ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 週末の興行成績 [9月20日(金)~9月22日(日)]と、人気順位 ►「タロウのバカ」と「見えない目撃者」のこと等

2019-09-24 17:38:31 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸→1つ前の記事も韓国映画関係の<1990年代の外国映画と、韓国映画の個人的ベスト・テン>です。

▸22日(日)にシネマ・ジャック&ベティで「タロウのバカ」、23日(月)にブルク13で「見えない目撃者」と、2晩続けて鑑賞。どちらも國村隼が出演していることに気づきましたが、それはそれとして・・・。
 「タロウのバカ」は大きく評価の分かれる作品だと思います。<映画.com>のレビュー欄は映画サイトの中でも読み応えがあるものが多い印象がありますが、→この作品の場合はとくに★0から★5つまで分散しています。そして困ったことに(苦笑)評価の如何を問わず共感してしまうのです。
 とりあえずは、14歳の新人で主役に抜擢されたYOSHIの演技の弾けっぷりに注目! 公園のベンチのおばさんに話しかけ、だんだん激していって・・・というシーンはとくに強い印象を受けました。
 それにしても大森立嗣監督、いろいろ話題作を撮っていますが、「セトウツミ」「日日是好日」等々、実にバラエティに富んでいます。

▸「見えない目撃者」のようなエンタメ系の映画はあまり観ない方ですが、この作品は元はキム・ハヌルユ・スンホ主演の韓国映画「ブラインド」(2011)のリメイクということで観に行きました。中国でも同じアン・サンフン監督により同じ「見えない目撃者」のタイトルでリメイクされ、日本でも16年公開。主演は人気女優ヤン・ミーとEXOの元メンバーのルハンでした。実は私ヌルボ、その2作は観ていません。しかし→コチラの記事(ややネタバレあり?)によると「日本版は韓国版・中国版を超える傑作」とのことです。
 各映画サイトでもなかなか好評のようで、上記→<映画.com>のレビュー欄の平均評点は3.9で(なんと)「息もできない」「金子文子と朴烈」と同じ・・・といえば「アルキメデスの大戦」もなんですけどね。一方「タロウのバカ」は平均2.4。ヌルボの今年上半期の日本映画でベストだった「半世界」は3.6。つまり、個人の評価とこれらの数値とは全然関係がないということです。

▸そんなわけで、もし人から最近観たオススメの日本映画を問われたら、「タロウのバカ」と「見えない目撃者」のどちらを挙げるかは相手を見て選びます。つまり、その人が映画に何を求めるか?ということです。

▸先週いろいろ書いた韓国のドキュメンタリー「우키시마호(浮島号)」が19日から公開されましたが、数字的にはランキングにも登場しないレベル。ただ、観た人の感想の中に「今まで知らなかった出来事でした」はいいとして、「真実がわかりました」というものも複数ありました。映像は事実でも、説明をうのみにしてはまずいんだけどなー。映像だと、それがフィクションでも事実と思ったりする人もいるしなー。映画に限らず、また日韓を問わずメディアリテラシー教育はゼッタイ必要です。

         ★★★ NAVERの人気順位(9月24日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(7) 明かりの下で(韓国)  9.88(17)
②(1) 痛いほど愛する(韓国)  9.72(152)
③(2) 愛の贈り物(韓国)  9.66(295)
④(-) グリーンブック  9.61(6,004)
⑤(3) 主戦場  9.54(952)
⑥(5) 僕のワンダフル・ジャーニー  9.44(481)
⑦(-) ディーター・ラムス  9.33(69)
⑧(-) ロマン(韓国)  9.31(575)
⑨(9) 教会のお兄さん(韓国)  9.27(1,537)
⑩(-) トイ・ストーリー4  9.08(6,614))

 かなり変動がありましたが、新登場の作品はありません。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 寄生虫[パラサイト](韓国)  9.06(16)
②(3) ハチドリ(韓国)  8.38(13)
③(4) トイ・ストーリー4  8.09(11)
④(-) アド・アストラ  7.38(8)
⑤(6) 主戦場  7.33(6)
⑥(-) グリーンブック  7.29(7)
⑦(7) EXIT(韓国)  7.23(13)
⑧(8) 動物、園(韓国)  7.20(5)
⑨(9) ユヨルの音楽アルバム(韓国)  7.13(8)
⑩(10) 私の家(韓国)  6.90(10)

  ④「アド・アストラ」が新登場です。アメリカのSF&スリラー。日本でも1日遅れの9月20日から公開されているので、内容等の紹介は省略します。韓国題は「애드 아스트라」です。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績9月20日(金)~9月22日(日) ★★★
           「悪い奴ら:ザ・ムービー」が2週連続トップ

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・悪い奴ら:ザ・ムービー(韓国)・・9/11・・・・・・・・・661,050 ・・・・・・3,906,962 ・・・・・・・34,254・・・・・・1,225
2(新)・・アド・アストラ・・・・・・・・・・・・・・9/19・・・・・・・・・303,273・・・・・・・・352,983 ・・・・・・・・3,209 ・・・・・・・853
3(2)・・タチャ:ワン・アイド・ジャック(韓国)・・9/11・・198,586 ・・・・・・2,111,940 ・・・・・・・18,740 ・・・・・・・821
4(10)・・イエスタディ ・・・・・・・・・・・・・・・9/18 ・・・・・・・・146,707・・・・・・・・227,011 ・・・・・・・・1,959 ・・・・・・・729
5(3)・・がんばって、ミスター・リー(韓国)・・9/11・・・・・・111,189・・・・・・1,119,840・・・・・・・・・9,503 ・・・・・・・619
6(4)・・劇場版 ハローカーボット・・・・9/04・・・・・・・・・・44,114・・・・・・・・558,604・・・・・・・・・4,335 ・・・・・・・431
       :月世界を助けて!(韓国)
7(6)・・IT/イット THE END ・・・・・・・・・9/04 ・・・・・・・・・12,247・・・・・・・・584,467・・・・・・・・・5,054 ・・・・・・・109
       “それ”が見えたら、終わり。
8(9)・・ハチドリ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・8/29 ・・・・・・・・・10,669・・・・・・・・・93,366 ・・・・・・・・・・771 ・・・・・・・・91
9(5)・・EXIT(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31 ・・・・・・・・・・9,063 ・・・・・・9,407,850・・・・・・・・79,107 ・・・・・・・152
10(新)・・闑堂(げつどう)ウサギ 3 ・・・・・9/19 ・・・・・・・・・・6,951・・・・・・・・・・7,386 ・・・・・・・・・・・57 ・・・・・・・239
       ダメダメ・タイムマシン
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 秋夕(チュソク)連休が終わって数字が全体的に落ち込んだ中で「悪い奴ら:ザ・ムービー」だけが抜け出した感じ。マ・ドンソク人気が続いているのか作品自体の力か、その両方か?
 今回の新登場は2・10位の2作品だけです。
 2位「アド・アストラ」は、上述のように日本でも20日から公開されています。
 10位「闑堂(げつどう)ウサギ 3 ダメダメ・タイムマシン」(仮)は、中国のアニメシリーズ第3作。元はTVアニメのようです。シリーズ第1作は2014年韓国で一般公開されていますが、その時のタイトルは英題「Brave Rabbit」そのままの「브레이브 래빗」。しかし今回は英題は「Brave Rabbit3 the Crazy Time Machine」なのに韓国題は「발명왕 볼트(発明王 ボルト)」。主人公の名前ボルトは同じですが・・・。物語は、問題児のウサギ、ボルトがおじいさんに自分の能力を認めてもらうため、お父さんが発明したタイムマシンと自分が発明した空間移動カバンを組み合わせた発明を完成させ、過去にタイムスリップするのですが、そこではいろんな不思議な現象が待っていて・・・。この第1作は<夕張映画祭2011>で上映されたのですが、原題「闯堂兔」を「闑堂ウサギ」とそのまま訳していました。(→コチラ。) そしてこの第3作の原題は「闯堂兔3囧囧时光机」。という字は何かと思ったら、元々は<窓>という意味だったのが近年それとは関係なく<困った>とか<ダメだー>とかの意味で使われるようになっているとのことです。理由は「困った顔に見える」(笑)とのこと。な~るほど! ということで、独自に考えて仮題をつけてみました。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ハチドリ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・8/29・・・・・・・・10,669・・・・・・・・・93,366 ・・・・・・・・・771 ・・・・・・・・・・91
2(14)・・アガサ・クリスティー ねじれた家・・9/19 ・・・・・・5,255・・・・・・・・・・7,861 ・・・・・・・・・・67 ・・・・・・・・・135
3(2)・・100日で100の物事 ・・・・・・・・・・・・・9/12 ・・・・・・・・・4,700・・・・・・・・・18,114 ・・・・・・・・・145 ・・・・・・・・・・44
4(新)・・ウィンチェスターハウス ・・・・・・9/19 ・・・・・・・・・2,490・・・・・・・・・・3,920 ・・・・・・・・・・19 ・・・・・・・・・・20
       アメリカで最も呪われた屋敷
5(5)・・解き放たれて/Unleashed ・・・・・・・3/27 ・・・・・・・・・2,134 ・・・・・・・・23,520 ・・・・・・・・・123 ・・・・・・・・・・・6

 2・4位の2作品が新登場です。
 2位「アガサ・クリスティー ねじれた家」は、日本ではすでに4月19日に公開されています。韓国題は「비뚤어진 집」です。
 4位「ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷」は、オーストラリア・アメリカ合作のホラー。日本ではこれも2018年6月に公開されています。韓国題は「윈체스터」です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1990年代の外国映画と、韓国映画の個人的ベスト・テン

2019-09-22 23:48:20 | 韓国映画(&その他の映画)

 「キネマ旬報」の創刊は1919年7月。ちょうど1世紀前です。
 そこでキネ旬は、昨2018年<創刊100年特別企画>をスタートさせました。1970年以降を10年ごとに区切ってそれぞれの年代別のベスト・テンを外国映画・日本映画別に専門家のアンケートをもとに選んで発表するというものです。
 その第1弾は2018年7月下旬特別号の<1970年代外国映画ベスト・テン>でした。

 私ヌルボ、映画ファンになったのは中学生の頃から。つまり60年代。高校時代にATGの会員に。「誓いの休暇」や「シベールの日曜日」等が印象に残っています。とはいえ、勉強もあるし(ホンマか?)、地方(徳島)在住だし、年間の鑑賞作品数は10数本くらいだったか・・・。
 70年代は大学を出て教職に就くも、仕事に専念してして(ホンマか?)約20年間は個人的映画史の大きなブランクの時代でした。
 それが90年代前後から状況が変わって韓国オタク&映画ファン生活に突入。(逃避か?)
 というようなこともあって、「キネマ旬報」の最新号の1つ前、つまり9月下旬特別号の<1990年代外国映画ベスト・テン>は、おっ、これなら私ヌルボも参画できるゾ!とウレシクなり、個人的に90年代外国映画ベスト・テンを作成してみました。

《私ヌルボの1990年代外国映画ベスト・テン》

①エミール・クストリッツァ監督「アンダーグラウンド」(1995.仏・独・ハンガリー)
②エドワード・ヤン監督「牯嶺街少年殺人事件」(1991.台湾)
③イム・グォンテク監督「風の丘を越えて 西便制」(1993.韓国)
④アズィーズ・ミルザー監督「ラジュー出世する」(1992.インド)
⑤ティム・ロビンス監督「デッドマン・ウォーキング」(1995.米)
⑥フランク・ダラボン監督「ショーシャンクの空に」(1994.米)
⑦マイケル・ラドフォード監督「イル・ポスティーノ」(1994.伊)
⑧ケン・ローチ監督「カルラの歌」(1996.英)
⑨マジッド・マジディ監督「運動靴と赤い金魚」(1997.イラン)
⑩ダレル・ジェームズ・ルート監督「輝きの大地」(1995.南アフリカ・英・米)


 この中で9作品は90年代リアルタイムで観ましたが、ただ1つ「牯嶺街少年殺人事件」だけは2017年に〈4Kレストア・デジタルリマスター版〉で観ました。
 ①②は順不同です。③は確定です。④以下はほとんど差はありません。
 キネ旬の1位は、表紙を見ればわかるように「牯嶺街少年殺人事件」でした。実は、この作品だけはリアルタイムで観たものではなく、2017年に〈4Kレストア・デジタルリマスター版〉で観ました。
 キネ旬の10位(同点があるので12作品)までで、ヌルボのベスト10と重なっているのは①②⑥の3作品。まあ、そんなもんでしょう。⑧と⑩を選んでいる人はゼロ。むしろ、④と⑤を2人の人が選んでいることがとてもうれしく思えました。
 以前、映画を評価する時には [A]娯楽性 [B]社会性 [C]芸術性 の3つのモノサシがあって、私ヌルボの場合は[A]=20%、[B]=50%、[C]=30% といったところかな ・・・と書いたことがありました。今①~⑩を眺めると、社会性は70%くらいかも、と思い直しました。しかし、いくら歴史や社会の勉強になるといっても、心が動かされるほどの衝撃や深い感動があるか?という点は([A]~[C]のモノサシを超えて)まず最優先の評価ポイントです。
 記憶力はよくないので、映画の筋や俳優、映画館のこと等々については、むしろ「部分的に鮮明に憶えている」と言った方がよさそうです。「ショーシャンクの空に」は、ある高校に勤務していた頃午後休みを取って藤沢の映画館に行って観ました。すると3年生の男女生徒がケシカランことに(orウラヤマシイことに)おそらく授業をサボって観に来ているではないですか。私ヌルボはもちろん見て見ぬふりをしていましたが、映画が終わるとその男子がやって来て、弾んだ声で「先生、いい映画だったですね!」と(笑)。こういう所で気持ちが通じ合うとは・・・、いい思い出です。

 キネ旬の集計リストを見ると、103人の投票作品が非常に分散していることがわかります。1位は表紙でわかる(?)ように「牯嶺街少年殺人事件」でそ39pt集めましたが、これはダントツ。10ptで9位グループに入ります。リストは細かい字で3ページに収められていますが、3pt以上は1ページにも満たず、全体の半分以上は1ptの作品がずらっと並んでいます。したがって、ベスト10のうち誰かと3作品重なっていればかなり好みが一致するとみてよさそうなくらいです。

 90年代の外国映画の概観として、大久保清朗・金原由佳・森直人の3氏の鼎談で、次のようなことが語られていました。
・80年代の中国映画の台頭などから潜在的にはあったが、90年代はアジア映画が次々に公開されるようになり、「洋画=欧米の映画」ではなくなった
 ※ただし、外国映画の配給収入の上位を見ると、大ブームとなった1位「タイタニック」を筆頭に、2位以下も「アルマゲドン」「ジュラシック・パーク」「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」「インデペンデンス・デイ」とアメリカ映画がズラーッと並んでいる。
・「ターミネーター2」や「ジュラシック・パーク」など、CG(コンピューター・グラフィックス)とVFX(特殊視覚効果)の始まりの時代だった
 ※一般の映画ファンにとって画期的だったのはシネコンの普及。皮切りは93年4月オープンのワーナー・マイカル・シネマズ海老名(今はイオンシネマ海老名か ?)だったのか。またDVDソフトとプレイヤーの商品化は96年11月。そういえば、パソコンもWindows 95の発売以降爆発的に普及したなあ。
・女性監督の作品は多くはないが、ジェンダー的な問題意識が一気に浮上し始めた。ex.「ブエノスアイレス」(←これは未見)・「テルマ&ルイーズ」
 ・・・と、これらについてはたしかに、とナットク。
 ただ、大久保さんの(トップ・テン内の本数を見ると)「タランティーノとカーウァイの時代といえますね」という発言に対し、森さんが「でも90年代を象徴する人を一人だけあげろといわれたら、やっぱりダントツでタランティーノじゃないかな」と・・・。
 うーむ、私ヌルボ、最近の記事でも書いたように、「パルプ・フィクション」も「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」もとくに感動もなく、さしておもしろいとも思わなかったんだけと・・・。あ、ウォン・カーウァイも同様。思えば私ヌルボ、その頃すでに時代に遅れ始めてたってこと?

 あ、韓国オタクのブログなので1990年代の韓国映画の個人的ベスト・テンも上げておきましょう。

《私ヌルボの1990年代韓国映画ベスト・テン》

①イム・グォンテク監督「風の丘を越えて ~西便制」(1993)
②パク・チョンウォン監督「われらの歪んだ英雄」(1992)
③イム・グォンテク監督「太白山脈」(1994)
④ホ・ジノ監督「八月のクリスマス」(1998)
⑤イ・チャンドン監督「ペパーミント・キャンディー」(1999)
⑥イ・ミニョン監督「灼熱の屋上」(1995)
⑦パク・チョルス監督「学生府君神位」(1996)
⑧イム・グォンテク監督「開闢」(1991)
⑨イ・ジョンヒャン監督「美術館の隣の動物園」(1998)
⑩チャン・ギルス監督「銀馬将軍は来なかった」(1991)

 日本で韓国映画に大きな関心が向けられるようになったのは「シュリ」や「JSA」等が公開された2000年前後からで、その後はあの「冬ソナ」ブームもあって次々に公開されるようになりました。で、90年代はというと、その<夜明け前>といった感じ。80年代末から始まったNHKの<アジア映画劇場>あたりからアジア映画に関心を向ける人が少しずつ増えてゆき、90年代半ばには(今はない)千石三百人劇場で<韓国映画の全貌>(1994)や<韓国映画祭1946→1996 -知られざる映画大国>(1996)のような規模の大きい特別上映が開かれ、私ヌルボも可能なかぎり足を運びましたが、以後の韓国映画人気を予感させるものでした。(→関連記事。)
 ただ、上記の韓国映画祭の上映作品は80年代までのものが多く、90年代の作品に絞ると①~⑤はよしとして、⑥以下は自分でもどんなものか?と・・・。なお、当時リアルタイムで観た作品は①④⑤⑨⑩で、ちょうど半分です。
 キネ旬の集計リストを見ると、韓国映画で一番上位はやはり「風の丘を越えて 西便制」でした。ただ4ptで56位とは遺憾。佐藤忠男先生はもちろん選んでいました。韓国の映画史上(興行成績の面でも)画期的な作品で、ヌルボとしても文句ナシの1位です。作中の名場面のロケ地・青山島(チョンサンド)には6年前サークル仲間と行って来ました。(→過去記事。)

 この記事の下書きは10日以上前に書いたのですが、その後発売されたキネ旬10月上旬特別号は<1990年代日本映画ベスト・テン>が載っていて、その第1位は在日がらみの崔洋一監督「月はどっちに出ている」ということで注目ではあるのですが、洋画はキネ旬の30位あたりまで7割以上観ているのに対して、日本映画は3分の1程度だから、ベスト・テンの記事はどーするかなー・・・。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国内の映画 週末の興行成績 [9月13日(金)~9月15日(日)]と、人気順位 ►浮島丸事件の韓国ドキュメンタリーのこと等

2019-09-17 23:20:45 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
<コリアン・シネマ・ウィーク 2019>は四谷三丁目の韓国文化院で10月29日(火)~11月2日(土)開催。「ゴールデンスランバー」「Be with you~いま、会いにゆきます」「ロマン」「また、春」の4作品が上映されます。ただし10月29日(火)は<プレミア先行上映会>ということでシネマート新宿で「完璧な他人」を上映。この作品だけは有料です。応募期間はすでに始まっていて、締め切りは10月21日(月)。作品の紹介や上映日程、応募方法等については→コチラ参照。

▸9月19日から韓国で「우키시마호(浮島号)」が公開されます。終戦後まもない1945年8月24日、大勢の朝鮮人を乗せて青森県大湊港から釜山に向かう海軍特設運送艦・浮島丸が舞鶴湾内で沈没した浮島丸事件を扱ったドキュメンタリー映画です。日本のウィキペディア(→コチラ)によると、乗組員255名と朝鮮人3,725名(4000名、あるいはもっと多いとも)を乗せて航海中アメリカ軍が敷設していた機雷に触雷して沈没し、乗組員25名と朝鮮人524名が死亡したとされています。ただ、この数字は事件後27年ぶりに明らかにされた名簿記載の人数で、正確な死亡者数は不明であり、また沈没の原因についても<浮島丸自沈説>といった風説・臆説も流布されてきました。それらの疑問に基づいて日本では「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(1996)が作られ、北朝鮮では「살아있는 령혼들(生きている霊魂たち)」(2002)が作られました。そして今回の韓国映画「浮島号」の視点はというと、ポスター(下左)のキャッチコピーを見ればおよそわかります。(映画自体は観てないので「およそ」しかわかりませんが。)
     
 船を追うように海に沈んでゆく女性の絵が背景で、下段のタイトルよりも大きい上部の文字は「일본은 살인자다(日本は殺人者だ)」、その上には「われわれは忘れてはならない。わが民族8千余名を水葬虐殺した」とあります。なんという断定的で強烈な言葉、そして日本のウィキペディアの2倍の数字とは・・・。下のタイトルの上には「予定された爆沈」と記されています。これだけ断定的な言葉を並べるには、明らかな根拠があるのかどうか?
 右のティーザーポスターはさらに論議を呼びそうです。上から「独島は日本の地だ 慰安婦は補償した 強制徴用はなかった 生体実験は証拠がない そして 浮島号は事故だった!」と記され、「살인자 일본(殺人者 日本) 真実を隠蔽している!」と続き、その下に安倍首相の写真が・・・。
 ・・・というわけで、最近の政治的対立を念頭に置いた宣伝をしているようです。もし日本で韓国をターゲットに映画を製作して同じようなポスターで宣伝したらおそらくヘイト認定されるのではないでしょうか? ただ、公開前の現時点でネチズンの→カキコミや→レビューを見ると、韓国でも国民皆が一枚岩ではないことがわかります。評点はポイント10点と1点の両極に2分され、サンプルは約30ほどですがその比率は1:3で、否定的なものの方がずっと多いです。批判的な短評はたとえば次のようなもの。「この国の日本に対立する宣伝物は克服ではなく、嫌悪の性格が強い。私たちが批判する日本が過去ナチスドイツのアーリア人第一主義と変わらない。日帝残滓清算と言うが、民族主義から清算しなければならない」、「映画を作るのはいいとしても、このポスターの文言ははちょっとないんじゃないか? 友好の姿勢はなく、日本独自の絶対悪で片付けてしまっている」「また反日扇動映画か? 韓国が日本に植民地支配を受けたといっても、その間不合理なことがあったとか、一部の人たちが被害を受けたことははっきりしているが、すでに政府主導で何度か日本の謝罪と補償が莫大な規模で成されてきた。好悪はあろうが、日本は世界第3位の規模の重要な経済上安全保障上のパートナーだ。」。
 私ヌルボ、この映画自体は観ていないので批判はできませんが、ポスターを見るかぎり、過去の事件(事故)を見る視点のミゾの深さを痛感するとともに、日韓の歴史に関連する題材で映画を作ることはいいとしても、それを現在の政治的対立を助長するような文脈で宣伝することには大きな疑問を抱かざるをえません。
 ※この件についてのメディア報道(日本語)は→聯合ニュース、→中央日報の記事があります。
 ※誤解を避けるためあえて付記しておきますが、私ヌルボはいわゆる反日でも嫌韓でもありません。文在寅大統領に対してはかなり強い批判的見解を持っていますが、安倍首相支持者では「断じて」ありません。

▸李玉善(イ・オクソン)さん等、ナヌムの家で生活する元慰安婦の皆さんの日常生活を撮ったドキュメンタリー「回り道」(本ブログでは「遠回りの道」)の上映会が10月5日(土)川崎市のエポックなかはらで開催。(→コチラ参照。)
 韓国の国家保安法をテーマにしたドキュメンタリー「不安な外出」上映会は10月26日(土)東京・水道橋の在日本韓国YMCAで。(→コチラ参照。)

         ★★★ NAVERの人気順位(9月17日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 痛いほど愛する(韓国)  9.66(151)
②(2) 愛の贈り物(韓国)  9.65(289)
③(4) 主戦場  9.54(939)
④(-) 星の庭園(韓国)  9.54(187)
⑤(3) 僕のワンダフル・ジャーニー  9.48(404)
⑥(5) アラジン  9.39(26,395)
⑦(6) 明かりの下で(韓国)  9.35(17)
⑧(8) レッドシューズ(韓国)  9.26(3,740)
⑨(7) 教会のお兄さん(韓国)  9.26(1,536)
⑩(-) 劇場版 パンジーの秘密日記(韓国)  9.21(67)

 ⑩「劇場版 パンジーの秘密日記」が新登場ですが、この作品については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 寄生虫[パラサイト](韓国)  9.06(16)
②(2) 幸福なラザロ  8.40(5)
③(3) ハチドリ(韓国)  8.38(13)
④(4) トイ・ストーリー4  8.09(11)
⑤(5) キム君(韓国)  7.57(7)
⑥(6) 主戦場  7.33(6)
⑦(7) EXIT(韓国)  7.23(13)
⑧(8) 動物、園(韓国)  7.20(5)
⑨(9) ユヨルの音楽アルバム(韓国)  7.13(8)
⑩(-) 私の家(韓国)  6.90(10)

 今回新登場の作品はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績9月13日(金)~9月15日(日) ★★★
           「悪い奴ら:ザ・ムービー」以下5位まで韓国映画が独占

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(45)・・悪い奴ら:ザ・ムービー(韓国)・・9/11・・・・・・1,968,975 ・・・・・・2,681,106・・・・・・・・23,851・・・・・・1,511
2(15)・・タチャ:ワン・アイド・ジャック(韓国)・・9/11・・981,573・・・・・1,684,381・・・・・・・・15,135・・・・・・1,415
3(16)・・がんばって、ミスター・リー(韓国)・・9/11 ・・・・886,040・・・・・・・・886,040・・・・・・・・・7,666 ・・・・・・・990
4(2)・・劇場版 ハローカーボット・・・・9/04・・・・・・・・・119,569・・・・・・・・503,266・・・・・・・・・3,903 ・・・・・・・595
       :月世界を助けて!(韓国)
5(4)・・EXIT(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31 ・・・・・・・・・95,933 ・・・・・・9,387,113・・・・・・・・78,940 ・・・・・・・404
6(1)・・IT/イット THE END ・・・・・・・・・9/04 ・・・・・・・・・51,389・・・・・・・・557,014・・・・・・・・・4,819 ・・・・・・・284
       “それ”が見えたら、終わり。
7(49)・・劇場版 パンジの秘密日記(韓国)・・9/15 ・・・・・・・37,746・・・・・・・・・56,177 ・・・・・・・・・・457 ・・・・・・・422
8(3)・・ユ・ヨルの音楽アルバム(韓国)・・8/28・・・・・・・・・・29,280 ・・・・・・1,225,563・・・・・・・・10,069 ・・・・・・・263
9(10)・・ハチドリ(韓国)・・・・・・・・・・・・・・8/29・・・・・・・・・・14,534・・・・・・・・・73,205 ・・・・・・・・・・608 ・・・・・・・・68
10(新)・・イエスタディ ・・・・・・・・・・・・・・9/18・・・・・・・・・・13,014・・・・・・・・・15,636 ・・・・・・・・・・147 ・・・・・・・・57
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 9月12日(木)〜15日(日)‎、韓国は秋夕(チュソク.日本のお盆休みに相当)の大型連休で、それに合わせて自信作を投入したためか、韓国映画が多くの観客を集めました。その結果新登場3作がベスト3を占め、ベスト10中8作品が韓国映画という盛況ぶり。今夏パッとしなかったのがウソみたいです。
 今回の新登場は1・2・3・7・10位の5作品です。
 1位「悪い奴ら:ザ・ムービー」は、韓国の犯罪&アクション。刑務所の護送車が転覆し、乗っていた極悪犯人たちが逃亡するという事件が起きます。警察はこれに対し<特殊犯罪捜査課>を特設します。それは収監中の犯罪者たちで結成したチームで凶悪犯を捕まえるという極秘プロジェクトでした。「狂犬をまた放しましょう!」 オ・グタク(キム・サンジュン)班長は、過去共に活躍した伝説の拳パク・ウンチョル(マ・ドンソク)を訪ねて<感性詐欺師>クァク・ノスン(キム・アジュン)と元刑事コ・ユソン(チャン・ギヨン)を迎え入れて新しいチームを構成します。新しいメンバーが合流してさらに強力で緻密になった悪い奴らは、この事件を暴くにつれ背後に巨大な犯罪組織があることを直感して、もっと悪い奴らを掃討するために動き始めます・・・。原題は「나쁜 녀석들: 더 무비」です。
 2位「タチャ:ワン・アイド・ジャック」は、韓国の犯罪&ドラマ。伝説のイカサマ師チャックィの息子で就職浪人中のイルチュル(パク・ジョンミン)は、勉強には興味はありませんがポーカーには抜きんでた実力があります。ある日、ポーカーの場で偶然知り合ったマドンナ(チェ・ユファ)の妙な魅力に魅かれたイルチュルは、彼女の連れのイ常務(ユン・ジェムン)にだまされてポーカーで苦渋をなめ、金もプライドも失うはめに。そんな崖っぷちに追いつめられたイルチュルの前に現れたのは、正体不明のイカサマ師エク(リュ・スンボム)でした。巨額の賭けられた大きな賭場を準備したエクは全国のイカサマ師たちを呼び集めます。そこでイルチュルはそれぞれに巧みなワザを持ったイカサマ師たちと<ワン・アイド・ジャック>チームを組んで人生を変える新しい勝負に臨むのですが…。原題は「타짜: 원 아이드 잭」です。
 3位「がんばって、ミスター・リー」は、韓国のコメディ&ドラマ。チョルス(チャ・スンウォン)は道行く人が立ち止まるほどの完璧な美男子ですが、顔とは違って子供よりも子供っぽい青年。ある日彼の前に大人よりもっと大人っぽいしっかり者の少女セピョル(オム・チェヨン)が現れます。彼女はなんとチョルスの娘だと名乗ります。「今日初めて会ったのに、僕の娘だって?? 誰なの、君は?!」。青天の霹靂のように「娘」と出会ったチョルスのミステリーな正体が明らかになっていきますが・・・。原題は「힘을 내요, 미스터 리」です。
 7位「劇場版 バンジの秘密日記」は、2017年1月からKBS1テレビで放映されているアニメの劇場版。最近、雨が降る日に鈴の音と共に友だちが1人2人と消える事件が起り始めました。ところがある日、パンジのお父さんも消えたとは!ㅠ_ㅠ パンジは、親友のウンシムとニャムニャムと一緒にお父さんを探しますが、その時、謎のパン屋が現れ、あっという間に怪しいお菓子の世界に引き込まれました。アイスクリームの丘とチョコレートの洞窟、シュークリームの大魔王にバゲットの兵士たちが守る甘く不思議なそこは一体どこなの・・・!? 原題は「극장판 반지의 비밀일기」です。
 10位「イエスタディ」は、あのビートルズの大ヒット曲をモチーフにした2019年のイギリスのファンタジー・コメディ。
ミュージシャンといってもジャック(ヒメーシュ・パテル)は無名の存在で日々かろうじて音楽をしている状態でした。そしてついにすべてをあきらめしよう瞬間、全世界が同時に停電が起こります! その時ジャックは交通事故に遭って昏睡状態に陥ってしまいます。やがて目を覚ますと、世界からザ・ビートルズとその音楽が存在しないことになっていて、彼らの名曲を覚えているのは世界でジャックだけになっていました。ジャックはそれを利用して、ビートルズの曲を歌って成り上がろうとしますが・・・。韓国題は「예스터데이」。日本公開は10月11日です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ハチドリ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・8/29・・・・・・・・14,534・・・・・・・・・73,205 ・・・・・・・・・608 ・・・・・・・・・・68
2(27)・・100日で100の物事 ・・・・・・・・・・・・9/12 ・・・・・・・・・6,449・・・・・・・・・・9,785 ・・・・・・・・・・79 ・・・・・・・・・・37
3(3)・・私の家(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/22・・・・・・・・・・2641 ・・・・・・・・47,924 ・・・・・・・・・387 ・・・・・・・・・・56
4(12)・・シェルブールの雨傘 ・・・・・・1992/9/26 ・・・・・・・・・1,385 ・・・・・・・・15,025 ・・・・・・・・・110 ・・・・・・・・・・11
5(14)・・解き放たれて/Unleashed ・・・・・・3/27 ・・・・・・・・・1,146 ・・・・・・・・18,603 ・・・・・・・・・・98 ・・・・・・・・・・・3

 2位「100日で100の物事」(仮)が今回の新登場。ドイツのコメディです。小さい頃から一緒に育ち、IT会社も共同運営、住む家も上と下の隣同士のポール(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)とトニー(マティアス・シュヴァイクホッファー)は、かけがえのない腐れ縁(?)友だち。スマホとアマゾンがないと生きられない消費王のポールと自信と毛生え薬がなければ生きられないトニーが1,400万ユーロというビッグディール成立後の祝賀パーティーでひどく酔って、神経戦を繰り広げた末、腹立ちまぎれに荒唐無稽な賭けをしてしまいます。すべてを捨て去った後、1日に1つのものを返してもらって100日を堪えなければならないという<100日チャレンジ>です。親友同士の奇想天外な100日チャレンジの展開ははたして・・・。韓国題は「100일 동안 100가지로 100퍼센트 행복찾기(100日間100個で100%しあわせ探し)」ですが英題は「100 Things」とシンプル。間を取って課題としました。日本ではNetFlixで配信のようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [9月6日(金)~9月8日(日)]

2019-09-11 23:54:35 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸シネマ・ジャック&ベティで9月6日(金)「ニジノキセキ」を鑑賞。この作品の認知度は低いと思いますが、兵庫県青商会(在日本朝鮮青年商工会)が製作したドキュメンタリーで、朝鮮初級学校の先生や、朝鮮高級学校の生徒とその両親等に焦点を当てつつ、民族学校のようすを撮った作品です。副題は「『4・24』の未来へ、七色の架け橋」なのですが、『4・24』とは1948年4月24日の<阪神教育闘争>(阪神教育事件)のメモリアル・デーのこと。この出来事については→コチラや→コチラ参照。2月に観た高賛侑監督のドキュメンタリー「アイたちの学校」ではこの出来事について当時の映像と共に詳しく説明されていましたが、昨年70周年という区切りの年を迎えたというだけでなく、在日の人たちも3世・4世が主体になってきた現在、過去の重要な出来事を共通の記憶として後続世代にきちんと伝えていかなければならないという事情があるということだろうと思います。(国籍の変更等、日本社会への同化も進んでいるし・・・。)

▸続く7日(土)・8日(日)は、台風の接近が懸念される中、同じくシネマ・ジャック&ベティで <インチョンから横浜まで ミリム劇場×シネマ・ジャック&ベティ同時上映展>開催。7日は「1991、春」、8日は「妓生:花の告白」というドキュメンタリー2作品が上映されました。ともに日本初公開で、私ヌルボ、もちろん両日観に行ってきました。
     
 「1991、春」は、1991年の<カン・ギフン(姜基勲)遺書代筆操作事件>を扱ったドキュメンタリー、・・・ということまではわかっていたものの、詳しい内容や事件の背景までは知りませんでした。1987年の6月抗争によって大統領の直接選挙制が実現したものの、軍人出身の盧泰愚が当選。91年当時は激しい街頭闘争と、過酷な弾圧が続いていました。官憲側の弾圧は日本のレベルよりもはるかに強圧的で、この年4月には明知大のカン・ギョンテ君が警察が振り回した鉄パイプにより殺されました。この事件がその後の抗議の焼身自殺の連鎖の景気となります。それも約20件(!?)とは・・・。私ヌルボ、以前ソウル大や延世大のキャンパスを歩いた時、(6月抗争の時の)朴鍾哲や李韓烈の他にも民主化闘争の中で犠牲になった多くの<烈士>の碑があることを知りましたが、その中に抗議の自死を選んだ学生もいて、また安東大等々各大学にも慰霊のモニュメントが残っているのですね。(詩人金芝河は相次ぐ焼身自殺を「伝染病だ」と非難したとか。)
 そのように焼身自殺事件が続く中、西江大学のパク・ホン総長は「背後に組織による<死のリスト>がある」と主張します。つまり、順番を決めて焼身自殺闘争を組んでいるのだ、というもの。それを前提に、警察は5月8日運動組織の社会部長だったキム・ギソルさんが西江大で自殺したのも組織的な方針によるものとみて、彼の遺書も彼の同僚であるカン・ギフンさんが代筆したものと決めつけ、自殺幇助罪で捜査・立件。裁判では日本人の専門家による「彼の筆跡ではない」との鑑定結果をも否定して懲役3年の刑が確定し服役しました。再審で彼の無罪が確定したのは2015年。<事件>から14年も経った後でした。
 私ヌルボの感想は、闘争形態と官憲の弾圧の激烈さ。日本だと学生運動の犠牲者で思い浮かぶのは樺美智子さん(1960)と山崎博昭君(1967)の2人くらい。焼身自殺は学生でなくてもごくわずかでは? 日韓のこの違いはなぜなのでしょう?
 また、20年近く前の出来事が現在の政治状況にも関係がありそうということも何となく(?)わかったような・・・。
 上記のような冤罪事件のこととは別に、カン・ギフンさんの弾くタルレガとかヴィラ=ロボス等のギター曲の名曲はとても印象的でした。(ヌルボ、10代の頃少し齧ったので懐かしかったです。)

▸「妓生:花の告白」は、元妓生だったお年寄りに直接話を聞いたり、戦前の券番(日本ではふつう検番or見番と表記)のようすを詳しく説明したりと、妓生について<思い込み>を廃し、とても具体的に、多角的な視点から追究したドキュメンタリーでいろんな知識を得ました。
 「1991、春」とともに、今回だけの上映で終わるのはもったいない話です。今後上映の機会が増えることを期待したいものです。
 7日は上映後の懇親会にも参加。両監督や、仁川から来られた皆さんともいろいろ話せてよかったです。

▸9~11日は韓国とか映画とは関係のない2泊3日の岡山旅行。そのため記事の更新が1日遅れてしまいました。岡山では予定外で朝鮮関係のネタにも遭遇。それらについてはまたいずれ・・・。

▸池袋の新文芸坐で15日(土)「白蛇伝」(1958)と「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968)の特集上映! 昔ナツカシの60歳以上の皆さんだけでなく、若いアニメファンにも黎明期のニホンアニメの名作をぜひ観てほしいと思います。

         ★★★ NAVERの人気順位(9月3日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 痛いほど愛する(韓国)  9.65(150)
②(2) 愛の贈り物(韓国)  9.64(283)
③(-) 僕のワンダフル・ジャーニー  9.53(269)
④(3) 主戦場  9.52(923)
⑤(4) アラジン  9.39(26,287)
⑥(8) 明かりの下で(韓国)  9.27(15)
⑦(6) 教会のお兄さん(韓国)  9.26(1,534)
⑧(5) レッドシューズ(韓国)  9.25(3,677)
⑨(-) ディーター・ラムス  9.23(44)
⑩(7) トイ・ストーリー4  9.09(6,522)

 ③「僕のワンダフル・ジャーニー」が新登場ですが、この作品については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 寄生虫[パラサイト](韓国)  9.06(16)
②(2) 幸福なラザロ  8.40(5)
③(3) ハチドリ(韓国)  8.38(13)
④(4) トイ・ストーリー4  8.09(11)
⑤(-) キム君(韓国)  7.57(7)
⑥(5) 主戦場  7.33(6)
⑦(6) EXIT(韓国)  7.23(13)
⑧(-) 動物、園(韓国)  7.20(5)
⑨(7) ユヨルの音楽アルバム(韓国)  7.13(8)
⑩(-) 僕が生きる世界(韓国)  7.00(3)

 ⑧と⑩の2作品が新登場です。
 ⑧「動物、園」は、韓国のドキュメンタリー。あなたにとって動物園はどんなイメージですか? 本来は野生動物で、容易に人を近づけないといっても、動物園の動物たちは人に頼らざるをえません。多くの動物たちはそこで生まれ、死ぬまでそこで一生を生きていくしかないのです。魚の獲り方から教わる子供アザラシ、清州動物園で生まれ育った最古参のヒョウ、生の最後の道を歩みつつある年老いたトラ、野生の世界に飛び立つ準備をしているワシ、人に育てられ人の姿だけ探しているオウム等々の動物たちや、掃除・飼育・繁殖・診療・手術等々で動物の世話にあたっている人たちの、表からは見えない日常や問題点をさまざまな角度から撮ったものです。原題の「동물, 원」は「動物、one」と訳した方がいいかも。(<園>も<one>も同じスペル。)
 ⑩「僕が生きる世界」は、今年3月7日公開の韓国のドラマ。夜はDJをしていて夢は花形DJ!・・・といっても、ミンギュ(クァク・ミンギュ)の現実はバイク便のアルバイト。ある日同僚が賃金がおかしいといいだし、一緒に街で見かけた労働相談のテントに入ったところ、非正規労働者であってもきちんとした労働契約を交わして、天引きしているという保険料も確認してみる必要があるとのアドバイスを受けます。ミンギュの彼女のシウン(キム・シウン)は、夢はアーチスト!・・・といっても、現実は美大に進みたい学生のための絵画塾講師。ところがある日、先輩でもあるオーナーから、シウンより年下だがブランド大学の学位を持った後輩が入ってくるので、君は中学生クラスに廻れ、給料も下がると告げられます・・・。今の韓国に多い非正規雇用の若者たちを主人公に、彼らのおかれた厳しい状況を描くとともに、労働問題について知るべきことを知るように告げる作品です。原題はは「내가 사는 세상」です。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績8月30日(金)~9月1日(日) ★★★
           「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の続編ホラーが1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(52)・・IT/イット THE END ・・・・・・・・9/04 ・・・・・・・・309,355・・・・・・・・414,879・・・・・・・・・3,603 ・・・・・・・999
       “それ”が見えたら、終わり。
2(31)・・劇場版 ハローカーボット・・・9/04・・・・・・・・・271,838・・・・・・・・319,417・・・・・・・・・2,444 ・・・・・・・889
       :月世界を助けて!
3(1)・・ユ・ヨルの音楽アルバム(韓国)・・8/28・・・・・・・・・230,162 ・・・・・・1,117,420・・・・・・・・・9,160 ・・・・・・・908
4(3)・・EXIT(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31 ・・・・・・・・・191,987 ・・・・・・9,215,334・・・・・・・・77,456 ・・・・・・・732
5(2)・・変身(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/21 ・・・・・・・・・135,475 ・・・・・・1,757,682 ・・・・・・・15,045・・・・・・・・728
6(4)・・ワイルド・スピード・・・・・・・・・・・8/14 ・・・・・・・・・108,809 ・・・・・・3,607,512・・・・・・・・31,828 ・・・・・・・652
       /スーパーコンボ
7(5)・・47メーターズ・ダウン・・・・・・・・・8/28 ・・・・・・・・・・66,078・・・・・・・・440,356・・・・・・・・・3,598 ・・・・・・・526
       アンケイジド
8(新)・・僕のワンダフル・ジャーニー・・9/05 ・・・・・・・・・・32,635・・・・・・・・・39,817 ・・・・・・・・・・347 ・・・・・・・184
9(6)・・鳳梧洞[ポンオドン]戦闘(韓国)・・8/07・・・・・・・・・・26,441 ・・・・・・4,767,092・・・・・・・・40,446 ・・・・・・・336
10(10)・・ハチドリ(韓国)・・・・・・・・・・・・・8/29 ・・・・・・・・・・13,132 ・・・・・・・・44,868 ・・・・・・・・・・377 ・・・・・・・・91
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・2・8位の3作品です。
 1位「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」は、スティーヴン・キングの原作を映画化したアメリカのホラー「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」(2017)の続編。メイン州の長閑な田舎町デリーはかつて子供たちが“それ”と呼ばれる怪物と闘った町。その町で新たな連続児童失踪事件が発生します。そこで立ち上がったのは、まだ子供だった27年前に「再び“それ”が現れたら僕たちも戻る」と誓い合ったビリーをはじめとするルーザーズ・クラブの仲間たちでした。忌まわしい思い出のあるデリーに大人になった彼らが帰ってくるのですが・・・。韓国題は「그것: 두 번째 이야기」。日本公開は11月1日です。
 2位「劇場版 ハローカーボット:月世界を助けて!」は、韓国のアニメシリーズの新作。車がロボットに変身するcarbotが今回も活躍します。地球を征服しようと企むエイリアンによって平和だった地球からタワークレーンや宇宙ステーションが消え、月の裏面で暮らしていたウサギ族の村はエイリアンロボットの攻撃を受けて危険にさらされます。チャタンとカーボットたちは、エイリアン軍団に立ち向かうために、月の国へ向かいますが・・・。原題は「극장판 헬로카봇 : 달나라를 구해줘!」です。
 8位「僕のワンダフル・ジャーニー」は、犬と飼い主の深い絆を描いたアメリカのドラマ「僕のワンダフル・ライフ」(2017年)の続編。日本公開は9月13日ですでに諸情報が流されているので、内容紹介等は省略します。韓国題は「안녕 베일리(アンニョン ベイリー)」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(2)・・ハチドリ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・8/29・・・・・・・・・13,132・・・・・・・・44,868 ・・・・・・・・・377 ・・・・・・・・・・91
2(1)・・カレント・ウォー・・・・・・・・・・・・・・・8/22 ・・・・・・・・・6,278 ・・・・・・・206,919・・・・・・・・1,787・・・・・・・・・・59
3(4)・・私の家(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/22 ・・・・・・・・・5,516 ・・・・・・・・42,586 ・・・・・・・・・344 ・・・・・・・・・・92
4(11)・・はじまりのうた ・・・・・・・・・・2014/8/13 ・・・・・・・・・4,506・・・・・・3,443,458・・・・・・・27,199 ・・・・・・・・・・68
5(3)・・盲目のメロディ・・・・・・・・・・・・・・・・8/28 ・・・・・・・・・3,138 ・・・・・・・・22,620 ・・・・・・・・・183 ・・・・・・・・・・82
       ~インド式殺人狂騒曲

 5位「盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲」が今回の新登場です。インド映画ですが、ミュージカルシーンや豪華な衣装、派手なアクション等はない、これまでのイメージとは異なるブラックコメディで、世界的な大ヒット作。アーカーシュ(アーユシュマーン・クラーナー)は芸術を極める盲目のピアニスト。しかし実は「盲目を装っている」のです。ところがある日、演奏のために訪れた豪邸で殺人事件を目撃(!)してしまいます。(ありゃま。) それでも警察に駆け込んだらなんとそこの署長が犯人とは!(ありゃま2。) そして署長に命を狙われるハメに。そればかりか、さらに妻シミー(タブー)からひどい仕打ちを受けてしまい、ヤヤコシイ事態がどんどん進行していきます・・・。韓国題は「블라인드 멜로디)」。日本では11月15日から全国ロードショーとのことです。
 なお、⑧「はじまりのうた」は、韓国では「비긴 어게인」というタイトルで2014年公開され、日本でも2015年公開されました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [8月30日(金)~9月1日(日)]

2019-09-04 08:20:38 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸今年第72回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドール賞に輝いた韓国映画「寄生虫」(英題:PARASITE)「パラサイト 半地下の家族」という邦題で2020年1月公開されることになりました。の日本版ポスターと予告編が公開されました。→コチラの記事でおよその内容の他、予告編も見られます(が、30秒ではほとんどわかりません)。
 また一部で注目されている(?)のが日本のポスターが韓国のものと違うこと。なんでだろ?
     

▸映画の星取表といえば、「キネ旬Review」(→コチラ)と「週刊文春」のシネマチャートは毎号見ています。「週刊文春」の方はウェブサイト(→コチラ)でも見られます。で、その最新号(9月5日号)を見ると、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に合計24点がつけられているではないですか。5人中1人だけ4点で他の4人は全員5点。(→コチラ。)
 私が初めてタランティーノ作品を観たのは「レザボア・ドッグス」(1994)だったか? しかしほとんど記憶なし。続いて「パルプ・フィクション」(1994)は評判よさそうだからと観に行ったら、なんか猥雑な感じでとくにおもしろさとか感動とかもなし。自分とは相性がよくなさそうなので以後25年間はずっとご無沙汰。しかしシネマチャートの見出しに「タランティーノの最高傑作か!?」ともあることだし、どんなものかと観てきました。そして感想はというと、<ぴあ映画生活>の次のようなレビューとほぼ同じ。「あまり期待せず劇場に足を運んだが、やはり、こいつの作風は「パルプ・フィクション」から一歩も変わっていない。」「良くも悪くもタランティーノ」。また「本作では様々な映画への愛情が感じられるとともに、当時の時代背景を象徴する映画が実名で登場する。『ジョアンナ』の大きな看板があったり、シャロン・テートが映画館で自分の出演映画『サイレンサー/破壊舞台』を観たり、『大脱走』…とキリがない。」というのはたしかにその通り。
 若い世代(だけじゃないか)のかなり多くが「事前にシャロン・テート事件とか予備知識を仕入れて行った方がいい」と書いていたのはわかるような気がします。そういえば数年前、高校生と話をしていて「フォークソングってなんですか?」と訊かれてあせったことがあり、つい10日ほど前に話した大学生は38度線を知りませんでした。
 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は1969年2月8日の場面から始まります。当時大学生だった私ヌルボ、「夢のカリフォルニア」や「ミセス・ロビンソン」は懐かしさを覚えます。(「サークルゲーム」もだけど、ちょっと年がずれてない?) そんな旧世代にとって、何十年も若い新世代がこの映画をどう受け止めるかよくわかりません。が、なんらかの意識・認識をつなぐことにはなると思います。(明治・大正生まれの世代も、ヌルボのような戦後世代にいかんともしがたい<断絶感>を感じることも多かったんだろうな、と今思います。)
 ※映画には関係ないけど、話題の中国SF「三体」に「それから半世紀を経て、歴史学者たちの意見が一致しているのは、一九六九年に起きたこの事件が、それ以降の人類の歴史におけるターニングポイントだったということである。」という一節がありました。(いろいろネタに事欠かない時代です。)

▸8月29日に観た「北の果ての小さな村で」では、グリーンランドの今を、そして31日に観た「ガーンジー島の読書会の秘密」では名前も知らなかったイギリス海峡の島の歴史を知ることができました。どちらも作る姿勢がピュアで好感のもてる作品でした。後者の主演女優リリー・ジェームズはちょっとクラシカルな美人で印象的。

▸シネマ・ジャック&ベティで 7日(土)・8日(日)<インチョンから横浜まで ミリム劇場×シネマ・ジャック&ベティ同時上映展>が開かれ、その中で韓国のドキュメンタリー「1991、春」と「妓生(キーセン):花の告白」が上映されます。(日本初公開) 「工作 黒金星と呼ばれた男」の上映もすでに始まっています。詳しくは→コチラ

         ★★★ NAVERの人気順位(9月3日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(2) 痛いほど愛する(韓国)  9.65(150)
②(1) 愛の贈り物(韓国)  9.60(247)
③(3) 主戦場  9.53(896)
④(4) アラジン  9.39(26,199)
⑤(6) レッドシューズ(韓国)  9.26(3,591)
⑥(7) 教会のお兄さん(韓国)  9.26(1,530)
⑦(-) トイ・ストーリー4  9.09(6,497)
⑧(-) 明かりの下で(韓国)  9.09(11)
⑨(9) 伊丹潤の海(韓国)  9.06(126)
⑩(-) 私の家(韓国)  9.02(322)

 ⑧と⑩の2作品が新登場です。
 ⑧「明かりの下で」はインディミュージシャンたちを扱った韓国のドキュメンタリー。舞台の上では限りなくかっこよく見え、ファンタスティックで好きなことをやって生きてるように見えても、彼らは実際にはこの時代の青年たちの姿と大きく変わることはありません。常に現実に悩まされつつハードな毎日を生き、より良い明日に向かって努力する青年たちです。このドキュメンタリーでは、映画の中の主人公であるロックンロールラジオ、ウェイステッドジャニーズ、そしてザ・ルースターズのエネルギーあふれる音楽と公演を楽しむ一方で、誰よりも素朴で親しみやすい生活の話を通じてこの時代を生きる青年なら誰でも大きな共感や感動が得られる作品とのことです。原題は「불빛 아래서」です。
 ⑩「私の家」は、韓国のドラマ。「私の家は本当になぜこうなの?」 毎日言い争う両親が悩みの12歳のハナ(キム・ナヨン)と、しょっちゅう引越しをするのが嫌だというユミ(キム・シア)、ユジン(チュ・イェリム)姉妹は、夏休み近所でたまたま出会い、心を通じて親しくなります。くつろぎのない家族に対する悩みを打ち明け合って仲良しになった3人は、何よりも大切なそれぞれの<わが家>を守るために冒険を敢行するのですが・・・。原題は「우리집」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 寄生虫[パラサイト](韓国)  9.06(16)
②(2) 幸福なラザロ  8.40(5)
③(-) ハチドリ(韓国)  8.38(13)
④(3) トイ・ストーリー4  8.09(11)
⑤(6) 主戦場  7.33(6)
⑥(7) EXIT(韓国)  7.23(13)
⑦(-) ユヨルの音楽アルバム(韓国)  7.13(8)
⑧(8) 僕はイエス様が嫌い(日本)  7.00(4)
⑨(-) 私の家(韓国)  6.90(10)
⑩(10) ジョン・ウィック:パラベラム  6.88(8)

 ③⑦⑨の3作品が新登場です。
 ③「ハチドリ」と⑦「ユ・ヨルの音楽アルバム」については後述します。
 ⑨「私の家」については上述しました。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績8月30日(金)~9月1日(日) ★★★
           「ユ・ヨルの音楽アルバム」が1位だが、注目は10位「ハチドリ」!

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(15)・・ユ・ヨルの音楽アルバム(韓国)・・8/28・・・・・・・・412,110・・・・・・・・684,519・・・・・・・・・5,510 ・・・・・・1,078
2(1)・・変身(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/21 ・・・・・・・・・364,143 ・・・・・・1,500,003 ・・・・・・・12,852・・・・・・・・934
3(3)・・EXIT(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31 ・・・・・・・・・297,559 ・・・・・・8,917,869・・・・・・・・74,988 ・・・・・・・800
4(2)・・ワイルド・スピード・・・・・・・・・・・8/14 ・・・・・・・・・224,269 ・・・・・・3,418,608・・・・・・・・30,236 ・・・・・・・671
       /スーパーコンボ
5(新)・・47メーターズ・ダウン・・・・・・・・8/28 ・・・・・・・・・192,416・・・・・・・・311,242・・・・・・・・・2,515 ・・・・・・・644
       アンケイジド
6(5)・・鳳梧洞[ポンオドン]戦闘(韓国)・・8/07・・・・・・・・・・79,555 ・・・・・・4,712,713・・・・・・・・40,030・・・・・・・513
7(4)・・役者たち:風聞操作団(韓国)・・・8/21 ・・・・・・・・・・52,705・・・・・・・・597,756・・・・・・・・・4,931・・・・・・・505
8(新)・・アンナ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8/28 ・・・・・・・・・・45,731 ・・・・・・・・73,250 ・・・・・・・・・・600 ・・・・・・・425
9(6)・・カレント・ウォー ・・・・・・・・・・・・・8/22 ・・・・・・・・・・22,134 ・・・・・・・194,261・・・・・・・・・1,694 ・・・・・・・193
10(新)・・ハチドリ(韓国)・・・・・・・・・・・・・8/29 ・・・・・・・・・・14,219 ・・・・・・・・20,942 ・・・・・・・・・・178 ・・・・・・・140
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「変身」はやっぱり1週で2位に後退。しかし新1位の「ユ・ヨルの音楽アルバム」も数字的にも内容的にも今ひとつパンチに欠けるような・・・。
 今回の新登場は1・5・8・10位の4作品です。
 1位「ユ・ヨルの音楽アルバム」は、韓国のドラマ&ラブロマンス。タイトルの「ユ・ヨルの音楽アルバム」とはKBS Cool FMで1994~2007年の13年間、午前9~11時放送されて多くのリスナーの記憶に残っている番組です。物語は、1994年10月1日、歌手ユ・ヨルがこの番組でラジオDJを初めて担当した日に始まります。母親の残したパン屋で働いていたミス(キム・ゴウン)は、たまたま客として訪れたヒョヌ(チョン・ヘイン)に心がときめきますが、思わぬアクシデントでヒョヌと連絡が取れなくなります。あなたは戻ってこないだろうと思いながらもヒョヌを待ち続けたミスは、ある日奇跡のようにヒョヌと再会しますが、2人の状況はどんどんずれていくばかり。一緒に聴いていた番組「ユヨルの音楽アルバム」のように、2人ははたして互いの周波数を合わせられるでしょうか・・・。原題は「유열의 음악앨범」です。
 5位「47メーターズ・ダウン アンケイジド」(仮)は、米英合作のホラー。2017年公開の「海底47m」の続編で、シルベスター・スタローンの娘システィーン・スタローンの女優デビュー作です。物語のキモは前作同様<サメの恐怖>です。舞台はブラジル。ティーン・エイジャーの女性4人がスキューバダイビング・・・といっても、水没した都市の廃墟を探る探検で海底洞窟に潜るのですが、そこで突然急流が発生し、そのまま洞窟の奥へと押し流されてしまいます。迷宮のように入り組んだ洞窟から脱出するのは容易ではありません。そればかりか、そこはなんと、凶暴なサメの棲息地だったのです・・・。韓国題は「47미터 2」。日本公開は年内のようです。
 8位「アンナ」は、アメリカのアクション&スリラー。フランスのリュック・ベッソン監督作品です。主人公アンナはパリのトップモデル。演じる女優サーシャ・ルスも、ロシアのトップモデルでもあります。ところが、アンナのモデルというのは実は偽装で、正体は凄腕の<殺し屋>。フォークやナイフを使って10人のマフィアを撃退し、ソ連軍の地下防空壕に侵入し、次のミッションの待つパリに乗り込んだという・・・。韓国題は「안나」。日本での劇場公開は未定、かな?
 10位「ハチドリ」は、韓国のドラマ。キム・ボラ監督(女性)初の長編というこの作品は、昨年の第23回釜山国際映画祭で最優秀アジア映画賞・観客賞を受賞。今年の第36回エルサレム国際映画祭でも最優秀長編デビュー作品賞を受賞する等、これまで世界の映画祭で「25冠王」という偉業を遂げたとのことです。(→コチラ参照。) 各映画評、観た人のレビューにも目を通したところ、最近の公開作中で1番の注目作と言ってよさそうです。時代は1994年。主人公は14歳の女子中学生ウニ(パク・ジフ)。彼女は周囲から愛されるために、世界と自分だけの関係を構築していきます。タイトルの「ハチドリ」は、愛されるのは下手だが不断の努力をするウニを1秒に90回羽ばたきをするハチドリに喩えているようです。そんな彼女に進むべき道を示してくれた<航海士>が漢文学院のキム・ヨンジ先生(キム・セビョク)先生でした・・・。なぜ1994年かというと、(監督によれば)聖水大橋が崩落した年を背景に作ろうと考えた、とのこと。また、その事件がウニが結んでいた関係の崩壊につながり、また韓国社会でいくつもの崩壊が起こる時、彼女がどのように生を乗り越えていくのかを示すことが重要だったとも・・・。とくにドラマチックなストーリーが進行するという作品でもない?(詳しくは→コチラ)ようですが、多くの観客はウニの物語が当時の自分の話のように共感したとのこと。映画評論家ソン・ヒョジョンは「エドワード・ヤンの初期作品が思い浮かぶ」と評していますが、キム・ボラ監督自身も「ヤンヤン 夏の想い出」を参考にした」そうで、また「一個人が主人公ではなく、互いに影響を及ぼしあう形が似ていたらと思った」と語ったそうです。評論家や映画記者の評を見ると、「一番平凡な少女が書いた大叙事詩」(イ・ジヘ)、「個人の経験談が普遍の感性として拡張される魔法」(チョン・ジウ)、「時代のしわを広げてアイロンがけした回想の映画。その頃願ったことを今聞かせる、幻想の映画」(ソン・ギョンウォン)、「デビュー作で驚くべき世界観、加えてしっかりした女性の視線を見せてくれたキム・ボラ監督の出現は、それ自体で韓国映画の事件として、より良い未来に記録されるに値する」(イ・ファジョン)等々。これはゼッタイ観なくちゃ・・・。原題は「벌새」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・カレント・ウォー・・・・・・・・・・・・・・・8/22 ・・・・・・・・22,134 ・・・・・・・194,261・・・・・・・・1,694 ・・・・・・・・・193
2(11)・・ガール・イン・ザ・ミラー・・・・・・・・8/21 ・・・・・・・・・2,817 ・・・・・・・・・7,135 ・・・・・・・・・・19 ・・・・・・・・・・・3
3(2)・・シェルブールの雨傘 ・・・・・・・1992/9/26 ・・・・・・・・・1,805 ・・・・・・・・10,417 ・・・・・・・・・・76 ・・・・・・・・・・20
4(3)・・伊丹潤の海(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・8/15 ・・・・・・・・・1,508 ・・・・・・・・18,246 ・・・・・・・・・150 ・・・・・・・・・・21
5(5)・・解き放たれて/Unleashed ・・・・・・・3/27 ・・・・・・・・・1,364 ・・・・・・・・14,157 ・・・・・・・・・・74 ・・・・・・・・・・・4

 2位「ガール・イン・ザ・ミラー」が今回の新登場です。アメリカのスリラーで、主演はオリヴィア・ハッセーの娘インディア・アイズリー(父はオリヴィアの3人目の夫デヴィッド・アイズリー。※布施明は2人目。)。マリアは誰もが羨むような美少女なのに、両親には「出来損ない」と言われ、学校でもいじめられて孤独な日々を過ごしていました。不安定な心からバスルームで自慰行為にふけっていると、突然彼女に話しかけてくる女性の声が・・・。「私たちはきれいよ」と優しく告げるその声はマリアの声。そして鏡の中でほほ笑みを浮かべているのもマリアの顔。「あなたの望みを叶えたいの」と鏡の中のマリアにそう言われた瞬間からマリアの中の何かが変わり始めます。それは凄惨な復讐劇の始まりでした・・・。韓国題は原題そのままの「룩 어웨이(ルック・アウェイ)」。日本では、7~8月に新宿シネマカリテで開催された<カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2019>(カリコレ2019)で上映されました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする