ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

★2023年 ヌルボの個人的映画ベスト10 <続き その1> 戦争・紛争・内乱・クーデター等

2024-01-30 11:12:15 | 韓国映画(&その他の映画)
 以前2015~16年頃)の<ヌルボの個人的映画ベスト10>を見ると、映画を評価する3つのモノサシ中、「私ヌルボ自身は、[A]娯楽性=20%、[B]社会性=50%、[C]芸術性=30% といったところかなと思っています」と書いています。
 今もほとんど変わっていませんが、近年世界の至るところで国家間の戦争や内戦、内乱、クーデター、地域紛争、独裁政権による民衆の弾圧等々が繰り広げられています。映画も、とくに社会性といったことを意識しなくても、印象に残った作品を挙げていくと、自然と上記のような国々や地域を撮った作品、とくにドキュメンタリーが思い浮かびます。
 そんな状況は、たとえば昨年10月のハマスによるイスラエル攻撃がメディアで大きく報じられて多くの国民が知るところとなり、そして「ガザ 素顔の日常」(2019.カナダ等3ヵ国合作のドキュメンタリー)が再上映され、(私ヌルボの場合)パレスチナ子どものキャンペーン・エルサレム事務所代表の手島正之さんの詳しいトークも聞けるわけです。(※スクリーンに映ってる人々と、それを観ているわれわれ日本人。このまさに両極端ともいうべき運命を分かった偶然は<いたずら>と呼ぶにはあまりに重すぎます・・・。)
 今パレスチナvsイスラエルに世界の目が向けられた分、ロシアのウクライナ侵攻に対する関心はやや薄らいでしまいました。
 しかし日本ではあまり知られていない、上記のような問題を抱えた国は数多くあります。
 たとえば2021年ミャンマーの国軍によるクーデターは日本ではどれほど知られているのでしょうか? あのアウンサンスーチーさんが自宅軟禁状態とかは小さく(?)報じられましたが・・・。
 昨年8月、ミャンマーでクーデターに抗する人たちが撮った「ミャンマー・ダイアリーズ」を観て心打たれました。軍政に反対する女性たちが住居の上の階の窓からフライパンを打ち鳴らし抗議の意思表示をします。彼女たちは街に出て堂々と抗議もします。そんな市民を軍は武力で制圧するのです・・・。
 このドキュメンタリーは軍政に対して地方を拠点に武力反抗を期して訓練中の人々が撮ったため制作スタッフ等の名前は一切ありません。私ヌルボ、このクーデターの実像(の一部)はこの映画を観て初めて知りました。なお、日本(の外務省)はこれまでの縁(?)からミャンマーの軍政とは良い関係にあるようですよ。クーデター後も。(この件書くと長いので以下省略)
 そしてトルコに対してクルド人組織による独立をめざす紛争。埼玉県蕨市に多く居住するクルド人は<ワラビスタン>と呼ばれているそうですが、難民認定をもとめても多くは認められません。ウクライナからの移住者に対する厚遇とはまさに対照的! クルドは日本と友好的なトルコを相手にしているという事情があるのかな? 
 日本はすでに1970年代後半のベトナム・ラオス・カンボジアからの難民大量流出をきっかけとして1981年に難民条約に加入しました。神奈川県でも横浜市泉区と大和市にまたがるいちょう団地では当時入国したベトナム人等の集住地域が形成され今に至っていますが、当時は政府も定住促進センターを設けたり日本語や日本の習慣等を学ばせたりと積極的に支援をしたのです。その後とくに彼らとの間では交流行事等はあっても諍いとかは聞いたことがありません。小学校では日本人と何ヵ国もの子供たちが一緒に学び、また個々の生徒に応じた語学教育も行われています。校内には、いくつもの言語で書かれた貼り紙もあります。
 ところが今、蕨や川口に暮らすクルド人たちは多くの(??)日本人から厄介者扱いされたりしているようですが、それにしても現地の事情も知らず(?)「トルコに送り返せ!」はないでしょう! 一昨年公開の映画「マイスモールランド」、機会があればぜひ観てほしいものです。(配信があるようです。)
 どうも近年、他国の不幸な人々には同情はしても日本には「来てくれるな!」と言う人がずいぶん増えたようです。日本の難民認定率が他国と比べると極端に低いのもそんな国民の雰囲気を反映しているからでしょうか? それとも政府がそのように誘導している?
 日本で「不法滞留者が多い」というのも、日本政府がとくに高くしたハードルにひっかかるからなので、殺傷事件や盗み、密輸等の犯罪をイメージするのは誤りです。
 人口の減少が進み外国人の労働力が必要なはずの日本の今の産業にとっても、外国人の受け入れどころか排斥とは「馬鹿なことをやっている」としか思えません。
 あまり日本人にはなじみのない国や地域でも内戦が長く続いている所があります。チュニジアのジャスミン革命(2011)以来延々と続いているシリア内戦については「娘は戦場で生まれた」(2020)でそのごく一部を知りました。ごく一部と言っても、登場する家族にとってはもちろん命に関わる一大事です。
 その他リビアイエメン等でも内戦が続いているようです。

 1月12日付毎日新聞(夕)の<シネマの週末・チャートの裏側>で大高宏雄さんがアメリカのエリート傭兵集団の活躍を描いた「エクスペンダブルズ」の最新作「ニューブラッド」について次のようなことを書いてました。
 正直、複雑な思いを抱いた。核爆弾を巡り、CIAの傭兵部隊と、敵対する組織が激しい戦闘を繰り広げる。容赦ない殺戮と血しぶきなど、アクション描写はかなりハードだった。それはいいのだが、アクション=戦闘シーンがどうにも気持ちを逆なでする。世界で起きている戦争がダブってくるのだ。いったい、何を見ているのか。ちょっと、いたたまれなくなることも度々だった。かつてのようには、のんきに戦闘シーンを見られなくなっていた。(中略)観客はどう感じているだろうか。

 私ヌルボも全く同感です。

独裁国家は、民主主義国家よりも数が多く、ある記事によると世界の人口の約7割は独裁国家に住んでいるのだそうです。
 また別のサイトでは独裁国家として以下の20ヵ国がリストアップされていました。
 アゼルバイジャン・トルクメニスタン・ウズペキスタン・エジプト・エリトリア・ベラルーシ・カンボジア・カメルーン・チャド・イラン・キューバ・セキドウギニア・カザフスタン・北朝鮮・ルワンダ・スホダン・シリア・中国・ベトナム・ベネズエラ
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★2023年 ヌルボの個人的映画ベスト10

2024-01-21 17:40:20 | 韓国映画(&その他の映画)
 2023年は、元日の記事・131日のブランクでも書いたように年間通して多忙な上、コロナの後遺症(?)等々で体調も思わしくなく、過去にないほと呪われた1年でした。(もう災厄は去ったのか、不安が心配・・・。)
 そんな中でもちょうど100本というほぼ例年と変わらない数の映画を観たのは映画に癒しを求めたということかも。(逃避とも言えますが・・・。)

 前置きはここまで。さっそくその100本から選んだベスト10を発表します。

[2023年](全100作品)
①小さき麦の花
②市子
③窓ぎわのトットちゃん
④オマージュ
⑤飯舘村 べこやの母ちゃん それぞれの選択
⑥プレジデント
⑦モリコーネ 映画が恋した音楽家
⑧ゴジラ-1.0
⑨キリング・オブ・ケネス・チェンバレン
⑩Winny
 [次点] 〇福田村事件 〇658㎞、陽子の旅 〇月 〇せかいのおきく 〇SHE SAID/シー・セッド その名を暴け 〇ミャンマー・ダイアリーズ
 [別格] 
セルゲイ・ロズニツァ《戦争と正義》ドキュメンタリー2選<破壊の自然史・キエフ裁判>
赤色は韓国映画または韓国・北朝鮮に関係する映画です

 今回はまず最上位の2作品は確定。そして年末最後に観た「窓ぎわのトットちゃん」を3位にしました。
 ①「小さき麦の花」は中国西北の寒村が舞台のドラマ。
 2011年中国西北地方の農村。主人公ヨウティエはマー[馬]家の四男。貧しい農民で、もう若くはないが独身のまま。両親と長男・次男は他界して三男のヨウトンの家で暮らしていますがはっきり言って厄介者です。一方、内気で体に障碍があるクイインもまた厄介者扱いされている女性。そんな2人が見合い結婚で夫婦になります。それでも、2人(+ロバ)は日々農作業に精出し、互いを思いやりながら作物を育て、日々を重ねていきます。またヨウティエは自分たちの家を建てるために泥を固めてたくさんの日干しレンガを造っていきます。ところがある夜突然の大雨に襲われ、2人は外に出て泥を相手に悪戦苦闘します。しかしそんな不運の極致の中で何と2人は相手に泥をかけながら無邪気に笑い合うのです! 名場面という言葉さえ陳腐なシーンに私ヌルボ、ヤン・イクチュン監督の「息もできない」の漢江の土手の名場面を想起しました。
 それ以外にも感動的な場面がありますが、2人の間の深い夫婦愛を描いた作品であるにも関わらず「愛してる」「好きだ」等の言葉もスキンシップもありません。それでも2人の間の愛がジワーッと感じられるのです。
 しかし本作はそのままハッピーエンドには繋がっていきません・・・。
 なお、クイイン役は国民的人気女優ハイ・チンですが、ノーメイクで農村女性になりきっています。それ以外はリー・ルイジュン監督の家族たちが夫役も含め多数出演。また時折映される日めくりカレンダーもそのままで1年間撮影されたそうです。
 本作はベルリン国際映画祭の星取りでは驚異の4.7/5点をマークし、金熊賞最有力と絶賛されたものの(なぜか?)無冠に終わりました。
中国で公開されると都市の若者の間で口コミで評判となり、ヒットを巻き起こして<奇跡の映画>と呼ばれたそうです。ところが「中国の若者たちが羨んだ、貧しい農民夫婦の物語『小さき麦の花』」と題したcinemacafe.netの記事にもあるように、本作は突然上映が打ち切られ、配信サイトからも削除されます。本作についての論評等も消されたとか。その理由も明らかにされませんでした。貧困撲滅という政府の方針と相容れないため等々の憶測もあるようで、ラストの辺りでは元のプロットが変更されたとの記事も読んだ記憶がありますが今探しても見当たりません。
 本作について<読んで♪観て♪>というAmebaブログに「小さき麦の花」と作品のタイトルそのままの表題の詳しい記事があります。ネタバレがどっさりあるので要注意ですが、映画の最後に私ヌルボが聞き逃した政治がらみの重要なセリフが記されています。
②「市子」は、監督の戸田彬弘が書き上げた演劇が原作のミステリードラマ。
 川辺市子は3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則からプロポーズを受け涙を流して喜びますが、その翌日に突然失踪します。途⽅に暮れる⻑⾕川は今まで市子の家族や生い立ちのこと等を聞いたことがなかったことに気付き、市子の行方を追ってこれまで彼女と関わりがあった人々から証言を得ていきます・・・。
 実は市子は自分のせいではない理不尽な事情で困難な人生を歩んで来たのです。そして相当にヤバいことさえも・・・。
 いやあ、最後まで目が離せない作品でした。
 何と言っても市子を演じた杉咲花が凄い! 主演女優賞をいくつも取って当然と思いました。
③「窓ぎわのトットちゃん」については1月6日の記事「暮れと正月に観たオススメ映画 <その1>」参照。
 4位以下は思案投げ首。何を重視するかで順位が入れ替わります。
 とりあえずは上記の順位にしたがって見ていきます。
④「オマージュ」は1960年代に活動した韓国第1世代の女性映画監督の作品フィルムを復元することになった49歳の女性監督ジワン(イ・ジョンウン)が現在と過去を行き来する時間旅行を描いたファンタスティックな雰囲気の作品です。
 いつも閑古鳥状態のジワンの監督作品について家族の理解は乏しく、息子は「面白くない」と言い夫は飯のことしか言いません。スランプに陥ったジワンはアルバイトとして60年代に活動した韓国で2人目の女性映画監督ホン・ウヌォン[洪恩遠]の作品「女判事」(1962)のフィルムを復元することになります。(※最初の女性監督は「未亡人」のパク・ナモク監督。) 消えたフィルムを探してホン監督の最後の行跡を追っていたジワンは帽子をかぶった正体不明の女性の影と共にその時間の中を旅行することになりますが・・・。※この「女判事」という作品は韓国映像資料院のYouTubeチャンネル<한국고전영화 Korean Classic Film>の公開動画(YouTube)で観ることができます。
 本作の制作に着手した時はまだ「女判事」のフィルムは発見されていなかったのが、シナリオを作成中に見つかったものの「まだ30分くらいの部分が発見されていないようだ」等、シン・スウォン監督への興味深いインタビュー記事は「オマージュ 監督 インタビュー」で検索すると2つ見つかります。
 この作品については、「まずは主役が小太りのフツーのおばさんって事に感動しました(笑)」で始まるFilmarksの猫さんのレビューを「そうそう!」と何度もうなづきながら読みました。その主演のイ・ジョンウンは「パラサイト 半地下の家族」の家政婦さんだそうです。猫さん同様私ヌルボも全然気づきませんでした。
 で、念押しですが、本作のキモは約60年前のホン・ウヌォン監督と、本作の主人公ジワンと、本作のシン・スウォン監督が逆境にもめげず信念を貫くその意志!といったとこでしょうね。
⑤「飯舘村 べこやの母ちゃん それぞれの選択」の飯舘村とは、かつてはブランド牛の生産地として知られ、酪農も盛んだった福島県相馬郡飯舘村です。ところがあの原発事故ですべてが一変してしまいました。その村で牛とともに生きてきた酪農家の3人の母ちゃんたちを以後10年の歳月をかけて追ったドキュメンタリーです。線量計の数値が規定を超えると牛たちはそのまま処分場に送られて行きます。かわいがって育ててきた牛たちとのそんな別れは観ている立場でもつらいものがあります・・・。その後3人の母ちゃんたちやご家族の中で甲状腺がんに罹患して亡くなった方が相次ぎます・・・。このような事実は行政側、東電、各メディア等はちゃんと伝えていないように思います。※本作は公式サイトも充実しています。
⑥プレジデントは、タイトルだけでは何もわかりませんが、ジンバブエのとんでもない大統領選挙を撮ったドキュメンタリーです。ジンバブエはマダガスカルからほぼ西のアフリカ内陸に位置する国で、かつてはローデシアと呼ばれたイギリスの植民地でした。そこで1980年の独立後首相、87年から大統領となったムガベはその後93歳となるまでその座に留まり独裁を続けましたが2017年のクーデターで退陣し、副大統領だったムナンガグワが暫定大統領に就任します。
 そして迎えた2018年の大統領選挙のようすをそのまま撮ったのがこのドキュメンタリー。野党・MDC連合(民主変革運動)の候補チャミサは民衆の圧倒的な支持を受けています。たしかに真っ当な演説をしています。ふつうに考えればチャミサが当選でしょうが、そうはいかないのです。選管がなぜかモタモタして開票が遅れたり・・・。つまりムナンガグワ側が大々的に買収しているようなんですね。さらには軍や警察まで投入されるとは!
 そんなわけで結果は明らか。
 この2018年の次の大統領選挙が昨23年8月行われましたが結果は同じでムナンガグワの勝利。野党候補のチャミサ陣営は結果受け入れを拒否しているとのことです。
⑦「モリコーネ 映画が恋した音楽家」は「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督が師であり友でもある映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネに迫ったドキュメンタリーです。
 エンニオ・モリコーネといえば思い出すのが1960~70年代頃流行ったマカロニ・ウエスタンの口笛を使ったテーマ曲です。ただ私ヌルボはアメリカ西部以外が舞台のウエスタンは邪道だと思い込んでいたので全然観ませんでした。ところがこのドキュメンタリーを観て、彼が若い頃から取り組んできた音楽の幅も多様だし、彼が生み出した作品も実に多彩だったことを知りました。トルナトーレ監督の「‎‎ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」の音楽もモリコーネだし、一番驚いたのはサッコ=ヴァンゼッティ事件を扱った「死刑台のメロディ」(1970)の主題歌「勝利への讃歌」ジョーン・バエズの自作ではなくモリコーネの曲だったとは!(ご存知なかった方はぜひ聴いてみて下さい。
⑧「ゴジラ-1.0」はずいぶんヒットしているし、ゴジラ映画と言えば幼い頃1954年の最初の「ゴジラ」と続くアンギラスとかスラ等が登場するシリーズを数本観ただけの私ヌルボよりも詳しい人は山ほどいるでしょう。
 とりあえず探ってみたのは本作のタイトル中の<-1.0>の意味です。するとおよそ以下のようなことです。<-1.0><マイナスワン>と読み、戦争によって焦土と化して文字通り<無(ゼロ)>になった日本に追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現し、圧倒的な力で日本を<負(マイナス)>へと叩き落とすということ。
 私ヌルボ、初代ゴジラ以前の時代設定だからかな?となんとなく思っていましたがそうじゃなかったんですね。
 で本作の見どころはそのような時代設定と、また何よりもゴジラ(と、その出現)がすごく怖かったこと。いろんな意味で<原点>のように思える作品でした。
⑨「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」は事実に基づくアメリカのドラマ。
 2011年のある日のニューヨーク。早朝、双極性障害を患う黒人の元海兵隊員ケネス・チェンバレンは就寝中に医療用通報装置を誤作動させてしまいます。安否確認にやって来た3人の警官に、ケネスはドア越しに通報は間違いだと伝えますが信じてもらえません。最初は穏便に対応していた警官たちはドアを開けるのを拒むケネスに不信感を募らせます。次第に高圧的な態度をとるようになっていきます・・・。
 結末は、まさにネタバレになっているタイトルそのまま。
 なぜそんなことになったのか? ケネスが住んでいる辺りは警官にとっては<危険な街区>だったこと。だからケネスが「令状も持ってないのに入れるわけにはいかない!」と拒否しても立入りを強行できる(??)。そして黒人に対する差別に根差した不信と怖れがある。部屋の中でケネスが電話で話している声を聞いて「誰かもう1人いるぞ!」「薬物の売買をやってる?」等々誤解はどんどん良くない方に突き進む・・・。
 上映時間は83分。この短い時間にこの惨劇が始まり、終わるのです。
 本作についてのレビューを読んだ中で「福田村事件を想起しました」と書かれたものがいくつかありました。私ヌルボもその1人です。差別・偏見・怖れ・狂気のような使命感にかられた凶行へ、といったところが共通項です。
⑩「Winny」、このタイトルは20年ほど前に金子勇さんが公開したファイル交換ソフトの名称てす。ところがこのソフトが音楽や映像等の著作物の違法コピーに用いられ「著作権侵害に利用される」との理由で裁判では違法とされてしまい、Winnyを利用して著作物を送信した人たちが逮捕されます。金子さんは<違法コピー>はしていなかったのですが<著作権法違反幇助>の容疑で逮捕されてしまいます。
 私ヌルボ、本作を観て20年ほど前のファイル交換ソフトWinnyの報道に対する自らの鈍感さを反省しました。新聞等の見出しだけ見て「違法アップロードのモトとなると当然ダメだろ」程度の認識しかなかったようだしなー。
 本作では最初から「ナイフで人を刺す犯罪があった場合、ナイフを作った」人間を罪に問えますか?」といったわかりやすい説明があってナルホド!でしたが・・・。
 その金子勇さんを東出昌大が好演しています。

[別格] セルゲイ・ロズニツァ《戦争と正義》ドキュメンタリー2選等については近いうちにあらためて書くことにします。
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暮れと正月に観たオススメ映画 <その2>

2024-01-07 19:17:14 | 韓国映画(&その他の映画)
 今年最初の映画鑑賞は1月2日イオンシネマ徳島で観た「ファースト・カウ」です。
 唐突ですが、このブログ記事を今読み始めた方々にお尋ねします。お住まいの都道府県に映画館はいくつありますか?
 ある詳細な映画&映画館関係のデータサイトによると高知県が2館て最少。徳島県は鳥取・島根と並び3館で全国2番目の少なさです。(※このデータ集の中の全国の1人当たり年間映画鑑賞回数を見ると2019年が1.5回、2021年が0.8回という数値には愕然!)
 その県内3館の映画館中、徳島駅から歩いてすぐの商店街にある1館に行ってみると、(横浜基準では)ミニシアターほどの小ぢんまりとした映画館でした。
 市内でもう1館のイオンシネマ徳島は私ヌルボにとってはよく知らない、徳島駅からは直線でも約2キロは離れた所にあるイオンモールの最上階(5F)にあるとか。で、とくに期待感もなく上映作品をPCで見てみると・・・。えっ!?まさか! 「ファースト・カウ」があるではないですか! (一部の?)映画オタクの間で注目のアメリカの女性監督ケリー・ライカートの注目作です。
 
 この作品は、2021年11月10日の過去記事でも書いた通り韓国では2021年11月4日に公開されて記者・評論家が絶賛しています。私ヌルボも期待を込めて詳しく内容を紹介しました
 そんな作品が日本でも約2年後の12月22日ようやく公開されたことは知っていましたが、その時点での上映館は東京で4館、神奈川では1館のみ。そんな地味な(?)作品をイオンシネマ徳島では12月29日から上映しているのです。
 「これは行かずばなるまいて!」と自動車専用道を行くと早いのでタクシーを張り込んで行くと、イオンモールの大きさと客の多さにビックリ!×2。(人口約25万の1%はいたかも・・・!?) そして5Fの映画館に行ったらスゴイすごいスゴイ!×3。とても広いし少し薄暗くて良いフンイキ。横浜で近所にあるブルク13も大きなシネコンで同じフロアにはレストラン等もありますが、イオンシネマ徳島は映画館を抜けると飲食店街があり映画の客よりもたくさんの客で(正月だからか?)ごった返している感じ。

 「ファースト・カウ」には全72席で観客が7人。私ヌルボの前に3人組、後ろに1人×3。皆さんに「どんな経緯で観に来られたのですか?」と訊いてみたくなりました。
 作品は期待通り! ややこしい部分もわりとあるので表紙から裏表紙まで牛の目玉の部分に穴が貫通しているパンフを買い、モールの前から出ている徳島駅前行きのバスに乗って帰りました。
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暮れと正月に観たオススメ映画 <その1>

2024-01-06 13:45:26 | 韓国映画(&その他の映画)
※1月6日にこの記事を公開したのに、なぜか7日夜?に消えていることに気付きました。<その2>の方は残っているのに・・・。その後悪戦苦闘するもよくわからず。今日(1月9日)ちょうど2週間ぶりに横浜に帰る新幹線の車中てPCをいじくってたら、Wordに残してあった下書きが奇跡のように見つかったので再び公開する運びとなりました。日付はごまかしておきます(^^;)。やれやれ。

 個人的年間映画ベスト10関係の記事に手間取っているので、その穴埋めという意図もあって、昨年の最後に観た映画と今年最初に観た映画のことを書きます。いや、「穴埋め」どころか、映画もぜひオススメだし、初めて行った大阪ステーションシティシネマもまた特筆すべきものだったので。

 暮れの12月28日。徳島への帰省の途中その大阪ステーションシティシネマで観たのが「窓ぎわのトットちゃん」でした。小さな子供(&孫)連れの観客が多かったですが、今は(もちろん私ヌルボも含めて)大人も日本が米英との戦争に突入した時代の雰囲気をご存知ないので、お子さん共々勉強になるし、それにも増して感動的な作品でした!
 黒柳徹子さんの原作本も未読だったのですが、ウィキペディアによれば「世界35ヶ国で翻訳され、1985年にポーランドのヤヌシュ・コルチャック賞受賞。中国では2017年に累計発行部数1000万部突破。2023年10月時点で全世界累計発行部数2500万部を突破。「最も多く発行された単一著者による自叙伝」としてギネス世界記録の認定を受けた」とあって、すごいスゴイすごい!(←大変遅ればせながら・・・)
 またトモエ学園の園長だった小林宗作先生のこともその後検索していろんなことを知りました。
 当時の黒柳さんはお父さんがヴァイオリニストで、リベラルな考え方の持ち主であり、家には氷冷蔵庫があること等から考えると裕福な家庭だったようですね。
 あ、黒柳徹子さんと言えば私ヌルボ、初主演のラジオ番組「ヤン坊ニン坊トン坊」(1954~57.脚本:飯沢匡)のことを憶えてるゾ! またその主題歌も・・・って検索したらYouTubeで聴けるでないの! ※「ヤン坊ニン坊トン坊」で動画検索してみて。

 さて、この作品を観た大阪ステーションシティシネマは上述のように初めて。で、やっぱりすんなりとは行き着けませんでした(笑)。
 私ヌルボが居住している横浜市は現在人口約380万人で大阪市を約100万人上回って第2位。横浜駅も現在の駅舎に移転後100年以上もの間工事が途絶えたことがなく、首都圏では渋谷駅とともに<常に工事している駅>として知られています。
 しかし、帰省で大阪に立ち寄る度にいろんな点で「横浜は大阪に負けている」のは言うまでもないことで、その変貌の速さとパワー、そして東京よりはるかに古い伝統の重みに圧倒されるばかりです。
 もう何年も前、大阪の駅ビルを歩く時には東西南北の2次元の位置だけでなく、例えば今自分が駅ビルの何階の高さにいるか ?という3次元の位置感覚が必要だな、と痛感しました。そんな所は横浜にはないし、東京にもないのではないでしょうか?
 この大阪ステーションシティシネマもノースゲートビルという大阪ターミナルビルの最上階(11F)にあり、午前中のまだ多くの店舗の開店前の時間帯なので1Fからエスカレーターを乗り継いでたどり着くまで苦労しました。その11Fのテラスから北西方向を眺めると、4年前に行ったシネ・リーブル梅田が見えますが、その手前は工事中?だか何だか空き地が広がっていました。

 例によってビジネスホテルに前夜泊。その近辺に露店神社(お初天神)とか太融寺等々があります。ホントに見どころが無尽蔵にある都市です。帰途にも大阪在住の旧友と半世紀振り!に会い、食い倒れの街を堪能して1泊する予定です😊。
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★2023年 ヌルボの個人的映画ベスト10 2007~2023年

2024-01-04 13:07:42 | 韓国映画(&その他の映画)
赤色は韓国映画または韓国・北朝鮮に関係する映画です。
※追って2023年に限定して各作品の内容をネタバレを避けて紹介し感想等を記した記事を書きます。(いつになるんだ??)

