ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [20]

2014-01-19 06:39:57 | 高校生にすすめる本360冊
前回に続いて補遺及び1999~現在までの推薦書リストのその3です。
 当初の予定通り、20回目の今回でいよいよ最後です。

 今回は単行本16冊。内容は雑多です。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
☆×
35
鄭儀神樹朝日新聞社35・36、「西遊記」や「水滸伝」を生んだ中国文学の伝統は脈々と受け継がれている。
35=この20年間に読んだ中でいちばんすごい小説! 中国農村の土俗的世界を描きつつ、著者自身が体験した政治世界の批判にも・・・
36=変貌著しい現代中国。腐敗した権力者に挑む刑務所の捜査官。冒険小説風の社会批判。書名は「敵は見えないところに潜む」という意味。
37~39は韓国の現代文学。
37=アジア文学おそるべし。この架空の歴史物語(!?)も、李朝に続くべき(?)朝鮮皇帝(?)の視点から近代を批判する。
38=朝鮮半島南端の小鹿島。かつて日本が設けたハンセン病者の隔離療養施設で、院長が主導する「事業」に患者たちの対応は・・・?
39=自伝的小説。70年代末地方から上京して工場で働きながら夜間高校で学んだ彼女は、無断欠席の反省文を読んだ先生の勧めで文学を志した。
40=在日朝鮮人作家の超大作。戦争直後の朝鮮半島の混乱した政情下、李承晩政権により済州島島民が大虐殺された<四・三事件>を描く。
41=戦前の左翼・労働運動に対する弾圧が厳しくなる中で、精神的にも肉体的にも、これほど強靭な詩人がいたんだなあ・・・。
42=明治期以降の戦争文学を幅広く網羅。戦場だけでなく、植民地の状況、引揚げ、脱走兵等々多様な観点から貴重な作品を多数収録。
43=「果てしなき彼方に向ひて手旗うつ万葉集をうち止まぬかも」等で知られる歌人が学生時代や中国での軍隊生活等を綴った自叙伝。
44=「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」(辞世)。河野裕子(かわのゆうこ)はいまわの際まで歌人だった。
45=この傑出した詩人の命を戦争は26歳で奪った。戦地中国で日記に記した詩「雪の夜」は涙なくして読めない。「きけ、わだつみのこえ」にもある。読んで!
46=著者の父親は30年以上前に日本に帰国した<中国残留孤児>。著者は中国語も学び、父の育った中国の村を訪れる。
47=なぜあの国は「あんな」国になったのか? 北朝鮮本の集大成したような本。上巻では金日成伝説、下巻は脱北者の証言を中心に詳述。
48=悪名高い北朝鮮の強制収容所の中でも最悪の「完全統制区域」という地獄で奴隷として23年。奇跡的に脱出した驚くべき証言。
49=よく観察しよく考え、どう声をかけるか? 精神論とは対極的な、コーチを受ける立場を重視した理論はスポーツ以外にも役立つ。
50=教科書や参考書よりず~っと面白くためになる、マンガ版江戸時代の歴史。これはすごい! 教科書なんかメじゃない。
×
36
張平十面埋伏新風舎
☆×
37
李文烈皇帝のために講談社
38李清俊あなたたちの天国みすず書房
39申京淑離れ部屋集英社
40金石範火山島文藝春秋社
41田木繁田木繁詩集現代思潮社
42
集英社の全集
<戦争×文学>
集英社
×
43
近藤芳美近藤芳美集(第8巻)
青春の碑
岩波書店
44
河野裕子読本角川学芸出版
×
45
田辺利宏夜の春雷未来社
46城戸久枝あの戦争から遠く離れて情報センター出版局
47B.マーティン北朝鮮「偉大な愛」の幻青灯社
48申東赫収容所に生まれた僕は愛を知らないKKベストセラーズ
49落合博満コーチングダイヤモンド社

50
みなもと太郎風雲児たちリイド社


 実は前々回のリストに後からこっそり余華「兄弟」を追加しておきました。単行本が出てまもなく読んだのですが、その後文庫化したのを失念していました。

 今回は中国と韓国の現代小説を何冊も入れました。
 もっと注目されてもいいのに、と常々思っているのですが・・・。と言っても、残雪「突囲表演」はツンドクのままだし、文庫化された衛慧「上海ベイビー」も未読です。あ、ノーベル賞作家・莫言も入れるべきだったかな? 「酒国」「豊乳肥臀」か・・・。

 3回続いた続編は、<高校生向き>という看板に自分でも首を傾げるような中身でした。
 今回も、自信を持って高校生向きと言えるのは46・48・49・50の4冊くらいかな?

 しかし、単行本16冊とは少なすぎ。もっといろいろ、あと20冊くらいはあったような気がしないでもありません。
 いずれまたぜひオススメ!という本が貯まってきたら、もしかしたら続編の続編をアップすることがあるかもしれませんが、あるとしても2~3年かそれ以上先(!)になりそうです。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [19]

2014-01-09 23:50:27 | 高校生にすすめる本360冊
前回に続いて補遺及び1999~現在までの推薦書リストのその2です。

 今回はエンタメ系の文庫15冊。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。

20
金庸笑傲江湖徳間文庫19=読み出したらやめられない金庸の武侠小説(中国風チャンバラ)。荒唐無稽といわば言え。東アジア各国中なんで日本はこのジャンルの人気が今ひとつなんだろ?
21=1912年のタイタニック号沈没、1941年真珠湾攻撃直前のハワイでのアメリカ人観光客夫妻の殺人事件。そして1962年タイタニック引き揚げに関わる人々。スケールの大きい設定の下に展開される謎の解明とアクション。
22=前作の「半身」(創元文庫)を読んだ人のほとんどはきっとラストで「あっ」と叫んだだろう。物語的展開ならこちらをおすすめ。
23=「1 ドラゴン・タトゥーの女」以下全3部、各上下2巻で計6冊。10日間ひたすら耽読。世界的ベストセラーというのも納得。
以下、23~28はSFです。
24=遠い未来、遅くなりつつあった地球の自転はついに止まる。永久に太陽に熱せられる部分では人類も他の動物も退化し、代わりに奇妙な植物がはびこる。この世界を旅する運命となった男は・・・。
25=なんとまあ壮大なSF叙事詩! すごい想像力&創造力。
26=今、世界的に(だろうな?)一番人気のSF作家。「順列都市」(早川文庫)もお薦め。よくこんな発想が出てくるもんだなあ。
27=科学文明の批判から1つの原始的なコミューンを創った老人。そこでくりひろげられる皮肉で痛切なエピソードを綴ったアンソロジー。とくに「空にふれた少女」は思い出しただけで泣ける。うるうる。
28=スケールの大きい海洋(&海底)SF(&活劇)。冒頭から引き込まれ、ぶあつい3巻本が苦にならない。クジラや海洋資源の知識一杯!
29=近未来のタイを舞台に、エネルギー問題や種子の管理等をめぐる国や穀物メジャーの争闘に、日本製の女性アンドロイドも奮闘。
30=90年代の代表的社会派ミステリーその2。グリコ・森永事件に題材を取り、日本の政官財の癒着と、それに立ち向かう男たちを描く。
31=どれも鳥に関係する6つの短編の連作。物語も文章も端正で美しい。
32=ヘンな精神科の医者と患者たちの笑っちゃう話の数々は現代社会の縮図。ドタバタ群像劇の「最悪」や「邪魔」も一気読み必至!
33=「アラビアンナイト」風?物語の妙味。ちょっとRPG風。戦中~戦後を軍用犬をメインに描いた「ベルカ、吠えないのか?」もお薦め。
34=青雲の志を抱けた明治前半とは違って、<時代閉塞の現状>を<煩悶>しながら生きる 明治末の知識青年群像を漫画5部作で描く。
21スタンウッドエヴァ・ライカーの記憶創元文庫

22
ウォーターズ荊の城創元文庫

23
ラーソンミレニアム早川文庫
24オールディス地球の長い午後早川文庫
25シモンズハイペリオン早川文庫

26
イーガン宇宙消失創元文庫
27レズニックキリンヤガ早川文庫
28シェッツィング深海のYrr(イール)創元文庫
29バチガルピねじまき少女早川文庫
30高村薫レディ・ジョーカー新潮文庫
31稲見一良ダック・コール早川文庫
32奥田英朗イン・ザ・プール文春文庫

33
古川日出男アラビアの夜の種族角川文庫
34関川夏央
谷口ジロー
『坊っちゃん』の時代双葉文庫


 実は前回のリストに後からこっそり足立巻一「やちまた」を追加しておきました。高校生にはちょっと、いやそれ以上に手強い作品ですが・・・。1月6日の「東京新聞(夕刊)」掲載の<名著の衝撃>で呉智英が「人生誤らせる悪魔の書」という見出しで絶賛していたから、・・・というわけではないのですが、90年代に読んだ質・量ともに圧倒的な5つばかりの作品中の1つです。

 今回のエンタメ系では日本のミステリーがほとんどなし。今世紀に入ってからあまり読んでないし・・・。この数ヵ月、話題になった本(横山秀夫、貫井徳郎等)をいくつか読んだのですが、どうも小手先のワザを弄している感じで、私ヌルボの好みではありません。

 この<高校生にすすめる本360冊>シリーズ、いよいよあと1回を残すのみです。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [18]

2013-12-20 19:23:14 | 高校生にすすめる本360冊
前回で1998年版の<高校生にすすめる本360冊>は終えましたが、予告通り補遺及び1999~現在までの推薦書リスト(予定では全50冊)を今後3回に分けてアップします。

 今回は、文学・ノンフィクション・教養書関係(つまりはエンタメ系以外)の文庫及び新書17冊です。
 これまでは、品切れ・絶版等の状況は1998年当時のものをそのまま載せましたが、今回以降は現時点での状況です。

