誰も耳を傾けなかった」と話した。 (←これらは明らかな虐待殺人事件ではないか!)
 性的暴行対策委員会は、人権が蹂躙された別のケースについても証言した。75年、当時大学生だった同校の理事長の3男が、聴覚障害のある女子生徒2人の服を脱がせ、ヌード写生をしたというものだ。3男は現在、光州市内の学校で美術教師として勤務しているとのことだ。

※日本でもそうですが、隠されていた事件や不祥事が明るみに出て、世論が沸騰するとどんどん法や制度が作られたり、関係者の処分等が続きます。ちょっと危なっかしい感じもなきにしもあらず・・・。(大相撲の八百長問題とか・・・。) 当時伝えるべきことを伝えず、孔枝泳の小説や映画に先を越されてしまったことを反省せず、逆にちゃっかり追及する側に回っているようなマスコミには憤りを覚えます。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[10月14日(金)~16日(日)]

2011-10-18 23:59:09 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 昨日決まった第48回大鐘賞映画祭の受賞作&俳優が「聯合通信」等々の今日のニュース
で報じられています。作品賞=「高地戦」、監督賞=カン・ヒョンチョル監督(「サニー」)、主演男優賞=パク・ヘイル(「最終兵器 弓」)、主演女優賞=キム・ハヌル(「ブラインド」)、助演男優賞=チョ・ソンハ(「黄海」)、助演女優賞=シム・ウンギョン(「ロマンチックヘブン」)、新人監督賞=ユン・ソンヒョン(「番人」)、新人男優賞=イ・ジェフン(「番人」)、新人女優賞=ムン・チェウォン(「最終兵器 弓」)。あら、李大根(イ・テグン)さんが映画発展功労賞を受けたの? そりゃ良かった!
少女時代も、今回はいいフンイキだったようで、良かったネ!

 日本でも映画祭がいろいろで、私ヌルボ、アタマがごちゃごちゃ状態。
 10月22日(土)~30日(日)は第24回東京国際映画祭
 韓国関係の映画(共作等を含む)は「第7鉱区」「哀しき獣(黄海)」「玄海灘は知っている」「大阪のうさぎたち」「マジック&ロス」「まぶしい一日」「韓国映画の秘密」。詳細はリンク先で見てね。
 第12回東京フイルメックスは11月19日(土)~27日(日)。韓国映画は、特別招待作品としてキム・ギトク監督「アリラン」、コンペティション部門で「ムサン日記~白い犬(茂山日記)」「豊山犬」「カウントダウン」が上映されます。全部観たいが、可能かどうか? (個人的な話ですが)韓国映画以外では、なぜかまだ観ていなかった「洲崎パラダイス 赤信号」(1956年川島雄三監督)。<日活100周年twitter>に、この作品を「三大男女の腐れ縁映画と勝手に認定。(他2本は「夫婦善哉」「浮雲」)」と書いてあるのを見て、「他2本」を共感と嘲笑と羨望(?)を持って観た私ヌルボとしては3本目も観なくては、ということです。

 過日の「アジョシ」に続いて先週観た韓国映画が「クイック!!」。超大作B級映画。楽しめるけど、「超大作」というカタチの大きさとB級という映画の質が合ってないような・・・。わりと世評の高い「猿の惑星:創世記<ジェネシス>」も、ヌルボとしては期待度通り10点満点で6点くらい。知性が増すと、凶暴度は減じるのでは、と思うのはヌルボの希望的観測にすぎない? 3Dだなんだとヴィジュアル面で進化しても、内容が伴わないと単なる見世物に止まってしまいます。振り返ってみれば<ヌルボお薦めの映画160本>(未公開)中、巨費をかけた大作はというと、・・・「ベン・ハー」(半世紀前!)くらいだなー。SFX(やVFX)を駆使した映画では、・・・「2001年宇宙の旅」だけかも。「パコと魔法の絵本」もかな?

         ★★★ Daumの人気順位(10月18日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①トゥルー・マッ(味)・ショー(韓国)  9.6(396)
②3バカに乾杯!  9.6(1828)
③るつぼ(韓国)  9.5(1987)
④アンサンディ  9.2(126)
⑤リアル・スティール  9.1(340)
⑥庭を出ためんどり(韓国)  9.1(757)
⑦ナデルとシミン  9.1(20)
⑧インファナル・アフェアⅢ 終極無間  8.9(83)
⑨星を追う子ども(日本)  8.5(70)
⑩最終兵器 弓(韓国)  8.4(2607)

 4位は先週興行成績の方で紹介しました。純粋に初登場は7位だけです。
 その7位、今年の第61回ベルリン国際映画祭で満場一致で金熊賞を受賞したイラン映画。7歳の娘と暮らす夫婦。妻は家族で国外に出たいが認知症の父を抱える夫は反対、妻は娘をつれて親の下に別居する。夫は父の世話をする女性を雇うが、やがて「事故」が起こってしまう・・・。日本では先月(2011年9月)の16日、アジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映されました。韓国題は「씨민과 나데르의 별거(シミンとナデルの別居)」。

