ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国の文学館 ⑤京畿道編(上)

2015-10-23 23:56:08 | 韓国の文学館(全)
 韓国の文学館 ④江原道編(下)の続きです。

 前回から2ヵ月も空いてしまいましたが、忘れていたわけではありません。ようやく京畿道に入ります。全部で13館。2回に分けて紹介します。
 韓国では日本に比べて詩文学が大きな比重を占めています。今回紹介する6つの文学館も小説家のものはありません。いや、もしかしたら日本でも近世以前まで主流だった漢詩はもとより、近代広く親しまれた抒情詩の文化も今は見る影もありません。日韓を比べるだけでなく、それぞれの歴史的な推移も見るべきなのでしょうね。

※基本的なデータは韓国文学館協会の公式サイト(http://www.munhakwan.com/)です。
※各欄の背景の色がピンクのものは韓国文学館協会所属の施設、緑色のものは所属していない施設です。
※紹介した作品は日本で刊行されているものです。(絶版書を含む。)

«京畿道(上)»
22江華文学館/趙敬姫(チョ・ギョンヒ)随筆文学館
강화문학관/조경희수필문학관
○住 所 :417-803 仁川広域市江華郡江華邑官庁キル 40
       (417-803 인천광역시 강화군 강화읍 관청길 40/2F)
○電 話 :032-933-0605
○開館年 :2010年
○観覧時間:9:00~18:00
○休館日 :月曜、1月1日、旧正月、秋夕
○施設概要:1Fは江華文学館で、李奎報(イ・ギュボ)、鄭(ジョン・チョル)、鄭斉斗(チョン・ジェドゥ)といった江華島に関連のある昔の文人の作品を紹介している。2Fは趙敬姫随筆文学館で、趙敬姫の肉筆原稿や作品の他、机等の遺品を展示している。
○作 家 :趙敬姫(チョ・ギョンヒ)=1918~2005年。号は月堂(월당)。江華島生まれ、梨花女子専門学校卒のエッセイスト、記者。1938年からエッセイを「朝鮮日報」に発表。翌年から同紙記者。戦後は「ソウル新聞」「釜山日報」「韓国日報」に在職し、1978年韓国女流文学会会長、1989年芸術の殿堂理事長等々の要職を歴任。その間1971年韓国随筆家協会を創立、自ら理事長となる。(逝去の時まで。)
23露雀(ノジャク)洪思容(ホン・サヨン)文学館
노작홍사용문학관
○住 所 :445-170 京畿道華城市露雀路206
       (445-170 경기도 화성시 노작로 206)
○電 話 :031-8015-0880
○mail  :master@nojak.or.kr
○公式サイト:http://www.nojak.or.kr/services/front
○開館年 :2010年
○観覧時間:9:00~18:00
○休館日 :月曜
○施設概要:洪思容の直筆記録・資料写真・所蔵書籍等を展示。講演会・文学教室等の開催。洪思容文学賞の運営。展示室、講義室の他、カフェテリア等もある。文学館の背後の山には洪思容の墓と「われは王にてあり」の詩碑がある。
○作 家 :洪思容(ホン・サヨン)=1900~1947。号は露雀(ノジャク)。大韓帝国の大地主・官人の子として龍仁郡(現・龍仁市)に生まれる。1916年京城の徽文義塾(現・徽文高校)に入学。在学中1919年三一独立運動の先頭に立ち逮捕される。同校卒業後郷里に戻り、本格的に文芸活動開始。文芸誌を創刊して詩・戯曲等を発表する。戦時中は日帝当局から「金玉均伝」の戯曲執筆を強要されるが気が進まず未完成に終わる。生家の莫大な財産を食いつぶしたが、生涯に20数編ほどの詩しか発表せず、路頭に彷徨いながらも1冊の詩集もまとめることができなかったが、民族主義的意識を持っていたロマン派の詩人として評価される。日本統治期の最後の時期、親日詩を創作したり親日活動をしていない少数の詩人のうちの1人である。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%AA%E6%80%9D%E5%AE%B9
○作 品 :金素雲訳「朝鮮詩集 前期」(興風館.1943)に「われは王にてあり(나는 왕이로소이다)」所収。
○参考ブログ記事(韓国語):(文学館・墓・詩碑の写真・詩碑の全文等掲載)
      http://blog.daum.net/_blog/BlogTypeView.do?blogid=03Vn2&articleno=15250648&categoryId=606577®dt=20141130150921
24萬海(マネ)記念館
만해기념관
○住 所 :464-810 広州市中部面南漢山城路792番キル24-7
       (464-810 광주시 중부면 남한산성로792번길24-7)
○電 話 :031-744-31004
○mail  :jbs@manhae.or.kr
○公式サイト: http://www.manhae.or.kr (休止中?)
○開館年 :1981年
○観覧時間:3~10月10:00~18:00、11~2月10:00~17:00
○休館日 :月曜
○施設概要:韓龍雲研究家の新丘大学校・全宝三(チョン・ボサム)教授が自ら収集した資料をもとにソウル城北洞で1980年に開館し、その後1990年現在の南漢山城(UNESCO世界遺産)近くに移転した。詩人・韓龍雲の「ニムの沈黙」の初刊本をはじめとする刊本や、三一独立運動関連資料、遺品等を展示。絵画展等の特別展も催されている。※全宝三館長は2015年京畿道博物館館長に就任。
○作 家 :韓龍雲(ハン・ヨンウン)=1879~1944年。号は萬海。詩人、僧侶、独立運動家。忠清南道洪城に生まれる。1918年に来日して東京や京都等全国各地を巡回し、東京YMCAの朝鮮独立運動に参加した。三一独立運動の際、民族代表33人の1人として独立宣言書に署名した。1926年発表された唯一の詩集「ニム[あなた]の沈黙(님의 침묵)」は戦前の朝鮮文学を代表する詩集の1つとされている。1927年民族協同戦線の新幹会の結成を主導。その後朝鮮総督府による神社参拝の強要に抵抗して投獄されたり、出獄後も創氏改名反対運動や朝鮮人学徒兵制反対運動を展開した。1944年6月京城府東大門区城北洞(現・城北区)の自宅尋牛荘(심우장.シムジャン)で中風と栄養失調によって死去。忘憂里共同墓地に埋葬された。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E9%BE%8D%E9%9B%B2
○作品:安宇植(訳)「ニムの沈黙」(講談社.1999)・金素雲「朝鮮詩集 前期」(興風館.1943)に「桐の葉」他4編所収・金時鐘「再訳 朝鮮詩集」(岩波書店.2007)に「知りようがないのです」他2編所収・大村益夫[編訳]「対訳 詩で学ぶ朝鮮の心」(青丘文化社.1998)に「ニムの沈黙」他3編所収。
○尋牛荘は現在公開され、遺品等が展示されている。
     →関連記事:http://www.kampoo.com/travel/seoul/seongbuk/simujang.htm