[2023年](全100作品)①小さき麦の花(中) ②市子(日) ③窓ぎわのトットちゃん(日) ④オマージュ(韓) ⑤飯舘村 べこやの母ちゃん それぞれの選択(日) ⑥プレジデント(デンマーク・ノルウェー・米・英) ⑦モリコーネ 映画が恋した音楽家(伊・ベルギー・蘭・日) ⑧ゴジラ-1.0(日) ⑨キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(米) ⑩Winny(日)
[次点](順不同) ◯福田村事件(日) ◯658㎞、陽子の旅(日) ◯月(日) ◯SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(米) ◯ミャンマー・ダイアリーズ(秘匿=ミャンマーの反政府軍)
[別格] セルゲイ・ロズニツァ《戦争と正義》ドキュメンタリー2選<破壊の自然史(独・リトアニア・蘭)・キエフ裁判(ウクライナ・蘭)>

[2022年](全118作品)①ケイコ 目を澄ませて ②教育と愛国 ③劇場版 荒野に希望の灯をともす ④RRR ⑤モガディシュ 脱出までの14日間 ⑥あのこと ⑦犬王 ⑧サバカン SABAKAN ⑨ハケンアニメ! キングメーカー大統領を作った男 
[次点] ①テレビで会えない芸人 ②スープとイデオロギー ③シスター 夏のわかれ道 ④ザリガニの鳴くところ ⑤ブルー・バイユー [前年公開]◯水俣曼荼羅←21年観てたら多分同年1位。 [初見の旧作]◯カティンの森◯アルジェの戦い◯ブリキの太鼓 ←日藝の好企画<領土と戦争>で鑑賞(ユーロスペースで上映)

[2021年](全150作品)①ドライブ・マイ・カー②サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜③パワー・オブ・ザ・ドッグ④サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)⑤アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン⑥ノマドランド⑦クルエラ⑧春江水暖~しゅんこうすいだん⑨きみが死んだあとで⑩14歳の栞
 [次点] ①サマーフィルムにのって ②子供はわかってあげない ③あのこは貴族 ④茜色に焼かれる ⑤ブータン 山の教室 ⑥最後の決闘裁判 ⑦MINAMATAーミナマター
 [別格(旧作の再上映中の傑作)] ①キートンの探偵学入門 ②文化生活一週間 ③ハッピーアワー ④デカローグ 1.ある運命に関する物語 ⑤ルパン三世 カリオストロの城〈4K+7.1ch〉 ⑥国葬 ⑦粛清裁判 ⑧お引越し ⑨台風クラブ ⑩座頭市物語〈4Kデジタル修復版〉
 [アニメ枠] おこんじょうるり(《アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3/Bプログラム:岡本忠成作品〈4K修復版〉》)
 [韓国映画枠] ①ただ悪より救いたまえ ②茲山魚譜 チャサンオボ ③逃げた女 ④KCIA 南山の部長たち ⑤夏時間 ⑥記憶の戦争 ⑦ファイター、北からの挑戦者 ⑧野球少女 ⑨新感染半島 ファイナル・ステージ ⑩サムジンカンパニー1995

[2020年](全113作品)①二人ノ世界②死霊魂③37セカンズ④はちどり⑤在りし日の歌⑥朝が来る⑦彼らは生きていた⑧スパイの妻 劇場版⑨ミッドナイトスワン⑩なぜ君は総理大臣になれないのか
 [次点] 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン・アルプススタンドのはしの方・三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実
 [別格] この世界の(さらにいくつもの)片隅に
 [オススメ外国アニメ枠] マロナの幻想的な物語り・ブレッドウィナー・ウルフウォーカー
 [別枠] チャンケ:よそ者・夏時間[ハラボジの家] 移葬

[2019年](全123作品)①金子文子と朴烈②象は静かに座っている③半世界④バジュランギおじさんと、小さな迷子⑤幸福なラザロ⑥ i-新聞記者ドキュメント-⑦存在のない子供たち⑧ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん⑨東京干潟⑩リトル・フォレスト 春夏秋冬
 [次点] RBG 最強の85才・ブラック・クランズマン・ナディアの誓い - On Her Shoulders・劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~・EXIT イグジット・流転の地球
 [別格] サタンタンゴ
 [別枠] 沖縄スパイ戦史

[2018年](全97作品)①菊とギロチン②顔たち、ところどころ③判決、ふたつの希望④犬ヶ島⑤止められるか、俺たちを⑥坂道のアポロン⑦ラ・チャナ⑧カメラを止めるな!⑨生きてるだけで、愛。⑩ニッポン国VS泉南石綿村
 [次点] 謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス・万引き家族・孤狼の血
 [別格(旧作の新版)] ファニーとアレクサンデル
 [別枠(映画祭での上映作、19年一般劇場)] 金子文子と朴烈

[2017年](全98作品)①わたしは、ダニエル・ブレイク②あゝ、荒野③ベイビー・ドライバー④米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー⑤抗い 林えいだい⑥ブレードランナー 2049⑦みかんの丘⑧トンネル 闇に鎖された男新感染 ファイナル・エクスプレス⑩KUBO/クボ 二本の弦の秘密
 [次点] 哭声/コクソン・人生タクシー
 [別格(旧作の新版)] アンダーグラウンド完全版・牯嶺街少年殺人事件(デジタル・リマスター版)

[2016年](全84作品)①キャロル②トランボ ハリウッドに最も嫌われた男③この世界の片隅に④ブリッジ・オブ・スパイ⑤ソング・オブ・ザ・シー 海のうた⑥ズートピア⑦インサイダーズ/内部者たちそばの花、運のいい日、そして青春⑨私の少女時代-Our Times-⑩牡蠣工場
 [次点] シアター・プノンペン・ハドソン川の奇跡・危路工団
 [別格(初見の旧作)] チリの闘い・アルジェの戦い(デジタル・リマスター版)

[2015年](全100作品)①ボーダレス ぼくの船の国境線②顔のないヒトラーたち③セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター④雪の轍⑤マッドマックス/怒りのデスロード⑥神々のたそがれ⑦幕が上がる⑧海街diary⑨ストレイト・アウタ・コンプトン⑩KANO~1931海の向こうの甲子園~
 [次点] バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)・人生スイッチ・恋人たち・傷だらけのふたり許三観
 [別格(初見の旧作)] ショア・裸の島

[2014年](全88作品)①イーダ②グランド・ブダペスト・ホテル③ジャージー・ボーイズ④罪の手ざわり⑤ソウォン/願い新しき世界ソニはご機嫌ななめ怪しい彼女テロ,ライブ⑩ある精肉店のはなし
 [次点] 60万回のトライ私の少女(扉の少女・ドヒや)・祖谷物語 おくのひと

[2013年](全81作品)①セデック・バレ②少女は自転車にのって③きっと、うまくいく④もうひとりの息子⑤嘆きのピエタ⑥あの頃、君を追いかけた⑦シュガーマン 奇跡に愛された男⑧ハンナ・アーレント⑨王になった男建築学概論
 [次点] 殺人の告白・凶悪
 [別格] 阿賀に生きる
 [多くの人に観てほしい作品] ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして

[2012年](全87作品)①ニーチェの馬②ヒューゴの不思議な発明③プンサンケ(豊山犬)ワンドゥギ拝啓、愛しています⑥ロボット 完全版⑦桐島、部活やめるってよ⑧三池 終わらない炭鉱(やま)の物語⑨かぞくのくに⑩ピアノマニア
 [別格]春夏秋冬そして春

[2011年](全80作品)①サラの鍵②テザ 慟哭の大地③愛する人④彼とわたしの漂流日記⑤アリス・クリードの失踪⑥阪急電車 片道15分の奇跡⑦牛と一緒に7泊8日⑧未来を生きる君たちへ⑨ゴーストライター⑩エンディングノート
 [次点] その街のこども 劇場版、昼間から呑む

[2010年](全61作品)息もできない過速スキャンダル冬の小鳥④ゲキシネ蛮幽鬼⑤実録・連合赤軍 あさま山荘への道程⑥告白⑦瞳の奥の秘密⑧飛べ!ペンギン⑨川の底からこんにちは⑩ONE SHOT ONE KILL
 [次点] キャタピラー、義兄弟

[2009年](全52作品)①グラン・トリノ②ディア・ピョンヤン妻が結婚した母なる証明チェイサー⑥チェンジリング⑦劔岳 点の記⑧チョコレート・ファイター⑨戦場のワルツ⑩牛の鈴音
 [次点] ディア・ドクター、木浦は港だ

[2008年](全50作品)①ダークナイト②パコと魔法の絵本③ウリハッキョ④休暇⑤シークレット・サンシャイン⑥ラスト・コーション⑦接吻⑧おくりびと⑨闇の子供たち⑩火垂るの墓・実写版

[2007年](全60作品)①世界最速のインディアン②パンズ・ラビリンス③キサラギ④ドリームガールズ⑤それでも僕はやっていない⑥夕凪の街 桜の国⑦幸福(しあわせ)のスイッチ⑧檸檬の頃⑨幸福(こうふく)の食卓⑩私たちの幸せな時間
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YouTubeで視聴できる韓国映画(1936~2000年)の名作207編(+特別映像3編) 全リスト≪2022年版≫

2022-01-14 15:37:18 | 韓国映画(&その他の映画)
 本ブログで<YouTubeで視聴できる韓国映画>のリストを最初に公開したのは2014年5月。(→コチラ)。その時は全83編でした。※韓国では映画を「1本、2本」ではなく「1編、2編」と数えます。
 その最初の改訂版は2017年3月。(→コチラ)。全150編(+特別映像2つ)で、作品数は一挙に増えました。
 続いて2019年12月の改訂版は188編(+特別映像5つ)。(→コチラ)、そして今回は207編(+特別映像3編)です。
 今回も、リストの基本DBは韓国映像資料院のYouTubeチャンネルである<한국고전영화 Korean Classic Film>の公開動画リスト(→コチラ)です。
 2014年以降の作品数を見ると新しい作品がどんどん追加されているようですが、中身を確認すると単純に増加しているのではありません。以前はリストにあったのに視られなくなった作品がかなりの数に上っているのです。
 前回(2019年)では「星たちの故郷」、「風吹く良き日」等々の有名作を含む20作品が消えましたが、今回はさらに増えて全部で27編(下のリスト参照。) 上記2作品の他にも「シバジ」、「開闢」、「神様こんにちは」等々の名作が観られないのはとても残念です。著作権問題等々(?)その背後事情はわかりません。ただ、その中には別のアカウントで公開されているものも相当数あるようなので、ハングルのタイトルでググって動画検索してみてください。※ただし基本的に日本語字幕ナシなので韓国語の聴き取りのスキルが必要です。また、中には全編ではなく途中から始まる等ヘンに編集されているものもあり、要注意です。
 それでも、この200作品を超えるリストの中には韓国映画市場の名作や私ヌルボのオススメの作品がたくさん残っています。・・・と言ってもヌルボ自身この中で映画館で観たのは40~50作品(??)、このYouTubeサイトで観たのは20作品前後なので全体の3分の1まで行くかどうか? それに観るのは聴き取りに苦労するし観終わってもすぐ忘れるしトホホ状態です(泣)。
 なお、前回映像等が改善されて登場した<복원본(復元本)>は今回計14編になりました。※以下の記事では<復元版>としました。

《注記》
・前回は<KMDb>のDBを優先して制作年により分けましたが、細かなデータが不明な作品も多く、今回は<DAUM映画>等を参考に各作品の初公開の年によって分けました。YouTubeの各作品のタイトルに付けられているのは制作年なので、作品によってはズレが生じています。
・データ中の「85分」等の時間はオリジナル作品の正確な長さとは限りません。YouTube上の動画の長さです。なお秒の単位は切り捨てています。
・日本語のタイトルについて。過去日本で公開された作品は<輝国山人のホームページ>(→コチラ)や、<シネマコリア>(→コチラ)を参考に、原則としてその時の日本題をそのまま用いています。<輝国山人の韓国映画>には監督名の漢字表記等、おおいに参考にさせていただきました。
・以下の各作品を実際にYouTubeで視聴するには、作品のハングルのタイトルをYouTubeの検索窓にコピペして検索するのが手っ取り早いと思います。ハングルが読めて、過去の韓国映画に一定の知識のある方は上記の公開動画リストから選んで直接開けばもちろんOKですが・・・。
・日本語字幕付きの作品は全4編。これも後の方にリストを載せておきます。なお、観る際に設定しておけば韓国語(128編)・英語・(なぜか多い)イタリア語の他、自動翻訳で日本語の字幕が見られる作品もあります。その方法については記事の最後で説明します。
・より多くの韓国映画の視聴を希望する方は、韓国映像資料院のサイトKMDB(→コチラ)で観られますが、会員登録(かなり面倒)が必要です。
最後の方に約7分の特別編集映像も貼っておきました。ぜひ見てみてください!

≪YouTubeに公開されている韓国映画名作リスト(全208編)

【1920年代(推定)】
稼に追付く貧乏なくて(근로의 끝에는 가난이 없다)/李圭卨(リ・ギュソル)/19分
京城だより(경성소식)/3分

【1931年】
満州での戦闘(만주에서의 전투)/(ドイツによるドキュメンタリーの一部)/126分

【1936年】
迷夢[死の子守歌](미몽)[죽음의 자장가]/1936-10-25/梁柱南(ヤン・ジュナム)/48分

【1940年】
授業料(수업료)/1940-4-30/崔寅奎(チェ・インギュ)・方漢駿(パン・ハンジュン)/82分

【1941年】
半島の春[美しい青春](반도의 봄[아름다운 청춘])/1941-?-?/李炳逸(イ・ビョンイル)/85分
温突[オンドル](온돌)/1941-?-?/朝鮮総督府がオンドル文化紹介のため製作。韓国映像資料院が2020年ロシアに残されていた35㎜フィルムを4Kデジタル化/11分

【1946年】
自由万歳(자유만세)/1946-10-22/崔寅奎(チェ・インギュ)/52分

【1948年】
独立前夜(독립전야)/1948-02-11/崔寅奎(チェ・インギュ)/51分
検事と女先生:弁士録音版(검사와 여선생:변사 녹음 버전)/1948-06-05/尹大龍(ユン・デリョン)/61分

【1949年】
心の故郷(마음의 고향)/1949-02-09/尹龍奎(ユン・ヨンギュ)/77分

【1951年】
三千万の花束(삼천만의 꽃다발)/1951-10-15/申敬均(シン・ギョンギュン)/47分

【1954年】
運命の手(운명의 손)/1954-12-14/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/89分

【1955年】
ピアコル(피아골)/1955-09-23/李康天(イ・ガンチョン)/108分
ピアコル 復元版(피아골 복원본)/1955-09-23/李康天(イ・ガンチョン)/108分
陽山道(양산도)/1955-10-13/金綺泳(キム・ギヨン)/90分
若い彼ら(젊은 그들)/1955-11-30/申相玉(シン・サンオク)/90分
未亡人[寡婦の涙](미망인[과부의 눈물])/1955-12-10/朴南玉(パク・ナモク)/75分

【1956年】
撃退(私たちはこのように戦った)(격퇴(우리는 이렇게 싸웠다))/1956-04-04/李康天(イ・ガンチョン)/84分
青春双曲線(청춘쌍곡선)/1956-04-10/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/94分
自由夫人(자유부인)/1956-06-09/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/125分
ソウルの休日(서울의 휴일)/ 1956-11-21 李庸民(イ・ヨンミン)/ 91分
嫁入りの日[嫁ぐ日](시집가는 날)/1956-11-27/李炳逸(イ・ビョンイル)/79分

【1957年】
無影塔(무영탑)/1957-4-12/申相玉(シン・サンオク)/118分
純愛譜(순애보)/1957-11-15/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/108分
風雲の宮殿(풍운의 궁전)/1957-12-18/鄭昌和(チョン・チャンファ)/99分

【1958年】
あなたと永遠に(그대와 영원히)/1958-01-15/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/110分
お金(돈)/1958-03-09/金蘇東(キム・ソドン)/123分
地獄花(지옥화)/1958-04-20/申相玉(シン・サンオク)/86分
ある女子大生の告白(어느여대생의고백)/申相玉(シン・サンオク)/1958-07-12/122分
鐘閣(종각)/1958-08-30/梁柱南(ヤン・ジュナム/)/96分
自由結婚(자유결혼)/1958-10-14/李炳逸(イ・ビョンイル)/95分

【1959年】
その女の罪ではない(그 여자의 죄가 아니다)/1959-01-14/申相玉(シン・サンオク)/104分
やせっぽちと太っちょ論山訓練所に行く(홀쭉이뚱뚱이 논산 훈련소에 가다)/1959-02-06/金火浪(キム・ファラン)/105分
高宗皇帝と義士安重根(고종황제와 의사 안중근)/1959-04-10 /全昌根(チョン・チャングン)/110分
柳寛順(유관순)/1959-05-21/尹逢春(ユン・ボンチュン)/102分
同心草(동심초)/1959-07-09/申相玉(シン・サンオク)/126分
姉妹の花園(자매의 화원)/1959-10-01/申相玉(シン・サンオク)/108分
名前のない星たち(이름없는 별들)/1959-10-31/金剛潤(キム・ガンユン)/105分
雲は流れても(1959)(구름은 흘러도)/1959-11-05/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/93分
雨降る日の午後3時(1959)(비오는 날의 오후 3시)/1959-11-25/朴宗浩(パク・ジョンホ)/109分
女社長(여사장)/1959-12-16/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/105分

【1960年】
(흙)/1960-01-28/権寧純(クォン・ヨンスン)/101分
ロマンス・パパ(로맨스 빠빠)/1960-01-28/申相玉(シン・サンオク)/131分
この命の尽きるまで[最後の日まで](이 생명 다하도록)/1960-07-01/申相玉(シン・サンオク)/109分
白蛇夫人(백사부인)/1960-10-02/申相玉(シン・サンオク)/92分
朴さん(박서방)/1960-10-05/姜大振(カン・デジン)/138分
漂流島(표류도)/1960-12-17/権寧純(クォン・ヨンスン)/124分

【1961年】
春香伝(춘향전)/1961-01-18/洪性麒(ホン・ソンギ)/110分
成春香(성춘향)/1961-01-28/申相玉(シン・サンオク)/119分
成春香 復元版(성춘향 복원본)/1961-01-28/申相玉(シン・サンオク)/143分
荷馬車[馬夫](마부)/1961-02-15/姜大振(カン・デジン)/99分
ひまわり家族(해바라기 가족)/1961-04-13/朴性馥(パク・ソンボク)/120分
誤発弾 復元版(오발탄 복원본)/1961-04-13/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/107分
三等課長(삼등과장)/1961-05-04/李奉來(イ・ボンネ)/105分
ノダジ(노다지)/1961-06-01/鄭昌和(チョン・チャンファ)/127分
豚の夢(돼지꿈)/1961-06-17/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/115分
懸賞つきの男(현상붙은 사나이)/1961-06-23/金黙(キム・ムク)/43分
ク・ボンソ(具鳳書)のにわか成金(구봉서의 벼락부자)/1961-07-13/金洙容(キム・スヨン)/114分
離れの客とお母さん(사랑방 손님과 어머니)/1961-08-26/申相玉(シン・サンオク)/103分
常緑樹(상록수)/1961-09-20/申相玉(シン・サンオク)/141分
5人の海兵(5인의 해병)/1961-10-20/金基悳(キム・ギドク)/118分
姉さんはお転婆娘(언니는 말괄량이/1961-10-27/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/99分
玄海灘は知っている(현해탄은 알고 있다)/1961-11-10/金綺泳(キム・ギヨン)/108分
田舎者オボギ(五福)(촌놈 오복이)/1961-11-11/任源稷(イム・ウォンジク)/111分
ソウルの屋根の下(서울의 지붕밑)/1961-11-30/李亨杓(イ・ヒョンピョ)/125分
ソウルの屋根の下 復元版(서울의 지붕밑 복원본)/1961-11-30/李亨杓(イ・ヒョンピョ)/124分
密陽アリラン(밀양 아리랑)/1961-12-02/梁柱南(ヤン・ジュナム)/6分
靴磨き(구두닦이)/1961-?-?/玄相悦(ヒョン・サンヨル)/52分

【1962年】
燕山君[長恨思母篇](연산군[장한사모편])/1962-01-01/申相玉(シン・サンオク)/135分
豆満江よ、さらば(두만강아 잘 있거라)/1962-02-04/林権澤(イム・グォンテク)/100分
暴君燕山[復讐、快挙編](폭군연산[복수, 쾌거편])/1962-02-05/申相玉(シン・サンオク)/133分
置き去られた山河(두고온 산하)/1962-03-01/李康天(イ・ガンチョン)/124分
孟(メン)進士宅の慶事(맹진사댁 경사)/1962-03-08/李庸民(イ・ヨンミン)/124分
アカシアの花が咲く時(아카시아 꽃잎 필때)/1962-06-06/趙肯夏(チョ・グンハ)/98分
路地裏の風景(골목안 풍경)/1962-06-28/朴宗鎬(パク・ジョンホ)/118分
花郎道(화랑도)/1962-09-13/張一湖(チャン・イロ)/99分
女判事(여판사)/1962-11-03/洪恩遠(ホン・ウヌォン)/86分
烈女門(열녀문)/1962-12-13/申相玉(シン・サンオク)/100分

【1963年】
ロマンス・グレー(로맨스그레이)/1963-01-25/申相玉(シン・サンオク)/124分
トスニ[副題:幸福の誕生](또순이[행복의 탄생] )/1963-02-08/朴商昊(パク・サンホ)/92分
帰らざる海兵(돌아오지않는 해병)/1963-04-11/李晩煕(イ・マニ)/109分
金薬局の娘たち(김약국의 딸들)/1963-05-01/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/109分
江華道令(강화도령)/1963-06-01/申相玉(シン・サンオク)/126分
血脈(혈맥)/1963-10-3/金洙容(キム・スヨン)/82分
(쌀)/1963-11-16/申相玉(シン・サンオク)/124分

【1964年】
裸足の青春(맨발의 청춘)/1964-02-29/金基悳(キム・ギドク)/117分
赤いマフラー(빨간마후라)/1964-03-27/申相玉(シン・サンオク)/106分
肉体の告白육체의 고백)/1964-06-20/趙肯夏(チョ・グンハ)/140分
魔の階段(마의 계단)/1964-07-10/李晩煕(イ・マニ)/109分
마의 계단(1964) 복원본
魔の階段 復元版(마의 계단)/1964-07-10/李晩煕(イ・マニ)/109分
마의 계단(1964) 복원본
黒髪(검은 머리)/1964-07-31/李晩煕(イ・マニ)/108分
唖の三龍(벙어리 삼룡)/1964-11-13/申相玉(シン・サンオク)/84分

【1965年】
南と北(남과 북)/1965-01-01/金基悳(キム・ギドク)/116分
あの空にも悲しみが(저 하늘에도 슬픔이)/1965-5-5/金洙容(キム・スヨン)/104分
春夢(춘몽)/1965-07-03/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/71分
殺人魔(살인마)/1965-08-12/李庸民(イ・ヨンミン)/93分
浜辺の村(갯마을)/1965-11-19/金洙容(キム・スヨン)/93分