          《高校生にすすめる本360冊・追加》 
 1998年の時点ですでに高校生諸君どころか30代くらいの人たちともかなりの<世代の壁>ができていることに気づいていました。それで、1960年代に高校時代を送った世代のひとつの歴史資料のような意味くらいはあるだろうと思いつつこのブログ記事としてアップしたわけです。
 そして今回の増補版。もうほとんど高校生向けというより、単に自分が読んでおもしろかったものを並べただけじゃないか、と言われるかも。それに対しては、・・・うーむ、反論のしようがないゾ・・・
 ☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
     [文庫・新書]  
1カズオ・イシグロわたしを離さないで早川文庫1=この設定は何だ!? 予備知識なく読み始めたら何ページ目で気がつくだろうか? 何と哀しく、深い小説であることか。
2=ただ職務に忠実だった彼女。その職務がユダヤ人収容所の看守。「あなたならどうしましたか?」。ラスト近くの<衝撃>の意味は深い。
3=ダイナミックに変貌する現実を活写したこんなにオモシロイ純文学(?)が中国にある! 女子トイレののぞきがばれてとっちめられた少年はその後・・・。
4=韓国の大ベストセラー。世界各国でも好評。田舎から出てきた老母がソウルの地下鉄で行方不明に。初めて気づく母の存在の大きさ。
5=漱石最後の、というか未完のままで終わった作品。やっぱり漱石は大人の文学だ。私も40歳前に読んでたら投げ出したかも・・・・
6=大正時代に、こんな翔んでる女性がいたとは! そして、彼女を描いた翔んでる作家有島は、その後自殺(心中)してしまった・・・・。
7=ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん。この虚無的な暗さは中也自身のものであると同時に、昭和前期の時代の暗さをも象徴している。
8=死刑について語っている部分をぜひ読んで下さい。死刑賛成という人、いろんなことに想像力をめぐらせてほしい。
9=すごい読書家にして文芸批評家の、痛快な文章論。「趣味は読書。」(ちくま)中の上記の「朗読者」についての評は笑ってしまう。
10=同時通訳に関わるユーモアとウィットにあふれる話の数々。外国人に理解不可能なジョークは「とにかく笑ってください」と頼むとか。
11=暗い時代の新興俳句の担い手たち。「戦争が廊下の奥に立つてゐた」(渡辺白泉.1939)という俳句を初めて見た時にはただ驚愕。
12=副題は「戦火を見つめた俳人たち」。一少女として戦争を体験した著者が、俳人たちが戦争といかに向き合ったかをつぶさに検証する。
13=漫画が好きだった明るい青年竹内浩三はフィリピンで戦死し、遺骨も還らず。彼が書き遺した「骨のうたふ」という詩をぜひ読んで!
14=本居春庭は29歳の時眼病を発症。父の宣長の尽力にもかかわらず結局3年後に失明。しかしその後も国語学の研究を続け、とくに「詞のやちまた」は今も高校で学ぶ用言の活用表の原点ともいうべきもの。そんな彼の伝記を作者自身の青春時代を重ね合せて描く。
15=専門の分子生物学関係の内容も興味深いが、文章の巧みさに魅かれる。理系ということと、文才の有無は関係ナシという好例。
16=「標準語」は自然にできたものではなく、近代国家の成立・成長の過程で作られたもの。そこにはさまざまなせめぎ合いがあった・・・。
17=昔の人が漢文を読む時用いた「角筆」という方法がある。(各自調べて。) そんな細部から漢字圏の広がりと歴史を巨視的に見通す。
18=1998年29歳の若さでネフローゼのため夭折した棋士(将棋のプロ)村山聖(さとし)。森信雄六段との師弟愛にはただ涙・・・。
19=料理家辰巳芳子さんのお母さん。四季折々の食材や料理法等々について随筆風に書いた和風家庭料理の本。「昭和」の香りが漂う。
2シュリンク朗読者新潮文庫
3余華兄弟文春文庫
4申京淑母をお願い集英社文庫
5夏目漱石明暗新潮文庫
6有島武郎或る女新潮文庫
7中原中也中原中也詩集新潮文庫
8辺見庸眼の探索角川文庫
9斎藤美奈子文章読本さん江ちくま文庫
10米原万里不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か新潮文庫
×
11

富沢赤黄男 高屋窓秋 渡辺白泉集朝日文庫
12宇多喜代子ひとたばの手紙から角川文庫
13稲泉連ぼくもいくさに征くのだけれど中公文庫
14足立巻一やちまた朝日文庫
15福岡伸一生物と無生物のあいだ講談社現代新書
16イ・ヨンスク「国語」という思想岩波現代文庫
17金文京漢文と東アジア岩波新書
18大崎善生聖の青春講談社文庫
19辰巳浜子料理歳時記中公文庫


 日本の純文学作品が全然入っていません。
 このところ韓国語の本を読むことが多くなってくるにつれ日本の本の読書量が減ってきたということもありますが、どうも90年代以降は小説に描かれる世界が狭くなり、また作家の想像力も広がりが感じられなくなってきてるようです。阿部和重の「シンセミア」等は考えないでもなかったんですけどね。
 あ、中上健次は入れるべきだったか。私ヌルボが常としている風呂場読書、「鳳仙花」(新潮文庫)のせいで何日も長湯が続いたしなー。
 あっ、それから気になっていた辻原登「韃靼の馬」も未読のまま。早く文庫にならないかな。・・・って、辻原登の本、全然読んでないぞ・・・。

 「中原中也詩集」がなぜ先の「360冊」のリストに入れなかったのかは自分でもわかりません。1970年前後だったか、TBSラジオの夜の番組で大橋巨泉が中也の詩をいくつも音読して紹介していたのを覚えています。

 10~12は戦時下の詩歌関係。いずれこれらについても別枠で詳述していきたいと思ってはいるのですが、いつになることか・・・。

 おもしろい将棋本はいろいろありますが、ルールからしてご存知ない方には全然チンプンカンプンなので「聖の青春」にしました。
 <高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補)[3]>で大内延介「決断するとき」を紹介しましたが、そこで彼(大内)が将棋の魅力にめざめたという(有名な)詰将棋の図を載せるのを忘れていたので、遅ればせながら入れておきます。

       
 ※すぐわからない方。ヒントは(  )手詰です。←範囲指定すると現れます。
 ※それでもわからないという方。第2ヒントは(初手は5二馬)です。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [17]

2013-11-30 23:44:55 | 高校生にすすめる本360冊
今回で一応360冊は最後です。
 全29冊中14冊と一番多いのが絵本。前回のコメントでソウル一市民さんが推測された通りです。そして漫画が13冊、その他が2冊です。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
 
332
谷川俊太郎
瀬川康男:絵
ことばあそびうた福音館書店332~345=大人でも楽しめる絵本は山ほどある。これらはほんの一例。
332は声に出して読んでみて。「かっぱかっぱらった かっぱらっぱかっぱらった とってちってた」。
333も音読用。絵もも楽しい。
334、フーム、愛だなあ。
335、彼女の描く動物はどれも可愛く楽しい。個性的でキレイな絵本。
336はみんな笑っちゃいます。立ち読み用。(本屋さんゴメン。)
337には「おもしろい」「感動的」等の並みの形容詞を超える衝撃を受けたる
338はちょっとブラックなユーモアが漂う。
339は絵もお話も不思議な雰囲気に包まれた絵本。この作家は村上春樹も推奨。彼自身の訳本もある。
340のクマは冬眠から目覚めると地上は工場。クマだと言っても認められず労働者にされてしまう。ムムッ、identityの問題だな?
341はシュールな絵の美しさ!
342は台所の机の下に<家出>しちゃったアナグマの女の子フランシス。暖かい両親の愛。とってもキャワユイッ!
343は北海道の草原に立つ1本の樹の写真集。説明は全然なくても、四季それぞれの樹の表情が伝わってくる。
344は<歴史を旅する絵本>というシリーズの絵本だが、絵がすばらしい。(内容の方も、斬新な歴史のテキスト。)
345は中公新書のベストセラー。この「月刊たくさんのふしぎ」シリーズはどれも魅力的。
346~358=漫画も数多くあるが、ここではおもしろさだけでなく”深さ”を基準に選んだ。
346は少年期のさまざまな葛藤を清潔なタッチで描いた少年漫画史に残る二昔前の傑作。
347はまじめで心暖まる女子大生たちの話。
348、サッコ・ヴァンゼッティ事件(1920年代アメリカの冤罪事件)という権力犯罪をとりあげる。
349は学園モノだが空想的ではない点がいい。
350、お父さんお母さんが読んだらきっと懐かしがる。
351は軟弱な若者を叱咤する鋭い問題提起がある。
352は戦中~戦争直後の庶民のたくましさ。
353は気骨ある明治のスケベ人間の魅力。近代史の勉強にもなる。
354は柏原兵三の「長い道」(中公)が原作で、映画化もされた。(主題歌井上陽水。) 疎開先での少年集団の政治力学が興味深い。自伝の「まんが道」(中央公論社)もお薦め。
355で、多数の住民が犠牲となった沖縄戦の真実をぜひ知ってほしい。
356は風疹の母から生まれた沖縄の聾唖少年たちが多くの障害を乗り越え野球に情熱を注ぐ。健常者に強い認識を促す本。
357は成田空港建設をめぐる三里塚闘争の軌跡をたどる。国家権力のあり方を考えてほしい。
358は小学生向きとはいえ史実に正確で、高校生にも薦めたい。
359=日本人の海外旅行者の多くが携行。(恥ずかしいくらい。)
360=不明な言葉、漢字はすぐ調べる。人名辞典、百科事典としても重宝。「現代用語の基礎知識」(自由国民社)の類も便利。
333五味太郎さる・るるる絵本館
334佐野洋子百万回生きたねこ講談社
335木村泰子おばけやしきのなぞ講談社
336矢玉太郎はれときどきぶた岩崎書店

337
ゴッデンねずみ女房福音館書店
338ウンゲラーかめのスープはおいしいぞほるぷ出版
339オールスバーグ魔術師ガザージ氏の庭でほるぷ出版
340シュタイナー
ミュラー:絵
ぼくはくまのままでいたかったのにほるぷ出版
341シュレーダー
ニクル:絵
わにくん偕成社
342ホーバンフランシスのいえで好学社
343姉崎春馬はるにれほるぷ出版
344網野善彦
司修:絵
河原にできた中世の町岩波書店
×
345
本川達雄
あべ弘士:絵
絵とき ゾウの時間とネズミの時間福音館書店
☆×
346
真崎守ジロが行く朝日ソノラマ
☆×
347
樹村みのり菜の花畑のむこうとこちらブロンズ社
×
348
樹村みのりあざみの花潮出版社
×
349
松本潤すみれの花咲く頃講談社
350西岸良平夕焼けの詩小学館
351石坂啓安穏族集英社
×
352
長谷川町子サザエさんうちあけ話姉妹社
×
353
パロン吉元柔侠伝中央公論社
354藤子不二雄少年時代中央公論社
355新里堅進水筒 ひめゆり学徒隊戦記新潮社
356山本おさむ遥かなる甲子園双葉社
357尾瀬あきらぼくの村の話講談社
358
学習まんが 少年少女日本の歴史小学館
359
地球の歩き方シリーズダイヤモンド社
360
広辞苑岩波書店
  おもしろい本をさがすには? 
①ベストセラーにとびつかない。
 ②国語教科書や文学史のテキストにある作品以外におもしろい本がた~くさんある。
③子供向き、女性(男性)向き、理科系等々でサベツせず、書店・図書館のすべての棚に目を通するとくに読みやすい子供向きの本は新しい知識の突破口になる。
④新聞等の書評はむずかしい本がほとんどだが、一応参考にする。(まだ週刊誌の書評の方が当たりが多い。)
⑤買った本、図書館で借りた本は全部読む必要も義務もない。つまらなかったり、難しかったら無理して読むことはない。・・・という前提で買いまくり、借りまくる。
⑥おもしろかった本は後書き・解説をよんでおもしろそうな関係書のアタリをつける。
 ⑦「何を読んでもつまらない」という人は、それはその人自身が<つまらない人>だということ。この場合はどうすればいいのかねー。