             http://travel2.innolife.net/list.php?ac_id=53&ai_id=5073
○参 考 :<東国大学校 萬海(マネ)マウル>→江原道編(上)
25米坪(ミピョン)文学館
미평문학관
○住 所 :456-862 安城市金光面加峡キル45-13
       (456-862 안성시 금광면 가협길 45-13)
○電 話 :031-674-3155
○公式サイト: http://www.kimyounbae.com/
         http://www.kimyounbae.com/mipyeong/flash/bg.html
○開館年 :2006年
○施設概要:1986年「世界の文学」で登壇した詩人金潤培(キム・ユンベ.1944~)が2006年華城市教育長を退任後、金光湖を見下ろす山の麓に自身の執筆室として詩境斎を創設し、そこを安度眩(アン・ドヒョン)、鄭浩承(チョン・ホスン)等現在活躍している100余人の詩人の肉筆原稿1000点近くを展示した文学館として開館した。
○参考ブログ記事(韓国語):http://daesan.or.kr/webzine/sub.html?uid=462&ho=23
○「米坪(ミピョン)」は、金潤培の生地・清州の地名(及び号?)と思われる。
26朴斗鎮(パク・トゥジン)文学館
박두진문학관
○住 所 :456-872 安城市宝蓋面総合運動場路205 (安城市立宝蓋図書館3F)
       (456-872 안성시 보개면 종합운동장로 205안성시립보개도서관 3층)
○電 話 :031-678-5334
○開館年 :2011年
○観覧時間:9:00~18:00
○休館日 :月曜、公休日(日曜以外)
○施設概要:2004年安城市立図書館に設けられた兮山朴斗鎮資料室を2011年リモデリングした施設。朴斗鎮の詩集・随筆集や遺品等を展示している。図書館入口に詩碑がある。後述のように2016年に新しい文学館の建設が決められている。
○作 家 :朴斗鎮(パク・トゥジン)=1916~1998年。号は兮山(혜산.ヘサン)。 安城市生まれの詩人。京城師範学校、1946年朴木月、趙芝との共著「青鹿集」は、金素月のように主に自然を民謡風に作品化している詩集として注目され、以後この3人は<青鹿派(청록파)>と称される。1949年第一詩集「太陽」刊行以降も詩作を続けながら延世大・梨花女子大の教授を務めた。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%B4%E6%96%97%E9%8E%AD
○作 品 :「韓国の現代文学 第6巻」(柏書房.1992)に「絶壁に」「氷河期」「愛に」「天地」「八月」所収。
○関連記事(韓国語):
    http://tour.anseong.go.kr/bbs/tour/view.html?page=&number=133&mode=view
    http://kwaus.org/liter_story/14292
    http://blog.daum.net/_blog/BlogTypeView.do?blogid=0QA0T&articleno=1577&categoryId=46®dt=20091222181507
○「朝露」等で知られる韓国の代表的フォーク歌手楊姫銀(ヤン・ヒウン)の歌「ハヌル(空)」は朴斗鎮の詩によるものである。→https://www.youtube.com/watch?v=ViLJj44gAn0
○2015年8月のニュース(→http://news.joins.com/article/18520265)によると、安城市は朴斗鎮の生誕100周年である2016年完成に向けて朴斗鎮文学館の建設を決めた。2016年10月の開館が目標で、遺族から寄贈された書画・陶磁器等2500余点の遺品を展示するとのこと。なお安城市では2000年から毎年10月に朴斗鎮文学祭を開催している。
27松江(ソンガン)文学館
송강문학관
○住 所 :412-070 19.高陽市徳陽区護国路1283キル36
       (412-070 고양시 덕양구 호국로1283번길 36)
○電 話 :016-776-7215
 ※あらかじめ電話して行かないと閉まっていることが多いようである。
○開館年 :1998年
○施設概要:文学館のある松江マウルは鄭が新院洞にあった父母の墓地を世話するために住んでいた村である。村の入り口に詩碑がある。文学館は李殷晩(イ・ウンマン) 館長が私費を投じて運営・管理している私設文学館で、鄭関連資料等を展示している。2005年から毎年5月松江文化祭を催している。文学館の背後の丘には鄭を愛していた妓生・江娥(강아.カンア)の墓があり、その裏面には鄭の詩が刻まれている。丘の頂上から200mほど行くと鄭の父母と長男の墓がある。※鄭の墓は忠清北道鎮川郡文白面にある。
○作 家 :鄭(ジョン・チョル)=1536~1593年。号は松江(ソンガン)。李氏朝鮮の文人、官僚。李氏朝鮮初期に発生した詩歌の一形式である歌辞(韻文形式の中に散文的内容を含んでいる歌謡)を収めた「関東別曲」等により、文学史上大きな影響を与えた。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%B4%E6%96%97%E9%8E%AD
○作 品 :「韓国の現代文学 第6巻」(柏書房.1992)に「絶壁に」「氷河期」「愛に」「天地」「八月」所収。
○関連記事(韓国語):
    http://m.blog.daum.net/firsteng/15707883
    http://goyangcity.tistory.com/m/post/1789
    http://www.newshankuk.com/news/content.asp?news_idx=20080303003818h1104
    http://m.blog.daum.net/heon8515/856
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韓国の文学館 ④江原道編(下)

2015-08-21 15:55:20 | 韓国の文学館(全)
 韓国の文学館 ③江原道編(中)の続きです。

 これでようやく江原道編が完了。
 このように作家の経歴や作品まで一応見たりしていると、韓国の近現代文学についていろんなことがわかってきます。またそれぞれの作家がどのように日本で紹介されてきたか(orされてこなかったか)ということも・・・。手間はかかりますが、個人的には勉強になります。

 これで約100館ある全体の5分の1。まとめれば1冊の本になりそうですが、いつまでかかることやら・・・。

※基本的なデータは韓国文学館協会の公式サイト(http://www.munhakwan.com/)です。
※各欄の背景の色がピンクのものは韓国文学館協会所属の施設、緑色のものは所属していない施設です。
※紹介した作品は日本で刊行されているものです。(絶版書を含む。)