【1966年】
午年生まれの嫁[午年新婦](말띠신부)/1966-01-01/金基悳(キム・ギドク)/93分
夜来香(예라이샹)/1966-02-05/鄭昌和(チョン・チャンファ)/116分
下宿生(하숙생)/1966-06-30/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/104分
水車(물레방아)/1966-11-10/李晩煕(イ・マニ)/91分
ウォーカーヒルで会いましょう(워커힐에서 만납시다)/1966-12-10/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/97分

【1967年】
ある女優の告白(어느 여배우의 고백)/1967-02-09/金洙容(キム・スヨン)/87分
山火事(산불)/1967-04-22/金洙容(キム・スヨン)/80分
原点(원점)/1967-06-01/李晩煕(イ・マニ)/98分
(꿈)/1967-06-15/申相玉(シン・サンオク)/91分
帰路(귀로)/1967-07-27/李晩煕(イ・マニ)/90分
月下の共同墓地[妓生月香之墓](월하의 공동묘지[기생월향지묘])/1967-08-25/権哲輝(クォン・チョルフィ)/88分
(안개)/1967-10-19/金洙容(キム・スヨン)/79分

【1968年】
若いケヤキ(젊은 느티나무)/1968-03-29/李星究(イ・ソング)/77分
木々は丘に立つ(나무들 비탈에 서다)/1968-04-13/崔夏園(チェ・ハウォン)/108分
憎くてももう一度(미워도 다시한번)/1968-07-16/鄭素影(チョン・ソヨン)/87分
将軍の髭(장군의 수염)/1968-09-14/李星究(イ・ソング)/100分28秒
将軍の髭(장군의 수염)/1968-09-14/李星究(イ・ソング)/100分58秒(※ラストに入っている韓国映像資料院のデータの分だけ長い。)
じゃがいも(감자)/1968-11-15/金承鈺(キム・スンオク)/83分
内侍(내시)/1968-12-11/申相玉(シン・サンオク)/98分
二階家の新妻(이층집 새댁)/1968-12-29/李星究(イ・ソング)/93分
休日(휴일)/1968-?-?/李晩煕(イ・マニ)/73分
休日 復元版(휴일 복원본)/1968-?-?/李晩煕(イ・マニ)/73分

【1969年】
男子妓生(남자와 기생)/1969-01-01/沈雨燮(シム・ウソプ)/86分
暗殺者(암살자)/1969-01-16/李晩煕(イ・マニ)/80分
修学旅行(수학여행)/1969-01-23/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/101分
始発点(시발점)/1969-02-02/金洙容(キム・スヨン)/77分
五父子(오부자)/1969-02-09/権哲輝(クォン・チョルフィ)/84分
千年狐(천년호)/1969-03-08/申相玉(シン・サンオク)/89分
李朝女人残酷史(이조 여인잔혹사)/1969-05-02/申相玉(シン・サンオク)/84分
壁の中の女(벽속의 여자)/1969-05-28/朴宗浩(パク・ジョンホ)/91分

【1970年】
甕をつくる老人(독짓는 늙은이)/1970-03-04/崔夏園(チェ・ハウォン)/95分
秘殿(비전)/1970-10-17/李亨杓(イ・ヒョンピョ)/101分

【1971年】
鎖を切れ(쇠사슬을 끊어라)/1971-11-25/李晩煕(イ・マニ)/98分

【1972年】
花粉(화분(꽃가루))/1972-04-07/河吉鍾(ハ・ギルチョン)/89分
巫女図(무녀도)/1972-05-13/崔夏園(チェ・ハウォン)/100分
明洞残酷史(명동잔혹사)/1972-6-4/卞張鎬(ピョン・ジャンホ)、崔寅炫(チェ・イニョン)、林権澤(イム・グォンテク)/93分
零時(0시)/1972-07-01/李晩煕(イ・マニ)/99分
宮女(궁녀)/1972-07-13/申相玉(シン・サンオク)/108分
虫女(충녀)/1972-10-06/金綺泳(キム・ギヨン)/115分

【1973年】
特別捜査本部 ᐸ第2弾ᐳ 女子大生イ・ナニ事件(특별수사본부 ᐸ제2탄ᐳ 여대생 이난희사건(1973))/1973-11-03/薛泰湖(ソル・テホ)/91分

【1974年】
星たちの故郷 復元版(별들의고향 복원본)/1974-04-26/李長鎬(イ・ジャンホ)/109分
特別捜査本部 キム・スイムの一生(특별수사본부 김수임의 일생/1974-05-04/李元世(イ・ウォンセ)/104分
青女(청녀)/1974-07-20/李晩煕(イ・マニ)/101分
野菊は咲いた[野菊は咲いたけど](들국화는 피었는데)/1974-12-07/李晩煕(イ・マニ)/105分

【1975年】
三角の落とし穴(삼각의 함정)/1975-02-01/李晩煕(イ・マニ)/87分
英子(ヨンジャ)の全盛時代(영자의 전성시대)/1975-02-11/金鎬善(キム・ホソン)/107分
英子(ヨンジャ)の全盛時代 復元版(영자의 전성시대(1975) 복원본)/1975-02-11/金鎬善(キム・ホソン)/106分
森浦への道(삼포가는 길)/1975-05-23/李晩煕(イ・マニ)/100分
馬鹿たちの行進(바보들의 행진)/1975-05-31/河吉鍾(ハ・ギルチョン)/102分
特別捜査本部 片腕のキム・ジョンウォン(특별수사본부 외팔이 김종원/1975-10-11/李元世(イ・ウォンセ)/103分
初恋(초연)/1975-12-13/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/105分

【1976年】
ミス・ヤングの行方(미스 영의 행방)/1976-01-01/朴南洙(パク・ナムス)/97分
往十里(왕십리)/1976-01-31/林権澤(イム・グォンテク)/112分
ロボットテコンV 復元(로보트태권V복원)/1976-07-24/金青基(キム・チョンギ)/116分 ⦅アニメ⦆

【1977年】
高校ヤルゲ(고교얄개)/1977-01-29/石来明(ソク・ネミョン)/97分
夜行(야행)/1977-04-23/金洙容(キム・スヨン)/78分
冬の女(겨울여자)/1977-09-27/金鎬善(キム・ホソン)/120分
ハンネの昇天(한네의 승천)/1977-?-?/河吉鍾(ハ・ギルチョン)/108分

【1978年】
コンジュイ パッチュイ(콩쥐 팥쥐)/1978- 01-23/康太雄(カン・テウン)/72分 ⦅アニメ⦆
華麗な外出(화려한 외출)/1978-03-10/金洙容(キム・スヨン)/94分

【1979年】
ピョンテとヨンジャ(丙泰と英子)(병태와 영자)/1979-02-09/河吉鍾(ハ・ギルチョン)/113分
族譜(족보)/1979-05-01/林権澤(イム・グォンテク)/108分
長雨(장마)/1979-08-29/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/126分
夕立ち(ソナギ)(소나기)/1979-09-13/高栄男(コ・ヨンナム)/100分

【1980年】
怪屍(괴시)/1981-4-10/康範九(カン・ボムグ)83分
避幕(피막)/1981-06-13/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/96分

【1981年】
曼陀羅(만다라)/1981-09-12/林権澤(イム・グォンテク)/112分
小さなボール[小人が打ち上げた小さなボール](난장이가 쏘아올린 작은공)/1981-10-17/李元世(イ・ウォンセ)/102分
小さなボール[小人が打ち上げた小さなボール](난장이가 쏘아올린 작은공)/1981-10-17/李元世(イ・ウォンセ)/103分
都市に行った娘(도시로 간 처녀)/1981-12-03/金洙容(キム・スヨン)/95分

【1982年】
火女'82(화녀 82)/1982-06-26/金綺泳(キム・ギヨン)/121分
コバン村の人々(꼬방동네 사람들)/1982-07-17/裵昶浩(ペ・チャンホ)/112分

【1983年】
霧の村(안개마을)/1983-02-12/林権澤(イム・グォンテク)/94分
チャッコ(짝코)/1983-10-23/林権澤(イム・グォンテク)/103分
チャッコ 復元版(짝코)/1983-10-23/林権澤(イム・グォンテク)/102分

【1984年】
糸車よ糸車よ[女人残酷史 糸車よ糸車よ](여인잔혹사 물레야 물레야)/1984-02-25/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/104分
糸車よ糸車よ[女人残酷史 糸車よ糸車よ](여인잔혹사 물레야 물레야)/1984-02-25/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/104分
馬鹿宣言(바보선언)/1984-03-01/李長鎬(イ・ジャンホ)/93分

【1985年】
長男(장남)/1985-06-22/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/108分
長男 復元版(장남 복원본)/1985-06-22/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/108分

【1986年】
桑の葉(뽕)/1986-02-08/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/111分
キルソドム(길소뜸)/1986-04-05/林権澤(イム・グォンテク)/101分
キルソドム 復元版(길소뜸 복원본) /1986-04-05/林権澤(イム・グォンテク)/101分
外人球団[恐怖の外人球団](이장호의 외인구단)/1986-08-02/李長鎬(イ・ジャンホ)/119分
チケット(티켓)/1986-08-23/林権澤(イム・グォンテク)/107分
チケット 復元版(티켓 복원본)/1986-08-23/林権澤(イム・グォンテク)/107分

【1987年】
わが青春の甘き日々(기쁜 우리 젊은 날)/1987-05-02/裵昶浩(ペ・チャンホ)/125分
旅人は休まない(나그네는 길에서도 쉬지 않는다)/1988-06-11/李長鎬(イ・ジャンホ)/104分

【1988年】
成功時代(성공시대)/1988-06-04/張善宇(チャン・ソヌ)/112分
ギャグマン(개그맨)/1989-06-24/李明世(イ・ミョンセ)/123分

【1989年】
波羅羯諦/ハラギャティ(아제아제 바라아제)/1989-03-03/林権澤(イム・グォンテク)/128分
ソウルの虹(서울무지개)/1989-03-25/金鎬善(キム・ホソン)/128分

【1990年】
若き日の肖像(젊은 날의 초상)/郭志均(クァク・ジギュン)/1990-3-16/134分
ウムクペミの愛(でこぼこ畑の愛))(우묵배미의 사랑)/1990-03-31/張善宇(チャン・ソヌ)/116分
南部軍 復元版(남부군 복원본)/1990-05-15/鄭智泳(チョン・ジヨン)/159分
南部軍(남부군)/1990-06-02/鄭智泳(チョン・ジヨン)/159分
将軍の息子(장군의 아들)/1990-06-09/林権澤(イム・グォンテク)/108分

【1992年】
われらの歪んだ英雄(우리들의 일그러진 영웅)/1992-08-15/朴鐘元(パク・チョンウォン)120分

【1993年】
風の丘を越えて 西便制 復元版(서편제 복원본)/1993-04-10/林権澤(イム・グォンテク)/113分

【1994年】
薔薇色の人生(장미빛 인생)/1994-08-06/金弘準(キム・ホンジュン)/94分
太白山脈(태백산맥)/1994-09-17/林権澤(イム・グォンテク)/164分

【1995年】
301・302(삼공일 삼공이)/1995-04-21/朴哲洙(パク・チョルス)/98分
錦(クム)紅(ホン)よ錦紅よ(금홍아 금홍아)/1995-04-22/金裕珍(キム・ユジン)/95分
美しき青年 全泰壱 (아름다운 청년 전태일)/1995-11-13/朴光洙(パク・クァンス)/97分
銀杏のベッド(은행나무 침대)/1996-02-17/姜帝圭(カン・ジェギュ)/87分

【1996年】
学生府君神位(학생부군신위)/1996-03-01/朴哲洙(パク・チョルス)/110分
祝祭(축제)/1996-06-06/林権澤(イム・グォンテク)/106分
ミジ王(미지왕)/1996-12-21/キム・ヨンテ/103分

【2000年】
春香伝(춘향뎐)/2000-01-29/林権澤(イム・グォンテク)/136分

【特別映像】
ミシンの里帰り(재봉틀의 귀향)/31秒 ※金綺泳作品企画展 案内映像か? 「下女」の抜粋映像。
Welcome to the Korean Film Archive YouTube Channel!/15秒
 クォン・ユルとハン・イェリが出会った場所がデジタルメディアシティ(DMC)の韓国映像資料院の前、というごく短い動画。(→コチラ)
Welcome to the Korean Film Archive YouTube Channel/7分09秒
 たくさん(約160編?)の韓国映画の名場面を数秒ずつ寄せ集めたもの。泣いているシーン、殺しのシーン、ラブシーン等々が各3秒以内で目まぐるしく切り替わっていきます。韓国映画ファンの皆さん、いくつタイトルがわかるか挑戦してみましょう。

《日本語字幕付きの作品》
稼に追付く貧乏なくて(근로의 끝에는 가난이 없다)/李圭卨(リ・ギュソル)/19分
京城だより(경성소식)/3分
迷夢[死の子守歌](미몽)[죽음의 자장가]/1936-10-25/梁柱南(ヤン・ジュナム)/48分
授業料(수업료)/1940-4-30/崔寅奎(チェ・インギュ)・方漢駿(パン・ハンジュン)/82分
半島の春[美しい青春](반도의 봄[아름다운 청춘])/1941-?-?/李炳逸(イ・ビョンイル)/85分
温突[オンドル](온돌)/1941-?-?/朝鮮総督府がオンドル文化紹介のため製作。/11分 ※ナレーションが日本語。
誤発弾 復元版(오발탄 복원본)/1961-04-13/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/107分
トスニ[副題:幸福の誕生](또순이[행복의 탄생] )/1963-02-08/朴商昊(パク・サンホ)/92分
ある女優の告白(어느 여배우의 고백)/1967-02-09/金洙容(キム・スヨン)/87分

★字幕の設定について
 画面右下の左から2つ目、を押して設定をします。
 
 「字幕」を押します。最初「オフ」になっていますが、韓国語(ハングル)や英語字幕を選択できます。また「自動翻訳」を押してリストの中から日本語を選ぶこともできます。
 左端のは字幕の「ON/OFF」のボタンです。
      

 ただ、自動翻訳の日本語はかなりメチャクチャなので、その点はご承知置きを。例えば下画像はその一例。

《<한국고전영화 Korean Classic Film>のリストに以前はあったが今はない作品》
初恋(초연)/1966-12-08/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/103分
洪吉童(홍길동)/1967-01-21/申東憲(シン・ドンホン)/67分 ⦅アニメ⦆
ホピとチャドルバウィ(호피와 차돌바위)/1967-08-15/申東憲(シン・ドンホン)/75分 ⦅アニメ⦆
蕎麦の花が咲く頃(메밀꽃 필 무렵)/1967-12-15/李星究(イ・ソング)/98分
火女(화녀)/1971-04-01/金綺泳(キム・ギヨン)/100分
星たちの故郷(별들의고향)/1974-04-26/李長鎬(イ・ジャンホ)/109分
破戒(파계)/1974-11-09/金綺泳(キム・ギヨン)/111分
肉体の約束(육체의 약속)/1975-07-26/金綺泳(キム・ギヨン)/105分
本当に、本当に忘れないで(진짜 진짜 잊지마)/1976-02-14/文如松(ムン・ヨソン)/95分
本当に、本当にごめん(진짜 진짜 미안해)/1976-11-20/文如松(ムン・ヨソン)/85分
悪人よ 地獄行急行列車に乗れ(악인이여 지옥행 급행열차를 타라)/1977-01-28/朴魯植(パク・ノシク)/94分
異魚島(이어도)/1977-10-04/金綺泳(キム・ギヨン)/112分
本当に、本当に好き(진짜 진짜 좋아해)/1978-09-02/文如松(ムン・ヨソン)/84分
殺人蝶を追う女(살인나비를 쫓는 여자)/1978-12-02/金綺泳(キム・ギヨン)/117分
水女(수녀)/1979-04-21/金綺泳(キム・ギヨン)/96分
棘(とげ)を飲み込んだ薔薇(가시를 삼킨 장미)/1979-09-28/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/112分
風吹く良き日(바람불어 좋은날)/1980-11-27/李長鎬(イ・ジャンホ)/118分
カッコーの啼く夜 別離[カッコーは夜中に鳴く](뻐꾸기도 밤에 우는가)/1981-03-01/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/120分
愛の望郷 激流を超えて[鸚鵡の体で鳴いた](앵무새 몸으로 울었다)/1981-10-24/鄭鎭宇(チョン・ジヌ)/122分
愛麻(エマ)夫人(애마부인)/1982-02-06/鄭仁燁(チョン・イニョプ)/102分
晩秋(만추)/1982-02-28/金洙容(キム・スヨン)/95分
赤道の花(적도의꽃)/1983-10-29/裵昶浩(ペ・チャンホ)/104分
鯨とり -コレサニャン-(고래사냥)/1984-03-31/裵昶浩(ペ・チャンホ)/109分
膝と膝の間(무릎과 무릎사이)/1984-09-30/李長鎬(イ・ジャンホ)/101分
肉食動物(육식동물)/1985-03-23/金綺泳(キム・ギヨン)/110分
於宇同(オウドン)(어우동)/1985-09-28/李長鎬(イ・ジャンホ)/115分
黄真伊(황진이)/1986-09-18/裵昶浩(ペ・チャンホ)/119分
内侍(내시)/1986-09-18/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/108分
シバジ(씨받이)/1987-03-21/林権澤(イム・グォンテク)/93分
神様こんにちは[こんにちは、神様](안녕하세요 하나님)/1987-12-24/裵昶浩(ペ・チャンホ)/107分
チルスとマンス(칠수와 만수)/1988-11-26/朴光洙(パク・クァンス)/108分
彼らも我らのように(그들도 우리처럼)/1990-11-10/朴光洙(パク・クァンス)/101分
開闢(개벽)/1991-09-21/林権澤(イム・グォンテク)/149分
競馬場へ行く道(경마장 가는 길)/1991-12-21/張善宇(チャン・ソヌ)/140分
ホワイト・バッジ(하얀전쟁)/1992-07-04/鄭智泳(チョン・ジヨン)125分
つぼみ(꽃잎)/1996-04-05/張善宇(チャン・ソヌ)/101分
豚が井戸に落ちた日(돼지가 우물에 빠진 날)/1996-05-15/洪尚秀(ホン・サンス)/116分
【特別映像】
洪吉童 企画展 案内映像(홍길동 기획전 안내영상)/申東憲(シン・ドンホン)/2分47秒 ⦅アニメ⦆
黄金鉄人 企画展 案内映像(황금철인 기획전 안내영상)/朴英一(パク・ヨンイル)/2分32秒 ⦅アニメ⦆


[付記] もしかしたら、<한국고전영화 Korean Classic Film>のYouTubeのアイコン(左画像)に用いられている女優が誰なのか気になる人も多いのでは? 70~80年代に美人女優として人気を集め、今も多くの映画ファンの記憶に残っている丁允姫(チョン・ユニ)です。「都市の狩人(도시의 사냥꾼)」(1979)の中の1カットです。
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★2020年 ヌルボの個人的映画ベスト10

2021-01-02 18:16:00 | 韓国映画(&その他の映画)
 2020年は、1月5日の「エクストリーム・ジョブ」から12月29日の「パピチャ 未来へのランウェイ」まで、計113作品を観ました。(※韓国文化院の配信3作品を含む。他はすべて映画館で鑑賞。) 前年の124作品から減りましたが、4月7日~5月30日新型コロナによる空白期間があったので、実質はむしろ増えています。
 これ以上は増やさないゾと1年前は心に誓ったのですが、結果は××とはいかないまでも×と△の間くらいでした。

 で、まずは私ヌルボ観た113作品中から選んだベスト10を発表します。

[2020年]
①二人ノ世界
②死霊魂
③37セカンズ
④はちどり
⑤在りし日の歌
⑥朝が来る
⑦彼らは生きていた
⑧スパイの妻 劇場版
⑨ミッドナイトスワン
⑩なぜ君は総理大臣になれないのか
  [次点] 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン・アルプススタンドのはしの方・三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実
  [別格] この世界の(さらにいくつもの)片隅に
  [オススメ外国アニメ枠]  マロナの幻想的な物語り・ブレッドウィナー・ウルフウォーカー
  [別枠] チャンケ:よそ者・夏時間[ハラボジの家] 移葬
赤色は韓国映画または韓国・北朝鮮に関係する映画です。

 今回はまず最上位の3作品は確定。しかし、映画ファンでもこれら3作、どれくらい観た人がいるのかな? それ以前に、映画のタイトルからして初めて見たという人は相当数いらっしゃるのでは?
 4位以下はあまり差がありませんが、4位は韓国映画として画期的だし、ここは長年の韓国映画オタクとして高く評価するしかないっ!という気持ちを込めて(笑)
 20年の映画でとくに目についたのは、とくに後半見応えのある日本映画が続いたこと。⑥と⑧、そして「罪の声」はその代表格。⑨も入る、かな?

