かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

赤ずきんの伝搬研究、その起源が1世紀というのには驚きです。

2013-11-15 19:43:39 | Weblog
 昨夜未明からの雨は今日の午前中もずっと降り続きましたが、そのせいか、寒さは一段落したようでした。土日は少し暖かくなるようですが、それからまた厳しい寒さがやってくるんだそうです。もう秋というより冬ですねこれは。そのつもりで体調管理に気を配らないと。

 さて、英国・ダラム大学の人類学者ジャミー・テヘラニ氏らの研究チームが、生物学の研究に使われる数理モデルを適用し、有名な民話「赤ずきん」の「系統樹」を作成したという研究結果を、オンライン科学誌プロスワンで13日に発表したそうです。
(発表論文「he Phylogeny of Little Red Riding Hood 」はこちら

 プロスワンは自然科学の雑誌だと思っていたので、こういうどちらかと言うと文系な話が掲載されたことにちょっと驚いたのですが、自然科学系、というのが私の単純な思い込みに過ぎなかったのか、アメリカではこういう文化人類学的研究は自然科学の範疇に含めるのか、いずれにしても、なんだか面白い話ではあります。

 それはそれとして、テヘラニ氏らの研究では、「赤ずきん」は、世界中でよく知られる古民話「狼と7匹の子やぎ」と共通の起源があるのだそうです。「狼と7匹の子やぎ」は、欧州や中東でよく知られる民話で、その起源は1世紀に誕生したと考えられている古いお話ですが、「赤ずきん」はその誕生からおよそ千年後に枝分かれした話になり、その起源がフランス、オーストリア、イタリア北部で語り伝えられてきた口承物語に由来しているのだそうです。また、日本・中国・韓国の「虎ばあさん」のような多数の変種がアフリカやアジアでも語られているそうなのですが、「虎ばあさん」て一体何? 我が国に似た話を求めるとしたら、「鬼子母神」か「安達ケ原の鬼婆」みたいな話なんじゃなかろうか、と思うのですが、それ以外に何か赤ずきんに似た昔話があるんでしょうか?
 
 まあそれはともかく、通説では中国の伝承が西洋に伝わり「赤ずきん」になった、というそうですが、この研究では、欧州の伝承が中国に伝わったのであって、その逆はありえないのだそうです。
 テヘラニ氏は他の民話でも同じ手法で研究を進めており、それが古代人類の移動パターンの解明に役立つことを期待していると述べたとのことでした。
 人類の大移動は、考古学やら遺伝学やら寄生虫やら特殊な病気やら、色々な手法で研究されていますし、洪水神話を始め、様々な伝説・昔話の系統的な研究もなされていると聞き及びますが、その伝播のそもそもの始まりやその時期をある程度絞り込めるというのは素直にすごいと思えます。実際どれほどの有効性があるのか門外漢には判りかねますが、なんでも起源を主張したがる隣国は、一度こういう客観的な手法で自らの主張を検証されてみてはいかがでしょう? 

コメント
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