«江原道(下)»
18李海仁(イ・ヘイン)詩文学館と金亨錫(キム・ヒョンソク) 安秉(アン・ビョンウク)哲学の家
이해인 시문학관과 김형석 안병욱 철학의집
○住 所 :255-803 江原道楊口郡楊口邑破虜湖路869番キル101
       (255-803 강원도 양구군 양구읍 파로호로 869번길 101)
○電 話 :033-482-9800
○開館年 :2012年
○観覧時間:9:00~18:00
○休館日 :月曜
○施設概要:3人の詩人・哲学者に関する展示や特別展示の他、金亨錫教授の講演会等を催している。
○作 家①:李海仁(イ・ヘイン)=1945~。修道女・詩人。楊口郡生まれ。1964年慶尚北道金泉市の聖義女子高校を卒業後オリベターノ聖ベネディック修道女会に入会。1968年修道者として生きることを誓願した後、韓国天主教中央協議会で働く等、カトリック関係の仕事に従事してきた。1976年最初の詩集「たんぽぽの領土(민들레의 영토)」を刊行。またフィリピンの聖ルイス大学や西江大学大学院で宗教学等を専攻した。2008年以降はがん治療のため釜山で長期療養中。
○李海仁について:ウィキペディア(韓国)
    →https://ko.wikipedia.org/wiki/%EC%9D%B4%ED%95%B4%EC%9D%B8_(%EC%88%98%EB%85%80)
○李海仁に関する日本語記事:
    ①http://contents.innolife.net/book/qacont.php?qa_table=fs_report3&aq_id=2701
    ②http://www.wowkorea.jp/news/enter/2014/0425/10124863.html
    ③http://ameblo.jp/malmadang/entry-12050311856.html
○作 家②:金亨錫(キム・ヒョンソク)=1920~。随筆家・哲学者。平安南道大同郡で生まれる。1943年上智大学哲学科を卒業。キリスト教的実存主義に立脚して多くの哲学的随筆を発表し、とくに1959年刊行の随筆集「孤独という病(고독이라는 병)」は ベストセラーにもなった。
○KBS「朝の広場(아침마당)」に出演した金亨錫(96歳)の動画:
    →https://www.youtube.com/watch?v=exz--UDuHoc
○作 家③:安秉(アン・ビョンウク)=1920~2013年。哲学者。号は怡堂(イダン)。平安南道龍岡郡で生まれた。1943年早稲田大学文学部哲学科を卒業。その後京城第一普通学校(現・京畿高校)やソウル高校の教員(国語)。(ナム・ジュン・パイクや金宇中は前者での教え子である。) 1958年<思想界>の主幹を経て延世大とソウル大講師を務め、1969年に崇実大学教授になった。
○安秉について:ウィキペディア(韓国)
    →https://ko.wikipedia.org/wiki/%EC%95%88%EB%B3%91%EC%9A%B1
○安秉の逝去後、息子の安ドンギュ翰林大教授が父について書いた記事:
    →http://www.kado.net/news/articleView.html?idxno=649512
 ※これによると中学生の時李光洙と会って安昌浩を紹介されたこと、日本留学当時尹東柱、咸錫憲、張俊河、鮮于(久しい友人)との親交があったこと、また金亨錫は親友といったことが記されている。
○1985年12月29日放送のKBS<日曜放談>での安秉と金亨錫の対談(韓国語):
    →http://blog.joins.com/media/folderlistslide.asp?uid=skc0706&folder=205&list_id=10509791
 ※ソウル高(8期)の教え子たちが記念館訪問(動画):
    →https://www.youtube.com/watch?v=aCp28AF244I
19李孝石(イ・ヒョソク)文学館
이효석문학관
○住 所 :232-925 江原道平昌郡蓬坪面孝石文学キル73-25
       (232-925 강원도 평창군 봉평면 효석문학길 73-25)
○電 話 :033-335-9669
○mail  :www.bongpyong.co.kr
○公式サイト:http:// www.hyoseok.org
○開館年 :2002年
○観覧時間:5~9月9:00~18:30、10~4月9:00~17:30
○休館日 :1月1日、旧正月、秋夕
○施設概要:展示室では李孝石の初刊本や作品が発表された雑誌・新聞等を展示。昔の蓬坪市場の再現模型や、彼の文学と生涯を扱った映像等もある。文学教室ではさまざまな映像が視聴でき、文芸行事も行われる。学芸研究室では各種資料を備え、彼の文学世界を研究するスペース。そば資料室にはそばについての各種資料がある。文学庭園やカフェもある。
※文学館は眺めが良い丘の上にあり、周囲に広がるそば畑で白い花が咲く9月には平昌孝石文化祭が催される。
○コネストの記事
    →http://www.konest.com/contents/spot_event_detail.html?id=7289
○作 家 :李孝石(イ・ヒョソク)=1907~1942年。号は可山。江原道平昌郡蓬坪面に生まれる。京城帝国大学法文学部英文科に在学中の1928年「都市と幽霊」を文芸誌「朝鮮之光」に発表し文壇に登場。大学卒業後教職を務めながら執筆活動を続け、1936年代表作の「そばの花咲く頃」を発表。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E5%AD%9D%E7%9F%B3
○作 品 :「朝鮮短編小説選 下」(岩波文庫.1984)に「そばの花咲く頃」所収。「集英社ギャラリー 世界の文学」(集英社.1991)に「薔薇が病む」所収。「そばの花の咲く頃 日帝時代民族文学対訳選」(新幹社.1995)に「そばの花咲く頃」「粉女」所収。「〈外地〉の日本語文学選 3 朝鮮」に「蕎麦の花咲く頃」所収。「小説家仇甫氏の一日 ほか十三編」(平凡社.2006)に「都市と幽霊」所収。「日韓併合期ベストエッセイ集」(ちくま文庫.2015)に「棗」所収。
○韓国観光公社の記事(日本語):http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/TE/TE_JA_7_1_1.jsp?cid=282370
20「土地」文学館
토지문화관
○住 所 :220-842 江原道原州市興業面梅芝回村キル79
       (220-842 강원도 원주시 흥업면 매지회촌길 79)
○電 話 :033-762-1382,、766-5544
○mail  :tojicu1@chol.com
○公式サイト:http://www.tojicul.or.kr/
○開館年 :1999年
○観覧時間:月~土曜9:00~18:00
○休館日 :日曜、公休日
○施設概要:次のような文化活動を推進し、またその場を提供する。(1)学術・文化行事の企画及び推進・・・・セミナーやシンポジウム等の開催。(2)研究と創作活動のサポート・・・・ 研究や創作等の場所の提供。 (3)国際学術文化交流活動・・・・国内外の学者や芸術家の招聘、講演及び国際学術会議の開催。(4)文化運動と教育活動・・・・地域文化の活性化、青少年文化教育活動の場の設定等。
※施設名は朴景利の小説「土地」によるもので、館長も朴景利の娘の金玲珠(キム・ヨンジュ.詩人金芝河夫人)が務めているが、ここは上記のように文化活動のための施設といった性格が強いようで、朴景利や「土地」については朴景利文学公園(原州市)、朴景利記念館(慶尚南道統営市)の展示が適していると思われる。
21韓国詩集博物館
한국시집박물관
○住 所 :252-821:江原道蹄郡北面萬海路136
       (252-821 강원도 인제군 북면 만해로 136)
○電 話 :033-463-4082
○公式サイト: http://xn--zb0b2hu97a1ya31wlzk6ku.org
○開館年 :2014年
○観覧時間:3~10月9:00 ~18:00、11~2月9:00 ~17:30
○休館日 :月曜、旧正月当日、秋夕当日
○施設概要:1万㎡近い敷地に建てられた地上2階地下1階の施設。国内外300人余りの人々から寄贈された詩集1万冊を所蔵。「鄭芝溶詩集」(1935)をはじめと1950年代以前の希少詩集も100冊以上含まれている。1階には図書室・体験空間、2階には近現代(1900~1970年代)の韓国の詩集を時代ごとに展示した常設展示室と企画展示室等がある。
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韓国の文学館 ③江原道編(中)

2015-08-17 20:14:12 | 韓国の文学館(全)
 韓国の文学館 ②江原道編(上)の続きです。

 このシリーズ、最初はシンプルなリストと、各施設の公式サイトにリンクを張るだけのものを想定していましたが、施設の概要や作家について一応関係記事等を見ているとなかなか興味深いものも多く、結局私ヌルボの個人的メモといった感じであれこれ長々と書いてしまいました。
 今後は多様な情報を極力簡潔に書くことを旨としたいと思います。(が、それでも長くなりそう・・・。) そして完結した時点で見やすい一覧表を作成しようと思います。全部で施設の数が100にも及ぶのでまだまだ先の話ですが・・・。

 ちなみに、日本全国の文学館はいくつくらいあるのかと思って探してみると、<文学館研究会>という個人的な団体(!?)のサイトが見つかりました。公式サイトは→コチラです。これによると、日本の文学館は全国で757館とのことです。韓国の約7.5倍。私ヌルボのほぼ想定内の数字です。なお、公益財団法人<全国文学館協議会>(→公式サイト)に加入している文学館は99館です。

 朴寅煥文学館の欄の末尾でリンクを張ったパク・イニの歌「時が経つと(세월이 가면)」はぜひ聴いてみてください。40年前と感じさせない良い歌です。

※基本的なデータは韓国文学館協会の公式サイト(http://www.munhakwan.com/)です。
※各欄の背景の色がピンクのものは韓国文学館協会所属の施設、緑色のものは所属していない施設です。
※紹介した作品は日本で刊行されているものです。(絶版書を含む。)

«江原道(中)»
15朴寅煥(パク・イヌァン)文学館
박인환문학관
○住 所 :1252-806 江原道蹄郡蹄邑蹄路156番キル
       (252-806 강원도 인제군 인제읍 인제로156번길)
○電 話 :033-460-2085
○mail  :todhn2000@naver.com
○開館年 :2012年
○観覧時間:火~日曜9:00~18:00
○休館日 :月曜
○施設概要:この地で生まれた詩人朴寅煥の生家址に建てられた。彼がソウルに開店したマリ書肆等、1950年代モダニズム運動の中心となったソウルの街や店を再現している点が一般の文学館とは異なる大きな特色。
○作 家 :朴寅煥(パク・イヌァン)=1926~1956年。1950年代を代表するモダニズム詩人。戦後平壌医学専門学校を中退してソウルに上京し、鍾路3街の楽園洞入口に書店マリ書肆を開いた。この店はジャン・コクトーやアンドレ・ブルトン等の詩集を備え、金光均・金起林・鄭芝溶等の詩人のたまり場となり、モダニズム運動の発祥の地ともいえる。彼自身1946年から「街」等の詩を書き始め、とくに「木馬と淑女」「時が経つと」は広く愛誦されている。1955年「朴寅煥詩選集」を刊行した翌56年フェノバルビタールを大量に服用して自殺した。
○作 品 :大村益夫[編訳]「対訳 詩で学ぶ朝鮮の心」(青丘文化社.1998)に「黒い神よ」所収。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%B4%E5%AF%85%E7%85%A5
○(韓国)ウィキペディア:https://ko.wikipedia.org/wiki/%EB%B0%95%EC%9D%B8%ED%99%98_(%EC%8B%9C%EC%9D%B8)
○参考ブログ記事(韓国語):
    ①http://www.12go.kr/01travelstory/01_view.asp?s_idx=1752&nt_rcate1=1&nt_rcate2=3&nt_rcate3=&s_keyword=&page_gubun=K
    ②http://hangamja.tistory.com/560
○2004年9~12月EBSで放映された作家李鳳九(イ・ボング)原作のドラマ「明洞伯爵」は1950年代に明洞を拠点にした文化芸術家を描いた物語で、金洙暎(キム・スヨン)や朴寅煥が登場する。
○「時が経つと(세월이 가면)」はイ・ジンソプが曲をつけた歌を1970年代の代表的女性フォーク歌手の1人パク・イニが歌いヒットした。YouTubeの動画で聴くことができる。歌詞は元の詩と異なる箇所がある。
    →https://www.youtube.com/watch?v=25oXoRon05o 
 「木馬と淑女(목마와숙녀)」の動画もあるが、これは歌というより朗読である。
    →https://www.youtube.com/watch?v=v6NarYtcfno
16月河 李泰極文学館
월하 이태극문학관
○住 所 :209-801 江原道華川郡華川邑虎音路1014-16
       (209-801 강원도 화천군 화천읍 호음로1014-16)
○電 話 :070- 8885-3434
○mail  :ym825@hanmail.net
○公式サイト:http:// www.itaegeuk.com
○開館年 :2010年
○観覧時間:火~日曜9:00~18:00
○休館日 :月曜、1月1日、旧正月、秋夕当日
○施設概要:地下1階地上2階の館内に李泰極の直筆原稿、写真、手紙、遺品、「時調文学」等の文学資料、詩画等が展示されている。彼が原稿を執筆する姿を再現した蝋人形や、華川ダム工事で水没した彼の生家を再現したミニチュアもある。
○作 家 :李泰極(イ・テグク)=1913~2003。号は月河。江原道華川郡看東面芳川里に生まれる。1936~1938年早稲田大学専門部で学び、解放後は教職と併行してソウル大を卒業し、以後梨花女子大学教授、韓国時調(シジョ)詩人協会長、国語国文学会代表等を務めた。1953年の「カモメ」、1955年韓国日報に発表した「山いちご」以降多数の時調を作り、1960年には時調専門誌「時調文学」を創刊する等、現代時調運動をリードした。
○作 品 :廣岡冨美「韓国近現代時調選集」(土曜美術社.2000)に作品所収。
○息子の文学評論家李崇源による「時調作品から見た父の姿」と題した記事:
    →http://www.yousim.co.kr/news/articleView.html?idxno=4169
○参考記事(韓国語):
    ①http://article.joins.com/news/blognews/article.asp?listid=13544403
    ②http://www.travelnbike.com/news/articleView.html?idxno=1769
○破虜湖(パロホ)に近い安保展示館 (文学館から車で約20分)の前に「山いちご(산딸기)」が刻まれた月河時調碑がある。
17李外秀(イ・ウェス)文学館
이외수문학관
○住 所 :209-812 江原道華川郡上西面感性マウルキル157
       (209-812 강원도 화천군 상서면 감성마을길 157)
○電 話 :033-441-1253
○公式サイト:http://www.ogamstory.com/(休止中?)
○開館年 :2007年
○観覧時間:10:00~17:00
○休館日 :月・火曜
○施設概要:華川郡は2006年地域振興の一環として文学をテーマとした感性マウル(感性の村)を創設し、春川市在住の李外秀を村長として招請。執筆の場を提供し、この文学館を設立した。自筆原稿、書画等を展示。
○作 家 :李外秀(イ・ウェス)=1917年~。慶尚南道咸陽郡で生まれ、江原道麟蹄郡で育つ。春川教育大学中退後、1972年江原日報新春文芸に短編小説「見習いの子供たち」でデビューし、1975年文芸誌「世代」でで短編小説「装飾」が新人文学賞を受賞して小説家として知られるようになった。彼のtwitterは進歩的な立場からの政治的意見も多く発信し、フォロワー数が150万人に迫るパワーツイッターリアンとして社会的影響力も大きい。
○参考記事(日本語):
    ①http://french.visitkorea.or.kr/myeyes.kto?cmd=view&md=jpn&lang_se=JPN&bbs_sn=1692058
    ②http://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/f5ec692d1f579f69ef4ac8616a86b53e
○2012年9月朴槿恵セヌリ党大統領候補がここを訪れた時の動画:
    →https://www.youtube.com/watch?v=vmjsontnD9E
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韓国の文学館 ②江原道編(上)

2015-07-30 23:46:47 | 韓国の文学館(全)
 韓国の文学館 ①ソウル編の続きです。

 当初は江原道の文学館13館をまとめて載せるつもりでしたが、この地域は韓国文学史上よく知られた作家・詩人の文学館がとくに多くて説明内容が長くなったため、2回(3回?)に分けてアップすることにしました。

 他の地域でもそうだと思いますが、これらの文学館の大半は90年代以降、とくに今世紀に入ってから建てられたものが多いようです。文学と政治との関係性の変化も背景としてあるようだし、とくに近年は地域文化の振興といった観点から設立されるというケースが多いように思われます。

 ☆最初の金東鳴の記事中の「こころ」の歌はとても美しい歌です。ご存知なかった方はぜひ聴いてみてください。 

※基本的なデータは韓国文学館協会の公式サイト(http://www.munhakwan.com/)です。
※各欄の背景の色がピンクのものは韓国文学館協会所属の施設、緑色のものは所属していない施設です。
※紹介した作品は日本で刊行されているものです。(絶版書を含む。)

«江原道(上)»
10金東鳴(キム・ドンミョン)文学館
김동명문학관
○住 所 :1210-851 江原道江陵市沙川面 セットル1キル 30-2
       (210-851 강원도 강릉시 사천면 샛돌1길 30-2)
○電 話 :033-640-4270
○公式サイト:http://kimsuyoung.dobong.go.kr/
○開館年 :2013年
○観覧時間:10:00~18:00
○休館日 :月曜、新・旧正月連休、秋夕
○作 家 :金東鳴(キム・ドンミョン)=1900~1968年。江原道溟州郡沙川面(現・江陵市)に生まれる。咸鏡南道の永生中学校を卒業した後小学校の教員となり、教員生活を送る中で文学に関心を持つようになる。1923年「開闢」に掲載された「あなたがもし門をあけてくだされば(당신이 만약 내게 문을 열어주시면)」で文壇にデビュー。その後1925~28年青山学院神学科で学ぶ。元山に戻って教員を務めながら詩作を続ける。しかし日帝の圧力が強まる中、1942年から筆を絶つ。戦後は1945年興南市自治委員会の委員長に選ばれ、46年には朝鮮民主党の咸鏡南道党部委員長になるが、金日成派の圧迫に身の危険を感じて47年越南。55年詩集「真珠湾」で第2回自由文学賞を受賞。1947~60年梨花女子大学の教授を務める。1968年病死。文人葬が行われ忘憂里墓地に埋葬される。文学館から少し離れた江陵市沙川面美盧里に金東鳴詩碑がある。(「芭蕉(파초)」と「私の心(내 마음)」の詩碑)
○作 品 :金素雲:訳「朝鮮詩集 前期」(興風館.1943)に「芭蕉」ほか3編所収。・金時鐘:訳「再訳 朝鮮詩集」(岩波書店.2007)に「芭蕉」「海」「月」の3編所収。・大村益夫[編訳]「対訳 詩で学ぶ朝鮮の心」(青丘文化社.1998)に「ウリマル」と「妻をいたむ」を所収。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E6%9D%B1%E9%B3%B4
○沢知恵(作曲)の歌「こころ」:このの歌詞は金東鳴の詩(訳:金素雲)による。夏川りみ、クミコ、持田香織、佐々木秀実、アン・サリー等にカヴァーされている。沢知恵の歌の動画はコチラ→https://www.youtube.com/watch?v=NwiTmp1IC9k
○参考ブログ記事(韓国語)
     http://blog.naver.com/daichung/220247171124
     http://blog.daum.net/pdi134/16122140
     http://blog.daum.net/sangkieng/116
11金笠(キム・サッカ)文学館
김삿갓문학관
○住 所 :江原道寧越郡金笠面金笠路216-22
       (1230-822 강원도 영월군 김삿갓면 김삿갓로 216-22)
○電 話 :033-375-7900
○mail  :sis3247@hanmail.net
○公式サイト:http://www.ywmuseum.com/(休止中?)
○開館年 :2003年
○観覧時間:9:00~18:00
○休館日 :1月1日
○施設概要:全羅南道・智異山一帯を放浪した金笠が 世を去った3年後、次男が彼の遺骸をこの地に移葬した。文学館はその墓域の約500m南に設立された。
 ・所蔵・展示資料=遺物と遺品(紙、筆、硯等200点)・文学関連資料や書籍500余点・金笠研究資料・生涯映像
 ・イベント=金笠文化大祭り(制限大会、書初め大会、国楽公演、民話シンポジウム等)・全国詩人大会(詩人大会、作文大会等)
 ※復元された生家は墓域から2㎞ほど奥にある。→動画https://www.youtube.com/watch?v=getIHEvEzBw
○作 家 :金笠(キム・サッカ)=1807~1863年。本名は金炳淵(キム•ビョンヨン)。朝鮮後期の放浪詩人としてよく知られている。
○作 品 :「金笠(キムサッカ)詩選」(平凡社.東洋文庫.2003)
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB
 ※<namuwiki>(韓国語)に、さまざまなエピソードが記されている。→https://namu.wiki/w/김삿갓
○参考書:崔碩義「放浪の天才詩人金笠(キムサッカ)」(集英社新書.2001)
       現代文学賞を受賞した李文烈「詩人(시인)」(未訳)は彼の伝記小説。
○余談:1996年~「김삿갓」というラベルの高級焼酎が宝海醸造(木浦市)から発売されていた。
○参考ブログ記事(韓国語):http://travelwriter.tistory.com/84
12金裕貞(キム・ユジョン)文学村
김유정문학촌
○住 所 :200-812 江原道春川市 新東面シルレキル25
       (200-812 강원도 춘천시 신동면 실레길25)
○電 話 :033-261-4650
○mail  :rlehkks@daum.net
○公式サイト:http://www.kimyoujeong.org
○開館年 :2002年
○観覧時間:4~10月9:00~18:00、11~3月9:30~17:00
○休館日 :月曜、1月1日、旧正月、秋夕
○施設概要:復元された金裕貞の生家があり、当時の暮らしぶり、作品が生まれた環境等を知ることができる。展示館には彼の作品等が展示されている。建物の外には「春・春」の登場人物をかたどった造形物が配置されている。
○施設紹介の動画:https://www.youtube.com/watch?v=yGBnMipe648
○作 家 :金裕貞(キム・ユジョン)=1908~1937。「韓国近現代文学事典」(明石書店)には「出生地は春川かソウルか定かではないが、ソウルと見られている」とある。1935年「夕立」が朝鮮日報新春文芸に、「大当たり」が中外日報新春文芸に当選し文壇にデビュー。わずか4年の間に30余編の小説と10余編の随筆を発表するが、肺結核に苦しみながら29歳で早逝。
○作 品 :「朝鮮短篇小説選 下」(岩波文庫.1984)に「椿の花」「春・春」所収。「そばの花の咲く頃 日帝時代民族文学対訳選」(新幹社.1995)に「春や春」所収。「愛の韓国童話集」(素人社.2001)に「春春」所収。「小説家仇甫氏の一日 ほか十三編」(平凡社2006)に「山里」所収。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E8%A3%95%E8%B2%9E
○京春線の金裕貞駅から徒歩7分。この駅名は2004年新南駅から改称されたもので、韓国初の人名に因む駅名である。
○ソウルナビ:http://www.seoulnavi.com/miru/2546/
○参考ブログ記事(韓国語):http://travelbookmark.tistory.com/166
                  http://blog.samsung.com/3516/
○参考:「李箱作品集成」(作品社.2006)中に「金裕貞-小説体で書いた金裕貞論」がある。
○「春・春」は1969年金洙容監督により同タイトルで映画化された。また2014年「そばの花・運の良い日・春、春」というアニメ作品が作られている。※「そばの花」の原作は李孝石、「運のよい日」は玄鎮健の短編小説。
13東国大学校 萬海(マネ)マウル
동국대학교 만해마을
○住 所 :252-820 江原道蹄郡北面萬海路91
       (252-820 강원도 인제군 북면 만해로91)
○電 話 :033-462-2303~4
○mail  :gwo901@hanmail.net
○公式サイト:http://www.manhae.net/
○開館年 :2003年
○観覧時間:夏季 9:30~18:00、 冬季 9:30~17:00
○休館日 :年中無休
○施設概要:僧侶だった韓龍雲が修行を積み、「ニムの沈黙」を書いた百潭寺(ペクタムサ)から百潭溪谷を経て約10㎞下った所にある。韓龍雲の著書、遺品、文学資料等の展示の他、文芸誌の発刊や学術研究支援事業等を行っている。学校・団体・企業等の研修施設及び宿泊施設がある。※百潭寺にも萬海記念館がある。参考ブログ記事→http://hangamja.tistory.com/562
○作 家 :韓龍雲(ハン・ヨンウン)=1879~1944年。号は萬海。詩人、僧侶、独立運動家。忠清南道洪城に生まれる。1918年に来日して東京や京都等全国各地を巡回し、東京YMCAの朝鮮独立運動に参加した。三一独立運動の際、民族代表33人の1人として独立宣言書に署名した。1926年発表された唯一の詩集「ニム[あなた]の沈黙(님의 침묵)」は戦前の朝鮮文学を代表する詩集の1つとされている。1927年民族協同戦線の新幹会の結成を主導。その後朝鮮総督府による神社参拝の強要に抵抗して投獄されたり、出獄後も創氏改名反対運動や朝鮮人学徒兵制反対運動を展開した。1944年6月京城府東大門区城北洞(現・城北区)の自宅尋牛荘(심우장.シムジャン)で中風と栄養失調によって死去。忘憂里共同墓地に埋葬された。
○作 品 :安宇植(訳)「ニムの沈黙」(講談社.1999)・金素雲「朝鮮詩集 前期」(興風館.1943)に「桐の葉」他4編所収・金時鐘「再訳 朝鮮詩集」(岩波書店.2007)に「知りようがないのです」他2編所収・大村益夫[編訳]「対訳 詩で学ぶ朝鮮の心」(青丘文化社.1998)に「ニムの沈黙」他3編所収。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E9%BE%8D%E9%9B%B2
○尋牛荘は現在公開され、遺品等が展示されている。
     →関連記事:http://www.kampoo.com/travel/seoul/seongbuk/simujang.htm
             http://travel2.innolife.net/list.php?ac_id=53&ai_id=5073
○忠清南道洪城郡に生家が復元され、萬海祠・銅像・韓龍雲文学体験館が建てられている。関連記事:http://japanese.hongseong.go.kr/jpa/sub01_05_03.do
○京畿道広州市の萬海紀念館も参照のこと。
14朴景利(パク・キョンニ)文学公園
박경리문학공원
○住 所 :220-090 江原道原州市土地キル1
       (220-090 강원도 원주시 토지길1)
○電 話 :033-762-6843
○公式サイト:http://www.tojipark.com/(閉鎖中?)
○開館年 :1999年
○観覧時間:10:00~17:00
○休館日 :1月1日、旧正月、秋夕当日、毎月第4月曜
〇施設概要:1980年ソウルから移り住んだ朴景利が「土地」第4・5部を執筆した家が土地再開発の対象とされたのを機に公園に転換され、1999年開園された。展示室では彼女の著作や、「土地」全巻(第1~5部)の背景・人物を中心に展示している。1万㎡を超える敷地内には、その旧宅と庭園を原型のまま保存するとともに、「土地」に関連した3つのテーマ公園が造られていて、物語の舞台となった韓屋14棟やわらぶきの家、遺物等による「土地」セット場も造成されている。 毎年秋には全国の文人たちの文学祭りである「土地」文学祭が開催されている。
○施設紹介の動画:https://www.youtube.com/watch?v=xbupOOjs7zg
○作 家 :朴景利(パク・キョンニ)=1926~2008年。本名は朴今伊(박금이.パク・クミ)。1926年慶尚南道忠武(現・統営市)で生まれた。1945年晋州女子高等学校卒業した後結婚したが、夫は左翼として追及され朝鮮戦争中に西大門刑務所で獄死した。1955年金東里の推薦で短編が文芸誌「現代文学」に発表され、本格的な作家生活を始める。1969~94年の25年間執筆した大河小説「土地」は1897年中秋から1945年の日本の降伏までを慶尚南道河東郡平沙里の地主だった崔参判家を中心に300人に及ぶ人物が登場し、彼らの間の出来事とともに伝染病や自然災害、東学農民運動や日韓併合、三一独立運動等といった歴史的背景まで書き込まれており、また舞台も平沙里から間島(「満洲」)の龍井、晋州、ソウル等へ移ったりもしている。この地の旧宅を出た後も同じ原州市内の「土地」文化館で執筆生活を続けていたが、2008年4月4日脳卒中のため死去した。1人娘のキム・ヨンジュは1973年詩人の金芝河と結婚し、現在「土地」文化館の館長を務めている。
○作 品 :金容権(訳)「土地(全6巻)」(講談社.2011~12)・・・完全版の約4分の1の青少年向きダイジェスト版の翻訳・安宇植・鎌田光登(訳)「土地(全8巻)」(福武書店.1983~86)・・・第1部のみの翻訳・「現代韓国文学選集 第2巻」(冬樹社.1976)に「金薬局の娘たち」所収。
○(韓国)ウィキペディア:https://ko.wikipedia.org/wiki/박경리
○参考ブログ記事(韓国語):http://noproblemyourlife.tistory.com/744
                  http://www.poemlane.com/bbs/zboard.php?id=moeum&page=1&sn1=&divpage=1&sn=off&ss=on&sc=on&select_arrange=headnum&desc=asc&no=693
○「土地」は1974年金洙容監督・金芝美の主演で映画化された。また1987~89年KBS、2004~05年SBSと2度同名のタイトルでドラマ化された。後者は日本でも「名家の娘ソヒ」のタイトルで放映されDVDも出ている。
○「土地」文化館 (原州市)、朴景利記念館(慶尚南道統営市)も参照のこと。
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韓国の文学館 ①ソウル編

2015-07-07 23:58:17 | 韓国の文学館(全)
 2015年4月、ソウルの国立中央図書館に行ってきました。
 そこでソウル市内の文学館一覧のようなものがあるか尋ねてみました。何年か前に行ったことがある、地下鉄東大入口近くの韓国現代文学館のような文学館や、特定の作家の文学館といったものが他にあれば行ってみようかなと思ったからです。
 すると、ソウルだけでなく、韓国内の文学館のリストをコンピューターからプリントアウトしてくれました。総数約100館です。見てみるとソウルは思ったほど多くはありませんが、地方には「そばの花咲く頃」で知られる李孝石(イ・ヒョソク)文学館(江原道平昌郡)や、これも有名な「ソナギ(にわか雨)」の作家黄順元の黄順元文学村 ソナギ村(京畿道楊平郡)等々、著名な作家の文学館がいくつもあります。鄭芝溶や徐廷柱等の詩人の文学館も当然あります。ヌルボが個人的にぜひ行こうと思ったのは、昌原市にあるという児童文学の巨匠にしてあの「故郷の春」の作詞者でもある李元寿(イ・ウォンス)文学館です。
 このリストについて後で調べたところ、韓国文学館協会の資料と思われます。
 そこで、その公式サイト(http://www.munhakwan.com/)と照らし合わせながら基本事項を日本語に訳し、また作家等の簡単な説明をつけてブログに載せることにしました。
 内容的には必ずしも文学館とはいいがたい施設も含まれていますが、区分がむずかしい点もあるのでそのまま載せました。
 このようなリストは私ヌルボの知るかぎり日本のサイトでは見当たらないようです。そこでヌルボのような(?)韓国オタクや、韓国文学に興味を持っている皆さん、とくに若い学徒の諸君(←大時代的表現だな^^;)に多少なりともお役にたてればと考え、ちょっと手間ヒマかけて作ってみたというわけです。
 数が多いので、9つの地域別に分けて順次アップします。

※各欄の背景の色がピンクのものは韓国文学館協会所属の施設、緑色のものは所属していない施設です。
※紹介した作品は日本で刊行されているものです。(絶版書を含む。)

«ソウル»
1金洙暎(キム・スヨン)文学館
김수영문학관
○住 所 :132-835 ソウル特別市道峰区海等路 32キル 80
       (132-835 서울특별시 도봉구 해등로 32길 80)
○電 話 :02-2091-5673
○公式サイト:http://kimsuyoung.dobong.go.kr/
○開館年 :2013年
○観覧時間:9:00~18:00(入館は17:30まで)
○休館日 :1月1日、旧正月、秋夕
○作 家 :金洙暎(キム・スヨン)=1921~1968年。1968年交通事故で逝去した後も、社会参与派を代表する詩人として民主化運動の高まりの中で愛読された。
○作 品 :「金洙暎全詩集」(彩流社.2009)・「韓国三人詩選 金洙暎・金春洙・高銀」(彩流社.2007)・「金洙暎詩集―巨大な根」(梨花書房.1978)
関連URL:https://www.facebook.com/study.korean.noma/posts/473818062724575
2文学の家ソウル
문학의집 서울
○住 所 :100-250 ソウル特別市中区退渓路26キル65
       (100-250 서울특별시 중구 퇴계로 26길 65)
○電 話 :02-778-1026~7
○mail  :imhs@imhs.co.kr
○公式サイト:http://www.imhs.co.kr/
○開館年 :2001年
○観覧時間:10:00~17:30
○休館日 :日曜、公休日
○施設概要:文学講座・朗読会等の催しや展示を通じて作家や文学を愛好する市民の交流の場。
3三省出版博物館
삼성출판박물관
○住 所 :110-804 ソウル特別市鍾路区飛鳳キル2-2
       (110-804 서울특별시 종로구 비봉길2-2)
○電 話 :02-394-6544
○mail  :applemint96@naver.com
○公式サイト:http://www.ssmop.org/
○開館年 :1990年
○観覧時間:10:00~17:00
○休館日 :土・日曜、公休日
○施設概要:三省出版社が開設した韓国最初の出版博物館。国宝を含む歴史的書物の他、木版・木活字・鉛活字・硯・筆・紙等を展示。
4世界女性文学館
세계여성문학관
○住 所 :140-742 ソウル特別市龍山区青坡路47キル100(淑明女子大学校図書館内)
       (140-742 서울특별시 용산구 청파로 47길 100(숙명여자대학교 도서관 내)
○電 話 :02-710-9120
○mail  :libjieun@sm.ac.kr
○公式サイト:http://wowlic.sookmyung.ac.kr/
○開館年 :2000年
○観覧時間:月~金曜9:00~18:00、土曜9:00~13:00
○休館日 :休日、公休日
○施設概要:作家・作品・関連学術誌・写真映像等の電子情報、企画展示等。
5韓国現代詩博物館
한국현대시박물관
○住 所 :110-521 ソウル特別市鍾路区恵化路3街キル4
       (110-521 서울특별시 종로구 혜화로3가길 4)
○mail  :poem@poem.ac
○開館年:2007年
○観覧時間:10:00~18:00
○休館日:土・日・公休日 (※土は予約時可能)
○公式サイト:http://www.poem.ac/(閉鎖中?)
         https://twitter.com/poemmuseum
〇施設概要:慶熙大キム•ジェホン教授が自身が住んでいた家を改造して開設。稀覯本の詩集や詩人の肉筆原稿、同人誌、文芸誌、研究書等の他、代表的詩人60人の肖像画を展示。
○関係記事(韓国語):http://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/317682.html
6寧仁(ヨンイン)文学館
영인문학관
○住 所 :110-848 ソウル特別市鍾路区平倉30キル81
       (110-848 서울특별시 종로구 평창 30길 81)
○電 話 :02-379-3182
○mail  :younginkang@naver.com
○公式サイト:http://www.young-in.kr/main/index.asp
○開館年 :2001年
○観覧時間:火~日曜10:30~17:00
○休館日 :月曜
○施設概要:韓国の文学資料を収集、展示する文学資料館。「縮み志向の日本人」の著者として有名な李御寧(イ・オリョン)韓国初代文化相と夫人の姜仁淑(カン・インスク)建国大学名誉教授により設立。(館長は姜仁淑氏)
7尹東柱(ユン・ドンジュ)文学館
윤동주문학관
○住 所 :110-030 ソウル特別市鍾路区彰義門路119
       (110-030 서울특별시 종로구 창의문로119)
○電 話 :02-2148-4175
○開館年:2012年
○観覧時間:[3~10月]10:00~18:00、[11~2月]10:00~17:00
○休館日 :月曜、祝日、旧正月、秋夕
○作 家 :尹東柱(ユン・ドンジュ)=1917~45年。日本留学中治安維持法違反の嫌疑で逮捕・起訴され1945年2月16日福岡刑務所で獄死。戦後詩集が刊行され抒情詩人・民族詩人・抵抗詩人として知られるようになった。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%B9%E6%9D%B1%E6%9F%B1
○作 品 :「空と風と星と詩 尹東柱詩集」(岩波文庫.2012)等
○評 伝 :宋友恵「空と風と星の詩人尹東柱(ユンドンジュ)評伝 」(藤原書店.2009)
○公式サイト(?):https://ko.foursquare.com/v/%EC%9C%A4%EB%8F%99%EC%A3%BC%EB%AC%B8%ED%95%99%EA%B4%80/4dc227e045ddd5b5b6a74032
○ソウルナビ:http://www.seoulnavi.com/miru/1900/
8韓国現代文学館
한국현대문학관
○住 所 :100-855 ソウル特別市中区東湖路268
       (100-855 서울특별시 중구 동호로 268)
○電 話 :02-2277-4857
○mail  :shi1997@daum.net
○公式サイト:www.kmlm.or.kr
○開館年 :1997年
○観覧時間:月~金曜10:00~17:00、土曜10:00~12:00
○休館日 :日曜、公休日
○施設概要:詩・小説の作品集1,000余点、作家の肉筆原稿300点、写真約1,000点、文芸誌100余点を展示し、展示会や文学セミナーを開催
○関連ブログ記事:http://syoujiten.exblog.jp/6960762/
            http://ameblo.jp/kangurume/entry-11035348728.html
9韓戊淑(ハン・ムスク)文学館
한무숙문학관
○住 所 :110-521 ソウル特別市鍾路区恵化路9キル20
       (110-521 서울특뵬시 종로구 혜화로 9길 20)
○電 話 02-762-3093
○mail  :hanms01@hanmail.net
○公式サイト:www.hahnmoosook.com
○開館年:2001年
○観覧時間:火~日曜10:30~17:00
○休館日 :月曜
○作 家 :韓戊淑(ハン・ムスク)=1918~93年。国際ペンクラブ韓国本部理事、韓国女流文学人会の会長等を歴任。
○作 品 :「現代韓国文学選集 第3巻」(冬樹社.1973)に短編「感情ある深淵」所収。
○ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E6%88%8A%E6%B7%91
コメント (1)
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