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ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[4月26日(金)~28日(日)]

2013-04-30 20:26:35 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 27日(土)からシネマジャック&ベティで、これは必ず観るゾという台湾映画「セデック・バレ」の上映がスタートしました。今日観に行くかなとも思いましたが、都合つかず。明日か金曜あたりか、もっと後になるか・・・。なんせ、第一部・二部通して観ると4時間50分ですからねー。私ヌルボが霧社事件について最初に知ったのは「日本残酷物語」(平凡社)だったかな? あ、集英社の全集<戦争×文学>第18巻「帝国日本と台湾・南方」にも中村地平『霧の蕃社』という作品があったなー、事前に読んでおくとしますか・・・。津島佑子の長編小説「あまりに野蛮な」も霧社事件関係だって?

 昨日横浜市立図書館で月刊「新東亜」の3月号・4月号に目を通したら、昨年の6月号から連載している「韓国女優列伝(한국 여배우 열전)」チョン・ドヨン(3月号)とチョン・ジヒョン(4月号)を取り上げていました。これまでに登場した8人はチャン・ミヒチョン・ユニ等60~80年代が最盛期だった女優で、映画史といった感じの記事でした。チョン・ドヨンとチョン・ジヒョンについても映画史的な観点から書かれてはいますが、現役人気女優ということで、関心を持たれる方も多いのでは? 幸い「新東亜」のサイトで見ることができます。チョン・ドヨンの記事は→コチラ、「結婚で自分の女優の道を捨てたシム•ウナ、演技者としての人生ではなく、CFに時々出演して存在感が確認してくれる存在となったコ•ソヨンとは異なり、チョン・ドヨンは誰もが認める俳優として生き残った。女優は美貌で始まるが、最終的には演技で自分の存在を証明することを彼女はしっかりと証明して見せた」ですと。本人が喜びそうな記事ですね。
 チョン・ジヒョンの記事は→コチラ。この記事では、女優チョン•ジヒョンよりも、70年代の青春映画「馬鹿たちの行進」との比較等、「猟奇的な彼女」の作品論に行数を多く割いています。「「猟奇的な彼女」が作られてから10年以上が過ぎた。当時20代前半だったチョン•ジヒョンは、30代になって結婚をして、CFで顔を見るだけのモデルに転落したが「泥棒たち」と「ベルリン」で復活に成功した」とは、まあフツーの見方ですね。記事のタイトルからして「아직도 '엽기적인 그녀' 전지현(いまもなお'猟奇的な彼女'チョン・ジヒョン)だからなー。
 韓国語はダメという方はGoogle翻訳等をご利用ください。また、「韓国女優列伝」の他の女優については、→コチラの過去記事リストを参照のこと。

          ★★★ Daumの人気順位(4月30日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①レオン 9.4(581)
②パパロッティ(韓国)  9.3(1581)
③シュガーマン 奇跡に愛された男  9.2(133)
④アンコール!!  9.2(214)
⑤チスル – 終わらない歳月 2(韓国)  9.2(503)
⑥砂が流れる川(韓国)  9.1(22)
⑦かぞくのくに(日本)  9.1(68)
⑧偽りなき者  9.1(181)
⑨カルテット!人生のオペラハウス  9.1(35)
⑩7番房の贈り物(韓国)  8.9(3932)

 新登場はありません。

【専門家による順位】

①チスル – 終わらない歳月 2(韓国)  9.0(5)
②愛、アムール  8.7(7)
③ホーリー・モーターズ  8.7(4)
④ジャンゴ 繋がれざる者 7.8(7)
④テイク・シェルター  7.8(7)
⑥リンカーン  7.7(8)
⑦シュガーマン 奇跡に愛された男  7.7(4)
⑧ストーカー  7.6(6)
⑨偽らざる者  7.6(3)
⑩ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(日本)  7.5(2)

 新登場は⑩「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」だけです。日本では2012年11月公開されました。韓国題は「에반게리온 : Q」。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[4月26日(金)~28日(日)] ★★★

         「アイアンマン3」が他を圧倒して初登場1位。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・アイアンマン3 ・・・・・・・・・・・・・・4/25・・・・・・・・・・・・2,202,076・・・・・・・・・・2,625,287 ・・・・・・・21,680 ・・・・・1,380
2(2)・・伝説の拳(韓国) ・・・・・・・・・・・・・4/10 ・・・・・・・・・・・・・143,754・・・・・・・・・・1,543,066 ・・・・・・・11,358・・・・・・・426
3(1)・・オブリビオン・・・・・・・・・・・・・・・・・4/11 ・・・・・・・・・・・・・・77,109・・・・・・・・・・1,416,400 ・・・・・・・10,474・・・・・・・327
4(新)・・映画クレヨンしんちゃん・・・・・・・4/25 ・・・・・・・・・・・・・・74,280 ・・・・・・・・・・・・78,692 ・・・・・・・・・・514・・・・・・・290
       嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス(日本)
5(3)・・ランニングマン(韓国) ・・・・・・・・・4/04 ・・・・・・・・・・・・・・38,994・・・・・・・・・・1,377,261 ・・・・・・・・9,762・・・・・・・230
6(新)・・ピノキオ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/25 ・・・・・・・・・・・・・・32,814・・・・・・・・・・・・・37,117・・・・・・・・・・243・・・・・・・283
7(5)・・アンコール!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/18 ・・・・・・・・・・・・・・24,551 ・・・・・・・・・・・169,072・・・・・・・・1,184・・・・・・・187
8(新)・・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(日本)・・4/25 ・・・・・・・・23,331 ・・・・・・・・・・・・32,792・・・・・・・・・・237・・・・・・・・59
9(6)・・ローマでアモーレ ・・・・・・・・・・・・4/18・・・・・・・・・・・・・・・21,746 ・・・・・・・・・・・111,979・・・・・・・・・・823・・・・・・・107
10(4)・・ノリゲ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・4/18 ・・・・・・・・・・・・・・14,242 ・・・・・・・・・・・158,018 ・・・・・・・・1,153・・・・・・・175
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1位「アイアンマン3」が約220万人、2位「伝説の拳」はその1割にも達しない約14万人。こんな圧倒的大差はめずらしいです。
 今回の新登場は1・4・6・8位の4作品です。
 1位「アイアンマン3」は日本でも4月26日に公開。韓国題ももちろん「아이언맨 3」。発音は「アイオンメン」ですが。
 4位「映画クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス」は日本では2012年4月に公開されました。韓国題は「짱구는 못말려 극장판:태풍을 부르는 나와 우주의 프린세스」です。
 6位「ピノキオ」は、イタリアの作家カルロ•コリーディ作の「ピノキオ」が今年で誕生130周年を迎えたことを記念して、イタリア・フランス・ベルギー・ルクセンブルクブルクが合作で作ったアニメ。ディズニーの「ピノキオ」よりも原作に忠実だそうです。2012年ヴェネチア映画祭、釜山国際映画祭でも上映されましたが、日本公開は未定のようです。韓国題は「피노키오:당나귀 섬의 비밀(ピノキオ:ロバの島の秘密)」。
 8位「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」は日本では2012年11月公開。韓国題は「에반게리온 : Q」。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・チスル - 終わらない歳月 2(韓国) ・・3/21 ・・・・・・・・・・・・2,315・・・・・・・・・・・・・129,379 ・・・・・・・・・898・・・・・・・・・・40
2(2)・・公正な社会(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・4/18・・・・・・・・・・・・・1,880 ・・・・・・・・・・・・・・・9,842 ・・・・・・・・・・66・・・・・・・・・・18
3(3)・・テイク・シェルター ・・・・・・・・・・・・・・・・4/18・・・・・・・・・・・・・・・837 ・・・・・・・・・・・・・・・3,535 ・・・・・・・・・・26・・・・・・・・・・18
4(4)・・ホーリー・モーターズ・・・・・・・・・・・・・・4/04・・・・・・・・・・・・・・・763 ・・・・・・・・・・・・・・16,002 ・・・・・・・・・124・・・・・・・・・・12
5(新)・・7日間の恋人 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/25・・・・・・・・・・・・・・・345 ・・・・・・・・・・・・・・・・・803 ・・・・・・・・・・・5・・・・・・・・・・22

 新登場は5位「7日間の恋人」だけです。クォン・サンウがセシリア・チャンと共演した香港&中国のラブコメディで、日本ではすでに2012年12月公開されています。私ヌルボは観ていないので、コメントしようがない・・・。原題は「影子愛人」で、韓国題はそれを韓国語に置き換えた「그림자 애인」です。
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ハン・ビヤさん、旅立ちに際して「ピナイダ、ピナイダ」と祈る

2013-04-29 23:51:34 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 1つ前の記事で、「風の娘、わが地に立つ」という本を紹介しました。
 韓国の著名な「奥地旅行家」のハン・ビヤさんが世界旅行を終えた後の1999年3~4月韓国縦断徒歩旅行をした際の旅行記です。

 3月3日に全羅南道のタンクッ村(マウル)をスタートするのですが、旅行記のその日の記事はいきなり次のような文章(?)で始まっています。

 비나이다 비나이다  
 꺼질세라 바위틈에
 향불을 피워놓고
 ・・・・


 このような、短い詩句のようなものが、全8連で計53行連なっているのです。

 ところが、1行目の비나이다 비나이다(ピナイダ ピナイダ)からして意味わからず。
 第2連に천지신명님 전에 비나이다(天地神明様の 御前に ピナイダ)とか바다신께 비나이다(海の神に ピナイダ)とあるので、ピナイダが「お祈りします」の意味ということは見当がつくし、つまりはこれからの旅の無事を神々に祈る言葉なのだなとはわかるのですが・・・。
 とは思うものの、辞書でいろいろ引いてみても見つからず。結局ハングルサークルの先生に教わりました。
 すると「~나이다」というのは文語体の上称の平叙形終結語尾ということで、비나이다は빌다(祈る)+나이다。あたらめて「朝鮮語辞典」を見てみたら、ちゃんとありました。말씀 올리나이다(申し上げます)という用例付き。プライム韓日辞典にはもっと詳しく説明が書かれていました。
 うーむ、いかんなー。一応上級のハシクレなのに初めて知ったとはハズカシイ。文字通りハシクレです。しかしこの表現が載ってるテキスト、あるのかな?

 さて、この53行の告祀(고사.コサ)=神への祈願の儀式の文言ですが、あらかじめハン・ビヤさんが用意してきたというもので、音読するとなかなかリズムがあっておもしろい上、内容的にも興味深いので、この記事の末尾に訳文付きで全部載せておきます。(彼女が「リッパ」と見られる理由も垣間見られます。)

 この告祀文に続けて、状況説明が記されています。海岸に下りた彼女は風を受けない岩の陰でローソクを立てて火を点け、香を焚いて海に向かい3回、陸に向かい3回拝礼、次に東西南北にも各々3回拝礼。恭しく四方に酒を供え、用意してきた上記の「비나리(ピナリ)」を読んだとのことです。
 彼女はカトリック(天主教)の信者ですが、「郷に入れば郷に従え」で、この韓国で昔からやってきた風習なので、前からこの儀式をやることに決めていたとか。山人が高い山に登る時や漁師が遠くに船出する時には山祭(산제)海祭(바닷제)を執り行うように、私は昔から旅人が遠い旅に出る際に祠や辻でやってきたように、自分なりの「道祭(길제)」をやるのだ、というわけです。

 さて、告祀といえば思い浮かぶのがブタの頭。韓国映画やドラマによくその場面が出てくるのでご存知の方も多いと思います。祈願する人がその前で拝む時に、万ウォン札をブタの口に挟むんですね。(ハン・ビヤさんはそこまではしなかった。)

 「ピナイダ」とか」「告祀」で検索すると、いろいろヒットしました。
 今の韓国社会でよくやるのはTV番組等のヒット祈願です。
 たとえば、→コチラの記事は「私の娘ソヨン」の告祀のようすを紹介しつつ告祀を説明。
 また→コチラはドラマ「学校2013」の告祀現場の動画です。

 <UTRAVEL>の記事(→コチラ)では、告祀の作法を写真入りで説明しています。
 
 そして→コチラは豊漁祈願の告祀。(済州島の霊登歓迎祭)の動画。

 新しく開店した店の開業式でもやったりしているのは、以前ドラマで見ました。
 しかし、プロ野球でもやっていたとは今回検索してみるまで知りませんでした。それも球場で、ですよ。
 →コチラは今年3月釜山の社稷(サジク)野球場で催されたロッテ・ジャイアンツの優勝祈願の動画。「비나이다~ V3!」と表題がつけられています。

 ブタの頭を最初に見た時にはずいぶんとグロテスクだなと思いましたが、何度も見ていると全然抵抗感がなくなってしまうものですね。

 ハン・ビヤさんの本に戻ります。
 告祀を終えて、海岸からタンクッ塔の所まで上った彼女。右手の方を臨み見ると、海に突き出た岬の形が翼の形に見えたとか。海に入ろうとするカメの姿にも見えるとも・・・。で、ハン・ビヤさん、神様が告祀に応えてくれた!と受けとめて喜んでいます。
 その挿絵が下の画像。
 Google Earthで机上の旅をしてみると、ほぼこの場所&アングルだなというポイントが見つかったので並べておきます。

       
         【右上が北の方角。Google Earthの画像右下がタンクッの集落。】

 私ヌルボ、この旅行記はまだやっと全羅北道に入ったあたりを読んでいるので、いずれもっと読み進んだ時点でおもしろそうなネタがあったら記事にします。

[ハン・ビヤさんの告祀文] 
비나이다 비나이다.(お祈りします お祈りします。)
꺼질세라 바위틈에(消えないように 岩の間に)
향불을 피워놓고(お香を 焚いて)
꺼질세라 바위틈에(消えないように 岩の間に)
촛불을 밝혀놓고(ロウソクを 灯して)
동서남북 사방에다(東西南北 四方に)
각각 삼배 정히 하고(各々参拝 たしかに行い)

천지신명님 전에 비나이다.(天地神明の 御前に お祈りします。)
일월성신님 전에 비나이다.(日月星辰の 御前に お祈りします。)
바다신께 비나이다.(海の神に お祈りします。)
땅신께 비나이다.(地の神に お祈りします。)
산신께 비나이다.(山の神に お祈りします。)
강신께 비나이다.(川の神に お祈りします。)

이제부터 지나가는(今から 通って行く)
고을고을 터줏대감,(郡郡の 土地の主様、)
마을신께 비나이다.(村の神に お祈りします。)
모두에게 비나이다.(皆に お祈りします。)
간절하게 비나이다.(切に お祈りします。)

