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ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[7月26日(金)~28日(日)]

2013-07-30 21:15:51 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 この1週間(24日以降)は映画鑑賞なし。1度別の要件で東京には行ったものの、あいにく観たい映画は時間が合わず観られず、残念。

 私ヌルボ、パソコンと読書だけで手一杯なのでツイッターやフェイスブック等はやってませんが、人様のツイートはいくつも見ています。韓国映画については、これまで何度も紹介した@saruKmovieさんはホントに最新情報の宝庫。あやうく見逃すとこだった上映情報をなんとかゲットして観に行ったことも1度ならずありました。
 主にソチラから得た情報を元に、ヌルボの個人的なメモといった感じで今後の韓国映画(+α)の上映予定を列記しておきます。

・8月1日(木) 国立近代美術館フィルムセンター 19:00のみ 「ともだち」(13分)「京城」(24分)「必勝歌」(80分)で、前の2作品が朝鮮関係。<生誕110年 映画監督 清水宏>という企画の中で。詳しくは→コチラ。清水宏監督といえば、以前「按摩と女」という佳作を観たことがあります。1日にはヌルボが幼少のみぎり観て主題歌も少し覚えている「しいのみ学園」も上映するのか。これは観にいかなければ!
作品の紹介は→コチラ、関連記事は→コチラ

・8月17日(土)~9月6日(金)大阪のシネ・ヌーヴォXで韓国女性監督特集。上映作品は「牛と一緒に7泊8日」「2LINE あるカップルの選択(2本の線)」、「空色の故郷」。詳細は→コチラ

・8月20日(火)19:00「悪いやつら(犯罪との戦争:悪いやつらの全盛時代)」試写会atシネマート六本木 チェ・ミンシク&ハ・ジョンウの共演。 ※応募は→コチラ。。応募締切は8月6日(火)です。
※門間雄介さんのツイッターによると「現在の韓国で最も観客を呼べる俳優ベスト3は、リュ・スンリョン、ハ・ジョンウ、イ・ビョンホン」の3人なんだそうです。(←CJエンタテインメントの人の話) で「女優はチョン・ジヒョン」とのこと。

・8/31(土)〜9/13(金)シネマ・ジャック&ベティで北朝鮮映画「血の海」「プルガサリ」「花を売る乙女」「ある女学生の日記」を上映。※現在「嘆きのピエタ」上映中。(~8月16日(金)) 
 その他、シネマ・ジャック&ベティで上映予定の「戦争と一人の女」「台湾アイデンティティー」「映画「立候補」」「三姉妹~雲南の子」「ロマン・ポランスキー 初めての告白」「あの頃、君を追いかけた」「スタンリーのお弁当箱」「イングマール・ベルイマン 3大傑作選」「ハナ 奇跡の46日間」は全部観なければ・・・。

・そのシネマ・ジャック&ベティで毎年恒例の<よこはま若葉町 多文化映画祭>開催。詳細は→コチラ
 韓国映画では「はちみつ色のユン」が上映されます。そして9月1日には<関東大震災慰霊特別上映>として「隠された爪跡〜関東大震災朝鮮人虐殺記録映画」「払い下げられた朝鮮人〜関東大震災と習志野収容所」の2本立て。特別講座と慰霊ツアーもあるとのことです。

 その他の雑情報です。
・<韓国ネット民が「英雄」宮崎駿監督をバッシング 「風立ちぬ」は零戦を美化し戦犯国としての反省がない!>というニュースは→コチラ

・映画には関係ありませんが、28日のサッカー日韓戦の応援関連の韓国側の新聞記事中、「ハンギョレ」(日本語版)に<「スポーツ民族主義」もうやめよう>というものがありました。(→コチラ。)

           ★★★ Daumの人気順位(7月30日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編/始まりの物語(日本)  9.9(29)
②道の上で(韓国)  9.4(56)
③ターボ  9.3(70)
④カミーユ、ふたたび  9.2(24)
⑤ザ・クルーズ  9.2(307)
⑥グラン・ブルー  9.1(79)
⑦イン・ザ・ハウス  9.0(27)
⑧ウォールフラワー  8.8(130)
⑨スター・トレック イントゥ・ダークネス  8.7(1153)
⑩ビッグ・ピクチャー  8.7(32)

 新登場は④と⑥の2作品です。
 ④「カミーユ、ふたたび」は2011年のフランス映画。
主人公は40歳の女優。かつては愛し合った夫と別れることになり、友人の家で酒を飲みすぎ、気を失ってしまいます。ところが目が覚めるとそこは病院。看護婦さんは「カッコこいい男の子と飲んでたんでしょう、いいわね若い子は」などとからかう。なんと! 彼女は25年前の1985年にタイムスリップしていたのです。そして彼女はもう一度、16歳をやり直すのです。おかしいのは40歳の姿形のままで・・・。やがて「事実」のままにリセで夫となる男の子と出会ったり、当時のまだ若かった両親と話をしたり、これも「事実」のままに娘を産むことになったり・・・。主演はルヴォフスキー監督自身が演じています。この映画について書かれたブログ記事を読むとどれも好評。私ヌルボも無性に観たくなってきました。しかし日本公開は未定のようです。韓国題は「까밀 리와인드」。
 ⑥「グラン・ブルー」は1988年のおなじみのフランス映画の再上映。

【専門家による順位】

①ザ・マスター  9.0(5)
②スター・トレック イントゥ・ダークネス  7.8(6)
③ビフォア・ミッドナイト  7.7(4)
④ザ・クルーズ  7.3(3)
⑤25年目の弦楽四重奏  7.2(4)
⑥パシフィック・リム  7.2(4)
⑦ピュア  7.0(2)
⑧イン・ザ・ハウス  7.0(1)
⑨エブリデイ  6.8(5)
⑩コズモポリス  6.7(4)

 ⑤「25年目の弦楽四重奏」だけが初登場です。日本では7月6日に公開されています。韓国題は「마지막 4중주(最後の4重奏)」。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[7月26日(金)~28日(日)] ★★★

         「REDリターンズ」が2週連続トップ。「監視者たち」は500万人を突破

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・REDリターンズ・・・・・・・・・・・・・・・7/18・・・・・・・・・・・・・・666,033 ・・・・・・・・2,186,505・・・・・・・15,758 ・・・・・・・665
2(29)・・ウルヴァリン:SAMURAI・・・・・・7/25・・・・・・・・・・・・・・581,126 ・・・・・・・・・・777,625 ・・・・・・・・5,717・・・・・・・707
3(6)・・ターボ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/25・・・・・・・・・・・・・・403,976 ・・・・・・・・・・540,427・・・・・・・・・3,821 ・・・・・・634
4(2)・・監視者たち(韓国) ・・・・・・・・・・・・7/03・・・・・・・・・・・・・・343,417・・・・・・・・・5,202,445 ・・・・・・・37,245・・・・・・・461
5(3)・・ミスター・ゴー(韓国)・・・・・・・・・・・7/17・・・・・・・・・・・・・・212,149 ・・・・・・・・1,131,056 ・・・・・・・・8,031・・・・・・・428
6(4)・・パシフィック・リム ・・・・・・・・・・・・・7/11・・・・・・・・・・・・・・126,330 ・・・・・・・・2,458,111 ・・・・・・・19,775・・・・・・・336
7(38)・・ザ・テロ・ライブ(韓国)・・・・・・・・・7/31・・・・・・・・・・・・・・122,760 ・・・・・・・・・・126,647 ・・・・・・・・・・970・・・・・・・314
8(新)・・映画ドラえもん・・・・・・・・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・・・・・・45,606・・・・・・・・・・・・55,983・・・・・・・・・・・363 ・・・・・・239
       のび太のひみつ道具博物館〈ミュージアム〉(日本)
9(5)・・ワールド・ウォー Z・・・・・・・・・・・・・6/20・・・・・・・・・・・・・・・33,083・・・・・・・・・5,218,833 ・・・・・・・38,425・・・・・・・141
10(67)・・25年目の弦楽四重奏 ・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・・・・・・・8,497 ・・・・・・・・・・・10,303・・・・・・・・・・・・81 ・・・・・・・29
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「REDリターンズ」が連続1位。「監視者たち」は500万人の大台を超えましたが、圏外に去った「隠密に偉大に」は累計6,954,800人で、700万人には届かないで終わりそう。
新登場は2・7・8・10位の4作品です。
 2位「ウルヴァリン:SAMURAI」は「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(2009)の続編。マーベル・コミックの人気ヒーロー・ウルヴァリンが今作では日本を舞台に活躍。日本からは真田広之、TAO等が出演。「日本が舞台」ということで少し気になる韓国での反応を<DAUM映画>のネチズン評点(→コチラ)で見ると、ネチズン平均評点は6.1ながらボロクソのコメントが目につきます。「最悪だった。日本のための日本による日本のウルヴァリンだった。ウルヴァリンの版権を日本企業が持っているのか?」(1.0)等々。めずらしく(10.0)があると見れば「日本を舞台にしていて反感が多かった。しかし結末を見た瞬間教訓をもらった。やっぱり日本人チョッパリは恩を仇で返すんだな・・・」。しかし中には「日本が背景なので評価が低いようですね。しかし韓国の人々以外は誰もが興味津々に見たでしょう」(8.0)というようなコメントもないではないです。日本公開は9月13日。韓国題は「더 울버린」です。
 7位「ザ・テロ・ライブ」は、冒頭でも記した「観客を呼べる俳優」ハ・ジョンウ主演のアクション。ニュースキャスター(ハ・ジョンウ)は「麻浦大橋を爆破する」というリスナーからの脅迫をきっかけに、漢江で連続的に発生する爆弾テロを90分間テレビで生中継する、というストーリー。原題は「더 테러 라이브」です。
 8位「映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館〈ミュージアム〉」は日本では今年3月公開されました。「ウルヴァリン:SAMURAI」のあとコチラのネチズン評を読むとほっとします。韓国題は「극장판 도라에몽: 진구의 비밀도구 박물관」。
 10位「25年目の弦楽四重奏」については上述しました。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ザ・マスター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/11 ・・・・・・・・・・・・・2,847 ・・・・・・・・・・・・・・25,849・・・・・・・・・・195・・・・・・・・・・30
2(新)・・哀愁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/? ・・・・・・・・・・・・・2,359・・・・・・・・・・・・・・・・7,955・・・・・・・・・・・19・・・・・・・・・・・1
3(2)・・ビッグ・ピクチャー ・・・・・・・・・・・・・・・7/04 ・・・・・・・・・・・・・2,139 ・・・・・・・・・・・・・・20,367・・・・・・・・・・153・・・・・・・・・・19
4(4)・・道の上で(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・・・・・・837・・・・・・・・・・・・・・・37,339・・・・・・・・・・258 ・・・・・・・・・11
5(3)・・冥王星(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/11 ・・・・・・・・・・・・・・・673 ・・・・・・・・・・・・・・15,850・・・・・・・・・・108・・・・・・・・・・27

 新登場は、2位「哀愁」だけです。ヴィヴィアン・リー&ロバート・テイラー主演の1940年製作の名作。韓国題は「애수」です。「上映の1館は、これまで何度か紹介した楽園商街のシルバー映画館。→コチラの記事(韓国語)
の画像でフンイキがわかります。55歳以上の料金はなんと2000ウォン! 映画館のウェブサイト(→コチラ)によると、現在「嵐が丘」(1939年)上映中。
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韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20(2013年7月22日~28日)

2013-07-29 23:53:38 | 韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20
 2ヵ月に1回の記事です。前回は→コチラ

 データの出所は韓国の視聴率調査機関TNmSのサイト中の「全国・地上波」の部です。

 今回は2ヵ月前からあまり大きな変化なし。おなじみの番組が多く入っています。
 「歌謡舞台」(KBS1)の22日(月)の放送を見たら、若手ビジュアル系トロット歌手ハン・スヨン「男は船、女は港(남자는 배 여자는 항구)」を歌っていたのが◎。彼女は4月の「歌謡舞台」でもやはりシム・スボン「あの時、あの人(그때 그 사람)」を歌っていました。YouTubeにもupされています。(→コチラ。) 歌が上手くて、色気もあってヨロシ!
 単なる懐メロ番組ではなくて、若い層にも支持されそうな工夫をしているということでしょう。往年のヒット曲を今の時代に合わせて編曲し直すというコンセプトは近年の流行ではありますが・・・。

【7月22日(月)~28日(日)】

①ドラマスペシャル「君の声が聞こえる[너의 목소리가 들려]」(SBS)  24.7%
 6月5日にスタートした水木ドラマ。主人公の女性チャン・ヘソン(イ・ボヨン)は家政婦で寡婦の母の一人娘という境遇にめげずにがんばって、国選専門の弁護士になります。彼女のライバルが高校時代の同窓のソ・ドヨン役(イ・ダヒ)。ヘソンとは対照的に判事の父、医師の母の下で育ったエリートでソウル大に首席合格、司法試験首席合格、司法研修院首席卒業でその上美人・・・って、なんなんだコレは! で、このドヨンの方は検事となってヘソンと運命的な対決・・・。ところで10年前父を殺した犯人を捕まえるのを助けてくれたことでヘソンに心を奪われた少年がパク・スハ(イ・ジョンソク)。彼は人の心を読む超能力を持っているのですが、10年後に再び会ったヘソンは正義より金と名誉を優先する俗物として目に映ります・・・。一方チャ・グァヌ(ユン・サンヒョン)という元警察官の弁護士は正義派らしく「世界中の誰も信じなくても、弁護人だけは被告を信じてやらなきゃならないんじゃありませんか!?」と言ってくれたりして・・・。(がんばってくださいね。) →コチラの記事によると盗作論議が起こっているようですよ。

②週末連続劇「最高だ、イ・スンシン[최고다 이순신]」(KBS2)  24.7%
 前回と同順位。イ・スンシン(IU)とシン・ジュノ(チョ・ジョンソク)、「キスの後ロマンスに“点火”」。ヨナ(キム・ユンソはどーなる?&どーする? )莞島(ワンド)での撮影時、IUが大好物のあわびを食べ過ぎて撮影中断だって!?(笑)

③日日連続劇「天まで届け、この想い[지성이면 감천]」(KBS1)  22.2%
 前の記事ではタイトルを「至誠天に通じる」と訳しましたが、KBSWorld
での訳語に合わせて替えました。2ヵ月前と同順位ですが、17.3%から上昇。そのKBSWorlの記事(→コチラ)によると8月22日(木)から全120話の予定で放映スタートとのことで、みどころ等々の諸情報が記されています。

④KBSニュース9(KBS1)  17.4%

⑤週末ドラマ「金よ出てこい さっさと」[금나와라 뚝딱](MBC)  15.7%
 前回の⑤位14.7%から少しだけ上昇。<韓流男子>(→コチラ)というブログには、ドラマの主な画面の画像と、セリフの日本語訳がついているので、なんか漫画を読んでる感じで筋を追える・・・って、やっぱり直接見てこそおもしろいんですけどね、もちろん。

⑥「日夜」[일밤](MBC)  15.7%
 前回なぜか初登場だった「日曜日 日曜日の夜に(일요일 일요일밤에)」。前回の⑪位12.8%からさらにアップ。

⑦「全国歌自慢[전국노래자랑]」(KBS1)  15.4%
 相変わらず根強い人気の長寿番組。⑨位から2つアップ。

⑧週末特別企画「スキャンダル[스캔들]」(MBC)  15.4%
 副題が「非常に衝撃的で不道徳な事件」か、うーむ。冒頭の場面は、銃を持って飛び出していく刑事(キム・ジェウォン)、思いつめた表情で「俺が愛した父親は、俺を誘拐した誘拐犯だった」。そして家にたどり着いた彼は「父」に向かって銃を向ける・・・。つまり、建物崩壊で息子を失った父親が敵の息子を拉致し、そして育てるのですが・・・、という設定。私ヌルボ、「八日目の蝉」を当然思い出しました。

⑨キム・ビョンマンのジャングルの法則inカリビアン[김병만의 정글의 법칙 IN 캐리비언]」(SBS)  15.3%
 アマゾンで③位→ニュージーランドで⑩位、前回はヒマラヤで⑤位、そして今回が⑨位。やっぱり視聴者は他人が苦労しているのを見たいのだ!