 以下、各作品について順にみていきましょう。。
 1位「二人ノ世界」は、第10回日本シナリオ大賞佳作を受賞した松下隆一さんの同名作を京都芸術大学の学生らが中心となって映画化した作品とのことですが、私ヌルボがこの作品のことを知ったのは7月10日の公開日から2ヵ月も経ってからでした。上映館はイオンシネマのごく限られた映画館のみの上映で、結局私ヌルボが観に行ったのは9月17日イオンシネマ港北ニュータウンの朝1番、首都圏でほとんど最後の上映で、ふり返ってみればすごくラッキーでした。ストーリーは、主役の永瀬正敏が演じる俊作はバイク事故による頸椎損傷で36歳にして首から下の自由を失った障碍者。動かせるのが首から上なので、足は動かないが手で比較的自由に車椅子を扱えるというレベルよりもずっと大変なわけです。その彼のもとにヘルパーとしてやってきた華恵(土居志央梨)なんですが、彼女はなんと盲目なのです。なんだ、このキョーレツな設定は!・・・と思いますよね、ところが・・・なんです。
 車椅子の障碍者関係では③「37セカンズ」も香港映画の「淪落の人」もそれぞれにとても感動的な映画でした。観終わって希望が見える、そんな作品です。ところが「二人ノ世界」は観客の期待する希望の芽が1つ、また1つと消えていくのです。そして最後は絶望の果てのまさに「二人ノ世界」。そこに希望らしきものが見えるといえば見えるのか・・・。何はともあれ、これからでも多くの映画館で上映して、大勢の皆さんに観てほしいものです。(いくつかのミニシアターにあるリクエスト用紙に書かなくっちゃ・・・。)
 2位「死霊魂」は、2回の休憩を入れて約9時間という、「サタンタンゴ」を上回る長さ。王兵(ワン・ビン)監督による超大作ドキュメンタリーですが、ナレーションも説明映像等も全然ナシ。1950年代末の百花斉放百家争鳴→反右派闘争で明確な根拠もなく辺地の収容所に送られた人たちの証言を集めたもの。たとえて言えば、上役が忘年会で「無礼講だ。何でも忌憚なく言ってくれ」というから遠慮なくしゃべったら後日しっかり左遷されたというもの。約55万人が収容所に送られ、そこに大飢饉が重なって生還率はわずか1割とか。その中で今世紀まで生き延びた人たちがこれまで抱いてきた思いを各々20~30分語り尽くす。カットなしだから、結果としてこの長さになるのです。聴いているうちに地名・地理その他の状況がだんだんわかってきます。途中で居眠りするかもと思い、★3つだな、と思って観始めたのがだんだん引き込まれたのは証言者たちの訴える力ゆえ。料金は3,900円(涙)だったけど、観てホントによかった・・・(涙)。
 3位「37セカンズ」(実は日米合作映画)は、コロナ休みに入るけっこう前の2月7日から始まっていたのですが、その間なぜ観る気が起こらなかったかというと単純にフツーの障碍者物?となんとなく思ってしまったから。やっぱり先入観は禁物です。障碍者物というよりも、1人の若い女性の成長映画という方が適切かも・・・。ところが、障碍を持った人に相対すると、その人が「若い女性」とかどういう希望を持っている人かとか、どんな仕事をしている人とか、そういったことが見えにくくなるのですね。母親の目からも。いや母親だからこそ、か? そんな状況を主人公の女性ユマさん自身が果敢に切り拓いていきます。また本作は母親の成長映画でもある点も見逃せません。なお、主人公役の佳山明、その母親役の神野三鈴は演技賞モノだと思いました。
 4位「はちどり」は1994年の韓国が舞台。中2の女の子ウニの日々を描いた物語です。しかし、このような個人の、それも14歳の少女の繊細な感情や心理を描写した韓国映画がこれまであったでしょうか? またウニ自身が言葉で語るよりも、いくつもの場面から観客が「自然に」感じ取るのです。ストーリー自体はほとんど淡々と進められるので、ウニに「自然に」感情移入できない観客は退屈に感じるかもしれません。とくに事件が続出したり濃いキャラクターが大勢登場する韓ドラや映画を見慣れている皆さんは「アレッ?」と思うかも・・・。しかし、こんな繊細な作品にも90年代の社会を俯瞰する視点も持ち合わせています。兄に理不尽に殴られ、それを親に訴えても「おまえが殴られるようなことをやったんだろう」と相手にされなかったり等の場面の描写は近年のMeToo運動につながるものです。
 微視的な視点から時代や社会まで見通す優れた作品で、世界の映画祭で数多くの賞を受賞したのも十分以上にナットクできます。
 5位「在りし日の歌」は賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督と並ぶ中国映画第6世代の王小帥(ワン・シャオシュアイ)監督の作品。80年代から現代までの30年間の、主に同じ国営工場の職場仲間だった2家族がその後たどった道と、両者間の友情の物語です。ただ、その30年間の物語が時間軸通りに進むのではなく、時代が遡ったりまた現代に戻ったりと何度も行き来する構成になっている上、場所も一定していないのでわかりにくいですが、ジグソーハズルが組みあがっていくようにだんだん全体像が見えてきます。中国の一人っ子政策を基軸とする物語を個々の家族への微視的に描くとともに、その背後に彼らの人生を翻弄する国全体の巨大な時代の流れが大きく浮かび上がってきます。作中何度も時代が切り替わる時に「螢の光」のメロディが流れます。中国では「友誼地久天長」、つまり「友情はとこしえに」という歌だとか。原題も「地久天長」。この長い時代を背景とした友情の物語に見合ったタイトルです。
 6位「朝が来る」は、河瀬直美監督による辻村深月の同名小説の映画化作品で、第93回アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表作品に決定しましたね。とても感動したのでこの順位に置きましたが、ちょっと批判めいたことを書くと、井浦新と永作博美の夫婦が「模範的」なほど理解ある良い人たちである一方(あ、浅田美代子演じるNPO法人の代表も)、妊娠した中学生の側の大人たちは対照的にヒドすぎますね。
 最近たまたま韓国で「アンプランド」という中絶を批判する映画が高評価を得ていることを知りました。韓国では朝鮮戦争以降欧米等に多くの孤児や未婚女性の産んだ子どもが養子として送り出されたのもキリスト教関係の団体を通じてのことでした。歴史的にみると、昔から世界各地で未婚女性の妊娠が宗教的・道徳的に非難される一方、それゆえに堕胎もふつうに(?)行われてきました。「燃ゆる女の肖像」にもそんな場面がありましたね。それに対してとくに70年代以降「中絶は女性の権利」との主張が力を持つようになり、日本でも中ピ連が注目されましたねー。
 そんなこんなで、今はこの件について一体何が「常識」やら、あるいは「正論」やら、世界的に(少なくとも私ヌルボには)見当がつかない状態です。そもそもどの時点から胎児が「人間」として認められるかという生命倫理学とも関連しています。そんな中、辻村さん(&河瀬監督)はずいぶんスムーズに物語を着地させたと思います。「批判めいたこと」と先に書きましたが、小説あるいは映画としてまとめるには枝葉は取っ払うのは当然で、むしろその点はよく仕上げたと思います。
 7位「彼らは生きていた」は、フツーなら「1917 命をかけた伝令」とするところです。アカデミー賞ノミネート8作品中7作品を観ましたが、その中で一番印象に残ったのが「1917 命をかけた伝令」でした。多くの戦争映画が戦争<そのもの>よりも物量や兵士の数がはるかに勝る敵軍に勝つとか、戦友との友情等々の個別の<物語>をテーマにしています。この作品の場合もたしかに重要な任務を前線に伝える兵士を主人公にしていますが、その任務の成否よりも、命令を受けて塹壕を出て、最前線に至るまでの戦場が非常にリアルに撮られているのです。それとともに戦場での緊張感がほとんど「体感できる」感じでした。つまり戦争の中の<物語>ではなく、<戦争そのもの>を撮っている点が非常に画期的でした。
 ところが、「1917 命をかけた伝令」を観た9日後に「彼らは生きていた」を観てしまいました。イギリスの帝国戦争博物館に所蔵されていた大量の第1次大戦の実写記録映像を編集したドキュメンタリーです。映写の早さを調整し、着色し、人の声の他馬のいななき等々の物音も入れて違和感のないように仕上げた結果、100年前の兵士たちや戦場のようすを再現したというものです。内容は兵士の募集から終戦後までをカバーしています。志願して兵士となった多くの若者たちを待ち受けていたのは荒涼とした戦場で、そこは実際に殺し殺され、戦死者の遺体が散乱して正視に耐えられないほど。戦況が小康状態の時に談笑しながら飲み食いする場面や屋外で横に並んで排便している場面、そして捕虜のドイツ兵たちとの人間的な交流もあります。兵士たちによる証言も貴重で、「地獄のように悲惨だった」「ドイツ人を殺さなければならないとすり込まれていた」と省みる一方で「兵役は楽しかった」「人生で一番輝いていた時期」という非常に肯定的な感想もむしろ多いようです。
 このドキュメンタリーの映像を観て、「1917 命をかけた伝令」で描かれた戦場の光景がやはりずいぶんリアルなものだったことを再確認しました。ということで、リアルそのもののコチラの方を7位に選定しました。
 8位「スパイの妻 劇場版」はヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)受賞作ですが、「朝が来る」「ミッドナイトスワン」「罪の声」等々9月以降に公開され多くのファンに支持された作品に比べると、大方の映画ファン評価はそんなに高くはない (低いというわけでもないが・・・)ということは承知しています。それでもベスト10に入れたのは主人公 (高橋一生の方。蒼井優もいいけど)の人物造形に感じ入ったからです。「スパイ」の語は実は合ってないのではと思いますが、黒沢清監督はもちろんそれと知った上での確信犯的なタイトル。ただ、当時いかに「良心的」な日本人でもこのような人物像があり得たかは疑問も無きにしも非ず、ですが・・・。
 9位「ミッドナイトスワン」は作品の認知度も映画ファンの支持もこのベスト中でトップだと思います。それは主演の草彅剛の人気にも拠っていると思われますが、9月第4週から続けて上映されているのはまさに「入魂の」と言うべき彼の演技ゆえでしょう。また14歳の新人、服部樹咲等、他の俳優陣も好演。トランスジェンダーの男性に対する多くの人の認識を変える契機になった作品と言えるのではないでしょうか?
 10位「なぜ君は総理大臣になれないのか」は、大島新監督が衆議院議員・小川淳也の姿を2003年からの17年間追い続けて撮った映像を編集したドキュメンタリー。何と言っても「より良い社会のために・・・」と「およそ政治家らしからぬ」ピュアな志を抱いて奮闘する小川議員の健気さに共感を覚えるとともに、応援したい気持ちが募ってきます。しかし、・・・とここで必然のように逆説の接続詞を用いざるを得ないのが日本の政治の現実。いや世界のほとんどの国の政治もそんなものなのか?
 [次点]「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、昨年観た日本アニメ中の一番。絵もストーリーも心理描写も繊細で緻密な点はいかにも京アニ作品。韓国でもさっそく公開され、トップレベルの高評価を得ているのもむべなるかな(今、通じる?)。むしろそのすきのない所が難点かも・・・。「アルプススタンドのはしの方」は、兵庫県立高校の演劇部顧問の先生が戯曲を書き、その演劇部が2017年の全国高校演劇大会で最優秀賞を受賞した演劇の映画化作品。夏の甲子園1回戦出場の母校の応援に甲子園(←撮影地は違う)に来た高校生4人の会話を中心にストーリーが展開するのですが、プレーする野球部員にもスコアボードにも全然カメラを向けないのがミソ。会話に出てくるスター部員も画面に登場することはありません。演劇作品らしさがかなり残る作品ですが、基本的にフツーの高校生が出てくる映画は好感が持てます。(昔の)職業柄もあるし、ね。「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」は、討論の翌月の69年6月に刊行された「討論 三島由紀夫VS.東大全共闘」(新潮社)ではわからない当時の会場の雰囲気を確認できたのは大きな収穫。三島=右翼vs全共闘=左翼という対決の図式ではありません。「暴力反対!」を叫んでいたのは<自民党政権・共産党・多くのマスメディア>の側で、<三島・全共闘>は無原則的な暴力反対には反対していた側。上記の本に三島の言葉に付いている(笑)の多くは会場の学生たちも共に笑っていたのです。そんな関係だから討論も成立したので、これが全共闘でなく共産党系なら討論はありえなかったということ。私ヌルボは三島に共感する点はほとんどありませんが、この討論では三島もその場の学生たちも相手に対する敬意と、ユーモアを交えるような余裕と、言葉への信頼を持っていたことが(今とくに)新鮮なものとして感じられました。なお東出昌大のナレーションが当時の情況を「革命前夜だった」としていたのは誇張しすぎ。当時の大学生の比率は男子が同世代の4~5人に1人、女子が20人に1人程度に過ぎず、全共闘とそのシンパは大学生中の2~3割程度しかいなかったのです。全共闘の学生の中でも突出した武闘派はわずかで、ただ新聞・TV・映画等ではたぶん「絵になる」ので今も大きく取り扱われているのではないでしょうか?(私ヌルボは<全共闘世代>の真っただ中で、当時は東京で学生生活をしていました。つまり<当事者>です。)
 [オススメ外国アニメ枠] 近年日本アニメとはかなり趣の違う外国アニメから目が離せません。「マロナの幻想的な物語り」は、線や色が常に流れ続ける、まさにアート! このような表現は私ヌルボは初めて観ました。「ブレッドウィナー」「ウルフウォーカー」は、ともに「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」を制作したカートゥーン・サルーン(アイルランドのアニメスタジオ)の作品。今回の2作も期待を裏切りませんでした。「ブレッドウィナー」はデボラ・エリス「生きのびるために」のアニメ化作品ですが、アフガニスタンを舞台にタリバンの暴政の中で必死に生きる少女と家族の苦心を描いた作品です。「ウルフウォーカー」はストーリーも音楽もケルト色が濃厚。ケン・ローチ監督作品や、Enyaの歌を思い起こしました。
 [別格]「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」は、新作とみなしていいのか否かよくわかりません。新作扱いにするとトップ3と同レベルになってややこしくなるので逃げを打って(?)[別格]にしました。
 [別枠] 映画祭等で観た韓国関係の映画で印象に残った作品。「夏時間[ハラボジの家]」は2月27日の劇場公開が決まっています。10代の少女の視点から家族や友人との関係を描いた・・・ということは「はちどり」との共通項が多い作品。「移葬」は日本語だとふつう「改葬」というはず。家族の土葬墓を自治体の都合でパワーシャベルで掘ってお骨を火葬した上で改葬するのだが、その件で老父母のいる実家に娘4姉妹と一番末の弟、そして弟の元カノで堕胎の費用を要求している女性まで集まって、火葬や相続等についてケンケンゴーゴーの議論。世代や男女の違い等による意識の相違があらわになり、総じて家父長制の終わりを感じさせます。時には家族同士つかみ合いになるほどですが、しかしそれでもやっぱり家族同士。一般公開を強く希望します。「チャンケ:よそ者」は台湾映画ですがセリフの9割以上は韓国語。タイトルの「チャンケ」(짱개または짱깨)は韓国で中国人に対する蔑称とか。主人公の高校生は韓国生まれですが国籍は父の強い意向で中華民国(台湾)籍で、自らのアイデンティティに悩む・・・というのが基本的構図。韓国の高校生はタバコの臭いがつかないように割り箸でつまんで吸うんですね(笑)。この作品も一般劇場公開を熱烈希望。

 日本の俳優で強く印象に残ったのは、男優では「二人ノ世界」の永瀬正敏と「ミッドナイトスワン」の草彅剛。あと「スパイの妻 劇場版」の高橋一生も。女優では「二人ノ世界」の土居志央梨、「37セカンズ」の佳山明と神野三鈴・・・あ、佳山明は新人か。そして「朝が来る」の蒔田彩珠。
 「ミッドナイトスワン」の新人・服部樹咲はまさにこの作品との<運命的な出会い>に恵まれましたね。

※話題作・注目作で観てない代表は「ラストレター」「海辺の映画館―キネマの玉手箱」「「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」「浅田家!」「喜劇 愛妻物語」「TENET テネット」等々。多くは承知の上で観なかったのですが、見過ごしてしまったのも若干あり、です。

 韓国映画が専門のブログのはずですが、今回は例年より寂しい感じです。さて、これから「新感染半島 ファイナル・ステージ」を観に行くことにするか・・・。(ジツはそんなに期待はしてませんが。)

 いつも長々と書きすぎるなあと思いつつ、正月からさらにたくさん書きすぎてしまいました。いかんいかん・・・。

[参考]過去10年のベスト10
[2019年]①金子文子と朴烈②象は静かに座っている③半世界④バジュランギおじさんと、小さな迷子⑤幸福なラザロ⑥ i-新聞記者ドキュメント-⑦存在のない子供たち⑧ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん⑨東京干潟⑩リトル・フォレスト 春夏秋冬
  [次点] RBG 最強の85才・ブラック・クランズマン・ナディアの誓い - On Her Shoulders・劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~・EXIT イグジット・流転の地球
 [別格] サタンタンゴ
 [別枠] 沖縄スパイ戦史

[2018年]①菊とギロチン②顔たち、ところどころ③判決、ふたつの希望④犬ヶ島⑤止められるか、俺たちを⑥坂道のアポロン⑦ラ・チャナ⑧カメラを止めるな!⑨生きてるだけで、愛。⑩ニッポン国VS泉南石綿村
 [次点] 謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス・万引き家族・孤狼の血
 [別格(旧作の新版)] ファニーとアレクサンデル

[2017年]①わたしは、ダニエル・ブレイク②あゝ、荒野③ベイビー・ドライバー④米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー⑤抗い 林えいだい⑥ブレードランナー 2049⑦みかんの丘⑧トンネル 闇に鎖された男新感染 ファイナル・エクスプレス⑩KUBO/クボ 二本の弦の秘密
  [次点] 哭声/コクソン・人生タクシー
 [別格(旧作の新版)] アンダーグラウンド完全版・牯嶺街少年殺人事件(デジタル・リマスター版)

[2016年]①キャロル②トランボ ハリウッドに最も嫌われた男③この世界の片隅に④ブリッジ・オブ・スパイ⑤ソング・オブ・ザ・シー 海のうた⑥ズートピア⑦インサイダーズ/内部者たちそばの花、運のいい日、そして青春⑨私の少女時代-Our Times-⑩牡蠣工場
  [次点] シアター・プノンペン・ハドソン川の奇跡・危路工団
 [別格(初見の旧作)] チリの闘い・アルジェの戦い(デジタル・リマスター版)

[2015年]①ボーダレス ぼくの船の国境線②顔のないヒトラーたち③セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター④雪の轍⑤マッドマックス/怒りのデスロード⑥神々のたそがれ⑦幕が上がる⑧海街diary⑨ストレイト・アウタ・コンプトン⑩KANO~1931海の向こうの甲子園~
  [次点] バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)・人生スイッチ・恋人たち・傷だらけのふたり許三観
 [別格(初見の旧作)] ショア・裸の島

[2014年]①イーダ②グランド・ブダペスト・ホテル③ジャージー・ボーイズ④罪の手ざわり⑤ソウォン/願い新しき世界ソニはご機嫌ななめ怪しい彼女テロ,ライブ⑩ある精肉店のはなし
  [次点] 60万回のトライ私の少女(扉の少女・ドヒや)・祖谷物語 おくのひと

[2013年]①セデック・バレ②少女は自転車にのって③きっと、うまくいく④もうひとりの息子⑤嘆きのピエタ⑥あの頃、君を追いかけた⑦シュガーマン 奇跡に愛された男⑧ハンナ・アーレント⑨王になった男建築学概論
  [次点] 殺人の告白・凶悪
 [別格] 阿賀に生きる
 [多くの人に観てほしい作品] ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして

[2012年]①ニーチェの馬②ヒューゴの不思議な発明③プンサンケ(豊山犬)ワンドゥギ拝啓、愛しています⑥ロボット 完全版⑦桐島、部活やめるってよ⑧三池 終わらない炭鉱(やま)の物語⑨かぞくのくに⑩ピアノマニア 別格:春夏秋冬そして春

[2011年]①サラの鍵②テザ 慟哭の大地③愛する人④彼とわたしの漂流日記⑤アリス・クリードの失踪⑥阪急電車 片道15分の奇跡⑦牛と一緒に7泊8日⑧未来を生きる君たちへ⑨ゴーストライター⑩エンディングノート

[2010年]息もできない過速スキャンダル冬の小鳥④ゲキシネ蛮幽鬼⑤実録・連合赤軍 あさま山荘への道程⑥告白⑦瞳の奥の秘密⑧飛べ!ペンギン⑨川の底からこんにちは⑩ONE SHOT ONE KILL
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2000年代の外国映画と、韓国映画の個人的ベスト・テン [&日本映画]

2020-07-17 13:33:32 | 韓国映画(&その他の映画)
    

→ <1990年代の外国映画と、韓国映画の個人的ベスト・テン>の続きです。

 2018年7月下旬特別号の<1970年代外国映画ベスト・テン>に始まる「キネマ旬報」の<創刊100年特別企画>なのですが、かなり本格的な映画オタク(&韓国オタク)になって年に70本以上見うになったのは90年代以降。そこらへんの事情は前の記事で書きました。) そんなわけで、個人的に○○年代外国映画ベスト・テンを作成してみたのは上掲が最初。
 そして今回は、「キネ旬」7月上旬特別号に<2000年代外国映画ベスト・テン>が載っていたので、さっそく考えてみました。

《私ヌルボの2000年代外国映画ベスト・テン》


①ヤン・イクチュン監督「息もできない」(2008.韓国)
②クリストファー・ノーラン監督「ダークナイト」(2008.米)
③クリント・イーストウッド監督「グラン・トリノ」(2008.米)
④ダニス・タノヴィッチ監督「ノー・マンズ・ランド」(2001.仏・伊・ベルギー・英・スロヴェニア)
⑤ギレルモ・デル・トロ監督「パンズ・ラビリンス」(2006.スペイン・メキシコ)
⑥姜文監督「鬼が来た!」(2000.中国)
⑦ラージクマール・ヒラニ監督「きっと、うまくいく」(2009.インド)
⑧ロジャー・ドナルドソン監督「世界最速のインディアン」(2005.ニュージーランド・米)
⑨クァク・ジェヨン監督「猟奇的な彼女」(2001.韓国)
⑩マルク・ローテムント監督「白バラの祈り/ゾフィー・ショル、最期の日々」(2006.独)


[次点]
・ユン・イノ監督「僕が9歳だったころ」(2004.韓国)
・ハイレ・ゲリマ監督「テザ 慟哭の大地」(2008.エチオピア・独・仏)
・ポン・ジュノ監督「殺人の追憶」(2003.韓国)
・ポン・ジュノ監督「グエムル 漢江の怪物」(2006.韓国)
・クリント・イーストウッド監督「ミリオンダラー・ベイビー」(2004.米)
・イ・ヘジュン監督「彼とわたしの漂流日記」(2009.韓国)

 今回は10位まですべて日本での公開年に映画館で観た作品ばかりです。
 ①は確定で、②と③は順不同、④~⑥も順不同。⑦以下と次点の6作品もほとんど差はありません。
 1~10位と次点を書き出した後「キネ旬」のベスト・テンを見て照らし合わせてたら、「キネ旬」の9位(13作品)までに入っているのは②と③の2作品で、次点の「殺人の追憶」「ミリオンダラー・ベイビー」も含めると4作品。なおヌルボの①「息もできない」は「キネ旬」では14位でした。ま、そんなもんでしょ。なお、韓国映画ではイ・チャンドン監督の「オアシス」が9位に入っています。この「オアシス」は私ヌルボずっと気が進まず、やっと昨年観たのですが、→コチラで書いたように、やっぱり自分には合わなかったです。

 今回も、歴史や社会を考えさせてくれる作品が結果的に多くなりました。③や⑤は「キネ旬」でも上位に入りましたが、④と⑥にそれぞれ3人と2人が票を投じているのはうれしい! しかし、⑩「白バラの祈り」はゼロ。(ヒトラーに命を賭して抵抗した人たちのことはぜひ中高生たちに広く知ってほしいものです。) 次点の「テザ 慟哭の大地」は、専門家でも観ている人は多くはなさそう? 1974年エチオピアでは経済危機等が続く中、軍部が主導して40年以上続いたハイレ・セラシエ皇帝を廃位し、社会主義をめざした革命が起こります。当時ドイツにいたエチオピアの留学生仲間の中にも帰国した者もいましたが結局は軍事独裁政権を支える側に・・・。主人公は約20年後エチオピアの故郷の村に帰りますが・・・。(詳しくは→コチラ。)

 この特集にはベスト・テン以外にも00年代の映画の特色がいくつかの記事にまとめられています。たとえば森直人さんによる「9・11以後の映画」は、01年のあの同時多発テロが「アメリカの“正義”の所在を問うみとになった」とし、その例として「ダークナイト」を上げて、ここでのジョーカーは「既存の社会コードを失効させるゲームチェンジャー」で、一方「バットマンは価値基準から相対化されてしまう」と記しているのはまさに同感! そこにこそ「タークナイト」の新鮮な魅力がありました。※昨年の「ジョーカー」は、ジョーカー誕生の説明がありきたり。こんな程度でジョーカーになっちゃダメ! むしろ多くの人々が仮面を被って街に出て行くあたりがキモか。)
 そして当然のように「韓国映画隆盛の幕開け」と題した佐藤結衣さんの記事があります。やはり最近の多くの韓国映画関係の記事同様「シュリ」から書き起こしていますが、その登場の背景として90年代前半から起きていた映画業界の構造変化がある」と指摘している点に注目しました。それまでの監督中心の映画制作だけでなく、「若いプロデューサーたちがマーケティングを意識した企画を立てて大企業の投資を呼び込み、新人監督たちを起用して撮影するといった形で新鮮な作品を生み出せるようになった」とのことです。なお、94人の選者の中で、「2000年代は怒涛の韓国映画に尽きる」と記している塩田時敏さん、冒頭から「とにもかくにも韓国映画 !!」と書き出している山田耕太さんをはじめ韓国映画について特別に触れている人は約15人いました。90年代後半以降に生まれた若い世代にとって、「シュリ」以前(or「冬ソナ」以前)の日本人の韓国文化の認知度がどうだったか想像がつかないでしょうね。世代間の韓国のイメージの差が非常に大きいことが伝えられていますが、よくわかります(が、どうしようもないか・・・。)
 というところで、前回に続いて2000年代の韓国映画の個人的ベスト・テン。

《私ヌルボの2000年代韓国映画ベスト・テン》

①ヤン・イクチュン監督「息もできない」(2008)
②クァク・チェヨン監督「猟奇的な彼女」(2001)
③ユン・イノ監督「僕が9歳だったころ」(2004)
④イ・ヘジュン監督「彼とわたしの漂流日記」(2009)
⑤ポン・ジュノ監督「殺人の追憶」(2003)
⑥ポン・ジュノ監督「グエムル 漢江の怪物」(2006)
⑦カン・ヒョンチョル監督「過速スキャンダル」(2008)
⑧ナ・ホンジン監督「チェイサー」(2008)
⑨パク・チャヌク監督「オールドボーイ」(2003)
⑩イ・チャンドン監督「シークレット・サンシャイン」(2007)


 こう見てみると、この時期の韓国映画のレベルの高さがわかります。2010年代より明らかに上。
※下の画像(左)は「息もできない」の韓国版ポスター。原題は「똥파리(糞バエ)」。まさか、このホンマモンのチンピラでは、という風貌の男サンフンがヤン・イクチュン監督とはオドロキでした(笑)。女高生ヨニ(キム・コッピ)との出会いも印象的でしたが、何と言ってもあの夜の漢江のシーン。セリフもないのに、ワタシヌルボの目にも涙・・・。(思い出しただけで泣けてきます。) 下右は、3年ほど前、渋谷のユーロライブで偶然キム・コッピさんに会った時いただいたサインです。
 

 さて、ここまでのつもりで記事を書き始めたところが、いつのまにか次の「キネ旬」7月下旬特別号が書店に出てて、コチラは<2000年代日本映画ベスト・テン>が載ってます。
 私ヌルボ、外国映画ほどは観てないので、10本も選べるかなと過去のメモを頼りに書き上げていったら思いのほかいろいろあるではないですか。ということで、コチラもベスト・テンを作成してみました。ただし、細かい順位はつけていません。◎と○でちょっと差をつけましたが、なんとなく今ボンヤリ残っている印象だけで決めた感じです。

