かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

寒い方が儲かるとはいと不思議なことです。

2006-01-09 21:53:30 | Weblog
 結局この連休は、寒いのを理由にしてひたすら籠もりきりの生活をしてしまいました。まあ本読んだりCG描いたりそれなりに有意義に過ごしたとは思いますが、どうも全体としては不活発な気がして、今ひとつ活力に欠ける気がいたします。この冬4度目と言う第一級の寒波も抜けたそうですから、明日からは少しばかり寒さも弛むかも知れませんが、どうせまたすぐに次の寒波が押し寄せてくるのでしょう。チト血圧が気になる我が身を省みれば、やっぱり早く暖かくなってくれないものか、と願わずにはいられません。
 
 さて、私のような者は寒いと冬眠するかのごとく出不精になって、経済活動も消沈してしまうのですが、世間的には寒い方が暖冬よりも経済活動が活発になるんだそうです。第一生命という保険会社の経済研究所なる機関が試算したそうですが、平均気温が下がると、暖房関係や冬物衣料の売れ行きが伸びて消費や輸入が増え、通信や交通費の減少などでマイナスになる部分もあるけれど、全体として見るとプラスになるんだとか。その効果を試算すると、暖冬だった昨年より実質GDPは6千億円以上の増加になるとのことです。
 そのこと自体は、寒いのがあんまり好きではない私には面白くもない話なのですが、とある新聞で、「寒い方が儲かるという言いぐさは、雪害で難儀している人々の苦労に対する配慮が足りない。現在の風潮たる拝金主義的な、人としての道に外れる行為だ。こんな会社は信用できない」とうような強い非難をコラム欄だかにされていたのを目にしました。なるほど、死人まで出て大変な事態になっている日本海側の現状を鑑みれば、寒い方が儲かると嬉々として述べるのはあまりに無神経だと私もその時は思いましたが、しばらくして、ちょっと待てよと考えを変えました。まず、経済効果がある、すなわちお金儲けになる、と言うことが、そんなにあしざまにののしられるような悪いことなのか?と言う点が一つ。それから、第一生命経済研究所には罵倒されるいわれは無いだろう、と言う点が一つです。
 お金儲け云々の話は価値観の相違もあるでしょうけど、モラルとお金儲けは本来別の問題のはずだと私は思うのです。そのこと自体を非難するのは、成功者に対するひがみ、妬みに類する感情なのではないか、という疑いを禁じえません。士農工商と最低ランクに位置づけられた江戸時代の身分制度をいまだに引きずっているんじゃないかとさえ感じます。 もう一つ、研究所の責任から言うと、経済効果を試算したこと自体は何ら間違っていないと私は考えます。たとえ雪害などで艱難辛苦しておられる方々が多数に上ろうと、一方で確かに経済効果は経済効果として存在するのであり、この研究所は、雪害に苦しむ人々を支援したり雪害対策を検討するところではなく、経済という一つの社会現象を解析するのが役割なのですから。従って、この機関の活動において、雪害云々を配慮しなければならない理由はそもそも無いはずです。寧ろ、厳冬や雪害で苦しんでいる人がいるから、というような事を慮ってその役割を放棄する方が間違いではないでしょうか。そうやって出された冷たい数字をどう扱い、人間的暖かみのある数字にしていくのは、政治家なり官僚なり企業なりの役割であり、そうして国民感情などに気を配るべきなのも、その人達の役目でしょう。それに、今回の場合そうやって出た数字が雪害に悩む人達の神経を逆撫でするといってののしったマスコミは、その同じ口で研究機関の公表を報道しているのです。それを考えると、ある意味もっとも罪深いのはそんな二枚舌を弄するマスコミだとは言えないでしょうか? それぞれの役割に対する理解と「配慮」を忘れ、時に冷徹に客観的数字を出すことを嫌悪し、そのこと自体を悪いと言ってしまうのは、悪しき思考停止だと思います。それは、冷静な判断を放棄し、精神力の無限を声高に叫んで国民を死地に追いやった旧軍と同じ思考回路と言うものではないでしょうか?

コメント
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