⑩ギャグコンサート[개그콘서트](KBS2)  13.6%
 前回と同順位。

⑪日日朝連続劇「あなたの女[당신의여자]」(SBS)  13.2%
 ⑰位から一気に上昇。交通事故に遭って記憶を喪失した女性(イ・ユリ)が恋に落ちて結婚した相手(イム・ホ)が事故の加害者(!)で、彼女は孤児で事故の時妊娠していて、かつての彼氏(パク・ユンジェ)は一体どうなるか等々の問題はどう解決したのかな? ヌルボ、確認する気力ナシ。

⑫日日連続劇「オーロラ姫[오로라공주]」(MBC)  12.4%
 大企業のオーナー一家の一人娘オ・ロラが、小説家ファン・ママと出会って繰り広げられる唐突で純粋な恋模様を描くドラマ。イム・ソンハンの脚本はこれまで「マクチャン」(韓国式トンデモドラマ)の典型とみられていたようですね。ドラマの内容とは全く関係のない奇怪なシーン(!)もあったりして、「悪口を言いながらまた見ることに?」(→コチラ)という記事もありました。このドラマでもオ・ロラの飼い犬までしゃべり出すんだって!?(どうも例のCMみたいな感じ。) また同性愛者の描き方がただ戯画化されているだけ、との批判も出ているようです。

⑬歌謡舞台[가요무대](KBS1)  12.3%
 私ヌルボ思うに、司会のキム・ドンゴンアナウンサーの語りはとても聞き取りやすいです。1938年生まれの74歳というベテランで韓国アナウンサークラブ会長。今年5月には放送人生50年の祝賀会が開かれたとか。(→コチラ。)

⑭ラブ・イン・アジア[러브인아시아](KBS1)  12.3%
 韓国に嫁いできたアジア人の嫁のいる家庭を紹介する番組です。今年1月以来の再登場。

⑮瞬間捕捉 世の中にこんなことが[순간포착 세상에 이런 일이](SBS)  12.2%
 視聴率は微増ですが、順位は1ランクダウン。

⑯江原KBSニュース(KBS1)  12.1%

⑰挑戦1000曲[도전1000곡]」(SBS)  12.0%
 前回から1ランクアップ。

⑱江原KBSニュース(KBS1)  11.7%
 ⑯同様、午後9時のニュースのローカル放送部分かな?

⑲月火特別企画「火の女神ジョンイ」[불의여신정이](MBC)  11.6%
 16世紀末。朝鮮初の女性の陶磁器作りの名匠チョンイ(ムン・グニョン)の情熱と、彼女を愛した皇太子光海の物語。前の番組「九家の書」と同じ時代劇でもずいぶん違います。ムン・グニョンは見る度に顔つきが変わっているような印象を受けます。その画像&説明等は→コチラのブログ記事参照。

⑳無限挑戦[무한도전](MBC)  11.4%
 前回のベスト⑳圏外からかろうじて再登場⑮位から順位はアップしましたが、視聴率は微減。
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ネチズンが選んだ「韓国の代表作家」は詩人・高銀(コ・ウン)、「若手作家」は鄭裕静(チョン・ユジョン)

2013-07-28 23:46:01 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 韓国の代表的なネット書店・YES24は、2004年から毎年ネチズンの投票によって<韓国の代表作家>と<韓国の若手作家>、そしてその年の<必読書>を選定しています。

 <代表作家>と<若手作家>部門は各24人の作家を、また<必読書>については<小説>部門と<詩・エッセイ>部門に分けて各24冊の候補が予め設定されていて、その中から「YES24」のサイト(→コチラ)を通じて投票をするという方式のものです。

 この催しについては、本ブログでも過去2009年8月と、2011年4月の記事で書きました。
 しかし、実施時期直後に記事にしたのは今回が初めてです。
 第10回の今年は7月8~26日が投票期間でした。全投票者数は42,631人。私ヌルボも22日22,006番目に投票しました。てへへ。

 その投票結果はすでに出ています。→コチラ
 <代表作家>は高銀(コ・ウン)、<若手作家>が鄭裕静(チョン・ユジョン)です。
 <必読書・小説>は金辰明(キム・ジンミョン)「高句麗」、<必読書・詩・エッセイ>はカン・セヒョン「私はただ少し遅いだけ」が1位でした。

 作家部門の上位得票数は次の通りです。翻訳書名及び簡単な説明をつけておきました。

<代表作家>
1位=高銀(コ・ウン)16.5%[12,788票]・・・・韓国では2002年ごろからノーベル文学賞候補として報道されている韓国の代表的詩人。「いま、君に詩が来たのか―高銀詩選集」。(→ウィキペディア)
2位=李文烈(イ・ムニョル)15.3%[11,897票]・・・・「我らの歪んだ英雄」は映画も評価が高い。80年代以来の代表作家というべき彼については、本ブログでも過去3回記事にしました。(→その1その2その3)。(→ウィキペディア)
3位=朴範信(パク・ボムシン)7.2%[5,619票]・・・・「掟」
4位=崔仁浩(チェ・イノ)7.2%[5,602票]・・・・「商道」(ドラマ化され日本でも放映)。 映画「鯨とり」「ディープ・ブルー・ナイト」等の名作映画の原作小説も書いている。(ともに未訳) 本ブログの関係過去記事は→コチラ。(→ウィキペディア)
5位=申庚林(シン・ギョンニム)6.8%[5,264票]・・・・第一詩集「農舞」(1973年)で注目されて以来創作を続ける民族詩人。「ラクダに乗って 申庚林詩選集」

<若手作家>
1位=鄭裕静(チョン・ユジョン)11.3%[8,358票]・・・・エンタメ系、といっていいかな?2011年のベストセラー「7年の夜」で一気にブレイク。最新作「28」も注目! 関連過去記事は→コチラ
2位=金愛爛(キム・エラン)13.5%[9,995票]・・・・今年の第37回李箱文学賞受賞者。同賞の最年少受賞者(といっても33歳ですが・・・。) 本ブログの関係記事は→コチラ「どきどき僕の人生」(今月の新刊書)
3位=チョン・ミョングァン11.3%[ 8,358票]・・・「高齢化家族」(未訳)は映画化され今年5月公開。続く「僕のおじさんブルース・リー」(未訳)の映画版も近いうちに公開されるようです。(愛読しているブログ「たままま生活」の関連記事→コチラ。)
4位=キム・ビョラ6.9%[5,090票]・・・・「ミシル-新羅後宮秘録」はドラマ「善徳女王」でコ・ヒョンジョンが演じた敵役の女性を主人公にした官能歴史ロマン(!?)。
5位=チョン・キョンニン6.2%[4,552票]・・・・第31回(2007年)李箱文学賞受賞を受賞した女性作家。今50歳で作品も多いのに<若手作家>というのもねー・・・。

 さて、ここに名前があがった作家たちをみると、なんかバラバラという印象を受けてしまいます。小説家と詩人が混じり、小説家もずっと以前から活躍している大家から、最近のベストセラー作家、ジャンルも純文学からエンタメ系、YA文学等々。候補として用意されている各24人(後掲)のリストを見ると、とくにそんな傾向が強く感じられます。
 私ヌルボが考えるに、その理由の1つはこのYES24の催しのコンセプトと歴史の浅さにあります。
 ちなみに、第1回から現在まで1位に選ばれた作家は次の通りです。

     [代表作家]             [代表的若手作家]
第1回(2004)朴景利(パク・キョンニ)       金薫(キム・フン)
第2回(2005)趙廷来(チョ・ジョンネ)     孔枝泳(コン・ジヨン)
第3回(2006)朴婉緒(パク・ワンソ)      申京淑(シン・ギョンスク)
第4回(2007)黄皙暎(ファン・ソギョン)    殷熙耕(ウン・ヒギョン)
第5回(2008)趙世煕(チョ・セヒ)       鄭梨賢(チョン・イヒョン)
第6回(2009)孔枝泳(コン・ジヨン)      朴賢旭(パク・ヒョヌク)
第7回(2010)李外秀(イ・ウェス)       金英夏(キム・ヨンハ)
第8回(2011)申京淑(シン・ギョンスク)    朴玟奎(パク・ミンギュ)
第9回(2012)金薫(キム・フン)        金衍洙(キム・ヨンス)
第10回(2013)高銀(コ・ウン)         鄭裕静(チョン・ユジョン)

 [代表作家]の候補リスト中には、1960年代「広場」等で注目された崔仁勲(チェ・インフン)、60~70年代の人気作家金承鈺(キム・スンオク)、上述の80年代の代表作家李文烈(イ・ムニョル)等々文学史上のビッグネームもありますが、この投票では過去の業績だけではなく、今も現役作家として読者たちの関心を集めているという要素が大きいようです。その中で、この20年くらい本を出していない(と思われる)趙世煕が選ばれているのは、それだけ「小人が打ち上げた小さなボール」の影響力が大きく、今に及んでいるということでしょうか。2005年には200刷を越え、07年には累計100万部に達したとか。彼が選ばれた2008年には、この作品の「発刊30周年記念式」も開かれたそうだし・・・。(→「ハンギョレ」の関連記事。)

 過去のこの催しを少し細かく振り返ってみると、毎年候補者リストの名前が大きく変わることもないので、前年の2位(今回は3位)の作家が次の年の1位に繰り上がっていく、ということになります。
 したがって、来年の1位はやっと李文烈でほとんど間違いなし<若手作家>部門の来年の1位は今回2位の金愛爛か3位チョン・ミョングァンのどちらかですね。

 この選定結果、あるいは候補者リストが「バラバラな印象を受ける」2つ目の理由は、韓国ではエンタメ系の読書の歴史が浅いということ。
 朝鮮王朝時代と日本の統治時代は庶民の識字率は高くなく(特に女性)、読書が大衆文化の一分野として十分に発達したものとはなっていませんでした。(日本では明治後期の「金色夜叉」(1897)、「不如帰」(1898)あたりがベストセラーの初め。) 逆にいえば、読書は上流階級・知識人の趣味であり、作家や詩人は尊敬の対象でした。
 そんな韓国の読書文化が大きく変わってきたのも民主化以後の90年代以降ではないでしょうか? 読書を「楽しむ」人たちが増えたものの、国内でそれに応える作家は少なく、需要を満たすために日本をはじめ外国からミステリー、SF等々の作品が多数輸入されるようになり、それらは「ジャンル文学(장르문학)」と分類されるようになります。しかし私ヌルボの韓国人の知人の言によると、「韓国の読者はまだこのタイプの小説になれていない」とか。
 ※ずっと以前からの韓国の推理作家といえば金聖鐘(キム・ソンジョン)しか知らんしなー。日本推理作家協会が(前身はさておき)社団法人に改組し現名となったのが1963年。一方韓国推理作家協会の成立は1983年。やはりこの差は大きい。(→関連記事。)
 ※韓国の大衆小説については全然知りません。私ヌルボが無知なだけか?と思わないでもないですけど。ちなみに「韓国近現代文学事典」を見てみても、大衆小説とかベストセラーについては何も書かれていません。李光洙の「無情」なんてインテリ青年以外に読者がいたのだろうか?

 鄭裕静「7年の夜」についての書評をいくつかの韓国語サイトで見てみると、「純文学とジャンル文学の境界を破った」とか「ジャンル文学の色彩が強い」等々書かれているものの、YES24等々では「純文学」に分類されています。私ヌルボのみるところ、宮部みゆきのような感じ、かな? 要するに、日本ほど小説の種別の細分化が進んでいない、ということ。韓国でも、「純粋な」純文学関係の作家等からは「あんなジャンル文学っぽい作家とウチらを一緒くたにするな」との声も出ているそうですが・・・。まあ、李箱文学賞受賞の可能性はないと思いますが・・・。

 あー、しかし韓国小説の翻訳書が数多く刊行されるわけでもなく、私ヌルボが1年間に読破できる韓国書も2ケタにはとどかないし、それで韓国の文学状況を概観するなんてことは相当にムリがあるなー、ふー・・・。(溜め息)

 あ、投票した人の中から抽選でもらえるという電子書籍端末のCremaが当たらないかな!? 10万ウォンの商品券でもいいけど。希望すれば当たる可能性がある、趙廷来鄭裕静が来るという文学キャンプも参加希望を出しておくべきだったかもなー、とこれはいつもの後悔先に立たず。

★[代表作家]と[若手作家]各24人のリスト *印は詩人。
[代表作家]
金周栄(キム・ジュヨン)、崔仁勲(チェ・インフン)、孔善玉(コン・ソノク)、*鄭浩承(チョン・ホスン)、*黄東奎(ファン・ドンギュ)、朴範信(パク・ボムシン)、呉貞姫(オ・ジョンヒ)、崔仁浩(チェ・イノ)、韓勝源(ハン・スンウォン)、成碩済(ソン・ソクチェ)、申庚林(シン・ギョンニム)、*金龍澤(キムヨンテク)、*李晟馥(イ・ソンボク)、朴常隆(パク・サンニュン)、殷熙耕(ウン・ヒギョン)、*都鍾煥(ト・ジョンファン)、*金芝河(キム・ジハ)、李承雨(イ・スンウ)、李文烈(イ・ムニョル)、金承鈺(キム・スンオク)、*咸敏復(ハム・ミンボク)、*高銀(コ・ウン)、*安度眩(アン・ドヒョン)、黄芝雨(ファン・ジウ)
[若手作家]
権汝宣(クォン・ヨソン)、ペ・ミョンフン、ペク・ヨンオク、李起昊(イ・ギホ)、尹成姬(ユン・ソンヒ)、キム・ギョンジュ、チョン・ウニョン、イ・ウンジュン、鄭裕静(チョン・ユジョン)、シム・ユンギョン、金宣祐(キム・ソヌ)、金愛爛(キム・エラン)、キム・ビョラ、金呂鈴(キム・リョリョン)、チョン・キョンニン、ハン・ユジュ、金重赫(キム・ジュンヒョク)、黄炳承(ファン・ビョンスン)、ペ・スア、チョン・ミョングァン、片恵英(ピョン・ヘヨン)、韓江(ハン・ガン)、趙京蘭(チョ・ギョンナン)、河成蘭(ハ・ソンナン)
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2人の脱北者とその家族たちの映画以上にドラマチックな人生

2013-07-27 15:22:48 | 北朝鮮のもろもろ
 ふつうに学校を卒業し、就職して、何十年か働いた後引退して・・・という「平凡な人生」を歩んでいる人は日本人の何割くらいなんでしょうか? とても自叙伝を書いてもおもしろくなりようがないそんな人生が、思えば十分すぎるほど幸せな人生なのかもしれません。

 これまで、多くの脱北者の手記を読んできました。そのどれもが、日本人の考える「平凡な人生」の対極にあるような波乱に満ちた、文字通り命がけの人生記録です。
 1つ前の記事で紹介した、今中国の公安に拘束されているキム・グァンホさん家族もまさにその「命がけの人生」の真っただ中に立たされている人たちです。
 そして今回紹介する脱北者たちも同様です。

