ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

パク・ヨンハ自殺!? 韓国ネチズンにも衝撃

2010-06-30 08:47:05 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 ほんの少し前にラジオで速報を聞き、韓国の「毎日経済」のサイトでさっそく見てみました。
以下、そのほとんど直訳です。

 パク・ヨンハ死亡の悲報にネティズン衝撃 「信じられない!」
タレント・歌手のパク・ヨンハ(33)死亡のニュースにネティズンたちが大きな衝撃を受けている。
 パク・ヨンハは30日午前5時30分頃ソウル市江南区論峴洞(ノニョンドン)の自宅で死亡している状態で発見された。警察は死因を自殺と推定している。
 パク・ヨンハ死亡のニュースにネチズンたちは「信じられない」という反応だ。ネチズンたちは「新しいドラマを控えているのに、なぜ自殺したのかわからない」、「人には知られない事情があったようだ」、「自殺という極端な選択したのが残念」等の反応をみせている。
 これと関連して、ある関係者は30日に電話で「信じられない。数日前に連絡をして会って次回作の話をした」と、信じられないという反応をみせた。
 この関係者は「最近次回作を控えていたのだが、下半期のスケジュールまでつまっていて意欲に満ちていた状態だった」と伝えた。

 現在パク・ヨンハの遺体はソウル市江南の聖母病院(성모병원)霊安室に移送、アンチされた。
 一方、ドラマ「冬のソナタ(겨울연가)」で韓流スターの列に加わったパク・ヨンハは、韓国版「チョムミルミル」、ドラマ「ラブソング」出演を控えている状態だった

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[6月25日(金)~27日(日)]

2010-06-29 22:34:20 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 明日で今年も半分が終わり。早いものです。1月以来観た映画が25本。6月はわずか3本。今となっては、3月に10本観たのが夢のようです。しかし、7~8月にはいつものシネマ・ジャック&ベティで期待の作品が目白押しなので、今後それなりには本数が増えるはず。
 あ、シネマ・ジャック&ベティといえば26日から「息もできない」をやってますね。まだ観てない方はぜひ足をお運びください。同じく26日から「ONE SHOT ONE KILL−兵士になるということ」も始まってます。こういう映画を上映するところがホネのあるしるし。

   ★★★ Daumの人気順位(6月29日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①裸足の夢(韓国)  9.6(262)
②チャイニーズ・オデッセイ2  9.5(191)
③ゴッドファーザー  9.4(145)
④ヒックとドラゴン  9.4(626)
⑤聴説  9.4(125)
⑥詩(ポエトリー)(韓国)  9.1(423)
⑦チャイニーズ・オデッセイ1  9.1(52)
⑧小さな池(韓国)  9.0(212)
⑨葉問2(イップ・マン2)  8.9(81)
⑩特攻野郎Aチーム THE MOVIE  8.9(303)

 ①だけが新登場です。詳細は後述。

【専門家による順位】

①下女  8.8(5)
②ゴッドファーザー  8.6(6)
③詩(韓国)  8.5(10)
④ハハハ[夏夏夏](韓国)  7.7 (10)
⑤ヒックとドラゴン  7.6 (9)\t
⑥僕のヤクザみたいな恋人(韓国)  7.5(4)
⑦大いなる静寂  7.5 (2)
⑧ゴーストライター  7.3 (8)
⑨パンジャ(房子)伝(韓国)  7.0 (7)
⑩アイガー北壁  7.0 (5)

 「ディア・ドクター」が消えて「パンジャ伝」が再登場、ということで新味はありません。
 やっぱり、韓国の映画オタク誌「シネ21(씨네21)」の★の数の方がおもしろいですかねー・・・。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[6月25日(金)~27日(日)] ★★★
         これもサッカー映画。4位「裸足の夢」に注目!

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・ナイト&デイ・・・・・・・・・・・・・06/24・・・・・・・・・471,720・・・・・・・・・・・・・・・・592,713・・・・・・・786
2・・砲火の中へ(韓)・・・・・・・・・06/16・・・・・・・・・394,110・・・・・・・・・・・・・・1,852,759・・・・・・・636
3・・パンジャ(房子)伝(韓) ・・・・06/03・・・・・・・・・170,867・・・・・・・・・・・・・・2,614,963・・・・・・・350
4・・裸足の夢(韓)・・・・・・・・・・・06/24・・・・・・・・・103,834・・・・・・・・・・・・・・・・132,363・・・・・・・387
5・・特攻野郎Aチーム・・・・・・・06/10・・・・・・・・・103,834・・・・・・・・・・・・・・・・697,268・・・・・・・278
6・・ヒックとドラゴン・・・・・・・・・・05/20・・・・・・・・・・66,845・・・・・・・・・・・・・・2,534,601・・・・・・・154
7・・ソロリティー・ロウ・・・・・・・・06/24・・・・・・・・・・25,962・・・・・・・・・・・・・・・・・40,566・・・・・・・163
8・・セックス・アンド・ザ・シティ 2・・06/10・・・・・・・25,093・・・・・・・・・・・・・・・・362,339・・・・・・・138
9・・StreetDance 3D・・・・・・・・06/17・・・・・・・・・・10,906・・・・・・・・・・・・・・・・・121,327・・・・・・・171
10・・ベスト・キッド・・・・・・・・・・・06/10・・・・・・・・・・・・9,617・・・・・・・・・・・・・・・・284,940・・・・・・・・92

     
         【「裸足の夢」のポスター

 1・4・7位が新登場。
 「砲火の中へ」に代わって1位の「ナイト&デイ」はトム・クルーズとキャメロン・ディアス主演のアクション・コメディーだそうです。日本公開は10月。毎度のことながら、日本の映画ファンは怒りの声を上げてないの? (私ヌルボはジャンル的にあまり関心は高くないので・・・。)
 4位、「裸足の夢」は、独立間もない東ティモールの少年サッカーチームが、内戦後の混乱を乗り越えて国際大会で優勝した実話をもとに描いた韓国映画です。今年1月広島でもロケが行われたそうです。
 しばしば参考にさせていただいている<韓国映画スタッフブログ>の藤本さんという方はこの映画の編集とかで直接関わっていらっしゃるようですね。モニター試写会のこととか来韓した東ティモールの子どもたちによる宣伝活動のこととか、いろいろと記されていて興味深いです。上記のDAUMの評点もすごく高く、好評のようです。
 その記事中に、「東大門にあるメガボックスという劇場のスピーカーは韓国で一番いいと言われています。・・・サウンドが最高によかったですね。感激してしまいました。韓国で映画を見るなら、ここの劇場を体験してみて下さい」とあります。覚えておきましょう。
 7位、韓国題は「여대생 기숙사(女子大生寄宿舎)」とあるから、ベツのジャンルの映画かな、と思ったらアメリカのホラー映画。1983年の「スプラッター・ナイト 血塗られた女子寮(The House on Sorority Row)」のリメイク版だそうです。さるサイトに「要ゎ綺麗なネーチャン達がギャーギャー悲鳴をあげつつ殺されるのを楽しむ 从*´Д`*从 ホラー映画だゎな」とあるのにはちょっと笑っちゃいました。日本公開は未定。

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昔の朝鮮の、「まげ」と網巾(マンゴン)

2010-06-28 21:23:21 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)
 →一つ前の、朝鮮の断髪令についての記事の関連事項です。

 「平家物語」「太平記」「南総里見八犬伝」等々の日本の古典や、「西遊記」「水滸伝」等々の中国の古典に親しむには、児童用の古典全集が読みやすく読み応えもあって、馬鹿にはできません。
 朝鮮の古典も(そんなに読んではいませんが)同様だと思います。

