風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

『レント 20th anniversary tour』 @国際フォーラムC(12月28日)

2016-12-31 00:03:00 | ミュージカル




2016年の観劇納めは、『レント』20周年記念ツアーの来日公演。
US tourと同じメンバーが来日しているようです。

『レント』はオリジナルキャストによる映画版を一度観たことがあるだけで、そのときの後味は音楽も俳優も素晴らしいけれど、作品については少々モヤモヤ感が残るものでありました。
今回舞台版を観てもそのモヤモヤが完全に消えたわけではないのだけれど、視覚的な情報量の多い映画版よりも歌に集中できたことで、作品の言いたいことをよりストレートに感じることはできたように思います。
もっとも舞台版だけだとストーリーがとってもわかりにくいので、映画版を先に観ておいたからこそ歌詞に集中することができたのですけど。

この世界の全ては借り物(レント)で、この命も神様からの借り物にすぎない。
この考えには共感。
なのだけど。
家賃を払えるくらいのお金を稼ぐことも死にたくないのであれば最低限必要なことなのでは、、、ともやっぱり思っちゃうのよねぇ、ツマラナイ大人になってしまった私は。約束を違えて昨年の家賃まで取り立てるベニーも確かに悪いけれども。色々病み気味なロジャーはともかく、マークはねぇ。でも食べてはいけてたということは、バイトくらいはしていたのかな。

There is no future
There is no past
Thank God this
Moment's not the last

There's only us
There's only this
Forget, regret or
Life is yours to miss
No other road, no other way
No day but today

今回私が一番感動したのは、ミミが生き返った後に歌われるこのfinaleの中のThank God this Moment's not the last’の部分でした。これ映画でも言っていたっけ?と帰宅してからDVDを観直したところ、ちゃんと言っていました。ただDVDでは和訳が「今が続くことを感謝しよう」となっているんです。「今が続くこと」というとある程度の「未来(future)」のニュアンスを私は感じてしまうのだけれど、原詞を直訳すると「今この瞬間が最後ではないこと」、「今この瞬間に(君と)生きていられること」に感謝しているんですよね。細かいようですけど、この違いは大きいように思うのです。なぜなら「今が続く」という言葉に合うほどの未来の時間は、きっとミミには残されていないと思うから。今がどれだけ続くかはわからない。きっとそう長くは続かない。でも少なくとも今、僕達は生きている。その幸福を彼らは噛みしめているのだよね。

There's only now
There's only here
Give in to love
Or live in fear
No other path
No other way

'Cause I die without you
No day but today

このGive in to love Or live in fear’もDVDの訳は「愛を信じないと恐怖に負ける」とあったのですが、ここも「愛を受け入れるか、恐怖の中で生きるか」あなたはどちらの生き方を選ぶのか、という感覚で聴く方が私は心動かされます。今回の舞台の字幕はこの感じに近くて(正確には覚えていませんが)、感動してしまったのでした。
例え彼らの生き方に言いたいことはあろうとも、こういう気持ちってどんな生き方をしている人達にも、どんな時代の人達にも共通するものだと思うから。作品の普遍性ってこういうものを言うのでしょうね。ここ、客席(若い人が多くてビックリ)のあちこちからすすり泣きが聞こえていました。
私達の持っている時間、その使い方。そういったものを改めて意識させてもらえただけで、この夜この舞台を観ることができたそのことに、今この舞台を観ているこの時間に、神様に感謝したのでした。

ところで私が初めてニューヨークに行ったのは1997年で、南部の大学に短期留学しているときでした。そしてこの時ブロードウェイで初めてオペラ座の怪人を観たのでありました。当時はネット予約などなかったので、頑張ってチケットオフィスに英語で電話をして予約をしたこと以外は、舞台の記憶は殆ど残っていないのですが(私がオペラ座の怪人に初めて感動したのは、それから10年後のロンドンでした)。今思えばこの時RENTを観ておけばオリジナルキャストで観られたのだな~。
この頃には悪名高かった地下鉄もすっかりキレイになっていて、大学のアメリカ人に「今度ニューヨークに行くんだけど危険かな?」と聞いたら、「あそこは今アメリカで一番安全な街だよ」と笑われたのをよく覚えています。その後に行ったアトランタの方がよっぽど危険だと言われたものでした。イーストビレッジは車で通っただけだったけど、あの辺りはまだ「いかにもニューヨーク」な雰囲気がいっぱいでワクワクしました。私の泊まった安ホテルは例の外階段付きで、夜に窓から誰か入ってきたらどうしようと20歳の女二人は本気で怯えたり(夜中に風でカタカタ誰かが上ってくるみたいな音がしたの)、ということを今回の舞台を観ながら20年ぶりに思い出しましたです。NYはそれから数年後にもう一度行って以来、行っていません。なのでツインタワーのないマンハッタンの景色も知らないのである。

そして舞台を観ながら、HIVについての当時の感覚を思い出したりもしました。
89年~90年というとHIV、というよりエイズという呼称の方が一般的で、この病気の意味合いも今とは全然違っていたのよね。自業自得と当然のように言うほどまで若者の間でその予防法が常識だったわけでもなく、今ほど有効な治療薬もなく、発症を抑えることが難しい死の病だった。当時私は中学生だったけれど、当時の空気をそんな風に記憶しています。家田荘子さんの『私を抱いて、そしてキスして』を読んだのはその少し後だったかなあ(調べたら1993年刊でした)。

話を戻しまして、今回のキャスト。
映画版のキャストがとてもよかったので(多少老け感はあるものの)、比べるのもなんではありますが。
今回のメンバーは既にアメリカ国内を周った後に来日しているはずなのだけれど、そのパフォーマンスには微妙にぎこちなさを感じました。
調べてみたら皆さんまだ若くて、non-unionの方達なのだね。
レントという作品の個性としてはそういうキャストが合うのはわかるのだけれど、んー、もうちょいぐっと引きこまれるような演技を見たかったな、とも。決して悪かったわけではないのだけれど、全体的に少々物足りなさを感じてしまった。ロジャーの俳優さんがあまり好みのタイプではなかったのもちょい残念。
でも、マーク(Danny Kornfeld)とエンジェル(David Merino)のふとした表情は好きでした。
エンジェルの子はまだ大学生なんですね。死の場面で、白い服を来て一人舞台の後方を上手へゆっくり歩いていくとき(この演出好き!)の表情は、神々しささえあって素晴らしかったです。この子、一番最後のカーテンコール(追い出し音楽の後)に出てきたときに両手を小さく振って飛び跳ねてる姿がすっごくキュートで、見ていて幸せな気分になっちゃいました。このカテコのときに大きな地震があったのですが、あちらの人達にとっては地震ってそれは恐ろしいものでしょうに、皆さん笑顔で舞台に出てきてくれて、私はそれにも感動してしまったよ。

そうそう、最後にもひとつ。
映画でも思ったのだけれど、モーリーンのモーモーパフォーマンスの面白さが私にはわからないのです。DVDの音声解説でも「爆笑だよね」と言っていたし、今回も周りのお客さんは声を上げて笑っていたけれど、、、あれ、そんなに面白いかなぁ・・?マザーグースの唄と絡めてあるのだそうですね。でもモーリーン役の方のここのパフォーマンスは上手でした。

今年の舞台鑑賞はこれにて終了。
結局今年の観劇予算は歌舞伎座杮落としの年(2013年)を僅かに超えてしまった。。。クラシックコンサートに嵌ってしまったのがイタかったわ・・・。でもいいの、大きな感動をもらえたから。
来年も素敵な舞台に出会えたらいいな~。
No day but today.
限られた人生の時間の使い方について、RENTを観て考えさせてもらえた年の瀬でした。元となったオペラ『ラ・ボエーム』も観てみたいナ。