 絵本はほぼ定番の作品が並んでいます。子供の頃読む機会のなかった皆さん、だまされたと思ってちょっと立ち読みでもいいですから見てみてください。
 私ヌルボ自身、ここにリストアップした本(とくに絵本)の多くは90年代に藤沢市立図書館で読んだものです。

 視覚的にすばらしい内外の絵本の画像を1つずつ紹介しておきます。

         
   【344「河原にできた中世の町」。作家でもある司修の絵に魅了されました。】

         
    【341「わにくん」。幻想的なタッチで描かれたちょっとオシャレなわにくん。】

 漫画は、その後も大量に出ていて、この10年はほとんど追いきれていません。
 西岸良平「夕焼けの詩」は、その後映画「ALWAYS三丁目の夕日」が公開されて注目されましたが、名作でもそのままほとんど忘れ去られていった作品がたくさんあります。過去のヒット作でも、はたして若い世代がどれだけ知っているのか? 
 すでに90年代に、山岸涼子「日出処の天子」(1980~84)を知らない漫画ファン(高校生)はいたからなー・・・。

 また、「地球の歩き方」もその後編集方針が変わってきました。10年ちょっとの間にも、時代はかなり変わってきていることを感じます。

 さて、このシリーズですが、今回が最後ではなく、続編として補遺及び1999~現在までの推薦書リストを3回くらいに分けて載せることにします。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [16]

2013-11-23 22:03:00 | 高校生にすすめる本360冊
今回の18冊も内容は雑多です。
 その後文庫化されたものもあれば、大型書店の棚にもない本も・・・。15年経てば当然ではありますが。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
314
昭和萬葉集第六巻講談社314=戦時中の短歌。前線の生死の境で詠まれた無名兵士の作品には言葉を失う。一方、<内地>の有名歌人の作品のなさけなさ。高崎隆治「無名戦士の詩集」(太平出版社)等も心をうつ。
315=どうみても罪のない人が今も死刑囚として牢獄にいる! 江川紹子「六人目の犠牲者 名張毒ブドウ酒殺人事件」(文藝春秋)も同様。
316=大森貝塚の発見者モースは失われゆく日本の風俗を細部にわたり記録し、大量の文物を今に遺してくれた。わが先人の文化に感心するとともに、懐かしい気持ちに充たされる。
317=戦争の時代を反省し、「過去に眼を閉ざす者は未来にも盲目となる」とドイツ大統領は述べる。それにひきかえ、過去を覆い隠そうとする某国の政治屋たちのなさけないこと・・・・。
318=話題の推理・歴史・哲学小説。汲めども尽きない深さ。世界史と倫理(とくにスコラ哲学)の事前勉強が必要かも。
319=舞台美術化が戦争中の自らの子供時代の生活と感覚を鮮明に綴る。当時の世相・社会を知るのに好適。
320~322=健全(!)な女子高生を主人公にした青春小説。
320は高知が舞台。今でもこんなかな?
321は松山の高校。女子ボート部を復活させて奮闘する、作者自身の高校時代を下敷きにした健康的小説。とくに部活少女にお薦め。
322は体育祭の後、女子高生が眠り込んで目覚めたら女子高生の娘をもつ高校教師になっていたというタイムトラベル物のSF。諸君はお母さんの青春時代を知っていますか?
323=浩子サン、歌はけっこう聴いていたけど、書く物は少女趣味的で敬遠していました。でもこのファンタジー(ミステリーでもある)は良いっ!! 意表を突く発想の連続、結末も意外。長野まゆみの作品(「少年アリス」等)も共通する点が多い。
324=ハンセン病者につい「お元気ですか」と声をかけ、ハッとしたら、すぐ「はい、元気ですよ」と声が返ってきたという。さまざまに極限的な状況に対する、詩人の透徹した洞察の深さ。
325=1919年三一独立運動で囚われ獄死した<韓国のジャンヌ・ダルク>柳寛順(ユ・グァンスン)を焦点に日本の植民地統治を検証する。
326=第2次世界大戦で被害者や加害者となった特定の<個>の行為や心理を告発する詩集。H氏賞詩人の作者は社会科の先生。「無名戦没者たちの声」(岩波ブックレット)も読んで。
327=彼の詩は平易な表現に深い感情が込められている。これも<子供向き>の体裁だが、内容的には<大人向き>だと思う。
328=ふうん、こんな散文詩もあるのか。たとえばコップ、たとえば自宅への道順、たとえばオブツの緻密な描写・・・・。
329=「なんとなく塀の向こうのアパートの ベランダに向くわが眼(まなこ)かな」。獄窓からかいま見える日常。彼は死刑囚。
330=61歳の時ダム建設で村が水没する話が出たのを契機に、ピッカリコニカを手に猛然と村の写真を撮り始めたおばあさん。短い説明文にも人間性がうかがわれる。
331=幼い時から伊那の山村で鳥や獣とともに育った著者が曲折を経て動物カメラマンになるまで。プロはすごいよ!
315山本徹美袴田事件悠思社

316

モースが見た日本小学館
317ヴァイツゼッカー荒野の四十年岩波ブックレット
318エーコ薔薇の名前東京創元社
319妹尾河童少年H講談社
320氷室冴子海がきこえる徳間書店
321敷村良子がんばっていきまっしょいマガジンハウス
322北村薫スキップ新潮社
323谷川浩子悲しみの時計少女サンリオ
×
324
石原吉郎海を流れる河花神社
325早乙女勝元柳寛順の青い空草の根出版会
326石川逸子千鳥ヶ淵へ行きましたか花神社

327
谷川俊太郎みみをすます福音館書店
328谷川俊太郎定義思潮社
329坂口弘坂口弘歌稿朝日新聞社
330増山たづ子徳山村写真全記録影書房
331宮崎学動物カメラマンどうぶつ社


 今回は、雑多なりになかなかいい選択をしたじゃないか、と自画自讃(笑!)。
 しかし323や331等はあらかた忘れてしまいました。

 「がんばっていきまっしょい」は映画も良かったです。「少年H」は観てませんが・・・。

 15年経っても、袴田事件も名張毒ぶどう酒事件も再審の壁は依然として厚い。(袴田事件は来春?)  袴田事件なんか、素人目にも無実は明らかなのに・・・。ひどいもんだ!(怒)

 次は一応ラストの29冊を一挙にアップ。文庫や新書にはないジャンルで10冊以上、ってどういうジャンルかわかりますか?
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [15]

2013-11-17 18:01:33 | 高校生にすすめる本360冊
今回から単行本。3回に分けてアップします。今見直してみたら並べ方がいいかげんで、全71冊のうち最初の方の42冊は内外の文学、伝記、ノンフィクション等々ジャンルがかなりいいかげんに混じりあっていることに気づきました。

 ☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
     [単行本]  

290
エンデ果てしない物語岩波書店290・291=非常に読みごたえのあるファンタジー。なぜ書店では児童書の棚にしか置いてないのか? 290は装丁も凝っている。高いのだけが(大きな)難点。(2800円!)
292=砲弾の直撃を受けて左右半々になった騎士が一人の女性をめぐって決闘するという荒唐無稽さが楽しい。この「文学のおくりもの」というシリーズには、「たんぽぽのお酒」(ブラッドベリ)などヤング・アダルト向き名作が多い。
293=これぞ泣きます、泣かせます! なぜ早く文庫にしないのだろう? とにかくリクツ抜き、絶対おすすめ。読んでネッ!!
294=アフリカの神話的・呪術的世界。さまざまな魔物が潜む森。不思議な出来事が次々に展開されてゆく。
295=ノアの方舟等々さまざまな物語の宝庫。できれば文語訳で読んでほしい。(美しい日本語の典型。)
296=戦中のハンガリーを生き抜く双子の少年の衝撃的な物語を特異な文体で綴る。続巻・続々巻での意外な展開は驚き。
以下は308まで少年少女向きの売場にある本。
297=日中戦争下の中国を日本人少女の目から描いた、非常に感動的、かつ考えさせられる作品。
298=カリブ海の島国ハイチの独立をめざす闘い。中央志向・欧米志向・メジャー志向では、致命的な見落としがある。
299=「偉大なる道」(岩波)で知られるアメリカの女性作家スメドレーの伝記。翻訳の石垣さんも昭和初期若くして渡米した先進的女性。自伝に「わが愛、わがアメリカ」(ちくま)がある。
300=暴君として有名なネロの実像。彼も弱さをもった人間だった。
301=明治の思想家中江兆民を通して、人の権利や、国家権力との関わりなどについて考える。
302=ハンガリーの作曲家バルトークのピアノ曲や弦楽四重奏曲に十代の私は大大大衝撃を受けた。ナチスの手を逃れて亡命したアメリカで不遇のうちに病死とか。絶句!
303=前野良沢、杉田玄白等、蘭学者たちの労苦や権力の弾圧等を描いたこの本は本来の学問のあり方を追求し、感銘をよぶ。「初めて学問の意味を知った」とはある生徒の感想。
304=第一次世界大戦の捕虜として徳島に収容されたドイツ人たちと地元民の心温まる交流。読んだ人は皆泣いた。乞再刊!
305・306=民間考古学者の情熱に満ちた青春。この<ちくま少年図書館>というシリーズはどれもヒューマンな魅力に溢れる。
307=民間考古学者の元祖(?)、トロイの発掘で知られるシュリーマンの伝記。彼は6週間で新しい言語を習得し、計十余ヵ国語をマスター。方法は読めばわかるが、私には到底無理。
308・309=な、ぜ、か、社会科教科書にない部落差別の実態に愕然とする、と同時に、さまざまな意識の半生を迫られる。309は、被差別部落や在日朝鮮人が多く居住する地域の町医者の家に生まれた役者が体験をもとに差別を論じる。
310=韓国にも昔から<白丁>とよばれる被差別民がいた。原題を基点にした4代にわたるその一族の物語。
311=“加害者”自身が気づかない差別・迫害は学校にもある。“反抗的”で、孤立していた友の死をめぐり悩み、考える少年。
312=308等と相通じる問題を含む、ユダヤ人差別をテーマにした作品。主人公の設定等279(「あの頃はフリードリヒがいた」)と共通する点も多いが、これは19世紀、殺人の疑いをかけられたユダヤ人一家の物語。
313=両親は離婚。で、少年は作家ヘンショーさんに手紙を出す。深刻な問題だがユーモアと余裕が感じられほほえましい。