【専門家による順位】

①手のとどく限り(韓国)  9.0(1)
②北村(プクチョン)方向(韓国)  8.0(8)
②ナデルとシミン  8.0(8)
④コンテイジョン  7.7(4)
⑤アンサンディ  7.6(6)
⑥庭を出ためんどり(韓国)  7.0(7)
⑦トゥルー・マッ(味)・ショー(韓国)  7.0(5)
⑧るつぼ(韓国)  6.7(8)
⑨モーツァルトの街(韓国)  6.6(3)
⑨ダンス・タウン(韓国)  6.6(3)\t

 ②「ナデルとシミン」、⑨「モーツァルトの街」、⑨「ダンス・タウン」が新登場。
 ②「ナデルとシミン」は上述しました。
 ⑨「モーツァルトの街」というタイトルはは第21回東京国際映画祭<アジアの風>部門出品作品でした時のもので、原題は「モーツァルト・タウン」。これに⑨「ダンス・タウン」と、今年3月に韓国で公開された「アニマル・タウン」と合わせて<タウン3部作>といわれるジョン・ギュファン監督の作品で、いずれも大都市に潜む孤独と悲しみをテーマにした作品です。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月14日(金)~16日(日)] ★★★

         「リアル・スティール」がトップに

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・リアル・スティール ・・・・・・・・10/12 ・・・・・・・・・・・600,416・・・・・・・・・・・・・813,756・・・・・・・・・722
2・・依頼人(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・9/29・・・・・・・・・・・・288,884・・・・・・・・・・・2,040,368・・・・・・・・・569
3・・三銃士/王妃の首飾りと・・・10/12 ・・・・・・・・・・・262,124・・・・・・・・・・・・・386,703・・・・・・・・・613
    ダ・ヴィンチの飛行船
4・・るつぼ(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/22 ・・・・・・・・・・・240,107・・・・・・・・・・・4,359,612・・・・・・・・・564
5・・ワンドゥギ(韓) ・・・・・・・・・・・・10/20 ・・・・・・・・・・・・57,777・・・・・・・・・・・・・・67,069・・・・・・・・・221
6・・ただあなただけ(韓) ・・・・・・・10/20 ・・・・・・・・・・・・46,949・・・・・・・・・・・・・・48,343・・・・・・・・・206
7・・闘魂(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・・10/06 ・・・・・・・・・・・・29,774・・・・・・・・・・・・・196,747・・・・・・・・・297
8・・ヒット(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・・10/13 ・・・・・・・・・・・・21,476・・・・・・・・・・・・・・29,837・・・・・・・・・208
9・・最終兵器 弓(韓) ・・・・・・・・・・8/10 ・・・・・・・・・・・・19,955・・・・・・・・・・・7,432,100・・・・・・・・・200
10・・カウント・ダウン(韓)・・・・・・・・9/29・・・・・・・・・・・・・10,369 ・・・・・・・・・・・・464,719 ・・・・・・・・163
                                      ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。

 「るつぼ」は400万人を超えましたが4位に落ち、「リアル・スティール」がトップになりました。
 「依頼人」はトップの座には立てないまま200万人を超えました。
 今週の初登場は5・6・8位の3作品で、すべて韓国。
 5位、<多文化共生>の時代を反映した青春小説「ワンドゥギ」(→コチラ参照)
の映画化作品で、本ブログでは今年3月22日の記事等、今まで何度か紹介してきたので、今回は省略します。
 6位は今年の釜山国際映画祭のオープニング作品。心を閉ざした元ボクサー(ソ・ジソプ)は、事故のため徐々に視力が失われてゆく状態なのに明るい女性(ハン・ヒョジュ)と出会い、そして・・・、というラブストーリー。韓国題は「오직 그대만」。
 8位、私設格闘技場を舞台に行われる格闘技に、賭けだのヤラセだのが絡み、思わぬ選手まで登場したり、・・・という<コミック痛快劇>というふれ込みのコメディ。ドラマの「HIT~ヒット~」とは関係ナシ。韓国題の「히트」を見て、最初「ヒート」かと思ってしまいました。「ヒット」と「ヒート」、ハングル表記は同じなんですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

[韓国コスメ] カタツムリの次は毒蛇なんだって!?

