風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

『傾城反魂香』 『桂川連理柵』 @歌舞伎座(4月23日)

2017-04-29 00:14:49 | 歌舞伎




先週は四国こんぴら歌舞伎に遠征し、前日は赤坂で『赤目の転生』を観て、さすがにだいぶ観劇疲れがありましたが・・・、吉右衛門さんの『吃又』と藤十郎さんの『帯屋』の二つはどうしても観たくて、体を引きずり引きずり行ってまいりました。今回は幕見発売10分前に行ってちゃんと座れた

【傾城反魂香(けいせいはんごんこう)】

吉右衛門
さんの又平が絶品。。。。。。。。。。。

ほんの一週間前に金毘羅でニザさまの至芸を観たばかりなのに、今度は歌舞伎座で吉右衛門さんの至芸。幸せだぁ。。。。。
昨年末の国立劇場の仮名手本の時に急にお年を召されたように見えたので、もうこのままお元気な吉右衛門さんは観られないのだろうか…とか実は密かに思ってしまっていたのだけれど、1月の沼津も今回の吃又も本当に素晴らしかった。
沼津でもそうだったけど、こういう役の吉右衛門さんって見ている側が「可哀想」と感じてしまう雰囲気があるんですよね。胸がきゅーと締め付けられてしまうような。なんでだろう。
自害しようとするときも、今回も本当にこのまま死のうとしているように見えた。リアルな演技も大袈裟な演技もしていないのに。
そしてそして、最後のあの晴れやかさ
ああ、吉右衛門さん・・・!!!(もう言葉がない)

今回涙を誘われた理由のもう一つは、菊之助のおとく。
わぁ・・・・・、菊ちゃんてばいつのまにこんな情のある演技をするようになったのでしょう!吉右衛門さんとの共演が増えた結果なのだろうか。
花道の物見の場面。舞台中央では、雅楽之助(又五郎さん)の注進を聞く将監(歌六さん)と将監北の方(東蔵さん)。花道では、き真面目に物見をし続ける又平(相変わらず瞬きしない吉右衛門さん)。そしてその背中を後ろからずっと見守るおとく。この菊ちゃんの風情がね、又平のことをよーくわかっているのだなぁと伝わってくるの。
又平が修理之助に「自分に行かせてほしい」と頼むときも、最後の舞のときも(吉右衛門さん、何もかもがお見事すぎ)、彼を黙って見守る表情から本当に又平の気持ちを理解していることが伝わってくる。
菊ちゃんの演技にこんなにぐっときて泣きそうになったのって、私はこれが初めてではなかろうか。あ、野崎村で一度あったか。
吉右衛門さんと菊ちゃんの夫婦がこんなにいいとは吃驚でした。やっぱり菊ちゃんには女方でいってほしいなぁ。。。

歌六さん、東蔵さん、又五郎さん。安定、完璧、文句なしです。あ、ただ歌六さんは「その吃りでは…」と言うべきときも「その身なりでは…」と間違えておられた。すぐに言い直されていたけど。
錦之助さんの修理之助も、とてもよかったです。この人も(というかこの場にいる皆がそうなんだけど)又平の気持ちを理解しているのだなぁとわかるから、全く嫌な感じがしない。でも優しいだけじゃなく、凛としていて。
脇がいいと安心して話に集中できるし、思う存分主役に感情移入できるのが本当に嬉しい。葵太夫さんも相変わらず素晴らしかったです。

はあ、観に来てよかった。。。。。
好きな吉右衛門さんのお役がまた一つ増えました。
ちなみにワタクシの好きな吉右衛門さんのお役は、知盛@義経千本桜、由良助@仮名手本忠臣蔵、松浦侯@松浦の太鼓、十兵衛@沼津、などなど。
主役じゃないけど、和田兵衛@盛綱陣屋もとてもよかったなぁ。もちろんニザさま盛綱とセットで。仁左衛門さんと吉右衛門さんの共演をもっともっと観たいのに、杮落しが終わってから殆どやってくださらなくて悲しい・・・。


【桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ) ~帯屋~】

昨年の1月松竹座以来の再演となった「帯屋」ですが、上方の役者による上方歌舞伎の上演が歌舞伎座では少なくなっているので、お絹はとても切ない役ですが、85歳の父と共演で和事の舞台をお見せできることは喜びです。
(扇雀さんのブログより)

長右衛門は藤十郎さん。
ワタクシの好きな藤十郎さんのお役は、吉野山の静御前、封印切の忠さん、曽根崎心中のお初ちゃん、などなど。特に封印切の藤十郎さんはすんごく好き。ものすごく好き。嫌味のないダメ男
ならこの帯屋を観ないわけにはいかないではないですか。
というわけで、疲れた体を引きずり引きずり東銀座までやってきたわけです。

やっぱり来てよかったぁ。。。。。。。。。

こういうお役の藤十郎さんにいつも感じることなのだけれど、藤十郎さんが纏っている空気って文楽の空気を思い出させてくれるんですよね。竹三郎さんや秀太郎さんにも同じようなものを感じるから、これが上方役者の空気というものなのだろうか。同じものを寿治郎さんの繁斎にも感じられて、舞台上でこのお二人は他の役者さん達と違う空気を纏っているように見えたのでした。
その対極の空気を纏っていたのが染五郎(儀兵衛)のように私には感じられたのだけど、昼の部の伊勢音頭の貢の評判が非常に良いようなので(私は観られませんでした。すごく残念)、私の気のせいかな
長吉(壱太郎)と儀兵衛の“長さん尽くし”が個人的にものすごい中弛みポイントだったので、そのせいもあるかもです。あれ、文楽でもやっていましたっけ?帯屋のこの辺りの場面、文楽(嶋大夫さん)で観たときは全くダレずにすごく楽しめたのだけれどなぁ。。