今年の更新はこれで最後です。
皆さま、今年一年ありがとうございました!
よいお年をお迎えください

【Cast】
ロジャー/Kaleb Wells
マーク/Danny Kornfeld
コリンズ/Aaron Harrington
ベニー/Christian Thompson
ジョアン/Jasmine Easler
エンジェル/David Merino
ミミ/Skyler Volpe
モーリーン/Katie LaMark

※2008年のブロードウェイのラストパフォーマンスより。Finale。

そういえばDVDの音声解説でも言っていましたが、「AZT break!」のところの演出が映画と微妙に違うのも面白かったです。
世界で最初のHIV治療薬であるAZTは、日本人の研究者が開発したのだそうです。今回最初に(しかも舞台と同じ12月に)日本に来てくれたのはそのおかげもあったりして。一方で日本食がバカにされてる場面もありますけどね^^;

※今回のエンジェル君

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『京鹿子娘五人道成寺』 @歌舞伎座(12月26日)

2016-12-30 01:08:26 | 歌舞伎




最近観劇が続いてしまっているので今月の歌舞伎座は行こうかどうか少し迷ったのですが、玉三郎さんの花子は、富姫さまと並んで私の二大好物・・・。
やっぱり行くべし!と、千穐楽に行ってまいりました。
会社を早退して第三部(今月は三部制)の開演45分前に着いたら、二人椀久はもう完売(これも観たかった;;)。娘道成寺も発売1時間前にもかかわらず立ち見のみでした。12月の末に外で1時間並んだよ・・・。こちらも開演時には完売になっていました。

旧歌舞伎座の閉場式でも踊られたという『京鹿子娘五人道成寺』
行く前は「五人道成寺て・・・何かのジョーク?」と思っていたのだけれど。
実際に観てみたら、笑うどころか、まさかの胸にこみ上げるものが・・・。
世代の異なる、五人の花子。こうして並んで踊る姿を観ると、こんな気持ちになるのだなぁ。やっぱり娘道成寺って特別な舞踊ということでしょうか。
華やかで楽しくて、でもそれ以上の何かが胸に残った夜でした。

玉さまの花子は、恨みと哀しみと恋しさと、色っぽさとあどけなさと、この世のもんじゃない感と人間の娘らしさ、その全てが無理なく自然に表れているのよね。
でも観終わった後に一番心に残るのは、やっぱり恋情で。
この余分な力の入っていない自然さは、先月の菊五郎さんの勘平に通じるものを感じました。至芸だ、と思った。
オペラグラスを外しても、花子の感情が伝わってくる。
今回玉三郎さんが担当されていた部分は、娘道成寺の中で私が一番好きな玉さまの場面だったから、もう一度観ることができて本当に嬉しかった。
そして菊之助との『二人道成寺』のときと同じく、ご自分が前に出て目立とうという感じを全く受けない。娘道成寺を次の世代に繋いでいく、そんな想いを強く感じました。

そしてそれをしっかりと受けとめていた4人の花子。
勘九郎、七之助、梅枝、児太郎。
それぞれに個性があって、とても楽しめました。
勘九郎だけは男性ぽい、というかイキのいい?花子に見えたのですが、「加役の花子」とはこういうものなのだろうか(加役という言葉、今回知りました)。
一人だけちょっと世界が違うように見えたので、勘九郎の娘道成寺はいつか一人で踊るのを観てみたいなと思いました。
とはいっても、七之助(こちらは女性らしさいっぱい)との兄弟共演。この兄弟が並んで娘道成寺を踊る姿を観られるなんて・・・!なんという贅沢でしょう。

梅枝。最近落ち着きすぎ感が気にならなくもない梅枝でしたが、意外に「落ち着きすぎていない」花子で、いい感じでした。

児太郎。色っぽくていいなあ。すごく雰囲気がありますよね。これからが本当に楽しみ。

最後の鐘入り。鐘の上から所化達を睨む花子。
玉三郎さんが一番上手にいて、その下に順に勘九郎、七之助、梅枝、児太郎がいて。
この光景が視覚的に訴えてくるものといったら・・・!
華やかだろうな~とは想像していたけれど、こんな気持ちになるとは本当に予想外でした。
この独特の迫力は歌舞伎以外ではあり得ないものだと思う。文楽でもきっとない。
こうして一つの芸を世代を超えて繋いでいくんだね。
仁左さまの吉田屋@顔見世が観られなかったのはすごーーーく残念だったけれど、これを観ることができてよかった。

ここ数年は歌舞伎で観劇納めでしたが、今年はこの後にもう一つ。ミュージカル『RENT』で観劇納めです♪


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12月文楽公演『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』 七段目~十一段目(12月4日)

2016-12-29 22:05:18 | その他観劇、コンサートetc




今年の観劇記録は今年のうちに!あと2つ(歌舞伎座&レント)、続けてあげます!

国立劇場開場50周年記念の文楽第二弾、『仮名手本忠臣蔵』の夜の部に行ってきました。
4日のチケットを買っていたのに、間違えて3日に行ってしまって。。。劇場入口でチケットを財布から出して気付きました
ダメ元でカウンターに相談してみるも「本日は満席なので・・・」と。そうよね、人気公演の初日だものね・・・。「明日お待ちしています」の笑顔に慰められ、帰宅。
そして、翌日再び国立劇場へ。

今月の公演は昼と夜を通しで10:30~21:30まで11時間!江戸時代さながらですね~。通しで観劇された方も多かったようで、尊敬。
私は昼の部のチケットはとれなかったので夜の部のみの観劇となりましたが、9月の『一谷~』に続き、皆さん気合い入ってました~

【七段目 祇園一力茶屋の段】
文楽の仮名手本を観るのは今回が初めてです。
玉男さんの由良之助は、存在感が薄めで。なのでその分、この段は「おかると平右衛門の物語」なのだなぁということがよくわかりました。
玉男さんもですが、咲太夫さんの由良之助(前半)も祇園の夜の空気というのとはすこし違ったような。私が吉右衛門さんの七段目の由良さんを好きすぎるせいかもですが。

今回夜の部をとった理由の一つ、簑助さんのおかる
おかるの周りだけが祇園の夜の空気が漂ってる(語りではなく人形の威力がすごい)・・・・・。遊女のけだるい酔態、あだっぽさと勘平を愛する健気さ、軽率な行動もしてしまいそうなトんでる感じ。私の理想のおかるだ。。。
人形が酔ってる。熱い息を吐いて、ほてった肌を風に当ててる・・・。
ずっとお軽ばかりを見ていたかったけど、困ったことに簑助さんって「目が合ったように錯覚させる」系の人形遣いさんなのよね・・・。いつも「私ばかり見ていないでちゃんと後輩達も見てやってください」と凄まれてる気分になるの・・・。いや、ご本人は完璧なポーカーフェイスなので、私の勝手な思い込みなんですけど。
勘十郎さんの平右衛門との兄妹の師弟共演、見られて嬉しかったです。
そして初めて簑助さんの人形を観たときに玉三郎さんと似てると思ったけど、今回の簑助さんのおかるの可愛らしさも玉三郎さんのおかると似ているなぁと思いました。

平右衛門を語ったのは、咲甫太夫さん。私は少々苦手な太夫さんなのですが、今回は熱い語りが平右衛門になかなかにお似合いでした。下手側に仮の床を作って、本なしで語っていらっしゃいました。
文楽の七段目は入れ事もなくさくさくと進んで、スマートでいいね。