2011-10-17 22:29:17 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 私ヌルボ、どだい台コスメなんぞをテーマに記事を書く資格なぞないことは重々承知しながらも、一応韓国ネタということで去る5月23日かたつむりクリームについて書きました。

 そして今回。最近ソウル旅行から帰った人の話では、今度は「トクサクリーム」というのが流行っているんですと。トクサ? 독사! そう、毒蛇!! です。

 帰宅していくつかネット検索してみると、韓国ではすでに昨年から売り出されているようですね。最近になって日本でも出回り始めている、といったところでしょうか。

 なぬなぬ、昨年8月9日さんまの『ホンマでっか!?TV』で紹介してたの? そら早いわ(瞬間関西弁)

 毒蛇というのは一体どこの、何という蛇なのか調べたらTemple Viper(和名:ヨロイハブ)という、東南アジア方面にいるヤツなんだそうです。

         
 【これがヨロイハブだっ。右の写真説明には「Syn-ake Won't Bite You, but it will relax your wrinkles like no other ingredient」とあった。】

 蛇の写真を先に見てから説明を読むと、なんのことはない、生身の蛇を原料として使うのではなく、その蛇の毒成分に含まれるペプチドと同じ分子構造をもつシン-エイク(Syn-Ake)という成分を配合しているということです。(なーんだ・・・)
 シン-エイクは、筋弛緩作用があって、筋肉の収斂を抑えることで、深いシワの改善を促すのだそうです。(具体的にどういうことなのか、今ひとつわかりませんが・・・。)

 そのシン-エイク。開発したのはべつに韓国ということではなくて、スイスのペンタファーム社という製薬会社。

 <b.glen Times>の記事によると、<効能>は次の通り。

 ペンタファームが発表した実験の結果を見ますと、1時間後で36%、2時間後で82%ものシワの原因を減少させてくれるそうで、2日後でもまだ67%減少した状態を維持するというのですから、かなり期待ができる成分といえます。特に額のシワや目元のシワに悩んでいる人にはシワが28日後に50%近く減少した結果が出ています。

 えーっホンマカイナ!? (・・・と何ごとにも疑り深い私ヌルボ。)

 <コネスト>の掲示板の情報によると、毒蛇シリーズはいろんなブランドから発売されていて、そのいくつかについて簡単に紹介しています。
 「お試し感覚で使用したいと思い、値段が比較的お手頃なジャミンギョンさんのものを探したら ありました、ありました。しかも半額の19500w(約1300円ちょっと♪)」などと書かれています。
 朝はカタツムリ、夜は毒蛇!と使い分けています♪」
 ・・・うーむ。
 
 その他、実際に使ってみた方のブログ記事は→コチラコチラコチラ

 ある通販サイトでは3種がリスト(→コチラ)にありますが・・・、おっ、30gで1万500円というのもあるぢやあないか! 5千円のディナー2回分よりコチラを選ぶ女性がけっこういるってことですか・・・。

 その他毒を食わば皿までと(違うか)いろいろ検索しまくっていたら、毒蛇だけじゃなく他にもいろいろ。
 <CUTPLAZA DIARY>の記事によれば、黄金ナマコ石鹸とかキャビアの化粧品が・・・。
 カタツムリ・毒蛇・トラフグ マスク90枚SET(3150円)というのを紹介しているのは→コチラ
 このお値段が高いのか安いのか、ぜ~んぜんわからんゾ。
 ミツバチ毒トリートメント(180分30万ウォン)を紹介しているのは→コチラ
 「キレイな肌には毒が合う 蜂毒美人」なんてねえ・・・。

 このテの記事を続けて見てるうちにカン・スージーさんが宣伝している韓国サイトをみつけた時にはちょっとほっとしましたね。久しぶりだなー。

 ところで、つい最近、さる方から<ミシャ ヒーリングスネイルシートマスク>というものをいただきました。

        

 私ヌルボ、カタツムリ関係は前にちょっとだけ手の甲につけてもらったくらいで、もちろんこんなマスクなんぞは未経験。「ためしてみて下さい」とのことなので、せっかくなので物はためしと・・・。(ってヘンなオジサンだね。)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

精力的な創作活動を続ける民衆芸術家 洪性譚 = 韓国80年代民主化運動と版画の親和性 =(3)

2011-10-15 23:58:05 | 韓国の芸術
 孔枝泳「まじめな男」を読んで 韓国80年代民主化運動と版画の親和性(1)

 民衆版画の先駆者 呉潤(オ・ユン) 韓国80年代民主化運動と版画の親和性(2)に続く第3弾。一応最終回です。
[11月17日]の付記
 「一応」最終回と書きましたが、11月17日<民衆芸術家・金鳳駿の個人展 明日から>という記事をこのシリーズ第4弾としてupしました。

 光州の金大中コンベンション・センターから道を隔てて5.18自由公園があり、そこに光州民主化抗争の資料等が展示されている自由館があります。その展示室に入ってすぐ正面に、洪成潭(홍성담.ホン・ソンダム)の大きな版画作品が掲げられていました。