58년 무술녕 생(58年 戊戌の年 生まれ)
청주 한씨 집안의 딸(清州韓氏の 家の娘)
한남희, 홍복란의 세째 딸이(ハン・ナミ、ホン・ボンナンの3番目の娘が)
6년간 세계일주(6年間 世界一周)
무사히 끝마치고(無事に 終わって)
마지막 마무리고(最後の 仕上げに)
우리땅을 제 두 발로(わが地を わが両足で)
땅 끝에서 땅 끝까지(地の果てから 地の果てまで)
걸어가려 하옵나니(歩いて行こうと しております)

부디 예뻐 봐주시어(どうぞかわいく 見守り下さり)
기특하다 봐주시어(奇特であると 見守り下さり)
가는 길을 흔쾌하게(行く道を 気持ちよく)
허락하여주시기를(許されることを)
비나이다 비나이다.(お祈りします お祈りします。)
정성 다해 비나이다.(心を込めて お祈りします。)

마음병도 나지 않고(心の病も 罹らずに)
가지각색 인연 만나(種々様々な 縁を結び)
가지각색 일을 겪어(種々様々なことにふれ)
보고 듣고 배우면서(見て聞いて 学びつつ)
그렇게 느낀 것을(そうして感じた 物事を)
마음속에 고이 담아(心にきちんと 取り込んで)

알릴 것은 잘 알리고(知らせることは よく知らせ)
실천할 건 살천하여(実践することは 実践し)
저에게도 득이 되고(自分にも 得になり)
남에게도 득이 되고(他人にとっても 得になり)
세상에도 득이 되게(世間にも 得になるように)
굽어 살펴주옵소서.(ご照覧 あらんことを。)

비나이다 비나이다. (お祈りします お祈りします。)
이 땅의 모든 신께(この地のすべての神に)
위에서 아뢴 갓을(上で申し上げたことを)
간절하게 비나이다. (お祈りします お祈りします。)
정성 다해 비나이다. (お祈りします お祈りします。)
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<風の娘>ハン・ビヤさんの韓国縦断徒歩旅行(1999年)のスタート地点はタンクッ(地の果て)村

2013-04-28 23:53:35 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 日本での知名度は高くありませんが、韓国では女性旅行家ハン・ビヤさんはよく知られています。それも多くの人の尊敬の対象です。
 1958年生まれの彼女は、子どもの頃からの夢だった世界一周を実現すべく、3年の間せっせと貯めたお金2500万ウォンを資金とし、仕事も棄てて1993年7月出発しました。
 出かけるに際して彼女が自ら課した原則は、①飛行機に乗らない。②1つの国に1ヵ月以上滞在する。③奥地の村を中心に廻り、現地の人とまったく同様に食べて寝て生活する、でした。
 結局98年6月まで約5年間、その原則にしたがい、30㎏の荷物を持って世界65ヵ国を徒歩で旅行しました。(この重量その他について疑問を呈する人もいないではないですが・・・。)
 その旅行記「風の娘、歩いて地球3周半(바람의 딸, 걸어서 지구 세 바퀴 반)」(1996〜98)が評判をよび、メディアにも登場するようになりました。
 そして韓国YWCA選定若いリーダー賞受賞(2004年)、「大学生が最も尊敬する人物」で1位となる(2009年)等々、現在の韓国の若者が最も尊敬する人物の1人に数えられています。
 ヌルボが韓国の人相手にハン・ビヤの名前を出したら、「リッパな方です」という言葉が返ってきた、ということは2例ありました。

 その彼女が、世界一周を終えた後の1999年3月2日~4月26日の56日間、韓国をやはり徒歩で縦断しました。
 その時の旅行記が「風の娘、わが地に立つ(바람의 딸, 우리 땅에 서다)」(1999年)です。

            
     【ハン・ビヤさんももう50代半ば。「風の娘」の愛称は気恥ずかしいのでは?】

 本書によると、世界一周の最後の頃チベットで会ったアメリカ人旅行者から聞いた話が国内旅行を思い立ったきっかけとのこと。彼は、自分の親戚が韓国のイムシルという所で働いていたと言ったのに、ハン・ビヤさんはそれがどこだかよくわからず、「灯台下暗し」だったと悟って、韓国縦断で世界旅行をしめくくろうと決意したというわけです。

 この本は最初1999年に刊行されましたが、私ヌルボが昨年12月にソウルで買ったのは2006年に改訂された版です。2007年頃買って読み始めたものの、5分の1ほど読んだあたりで本が行方不明になったのでしかたなく買い直しました。とほほ。

 さて、その縦断ルートは、韓国の南西端から北東端までをほぼ直線で結んだものです。

 本書の巻末に、56日間の毎日の行程や歩いた距離、宿泊場所等の記録が付いています。そこに全行程を示す図と、それを4つに分けて詳しく経由地を書き込んだ地図も載せられています。(下図)

            
     【韓国の単位では全長約2000里。※韓国の1里は日本の1里の10分の1です。】

 およそ800km。56日間だと1日平均14 km強とは、1日30~40kmは歩いた江戸時代の旅人と比べるとずいぶんスローペースだな、との感もありますが、読んでみると途中で山に登ったり、TVに出たりもしているので、必ずしものんびり旅行というわけでもなさそうです。

 彼女がこの徒歩旅行の起点としたのが、その名もタンクッ(땅끝)という所。タン(땅)は地クッ(끝)は果て。文字通り<地の果て>という地名。島は除いて、朝鮮半島の最南端の地です。

    
   【下の方の➊の場所がタンクッ。(コネストの地図は日本語なので便利です。) 】

 全羅南道海南郡松旨面松湖里のタンクッ村(해남군 송지면 송호리. 땅끝마을)です。
 私ヌルボ、何年か前にある在日の方と知り合い、故郷をお尋ねしたら「タンクッです」とのこと。その時初めて、漢字語ではないその地名を初めて知りました。
 韓国縦断の出発点にぴったりの所ですね。

 そしてゴール地点が日本海側の北端、つまり北朝鮮との軍事分界線の手前にある高城(コソン)統一展望台。これまたぴったんこ。

 ハン・ビヤさんも書いていますが、韓国という国の大きさは徒歩で縦断するにはちょうどよい路程で、山も適度な高さです。

 ・・・ということでハン・ビヤさん、1999年3月2日にソウルからバスで光州を経て8時間かかってタンクッに到着。その日の晩は当地のモーテルに泊まって翌3日にいよいよ歩き始めます、というか、いやその前にちょっとした「儀式」があったのですが、それは続きで・・・。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[4月19日(金)~21日(日)]

2013-04-23 23:17:53 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 今、この監督の作品なら観るゾ、と決めているのが邦画だと中島哲也と内田けんじ、洋画ではイーストウッド、ポランスキー、クストリッツァ、アン・リー、そして今日観てきたケン・ローチ。その「天使の分け前」の上映館の銀座テアトルシネマはいつも以上に込んでいて、14:30の回なのにほとんど満席。
 この銀座テアトルシネマは、館内の見た感じもラインナップも客層も上品なフンイキで、私ヌルボとしては居心地の良さとその逆という相反する印象を共に抱いてきた映画館です。しかし5月一杯で閉館。この込みようは往年のファンがどっと来てるのかな? 私ヌルボの隣席は品の良いオバサマ3人連れ、「セデック・バレ」とか「愛、アムール」等の話題に続いて、この映画館の「1987~2013 27年の軌跡」というパンフを見ながら過去に観た映画のお話。「「さよなら子供たち」は良かったわねー」とか、そして「「せいべんせい」も良かったなー」。
 ん? そうか、「風の丘を越えて/西便制」か。歴代興行収入ランクで9位になってるんですね。94年6月25日公開、ということはヌルボもここで観たのか? うーむ、思い出せない。もしかして、このオバサマ方も19年前ここで同じ映画を観ていたかも・・・。
   
 あ、韓国映画で必ず観るゾの監督はポン・ジュノ。当たり前すぎか。イム・スルレ監督は3作観てハズレなしなので今後も期待。キム・ギドクへの期待度は「まあね」レベルですが、今日予告編ではじめて「嘆きのピエタ」の予告編を観ました。これは予告編としては上出来だと思います。物語はよくわからないのにドキドキ感があります。音楽もなんか「深い」です。
 実はこの予告編、4月8日にYouTubeにupされていたんですね。(→コチラ。) 知らんかったわ。公開日は6月、渋谷のル・シネマ。何日かは未定、のようです。

          ★★★ Daumの人気順位(4月23日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①レオン 9.4(568)
②パパロッティ(韓国)  9.3(1513)
③シュガーマン 奇跡に愛された男  9.2(130)
④チスル – 終わらない歳月 2(韓国)  9.2(490)
⑤アンコール!!  9.2(183)
⑥砂が流れる川(韓国)  9.1(22)
⑦かぞくのくに(日本)  9.1(67)
⑧偽りなき者  9.1(174)
⑨カルテット!人生のオペラハウス  9.1(35)
⑩ビューティフル・ミス・ジン(韓国)  9.0(20)

 新登場は⑤「アンコール!!」だけです。病身の妻に代わって合唱団に参加した気難しい初老の男が、さまざまな出来事を通して人生の新たなスタートを切る姿を描いたイギリス映画です。涙あり笑いありの人情味あふれる物語に加え、劇中で合唱団が歌うシンディ・ローパーやビリー・ジョエル等々のヒット曲(もうナツメロか・・・)も大きな魅力、とのことです。韓国題は原題そのままの「송 포 유(ソング・フォー・ユー)」。日本公開は6月28日です。

【専門家による順位】

①チスル – 終わらない歳月 2(韓国)  9.0(5)
②愛、アムール  8.7(7)
③ホーリー・モーターズ  8.7(4)
④ジャンゴ 繋がれざる者 7.8(7)
④テイク・シェルター  7.8(7)
⑥リンカーン  7.7(8)
⑦シュガーマン 奇跡に愛された男  7.7(4)
⑧ストーカー  7.6(6)
⑨偽らざる者  7.6(3)
⑩かぞくのくに  7.4(5)

 ⑤「テイク・シェルター」だけが新登場です。日本では2012年3月公開されました。それほど話題にならなかったと思いますが・・・。ヌルボも未見。韓国題は「테이크 쉘터」。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[4月19日(金)~21日(日)] ★★★

         「オブリビオン」が2週連続1位。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・オブリビオン・・・・・・・・・・・・・・・・・4/11 ・・・・・・・・・・・・・366,997・・・・・・・・・・1,204,421 ・・・・・・・・8,976・・・・・・・563
2(2)・・伝説の拳(韓国) ・・・・・・・・・・・・・4/10 ・・・・・・・・・・・・・334,587・・・・・・・・・・1,243,292 ・・・・・・・・9,200・・・・・・・638
3(3)・・ランニングマン(韓国) ・・・・・・・・・4/04 ・・・・・・・・・・・・・143,619・・・・・・・・・・1,280,107 ・・・・・・・・9,107・・・・・・・331
4(新)・・ノリゲ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・4/18 ・・・・・・・・・・・・・・80,337 ・・・・・・・・・・・103,691・・・・・・・・・・776・・・・・・・278
5(新)・・アンコール!! ・・・・・・・・・・・・・・・・4/18・・・・・・・・・・・・・・・79,218 ・・・・・・・・・・・・94,669・・・・・・・・・・684・・・・・・・317
6(17)・・ローマでアモーレ ・・・・・・・・・・・4/18・・・・・・・・・・・・・・・47,169 ・・・・・・・・・・・・60,540・・・・・・・・・・458・・・・・・・201
7(新)・・ビューティフル・クリーチャーズ・・4/18 ・・・・・・・・・・・・・47,055 ・・・・・・・・・・・・56,897・・・・・・・・・・407・・・・・・・278
8(4)・・G.I.ジョー バック2リベンジ・・・・・3/28・・・・・・・・・・・・・・・26,597・・・・・・・・・・1,842,434 ・・・・・・・14,360・・・・・・・214
9(5)・・恋愛の温度(韓国)・・・・・・・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・・23,673・・・・・・・・・・1,847,778 ・・・・・・・13,681・・・・・・・165
10(7)・・プロディ・ザ・ポリスカー・・・・・・・4/11・・・・・・・・・・・・・・・18,885 ・・・・・・・・・・・・50,617 ・・・・・・・・・・335・・・・・・・175
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「オブリビオン」が連続1位、といっても、人数自体はなんということのない数字です。新登場もどれも今ひとつ。たまたま端境期なのかな?
 今回の新登場は4・5・6・7位の4作品だす。
 4位「ノリゲ」は、原題「노리개」の音読。意味は「慰み者」なんですけどねー。各記事であえて訳さず音読のままにしているのは「慰み者」だとちょっと抵抗があるから? この映画は、2009年自殺した女優チャン・ジャヨンをめぐる「性上納」事件(→コチラ参照)を題材に、芸能界の性接待の問題を扱った社会悪を告発する作品で、その点「トガニ」と共通するところがあります。事件の真実を追及するのは熱血記者(マ・ドンソク)と女性検事(イ・スンヨン)ですが、肝心の「ノリゲ」とされる女優(ミン・ジヒョン)役は断った女優も少なからずいたとか・・・。しかし、あの事件は真相がよくわからないまま幕が引かれてしまいましたが、真相やその後の状況はどうなっているのでしょうか? 今後の展開は、どうも「トガニ」のようにはいかないかもなー・・・。
 5位「アンコール!!」については上述しました。
 6位「ローマでアモーレ」は、ウディ・アレン監督によるラブコメ。アメリカ・スペイン・イタリアの合作ですが、ほぼ全編がローマで撮影され、さまざまなローマ人の生活を客観的に映した恋愛群像劇。監督自身もアメリカから来た元オペラ演出家約で出演しています。観光名所もいろいろ映されているとか。日本公開は6月8日で、公式サイトも当然できてます。(→コチラ。) 韓国題は「로마 위드 러브(ローマ・ウィズ・ラブ)。
 7位「ビューティフル・クリーチャーズ」はカミ・ガルシア&マーガレット・ストールによる同名ファンタジー小説(日本語未訳)の映画化。アメリカ南部の小さな町に住む高校生イーサンは転校生の少女レナと親しくなるが、彼女の家系は呪いに支配されていて、一族の少女が16歳になると隠されていた恐ろしい力が覚醒されるという宿命を背負っているのです。恐ろしい力といっても、Witch(魔女)ではなくて、念じるだけで気象や植物を操ったりできるCasterというのだそうです。2人は周囲の反対を押しきってその呪いを解こうとするのですが・・・。韓国題は「뷰티풀 크리처스」、日本公開は未定です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・チスル - 終わらない歳月 2(韓国) ・・3/21 ・・・・・・・・・・・・5,314・・・・・・・・・・・・・122,360 ・・・・・・・・・850・・・・・・・・・・69
2(18)・・公正な社会(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・4/18・・・・・・・・・・・・・3,083 ・・・・・・・・・・・・・・・5,359 ・・・・・・・・・・36・・・・・・・・・・36
3(新)・・テイク・シェルター ・・・・・・・・・・・・・・・4/18・・・・・・・・・・・・・1,136 ・・・・・・・・・・・・・・・1,654 ・・・・・・・・・・12・・・・・・・・・・17
4(2)・・ホーリー・モーターズ・・・・・・・・・・・・・・4/04・・・・・・・・・・・・・1,061 ・・・・・・・・・・・・・・14,441 ・・・・・・・・・112・・・・・・・・・・22
5(3)・・ベルセルク 黄金時代篇III 降臨(日本)・・4/11 ・・・・・・・・・・・970 ・・・・・・・・・・・・・・・5,594 ・・・・・・・・・・42・・・・・・・・・・13

