風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

Happy Birthday Freire!

2017-10-26 22:11:22 | クラシック音楽

Nelson Freire plays 12 Chopin Etudes - live 1980



10月20日にポゴさんの誕生日をサントリーホールで祝ったばかりですが、10月18日はフレイレの誕生日だったんですって!
youtubeにアップされたハピバ動画↑で知りました。

73歳のお誕生日おめでとうございます

来年の来日、心から楽しみにしています!



ポゴさんのラ・ヴァルスも衝撃的な凄さだったけど、アルゲリッチ&フレイレのこちらもすんばらしいのよ。ポゴさんとは全く違うタイプの演奏ですけど。これを生で聴けた人が心の底から羨ましい。



新譜のCDも買いましたよ~。あのアンコールの演奏が忘れられず。フレイレのブラームス、大好きです。

ちなみに私も10月生まれなんです。フレイレとポゴレリッチと一緒ってなんか嬉し~(ノ^^)八(^^ )ノ



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イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル @サントリーホール(10月20日)

2017-10-23 02:11:10 | クラシック音楽




いいリサイタルでしたねえ。。。

今年はこういう切なくて温かい気持ちになる後味のコンサートが多いなあ。
フレイレ
チェコフィル
ポゴレリッチ
生演奏からしかもらえないものだよねえ。

しかし本当にポゴさんのリサイタルは感想を書くのが難しい・・・。
昨年の演奏会で受けた天と地のような極端な印象は今回も同じではあるけれど、全く同じではない。この人は変わり続けているのですね。今回のリサイタルで一番強く感じたのは「今この瞬間」。そのエネルギーの強烈さでした。

仕事を1時間早退したのにバスが混んでいてなかなか乗れず、六本木一丁目に着いたときには軽食がせいぜいな時間で。
金曜夜のせいかどこも人がいっぱいで、空席のあったDEAN&DELUCAでハムチーズのパンとアールグレイの紅茶をお腹に入れ(高いだけあって美味しかったわ。紅茶は熱すぎて半分しか飲めなかった)。
30分前に会場に入ったら、昨年のデジャヴのようにステージ上でポゴさんがポロポロ弾いてて。昨年と違うところといえば帽子にボンボンが付いていないこと、開演10分前にスタッフに呼ばれてもまだ弾き続けて5分前に再び声をかけられて奥に引っ込んで、今から着替えて間に合うのかなと思っていたらやっぱり開演が7分遅れたことくらい。
昨年同様にまだざわめいている客席に時折視線をやりながら場違いなほどに綺麗な音でポロン・・・ポロン・・・。あのざわめきの中でもはっきり聴こえるpppの透明な美しさ。今日の客席の空気をはかっているような、リサイタル前にピアノと戯れの対話をしているような。この時間はポゴさんにとってどんな意味をもつ時間なんだろう。でもきっと必要な時間なんだろうな。
今回は満席ではありませんでしたが、8、9割は埋まっていました。


【クレメンティ: ソナチネ ヘ長調 op.36-4】
【ハイドン: ピアノ・ソナタ ニ長調 Hob.XVI-37】
【ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 op.57 「熱情」】

今夜は昨年よりも床への楽譜の置き方が丁寧で、ポゴさんの空気もどことなく穏やか。
譜めくりの女性にニッコリ笑いかけるのは昨年と同じ(天然のたらしな笑顔だな、と感じたのも昨年と同じ笑)。

一曲目のクレメンティは、意外なほど普通の演奏(普通にいい演奏)で、音もテンポもほぼ普通。曲が曲なので他に演奏しようもないのかもだけど、こういう演奏もするポゴレリッチにちょっと吃驚。ってどれだけ変人の印象なのか

次のハイドンで、
昨年の違和感を一年ぶりに思い出す。
ポゴさんのハイドン、曲のせいもあるかもしれないけど、まだ拙い小さな子供が弾いているように聴こえて…。決していい意味ではなく。この演奏はどう受け止めればいいのか…、私にはちょっと良さがわかりませんでした。2楽章などは悪くないと思ったけれど、そういう良さならペライアやシフのハイドンの方が私には遥かに素晴らしく感じられ…。

その感覚はベートーヴェンでも続いて。三楽章などはっとさせられた瞬間は確かにあったけれど、正直なところ、この演奏を聴くために私はS席13000円は払えない、とこの時は感じていました(あくまでクラシック超ど素人な個人の感想なので失礼をお許しくださいね)。どんなに美しくて味がある瞬間があっても、少なくとも私にとって今日のここまでの演奏はそれだけの価格設定の演奏には思えなかったんです(ちなみにシフは12000円、フレイレは6500円でした。今回と同じKAJIMOTOさん招聘で)。もっとも今夜の私の席は5000円で(笑)、あの開演前の音だけでもその値段の価値は十分にありましたが。まあそういうことが頭に浮かんでしまう隙があるくらいにはまだ私は演奏に入り込めていなかったわけです。