 7月15日付の韓国メディアで、韓国在住の脱北者の男が北朝鮮機関と相通じて、中国にいた脱北者たちをだまして北朝鮮側に送り込んだかどで起訴された、というニュースが伝えられました。
 そのニュース記事に書かれた脱北者のチェ容疑者と、彼を告発したやはり脱北者の女性Aさんのこれまで歩んできた人生もまた苛烈としか言いようのないものです。

 以下「韓国経済」(いずれも韓国語)と「Nocutnews」の記事を照合しつつリライトしました。
※「産経新聞」(7月15日)にもやや簡略な記事が掲載されていました。(→コチラ。)

 チェ容疑者は2001年から北朝鮮保衛部の工作員に選抜され、中国で脱北者を探し出す任務を遂行していたが、2003年7月中国を行き来して密貿易をした事実が発覚、処罰を免れるために脱北し、韓国国籍を取得して韓国に定着した。  
 しかし、2004年9月から脱北ブローカーの活動と北朝鮮産骨董品の密貿易のためチェ氏は中国を行き来していた間、北朝鮮に残っている家族の保護に協力してもらおうと北朝鮮の保衛部の幹部に連絡を取り、北朝鮮側に再び取り込まれた。

 北朝鮮側の指令を受けたチェ容疑者は、韓国入国を期して中国の図們に隠れていた脱北家族3人の兵士2人脱北者たちに接近し、「他の脱北者1人と共にモンゴルを経てソウルに送ってやる」とだまして04年12月15日豆満江の岸に誘い出し、待機していた北朝鮮保衛部の工作員4人に引き渡した。
 チェ容疑者は、この脱北一家拉致事件で中国公安に調査を受けた後、韓国に追放された。
中国公安から脱北者拉致事件で追放された、その後06年に、チェ容疑者は、中国へ戻れとの指令を受けたが、ビザの発給が拒否されて失敗したことが確認されている。

 北朝鮮に送られた脱北者5人中、兵士2人は2005年に銃殺され、Aさん(34歳女)の夫は06年に政治犯収容所で死刑に処された。当時生後7ヵ月だったAさんの息子は養子に出された。
Aさんは懲役6年を宣告され、政治犯収容所に収監されて重労働や殴打や飢餓に苦しみ、で自殺まで試みたという。11年7月から満期出所した。
 2012年2月Aさんは再び脱北を試みて捕まったが、賄賂を渡して北朝鮮穏城郡の集結所(拘置所)から釈放された。

 その後脱北に成功したAさんは、中国、ラオス、タイを経て韓国に入国し、チェ容疑者とその家族が脱北して韓国で暮らしていることを知って、彼の犯行を捜査機関に申告した。
申告を受けた検察は、国家情報院、警察などと協力捜査してチェ容疑者を検挙した。
 Aさんは「チェ氏を見つけて殺そうと思ったが、殺してもすっきりしない」と陳述した。彼女は現在先に入国した母親が自分の脱北資金を負担して、共に借金に苦しんでいると伝えられる。
チェ容疑者は、妻と息子、娘などを脱北させて韓国に連れてきた後、日雇い労働をしてきたことがわかった。
 「これまで脱北一家を拉致させたことをいつも気に病んでいた。罪を素直に償う」とチェ氏は述べた。
 検察は、脱北後に再び北朝鮮に取り込まれたり、偽装脱北した事例がまだあると見て捜査を拡大する方針だ。


 Aさんという女性、34歳の若さでこんなにも酷いことの連続とは・・・。
 そしてチェ容疑者にしてみれば、自分が死地へと追いやった1人がまさか9年後の韓国で自分を告発することになるとは思わなかったでしょう。
 映画のように、いや、それ以上にドラマチックなことがあるものです。
 しかし、北朝鮮の工作者のように「公務」で脱北者を探索し拉致したり、(たぶん)それでも暮らしていけないから密輸をやったりというのも元をただせば北朝鮮の体制に起因することです。家族が一緒に安定した生活をするというのも基本的な願いです。もちろん、だからといって他の人たちの人生をめちゃくちゃにしてしまうことに弁護の余地はありませんが・・・。
 金日成が朝鮮戦争を始めたことや、その後の独裁体制のために一体どれだけ大勢の人たちの命が奪われ、あるいは悲惨な人生を送ったのか・・・。そしてそんな状況が今も続いていることを思うと暗澹とした気持ちにならざるをえません。
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2度目の脱北を試みるも、中国の公安に捕まった「再入北」家族 どこまで「国家」に苛め抜かれるのか?

2013-07-25 23:45:45 | 北朝鮮のもろもろ
 6月末に脱北したキム・グァンホさん等の家族5人が7月14日中国の延辺地域で中国の公安に捕まりました。
 うちキムさん夫婦(とその娘)は、以前にも脱北して2010年韓国に入国・定住していたのですが、12年末北朝鮮に帰り、13年1月平壌の記者会見の場で「南朝鮮は本当に汚れた世界だった」と韓国を非難した発言をしたことが北朝鮮メディアにより伝えられ、衝撃を与えました。
 つまり、いわゆる「再入北」者です。

 今回の逮捕後、韓国外交省報道官は16日「必要な措置を取っている」と述べ、韓国籍を有する彼らの釈放を中国側に求めていることを示唆しました。一方北朝鮮の保衛部も中国延吉当局に引き続き協力を要請しています。
 はたして中国当局がどのような判断を下すか、非常に注目されるところです。
※私ヌルボのみるところでは、中国自身の得失を考えると韓国側が少し有利ではないかと思うのですが・・・。(韓国得意の(?)ロビー活動もやってるだろうし(?)・・・。) もし北朝鮮に送られたとしても、これだけ報道されている中で、いくら北朝鮮といえども処刑はできないのでは?

 この出来事を伝えている日本のメディアは、ネット検索したところ「産経新聞」(7月15日.共同)「読売新聞」(7月17日)くらいのようです。

 その他の新聞等が報道しないのは、この出来事が彼ら5人の生命や人権に関わることであっても、日本人ではなく、日本とも直接関係がなく(ホント?)、北朝鮮や中国の現状からみて意外なことでもなく、したがってニュースバリューに欠けるという判断でしょうか?

 しかし「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」という文言が日本国憲法前文(!)にもあるわけだし、「護憲」を旗印にしている新聞こそ大きく取り上げてほしいものです。(逆に「読売」や「産経」にこの種の記事が多いのは考えようによっては奇妙。韓国内と同様に、左派が反人権国家・北朝鮮に甘いという残念な現実の表れか・・・。)

 この件に対する私のヌルボの関心は、南北朝鮮や中国という国家間のせめぎあいよりも、焦点となっているこの家族についてです。

 彼らが今までたどった道筋について、韓国各メディア、<DailyNK日本版><アジアプレス・ネットワーク>等の記事を参考にまとめてみました。
※<DailyNK>(→ウィキペディア)は韓国の市民団体・北朝鮮民主化ネットワークが発行するインターネット新聞。

・咸鏡北道で農場員として働いていたキム・グァンホさんは、1990年代後半の「苦難の行軍」の時期に、金儲けのため中国に何度も越境し、法的制裁も受けてきた。しかし2009年8月婚約者のキム・オクシルさんとともに再び中国へと脱北した。  
・2010年4月(?)、キムさん夫婦と10ヵ月になる娘は韓国の木浦市に定着。
・2012年末、「残った家族を脱北させるため」と北朝鮮に戻ったが捕まった。

※「中央日報(日本語版)」の記事(→コチラ)によると、これは「北朝鮮保衛部のおとり捜査による拉致だった」とのこと。「北朝鮮を脱出したいという妻の母と兄弟の連絡を受けて中国に行ったキムさんが会寧市保衛部に拉致された」という。
・2013年1月24日平壌で記者会見し「南朝鮮は本当に汚れた世界だった」と非難したことが朝鮮中央放送で報じられた。
※<アジアプレス・ネットワーク>の記事(→コチラ)によると「北朝鮮当局が準備した原稿を2ヵ月にわたり暗記したもの」とのこと。
・その後「韓国ではサムギョプサルやサムゲタンなど美味しい食事を食べられる」と韓国の宣伝を行ったかどで収監された。(恵山鉱山で思想改造のために強制的に働かされている、との未確認情報も・・・。)  
・6月26日キムさん夫妻が娘及びオクシルさんの妹キム・ソネさんと義弟(?)キム・ソンイルさん(夫妻?)を連れて脱北。
・7月14日中国に留まっていたキムさんの家族5人が延辺地域(延吉?)で中国の公安に捕まった。

※<DailyNK日本語版>(→コチラ)によると、再脱北したキム・グァンホさんがブローカー費用を節約しようと多方面に工面する過程で、彼に関する情報が公安にまで流れた、とのこと。
また消息筋によると、今回の事件で北朝鮮内部は非常事態となっていて、再度脱北したキムさんの家族の噂は知らない者はなく、だまされて脱北し韓国に懲りて北朝鮮に戻ってきたものと信じていた住民らは、彼が再入北から程なく家族とともに再び脱北を試みたと聞き、酷く動揺しているとのことです。

 この件について注目すべきこと、私ヌルボが考えたこと等を以下に列記します。

①「再入北」の事例が増えているという点。彼らが南北の「宣伝戦」の材料にされている。その背後に執拗な「工作(脅し・懐柔等)」が・・・。

 最近の韓国にいた脱北者の再入北は、昨年6月・11月に続きキム・グァンホが3度目です。
 いずれも公開記者会見の場で北朝鮮のメディアを通じて韓国を非難しています。この記者会見についての詳細は、「朝鮮新報」(1月29日)の2つの記事(→コチラコチラ)
の記事で知ることができます。(「統一新報」は朝鮮総聯系。) それによると、キムさん夫婦は、自分たちを南朝鮮に連れて行ったブローカーに契約金を払えなかったことが原因で裁判を起こされ、住まいを失ったうえ膨大な裁判費用まで支払うことになり、これ以上南朝鮮で生きてはいけないと痛感して北に戻ってきた、と話したそうです。
 その記事の見出しに<「脱北者」の大多数は被害者 組織化された南の誘引策>とあるように、彼らを「裏切り者」「犯罪者」ではなく韓国による「被害者」としている点が北朝鮮としては「新機軸」です。
 この記者会見の場で、キムさん夫婦とともに証言したコ・ギョンヒさんも「2011年6月に南朝鮮に連れて行かれたが、昨年末に共和国(北朝鮮)に帰ってきた」という女性。「完全に騙されて韓国に連れて行かれた」と証言しましたが、彼女もまた6月に再び脱北を試みたものの、<DailyNK>の記事によると、「コさんも脱出に成功した後、息子と娘を脱北させるために恵山市と真向かいの中国長白で通話を試みたが位置を追跡され、北朝鮮保衛部に逮捕された」とのことです。また「コさんは当局が準備した恵山市内の高級住宅を拒否し・・・恵山市で生活していた。その時から中国と連絡を取りながら脱北を準備していた」とも・・・。
 この<DailyNK>の記事によると、北朝鮮保衛部が昨年から脱北者らの知人を通して北朝鮮へ戻らせるための懐柔工作を積極的に展開してきた、とのことです。すでに韓国国内に定着した脱北者に対し、「戻ってきても処罰を受けない」等の働きかけをしたり、一方では<アジアプレス>の伝えるように、やはり昨年6月に再入北後の記者会見を行ったパク・ジョンスク氏のように、「北朝鮮に戻ってこなければ(北朝鮮に残された)息子に害が及ぶ」と脅迫したり・・・。
※今韓国では、長年韓国で家庭を持ち生活する北朝鮮のスパイが主人公の金英夏の小説「光の帝国」(訳書あり)が刊行されたり、韓国で一般庶民として生活しながら任務を遂行する北朝鮮スパイを描いた漫画が原作の映画「隠密に偉大に」がヒットしたりしています。これらの背景に、実際にスパイや工作員が摘発されるといった現実がある、ということです。
※1月の北朝鮮での記者会見報道の後、関連の韓国・聯合通信の記事の中で、「コ氏は保衛部の情報員である可能性がある(!)との主張が提起されている」とあるのは、この頃の脱北者をめぐる複雑な状況を示しています。

②「再入北」問題のもう一つの側面は、韓国内での脱北者の困難な生活状況

 先の聯合通信の記事によると、キムさん夫婦と親しい知人らは「同会見内容(ブローカーに契約金を払えなかった等々)について部分的には事実関係を認めたとのことです。それについては「東亜日報」に詳しい記事(韓国語)がありました。ブローカーに多額の金を支払うため、国から支給された定着金も少ししか残らないとか・・・。
 彼らの場合に限らず、韓国で暮らす脱北者の困難な生活実態の例は映画「ムサン日記~白い犬」等々、枚挙に暇がないほどです。

 「再入北」の事例は、あまり知られていませんが日本でも2例あります。
 在日朝鮮人の夫とともに北朝鮮に渡り2003年に日本に帰国した日本人妻・平島筆子さん(→ウィキペディア)と、母親が日本人、父親が在日朝鮮人で日本国籍の石川一二三さんの2人で、いずれも北京の北朝鮮大使館で記者会見をしていて、「悪い人間にだまされ(日本に)誘拐された」「日本は氷のように冷たかった」等と発言しています。背後の「事情」はいろいろ考えられますが、「日本は氷のように冷たかった」というのは当たっているでしょう。(参考記事→コチラコチラ。) 石川さんのケースの後、辺真一氏が「現在日本で暮らしている脱北者が北朝鮮に戻らないで済むような精神的、物理的ケアーを施すことです」とコメントしていますが、私ヌルボもこれには賛成で、同様のことは韓国についてもいえます。
 一方、脱北者の側の問題も指摘されています。「支援金に頼って真面目に働かない」「平気で嘘をつく」「助けてあげても礼を言わない」等々。以前NHKの「クローズアップ現代」でもそのことを取り上げていたそうです。(参考→コチラコチラ。)
 勤勉に働くことが収入増や生活の向上に直結しない北朝鮮でのサボリの実態は本ブログの過去記事(→コチラ)
でも書きました。嘘についても、正直に本心を語ることが身の危険に直結する独裁国家に生まれ育った人間ならさもありなんと思います。もちろん、だから許されるというものではありません。それだけミゾは深く、新しい社会に定着することはむずかしいということです。

③国家間の問題以前に、個人の人権問題として捉えよう。

 最初の方で「私のヌルボの関心は、南北朝鮮や中国という国家間のせめぎあいよりも、焦点となっているこの家族についてです」と記しました。
 いろいろ上述したように、キム・グァンホさんたちのこれまでの足跡をたどってみると、とてもふつうの日本人(と言っていいのかな?)からは想像もつかない苦労の連続です。
 生まれた国が北朝鮮であったばかりにこのような人生を歩まなければならない・・・というのは彼ら家族だけでなく約2千万(?)ほどの全人民についてもいえるわけですが、とくに彼らのような脱北者の場合は、まさに今の複雑な東アジアの国家間のせめぎあいの中で翻弄され、1つの外交カードとして利用されるという現状があります。
 しかし少なくとも一市民としては、自国の得失を最初に考える「国益本位の思考」ではなく、冒頭で引用した「日本国憲法」の前文の文言のように、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」を最優先すべきだと思います。
 また上記のように脱北の手引きが多くの場合ブローカーの儲け仕事になっているのも大きな問題だし、キリスト教団体がかなり関わっている点にも個人的には少し引っかかる点があります。もっと国際的に多くの人の関心を集めて、それが現実を変える大きな力になっていくことを願っているのですが・・・。

★現在、アムネスティ韓国支部では、キム・グァンホさんたちの北朝鮮強制送還を阻止するための呼びかけ(署名等)をしています。(→コチラ。)
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[7月19日(金)~21日(日)]