 2・3位が新登場です。
 2位「公正な社会」は犯罪映画。「アジュマ(おばさん)」(チャン・ヨンナム)は保険会社に勤めながら10歳の娘を女手一つで育てています。ところが帰宅が遅れたある日、娘は帰って来ませんでした。警察に駆け込んでもただの家出だとつき返されてしまいます。娘は2日後に傷だらけで帰ってきます。性暴行を受けて・・・。捜査は行われますが、、担当刑事は手続き上の問題を並べてさらに過酷な精神的苦痛を娘に与えます。別居中の歯科医である夫は、自身の名誉に傷が付くことを恐れて事件をひた隠しにします。しかし「アジュマ」はそんな困難や妨害を乗り越え、40日間の追跡の末直接犯人を捜し出して捕まえるのです。この映画も実話を元に作られたということです。ひどい事件が、何度となく繰り返されています。「韓国ほどひどくない」からと、韓国を貶めるほど日本も「立派」ではいえません。ただ、先の「ノリゲ」同様、韓国社会の醜い一面を追及した映画が作られるということは、ようやくこれまでのような「泣き寝入り」はもうごめんだ!という時代になってきた、と肯定的に捉えていいのでしょうか? 主演のチャン・ヨンナムはノーギャラ出演を買ってでたそうです。原題は「공정사회」。
 3位「テイク・シェルター」は上述しました。
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漫画家カンプルの初の絵本も、作家申京淑の新刊短編集も、ネコがいっぱい!

2013-04-21 23:54:15 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 先週の日曜(14日)の夜遅く、久しぶりに教保文庫の通販で本を10冊注文したら水曜に届きました。毎度のことながら、便利な世の中になったものです。

 その10冊中、お目当てその1の本は、当ブログでは頻出のネット漫画家カンプルが今年1月に初めて出した絵本「アンニョン、チングよ(안녕,친구야)」です。今年生まれた女の子のために絵本を描いたのだそうです。

    
       【「2013DIARY」がオマケでついているとは知りませんでした。ラッキー!】

 「アンニョン、チングよ」は、ふつうに訳すと「こんにちは、友よ」ですが、読んでみたらそうじゃなかったです。
 雪の降る夜に目が覚めた男の子(女の子に見えないでもない)、敷居につまづいて泣いていたら、窓の外から話しかけてきたのはにゃんと子ネコでした。迷子の子ネコのために、子どもはこっそり窓から外に抜け出し、路地に出て親ネコのいる所を一緒に探しに行きます。そして・・・、この後の展開は、「統一日報」のよしはらいくこさんの連載記事<原書で読む 韓国の本>で詳しく紹介されているので、ソチラを参照されたし。

 で、最後の方で子どもと子ネコが別れる場面が下のページ。

        
   【この絵柄、絵本というより、いつものカンプルの漫画をちょっとていねいに描いたかな、という感じです。】

 2人、いや1人と1匹が「アンニョン」と言って手を振ってます。つまり、「こんにちは」ではなくて「さよなら」だったのですね。「アンニョンを訳す時には要注意」です。(あ、五七五になってるゾ!)

 それから、「チング(ともだち)」が人間でなく子ネコだっということも、本を注文した時点では知りませんでした。

 さて、お目当ての本その2は、これも当ブログでしばしば記事にしてきた現在韓国で最も読まれている作家申京淑(シン・ギョンスク)の新刊です。(感動作「母をお願い」(集英社文庫)、読んでくださいねっ!)
 3月に出たばかりのその本は「月に聞かせてあげたい物語(달에게 들려주고 싶은 이야기)」と題した短編集です。

          
   【帯には「月の光のように染み入り あなたをきらめかせてくれる物語!」とあります。】

 5~8ページくらいの短編が26編収められています。(掌編と言った方がいいかも・・・。)
 コチラは絵本とは違って10分で読了とはいかず、今日スタートして3つ読み終えたところ。

 それよりも何よりも、この本の表紙を見てすぐに気づいたのが上述のカンプルの絵本との共通点。
 そーですよ、そーですがな!
 <ネコ>ですよ!!

 アラ、と思ってページをめくると、挿絵にもネコがここかしこに描かれているではないですか。

   
         【1ページまるごとネコたちが描かれているページもあります。】

 お話の方はとくに全部がネコ関係というわけではありませんが、2つ目の「겨울나기(冬越し)」は庭に来るノラネコ(母ネコ&子ネコ×3)のために出してやったエサをカチの群れが横取りする話だし、他に「고양이 남자(ネコ男)」とそのものずばりの題のついた作品もあります。

 いやー、最近韓国ではホントにネコ人気がヒートアップしているしているようですね。
 昨年暮れにロッテモール金浦空港にある永豊文庫に行った時に、下の写真のような平台がありました。

       
          【よく見るとネコ以外の本もあることはあるのですが・・・。】

 動物関係の絵本ということですが、ほとんどはネコの本です。

 韓国では、少し前まではネコはちょっと気味が悪いと見られたりして、あまり好まれる動物ではなかったのですが、ここにきて大きく変わってきました。
 今や「カンプルも、シン・ギョンスクもネコまみれ」です。(あ、これも五七五になってるな!!)

 当ブログでも、昨年(2012年)1月11日に<ネコはコヤンイ。ではニャンコのことはニャンというのかニャ?>と題した、現代の社会の変化等も絡めた関係記事を書きました。
 大家族や町内会、農村共同体のような伝統的な人間関係組織が解体していって、都市のマンション等で暮らす核家族や単身生活者が増えるにつれ、個人の自由を象徴するネコに共感を寄せる人が増えてきた、ということでしょう。・・・いかにも社会科教師が考えつきそうな解釈だなー、・・・って私ヌルボ自身のことですけど。(1つ前の記事でカミングアウト、ははは。)

 一方、イヌの方はというと、コチラはのらくろのように伝統的序列社会を象徴する動物ですが、韓国ではペット化が進行してるみたいで、人気が凋落しているということはないようですけどね。(「食材」から「ペット」へ、です。犬食文化がすたれるわけでもないですけど・・・。)

 しかし、暮れにソウルで買い込んだ本をまだ読み終えていないのに、また買っちゃったなー・・・。あーあ・・・。

            
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日本の高校生の何割が「金日成」を知っているか?

2013-04-19 23:50:48 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 私ヌルボがこのブログを始めたのが2009年8月11日。今日で1347日目になります。その間の記事が合計957件です。
 読んでくださっている皆様、ホントにありがとうございます。そして、これからもよろしく。

 皆様の中には、「ヌルボというのはどういう人なのか?」と関心を持たれた方もいらっしゃるようです。
 過去記事で書いた範囲では、「住まいは横浜で、それも市立図書館やシネマジャック&ベティに近い所」とか、「ハングルサークルに行っている」こと、「年に80回以上映画を観に行かれるようなヒマ人(?)」であること、「徳島県出身」ということ、「それなりの年配者」であることくらいだと思います。
 その程度の「個人情報」(←全然好きな言葉ではない)しか書いていないのは、シャイな性格(!)によるところがいちばんの理由です(笑)。

 しかし、本業に関わる部分でも社会的に有意と(勝手に)思うこと、後世に(!)遺すべきだと(勝手に)思うことについては、今後折に触れて書いていくことにしました。

 で、今回明かす「個人情報」は、じゃ~ん! ・・・と鳴り物を入れるほどのものではありませんが、公立高校の社会科教員ということです。数年前に定年退職しましたが、その後も少し関わりはあります。

 ただ、長くこの職を続けてきたからといって近頃の高校生をはじめとする若い人たちのことに通じているというわけではありません。最近いろんな人に話していることですが、逆に「高校生の標準」、「ふつうの高校生像」といったものが逆にわからなくなってきました。

 自分の高校時代はもちろん、20年ほど前の高校生と比べてもかなり変わってきているようだし、また地域によっても違うし・・・。
 したがって「いまどきの高校生はどうですか?」と問われても、なんとも答えようがありません。「たとえば××にある○○高校では・・・」という話し方はできないでもありませんが、同じ高校に通っていても家庭の状況によって個々の生徒の生活や考え方は相当異なると思います。
 (「日本人の家庭」にしても、今「標準型」といったものがまだあるのかどうか? サザエさん一家のような家庭は今何割あるのか・・・?)

 そしてまた知識・教養についていえば、高校ごとの「学力格差」はいうまでもなく非常に大きいものがあります。
 「近頃の若い人はものを知らん」とは教師にかぎらず昔からよく聞く言葉ですが、たしかにヌルボ自身の経験で言っても、物を知らない事例は枚挙にいとまがない状態です。
 たとえば日本の地図を見て鹿児島県の位置を知らないというレベルは全然驚くほどのものではありません。(これは平均よりかなり下のレベルの生徒ですが・・・。) また、以前ある高3の生徒と話をしていて、その生徒が「3割」というのは「30%」のことで、分数で表すと「10分の3」、小数だと「0.3」だということを知らなかったという事実を私ヌルボは知り、これには少し驚きました。(その生徒、「今初めて知りました」とか「私、数学は苦手ですから・・・」と言ってたなー。それでもコンビニでバイトが務まるのが現代のいいところ?)

 昔から「ウチの生徒はこんなことも知らんのか!?」と怒ったりする教師もいないではないですね。説明をしても「わかりません」を繰り返す生徒に「わかれ!!」と怒鳴った先生がいたとかいう話も聞いたことがあります(笑)。
 今は心の中で驚いても、静かに受けとめて説明する先生がほとんどではないでしょうか?(どーかな?) 教師の仕事というのは、そういう現実をちゃんと把握して、ていねいに教えることだから、怒ってみてもしょうがないのです。

 社会科関係の事項の場合、生徒の「無知」はある程度までは世代の違いによるものです。たとえば1990年代生まれの生徒にとっては、ロッキード事件などは生まれる20年も前のことであり、田中角栄首相も教わってor自分で本等を読んだりして初めて知る名前なので、「知らなくてもしょうがない」のです。おとなでも40歳以下だと、あの「まあその~」という田中角栄の物真似は聞いてもわからないのではないでしょうか?
 (戦後生まれの団塊の世代も、高校時代東条英機の名は知っていても近衛文麿はあまり知らなかったように思います。)
 「米ソの対立」なんて、今の生徒にとって「ソ連」自体が生まれる前に解体してしまっているので、どんなふうにアタマに入っているのか?
 「共産主義」や「共産党」についてイメージなんかも非常に大きな違いがあるだろうことは論をまたず。あ、これは研究テーマにもなりえますね。
 ヌルボの経験では、90年代授業の中で受けた質問のことは今も印象に残っています。資料中にあった「支那」という言葉について、めずらしく1生徒が挙手して質問をした内容は「先生、シナって何ですか?」というものでした。語源等を訊ねたのではなく、その言葉自体を知らないのです。

 もうひとつ、同じ日本人でも、世代により使用するボキャブラリーの違いも留意する必要があります。これも5年ほど前の高1の授業です。「これは、こうしてこしらえるんだよ」と何かについて説明していたところ)、ある生徒が「先生、「こしらえる」ってなんですか?」。内心「うーむ・・・」とたじろぎつつも、「ていねいに手を加えるなどして作り上げることだよ」と冷静に説明すると、生徒「それって「つくる」でいいんじゃないですか?」。
 40代くらいの同僚にその話をすると、「私はもちろん知ってるけど、自分ではあまり使わないわねー」とのことでした。

 ・・・えーと、ここまでが毎度のことですが長~い前置き。これから先が本論です。

 上記のように長年教職にあったにもかかわらず「高校生の標準」がわからないという私ヌルボですが、とくに全然といっていいほどわからないままだったのが学力的に「優秀」とされる生徒たちの知識・教養レベルでした。
 ところがわりと最近、さる学区内トップ校の生徒の皆さん(34人)と直接接する機会がありました。中学時代の成績通知表で、5段階評定で4だと残念がり、3だと大ショックを受けるくらいの諸君です。
 この機会を利用して、かねがね気になっていたこと、疑問に思っていたことを彼らに訊ねて、紙に書いてもらいました。その結果を世の人々、とくに同じ年かさ(団塊の世代とその前後)のご同輩を念頭におきつつ紹介します。
 (※ここまでの文中に用いた「枚挙にいとまがない」とか「論を俟たず」とか「たじろぐ」等の表現は、生徒相手に話す際は「論をまたず。言うまでもありません」のような言い方にする等の工夫が必要かも・・・。)

 以下はその結果です。

Q1.「如才ない」の意味がわかりますか?
  ○(わかる)=4人、△(聞いたことはあるが正確にはわからない)=2人、×(わからない)=28人

 ま、こんなもんでしょ。この文字だけ見たら、読み方からしてわからない生徒は間違いなく大勢います。

Q2.親の生年月日を知っていますか?
  知っている=15人、西暦or昭和の片方しかわからず=4人、生年を知らない=15人

 家庭のありようをうかがい知る1つの指標。たぶん学校格差にも関係あり。

Q3.ダンカイの世代が漢字でかけますか?
  ○(「団塊」と書ける)=17人、×(書けない)=17人

 おおよそ意味を知っているだけでも高校生としては水準以上?