とはいっても、時々本当にすごくいい音をだすんですよねぇ…。弱音はもちろんだけど、低音のゾクゾクする暗さや縦に揃った和音の硬質な響きなど無比の素晴らしさで。今夜は最後まであの挑発的に聴こえる汚い響きの強音は殆どなかったし(もっともあれもポゴさんには表現の一つなのでしょうけれど)。
それでね、「じゃあそういう私はなんなのだ?」と思ったんです。今この瞬間にここでこういう演奏をしているポゴさんと、その演奏を聴いて色々思っている私。そんな私という人間は一体なんなのだ?と。私なんかよりずっとポゴさんの方が立派だしえらい、と思った。少なくともポゴさんは「今この瞬間」をちゃんと見つめて生きているではないか。
そして、演奏を聴いてこんなことまで考えさせる時点でポゴさんの演奏ってやっぱりすごいわ、と思ったり笑。

でもこの気分では元気に「Happy Birthday」は歌えないよぉ・・・とこのときはちょっと困っておりました。そういう気分にはまだなれない、と。
そう、今夜の演奏会は、入口でこんな紙↓が配られていたんです。ポゴさん59歳の誕生日のバースデーサプライズ





(20分間の休憩)

【ショパン: バラード第3番 変イ長調 op.47】
この演奏を聴いて、昨年のポゴさんのインタビューのpulseの話を思い出しました。
このゆっくり速度が今のポゴさんのpulseなのだな、ポゴさんが一番心地のいい状態なのだな、と感じた。なので完全に作曲家であるショパンの影は薄れ「ポゴさんのショパン」になっているし、そういう意味では前半のハイドンやベートーヴェンだって同じだったのだけど、なぜかこのショパンはいい演奏だと感じたんです。ポゴさんは芸術家なのだから自分の弾きたいように弾くのが一番いいのだな、と感じられた。やっぱりポゴレリッチとショパンって特別な何かがあるのだろうか(昨年のショパンも今聴くとよく聴こえたりして。うーん、どうだろ^^;)。
ようやくポゴレリッチのピアノの魅力がわかってきたような気がしました。

【リスト: 超絶技巧練習曲第10番/第8番「狩」/第5番「鬼火」】
もっともこちらも人間なので演奏に対して好き嫌いはあるわけだけど、このリストも、よかったな。youtubeにも上がってるけど、今夜の演奏と同じではないけれど、ポゴさんのこの曲の演奏が好きなんです。独特の艶とカッコよさがあって、なにより音楽的で。昨年、ラフマニノフの良さをポゴさんから教えてもらったけど、リストの良さもポゴさんに教えてもらえた気がする。このショパンとリストの時点で、「私、Happy Birthday歌える!」と思った笑。

【ラヴェル: ラ・ヴァルス】
「ポゴさんでしか聴けないラ・ヴァルス」でしたねー。私はとてもいいと思いました。終盤もうめちゃくちゃだったけど(曲が意図しているであろう以上に)、それでいい。めちゃくちゃでもポゴさん自身は安定していたように感じられました(たぶんね)。
地の底から響いてくるような最初の低音、ゾクゾクした。そしてあの深みと暗さと歪みと華やかさと官能と爆発。ポゴさんの音だよねぇ。天国と地獄の音だけど、でもやっぱりこの地上の音なのよね。それがポゴさんの音の最大の魅力じゃないかな。
そしてポゴレリッチの演奏って抽象画みたいだな、と感じた。親切じゃないのよね。でも聴衆の一人一人の感性を刺激して、色んなイメージを喚起させてくれる。それは私がよくピアノ演奏から感じる「風景が見える」というようなものではなくて、もっと根源的な感性の部分で、そういうところも抽象画ぽい。だからこそこの演奏を聴いて一人一人感じるものが全く異なりうる。今回のネットの感想を読んでいても、皆さんこの曲から受けたイメージがバラバラで、でもそれは決して悪いことではないのだと感じられるのでした。
私はといえば、遠くから微かに、でも確かに垣間見えるワルツの旋律にポゴさんがこれまで生きてきた時間を、そして最後には「今この瞬間ここにいる」そのことの意味を痛烈に肌で感じた「ラ・ヴァルス」でした。
昨年のアンコールのシベリウスもそうだったけど、この人のワルツは耳と脳にいつまでもこびりついて離れない危険な中毒性がありますね。
はぁ、、、、。こういう演奏をされちゃうと、好きとか嫌いとか言えなくなるよね、もう。。。
※追記:この曲のポゴさんの演奏時間を計っていらした方がいて、なんと20分超えだったそうです。へ~、私にはあっという間に感じられました。

アンコールは今夜は2曲。
【ラフマニノフ:『楽興の時』より第5番】
【ショパン:ノクターン ホ長調 作品62-2】
今回も前後左右に律儀にお辞儀。だけど昨年よりやっぱり穏やかに見えたな(昨年は仕草や笑顔がちょっと表面的に見えたの)。ポゴさんは仕草が優雅ねぇ。
ラフマニノフとショパン。清らかで温かくて美しく、そして少し切ない二曲。こんな温かさをポゴさんの演奏から感じるとは…。この世のものとは思えないほど美しい、でもまぎれもないこの世の音。音楽ってこれほどのものを見せられるのかと、音楽の力を感じた。ちょっと泣きそうになった。しかしポゴさんの弱音はほんっっっと綺麗だなぁ。ポーンってまっすぐに空間を抜ける感じ。そして最後にふわっと余韻を残して膨らむ響き。