2013-07-23 23:52:52 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 今日は「風と共に去りぬ!?」を観に新宿K’s cinemaに行ってきました。昨年490万人の観客動員数で韓国映画中第4位。その数字も十分うなずけるレベルの作品でしたが、17:30~の回で客の入りは私ヌルボを含めて4人とは残念。時代劇初挑戦のチャ・テヒョンが天才的な戦略家として爆薬製造や穴掘り等々の「専門家」たちを集めて西氷庫(ソビンゴ.氷を保存した倉庫)の氷を盗むための作戦を展開するという話で、アクション物より個人的には期待度も高かったんですけどね。
 で、私ヌルボ、映画を観てまず驚いたのは、チャ・テヒョン演ずる主人公が18世紀末)の実学者李徳懋(イ・ドンム)だったこと! 本ブログの過去記事(→コチラで安素玲(アン・ソリョン)の「本ばかり読むバカ(책만 보는 바보)」という小説を紹介したことがありましたが、それがまさにこのイ・ドンムについて書かれた本でした。また映画ではオ・ジホが演じていた白東脩(ペク・トンス)もその本に登場していました。彼は2011年のSBSのドラマ「武士ペク・トンス」の主人公です。つまり実在の歴史上の人物が何人も出てくるのです。ラストの方で正祖(イサン)が即位するのですが、上記2人もドラマ「イサン」と同じく常に正義の側。そういえばエンドクレジットで「私のオオカミ少年」等々で人気のソン・ジュンギが科挙のトップ合格者(=壮元.チャンウォン)しの青年としてチラと登場し、「丁若(チョン・ヤギョン)です」と名乗ったのには笑ってしまいました。(→参考。)
 つまり、史実を少しだけ踏まえて、大方のストーリーはファンの皆さんに楽しんでいただくというコンセプトですね。英祖の時代に西氷庫をめぐる事件が実際にあったのかな? しかし時代劇の娯楽作といっても、実は現在の、公共財の民営化を通じて儲けている連中を批判した作品とは<オーマイニュース>ならずとも察しがつくところ。
 そう言えば、数年前慶州で見た石氷庫も正祖の前の英祖の時代に造られたとか。冷凍倉庫自体は→コチラの「17」のカキコミに詳しく書かれているように、ずっと昔の三国時代からあったそうです。

           ★★★ Daumの人気順位(7月23日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編/始まりの物語(日本)  9.8(26)
②踊る森(韓国)  9.4(27)
③道の上で(韓国)  9.4(55)
④ザ・クルーズ  9.2(305)
⑤イン・ザ・ハウス  9.1(25)
⑥がんばって、ビョンホンさん(韓国)  8.9(25)
⑦ビッグ・ピクチャー  8.8(22)
⑧天使の分け前  8.8(23)
⑨ウォールフラワー  8.8(130)
⑩スター・トレック イントゥ・ダークネス  8.7(1148)

 今回の新登場は①「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編/始まりの物語」だけです。日本のアニメとはいえ、私ヌルボの苦手なジャンルで、今まで知りませんでした。ウィキペディア(→コチラ)によると、「願いを叶えた代償として「魔法少女」となり、人知れず人類の敵と戦うことになった少女たちに降りかかる過酷な運命を描いたテレビアニメ」ということで、→コチラの記事では「幼女向けの魔法少女作品ではなく、感情と感情がぶつかり合う、大人向けのシリアスアニメ」なので勘違いしないように」とのこと。韓国でも日本のような「オタク」っぽい大人が増えてるということかな? 韓国題は「마법소녀 마도카 마기카 : 시작의 이야기」です。

【専門家による順位】

①ザ・マスター  9.0(5)
②スター・トレック イントゥ・ダークネス  7.8(6)
③ビフォア・ミッドナイト  7.7(4)
④天使の分け前  7.5(4)
⑤ザ・クルーズ  7.3(3)
⑥ローン・レンジャー  7.2(5)
⑦パシフィック・リム  7.2(4)
⑧ピュア  7.0(2)
⑨イン・ザ・ハウス  7.0(1)
⑩エブリデイ  6.8(5)

 前週と順位、評点とも変わりありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[7月19日(金)~21日(日)] ★★★

         「REDリターンズ」がトップ。「監視者たち」は500万人に迫る

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・REDリターンズ・・・・・・・・・・・・・・7/18・・・・・・・・・・・・・・832,267 ・・・・・・・・・・965,067・・・・・・・・7,020 ・・・・・・・738
2(2)・・監視者たち(韓国)・・・・・・・・・・・・7/03・・・・・・・・・・・・・・576,330・・・・・・・・・4,574,867 ・・・・・・・32,791・・・・・・・623
3(13)・・ミスター・ゴー(韓国)・・・・・・・・・7/17・・・・・・・・・・・・・・540,407 ・・・・・・・・・・730,953 ・・・・・・・・5,299・・・・・・・788
4(1)・・パシフィック・リム・・・・・・・・・・・・・7/11・・・・・・・・・・・・・・425,714 ・・・・・・・・2,186,615 ・・・・・・・17,587・・・・・・・517
5(3)・・ワールド・ウォー Z・・・・・・・・・・・・6/20・・・・・・・・・・・・・・115,376 ・・・・・・・・5,131,085 ・・・・・・・37,817・・・・・・・265
6(新)・・ターボ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・・・・・・69,614 ・・・・・・・・・・・73,453・・・・・・・・・・・516 ・・・・・・224
7(新)・・トニー・ストーリー・・・・・・・・・・・・7/18 ・・・・・・・・・・・・・・34,594 ・・・・・・・・・・・43,372・・・・・・・・・・・281 ・・・・・・257
       :空き缶帝国の秘密
8(4)・・ザ・ウェブトゥーン ・・・・・・・・・・・・6/27・・・・・・・・・・・・・・・32,332 ・・・・・・・・1,168,583 ・・・・・・・・・8,321 ・・・・・・121
         予告殺人(韓国)
9(10)・・ザ・マスター・・・・・・・・・・・・・・・・7/11・・・・・・・・・・・・・・・・4,971・・・・・・・・・・・・19,932 ・・・・・・・・・・151 ・・・・・・・37
10(6)・・隠密に偉大に(韓国) ・・・・・・・・6/05・・・・・・・・・・・・・・・・4,139・・・・・・・・・6,950,760・・・・・・・・48,647 ・・・・・・・34
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 ハリウッドの新登場アクションがトップというよくあるパターンで今回は「REDリターンズ」が1位。2位の「監視者たち」は健闘して再来週には500万人にとどきそう。
新登場は1・3・6・7位の4作品です。
 1位「REDリターンズ」はアクション・コメディ「RED/レッド」(2010)の続編。ブルース・ウィリス、ジョン・マルコヴィッチ、アンソニー・ホプキンス等の他に、今回はイ・ビョンホンも出演。当初彼の役は中国人という設定だったのが彼の提案で韓国人になったとか。またこれまでアジアの俳優によくある単純な悪役ではなく、フランク(ブルース•ウィリス)との過去の因縁や独自のコミカルさ、そして殺し屋という職業等が複合した立体的なキャラクターとのこと。韓国題は「레드:더 레전드」、日本公開は11月30日です。
 3位「ミスター・ゴー」は、アジア初の3Dデジタルキャラクターであるゴリラのリンリンがマネージャーの少女ウェイウェイと共に韓国のプロ野球団に入団し、スーパースターになっていくという話。ゴリラがすごくリアルで「もうそこにゴリラがいるかのよう」らしいです。(→参考。) 主演のソン・ドンイルは今日の「風と共に去りぬ!?」にも出てたな。オダギリジョーもカメオ出演とか。原題は「미스터 고」。韓国だから「ミスター高」かと思っちゃいましたが「ミスターGO」です。
 6位「ターボ」はアメリカのドリームワークス制作の3DCGアニメ。家庭菜園のトマト畑で暮らすカタツムリたちの中の1匹の「ターボ」ことテオは、カタツムリなのにレーサーに憧れる変人、じゃなくてなんだ? ある日偶然スーパーパワーを手に入れて、すごいスピードが出せるスーパー・カタツムリになっちゃうという話。しかしアメリカアニメのキャラクター、なんかブキミ系が多いような気がします。韓国題は「터보」。日本公開は未定。
 7位「トニー・ストーリー:空き缶帝国の秘密」はドイツのアニメ。「ミスター・ゴー」「ターボ」同様夏休みに入っての子ども向き映画か。身体はリサイクルだが心だけは新しいリサイクル仲間たちが住む魔法の国、空き缶帝国。騎士大会での優勝が夢という古鉄の騎士トニーは競走馬チョッパーに新しいエンジンを搭載して過去連覇のノーブル王子を破って優勝するが、その新エンジンが盗まれ、騎士の資格を剥奪されてしまうというピンチに・・・。実はその背後には恐ろしい陰謀が・・・。韓国題「토니 스토리:깡통제국의 비밀」をそのまま訳して仮題としました。日本公開は未定。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ザ・マスター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/11 ・・・・・・・・・・・・・4,971 ・・・・・・・・・・・・・・19,932・・・・・・・・・・151・・・・・・・・・・37
2(3)・・ビッグ・ピクチャー ・・・・・・・・・・・・・・・7/04 ・・・・・・・・・・・・・2,583 ・・・・・・・・・・・・・・16,331・・・・・・・・・・122・・・・・・・・・・22
3(2)・・冥王星(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/11 ・・・・・・・・・・・・・1,895 ・・・・・・・・・・・・・・13,782・・・・・・・・・・・94・・・・・・・・・・39
4(4)・・道の上で(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・・・・1,581・・・・・・・・・・・・・・・35,332・・・・・・・・・・243 ・・・・・・・・・12
5(新)・・ブロークン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/18 ・・・・・・・・・・・・・・・987・・・・・・・・・・・・・・・・1,472・・・・・・・・・・・10・・・・・・・・・・16

 新登場は、5位「ブロークン」だけです。チューリヒ映画祭2012でグランプリを受賞したイギリス映画。ロンドンで暮らす11歳の少女"スカンク"の近所に、ある日オズワルドという男性が引っ越してくるが、彼は妻が死んで以来暴力を抑えきれず、また彼の3人の娘たちも"スカンク"の学校生活を生き地獄に変える。ところが父は、こうした変化に全く気づかない。そして片思いをしている先生が衝撃的な事件の容疑者として追われることに・・・。韓国題は「브로큰」です。日本公開は未定。
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長渡先生らしい『初級を卒業した人のための韓国語文法』 ☆実はT-ARA関連の例文が一杯!

2013-07-21 23:53:21 | 韓国語あれこれ
        

 最近発行の長渡陽一『初級を卒業した人のための韓国語文法』(ナツメ社)に目を通してみました。

 文法書といっても、タイトルにあるように「初級を卒業した」レベルの人を主な対象として、文法を通してさらに確実にレベルアップを図るためのテキストといった本です。

 長渡先生は序文で、韓国語文法の本は「とかく「語尾辞典」になりがち」だが、「本書は、韓国語「全体」の「しくみ」を描く試みの第一歩」であると記しています。
 なるほど、目次(→コチラ参照)からもわかるように、各品詞や文のしくみ、文末のしくみ等々、トータルに扱っています。

 また私ヌルボの感想としては、次の点に<長渡先生らしさ>が表れていると思いました。
①「かくあるべき」、「標準的=教科書的=正しい」というような韓国語ではなく、実際に用いられている韓国語に即したものである。したがって、「××××という語法は文法的に誤りである」というような指摘はなく、口語に重点を置いている。
 ※たとえば「形容詞も勧誘語尾をつけて「共に~になろう」という意味を表すことができます」とすんなり書かれ、「행복하자.(幸せになろう)」という例文を掲げています。この用法については→コチラの過去記事で取り上げたこともあり、またコチラの韓国サイト等でも詳しく書かれています。
②発音(濃音化等の音変化、イントネーション等々)についても説明している。(これまでの著書をふまえている。)


     

 「있다」「간다」等の<基本文体>(下称)、「있습니다」「갑니다」等の<格式文体>(上称)とともに、口語でふつうに用いられる반말も<普通文体>として同列に置かれて説明されてます。

     
     【こういうパッチムの音変化についてはふつうの文法書には書かれていないのでは?】

 とっくに「初級を卒業した人」にとってもかなりむずかしいと思われる内容もあり、勉強になると思います。たとえば、本ブログ5月29日の記事にも関連する「過去の状態の継続」についての次の練習問題。

     
          【実は私ヌルボも首を傾げてしまいました。】

 他にも勉強になった箇所はいろいろあるのですが、たくさん挙げると著作権侵害・営業妨害になってしまうので、あとは皆さん書店で見てみてください。

 そしてナツメ社の宣伝文にも書かれていない本書の大きな特色は、T-ARAをはじめとするK-POPや韓流ドラマ関連の言葉や例文がたくさん散りばめられていること。

 まずわかりやすい例から。

     

 もちろんT-ARAのリーダーのソヨンですね。

     

 ヒョナは4minuteのヒョナでしょう。

     

 <プラスα>でやはりT-ARAのウンジョンも登場。ここまででも長渡先生がT-ARAのファンということが十分にわかります。そして・・・

     

 昨年T-ARAを脱退した(させられた)ファヨン
 その下の「내 앞에만 나타나면」も「너만 생각하면 미치겠어」もワンダーガールズの「Be My Baby」の歌詞。意味的にも長渡先生の心の声?(笑)

     

 「짜증내도 너무 귀엽고 투정해도 너무 귀엽고」はT-ARAの「O my god」、「나를 두고 떠나가지 마」はT-ARA & Davichiの「나를 두고 떠나가지 마」の歌詞から。これまた深読みすれば意味深かも・・・。

 そしてもうひとつ。

     

 もしや、と思って調べてみたら案の定。「9月28日」というのは、2011年T-ARAがで日本でデビュー・シングル「Bo Peep Bo Peep」を発売した日付でした!