 私ヌルボが朝鮮時代の髪型について多少知ったのは、数年前、李朝後期の朴趾源(パク・チウォン.박지원.1737~1805)の小説「許生伝(ホセンジョン.허생전)」の児童向きリライト版を読んだのが最初です。

    
      【「許生伝」の児童版。

 学問に没頭するばかりの両班許生に対し、貧乏暮らしに堪え切れなくなった奥さんが「泥棒してでも稼いでおいで!」と罵倒する場面から始まるなかなかおもしろい物語でした。
 ※彼の住まいは、やっぱり貧乏両班が多く住んでいたという南山の麓となっています。
 ※あらすじ(줄거리)は韓国ウィキ(韓国語)にあります。

 物語の中で、許生が大儲けした方法というのが、網巾(망건.マンゴン)を買い占めて、値上がりした時に一気に売るというもの。
 網巾とは、髷(상투.サントゥ)の乱れを防ぐための網状の頭巾で、庶民のものは馬の毛、上流階級のものは人の毛髪を編んで作ったそうです。
 つまり、これがなくては朝鮮の男性は皆困ってしまうというものだったわけですね。
韓国の時代劇=史劇(사국.サグク)を見ると、いろんな形状のものがあるようです。(どこまで歴史考証がきちんとなされているかはよくわかりませんが・・・。)

    
     【時代劇に見る髷と網巾。
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イザベラ・バード「朝鮮紀行」を読む(4) 断髪令が命取りとなった開化派政権

2010-06-28 21:22:39 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 → イザベラ・バード「朝鮮紀行」を読む (予告編)
 → イザベラ・バード「朝鮮紀行」を読む(1) 虐殺される8ヵ月前の閔妃と会見。
 → イザベラ・バード「朝鮮紀行」を読む(2) 朝鮮半島のトラ
 → イザベラ・バード「朝鮮紀行」を読む(3) この本は韓国で・・・

 なにをかくそう、この数十年床屋さんに行ってません。(かなり大胆な告白!?)
 どうしてるかというと、自分でハサミを持ってジョキジョキ。いーかげんなもんです。
 基本的に「髪型なんてどーでもいいという考え」がある、というよりも、面倒くさがりなんですねー。
 したがって、髪にすごくこだわる人の気持ちには理解が及ばないといわざるをえません。

 ・・・ということで、今回のテーマ。

[オドロキその3]総理大臣金弘集は断髪令が仇となって殺害された。

 「朝鮮紀行」中で驚いたことのひとつは、朝鮮人の髪型に関することです。

 朝鮮にも、近代以前には日本のチョンマゲのように髷(상투)がありました。
 そしてまた、日本同様に、近代化の入口でその伝統習慣が否定されました。
 日本では1871(明治4)年の断髪令。正式には散髪脱刀令というのですが、厳密には髪型の自由化であり、ちょんまげを禁止したわけではありません。

 日本の場合、政府要人が岩倉使節団として海外視察したこともあって、少なくとも政府部内に強固に断髪に反対する守旧勢力もなく、民衆の抵抗もあったものの、この件独自で政治的に大きな混乱を招くことはありませんでした。(西南戦争をはじめとする士族の反乱と全然無関係とはいえないかもしれませんが・・・。) 
 明治天皇も1873年には散髪し、1876年頃には「ざんぎり頭が60%、チョンマゲが40%」といったところだったそうです。

 ところが、比較的スムーズにチョンマゲと別れた日本と対照的に、朝鮮の断髪令はあまりにも大きな政治的影響を惹き起こしてしまいました
 朝鮮で断髪令が下されたのは1895年12月30日。日本の24年後です。
 時の総理大臣金弘集らが進めていた甲午・乙未改革とよばれる一連の近代化政策の一環として行われたものです。
 しかしこれが民衆の猛反発を受けます。ウィキの「断髪令(朝鮮)」によると理由は2つ。
1つは「身体髪膚これを父母に受く、あえて毀傷せざるはこれ、孝の始めなり」という儒教の教えに反するということ。もう1つは、「断髪令は日本の真似だ」という反日感情。
 しかし、「朝鮮紀行」には、それら以上に、朝鮮人にとって髷の存在がいかに重要なものであったかを実例をあげて強調しています。

 ・・・・「まげ」は99パーセント結婚とともに結われるものであり、結婚もせずに「まげ」を結う者は「半人前」のレッテルを貼られてしまう!
 ・・・・自家の子供に「まげ」を結わせようと父親をはじめ家族が決めると、聖人としての衣服、帽子、網巾(망건.髪の乱れを防ぐ頭巾)などが一家の財政の限度ぎりぎりまで費やしてととのえられ、儀式を行うのによい日時と、当日の主役が儀式中に向いていると吉となる方角を占星術師に撰んでもらう。(・・・以下、儀式のようすや、帽子等について詳述)
 ・・・・「まげ」には翡翠や琥珀やトルコ石の玉を飾ることがよくあり、おしゃれな若者は高価な鼈甲のくしを飾ったりもする。


 このように描写しつつ、イザベラ・バードは次のように結論づけています。

 ・・・・わたしは男性の身だしなみに関するもので朝鮮人の「まげ」ほど重要な役割を演じたり、丁重に扱われたり、固執されたりするものをほかに知らない。

 ことほどさように朝鮮人としてのアイデンティティにも関わる髷を否定する断髪令は、
 ・・・・朝鮮人を日本人と同じような外見にさせて自国の習慣を身につけさせようとする日本の陰謀だと受けとめられた。

 そして朝鮮全土で混乱や反対の暴動が起きます。

 ・・・・息子ふたりが断髪令にしたがったというので恥辱と嘆かわしさのあまり服毒自殺してしまった父親もいる。「まげ」ひとつで社会秩序はその根底から揺らぎだしたのである。
 ・・・・春川では命令を強制しようとした知事とその部下全員を住民が退去して殺害し、町とその周辺を占拠した。


 事態が悪化する中で、断髪令から2ヵ月余の1896年2月11日未明、国王高宗と皇太子は女官用の輿に載って王宮をひそかに脱出し、ロシア公使館に遷ります。露館播遷(ろかんはせん)=俄館播遷(がかんはせん)です。
 同日ロシア公使館で、高宗は「乙未事変(閔妃虐殺事件)の首謀者は容赦なく罰する」、「断髪令は朕の意に反して行われた。断髪は強要されるものではない」等を内容とする勅書を発しました。

 ・・・・これにつづき、同日何千人もの人々が断髪令撤回の布告文を読んでいる一方で、これまで数度にわたりその座に就いてきた首相(金弘集)と農工商務大臣が捕えられ、街頭で斬首された。怒り狂った暴徒は首相を「まげ」失墜の張本人とみなし、残虐きわまりないやり方で死体を切りきざみ侮辱した。べつの閣僚は日本兵に助けられ、そのほかの謀叛者は逃亡した。

 いやー、なんとも烈しい抵抗があったものです。
 露館播遷の前提として、具体的にこのような出来事があったとは知りませんでした。
 いくつもの衝撃的な事実を、イザベラ・バードは、冷静な筆致で書きとめています。
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西洋人の人名で、バフ、ゴフ、コフといえば・・・・

2010-06-27 00:28:05 | 韓国語あれこれ
 申京淑「どこかで私を呼ぶ電話のベルが鳴って」は80ページくらい読み進みました。それなりのペースですが、370ページまでだからまだまだです。

 ゴフ(고흐)が弟のテオ(테오)に宛てた手紙というのが出てきました。

 韓国語中級にさしかかった頃だったか、作曲家のバッハ(Bach)を韓国ではバフ(바흐)というのを知って、ちょっと驚いたことを思い出しました。

 고흐は画家のゴッホ(Gogh)なんですね。オランダ語のghはドイツ語のchと同じ発音になるんですかね。

 ことのついでに、ドイツの細菌学者のコッホ(Koch)のハングル表記を確認したら、やっぱりコフ(코흐)でした。
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干支にちなむ朝鮮・韓国の歴史上の出来事

2010-06-26 23:04:46 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)
 昨日6月25日は、いうまでもなく60年前(1950年)朝鮮戦争(韓国戦争)が勃発した日です。
 近年伝えられるところでは、韓国では、「韓国戦争で戦った相手国は?」という問いに正しく答えられない生徒が増えているとか・・・。
 日本でも、朝鮮戦争自体知らない人は相当に多いでしょう。6月25日は「マイケル・ジャクソンの命日」と覚えている人の方がたぶん多いのでは?