そして舞台袖からケーキが運ばれ、客席全員でHappy birthday to you ~。ポゴさん、驚いてパっと笑顔。おお、なんて嬉しそうなお顔。正直この瞬間までポゴさんがこの怖いもの知らずな企画にどんな反応をするのかドキドキだったのでひと安心^^;。そんな顔で笑ってくれたらもう大きい声でHappy Birthday歌っちゃうよ!きっとみんな同じ気持ちでしたよね。すごく温かな合唱だったもの。皆さんすばらしい~、と歌いながら幸せな気持ちになれました。59歳、おめでとうございます!来年は60歳記念の来日公演ですって

ところでKAJIMOTOさんは、もうそろそろ宣伝に「復活」の言葉を使うのはやめてはいかがだろう。復活という言葉には「以前の状態に戻る」というニュアンスがあるでしょう。これからポゴレリッチがどういう方向に向かっていくのかはわからないけれど(良い方に向かうのか悪い方に向かうのかもわからないけれど)、彼が少なくとも昔に戻ろうとはしていないことだけはわかる。未来に向かって今を生きているでしょう。ポゴさんの演奏に「復活」という言葉は似合わないと思う。

そして私も、お金や時間や健康や、様々な条件に(とりあえずは)恵まれているからこうしてサントリーホールにいられる。ここにいられる「今」に感謝しないと、ね。

Ivo Pogorelich .."HAPPY BIRTHDAY !!" in Tokyo ..October, 20 ..2017 ..




ポゴさん嬉しそう



演奏会前日のKAJIMOTOさんのツイより。穏やかな笑顔

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『通し狂言 霊験亀山鉾 ― 亀山の仇討 ―』 @国立劇場(10月15日)

2017-10-19 00:00:04 | 歌舞伎




中日に行ってきました。
ニザさまの『盟三五大切』での現代風解釈インタビューには少々同意しかねていたワタクシ。だって劇場の中だからこそ徹底して悪の世界に浸りたいじゃないですか。現代にもそういう観客はいるのでございます。
で、「これで満足か!」と返されたような今回の国立劇場。
仁左衛門さんありがと~~~~(^^)/

まぁ、、、贅沢を言えば今回の水右衛門/八郎兵衛はあの伊右衛門@四谷怪談(私的ワンノブザベスト仁左さま)のようなゾクっとする色気1200%で女(含む観客)を弄ぶ色悪キャラクターじゃなかったのが正直残念ではありましたが~・・・。
でも思っていたよりカラリとライトな演目ではあったけれど、そういうものと受け入れてしまえば、悪人ニザさまが存分に見られたのはやっぱり嬉しかったですし、江戸の人達もこんな風にきゃーきゃー言いながら気軽にこのお芝居を楽しんだのかな~とか感じました。こういう楽しみ方って歌舞伎ならではですよね。


【序  幕 第一場 甲州石和宿棒鼻の場
      第二場 同 石和河原仇討の場
      第三場 播州明石網町機屋の場】
兵介(又五郎さん)を斬った刀を拭った懐紙をニヤリと笑ってパッ→ヒラヒラ。きゃ~、ニザ様ってばただ紙を放っただけでどうしてこんなに絵になるのぉ~~~~(>_<)!紙までが美しく見えるニザさまマジック。

二児の母になってもイケメン旦那の源之丞にゾッコンラブラブ(死語)なお松さん(孝太郎さん)。ちょいやりすぎじゃね感はあるものの、やっぱり楽しい。お里ちゃん@義経千本桜を思い出した。あのときもお相手は錦之助さんだったよね、と思ってブログを読み返したら時蔵さんだった!さすがご兄弟…。
錦之助さんはこういう悪気の薄い二股男がニンすぎる。
そもそもチーム播磨屋とチーム松嶋屋の共演というだけでファンは楽しい今月の国立。これで仁左衛門さんと吉右衛門さんが共演してくだされば言うことないのにぃ…(高~い壁…)。

人物関係は台詞で説明されるし、いくつかのお話は省かれてるし、二役が複数いるから、重要な台詞を聞き逃すと筋がわからなくなりがちな本作。皆さん状況説明場面をいつもよりゆっくり喋ってくださっていたおかげでなんとかストーリーに追いつけたんですけど、これってわかりやすくするためのニザさまの指示なのかな?と思っていたのだけれど、ツイ情報では今月前半は脇の役者さん達はプロンプ入りまくりだったとか。じゃああのゆっくり台詞は客のためというよりそういう理由だったのかしら

【二幕目 第一場 駿州弥勒町丹波屋の場
      第二場 同 安倍川返り討の場
      第三場 同 中島村入口の場
      第四場 同 焼場の場】
吉弥さん(丹波屋おりき)、こういうお役も素敵。彌十郎さん(官兵衛)との悪巧みコンビ場面はテンポよくて楽しかった!