291
ル・グインゲド戦記岩波書店

292
カルヴィーノまっぷたつの子爵晶文社

293
キースアルジャーノンに花束を早川書房
294チュツオーラやし酒飲み晶文社
295
聖書日本聖書協会等
296クリストフ悪童日記早川書房

297
赤木由子二つの国の物語理論社
298乙骨淑子八月の太陽を理論社
299石垣綾子愛ある限り偕成社
300河津千代運命の人びとリブリオ出版
301なだいなだTN君の伝記福音館書店
302ひのまどかバルトークリブリオ出版
×
303
加藤文三学問の花ひらいて新日本出版社
☆×
304
棟田博板東捕虜収容所国土社
305藤森栄一心の灯筑摩書房
306楠本政助縄文人の知恵にいどむ筑摩書房
307ヴィーゼ夢を掘りあてた人岩波書店
308小林初枝こんな差別が筑摩書房
309山城新伍現代・河原乞食考解放出版社
310鄭東柱神の杖解放出版社
311コルシュノウ誰が君を殺したのか岩波書店
312フェーアマン隣の家の出来事岩波書店
313クリアリーヘンショーさんへの手紙あかね書房


 「アルジャーノンに花束を」はその後まもなく文庫本になりましたね。 その一方で、とても良い本なのに絶版になってしまった本もたくさんあるのは残念。

 最近アマゾンのサイトを見てみたら、<オールタイムベスト小説100>というのがリストアップされたました。(→コチラ。)

 この<高校生にすすめる本360冊>にも含まれているのが13作品。比較的に新しいものが多いので、まあこんなものかな?
 その小説100の中で、ヌルボが読んだものはちょうど半分くらい。まあそんなものかな?
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [14]

2013-11-07 20:11:47 | 高校生にすすめる本360冊
今回で[文庫・新書]は最後。
 どんなジャンルが残っていたか見当はつきますか?
 子供向きの本と漫画です。
 オマケでその他が1冊ついています。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
267斉藤隆介ベロ出しチョンマフォア文庫
角川文庫
267~272=高校生以上にもすすめたい<子供向き本>。
267は、民話のもつ素朴な力強さに満ちている。「麦は、ひばりが天から射込んだ矢なんだよ」等の比喩もすばらしい。
268は戦争の時代をファンタジーを通じて、しかもリアリティを込めて描く。小人の本では、「床下の小人たち」(ノートン.岩波少年)や「だれも知らない小さな国」(佐藤さとる.講談社)も評価が高い。空想物語の超大作「指輪物語」(トールキン.評論社文庫)はいつか読み通せるかなあ。たいした想像力だ。
269は「弱者=正義とは限らない」との批判ももっともだが、文句なく“熱い本”だ。
270、ついに子供向き不条理小説が書かれる時代になったか。おもしろいけど怖い短編小説集。
271は織豊時代ローマに赴いた少年たちの物語。大人向けの歴史の本より具体的かつ感動的。
272も同様。大仏造りの実際がよくわかる。
273~279=海外の少年文学。
273は、前時代的大時代的予定調和的紙芝居的、手に汗を握り時に涙しつつも最後は幸せをともにできる、噫!昔は<現実>をカンバスに夢を描けたのだ。今の夢は<非現実>にしかないのか?
274はスウェーデンの国民的物語。ビョルンソン(ノルウェー)の作品も復刊を望む。
275は美しく憂いに満ちたSF的作品。
276は誰でも知ってる。絵がいいね。
277は少年少女たちの休暇中の心躍る冒険。“休暇物語”の傑作にはヴェルヌ「ニ年間の休暇(十五少年漂流記)」(新潮等)、ゴールディング「蠅の王」(新潮)がある。設定はともに極限状況だが、結末は正反対。
278は「あなたに似た人」(早川)等の大人向き面白本の作者が書いた<奇妙な味>の児童書。
279はナチス台頭の時代をユダヤ人の友人をもつ少年の立場から描く。(309も参照) その他、果敢にもビラでナチスを批判し、ギロチン刑に処せられた<白バラ>のショル兄妹を描いた「白バラは散らず」(白水社)・「白バラが紅く散るとき」(講談社文庫. 絶版)も痛切な記録。
なお、岩波少年文庫、偕成社文庫、フォア文庫、てのり文庫等の<子供向き文庫>は、大人も恥ずかしがらず読むべし。
280~288=漫画の数々。
280は「ゲゲゲの鬼太郎」の作者による史実に忠実な、かつドラマチックな漫画。同作者の「劇画近藤勇」(ちくま)も同様のおもしろさ。
手塚治虫は、私個人としては「僕の孫悟空」や「アリと巨人」が強く印象に残っているが、代表作はやっぱり281かな? とくに「鳳凰編」がいい。
羅貫中の「三国志演義」は子供向きの名作全集で最初に読んだ。吉川英治の小説も有名だが、ヒマのない人は282を。
283は主人公の少年たちの純朴にしてスケベな人間性が魅力的。
284は非常にユニークな画風と発想のファンタジー。
285・286は少女漫画の名作。他にも水野英子・岡田史子・山岸涼子等々往年のいろんな漫画が脳裏に浮かぶ。川原泉の漫画などもホントにおもしろいなあ。ウーム、心に残る漫画を挙げるときりがないぞ。
287は悩みつつ成長する平均的(?)学生像。
288が流行ったため獣医学科の希望者が増加したようだ。(次は看護婦か?) 健全な理科系大学生の実態もよく描かれていると大学の先生も言っていた。それにしても近頃どんどん文庫化しているなあ。
289=次に読む本のアタリをつける、文学史の勉強になる、読んだふりができる等々何かと便利。書店でタダでもらえのがウレシイ! (岩波の「図書」や新潮の「波」とかもタダ。カウンターに置いてあるタダのものは一応もらっておこう。)
268いぬいとみこ木かげの家の小人たち角川文庫
269灰谷健次郎兎の眼フォア文庫
角川文庫
270三田村信之お父さんがいっぱいフォア文庫
271松田翠鳳天正の少年使節偕成社文庫
272神戸淳吉大仏建立物語てのり文庫

273
マロー家なき子偕成社文庫
274ラーゲルレーヴニルスのふしぎな旅偕成社文庫

275
ピアストムは真夜中の庭で岩波少年文庫
276サン・テグジュペリ星の王子さま岩波少年文庫

277
ランサムツバメ号とアマゾン号岩波少年文庫
278ダールチョコレート工場の秘密てのり文庫
279リヒターあのころはフリードリヒがいた岩波少年文庫
280水木しげる劇画ヒットラーちくま文庫
281手塚治虫火の鳥角川文庫
282横山光輝三国志潮漫画文庫
283長谷川法世博多っ子純情双葉文庫
284ますむらひろしアタゴオルスコラ漫画文庫
285萩尾望都ポーの一族小学館文庫
286大島弓子綿の国星白泉社文庫
287柴門ふみP.S元気です俊平講談社漫画文庫
288佐々木倫子動物のお医者さん白泉社文庫
289
各文庫・新書解説目録


 子供向きの本はほぼ定番の作品が並んでいます。
 子供の頃読む機会のなかった皆さん、だまされたと思ってちょっと立ち読みでもいいですから読んでみてください。
 私ヌルボ自身、ここにリストアップした本(とくに絵本)の多くは90年代に藤沢市立図書館で読んだものです。

 70年代頃まで(?)は各文庫の解説目録は1作品あたり小さな字でたしか5行くらい(?)も説明文があったのに、その後字が大きくなって行数も減り、魅力がなくなってしまいました。品ぞろえも古典名作は棚から消えたものが多く、寂しくなるばかりです。

  続きは[単行本]71作品です。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [13]

2013-10-31 19:42:24 | 高校生にすすめる本360冊
今回は内外のミステリーとホラーを中心とした29冊です。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
238ドイルバスカヴィル家の犬新潮文庫238~257=推理。
238・239は古典的名作。238は子供の頃読んで、怖くて夜トイレに行けなかった。もちろんホームズ物では短編集にも傑作がたくさん。「まだらの紐」なんかもゾォーッとしたなあ。
239は密室もの。
240・241は諸ベストテンで常にトップにあげられる本格物の最高傑作。
240は心底ゾクッとする恐さ、すごさ!
241は同じ趣向の「悪魔の子守唄」(横溝正史.角川)がある。
242はサスペンスの最高峰。手に汗を握る。
243も古典の大家の代表作。<推理>と<怪奇>の接点。なお、<推理>と<SF>の接点にはアシモフ「鋼鉄都市」(早川)がある。
244もスゴイ!としかいいようがない。これでは紹介にならないがしょうがない。
245はユニークな歴史推理。
246は競馬シリーズの代表作。作者は元騎手で当然詳しい。
247、こんな<人質>作戦、こんな身代金の回収法があったか。アイディアの妙!
248は、40数年にわたって起きた殺人事件をめぐる大河警察小説。
249、教養豊かな年配紳士たちが食事をしながら交わす洒落た会話だけで進行する推理アンソロジー。展開やトリックがやたら派手な昨今、かえって新鮮味を感じさせる。
250はペダンチック(衒学的)な異色の大作。
251も同様。凝りに凝っていて、誰が殺されたのかもよくわからないほど。
252は“おどろおどろし”く“まがまがしい”、横溝正史の代表作。往年の名作はクライなあ。現代は赤川次郎等どうしようもなく明るく軽いのに・・・・。
253、その点社会派推理は(当然だが)リアリティが感じられる。「砂の器」等々、清張はどれも読みごたえがある。
254は謎の浮世絵師写楽の正体を探る。説得力もあるし推理としても興奮する。
255の作者は奇術の達人。この作品も道具立てにトリックに、まさに奇術そのもの。
256、こういうほのぼのと温かいミステリーもあるんだなあ。健康的かつ知的な女子大生主人公にも好感がもてる。
257は「レディ・ジョーカー」(毎日新聞社)の高村薫と並ぶ社会派推理作家がカード社会のもたらす悲劇をテーマにした迫真の大作。
258~263=怪奇幻想小説の古典るラヴクラフト(創元)等々今は恐い物ブーム。とくにキングに代表される<ニュー・ホラー>は大量に出回っている。たしかに息をもつがせず読ませるが、展開が<派手>すぎるような気がする。クーンツ「ファントム」(早川)などその典型だが、夢中になる人は多いだろう。その点ここにあげたものは怖さ以外に重要な<+α>がある。
258は有名。文句なしの傑作。
259は「黒猫」「黄金虫」等々の傑作短編の数々。
260中の「アウル・クリーク橋の一事件」は息をのむほどの衝撃の結末。
261はジェイコブズ「猿の手」等の短編名作の集成。
日本では262、名前はポーの真似だが、中身は独特の隠微な魅力に満ちている。乱歩といえば僕も少年時代、明智小五郎や少年探偵団に夢中になったなあ。(だが、なぜ怪人二十面相はあんなに高笑いをするのだろう? 「ワッハッハッハ、明智君、まただまされたね!」)
263は最近の代表的ホラーとして話題になり、映画化された。
264=痛快無比! 19世紀のイギリス。読者は列車強盗の成功を祈りつつ読んでいる自分に気がつく。クライトンはあの「ジュラシック・パーク」の作者でもある。
265・266=極限状況の人間。
265はアンデス山中に不時着した飛行機の、上にさらされた乗客たち。すると<聖餐>(聖なる食べ物)とは何のことか、わかりま、す、ね? 新潮文庫にも同内容の「生存者」(リード)がある。最近「生きてこそ」のタイトルで映画化。
266は江戸時代の鳥島への漂流者の物語。野上弥生子「海神丸」(岩波)も漂流を描いた名作。春名徹「世界を見てしまった男たち」(ちくま)は、江戸時代の漂流者の辛苦や異郷体験の史実を探る。感銘深いエピソードが多い。
239ルルー黄色い部屋の秘密創元推理文庫