《私ヌルボの2000年代日本映画ベスト・テン》

○中江裕司監督「ナビィの恋」(2000)
○矢口史靖監督「ウォーターボーイズ」(2001)
◎宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」(2001)
◎中島哲也監督「下妻物語」(2004)
◎内田けんじ監督「運命じゃない人」2005)
○本広克行監督「サマータイムマシン・ブルース」(2005)
◎犬童一心監督「ジョゼと虎と魚たち」(2006)
○生野慈朗監督「手紙」(2006)
○佐藤祐市監督「キサラギ」(2007)
◎中島哲也監督「パコと魔法の絵本」(2008)


[次点]
・アン・ヨンヒ監督「ディア・ピョンヤン」(2005)
・西川美和監督「ゆれる」(2006)
・佐々部清監督「夕凪の街 桜の国」(2007)
・周防正行監督「それでもボクはやっていない」(2007)
・岩田ユキ監督「檸檬〈れもん〉のころ」(2007)
・門井肇監督「休暇」(2008)

 「キネ旬」のベスト・テンに入っているのは「千と千尋~」(8位)だけ。あとは「ゆれる」(4位)。そして「ジョゼと~」が11位、「下妻物語」(2004)といったところ。やっぱり、「キネ旬」は1位「顔」、2位「EUREKA〈ユリイカ〉」以下、ちょっとカクチョーが高そう。

 次は2010年代か。外国映画はいろいろありそう。しかし日本映画・韓国映画はどうかなー?
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30年来の韓国映画オタクが450本(?)の中から選んだ★韓国映画ベスト30★

2020-03-16 21:01:39 | 韓国映画(&その他の映画)
 最近「パラサイト 半地下の家族」のアカデミー賞作品賞受賞をきっかけに、韓国映画関係の記事が活字メディアやウェブ上でたくさん見られますが、本記事はそれとは全然関係ありません。
 2009年の記事 →<1ヌルボの韓国映画の思い出 & ★韓国映画ベスト12★>
 2010年の記事 →<150本の中から選んだ・・・ ★韓国映画ベスト20★>
の、久しぶりの続き記事です。
 上記の記事以降、2011年~19年に観た韓国映画の本数を鑑賞記録で確認したところ、計304本でした。ただし北朝鮮映画が少し含まれ、また複数回観た作品もあります。また今年に入って観た韓国映画は昨日(3月15日)までで6本です。そこで大雑把にみて11年以降に観た回数を300本と算定しました。(年平均約33本で、観た映画全体の約3分の1。) その数を加算して、今回は「450本(?)の中から選んだ・・・」としました。
 ちなみに、すべて映画館等でのスクリーン上映で観たものです。DVDや、ネット配信等で観ることもないわけではありませんが、基本的には「映画は映画館で観る」ことにしているので、それ以外で観た作品は数に含まれていません。
 その他の説明は後回し。さっそく1位から順に目を通してみてください。
   (カタカナの監督名の後は日本での公開年、ハングルの監督名の後は韓国での公開年です。)

    ★韓国映画ベスト30★

1位・・・「神様こんにちは」(ペ・チャンホ.1991)  '안녕하세요 하나님'(배창호.1987)
2位・・・「風の丘を越えて ~西便制」(イム・グォンテク.1994)  '서편제'(임권택.1993)
3位・・・「息もできない」(ヤン・イクチュン.2010)  '똥파리'(양익준.2009)
4位・・・「猟奇的な彼女」(クァク・ジェヨン.2003)  '엽기적인 그녀'(곽재용.2001)
5位・・・「僕が9歳だったころ」(ユン・イノ.2006)  '아홉살 인생'(윤인호.2004)
6位・・・「金子文子と朴烈」(イ・ジュニク.2018)  '박열'(이준익.2017)
7位・・・「彼とわたしの漂流日記」(イ・ヘジュン.2010)  '김씨표류기'(이해준.2009)
8位・・・「ワンドゥギ」(イ・ハン.2012)  '완득이'(이한.2011)
9位・・・「殺人の追憶」(ポン・ジュノ.2004)  '살인의 추억'(봉준호.2003)
10位・・・「われらの歪んだ英雄」(パク・チョンウォン.1997)  '우리들의 일그러진 영웅'(박종원.1992)
11位・・・「拝啓、愛しています」(チュ・チャンミン.2012)  '그대를 사랑합니다'(추창민.2011)
12位・・・「グエムル 漢江の怪物」(ポン・ジュノ.2006)  '괴물'(봉준호.2006)
13位・・・「鯨とり -コレサニャン-」(ペ・チャンホ.1984)  '고래사냥'(배창호.1985)
14位・・・「ソウォン/願い」(イ・ジュニク.2014)  '소원'(이준익.2013)
15位・・・「ペパーミント・キャンディー」(イ・チャンドン.2000)  '박하사탕'(이창동.2000)
16位・・・「過速スキャンダル」(カン・ヒョンチョル.2010)  '과속 스캔들'(강형철.2008)
17位・・・「八月のクリスマス」(ホ・ジノ.1999)  '8월의 크리스마스'(허진호.1998)
18位・・・「太白山脈」(イム・グォンテク.2000)  '태백산맥'(임권택.1993)
19位・・・「王になった男」(チュ・チャンミン.2013)  '광해,왕이 된 남자'(추창민.2012)
20位・・・「チェイサー」(ナ・ホンジン.2008)  '추격자'(나홍진.2009)
21位・・・「新感染 ファイナル・エクスプレス」(ヨン・サンホ.2017)  '부산행'(연상호.2016)
22位・・・「新しき世界」(パク・フンジョン.2014)  '신세계'(박훈정.2013)
23位・・・「トンネル 闇に鎖された男」(キム・ソンフン.2017)  '터널'(김성훈.2016)
24位・・・「シークレット・サンシャイン」(イ・チャンドン.2008)  '밀양'(이창동.2007)
25位・・・「サニー 永遠の仲間たち」(カン・ヒョンチョル.2012)  '써니'(강형철.2011)
26位・・・「オールドボーイ」(パク・チャヌク.2004)  '올드 보이'(박찬욱.2003)
27位・・・「Green Days 大切な日の夢」(アン・ジェフン等.2012)  '소중한 날의 꿈'(안재훈,한혜진.2011)
28位・・・「牛と一緒に7泊8日」(イム・スルレ.2011)  '소와 함께 여행하는 법'(임순례.2010)
29位・・・「離れの客とお母さん」(シン・サンオク.1996)  '사랑방 손님과 어머니'(신상옥.1961)
30位・・・「授業料」(チェ・インギュ、パン・ハンジュン.1940)  '수업료'최인규, 방한준.1940)

 念のため。順位差が5程度だとさして大差はありません。しばらく時をおいてまたベスト30を組むと相当入れ替わりがあると思います。ただ、1~3位はこの10年間不動だし、この先も変わることはないでしょう。なお2・3位は多くの人が高く評価している名作ですが、1位は私ヌルボの個人的思い入れが9割くらい(?)入っています。

 最近韓国映画関係の記事を読んで、筆者の皆さんにとって2000年公開の「シュリ」が大きな画期として位置付けられていることに気づきました。(→コチラや→コチラなど。) たしかに「シュリ」は韓国映画史の上で画期的な作品です。しかし、日本から見た韓国映画史は私ヌルボの見解では①1987年以前②1987~1999年③2000~03年④2004年以降 の4つの時期に分けられ、「シュリ」は③の時期の幕開けにあたる作品です。以後韓国映画は日本そして世界に注目されるに至ったわけですから。(関連記事は→コチラ)
 しかし、それ以前韓国でも半世紀以上にわたる映画の歴史がありました。「シュリ」「カル」「JSA」あたりから韓国映画ファンになった韓国映画ファンを第2世代とすると、その約10年前の1990年前後日本で公開された「シバジ」や「ソウルの虹」を観たり、同じ頃NHKテレビで佐藤忠男先生の解説付きで放映されていた<アジア映画劇場>に触発されて韓国映画を観るようになったファンが第1世代で、私ヌルボのその1人です。
 今回の★ベスト30★には、①②の時期の作品も少し含まれています。あ、1・2位も29・30位もそうですね。それらも含めて日本語版DVDが出ていなかったり、あっても今入手困難で、レンタル店にもないものも相当数あることをご承知おき下さい。
 ※韓国語がそれなりにわかる方なら本ブログの→YouTubeで視聴できる韓国映画(1936~2000年)のリストを利用していただければいいのですが・・・。往年の韓国映画の名作が満載されています。なお、日本統治下の朝鮮で作られた30位「授業料」は、日本語のセリフが多い上、朝鮮語の部分は日本語字幕がついています。YouTube(→コチラ)で視聴できます。(「授業料」の紹介記事は→コチラ。)

 次に映画を評価するモノサシについて。
 「パラサイト」関係の記事の中に、これまで韓国映画を観てこなかった人のためにオススメの作品を紹介している記事もいくつかありました。3月12日のFRYDAY DIGITALの<『パラサイト』にハマった人がいま見るべき「韓国映画10」>と題した記事(→コチラ)でライターの児玉愛子さんは次の作品を挙げています。「新感染 ファイナル・エクスプレス」・「神と共に(第一章:罪と罰)」「神と共に(第二章:因と縁)」・「猟奇的な彼女」・「インサイダーズ 内部者たち」・「サニー 永遠の仲間たち」・「ベテラン」・「怪しい彼女」・「国際市場で逢いましょう」・「王になった男」・「建築学概論」
 私ヌルボもこの11作品は全部観ましたが、至極妥当なチョイスだと思います。内容も時代劇、ホラー、SF、ヤクザ物、人情ドラマ等々バラエティに富んでいるし・・・。(この他にポン・ジュノとソン・ガンホの代表作もついています。)
 この記事に対するコメントの中で「わざと軽いエンタメ系のリストなのか??」と書いてた人もいましたが、もちろんそうでしょう。児玉さん自身「以上の10作品は、韓国内で秀作とされる作品群とは少し違ったラインナップだが、韓国の歴史や文化に特別の興味のない日本人が観ても分かりやすい作品ばかりだ。韓国映画ならではの情緒や力強さを感じてほしい」と記しています。文句ナシ!です。
 映画を評価するモノサシを、[A] エンタメ&シネコン系、一般的な映画ファン目線 と [B] 芸術・社会&ミニシアター系、キネ旬的映画オタク目線 の2つに大別すると、上掲の「韓国映画10」は、意識的にAの観点に絞ったものだと思います。
 そしてこの★韓国映画ベスト30★は[B]の傾向がわりと強いと自覚していますが、[A]の要素を排除したわけではなく、単に「結果的にこうなった」というものです。私ヌルボ個人としてどれほど深く心を打たれたか、ということを重視しました。したがって、児玉さんのように「情緒や力強さを感じてほしい」と願うような読者は全然想定していません。それでも、読者の皆さん個々に何か参考になったり、興味関心を持った箇所でもあれば幸いです。

 ☆追記 30位に入れる作品は大いに迷いました。その候補をあげておきます。
    ・「ハロー!? ゴースト」(キム・ヨンタク.2012)  '헬로우 고스트' 김영탁.2010)
    ・「ほえる犬は噛まない」(ポン・ジュノ.2003)  '플란다스의 개' 봉준호.2000)
    ・「灼熱の屋上」(イ・ミニョン.1997)  '개같은 날의 오후'(이민용.1995)
    ・「霧の村」(イム・グォンテク.1986)  '안개 마을'(임권택.1983)
    ・「開闢」(イム・グォンテク.1993)  '개벽'(임권택.1991)
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★2019年 ヌルボの個人的映画ベスト10

2020-01-03 09:27:40 | 韓国映画(&その他の映画)
 1月7日の「アリー/ スター誕生」から12月29日の「アイリッシュマン」まで、合計すると1年間では2回観た分を引いて計123作品。これまでの最多記録104作品(たぶん)を大きく更新しました。
 しかし、ふつうの映画ファンなら観たような作品(「アナと雪の女王2」等々、主にエンタメ系)はたくさんあるし、ぜひ観なくてはと思っていても見逃がしてしまった作品もかなりあります。

 まあそれはそれとして、まずはベスト10の発表。

[2019年]
①金子文子と朴烈
②象は静かに座っている
③半世界
④バジュランギおじさんと、小さな迷子
⑤幸福なラザロ
⑥ i-新聞記者ドキュメント-
⑦存在のない子供たち
⑧ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん
⑨東京干潟
⑩リトル・フォレスト 春夏秋冬
 [次点] RBG 最強の85才・ブラック・クランズマン・ナディアの誓い - On Her Shoulders・劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~・EXIT イグジット・流転の地球
 [別格] サタンタンゴ
 [別枠] 沖縄スパイ戦史

赤色は韓国映画または韓国・北朝鮮に関係する映画です。

 いやあ、今回は1位からおおいに迷いました。ベスト10の候補は20作品以上ありました。どれも僅差というか、差をつけるのがムリというか・・・。連続している3作品はほとんど同順位と思って下さい。
 以下、各作品についてのコメント。
 1位「金子文子と朴烈」は、一昨年3月大阪アジアン映画祭で観て強く印象付けられました。原題は単に「「박열(朴烈)」ですが、どうみても邦題の方が内容に合っています。金子文子を演じたチェ・ヒソが数多くの主演女優賞や新人女優賞を受賞したことが十分うなずけます。物語は1923年9月1日の関東大震災の2日後に逮捕された無政府主義者朴烈が天皇・皇太子の暗殺を計画したという朴烈事件(→ウィキペディア)を素材にした歴史ドラマで、近年の韓国に多いトンデモ歴史ドラマに比べるとはるかに史実に基づいています。2018年のベスト10で1位にした「菊とギロチン」と同じく大正末期のテロリスト関連の映画ですが、<ギロチン社>も<朴烈事件>も映画を観るまで知らなかった人が多いのではないでしょうか? それにしても、その時代にこんなに真正面から天皇制の虚構性を主張した人物がいたのですね。映画を観てない人にも金子文子の自伝「何が私をこうさせたか」(岩波文庫)は強く薦めしたいです。一昨年私ヌルボがわざわざ大阪まで観に行ったのは、もしかして日本での一般公開はないかなと思ったからです。例えば立松予審判に対する朴烈のセリフに次のようなものもあるし・・・。「あなたのところのおぼっちゃん、迪宮(みちのみや)・・・ミッチンノミヤ!)」。迪宮とは当時の皇太子(後の昭和天皇)の幼少時の称号ですが、それを少しもじった朝鮮語の<ミッチンノミヤ(미친 놈이야)>は<狂った奴め>という意味の今もふつうに使われる罵倒語です。しかし、渋谷イメージフォーラムでの公開初日に<反日映画>非難の人たちが若干やって来た程度で終わったのでほっとしました。(もちろん、心配するような現実自体に大きな問題あり、ですが。なお、この作品について敬愛する四方田犬彦先生が「週刊金曜日」誌上で<韓国映画のナショナリズム自己陶酔は、これでいいのか?>というタイトルで批判しているのは首を傾げてしまいました。
 2位「象は静かに座っている」については、1つ前の記事で書いたことをほぼそのまま載せます。4時間近い長尺ですが苦にならなかったです。フー・ボー監督はタル・ベーラ監督の弟子とのことで、たしかにカメラワークは似ています。が、<感触>はずいぶん違います。過去のハンガリーの村と現代の中国の地方都市(石家荘、orその外れの町)の違いだけではなく、リアリティの問題? 物語全体の構図と流れを把握するのに時間を要しましたが、終わって振り返ればなるほど、またパンフを読んでなるほど、でアタマの中でじわじわとわかってきた感じ。個々の人物状況の描写がはからずも(??)大状況を掴んでいる点でエドワード・ヤン監督の名作「牯嶺街少年殺人事件」と相通じるところがあります。それにしても、最初から最後まで明るい笑い声や笑い顔が皆無とは、何という映画か!? その果てに監督までこの1作の長編を遺して自殺してしまうとは・・・。
 3位「半世界」は、期待ほどではなかった日本映画が少なからずあった(アニメを除く)中で、すなおに観てよかったと思ったほとんど例外的な作品。じわっと心に沁みます。男優陣もさることながら、池脇千鶴がいい。助演女優賞に推薦!
 4位「バジュランギおじさんと、小さな迷子」は、19年で一番の感動作! 誰彼問わずオススメしたい! 隣国同士の仲の悪さといえば、インドとパキスタンの間もその代表例。宗教も違うし、領土紛争(カシミール紛争)では過去何度も武力衝突もしてきました。したがって相手国に対してアタマに血が上る人たちは双方とも多いようですが、それぞれに争いを好まぬ人、心優しい人もたくさんいるのですね。主人公その1はパキスタンの6歳の(口の利けない)女の子(すごくカワイイ!←この映画の魅力の3割)。ところがこの子がお母さんとインドの寺院にお詣りに行った時迷子になっちゃうのです。なぜかその女の子に頼られてしまったインド人のオジサンが主人公その2。すごい苦労して国境を越え、女の子を親元に届けるという話です。印パの間には食生活のタブー等々もあって、その点も日韓間のミゾどころじゃないですね。それでも、主人公が寛容なイスラム導師の保護を受けたりして、ラスト近くではオジサンも相手方の言葉で「サラーム」と挨拶するのです。両国のそんな政治的宗教的対立を乗り越えて、人間として通じ合うものがある・・・というのが魅力の5割以上。そしてお約束の歌と踊り。基本はエンタメですが、いろんな要素がてんこ盛り。・・・ところが私ヌルボがこの映画を観た日(2月22日)の半日後、なんと<インド政府、パキスタンで武装勢力を空爆と発表 300人死亡>というニュースを読むことになるとは・・・。
 5位「幸福なラザロ」は、イタリアの人里離れた小さな集落で閉鎖的な暮らしを営む住民に昔からの領主が外の世界の変貌を知らせず、やっと20世紀後半になってそんな前近代的な集落の存在が外の世界にも知られることになって・・・というウソのような事実に基づく作品で、その構図からして寓話的。規模を大きくしたら北朝鮮とダブるところがいろいろあるような・・・。
 6位「i-新聞記者ドキュメント-」は、望月衣塑子記者のタフさに舌を巻きました。体力的にも精神的にも。ずいぶん大勢いると思われる感情的な批判者の人たちも、せめて彼女の半分でも必死に頑張って批判してほしいものです。そしてもちろん大勢の新聞記者の皆さんも頑張れ!とエールをおくりたいです。菅義偉官房長官は神奈川県第2区選出つまり私ヌルボの居住地で関係のポスターはいやというほど目にするので、「わたしはブレない」というキャッチコピーは否応なく憶えてしまいました。あの答弁を見ると、およそどんな質問にたいしても決してブレていないことがよくわかります。
 7位「存在のない子供たち」は、中東の貧民窟に生まれた少年を主人公に、<不法労働>や児童労働、子供の教育等々、難民たちの置かれた悲惨な状況を掘り下げた社会派ドラマ。難民関係の映画はこれまで何本か観ましたが、これは出色! 自身がシリア難民という主演の少年ゼイン・アル=ラフィーア君の演技とは思えないような<ツラガマエ>がすごくいい。両親を「自分を産んだ罪で告訴したい」という訴えは、日本にも似たような状況がありますね。
 8位「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」は、この1年けっこう観た外国アニメ(アメリカを除く)の中で一番の感動作。氷山の浮かぶ海の夕焼けの景色等々、画面(が美しい! 物語は、サンクトペテルブルグの貴族の令嬢サーシャ(14歳)が、1年前に北極航路の探検に出たまま未だ行方がわからない祖父を探しに北極圏へと旅に出るというもの。物語も、輪郭を描かない絵柄もシンプルなのですが、「太陽の王子 ホルスの大冒険」のような黎明期の日本アニメを彷彿とさせる魅力が感じられました。
 9位「東京干潟」は、とくに予備知識もなく、なんとなくタイトルに惹かれて観に行ったドキュメンタリー。撮影場所はほとんど多摩川下流の大師橋の下あたり。そこの干潟(というより泥地)でシジミを獲って生活している85歳のおじいさんに村上浩康監督が4年間密着して撮影。近年増えているというシジミの乱獲のこととか、土手の下のビニールハウスで一緒に暮らす15匹のネコのこととか、台風による増水等の自然のこととか、干潟で知られる有明海の近くで育って復帰以前の沖縄に行って等々のおじいさんの人生のこととか、興味深い話がいっぱい。泥にはまって動けなくなった人が救急隊に運ばれていく場面もあったり・・・。観に行って大正解!
 10位「リトル・フォレスト 春夏秋冬」は、ベスト10のラストに片手にあまるほど候補がある中、一応当ブログの立ち位置も考慮して(笑)韓国映画から選ぶことに・・・。37作品観た韓国映画中、新作は約半分。その中で、「飛べ、ペンギン」「牛と一緒に7泊8日」等と同様穏やかな優しさが漂っていてヌルボと波長が合うイム・スルレ監督作品を選びました。五十嵐大介の原作漫画も読んでないし、橋本愛主演の映画も観てませんが、主演のキム・テリもいいフンイキで、とても後味の良い作品でした。。
 [次点] 「RBG 最強の85才」は、アメリカ最高裁の80代の女性判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの若い頃、つまり70年代頃からアメリカ社会の女性の権利に対する認識(&法律や政治等)が大きく変わっていくわけですが、その大きな流れを彼女が直接関わったいくつもの裁判の事例を通してたどっていくというドキュメンタリー。そんな大きな流れが他の多くの人権闘争と同様<自然に>、<歴史の流れ>で現実化するのでなく、多くの人の闘いの末に実現したものであるということを教えてくれます。また彼女が、この世代としては稀有な男性ともいうべき生涯の伴侶と10代に出会って等々といった家庭生活や、最近の若い世代との交流等も紹介されています。驚いたのは、アメリカでは70年代でも裁判官も含めて男性たちの認識がこんなにも低レベルだったのかということ。法律まで差別が一杯だったとは! (関係ないけど、バックでジャニス・ジョップリンの「サマータイム」が流されていました。懐かしい!) そういえば、日本でもその頃<フェミニスト>といえば部屋のドアを開けて女性に「どうぞお先に」と言うような男性のことを指していたなー。また「女は家事と育児に専念すべし」という男はざらにいたし・・・。(当時の<ウーマン・リブ運動>、見直しました。その中心人物の1人田中美津さんは「この星は、私の星じゃない」と上映後のトークで現況を知りました) 「ブラック・クランズマン」は、人種差別をテーマとしている点で「グリーンブック」と共通していますが、コチラの方がずっとアグレッシブ。個人的にはコチラが好み。「グリーンブック」の高評価もわかるけど、主人公も作品自体も行儀がちょっとよすぎるような・・・。(たぶん感動する観客も?) 「ナディアの誓い - On Her Shoulders」は、イラク北部の小さな村でISIL(イスラム国)に捕らえられながらも脱出に成功し人権活動家として活動を続け、2018年ノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドに密着取材したドキュメンタリー。2週間の間をおいて「バハールの涙」と両方観たのがよかった。(直接関係ない(?)けど、例の<慰安婦>を<性奴隷>と呼ぶ人たちはISILに捕らえられて悲惨な目に遭った彼女たちを何と呼ぶのでしょうか?)  「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」は、登場人物も作品自体もとてもナイーブ(←否定的に言ってるのではありません)。外国の人たちにどれだけ、どんなふうに通じるのかな? 「EXIT イグジット」は、観客動員数941万人の大ヒットがうなずける娯楽作。よく考えればツッコミどころも多々ありますが、笑える場面、韓国社会を反映している場面、韓国らしい家族愛あふれる場面の配合もよく楽しめました。「流転の地球」はマイナーながらも注目に値する中国SF。話題の小説「三体」の作者・劉慈欣の短編が原作とあって、発想がユニーク。太陽が膨張して地球自体が大ピンチ!ということになるのですが、「全人類(orその一部)は地球を脱出して云々」というんじゃなく、なんと、地球を丸ごと太陽系から離脱させようというもの。ところが・・・、ということで物語は核心に突入します。制作技術面でも中国初の超大作ブロックバスター作品ということで、視覚効果等々はすごいすごい! ただ、人物の描き方に深みが欠けるのがなんとも残念。それは監督等制作スタッフの問題なのか、(今の)中国人・中国社会に基因するものかはわかりません。
[別格] 「サタンタンゴ」は、上映時間が438分というだけでなく、登場人物の会話が少なくてただ黙ってるだけのシーンがやたらと多いし、それも無表情。延々と続くまっすぐな道を数人がこれまた無言で延々と歩く。やたら雨が降っていて風景も陰鬱。7時間以上耐えた自分を褒めたい、という点で別格。いや、それでも後の方になるとむしろおもしろくなってきたのはなぜ?(笑)
[別枠] 「沖縄スパイ戦史」は、18年に一般劇場公開された作品なので、自己基準によりベスト10から外しました。しかし今年観たドキュメンタリーの中では文句なくベストです。三上・大矢両監督の<本気>が伝わってきます。キネ旬のベスト・テン<文化部門>第1位等々多くの賞を受賞したことが十分以上にナットクできます。