そしてこの二幕はニザさま尽くし
・花道から勢いよく登場の八郎兵衛ニザさま。客席大喜びのみんなのアイドルニザさま。二枚目半ぽい役なのに二枚目なのが流石です(いい意味で)。
・「その色男はこの俺よ」的な台詞をサラリと言って客席全員が「うんうん」と当然に受け入れる稀代の二枚目役者ニザさま。
・身請け話が纏まるや否や徐に敷かれ始める赤いオフトン。あとはヤることは一つだけ。このシンプルさ(露骨さ)がイイネー。オレンジ色の帯も可愛い❤
・地蔵を片足で蹴倒して見学場所を確保する俺様水右衛門ニザさま。←かなりツボ
・鼻歌でも歌ってそうに楽しげに殺しを眺めるニザさま(川沿いの土手でのだんまりは四谷怪談を思い出しました~)。
・銀杏柄お衣裳でファン心をくすぐる隠亡ニザさま。
・入れ墨も似合うニザさま。
・水も滴るニザさま。ここは雀右衛門さんも美しかった!
・背から井戸に見事に落っこちてみせるニザさま(73歳)。
・や否や、燃え盛る早桶をバーンとぶっ壊し早変わりでご登場のニザさま。
・消した石井家ゆかりの人々を笑みを浮かべて指折り数え、国立の舞台に悪の華を咲かせるニザさま

本水の雨を見るのは二度目だなぁ。前回は4年前、あのもんのすごく楽しかった松竹座の『杜若艶色紫』(福助さーん…)。そういえばあれも南北でした。

雀右衛門さんの芸者おつま。いつも思うのですが、雀右衛門さんの女方って男好きしそうなタイプですよね。ふっくらした体とか雰囲気とか。

焼場のセットが楽しい♪ 棺桶作家の本領発揮な南北さん。

【三幕目 播州明石機屋の場】
彌十郎さんは官兵衛と作介の二役。又五郎さんも兵介と袖助の二役。彌十郎さん①は明らかな悪人で②は明らかな善人、又五郎さん①は早々に死亡するし、混同することはなかったけれど、やっぱり視覚的にはちょっと混乱します
先月の文楽に続き、二ヶ月連続で生き血の話。国立劇場では生き血がブームなのか。
秀太郎さんの貞林尼が素晴らしかった。生き血をとるために刀で刺してからも(原作だとこの役目は貞林尼じゃないんですよね)、やりすぎない自然な気品と存在感。そして温かさ。この場面、祖母を思い出してホロリとしちゃいました(祖母は健在ですが)。仁左衛門さんとの絡みも見たかったな。

【大詰 勢州亀山祭敵討の場】
たぶんどこかで台詞を聞き逃していたのだと思うのですが、水右衛門はどうしてこんなにこの「鵜の丸の一巻」にこだわるのだろーと思っていたのだけれど、士官のために必要だった、ということでよいのでしょうか。

最後は、討たれた水右衛門がムクリと起き上がり、全員横一列に平伏して「本日はこれぎり~」。
切口上って「お芝居を観てる」感じがして、楽しくて大好き!

二枚目役者片岡仁左衛門の団扇や松嶋屋の文字入り幕、花道から配る瓦版なども、歌舞伎感たっぷりで楽しかったです

12時半~16時半まで。1800円也。歌舞伎ってやっぱり最高のエンターテインメント!


――で。
ニザさまはもう伊右衛門をなさるおつもりはないのでしょうかね。。。。。あの全客席の婦女子を容赦なく悩殺し尽くした色気ぶっちぎり大サービス色悪は二日限りゆえの自主解禁だったのでありましょうか。。。。。の割に台詞完璧に覚えてらっしゃったじゃないですか~・・・(仁左衛門さんはいつも台詞完璧ですけど)。てか仁左衛門さんは本気であんな極上伊右衛門を人生で3回しか演じないで終えるおつもりですか!水右衛門がよくて伊右衛門はダメな理由ってなんですか!
・・・しつこいですよね、すみません。。。。でも、でも、私は身勝手さと冷酷さと凄みと甘さと色気と美しさのすべてを具えた仁左さまの伊右衛門が大好きなんですものぉぉぉ~~~・・・・・ でも今後万に一つ歌舞伎座で演じてくださることがあったとしても、もうああいう演技はしてくださらないのかもしれない、という気もしていたり(あの盟三五大切の改変を思うと)・・・・。


★★国立劇場HPより★★

片岡仁左衛門が10月歌舞伎公演『通し狂言 霊験亀山鉾 ―亀山の仇討―』の取材会で意気込みを語りました。

  

 8月29日(火)、10月歌舞伎公演『通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)―亀山の仇討―』の取材会を行いました。