 ちょっと目についたものを拾ってみましたが、本気で探せばもっとたくさん見つかりそう。
 おっと、そんなことしてたら勉強にならないって・・・、そりゃその通りです。
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やっとチョン・ユジョンの新作「28」に取りかかるゾ! 伝染病でパニック状態に陥った町が舞台

2013-07-19 20:04:13 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 先月の韓国旅行の往路、6月17日のアシアナの機内で日頃読む機会の少ない「毎日経済」を読んでいたら、次のような記事が目にはいりました。

     

 “링위에 서는게 난 두렵지 않다(私はリングの上に立つのは恐くない)”という見出しはそれだけでは意味不明ですが、その上に<올 한국문학의 기대작 ‘28’출간한 정유정(今年韓国文学の期待作「28」を出刊したチョン・ユジョン)>とあるではないですか!
\t
 チョン・ユジョンといえば、何ヵ月もかかって読んだ前作の「7년의 밤(7年の夜)」はすご~くおもしろかった! 私ヌルボ、この本については<2012年に読んだ「圧倒的!」な本5冊>と題した過去記事(→コチラ)で紹介しました。

         
  【「7年の夜」の表紙。約500ページ。読み通した自分をほめてやりたい、ウルウル・・・というより、内容に読み通させるだけの力があったということか。】

 ・・・というわけで「毎日経済」の記事を読んでみると、要するに彼女の「28」という新刊が出たとのこと。
 「夜遅くこの本を読み始めると、否応なく夜明けを迎えることになるだろう」というその内容はおよそ次のようなものとのことです。

 小説の主舞台はソウルと隣接する人口29万のファヤン市(華陽市)[←架空の町]。そこで正体不明の人畜共通伝染病が蔓延する。犬と人間の間で相互に伝染し、発症すると真っ赤な目になり全身から血を流して死んでしまう。都市は手に負えない混乱に陥る。政府と軍は感染した人間と犬を殺す。理性を失った都市は、マイナス18度の寒さにも「ファヤン(火陽)」という名前のように地獄になる。略奪・銃撃・強姦・殺人・放火・・・。互いに殺し合い、絶望して恐怖に震えて共倒れしていく。
 作者チョン・ユジョンは、5人の人物と1匹の犬の視点(!)を通してこの地獄図を描写する。その6つの声が出会って作り出す、生存に向けた渇望と熱い救いの物語だ。


 ・・・つまり、怖ろしい伝染病蔓延パニックの話なんですね。このジャンルではカミュの「ペスト」とかポーの「赤死病の仮面」、小松左京「復活の日」等いろいろありましたね。クライトン「アンドロメダ病原体」は未読ですが・・・。で、このチョン・ユジョンの新作はたぶんどれとも違う感じ、って当たり前か。

 この小説「28」について帰ってから調べてみたら、「東亜日報」(日本語版)にも紹介記事がありました。(→コチラ。)
 またなぜかリンクできませんが、「毎日経済」のサイト内検索をすると、この新聞記事を読むことができます。

さて、はからずもこの記事を読んだからにはぜひこの本を買って帰ろうと心に決め、帰途ロッテモール金浦空港店内の永豊文庫に行って小説のコーナーに行ってみたら無い! あきらめて別の本を買って行くとするかと思ってレジ方面に向かうと、なんとドカッと平積みにされているのが目に入りました。やれやれ。(あ、写真撮ってなかった・・・。)

 ところが、買っては来たものの、まだ読み終えていなかったハングル本(前書いたハン・ビヤの本)の方を優先したため1ヵ月近くそのままの状態だったのが、ようやくケリがついたので昨日から読み始めました。

          
  【帯には「“28日、生き残るため極限のドラマが繰り広げられる!” 読者と言論が選んだ今年韓国文学最高の期待作」とあります。】

 アラ、冒頭はいきなりアラスカだぞ。世界最長の犬ぞりレース<アイディタロッド>だって!? これがどう韓国での話につながっていくのかな?

 なんせこの本も「7年の夜」とほぼ同じ約500ページのボリュームなので、がんばっても2~3ヵ月はかかりそうです。
 「毎日経済」の記事によると、チョン・ユジョンは毎日1~2時間ボクシングで身体を鍛え(「リングの上云々はそういう意味)、また高麗人参等を食べて体力をつけたりしてあのパワーに満ちた文章を書いているそうです。
 前作同様、読む側にも体力が必要のようです。ふー、シンドイな。でも楽しみ!
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[韓国映画興行成績 番外編] 最近公開された韓国映画の日韓ファンの人気度比較と寸評

2013-07-18 23:51:59 | 韓国映画(&その他の映画)
 今年に入ってすでに25作品(たぶん)もの韓国映画が劇場公開されました。(映画祭等での上映作は除く。) またこれからも「風と共に去りぬ」「渚のふたり(かたつむりの星)」「悪いやつら(犯罪との戦争:悪者たちの全盛時代)」「Snowpiercer(雪国列車)」「タワー 超高層ビル大火災」「サイコメトリー 残留思念」の公開が予定されており、さらには今韓国で公開中の「隠密に偉大に」の日本公開も決まったそうです。

 私ヌルボ、1980~90年代は日本で公開される韓国映画のほとんどを観に行っていましたが「シュリ」「JSA」が公開されて話題となった2000年以降、とくに韓流スターたちの出演作がやたらと増えてからは「選んで観る」ようになりました。

 そして今年はこれまでに観た本数合計42本中、韓国映画はちょうど3分の1の14本です。その中で映画祭等での上映作や旧作をのぞいた数が10本。つまり一般劇場公開作品の4割しか観てないということです。(それでも十分に多いか・・・。) 
 で、それらについて韓国での観客動員数の多い順に次のような表を作ってみました。(韓国での上映禁止作品で、日本でも1館のみ(シアター・イメージフォーラム)のレイトショー公開の「ポドリ君の家族残酷史X 韓国の夜と霧」以外の9作品。)
 ※韓国で人気を博した映画で観てないものもたくさん。665万人動員の「私のオオカミ少年」も未見です。スミマセン。

作品名(韓国での観客動員数)・・・・見どころ&寸評・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「映画生活」の評点・・「DAUM」の評点・・私ヌルボの評点  
「10人の泥棒たち」(1298万人)・・・リラックスして楽しむアクション・・・・・・・・・・・[82]・・・・・・・・・・・・・・・・[7.5]・・・・・・・・・・・・・・
「王になった男」(1231万人)・・・・・・娯楽&感動の時代劇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・[86]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.6]・・・・・・・・・・・・・・
「ベルリン・ファイル」(715万人)・・・南北朝鮮諜報員の迫真のアクション・・・・・・[84]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.0]・・・・・・・・・・・・・・
「建築学概論」(411万人)・・・・・・・・懐かしく切ない初恋と、そして今 ・・・・・・・・・・[71]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.6]・・・・・・・・・・・・・・
「折れた矢」(345万人)・・・・・・・・・・・実話に拠る法廷劇が司法界の病巣を暴く・・[60]・・・・・・・・・・・・・・・・[9.5]・・・・・・・・・・・・・・ 
「殺人の告白」(272万人)・・・・・・・・巧みなストーリー展開とアクション ・・・・・・・・・[84]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.6]・・・・・・・・・・・・・・
「共謀者」(164万人)・・・・・・・・・・・・・臓器移植をめぐる事件が素材のミステリー・・[80] ・・・・・・・・・・・・・・・[7.2]・・・・・・・・・・・・・・
「ある会社員」(111万人)・・・・・・・・「会社」はヤクザ組織に通底するか!?・・・・・・・・[85]・・・・・・・・・・・・・・・・[6.8]・・・・・・・・・・・・・・
「嘆きのピエタ」(60万人)・・・・・・・・愛と怨恨への深い省察と芸術的映像・・・・・・・[80]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.7]・・・・・・・・・・・・・・

 さて、この表からわかること、そして思ったことは・・・。

・観客動員数は、観客満足度と多少は関係する。別の言い方をすると、それほどは関係ない。観た人の評価がすごく高くまた興行面でも大成功という、「千と千尋の神隠し」とか「ショーシャンクの空に」のような作品はむしろかなり少ないと言った方がよさそう。
 以前ある所で、ヌルボが単純な娯楽本位の、終わったら「ああおもしろかった!」ですべてを忘れてしまうような映画を非難したら、ある人に「私はしんどい仕事のことを忘れて、いっときスカッとしたいんですよ」と言われて虚を突かれた感じがしたことがありました。たとえばそんな人たちをターゲットに宣伝攻勢をかけて動員数を伸ばす映画はたくさんあって、その意義も否定はできません。

・日本のファンは、アクション映画に対する評価が比較的高いようです。
 「10人の泥棒たち」「ベルリン・ファイル」「殺人の告白」「共謀者」「ある会社員」と、撃ち合いだの格闘だのカーアクションだのてんこ盛り。「殺人の告白」の疾走する2台の車上のアクロバティックなアクション、なんで車を停めないんだろう?と思いながら観てましたが。

・同じアクション大作でも「10人の泥棒たち」と「ベルリン・ファイル」は感触が対照的。前者がノーテンキで、後者はそれなりに今の北朝鮮の問題を反映した緊張感があります。どちらにも出演しているチョン・ジヒョンの役柄がまさにそれを体現しています。
 1つ前の記事に記したように、北朝鮮では海外で仕事をする者の子供を人質として残して置くとか、毒物注射のこととか、その特異な体制ゆえのもろもろがかなり知られてきているということ?

・ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作の「嘆きのピエタ」は60万人でも「よく入った」部類。受賞効果ってやつですね。高い点を付けたヌルボですが、好きな映画とはいえません。同じ暴力シーンが突出していた「息もできない」は思い出しただけでも涙が込み上げてきますが、コチラはそういうシーンはなし。ただ最後の上から俯瞰した場面は心の中で(うわー・・・)と衝撃の声を上げるばかりでした。

・韓国の「DAUM」の評点の中で「折れた矢」の高さが突出しています。予備知識なくこの映画を観た日本人は首を傾げるでしょう。
 元になった事件は、入試問題のミスの隠蔽に抗議したことを理由(?)に解雇された金明浩(キム・ミョンホ)元・成均館大学数学科教授は再任用拒否の無効を求めて提訴しましたが棄却の判決。そこで金元・教授は「法を守らない判事たちがいるということを国民に知らせるため」クロスボウを持ってパク・ホンウ判事の自宅アパートで待ち伏せして判事を狙い(?)傷つけた(?)・・・というもの。映画ではアン・ソンギが演じた教授は相当に思い込みの激しい人(?)のようですが、判事が「腹に受けた」という矢は行方不明だし、彼が当時着ていた衣服はなぜかワイシャツだけ血が付いていないとか・・・。どうも判事が当該大学OB(?)等々「ウラ」はたしかに疑わしい・・・。そんな韓国の司法に対する国民の不信、いや憤りがドカッと噴出した結果がこの高評価の背景といってよさそうです。その点は「トガニ幼き瞳の告発」とも共通していますね。
 「DAUM」に寄せられたネチズンの代表的なコメントを紹介します。
 「これが大韓民国の現実。(10.0)」←多数  
 「法治(rule of law)ではない、法を手段とする支配(rule by law)の痛い現実ね依然として民主化は完了していなかったことを見せてくれる映画。(8.0)」
 「映画が大衆に語るメッセージを離れて映画自体だけみればおもしろくない。本当におもしろくない。(2.0)」←例外的

※話はそれますが、韓国が竹島問題を国際司法裁判所に持ち出そうとしないのは、世界的な影響力(「ロビー活動」の効力)を考えると、韓国は日本に勝てないという判断が国民の間にあるようです。自国内で「ロビー活動」(裏取引・裏工作)が通例化しているので、国際社会も「そういうもの」と思い込んでいるらしい(??)。慰安婦問題をめぐるアメリカでの「ロビー活動」は成果をあげているようですが・・・。

・もしヌルボが「今オススメの韓国映画は何ですか?」と問われたら、相手の好みとか人となり等によって答え方は違ってきます。最大公約数的には「王になった男」と「殺人の告白」。相手を見ずに「嘆きのピエタ」を薦めたりするとウラミを買う結果になったりして・・・。
 この5年間だと「息もできない」や「過速スキャンダル」は誰彼問わず観てほしいのですが・・・。あ、「彼とわたしの漂流日記」も・・・。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[7月12日(金)~14日(日)]

2013-07-16 22:30:14 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 7月13~15日の3連休で連日韓国映画を観に行きました。「ベルリン・ファイル」「殺人の告白」の3本です。
 「折れた矢」は先週の「共謀者」に続きみなとみらいのブリリア ショートショート シアター。しかし今回も客は私ヌルボをいれて2人だったのは関係者ならずとも残念。映画の方は、この元となったクロスボウ事件の顛末や韓国社会と世論についてある程度の知識がないとわかりにくいかも・・・。(詳しくは→コチラ参照。)
 「ベルリン・ファイル」は、横浜ブルク13で客の入りは50人前後。国際間の諜報員たちが・・・、というよりも韓国と北朝鮮の間の・・・、いや、相互監視の目が厳しい北朝鮮海外駐在者の間の・・・というのが焦点かもしれない、と思いました。北朝鮮大使館の通訳を演じたチョン・ジヒョンは最後まで笑うシーンはなく、「10人の泥棒たち」とは全然違う雰囲気。北朝鮮方言に苦労したそうで、撮影時上手く演技できたなと思ったら、監督から「語尾が北韓方言の'더(ド)'ではなく'다(ダ)'になってる」'とダメ出しされたこともあったとか。「イムニダ」じゃなく「イムニド」ね。北朝鮮方言のイントネーションは、北朝鮮関係映画を観ているとおおよそわかってきます。いちょっとダサい感じまで感じるようになってしまった自分は問題アリ状態かも。また、北朝鮮では海外で仕事をする者の子供を人質として残して置くくいう設定は、チョン・ジヒョンが北朝鮮方言を教わった脱北者の先生の話した北朝鮮の現実をそのまま反映したものだそうです。
 「殺人の告白」は昨日シネマベティで観ました。予想以上におもしろかった! 60~70人ほどもいた観客の皆さんはきっと満足して帰ったことでしょう。 「練り上げられた脚本と個性的な演出、ブラックコメディーの要素も盛り込まれた緊迫感あふれるアクションシーンや結末を予想できないストーリー展開」という宣伝文句は決して誇張ではありませんでした。細かくみれば、ツッコミどころはいろいろあるけどね。

 さて、上記のような昨年韓国でヒットした映画(「ベルリンファイル」は今年)が今年になっていろいろ上映されています。そこで、それらの映画の観客動員数と韓国・日本それぞれの評点の比較等をまとめてみました。その結果については次の記事で、ということにします。

           ★★★ Daumの人気順位(7月16日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①踊る森(韓国)  9.4(27)
②道の上で(韓国)  9.4(50)
③イン・ザ・ハウス  9.2(21)
④ザ・クルーズ  9.2(302)
⑤48m(韓国)  9.1(43)
⑥がんばって、ビョンホンさん(韓国)  9.0(24)
⑦ビッグ・ピクチャー  8.8(20)
⑧天使の分け前  8.8(23)
⑨ウォールフラワー  8.8(129)
⑩スター・トレック イントゥ・ダークネス  8.7(1145)

 今回の新登場はありません。
 ⑦「ビッグ・ピクチャー」はこのランキングは初登場ですが、先週【多様性映画】の方で紹介しました。

【専門家による順位】

①ザ・マスター  9.0(5)
②スター・トレック イントゥ・ダークネス  7.8(6)
③ビフォア・ミッドナイト  7.7(4)
④天使の分け前  7.5(4)
⑤ザ・クルーズ  7.3(3)
⑥ローン・レンジャー  7.2(5)
⑦パシフィック・リム  7.2(4)
⑧ピュア  7.0(2)
⑨イン・ザ・ハウス  7.0(1)
⑩エブリデイ  6.8(5)

 ①「ザ・マスター」、⑦「パシフィック・リム」の2作品が新登場です。いずれも後述。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[7月12日(金)~14日(日)] ★★★

