風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

NHK交響楽団 第2007回定期公演 Aプロ @NHKホール(4月14日)

2024-05-02 18:41:22 | クラシック音楽



シューベルト/交響曲 第4番 ハ短調 D. 417「悲劇的」
(休憩)
ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68


感想まとめてアップもようやくここまで来た。。。あと4公演!
繰り返しますが、感想の長さイコール感動の大きさではありません。

ワーグナー作品以外でヤノフスキの指揮を聴くのは、今回が初めて。
交響曲でもヤノフスキ・マジックは健在だった。
一筆書きのような音楽の流れ。でもサラサラと流れてしまわない。流れるけどちゃんと心を持っていく。他の指揮者による同曲の演奏と比べて好みかどうか?よりも、そういうヤノフスキのシューベルト、ヤノフスキのブラームスとして素晴らしかったと心から思う。

シューベルトのこの曲はムーティ&ウィーンフィルの来日公演でも聴いたことがあるけれど、今回の方が感動したな(ウィーンフィルの方は重かったから・・・)。
特に4楽章。私はこの曲でこの4楽章が一番好きなんです。いい音楽だよねぇ。どこか急いていて、でも重くならず軽やかで、長調と短調がめまぐるしく入れ替わって。同じ暗から明へでも、ベートーヴェンのそれとは違い、シューベルトだなぁと感じる。

第4番には二つの要素を組み合わせたシューベルト特有のスタイルがあります。ハイドンやモーツァルトに起源を持つ古典的なオーケストラの演奏スタイル。ベートーベンよりもむしろハイドンやモーツァルトです。もうひとつはシューベルトの青年時代に流行したイタリア風の演奏スタイル。言ってみれば非ドイツ的スタイル、それが組み合わさっています。「悲劇的」という一風変わったタイトルがついています。第一楽章の導入部に少し悲劇的な緊張感が感じられますが、他の楽章にはありません。音楽はとてもポジティブな方向へ転じます。英語の「チアフル」」という表現がぴったりでしょう。快活で楽しく積極的に展開する。実に手ごわく演奏が難しいのです。なぜならハイドンやベートーベンの初期交響曲と同じような透明性が求められるからです。しかしテーマの性格はイタリアの演奏スタイルに非常に強く影響されています。そして、どう言いましょうかね。こういった点を聴き手に伝えることは簡単ではありません。このようなタイプの作品をレパートリーとして持つことはオケにとって非常に有益です。第4番と第6番に言えることです。どちらも演奏機会が非常に少ないのですが、緻密に調和させるという点では要求が高く、ブラームスの交響曲よりもはるかに難しいといえます。
(ヤノフスキ@クラシック音楽館)


ブラームス。ヤノフスキのブラームスってどうなのだろう?と想像がつかなかったのだけれど、生き生きとしていて、とてもとても素晴らしかった。ヤノフスキらしく基本は速いのだけど、たとえば四楽章の例のメロディーは2回目の再現時にはたっぷり厚い音で歌わせていたり、随所にこだわりを感じました(ここ、思いがけない優しさ、大きさを感じて、感動してしまった)。普段聴こえないような音が聴こえてきたのも新鮮でした。前へ前へと心が急く青春の焦燥のようなものも伴いながら(といってもそれほど若い年齢での作曲ではないけれど)、最後は、とても前向きな気持ちにさせてもらえた。

(ドイツ音楽を指揮する際に大切にしていることは)明瞭性です。構造を明確にすること。構造を覆い隠して不明瞭にするような強調しすぎはよくありません。作曲家が書いた動きのある音符が持続する長い音符とは対照的に聴き取りやすいままであること。ドイツ音楽における主題の対位法的な扱いが明瞭であることが重要だと考えています。ベートーベンやシューベルトはもちろん、シューマンやブラームスの交響曲、あるいはワーグナーやR.シュトラウスの規模の大きいオペラでも同じです。構造を明確にすることが私にとって最も重要なことです。
ブラームスは長い間交響曲と向き合うことをためらっていました。彼自身ベートーベンの後は誰も交響曲を書けないと言ったようですし、のちに第1番がベートーベンの第10番だとよく言われたものですが、もちろん正しくありません。交響曲第一番で彼が求めているのは、オーケストレーション言語の明確さです。対位法が明確に認識できることがとても重要です。音符の強弱やブラームスが書いた強弱を操作するのではなく、対位法の明瞭性がはっきり現れるように演奏しなければならないということです。彼の作品すべて室内楽にも複雑な対位法がありますが、常に聴き取ることができます。ブラームスの4つの交響曲の中で最も難しいのは第一番です。特に第一楽章第二楽章では、感情表現が豊かになるあまり対位法的な輪郭が不明瞭になることがあります。N響はこの作品をよく知り何度も演奏していますが、私たちは聴衆が対位法をはっきりと聴きとることができるような演奏を、この作品にある焦燥や情熱を忘れることなく心がけました。

(ヤノフスキ@クラシック音楽館)


来年の春祭はパルジファルで来日くださると耳にしました。心からお待ちしております!!

2024年4月定期公演プログラムについて ―2人のドイツ音楽の名指揮者が贈る ロマン派の名交響曲(N響サイト)

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