 『霊験亀山鉾』は、四世鶴屋南北による仇討物の傑作です。平成14年(2002)10月国立劇場で70年ぶりの復活となる「丹波屋」「安倍川」「中島村」を中心にした場面構成で上演して絶賛され、その7年後には大阪でも再演されました。今回は、東京で15年ぶりとなる待望の上演です! 仇討の出立から成就までの展開をよりスピーディーにするなど、台本や演出をさらに練り上げます。昨年に開場50周年を迎えた国立劇場の“これからの50年”の第一歩を飾るにふさわしい、充実した舞台をお楽しみいただきます。

 公演に先立ち、藤田水右衛門、古手屋八郎兵衛実ハ隠亡の八郎兵衛の二役を勤める片岡仁左衛門が、舞台にかける意気込みを語りました。

  

片岡仁左衛門
(藤田水右衛門/古手屋八郎兵衛実ハ隠亡の八郎兵衛) 

 15年ぶりに東京で上演させていただくことになりました。8年前(平成21年1月)には大阪松竹座でも上演しましたが、初役で勤めた国立劇場でこの大好きな作品を再演できるのは、本当に嬉しいです。 

 このお芝居はそう度々上演できませんし、水右衛門と八郎兵衛はある程度体力を保っていないとできないお役ですから、もしかしたら「今回が最後かな……?」と思っています。でも、最後と言ってしまうと、もう一生できないと思われるので、「かな……?」です(笑)。 

  自分を追い込むわけではありませんが、今は大きなお役をやらせていただくと、「これが最後になるかも」という気持ちで挑むことが増えてきました。ぜひ、今のうちにできるだけ多くの方に自分のお芝居を観ていただきたいと思っています。 

 この作品は、“色気”と“冷酷さ”、“華やかさ”と“暗さ”、“陽”と“陰”がうまく入り混じって構成されています。悪人が活躍する残酷なお話ではありますが、お客様には残酷と感じさせずに「ああ、綺麗だな、楽しいな」と思っていただけるような雰囲気を出したいです。そして、“退廃的な美”と言うか、昔の“錦絵”を見ているような色彩感覚や芝居の色を楽しんでいただければ、何よりです。 

 水右衛門と八郎兵衛の演じ分けについては、特別に考えなくても自然と身体が動きます。水右衛門は浪人で、かなりの悪。役の身分や性格を頭に入れて演じていると、勝手に身体も動いていきますし、セリフ回しも自然なリズムになり、気持ちが乗っていきます。八郎兵衛は、最初はちょっと間の抜けた小悪党、それがお芝居が進むにつれ、本性を顕していきます。15年前の初役の時は、八郎兵衛を描いた錦絵をヒントに、役を創っていきました。

 15年前の時には、稽古直前の打合せで急遽、「中島村焼場」の舞台で本雨を降らせることにしたんです。色々あって初日に間に合うか心配しましたが、一つの見せ場として効果があったと思います。今回も降らせます。  

 このお芝居は娯楽性に富んでいて、あまり深く考えずに各場面を楽しんでいただけるので、初めてご覧になる方にもおすすめです。

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文楽地方公演『曽根崎心中』 @神奈川県立青少年センター(10月8日)

2017-10-15 01:52:28 | その他観劇、コンサートetc



先週末に行ってきました。
文楽の曽根崎心中は3年前に同ホールで観ているので、二度目です。席は4列目中央、3400円也。やっぱり前方席はいいね~。

3年前は玉男さん(当時は玉女さん)の徳兵衛&和生さんのお初ちゃんのカップルで見て、二人の間の恋にきゅ~ん(>_<)❤と心臓を掴まれたワタシ。今回はそういう感じは薄かったのですが、また違った感じで、それはそれで興味深かったです。

勘十郎さんのお初ちゃんは、生玉社前では普通の若い女の子に見えて、それが天満屋でどんどんあちらの世界に近づいていって、天神森ではもう迷いなくあっちの世界を見ているように見えました。両親との別れは悲しくはあるけれど、死なないつもりは微塵もない。
いつも思うけれど、勘十郎さんの人形って、斜め上を見上げる角度(上のポスターのお初ちゃんの角度)のときに独特の澄んだ空気を纏うように感じます。今回も天満屋以降どんどんそういう空気を感じました。

清十郎さんの徳兵衛は、男らしさも垣間見えた玉男さんの徳兵衛と比べ、「騙されてもう生きていけない。死ぬしかない。え、初も一緒に死んでくれるの。嬉しいな。じゃあ一緒に死のう」という感じの徳兵衛に見えました笑。自分で精いっぱい気味で、お初ちゃんにちゃんと愛情はあるのだろうけど、彼女のことを考える余裕はないような。ナヨいというか、ちょい自分勝手気味に見えてしまった(そして天神森に来てようやくお初を死なすことに躊躇する)。玉男さんの徳兵衛はもしかしたら初のような子が恋人じゃなければこの人は死ぬことにはならなかったんじゃないかと感じたけれど、清十郎さんの徳兵衛は一人でも死んじゃいそう笑。ある意味リアルで、これはこれでアリかも。

床は全体にちょっと情感が薄く感じられたような、、、。津駒太夫さんの九平次@天満屋が楽しかったです。

3年前はこれに『道行初音旅』がついていたのでお得感は減りましたが、曽根崎だけでしっとり終わって帰るのもいいですね。

本編前の解説は希太夫さん。3年前もそうだったみたいなのだけど、あまり記憶がない 。希太夫さん、解説うまいな~。とてもわかりやすかったですし(「曽根崎は今の大阪駅から徒歩10分くらいの場所で~」とか)、お声も通って聴きやすかったです。そして伝統芸能の方って皆さんそうですが、仕草がすっきりと美しかった。見習わなければ、と思ってしまいました。そして今更ですが「とくべえ」のアクセントって_  ̄  ̄ _なのね。

開演前にロビーで文楽人形と一緒に写真を撮れるサービスがあったのですが、私はガラケーなので・・・・・。しかも人形は深雪ちゃんだったのに・・・・・
気を取り直して皆さんが撮影されている様子を近くで眺めていたのですが、お人形の動きが一瞬簑助さんのそれに見えて吃驚
スタッフの方に「あの人形遣いさんはどなたですか」と聞きたかったのだけど、皆さんお忙しそうで断念。帰宅後にネットで調べたところ、簑紫郎さんという方でした。私より一歳上で、簑助さんのお弟子さんとのこと。勘十郎さんも簑助さんのお弟子さんだけど動きにあまり似た感じは受けないのに、面白いなぁ。清十郎さんも簑助さんのお弟子さんですね。


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Jurowskiはユロフスキだった。

2017-10-11 23:20:20 | クラシック音楽


"Jurowski"は日本語ではユロフスキなのだと知る9年目の秋 
ロンドンフィルと日本に来てるんですね。ということも先程知りました。
ユロフスキって今45歳なのだそうで。ということは、あのときは36歳だったのか。若く見えたけど、本当に若かったんだなぁ。そして私はもっと若かった・・・

あの9年前の夜のことは決して忘れませんよ。あのロイヤルフェスティバルホールの客席の衝撃的な私語と咳の多さ。。。その後に行ったときも同じだったのであれがクラシックコンサートの普通なのかと思っていたら、後に日本でそうではなかったのだと知ったのであった。日本人のマナーって本当に素晴らしい(たまに補聴器と着信音に苦しめられはするけれど)。
でもお値段は・・・・・・・・・・。
私が聴いた公演↓は、£16でした。ピアノはグリモーさん。

2008年11月26日 London Philharmonic Orchestra @Royal Festival Hall 
※Vladimir Jurowski、Hélène Grimaud(p)
「Debussy:Le Martyre de Saint Sebastien: Fragments symphoniques」
「Rachmaninov: Piano Concerto No 2 in C minor」
「Tchaikovsky: Symphony No 6 in B minor ‘Pathetique’」

ラフマニノフのピアノ協奏曲2番とチャイコフスキーの悲愴って、ほとんど今回の来日公演と同じですね
9年ぶりに聴いてみたい気もするけれど、値段が高すぎて。。。チェコフィル行っちゃったばかりなので、我慢します。来週のポゴレリッチもあるしね。

そんなロンドナー聴衆でしたが、演奏後は拍手&ブラボーの嵐でした。人気あるんだなあ、と感じたのをよく覚えている。
しかし肝心の演奏の記憶はほとんどなかったり…(コッテリ系でなかったことは確か)



LPOのホームのRoyal Festival Hall。音響はよくないけど、アクセスがよく利用しやすいので、クラシック以外でも何度かお世話になりました。

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チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 『わが祖国』 @みなとみらいホール(10月1日)

2017-10-02 22:49:03 | クラシック音楽


チェコ・フィルとマエストロ・アルトリヒテルは、ツアーの全公演をマエストロ・ビエロフラーヴェクに捧げ、彼のチェコ音楽への貢献と日本のファンの皆様への愛を讃えたいと思います。

(チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)

このツアーに対するオケと指揮者の特別な想いが強く伝わってきた、とても温かくて熱い(日本語ヘンですが)、非常にいい演奏会でした。好きとか嫌いとか上手とか下手とかいう次元とは違う場所で魂を揺さぶられました。音楽の力ってすごいね・・・。
なので感想なんて書くのはヤボだけれど、覚書なので書いておきまする。


【第1曲 ヴィシェフラド】
アルトリヒテルさんの指揮についてはプラハ交響楽団と来日したときのレビューを読んでいたので覚悟はできていたけれど、想像以上の爆音系だった笑。今日の演奏、全体を通して「ここはもっと抑えた音で聴きたい」と感じたときは正直何度もあったし、こういうクライマックスの連続のような演奏は本来私の好みではないのだけれど、なぜか今日は全く嫌な感じを受けなかったのが不思議でした。その最大の理由は、やはり彼らの想いが演奏から強く伝わってきたからだと思います。
そして、そもそもオケの音がとても私の好みだったから。始まってすぐに「いい音だなあ、好きな音だなあ」と感じました。バイエルン放送響のように聴いた瞬間に「うわこのオケ上手いっ」と感じるような音ではないし、BRSOに比べると粗さもあるのだけれど、その大らかさこそがひどく心地よく、美しく感じられたんです。でも、その誠実で温かみのある音はBRSOから受けた印象とちょっと似ていました。温かみだけじゃなく禍々しさもちゃんと出ているところも。音に突き抜けた解放感があって、厚みと軽みのバランスが絶妙で。うーん、好きだなあ。
神経質じゃないのに鈍感な感じが全くないのは、指揮者はもちろんですが、きっと一人一人の団員の感覚も優れているのでしょうね。
そして胸の奥まで届いてくる絶対的な説得力は、やはり彼らとこの曲の繋がりの濃さゆえでしょうか。アルトリヒテルも楽譜無しで確信をもって指揮されていました。

【第2曲 モルダウ】
私は基本目を閉じて演奏を聴く人間なんですけど、今日の演奏は時々音にはっとさせられて反射的に目を開けて舞台を見入ってしまう瞬間が何度かあって。例えばモルダウの例の主題、一番最初のフレーズは「随分ゆったりと大人しく演奏するのだなあ、この川このまま失速するんじゃ…」と思っていたら、その後の第二フレーズ(ソドーレミーファソーラシードレーラードシー♪のところ)のぶわぁっと膨らむような盛り上げ方!うねって広がる川の流れが見えてぞくっとしました。
そしてその雄大な流れのこの上ない美しさ、ラストの華麗さと壮大さには川の描写以上の強い何か(ブラニークのラストと共通する何か)がはっきりと感じられて、それこそがスメタナがこの曲に込めた想いなのだろうなと感じたのでした。

【第3曲 シャールカ】
モルダウに続いてこのシャールカ、とても感動しました。特に後半。
兵士達の酒盛りは、カリブの海賊のような賑やかさと猥雑さがものすごく楽しかった。ただ美しい音で演奏するだけでは出ない魅力だと感じました。
そしてこのオケ、鳴らしすぎに感じられるときも確かにあるのだけれど(でも最大音量でも音は完璧に美しくまろやかなんですよ~)、静かな部分の演奏も本当に上手い。
ホルンの合図の後にアマゾン軍を密やかに誘導するシャールカのクラリネットの裏で弦が不気味にザワザワした演奏をするところ、どこかわからない場所から聞こえる音のように感じられてゾクゾクしました。ここはクラリネットも素敵だった~。
その後の怒涛の追い込みは、まさに殺戮が目に見えるよう。思いきり鳴らされる弦と金管はもう神々しいほど。このカンジ何かに似てる、何だっけ?と思っていたら、そうだ、ヨハネの黙示録のラッパだ。
最後の最後まで呼吸を忘れるほどの集中力と迫力で連れていってくださったアルトリヒテルさんとそれに見事に応えたオケ。ブラボー!でございました。

(20分間の休憩)

【第4曲 ボヘミアの森と草原から】
【第5曲 ターボル】
【第6曲 ブラニーク】
ここに休憩を入れるのはなかなかいいなと思いました。一息ついて「さあ後半」といかないと、こちらの気力と体力がもたない
さて、第四曲。個人的にはボヘミアの森や草原の風景や空気はあまり感じられなかったのですが(もともと今日の演奏はリアルな情景描写系とは違うように思うし)、スケールの雄大さはここでも感じることができました。
そして「ターボル」から「ブラニーク」へ。
この記事の冒頭に書いたのは特にここのことなんです。好きだとか嫌いだとか上手いだとか下手だとかそういう次元と違うものが胸に響いてきた演奏だった。ブラニークの終盤、ホルンの先導から「汝ら、神の戦士ら」のコラールへ。ここの強奏、実は演奏が熱過ぎて私の座ったRA席からはほとんど主旋律がわからなかったのですよ(旋律を知っていたから追えましたけど)。でもそんなの全く無問題、と思わせられるものがあったんです。そして最後に輝かしくヴィシェフラドの主題が現れたときには涙が出そうになりました。スメタナが心で見ていた風景が見えた気がして。スメタナは初演のときにはもう耳が聴こえなかったのだとか。でもきっと彼の心はこの風景を見ていたに違いない、と確信をもって感じることができました。正直初演の演奏はここまで爆演ではなかったろうと思うのですが笑、スメタナの心が見ていたであろう風景とチェコの民族の魂と誇りを感じさせてくれた、今夜の演奏だったんです。愛国心って本当はこんなにも温かくいいものなんだな、と感じさせてくれたチェコフィルの『わが祖国』でした。

【ドヴォルザーク:スラ舞曲第二集第八番(アンコール)】
アルトリヒテルから、このオケの首席指揮者・音楽監督であり、この5月に亡くなられたビエロフラーヴェクへの追悼の言葉の後に。
聴きながら、音楽による繋がりっていいな…と心の底から感じました。同じ感想をネットに書かれている方がいらっしゃったので、そう感じた人は多かったのではないでしょうか。
アルトリヒテルがビエロフラーヴェクに最後に会ったときにこの第8番の話をしたそうで、そういう理由でこの曲が今回のアンコールに選ばれたそうです(その経緯の書かれた山口公演のロビーの掲示板の写真をツイに上げてくださっている方がいました)。アルトリヒテルと団員の方達のビエロフラーヴェクへの想いの込められた、温かいアンコールだったなあ。ビエロフラーヴェクに特別な思い入れのある人、彼の公演から特別な感動をもらったことのある人は、涙を禁じ得なかったのではないかと思う。私でさえ泣きそうになったもの。私の場合は、先程も書いたけれど「音楽による人と人の繋がりって本当に美しいものだなあ」ということが、しみじみと感じられたからです。そして人間の美しさも。
「私たちの心の中は美しい音楽で満たされています。心を開いてこの美しい音楽を皆様と共に楽しむことは、私たちにとってこの上ない喜びであり、また、大変有り難いことでもあります。」
このチェコフィルからのメッセージ(全文を下に載せておきます)は帰りの電車の中で初めて読んだのですが、まさにこの言葉のままの、彼らとビエロフラーヴェクとの心の繋がり、そして彼らが心を開いて私達聴衆と音楽の美しさを共有したいと思ってくれていることが伝わってきた、温かく、そして切ない、そんなアンコールでした。

客席からはアルトリヒテルさんに対するソロカーテンコールの拍手が続いたけど、決して出てこられず、あちらのスタッフの方が舞台袖から両手の×で「マエストロは出ませんよ~」な合図があって拍手がやみました。自分は代役、ということなのでしょうね。とても謙虚な雰囲気の方だった。

今年はミュシャの『スラヴ叙事詩』全作とチェコフィルの『わが祖国』全曲という長年の2つの夢が思いがけず叶った、いいチェコ年だったな

~日本公演にむけてのメッセージ~

 親愛なる首席指揮者・音楽監督のマエストロ・イルジー・ビエロフラーヴェクを亡くし、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団は深い悲しみの中にありました。このような状況でしたが、マエストロ逝去以来、初めての大規模なツアーで日本を訪れる運びとなりましたことに、団員一同、心から感謝しております。
 イルジー・ビエロフラーヴェクとチェコ・フィルの団員たちは、あらゆる国々の中でも、とりわけ身近で親愛なる国として、常に日本を愛してきました。今回、私たちは献身的な音楽家であり、マエストロ・ビエロフラーヴェクの友人でもある、マエストロ・ペトル・アルトリヒテルの指揮の下に熱心で心温かい日本のファンの皆様と音楽の愉しみを共有できることを大変嬉しく思っております。
 今年5月の「プラハの春音楽祭」では、予定されていたプログラムを指揮することができなくなったマエストロ・ビエロフラーヴェクが、個人的にマエストロ・アルトリヒテルに代役を依頼しました。こうした経緯を踏まえ、二人の友情の象徴として、マエストロ・ペトル・アルトリヒテルと共に、今回のツアーを行うという結論に達しました。
 チェコ・フィルとマエストロ・アルトリヒテルは、ツアーの全公演をマエストロ・ビエロフラーヴェクに捧げ、彼のチェコ音楽への貢献と日本のファンの皆様への愛を讃えたいと思います。
 私たちもマエストロ同様、日本の皆様が大好きです。私たちの心の中は美しい音楽で満たされています。心を開いてこの美しい音楽を皆様と共に楽しむことは、私たちにとってこの上ない喜びであり、また、大変有り難いことでもあります。
 この場をお借りして、御礼申し上げます。
(チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)


親愛なる日本の皆様へ
 私の友人であり指揮者仲間でもあったマエストロ・イルジー・ビエロフラーヴェクの代役として、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートを指揮することは、私の人生において、とても特別な出来事です。 
 イルジーは並はずれた人であり、今日のチェコのクラシック音楽界における最も重要な人物でした。彼は自身の音楽キャリアの全盛期をチェコ・フィルに捧げ、チェコ・フィルを未だかつてないほど高いレベルにまで引き上げました。彼は、団員たちを深く愛し、全てのコンサートを団員たちと共に楽しみました。幸運なことに、私は度々プラハで、こうした幸せな時間をイルジーと共有することができました。
 過去5年間に、私は何度かチェコ・フィルを指揮する機会に恵まれました。その度に私が実感したのは、イルジーがオーケストラの意識を向上させたことや、団員たちの間に、人生最高の演奏をしたいという共通の欲求が常にあったことです。
 今回のツアーで一連のコンサートを指揮すること、そして、私たちの音楽に対する愛を日本の皆様と分かち合えることは、私にとって大変光栄なことです。日本は私の心の中でいつも特別な存在です。毎回、この美しい国を訪れる度に私が感じるのは、日本の聴衆の皆様が、チェコの音楽を深く、真に理解してくださっているということです。こうした例は、世界中他のどこにもありません。チェコ・フィルの団員共々、「イルジーさん」と日本のファンの皆様のために演奏することを、心から楽しみにしています。
敬具
(ペトル・アルトリヒテル)

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