     
              【「行こう! 道庁へ!」】

 思いがけない出会いでしたが、ある意味では当然の出会いだったとも言えます。

 1955年全羅南道新安郡に生まれた洪成潭は、1979年に光州の朝鮮大学校美術科を卒業しました。
 80年の光州民主化抗争に際しては光州市民軍の文化宣伝隊として活躍し、抗争が鎮圧された後は光州抗争・5月版画と題する一連の作品によって光州の人々の闘う姿や弾圧の惨劇を世に伝えました。
 先の記事で記したように民衆的な版画の創作活動は70年代にも呉潤が、そして80年代初期からは洪成潭や李守(イ・チョルス)によっても続けられてきました。
 しかし、80年代の民衆版画運動の大きな画期となったのは1982年末刊行の洪成潭の版画集だったということです。
 先の記事で紹介した韓国民衆版画集」(1987年)所収の崔烈「解放の力としての版画」には次のように記されています。

 1982年12月に『暦』という形で出版された洪性譚版画集は、・・・以後展開されることになる版画運動の端緒となった。それは、非常に墨が濃く、周縁で疎外されている生を震えているような線で描写したもので、陰鬱で厳粛な哀しみを表した作品に満ち、当時としては感動的なものであった。生産の現場で生きる人々や、民衆を志向する知識人たちが熱心に『暦』を買い求めた。それは版画の威力を証明したと言うよりは、版画が備えている民衆的な可能性が、共に呼吸し始めたということであり、版画が美術運動の前衛を担うことができるという具体的な兆しであったと捉えることができる。

 1983~86年、洪成潭は光州で市民美術学校を開きます。受講生が能動的に参与することを期して、版画製作以外に民衆劇遊びなども織り込んだ洪成潭自身の報告も「韓国民衆版画集」に掲載されています。
 1989年、彼は自らが共同議長をつとめた民族民衆美術運動全国連合の仲間たちと大型の掛け絵(コルゲ・クリム)「民族解放運動史」を共同制作してその全国巡回展を展開します。しかし同年7月、その「民族解放運動史」の写真を平壌での世界青年学生祝典に送ったという理由で、国家保安法によって逮捕・投獄されます。

 2007~8年日本各地(5ヵ所)で開かれた「民衆の鼓動 韓国美術のリアリズム 1945-2005」展は、80年代を中心に韓国戦後の民衆美術を通観する美術展でした。その詳しい紹介記事によると、洪成潭は南山の安企部地下取調室で水槽に頭を突っ込まれて肺胞に水があふれ、胸がひき裂かれるような苦痛と窒息で意識を失うという拷問を受けたそうです。(そのため肺結核を病んでしまった。) 「現世と冥界の狭間で垣間見たものは、青い故郷の海であった」という実体験を基に、1996年彼は「浴槽――母さん、故郷の青い海が見えます」と題した絵を描いています。

※<My Green Tree is so beautiful>というブログ(韓国語)中に「民衆の鼓動」展を鑑賞したという記事があり、そこで上記「浴槽」の画像を見ることができます。ぜひ見てみて!(このブログのバックに流れている歌は韓国民衆音楽の先駆者・鄭泰春(チョン・テチュン)の「건너간다(コンノカンダ.渡り行く)」です。ぜひ聴いてみて!)
 (この作品は収蔵しているソウル市立美術館のサイトにもあります。)

※「民衆の鼓動」展の図録は西宮市大谷記念美術館府中市美術館のショップで今も販売されています。

 1991年、国際人権団体アムネスティは<世界の苦難を受ける良心の囚人3人>の1人して彼を選定する等、国際的な支援も受けて彼は92年に全州矯導所(刑務所)を出所します。

 80年代の民主化運動を担った有名・無名の人々がその後20余年の間に辿った足跡はさまざまで、「体制側」に転じた人も多くいます。
 しかし洪成潭の強い民族主義に裏打ちされた反権力の姿勢は健在で、2009年の「ハンギョレ」には、「光州ビエンナーレは5月の精神に立ち戻ることだ」等々彼の発言を載せています。
 その記事中にも記されているように、最近彼が取り組んだテーマのひとつが靖国問題です。
 「中央日報」の記事によると、彼は「靖国神社を20回以上訪れたほか、日本全域に散らばる神社60ヵ所を踏査した後、「靖国」作品を描き始めた」とのことです。すでに2007年11月東京のギャラリーマキでその<洪成潭展「靖国の迷妄」>が開かれています。

 
      【「夜想曲 靖国」 -「国の迷妄」より。メッセージ性の強い絵画です。】

※ある韓国サイト中で、<靖国の迷妄展>の詳しい紹介記事があり、そこにも上の作品以外の強烈な作品が載せられています。

 そして今年も5月に洪成潭代表作「光州民衆抗争・5月連作版画」が東京(ブレヒトの芝居小屋)で開かれる予定だったのですが、3.11地震の影響で2012年(1〜3月頃)に延期されました。詳細は→コチラ。洪成潭さん自身が来場して詩の朗読などをするということだそうです。