Q4.「こしらえる(拵える)」の意味がわかりますか?
  ○(わかる。使うことがある)=9人、△(わかるが使わない)=23人、×(わからない)=2人

 1970年代初頭、中学校での教育実習の時、「順繰りに前に出て・・・」と言って生徒にその言葉は何かと問われました。「順々に、とか、順番に」と言うのだと教わりました。
 子どもの頃、1910年生まれの母に「おなかすいた」とおやつをねだると「そんなケッショクジドウ(欠食児童)みたいに・・・」と言われました。「ウンシャン(不美人)」なんて言葉もよく聞きましたが、あれは元はドイツ語だったんですね。
 私ヌルボ、いつの間にか「歩く死語辞典」になりつつあるような・・・。

Q5.シナ(支那) の意味がわかりますか?
  ○(わかる)=7人、△(およそわかる)=2人、×(わからない)=25人

 たとえば石原慎太郎氏が繰り返している「シナはシナでいいじゃないか」等々の発言。是非の議論以前で、今でもけっこう耳目に触れることの多い言葉のはずなのに、7割以上がわからないとは、やっぱり首を傾げざるをえません。

Q6.北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の現指導者金正恩(キム・ジョンウン)は3代目。初代は誰?
  ○=11人、×=23人

 初代は金日成(キム・イルソン)で2代目は金正日(キム・ジョンイル)。トップレベルの高校生でも3分の2は知らないのかー・・・。世界の主要国の指導者で、知ってる名前はオバマだけという大人も世の中にたくさんいて、それでもダイジョーブ(何が?)なんですけどね。おっと、英・独・仏は今誰だっけ!?

Q7.自分の高校時代を色で表すと何色?
  青[水色・空色](8人)、黄色(6人)、白(5人)、オレンジ・きみどり・緑(各2人)。あいいろ・セピア色・灰色・黒(各1人)。

 半世紀前は「灰色の」が受験生活にかかる枕詞でしたが、それは遠い過去の話になっています。たしかに、今回の生徒諸君の表情は生き生きとしていて、目も輝いているようでした。

 上の質問とは別に、ヌルボが訊いてみたところでは「村上春樹のレトリックは~」は知らない生徒多数。「修辞法」と言い換えてもわからない。(トーゼン。) 「若者の就職難の時代だが、自分自身のスペックを高めて・・・」という韓国でフツーにメディアでも使われている表現は、日本の彼らの間でもフツーに用いられているようです。(50代以上の日本人は何%くらいが「スペック」という言葉を知っているのか、これまた見当がつきません。)

 さて、上記の「調査結果」を見た方は、「やっぱり今どきの高校生は物を知らんなー」と思うかもしれません。
 しかし、先に記しましたが、この生徒たち34人の数字をもって「今どきの高校生」の標準とするのは妥当ではなく、また「知らない」という回答が多いとしても、高校進学率が約5割だった1950年代、7割だった60年代頃の高校生と単純に比較して、安易な結論づけをすることはできません。

 また、おとなの世代が今の高校生を嘆いたり非難したりすると、それはほとんどわが身に逆に返ってくるとみて間違いありません。
 久しい以前から、受験参考書は半世紀前のような分厚いものはまったくといっていいほど見かけなくなりました。「教科書には載っていないようなこともいろいろ書かれていて、学問の深奥といったものを垣間見させてくれる」本が昔の参考書のコンセプトだったとすれば、当世は「できるだけ少ない労力&時間で最大限の得点力アップを図る」ですから。
 しかし、これは受験生だけの話ではなく、それ以前に、日本社会全体がそうなってきたことの反映でしょう。およそ、そんなようなものです。

 兵法だけでなく、教育の場合も「敵(生徒)を知り、己を知る」ことがまず大切ですが、それだけでも難しい上に、そこから先がまた大変です・・・。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[4月12日(金)~14日(日)]

2013-04-17 14:42:56 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 諸般の事情で1日遅れになってしまいました。
 
 昨日映画「ヒッチコック」を観てきました。ウィキの作品リストを参照すると、私ヌルボが観たことがあるのは12本だと思います。あえてマイ・ベストをあげると「レベッカ」かな。それから「断崖」とか。しかしどちらもかなりの部分ジョーン・フォンテインの魅力によるものなんですけどどね。(彼女95歳で健在。同じくアカデミー賞女優の姉オリヴィア・デ・ハヴィランド96歳も。なんという姉妹だ・・・。)
 しかし映画「ヒッチコック」は「サイコ」製作に絡んだ妻との間のもろもろで、その「サイコ」はヌルボは未見の作品なんですよ。公開時(1960年)はまだ子供だったし、ずっーと後ハロルド・シェクター「オリジナル・サイコ」(ハヤカワ文庫NF)を読んだ時に、エド・ゲインの所業はどう小説や映画にしてみても、事実そのものを越えられないと思って、DVDはもちろん劇場上映の機会があっても「サイコ」は今後も観ない映画リスト入りとさせてしまいました。
 ・・・ということで、私ヌルボ、最初に下の本の表紙を見ても、何の映画かもわからず、この形相は何だ!と奇異な感じさえ持ったものです。

             
    【「死ぬ前に必ず見るべき映画1001編)」の表紙。何も予備知識がないと、「この顔はなんだ!?」と驚くでしょう。】

 「サイコ」で、シャワー室で襲われたマリオン(ジャネット・リー)が叫ぶ場面で、実は映画ファンにはおなじみでヌルボが知らなかっただけなんですけどね。
 この「死ぬ前に必ず見るべき映画1001編(죽기 전에 꼭 봐야 할 영화 1001편)」という本は、韓国ではどんな映画の観られ方をしているか等々興味をもって購入したんですが、ほとんど死蔵状態になってます。
 しかし、どんな映画が1001編に入れているか、タイトルだけ眺めてもおもしろいことはおもしろいですが・・・。なんと、→コチラの韓国ブログに、その全タイトルと監督名が載っています。いやー、ご苦労様なこってす。興味のある方はのぞいてみてください。韓国語はダメという方は→自動翻訳でおおよそわかります。そしてこの1001編中、最も多く18作品が収録されている監督がヒッチコックなんですね。
 [記事アップ直後の追記] この本については、「一映画好き」さんから基本事項についてコメントをいただきました。ご一読をお願いします。

          ★★★ Daumの人気順位(4月16日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①レオン 9.3(554)
②パパロッティ(韓国)  9.3(1504)
③シュガーマン 奇跡に愛された男  9.2(129)
④チスル – 終わらない歳月 2(韓国)  9.2(458)
⑤かぞくのくに(日本)  9.1(67)
⑥砂が流れる川(韓国)  9.1(21)
⑦Love Letter(日本)  9.1(586)
⑧偽りなき者  9.1(167)
⑨カルテット!人生のオペラハウス  9.0(34)
⑩ビューティフル・ミス・ジン(韓国)  9.0(20)

 新登場は⑩「ビューティフル・ミス・ジン」だけです。昨年2月<ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012>で上映されました。何度も映像がフリーズして、お詫びとして事務局からマッコリが振舞われて「会場内は、ちょっとした『マッコリ祭り』と化した」そうですが・・・。釜山の東莱(トンネ)駅近辺の踏切番スドンの前に、ある日現われたのは、片手に女の子の手を握り、もう一方の手には大きなバッグを持ったミス・ジンと、アル中の中年男トンジン。身寄りのないその女の子は「子豚ちゃん」とよばれる(って、꼬맹이はおちびちゃんですけど。) 彼らとご飯を一緒に食べたりするようになって、奇妙な交流が始まり、スドンの穏やかな日常に変化が訪れる。しかし、ミス・ジンたちを快く思わない駅長は強硬手段で彼らの排除に乗り出す・・・。観た人の感想は、「楽しく、時には悲しく、見どころ満載」とのことです。

【専門家による順位】

①チスル – 終わらない歳月 2  9.0(5)
②愛、アムール  8.7(7)
③ホーリー・モーターズ  8.7(4)
④雪男(韓国)  8.0(1)
⑤ジャンゴ 繋がれざる者 7.8(7)
⑥リンカーン  7.7(8)
⑦シュガーマン 奇跡に愛された男  7.7(4)
⑧ストーカー  7.6(6)
⑨偽らざる者  7.6(3)
⑩かぞくのくに  7.4(5)

 順位、評点とも前回とまったく同じです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[4月12日(金)~14日(日)] ★★★

         日本より一足早い公開の「オブリビオン」が1位。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・オブリビオン・・・・・・・・・・・・・・・・4/11 ・・・・・・・・・・・・・530,036・・・・・・・・・・・・620,390 ・・・・・・・・4,666・・・・・・・631
2(20)・・伝説の拳(韓国) ・・・・・・・・・・・・4/10 ・・・・・・・・・・・・・478,854・・・・・・・・・・・・676,814 ・・・・・・・・5,026・・・・・・・724
3(1)・・ランニングマン(韓国) ・・・・・・・・・4/04 ・・・・・・・・・・・・・252,119・・・・・・・・・・1,039,134 ・・・・・・・・7,432・・・・・・・439
4(2)・・G.I.ジョー バック2リベンジ・・・・・3/28・・・・・・・・・・・・・・103,865・・・・・・・・・・1,784,576 ・・・・・・・13,954・・・・・・・344
5(3)・・恋愛の温度(韓国)・・・・・・・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・・69,003・・・・・・・・・・1,795,789 ・・・・・・・13,300・・・・・・・288
6(4)・・パパロッティ(韓国)・・・・・・・・・・・・3/14・・・・・・・・・・・・・・・39,436・・・・・・・・・・1,687,116 ・・・・・・・11,646・・・・・・・209
7(新)・・プロディ・ザ・ポリスカー ・・・・・・・4/11・・・・・・・・・・・・・・・28,972 ・・・・・・・・・・・・29,812 ・・・・・・・・・・198・・・・・・・229
8(5)・・新世界(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・2/21・・・・・・・・・・・・・・・10,689・・・・・・・・・・4,670,319 ・・・・・・・34,793・・・・・・・・84
9(11)・・チスル - 終わらない歳月 2(韓国)・・3/21 ・・・・・・・・・・10,405・・・・・・・・・・・・110,003・・・・・・・・・・766・・・・・・・・70
10(新)・・レオン・・・・・・・・・・・・・・・・・1995/4/04・・・・・・・・・・・・・・・9,160・・・・・・・・・・・・・11,835 ・・・・・・・・・・・89 ・・・・・・・75
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・7・8・10位の4作品だす。
 1位「オブリビオン」はトム・クルーズ主演のSFサスペンス。日本では5月31日公開。昨日私ヌルボも予告編で見ましたが、なんかよくわからなかったゾ。韓国題は「오블리비언」。
 2位「伝説の拳」のタイトルは、作中のTV番組のタイトル。学生時代に武勇談で名をはせたオッサンたちを集めて戦わせる番組です。人気急騰の番組は最強8人のトーナメントで最高潮に・・・。この番組に参加することになった3人の元ケンカ仲間は、まずソウル五輪のボクシングで金メダルをめざすも挫折したうどん屋のオッサン(ファン・ジョンミン)。男手1つで反抗期の娘を育てています。2人目は海外にいる家族のために屈辱にも耐えつつがんばっているキロギアッパの大企業の部長(ユ・ジュンサン)、刑務所入所経験もあるがいまだに三流チンピラ(ユン•ジェムン)というオッサン。25年後に再会した彼らの最後の勝負だけでなく、彼らの友情や、現在の家族や社会についても心温まるエピソードを盛り込んだ作品、とのことです。「サニー 永遠の仲間たち」とも相通じる要素がありそうな・・・。なお、この作品、北米20都市でわずか2日遅れで公開なのだそうです。原題は「전설의 주먹」です。関係ないですが、ファン・ジョンミンのデビューは1994年のミュージカル「地下鉄1号線」だったんですね。
 7位、「プロディ・ザ・ポリスカー」は、2010年広島国際アニメーションフェスティバルでも上映されたノルウェーの3Dアニメ。意思を持ったフォルクスワーゲンのパトカーが活躍する。1986年に子供向けラジオ番組で登場したのが最初で、その後実写テレビシリーズ、そして実写長編映画へと進化・発展。→コチラのブログ記事(動画入り)によると、「実写版は「ナイトライダー」を彷彿とさせ、ちょっと懐かしい感じ?」とのこと。それは懐かしいなー。韓国題は「꼬마영웅 경찰차 프로디(ちびっこ英雄 警察車プロディ」。
 10位「レオン」は、いうまでもなくリュック・ベッソン監督、ジャン・レノ主演の名作(1994年)。少女役で注目されたナタリー・ポートマンは12歳だったんだなー。先週なんで今「ナバロンの要塞」を再上映するのかなと思いましたが、この作品も同様。韓国題は「레옹」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・チスル - 終わらない歳月 2(韓国) ・・3/21 ・・・・・・・・・・・10,405・・・・・・・・・・・・・110,003 ・・・・・・・・・766・・・・・・・・・・70
2(3)・・ホーリー・モーターズ・・・・・・・・・・・・・・4/04・・・・・・・・・・・・・3,130 ・・・・・・・・・・・・・・11,945 ・・・・・・・・・・93・・・・・・・・・・36
3(新)・・ベルセルク 黄金時代篇III 降臨(日本)・・4/11・・・・・・・・・2,390 ・・・・・・・・・・・・・・・3,503 ・・・・・・・・・・26・・・・・・・・・・13
4(1)・・終わりと始まり(韓国) ・・・・・・・・・・・・・4/04・・・・・・・・・・・・・1,484 ・・・・・・・・・・・・・・37,585・・・・・・・・・266・・・・・・・・・・67
5(新)・・ディテール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/11・・・・・・・・・・・・・・996 ・・・・・・・・・・・・・・・1,628 ・・・・・・・・・・12・・・・・・・・・・12

 3・5位が新登場です。
 3位「ベルセルク 黄金時代篇III 降臨」は日本で2月に公開されたばかり。日本アニメにはオタクともいうべき固定ファン層がいるように思います。韓国題は「극장판 베르세르크: 황금 시대편Ⅲ – 강림」。
 5位「ディテール」はアメリカのブラック・コメディ。安定した家庭を営んできた結婚10年目の夫婦(トビー・マグワイヤ&エリザベス・バンクス)ですが、倦怠の影もさしてきています。そんな折、庭になんとアライグマの一団が穴を掘って住み着き始めるのです。夫はこの動物たちの駆除を始めますが、意外にてこずるんですね、これが。だんだんとストレスが募って行く中で、彼は長いつきあいの女友達(ケリー・ワシントン)といけない関係を持つ所まできて(って、アライグマとどう関係するんだ!?)、なんだ?隣の奥さんとも? さらには妻が想定外の妊娠をしたとは、一体どうなってんだ、この夫は! ・・・というお話。日本公開は未定。韓国題は「디테일스」です。
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俳優・三國連太郎さんの訃報に接して