そういえば、お半ちゃんは歌舞伎では遺書を戸外に置くんですね。文楽では屋内でしたよね、たしか。これは戸外の方がいいな。屋内だと、すぐに見つかる場所に置くなんて長右衛門と心中するためにわざとだろうか?とちょっと思ってしまったから笑(今でもちょっと疑ってるケド)。

壱太郎ってどちらかというと現代的な都会っ子な空気の役者さんだと思うのだけど、お半ちゃん(二役)が想像していたよりいいなと感じました。お半ちゃんってずっと(といってもまだ14歳だけど)長右衛門のことが好きだったのよね?お伊勢参りの夜の出来事だって、意図したことではないとはいえ、お半ちゃんの意に沿わなかった事では決してなかったはずで。そしてとても若いから、死に対する恐怖心や現実感が希薄だと思うの。だから帯屋を訪れたお半には演歌のような悲愴感は不要のように私は思うので、そのあどけなさ、淡々とさえ見えるところが、壱太郎になかなか合っていて。今回の藤十郎さんの長右衛門&壱太郎のお半のカップル、私は好きでした。

そしてお絹さん(扇雀さん)があまりにも気の毒すぎる・・・・・という後味は文楽のときと同じ。あんなに素敵な女性なのに。ほんっっっと長右衛門ってダメ男!でも憎めない、と感じさせる藤十郎さんの至芸よ。。。。。。。。。。

ふぅ、満足満足。
やっぱり私はこういう歌舞伎らしい歌舞伎がほっとするなぁ。
普段仕事とかで疲れてるからかな(^_^;)

ようこそ歌舞伎へ 中村壱太郎 『桂川連理柵~帯屋』




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赤坂大歌舞伎 『夢幻恋双紙 赤目の転生』 @赤坂ACTシアター(4月22日)

2017-04-25 21:00:57 | 歌舞伎




タイトルを書いていて気付きましたが赤坂「大」歌舞伎なんですね。「大」を付ける基準って何かあるのかなと思っていたのだけれど(幹部役者が出ているとか)、特にないのかしら
さて、ふと思い立ち、当日引換券で行ってまいりました。ネットの感想等を読む時間はなく、予備知識は家を出る直前に公式サイトで確認した粗筋と配役だけ。
それにしても私、ACTシアターでは転生ものばかり観ているなぁ(前回はみゆきさんの夜会)。
以下、ネタバレありです。

コクーンの三人吉三のときと同じく、やっぱりなによりも勘九郎だなあ、と。どうしても勘九郎に目が引き付けられてしまう。私は今回のようなイっちゃってる感じの勘九郎が好きなので(刃物が似合う~)、とても楽しめました。そもそも私が「勘九郎、好きかも」と初めて感じたのは、世間的に全く評判の宜しくなかった伊勢音頭の貢でしたし(^_^;)
とはいっても古典のような正統(ってなんじゃらほいと言われるかもしれないが)な歌舞伎よりこういうコクーンや赤坂のような作品での方がその魅力が際立っているように感じられるのは歌舞伎役者としてはどんなもんなんじゃろか、という気もしなくもないですけど(それは七之助にも感じることですけど)、その辺りは私ごときが口を挟むことではないと思うので、長年の歌舞伎ファン、中村屋ファンの皆さまにお任せいたします。

というわけで、個人的に今回も一番の収穫は勘九郎だったのですが、二番目の収穫は演出と美術。
切り絵風のセットも、ピアノ音楽もほんっと~~~~~に素敵だった
そして炎の幕!を掴んで落としての場面転換 ゾクゾクしました。素晴らしかったです。

どうしても勘九郎ばかりに目がいっちゃったけれど、他の役者もみんなよかった。
七之助はこういう役、似合いますよねぇ。
勘三郎さんは本当にいい息子さん達を遺してくれたものだなあ、といつも思うことを今回もしみじみと。

ドラ〇モン三人組:猿弥さん(剛太)、いてうさん(末吉)、鶴松さん(静)。皆さん役にとても合っていました。特に猿弥さん、うまい

亀鶴さん(源乃助)、お久しぶりです~。えっと、、、太られた(^_^;)?。大好きな役者さんだけどこういう凄みのある悪役(そこに理由はあるとはいえ)を私は見慣れていないせいか、あまり似合っておられないような気がしなくもなかったけれど、久しぶりにたっぷり姿を見られて嬉しかったです。2番目の太郎のときの明るい源乃助、楽しかった~。亀蔵さんのゴルフとともに笑。

ところで中村屋の公演について私は全然詳しくないのですが、コクーンと赤坂では違いを設けているのでしたっけ?(この2つと平成中村座の違いはなんとなくわかります)
「これは歌舞伎なのか否か」という疑問がもし提起されるなら、その歌舞伎味のレベルは、私にはコクーンの三人吉三と今回の赤坂は同じくらいの感覚に感じられました。そして古典等の歌舞伎がこちらに引きずられて崩壊してしまうような事態になるわけではないのなら(そして役者の身に沁みついている歌舞伎味が薄れてしまう事態になるわけではないのなら)、これはこれであっていい、選択肢は多い方がいい、と感じたのもコクーンのときと同じ。観終わった後に歌舞伎座の歌舞伎が懐かしく感じられたのも同じ。ただ個人的には今回の作品は歌舞伎と思って観るよりも、演劇と思って観た方が素直に楽しめる作品のように感じました。でも大向こうさんの掛け声になんの違和感も覚えなかったということは、やっぱり歌舞伎といってもいいのでしょうかね。