 日本の俳優で目立ったのは、女優では上掲の池脇千鶴。そして「さよならくちびる」の門脇麦、だけじゃなくて小松菜奈も。映画関係の記事を見ると、「よこがお」の筒井真理子の名前も上がっていますが、あいにく観てないもので・・・。「岬の兄妹」の和田光沙も熱演していましたが、私ヌルボとしては作品自体になにか肝心なものが欠けているような感じなのでその分印象としてはイマイチ感が残ります。
 男優は、ソモソモ顔や名前が憶えられなくて・・・(恥)。かろうじて記憶にあるのは、「タロウのバカ」の新人YOSHI。菅田将暉よりも彼の演技(なんだろな?)に目をみはりました。「岬の兄妹」の松浦祐也も、「宮本から君へ」の池松壮亮も頑張っているのは認めるけど、ちょっと頑張りすぎの感がなきにしもあらずだし、それ以前に作品がどうも・・・。
※気になりつつも結局観てない日本映画は「ひとよ」「蜜蜂と遠雷」等。「天気の子」「プロメア」も観てませんが近いうち観るつもり。
※話題作・注目作で観てない代表は「主戦場」「新聞記者」です。
※マイナーながらも、観てよかったドキュメンタリーには「シード ~生命の糧~」「タリナイ」「妓生:花の告白」等があります。

 ・・・というわけで、今回のキーワードは<混沌>ということにあいなりました。たくさん見過ぎて<混沌>の中で自分の位置がちょっと定まらず、かな? 今年はもっと減らさなくては・・・。

[参考]過去10年のベスト10
[2018年]①菊とギロチン②顔たち、ところどころ③判決、ふたつの希望④犬ヶ島⑤止められるか、俺たちを⑥坂道のアポロン⑦ラ・チャナ⑧カメラを止めるな!⑨生きてるだけで、愛。⑩ニッポン国VS泉南石綿村
 [次点] 謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス・万引き家族・孤狼の血
 [別格(旧作の新版)] ファニーとアレクサンデル

[2017年]①わたしは、ダニエル・ブレイク②あゝ、荒野③ベイビー・ドライバー④米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー⑤抗い 林えいだい⑥ブレードランナー 2049⑦みかんの丘⑧トンネル 闇に鎖された男新感染 ファイナル・エクスプレス⑩KUBO/クボ 二本の弦の秘密
 [次点] 哭声/コクソン・人生タクシー
 [別格(旧作の新版)] アンダーグラウンド完全版・牯嶺街少年殺人事件(デジタル・リマスター版)

[2016年]①キャロル②トランボ ハリウッドに最も嫌われた男③この世界の片隅に④ブリッジ・オブ・スパイ⑤ソング・オブ・ザ・シー 海のうた⑥ズートピア⑦インサイダーズ/内部者たちそばの花、運のいい日、そして青春⑨私の少女時代-Our Times-⑩牡蠣工場
 [次点] シアター・プノンペン・ハドソン川の奇跡・危路工団
 [別格(初見の旧作)] チリの闘い・アルジェの戦い(デジタル・リマスター版)

[2015年]①ボーダレス ぼくの船の国境線②顔のないヒトラーたち③セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター④雪の轍⑤マッドマックス/怒りのデスロード⑥神々のたそがれ⑦幕が上がる⑧海街diary⑨ストレイト・アウタ・コンプトン⑩KANO~1931海の向こうの甲子園~
 [次点] バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)・人生スイッチ・恋人たち・傷だらけのふたり許三観
 [別格(初見の旧作)] ショア・裸の島

[2014年]①イーダ②グランド・ブダペスト・ホテル③ジャージー・ボーイズ④罪の手ざわり⑤ソウォン/願い新しき世界ソニはご機嫌ななめ怪しい彼女テロ,ライブ⑩ある精肉店のはなし
 [次点] 60万回のトライ私の少女(扉の少女・ドヒや)・祖谷物語 おくのひと

[2013年]①セデック・バレ②少女は自転車にのって③きっと、うまくいく④もうひとりの息子⑤嘆きのピエタ⑥あの頃、君を追いかけた⑦シュガーマン 奇跡に愛された男⑧ハンナ・アーレント⑨王になった男建築学概論
 [次点] 殺人の告白・凶悪
 [別格] 阿賀に生きる
 [多くの人に観てほしい作品] ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして

[2012年]①ニーチェの馬②ヒューゴの不思議な発明③プンサンケ(豊山犬)ワンドゥギ拝啓、愛しています⑥ロボット 完全版⑦桐島、部活やめるってよ⑧三池 終わらない炭鉱(やま)の物語⑨かぞくのくに⑩ピアノマニア 別格:春夏秋冬そして春

[2011年]①サラの鍵②テザ 慟哭の大地③愛する人④彼とわたしの漂流日記⑤アリス・クリードの失踪⑥阪急電車 片道15分の奇跡⑦牛と一緒に7泊8日⑧未来を生きる君たちへ⑨ゴーストライター⑩エンディングノート

[2010年]息もできない過速スキャンダル冬の小鳥④ゲキシネ蛮幽鬼(日)⑤実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(日)⑥告白(日)⑦瞳の奥の秘密⑧飛べ!ペンギン⑨川の底からこんにちは(日)⑩ONE SHOT ONE KILL

[2009年]①グラン・トリノ②ディア・ピョンヤン(日)③妻が結婚した母なる証明チェイサー⑥チェンジリング⑦劔岳 点の記(日)⑧チョコレート・ファイター⑨戦場のワルツ⑩牛の鈴音
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YouTubeで視聴できる韓国映画(1936~2000年)の名作188編(+特別映像5つ) 全リスト≪2019年版≫

2019-12-26 23:03:47 | 韓国映画(&その他の映画)
 本ブログで<YouTubeで視聴できる韓国映画>のリストを最初に公開したのは2014年5月。(→コチラ)。その時は全83編でした。※韓国では映画を「1本、2本」ではなく「1編、2編」と数えます。
 その記事の改訂版は2017年3月。(→コチラ)。全150編(+特別映像2つ)で、一挙に増えました。
 そして今回は188編(+特別映像5つ)です。

 今回も、リストの基本DBは韓国映像資料院のYouTubeチャンネルである<한국고전영화 Korean Classic Film>の公開動画リスト(→コチラ)です。
 前回からさらに約40編が増えたのかと思い、前回のリストと照らし合わせてみた結果はさにあらず。「星たちの故郷」「族譜」「風吹く良き日」等々の有名作を含む20作品(後掲)が消えています。また12編は<복원본(復元本)>として映像等が改善されて登場。ということは、大雑把に言って約50作品が新しく増えたということでしょうか。

《注記》
・前回までは各作品の初公開の年により年ごとに分けましが、今回は制作年により分けました。ただし作品データ中の1983-02-22は初公開の年月日です。この日付は<KMDb>のDBを優先しました。<DAUM映画>や<NAVER映画>だと異なる日付になっている場合もあります。
・データ中の「85分」等の時間はオリジナル作品の正確な長さとは限りません。YouTube上の動画の長さです。
・日本語のタイトルについて。過去日本で公開された作品は<輝国山人のホームページ>(→コチラ)や、<シネマコリア>(→コチラ)を参考に、原則としてその時の日本題をそのまま用いています。<輝国山人の韓国映画>には監督名の漢字表記等、おおいに参考にさせていただきました。
・以下の各作品を実際にYouTubeで視聴するには、作品のハングルのタイトルをYouTubeの検索窓にコピペして検索するのが手っ取り早いと思います。ハングルが読めて、過去の韓国映画に一定の知識のある方は上記の公開動画リストから選んで直接開けばもちろんOKですが・・・。
・上述の「消えてしまった20編」のほとんど(全部?)はYouTube他のチャンネルにあります。著作権問題等々(?)その背後事情はわかりません。
・日本語字幕付きの作品は全6編。これも後の方にリストを載せておきます。なお、観る際に設定しておけば韓国語(128編)・英語・(なぜか多い)イタリア語(49編)の他、自動翻訳で日本語の字幕が見られる作品もあります。その方法については記事の最後で説明します。
・より多くの韓国映画の視聴を希望する方は、韓国映像資料院のサイトKMDB(→コチラ)で観られますが、会員登録(かなり面倒)が必要です。
最後の方に約7分の特別編集映像も貼っておきました。ぜひ見てみてください!

≪YouTubeに公開されている韓国映画名作リスト(全188編)

【1936年】
迷夢[死の子守歌](미몽[죽음의 자장가]/1936-10-25/梁柱南(ヤン・ジュナム)/48分

【1940年】
授業料(수업료)/1940-4-30/崔寅奎(チェ・インギュ)・方漢駿(パン・ハンジュン)/82分

【1941年】
半島の春[美しい青春](반도의 봄[아름다운 청춘])/1941-?-?/李炳逸(イ・ビョンイル)/85分

【1946年】
自由万歳(자유만세)/1946-10-22/崔寅奎(チェ・インギュ)/52分

【1948年】
独立前夜(독립전야)/1948-02-11/崔寅奎(チェ・インギュ)/51分
検事と女先生:弁士録音版(검사와 여선생:변사 녹음 버전)/1948-06-05/尹大龍(ユン・デリョン)/61分

【1949年】
心の故郷(마음의 고향)/1949-02-09/尹龍奎(ユン・ヨンギュ)/77分

【1954年】
運命の手(운명의 손)/1954-12-14/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/89分

【1955年】
ピアコル(피아골)/1955-09-23/李康天(イ・ガンチョン)/108分
ピアコル 復元版(피아골 복원본)/1955-09-23/李康天(イ・ガンチョン)/108分
陽山道(양산도)/1955-10-13/金綺泳(キム・ギヨン)/90分
未亡人[寡婦の涙](미망인[과부의 눈물])/ 1955-12-10/朴南玉(パク・ナモク)/75分

【1956年】
青春双曲線(청춘쌍곡선)/1956-04-10/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/94分
自由夫人(자유부인)/1956-06-09/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/125分
ソウルの休日(서울의 휴일)/ 1956-11-21 李庸民(イ・ヨンミン)/ 91分
嫁入りの日[嫁ぐ日](시집가는 날)/1956-11-27/李炳逸(イ・ビョンイル)/79分

【1957年】
風雲の宮殿(풍운의 궁전)/1957-12-18/鄭昌和(チョン・チャンファ)/99分

【1958年】
あなたと永遠に(그대와 영원히)/1958-01-15/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/110分
お金(돈)/1958-03-09/金蘇東(キム・ソドン)/123分
地獄花(지옥화)/1958-04-20/申相玉(シン・サンオク)/86分
ある女子大生の告白(어느여대생의고백)/申相玉(シン・サンオク)/1958-07-12/122分
鐘閣(종각)/1958-08-30/梁柱南(ヤン・ジュナム/)/96分
自由結婚(자유결혼)/1958-10-14/李炳逸(イ・ビョンイル)/95分

【1959年】
その女の罪ではない(그 여자의 죄가 아니다)/1959-01-14/申相玉(シン・サンオク)/104分
やせっぽちと太っちょ論山訓練所に行く(홀쭉이뚱뚱이 논산 훈련소에 가다)/1959-02-06/金火浪(キム・ファラン)/105分
高宗皇帝と義士安重根(고종황제와 의사 안중근)/1959-04-10 /全昌根(チョン・チャングン)/110分
柳寛順(유관순)/1959-05-21/尹逢春(ユン・ボンチュン)/102分
同心草(동심초)/1959-07-09/申相玉(シン・サンオク)/126分
姉妹の花園(자매의 화원)/1959-10-01/申相玉(シン・サンオク)/108分
名前のない星たち(이름없는 별들)/1959-10-31/金剛潤(キム・ガンユン)/105分
雲は流れても(1959)(구름은 흘러도)/1959-11-05/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/93分
雨降る日の午後3時(1959)(비오는 날의 오후 3시)/1959-11-25/朴宗浩(パク・ジョンホ)/109分
女社長(여사장)/1959-12-16/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/105分

【1960年】
(흙)/1960-01-28/権寧純(クォン・ヨンスン)/101分
ロマンス・パパ(로맨스 빠빠)/1960-01-28/申相玉(シン・サンオク)/131分
白蛇夫人(백사부인)/1960-10-02/申相玉(シン・サンオク)/92分
朴さん(박서방)/1960-10-05/姜大振(カン・デジン)/138分
漂流島(표류도)/1960-12-17/権寧純(クォン・ヨンスン)/124分

【1961年】
春香伝(춘향전)/1961-01-18/洪性麒(ホン・ソンギ)/110分
成春香(성춘향)/1961-01-28/申相玉(シン・サンオク)/119分
荷馬車[馬夫](마부)/1961-02-15/姜大振(カン・デジン)/99分
ひまわり家族(해바라기 가족)/1961-04-13/朴性馥(パク・ソンボク)/120分
誤発弾 復元版(오발탄 복원본)/1961-04-13/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/107分
三等課長(삼등과장)/1961-05-04/李奉來(イ・ボンネ)/105分
ノダジ(노다지)/1961-06-01/鄭昌和(チョン・チャンファ)/127分
豚の夢(돼지꿈)/1961-06-17/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/115分
ク・ボンソ(具鳳書)のにわか成金(구봉서의 벼락부자)/1961-07-13/金洙容(キム・スヨン)/114分
離れの客とお母さん(사랑방 손님과 어머니)/1961-08-26/申相玉(シン・サンオク)/103分
常緑樹(상록수)/1961-09-20/申相玉(シン・サンオク)/141分
5人の海兵(5인의 해병)/1961-10-20/金基悳(キム・ギドク)/118分
姉さんはお転婆娘(언니는 말괄량이/1961-10-27/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/99分
玄海灘は知っている(현해탄은 알고 있다)/1961-11-10/金綺泳(キム・ギヨン)/108分
ソウルの屋根の下(서울의 지붕밑)/1961-11-30/李亨杓(イ・ヒョンピョ)/125分
ソウルの屋根の下 復元版(서울의 지붕밑 복원본)/1961-11-30/李亨杓(イ・ヒョンピョ)/124分
燕山君[長恨思母篇](연산군[장한사모편])/1961-?-?/申相玉(シン・サンオク)/135分

【1962年】
豆満江よ、さらば(두만강아 잘 있거라)/1962-02-04/林権澤(イム・グォンテク)/100分
暴君燕山[復讐、快挙編](폭군연산[복수, 쾌거편])/1962-02-05/申相玉(シン・サンオク)/133分
置き去られた山河(두고온 산하)/1962-03-01/李康天(イ・ガンチョン)/124分
孟(メン)進士宅の慶事(맹진사댁 경사)/1962-03-08/李庸民(イ・ヨンミン)/124分
アカシアの花が咲く時(아카시아 꽃잎 필때)/1962-06-06/趙肯夏(チョ・グンハ)/98分
路地裏の風景(골목안 풍경)/1962-06-28/朴宗鎬(パク・ジョンホ)/118分
花郎道(화랑도)/1962-09-13/張一湖(チャン・イロ)/99分
女判事(여판사)/1962-11-03/洪恩遠(ホン・ウヌォン)/86分
烈女門(열녀문)/1962-12-13/申相玉(シン・サンオク)/100分

【1963年】
ロマンス・グレー(로맨스그레이)/1963-01-25/申相玉(シン・サンオク)/124分
トスニ[副題:幸福の誕生](또순이[행복의 탄생] )/1963-02-08/朴商昊(パク・サンホ)/92分
帰らざる海兵(돌아오지않는 해병)/1963-04-11/李晩煕(イ・マニ)/109分
金薬局の娘たち(김약국의 딸들)/1963-05-01/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/109分
江華道令(강화도령)/1963-06-01/申相玉(シン・サンオク)/126分
(쌀)/1963-11-16/申相玉(シン・サンオク)/124分

【1964年】
裸足の青春(맨발의 청춘)/1964-02-29/金基悳(キム・ギドク)/117分
赤いマフラー(빨간마후라)/1964-03-27/申相玉(シン・サンオク)/106分
肉体の告白육체의 고백)/1964-06-20/趙肯夏(チョ・グンハ)/140分
唖の三龍(벙어리 삼룡)/1964-11-13/申相玉(シン・サンオク)/84分

【1965年】
春夢(춘몽)/1965-07-03/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/71分
殺人魔(살인마)/1965-08-12/李庸民(イ・ヨンミン)/93分
浜辺の村(갯마을)/1965-11-19/金洙容(キム・スヨン)/93分

【1966年】
午年生まれの嫁[午年新婦](말띠신부)/1966-01-01/金基悳(キム・ギドク)/93分
雨のめぐり逢い[草雨](초우)/1966-06-10/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/100分
雨のめぐり逢い[草雨] 復元版(초우 복원본)/1966-06-10/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/100分
下宿生(하숙생)/1966-06-30/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/104分
水車(물레방아)/1966-11-10/李晩煕(イ・マニ)/91分
初恋(초연)/1966-12-08/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/103分
ウォーカーヒルで会いましょう(워커힐에서 만납시다)/1966-12-10/韓瀅模(ハン・ヒョンモ)/97分

【1967年】
洪吉童(홍길동)/1967-01-21/申東憲(シン・ドンホン)/67分 ⦅アニメ⦆
ある女優の告白(어느 여배우의 고백)/1967-02-09/金洙容(キム・スヨン)/87分
原点(원점)/1967-06-01/李晩煕(イ・マニ)/98分
(꿈)/1967-06-15/申相玉(シン・サンオク)/91分
帰路(귀로)/1967-07-27/李晩煕(イ・マニ)/90分
ホピとチャドルバウィ(호피와 차돌바위)/1967-08-15/申東憲(シン・ドンホン)/75分 ⦅アニメ⦆
(안개)/1967-10-19/金洙容(キム・スヨン)/79分
蕎麦の花が咲く頃(메밀꽃 필 무렵)/1967-12-15/李星究(イ・ソング)/98分
月下の共同墓地[妓生月香之墓](월하의 공동묘지[기생월향지묘])/1967-?-?/権哲輝(クォン・チョルフィ)/88分

【1968年】
憎くてももう一度(미워도 다시한번)/1968-07-16/鄭素影(チョン・ソヨン)/87分
将軍の髭(장군의 수염)/1968-09-14/李星究(イ・ソング)/100分28秒
将軍の髭(장군의 수염)/1968-09-14/李星究(イ・ソング)/100分58秒(※ラストに入っている韓国映像資料院のデータの分だけ長い。)
内侍(내시)/1968-12-11/申相玉(シン・サンオク)/98分
休日(휴일)/1968-?-?/李晩煕(イ・マニ)/73分
休日 復元版(휴일 복원본)/1968-?-?/李晩煕(イ・マニ)/73分

【1969年】
暗殺者(암살자)/1969-01-16/李晩煕(イ・マニ)/80分
修学旅行(수학여행)/1969-01-23/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/101分
始発点(시발점)/1969-02-02/金洙容(キム・スヨン)/77分
千年狐(천년호)/1969-03-08/申相玉(シン・サンオク)/89分
李朝女人残酷史(이조 여인잔혹사)/1969-05-02/申相玉(シン・サンオク)/84分
壁の中の女(벽속의 여자)/1969-?-?/朴宗浩(パク・ジョンホ)/91分
五父子(오부자)/1969-?-?/権哲輝(クォン・チョルフィ)/84分
甕をつくる老人(독짓는 늙은이)/1970-03-04/崔夏園(チェ・ハウォン)/95分

【1970年】
秘殿(비전)/1970-10-17/李亨杓(イ・ヒョンピョ)/101分

【1971年】
火女(화녀)/1971-04-01/金綺泳(キム・ギヨン)/100分

【1972年】
花粉(화분(꽃가루))/1972-04-07/河吉鍾(ハ・ギルチョン)/89分
零時(0시)/1972-07-01/李晩煕(イ・マニ)/99分
宮女(궁녀)/1972-07-13/申相玉(シン・サンオク)/108分
虫女(충녀)/1972-10-06/金綺泳(キム・ギヨン)/115分

【1973年】
特別捜査本部 ᐸ第2弾ᐳ 女子大生イ・ナニ事件(특별수사본부 ᐸ제2탄ᐳ 여대생 이난희사건(1973))/1973-11-03/薛泰湖(ソル・テホ)/91分

【1974年】
星たちの故郷 復元版(별들의고향 복원본)/1974-04-26/李長鎬(イ・ジャンホ)/109分
特別捜査本部 キム・スイムの一生(특별수사본부 김수임의 일생/1974-05-04/李元世(イ・ウォンセ)/104分
破戒(파계)/1974-11-09/金綺泳(キム・ギヨン)/111分
野菊は咲いた[野菊は咲いたけど](들국화는 피었는데)/1974-12-07/李晩煕(イ・マニ)/105分
三角の落とし穴(삼각의 함정)/1975-02-01/李晩煕(イ・マニ)/87分

【1975年】
英子(ヨンジャ)の全盛時代(영자의 전성시대)/1975-02-11/金鎬善(キム・ホソン)/107分
英子(ヨンジャ)の全盛時代 復元版(영자의 전성시대(1975) 복원본)/1975-02-11/金鎬善(キム・ホソン)/106分
森浦への道(삼포가는 길)/1975-05-23/李晩煕(イ・マニ)/100分
馬鹿たちの行進(바보들의 행진)/1975-05-31/河吉鍾(ハ・ギルチョン)/102分
肉体の約束(육체의 약속)/1975-07-26/金綺泳(キム・ギヨン)/105分
初恋(초연)/1975-12-13/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/105分
ミス・ヤングの行方(미스 영의 행방)/1976-01-01/朴南洙(パク・ナムス)/97分

【1976年】
往十里(왕십리)/1976-01-31/林権澤(イム・グォンテク)/112分
本当に、本当に忘れないで(진짜 진짜 잊지마)/1976-02-14/文如松(ムン・ヨソン)/95分
本当に、本当にごめん(진짜 진짜 미안해)/1976-11-20/文如松(ムン・ヨソン)/85分
ロボットテコンV 復元(로보트태권V복원)/1976-07-24/金青基(キム・チョンギ)/116分 ⦅アニメ⦆

【1977年】
夜行(야행)/1977-04-23/金洙容(キム・スヨン)/78分
冬の女(겨울여자)/1977-09-27/金鎬善(キム・ホソン)/120分
本当に、本当に好き(진짜 진짜 좋아해)/1978-09-02/文如松(ムン・ヨソン)/84分

【1978年】
コンジュイ パッチュイ(콩쥐 팥쥐)/1978- 01-23/康太雄(カン・テウン)/72分 ⦅アニメ⦆

【1979年】
水女(수녀)/1979-04-21/金綺泳(キム・ギヨン)/96分
長雨(장마)/1981-05-14/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/126分
棘(とげ)を飲み込んだ薔薇(가시를 삼킨 장미)/1979-09-28/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/112分

【1980年】
カッコーの啼く夜 別離[カッコーは夜中に鳴く](뻐꾸기도 밤에 우는가)/1981-03-01/鄭鎮宇(チョン・ジヌ)/120分
チャッコ(짝코)/1983-10-23/林権澤(イム・グォンテク)/103分

【1981年】
曼陀羅(만다라)/1981-09-12/林権澤(イム・グォンテク)/112分
小さなボール[小人が打ち上げた小さなボール](난장이가 쏘아올린 작은공)/1981-10-17/李元世(イ・ウォンセ)/102分
愛の望郷 激流を超えて[鸚鵡の体で鳴いた](앵무새 몸으로 울었다)/1981-10-24/鄭鎭宇(チョン・ジヌ)/122分
都市に行った娘(도시로 간 처녀)/1981-12-03/金洙容(キム・スヨン)/95
晩秋(만추)/1982-02-28/金洙容(キム・スヨン)/95分


【1982年】
愛麻(エマ)夫人(애마부인)/1982-02-06/鄭仁燁(チョン・イニョプ)/102分
火女'82(화녀 82)/1982-06-26/金綺泳(キム・ギヨン)/121分
コバン村の人々(꼬방동네 사람들)/1982-07-17/裵昶浩(ペ・チャンホ)/112分
霧の村(안개마을)/1983-02-12/林権澤(イム・グォンテク)/94分

【1983年】
糸車よ糸車よ[女人残酷史 糸車よ糸車よ](여인잔혹사 물레야 물레야)/1984-02-25/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/104分
馬鹿宣言(바보선언)/1984-03-01/李長鎬(イ・ジャンホ)/93分

【1984年】
鯨とり -コレサニャン-(고래사냥)/1984-03-31/裵昶浩(ペ・チャンホ)/109分
膝と膝の間(무릎과 무릎사이)/1984-09-30/李長鎬(イ・ジャンホ)/101分
長男(장남)/1985-06-22/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/108分
長男 復元版(장남 복원본)/1985-06-22/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/108分