【八段目 道行旅路の嫁入】
これは私は歌舞伎で観たことがないので、観るのは初めて。
和生さんの戸無瀬、似合うだろうなぁと思っていたけれど、やっぱりこういうお役がお似合い~。落ち着いた、でもまだ若いお継母さん。

【九段目 雪転しの段・山科閑居の段】
雪転しの段。
これ、一度観てみたかったから嬉しかったです。雪玉 そして空から降る雪がキレイ(でもやっぱり△じゃなくて□だった・・・)。

山科閑居の段。
素晴らしかった
9月ラストの陣屋もそうだったけど、皆さん熱入ってますねぇ!
一番感動したのは、勘十郎さんの本蔵!微妙な心の動きがすごく伝わってきましたし、抑えた演技での存在感が抜群。九段目は本蔵が主役の話であることが初めてわかりました。歌舞伎で観たときは吉右衛門さんの由良さんが存在感ありすぎて、由良さんが主役に見えちゃったのよね^^;
和生さんの戸無瀬。品があって、これまた抑えた、でもうちに秘めた熱さが素敵。曽根崎心中のときのお初ちゃんを思い出しました。
他の皆さん(玉男さんの由良之助、簑二郎さんのお石、玉佳さんの力弥、勘彌さんの小浪)も、本当によかったです。

山科閑居の床は、前半が千歳太夫さん×富助さん、後半が文字久太夫さん×藤蔵さん。
どちらも素晴らしかった。特に後半は圧巻でした。
藤蔵さんの三味線、熱い~~~  真ん前の席でたっぷり堪能させていただきました。演奏の合間に何度も糸を調整してらして熱演しすぎで切れたとか?と思いながら見てたんですけど、これは糸を繰るという作業のようですね。ほぉ。この光景時々見るけど、三味線の調子でも悪いのかな?と不思議に思っていたので、スッキリしました。
そして歌舞伎でもそうでしたが、九段目は舞台の色合いがすんごくお洒落。家の黒に、雪の白。由良之助とお石の黒、戸無瀬の赤、小浪の白、力弥の紫、本蔵の黄。ウットリ

というわけで私はものすごく楽しかったんですけど、近くの席の方達は終わった後に「舞台の上の人数が多くて、なんかごちゃごちゃしてたね~」と。確かに人数多すぎて庭の雪灯籠も見えにくかったくらいではありましたけど笑。
でもすっごく楽しかったからいい!
はぁ、、、、大満足。幸せ。

【十段目 天河屋の段】
こちらも初めて観る段。
この段は「平成10年12月公演以来18年ぶりの上演で、国立劇場では開場以来2度目となる上演の稀な場面」とのこと。
大興奮な九段目の後なので気が抜けて観てしまいましたが、貴重な上演、観られてよかったです。あまり面白いお話ではありませんでしたが。。
文楽では了竹って出ないんですね。床本にもない。歌舞伎だけなのかな?
「天河義平は男でござる」はさらっと流れた感じで、聴いている方にも待ってました感は薄めでした。私も今回の予習でこれが有名な台詞と知ったくらいですしね・・。「遅かりし由良之助」(台詞じゃないけど)なんていう言葉も今では全く言われないですものねぇ。昭和初期までは一般的に普通に使われていたみたいですが。ちょっと寂しい気もしますね。
義太夫のラストで「忠臣蔵」という言葉が出るところは、ワクワクいたしました。合言葉は「天」と「河」に決まり、いざ討入りへ!

【十一段目 花水橋引揚の段】
文楽なので討入り場面はなく、討入り後。この事件の発端の一人、若狭助(幸助さん)が爽やかに再登場。
この場面も観るのは初めてなので、観られてよかったです(歌舞伎座の杮落としでもやらなかった)。
夜明けの雪の江戸(設定は鎌倉だけど^^;)の街の書割に、当時はこんな感じだったのかな~と楽しく見ました。雪のお芝居、大好き。

平成も28年の師走に、文楽の仮名手本忠臣蔵の全段通し上演を観る。
これ以上の贅沢がありましょうか。
企画してくださった国立劇場さん、ありがとう!

配役表

国立劇場開場50周年記念12月文楽公演『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』が開幕

※文化デジタルライブラリー『仮名手本忠臣蔵


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『ミュージカル プリシラ』 マチネ @日生劇場(12月20日)

2016-12-22 00:50:09 | ミュージカル



『プリシラ』、行ってきました~~~。
すっっっごく楽しかった
なにより大好きなプリシラをもう一度生で観られたことが、泣くほど嬉しかった(ほんとに泣いた)。

私はロンドンのウエストエンド(WE)版&あの時(2010年)のキャストをこよなく愛してしまっているのであれは別格として、日本版、とってもハッピーな気分にさせていただきました

演出は、思っていたよりWE版と違っていました。日本版は全体的にハードさや毒が少なく、ソフトで軽め、優しめな演出になっていた感じです。ハードな方が"I will survive"の歌とメッセージは活きる気がするけど、ソフトだと気楽な気持ちで見られるのが良い点ですね。そしてイギリス的なブラックユーモアが減っていた代わりに、吉本的なお笑い要素が増えていた。
といっても私が生で観たことがあるのはWE版だけで、日本版はブロードウェイ(BW)版を踏襲しているため、私が気付いた演出の違いがブロードウェイに行った段階で変わったものなのか、亜門さんによるものなのか、判然としない部分も多いのですが。
たぶんWE→BWの段階でポップになって(例:venus→material girl)、さらに亜門さんの演出でソフトになったのではないかな、と。まぁあのvenusを日本でやったら日本のお客さんは引いちゃうと思うし^^;(私は派手派手濃ゆ濃ゆで大好きですけど)、今回くらいが受け入れられやすいのかも。

曲の違い以外で気付いたWEとの違いは、
・観客に女性が多い(WEは男性やゲイカップルも多かった)
・開演前の舞台にオーストラリアの地図とルージュがない
・客席の天井にミラーボールがない
・シドニーのハーバーブリッジの夜景がない
・トランペットの葬儀の牧師の展開
・Go Westでピンクの紙吹雪が客席に降らない
・バスの中のインテリアの違い
・振付の違い
・風景映像の多用(あと、WEでは最初のLGBT云々の表示はなかったと思う)
・舞台が盆で回らない。のでプリシラ号もまわらない。
・エリザベス女王のコーギーを轢かない。人口呼吸をする女王ももちろん出ない。
・背広&カメラっ子な日本人観光客が良い意味で普通で目立たない。
・客が舞台に引っ張り出されない。
・アダムがヒールの上で歌う場面で、ヒールが前にせり出さない。
・プリシラ号に虹色のペイントで色をつけている(WE版ではショッキングピンクやカラフルなLEDで表現)
・田舎町のバーの場面で、なぜか掃除婦がイジメられていてバーナデットが庇う(WE版は映画と同じ展開)。
・カーテンコールのキャストの登場の仕方(WE版はバスの上から派手派手しく登場。日本版はバスはなく、舞台袖から登場)。
・終演後の追い出しの音楽の演奏がない。

すぐに思い浮かぶのはこんな感じですかねぇ。
曲では、やっぱりI've never been to meとVenusを聴きたいなぁ、と思っちゃいました。でもWE版(3回観た^^;)を観ていなければそうは思わないでしょうから、やっぱり誰でも最初に生で観て感動したものの印象がどうしても強くなっちゃうのよね。こればかりはどうしようもない。

日生劇場は1,330席。ロンドンのPalace Theatreが1,400席なので、劇場の規模も同じくらいで嬉しかったです(席の配置上、ロンドンの方が上階席から舞台までの距離は近いですが)。今回GC席だったのですが、舞台が観やすくていい劇場ですね~。ピンクのシートも座り心地がとてもよかった