 ここで最初に戻って、孔枝泳の小説「진지한 남자(まじめな男)」について。
 私ヌルボ、この小説の主人公である「まじめな版画家」のモデルが誰かいるのか韓国サイトを探ってみました。結局はよくわからず。しかし、孔枝泳と洪成潭は2008年12月の「外国人労働者への差別禁止」を求める各界著名人の声明に名を連ねる等々接点は多いようで、どのくらいかはわからないまでも、孔枝泳さんは彼のことをある程度は念頭においてこの小説を書いたことは推察されます。
 ただ、上述のように洪成潭さんは権力による弾圧には遭いましたが、評論家や新聞の評、あるいは世の風評に翻弄されることがあったかどうかについてはよくわかりませんでした。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

むずかしいゾ! ハングルのクロスワード [その2]  *語学力&常識が問われます*

2011-10-12 21:59:22 | ハングルのクロスワード
 10月2日の記事「韓国のパズル誌「常識パズル」に挑戦だっ!」の続編です。
 前回のクロスワードは7×7でしたが、今回は11×11にしました。
 「常識パズル」10月号には11×11のクロスワードが7つも載っています。難易度は似たり寄ったりですが、<1のヨコ>と<3のヨコ>がとりあえずわかりやすいかな、ということでコレにしました。
 知らない四字熟語でも、<6のタテ>は問題文の固有語をそのまま漢字に置き換えてOKでしたが、<22のタテ>はお手上げでした。<28のヨコ>もわからなかったし・・・。あと、<38のタテ>と<38のヨコ>も見当つかず。
 <4のタテ>は問題文は簡単でも、正解は記憶になかったですね。あ、<1のタテ>の배は船じゃないですよ、念のため。
 <24のタテ>は的中したと思ったんですけど、解答見たら外れてました。どっちでもよさそうですけどね。




 ★解答は下の通り。範囲指定をすると現れます。

  [ヨコ] 1.나비부인 3.전대미문 6.주주 7.초유 9.이승만
       11.주문진 13.가석방 14.장수왕 16.보부상 17.인도
      19.사당 20.덕장 21.광무 23.백경 25.관창
       28.불호령 29.지중해 31.세례명 32.도연명 34.변성기
       36.설국 38.호인 39.철의장막 40.탐관오리

  [タテ] 1.나주 2.부전승 4.대한문 5.문초 6.주마가편 
        8.유유상종  9.이방인 10.만장 11.주왕 12.진보당 15.수소
       18.도덕경  19.사무관 22.어불성설 23.백령도 24.명중 26.창세기
       27.서명날인  29.지명 30.해변 33.연하장 35.성균관 37.국철 38.호리
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[10月7日(金)~9日(日)]

2011-10-11 23:20:52 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 Daumの人気順位で新登場の日本アニメ「星を追う子ども」のネチズンの評を見ていたら「クラスの友人と先生みんな一緒に映画館で観ましたが、とてもおもしろく、ファンタジーでより内容が一層盛り沢山・・・そしてシーンがとても良い!!!」と絶賛の10.0満点をつけていた人がいました。中学生かな?
 韓国でも学校で皆で映画館に行って映画を鑑賞するというのをやっているんですね。日本では学校によって、のようですが、韓国もそうなのでしょうか? 私ヌルボ自身の小学校時代を思い起こすと、初の国産アニメ「白蛇伝」を観に行ったことがありました。いやー、いい映画だったなー・・・(遠いまなざし)。あ、もっと低学年の時に観た「しいのみ学園」も学校の映画鑑賞で観たのかなー? 歌もなんとなく覚えているぞ、と思ってネット検索したら、ちゃんと記事にしてる方もいらっしゃるんですねー。歌まで聞けますよ。→コチラ。しかし、昔の話だなー。だんだんと歴史の語り部になりつつあります。

         ★★★ Daumの人気順位(10月11日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①トゥルー・マッ(味)・ショー(韓国)  9.6(392)
②3バカに乾杯!  9.6(1813)
③るつぼ(韓国)  9.5(1911)
④クジラを探す自転車(韓国)  9.2(38)
⑤アンサンディ  9.2(119)
⑥庭を出ためんどり(韓国)  9.1(754)
⑦インファナル・アフェアⅢ 終極無間  8.9(83)
⑧星を追う子ども(日本)  8.5(70)
⑨ポッパーさんとペンギン・ファミリー  8.5(203)
⑩大切な日の夢(韓国)  8.4(135)

 新登場は8位、上述の「星を追う子ども」だけ。韓国題は「별을 쫓는 아이」。内容説明等は省略します。

【専門家による順位】

①手のとどく限り(韓国)  9.0(1)
②トスカーナの贋作  8.3(6)
③北村(プクチョン)方向(韓国)  8.0(8)
④コンテイジョン  7.7(4)
⑤アンサンディ  7.6(6)
⑥ポントル(錘)(韓国)  7.5(2)
⑦庭を出ためんどり(韓国)  7.0(7)
⑧大切な日の夢(韓国)  7.0(6)
⑨トゥルー・マッ(味)・ショー(韓国)  7.0(5)
⑩るつぼ(韓国)  6.7(8)