【1985年】
於宇同(オウドン)(어우동)/1985-09-28/李長鎬(イ・ジャンホ)/115分
桑の葉(뽕)/1986-02-08/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/111分
キルソドム(길소뜸)/1986-04-05/林権澤(イム・グォンテク)/101分
キルソドム 復元版(길소뜸 복원본) /1986-04-05/林権澤(イム・グォンテク)/101分

【1986年】
外人球団[恐怖の外人球団](이장호의 외인구단)/1986-08-02/李長鎬(イ・ジャンホ)/119分
チケット(티켓)/1986-08-23/林権澤(イム・グォンテク)/107分
チケット 復元版(티켓 복원본)/1986-08-23/林権澤(イム・グォンテク)/107分
内侍(내시)/1986-09-18/李斗鏞(イ・ドゥヨン)/108分
シバジ(씨받이)/1987-03-21/林権澤(イム・グォンテク)/93分

【1987年】
わが青春の甘き日々(기쁜 우리 젊은 날)/1987-05-02/裵昶浩(ペ・チャンホ)/125分
旅人は休まない(나그네는 길에서도 쉬지 않는다)/1988-06-11/李長鎬(イ・ジャンホ)/104分
神様こんにちは[こんにちは、神様](안녕하세요 하나님)/1987-12-24/裵昶浩(ペ・チャンホ)/107分

【1988年】
成功時代(성공시대)/1988-06-04/張善宇(チャン・ソヌ)/112分
ギャグマン(개그맨)/1989-06-24/李明世(イ・ミョンセ)/123分

【1989年】
波羅羯諦/ハラギャティ(아제아제 바라아제)/1989-03-03/林権澤(イム・グォンテク)/128分
ソウルの虹(서울무지개)/1989-03-25/金鎬善(キム・ホソン)/128分

【1990年】
ウムクペギの愛(우묵배미의 사랑)/1990-03-31/張善宇(チャン・ソヌ)/116分
南部軍(남부군)/1990-06-02/鄭智泳(チョン・ジヨン)/159分
将軍の息子(장군의 아들)/1990-06-09/林権澤(イム・グォンテク)/108分
若き日の肖像(젊은 날의 초상)/郭志均(クァク・ジギュン)/1991-3-16/134分

【1991年】
競馬場へ行く道(경마장 가는 길)/1991-12-21/張善宇(チャン・ソヌ)/140分

【1992年】
ホワイト・バッジ(하얀전쟁)/1992-07-04/鄭智泳(チョン・ジヨン)125分
われらの歪んだ英雄(우리들의 일그러진 영웅)/1992-08-15/朴鐘元(パク・チョンウォン)120分

【1993年】
風の丘を越えて 西便制 復元版(서편제 복원본)/1993-04-10/林権澤(イム・グォンテク)/113分

【1994年】
薔薇色の人生(장미빛 인생)/1994-08-06/金弘準(キム・ホンジュン)/94分
太白山脈(태백산맥)/1994-09-17/林権澤(イム・グォンテク)/164分

【1995年】
301・302(삼공일 삼공이)/1995-04-21/朴哲洙(パク・チョルス)/98分
錦(クム)紅(ホン)よ錦紅よ(금홍아 금홍아)/1995-04-22/金裕珍(キム・ユジン)/95分
美しき青年 全泰壱 (아름다운 청년 전태일)/1995-11-13/朴光洙(パク・クァンス)/97分
銀杏のベッド(은행나무 침대)/1996-02-17/姜帝圭(カン・ジェギュ)/87分

【1996年】
学生府君神位(학생부군신위)/1996-03-01/朴哲洙(パク・チョルス)/110分
つぼみ(꽃잎)/1996-04-05/張善宇(チャン・ソヌ)/101分
祝祭(축제)/1996-06-06/林権澤(イム・グォンテク)/106分

【2000年】
春香伝(춘향뎐)/2000-01-29/林権澤(イム・グォンテク)/136分

【特別映像】
洪吉童 企画展 案内映像(홍길동 기획전 안내영상)/申東憲(シン・ドンホン)/2分47秒 ⦅アニメ⦆
黄金鉄人 企画展 案内映像(황금철인 기획전 안내영상)/朴英一(パク・ヨンイル)/2分32秒 ⦅アニメ⦆
ミシンの里帰り(재봉틀의 귀향)/31秒 ※金綺泳作品企画展 案内映像か? 「下女」の抜粋映像。
Welcome to the Korean Film Archive YouTube Channel!/15秒
 クォン・ユルとハン・イェリが出会った場所がデジタルメディアシティ(DMC)の韓国映像資料院の前、というごく短い動画。(→コチラ)
Welcome to the Korean Film Archive YouTube Channel/7分08秒
 たくさん(約160編?)の韓国映画の名場面を数秒ずつ寄せ集めたもの。泣いているシーン、殺しのシーン、ラブシーン等々が各3秒以内で目まぐるしく切り替わっていきます。韓国映画ファンの皆さん、いくつタイトルがわかるか挑戦してみましょう。


《日本語の字幕付きの作品》
授業料(수업료)/1940-4-30/崔寅奎(チェ・インギュ)・方漢駿(パン・ハンジュン)/82分
誤発弾 復元版(오발탄 복원본)/1961-04-13/兪賢穆(ユ・ヒョンモク)/107分
トスニ[副題:幸福の誕生](또순이[행복의 탄생] )/1963-02-08/朴商昊(パク・サンホ)/92分
洪吉童(홍길동)/1967-01-21/申東憲(シン・ドンホン)/67分 ⦅アニメ⦆
ある女優の告白(어느 여배우의 고백)/1967-02-09/金洙容(キム・スヨン)/87分
ホピとチャドルバウィ(호피와 차돌바위)/1967-08-15/申東憲(シン・ドンホン)/75分 ⦅アニメ⦆ 

★字幕の設定について
 画面右下の左から2つ目、を押して設定をします。
 
 「字幕」を押します。最初「オフ」になっていますが、韓国語(ハングル)や英語字幕を選択できます。また「自動翻訳」を押してリストの中から日本語を選ぶこともできます。
 左端のは字幕の「ON/OFF」のボタンです。
      

 ただ、自動翻訳の日本語はかなりメチャクチャなので、その点はご承知置きを。例えば下画像はその一例。

《<한국고전영화 Korean Classic Film>のリストに以前はあったが今はない作品》
血脈(혈맥)/1963-10-3/金洙容(キム・スヨン)/82分
魔の階段(마의 계단)/1964-07-10/李晩煕(イ・マニ)/109分
山火事(산불)/1967-04-22/金洙容(キム・スヨン)/80分
じゃがいも(감자)/1968-?-?/金承鈺(キム・スンオク)/83分
鎖を切れ(쇠사슬을 끊어라)/1971-11-25/李晩煕(イ・マニ)/98分
星たちの故郷(별들의고향)/1974-04-26/李長鎬(イ・ジャンホ)/109分
特別捜査本部 片腕のキム・ジョンウォン(특별수사본부 외팔이 김종원/1975-10-11/李元世(イ・ウォンセ)/103分
悪人よ 地獄行急行列車に乗れ(악인이여 지옥행 급행열차를 타라)/1977-01-28/朴魯植(パク・ノシク)/94分
異魚島(이어도)/1977-10-04/金綺泳(キム・ギヨン)/112分
華麗な外出(화려한 외출)/1978-03-10/金洙容(キム・スヨン)/94分
殺人蝶を追う女(살인나비를 쫓는 여자)/1978-12-02/金綺泳(キム・ギヨン)/117分
族譜(족보)/1979-05-01/林権澤(イム・グォンテク)/108分
風吹く良き日(바람불어 좋은날)/1980-11-27/李長鎬(イ・ジャンホ)/118分
赤道の花(적도의꽃)/1983-10-29/裵昶浩(ペ・チャンホ)/104分
肉食動物(육식동물)/1985-03-23/金綺泳(キム・ギヨン)/110分
黄真伊(황진이)/1986-09-18/裵昶浩(ペ・チャンホ)/119分
チルスとマンス(칠수와 만수)/1988-11-26/朴光洙(パク・クァンス)/108分
彼らも我らのように(그들도 우리처럼)/1990-11-10/朴光洙(パク・クァンス)/101分
開闢(개벽)/1991-09-21/林権澤(イム・グォンテク)/149分
豚が井戸に落ちた日(돼지가 우물에 빠진 날)/1996-05-15/洪尚秀(ホン・サンス)/116分

[2020年3月15日の追記] もしかしたら、<한국고전영화 Korean Classic Film>のYouTubeのアイコン(左画像)に用いられている女優が誰なのか気になる人も多いのでは? 私ヌルボも気になっていたので探索した結果、70~80年代に美人女優として人気を集め、今も多くの映画ファンの記憶に残っている丁允姫(チョン・ユニ)ということが判明しました。「都市の狩人(도시의 사냥꾼)」(1979)の中の1カットです。
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1990年代の外国映画と、韓国映画の個人的ベスト・テン

2019-09-22 23:48:20 | 韓国映画(&その他の映画)

 「キネマ旬報」の創刊は1919年7月。ちょうど1世紀前です。
 そこでキネ旬は、昨2018年<創刊100年特別企画>をスタートさせました。1970年以降を10年ごとに区切ってそれぞれの年代別のベスト・テンを外国映画・日本映画別に専門家のアンケートをもとに選んで発表するというものです。
 その第1弾は2018年7月下旬特別号の<1970年代外国映画ベスト・テン>でした。

 私ヌルボ、映画ファンになったのは中学生の頃から。つまり60年代。高校時代にATGの会員に。「誓いの休暇」や「シベールの日曜日」等が印象に残っています。とはいえ、勉強もあるし(ホンマか?)、地方(徳島)在住だし、年間の鑑賞作品数は10数本くらいだったか・・・。
 70年代は大学を出て教職に就くも、仕事に専念してして(ホンマか?)約20年間は個人的映画史の大きなブランクの時代でした。
 それが90年代前後から状況が変わって韓国オタク&映画ファン生活に突入。(逃避か?)
 というようなこともあって、「キネマ旬報」の最新号の1つ前、つまり9月下旬特別号の<1990年代外国映画ベスト・テン>は、おっ、これなら私ヌルボも参画できるゾ!とウレシクなり、個人的に90年代外国映画ベスト・テンを作成してみました。

《私ヌルボの1990年代外国映画ベスト・テン》

①エミール・クストリッツァ監督「アンダーグラウンド」(1995.仏・独・ハンガリー)
②エドワード・ヤン監督「牯嶺街少年殺人事件」(1991.台湾)
③イム・グォンテク監督「風の丘を越えて 西便制」(1993.韓国)
④アズィーズ・ミルザー監督「ラジュー出世する」(1992.インド)
⑤ティム・ロビンス監督「デッドマン・ウォーキング」(1995.米)
⑥フランク・ダラボン監督「ショーシャンクの空に」(1994.米)
⑦マイケル・ラドフォード監督「イル・ポスティーノ」(1994.伊)
⑧ケン・ローチ監督「カルラの歌」(1996.英)
⑨マジッド・マジディ監督「運動靴と赤い金魚」(1997.イラン)
⑩ダレル・ジェームズ・ルート監督「輝きの大地」(1995.南アフリカ・英・米)


 この中で9作品は90年代リアルタイムで観ましたが、ただ1つ「牯嶺街少年殺人事件」だけは2017年に〈4Kレストア・デジタルリマスター版〉で観ました。
 ①②は順不同です。③は確定です。④以下はほとんど差はありません。
 キネ旬の1位は、表紙を見ればわかるように「牯嶺街少年殺人事件」でした。実は、この作品だけはリアルタイムで観たものではなく、2017年に〈4Kレストア・デジタルリマスター版〉で観ました。
 キネ旬の10位(同点があるので12作品)までで、ヌルボのベスト10と重なっているのは①②⑥の3作品。まあ、そんなもんでしょう。⑧と⑩を選んでいる人はゼロ。むしろ、④と⑤を2人の人が選んでいることがとてもうれしく思えました。
 以前、映画を評価する時には [A]娯楽性 [B]社会性 [C]芸術性 の3つのモノサシがあって、私ヌルボの場合は[A]=20%、[B]=50%、[C]=30% といったところかな ・・・と書いたことがありました。今①~⑩を眺めると、社会性は70%くらいかも、と思い直しました。しかし、いくら歴史や社会の勉強になるといっても、心が動かされるほどの衝撃や深い感動があるか?という点は([A]~[C]のモノサシを超えて)まず最優先の評価ポイントです。
 記憶力はよくないので、映画の筋や俳優、映画館のこと等々については、むしろ「部分的に鮮明に憶えている」と言った方がよさそうです。「ショーシャンクの空に」は、ある高校に勤務していた頃午後休みを取って藤沢の映画館に行って観ました。すると3年生の男女生徒がケシカランことに(orウラヤマシイことに)おそらく授業をサボって観に来ているではないですか。私ヌルボはもちろん見て見ぬふりをしていましたが、映画が終わるとその男子がやって来て、弾んだ声で「先生、いい映画だったですね!」と(笑)。こういう所で気持ちが通じ合うとは・・・、いい思い出です。

 キネ旬の集計リストを見ると、103人の投票作品が非常に分散していることがわかります。1位は表紙でわかる(?)ように「牯嶺街少年殺人事件」でそ39pt集めましたが、これはダントツ。10ptで9位グループに入ります。リストは細かい字で3ページに収められていますが、3pt以上は1ページにも満たず、全体の半分以上は1ptの作品がずらっと並んでいます。したがって、ベスト10のうち誰かと3作品重なっていればかなり好みが一致するとみてよさそうなくらいです。

 90年代の外国映画の概観として、大久保清朗・金原由佳・森直人の3氏の鼎談で、次のようなことが語られていました。
・80年代の中国映画の台頭などから潜在的にはあったが、90年代はアジア映画が次々に公開されるようになり、「洋画=欧米の映画」ではなくなった
 ※ただし、外国映画の配給収入の上位を見ると、大ブームとなった1位「タイタニック」を筆頭に、2位以下も「アルマゲドン」「ジュラシック・パーク」「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」「インデペンデンス・デイ」とアメリカ映画がズラーッと並んでいる。
・「ターミネーター2」や「ジュラシック・パーク」など、CG(コンピューター・グラフィックス)とVFX(特殊視覚効果)の始まりの時代だった
 ※一般の映画ファンにとって画期的だったのはシネコンの普及。皮切りは93年4月オープンのワーナー・マイカル・シネマズ海老名(今はイオンシネマ海老名か ?)だったのか。またDVDソフトとプレイヤーの商品化は96年11月。そういえば、パソコンもWindows 95の発売以降爆発的に普及したなあ。
・女性監督の作品は多くはないが、ジェンダー的な問題意識が一気に浮上し始めた。ex.「ブエノスアイレス」(←これは未見)・「テルマ&ルイーズ」
 ・・・と、これらについてはたしかに、とナットク。
 ただ、大久保さんの(トップ・テン内の本数を見ると)「タランティーノとカーウァイの時代といえますね」という発言に対し、森さんが「でも90年代を象徴する人を一人だけあげろといわれたら、やっぱりダントツでタランティーノじゃないかな」と・・・。
 うーむ、私ヌルボ、最近の記事でも書いたように、「パルプ・フィクション」も「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」もとくに感動もなく、さしておもしろいとも思わなかったんだけと・・・。あ、ウォン・カーウァイも同様。思えば私ヌルボ、その頃すでに時代に遅れ始めてたってこと?

 あ、韓国オタクのブログなので1990年代の韓国映画の個人的ベスト・テンも上げておきましょう。

《私ヌルボの1990年代韓国映画ベスト・テン》

①イム・グォンテク監督「風の丘を越えて ~西便制」(1993)
②パク・チョンウォン監督「われらの歪んだ英雄」(1992)
③イム・グォンテク監督「太白山脈」(1994)
④ホ・ジノ監督「八月のクリスマス」(1998)
⑤イ・チャンドン監督「ペパーミント・キャンディー」(1999)
⑥イ・ミニョン監督「灼熱の屋上」(1995)
⑦パク・チョルス監督「学生府君神位」(1996)
⑧イム・グォンテク監督「開闢」(1991)
⑨イ・ジョンヒャン監督「美術館の隣の動物園」(1998)
⑩チャン・ギルス監督「銀馬将軍は来なかった」(1991)

 日本で韓国映画に大きな関心が向けられるようになったのは「シュリ」や「JSA」等が公開された2000年前後からで、その後はあの「冬ソナ」ブームもあって次々に公開されるようになりました。で、90年代はというと、その<夜明け前>といった感じ。80年代末から始まったNHKの<アジア映画劇場>あたりからアジア映画に関心を向ける人が少しずつ増えてゆき、90年代半ばには(今はない)千石三百人劇場で<韓国映画の全貌>(1994)や<韓国映画祭1946→1996 -知られざる映画大国>(1996)のような規模の大きい特別上映が開かれ、私ヌルボも可能なかぎり足を運びましたが、以後の韓国映画人気を予感させるものでした。(→関連記事。)
 ただ、上記の韓国映画祭の上映作品は80年代までのものが多く、90年代の作品に絞ると①~⑤はよしとして、⑥以下は自分でもどんなものか?と・・・。なお、当時リアルタイムで観た作品は①④⑤⑨⑩で、ちょうど半分です。
 キネ旬の集計リストを見ると、韓国映画で一番上位はやはり「風の丘を越えて 西便制」でした。ただ4ptで56位とは遺憾。佐藤忠男先生はもちろん選んでいました。韓国の映画史上(興行成績の面でも)画期的な作品で、ヌルボとしても文句ナシの1位です。作中の名場面のロケ地・青山島(チョンサンド)には6年前サークル仲間と行って来ました。(→過去記事。)

 この記事の下書きは10日以上前に書いたのですが、その後発売されたキネ旬10月上旬特別号は<1990年代日本映画ベスト・テン>が載っていて、その第1位は在日がらみの崔洋一監督「月はどっちに出ている」ということで注目ではあるのですが、洋画はキネ旬の30位あたりまで7割以上観ているのに対して、日本映画は3分の1程度だから、ベスト・テンの記事はどーするかなー・・・。
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韓国映画「1987、ある闘いの真実」を観る ▸今につながる<6月民主抗争> ①予備知識編(ほとんどネタバレなし!)

2018-09-17 07:26:17 | 韓国映画(&その他の映画)
[1]31年前の、史実に基づいた群像劇。人気スターたちが大挙出演

 今年4月に公開された「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」に続いて、9月8日から同じ80年代の民主化闘争を描いた韓国映画「1987、ある闘いの真実」の上映が始まりました。
 1987年の<6月民主抗争>をベースに、大枠は史実に沿った内容です。
 一番主演っぽい人物が(近年主演が増えている)ユ・ヘジン演じる刑務官(看守)ハン・ビョンヨンで、これは実在の複数の人物を組み合わせたキャラクターとのことですが、他の主な登場人物の多くは実名がそのまま用いられています。
 なにしろ大勢が登場する群像劇なので出演俳優もたくさん。それも日本でもよく知られた人気スターがわんさか登場します。
 出演作はすべてヒットと言っても過言ではないハ・ジョンウ「チェイサー」(2008)では連続殺人犯のハ・ジョンウを追う元刑事役だったキム・ユンソク、「お嬢さん」(2016)で青龍映画賞新人女優賞を受賞する等注目された若手女優キム・テリ、そして私ヌルボには懐かしい光州事件関連の名作「ペパーミント・キャンディー」(1999)で共演したソル・ギョングムン・ソリ等々。ただ、ムン・ソリは思いがけない場面でちょっと出てくるくらいなので、ファンでも気がつくかどうか? そして、韓流ファンなら誰でも知ってるレベルの人気スターの。観た人のコメントに「がメイン・ビジュアルに入っていないのはなぜ?」とありましたが、それにはちょっとワケが・・・、ということで、この件については後日の<ネタバレ編>に回します。

[2]1987年の<6月民主抗争>とは、何だ?

 上記のように、「1987、ある闘いの真実」は、韓国の<6月民主抗争>を描いた映画です。
 しかし、<6月民主抗争>といってもご存知ない方がほとんどでは? 30歳以下の人たちは生まれる前のことだし、学校でも教わってないでしょうし・・・。
 50歳以上の方なら、ソウル五輪の前年、ソウル等で大規模なデモが繰り返される中、全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領の独裁政権が結局終止符を打ったという記憶は残っているかも。1987年6月に盛り上がったあの多くの民衆が立ち上がった民主化運動が<6月民主抗争>です。
 この後同年12月新憲法が公布され、国民の直接選挙で盧泰愚(ノテウ)大統領が選出されます。
 政治体制だけでなく、社会の雰囲気、国民の意識等まで含めて、現在の韓国社会の起点というべき年が1987年でした。2016年末のあのローソクデモにもつながっているのです。そんな点で、韓国の現代史を知るだけでなく、今の韓国を理解する一助にもなる映画です。
 また、とくに半世紀前までの日本と違って、デモに参加した経験がない人が多くなった今の日本の、とくに若い人たちにはぜひ観てもらって、日本の状況を見つめ直してほしいと思います。

[3]1980年5月の<光州事件>の延長線上にある<6月民主抗争>

 上記の「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」など、1980年5月の<光州民主化運動(光州事件)>を描いた映画はこれまでいくつも作られてきました。
 ※「ペパーミント・キャンディー」(1999)・「光州5・18」(2008)等。ちなみに私ヌルボの一番のオススメはドラマ「砂時計(モレシゲ)」(1995)です。)
 光州事件について書かれた本も多く出ているので、<6月民主抗争>に比べればかなり知られていると思われます。
 その前年(1979年)10月、1961年の<5・16軍事クーデター>以降長く独裁体制を維持してきた朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が暗殺されます。その後12月12日の<粛軍クーデター>で政治の実権を握ったのが全斗煥で、光州事件を武力で鎮圧した責任者も彼でした。そして80年9月に大統領に就任します。
 全斗煥は、光州事件当時も、その後も事件についての報道を封殺しました。しかし「タクシー運転手」で描かれたドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーター撮影の映像や、日本のメディア報道による情報等が秘密裏に民主化運動圏を中心に広まっていったことは、この映画の一場面でもうかがい知ることができます。
 70年代は、金大中拉致事件(1973)には当然大きな関心が寄せられ、政治批判の詩を発表して検挙され死刑を宣告された詩人金芝河(キム・ジハ)の釈放運動が展開されるなど、日本でも民主化運動への弾圧を続ける朴正熙大統領に対する批判の声が高まっていました。
 朴正熙暗殺事件のニュースは「寝耳に水」でしたが、これで韓国の民主化が進むかなと思われました。ところが再び全斗煥による独裁政権が確立して失望したのは私ヌルボのみならず、大多数の日本人も同じ思いだったでしょう。言うまでもなく、多くの韓国人も・・・。
 やや鳥観図的に見ると、このような前史が1987年の<6月民主抗争>につながっていったのです。

[4]<6月民主抗争>のキッカケとなったソウル大生拷問致死事件

 結局は大デモに拡大していった1987年の民主化運動のキッカケとなったのが1月のソウル大生・朴鍾哲(パク・ジョンチョル)君の拷問致死事件でした。
 見出しで「ほとんどネタバレなし!」と書いたのは、映画冒頭のこの事件について多少なりともふれないと話が始まらないからです。
 デモに参加した後連行された朴鍾哲は南営洞の対共分室で取調べを受け、逃亡中の仲間の居場所等について拷問により自白を強要されますが、結局1月14日死亡します。その後、死因が<水拷問>によることが明らかになると、権力側はあの手この手で隠蔽を図りますが、真相糾明を求める抗議の声が広がっていきます・・・。

[5]あの拷問部屋は、現在ふつうに見学できます!