240
クイーンYの悲劇早川文庫
241クリスティそして誰もいなくなった早川文庫

242
アイリッシュ幻の女早川文庫
243カー火刑法廷早川文庫

244
レヴィン死の接吻早川文庫
245テイ時の娘早川文庫
246フランシス興奮早川文庫
247ジェサップ摩天楼の身代金文春文庫
248ウッズ警察署長早川文庫
249アシモフ黒後家蜘蛛の会創元推理文庫
250中井英夫虚無への供物講談社文庫
×
251
竹本健治匣(はこ)の中の失楽講談社文庫
252横溝正史獄門島角川文庫
253松本清張点と線新潮文庫
254高橋克彦写楽殺人事件講談社文庫
255泡坂妻夫11枚のとらんぷ創元推理文庫
256北村薫空飛ぶ馬創元推理文庫

257
宮部みゆき火車新潮文庫
258ストーカー吸血鬼ドラキュラ創元推理文庫
259ポー黒猫・黄金虫新潮文庫
260ビアスいのちの半ばに岩波文庫
261
怪奇小説傑作選創元推理文庫
262江戸川乱歩江戸川乱歩傑作選新潮文庫
263鈴木光司リング角川ホラー文庫
264クライトン大列車強盗早川文庫
×
265
ブレアアンデスの聖餐早川文庫
266吉村昭漂流新潮文庫


 前回に続いて「定番」の作品が並んでいます。

 これ以外にも何かあったような・・・。あら、スタンウッド「エヴァ・ライカーの記憶」(創元推理文庫)が入ってない! 改定版出した時に落としてしまったのかな?
 稲見一良「ダック・コール」(早川文庫)が入っていない理由もわからず。

 この数年話題の日本のミステリーをほとんど読んでいないのに気づきました。今年中に主だったものを風呂場で読むことにします。

 10月26日「毎日新聞」掲載の第67回読書世論調査によると、風呂場で本を読む人は4%(男性2%・女性5%)いるそうです。女性は20人に1人とは意外に多いなー。ホントかな?
 なお、トイレで本を読む人は11%(男性15%・女性7%)で、やっぱり多いですね。

 ※リストの下の絵は私ヌルボが図書担当だった時に<図書室の手引き>(リーフレット)に描いたものです。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [12]

2013-10-24 15:16:54 | 高校生にすすめる本360冊
<高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補)>の過去記事は、左の「カテゴリー」の中の<高校生にすすめる本360冊>を開いてみてください。あ、記事の下に手っ取り早いリンクがありますね。

 今回からエンタメ系。
 まずSFと冒険小説計24冊です。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。

214
ブラッドベリ火星年代記早川文庫214~227=SF。
214はfantazyの古典的名作。ブラッドベリは有名になりすぎてチョット残念。他に、優れた短編も多い。
215は、異星人とのファースト・コンタクトを扱った傑作。
215、クラークは「2001年宇宙の旅」の作者。映画が全然理解できなかった人は原作(早川)を読もう。半分くらいはわかる。
216は「SFハンドブック」(早川)選定ベスト1。猫のピートとタイム・トラベル、最後はきっとジワーンとくるヨ。
217はノーベル賞作家イタリアの国民的作家による奇想天外なファンタジー。昔、月は地球に近接していて、人々はハシゴを伝って行き来していたんだとさ。
218と219はハードSFの傑作。
218は、月の裏側で、宇宙服を着た、な、なんと、5万年前の人間の死体が発見されたという突飛な謎から始まる。
219は大きさ、重力、時間等の観念が全然異なる星とのコンタクト。
220は、たとえばアナタを構成する細胞の一つひとつが知的生物だったら、という発想がモト。いやあ、いろいろ考えつくものだなあ・・・・。
221は発想の妙にうなる短編集。
222は洒落たアンソロジー。風呂場で読むのに最高!?
223・224、素敵な音楽をSFで聴こう! 「無伴奏ソナタ」(カード)は短編集。<見えない絵>が最も美しいように、これらの作品からは<聞こえない音楽>の妙なる調べが漂う。
225は“茫々とした”時空をあしゅらおうが駆けめぐる。萩尾望都の漫画でもおなじみ。僕は入試直前に読みふけったため浪人するハメとなった。
226、筒井康隆のわはははは初期のドタバタSFはがひひひひ眼球が回転しアゴが震動し脳味噌が沸騰する。
227はタイム・トラベル物の代表作。216と読み比べて。コチラも泣かせる。旅先は、216は未来だがコチラは過去るあえて言えば僕はコチラが好き。ベストセラー「鉄道員」で有名になった浅田次郎「地下鉄に乗って」(徳間)も過去の日本をかいま見る旅。
228、ジュニアSFはオタク的世界のようで敬遠していたが、こんなおもしろい対策もあるんだなあ。主人公の少女が人間的に成長していくのが至極健全。
SFではウェルズやヴェルヌの個展も一通り読んでおきたい。
229~234=冒険小説。
229・230のヒーローの定位置はコックピット。ハラハラドキドキ、読みだしたらヤメラレナイ!
231の“ジャッカル”はドゴール(知ってるかな?)をねらう殺しのプロ。結果はわかっていても読ませるのはさすが。トンプソン「A-10奪還チーム出動せよ」(新潮)やトーマス「ファイア・フォックス」(早川)もおもしろかった。スパイ物のフリーマントルの作品(新潮)もなかなか。
232は痛快なコン・ゲーム(詐欺小説)。国産では小林信彦「紳士同盟」(新潮)がある。アーチャーの作品はどれも夢中になれる。「ケインとアベル」(新潮)も読んでみて。
233~236は国産の代表。
233は大正末、234は昭和初期の中国が舞台。カッコいいヒーローが<到着?と<脱出>をめざし大活躍。蛇足だが、歴史の勉強にもなる。・・・・蛇足だなあ。
235・236はスペイン現代史の闇の部分に関わる、白熱の冒険小説。
237=異色の、そして感動のスポーツ小説。アメリカ横断マラソンに集まった世界のランナーたち。

215
クラーク幼年期の終わり早川文庫
216ハインライン夏への扉早川文庫

217
カルヴィーノレ・コスミコミケ早川文庫

218
ホーガン星を継ぐもの創元文庫
219フォワード竜の卵早川文庫
220ベアブラッド・ミュージック早川文庫
221シェクリイ人間の手がまだ触れない早川文庫
×
222
各務三郎(編)世界ショートショート傑作選講談社文庫
223カードソングマスター早川文庫
224マキャフリー歌う船創元SF文庫
225光瀬龍百億の昼と千億の夜早川文庫
226筒井康隆東海道戦争中公文庫

227
広瀬正マイナス・ゼロ集英社文庫
228小野不由美月の影 影の海
(十二国シリーズ)
講談社χ文庫

229
ネイハムシャドー81新潮文庫

230
ブロック超音速漂流文春文庫
231フォーサイスジャッカルの日新潮文庫
232アーチャー百万ドルをとり返せ!新潮文庫
233生島治郎黄土の奔流角川文庫
234景山民夫虎口からの脱出新潮文庫
235五木寛之戒厳令の夜新潮文庫
236逢坂剛カディスの赤い星講談社文庫
237マクナブ遥かなるセントラル・パーク文春文庫


 今見てみると、ほとんど「定番」の作品が並んでいますね。※→参考「『SF入門』 オールタイム・オールジャンル・ベスト一覧」

 では、なんでアイザック・アシモフ(「鋼鉄都市」等)、スタニスワフ・レム「ソラリスの陽のもとに」を入れなかったか、というと、私ヌルボ本人もわかりません。
 フィリップ・K・ディックを入れなかったのは、万人向きとはいえないと思ったから、かな?