ストーリーについては咀嚼しきれていない部分も沢山あるのだけれど、観る前はポスターの絵から「太郎と歌の物語」なのだろうなと思ったのだけど、実際に観たらちょっと違った。
ポスターのコピーに「愛する女のために転生する男」とあったからてっきり一途でピュアな男の純愛物語かと思っていたら、一途は一途だけど、どの生まれ変わりの世界でも太郎はダメな部分のある不完全な男で、彼は「歌のため」と言いながら結局は「自分のため」に生きてしまっているのよね。でもそこがいい。ヒーロー的な主人公よりもそういう主人公に共感してしまう私もどうかとは思うけれど
そんな自分勝手だった自分にようやく気づいたときには、歌の兄になっていて。やっぱり彼には歌を幸せにすることはできないのだよね。


ちょっとわかりにくかったのは、太郎は生まれ変わったときに前世の記憶を残しているのか否か。勘九郎はインタビューで「転生する度に太郎の性格は変わります。転生によりなりたかった自分に変わりますが、転生前の記憶はありません。」と言っているけれど、前世で自分が埋めた場所からお金を掘り返したり、源乃助に生まれ変わった後でも「歌の好きな男って…そういうことだったのか!」って前世で歌が言っていた言葉を覚えていたりするので、「太郎に転生前の記憶はない」と言い切るのはムリがあるような。。父ちゃんに「太郎って奴が現れたら伝えてくれ」って言うのもあったなぁ。そんな大切なことは瀕死の父ちゃんに頼むんじゃなく自分で言いなはれ。酒に逃げていないで。そして歌のために、しばらく歌の前から姿を消しなはれ。源乃助も相当に不完全な人間だよねぇ。太郎の生まれ変わりなんだから当然か(イヤな夢幻、じゃない無間ループだなァ)。まあその不完全さがいいのだけれど。

歌と源乃助が愛し合っていることは最初からなんとなくわかったけど(歌舞伎の定番という点からも)、太郎が源乃助になる展開は読めなかったなあ。というか、ここは今でもよく咀嚼しきれていない部分。太郎は転生する(源乃助に転生させられる)たびに「なりたかった自分になる」を繰り返していて、結局それは「歌を本当に幸せにできる人(歌が愛している人、歌に愛される人)になる」ことを意味しているわけで、それに近づいていく過程が「赤目」なのだろうか。で、結局その対象になれた結果、源乃助になってしまったのだろうか。で、結局源乃助が背負っていた苦しみを自分も背負うことになって、歌の幸せのためには彼女を拒絶するしかなくて。「愛する人と幸せになる」ことは、本当に難しいことなのだね。歌には剛太と幸せになる人生もあったけど(太郎の3回目の生)、あれも「愛する人と幸せになっている」わけではないものね。一方で「愛する人の幸せが自分の幸せ」という考え方もあるわけだけど、歌にとっての幸せは源乃助と結ばれることで、でもそれは叶わぬことで、つまりはそんな歌を愛している源乃助も太郎も決して幸せにはなれないわけで。
歌は源乃助(亀鶴)の人格を好きになる運命というよりは、「兄」を好きになる宿命という感じなのかな。心や魂といった観点の話ではなくて(魂の話ならどういう形で出会おうとその人に恋してしまうということになると思うけど、この話では違うよね。兄になったカンクのことを愛してる)、どちらかというと人間の業のようなもの(人間の意思ではどうにもならないもの)を描いているという感じなのかな。恋にもそういう面はありますね。

カンクが源乃助になった最後の場面とこの話の最初の場面は全く同じなのでしょうかね。私の好みとしては、同じじゃないといいなあ。同じだと閉塞的すぎてつまらない。生まれ変わりの世界がパラレルワールドのように存在しているとして、そこには良い世界も悪い世界もあって、どの世界でも逃れられない宿命みたいなものがあって、それでも私達の一生は全く同じものは二つは存在しない、良くても悪くても違っている。そういう世界観の方が私は好みです。
なんてことをとりとめもなく考えるのが私は結構好きなので笑、そういう意味でもなかなか楽しめた作品ではありました。

ただ勘九郎がインタビューで「太郎は“大江戸タラレバ男”。そこに太郎の赤い右目の謎が絡み、最後にそのからくりが明らかになります。」とはっきり言っているけれど、「最後にそのからくりが明らかに」なった感じは私はしなかったなー・・・。観終っても、謎は謎のまま。私の理解力が足りないだけかもしれませんが。
ところで舞台ではカンクの右目が赤かったけどポスターでは左目(あるいは鏡に映った右目?)が赤いことには、何か意味があるのだろうか。ないのだろうか。どっちなのだろうか。教えて、蓬莱さーん!


中村勘九郎にインタビュー!「蓬莱竜太は天才だ!」「赤坂大歌舞伎」新作歌舞伎『夢幻恋双紙 赤目の転生』
中村勘九郎・中村七之助らの「歌舞伎」と蓬莱竜太の「演劇」が融合!『赤坂大歌舞伎』6日より開幕
歌舞伎美人「中村勘九郎 赤目の転生」




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第三十三回 四国こんぴら歌舞伎大芝居 @金丸座(4月14日)

2017-04-24 20:56:43 | 歌舞伎




常々一度は行きたいと思っていた四国こんぴら歌舞伎
今年の座頭は15年ぶり3回目のご出演のニザさま 行くなら今!
というわけで、松山→琴平→高松の旅程で春の四国に行ってまいりました
旅行記はに書いたので、ここでは観劇(第二部)の感想を。

楽しいだろうな~とは思っていたけれど、想像していた以上に、行ってよかったです!
江戸時代の芝居小屋で歌舞伎を観たのは初めてでしたが、色んなところで歌舞伎の原点のようなものを肌で感じることができました。
・・・って今知りましたが、金丸座って日本に現存する最古の、そして唯一の江戸時代の芝居小屋だったんですね(1835年築)。そうなのかぁ。100年後も200年後も残っていってほしいなぁ。

江戸時代の息吹をつなぐ芝居小屋の魅力とは

【芦屋道満大内鑑(葛の葉)】
これはずっと観てみたいと思っていた演目なので、今回観られて嬉しかったです。お話の雰囲気も、この小屋のサイズに合っていたように感じられました。
今回の旅行、色々と忙しくてニザさま以外の配役をチェックしていなかったので、始まる直前まで葛の葉は孝太郎さんがされるものとなぜか思い込んでおりました(^_^;)
雀右衛門さんのキチュネ、古風な雰囲気と、可愛らしさと、ほろりとする切なさと品があって、とってもよかった。
最後は、スッポン(人力で動かしてるんですって)から登場した葛の葉が信太の森に向かう花道の道行で幕。本火の蝋燭がこの小屋の薄ぼんやりとした暗さによく似合っていました。
柵(しがらみ)は竹三郎さん。相変わらずビックリするほどお若い(若返っていらっしゃる!?)。背筋が伸びていて、口跡もハキハキされていて、驚きました。
幕間に私が友人と「雀右衛門さんのキツネ可愛かったねぇ~」と話していたら、左隣のおば様が「あれはキツネですか?」と。「ネコかキツネかどっちかなあと思ってて。(ご主人に向かって)あなた!やっぱりキツネですって!」と(^_^)

~25分間の幕間~

お手洗いは男女共用ですが清潔なトイレがお土産売り場の裏手にありました。

【口上】
右隣のお席は地元のご家族で(でも歌舞伎はお好きで歌舞伎座にも行ったことがあるそうで、息子さんは大向こうをかけておられました)、そのお母さんが面白かった。口上で役者さん達が言う「お願い申し上げ奉りまするぅ~」(だっけ?)を毎回一緒に言うの^^。次の身替座禅でも山の神が登場する場面で「きたきたきた・・・笑」と無邪気に笑っておられたり。歌舞伎ってこういう楽しみ方がやっぱりいいねえ。大劇場じゃなく芝居小屋が似合う。歌舞伎座だと気になる私語が、ここでは全然気にならない。それが当たり前に感じられて。都会のマンションの中では気になる虫の存在が、田舎の森の中では気にならない感覚と同じ。なのに歌舞伎座と違って、大事な場面で私語をする客はいなくて。やっぱり歌舞伎座は歌舞伎を観るには大きすぎるのだなぁ、と改めて。。もっともワタクシは後舟席で足も伸ばせて超快適だったので、こんなことを思える余裕もあったのかもですが^^;。
仁左衛門さんの口上は先代雀右衛門さんのハーレーダビッドソン。私は行かなかったけどたぶん歌舞伎座のときと同じですかね笑。
そして配役をチェックしていなかったので、こんぴらに松緑がいてビックリしました 口上では客席からすごく沢山の拍手をもらっていました

~まさかの再びの25分間の幕間~

東西の窓が開くと風が入ってきて気持ちいい~。やっぱりこういう風通しのいい小屋はいいよねえ。平成中村座、本格的に木造で作って常設にしてくれないかなあ。
そういえばこの金丸座、公演をやっていない時期は舞台見学ができるそうですね。見てみたいなぁ。でもやっぱりお芝居も見たいし、うーむ。

【身替座禅】
仁左衛門さんの右京は昨年歌舞伎座で観ていて大好きなのだけれど、金丸座で観た今回の方が更に感動しました。
ていうか何!あの後半のほろ酔い朝帰り花道ニザさまのあり得ないレベルの美しさは・・・!はんなり(←ほんのりにあらず)薫る色気と、品のよさ。「あ、この人花子ちゃんとヤってきたんだな」とはっきりわかる濃密レベルな色気なのに(こんなにはっきり“そう”とわかった花道は初めてであった。そしてここまで色気見せるニザさん久しぶりに見た)、ちゃんと品があるところがニザさまならではだよねぇ。
ていうかこれほど強烈な印象に残るお姿が私の記憶になかったのは何故かしら?と思ったら、歌舞伎座の幕見席からは花道は七三以降しか見えていなかったのでありました。まさかその手前でこんな至芸が披露されていたとは・・・。
そんなニザ様の右京が、木のぬくもりと長い歴史が沁み込んだ芝居小屋に恐ろしいほど合っていて・・・・・。美しい芝居小屋に、美しいニザさま。満開の桜のこんぴらに、ふんわり春風背負ってる華やかなニザさま。ああもう、なにもかもがパーフェクト
花子ちゃんなニザさまと右京なニザさまの両方を楽しめるのも、この演目の嬉しいところですよネ。

彌十郎さんの玉の井は恐妻なだけじゃない可愛い系で、吉右衛門さんタイプでありました。私はこのタイプの玉の井が好きなので嬉しかったです。ダンナさんをとっても愛しちゃってる 山の神。だから焼きもちも焼いちゃう。そりゃあねぇ、こんな素敵なダンナさんならそうなるよねぇ。わかるわぁ
こういう玉の井だと、なんだかんだ言ってちゃんと山の神のところに戻ってくる右京が微笑ましく感じられて、結局仲良し夫婦なのよネ、と気持ちよく観られます。
仁左衛門さんも彌十郎さんも品のあるお芝居で、とても好みな身替座禅でした。

太郎冠者は私は又五郎さんがすんごく好きなのだけれど、松緑も力みのない自然な感じが意外と悪くなく。もうちょっと可笑しみ?愛嬌?があるとよかったかもですが、でも松緑をここで観られると思っていなかったので、お得な気分でした笑。
ただ彌十郎さんも松緑も、衾かぶってぶんぶんってするYesとNoがちょっとわかりにくかったような(あと衾から顔が見えてしまいそうな感じだった)。

江戸時代からある芝居小屋、金丸座で観る四国こんぴら歌舞伎。思っていた以上の素晴らしさ、楽しさで、またいつかぜひ来たいです

中村雀右衛門(芝雀改め)、片岡仁左衛門、笑顔咲く春の風物詩『こんぴら歌舞伎大芝居』製作発表
「江戸時代の芝居小屋の姿を残す金丸座にいると、楽屋で裏山の鶯の声を聞いたり、舞台に立っている時でも、私たちの先祖はこういうところでお芝居をさせていただいたんだなあと、歌舞伎の原点を改めて考えさせられます。頭ではわかっていても、体で感じられる場所は貴重」と仁左衛門さん。私も鶯の声を聞きましたよ^^

仁左衛門、雀右衛門が語る「四国こんぴら歌舞伎大芝居」
「四国こんぴら歌舞伎大芝居」初日の賑わい

※追悼 今宵はKANKURO 片岡孝夫(仁左衛門)

勘三郎さんと仁左衛門さんの、金丸座についてのトーク。仁左衛門さんが初めて金丸座に出演されたとき(1991年)のもの。このときは勘三郎さんが身替座禅をされたんですね。
勘三郎さん、「私の大好きな兄さん」って
この動画は帰宅してから(というかたった今)初めて観ましたが、金丸座については心から「そうそう!」と思うことばかり。それにしても勘三郎さんって本当に神経が鋭い人ですよねぇ。
























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四国旅行その3 ~高松~

2017-04-21 00:17:07 | 旅・散歩
【3日目:琴平→高松】

最終日は、高松に向かう前に琴平の町をもう少し散策。
「金陵」という日本酒を造っている酒造さんの『金陵の郷』という小さな博物館を見学いたしました。


入館料無料ですが、日本酒ができるまでの過程を人形や音声でわかりやすく説明くださっていて、とても楽しめました
これで琴平とはお別れ。


ことでん琴平駅。


さよ~なら~。歌舞伎の季節にきっとまた来ますね~!


こんぴーくん(琴平町マスコットキャラクター)に見送られ、いざ高松へ 


JR高松駅。
おお、都会だ・・・!

この時点で午後1時。
観光案内所のお姉さんに「今から屋島と栗林公園の両方周ることは可能ですか?」と聞いてみたところ、できなくはないけれど微妙な感じ。
慌ただしく周りたくはないので、今回は栗林公園一つに絞ることにいたしました。
ショッピングなんちゃらバスに乗って、栗林公園へ





国の特別名勝に指定されている文化財庭園の中で、最大の広さを持つ栗林公園は、高松藩主松平家の別邸として、歴代藩主が修築を重ね300年近く前に完成しました。…
栗林公園の平庭部の広さは、東京ドーム3.5個分にあたる約16.2ヘクタール。これだけでも大名庭園の中では最大級ですが、背景となっている紫雲山を含めた面積は、なんと東京ドーム16個分の約75ヘクタールにも及び、文化財に指定された庭園の中では日本一の大きさを誇ります。…
「お庭の国宝」ともいえる「特別名勝」に指定されている庭園は全国で24箇所ありますが、うち13箇所は京都にあり、そのほとんどが一定の視点からの眺めを追求した「座観式」です。一方、栗林公園の作庭様式は、江戸時代に花開いた「池泉回遊式」と呼ばれるもので、広大な敷地に池泉や築山などを配し、園内を散策しながら移りゆく景観を楽しみます。その多彩さは、一歩歩くごとに風景が変わる「一歩一景」の魅力があるといわれています。

(栗林公園HPより)

この栗林公園、実に実に素晴らしい庭園で、今まで行ったことのある中で一番好みかもというほどで、あっという間に数時間過ごしてしまいました。
屋島に行けなかったのは残念だったけれど、今回はここ一本に絞って本当によかった。

ところでこの公園は、三島由紀夫の『春の雪』の映画版(2005年)のロケ地でもあるんです
松枝侯爵家のお庭の設定で撮影されました。公開時はあまりいい評判を聞かなかった本作ですが、私は結構好きな映画でした。今回の旅行前にもう一度観直そうと思っていたのに、結局時間がとれなくて残念。行定監督は、「全国の公園を見て回ったが、ここしかないと思った」とロケ地選びについて話されたそうです。
ちなみに三島が小説を執筆する際に侯爵家のモデルにしたのは、鎌倉由比ヶ浜にある鎌倉文学館です(今月22日から漱石展をやりますよ~♪)。

それでは、春の栗林公園の風景をお楽しみくださいませ





















































栗林公園は、入口横にあるお土産売り場もとってもお洒落
空港にはないものも沢山売っていました

まだまだ名残おしいけれど、小雨も降り出してきたので、そろそろ空港へ


高松空港での最後の夕食は、もちろん讃岐うどん  with 鶏天&ビール 


二泊三日で松山、琴平、高松の3都市を訪れた今回の旅。
お天気にも恵まれ、本当に充実した3日間でした!!!
付き合ってくれたお友達、そして四国の皆さん、ありがと~~~~
四国はこれで高知、香川、愛媛を制覇し、行っていない県は徳島だけになりました。
いつか行けるかな?