2013-04-15 23:38:28 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
以前「好きな映画俳優」として、女優=山田五十鈴・久我美子・左幸子・田中裕子・大竹しのぶ。男優=木村功・三國連太郎・山崎努の名前をあげたことがありました。

 その1人、三國連太郎さんが4月14日亡くなりました。

 芸能人だけとってみても、長く活躍してきた人で最近亡くなった人がたくさんいますが、三國さんは私ヌルボにとってとくに思い入れの深い俳優のひとりでした。
 彼の出演した映画で、名作との評価が高い作品のほとんどは名画座や特集上映等で観たので、公開時に最初に観たのは「襤褸の旗」(1974)「皇帝のいない八月」(1978)あたりだったか、記憶は不確かです。
 また、俳優としての彼というより、彼の出演作品が私ヌルボの性に合っていたといった方がいいかもしれません。いくつも観ていくうちに、だんだんと俳優としての三國連太郎に興味を持つようになりました。
 その1つの契機となったのは、ずいぶん前のことですが、沖浦和光(かずてる)桃山学院大名誉教授の部落差別についての講演を聞いた時、彼についての話が出たこと。そのお二人の対談は「「芸能と差別」の深層―三国連太郎・沖浦和光対談」と題されて解放出版社から刊行され(1997)、その後ちくま文庫から再刊されています。

 また、これも20年くらい(??)前のことですが、ラジオに出演した彼が失敗に終わった徴兵逃れのこと話していました。1943年、唐津市呼子の港から朝鮮に渡ろうとしたのですが、彼からの手紙を受け取った母親の手配で船に乗る直前に官憲に捕まった、という内容です。
 ・・・ということを知っていた私ヌルボ、2010年5月に佐賀県に旅行に行った時、唐津駅前からレンタサイクルで名護屋城に向かう(しんどかった!)途中、呼子港にも立ち寄ったというわけです。(参考記事→コチラ。)

 ウィキペディアに書かれている「三國連太郎」の来歴・人物は、いったいどういう人が何に基づいて書いたものかわかりませんが、興味深いエピソード満載です。(女性遍歴がスゴイ!)

 それを読んでヌルボが初めて知ったのは、上述の朝鮮への逃亡を企てた以前に、密航して中国や朝鮮に行った経験があったということ。それも1937年、満14歳の中学生(!)の頃です。
 ウィキには「下田港から密航を企て青島に渡り、その後釜山で弁当売りをし、帰国後は大阪でさまざまな職に就く」とあります。(青島ではダンスホールの店員をやったりしてたとか・・・。)

 その時のことは「朝鮮新報」のサイトの過去記事(1998年?)で読むことができます。
 その部分を抜粋します。
 1937年、日中戦争が勃発して軍靴の響きは高まるばかりだった。  
  その頃の釜山の駅前は、あてもなく毎日、日本人手配師の来るのを待つ朝鮮人労働者で溢れていた。「ある時でした。意味不明な怒号を耳にして立ち止まると、1人の朝鮮人を、日本人の手配師が『ナップンノム、カマニイッソ』『ヨボ、カマニイッソ』と叫びながらステッキで打ちのめしていました。その言葉は、半世紀たった今も耳にこびりついて忘れられません」。
  ※ナップンノム、カマニイッソ=悪いヤツめ、じっとしてろ。 ヨボ=おまえ

 佐野眞一「怪優伝 三國連太郎・死ぬまで演じつづけること」(講談社.2011)には、いろいろ詳しく書かれているようですが、ヌルボはファンのくせして未読なんです。(恥)

 彼の訃報を伝える新聞の見出しは「「飢餓海峡」や「釣りバカ日誌」シリーズなど、個性派俳優として活躍」あたりが一般的なようです。評価の高い名作と、多くのファンに親しまれたシリーズという「妥当な組み合わせ」ですね。

 本ブログでは、とくに韓国関係の作品として思い浮かぶ「三たびの海峡」(1995)のことについてふれておきます。
 神山征二郎監督が帚木蓬生の同名原作小説(1992)を映画化したものです。\t

 主人公河時根[ハ・シグン](三國連太郎)は、1943年17歳の時に慶尚北道の尚州の村から強制的な徴用で九州の炭坑に送り込まれます。小説にはN市となっていますが、直方のようです。(あるブログ記事には「貝島の大辻炭鉱と思われます」とありました。) これが1度目の海峡越え。終戦後、恋人(南野陽子)と共に故郷に帰ります。これが2度目。(日本人の彼女は村人たちから忌避され、置手紙をして日本に戻ります。)
 そして40数年後。河時根は「人生最後の仕事」を果たすべく、<三たびの海峡>を越える、という物語です。
 私ヌルボ、20年前のことなので細部は憶えていませんが、原作はおもしろくてイッキ読みしました。映画も観ましたが、小説の映画化作品の多くがそうであるように、原作に比べると今ひとつだったかも・・・。
 しかし、三國連太郎さんはいかにもという適役で、この作品で日本アカデミー賞主演男優賞を受賞したのもむべなるかな、といったところでした。(「利休」「息子」に続き「3度目」の受賞。)

※原作小説は、韓国でも「情炎海峡(정염해협)」のタイトルで1995年翻訳書が刊行されました。

 三國さん、享年は90歳ですか・・・。知れば知るほど映画のような、「語るに足る人生」です。ご冥福を祈ります。
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[韓国のわらべ歌] 「おさるのケツは赤い」は「さよなら三角」みたいなしりとり歌

2013-04-12 23:52:34 | 韓国の音楽
 1つ前の記事で韓国の絵本のことを書いた関係で、昨日横浜市立図書館1Fの外国の児童書コーナーを見てみました。

 その時にたまたま目にとまり、興味を持って一読したのが下の画像の本です。

          
   【キム・ウォンソク「わが国 伝来童謡 童詩」(2000年発行)の表紙。】

 内容は、自然や動植物、生活等々についての詩、カンガンスルレ等の遊び、子守唄や田植え唄等の伝承歌等々いろいろ。
 詩や歌詞だけでなく、1ページ分の説明もついています。

 その中で、私ヌルボがとくに注目したのが「言葉遊び(말놀이)」の部分。
 8つ紹介されている中で、2つ紹介します。

   부산 가서 붓 사고   釜山に行って筆買って  
  부산 가서 붓 사고   釜山に行って 筆(プッ)買って
  초량 가서 초 사고   草梁(チョリャン)に行って ローソク(チョ)買って
  섬에 가서 섬 사고   島(ソム)に行って 俵(ソム)買って
  통영 가서 통 사고   統営(トンヨン)に行って 樽(トン)買って
  마포 가서 말 사고   馬浦(マポ)に行って 馬(マル)買って
  밀양 가서 밀 사고   密陽(ミリャン)に行って麦(ミル)買って

   ※마포はソウル市の麻浦ではなく馬山の古称馬浦のこと。
   ※3行目は元来は「俵(ソム)買って」だと思うのですが、挿絵を見ると「島」を縄でくくって引っぱっている・・・。

 私ヌルボも2月23日の記事<大邱の人はタラのスープが好きかな?>で韓国の地名に因んだダジャレをまとめてみましたが、地名から何か連想するというのはよくある発想ですね。説明を読むと、釜山あたりの地名ばかりで、つまりはその地方に伝承されてきた言葉遊びとのことです。ハングルで検索してもヒット数は多くないので、そんなにポピュラーなものでもなさそうです。
 日本の「山があっても山梨県、お金を拾って徳島県・・・」という言葉遊びの方がたぶんよく知られているのでは?

 2つ目は、2010年9月28日の記事<[韓国のわらべ歌] アチムパラム チャンパラメ・・・・>を書いた時、少し韓国のわらべ歌を調べてみた時に知ったしりとり歌です。

     
        【絵入りで楽しく読めます。右ページはその説明。】

 しりとり歌といっても「こぶた、たぬき、きつね、ねこ・・・」と続くものではなくて、また「一番楽しいお正月、学校集まる四方拝、はいはいもしもし電話口・・・」と2文字とって続ける名作(!)(→コチラ参照)
でもありません。

   원숭이 똥구멍은 빨개   おさるのケツは赤い  
  원숭이 똥꾸멍은 빨개    おさるのケツは赤い
  빨가면 사과          赤いはリンゴ
  사과는 맛 좋아        リンゴはおいしい
  맛 좋으면 대추         おいしいはナツメ
  대추는 달어           ナツメはあまい
  달으면 바나나         あまいはバナナ
  바나나는 길어         バナナは長い
  길으면 기차           長いは汽車
  기차는 빨러           汽車ははやい
  빠르면 비행기         はやいは飛行機
  비행기는 높아         飛行機は高い
  높으면 백두산         高いは白頭山


 先に書きませんでしたが、皆さんたぶんご存知の「さよなら三角」のようなものですね。
 「さよなら三角また来て四角/四角は豆腐/豆腐は白い/白いはうさぎ/うさぎは跳ねる/跳ねるはカエル/カエルは青い/青いは葉っぱ/葉っぱはゆれる/ゆれるは幽霊/幽霊は消える/消えるは電気/電気は光る/光は親父のはげ頭」
 ・・・このあたりが一応標準的のようですが、いろんなバリエーションがあります。→コチラのブログ記事では、派生パターン表まで作ってくださってます。また、地方によっては「いろはにこんぺいとう」とか「デブデブ百貫デブ」で始まるものもあります。

 この「원숭이 똥구멍은 빨개」は、説明文によると「唐津(タンジン)地方(忠清南道)で歌われたもの」だが、「飛行機やバナナが出てくるところをみるとそんなに古いものではない」、だが「(児童文学者の)魚孝善(オヒョソン)先生が70年前にこれを歌って育ったというから、それでも古い」等と書かれています。

 しかし、ふつうに考えて、これはやはり日本の統治時代に「さよなら三角」が伝わって変化したものではないでしょうか?

 「원숭이 똥구멍은 빨개」には「さよなら三角」ほどの多くのバリエーションはないようですが、地方によって若干の違いがあったり、「빨가면 사과」が「빨간 것은 사과」という形式になっていたり、・・・という程度です。あ、タイトル&冒頭が「원숭이 똥꾸멍」でなく「원숭이 엉덩이」になっている例はたくさんあります。
 私ヌルボは「똥꾸멍」を多少上品に「ケツ」と訳しましたが、正確には「糞穴」つまり肛門のことです。この下品さが引っかかる人は「엉덩이」つまり「お尻」の方を選んでいるということでしょう。

 YouTubeで検索したところ、先の「アチムパラム」と同じく子煩悩の親がリードして幼児に唱えさせている動画がいくつもありました。
 1つだけ紹介します。→コチラ
 「パナナヌン キーロ」というのを、一瞬「バナナはきいろ」と聞いてしまいました。(もちろん、「長い」です。)

 オマケ。この「원숭이 엉덩이」を、ガールズグループViViDが歌っている動画もあったので、載せておきます。

  
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絵本「おつきさまこんばんは」、「ひよこさん」の韓国版と、韓国の絵本状況など

2013-04-11 21:16:48 | 韓国の小学生~高校生向き小説・物語
 ずっと以前に韓国でトップのネット書店<YES24>の会員になって以来、頻繁にメールマガジンが送られてきます。その数は毎月2ケタにはなるのでは?

 内容は、図書情報だけでなく、新刊書プレゼント、映画情報(試写会・前売り券等)等のお知らせや、書籍以外のいろんな商品の通販のお知らせ。たとえば各種ギフト、化粧品、食料品、雑貨等々。自転車なんてのもあるなー。
 で、肝心の図書情報はというと、月3回くらい送られてくる「YES24다락편지(多楽手紙)」に毎回1つのネタが書かれています。
 その「多楽手紙」も、とくに私ヌルボの興味を引くような本の紹介はあまりなくて、ざっと目を通すくらいですが、4月7日(日)の「多楽手紙」は日本の翻訳絵本を取り上げていたので注目しました。

 見出しは「林明子18年ぶりの新作絵本(하야시 아키코 18년 만의 신작 그림책)」
 記事本文の訳は次のとおりです。

 30年近く続け愛される幼児の絵本があります。満1歳前後の子供がいる家なら誰もが1冊くらい持っている『おつきさまこんばんは』、みなさんご存知でしょう? 真っ暗な夜、屋根の上にあらわれた明るいお月様に挨拶し、過ぎていく雲に隠されたお月様を見て泣きそうな顔になり、再びあらわれたお月様に向かってうれしそうに挨拶する絵本。あまりにも単純な内容の絵本ですが、それで子供たちがより見やすくお月様のあとをついてにっこりと笑い、しかめっ面もして、長い間愛される本になりました。
 今回出された『ひよこさん』は林明子が18年ぶりに出した新作であり、2008年に亡くなった夫の文と林明子の絵が調和した作品です。夕暮れ時の黄色い赤ちゃんひよこ1羽が野原に走っていきます。日が暮れて薄暗くなるのに、どこに行くのでしょうか? いつの間にか空には星が浮かんで夜になりました。一人で眠りについた赤ちゃんひよこに誰かが近寄ってきます。母鶏ですね。母鶏は、赤ちゃんひよこをふところにぎゅっと抱いています。朝になってママのふところで目が覚めた赤ちゃんひよこは喜んで叫びます。「あ、お母さんだ。お母さん、おはよう。」  
 心配する母親とは違って、好奇心いっぱいで無邪気な赤ちゃんひよこは子供たちの姿そのままです。簡潔な文章と温かい絵の中に母と子の間の絶つことのできない無限の愛がいっぱい感じられる絵本です。


        
        【日本で今年2月発売の『ひよこさん』(左)の韓国語版(右)が、もう4月1日に発行。】

 日本の絵本の翻訳本が韓国内で多数発行されている状況については、2010年9月12日の記事で書きました。上野の国際子ども図書館で開かれていた特別展に行った時の記録です。
 その記事中で紹介した地域別の翻訳出版件数の順位は次のようになっています。
  (1)韓国 2177 (2)台湾 1206 (3)中国 537 (4)米国 501 (5)フランス 486 
 つまり日本の絵本の輸出先は韓国が圧倒的に1位ということです。(→コチラ参照。)
 そしてそこでも「韓国で抜群に読まれている絵本」として紹介されていたのが林明子「おつきさまこんばんは」でした。(→コチラ参照。)

 上掲の<YES24多楽手紙>の文にもあるとおり、月が上がって、雲に遮られて、また現れるという「あまりにも単純な内容」で、おとなであればたぶん1分(!)で読めるのではないでしょうか? しかし0~2歳児にとっては十分以上に印象的な絵本のようですね。あ、読んだことのない方は→コチラコチラの記事参照。いろんなブログ記事を見ると、子供たちの反応の強さは信じられないほどです。
 韓国語学習者の皆さん、韓国語版の方の文字部分は→コチラのブログ記事(日本語)を参照されたし。5分以上かかる人もいらっしゃるでしょうが、がんばってください。

          
  【『おつきさまこんばんは』の日本語版(左)と韓国語版(右)。韓国語版はなんで月が青く縁取られているのかな? 】

 この『おつきさま こんばんは』は、<教保文庫>の絵本の現在(今週)のベストセラー・ランクでも第8位に入っています。

 さて『ひよこさん』の方ですが、これは「こどものとも 0.1.2.」の2013年3月号として発行されたものです。つまりわずか2ヵ月前。
 横浜市立図書館にあったので読んでみました。
 こちらも文字部分は少ないので、おとなだとやはり2分以内で読めます。福音館書店のサイト内の紹介ページは→コチラ
 この本の折込み付録の説明によると、5年前に亡くなった征矢清(1935~2008)さんが夫人の林明子さんに書き残したお話とのことです。
 母性愛に満ちた絵本なので、おとなにとってはコチラの方が感動すると思います。(笑)
 韓国版のタイトルはで、単なる「병아리(ひよこ)」なのはなぜかな? 子供相手にていねいな言葉を用いると不自然なのかも。

 さて、なんとなくこの『병아리』について<YES21>の説明を見ていて、「エッ!?」と驚いたのが翻訳者のキム・ナムジュという女性。主な翻訳書を見てみてください。
 黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』・佐野洋子『100万回生きたねこ』・村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(韓国題:一角獣の夢)』・吉本ばなな『キッチン』・東野圭吾『聖女の救済』・江國香織『冷静と情熱のあいだ Rosso』・小川洋子『博士の愛した数式』・安部公房『砂の女』等々、その他いろいろ。
 いったい何なんだ、このプデチゲのような(←意味不明)ごちゃまぜ状態は!?

 今、韓国での絵本の売れ行きランキング上位20位までについて、作家を国別で見ると、韓国6、日本3、その他11。(40位まで見ると、学習絵本が入ってくるので、もっと韓国が多くなります。)
 しかし、以前の記事でも書いたように、日本と韓国の間をみると、日本の絵本は大量に韓国で翻訳・出版されているのに、その逆はあいかわらず非常に少ないという状況は変わっていないようです。

 たまたま「韓国児童書出版の動向」と題された記事が見つかりました。韓国の児童書関係者によるものと思われる、くわしいレポートです。
 これによると、90年代以降の児童書文化の大きな流れのポイントは以下のとおりです。
・韓国では、長い間“児童文学は幼稚である”という社会の認識と闘ってきた。また作家の大部分は男性で占められていた。  
・そのような状況に変化の兆しが見え始めたのは1990年代からで、女性も作家として登場し始めた。
・“ママ”作家たちは、“教訓性”という児童文学の伝統を超え、子供たちの感受性に即した童話を発表した。そして韓国の児童文学は長い停滞期から脱却し、ルネサンスを迎えた。
・2000年代に入って、多くの児童文学賞がスタートし、作家教室、大学の文芸創作科出身の作家たちが多数登場した。彼らは権威的な政治環境やイデオロギーに束縛されない自由な世代の作家で、既存の作家とは異なる奇抜な想像力を発揮している。
・韓国は絵本文化が根付いてからわずか20年である。韓国の経済成長のスピードに似て、絵本産業もまた短期間のうちに飛躍的な発展を遂げた。

 他の分野同様、絵本文化もやはり90年代から新しい時代に入ったということですね。

 私ヌルボも韓国の絵本(原書&翻訳書)をこれまでそれなりに(30冊くらい?)読んできましたが、たしかに日本でももっと翻訳・出版が進むといいとおもいます。

 たとえば、チェ・スッキ(최숙희)という人気絵本作家。ベスト20中に5作品も入っています。

        
  【1年生の教科書にも載っているチェ・スッキ作「ケンチャナ(いいじゃん)」。一目で彼女の絵だとわかります。(英語版もある。)】

 上の画像の「괜찮아(ケンチャナ.いいじゃん)」の内容は→コチラで見ることができます。
 しかし、今のところ彼女の絵本で翻訳されているのは『檀君』だけ。(それもキム・セシル作で、絵だけ担当。)

 他にも、いい絵本がたくさんあります。韓国語が初級レベルでも、絵本だととっつきやすく読みやすくてオススメなんですけどねー。

 あ、韓国の絵本といえば、この分野で大竹聖美さんという方のお名前をこれまでしばしばお見かけしましたね。関係記事は→コチラコチラ

 うーむ、記事をまとめるどころか、広がってきてしまったゾ、ということでおわりにします。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[4月5日(金)~7日(日)]

2013-04-09 23:47:44 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」は、ぜひ多くの人に観てほしい映画です。三重県名張市の公民館での寄合いで出された毒入りぶどう酒で5人が死亡した事件が起こったのは1961年。その犯人とされて死刑が確定後、半世紀以上経った今も無実を訴え続けている奥西勝死刑囚・・・。映画が観られない人も、せめてウィキ(→コチラ)で事件の概要を読んでください。2005年に1度は再審開始が決定されながらもその後取り消し。しかし「無実の人間が自分が不利になるような自白をするはずがない」と言う裁判長は、過去そんな事例が多数あったことを知らないのですね。あきれたものです。素人がみてもすぐ無実とわかるあの袴田事件でさえもなかなか再審が確定しない等々、司法自体が犯罪的といわざるをえません。
 2009年の障害者郵便制度悪用事件で検事が証拠改竄したことは大きく報道されましたが、これまでもたとえば先頃無罪が確定した布川事件では検察側は遺留品の鑑定書を30年間開示しなかったとか、徳島ラジオ商殺人事件では検事が証人に偽証を強要したとか、無辜の人を真犯人にしたてる「犯罪」事例はいろいろあります。
 足利事件がDNA鑑定で晴れて無実となったことは大きく報道されましたが、1度は誤審に導いた以前のDNA鑑定を根拠に、飯塚事件の方は死刑が執行されてしまいました。無罪の可能性を否定できないのに・・・。
 それ以上に、無実の人を死刑にしてしまった疑いが非常に濃厚なのは藤本事件です。60年以上前のことですが、ハンセン病差別と絡まったひどい事件で、「新・あつい壁」(2007年)という映画も作られました。
 しかし、無実の人の何十年という人生よりも、司法界内部の人間関係とか、自分の栄達の方が重大事という裁判官がそんなに多いのですかねー・・・。

          ★★★ Daumの人気順位(4月9日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①チスル – 終わらない歳月 2  9.3(405)
②パパロッティ(韓国)  9.3(1459)
③カルテット!人生のオペラハウス  9.3(31)
④シュガーマン 奇跡に愛された男  9.2(127)
⑤かぞくのくに(日本)  9.1(67)
⑥Love Letter(日本)  9.1(584)
⑦偽りなき者  9.1(164)
⑧ブラック  9.0(1073)
⑨7番房の贈り物  9.0(3654)
⑩楚漢志:英雄の復活  8.9(226)

 順位変動はありましたが、新登場はありません。

【専門家による順位】

①チスル – 終わらない歳月 2  9.0(5)
②愛、アムール  8.7(7)
③ホーリー・モーターズ  8.7(4)
④雪男(韓国)  8.0(1)
⑤ジャンゴ 繋がれざる者 7.8(7)
⑥リンカーン  7.7(8)
⑦シュガーマン 奇跡に愛された男  7.7(4)
⑧ストーカー  7.6(6)
⑨偽らざる者  7.6(3)
⑩かぞくのくに  7.4(5)

 ③が「おおかみこどもの雨と雪」が新登場の「ホーリー・モーターズ」と入れ替わっただけです。
 その③「ホーリー・モーターズ」は、日本でも4月6日(土)から公開されています。韓国題は「홀리 모터스」、ホリモトスね。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[4月5日(金)~7日(日)] ★★★

         シン・ハギュン主演のアクション「ランニングマン」が1位。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(21)・・ランニングマン(韓国) ・・・・・・・・4/04 ・・・・・・・・・・・・・501,904・・・・・・・・・・・・575,440 ・・・・・・・・4,198・・・・・・・567
2(1)・・G.I.ジョー バック2リベンジ・・・・・3/28・・・・・・・・・・・・・・464,611・・・・・・・・・・1,572,212 ・・・・・・・12,406・・・・・・・604
3(2)・・恋愛の温度(韓国)・・・・・・・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・206,156・・・・・・・・・・1,657,417 ・・・・・・・12,284・・・・・・・373
4(3)・・パパロッティ(韓国)・・・・・・・・・・・・3/14・・・・・・・・・・・・・・146,450・・・・・・・・・・1,592,188 ・・・・・・・11,014・・・・・・・329
5(5)・・新世界(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・2/21・・・・・・・・・・・・・・・62,591・・・・・・・・・・4,633,580 ・・・・・・・34,529・・・・・・・229
6(6)・・7番房の贈り物(韓国)・・・・・・・・・・1/23 ・・・・・・・・・・・・・・27,817・・・・・・・・・12,785,665 ・・・・・・・91,288・・・・・・・126
7(新)・・ザ・ホスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/04・・・・・・・・・・・・・・・25,629 ・・・・・・・・・・・・34,828・・・・・・・・・・243・・・・・・・244
8(37)・・-ホープ・スプリングズ・・・・・・・・・4/04・・・・・・・・・・・・・・・24,616 ・・・・・・・・・・・・31,768・・・・・・・・・・230・・・・・・・179
9(4)・・ウォーム・ボディーズ・・・・・・・・・・・3/14・・・・・・・・・・・・・・・22,264・・・・・・・・・・1,164,295 ・・・・・・・・8,323・・・・・・・・95
10(85)・・終わりと始まり(韓国)・・・・・・・・4/04・・・・・・・・・・・・・・・20,416・・・・・・・・・・・・・27,981・・・・・・・・・・200・・・・・・・185
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・7・8・10位の4作品だす。
 1位「ランニングマン」は韓国製のアクション映画。ソウルのど真ん中で。昼はカーセンター、夜はコールタクシー運転をしているチャ・ジョンウ(シン・ハギュン)は殺人事件を目撃します。しかし彼は容疑者と誤解され、追われる身となってしまいます。原題は「런닝맨」。20世紀フォックスがハリウッドのメジャースタジオとしては初めてこの作品の主要出資者として参加したことが注目されています。
 7位「ザ・ホスト」は、あの「トワイライト」トリーズで知られるステファニー・メイヤーの同名の小説が原作のSF恋愛映画。韓国題は「호스트」です。日本でも公開されますが、時期は年内としかわかりません。
 8位「ホープ・スプリングス」は結婚31年の妻(メリル・ストリープ)と夫(トミー・リー・ジョーンズ) の関係を描いたコメディー。とっくに冷め切っている2人の仲。たまたま妻が目にした広告はグレート・ホープ・スプリングスという街で開業しているカップル向けカウンセラー(スティーヴ・カレル)。妻は夫をなんとか説得して、そのカウンセリングを受けるため空路そこに赴きますが・・・。韓国題は「호프 스프링즈」です。日本では7月公開予定。
 10位「終わりと始まり」は「私の妻のすべて」のミン・ギュドン監督作品。秘密恋愛中に、突然の事故で亡くなった夫(ファン・ジョンミン)の不倫の事実を知ってショックを受ける妻(オム・ジョンファ)。そしてある日、夫を訪ねて女性(キム・ヒョジン)がやってくるのですが、その3人の男女間には隠された秘密が・・・。原題は「끝과 시작」。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(38)・・終わりと始まり(韓国) ・・・・・・・・・・・・4/04・・・・・・・・・・・・20,416 ・・・・・・・・・・・・・・27,981・・・・・・・・・200・・・・・・・・・185
2(1)・・チスル - 終わらない歳月 2(韓国) ・・3/21 ・・・・・・・・・・・15,267・・・・・・・・・・・・・・・89,494・・・・・・・・・627・・・・・・・・・・61
3(13)・・ホーリー・モーターズ・・・・・・・・・・・・・4/04 ・・・・・・・・・・・・・3,855 ・・・・・・・・・・・・・・・6,441 ・・・・・・・・・・50・・・・・・・・・・34
4(3)・・砂が流れる川(韓国)・・・・・・・・・・・・・・3/28・・・・・・・・・・・・・・2,157 ・・・・・・・・・・・・・・・9,171 ・・・・・・・・・・60・・・・・・・・・・20
5(新)・・ナバロンの要塞 ・・・・・・・・・・・1974/7/20 ・・・・・・・・・・・・・2,069 ・・・・・・・・・・・・・・・3,994 ・・・・・・・・・・・7・・・・・・・・・・・1

 1・3・4・5位と、4作品が新登場でガラッと顔ぶれが変わりました。
 1位「終わりと始まり」と3位「ホーリー・モーターズ」は上述のとおり。
 4位「砂が流れる川」はドキュメンタリー。李明博政権が推進を図った4大河川工事。水害の防止、水資源の確保、水質改善、経済発展など、政府の派手なスローガンとは裏腹に、私の目が見ているのは、崩れていって破壊される不気味な国土の姿だった。山から降りて水路に沿って、崩れていく川の変化をカメラに収めた。原題は「모래가 흐르는 강」。
 5位、なぜ今この旧作を? 日本では1961年公開でした。韓国題は「나바론 요새」。
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韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20(2013年3月25日~31日)

2013-04-08 22:26:53 | 韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20
 2ヵ月に1回の記事です。前回は→コチラ

 データの出所は韓国の視聴率調査機関TNmSのサイトです。

 ついうっかりして1週間遅れになってしまいました。
 2ヵ月前の記事で、KBS1テレビの「楽しい本の話(즐거운 책 읽기)」という番組のことを書きましたが、その後3月15日付の「朝鮮日報」のコラム「萬物相」でこの番組が4月になくなることが残念、ということが書かれていました。先週の4月2日は放映されていたので「アレッ?」と思いましたが、やはりその日が最後。近年、電子書籍端末による読書が増えつつあるといっても、紙の書籍との合計数が増えているわけではない、と韓国出版文化産業振興院の人は話してました。読む文化自体が先細りになってるとしたら悲しいことです。
 
 一方でTVはとっくに多チャンネル化。このランクは地上波限定です。

【3月25日(月)~31日(日)】

①日日連続劇「がんばれミスター・キム[힘내요 미스터김]」(KBS1)  29.9%
 前々回(4ヵ月前)・前回(2ヵ月前)の②位からトップに。
君も彼を演じるSHINHWA(神話)のキム・ドンワン君演じるキム・テピョンが、3月初めの時点でイ・ウギョン(ワン・ジヘ)と恋人関係になったのはまあ自然の流れだな。それからついに「テピョンは実は・・・」というのも「ここで来たか」という感じ、ですか? あまり最近の展開をバラしちゃうと、これから<KBS WORLD>で見ようという人の妨げになりそう。先にオリジナルを見た上で、字幕放送も見るという人もけっこういるようでもありますが・・・。

②週末連続劇「最高だ、イ・スンシン[최고다 이순신]」(KBS2)  27.0%
 主人公イ・スンシン(IU)は2人の美人で賢い姉を持つ末っ子のダメ子ちゃん、というのはよくありそうな設定だな。しかし女の子に代表的な英雄・李舜臣の名をつけるかねー? おまけに下の姉(ユ・インナ)の名ユシンは金庾信と同じだし、上の姉ヘシン(ソン・テヨン)は以前ドラマになった海神=張保皐(チャン・ボゴ)を指しているようだし、なんやねん。時代劇とは関係なく、姉妹たちの恋愛とか、借金とか、出生の秘密とか、まあ韓流ドラマとしては正道なのかもしれません。

③週末特別企画ドラマ「百年の遺産[백년의유산]」(MBC)  21.7%
 視聴率は全く同じですが、順位は⑦位からアップ。製麺屋は、食品会社に成長・発展させてこそ評価されるものだろうか? ・・・などと疑問を抱く人間が出てくること自体、右肩さがり日本を表わしているんだろうな。

④朝ドラマ「愛してたみたい」[사랑했나봐](MBC)  20.8%
 ⑪位から大幅アップ。その後の展開は追ってませんが、やっぱり「マクチャンドラマ(막장드라마)」(=不運な出来事や事件が次々と起きるような韓ドラらしいドラマ)らしい展開になってますか?