 若干順位の入れ替わり等がありましたが、新登場の作品はありません。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月7日(金)~9日(日)] ★★★

         「るつぼ」、400万人に迫る

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・るつぼ(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・9/22・・・・・・・・・・・・499,886・・・・・・・・・・・3,869,291・・・・・・・・・753
2・・依頼人(韓) ・・・・・・・・・・・・・・・9/29 ・・・・・・・・・・・449,351 ・・・・・・・・・・・1,553,495・・・・・・・・・642
3・・闘魂(韓)・・・・・・・・・・・・・・・・・10/06 ・・・・・・・・・・・103,254・・・・・・・・・・・・・134,650・・・・・・・・・466
4・・リアル・スティール ・・・・・・・・10/12 ・・・・・・・・・・・・81,072・・・・・・・・・・・・・・81,072・・・・・・・・・254
5・・カウント・ダウン(韓) ・・・・・・・・・9/29 ・・・・・・・・・・・・68,657 ・・・・・・・・・・・・424,287 ・・・・・・・・344
6・・最終兵器 弓(韓)・・・・・・・・・・・8/10 ・・・・・・・・・・・・54,866・・・・・・・・・・・7,390,030・・・・・・・・・309
7・・三銃士/王妃の首飾りと ・・・10/12 ・・・・・・・・・・・・44,044・・・・・・・・・・・・・・48,498・・・・・・・・・137
    ダ・ヴィンチの飛行船
8・・The Debt(ザ・デット)・・・・・・・・10/06 ・・・・・・・・・・・・37,463・・・・・・・・・・・・・・45,182・・・・・・・・・198
9・・コクリコ坂から(日) ・・・・・・・・・・9/29・・・・・・・・・・・・・34,010・・・・・・・・・・・・・178,394・・・・・・・・・239
10・・ポッパーさんと ・・・・・・・・・・・・9/07・・・・・・・・・・・・・18,071・・・・・・・・・・・・・972,006・・・・・・・・・132
    ペンギン・ファミリー
                                      ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。

 「るつぼ」が3週連続トップで、400万人に近づいています。
 2位の「依頼人」も「るつぼ」に肉薄。勝ち組といえるのはこの2作だけ。
 「最終兵器 弓」は累計739万人。「サニー」の737万人を抜いて今年のトップに立ちました。
 今週の初登場は3・4・7・8の4作品です。
 3位、タイトルを見て、またボクシングか、さもなければレスリングかと思ったらプロ野球でした。通算149勝、最高球速161km(!!)、3年連続MVPという記録を持ちながら不祥事続きで2軍落ちしているピッチャー(キム・ジュヒョク)と、彼の立ち直りのために乗り出す妻(キム・ソナ)の話。やっぱり、他の選手と比べてピッチャーはトラブルを起こしがちなんですかねー。「ホームランが聞こえた夏」もそうだし、日本のプロ野球選手の場合もいろいろと思い出します。原題は「투혼」。
 4位、スティーブン・スピルバーグと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキスとが制作総指揮を担当するというドリームワークス製作作品。近未来世界が舞台で、人間の代わりにロボットがリモコン操作で戦うロボット・ボクシングの話だそうです。ゲームそのまんまみたいな・・・。韓国題は「리얼스틸」。リアルじゃなくリオルね。日本公開は12月9日。
 7位、いうまでもなく、大デュマの原作。韓国題は単に「삼총사3D」とあるように3Dなんですけどね。日本公開は10月28日、また東京国際映画祭公式オープニング作品ということで、すでに公式サイト及び予告編も見ることができます。そのURLがhttp://34.gaga.ne.jp/。<34>で三銃士、ちょっと遊んでますね。
 8位、韓国題の「언피니시드」を見て、「オンピニシードって何だ?」と首をひねる人もいるのでは? 「unfinished」のことです。しかし原題は「The Debt(ザ・デット)」。「借金」ですね。2007年のイスラエル製スリラーをアメリカでリメイクした作品。ナチの残党を見つけてイスラエルに送る任務を担当していたイスラエルの機関のエージェントたちが1人の元残党を取り逃がしたのが1965年。そして30年後、彼らはその元残党の居所をつかんだのだが・・・。なんかドキドキする展開のようですよ。
 9位「コクリコ坂から」、前回書きませんでしたが韓国題は「코쿠리코 언덕에서」。「コクリコから」です。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

金沢&石川県と、韓国・朝鮮についてのいろいろ

2011-10-10 23:57:50 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 私ヌルボ、昨日からゆえあって金沢に来ています。金沢は20数年ぶり、かも・・・。
 金沢在住の学生時代の友人がいたので連絡をとって会うことにしました。案内してくれるという彼に「どこに行きたいか?」と訊かれて「泉野図書館に行きたい」などと答えるヘンな人はまずいないでしょう。
 私ヌルボはヘンな人です。