 拷問部屋があった対共分室の建物は、現在警察庁人権保護センターになっています。①ソウル駅④龍山駅の間の③南営(ナミョン)駅至近にあり、予約不要なのでソウル旅行の折に手間をかけずに見学することができます。

        
 上右の図のが(旧)対共分室。④淑明女子大駅□からも歩いて行ける距離です。

      
 正門を入って右の建物が(現)警察庁人権保護センターです。7階建ての建物の5階部分だけ窓が極端に小さいことに注目してください。
     
 その5階こそ、廊下の両側に調査室つまり拷問部屋が計16室並んでいる階でした。朴鍾哲君が拷問死した9号室は保存され、彼の写真が飾られています。部屋の奥に浴槽があるのは水拷問のためです。私ヌルボが訪れてこの写真を撮ったのは16年11月。この映画の公開後は見学者が増えたようで、ハングルで画像検索すると花が供えられた画像がいくつもありました。
 4階には朴鍾哲記念展示室があり、彼の遺品や関連資料が展示されています。
 この建物を17年4月に訪れた方の→コチラのブログ記事は写真も多く、「窓は調査対象者が脱出できないよう、すべて極端に狭く作られています」等、説明も詳しくてオススメです。また私ヌルボが愛読している<韓国古建築散歩>の→コチラの記事も参考になります。
 この対共分室での拷問を主内容とした映画に「南営洞1985」(2012)があります。日本では2014年に小規模ながら公開されました。2011年12月30日に死去した往年の民主活動家で、その後進歩陣営の国会議員として活躍した金槿泰(キム・グンテ)(→ウィキペディアの手記「南営洞」に基づいた映画です。彼もここで厳しい拷問を受けます。朴鍾哲のように死に至らなかったのは、拷問のプロというべき男イ・ドゥハンが「ヘマをしなかった」からでしょうか。しかし金槿泰は拷問の後遺症でパーキンソン病を発症して死亡したとのことです。この映画は内容の大半が22日間に及ぶ拷問シーンで、観るだけで緊張を強いられ、大変疲れた記憶があります。なお、イ・ドゥハンには李根安(イ・グナン)という実在のモデルがいます。またその李根安をモチーフにした小説に千雲寧「生姜(センガン)」(新幹社)があります。

 おっと、かなり拷問関係に深入りしてしまいました。朴鍾哲君の拷問致死事件の発覚の経緯やその後の運動の展開については皆さん映画館でご覧ください。
 その中でのもろもろや、さらに<6月民主抗争>以降のことについては、いずれ<ネタバレ編>で書くことにします。本作の最後に流される歌のタイトルは「その日が来れば(그날이 오면)」なのですが、「その日」ははたして本当に来たのか、考えてみたいと思います。(むずかしそうだなー・・・。)
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[韓国映画]早稲田松竹で観た「ペパーミント・キャンディー」 ③申京淑の自伝的小説「離れ部屋」を読んで気づいた3つの共通項

2018-09-05 22:53:37 | 韓国映画(&その他の映画)
       

 →<早稲田松竹で観た「ペパーミント・キャンディー」 ①18年ぶりに知った新事実>
 →<早稲田松竹で観た「ペパーミント・キャンディー」 ②映画で振り返る九老・加里峰・大林洞の40年の歴史>

 韓国の女性作家・申京淑(シン・ギョンスク)の小説「申京淑」(原題:외딴방)を久しぶりに読みました。2005年発行なので、たぶん12~3年ぶりです。
 そして気がついたのは、映画「ペパーミント・キャンディー」との共通項がいくつかあること。それも細かな点で。
 以下、発見の衝撃度の軽いものから順に書いていきます。

⓪1979年当時20歳だった「ペパーミント・キャンディー」の主人公キム・ヨンホ(ソル・ギョング)と同じ時期に、「離れ部屋」の主人公<わたし>も同じ地域(九老洞・加里峰洞)で工員として働いていた。

 私ヌルボ、この点を知っていたから再読したわけで、当然衝撃度は⓪。したがってタイトル中の<3つの共通項>には入っていません。
 申京淑は1963年1月全羅北道井邑市の生まれ。家が貧しく高校進学を断念せざるを得なかった彼女は、すでにソウルに出て夜間学校に通いながら働いている7歳上の長兄を頼りに、従姉と共に上京します。それが1978年の晩夏~初夏のこと。九老工団の入口にある職業訓練院での1ヵ月ほどの訓練(←はんだ付けとか)を経て、九老工団第一団地にある東南電機に配属されました。コンベアで流れてくるステレオの部品にエアドライバーでボルトを打ち込むという仕事です。その後彼女は社内の選抜試験に受かり、昼間は働きながら永登浦女子高校の夜間部に通学することになります。
 当時彼女が起居していた部屋が「離れ部屋」でした。加里峰駅(現在の加山デジタル団地駅)が窓から見える部屋で、この小説で何度か出てくる<陸橋>は先の記事で書いた<輸出の橋>のことと推定されます。
 この小説は、<わたし>が九老工団で働いていた満15~18歳の頃、つまり1978~81年の4年間のことを記しています。この4年間は朴正熙大統領の暗殺(1979年10月)や光州事件(1980年5月)があり、また九老工団では大きな労働争議もありました。そんな出来事も作中に描かれています。韓国ウィキペディアがこの作品について次のように記しているのは私ヌルボとしてもおおいにうなずけます。

 「わたし」を中心とした微視的な叙述が内面性への沈潜という否定的な結果に帰結されるのではなく、個人、そして同じ時代を一緒に生きていく人たちの集団的記憶に還元されることを確認させてくれる作品である。

 キム・ヨンホや彼の初恋の女性ユン・スニム(ムン・ソリ)は<わたし>より数歳年上でしたが、同じ時期に同じ地域で働いていた労働者であり、また同時に同じような体験と記憶を持つ大勢の人たちの象徴的な存在ともいえるということです。

①どちらの作品も、冒頭部分で70年代末の大ヒット曲「나 어떡해」(ナ オットッケ.僕はどうしよう)が出てくる。

 「ペパーミント・キャンディー」では、最初の99年春の<野遊会>の章でヨンホが絶望的な雰囲気でこの歌を絶叫します。最後の<遠足>の章(79年秋)では、仲間たちと一緒に車座になって歌っています。
 一方、「離れ部屋」の冒頭。78年の晩春~初夏の頃、田舎の家にいた(数え年)16歳の<わたし>がラジオのスイッチを入れると流れてきた歌が「わたし、どうしよう」だったのです。つまり、同じ曲。(翻訳の(故)安宇植さん、女性の歌と思ったようで、歌詞を「そんなの嫌よ、ほんとに嫌よ、行かないで」と訳していますが。)
 この歌を聴いた16歳の<わたし>は、「思わずからだが竦(すく)むくらいびっくりして」ラジオのスイッチを切ってしまいますが、その後もラジオのスイッチを入れるとこの歌が流れてきて、「どうやら都会は、「わたし、どうしよう」が占領しているみたい」と思い、「何度か聴くようになると・・・・その歌を一緒になってうたっていた」ということになります。
 今その1977年の大学歌謡祭の大賞受賞曲を→YouTubeで聴いても、当時の韓国の人たちがそれほど熱狂したとは、感覚的にはわかりません。
 ※現代の、T-araが歌う「나 어떡해」(→コチラ)と聴き比べてみてください。(※ユン・ミンスも人気歌謡番組「私は歌手だ」でこの曲を歌っています。→コチラ)
 考えて見れば、今の日本の若い世代が1968年頃爆発的な人気を集めたグループ・サウンズの曲を聴いてどれほどコーフンするでしょうか? オックスの歌で失神(!)する人が1人でもいるか??(笑) それと同じようなものかも。
 韓国ウィキペディアの「나 어떡해」の項目を見ると「韓国の全国カラオケの累積集計で、今までで最も多く歌われた歌の1つとも言われている」とか。そういえば数日前、スマホでなんとなく韓国のSBSラブFMを聴いていたら、20世紀のK-POPベスト何十だかというのをやっていて、そのラストつまり第1位でしたね。
 つまり、多くの韓国人の心に残る懐メロということなのですね。
 そういった点では、「ペパーミント・キャンディー」と「離れ部屋」の共通項とはいってもその時代の定番なのでそんなに意外ではないかも。ただ、それが冒頭に出てくるという点に私ヌルボは「!」と思ったのです。

②1日に2万個のキャンディーを包むという製菓会社の女性労働者のこと

 前々回の記事でも書きましたが、「ハッカ飴がお好きなんですか?」というキム・ヨンホの問いに、ユン・スニムが「私の工場では1日に千個のハッカ飴を包むんです」と答えるシーンがありました。
 「離れ部屋」では、<わたし>が通う夜学の同級生で製菓会社に勤めているアン・ヒャンスクが登場します。隣席の彼女は左ききなので肘がぶつかり合ったりすることもありました。ある日<わたし>が彼女の手を取ると、「手の皮膚がごわごわを通り越して硬くなっていた」ので急いで離してしまいます。<わたし>の気持ちに気づいたらしいヒャンソクがにこっとして言います。

 「キャンディーを包装する作業をしているの。磨り減ってこうなったの」
 「1日にどれくらい包むのよ?」
 「普通は2万個くらいかな」


 ユン・スニムが言う1日に千個という数字は少なすぎる、と映画を観た時思いました。逆に1日2万個はずいぶん多い感じ。私ヌルボ、目の前にキャンディーと包み紙があると想定しておよその時間を測ってみました。すると10秒で4個。1分で24個。1時間で約1420個になります。この数字だとスニムの仕事は1時間足らずで終わってしまいます。一方ヒャンソクは10時間労働でも2万個に達しません。
 労働者詩人朴ノヘは九老工団の女工たちの生活を1日14時間/手足がパンパンに脹れるほど/有名ブランドの高い服を作っても/高級オーディオの調律をしても/自分の分け前はない」と書きました。
 ヒャンソクがもし14時間働いたらちょうど2万個のキャンディーを包み終えることができます。(根拠のない推測ですが、この10秒間に4個のペースの、1.5倍くらい速いスピードで包んでいたのではないでしょうか? だとすると、実働時間10時間くらいか?)

 さて、上記の会話に続く部分にも注目です。
 アン・チャンスクは<わたし>の手を取っていいます。

 あんたの手って、ほんとに柔らかいのね。あんたって、会社で遊んで食べさせてもらっているみたい」

 「ペパーミント・キャンディー」の<祈祷>の章。1984年秋。新米刑事のヨンホがいる警察署にスニムが面会に来て、(前々回の記事で書いた)工団食堂で2人は久しぶりに話をします。
スニムがヨンホに言います。(セリフは必ずしも正確ではありません。実際はもう少し長い。)
 「ふと思ったんだけど、ヨンホさんは優しい手をしてる。初めて会った時、ヨンホさんの手を見て、こういう手をしている人は優しい人だろう思ったの」
 ヨンホは、つい今しがた警察で初めて学生活動家を拷問したところでした。警察のトイレで文字通り「汚れた手」を洗っていると、入ってきた先輩が言います。「その臭いはよく落ちないぞ」
 工団食堂のシーンはまさにその直後です。
 スニムの言葉に、ヨンホはわざとらしく手を広げ、「僕の手はほんとに優しいよ」と言いながら、水を持ってきた食堂の娘(ホンジャ(キム・ヨジン)の腿をあからさまに撫でたりします。
 もちろん、ヨンホがその手の持つ<優しさ>を自ら裏切ったことへの自責の裏返し的な行動ですが、スニムがヨンホの手が優しいと思ったのも、自分の手が(ヒャンソクのように)硬い手だったからかもしれません。

③ユン・スニムは、「離れ部屋」にも登場している。

 「離れ部屋」(翻訳書)でユン・スンニムという名前を見た時には驚きました。ハングルではユン・スニムと同じ윤순임、漢字だとたぶん尹順任あたりです。(尹純任かも。) つまりスニム=スンニム。日本語表記の違いです。(以下、小説の登場人物の方はスンニムと書きます。)
 スンニムは製菓会社ではなく、同じ東南電機の先輩工員で、歳は<わたし>の5~6歳上。79年だと満22歳前後です。<わたし>と共同生活をしていた従姉が片思いしていた工業高校生の片思いの相手がスンニム・オンニでした。従姉の会話の中で<わたし>から見たスンニム・オンニの印象は・・・。
 「あのオンニって、凄く綺麗だもの。髪も長いし、目が毎日にこにこしているじゃない。確かにあたしだって、あのオンニと顔を合わせると気分が爽やかになるもの、男の子たちだったら余計にそうなんじゃなくて」
・・・とすこぶる好印象。
 後の方のページで、<わたし>は更衣室に置いてあったスンニム・オンニの作業服のポケットからつい1万ウォン札の入った封筒をつい抜き取って会社から早退してしまいます。しかし彼女の仕業と見当をつけたスンニム・オンニは正面切って追及はしません。<わたし>の部屋のドアに「封筒を返してください」等の短い手紙を挟んだだけです。翌日、出勤できない<わたし>を訪ねて来たスンニム・オンニに封筒を手渡すと、「ありがとう」と言ってにっこりします。
 その後しばらくして、欠勤の続く彼女を訪ねてきたのもスンニム・オンニでした。そして自分が高校を中退したことを打ち明けます。学校で何気なしに開けた筆記道具入れに入っていた千ウォン札2枚がそのきっかけ。「そのおカネを自分が盗むとは、夢にも思わなかったわ」と彼女。その後学校には行かず、結局母親のお金を盗んで家出をして、「思ってもみなかった、ここへ流れ着いたのよ」という話でした。そして「明日から会社へでておいで」というオンニの言葉に応えて翌朝<わたし>は会社に行きます。
 スンニム・オンニは、組合員としての意識も高い女性でした。<わたし>に声をかけて、組合の活動家のミス・イの部屋に怪我の見舞いに行ったりもします。(ミス・イは会社側の弾圧により手足を縛られたまま地下の取調室に下る階段で足蹴にされ、足にギブスをしています。)
 80年に入り、リストラが進められる状況になった東南電機では、退職金等の問題が組合の課題となり、スンニム・オンニもそんな話をしてくれますが、大学進学の見通しが立った<わたし>は結局辞表を出します。スンニム・オンニは<わたし>をいろいろ説得しますが、その時を最後に、2人が会うことはありませんでした。小説では、続けて「彼女は産業の現場の、風俗画の世界に閉じこめられたりはしなかっただろう」以下、ほぼ1ページにわたってスンニム・オンニのことを書き綴っています。
 ・・・と、延々と「離れ部屋」のユン・スンニムのことを書いたのは、「ペパーミント・キャンディー」のユン・スンニムとずいぶんイメージが重なると思ったからです。
 なお、この映画も小説も90年代の代表的な作品の1つなので、ここまで書いたことは韓国ではかなり知られてることだろうと思って検索したら、意外なことにどちらにも同じ名前の女性が登場することを書いた記事は1つ(→コチラ)しか見つかりませんでした。[2022年8月6日の補足] リンク先のURLはなくなっています。いろいろ検索してみましたが、元の記事も類似の記事も見つかりません。

 「ペパーミント・キャンディー」を観た皆さんは上記の共通項を読んでどう思いますか?
 私ヌルボは、イ・チャンドン監督は間違いなくこの小説を読んだと思います。1995年発行でずいぶん注目された小説だし、監督自身小説家でもあるし、労働者の現実を描いた映画「美しい青年,全泰壱(チョン・テイル)」(1995)で脚本も書いているし。ただ、ちょっと②のキャンディーの個数等、不確かな記憶のままの部分もあるかもしれませんが・・・。

 最後に、関係の画像を2つ貼っておきます。
    
 左は<わたし>の「離れ部屋」があった1980年代の九老工団第3団地、つまり今の加山デジタル団地駅近くの街並み。今の街の景観からは全然想像がつきませんね。右は<わたし>の職場・東南電機のあった場所に現在建っているエース・テクノタワー2次という高層ビル。1つ前の記事に書いた<輸出の女神像>から西に200mほどの場所にあります。

 前回の記事の最後に「短い記事でまとめる予定です」と書いた言葉は結果的にウソになっちゃいましたね、ははは
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[韓国映画]早稲田松竹で観た「ペパーミント・キャンディー」 ②映画で振り返る九老・加里峰・大林洞の40年の歴史

2018-09-03 15:36:16 | 韓国映画(&その他の映画)
 →[韓国映画]早稲田松竹で観た「ペパーミント・キャンディー」 ①18年ぶりに知った新事実

 ハンギョレ系のソウル情報サイト<ソウル&>に、「思い出と希望を訪ねて<Gバレー>を歩く」という記事(韓国語)がありました。(→コチラ。) その記事は、次のような問いから始まっています。

 沈相奵(シム・サンジョン)金文洙(キム・ムンス)孫鶴圭(ソン・ハッキュ)朴ノヘ「離れ部屋」「グリーン・フィッシュ」「ペパーミント・キャンディー」・ディスコ(韓国語でGoGo장)の共通点は何か?
 沈相奵、金文洙、孫鶴圭はよく知られた政治家、朴ノヘは詩人、「離れ部屋」は申京淑(シン・ギョンスク)の小説です。

 正解は九老工団先の記事の末尾で、「とりあえずの結論は、「ペパーミント・キャンディー」は<光州事件の映画>であるとともに、<九老工団関係の映画>でもある」と書いたので、本記事を続けて読んでいる方はすぐわかるかも。
 なお、沈相奵、金文洙、孫鶴圭は、かつてこの九老地区で労働運動に携わった政治家です。朴ノヘ[本名:朴基平(パク・ギヒョン)]は1984年詩集「労働の夜明け」を発表して大きな衝撃を及ぼした労働者詩人。(<南韓社会主義労働者同盟>を結成し、国家保安法違反で死刑宣告を受けたこともある)、「離れ部屋」は、1980年前後に九老工団で労働者として働きながら夜間高校で勉強し、90年代には韓国の代表的作家の1人となった申京淑の自伝的小説です。そして「グリーン・フィッシュ」と「ペパーミント・キャンディー」はイ・チャンドン監督による映画です。

 私ヌルボが、かつて工業団地があったこの地域に行ったのは2016年11月でした。その記録は→コチラの過去記事参照。
 そこでも書きましたが、まず訪れたのは加山デジタル団地駅至近の九老工団労働者生活体験館。

    
 労働者生活体験館の外観(左)と、その地下に再現されている当時の労働者たちが起居していた「蜂の巣(벌집)」とよばれた2、3坪ほどの狭い部屋。
 1964年以降韓国初の産業団地として造成された九老工団は朴正熙大統領による輸出主導型の開発政策の象徴するもので、1980年代半ばまでここは輸出産業の中心地でした。
 私ヌルボ、生活体験館でのにわか学習で、その近く(?)に、輸出製品を積み出していったという<輸出の橋>や、女性労働者を讃える<輸出の女神像>があることを知りました。しかし場所を道行く人に訊ねたりしたもののよくわからず、断念。後で調べてみたら・・・。

     
 この車が渋滞気味の跨線橋が<輸出の橋>だったとは!(左画像) 川に懸かっている橋かと思ってました。この橋の下は、近年日本人観光客にも人気のアウトレット街です。そして<輸出の女神像>は東に直線距離で約2kmの九老工団デジタル団地駅に近いビルの前にあります。
 真ん中の画像正面のKICOXベンチャーセンターのビルはかつての九老工団の中心というべき所に2000年建てられました。人件費の安い東南アジアへの工場移転が進む等々、産業構造の変化により90年代に入り沈滞していった九老団地一帯は、21世紀に入りゲーム産業等、先端産業の街へと面貌を一新しました。<九老工団>に代わって案出された<Gバレー>という言葉もデジタル団地化を象徴するものです。(※九老(Guro)のGとシリコンバレーのバレーの合成語。) 駅名も2004年九老工団駅が九老デジタル団地駅となり、翌05年には加里峰駅が加山デジタル団地駅に改称されました。そして今、この<輸出の女神像>の前には「신산업의 터전(新産業の拠点)」と刻まれた大きな石柱が立っています。
 <輸出の女神像>は、元はといえば1974年に工業団地創立10周年を記念して造られた<輸出の女人像>でしたが、ビル建設が進む中花壇の隅に追いやられていたのを、2014年工団建設50周年のイベントで元の位置に据え直したものとのことです。

 このように街の景観が大きく変貌した今、とくに目につくのは中国の簡体字と赤い色の看板の店舗、とくに食堂です。つまり、90年代以降この一帯は中国朝鮮族の集住地域になっているのです。

 右は、南九老駅近くの大通り(九老道路)に面した雑居ビル。
 <中國网吧>(ネットカフェ)や、<중화노래 연습장>(中華歌練習場.カラオケ)といった看板があります。
 さらに大林(テリム)駅辺りまで行くと、ここにはちょっと知られた(?)チャイナタウンがあって、(朝鮮族自治州の)延辺料理、とくにヤンコチ(양꼬치.羊肉の串焼き)や犬肉料理の食堂が目立ちます。
 多くの観光客が訪れる横浜の中華街とは雰囲気が全然違って、朝鮮族の人たちが中国での食文化をそのまま持ち込んだ感じの街です。

    
 
 ところで、韓国映画ファンの皆さんはこの大林洞辺りを舞台にした最近の韓国映画をご存知でしょうか? いくつかあります。いや、「いくつも」と言った方がいいかもしれません。答えは後の方で書きます。

 ここで、加山洞~加里峰洞~大林洞一帯の地図を見てみましょう。

 ①加山デジタル団地駅 ②南九老駅 ③大林駅 ④九老デジタル団地駅 ⑤九老工団労働者生活体験館 ⑥輸出の橋 ⑦輸出の女神像 ⑧チャイナタウン
 この地図の縦横はおよそ3kmです。
 また、この上の地域全体は、ソウル駅(右の地図の右上印)の南西方向に位置しています。

 ふー。やっとここで本記事のタイトル<映画で振り返る九老・加里峰・大林洞の40年の歴史>にたどりつきました(笑)。
 私ヌルボ、韓国外国語大学校のサイト内に<文学と映画の中の加里峰洞(大林洞)>という記事(韓国語)があるのを見つけました。(→コチラ。)
  文学の方は、上記の「離れ部屋(외딴방)」や映画化された李文烈の小説「九老アリラン(구로 아리랑)」が当然入っているな、というのをチラッと見て、映画の方に目を移すと、1976~2017年の21作品がリストアップされているではないですか。
 日本で公開された作品は約半分。長くなりついでに全部転載します。
 ※日本公開作品は邦題をつけておきます。(漏れがないかな?) それにしても、韓国映画ファンにはたぶんおなじみの<輝国山人 ホームページ>に日本未公開の→「高校ヤルゲ」や→「薔薇色の人生」の記事まであるのは、<韓国映像資料院 古典映画コレクション>のDVDを観て書かれたようですが、たいしたものです。

・고교얄개[高校ヤルゲ](1976) ソク・レミョン監督
・불타는 소녀[燃える少女](1977) キム・ウンチョン監督
・바람 불어 좋은 날[風吹く良き日](1980) イ・ジャンホ監督 邦題:風吹く良き日
・어둠을 뚫고 태양이 솟을 때까지:구로항쟁의 진상을 밝힌다[闇を突き抜けて太陽がほとばしる時まで:九老抗争の真相を明かす(1987) イ・サンビン監督 ※ドキュメンタリー
・구로아리랑[九老アリラン](1989) パク・ジョンウォン 邦題:九老アリラン
・내친구 제제[僕の友だちジェジェ](1989) イ・セリョン監督
・장미빛 인생[薔薇色の人生](1994) キム・フンジュン監督
・초록물고기[緑の魚](1997) イ・チャンドン監督 邦題:グリーンフィッシュ
・박하사탕[ハッカ飴](1999) イ・チャンドン監督 邦題:ペパーミント・キャンディー
・눈물[涙](2001) イム・サンス監督 邦題:ティアーズ
・돌아보면[振り返ってみれば](2001)キム・ソンミン監督 ※ドキュメンタリー
・가리봉 엘레지[加里峰エレジー](2002) イ・ギウォン(脚本) ※MBCの特集ドラマ
・달팽이의 꿈[カタツムリの夢](2003) キム・ソンミン監督 ※ドキュメンタリー
・가리베가스[カリベガス](2005) キム・ソンミン監督 ※ドキュメンタリー
・전우치[チョン・ウチ](2009) チェ・ドンフン監督 邦題:チョン・ウチ 時空道士
・황해[黄海](2010) ナ・ホンジン監督 邦題:哀しき獣 THE YELLOW SEA
・신세계[新世界](2013) パク・フンジョン監督 邦題:新世界
・가리봉[カリボン](2013) パク・ギヨン監督 ※ドキュメンタリー
・위로공단[危路工団](2015) イム・フンスン監督 邦題:危路工団 ※ドキュメンタリー
・청년경찰[青年警察](2017) キム・ジュファン監督 邦題:ミッドナイト・ランナー
・범죄도시[犯罪都市](2017) カン・ユンソン監督 邦題:犯罪都市

 日本公開の11作品中私ヌルボが観たのは7作品か。九老工団の歴史をたどった「危路工団」を観られたのはラッキーでした。一方、観るつもりでいた「ミッドナイト・ランナー」を見逃したのは残念。
 とくに近年は朝鮮族がらみの犯罪物が続いていて、この「ミッドナイト・ランナー」に対しては韓国内の中国朝鮮族団体が上映中断と制作陣の謝罪を要求したとのニュースが報じられていましたね。(→コチラ参照。)

 今回の記事は、ほとんど「ペパーミント・キャンディー」自体にはふれませんでしたね。
 ところが、さらにこの続きを書くことに急遽決定しました。そして今度こそは「ペパーミント・キャンディー」に直接関わる、(前回とは違って)他の韓国映画ファンも知らない<新発見>を、短い記事でまとめる予定です。(ウソの3点セットみたい。)

 →<早稲田松竹で観た「ペパーミント・キャンディー」 ③申京淑の自伝的小説「離れ部屋」を読んで気づいた3つの共通項>
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