⑤月火ドラマ「野王[야왕]」(SBS)  19.9%
 スエとクォン・サンウの共演で1月にスタートして、先週の4月2日がラスト。チュ・ダヘ(スエ)が大統領夫人にまでなったのに、ハリュ(クォン・サンウ)の復讐によって・・・って、もう「中央日報」の記事では評価まで書かれちゃってますね。

⑥KBSニュース9(KBS1)  19.7%

⑦お話ハハハ(清州[이야기하하하(청주)](KBS2)  18.0%
 KBS清州放送総局製作のヒューマン・ドキュメンタリー。隣人たちの何ということはないが温かい暮らしの話を伝える、という番組。

⑧サッカー・ブラジルWカップアジア最終予選(A組第1戦)生中継<韓国vsカタール>(MBC)  17.3%
 韓国が4-1で完勝してA組1位に。よかったね。

⑨創社51周年特別企画<馬医>[마의]」(MBC)  17.2%
 前回の⑤位からダウン。

⑩キム・ビョンマンのジャングルの法則inニュージーランド[김병만의 정글의 법칙]」(SBS)  17.1%
 前回のアマゾンでは③位でしたが、⑩位への大幅ダウンはニュージーランドでは冒険になるのか?と大勢の視聴者が疑問に思ったからかな?

⑪日日連続劇「呉子龍(オ・ジャリョン)が行く[오자룡이간다]」(MBC)  15.6%
 タイトルからして時代劇かと思ったら、妻(長女)の家の財産を狙う婿1と、妻(次女)を愛する気持ちから婿1の陰謀に対抗して、妻の実家の危機を救おうとするプータローの婿2を対比させて描いたファミリードラマ、だそうです。

⑫ギャグコンサート[개그콘서트](KBS2)  15.5%
 前回の⑥位から大幅ダウン。新しい人気コーナーが出てこないと即数字に現われるということ?

⑬無限挑戦[무한도전](MBC)  15.4%
 ⑮位から順位はアップしましたが、視聴率は微減。

⑭週末劇場「わが愛 蝶々夫人[내사랑나비부인] 」(SBS)  14.8%
 落ちぶれた傍若無人な元トップスター(ヨム・ジョンア)が夫不在の婚家で繰り広げるドタバタ同居劇。名前がナム・ナビ(蝶々)だからたしかに蝶々夫人です。ひょんなことから彼女と結婚した二枚目エリート(キム・ソンス)、ヒロインと犬猿の仲だったが次第に心を開いていく財閥二世(パク・ヨンウ)等々の出演陣。このドラマも昨日ラスト。→コチラの記事の評価は芳しくないんだけどな。

⑮日曜日がいい[일요일이 좋다](SBS)  14.3%
 ⑦位→⑩位ときて今回は⑮位か。うーむ。

⑯特別企画「金の化身[돈의 화신](SBS)  14.2%
 賄賂やコネなどと絡んだ韓国法曹界の実態を鋭いユーモアと風刺で描くドラマ。汚職検事という烙印を押され、今は弁護士として活動しているイ・チャドン(カン・ジファン)が、緻密な計略で痛快な復讐を繰り広げる・・・って、そんなにひどい実態があるのか・・・。(ジツは「やっぱり」という感想ですけど・・・。)

⑰瞬間捕捉 世の中にこんなことが[순간포착 세상에 이런 일이](SBS)  13.8%
 5ランクダウン。

⑱「全国歌自慢[전국노래자랑]」(KBS1)  13.5%
 1ランクダウン。

⑲ドラマスペシャル「その冬、風が吹く[그 겨울 바람이 분다](SBS)  13.1%
 4月3日に終了したドラマ。ソン・ヘギョとチョ・インソンの共演で水木ドラマの1位をキープ。<イルドゥ(日本のドラマ)>の「愛なんていらねえよ、夏」を原作に、韓国風にアレンジしたそうです。両親から捨てられて暗く育ったオ・ス(チョ・インソン)と、両親がいない上、目の不自由なオ・ヨン(ソン・ヘギョ)が出会って、人生の苦難を乗り越え、本当の愛を見つけ出す・・・。うるうる。

⑳TV小説「参生(サムセン)[삼생이]」](KBS2)  13.1%
 参生(サムセン)は主人公の女の子の名前。死の境目で偶然口にした山参で命が助かったので、自ら改名した彼女、がんばって漢方医をめざすのですね。(え、韓方医?) 実はもう4月2日から「TV小説 少女サムセン~漢方医の夢~」というタイトルで<KBS WORLD>で始まっているんですね。(番組紹介は→コチラ。) ナヌッ、「全120話」だって!?(汗)
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本当に「生まれたらそこがふるさと」か? ・・・・カミュ・村松武司・李正子・堀内純子のこと②

2013-04-07 01:44:23 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 1つ前の記事で、李正子の短歌
  <生まれたらそこがふるさと>うつくしき語彙(ごい)にくるしみ閉じゆく絵本 (『ナグネタリョン』所収)
を紹介しました。
 そして、川村湊の在日文学論の書名にもなったこの<生まれたらそこがふるさと>という印象深いフレーズが、実は李正子が最初に発想したものではないということを最後に書きました。

 『ナグネタリョン』の「生まれたらそこがふるさと」と題されたあとがきで、李正子は児童文学作家堀内純子(すみこ)『はるかな鐘の音』のことを記しています。

 堀内純子については、以前『ソウルは快晴』(1984)という本を買って読んだことがあります。それは児童書らしい装丁ですが、内容は京城第一高女出身の彼女が、戦後初めてかつての同級生たちとソウルを訪れた時の記録です。全斗煥政権の時代で、行く先々で写真撮影禁止等治安の厳しい状況と、そんな中懐かしさに急かれて昔の家を探し歩いたり、京畿女子高校と変わった母校を訪ねて現校長に温かく迎えられ、食事を共にしたこと等が帰国後まもない、興奮さめやらぬ、といった筆致で書かれていました。
 『はるかな鐘の音』はその2年前の1982年発行で、野間児童文芸推奨作品賞を受賞した作品です。
 その物語の中で、望郷と加害の意識との葛藤に悩む京城生まれの日本人少女みゆきを解き放った言葉が「生まれたらそこがふるさと、わたしたちはふるさとのきょうだい」だった、ということです。

           
   【著者自身の思い出をふまえたと思われる感動的な物語です。】

 横浜市立図書館にあったので、さっそく読んでみました。
 入院中の小学生のみゆきたちが、ソウルから引き揚げてきた薬局の小島先生から話を聞くというのが基本設定です。小島先生の父が林業技術者というのは、作者と同じ。(あの浅川巧の同僚だたとか・・・。)
 朝鮮半島には100万人近い日本人がいて、その少なくとも半分は朝鮮生まれ。残り半分のうち3分の2は家長にしたがって移住してきた家族たち。つまり選んでやってきたのは6分の1
 ・・・ということを語った小島先生は、続けて子どもたちに自分の思いを打ち明けます。
 「でも、これがよその国をのっとるということなのよ。生まれてきたこと自体が、わたしたちの罪だったの。」  
 「いちばんつらいのは、毎日が楽しかったことだわ。・・・あの楽しかった毎日が、みんな人の不幸の上になりたっていたなんて。・・・」
 「わたしに、ふるさとはないの。あそこをふるさとだなんていってはいけないの。・・・」と語る一方で「でも、わたしのふるさとはあそこだわ。・・・」


 このような強い罪責感はもちろん作者自身のものです。彼女は別のところで、「少し考えてみればわかることを、なぜ自分は気がつかなかったのか」と強く自問しています。
 ・・・みゆきは、そんな加害者意識に苛まれる小島先生の話に聞き入り、真剣に受けとめます。
 たまたまみゆきの隣のベッドの女の子の名はミュンヒでした。もちろん韓国人。そのお母さんのヨンスギさんに小島先生から聞いた話をすると、ヨンスギさんは「その人の考え、まちがってる」と言って次のように話します。
 「わたし、韓国人です。わたしもふるさとソウルを愛しています。もしだれかがあそこで生まれたことで不幸なら、わたしのふるさとが暗くなります。あそこで生まれてよかったといってくれたら、わたしのふるさと、明るくなります。」  
 ヨンスギさんのむこうに、小島先生が立っていました。・・・
 「生まれたらふるさと。あなたのふるさとはソウル。わたしたちはふるさとのきょうだい。」


 ・・・肝心のところだけピックアップしてネタをばらしてしまいましたが、この場面、本当に感動的です。おとなが読んでも。

 あとがきによると、この「生まれたらふるさと。わたしたちはふるさとのきょうだい。」ということばは「静岡新聞」に加害者の悲しみをテーマに随想を書いた時、読者の一人の韓国人から寄せられたもの、とのことです。

 つまりは、もとをたどってみれば「生まれたらそこがふるさと」という言葉は在日の人たちに向けられた言葉ではなく、植民地朝鮮生まれの日本人に韓国人がかけた言葉だったのですね。

 しかし、「わたしたちはふるさとのきょうだい」とは、本当に心が癒される言葉です。「反韓」とか「反日」とか街で叫び合っている昨今とは全然別の世界です。

 さて、ここで私ヌルボのさらなる疑問があります。
 映画「最初の人間」に戻って、最後の母の家の場面。コルムリ(=カミュ)は母に訊ねます。
 「なぜ(アルジェリアに)留まりたいの?」。
 母は微笑みながら答えます。「フランスにはアラブ人がいない」。
 このシーンを観ながら考えたのは、「なぜ植民地朝鮮にいた日本人のほとんどは「当然のように」日本に引揚げてきたのか?」ということです。

 アルジェリアでも、コロンとよばれたフランス系入植者約100万人は、1962年アルジェリアが独立すると本国フランスに引揚げたそうです。
 前の記事に書いたように、フランスは日韓併合(1910年)よりずっと以前の1847年からアルジェリアを支配してきたので、日本の場合と共通する点もあれば異なることもあるようです。
 今になって知りましたが、昨年12月21日NHKの「World Wave Tonight」で「フランスとアルジェリア “過去”とどう向き合うのか」と題した特集を放映していたのですね。NHKのサイトの内容紹介ページ(→コチラ)を見ると、日韓間の<歴史認識>問題といろいろダブってます。
 (「日帝36年」にたいして、コチラは132年か・・・。)

 当初の予定を変更してあと1回延長し、引揚げ者のことを中心に考えてみたいと思います。

[付記]
 李正子「鳳仙花のうた」(影書房.2003)によると、李正子は堀内純子から「はるかな鐘の音」「ソウルは快晴」「なつかしのサバンナ」の3冊の本を受け取っています。
 「なつかしのサバンナ」は、サバンナを駆けていたキリンが突然捕らえられ、日本の動物園へ、という物語。
 この本について、李正子は次のように書いています。
 「人もキリンも、生まれたところをふるさととするのだろう。そうだとしたら、ここで生まれ育った私は、日本をふるさとと思っていいのだろうか。そして私の子供たちのそれも・・・・・・。そう思って近づくと、それはまだ遠い先にある。辿り着いてみても、どこかよそよそしく、やっぱり違うのか、とも。 
 <生まれたらそこがふるさと>と堀内さんは、『はるかな鐘の音』で書いておられる。それを美しいと思い、理解する一方で、日本生まれの日本育ちの韓国人には、ふるさとはどこかサバンナのにげ水のように思えるのである。キリンが駆ける、一匹、二匹・・・・・・。
 草原をにげ水ゆるるままに行くキリンの影かわが子か知らぬ
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本当に「生まれたらそこがふるさと」か? ・・・・カミュ・村松武司・李正子・堀内純子のこと①

2013-04-05 23:54:54 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
 3月4日の記事金愛爛(キム・エラン)が李箱文学賞を受賞したこと等々を書き、今度は同賞受賞作家のキム・ヨンスについて書くとテキトーな予告をしてしまってからもう1ヵ月経ってしまいました。

 その間、アルベール・カミュの遺作に基づいた映画「最初の人間」を観たり、李光洙「無情」(韓国書)を読み始めたりして、私ヌルボの頭の中ではキム・ヨンスとあわせて時代の大きく異なる、またカミュの場合は場所もはるか離れたこの3人とその作品がなにかひとつの連関をもったものとして並んでイメージされています。

 時代順にみると、韓国文学史上で最初の近代小説とされている李光洙「無情」が朝鮮総督府機関誌毎日申報に連載されたのが1917年
 カミュがノーベル賞を受賞したのが1957年。(1960年に交通事故死。)

 つまり大雑把にみて李光洙が約1世紀前で、カミュが半世紀前。

 今、3人の作家について考えるに際して、とりあえずのキーワードは、「国」とか「故郷」とか「民族」とかに対するアイデンティティの問題といったことです。

 時代的には、李光洙の登場は日韓併合の前後という帝国主義の全盛期、カミュは世界史的に植民地時代の終焉の時期。(彼が世を去った1960年は独立が相次いだ「アフリカの年」でした。)

 今の韓国では代表的な「親日」作家として指弾されることの多い李光洙の人生は、両親をコレラで失った孤児の頃から朝鮮戦争中に北朝鮮に拉致された後病死するまで「国」に翻弄され続けたものでした。ナショナル・アイデンティティとは彼自身の内心の問題であっただけでなく、それ以前に外からそれをもって追及されるイシューでもありました。彼の死後現在に至るまで。私ヌルボ、他人事ながら「もういいかげんに、ほっといてくれ~!」と叫びたくたります。

 李光洙について詳しく書くのは、「無情」を読み終えてから(=ずっと先)、ということにして、今回はカミュに重点をおくことにします。(あいかわらず前置き(!)が長いな。)

          
    【映画「最初の人間」のパンフ。カミュの自伝的な小説(未完)の映画化作品。】

 カミュはアルジェリア生まれのフランス人です。
 フランスがアルジェリアの地を支配下に収めたのが1847年。日韓併合(1910年)よりずぅーっと昔です。植民地内の本国人といっても支配層だったわけではありません。カミュの父はフランスから渡ってきた農場労働者で、カミュが生まれた1913年の翌年第1次大戦で戦死。上記の映画で知りましたが、病院で掃除・洗濯等の雑役をしていた母も、祖母・叔父等の家族たちも皆読み書きができないという厳しい家庭環境で育ちました。

 植民地に生まれ育った「本国人」(かつての日本では「内地人」)にとって、ナショナル・アイデンティティの形成には、学校教育が非常に大きな役割を果たしたことはいうまでもありません。しかし、同じ授業を受けても、フランス人の彼と、アルジェリア人の生徒とは受けとめ方に違いがあります。

 映画「最初の人間」の1シーン。学校の授業で第1次大戦の戦死者の画像等をスライドで見ながら、コレムリ少年(=カミュ)は隣席の生徒にささやきます。「“祖国”って知ってる?」 「知らない」 「(力を込めて)フランスのこと」。

 同じところに生まれながらも、自分と植民地人とは周りの世界を見る見方や考え方が違うのでないかということを、カミュはその後どれほど意識し客観視していったのでしょうか?

 「異邦人」(1942)等で有名になったカミュがノーベル賞を受賞した1956年当時は、アルジェリア戦争が激化していった頃でした。
 生まれ故郷のアルジェリアを愛する気持ちと、リベラルなフランス人作家として彼が現地で「共存共栄」を訴えるシーンが映画でありましたが、それは曖昧な態度としてどちらの側からも批判され、沈黙を余儀なくされていきます。彼自身、もはや語りうる言葉を持てなくなったのかもしれません。
 考えてみれば、彼の代表作「異邦人( L'Étranger)」のタイトルもなにか象徴的ですね。
※「異邦人」の読み方について、イ・ヨンスク教授が書いた「アジアの植民地から読むアルベール・カミュ」と題する興味深い論考について、本ブログ2012年3月25日の記事で書きました。
 どうも、植民地における「本国人」ということについての彼の自己認識は、今のモノサシで測れば甘かったと言わざるをえないようです。
 しかし。

 私ヌルボがふと思ったのは、植民地時代に朝鮮で生まれ育った日本人のこと。彼らにとってみれば、「ごく自然なもの」として周りの自然や景物、社会や生活を受容していたようです。そして、学校で教わる日本や朝鮮のことも、朝鮮語を知らなくてもすむこと等に対しても疑問を持つことなく・・・。

 それらのことは、引き揚げ者の人たちの手記等にさまざまに記されています。
 そんな植民地日本人2世・3世たちの多くは、引揚げてから、アイデンティティの動揺に直面することになります。
 たとえば、植民者3世の村松武司は「朝鮮植民者」(1972.三省堂)で次のように記しています。

 「わたしは朝鮮で生まれてから、自分は日本人でありたいと思っていた。しかし日本に帰ったとき、はじめて自分が日本人でないことを自覚するようになった。」つまり、昔もいまも半日本人・半朝鮮人である。」

 私ヌルボ、「民族」と自身の「生まれ故郷」とのアイデンティティの相剋について考えていて、ふと浮かんだ言葉がありました。
 <生まれたらそこがふるさと>がその言葉です。 
 在日作家について川村湊が書いた文学論の書名として知ったのが最初です。日本生まれの韓国・朝鮮人に対する、肯定的・受容的なイメージの言葉と私ヌルボは受けとめながらも、本当にそうなのか?という疑問は残りました。
 この言葉の出典は、李正子(イ・チョンジャ)の短歌ということはその本で知りましたが、今あらためて確認すると第二歌集「ナグネタリョン」(1991年)所収の次の短歌です。

 <生まれたらそこがふるさと>うつくしき語彙(ごい)にくるしみ閉じゆく絵本

 やっぱり。在日2世の李正子(1947~)にとって、「朝鮮人」で暮らしていた子ども時代から差別の言葉を投げつけられたりしてきた彼女、民族に対する偏見が恋愛にも影を落としてきた彼女にとって、この言葉は決して否定的には捉えられてはいないものの、彼女の葛藤を完全に解消させてくれるに足るものではないのです。

           
  【この「ナグネタリョン」も、最初の歌集「鳳仙花のうた」も、読み応えのある歌集です。】

 さて、この<生まれたらそこがふるさと>という言葉なんですが、今日図書館で「ナグネタリョン」の「生まれたらそこがふるさと」と題されたあとがきを見ると、彼女自身が発想したものではないということなのです。

 まだ長くなりそうなので、続きは明日です。
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ハンセン病と韓国文学② 高銀・韓何雲・徐廷柱・・・、韓国の著名詩人とハンセン病のこと

2013-04-03 23:52:43 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 3月20日の記事の続きです。
 ハンセン病と韓国をめぐるシリーズの7本目。ようやく最終回にたどりつきました。

 近年、ノーベル文学賞の選定の時期になると、韓国のメディアで話題になるのが詩人・高銀(コウン.1933~)です。(受賞の可能性がどれほどあるのか、私ヌルボは見当がつきませんが・・・。)
 彼の初の邦訳詩選集「高銀詩選集 いま、君に詩が来たのか」(藤原書店)が刊行されたのが2007年5月。「朝日新聞」の紹介記事中に、次のように書かれていました。
 「植民地時代に強要された日本名は高林虎助。中学生の時にハンセン病患者の詩集を拾い、詩人を志した。」
 もしかしたら、と思って、市立図書館でその本を読んでみると、高銀は自身の文学的回顧をかなり詳しく綴っています。で、該当箇所を見てみると・・・。

 「十里の新作路を通学する一人の中学生は夕暮れの路傍に落ちている詩集を拾い上げて家に帰り、夜が更けるまで読んでいると全身が泣き声で満ちあふれ、詩人になりたくなった。幼い蛾がクモの巣にかかったのである。」

 ・・・というわけで、その詩人や詩集は具体的には記されていませんでした。

 しかし今回、このブログ記事を書くにあたり少しムキになって韓国サイトを探したら、案外すぐ見つかりました。
 つ目は「朝鮮日報」のコラム<萬物相>。 2011年5月の「読書履歴制」と題したコラムの冒頭で次のようなことが書かれていました。

 「詩人高銀は1949年中学校2年生の時、ハンセン病詩人韓何雲(한하운.ハン・ハウン)の詩集を道で拾った。"行けども行けども赤い黄土の道・・・."と小鹿島に行く道を詠んだ詩を読みながら、ぽろぽろ涙を流して泣いた少年は、詩人になることにした。その翌日から彼は"物事をわきまえた大人"になったという。」

 また、KBS1TVでは2012年1月<韓国現代史の証言 永遠の青年、詩人高銀 1部>という番組が放映されました。KBSの番組紹介ページを見ると、上記のエピソードも盛り込まれています。そして1989年に高銀が書いた詩も載っています。

 1940年代の末、 
 2年生の時
 (中略)
 暗い道の真ん中
 目に輝く何かがあった
 どきっとして
 胸をときめかせて拾った
 本だった
 詩集だった
 韓何雲の詩集だった
 家に帰って
 一晩中読み、また読んだ
 (中略)
 その日以来、私は韓何雲だった
 その日以来、私はらい病人(문둥이.ムンドゥンイ)としてさすらった
 その日以来、私にとって全世界が黄土の道だった
 その日以来、私は詩人だった 悲しい悲しい詩人だった


  ※このKBSの記事ではハンセン病を나병と表記しています。「萬物相」の方は한센병。

 やっぱり韓何雲((1919∼1975)だったか、というのは、彼については7~8年前(?)に「中学生が必ず読むべき詩(중학생이 꼭 읽어야 할 시)」という本を読んで知っていたので・・・。この本はタイトル通りに崔南善以降1世紀の、韓国でよく知られた現代詩を集めた中で、とくに印象に残った詩が彼の代表作「麦笛(보리피리)」でした。

  보리피리 한하운\t      麦笛  韓何雲 (金素雲:訳)
 보리피리 불며       麦笛 吹き吹き
 봄 언덕            春の丘
 고향 그리워       ふるさと恋し
 피-ㄹ 닐니리.        ぴい ひょろろ

 보리피리 불며        麦笛 吹き吹き
 꽃 청산          花の山
 어린 때 그리워       幼な夢さえ
 피-ㄹ 닐니리.        ぴい ひょろろ

 보리피리 불며       麦笛 吹き吹き
 인환의 거리         往き交いの
 인간사 그리워       人の世恋し
 피-ㄹ 닐니리.        ぴい ひょろろ

 보리피리 불며      さすらう雲の
 바랑의 기산하      幾山河
 눙물의 언덕을 지나     涙の丘越え
 피-ㄹ 닐니리.       ぴい ひょろろ


 愁いを含んだ清澄な抒情と、懐かしさを感じさせる韻律が気に入りました。
 その後、韓国のハンセン病関係の資料を集めた日本語サイト<恨生(ハンセン)>に、この韓何雲の略歴(という以上に詳しい)や詩の紹介記事があることを知りました。(→コチラ。)
 そこには、上掲の「行けども 行けども 赤茶けた黄土の道」で始まる「全羅道の道―小鹿島へ行く道―」も訳出されています。
 そして、その作品も収められている「韓何雲詩抄」が刊行されたのが1949年5月だったとのこと。高銀少年が拾った詩集です。(※第2詩集「麦笛」の発行は1955年。)

      
  【この「韓何雲詩抄」を高銀少年が拾わなかったらどうなってたかな?】

 この<恨生(ハンセン)>の記事中に、彼が「1939年まで東京の成蹊高等学校で学んだ」と記されています。また「北原白秋や石川啄木らの影響も受け詩作活動にはいったようだ」とも。とすると、私ヌルボが感じた「懐かしさを感じさせる韻律」もそこらへんに由来するものかもしれません。

※小鹿島は1916年以来ハンセン病療養所があった島。今も小鹿島病院・生活資料館があります。そこの中央公園には、「麦笛」の詩を刻んだ韓何雲の詩碑があります。(→コチラコチラ参照。)

※→コチラのサイトでも韓何雲の詩が紹介されています。

 さて、ここでもう1人、1930年代から韓国を代表する詩人として旺盛な創作活動を続けてきた徐廷柱(ソ・ジョンジュ.1915~2000)がハンセン病者を素材とした作品を紹介します。
 国語の教科書にも「菊花の横で」が掲載されてきた誰でも知っている詩人です。(2000年代に入って「親日派」だった過去が問題視されて消えましたが・・・。→参考。) そういえば、後藤明生が1984年戦後初めて訪韓した時に彼と行動を共にしていますが、もう2人とも故人となってしまったんですね・・・。

 さて、その徐廷柱の詩なんですが、題からして「ムンドゥンイ(문둥이)」とそのものずばりで、その詩句がまたなんとも訳しにくいというか、紹介するみと自体がためらわれるというか・・・。

  문둥이             ムンドゥンイ(らい病者)
해와 하늘빛이            太陽と空の光が
문둥이는 서러워             ムンドゥンイはうらめしくて

보리밭에 달 뜨면            麦畑に月が浮かぶと
애기 하나 먹고            赤子ひとつ食べて

꽃처럼 붉은 울음을 밤새 울었다.    花のように赤く 夜どおし泣いた


 この詩については、文学教育関係の韓国サイトで説明・鑑賞が詳述されています。「この詩は天刑の呪われた運命を持ったらい病人の姿を借りて人間の本性を形象化した作品である。ここで"らい病人"は、実際のらい病人ではなく、詩人がとらえた人間の本性のいくつかの側面、暗くすさまじい運命の苦悩を象徴するものといえる」等々と説明されているのですが、私ヌルボとしては説明文中の「天刑」という言葉は不適切だし、それ以前に「赤子・・・」という詩句が大問題。前の記事で紹介した児童書でもこうした記述がありましたが・・・。私ヌルボとしては、この作品を、たとえば中学・高校の国語の授業で取り扱うことには大きな抵抗感があります。
 この詩は歌曲にもなって、YouTubeにもupされています。(→コチラ。)
 この歌は全然おどろおどろしくない、落ち着いた雰囲気なんですが・・・。
 韓国では私ヌルボが感じたような(たぶん多くの日本人も感じるような)抵抗感はないのでしょうか?

 差別に関わるような事柄と、文学や芸能・芸術等の表現活動との相克は、このシリーズでもタルチュム(仮面舞)のこと等でふれてきましたが、ホントにむずかしい問題です。・・・とヌルボの能力では紋切り型で終わるしかありません。

[韓国とハンセン病関連記事]

 → <ハンセン病の元患者、歌人・金夏日さんと、舌読と、ハングル点字のこと>

 → <2005年毎日新聞・萩尾信也記者が連載記事「人の証し」で金夏日さんの軌跡を記す>

 → <ハングル点字のしくみを見て思ったこと>

 → <韓国の「ピョンシンチュム(病身舞)」のこと等>

 → <韓国のタルチュム(仮面舞)とハンセン病者のこと>

 → <ハンセン病と韓国文学①>
コメント (2)
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