風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

富姫さまの棲家 @姫路城大天守

2013-08-16 01:08:12 | 旅・散歩



薄 これは、まあ、まことに、いい見晴しでございますね。
葛 あの、猪苗代のお姫様がお遊びにおいででございますから。

(泉 鏡花 『天守物語』より)


竹三郎さんの会の前に、日本列島が連日最高気温を記録するなか、猛暑の近畿地方を旅してまいりました。
その目的の一つが、姫路城(白鷺城)の見学。
ご存じ、『天守物語』の富姫さまの棲家です。
その大天守は現在、平成の大修理中。
富姫さまは「騒がしいことよのぅ。これだから下界の者は・・・」と、図書之助とゆっくりラブラブできず、ご機嫌ナナメなことでございましょう。
そんな姫さまにはお気の毒ですが、この大修理は我ら下界の者が富姫さまや薄さんの棲むおうち天守の五重目の“外観”を間近に拝見させていただけるまたとないチャンスでもあります。

というわけで、姫路城大天守修理見学施設『天空の白鷺』に行ってまいりました~。


エレベーターで昇っていくと・・・


じゃ~ん。
大天守の五重屋根。
お城の一番てっぺんですよ。
すでに修理も完了し、ピッカピカです。


今回新調された五重屋根の鯱瓦。
フォルムが美しゅうございます。


家紋入りの鬼瓦と、軒唐破風。
この「天空の白鷺」が解体されたらもう間近で見られることもない部分なのに、まったく手の抜かれていない美しい彫りに感嘆。。


塗り替えられたばかりのまっ白な漆喰が眩しいです。
美しいものをこよなく愛する富姫さまにも、きっとご満足いただけることでしょう。


一つ下のフロアーからも、見学できます。


壁一面のガラス窓から見た大天守からの眺め。
こんな開放感も今だけかも。


私が生きている間にはおそらく二度とないであろうレア体験に大満足してお城を去った後は、微妙に時間が余っていたため、近くにある姫路文学館へ。
そのミュージアムショップで、こんなもの↓を発見。


2001年に同館で催された「泉鏡花と『天守物語』の世界展」の図録のようです。
天守物語ファンの私は、迷わず購入。
もっとも旅行中はゆっくり読む時間がなかったため、ちゃんと中身を見たのは家に帰ってからでした。


姫路城の美しい写真とともに作品の言葉が紹介されていたりと、非常に美しいつくりの冊子です。
やっぱり鏡花の世界はええのぅ~~~とウットリしながらページをめくっていたところ、


おお!玉さまのコラムが!
玉さまの語る鏡花世界が大好きな私には、嬉しいオマケです。
富姫の舞台衣装のお写真も。

そしてふと上を見ると・・・
見ると・・・

昭和56年(1981年)12月「天守物語」公演
左、富姫・坂東玉三郎、右、図書之助・片岡孝夫(現・片岡仁左衛門)


な・・・なんというお宝写真
オマケどころかメインディッシュですよ!
姫路文学館さん、ファン心理をわかっていらっしゃる!

このほか、富姫@六代目歌右衛門さんと亀姫@四代目時蔵さん、富姫@二代目扇雀さん(当代藤十郎さん)などの貴重写真も。
1200円とちと高めではありましたが、歌舞伎の天守物語ファンにはたまらない一冊でございました♪

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