あ、そうそう。旅行中はお天気に恵まれましたが、帰りの飛行機は上空の気流の乱れでものすっっっごく揺れました
そもそも羽田からの便が高松空港に到着できるかどうかも微妙な状態のなか到着し、同じ飛行機に乗ってすぐに飛び立ったので、揺れる揺れる。死ぬかと思ったよぉぉぉ
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四国旅行その2 ~琴平~

2017-04-20 00:02:22 | 旅・散歩

【2日目:松山→琴平】

本日も晴れ
絶景を眺めながらの朝食です


絶対にまた来るよ~
と、ご機嫌でホテルを後にしたワタクシでしたが、路面電車の停車場で衝撃の事実が発覚
なんと朝7時台は1時間に3本しか松山駅行きの電車が出ていない
え、だって、通勤通学時間帯なのに。。。。。
と呆然としていたら、「この時間帯、少ないわねぇ~」と地元のおばちゃまが。
本当に本当に他に電車はないんですか
・・・ないそうです。
ワタクシ、次の電車を待っていたら琴平に向かう特急列車に間に合わないので、泣く泣くタクシーで駅へ向かいました
ご一緒にどうぞ~と駅前の温泉に行くというおばちゃまも同乗さしあげて。


そんな凹んだワタクシのもとに、なんとこんな列車がやってきました
アンパンマン列車


いやされる~~~~~。


インテリアもアンパンマン


客席もアンパンマン
アナウンスのメロディもアンパンマン


松山から岡山・高松方面へ向かう「特急しおかぜ」は瀬戸内海沿いを走るので、車窓からはこんな景色が眺められます
この辺りの海の色は碧がかっていてとてもキレイ。

多度津で下車し、琴平方面の鈍行列車に乗り換え。
この電車の中で琴平駅で待ち合わせしている友人からメールが
「多度津から乗った?」
「うん、前から2両目」
「私は後ろから2両目」
「・・・てかこの電車、3両編成じゃない?」
同じ車両でした笑


友人とも無事合流し、琴平駅到着~。
さっそく金毘羅大芝居の幟がお出迎え


駅前の道にも歌舞伎役者さん達の幟がずら~~~~と


まずは腹ごしらえの讃岐うどん 暑いので冷たいおうどんが美味し~。


壁には役者さん達のサインが


私達が観る第二部の開演時間の3時まではまだ時間があったので、金刀比羅宮を参拝することに。
このときワタクシ、この階段の突き当りに本宮があると本気で信じておりました。


途中でこんな写真を撮ったりして


「意外にキツいね~」(すでに息切れ)
「でも金毘羅の階段はキツいって有名やしね~」(息切れ)
などと笑いながらのぼる無邪気だったワタクシたち。


・・・・・・しかし突き当りには、こんな景色が待っていたのでありました・・・・・・。
ワタクシたち 「あのぉ~・・・ここから本宮まではどれくらいかかるのでしょう・・・?」
おばちゃま   「そうねぇ、20分くらいかしらねぇ」
ワタクシたち 「・・・・・」


この階段を登ればきっと本宮が見える。
そう信じてのぼるワタクシたち。
桜の花に励まされ。。


のぼる。


のぼる。


見えた~~~~
って、これ本宮ちゃうし
もうこれが本宮ってことでよくね?と思いつつも、ここまで来ては引き下がれない。


階段は続くよどこまでも。


そして今度こそ・・・!


本宮到着~~~~~~


これよこれ!ポスターで見た景色!


言葉もなく景色を眺めるワタクシたち。
もはや景色への感動なんだか、のぼり切った達成感なんだか、単なる疲労感なんだか、わけわからん。

あまりのんびりしていると歌舞伎に遅れてしまうので、参拝を済ませて、元来た道を戻ります(下向道という道を通るのが本来の帰路らしいですが知らなかった)。


若いっていいねえ。


帰りは景色も楽しみつつ、下界へ。


一息ついてから。


さあ、いよいよ今回の旅のメイン、金丸座へ!


ニザさまのお名前が琴平の地に




壮観
この派手さ、華やかさこそ歌舞伎だよねえ


初夏のような陽射し。


お土産屋さん。
カレーやオムライスや焼きそばなども売っていました。ここでお昼にしてもよかったかも。


金丸座にニザさまのお名前が


お席は2階一番後方の後舟席(椅子席)にしました。
舞台は少々遠目ですが、足は前に伸ばせるし、背中は壁に寄り掛かれるし、荷物はたっぷり椅子の下に入れられるし、視界は遮られないし、小屋の装飾は見渡せるしで、一番安いのに素晴らしいお席 
周りの皆さんも「この席いいわね~」とニコニコ

お芝居の感想は別記事で書きますが、『葛の葉』も『身替座禅』も大満足のお芝居でした。
特にこの芝居小屋で見るニザさまの素晴らしさといったら・・・
はぁぁぁぁぁ・・・。思い切ってここまで来て本当によかった!!!

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四国旅行その1 ~松山~

2017-04-18 20:58:44 | 旅・散歩



二泊三日で四国旅行に行ってまいりました~。
メインはニザさま15年ぶりのこんぴら歌舞伎だったのですが、その前後に行った松山も高松もすんごく楽しかった!
というわけで、順を追って旅行記を

【一日目:松山】

まずは伊予松山からスタート。
ところで皆さま~、今年はわが国の文学においてどういう年かご存知ですか~。




そう、今年は夏目漱石と正岡子規の生誕150年の年なんです。
各地でイベントは行われていても、これほど街をあげてお祝いしているのは日本広しといえど松山以外にはあるまい。
漱石も子規も好きな私には、今年の松山はパラダイス~


子規といえば『坂の上の雲』。というわけでまず最初に訪れたのは、坂の上の雲ミュージアム。

明治というこのオプティミズムの時代にもっとも適合した資質をもっていたのは子規であつたかもしれない。私は「子規居士」という名をきくだけでも言いようのない痛々しさといとおしみをおぼえるのだが、このひそかな私の感情は、子規においてときに突きとばされるような感動をおぼえるその底ぬけの明るさや稚気と表裏をなしているようにおもえる。
この子規の気分が子規だけでなく明治三十年代までつづくこの時代の気分であるようであり、その気分は好古にも真之にも通いあい、調べていてときに同一人物ではないかと錯覚する瞬間がある。時代のふしぎさというものであろう。
(司馬遼太郎 『坂の上の雲』より)

司馬さんの描く秋の透きとおった空のような子規が大好き。
このミュージアムは映像展示がよく出来ていて、思いのほかここで時間をとってしまった。
『ひとびとの跫音』に出てくる人達に関する展示もあって嬉しかったです。
明治20年に真之が子規に出した手紙がすごく綺麗な英語で書かれていて(このとき真之も子規も19歳)、なんだかもうね・・・


ミュージアムの窓から見た萬翠荘。


萬翠荘から見たミュージアム。


萬翠荘内部。
中央階段のステンドグラスの海と帆船の解放的な絵柄が素敵。
朝イチの飛行機で羽田を発ったのに、この時点ですでに正午~。。。


お昼ご飯は、漱石や子規も好んで食べたという松山の郷土料理、もぶり飯/松山鮓(左)と五色そうめん(右)

1892年(明治25年)8月、大学予備門の学生だった夏目漱石が初めて松山を訪れ、正岡子規の家に立ち寄ったとき、母、八重がもてなしたのが松山鮓であり、漱石は大いに喜んだ。
和服姿にあぐらをかいて、ぞんざいな様子で箸を取る子規の前で、極めてつつましやかに紳士的な態度であった漱石は、洋服の膝を正しく折って正座し、松山鮓を一粒もこぼさぬように行儀正しく食べていたそうで、その時の様子は、同席していた高浜虚子が、書物の中で回想しており、後々に語り継がれている。
(wikipediaより)


午後の最初の目的地は、松山城に向かう途中にある秋山兄弟生誕地(写真右の建物)。
兄の好古は死の半年前までこの家に一人で住んでいました。その理由はこちら
現在の家は、空襲で焼ける前の当時の家を忠実に再現したもの。


この好古による書は、複製ではなくオリジナルだそうです。


庭に当時のままにある、秋山兄弟産湯の井戸。
説明員のおば様に「今日はこれからどこ行くん?」(←方言はいい加減です)と聞かれ、「ええと、松山城行って、子規堂行って、子規記念館行って、道後温泉行って」とのんびり答えていたら、「あらこんなところでのんびりしてる場合ちゃうわ 早よお城に行き!時間あらへん!」と。
このおば様の一言のおかげで、どれほど助けられたか。
ここで急かされていなかったら、子規記念館か子規堂のどちらかは確実に行けなかったと思います。おばちゃん、ありがと~~~!


松山城の黒門口登城道。
ドラマのオープニングで好古、真之、子規の3人がかけ上っていく坂。大好きな場面。
同じくオープニングで3人が写真を撮っていたあの場所は、現在工事中で入れませんでした




瀬戸内海が望めます。








大天守より。


石垣の曲線が美しい。
松山城を見終った時点で14時半になっていました。


路面電車で松山市駅に移動して、子規堂へ。
子規が17歳まで過ごした家が再現されています。


内部には子規や漱石に関する遺品や遺稿が多数展示されています。
外国からの方も来られていて、「Shiki~」と熱心に見学されていました(^-^)


真之が子規に送った羽根布団の生地。ローラアシュレイみたいで素敵


一部は我が地元に貸し出し中。
生誕150年を記念して神奈川近代文学館では正岡子規展(開催中)が、鎌倉文学館では今月22日から漱石展が開催されます。


子規の勉強部屋。


子規堂の向かいには、『坊っちゃん』に出てくる当時の列車の客車(ホンモノ)が展示されています。


中にも入れるんですよ~。




今では本当に遠くなってしまいましたが、こうして平成29年になっても子規や漱石の足跡がのこっていて訪ねることができることは幸せなことです


時間がないのでサクサクいきます。路面電車に乗って道後温泉へ。


子規記念博物館。この記念館のある道後公園はお花見客でいっぱいでした
到着したのが16時。閉館は17時


内部に再現された、愚陀仏庵。
漱石と子規が一緒に住んだ家です。
この記念館、思いのほか興味深い資料が沢山あって、全部をじっくり見るには1時間では時間が足りなくて残念;;
でもとりあえずは最初から最後まで見ることはできてよかったです。

展示品は複製も多かったですが、印象に残ったオリジナルの展示としては、
・明治28年4月に子規が日清戦争の従軍記者として遼東半島に行ったときに持っていた鞄。
・明治28年10月に漱石が松山から東京に帰る子規に送った送別の句「お立ちやるかお立ちやれ新酒菊の花
・明治31年3月に子規が漱石に宛てた手紙「歌につきては内外ともに敵にて候」
・明治31年7月に子規が河東銓に送った自身の墓誌銘。「正岡子規又ノ名ハ処之助又ノ名ハ升又ノ名ハ子規又ノ名ハ獺祭書屋主人又ノ 名ハ竹の里人・・・」という有名なあれです。「アシャ自分ガ死ンデモ石碑ナドハイラン主義デ・・・」の書簡に同封されていたもの。
・明治35年頃に描かれた「来年の萩」と題された子規自筆の萩の花の絵。子規は明治35年9月に亡くなりました。


閉館ギリギリまで子規記念館を見学し、それから歩いて道後温泉本館へ
お目当てだった神の湯2階席コースは40分待ちとのこと。
今年の秋から長期の耐震工事に入るせいか、混みあっているようです。
風邪気味でもあったので入浴は諦め、見学のみ(250円だったかな?)のコースにいたしました。


皇室の方々が入浴される又新殿を見学した後は、3階の「坊っちゃんの間」へ。夕暮れの風が気持ちのいい角部屋です(目の前はビルですけど^^;)。
ここに上がる途中で2階の大広間の様子も見えましたが、入浴後に浴衣で涼んでいるお客さん達がとても気持ちよさそうでした~。


最後に本館の周りを一周して、道後温泉駅へ。


道後温泉駅。路面電車に乗り、今夜のホテルのある大街道へ戻ります。


夕食は松山の郷土料理のさつま汁。
と、追加で水蛸の天ぷらと内子の日本酒京ひな(このお酒、美味しかった)。
"かどや"さんというお店でいただきました。


今回の旅行では鯛めしを食べられなかったのが心残りですが、次回の楽しみにとっておきます。
子規と漱石の生誕150年の年にこの街に来られて幸せでした


お土産に買った一六本舗の御菓子『坂の上の雲』

翌日は朝から琴平に向かいました。

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『義経千本桜~渡海屋、大物浦~』 @歌舞伎座(3月26日)

2017-04-09 19:47:20 | 歌舞伎



今更も今更ですが、3月の歌舞伎座の感想を。
時間が経ちすぎてもう書くのやめようかと思いつつ、やっぱり覚書なので書いておく。
前楽の日曜日に行ってきました。
昼の部開演の15分前くらいに到着したら、『明君行状記』の幕見はまさかの売り切れで
よもやこの演目で立ち見も売り切れだなんて想像しておりませんでした。新開場の4月に玉さまの将門観て外に出て、すぐ後のニザさま&吉右衛門さんの盛綱陣屋を普通に幕見で座って観られた感覚が抜け切れていない私は、最近の歌舞伎人気(なんでしょうか?)を甘く見てたわ・・・・・・・・。
ああ、主役の梅玉さん・・・・・・・・・・・・。観たかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

気持ちを入れ替えて、義経千本桜。2時間立ち見でした・・・・・・・・・・・・。
発売まで30分以上あったのに・・・・・・・・・・・・。

【義経千本桜 ~渡海屋、大物浦~】
今まで何度か書いたことがありますが、渡海屋&大物浦の知盛は吉右衛門さんが演じる役の中で私が1、2を争う好きな役でありまして。
これまで観たことのある吉右衛門さんが演じた役の全ての中で、というほどなので、まぁ、すんごい好きなのです。吉右衛門さんの知盛が。
1階席で2回観たほどですから。私が同じ月に1階席で2回観たのは、そのときとニザ様の吉田屋(←ニザ様の演じた全ての役の中で一番好き)だけでございます。
さて、今回仁左衛門さんの知盛を観て、なんといいますか、ニザさまの知盛はちょっとリアルすぎるように感じられてしまい、平家物語から抜け出てきたような吉右衛門さんの大らかさ、大きさがやっぱり私は好きだなぁ、と渡海屋でも大物浦でも感じたのですが(一條大蔵の檜垣でお二人に感じたことのちょうど真逆ですね)。
ただ、

うっわ・・・・・・

と仁左衛門さんの知盛だけで感じたところが二か所ありました。

一つ目が、『渡海屋』で白装束に着替えて海へ向かうときの、花道の引込みのところ。
ニザさまの体から後光が放たれていた。。。。。。。。。。。
これから戦場へ向かう精神の高揚と一点の曇りもない透明感。
知盛って大物浦で憑き物が落ちるようになるけど、渡海屋でもその心の清廉さには変わりはないのよね。彼の心の中に私欲は一つもないのだから。
いやぁ、ニザさま、本当に光っていたわ(比喩じゃなく)。。。。。。。。美しかった&神々しかったです。。。。。。。。。
もっともこの場面は、吉右衛門さんでも大好きな場面なのですけど。

二つ目が、『大物浦』(吉右衛門さんより血糊の量が多かったような?よくお似合いなのでいいですけど笑)の終盤で、あとは自害するだけの知盛を残して、義経と安徳帝が去るところ。
ここ、まず梅玉さんに感動しちゃったんですけど、知盛と安徳帝に最後のお別れをさせてあげるように義経がふっと一歩後ろに下がりますよね。その一瞬の仕草と表情から、この時間の意味のようなものがすごく伝わってきて、うわぁ・・・・・と。
知盛と安徳帝のお別れ。この短い時間にどれほどの想いが込められているのか・・・。渡海屋では仮の親子として親子らしい時間も少しはあったりしたのかな、とか。でもそれ以上にやはり帝は崇高な存在で、その存在を平家の生き残りとして今日まで守ってきて、そして義経へと託す知盛の気持ちとか。平家全盛の時代から今日までの日々とか。
で、その後に、今度は義経と知盛が向かい合って頭を下げるでしょう。ここに込められているものの大きさ・・・。義経は知盛の全てを理解していて、そのことを知盛もわかっているのよね。そこに言葉は不要。梅玉さん&吉右衛門さんもよかったけど、梅玉さん&仁左衛門さんもいいわぁ・・・・・・・
ここからラストまでの「ああ、ニザさまはこのまま死んでいってしまうのだな・・・」と本当に死んでいくように思われる感じは、種類は違えど、吉右衛門さんのときと同じでした。役者ってすごいなぁ。
ただ残念なことに立ち見席からは、岩の上の知盛の首から上は見えたり見えなかったりでした。。

安徳帝は市川右近くん。安定感抜群。ていうかいつの間にか右近さんが右團次さんになっていた(^_^;)
彌十郎さんの弁慶。法螺貝お上手!あの場面の法螺貝の音色って本当に重要ですよね・・・。
梅玉さんの義経。吉右衛門さんのときと同様、最後の花道の引込み、素晴らしかったです!
時蔵さんの典侍の局。仁左衛門さんとの組み合わせ、結構好きだなぁ。
巳之助くんの相模五郎、猿弥さんの入江丹蔵。

夜の部も観たかったのだけれど、2時間の立ち見の後ではとても体力がもちませんでした。でもおそらくもう売り切れだったろうと思う。助六がありましたからね。海老蔵の助六、観たかったなぁ。あの衣裳を着ている海老蔵がとても好き。菊五郎さんの白酒売も観たかった。あのほんわり菊五郎さんがとても好き。






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