9月「読売新聞」でこの事典が紹介されていました。8月に刊行された権寧(クォン・ヨンミン)編著・田尻浩幸訳『韓国近現代文学事典』(明石書店)です。
最近横浜市立図書館にも入ったので、直接見てみました。
「(19世紀後期~現代の)韓国近現代文学史上、主要な作家、小説・詩・戯曲等の作品、用語、485項目を取り上げた、日本初となる韓国文学事典」と明石書店のサイトの紹介記事にあるように、これまで類書がなかっただけに、韓国文学に興味を持っている人や、研究者及びそのタマゴの人たちにとっては大変役に立つ事典だと思います。
<事典編>では①人物(239項目)②作品(213項目)③文芸雑誌・新聞等(25項目)④文学関係団体・文学用語(8項目)の計485項目について詳しく説明されています。
また<事典編>に続く<概説編>では、韓国の近現代文学史が各時期ごとに叙述されています。
原著は1600頁にもなる『韓国現代文学大事典』で、本書はその抄訳ですが、それでも527ページと重量感のある本です。写真等も適宜掲載されていて見やすく工夫されていますが、とくに便利なのは、翻訳書が出ている作品についてはその書名が翻訳者名・出版社・刊行年付きで紹介されていること。
つまり、訳された田尻浩幸さんは、原著の訳出だけでなく、たとえば上記のように、いろいろと日本の読者の便宜を図って下さったようで、この事典の完成に注いだ多大な労力がしのばれます。
【<事典編>の目次の最初の部分(右)と、<概説編>の目次(左)。およその詳しさがわかります。】
【内容例。雑誌や小説家の説明、作品の内容等がかなり詳しく記されています。】
・・・ということで、私ヌルボとしては手許に備えておきたい事典です。が、本体8000円+税400円というお値段が、ちょっとねー。(実はそれなりの手立てはなくもないようですけど・・・。) ま、とりあえずは公共図書館でちゃんと置いてもらうことですね。
[付記]「訳者あとがき」に、「韓国詩の日本語訳がインターネット上でも読める」例として、ヌルボが愛読している「晴読雨読ときどき韓国語」や「佐川亜紀のホームページ」が紹介されています。
でも貸し出しはしていないようです。重いから?あるいは重要書物だからでしょうか(^^)。
見に行って来ます。
たしかに、部厚い辞書などを借りて帰ろうという人はいないでしょうし、ふつう調べものに用いる辞典類が貸出中だったりしたらアタマにきちゃうだろうし・・・。
しかし、この事典なんかはくテキトーにページを開いて読んでみるのもいいような本でもあると思うのですが・・・。