         「パシフィック・リム」が「監視者たち」を抑えてトップ

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・パシフィック・リム・・・・・・・・・・・・7/11・・・・・・・・・・・・1,160,671 ・・・・・・・・1,372,743 ・・・・・・・11,077 ・・・・・1,005
2(1)・・監視者たち(韓国)・・・・・・・・・・・・7/03・・・・・・・・・・・・1,003,112・・・・・・・・・3,540,492・・・・・・・・25,494・・・・・・・801
3(2)・・ワールド・ウォー Z・・・・・・・・・・・・6/20・・・・・・・・・・・・・・345,929 ・・・・・・・・4,891,936 ・・・・・・・36,157・・・・・・・383
4(4)・・ザ・ウェブトゥーン(韓国)・・・・・・・6/27・・・・・・・・・・・・・・107,153 ・・・・・・・・1,091,096・・・・・・・・・7,787 ・・・・・・244
         予告殺人(韓国)
5(3)・・ローン・レンジャー・・・・・・・・・・・・7/04・・・・・・・・・・・・・・・34,668 ・・・・・・・・・・370,829・・・・・・・・・2,640 ・・・・・・229
6(5)・・隠密に偉大に(韓国) ・・・・・・・・・6/05・・・・・・・・・・・・・・・34,315・・・・・・・・・6,932,955・・・・・・・・48,531 ・・・・・・141
7(7)・・カンフー・パンダ 英雄の誕生 ・・7/04 ・・・・・・・・・・・・・・25,199・・・・・・・・・・・・70,990・・・・・・・・・・・449 ・・・・・・116
8(新)・・サイド・エフェクト・・・・・・・・・・・・・7/11 ・・・・・・・・・・・・・・18,696 ・・・・・・・・・・・23,440・・・・・・・・・・・169 ・・・・・・170
9(9)・・ザ・クルーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・・・・・・・8,998 ・・・・・・・・・・936,699 ・・・・・・・・・6,517 ・・・・・・・39
10(88)・・ザ・マスター・・・・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・・・・・・・6,559・・・・・・・・・・・・・9,280 ・・・・・・・・・・・・71 ・・・・・・・38
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 前回トップの「監視者たち」は今回も100万人を超え累計350万人に達しましたが2位に後退。
新登場は1・8・10位、すべてアメリカ映画の3作品です。
 1位「パシフィック・リム」はSFモンスター・スペクタクル。2013年太平洋の深海から突如怪物が出現して世界中の大都市が次々と破壊される・・・というから、私ヌルボ、もしかしてあの「深海のYrr」!?と思いましたが、これはゴカイ(←誤解じゃなくて環形動物の方)じゃなくてマジンガーZ風の(?)巨大なヤツ。これをやっつけるべく登場するのが操縦者の動きとシンクロして動くという人型の兵器イェーガーなんですが・・・。(ミスったら頭かいたりするのかな?) 監督は「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ(全然フンイキ違うじゃん)、そして菊地凜子とか、アラ芦田愛菜ちゃんも出てるのかー。韓国題は「퍼시픽 림」。日本公開は8月9日です。
 8位「サイド・エフェクト」はスティーヴン・ソダーバーグ監督による異色スリラー。心を病んだ若い女性とその担当医師、刑務所を仮釈放されたヒロインの夫(チャニング・テイタム)という男女3人の複雑な関係を描く。鬼才と豪華キャストのコラボによる化学反応に期待大の1作だ。なかなか症状が改善されない女性患者(ルーニー・マーラ)に、精神科医(ジュード・ロウ)は思い切って新薬を投与する。すると症状はどんどんよくなっていったが、やがて薬の副作用によって・・・、といってもホラーじゃないからオゾマシイ変身とかはないみたいですが・・・。韓国題は「사이드 이펙트」。日本公開は9月6日です。
 10位「ザ・マスター」は日本では3月に公開されています。韓国題は「마스터」。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(32)・・ザ・マスター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/11 ・・・・・・・・・・・・・6,559 ・・・・・・・・・・・・・・・9,280・・・・・・・・・・・71・・・・・・・・・・38
2(新)・・冥王星(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/11 ・・・・・・・・・・・・・5,888 ・・・・・・・・・・・・・・・7,300・・・・・・・・・・・52・・・・・・・・・・74
3(1)・・ビッグ・ピクチャー ・・・・・・・・・・・・・・・7/04 ・・・・・・・・・・・・・3,113 ・・・・・・・・・・・・・・11,339・・・・・・・・・・・85・・・・・・・・・・22
4(2)・・道の上で(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・・・・1,799・・・・・・・・・・・・・・・31,837・・・・・・・・・・220 ・・・・・・・・・14
5(3)・・コズモポリス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/27・・・・・・・・・・・・・・・557・・・・・・・・・・・・・・・11,645・・・・・・・・・・・88・・・・・・・・・・11

 新登場は、1位「ザ・マスター」と2位「冥王星」の2作品です。
 1位「ザ・マスター」にいては上述しました。
 2位「冥王星」は韓国の受験競争をテーマにしたスリラー。天文学者を夢見る少年ジュン(イ・ダビデ)は超名門私立に編入し、そこで行われている上位1%の生徒対象の秘密スタディグループに入ろうとします。そんな中、劣等感の対象だった首席の少年ユジン(ソンジュン)の遺体が学校の裏山で発見され、有力な容疑者として挙げられたのはジュン。通常証拠不十分で解放されたジュンはやがて衝撃的な真実を知ることに・・・。10年間の教員歴があるという女性監督シン・スウォン監督がそこで感じたことをベースに韓国の入試制度と過酷な受験競争に対する批判を盛り込んだ作品で、2013年ベルリン国際映画祭で特別言及賞を受賞しました。原題は「명왕성」です。
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ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ「竹林はるか遠く 日本人少女ヨーコの戦争体験記」を読んで考えたこと

2013-07-15 23:54:10 | 韓国・朝鮮に関係のある本
        

 話題の書(かな?)、 ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ「竹林はるか遠く 日本人少女ヨーコの戦争体験記」(ハート出版)を読了しました。

 朝鮮半島北部の羅南から引揚げてきた母と2人姉妹(16歳と11歳)の物語で、その妹の方の擁子すなわちワトキンズさん自身が体験を基に書き、1986年にアメリカで刊行された作品の翻訳書で、ごく最近発行されました(奥付は7月19日発行)。

 ワトキンズさんは戦後アメリカ人と結婚しアメリカ東海岸に居住してきて、この本も英語で書かれました。刊行後この作品はボストンを中心としたニューイングランドの小中公立学校で教材として採用されてきました。

 ところが2006年11月、引揚げの途上で一家族の例を除いて多くの朝鮮人が強姦の加害者等否定的にしか描かれていないことや、植民地支配の事実背景が記されず日本人が被害者のように読まれるおそれがあることを問題視した韓国系アメリカ人たちから抗議が出ていることが米紙「ボストン・グローブ」で報道され、以後この問題は拡大していきました。韓国でも当然のごとく大きく伝えられました。ほとんどは、この本を非難するものです。(そうではない記事もあります。) そして刊行されていた韓国語の訳書は出版停止となりました。
 ※この本の内容や、この本をめぐる問題の詳細については→ウィキペディアを参照のこと。ちなみに韓国版ウィキペディアの<요코 이야기(ヨーコの物語)>の項目の記述はかなり異なっています。「空想小説」(!)となっていたり・・・。

 で、ヌルボが読んだこの翻訳書ですが、ほとんど事前に得ていた情報から考えていた通りの内容でした。
 率直な感想としては、これをもって「日本人が自身を被害者のように描いている」、「韓国人を悪く描いている」等々の読み方はたしかにトンチンカンです。
 まあ、「親切だった韓国人」の事例をもう少し書いた方が「バランス的には」よかったかもしれませんが・・・。しかし母と娘2人だけの、不安というより恐怖と緊張の脱出行ということを考えれば、このような形での「当時の思い出」も無理からぬものもあります。もちろん、上坪隆「水子の譜」に記されているような引揚げ女性の悲劇も実際数多くあったようです。(参考→コチラコチラコチラ。読む人の「立場」によって感想の書き方もいろいろです。)

 この本のことが問題化したのが2007年初頭。その後私ヌルボ、「東アジア歴史認識論争のメタヒストリー」(青弓社.2008)に収められている米山リサ氏(カリフォルニア大学準教授かな?)の「日本植民地主義の歴史記憶とアメリカ」と題する論考を読みました。
 副題は「『ヨウコ物語』をめぐって」。つまり、この作品の内容と、これに反対する韓国系アメリカ人の抗議運動の経緯について記したものです。
 全面的に同意!というわけではないのですが、興味深い指摘が多々含まれているので紹介します。

・2006年までのアマゾンの読者評のほとんどは「感動的だ」等々この作品に対して好意的である。ある小学校教員は「長年教材として用いてきたが、感動しなかった生徒は1人としていなかった」とも。一方、人種や歴史に関係のない視点から、「内容的に12歳前後の子どもには不適切」という見解もあった。

・文学作品やフィクション化された自伝等について、その作品の有する普遍的人間性において価値があると認められることが、評価基準として優先される傾向がある。しかし、その背景の歴史の批判的検討や(無意識の)政治性等についても、その作品の優劣とは別に、著者は責任を負っている。(←ヌルボ意訳。)
 ・・・それはそうだけど、ワトキンズさんをターゲットにするなら、それ以上に追及さるべき人はゴマンといるんじゃないの? (「感動的」だが「政治的・歴史的に問題」とされるに至ったドーデーの「最後の授業」のことを思い起こしました。)

・バーネット「小公女」の主人公セーラときわめてよく似ている。逆境にあっても心の豊かさと品位を保ち、人に対する思いやりを持ち、勤勉で、力強く生きていこうとする。
 セーラが最終的にはイギリス植民地で父親の友人だったという人物と奇跡的に出会い救われたように、ヨウコもまた、日本の植民地化の朝鮮で父親と友人だったという男性とある幸運を通じて再会し、この人物の援助によってしだいに生活が楽になっていく。
(←ちょっと違うんでないの?)。
 ・・・この指摘はとくに興味を覚えましたねー。そうなんだよなー。2人の妹からは遅れて日本への道を辿った兄や、16歳の姉は朝鮮人と偽れるほどに朝鮮語が話せたというのもその表われといえるかも。(当時の朝鮮在住の日本人で、朝鮮語がフツーに話せる日本人は少なかったと思います。)
 そして、同じく「小公女」との比較で次のような指摘に注目。

・また、セーラは植民地での体験から、一般のイギリス人が抱かない親密さを南アジア系の使用人に対して感じ、そのことが彼女を幸運に導く。一方ヨウコや遅れて再会したヨウコの兄も、他の日本人が猜疑の目を向けるのとは異なり、植民地朝鮮の装いや慣わしに深い親しみを抱いているのである。  
 このように、「小公女」と対照させることによって明らかになるのは、「ヨウコ物語」には日本の植民地帝国が崩壊した後、いわゆる内地へと持ち込まれた異文化と、植民地体験の数々が痕跡としてまとわりついているという事実である。にもかかわらず、同書が戦争のトラウマ、「痛みと偏見」、「普通の人々が戦争によっていかに左右されるか」といったことを考えさせる平和と反戦の物語としてだけ読まれてしまうのはいったいなぜなのだろう。先に述べた読者理解の例の数々から明らかなように、同書を平和と反戦の書として高く評価し、教材として有用なテクストだとする立場にとって、植民地主義の歴史はまったくといってよいほど視野に入っていない


・(アマゾンの読者レビューの1つでは)「なぜヨウコの家族は朝鮮半島北部にいたのか?」「お父さんはどんな仕事をしていたのか?」。戦後、シベリアに抑留されていたことから見ると、ヨウコの父親は戦争犯罪人だったと考えられる、とも推測している。・・・(そのレビューはまた)「第二次世界大戦のオランダから逃れるナチの家族の少女の苦労話」を同じような無批判性をもって出版できただろうか、と問いかける。つまり、ヨーロッパの戦争被害の叙述や歴史表象については批判的な歴史認識に根ざした判断ができるのに対して、アジアの戦争被害について同様の判断ができない出版社、児童文学批評家、学校関係者たちの無知、無批判性、そしてそれを許してきたアメリカ社会にあるアジア人(日本人を含む)に対するレイシズムを、この投稿者は指摘するのである。
 ・・・米山氏の意見は、この(例外的な)レビューに沿っています。
 アメリカにとって、日本の植民地支配・軍国主義批判の言説は、自らの第二次世界大戦参戦を解放と平和をもたらした「よい戦争」の大きな論拠となる一方、植民地主義についてはアメリカも日本と同じ穴のムジナという側面がある、ということもまさにその通り。
 その点が書かれていない「ヨウコ物語」が好まれてきたのも、そんなアメリカ側の事情がある、というわけです。

 米山リサ氏の論考は、最後に次のような興味深いことが記されています。
 この問題が拡大した2007年2月、「ボストン・グローブ」紙はワトキンズさんがメディアや抗議の人たちとの会見の場に臨んだことを報じたのですが、その記事では「柔和な」「73歳のの作者」が、「7つの韓国メディア」を含む「怒れる聴衆」と会見した、と表現しているのです。
 つまり、この新聞記事は明らかにワトキンズさん寄りの書き方

ワトキンズは常に慎み深さ(humility)、優しさ、寛容さ、といった概念と結びつけられてきた。これに対して、同書に異議を申し立てる側に立つコリアン・アメリカンの保護者をはじめとする人々は多くの場合、「怒り」や「抗議」だけに結びつけて描かれているのである。
 ・・・と、このあたりを読むと、多くの日本人の皆さん(・・・ってヌルボもそうですけど)は「そーだろ、そーだろ」と溜飲を下げるのではないでしょうか?

 しかし米山氏はさらに次のように続けているのです。

・このようなメディア表象における、「謙虚で慎み深い著者」に抗議する「寛容とコンパッションを欠いた怒れる聴衆」という構図が、先に述べた普遍主義的な文芸批評(・・・反戦平和、思いやりの心、強い意志への評価)の態度と結びつくとき、自身を非人間的に描く表象に対して抗議する側に立つものが、「人間」あるいは「人間らしさ」の範疇から排除されてしまう、というきわめて皮肉な結果を生むことになるだろう

 ・・・ここでももしかしたら、多くの人たち(日本人)は「そんなの自業自得じゃないか」と思うかもしれませんね。
 (たしかに慰安婦問題にしても、抗議運動を展開している韓国人の皆さんは、支持者だけでなく反発を感じる人も多く生み出していることについてどれほど自覚しているのでしょうか? とくに日本では、本来なら支持したかもしれない人でさえ反発を感じている。)
 米山氏はこれに対して、「間として扱われることに抗議する人々が、逆にそのことによって間化されてしまう」というサイクルを問題視して、次のようにこの論考を結んでいます。

・このサイクルを断ち切るには、「抗議を受ける者たちこそが、まず、謙虚さや「慎み」の覆いから歩みだし、うろたえ、真の和解と対話を妨げるものに対して怒り、「たたかう」姿勢を示し始めるしかないとはいえないだろうか。

 ・・・以上ずいぶんたくさん米山リサ氏の論考をそのまま紹介しました。
 で、私ヌルボの意見ですが、8割方は賛成です。ただし最後の引用部分は別。「真の和解と対話を妨げるもの」とは具体的に何をさしているのでしょうか? 植民地支配の歴史に対して目や口を閉ざしている日本やアメリカ、だとしたら半分は賛成ですが・・・。
 米山氏は「間として扱われることに抗議する人々」と書いています。しかし、個の体験に基づいて本を書いたワトキンズさんに対し、抗議する人々は総体としての(イメージとしての)「韓国人」の中に自らも埋没した状態のままで、その「韓国=被害者、日本=加害者」というナショナル・ヒストリーに合致しないことに憤っている部分が大きいと思われます。一体、抗議活動をしている人たちがこの本によってどのように「間として扱われた」というのでしょうか? 「総体としての」韓国人さえも「間として」扱われてはいません。

 一昨年、舞鶴引揚記念館に行って、数多くの引揚者や帰国できず異郷で亡くなった人たちについて新たな知識と認識を得ました。憤りの念にかられた私ヌルボが「これらの事実が、なぜ多くの人の知るところとなっていないのですか?」とガイドの方に尋ねると、「敗戦国、そして侵略者の側の立場から強くアピールできないという事情があって」とのことでした。

 しかし、旧満州や朝鮮から命がけで引揚げてくる人々に対して「おまえたちは加害者だから当然の報いだ」というような言説にどれほどの正当性があるでしょうか? そのことと戦争責任の問題や植民地支配の反省等とは別個の問題です。

 今、慰安婦問題について(実は互いに似た者同士の)日韓それぞれの「愛国者たち」によって相当に感情的で声高で不毛な議論が展開される中で、肝心なことが忘れ去られてしまっているようです。それと共通する面がありますが、「竹林はるか遠く」の読み方について私ヌルボの言いたいことは「国家に自ら(or祖父母・父母等)の人生を翻弄された経験を持ちながらも、いまだに国に依拠したどころかドップリ浸かった思考しかできないなら、結局はまた同じ悲劇を繰り返してしまう」ということです。まさに言葉本来の意味で「正しい歴史認識」を持たないと、過去「被害者」であった「民族」が将来「加害者」になったりする可能性は十分あるし、その逆もまたあるでしょう。

 たぶん、この「竹林はるか遠く」は多くの日本人読者の共感をよぶと思います。すでにアマゾンの読者レビューでも予想通り(=懸念した通り)のものが多数アップされています。(「韓国人がなぜ抗議するのかわからない」というフツーの反応だけならまだいいのですが・・・。)
 私ヌルボも、(あれこれ書きながらも)基本的には共感をもって読みました。しかし、この本について「だから韓国人は・・・」等々「民族」というタームを拠り所にした読み方をしてしまうと、それは著者のワトキンズさんの思いから「はるか遠い」ものになるということを銘記してほしいものです。

※韓国で実際にこの本を読んだ記者等による新聞記事の中には、しごくまっとうな感想を書いている人もいます。
 その1は→コチラ(日本語)。「今日の我々の課題は、19世紀以前には存在しなかった民族概念を守ることではなく、アジアの多くの国々と共存し、国民を超えて世界市民に発展することだ」と書いています。その2はソウル大教授が書いた→コチラ(韓国語)。「民族主義的な怒りを表わす前に、日本の庶民たちも戦争の犠牲者であるという認識と、すべての人々を獣にする戦争は絶対になくすべきという作家の執筆意図を理解することが必要である」と、また「真珠湾を攻撃した日本政府の挑発行為を非難するセリフがアメリカの読者の感動を生んだ」とも書いています。
 どちらも「中央日報」。先頃「原爆は天罰」という記事を載せたあの新聞ですけど・・・。

※この翻訳書で最後まで気になったのは、家族たちが擁子のことを終始「ちっちゃいの」と呼んでいること。原文は"Little One"なのだそうですが、なんとも不自然でした。
 共産軍のこと等史実についての疑問は他でも指摘されているので略します。細かい箇所では「軍医の龍少佐」という人物の表記はおそらく「柳少佐」か「劉少佐」です。
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[韓国語クロスワード] 韓国史の勉強にもなります。しかし、これが<常識>?

2013-07-12 23:37:08 | 韓国語あれこれ
 7月1日2日の記事に続いて「상식퍼즐(常識パズル)」5月号掲載のクロスワードの紹介です。

 今回はイッキに難度を上げて11×11です。最初の[1のヨコ]と[3のヨコ]を見て、「これはとても歯が立たんわ」と思ったものの、気をとりなおして最後までやってみたら、全48問中、約3分の1は即答できるくらいの易しいレベル。(ホンマかいな?) たとえば「川端康成の代表作」とか「聴覚障害者が手ぶりで話す言葉」とか・・・。
 それ以外の多く(全体の約半分)は、「(世界史等の)受験生の常識」でも「一般常識」とは言えないかも・・・、という中級レベルがたくさん。「古代エジプトの王の呼称」とか「弥勒菩薩の浄土」とか・・・。
 そして残った8問前後はフツーの日本人にとっての難問です。韓国歴史・社会・習俗に通じていないとできない問題。日本では使われない四字熟語も・・・。



 ★解答は下の通り。範囲指定をすると現れます。

  [ヨコ] 1.토정비결 3.지봉유설 6.서기 7.국세 9.수니파
       11.낙화암 13.전도전 14.경무관 16.반감기 17.노비
      19.기수 20.매미 21.성하 23.유품 25.학보
       28.당영실 29.풍어제 31.부동산 32.수배자 34.모파상
       36.명중 38.수해 39.동위원소 40.금오신화

  [タテ] 1.토기 2.비키니 4.봉선화 5.설국 6.주마가편
        8.세종기지  9.수전노 10.파경 11.낙관 12.암반수 15.무천
       18.비매품  19.기하악 22.고장난명 23.유실수 24.복어 26.보부상
       27.인산인해  29.풍자 30.제모 33.배심원 35.파라오 37.중동 38.수화


 [1のヨコ]については→コチラコチラコチラを参照されたし。いやー、知らんかったわー。
 [4のタテ]は洪蘭坡作曲の有名な歌の歌詞。
 [5のタテ]、こんなのわかるわけないよ~。その1。
 [6のタテ]、日本とは違う漢字語。そういえば、韓国の手帳の付録の年齢早見表もコチラの表記でした。
 [9のヨコ]、シーア派と○○○とは簡単と思ったら、読みが違う!
 [14のヨコ]、こんなのわかるわけないよ~。その2。
 [15のタテ」、こんなのわかるわけないよ~。その3。
 [21のヨコ]、「猊下」のハングル読みは・・・と考えたのですが、違う漢字なのか!
 [22のタテ]と「27のタテ]、どちらの四字熟語もお手上げ。

 今回の「わかった自分を褒めてやりたい。ムッフッフ」は「26のタテ」と「40のヨコ」あたりかな。
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韓国のTVで見た元Sugar・アユミ(現ICONIQ)出演の番組で聴いた「チム・チム・チェリー」

2013-07-11 23:51:39 | 韓国の音楽
 1つ前の記事に続いて歌の話。
 これも先月の韓国旅行中のネタですが、前記事とは違って現地のTV番組で聴いた歌のことです。

 聞慶での2日目。午前中には聞慶セジェ道立公園から第2関門まで片道3kmの古道を往復し、午後は鎮南駅の廃線利用レールバイクで往復とも上り坂(てなわけないか)のコースで体力は尽きてしまいました。

 こうなったらモーテルに戻って飲むしかない。ま、こうならなくても飲むんですけど。
 モーテルでの夜、6月23日の記事で書いたように「聞慶の次はどこに行くか」検討会議から脱落した私ヌルボ、なんとなくTVを見ていました。

 このバラエティ番組は何だろな、と画面右上隅を見たら「해피투게더(ヘピトゥゲド)」。あー、「ハッピートゥゲザー」ね。しかし、どうも最近の同番組とずいぶん様子が違うみたい。(この点については後述。)
 女性3人と男性2人の楽しそうなトークの後のコーナーは、5人が並んで座って、思い出の学校唱歌と思しき歌を、各々が割り当てられた部分を間違いなく歌って、全曲をミスなく歌い通せるか? ・・・というもの、のようです。
 もし歌詞を間違えたりつかえたりしたら、上から吊るされた大きなトレーのような板が落ちてくるのです。
 後で下の画像を見つけました。出演者は違いますが同番組です。

        
  【皆、昔の高校の制服みたいな服を着ています。各人の上の板が落ちてくるのです。】

 「バラエティ番組は騒々しいだけだから見る気がせんよ」と口々に言う他の3人のオジサンたちと基本的には同感ではありますが、言葉はあまり聞き取れないもののけっこうおもしろく、またそれ以上にその「課題曲」に興味を持ちました。
 というのは、日本でもよく知られているあの「メリーポピンズ」の中の「チム・チム・チェリー」なのです。
 しかしメロディーは一緒でもなんだか歌詞が全然違うゾ・・・
 歌い出しからして
 ♪종소리가 은은하게 들려온다(チョンソリガ ウヌナゲ トゥルリョオンダ)  
   鐘の音がかすかに聞こえてくる

 ・・・というわけで、そのあともエントツ(韓国語で굴뚝)なんて全然出てこないし・・・。

 それはそれとしてTVを見ていると、左端の20歳くらいの女の子がけっこうトチッたりしてウケているのです。名前を見ると「아유미(アユミ)」 
 あら、日本人なのか。道理で最初の소리」の発音が소리」になってる!と厳しいチェックを入れられたりしてました。

     
        【歌い出しの「종소리」の発音は日本人が苦手なところ。】
ㅇ(ng)とㄴ(n)の区別は何年経ってもむずかしいですね。また「총소리」だと銃声になってしまいます。鐘の音とは大違いです。

     
        【「방긋이」と歌うべきところも「반드시」になっちゃった?】

 パングシもパンドゥシもたしかによく似てはいますが・・・。

     
        【懇切丁寧に教える隣りのシン・ドンヨプ。】

     
        【アユミだけで再度個人練習。】

     
        【そして6回目の挑戦です。】

 10回目までの挑戦で完璧に歌えれば合格ですが、結局歌えたのかな? 最後ちゃんと見てなかった・・・。

 以上が聞慶のホテルのTVで見て聴いた歌のこと。
 で、帰ってから調べてみたら、いろんなことがわかりました。

 まず、この「チムチムチェリー」のメロディで歌われている歌は、国定の頃の教科書で初等学校6年に載っていた「종소리(鐘の音)」という歌。歌詞は以下の通りです。

 종소리가 은은하게 들려온다  
 희망의 앞날을 알려주려
 딩동댕동 딩동댕 들려온다
 바람결 따~라 저 멀리서
 꿈결속에 울리는 맑은 소리
 나~의 단잠을 깨웠지만
 희망을 실어준 종소리에
 방긋이 미소를 지었지요
 희망의 종소리 들려온다


 動画あるいは音声だけでもあるかなと思って探したら、1つだけありました。→コチラ
 <NATE>の動画なのでここに載せることはできませんが、牙山(アサン)の道高温泉初等学校(道後温泉かと一瞬思ってしまった)の児童たちが歌っています。ただ1分33秒のうち最初の30秒はワイワイガヤガヤ状態です。(笑)
 ※→コチラは蔚山市立合唱団による本格的な合唱の「チム・チム・チェリー」ですが、歌詞は違います。

 それから、どうも最近の「ハッピー・トゥゲザー」と違うなー、と思っていたら、実は聞慶で見たのは2003年頃、つまり10年も前の「シーズン1」の再放映だったのです。(今はシーズン3。)
 そして<wikipedia韓国版>によるとこの「お盆カラオケ(쟁반 노래방)」というコーナーは、2001年に始まった「ハッピー・トゥゲザー」の歩みの中で一番人気があったということです。
 シーズン1では別に「幸福な対決 負けず劣らず(행복한 대결 막상막하)」というコーナーがあり、外国出身の韓国人歌手が韓国語を学んでクイズを解く内容のものなのですが、そこでは「元SUGARのアユミなどがクイズの常識を破る不正解で注目を集めた」なんて書かれちゃってます。(笑)

 また、当時の「ハッピー・トゥゲザー」がDVDセット(日本語字幕付き)になって発売されているんですね。しかし→コチラでも→コチラでも「アユミの天然ボケが炸裂」などと書かれています。まあ、ネイティブスピーカーじゃないからねー、同情いたします。(笑)

 さて、そのアユミ嬢についてですが、ウィキペディアを見てこれまたいろいろ驚きましたね。日本人かと思ったら、1984年鳥取生まれの在日3世。中2の時に母親と韓国旅行に行った際明洞でスカウトされましたが父親から「韓国語を話せない」等の理由で芸能界入りを反対されます。しかし2000年渡韓し、レッスンを受けたりした後2002年Sugarのメンバーとしてデビュー。アユミことイ・アユミ(李亞由美)として芸能活動を続けます。この番組出演もその頃ですね。その後帰国して伊藤ゆみという芸名で主に女優活動をしていましたが、2010年に「わたしが変わる」というキャッチコピーでICONIQという名に改めた上で再デビュー。
 そして今の彼女の画像を見て驚いてしまいました。コレですよコレ。

       
  【上のTV画像の女の子と比べて、同一人物と誰が見抜けるでしょうか?】

 いやあ、10年経って、こんな感じのおねーさんになって、資生堂のCM等にも出てるとはねー。コワいもんだねー・・・、って何が? 次の中から選べ。
 ①女 ②芸能界 ③芸能事務所 ④歳月の流れ ⑤世の中 ⑥ICONIQ(アユミ) ⑦整形

 さらにはこのICONIQ嬢、昨年にはGACKTとの熱愛が発覚して「フライデー」で暴露されたとか!(→コチラ。)
 (あ、オジサンはGACKTご存知ない? 学徒出陣じゃなくて、歌手の・・・。)
 しかし、リンク先の記事の見出し<ICONIQの「顔面大改造」と「ドス黒い過去」>というのはひどいなー。「顔面大改造」はいいとして(?)、本人も出自を隠してなくて、また何も悪いこともしてないのに「ドス黒い過去」とはねー。(「ドス黒い」のはアンタの心の方じゃい!)
 →コチラでも彼女をなぜか非難してますが、本人の言う通り「私だってデートぐらいするわ」。←そら正しいよ~! (と、ニワカに彼女の応援団になったりして・・・(笑))

 あら、この記事のテーマは何だったっけ?
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堤川駅前の石像のカップルは漫画のキャラクターかと思ったら、歌謡曲で有名な朴達でした

2013-07-10 23:50:06 | 韓国の街ネタ、観光ポイント、店・施設等
 7月6日の記事の続きです。一応。

 6月20日の店村→清州遠回り汽車の旅。堤川駅で約20分乗り換えの時間待ちの間に、ちょっと駅前に出てみました。

 やっぱり閑散とした駅前広場で目に触れたのが下の写真の石像。

          
    【どう見てもユーモラスな顔。(左) 往年の人気漫画コボンイ(&妹のコシリ)を連想しました。(右) 】

 像の台座には「박달이와 금봉이(パクタリとクムボンイ)」とあるだけで、ソモソモどういう2人なのかわからず。往年の人気漫画「コボンイとコシリ(꺼벙이와 꺼실이)」のようなギョロ目なので、これも漫画のキャラクターなのかなと、とりあえず写真だけ撮っておきました。

 ところが帰ってからちょっと調べてみたら、韓国のナツメロ歌謡「울고넘는 박달재(泣いて越える朴達嶺)」のモチーフとなった伝説の男女ではないですか。
 私ヌルボも周美(주현미.チュ・ヒョンミ)等の歌で知ってました。(参考過去記事は→コチラ。)
 しかし、歌は知っていても、その背景等は知りませんでした。
 およそ次のようなお話なのだそうです。

 科挙のために漢陽に向かっていたパクタルという青年が(現・堤川市の)平洞里で一晩泊まった時、その家の娘クムボンと出会って恋に落ちるのです。二人は再会を誓い、パクタルは再び漢陽へ・・・。しかし月日が経ってもパクタルからは何の便りもなく、クムボンは恋わずらいのため死んでいまいます。パクタルは彼女への募る想いで勉強に身が入らず科挙に落ちてしまい、平洞里に戻ってきたものの時すでに遅く、クムボンの死を知った彼は崖から身を投げてしまいます。
 ・・・うーむ、物語としては単純だなー。恋わずらいで死ぬ女性は昔はいたのかなー。
 ※クムボンの漢字表記は金鳳のようでもあるが、今鳳とか錦鳳もあって不明。

 地図で物語の舞台の朴達嶺(박달재)の位置を確認したところ、堤川駅からはずーっと離れた山奥です。
 
  【①が朴達峠。聞慶セジェ峠同様、山また山といった所です。】

 今朴達嶺[峠](海抜453m)はちょっとした観光ポイントになっているようで、(もっとマトモな?)2人の像や、この歌謡曲の歌詞碑などがあります。

 ※朴達재の「재」は聞慶セジェ(새재)の재と同じで、嶺or峠。アリラン峠の峠はコゲ(고개)ですが、どう違うのかなと思ったら→コチラには次のように書かれていました。

 朝鮮半島の背骨を形成する山脈「白頭大幹」の山脈上のくびれた峠は령(嶺.リョン)と呼ばれています。そして中級山岳などの峠で재(ジェ)と呼ばれることが多いようです。そして고개(コゲ)は里山などの低山などで呼ばれる峠の呼び名と思われます。

 この歌の歌詞とその訳(ヌルボ試訳)は次の通りです。

천둥산 박달재를 울고 넘는 우리 님아 
 天燈山朴達嶺を 泣いて越えるあなた
물항라 저고리가 궂은 비에 젖는구려
 柄のチョゴリが いとわしい雨に濡れています
왕거미 집을 짓는 고개마다 구비마다  ※구비の現在の表記は굽이です。
 蜘蛛の巣が張る 峠ごと谷ごと
울었소 소리쳤소 이 가슴이 터지도록
 泣きました 叫びました 胸が張り裂けるほど

부엉이 우는 산골 나를 두고 가는 님아
 フクロウが鳴く山里 私をおいて行くあなた
돌아올 기약이나 성황님께 빌고 가소
 帰るという約束も 神様に祈って行きます
도토리묵을 싸서 허리춤에 달아주며
 どんぐりムクを包んで 腰紐に下げてあげて
한사코 우는구나 박달재의 금봉이야
 必死の思いで泣いているのか 朴達峠の金鳳よ

박달재 하늘고개 울고 넘는 눈물고개
 朴達嶺は天の峠 泣いて越える涙の峠
돌뿌리 걷어차며 돌아서는 이별길아
 石の根を蹴って背を向ける 別れの道よ
도라지 꽃이 피는 고개마다 구비마다
 キキョウの花咲く 峠ごと谷ごと
금봉아 불러보면 산울림만 외롭구나
 金鳳よ 呼んではみても 山びこばかり ものさびし


 この歌は実に多くの歌手が歌っています。日本では大川栄策が「涙のパクダル峠」のタイトルで。

 オリジナルは朴載弘(박재홍.パク・ジェホン.1924~89)が1950年レコード録音。
 その原盤の音声は→コチラで聞くことができます。彼が世を去る前年(1988年)の動画は→コチラ

 YouTubeにupされているこの歌の中で、現地の映像を背景に、歌詞テロップ付きの次の動画を載せます。歌手は1985年33の若さで病死したキム・ジョンホです。

  

 時代を感じさせる歌ではありますが、哀調漂う佳曲です。

 韓国サイトの記事の中で、この歌の誕生秘話(?)を詳細に記した記事が見つかりました。→「泣いて越える朴達嶺 上編」「同 下編」です。

 その記事で、韓国人がこの歌を好きな理由としているのが"柄のチョゴリ""フクロウの鳴く山里""城隍様(土地の守り神)""どんぐりムク""鬼蜘蛛の巣"のような土俗的な香りをぷんぷんと漂う作詞家半夜月による歌詞の魅力。
 ・・・ふむふむ。
 この歌は1948年秋、南大門楽劇団の地方巡回公演中に誕生した。今はトンネルもでき、車でスイスイ行ける道があるが、当時はデコボコした未舗装の道路で、故障する車が多く、彼ら楽劇団を乗せたバスもパンクし立ち往生。運転手と助手が修理している間、仲間とバスから降りた半夜月は、偶然その近くで抱き合ってすすり泣く若いカップルの別れシーンを見る。夫の腰にどんぐりムクを包んであげて嗚咽する若い女性の姿を見てインスピレーションを感じ、朴達嶺で別れた後宿泊施設に一人残り、この切ない歌詞を書いた。
 ・・・ふむふむ。
 このように大衆歌謡の歌詞が伝説を作ったのは、「泣いて越える朴逹嶺」が初めてだ。
 ・・・えーっっ、ぬわんだって!?
 作詞の半夜月は、生前「この曲の歌詞を作った時、パクタルやクムボンの物語は知るはずもなかった。クムボンという女性の名前は李光洙の小説「その女の一生」の女主人公の名前がとてもかわいいので歌詞に書いた」"と歌にまつわる物語は事実ではないことを証言した
 ・・・アララ、伝説に基づいて歌が作られたんじゃなくて、この歌から伝説ができたのかー!

 てなわけで、1950年朝鮮戦争勃発の1ヵ月前にレコード発売してヒット。1968年には同じタイトルで映画化されました。
 2005年KBSテレビの番組「歌謡舞台」が放送20周年を迎えた際に「放送で最も多く歌われた歌」を調査集計したところ、この歌が1位だったそうです。
 そして今も韓国国民の愛唱歌の1つとして歌い継がれています。

 いやー、それにしても、そういうことだったのかー・・・。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[7月5日(金)~7日(日)]

2013-07-09 23:55:09 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「ポドリ君の家族残酷史X-韓国の夜と霧-」の冒頭、家族の夕食の場。高校生の娘が父に言う。「李明博は水で興り火で滅びる。(水興火亡)」 つまり大統領就任の同月の南大門焼失、龍山惨事、ろうそくデモ。水は清渓川、4大河川事業。ろうそくデモ弾圧の放水も!
 ・・・なーるほど。これ、よく言われていることでしょうか? しかし、ケッタイな映画でしたねー。それにしても、韓国の進歩陣営、李明博に対してよくネズミ野郎とよんでましたが、いくら批判すべき人物とはいえ、その御面相に似ている動物をそのままあだ名にするのはまずいよなー、というのは私ヌルボも含め日本人ならフツーの感覚では? 今まで何度か記事で書いたように、これも韓国は禁止語のハードルは低い、という事例かな?

 昨晩「共謀者」を観ました。原題は「共謀者たち」と複数形になってます。ここらへんは意味ありかも・・・。「ある会社員」よりもおもしろかったのは、コチラの方が実際にあった臓器移植をめぐる事件をモチーフにしているからでしょう。阪本順治監督「闇の子供たち」も事実関係をめぐって論議がありましたが、「なんらかのおぞましい事実はあるんだろうなー・・・、と思って検索したら、昨年9月の本ブログ過去記事がヒットしました。(笑)
 この映画は今みなとみらいのブリリア ショートショート シアターで19:50からの1回だけ上映。客は少ないだろうな、の予測通り7分前に行ったらヌルボ1人だけ。久々のお一人様貸切かと思ったら、終映時後ろの席にもうお一方いらっしゃるのに気がつきました。作品的にはもっと大勢来てもよさそうなレベルなので、見逃してた方はどうぞ。14日までやってます。(13・14日は15:50から。) また7月13日からは、昨年の話題作でアン・ソンギ主演の「折れた矢」の上映がスタート。シネマート六本木だと不便という人、週末の横浜散策も兼ねてという人はどうぞ。

 韓国映画以外では、大森キネマでやっと懸案だった台湾映画「セデック・バレ」1&2部をイッキに鑑賞。すごい映画です。これについて書くと長くなりそうなので書きません。先週、今年前半に観た映画のベスト5を挙げてみましたが、「嘆きのピエタ」等と全然性格の異なる映画なので順位づけはむずかしいですが、ベスト3には必ず入ります。

           ★★★ Daumの人気順位(7月9日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①踊る森(韓国)  9.4(27)
②道の上で(韓国)  9.3(49)
③ザ・クルーズ  9.2(293)
④48m(韓国)  9.1(30)
⑤ジュラシック・パーク 3D  8.9(138)
⑥がんばって、ビョンホンさん(韓国)  8.8(21)
⑦ウォールフラワー  8.8(126)
⑧天使の分け前  8.8(23)
⑨スター・トレック イントゥ・ダークネス  8.7(1142)
⑩シェフ! 〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜  8.7(87)

 今回の新登場は④「48m」だけ。このタイトルは、中朝の国境の川・鴨緑江の最短距離なのだそうです。制作陣が3年間、300人を超える脱北者とその家族をインタビューに基づいたドラマ。
幼い頃に境界線で父母の死を目撃した姉妹、目の前で人を殺すしかない、罪責感に苛まれる軍人、飢えのため死んでいく子供を是が非でも助けたい両親、病気の父のため出ていかざるをえない娘等々。<Kstyle>の記事によると、本作品は2012年9月、北朝鮮人権運動家スーザン・ショルティさんの積極的な支援の下、米下院や、ジュネーブの国連人権委員会で特別試写会が催されたとのことです。ネチズンの評点&コメントはほとんどが9or10点。その中で、北朝鮮のことを「가깝지만 먼나라(近くて遠い国)」と書いているものがありました。また「CGVだけでしか上映されない」等、配給の問題もとりあげられたりしています。北朝鮮の人権問題には進歩陣営は冷淡という見方はやっぱり一般的なようです。そういう事実はあいかわらずなのかな? 慰安婦問題に熱心に取り組んでいる人たち、まさに現在、生存権が脅かされている北朝鮮の人々(特に強制収容所の)と、より優先すべきはどちらの問題だと思いますか?

           
   【「48m」のポスター。鴨緑江の岸で中国側を見ている北朝鮮人民軍兵士の後ろ姿。】
【専門家による順位】

①スター・トレック イントゥ・ダークネス  7.8(6)
②ビフォア・ミッドナイト  7.7(4)
③天使の分け前  7.5(4)
④ザ・クルーズ  7.3(3)
⑤ローン・レンジャー  7.2(4)
⑥ピュア  7.0(2)
⑦イン・ザ・ハウス  7.0(1)
⑧エブリデイ  6.8(5)
⑨コズモポリス  6.7(4)
⑩マリー・クロイヤー  6.6(3)
⑩監視者たち(韓国)  6.6(3)

 ⑤「ローン・レンジャー」、⑦「イン・ザ・ハウス」、⑩「監視者たち」の3作品が新登場です。
 ⑤「ローン・レンジャー」は1932年連続放送劇として発表されて以来の人気作を、アーミー・ハマーとジョニー・デップの主演で再映画化。日本では8月2日公開です。韓国題は「론 레인저」。
 ⑦「イン・ザ・ハウス(仮題)」はフランスのスリラー。日本では、先月「フランス映画祭2013」でオープニング作品として上映されました。高校の国語教師が、作文を採点していて、一生徒の書いた文章に心をつかまれます。内容に危険を感じつつも、その文章の才能に魅せられた教師は、その生徒に小説の書き方を指導していくのですが、生徒の書く文章は次第にエスカレートしてゆき、いつしか息詰まる心理戦に・・・。フランス映画祭でも英題のままの「In the House」(原題:「Dans la maison」)でした。韓国題も「인 더 하우스」です。
 ⑩「監視者たち」は後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[7月5日(金)~7日(日)] ★★★

         韓国の犯罪アクション「監視者たち」が他を圧倒してトップ

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(11)・・監視者たち(韓国)・・・・・・・・・・・7/03・・・・・・・・・・・・1,350,573・・・・・・・・・1,786,382 ・・・・・・・13,080・・・・・・・949
2(1)・・ワールド・ウォー Z・・・・・・・・・・・・6/20・・・・・・・・・・・・・・631,571・・・・・・・・・4,278,896 ・・・・・・・31,841・・・・・・・566
3(新)・・ローン・レンジャー・・・・・・・・・・・7/04・・・・・・・・・・・・・・208,193 ・・・・・・・・・・252,113・・・・・・・・・1,830 ・・・・・・401
4(2)・・ザ・ウェブトゥーン(韓国)・・・・・・・6/27・・・・・・・・・・・・・・193,324 ・・・・・・・・・・872,259・・・・・・・・・6,282 ・・・・・・349
         予告殺人(韓国)
5(4)・・隠密に偉大に(韓国) ・・・・・・・・・6/05・・・・・・・・・・・・・・111,657・・・・・・・・・6,855,826 ・・・・・・・48,012 ・・・・・・276
6(3)・・ホワイトハウス・ダウン・・・・・・・・6/27・・・・・・・・・・・・・・・66,688 ・・・・・・・・・・530,048・・・・・・・・・3,754 ・・・・・・283
7(新)・・カンフー・パンダ 英雄の誕生・・7/04・・・・・・・・・・・・・・39,638 ・・・・・・・・・・・40,668・・・・・・・・・・・261 ・・・・・・197
8(5)・・マン・オブ・スティール・・・・・・・・・6/13・・・・・・・・・・・・・・・15,620・・・・・・・・・2,174,542 ・・・・・・・17,043 ・・・・・・・63
9(7)・・ジュラシック・パーク 3D・・・・・・・7/17・・・・・・・・・・・・・・・10,203 ・・・・・・・・・・・40,102・・・・・・・・・・・489 ・・・・・・・47
10(8)・・ザ・クルーズ・・・・・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・・・・・・・8,863 ・・・・・・・・・・926,525・・・・・・・・・6,449 ・・・・・・・37
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「隠密に偉大に」は出だしは1000万人にも届くのでは、という勢いでしたが、その後今ひとつ伸びが鈍り、700万人になんとか達するかなという感じですね。
今回の新登場は1・3・7位の3作品です。
 1位「監視者たち」は、、犯罪組織の監視のみを担当する班長(ソル・ギョング)を中心とする警察内特殊組織監視班の班員たちの緊迫した追跡を描いたアクション。彼らに対するは、わずか3分で失敗もなく、痕跡も残さず武装強盗をやってのける犯罪組織。知的で冷徹なそのリーダーを演じるのは、デビュー以来初の悪役に挑戦するチョン・ウソン。自身の存在を絶対に現わさない彼は、監視班の追跡が強まると、より一層緻密に犯罪を繰り返す・・・。原題は「감시자들」です。
 3位「ローン・レンジャー」は上述しました。
 7位「カンフー・パンダ 英雄の誕生(仮題)」は、ドリームワークス制作の「カンフー・パンダ」の第3作かと思いきや、原題は「大兵金宝歴険記」というレッキとした中国の3Dアニメ。早い話が中国版「カンフー・パンダ」。と思って見るからか、→コチラでポスターを見るとなんか違うんだよなー。予告編の動画(→コチラ)も今ひとつピンと来ず。詳しい情報は→コチラ参照。韓国題は「쿵후팬더:영웅의 탄생」で、それを訳して仮題としました。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ビッグ・ピクチャー ・・・・・・・・・・・・・・7/04 ・・・・・・・・・・・・・3,869 ・・・・・・・・・・・・・・・5,109・・・・・・・・・・・39・・・・・・・・・・21
2(1)・・道の上で(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・・・・2,164・・・・・・・・・・・・・・27,918・・・・・・・・・・194・・・・・・・・・・15
3(2)・・チキンとプラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/20 ・・・・・・・・・・・・・・・927・・・・・・・・・・・・・・・9,955・・・・・・・・・・・70・・・・・・・・・・13
       あるバイオリン弾き、最後の夢
4(19)・・チスル - 終わらない歳月 2(韓国)・・3/21・・・・・・・・・・・・・857 ・・・・・・・・・・・・・143,222 ・・・・・・・・・984・・・・・・・・・・・2
5(4)・・ヴィンセントは海へ行きたい ・・・・・・6/27・・・・・・・・・・・・・・・632・・・・・・・・・・・・・・・・3,308・・・・・・・・・・・23・・・・・・・・・・・7

 新登場は、1位「ビッグ・ピクチャー」だけです。2010年のフランス映画で、日本では未公開ですが、昨年WOWWOWで放映されたそうです。妻が隣家の写真家と不倫関係にあることを知ったパリのエリート弁護士。妻は家を出てゆき、写真家に会いに行った彼は、不倫の事実を認めた写真家をはずみで殺してしまいます。弁護士は愛する2人の子を「殺人犯の子」にしないために写真家に成りすまし、自分はヨットの事故で亡くなったことに偽装して東欧の某国へ。ところがそこで写真家として成功してしまう、・・・ということは自分の正体がばれそうになるということなので、を切羽詰まった彼は今度は南米に向う船に乗り込むのですが・・・。うーむ、何という波乱万丈の展開であることか! 韓国題は英語題からtheを取って「빅 픽처」。日本では未公開ですが、昨年WOWWOWで放映時も「ビッグ・ピクチャー」でした。
コメント
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