 今もSFのオールタイム・ベストというのをいろいろ見てみると、数十年前とたいして変わらないものがほとんど。そんな中で、「殿堂入り」作品を除外した<現代SFをまるごと楽しむための100冊>というのもありました。うーむ、これは少ししか読んでないぞ。しかし、これとても1999年のリストか。この10数年、本の情報に疎くなってきてるかも・・・。

※90年代までに刊行された作品でも、このリスト作成後に読んだオススメ本は、2000年以降の作品とともに補遺に入れました。

 次はミステリー&ホラーです。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [11]読書家のためのクロスワード②

2013-10-19 14:55:10 | 高校生にすすめる本360冊
9月4日の記事に続いて2つ目のクロスワードです。
 やっぱり、前回同様「ヒントの文章からして時代を感じさせるものもチラホラ」ですね。

      

  ・・・・ヨコのカギ・・・・
1.ポーの名作。壁に浮かぶのは○○○○の影。
4.鎌倉時代の紀行。東海道を下る。
8.中勘助の作品「銀の○○」。
9.二葉亭四迷の処女作。
11.「坊っちゃん」の作中人物○○は越後の笹飴が大好き。
12.石井桃子の長編童話「○○○○○雲に乗る」。
14.「レ・ミゼラブル」の邦題は「ああ○○○○」。
15.福永武彦の作品。主人公は画家。
17.カンダタがつかまった救いの綱は? (芥川龍之介の作品。)
19.「三四郎」に始まる三部作の最後の作品。
20.萩原葉子の女流文学賞受賞作「○○○○の家」。
21.「源氏物語」の第3巻<空蝉>は何と読む?
23.<楽浪(ささなみ)の 志賀の○○○○ 幸(さき)くあれど 大宮人の船待ちかねつ> ──柿本人麻呂。
24.イプセンの劇「人形の家」の主人公。
26.<東京に空は無い>と言ったのは?
28.「番町皿屋敷」に化けて出るのはお○○さん。
29.何度か映画化された三島由紀夫の作品。
31.親友を裏切って、恋人を得た<先生>。漱石の作品。
32.「曽根崎心中」は、お○○・徳兵衛の心中物語。
  ・・・・タテのカギ・・・・
1.ホイットマンの詩集。
2.「阿Q世伝」「藤野先生」の作者。
3.泉鏡花「○○○聖」は幻想的な物語。
4.大和三山のひとつ○○山。
5.江戸川乱歩の短編。
6.元禄時代の読み物○○○草子。
7.江戸時代後期の戯作者、山東○○○○○。寛政の改革で手鎖50日に処せられる。
10.源実朝の歌集「○○○○和歌集」。
13.遠藤周作の代表作。殉教に対しても神は○○○○したまま。
16.「野菊の墓」の作者、歌人。
17.野間宏の作品。ブリューゲルの絵が素材。
18.<焼け跡・闇市派>といえば○○昭如。
19.伊達騒動に基づいた山本周五郎の「○○○○は残った」。
22.「○○と六ペンス」、○○みれば ちぢにものこそ かなしけれ・・・・。
25.城山三郎の「○○○○燃ゆ」は広田弘毅首相の伝記。
26.「小諸なる古城のほとり」は、「○○○川旅情の歌」。
27.「雪国」のヒロインは、芸者の○○○さん。
29.カフカの小説。
30.「開いている窓」等の皮肉の効いた短編で知られるイギリスの作家。


 «正解» (範囲指定すると現れます。)
【ヨコのカギ】
1= クロネコ 4= カイドウキ 8= サジ 9= ウキグモ 11= キヨ 12= ノンチャン 14= ナナ 14= ムジョウ 15= カイシ 17= クモノイト 19= モン 20= イラクサ 21= ウツセミ 23= カラサキ 24= ノラ 26= チエコ 28= イワ 29= シオサイ 31= ココロ 32= ハツ

【タテのカギ】
1=クサノハ 3=コウヤ 4=カグ 5=イモムシ 6= ウキヨ 7= キョウデン 10= キンカイ 13= チンモク 16= イトウサチオ 17= クライエ 18= ノサカ 19= モミノキ 22= ツキ 25= ラクジツ 26= チクマ 27= コマコ 29= シロ 30= サキ

 5のタテや29のタテのヒントは短すぎて不親切ですね。オリジナルは極力短くしないと紙面スペースに収まらないという事情はあったのですが・・・。
 漱石関係が3問もあります。推薦本のリストより、このクロスワードの方が受験生向きかも・・・。

 32のヨコを見て思い出したのは、私ヌルボの高3の時の現代国語のテスト問題。「徳兵衛・治兵衛・忠兵衛・・・」等々のA欄と、「お七・梅川・・・」等々のB欄の中からカップルを選べというもの。5~6組くらいあったかな? できたのは「お七 – 吉三郎」くらいでした。あ、「安珍 - 清姫」というのもあったかも。
その国語の先生、ある時は「(  )の中に漢字を入れて熟語を作れ」という問題を出題したのですが、見ると「(  )女」というのばかりが10題。最初は「( 少 )女」とか「( 才 )女」とか<無難な>漢字を書いていたのが、だんだんアラレもない熟語を書かざるを得なくなって・・・。純朴だった当時の級友たちも難儀したと語っていたものです。(笑) 先生も楽しく採点したことでしょう。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [10]

2013-10-17 14:07:27 | 高校生にすすめる本360冊

 今回は、軽めの随筆・エッセイと、教養書19冊です。
 (緑色の地の部分も1998年当時のものです。)

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
195團伊玖磨パイプのけむり朝日文庫195~200=ユーモアとウィットに富むエッセイ。
195の著者は作曲家、196は「お葬式」等で有名な俳優・監督。どちらもちょっとキザだが教科書的随筆の比ではない楽しさ。またいろんなことを教えてくれる。
197はおかしさの中に風刺も効いている。
198は女流作家とその高校生の娘との間の楽しい話あれこれ。抱腹絶倒の親子だ。(その娘も今は母となる。)
199は競馬にまつわる人間模様。文章が実に巧み。競馬場での声援のかけ方にも<形>があるのだと。
200は漫画家の雑文と馬鹿にするなかれ。<ショージ君>シリーズはくだらなさの中にも蘊蓄(うんちく)が来られていてどれも楽しい。これも名文のうち。
201=外国の1コマ漫画の紹介。絶対笑えるヨ。保証します! (星新一のSFよりずっとおもしろい。)
202=ネコと、ネコをめぐる人々の物語風随筆。著者は詩人。
203=庭を歩いているニワトリや野良犬を食っちゃう話など、キョーレツだが、生命や自然について深く考えさせられる。
204=山はいいなあ──と溜め息をつきながら読む本。また三ッ峠山(河口湖からラクに上れる。オススメ!)にでも登って、ボケーッと富士を眺めていたいなあ・・・・。
205~207=音楽家に名文家は多い。
205の著者は著名なヴァイオリニスト。民衆と社会に向ける眼の的確さとその行動力には敬服。(音楽もさることながら、生きた社会の勉強になる。)
206はピアニスト自身が過去のピアニストたちについて記す。大正期のスター久野久のエピソードは痛切極まりない。
207の著者は国際的指揮者。プロでも本番で楽譜をとばして演奏してしまうことがあるんですと・・・・。クラシック・ファン(+ブラバン)の人は寝るのが惜しいくらい夢中になれる本。
208=単なる画集に止まらず、画家や作品の運命、時代背景等も紹介。1枚1枚の絵からいろいろな世界を見せてくれる。
209=浮世絵を緻密に解き明かす。江戸文化の深さに驚く。
210・211=リクツ(抜き?)の楽しさ。クイズ好きの人に。
210は“強弁”と“詭弁”の例がおもしろい。しろうとハンターの会話。「おいっ! おまえ、うちの家内を撃ったな?」「すまん。代わりにあそこにいるうちの奴を撃ってくれ」。
212=楽しく深い遊びの本。だまし絵等、視覚的に楽しめる。
213=甲子園での箕島-星稜の歴史的一戦等の野球や、ボクシング、棒高跳等を扱った感動のスポーツ・ノンフィクション。
196伊丹十三女たちよ!文春文庫
197井上ひさし日本亭主図鑑新潮文庫
198佐藤愛子娘と私の部屋集英社文庫
199岩川隆馬券学入門中公文庫
200東海林さだおショージ君の「さあ!なにを食おうかな」文春文庫

201
星新一進化した猿たち新潮文庫
202長田(おさだ)弘ねこに未来はない角川文庫
×
203
田島征三土と草と風の絵本新潮文庫
204深田久弥日本百名山新潮文庫
205黒沼ユリ子メキシコからの手紙岩波新書
206中村紘子ピアニストという蛮族がいる文春文庫
207岩城宏之楽譜の風景岩波新書
208
世界名画の旅朝日文庫
×
209
高橋克彦浮世絵ミステリー・ゾーン講談社文庫
210野崎昭弘詭弁論理学中公新書
211織田正吉ジョークとトリック講談社現代新書
212岩根巌夫遊びの博物誌朝日文庫
213山際淳司スローカーブを、もう一球角川文庫
 あー、こういうリストというのはハダカをさらけだすようなもので、とてもはずかしい。教師でなけりゃ作ってなかっただろう。これが9度目の改訂版かな。以前、生徒にきかれた。「これ、全部読んだんですか?」 はいはい、この十倍は読みましたよ。そりゃあ風呂場でも読んでるんだから年間3ケタはいく。恋愛小説など読む暇があったら本物の恋愛に熱中する方がずーっといいし、金もうけの話を読むより実際に金がもうかる方がいいに決まっている。アホなもんだね、活字中毒なんてね。疑似体験にしか感動が得られないとすると、それは実生活の貧困の証明かも。
 高校生諸君はというと、とくにこの頃は本を読むのはごく少数のオタク族で、大多数はほとんどといっていいくらい読まないそうで、たしかに授業でもそんな印象は受ける。「水滸伝」「知らん」「白鯨」「知らん」「大地」「知らん」「ヴェルヌにウェルズ」「知らん知らん」。今は知らないことが恥ではない時代なのだろうか。だけどねー、それで「私は英文科に進みたいの」などと涼やかに口にしないでおくれ。聞いてる私の方が恥ずかしくなってしまう。このリストのネライは<勉強じゃない読書の魅力>を知ってもらうことだが、本を全然読まない学問というのもないんだからね。

 「パイプのけむり」の中の、「木の芽時」という表題だったか・・・。ネコは人間の服というものがわかっているのかどうかを確かめるため、ネコの前で服を脱ぎ、裸になって鳴き声の真似なんかしている時に家人(夫人?)が部屋に入ってきて・・・、という話はよく覚えています。他にもいろいろ。
 「女たちよ!」では、女性の頭皮が張っていないことや額の骨の彎曲の度合いのこと、全然別の話でスパゲティのゆで方のこと等々も記憶に残っています。
 文章の巧みさ、内容のおもしろさはその人の専門とはほとんど関係ないみたいですね。

 久野久という女性ピアニストについての中村紘子「ピアニストという蛮族がいる」の記述は、必ずしも公正なものでもなさそうです。(参考→ウィキペディア。)

 「スローカーブを、もう一球」をここに置いたのはちょっとしたミスだったかも・・・。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [9]

2013-10-07 23:58:48 | 高校生にすすめる本360冊

 今回は、学問のおもしろさに触れてほしい、という本を24冊。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
171田中琢
佐原真
考古学の散歩道岩波新書171~194=学問も本来はおもしろいものだ。
171は考古学と現代との関わりがわかりやすく語られる。
172は茶という日常的な嗜好品を素材に、資本主義の発達をグローバルに捉える。紅茶と砂糖に対する認識が開ける。
173は信長・秀吉時代の宣教師が日欧の生活・風俗を約600項目にわたり対比。「われわれの間では四歳の子供でも自分の手を使って食べることを知らない。日本の子供は三歳で箸を使って食べる。」 そして現代の女子高生はフォークで食べる。174は江戸時代の平凡なサラリーマンの日常が現代人の共感をよんだ話題の書。
175は難解なテーマをわかりやすく論じる。
176、子供の頃、あなたは自分以外はすべて幻影ではないかと疑ったことがありませんでしたか?
177は現代人、とくに若い世代の心理を具体例をあげて分析。思い当たるふしがきっとあるはず。
178では時代の狂気の実態とその背景を考えよう。
179は有名な伝説の背後の史実を探りつつ、中世のドイツの民衆の生活実態を明らかにする。やや難しいが推理小説的興味で読ませる。
180は紀元前以来中国史を賑わせた盗賊の実態。毛沢東の革命もその上に位置づける。楽しい語り口。
181は江戸時代の自然発生的な大衆の伊勢参宮と集団的乱舞。
182は国文学と歴史学と民俗学にまたがる。
183はわれわれが食べているバナナのほとんどを産するミンダナオ島の実態から日本とアジアとの関わりを多角的に照射する。同じ著者の「アジアの歩き方」(朝日)にはバナナをテーマにした小学校での楽しい授業記録がある。
184の著者は日本民俗学の祖。読みづらい著作が多いが、これは多少はマシか。「明治大正史」(講談社学術)も名著との評価が高い。
185は大洋に沈んだ古代大陸の謎。
186は生命と名誉をかけて病原菌と闘ってき学者たちのドラマ。あくなき探究心、多くの誤謬、犠牲的精神と無駄な死等。
187は恐竜絶滅の謎をスリリングで緻密な論理により解明する。結論もショッキング。188、ネコが顔を擦りつけてくるのはマーキングといってニオイをつけているんですよ。「イヌのこころがわかる本」もおもしろい。
189と190は数学の古典的名著。
191、故黒羽先生は私の尊敬する日本史教育の先生。日本史を学ぶ人、社会科教師を志す人はぜひ全著作を読んでほしい。
192・193は単なる語学テキストに非ずる言語学習は文化・社会等の全体的な理解に関わることがよくわかる。とくに外国語=英語と思い込んでいる人、会話が語学勉強のすべてと誤解している人は目からウロコが落ちるはず。
194、日本語も他国人からみれば外国語。<新橋>のシンのイントネーションがなのに<新宿>のシンがなのはなぜ? <新橋駅>になると、難しい。ウー。
172角山栄茶の世界史中公新書
×173フロイスヨーロッパ文化と日本文化岩波文庫
174神坂次郎元禄御畳奉行の日記中公文庫
×
175
市井三郎歴史の進歩とは何か岩波新書
176永井均<子ども>のための哲学講談社文庫

177
大平健やさしさの精神病理岩波新書
178森島恒雄魔女狩り岩波新書
179阿部謹也ハーメルンの笛吹男ちくま文庫
180高島俊男中国の大盗賊講談社現代新書
×
181
藤谷俊雄「おかげまいり」と「ええじゃないか」岩波新書
182益田勝美火山列島の思想ちくま学芸文庫
183鶴見良行バナナと日本人岩波新書
184柳田国男日本の伝説朝日文庫
×
185
アンドレエーヴァ失われた大陸岩波新書
186クライフ微生物の狩人岩波文庫
187アラビー
ラブロック
恐竜はなぜ絶滅したか講談社ブルーバックス
188フォックスネコのこころがわかる本朝日文庫
189吉田洋一零の発見岩波新書
190遠山啓数学入門岩波新書
191黒羽清隆日中15年戦争教育社歴史新書
192渡辺吉鎔朝鮮語のすすめ講談社現代新書
193鐘ヶ江信光中国語のすすめ講談社現代新書
194佐々木瑞枝外国語としての日本語講談社現代新書


 やっぱり、自分の仕事とか専門分野とは直接関係ない本が楽しく読めます。エンタメ系と同様で、逃避みたいなものですね。忙しい時ほど関係ない本を読んできた、かも・・・。(笑)

 学生時代に思ったことですが、学問的に優れた業績をあげている先生の目は幼児のように輝いています。大人が疑問に思わないことを「なぜ? どうして?」としつこいほど訊くような幼児期のあくなき知的好奇心・探究心を持ち続けているということでしょうか。

 そんな情熱がこもっている著作は、学問の本でも感動しますね。

 今回のリストを見て、専門外とはいえ理科系の本が少ないのが残念。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [8]

2013-09-29 20:05:22 | 高校生にすすめる本360冊

 今回は、社会問題や戦争等をテーマにしたノンフィクションの後半の犯罪関係や、体験記、ルポ等々です。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。
150松本清張日本の黒い霧文春文庫150=清張は推理小説ばかりではない。下山事件等、戦後まもない時期の権力による謀略事件の謎を執拗に追及する。
151=安易に死刑を肯定している人、その実態を知っていますか? 死刑執行人になれますか? 「死刑」(現代書館)や「死刑廃止を考える」(菊田幸一.岩波ブックレット)も参照のこと。
152~154=犯罪実録にもいろいろある。152は権力の犯罪ともいうべき冤罪(えんざい.=無実の罪)。岩波文庫にも野間宏「狭山事件」がある。153は4人射殺した上2昼夜人質をとって立て籠もった銀行強盗の人生の軌跡。154は言語を絶する猟奇的殺人鬼の記録。これを読んでも死刑反対を唱える私はヘンかも。
155=ニューヨークのスラム街ハーレムで暮らした女性カメラマンと黒人住民との交流、さまざまな問題提起。
156・157=異常な政治状況の中で人々は・・・・。156は「アンネの日記」(文春)と併せて読んで。自分が非ユダヤの一市民だったらということも考えよう。157は60年代中国の文化大革命の渦中にあった十代の少年が、今ね当時の略奪・私刑・下放等の体験を鮮烈に、痛切に綴る。映画「芙蓉鎮」もぜひ観て! 文革関係では鄭念「上海の長い夜」(文春)も文庫化した。
158~160=<知られざる国>北朝鮮の驚くべき実態。158は拉致された韓国の映画監督夫妻の体験記。159はあの飛行機爆破事件の犯人の告白。特異な体制下でのエリート一家の生活と、ドラマチックな事件の全貌。160は収容所からの決死の脱出行。
161=かつて社会主義は正義を求める人の希望でありねここに描かれた中国共産党の長征も<偉業>とされた。が、今や毛沢東も李志綏「毛沢東の私生活」(文春)で実像があらわに。
162=辛亥革命以前~現代、祖母から著者まで女性三代の実録でたどる中国現代史。<あの「大地」を超えた>との宣伝文句も決して大げさではない名著。とくに文化革命期は強烈。
163・164=優れたフィールド・ワーク。163を読むとわれわれ“文明人”の生活や思考様式即“マトモ”とは決していえない。164は消えゆく伝統社会の民俗と人情の貴重な記録。
165=動物や未開人との<自然な>ツキアイの記録。トラにも動じない著者に驚嘆。ウ○ムシまで食う話には思わずオエッ!
166=世界各地で<食>を手がかりに文化や社会の問題を考える。貧困地帯で残飯をあさったりするのがすごい。
167・168=インドは途方もない国だ。そこでは当たり前のことが、われわれの“常識”を揺さぶる。168の著者はカメラマン。
169=千人中の紅一点として北洋船団に乗り込んだ女性船医の奮闘記。好奇心旺盛な著者に感心。船や漁業の知識も増す。
170=マゼランは、フィリピンで<野蛮人>に殺されたという<通念>は捨てるべし。原地人の視点で捉え直した世界史の真実。
151大塚公子死刑執行人の苦悩角川文庫
×
152
佐木隆三ドキュメント狭山事件文春文庫
153毎日新聞社会部破滅
梅川昭美の三十年
幻冬舎文庫
154シェクターオリジナル・サイコ早川文庫

155
吉田ルイ子ハーレムの熱い日々講談社文庫
156ヒース思い出のアンネ・フランク文春文庫
157陳凱歌私の紅衛兵時代講談社現代新書
158崔銀姫
申相玉
闇からの谺(こだま)文春文庫
159金賢姫いま、女として文春文庫
160姜哲煥
安赫
北朝鮮脱出文春文庫
161スノー中国の赤い星ちくま学芸文庫

162
ユン・チアンワイルド・スワン文春文庫
163本多勝一ニューギニア高地人朝日文庫
164宮本常一忘れられた日本人岩波文庫
165西丸震也動物紳士録中公文庫
166辺見庸もの食う人々角川文庫
167堀田善衞インドで考えたこと岩波新書
168藤原信也印度放浪朝日文庫
169田村京子北洋船団女ドクター航海記集英社文庫

170
本多勝一マゼランが来た朝日文庫


 158~160で北朝鮮関係が3冊。それ以前から北朝鮮の実態はさまざまに伝えられているのに、今もなおその体制が存続しているのはなんということか!? 「民族的自尊心」の強い韓国の人たちは、そのことを「民族の恥」と考えないのでしょうか? 
 しかし、北朝鮮の支配者・指導層だけでなく、その人権抑圧に自覚もなく加担している人たちはたくさんいるゾ! (韓国・中国・アメリカ・ロシア、そして日本にも・・・。)

 この1世紀、いや半世紀の間でも、地球上に(「文明人」にとっての)未知の場所がほとんどなくなり、「未開」の地もどんどん変貌している今、ふつうの旅行記録だけでは読者を引きつける時代はとっくに過去のものになっています。
 風呂場だけで読み終えた山口誠「ニッポンの海外旅行 若者と観光メディアの50年史」(ちくま新書)によると、「地球の歩き方」も初期の貧乏旅行のバックパッカー向けから現代のグルメ、ショッピングの消費が主目的のスケルトンツアーといった旅行形態の大きな変化とともにどんどんコンセプトが組み直されてきました。(たしかに・・・。) それも思えばわずか最近の20~30年のことなんですね。
 今やルポを書くのも、どこに行って何を見たか以前に、どんな発想(問題意識、視点・・・)から書くかということが重要、というか、それしかないのかもしれません。・・・というようなことを野村進も「調べる技術・書く技術」(講談社現代新書)で強調していました。むべなるかな、です。

 おっと、まだ全360冊(+α)の半分まで達していないのか、ふう・・・。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [7]

2013-09-19 17:55:28 | 高校生にすすめる本360冊

 今回は、社会問題や戦争等をテーマにしたノンフィクションの前半。

 最近ではこの分野の注目作に何があるかな、と首をひねってもすぐに出てきません。私ヌルボの情報感度が鈍ったのかな? 大地震&原発事故関係でありそうですが、あまり読んでないしなー・・・。

☆印はとくに推奨。×印は品切れまたは絶版中の本(多すぎる!) △は絶版・品切れでも単行本なら出ている本。

129
徳冨蘆花謀叛論岩波文庫129=大逆事件に際し、「謀叛を恐れてはならぬ。・・・・新しいものはつねに謀叛である」と毅然として説いた姿勢に感銘。
130=1919年植民地朝鮮で起こった三一独立運動について日本人は皆知るべきである。その上でこの本の中の「朝鮮の友人に」という痛切な思いに満ちた文をぜひ読んでほしい。三一独立運動関連の小説には梶山季之「李朝残影」(角川)がある。同書所収の「族譜」は創氏改名が題材で、韓国で映画にもなった。機会があれば観てみて。
132=衝撃的なルポ。アウシュビッツは知っていても、日本軍の罪悪を知らない日本人が多すぎる。<お薦め>ではなく<読むべき>本。
133=戦前<からゆきさん>といわれ東南アジアに渡った多くの娼婦がいた。その感動的な聞き書き。今は逆に<ジャパゆきさん>が大勢いることを知ってほしい。
134・135=現代(の少し前)の労働の実態と意味を現場から考える。一口に<仕事>とか<会社員>といつても内実はさまざま。134は自動車工場の季節工に志願した著者自身のすさまじい労働体験。135は各産業の最前線で奮闘する人々の物語。いわば「プロジェクトX」の先駆的ノンフィクション。勝者の背後には、その何倍もの死屍累々たる敗者の群れがいることも事実だけどね。
136=欠陥車であることをメーカー側は知っていても、事故の原因は運転者の不注意にされるとは・・・・。企業+行政+司法+マスコミという圧倒的な力に敢然と闘う人もいる。
137=<現代>を考える青年が少ない現在、この書のヒューマンな問題提起を受けとめてほしい。
138=ヒロシマは過去だけの問題ではない。この著者の小説には難渋するが、これは明解で読みごたえがある。
139=まだまだ知られていない、or誤解の多い隣国を知るために。題名からは想像のつかない感動的なノンフィクション。
140=韓国は近くても異国。共通点が多いだけに誤解にも気付きにくい。韓国のお客様に割り箸を出したり、手作りのプレゼントを贈ったりするとイヤな顔をされるかも。
141=祖母の国韓国に語学留学した作家が韓国と日本と在日等の問題を考える。ケナリは韓国に多いレンギョウのこと。
142=日本は決して単一民族国家ではない。権力によって切り棄てられてきた“辺境”からの問題提起は鋭い。
143=「ジョン・ウェインはなぜ死んだか」(文春)、「危険な話」(新潮)等、彼の本はどれも刺激的・衝撃的。この本もわれわれがマスコミの情報操作にいかに弱いかを痛感させられる。
144~146=戦争の実態もさまざま。144は無謀な作戦で多くの戦死者を出したインパール作戦。この他、ノモンハン、ガダルカナル、アッツ、ルソン、沖縄等々、壮絶・悲惨な戦記は数多くある。兵士自身の体験記を何か2冊は読んで。145、戦艦武蔵の甲板上はさながら地獄図絵だったそうな・・・・。逆に甲板の下から見た戦争が146。戦争を知らずに平和を語るなかれ。
147=戦時下の学童疎開の体験に基づいた作品るこの他にも、柴田道子「谷間の底から」(岩波少年.×品切?)、高井有一「少年たちの戦場」(旺文社.×絶版)、谷真介「かげろうの村」(偕成社)、中根美宝子「疎開学童の日記」(中公新書)等がある。326(石川逸子「千鳥ヶ淵へ行きましたか」)も参照。
148=「“赤紙”が来たら逃げる」などと言ってる人、それがどんなに大変なことか知って下さい。山村基毅「兵役拒否11人の日本人」(晶文社)もさまざまな逃げ方を教えてくれる。
149=ソ連軍の突然の満州侵入。3人の子供を連れた母の必死の逃避行。引き揚げの苦労は小林千登勢「お星さまのレール」や安倍公房「けものたちは故郷をめざす」等、多くの本がある。
130柳宗悦民藝四十年岩波文庫
131日本戦没学生記念会(編)きけ わだつみのこえ岩波文庫

132
本多勝一中国の旅朝日文庫

133
山崎朋子サンダカン八番娼館文春文庫
134鎌田慧自動車絶望工場講談社文庫
×
135
内橋克人匠(たくみ)の時代講談社文庫
136伊藤正孝欠陥車と企業犯罪教養文庫
137日高六郎戦後思想を考える岩波新書
138大江健三郎ヒロシマ・ノート岩波新書

139
関川夏央ソウルの練習問題新潮文庫
140呉善花スカートの風角川文庫
141鷺沢萌ケナリも花、サクラも花新潮文庫
142新谷行アイヌ民族抵抗史三一新書
143広瀬隆東京に原発を集英社文庫
144高木俊朗抗命文春文庫
145渡辺清戦艦武蔵のさいごフォア文庫
×
146
高橋孟海軍めしたき物語新潮文庫
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147
小林信彦冬の神話角川文庫
148稲垣真美兵役を拒否した日本人岩波新書
149藤原てい流れる星は生きている中公文庫


 今の高校生には「抗命」なんて言葉は当然説明が必要だし、「わだつみ」も同様で、そこに込められた感情も含めて説明すべき言葉ですね。もしかしたら「疎開」も授業で教わらなければわからない歴史用語になっているかもしれません。「引き揚げ」や「抑留」等、私ヌルボが子供の頃ラジオでよく聞いたりしていた用語ももしかしたら「日本史用語集」に載っているかも・・・。

 130、139~141の4冊に韓国オタクらしさがちょっぴり出ています。
 画期的な韓国本「ソウルの練習問題」刊行からちょうど30年経ちました。その後ソウル五輪や民主化~文民政権成立、Wカップ共同開催にヨン様ブーム等々あって、日韓間の人や物や情報の行き来は大きく様変わり。双方の庶民同士が直接相手を非難・罵倒し合える(!)時代になったことは大きな進歩だと思います。決して皮肉ではありません。
 その間、呉善花は日本国籍を取得し、また鷺沢萌は2004年自殺してしまいました。
 世の中も、人の人生も変わっていくのが常ですが、私ヌルボは変わり映えのしない毎日を過ごしています。

 「きけ わだつみのこえ」所収の田辺利宏の詩、とくに「雪の夜」は涙なくして読むことができません。(→参考。)
 この詩については、いずれぜひ書かなければと思っています。
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高校生にすすめる本360冊(1998年版&増補) [6]読書家のためのクロスワード①

2013-09-04 15:44:09 | 高校生にすすめる本360冊
360冊の本のリストだけでも十分オタクっぽいのに、今回はそれに輪をかけたクロスワードです。
 クロスワードを作る時には、できるだけ黒マスをつくらないこと、できるだけ白マスが円環を成してリンクすることをめざします。
 今見直してみると、ヒントの文章からして時代を感じさせるものもチラホラ。
 こういうパズルを見て「やってみるゾ!」と思うだけでその人もオタクの仲間入りかも・・・。ちなみに、これまで全問正答者はいなかったかも・・・。空欄2つくらいが最高だったかな?

      

  ・・・・ヨコのカギ・・・・
1.谷崎潤一郎「痴人の愛」のヒロイン、でわからなければ赤川次郎「探偵物語」のヒロイン。
4.夏目漱石「○○十夜」は玄妙な短編集。
6.ドストエフスキーの傑作。
9.ドン・キホーテの乗り物。
11.19世紀ドイツのロマン派詩人。
13.「荒城の月」の作詞者は土井○○○○。
14.ゾラの小説。題は美貌の高級娼婦の名。
15.「シャドー88」「ファイア・フォックス」「雲のじゅうたん」、サン・テグジュペリ、リンドバーグから連想する乗り物は?
16.<○○○○翁ぼちゃんといえばたちどまり>は川柳。(そこで彼は一句よんだ・・・・。)
17.ジッド「狭き○○」は受験生の苦労を描いた小説ではない。
19.ハードボイルドの巨匠。
20.○○新一はSFショートショートの草分け的作家。
22.2人の男性から求婚され、決めかねて自殺してしまった真間の○○○の伝説は「万葉集」の高橋虫麻呂の歌にもある。
24.<デカダン文学>の代表作家といえば○○作之助。
26.シャーロットとエミリー。○○○○姉妹はイギリスの作家。
27.横光利一の小説。邪馬台国の女王卑弥呼が主人公。
28.「僕って何」の作者○○誠広のお姉さんは女優。
29.太宰治の故郷。同名の作品もある。
30.百人一首の慈円の歌の下の句「わがたつそまに<○○○○のそで>」といえば坊さんの衣のこと。
31.水面に映る自分の姿に恋したナルシスはこの花に変身した。
  ・・・・タテのカギ・・・・
1.<いちめんの○○○○>は八木重吉の詩。「○○○○の沖」は司馬遼太郎の小説。
2.「古今和歌集」の歌人凡河内躬恒=おおしこうちの○○○と読む。
3.動物文学の傑作ジャック・ロンドン「白い○○」。
5.太宰治「走れ○○○」は国語教科書の定番の名作。
7.井上靖の西域物の代表作。映画にもなった。
8.デュマ(子)の小説。ヴェルディの歌劇でも有名。
10.森田草平の小説。平塚雷鳥との恋愛を作品化。
12.「○○○の白うさぎ」は日本神話中の有名な話。
15.1966年テレビで評判になった三浦綾子の小説。
17.<鈴の屋>とは「古事記伝」を著した国学者○○○○宣長。
18.「国破レテ山河在リ」と<白頭>を掻いて世を憂えた唐の詩人。
19.芥川龍之介の小説。ゴーゴリにも同名の作品がある。
21.石川啄木の故郷の村。
23.漫画「じゃりん子チエ」に登場するネコ。
25.○○○○派とは、西山宗因に始まる俳諧の一派。
27.○○○少年はガチョウに乗ってスウェーデン中を冒険の旅。
28.清少納言が「香炉峰の雪はいかならむ」と言われてかかげた。


 «正解» (範囲指定すると現れます。)
【ヨコのカギ】
1= ナオミ 4= ユメ 6= ツミトバツ 9= ロバ 11= ハイネ 13= バンスイ 14= ナナ 15= ヒコウキ 16= バシヨウ 17= モン 19= ハメツト 20= ホシ 22= テコナ 24= オダ 26= ブロンテ 27= ニチリン 28= ミタ 29= ツガル 30= スミゾメ 31= スイセン

【タテのカギ】
1=ナノハナ 2=ミツネ 3=キバ 5=メロス 7= トンコウ 8= ツバキヒメ 10= バイエン 12= イナバ 15= ヒヨウテン 17= モトオリ 18= トホ 19= ハナ 21= シブタミ 23= コテツ 25= ダンリン 27= ニルス 28= ミス
コメント (2)
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