 100年前は日韓併合。韓国では1910年の干支(えと.간지)から<庚戌国恥(경술국치)>という言葉も使われているようです。
 日本でも庚午年籍(670年)壬申の乱(672年)といったり、1924年に造られたから甲子園球場といったり、干支に因んだ言葉はいろいろありますが、朝鮮・韓国では歴史上の出来事にその年の干支によって命名した例は日本史よりずっと多いようです。
 ・・・と思って、韓国サイトを探ったところ<이야기漢字旅行>という大変便利なサイト中にありました。それを基に、時代順に並べてみました。やっぱり、ずいぶんたくさんあります。韓国の受験生の皆さんはこれを覚えるのでしょうか? (朝鮮時代の国王を覚えるだけでも大変なのに・・・。)

※十干・十二支の読み方は次の通りです。

甲(갑)・乙(을)・丙(병)・丁(정)・戊(무)・己(기)・庚(경)・辛(신)・壬(임)・癸(계)
子(자)・丑(축)・寅(인)・卯(묘)・辰(진)・巳(사)・午(오)・未(미)・申(신)・酉(유)・戌(술)・亥(해)

   [年表]干支関係の出来事  ※赤字は日本に関係があるもの
西暦\t 出来事・事件等\t  ・・・・備考
1398 戊寅靖社(무인정사)\t 
1443 癸亥条約(계해조약)\t 
1453 癸卯靖難(계유정란)\t 
1460 庚辰北征(경진북정)\t 
1498 戊午士禍(무오사화)\t 
1504 甲子士禍(갑자사화)\t 
1510 庚午倭変(경오왜변)・・・・三浦(さんぽ)の乱
1512 壬申条約(임신조약)・・・・対馬の宗氏に通告した来航者取締規則。通交の制限。
1519 己卯士禍(기묘사화)\t 
1521 辛巳誣獄(신사무옥)\t 
1545 乙巳士禍(을사사화)\t 
1547 丁未士禍(정미사화)\t 
1547 丁未約条(정미약조)・・・・対馬の宗氏と結んだ来航者取締規則。貿易を抑制。
1555 乙卯倭変(을묘왜변)・・・・乙卯達梁の倭変。倭船70余隻が朝鮮全羅南道達梁浦に来襲。林巨正が参戦。
1589 己丑獄事(기축옥사)\t 
1592 壬辰倭乱(임진왜란)・・・・文禄の役。
1597 丁酉再乱(정유재란)・・・・慶長の役。
1609 己酉約条(기유약조)・・・・対馬の宗義智と結ぶ。これにより貿易を再開。
1613 癸丑禍獄(계축화옥)\t 
1627 丁卯胡乱(정묘호란)\t 
1636 丙子胡乱(병자호란)\t 
1680 庚申換局(경신환국)\t 
1689 己巳換局(기사환국)・・・・張禧嬪が王妃になる。\t 
1694 甲戌換局(갑술환국)・・・・張禧嬪が嬪に格下げされる。\t 
1699 己卯科獄(기묘과옥)\t 
1721-22 辛壬士禍(신임사화)\t 
1727 丁未換局(정미환국)\t 
1755 乙亥獄事(을해옥사)\t 
1787 丁未通共(정미통공)\t
1791 辛亥通共(신해통공)\t 
1791 辛亥迫害(신해박해)\t
1794 甲寅通共(갑인통공)\t 
1795 乙卯迫害(을묘박해)\t 
1801 辛酉迫害(신유박해)\t 
1839 己亥迫害(기해박해)\t 
1860 庚申迫害(경신박해)\t 
1862 壬戌民乱(임술민란)\t 
1866 丙寅迫害(병인박해)・・・・大院君がフランス宣教師9人虐殺。その他天主教信徒8千人余を虐殺。\t 
1866 丙寅洋擾(병인양요)・・・・大院君の天主教弾圧に対しフランス艦隊が江華島に侵入。その後大院君は全国に斥和碑を建てる。\t 
1871 辛未洋擾(신미양요)・・・・ジェネラル・シャーマン号事件が発端。アメリカが武力で開港を迫るが、朝鮮側の抵抗で撤退。\t 
1876 丙子条約(병자조약)・・・・日朝修好条規(江華条約)。
1882 壬午軍乱(임오군란)・・・・兵士の反乱に民衆も加わる。日本公使館等を襲撃。閔妃等の政府は清国の援助で政権回復。
1884 甲申政変(갑신정변)・・・・開化派の金玉均等が日本の支援の下にクーデター。清国の反撃で失敗。
1894 甲午農民戦争(갑오농민전쟁)・・・・\t以前は東学党の乱といった。
1894 甲午更張(갑오경장)・・・・甲午改革ともいう。
1895 乙未事変(을미사변)・・・・閔妃虐殺事件。
1895 乙未改革(을미개혁)\t 
1900 庚子謀計事件(경자모계사건)・・・・\t日本亡命中の朴泳孝らが高宗の廃位を計る。
1905 乙巳勒約(을사늑약)・・・・第二次日韓協約
1905 乙巳五賊(을사오적)・・・・第二次日韓協約に賛成した李完用等の五閣僚。
1907 丁未七条約(정미칠조약)・・・・第三次日韓協約
1909 己酉覚書(기유각서)・・・・韓国の司法権・監獄事務の処理権を日本政府に委託。
1910 庚戌国恥(경술국치)・・・・日韓併合。

★用語の説明
・士禍(사화)・・・・朝鮮前期、朝廷中央官僚の勲旧派と地方の学界の士林派の間の反目と勢力争い。主に士林の多くのソンビたちが禍を被った。4大士禍が代表的。
・換局(환국)・・・・朝鮮中期以降党争の渦中で権力を握ったが再び放逐される過程の続く中、放逐されて再び中央権力に昇った時に用いる用語。
・獄事(옥사)・・・・反逆等重大な事件と関わった人物を罰するもので、士禍, 換局, 誣獄等をすべて包括できる用語。
・誣獄(무옥)・・・・相手の党派を放逐するため、一種の謀略によって罪を着せ、獄事とすることや、その反対の場合。
・洋擾(양요)・・・・朝鮮後期、西洋の帝国主義列強の侵略を、西洋人の騒擾という意味で洋擾といった。
・通共(통공)・・・・正祖の代に商業活性化のため市廛(してん.市場の店)の独占特権である 禁乱廛権を廃止して、自由な商業活動を可能にした政策。
・獄事(옥사)・・・・朝鮮後期、西学と天主教を信奉する人々を、世を欺き惑わす邪教集団であるとして苛酷な弾圧をしたもので、邪獄(사옥)ともいう。
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イザベラ・バード「朝鮮紀行」を読む(3) この本は韓国で・・・

2010-06-24 22:13:18 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 → イザベラ・バード「朝鮮紀行」を読む (予告編)
 → イザベラ・バード「朝鮮紀行」を読む(1) 虐殺される8ヵ月前の閔妃と会見。
 → イザベラ・バード「朝鮮紀行」を読む(2) 朝鮮半島のトラ

 ずいぶん間隔があきましたが、このテーマを忘れていたわけではありません。あと数回は続きます。

 前にイザベラ・バード「朝鮮紀行」は、「韓国の人たちに、とくに読んでほしい本です」と書きました。
 その後、韓国でこの本が刊行されているかどうか調べてみました。<조선기행>で検索してもヒットしなかったので、もしかしたら自国に都合の悪い本は出していないのかな?などと少し疑ってかかったりもしましたが、「조선과 그 이웃 나라들(朝鮮とその隣国たち)」という題で2000年に発行されていました。

     

 原題が「Korea and Her Neighbours」なので、コチラの方がむしろ訳としては適切でしょうね。
 ただ、ネット書店<アラディン>のサイト中のレビューによると翻訳がひどいようです。

 なお、「조선과 그 이웃 나라들」で検索すると、読んだ人の感想も見られます。(まだちゃんと読んでないですが・・・。)
 また、韓国ウィキペディアの「조선과 그 이웃나라들」を見ると、説明文は以下の通り。やっぱり韓国からの見方だなー、という感じです。

 19世紀朝鮮の風物、宗教(巫堂・仏教等の伝統宗教はもちろん、聖公会(イギリス国教会)、天主教(カトリック)、改新教(プロテスタント)に対する言及を通して草創期韓国教会に対しても説明している)、妓生の華麗な姿、民謡、庶民生活、宮中のようす(もちろん「教養と学識があって聡明な」明成皇后と、親切で「慈愛に満ちた」品性の高宗皇帝と会った話も含まれている)、女性の低い地位に対する言及もしている。しかし「朝鮮とその隣国」は単純な紀行文ではなく、朝鮮社会に対する知識人としての批判書である。彼女は庶民に対しては彼らの健康さと素朴さをあるがままに描写するほどによく考えていたが、官吏に対しては<吸血鬼>とするほど批判的である。また紀行文の中で、西洋の新式文物で部屋を飾る官吏のぜいたくさと、民衆を悪辣に搾取するひどい貪欲さに対して言及していて、とくに官僚の貪欲さに対してはロシアに移民した朝鮮人1世代が搾取がない新しい世の中で勤勉に暮らしている姿を記して、国の発展を阻む障害物だと批判した。
 清日戦争と東学農民革命に対する言及もあるが、彼女はキム・ゲジュ、全琫準等の東学農民革命指導者たちと清日戦争で荒廃した平壌の惨状に対して記している。また中国の瀋陽旅行で経験したことも記している。しかし日本が朝鮮で影響力を広げていくようすを<改革>であると美化したり、仏教と儒教文化圏で生きてきた朝鮮人たちに対して、宗教がなくてもよく暮らしてきた民族だと評価する西欧キリスト教人としての視角が盛り込まれている点で批判を受けている。


 この本に関して、気になったのはKJCLUBという日韓交流サイト。
 「병합전의 미개인 조선을 여행한 영국인(併合前の未開の朝鮮を旅行した英国人)」というタイトルでこの本を紹介しているのですが、彼女の日朝それぞれの紀行中、日本の良いところと朝鮮のよくないところを対照させて抜粋したり、最初からケンカ売ってるような感じ。
 続くカキコの方はさらにひどいですが、その最後の方に
 [JP]이런 책은, 한글로 번역되어 한국에서 출판되는 거니?(こんな本は、ハングルに翻訳されて韓国で出版されてるの?)
 [JP]발매되어인것 같아요. 눈 가득 개찬되어.(発売されてるようだよ。いっぱい改竄されて。)

・・・・とあります。

 改竄については、ネット上で、
 「韓国延世大学が出版した「Korea and Her Neighbours」では、「当時のソウルは清潔で人々は とても快適かつ豊かに暮らしている」と(実際と)正反対の内容が書かれている」
・・・・という情報が流れていました。(現在も流されている。)
 私ヌルボは半信半疑でいたのですが、最近<NAVER総督府>というユニークなサイトを見たら、実際にその書物にあたって検証した結果「結局、この主張は根も葉もないデマでしかありません。延世大学版に関して言えば、内容に問題は認められません」とのことでした。

 → イザベラ・バード「朝鮮紀行」を読む(4) 断髪令が命取りとなった開化派政権
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[6月18日(金)~20日(日)]

2010-06-22 20:36:15 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 日本映画ですが、昨日「告白」を観てきました。原作は本屋さんで7~8回ほど立ち読みをして読みきった(!)のですが、なんとも後味のよくない復讐物で好きになれませんでした。映画の方は、私ヌルボ思うに、アメリカのクリント・イーストウッド、韓国のポン・ジュノとともに、今日本で一番ハズレのない中島哲也監督の作品ということで観にいったわけです。あ、近頃女優としての評価がとみに高い松たか子主演ということもありましたね。で、観た感想はというと、さすが中島監督でした。(松たか子も評判通りだったですが。) 映画vs原作本の対決は、8割以上「原作本の勝ち」ですが、この映画は原作本を凌駕しています。
 ただ、私ヌルボとしては、中島監督はやっぱり「下妻物語」「パコと魔法の絵本」のような楽しい映画の方が本領が発揮されると思います。

   ★★★ Daumの人気順位(6月22日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①チャイニーズ・オデッセイ2  9.5(187)
②ゴッドファーザー  9.4(143)
③ヒックとドラゴン  9.4(600)
④聴説  9.4(108)
⑤葉問2(イップ・マン2)  9.1(62)
⑥詩(ポエトリー)(韓国)  9.1(418)
⑦チャイニーズ・オデッセイ1  9.1(50)
⑧ベスト・キッド  9.0(105)
⑨僕のヤクザみたいな恋人(韓国)  9.0(362)
⑩実家の母(韓国)  9.0(372)

 ④、⑤と、アジアの2作品が初登場。
 ④は<大阪アジアン映画祭2010>観客賞を受賞した台湾映画。彭于晏(エディ・ポン)と陳意涵(アイビー・チェン)主演の純愛ストーリーで、観た人の感想を読むと、皆さん一般公開を期待しているようです。
 ⑤は香港のカンフー映画。主人公の拳法の達人葉問(イップ・マン)は実在の人物で、李小龍(ブルース・リー)は教え子とのこと。<踊る大香港>いうブログは、2009年度香港映画賞最優秀作品賞も受賞したこの映画を、「おそらく過去10年のベスト・クンフー映画と云っても過言ではない傑作」と激賞しています。しかし、パート1は(おそらく)葉問が日本軍に戦いを挑むという内容のため日本で公開されなかったとか。このパート2では葉問はイギリスと戦っているようです。観てみたいなー・・・。

【専門家による順位】

①下女  8.8(5)
②ゴッドファーザー  8.6(6)
③詩(韓国)  8.5(10)
④ハハハ[夏夏夏](韓国)  7.7 (10)
⑤ヒックとドラゴン  7.6 (9)\t
⑥ディア・ドクター(日本)  7.5(4)
⑦僕のヤクザみたいな恋人(韓国)  7.5(4)
⑧大いなる静寂  7.5 (2)
⑨ゴーストライター  7.3 (8)
⑩アイガー北壁  7.0 (5)

 ①~⑨は前週と全く同じ。
 ⑩はドイツ・オーストリア・スイス合作で、4人の登山家の実話を映画化。日本では3月公開。韓国題は「노스페이스(North Face)」。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[6月18日(金)~20日(日)] ★★★
         「砲火の中へ」がトップに浮上

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・週末観客動員数累計・・・・観客動員数・・・・上映館数

1・・砲火の中へ(韓) ・・・・・・・・・06/16・・・・・・・・・814,606・・・・・・・・・・・・・1,130,983・・・・・・・786
2・・パンジャ(房子)伝(韓)・・・・・06/03・・・・・・・・・334,338・・・・・・・・・・・・・2,258,885・・・・・・・443
3・・特攻野郎Aチーム・・・・・・・・06/10・・・・・・・・・194,306・・・・・・・・・・・・・・ 544,402・・・・・・・316
4・・ヒックとドラゴン ・・・・・・・・・・05/20・・・・・・・・・109,876・・・・・・・・・・・・・2,438,694・・・・・・・257
5・・セックス・アンド・ザ・シティ 2・・06/10・・・・・・・ 83,823・・・・・・・・・・・・・・・288,266・・・・・・・252
6・・StreetDance 3D ・・・・・・・・・06/17・・・・・・・・・・66,322・・・・・・・・・・・・・・・・84,147・・・・・・・228
7・・プリンス・オブ・ペルシャ・・・05/27・・・・・・・・・・・64,710・・・・・・・・・・・・・1,958,159・・・・・・・273
    時間の砂
8・・ベスト・キッド・・・・・・・・・・・・・06/10・・・・・・・・・・・64,387・・・・・・・・・・・・・・259,086・・・・・・・276
9・・葉問2(イップ・マン2)・・・・・・06/16・・・・・・・・・・・33,753・・・・・・・・・・・・・・・・41,842・・・・・・・161
10・・きかんしゃトーマス・・・・・・・06/17・・・・・・・・・・・ 8,224・・・・・・・・・・・・・・・・・9,034・・・・・・・111
     伝説の英雄(ヒロ)

 6月25日が近づいてきて、「砲火とともに」が6位からトップに浮上しました。
 初登場は6・9・10位。
 6位はイギリス初の3D映画。やはりこのジャンルの映画は韓国では当然公開。トレーラー映像が見られる<浅草日記>というサイトでは「アジアの主要な国では公開されるのに、日本で未定とは」と疑問を呈しています。
 9位については上述。
 10位は、日本では4月に公開しています。韓国題は「토마스와 친구들-극장판 2」です。
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朝鮮・韓国文学研究のさきがけ 「朝鮮文学」(1970~74年.全12号)のこと

2010-06-21 23:01:21 | 韓国・朝鮮に関係のある本
      

 今年に入って、古書店で「朝鮮文学」(全12号)を入手しました。1970~74年に刊行された、文字通り韓国文学の紹介や韓国語の研究等のさきがけとなった文芸誌です。
 ネット古書店では48300円もの値がつけられていいますが、はるかに安く買えた(3分の1くらい)のは幸運だったと思います。

 (5月31日の記事で紹介するつもりが、同じ「朝鮮文学」でも、つい北朝鮮の文芸誌の記事になってしまいました。)

 この文芸誌についてネットで調べてみると、さすがに川村湊先生、「日本人による朝鮮文学研究(五人十一人)の始まり」と題し、さまざまな説明を付して紹介しています。

 その文中にもあるように、「朝鮮文学」は1970年12月、次の5人の同人でスタートしました。
 大村益夫・梶井陟・石川節(後に石川節子)・山田明(後に田中明)・長璋吉。
 朝鮮文学や朝鮮語に以前から関心を持ってきた人にはおなじみの、<先覚者>ともいうべき顔ぶれです。
 当初季刊としてスタートした「朝鮮文学」ですが、その後不定期発行となり、結局1974年8月、12号で終刊となりました。
 しかし、4年足らずとはいえ、日本人が朝鮮・韓国文学に対して、戦後初めて(=歴史上初めて)主体的に取り組んだ意義は大きいものがあります。

 この「朝鮮文学」の内容は、(詳細は上記の川村先生の紹介にお任せするとして・・・)
①60年代以降を中心とした韓国の中・短編小説の翻訳 ②韓国・朝鮮の文学関係の状況や資料紹介等 ③同人による論文・エッセイ等
に大別されます。

 ①の中には、たとえば私ヌルボがたまたま原書を読んでいる途中だった金承鈺(キム・スンオク. 김승옥)「霧津紀行」があり、溺れかけている者が投げられた浮き輪に飛びつくように、さっそくコチラで読了してしまいました。

 ③の例は、長璋吉の「私の朝鮮語小辞典」が連載されているのですね。いうまでもないですが、河出文庫になっている名著です。

 この文芸誌が刊行されてから40年。今、この12冊に目を通すと、この70年代の前半という時代に、この人たちが、朝鮮文学とそれを取り巻く状況についてどう考えていたか、ということ自体が考察の対象となるなー、ということを強く感じます。
 その興味深い具体例もあるのですが、それは近々別記事にします。

※山田明改め田中明さんは第5号でとくに理由を告げることなく離れていったそうです。
 思想的・政治的傾向を考えると、わかるような気もします。(当たってないかもしれませんが・・・。) 今「韓国の民族意識と伝統」などを読むと、田中明さんは早くから北朝鮮に対して距離を置いた見方をしていましたから・・・。
 「韓国の民族意識と伝統」が岩波現代文庫として刊行されているというのも時代の流れを感じさせます。帯には「相互理解のための直言 「反日」に潜む弱さを指摘」とあります。この本で、冒頭に「「いい日本人」に化けたくない」(1982年)という一文が掲げられています。「いわゆる「日帝三六年に対する反省」といった美しい言葉に近づけていこうという気持ちには全くならなかった」というくだりもあります。
 他の同人は、彼に比べると多かれ少なかれ「いい日本人」らしかったということだったのでしょうか・・・。
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韓国ドラマ「英雄時代」を読み解く[11] 書堂でも総督府指定教科書が用いられた

2010-06-20 18:28:10 | 韓国ドラマ
 4月9日の記事で、このドラマの第3話あたりで出てくる書堂についてとりあげました。
 その中で、、「「千字文」や、「論語」等をテキストに、基本的に儒学を教えたといってよいでしょう」と記しましたが、先日マーク・ピーティー「20世紀の日本4 植民地」(読売新聞社)を読んでいると、次のような記述がありました。

 (併合以後、民族主義的な私立学校が禁圧の対象になったのに対して「総督府はむしろ、儒学者や、彼らが教育を受けた書堂をはるかに望ましいものと受けとめていた。日本人が儒学の伝統を称揚し、徳による支配、礼に基づいた人間関係、孝を旨とする家族道徳などを強調する時には、日本の伝統と同時に朝鮮の両班層の伝統にも敬意を払っていることを示そうとした。・・・・書堂に対する認可も普通の私立学校よりも寛大であったが、一九二九年以後になると書堂でも、「国語」・朝鮮語・算術等の科目で総督府指定の教科書を使い、天皇への忠誠を説く「修身」の科目を設けることが義務づけられた。」

 つまり、近代以前からの寺子屋のような民間教育機関である書堂にも、教育の統制が及んでいったということですね。

 このマーク・ピーティーの本は、なかなか斬新で、興味深く読めました。読売新聞社が、あえてこのアメリカ人歴史学者に執筆を依頼した意味を、ピーティー氏自身「ひょっとすると日本の帝国主義時代に関する外からの観察者として、日本の帝国主義・植民地主義に関する問題に、別の視点をもたらすことができるのかもしれない」と前書きに記しています。

 さらにこの本の内容に立ち入ると、<植民地近代化論>やら<植民地収奪論>やらの、重要ではあるがしちめんどうくさい論議にからんでこざるをえませんので、ここではスルーしておきます。
 ただ、この本が高い値の古書でしか購入できないのは困ったものだと思います。

 ややこしい論議を回避したついでに、逆に時代をさかのぼって、18世紀の朝鮮の書堂と、19世紀の日本の寺子屋のようすを描いた名画を紹介します。

  
  
    【上:金弘道「檀園風俗図帖」より。下:渡辺崋山「一掃百態図」より。

 書堂の方はドラマ「風の絵師」で日本でも知名度が高まった金弘道(キム・ホンド. 김홍도)(1745~?)の「檀園風俗図帖」25図中の1枚。先生の前で子どもがなぜか泣いてますね。
 寺子屋の方は、渡辺崋山(1793~1841)の「一掃百態図」中の絵です。

 どちらも、子どもたち(と先生)の動きや表情を実によくとらえていて、甲乙つけがたい絵だと思います。
 日本の子どもたちの方が元気がありますね(笑)、・・・というか、学級崩壊状態?
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チェ・スンジャの新刊詩集から 「時間がパサッ、パサッ」など

2010-06-19 00:10:06 | 韓国の小説・詩・エッセイ
       

 6月18日(水)の韓国KBS1ラジオの夜番組「シン・ソンウォンの文化読み(신성원의 문화읽기)」に関連して、「かもめ食堂」関係の記事を直前にupしましたが、実はコチラの記事の前置きとして書いてたのが長くなりすぎて別記事にしたものです。

 この番組は、毎週水曜日は「詩がある水曜日(시가 있는 수요일)」というコーナーがあって、文学評論家・慶煕大学校のキム・スイ(金壽伊)教授(女性)がさまざまな詩人の詩を朗読して紹介するというものです。

 6月18日(水)は、チェ・スンジャ(崔勝子.최승자)の詩集「쓸쓸해서 머나먼」をとりあげていました。
 チェ・スンジャといえば、つい先日の6月14日の記事で申京淑さんの新作「どこかで私を呼ぶ電話のベルが鳴って(어디선가 나를 찾는 전화벨이 울리고)」を紹介した際、その長い題はチェ・スンジャさんの詩句を少し変えてつけた、ということを書いたばかりです。

 しかし、それは後で気づいたことで、ラジオを聴いていて私ヌルボが耳をそばだてたのは、キム・スイさんの朗読する詩の韻律。ところどころ聞きとれる詩句と相俟って、引き込まれたんですよ。

 その詩のタイトルは「시간이 사각사각」。少し長い詩ですが、全文は次の通りです。ぜひ音読してみてください。

    시간이 사각사각 / 최승자
한 아름다운 결정체로서의
시간들이 있었습니다
사각사각 아름다운 설탕의 시간들
사각사각 아름다운 눈[雪]의 시간들
한 불안한 결정체로서의
시간들도 있었습니다
사각사각 바스러지는 시간들
사각사각 무너지는 시간들
사각사각 시간이 지나갑니다
시간의 마술사는 깃발을 휘두르지 않습니다
사회가 휙,
역사가 휙,
문명이 휙,
시간의 마술사가 사각사각 지나갑니다
아하 사실은
(통시성의 하늘 아래서
공시성인 인류의 집단 무의식 속에서
시간이 바스락거리는 소리입니다)
시간이 사각사각
시간이 아삭아삭
시간이 바삭바삭
아하 기실은
사회가 휙,
역사가 휙,
문명이 휙,
시간의 마술사가 사각사각 지나갑니다


 「シガニ サガサガ」(時間がカサッ、カサッ)という繰り返しが印象的です。

 後の部分では、
 「シガニ サガサガ/シガニ アサアサ/シガニ パサパサ
 (時間がカサッ、カサッ/時間がサクッ、サクッ/時間がパサッ、パサッ)
という3行もあります。

 擬音語では、「휙」も繰り返されています。
「サフェガ フィ/ヨクサガ フィ/ムンミョンイ フィ
 (社会がヒュッ/歴史がヒュッ/文明がヒュッ)

 キム・スイさんの詩の朗読は、意味がよくわからなくても十分に魅力的です。
 「읊다」というのでしょうね。日本語だと読むのではなく、「詠ずる」・「吟ずる」。

 日本の詩人でヌルボが好きな室生犀星、堀口大學、三好達治、谷川俊太郎、近代詩人のハシリといってよさそうな蕪村の「北寿老仙を悼む」等々、詩想の違いはあっても、心に残る詩は皆韻律の魅力を共通して持っていると思います。
 韓国・朝鮮の近代詩人では(そんなに知っているわけでもないですが)、韓国人の人気№1の詩人金素月の「オンマやヌナや」や「招魂」など、音の流れひとつとっても直接心に響く感じです。

 チェ・スンジャさんの詩の韻律は、日本の浪漫派のようにそのリズムに酔っている感じではなくて、逆に冷めた目で世の中を見つめる、知的で、少し虚無的な雰囲気を感じさせます。
 (韻律が特徴的で虚無的といえば、中原中也を思い出しますが、彼の場合は少し酔ってるというか、拗ねてるというか・・・)

 以下、YES24のサイトにあった彼女の略歴をさらに抜き書きします。

 詩人チェ・スンジャは、<激動の80年代>に青春時代を送った人たちにとってひとつの熱い象徴であり、凄絶な憤怒であり、致命的な中毒だった。事物と生、時代と事件を身体の言語に置き換え、解析する彼女のはばかりない意識の根は自己否定と自己嫌悪として表出された。そして詩人としてはまれな大衆的人気を受け、パク・ノヘ、ファン・ジウ、イ・ソンボク等とともに詩の時代80年代が輩出したスター詩人とされた。2001年以降闘病生活を送り、詩作は一時中断していたが、この4月、上記の詩が収録されている詩集「쓸쓸해서 머나먼(物悲しくて、遥かに遠く)」を11年ぶりに刊行した。

 ・・・この日の番組では、他に「내 詩는 지금 이사 가고 있는 중(私の詩は今引越し中)」という、とても意味シンな詩も紹介していました。

 たまたまこのような詩人について知る機会を得て、幸運でした。
 (申京淑さんが彼女の詩から小説のタイトルを考えたのも、うなずけるような気がします。)
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映画「かもめ食堂」等で人気のフードスタイリスト飯島奈美さんをKBSラジオで紹介

2010-06-18 16:20:12 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 2006年に韓国でも上映された「かもめ食堂」。フィンランドのヘルシンキを舞台にした、淡々とした癒し系映画で、私ヌルボも好印象をもちました。
 この映画は同年韓国でも公開され、大ブレイクとまでは行かないまでも、日本同様好評だったようです。

 DAUM映画のサイトでネチズンのコメントを見ると、「特別な事件が起こるわけではない静かな映画ですが、しあわせな気分になりました」とか、「日本特有の、シンプルで繊細な演出がきわだっている映画! 강추!」等のコメントの中に、「映画に出てきたトンカツが食べたい~」とか「シナモンロールとオニギリがたべたくなる」のような声もありました。
  ※강추=強推=強力推薦

 私ヌルボが愛聴している韓国KBS1ラジオの夜番組「シン・ソンウォンの文化読み(신성원의 문화읽기)」。6月18日(水)は、映画「かもめ食堂」や「めがね」でフードスタイリングを手がけた飯島奈美さんについて、韓国で新刊の「Life; 카모메 식당, 그들의 따뜻한 식탁(Life;かもめ食堂、彼らの暖かい食卓」とともに、「シネ21」のイ・タフェ記者が紹介していました。シン・ソンウォンさん、「お菓子ともご飯ともいえないおはぎ、食べてみたいですねー」というようなことをおっしゃっていたようです。

   

 韓国人や韓国料理については、「声が大きい・パワフル・熱い・味が濃い(辛い)」等々の一般的イメージがあるようですが、上記のような感想を持つ人も当然いらっしゃるわけですねー。もしかして、こんな人たちがだんだん増えているのかもしれません。

 また、飯島奈美さんのような人に、日本だけでなく韓国でも関心を向ける人が相当数いるということは、現代の日韓両国で、文化的に相通ずるものが生み出されてきているということかな、とも思いました。
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「東亜日報」が選んだ<2020年を照らす韓国の100人>は?

2010-06-17 23:36:48 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 「東亜日報」は今年創刊90周年ということで、この5月「2020年を照らす大韓民国100人(2020년을 빛낼 대한민국 100인)」という特集企画を打ち出しました。

 創刊100周年となる10年後の2020年には、韓国各界でどんな人々が活躍しているか、ということで、次の5分野で合計99人を選定しています。(最後の1人は読者自身の分、ということです。)

・「自由な創造人」(20人)・・・・・文学・スポーツ・芸術分野
・「夢みる開拓者」(25人)・・・・・科学技術分野
・「行動する知性人」(20人)・・・社会科学分野
・「挑戦する経済人」(25人)・・・経済分野
・「未来を拓く指導者」(9人)・・・政治分野


 「東亜日報」の記事によると、三星電子のイ・ジェヨン副社長や、フィギュアの女王キム・ヨナ選手のようにすでによく知られた人物が多く選定されたが、人々の関心外で黙々とがんばっている世界水準の科学者等も含まれているとのことです。
 その顔ぶれは「東亜日報」のサイトに出ています。そして、選ばれた99人に対して、「東亜日報」ではインタビュー記事の連載を始めています。

 名前を見ると、私ヌルボは、学者関係は全然わからず。政治・経済関係は少ししかわからず。
 ・・・ということで、「自由な創造人」(文学・スポーツ・芸術分野)の20人を紹介しましょう。(カナダラ順)
※詳細はリンク先を参照されたし。一部韓国サイト。

キム・ヨナ(金姸兒.김연아)・・・・・・・フィギュアスケート選手(20・女)
  20人中で知名度は当然1番でしょう。あるサイトにあった<キムヨナの12変化(へんげ)>、オモシロイ!

キム・ユンジン(金允珍.김윤진)・・・映画俳優(37・女)
  アメリカ在住の韓国人俳優。

キム・ヒョンス(金鉉洙.김현수)・・・斗山ベアーズ外野手(22・男)
  2年連続最多安打王の<打撃機械>。

ノ・ヒギョン(노희경)・・・・・・・・・・・・ドラマ作家(44・女)

パク・ミンギュ(朴玟奎.박밍규)・・・・小説家(42・男)
  今年の李箱文学賞受賞作家。3月8日の記事で紹介しました。

パク・ソンフン(박성훈)・・・・・・・・・・ロッテホテル・ピエールガニーエル調理長(20・男)

パク・ジニョン(朴鎭英?.박진영)・・・歌手兼プロデューサー(38・男)

ポン・ジュノ(奉俊昊.봉준호)・・・・・映画監督
  5月4日の記事「ユリイカ」の<ポンジュノ特集>に少しふれました。

ソ・ドホ(徐都濩.서도호)・・・・・・・・・設置美術家(48・男)

シン・ギョンスク(申京淑.신경숙)・・・小説家(47・女)
  本ブログの昨年8月11日、すなわち最初の記事で「オンマをお願い」の感想を記しました。

シン・ジエ(申智愛.신지애)・・・・・・・プロゴルファー(22・女)
  日本での知名度は2番目、かな? 昨年アメリカ女子プロゴルフツアー賞金女王。
昨年12月10日の記事「え? 申智愛よりも横峯さくらが稼いでいる!」でふれました。

シム・スンヒョン(沈承.심승현)・・・漫画家(39・男)
  「パペポポ」シリーズは癒し系の漫画で、継続的な人気を保っています。

ヤン・ソンウォン(梁 盛苑.양성원)・・・チェリスト(43・男)

イ・チョンヨン(李菁龍.이청용)・・・・イギリス・ボルトンワンダラースFC所属サッカー選手(22・男)

チャン・ハンナ(장한나)・・・・・・・・・・チェリスト兼指揮者(28・女)

チョン・ヨンドゥ(정연두)・・・・・・・・現代美術作家(41・男)

チョン・ウクチュン(정욱준)・・・・・・ファッション・デザイナー(43・男)
  いろんな韓流スターのファッションも手がけています。

チョ・ソンジン(조성진)・・・・ソウル芸術高1年のピアニスト(16・男)
  2008年中2の時モスクワ国際青少年ショパンピアノコンクールで優勝。

チェ・ウンソク(최은석)・・・・ディストリクト代表理事(37・男)
  デジログ、3D等々、よくわからんです・・・。

ホン・ミョンボ(洪明甫.홍명보)・・・オリンピック・サッカー代表チーム監督(41・男)
  日本での知名度第3位? いや、シン・ジエより上ですか。しかし、ヌルボは顔知らないんです。(パク・チソンの顔は最近覚えましたが・・・。)

 20人の顔写真は下の通り。私ヌルボの場合、名前を知っていた人は①⑤⑧⑩⑪⑫⑳の7人、その中で、顔だけでわかる人は①⑤⑩⑪の4人でした。

   
最上段左→右に①~⑤、2段目⑥~⑩、3段目⑪~⑮、4段目⑯~⑳
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韓国ドラマ「英雄時代」を読み解く[10] 京城の街、和信百貨店など

2010-06-17 16:18:34 | 韓国ドラマ
 第9話あたりから、京城の中心街のようすがしばしば映し出されます。

 路地の民家の塀には「明治牛乳」、「毎日新聞」、「仁丹」、「三ツ星タイヤ」など日本語の広告が貼られています。
 「内鮮一體の完成(←旭日)」という横断幕の字は右→左の横書きです。
 なかなか細かいところまでよく再現したもんだなーと感心しました。「飲料界のスタア ニッホンヒール ★」のように濁点がついていないミスも見つけてしまいましたが・・・。

 第10話、米屋を買ったテサンは自転車で営業しています。明治町(現・明洞)、本町(現・忠武路) 黄金町(現・乙支路)を走り回っています。(今の韓国人にとって自転車はふつうに乗れる乗り物ではないのですが・・・。)
 テサンは、上記の町名をメイジチョウ、ホンマチ、ファングムジョウと言ってますが、ファングムジョウは違うでしょう。
 なお、鍾路通りは4月16日の記事でふれたように、テサンはチョントン(鍾通.종통)と言ってました。

 京城市街の場面で、市電が走っていたり、和信百貨店の堂々たる建物まであるのには、最初観た時は驚きました。夜の場面では、そのずっと向こうに赤いネオンも見られます。
 その後、5月の佐賀旅行の折に長沢雅春先生から富川(プチョン)に常置してあるセットだということをうかがい、ネット検索したらたしかにいろんな情報がみつかりました。

 <富川ファンタスティックスタジオ>という名称で、このドラマでも少しだけ名前が出てきた京城の顔役・金斗漢(キム・ドゥハン)を主人公とした2002~03年の任期ドラマ「野人時代」のセットとして作られ、以後いくつものドラマや映画でも用いられ、一般にも開放されているんですね。

 たとえば、コネストのサイトには、いろんな写真のほかスタジオ全体の見取り図も載ってます。スタジオへのアクセスや、入場料(大人3000ウォン)等々、詳しく説明されています。