キャストについての感想。
陣内孝則さんのバーナデット、とっっってもよかった 今回のキャストで一番のお気に入りです♪ (歌とダンスはアレですけど笑)芝居の間の取り方が絶妙!品があって可愛いし、笑わせるポイントと泣かせるポイントをよくわかっていらっしゃる。演技も自然で余裕がありました。陣内さんはどちらかというとTonyよりもDonとタイプが似ていた気がする。「バカ?あなたはバカなの?」

山崎育三郎さんのティック(ミッチ)、ハンサム&美人さん!少々台詞が一本調子に感じられるときもありましたが、演技が丁寧で、歌も上手いし華もあって、想像以上でした。「あなた達から見たら僕達はただのオカマかもしれないけど、どうぞオカマいなく!」

アダム(フェリシラ)の古屋敬太さん(ユナクさんとのWキャスト)、他の二人に比べるとちょっと存在感が薄かったかな?もっとも、私がOliverのアダムを好きすぎるという理由も大だと思います、すみません^^;。でも古屋さん、後半はとてもよかったです。エアーズロックの上では本当にいい表情をされていて、感動しちゃいました

ミス・アンダースタンディング役の大村俊介さん、いい味出されていました~。上手いわ~。お金or愛?

シンシア役の池田有希子さん、WEのナカノカナコさんとちょっとだけ似ていらして懐かしかったです。帰宅後にWE版のパンフレットを読み返していたら、「一回の公演で使われるピンポン玉の数:400個」と書いてあってビックリ。日本版もそんなに使っていましたっけ?(記憶が・・・)

ボブ役の石坂勇さん、ダンディーで素敵でした~。

ベンジー役の加藤憲史郎くんは、加藤清史郎くんの弟さんなんですね~。歌声が綺麗だった^^

そしてそして、DIVAの皆さん!歌がとってもお上手 これに一番安心したかも。

フィナーレ、皆さんとってもいい表情をされていました。みんな一生懸命で、やっぱり生舞台はいいなあ 山崎さんが客席に下りて来てくれたサービスも嬉しかったぁ(*^_^*) 3人ともカッコイイ
一年の最後に最高にハッピーな気持ちにさせてもらえました
日生劇場にて12月29日まで。すっごくオススメなので、迷っている方はぜひ 
やっぱり『プリシラ』、大好き

ウエストエンド版『priscilla』についてのアレコレ
ウエストエンド版の時のpalace theatreの様子

ドラァグクイーンたちの華やかな珍道中ミュージカル『プリシラ』上演中! 山崎育三郎インタビュー


【日本版:trailer】


【ロンドンWE版:trailer(2010年)】


【ニューヨークBW版:クローズ時のcurtain call(2012年)】

みんなプリシラが大好き笑。世界中で愛されてるプリシラ♪そして世界中でバーナデットをされているTonyさん♪このBW版のキャスト3人もとてもいいよねぇ^^
カテコの仕方はWE版と同じですね(舞台がまわって、プリシラ号の上からハイヒールの階段を使って降りてくる)。追い出しの音楽があるところも同じ。日本版も追い出し音楽やればいいのに~。あれ、余韻を楽しみながら気分よく帰れるから大好きです。

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ラミン・ミュージカル・コンサート @オーチャードホール(12月13日)

2016-12-16 00:06:23 | ミュージカル



東京のマチネに行ってきました。
7月のI LOVE MUSICALSで久々に聴いたラミンがとても良かったので、私にしては珍しくラミン単体でもチケットを購入。

さて、終演後にツイッターで山のように文句の出ていたPA問題ですが、私は1階席前方で直接音?だったためか楽器の音もラミンの声も同じくらいに大きく聞こえていて、PAについては殆ど気になりませんでした(鈍感なだけかしら)。音のバランスが悪いなぁと感じることはありましたが、でもこんなもんなのかな?と流せる程度。確かにラミンは時々歌いにくそうに見えましたね。耳のイヤホンを着けたり外したり。
どちらかというと私は、歌とオケの音のズレの方が気になったなぁ。そして4stars等のこれまで聴いたコンサートに比べて、トークや進行の準備不足をかなり感じました。

でも私が個人的に最も気になったのは、ラミンが一人で歌った曲の少なさです。『ラミン・ミュージカル・コンサート』と銘打っていて、ゲスト(と)の歌とトークが全体の3分の1以上とは・・・。それなら2starsとか5starsとか、そういうタイトルにすべきではないのかね。
90分で11,000円。終演後にぽんっと頭に浮かんだのは、「このコンサートがあのマーラー9番と同じ値段か…」でした。まぁそれを言っちゃあお終いなんですけど、やっぱり考えちゃいます、時間とお金は有限だもの。そしてラミンだってプロのミュージシャンである以上、全体のリハ不足やコンサートのプログラムについては彼の責任もゼロとは言えないのでは?と私は思うのですけれど。何も意見が言えなかったわけではなかろうに。

以上のようにラミン自身の責任も含めて思うところの多々あったコンサートではありましたが、まぁあれですよね、今更ですけど、ラミンって――

もっっっっのすごくカッコイイですよね。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

私はどちらかというとラミンの演技が好きで、コンサートで来日しても行ったり行かなかったりなラミン熱低めなファンではありますが。今回久しぶりに目の前で見て、歌声もふっとした仕草や表情も、いやぁ、やっぱりカッコイイわ・・・・・・・・・。『Sunset Boulevard』からもう目と耳は釘付けに。
初めて観たとき彼は30歳になったばかりだったけど、この8年の間にオーラが増してる気がする。やっぱり人気が増すとオーラも増すものなのだろうか。年齢を重ねたせいもあるのかな。
その素敵さときたら、今回のコンサートの諸々を思わず全部許してしまいそうになるほどであった。
音の悪さに歌いにくそうにしながらもそんな悪条件も払いのけてしまうパワフルなあの歌唱とパフォーマンス。こういうラミンが見られてかえってラッキーだったかも♪などと思ってしまった私は、これまでよりラミン熱が0.5度くらい上がったのかもしれない笑。しかしやっぱり 前方席はいいねぇ。

ラミンの『Stars』、すんごい好みだった・・・(アレンジは好みじゃなかったが)。ジャベールの背負う深い孤独が透けてみえるような、どこか怪人を思わせるような、そんなstars。ラミンってジャベールにしては声が高いから今まで想像したこともなかったけど、観てみたい。もしかしたらバルジャンより合っているのでは。

『Til I hear you sing』。素晴らしすぎる。しっかりLNDのファントムだ。この人の歌はどうしてこんなに胸に響くのかなぁ。ここから『Piano Man』『What I did for love』の流れ、よかったぁ・・・(ってそれで終わりで、後はアンコールだけなんだけど^^;)。

『Happy Xmas』のような吐くほど聞き飽きた曲も、ラミンが歌うとなんとも新鮮で艶があっていいね~。
あと中川晃教さん(アッキー)と歌った『I’ll cover you』が素敵だった!二人ともカッコ可愛い!まぁ曲の内容の割にはまだ互いのよそよそしさが抜け切れていなかったけれども、それは仕方ないでしょう。これもいい曲だよねぇ。ラミンってこういう感じの曲もほんと上手く歌いますよね。
アンコールの『I dreamed a dream』はちょっと泣きそうになってしまった(アレンジはこちらも微妙だったけど)。これはもう完全に個人的な理由です。最初にラミンを観たときの個人的な状況と、現在の状況と、この8年の間の諸々を思い・・・。本当に大変だったけど、人生って生き続けるものだなぁ・・・と。ラミンで時間の流れを確認させてもらっている最近のワタクシ笑。

今回はパンフレットが無料だったのはナイスでございました

演出については、二つシャンデリアやstarsでのライトは何かのジョークかと思いましたけど、雪は綺麗でよかった♪サンタ帽は如何にもとってつけた感じでしたけども、雪と戯れてるラミンはなかなか可愛かったデス。

ゲストの中川さん。噛み合わないトークにちょっと気疲れしちゃいましたが(こういうキャラクターの方のようですが)、性格のいい方なのだな~と感じました。でもコンサートに通訳さんは必要ですかねぇ・・・。中川さんはラミンとは前日に会ったばかりなのだそうで(本当にリハが殆どなかったのね・・・)、最初に会ったときにラミンの方から中川さんを気遣う言葉をかけてくれて、「いやいや、待てよ、ロンドンから12時間かけて来たこの人を気遣わなきゃならないのは俺の方だろ」と思ったと。ラミンの第一印象はそういう気遣いのある謙虚な人、だそうです。ラミンの謙虚さは一緒に仕事をしたことのある人達からよく聞く話ですね。本当にそういう人なのでしょうね。

大阪公演ではPoint of No Returnを歌ったようで。いいな~聴きたかった。前にも書いたかもしれませんが、8年前の私はですね、タイトル曲の「stronger↑ yet~♪」でラミン怪人の印象が最初にどん底まで落ち(今でもコレはスキぢゃない)、Music of the Nightで回復し、PoNRでドカンとやられたのでございます。なので今でもこの曲のラミンの印象が一番強烈なのですよ(次にFinal Lair)、一回しか観ていないのに。

NYに行く予定はないので、また日本に来てね~~~~~。半年後くらいに来てくれそうな気がしますけど笑。


【セットリスト(マチネ@東京)】
1.Overture *オケ
2.Sunset Boulevard(サンセット大通り) *ラミン
3.Being Alive(カンパニー) *ラミン
4.High Flying, Adored(エヴィータ) *ラミン
5.Can't Take My Eyes Off you(ジャージー・ボーイズ) *ラミン&中川
6.Pity The Child(チェス) *中川
7.Prologue(リトル・ショップ・オブ・ホラーズ) *コーラス(清水彩花、則松亜海、松原凜子)
8.Happy Xmas (War is Over) *ラミン
9.The Impossible Dream(ラ・マンチャの男) *ラミン
10.Bring Him Home(レ・ミゼラブル) *ラミン
11.Stars(レ・ミゼラブル) *ラミン
12.Home(ウィズ) *中川
13.Heaven On Their Minds(ジーザス・クライスト・スーパースター) *中川
14.All I Ask Of You(オペラ座の怪人) *ラミン&清水
15.I'll cover you(レント) *ラミン&中川
16.Til I Hear You Sing(ラブ・ネバー・ダイ) *ラミン
17.Piano Man(ムーヴィン・アウト) *ラミン
18.What I did For Love(コーラスライン) *ラミン

~アンコール~
19.Christmas Eve(山下達郎の英語ver.) *ラミン&中川
20.I dreamed a dream(レ・ミゼラブル) *ラミン

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Murray Perahia - Bach: The French Suites

2016-12-11 18:55:55 | クラシック音楽

Murray Perahia - Bach - French Suite No 4 in E-flat major, BWV 815


ペライアのバッハ、、、いい
と感じれば感じるほど、来日のときにこれを聴き逃したことが悔やまれるのであった。。。来てるの知らなかったんだから、どうしようもなかったんですけどね。。。

悔しいから買いました↓
悔しくなくても買いますけど。


Murray Perahia - Bach - The French Suites (Trailer)



Murray Perahia - Bach: The French Suites - Suite by Suite - No.1 in D Minor (Interview/Performance)


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イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル @サントリーホール(12月10日)

2016-12-11 08:36:04 | クラシック音楽



イーヴォ・ポゴレリッチのピアノリサイタルに行ってきました。
私にとっては今年最後のクラシックコンサートです。
個性的な演奏で有名なポゴレリッチさんですが、生で聴くのはこれが初めて。録音でも殆ど聴いたことがありません。
ちなみに今夜のリサイタルのチケットは完売でした。これまで行ったことのある中で、完売のピアノリサイタルって初めてです。人気があるのだなぁ

開演30分前に会場に入ると、ステージからはポロンポロンとピアノの音が。
ああ、これが噂の。
しかし情報として知ってはいても、実際にその光景を見ると想像以上のインパクトでした。
だって・・・UNIQLOのフリースですか・・?というようなダボダボな上着とズボンで着膨れた、大きなぼんぼんのついたスキー帽を被ったピアニストがサントリーホールのステージの上にいるんだもの・・・
時々客席にじっと視線をやりながら(一体何をミテイルノ?)、客席の雑音を気にする様子もなく、楽譜を見るでもなく、気まぐれな感じにポロンポロン・・・。綺麗な音。
開演15分前にスタッフに声をかけられて、のっそり立ち上がり、ご退場。

19時開演。
フォーマルに着替えたポゴレリッチが拍手で迎えられて再登場。最初からフォーマルを着ていれば直前まで弾いていられたのにね。というか客はもうあのカジュアルすぎる服装をたっぷり見てしまっているのだから、今更フォーマルに着替えられても
この人はツィメルマンと同じく楽譜使用なのだね。でもツィメさんは自作の楽譜を自分でめくっているけれど、こちらは基本は市販(ですよね?)の楽譜で譜めくりの女性付き。
ポゴさんが演奏前に次に弾く曲の楽譜をピアノの足下に無造作に投げたのには、ちょっとだけ抵抗を感じてしまいました。ただの紙だろと言われればそのとおりなんですけど、普通に置けばよかろうに。まぁあれがポゴさんなりのロックな主張なのだとしたら、可愛いから許す。
女性の椅子の位置を調整してあげて、ニコッと笑いかけるポゴさん。・・・もしやあなたは天然のタラシか・・・
で、演奏開始。なんですが。
以下は演奏会以外では殆どクラシックを聴かないド素人の感想ですので、悪しからずm(__)m

【ショパン: バラード第2番 ヘ長調 op.38】
【ショパン: スケルツォ第3番 嬰ハ短調 op.39】
【シューマン: ウィーンの謝肉祭の道化 op.26】
正直に書きますと、この時点での私、、、
「この人の演奏の良さが全くわからない・・・・・・・・
状態でした。
他のピアニストに比べて音やフレーズが特に美しいようには感じられないし・・・挑発的な超強音の和音は汚くさえ聴こえる・・・・。心が高揚したり、胸が締め付けられたり、うっとりしたり、ハッとする瞬間も今のところない・・・・・。
周りの方達は皆さん感動されている様子だったので、この時のワタクシ、沢山のアルゲリッチに一人囲まれたショパンコンクールの審査員の心境でした・・・(奇しくもショパンは2曲ともあのショパンコンクールで演奏された曲。演奏の仕方は変えられてるとのことですが)。
更に言ってしまうと、聴いていてちょっと気分の悪くなる演奏だったんです。不愉快という意味ではなく、身体的に変な違和感があって。リサイタルでこういうことは初めてだったので、よっぽどこの人の演奏と私の何かが合わないのだろうか、と却って新鮮でさえありました。
シューマンは基本のメロディが埋もれてしまっているところもあったし・・・。
ただ一度だけ、あ、面白い、と思った瞬間がありました。シューマンの一番最後の辺りで、音の響きの重なりがブルックナーを聴いているみたいに聴こえて。オルガン音楽みたいな。あれ、とても面白かったし、綺麗だった。この曲を生で聴くのは初めてなので、他のピアニストが弾いてもそうなのかどうかはわかりません。  
※追記:そういえばペライアが数年前の来日でシューマンのこれを弾いていたな~と動画を見てみたら、比べるのが不可能なもはや別物の曲でした笑。なるほど、これがポゴさん、と思っていいのだろうか・・。うーん・・。ちなみに私の好きなこの曲の演奏は、リヒテルのこちらでございます。