 なぜそう答えたかというと、金沢の観光ポイント等について全然事前に調べていなかったことと、たまたま前日に<高麗書林>のサイト中の「韓国書が借りられる全国図書館」のリストを見ていたら、石川県で唯一名前があったのがこの図書館だったから。偶然彼の住まいのごく近所だったので、現地で落ち合うことにして、金沢駅前からバスで行ってみました。

     
           【金沢市立泉野図書館】

 すると思っていたよりも外観も中も立派な図書館で、祝日ということもあってか多くの利用者がいました。ここの図書館に韓国書がある理由は、地域性ということではなく、ジモティーの友人が説明したくれたように、この図書館が「国際連合寄託図書館」になっているからだそうです。
 全国でもわずか14館、それも国会図書館のほかは大学図書館が大半を占める中で、こんなフツーの町の図書館が国連寄託図書館になった経緯まではわかりません。
 ともあれ、そういうわけで、韓国書があるというよりも、諸外国の本がいろいろたくさんある中に韓国書もある、というわけです。

 韓国書についていえば、5段の書架1つ分、それも隙間が目立つくらいで冊数はさほど多くはありません。ざっと数えてみましたが160~170冊程度。これに韓国語の絵本約30冊を合わせて約200冊といったところ。あとは「주간조선(週刊朝鮮)」があるくらいで、中国語の本が書架3つ分あるのに比べると寂しい感じ。
 韓国書の品ぞろえも基本中の基本に止まっているなー・・・と見ていった中で、あっと驚いたのが李朝語辞典。たいていの本がそろっている横浜市立図書館にもないのに・・・。高麗書林の通販サイトでは5250円で出てるからベラボーに高いというわけではないにしても、うーむ・・・・・・。

 この図書館、郷土資料もたくさんそろっていました。
 その中の歴史関係資料はとくに興味深いものがいろいろ。
 図書館の次に見学に行った県立歴史博物館にも展示&説明がありましたが、古代から大陸、とくに朝鮮半島と北陸との関係の深さを物語る事例は実にたくさんあるんですね。
 渤海との交流等についてはなんとなくは知っていましたが、「蝦夷穴古墳出土の枘穴(ほぞあな)石斧は朝鮮半島に類例が多い」というような考古学関係のことや、「570年に高句麗の使人が越(こし)に漂着した」という「日本書紀」の記録、民俗関係では、「七尾市の<お熊甲祭(くまかぶとまつり)>という祭も朝鮮が起源といわれている」等々については初めて知りました。

 また、友人は「小松という地名は明らかに高麗(こま)+津だよ」と言っていましたが、実際郷土史家の岸豊則さんという方による「小松は高麗津だった」という本もあります。

 江戸時代の伯耆~蝦夷に及ぶ漂流民の記録等々も(詳細はあえて割愛しますが)興味深いものがあります。
 そこで思い出したのがつい最近の脱北者のニュース。先月(9月)13日木造船に乗った9人が発見されたのが石川県輪島沖でした。

 別に韓国・朝鮮ネタを求めて金沢に行ったわけでもないのに、思いのほかいろんなネタに遭遇してしまって、とりあえずメモ的にこの記事をでっちあげたような次第です。

 そういえば、3年前私ヌルボが仲間たちと一緒に全州に行った時、歓待して下さった日本語の堪能な全州市の国際交流担当の潘さん(女性)から、「金沢は姉妹都市なのでしばしば行っています」ということを聞きました。
 なるほど、金沢の博物館等でも全州や全羅北道を紹介したり、贈られた物を展示しているコーナーがありました。しかしわが友人も含め金沢市民の何人かの方と話したかぎりでは全州の認知度はまだまだのようで、全州の魅力をアピールしたいヌルボとしてはちょっと残念。全州は人口65万人で金沢(46万人)を上回り、歴史的・文化的にも見どころの多い都市です。有名なピビンパをはじめ食べ物も美味しいです。市民レベルの交流をもっと深めるといいと思うんですけどねー・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

[韓国語]日本のおもてなし弁当 ・・・の韓国語説明を読む

2011-10-09 23:59:14 | 韓国語あれこれ
 一昨日(10月7日)夜、わけあって上越新幹線ときに乗りました。(わけがなく乗っている人もないでしょうが・・・。)

 夕食を食べてなかったので駅弁。東京駅には実にたくさんの種類の駅弁が売られているんですねー。
 どの駅弁を買うべきか? 私ヌルボが深~く悩み、熟慮に熟慮を重ねるのはまさにこのような時です。
 で、結局選んだのがNRE大増の「日本のおもてなし弁当」という初めて聞きました、という駅弁。
 これに惹かれた理由は、下の写真のように「BOXLUNCH」「快餐」「便當」とならんで「도시락」というハングルが目に入ったからです。
     