 <がんもどき韓国旅行>というサイトでは、なんと裏方向から撮った写真(!)も載っています。夢「ぶちこわしです」というキャプションがついています。

 和信百貨店は、朝鮮人実業家の朴興植が鍾路十字路、現在の鍾路タワーの場所に1931年開店しました。日本人が多く居住する街としてどんどん発展していった明治町(現・明洞)や本町通り(現・忠武路)には対して、三越をはじめとする当時の5大百貨店中唯一の朝鮮人経営のこの百貨店が朝鮮人の街・鍾路通りにあったのはうなずけます。

 申明直「幻想と絶望 漫文漫画で読み解く日本統治時代の京城」(東洋経済)という本によると、この百貨店は鍾路通りの代表的な商業施設で、1930年代には昇降機(エレベーター)や屋上の食堂ができて都の名物になったが、鍾路通りのそれ以外の商店は以前として貧弱だったそうです。
 なお、さるサイトによると、和信のショップガール(女店員)は、美人が少ないと評判だった(!)そうで、これは朴興植が「美人だと、すぐに結婚相手が現れて仕事が長続きがしない」と判断したからだ、とのことです。

    
    
 【昔の和信百貨店(上)と<富川ファンタスティックスタジオ>の和信百貨店(下)
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日本・韓国で新刊の「伊藤博文」に注目

2010-06-17 12:50:08 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 4月25日発行の瀧井一博「伊藤博文」(中公新書)を読みました。
 1841年に生まれてから周知のように1909年安重根に暗殺されるまでの生涯を興味深い挿話等も交えつつ、「隠された思想・国家構想を明らかにする」というふれこみの本なのです。当然ながら私ヌルボの知らなかったことは一杯あって勉強になりましたが、それよりも瀧井一博先生、伊藤博文に対してかなり高い評価をしていて、おどろくほどです。

 全7章のうち最後が「韓国統監の“ヤヌス”の顔」と題された章ですが、この部分だけでも、日本人である私ヌルボも吃驚!ですから、韓国人の皆さんが読んだら目が三角になるかも・・・

①一番のオドロキは伊藤の抱いていた韓国の統治構想について。
 「特筆すべきは、伊藤が併合後も、議会を開設し、韓国人による責任内閣の構築を構想していたことである。国家としての韓国を解消させたとしても、そこには独立の植民地議会を設け、最大限の自治を保証するという考えを抱いていたのである。 ・・・・筆者には、右の抗争のなかには韓国民の文明度が高まり、自治能力が備わって議会政治が根づいた暁には、韓国再独立の道が開かれ真の日韓同盟が築かれるとの伊藤の夢が託されているように思えてならない。」

②反日義兵闘争に対して、伊藤もその掃討のために日本軍の増派を要請しているが、実際の軍隊の行動には自重を求めている

③伊藤が文民でありながらも統監となり、韓国駐留の軍隊の司令官に対する指揮命令権を得た理由は・・・。
 「彼にとっては、それは手段ではなく、軍の統制権の奪取と運用こそ目的だったと考えることはできないだろうか。」

④1906年に新渡戸稲造は訪韓して韓国への日本人移民の促進を訴えようと伊藤の前に通される。ところが伊藤は移民には反対だと述べる。そして「朝鮮人だけでこの国を開くことが、果してできませうか」という新渡戸の反論に対し、伊藤は次のように返したといいます。
 「君朝鮮人はえらいよ、この国の歴史を見ても、その進歩したことは、日本より遥以上であつた時代もある。この民族にしてこれしきの国を自ら経営出来ない理由はない。才能においては決してお互に劣ることはないのだ。然るに今日の有様になつたのは、人民が悪いのぢやなくて、政治が悪かつたのだ。国さへ治まれば、人民は量に於ても質に於ても不足はない。」

⑤伊藤は韓国で教育にあたる日本人教師に韓国人の民族性を尊重することを説いている。すなわち、普通教育の教師として渡韓した新任日本人に対して、韓国語の習得を求めるほか、韓国の伝統宗教についても「猥りに是非善悪の批評等をなしてはならぬ」と語っている。

⑥伊藤は教育については実学を旨として科学を称揚し、そこから政談を排斥することを信条としていた。したがって韓国の過熱化したナショナリズムの感情は理解できず、結局それが命取りになった。

 そーなのか~、なるほどな~、と思っていたら、韓国でも新視点から書かれた이종각(イ・チョンガク)「이토히로부미-원흉과 원훈의 두 얼굴(伊藤博文-元凶と元勲の二つの顔)」という本が5月3日刊行されました。

    

 「東亜日報」の書評では、およそ次のようにこの本を紹介しています。

 伊藤は太子太師として、高宗の息子英親王の師となって親王の礼遇を受け、外国人として唯一韓国皇族となった。当時はもちろん今までよく知られていなかったことである。
 この本の冒頭で著者は記している。
 「歴史の不都合な真実(역사의 불편한 진실)と向き合う決心をしてこなかったのではないか? 認めようと認めまいと、伊藤は大物政治家であることは明らかで、韓国合邦の設計者である。」

 この本は、韓日強制合邦の主役に対する冷静な評価のための本だ。持ち上げたりも、けなしたりもしない。
 勇敢な試みであることははっきりしている。国内読者にとって甚だしくは「悪漢伊藤」というイメージに穴をあけることは負担だっただろう。
 (著者は「東亜日報」記者出身で、日本の中央大学兼任講師。)

 発売後日は浅いですが、読んだ人の感想を探して、少し見てみました。<지구마을 불꽃사파리>というブログです。

 この読者は★5つという高評価。「感情的に流れやすい素材をあるがままに客観的に扱っている」点を長所としてあげています。
 「るろうに剣心」や新撰組、坂本竜馬と司馬遼太郎の小説等に代表される人物と作品を通して、幕末の状況については多く知っていても、それ以後にどのように日本の政治状況が流れていったかについては無関心だったが、このような本を通して整理できる機会を得たのが収穫でした。
 伊藤に対する「親王」の待遇や、彼が死んだとの知らせを聞いた時とても残念がったという高宗のエピソードには、口中に苦みが走るのを禁じ得ませんでした。
 しかし客観的な視点からは、人物自体をみると十分に魅力を感じるに足る人物との印象を受けました。
 ただ、彼の人物・能力・業績は尊敬に値するとは感じながらも、彼の朝鮮に対する認識にはそんなに納得できるものではありませんでした。


 ・・・ということで、結論として、伊藤と当時の日本と韓国について新しい事実を知るとともに、いろいろ考える機会を提供してくれた、と結んでいます。
 他のいくつかのブログでもおおよそほぼ同様の感想でした。

 またこの記事に対するコメント中に次のような記述がありました。
 伊藤が死んで、これ以上ライバルがいなくなった山県有朋がほぼ10年間独裁を行ったという話を読んで、事実日本が本当にやりたい放題になった理由中には、伊藤がそのように死んだことが含まれているのではないか、と考えるようにもなった。

 日韓併合100年、日本でも韓国でも、時代遅れの愛国心をよび起している部分もあるようですが、このように冷静に過去を見つめ直す動きも出てきているのはよいことだと思います。

※伊藤の死後、彼を祀った博文寺(박문사)が現在の奨忠壇公園の場所に建てられた、ということは何かの本で読んだ記憶がありますが、安重根の息子安俊生(안중생.アン・ジュンセン)が伊藤博文の息子と会って謝罪しているということは知りませんでした。
 この件については、関連記事が「ハンギョレ」にありました。
 →(日本語訳)
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