(休憩20分)

【モーツァルト: 幻想曲 ハ短調 K.475】
速度……、実は私はこの言葉が嫌いなんです。私にとってのそれは、単なる「速度」(speed)はではなく、「脈動」(pulse)という意味が含まれています。生の演奏では、音の長さや空間の中での伝達を、より自由に、より多彩に、より個性的に、より生き生きと表現できます。
(来日直前インタビューより)
このインタビューは殆ど流して読んでいたのですが(だって難しくて言っていることの意味がわからないんだもん)、このpulseという言葉は妙に印象に残っていました。私はこの人の演奏の速度(speed)については少なくとも今回の演奏会では全く気にならなかったのですが、このpulseに音の広がりや流れも含まれるなら、「もしかしたらポゴさんのそれと私のそれとは決定的に合わないのかもしれない」と前半を聴きながら思っていました。
でもこのモーツァルトではようやく少し合ってきたように感じられて。ふっと、あ、なんかいいかも、と感じる瞬間が幾度かありました。
私の知っているモーツァルトと全然違うのも面白い。
ただどうしても私の中でモーツァルトはバレンボイム、ペライア、光子さんから貰ったばかりの感動が大きく残ってしまっていて(三人三様で素晴らしかった)・・・。もう少しあの人達の演奏会から時間があいていれば受け取れ方も違っていたかもしれません。

【ラフマニノフ: ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op.36】
理由は全くわからないのですが、なぜかこの曲だけはポゴさんのpulse?と私のそれとがピッタリと合ったんです。といっても、入り込めたのは2楽章以降でしたが。気付いたときにはうっとりと音に浸っていました。
ゆったり演奏がまあ気持ちよくて気持ちよくて。気付けば笑みが浮かんでいました。ずっと聴いていたかった。一旦そうなると3楽章も楽しくて(明るい音という意味ではなく)。聴いていてとても楽しかったし幸福だったから、もうなんでもいいや、と思いました。まぁこういうのはご本人が望んでいる聴き方ではないかもしれないですけどね。
ラフマニノフの曲の良さって実はあまりよくわかっていなかったのですが(今でもわかってるかどうかは微妙ですが)、今夜この演奏を聴けてよかったです。
ちなみにご本人がこの作品についてインタビューで仰っている「コンスタンティヌスの凱旋門の前で燃え上がる南国の熱い血は私には感じられなかったです笑。

【シベリウス: 悲しきワルツ op.44(アンコール)】
ポゴレリッチって、前後左右に4回、しっかり90度でお辞儀をするんですね。これは昔からなのでしょうか。生真面目、というのかな…。
アンコールは、拍手を片手でピタッと止ませて、「ほにゃらら ほにゃらら」(聞き取れなかった)と静かな声で曲名を。
この曲でもやっぱり強音が主張しすぎに感じられてしまい、でも弱音はうっとりしてしまうような音でメロディを紡ぐので、なんだか分裂気味の不思議な気分になりました そして一番最後の音を弾いたときの独特の感じが妙に印象的でした。鍵盤を押さえて、その音が自然に消えるのを待っているような。
開演前にポゴさんがポロンポロンと弾いていたのはこの曲だったような。違うかな。
いずれにしても今回のリサイタル、個人的には後半の方が楽しめましたし、妙に耳に残る演奏でした。

リサイタル後はサイン会を開催されていましたね。ボゴさん、何気にサービスいいですよね笑。
そういえば私の後ろにずらっと補助席が並んでいて、英語ではない言葉で話しているとても品のいいファミリー達だったのですが、関係者か何かだったのかな。子供達が天使みたいに可愛かった♪

なんだか色んな意味で今までにない体験をした演奏会でした。
でも、こういうピアニストはいてくださった方がいいです。
選択肢は多いに越したことはありません。
1回のリサイタルですごくいいなと感じたところと、うーむ・・・と感じたところが天と地のように極端で、感想を書くのが難しかったけれど、なんだか不思議と気になるピアニストでした。次回リサイタルがあったら、、、たぶんまた行ってしまう、かも。

今年のクラシック鑑賞はこれにて終了!
感動したコンサートもそうとはいえなかったコンサートも、全部含めて夢のような楽しく幸福な一年間でした。
今年は体調がよくなく気持ち的にめげそうになったことが多かったので、音楽がくれたものにはただ感謝しかありません。
クラシック音楽って本当に素晴らしいですね


※12月12日追記:
あれからショパンコンクールのときの演奏を聴きましたが、全く気分が悪くなることはなかったですし、素晴らしい演奏だと感じました。この人はまだ完全には復活し切れていないのではないかという意見が一部でありますが、先日のリサイタルを聞いた限りでは、個人的には私もそうなのではないかと感じます。仮にそうだとしても良い方向に向かっていることは確かなようなので、これからもっと良い方向にいってくださって(復活とか関係なく)、いつかショパンコンクールの時ともまた違う新たな世界を見せてくれるような演奏が聴けたらいいな、と思います。


ポゴレリッチ来日直前インタビュー!Vol.1Vol.2

──後半のプログラムは、ラフマニノフ《ピアノソナタ第2番》です。

 これはラフマニノフがローマを訪れた際にインスピレーションを得て構想を練った作品です。ローマに行った人は、誰もがこの街にさまざまな印象を持ち、その風景を深く心に刻むでしょう。ラフマニノフのような才気あふれた人物にとって、ローマの街はまさに稲妻のような衝撃を与えたに違いありません。そして、この永遠の都を音楽で表現しようと思ったのでしょう。私はこの作品から、ラフマニノフの豊かな想像力、情熱、驚くべき旋律と和声を生み出す天賦の才能、そしてコンスタンティヌスの凱旋門の前で燃え上がる南国の熱い血を感じます。

──あなたは以前から1931年の改訂版を演奏していますが、1913年版を参考にしてその一部を加えようと考えたことはないのでしょうか?

 ラフマニノフは自身の作品に度々手を加え、より簡潔に整理し、論理的な手法で改訂版を書き上げました。ですから、私は1931年の改訂版を演奏するのです。私は作曲家を何よりも尊重しています。ラフマニノフが改訂版として発表したのですから、私は彼の決定に従うだけです。切り貼りをして私のヴァージョンにすることはできません。

──ラフマニノフの作品によく現れるモティーフとその音楽的性格をどのようにお考えですか?

 その質問には別の角度からお答えしましょう。ラフマニノフは「あなたの音楽は“メランコリック”ですね」と言われると、「いいえ、私の音楽は“悲しみ”なのです」と答えていました。そのため、彼の音楽は“悲しみ”だと考える人が多いようです。しかし、それは「ラフマニノフの彼自身の作品に対する感想」であって、ほかの人が彼と同じ感想を持つとは限りません。ラフマニノフの音楽が彼にとって“悲しみ”であっても、私にとってはそうではないかもしれません。音楽というものは、人間の感情をはるかに超越した力を持っています。創作者自身が想像したり感じたりした以上に豊富なのです。私にとって彼の音楽は、無限の活力と美を私たちに与え、生きることの素晴らしさや価値に気づかせてくれるものです。これが音楽の矛盾に満ちたところで、天才がもたらす矛盾だと言っていいでしょう。
 それから、どのような作品に対しても、ある特定の解釈を当然のように受け入れるのは間違っています。もちろん私たちは作曲家がその作品を書いたときの状況や背景を尊重しなければなりませんが、ある作品がその時代のレールから外れて新たな道筋を切り拓いていくことがあることも事実です。真の芸術とは、まさにそのような作品で、聴く人々の感性を刺激し、奥深い芸術を味わわせてくれます。それは私の自分自身の仕事における願望でもあります。

(上記インタビューより)

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Season's Greetings from the Royal Opera House 2016

2016-12-10 23:55:47 | バレエ



恒例のロイヤルオペラハウスからのseason's greetings
これが届くと、今年も一年過ぎたなぁという年末気分になります。
そういえばロイヤルバレエ団の来日も今年だったのよね。
まだ半年前なのになんだか随分昔のような気がする。
来年はどんな年になるだろう。
いい年であるといいな。
皆さまにとっても(^-^)

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今日は漱石の没後100年

2016-12-09 19:41:26 | 



「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。――赤い日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに、――あなた、待っていられますか」
 自分は黙って首肯いた。女は静かな調子を一段張り上げて、
「百年待っていて下さい」と思い切った声で云った。
「百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」

(夏目漱石 『夢十夜』)

あなたがこの世を去ってから100年がたちましたよ。
あなたのアンドロイドなんてものも作られちゃいましたよ。

写真は在英中の漱石がいつも晩餐前に散歩をしていたバタシーパーク。
テムズ河を挟んで眺めていたチェルシーの街並み。
100年もたったら、この景色も懐かしく感じているかしら。

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バイエルン放送交響楽団 @サントリーホール(11月28日)

2016-12-08 20:09:54 | クラシック音楽


©BRSO FB

10日も過ぎてしまいましたが、自分用覚書なのでレポしますよー。
バイエルン放送響来日ツアーの最終日に、一日目二日目に続き行ってまいりました。3日連続です。
前日のマーラーがあのような演奏だったので、本日はオケにも客席にも後夜祭的な雰囲気が漂ってしまっているサントリーホール
でもヤンソンスやオケのこういうのんびりリラックスした空気も、個人的にはとってもよかったです。

【ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61】
考えてみれば私、ヴァイオリン協奏曲を生で聴くのはこれが初めてなのでした(録音でも殆ど聴いたことがない)。
私がピアノ協奏曲を好きな理由はオケの中でのピアノという楽器の異質性と、それがオケとの間で起こす化学変化のようなものに惹かれるのですが、その点ヴァイオリンだとどうなのだろう?と思っていたのだけど。なるほど、ヴァイオリンでも似た感覚が味わえるのですね。オケの中から一人だけぽんと抜け出ている異質感と、でもオケの中に同族の仲間がいる感じが聴いていて楽しい。
もっともこの日のソリストのギル・シャハムさんは、オケとの異質感はほぼ皆無で、仲間感バリバリ笑。そして終始「マエストロを尊敬してます!」光線が目から全身からキラッキラ 。しっぽをブンブン振っている大きなワンコに見えた笑。
一楽章を終えたときに指揮台のヤンソンスに顔を近づけてキラキラな笑顔で「ちょっと調律してもいい?」と聞くシャハム(実際どういう会話がなされていたかはわかりませんが、そう見えた)。「ど~ぞど~ぞ」なヤンソンス。和むわぁ。

演奏としてはシャハムは感情的な揺れ幅の少ない(というより常にマエストロ敬愛光線いっぱいな笑)ストレートで優雅な演奏で、オケの伴奏も同じくクリーンで堅実だったので、個人的好みとしてはもう少しベートーヴェンを聴いてるな~という空気を感じたかった気も(暑苦しい演奏をしてほしかったという意味でなく)。

しかしこの曲、すごく美しい曲ですね。どうしてこんな音楽が作れるんだろう。
ヴァイオリンの中央に座られていたアジア人の女性(韓国人の方なんですね)が、シャハムのソロを目を閉じてとても幸せそうに聴いておられたのが印象的でした^^

【クライスラー:美しきロスマリン(ヴァイオリン・アンコール)
ソロではなくオケの伴奏付き。きゃ~嬉しい♪
これ、すごく素敵だった。優雅で瀟洒な温かさがヤンソンスとシャハムの個性にとても合っていて。シャハムのヴァイオリンもこちらは表情豊かで、その音色の美しさといったら。。。
基本のレベルの高い奏者達がリラックスして演奏するアンコールって、メインの演奏で味わえない物凄い贅沢感があるんですよね。お得感ではなく、贅沢感。私はメインで良い演奏を聴かせてくれればそれで充分という人間で、アンコールがないことを不満に思う人の気持ちが理解できないのですが、ただこの贅沢感は本当に素晴らしいと思う。
ところでシャハムの使用しているヴァイオリンは、wiki情報によると1699年製ストラディヴァリウス「ポリニャック伯爵夫人」なのだとか(ヴァイオリンってこんな風にネーミングがあるんですね~)。300年以上昔から音を奏で続けてきたその楽器。300年後もその先も、ずっとずっとこの音色を奏で続けていってもらいたいものだなぁ。

この日会場にいたのはシャハムさんのファンの方も多かったようで、私の左右の方もそうでした(ちなみ半額以下の超格安チケットが手に入ったので、クラシックでは初のS席でした)。左の男性はこの休憩時間にご退場。右のご夫婦も「アンコールはオケなしで聴きたかったわねぇ」(←まじですか!?)「終わっちゃったし、帰ろうか?」と話し合っておられる。それまでの会話から察するに正規のお値段で聴きに来られているようなのに、私にはそんな恐ろしいことはとても考えられない(だって後半を捨てるということは17250円を捨てるということ・・・!)。さすがS席は人種が違う・・・と思いましたです。

【ストラヴィンスキー:バレエ組曲 「火の鳥」(1945年版)】
今回の来日ツアーでこのコンビで聴いてきた演奏がすべて温かな演奏だったので、ここで私の中に一つの疑惑が生まれていたのでございます。
「もしかしてこの人たちって何を演奏しても温かな演奏になってしまうんじゃ・・・」と。
が、違いました。
疑ってごめんなさい、ヤンソンスさんm(__)m
この『火の鳥』、大っっっ変よかった。ヤンソンスは2013年のコンセルトヘボウとの来日でもこの曲をやっているんですね(その時は1919年版)。お得意の曲であることが指揮によく表れていて、安定感抜群。今回はバイエルン放送響とでしたが、この曲、このオケの音にもよく合っている。というより、この版がとても合ってるように感じられました。
演奏が始まると、瞬く間に舞台の上が魔王の庭園に。空気の透明感と禍々しさの同居、湿度とドライさ、スケール感と小気味良さのバランスがもうもう素晴らしかった。右から左へ、下から上へ、縦横無尽に音が音を繋いでいくのが流れるようで、オケ全体が一つの楽器のようで本当に愉しい。臨場感はP席が抜群だけど、こういう音の動きがはっきりと見えるのが正面席の利点ですね~。
1945年版は演奏時間が長いのが嬉しいわ。こんなに素敵な演奏、少しでも長く楽しみたいもの。王女たちのロンドまでの時間をしっかりとってあるのも、物語を追うことができてよかったです(予習でyoutubeでバレエ版を観ておいたのでよくわかった)。
そしてフィナーレの8分音符。私、全曲盤と1919年版しか聴いたことがなかったもので、「へ?」と呆気にとられました^^;。1919年版との違いを文章では読んでいたのですが、なぜか1919年版の4分音符の部分は休符なしの8分音符で倍速で演奏するのかと思い込んでいて。実際は8分音符+8分休符なんですね。スタッカートみたいな演奏になるのね。4分音符のままなら誰でも感動できる大団円で華やかに終われるところを、ストラヴィンスキーはなぜ敢えてあのように改訂したのだろうか。版権のためだけじゃないよねぇ。ここ、1919年版とは別の意味でのロシアっぽさを感じて非常に興味深かった&面白かったです。ほれ感動しろ!という湿っぽさのないドライな感じはこのオケの音に合っていて、でもこのオケが演奏すると冷たい印象になりすぎず大変よかった。最後の盛り上げ方のヤンソンスさんのコントロールはもちろん完璧!もっともっと長く聴いていたかったです。
そうそう、この火の鳥でも大活躍だったのは、少年のような外見のオーボエトップ(初日と3日目を担当)のラモン・オルテガ・ケロ君。覚書に書いておきます。

【グリーグ:「2つの悲しき旋律」op34~"過ぎにし春"(アンコール)】
今回の3日間で一番泣きそうになったのが、実はこの演奏でした。なんて優しく温かい人間味に溢れた空気でしょう・・・。またヤンソンスさんに「日本人は涙もろい」と言われてしまいますかね。
このコンビ、こういう小品的な温かい曲が本当に似合う。ヤンソンスとオケの間の空気の温かさがずば抜けてるんですよね。ヤンソンスは本当にこのオケを愛していて、またオケから本当に愛されているんだなぁ。

さて、ここで小さなハプニングが。
拍手で呼び戻されたヤンソンスが舞台に上がるときに転倒してしまって。指揮棒も手から落ちるほどの思い切りな転倒で、しばらく起き上がられなかったので、客席もオケも文字どおり「凍りついた」状態になりました。舞台袖から出てこられたスタッフの方に手を借りて立ち上がり、その後はふらつくことなく、まっすぐ指揮台へ。客席からの掛け声(ツイ情報によるとThank you!だったみたい)にも笑ってお辞儀して、客席に向けて笑顔でガッツポーズをされて大丈夫アピール。会場に安堵の笑い声が戻りましたが、オケのメンバーはまだ心配そうな顔でヤンソンスを見ていて。今度はそんなオケメンバー(とP席)にも「大丈夫だよ!」のガッツポーズ。そこでようやくみんなほっとした笑顔に。この光景には、ちょっと感動してしまった。ヤンソンスさん、本当にオケから愛されてるんだな~と。


【エルガー:「子供の魔法の杖」組曲第2番op. 1b~第6曲"野生の熊たち"(アンコール)】
わー、この演奏めちゃくちゃカッコイイ!ていうかこのオケの絶対的な音の崩れなさは何・・・
バイエルン放送響のHPでこの2曲がアンコールなことは知っていたのですが(後から消されてましたけど)、どちらも聴いたことがない曲でした。全くタイプの違う、でもどちらも私がこのコンビから最も聴きたいタイプの曲で、嬉しかった
ヤンソンスはオスロフィルとアンコール曲集のCDを出してるんですね。この曲も入ってる。過ぎにし春の方も入っていてくれたら嬉しかったけど、欲しいなぁ。

最後のソロカーテンコール。あのハプニングの後だしこれ以上呼び出すのも申し訳ないだろうかと迷いつつ、拍手。会場の皆さんも同じ気持ちだったろうし、ヤンソンスさんにもそれは伝わってたと思う。出てこられたときのとっても嬉しそうな笑顔と両手を合わせたお辞儀に(S席だと近っ)、やっぱり拍手してよかったなぁと思いました。こんな気持ちで会場を後にさせてくれてありがとう、マエストロ!

サントリーホールのロビーはすっかりクリスマス仕様で。
ひと足早い、とても素敵なクリスマスプレゼントを彼らからいただいちゃいました
次回の来日は2018年とのこと。楽しみにしています!



こちらこそアリガトウ\(^〇^)/


マリス・ヤンソンス(指揮)「自分の直感を信じて音楽を組み立てています」

ギル・シャハムからメッセージが届きました!

Mariss Jansons reveals why he especially loves the japanese audience. @BRSO FB
「舞台に出ると聴衆が拍手をしだします。すると私はこの聴衆のことが手に取るように分かるのです。日本人は非常に感受性が強く、涙もろいとさえ言えます。これは非常に興味深い。表面的には感情を表に出さないように見えますが、内心では非常にエモーショナルなのです」
演奏後の拍手ではなく、演奏前の拍手ですか。拍手している方はよくわかりませんが、指揮者ってやはり違うところを見て(聞いて)いるんですねぇ。興味深いです。

ヤンソンス ベルリンけってミュンヘンにとどまるワケ (日経2016.12)

Mariss Jansons: 'The notes are just signs. You have to go behind them' @The guardian (6 May, 2013)

Did he then, and does he now, feel in any sense an outsider? In the course of a working day he switches from Russian to German to English, none of them his native tongue. He has two passports – Russian and Latvian. His wife Irina is Russian. "None of this matters to me. I am a cosmopolitan. I work mainly in Holland, Germany and Switzerland. My home is in St Petersburg. I wish countries could borrow the best from one another. I admire, for example, the discipline and respect you find in Japan." …

Jan Raes, chief executive of the RCO since 2008 and a former orchestral musician, describes Jansons as "a perpetual student. He's always well prepared. He uses every second of rehearsals efficiently, with no long stories. He gives them everything he has. He is never laid back. All the players feel the pressure to work hard at the highest level, but they are always respectful too."

"Yes, Mariss is mercilessly hard on himself, and uncompromising," agrees Peter Meisel, a spokesman from Jansons's other orchestra, the Bavarian Radio Symphony Orchestra. "After a concert he will get the recording [for private orchestral use] and that same night, after the post-concert event when it is already late, he will listen to it all the way through to see what was good, what was bad." And if he finds errors? "He blames himself."

"My task is to correct," Jansons says. "You must blame yourself if something goes wrong." What happens when he conducts the same works with his two orchestras? Do they ever sound the same? "No completely, totally different! Each great orchestra still has an individual sound, thank God," Jansons laughs. He makes the comparison with having two children (he himself has one, a daughter from his first marriage, who works as a rehearsal pianist at the Mariinsky theatre): "You love them equally and you appreciate and negotiate their idiosyncrasies."

He doesn't mind comparing his orchestras out loud, either. The Bavarians are "in the best sense German, with a big sound and tremendous explosive excitement." By contrast the august Concertgebouw is "transparent, capable of great delicacy, polished, never forced". …

"So you have to study deeply and express your wishes. The notes are just signs. You have to go behind them and see what your fantasy tells you. But how do you express that through sound? If you think of the technical aspects of conducting as being on the ground floor of a big building, then 20 floors up you are beginning perhaps to get the sound you want."

He checks his watch. He must go. His conducting duties at Lucerne's Easter festival are completed. Is he travelling home to St Petersburg for a rest? "No, I'm off to hear Bernard Haitink rehearsing with my orchestra and I must not be late. I want to see what he does, and how they respond. He is such a wonderful Bruckner conductor, you see. I might learn something."

The very notion, coming from one of the finest Bruckner conductors of our era, seems ridiculous but is, one must concede, just possible.

好きなインタビューです(上記は抜粋)。ヤンソンスは本当に日本を愛してくれているんですね。ご自宅にはお父様が日本でもらってきた沢山の人形や扇が飾られていた写真を見たことがあります。ハイティンクのブルックナーについてもそんな風に言ってくれて嬉しい。コンセルトヘボウの首席指揮者に就任されたときもハイティンクの頃の音を大切にしたいって仰っていましたものね。コンセルトヘボウの125周年のときの色々、お二人の間で後を引いていないといいなぁ。ところで指揮者がよく自分のオーケストラを「my orchestra」と呼びますが、温かい感じがしてとても好きです

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