 フタをとると、なかなか多彩な、たしかに日本らしい色とりどりの具がそろっていていい感じ。(下写真)
     

 ・・・というより前に、覆っていた紙を外してアララと目に止まったのは、その裏側の文字列。(下写真)
     

 「海老にぎり寿司」から「ピーマン素揚」まで全10品目が、それぞれハングル、繁体字、簡体字、英語で表記されています。
 しかし、こんな紙の裏の小さい字を一体誰が読むんだ?と訝りつつ、現に私ヌルボが写真に撮ってノートパソコンに取り込んで拡大して読んでみたりしたわけです。

 後で製造元のNRE大増のサイトを見てみると、「ビジット・ジャパン・イヤー」、すなわち2010年に訪日外国人旅行者数を1000万人とするとの目標に向け、日本の魅力を海外に発信していこうという政府観光局のプロモーションを記念して期間限定販売されているお弁当で、「日本を代表する料理を色鮮やかなお弁当に仕上げました」とのことです。「2010年3月31日までの販売予定」とありますが、その後も販売しているんですね。

 いくつものブログでいろんな記事が書かれています。
 「駅弁マークとともに、「YOKOSO JAPAN!」マークが付いています」だって? ホント? そんなマークあったかなー?

      
    【「YOKOSO JAPAN!」マーク。知りませんでした。】

 別のあるブログ。「え?この卵焼きって「江戸巻」なの? どう見ても伊達巻のちっちゃいのに見えるし、味もまさに伊達巻なんだが・・・江戸巻と伊達巻はどう違うのか・・・結局分からずじまい」って、私ヌルボもよくわかりません。

 しかし、このお弁当を手に取る韓国・台湾・中国、そして英語圏の人がどれくらいいるんでしょうね? そしてその中でこの紙の裏の文字に気づく人がどれくらいいて、さらにこの小さ~い字を読んでみようという人ははたして何人くらいいるか?
 そんなにいないのではないかと思われるのに、よくここまで手間をかけて各国語に訳したり説明をつけたりしたものです。こういう、考えようによっては空しい作業に凝るのは、私ヌルボと相通じるところかも。共感を覚えます。

 さて、当ブログは一応韓国専門なんで、当然上の写真のハングル部分について見てみます。

 最初の3つ。새우 생선초밥、아나고 초밥、치라시 초밥は、にぎり寿司や押寿司を区別してないですが、まあいいでしょ。새우 생선초밥は생선と入れるのがいいんですかね? 치라시초밥は치라시 스시ともいうようです。
 チラシを찌라시と書くとビラのことになっちゃいます。固有語の전단지(伝単紙)と同じくらい使われている言葉です。

 日韓辞典でアナゴを引くと、붕장어とあります。韓国ウィキで붕장어を見ると、「俗に아나고という」との説明あり。Googleのヒット件数は붕장어の約1,270,000件に対し아나고は約389,000 件。

 ちらし寿司の説明文中、錦糸玉子なんて韓国語ではどうなっているのか見てみたら알반대기(지단)채とあります。NAVER辞典によれば알반대기は「plain omelet」とのこと。알반+대기ではなく、알(玉子)の반대기(こねた粉や綿などを)薄く平らに伸ばしたもの)です。지단は「朝鮮語辞典」には「卵の黄身と白身を別々にしてつくった錦糸卵」と説明されています。これに「채(千切り)」をつけて錦糸玉子。
 いやー、なんとも念の入った説明で・・・。

 韓国語の中で、「あれ~?」と疑問に思ったのは、煮物を졸임としていること。これって조림じゃないの? ・・・と思って韓国サイトをいくつか探してみました。(今回の記事の眼目は、何を隠そうこのネタだったんですよ。)
 すると韓国人の間でもどちらが正しいのかのQ&A記事があり、国立国語院のサイトでもこの「졸임」と「조림」について説明しています。

 それらを見て、ヌルボなりに理解したのは、「졸임」は動詞졸이다の名詞系で、졸이다は液体を蒸発するくらいに煮詰めること「조림」は動詞조리다の名詞系で、魚や野菜等々の物を煮ること。してみると、やはり上記の場合は「졸임」ではなく「조림」の方が正しいようですよ。
 ただ韓国でも「졸임」と書いている人もいるようだし、NAVERの辞典によると「육졸임(肉の煮物)=육조림の北韓語」とあるところをみると北朝鮮では「조림」ではなく「졸임」と表記しているようだし・・・。もしかして朝鮮学校で学んだ人が訳したのかな? ま、コリアンの皆さん自身にとってもこの言葉の表記は微妙な領域に属するように思われます。

 この品目リストの後の方は「江戸巻(에도마키)」とか「かまぼこ(카마보코)」等々ただ音訳しただけで説明なし。上の方で疲れちゃったのかな?

 私ヌルボも疲れたので、今回はこのへんでおしまいにしておきます。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする