風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

今年一年、ありがとうございました。

2008-12-29 17:58:18 | 倫敦うるるん滞在記


今日は大好きなリッチモンドをお散歩してきました♪
リッチモンド・パークはわたしがロンドンで一番好きな公園です。
といっても初めて行ったのが数日前なので、今日で2度目。
1年もいたのに、もっとはやく行っておけばよかったぁ・・。
駅からハムハウスまでのテムズ川沿いの散歩道では、セントラルで見るのとはちがう悠々と流れるテムズをたのしめます。写真を載せられないのが残念。。
ああいう景色のなかを歩いて、「Mom、夕陽がきれい!」なんて叫んでいる子供たちを見ていると、誰に教えてもらわなくても自然の美しさを感じられる人間に育つんだろうなぁとおもった。
ちなみにハムハウスとは400年前に建てられた洋館で、わりと有名なホーンテッドハウス(笑)。
そしてリッチモンドヒルのいっちばん眺めのいい場所にはミックジャガーが昔住んでいた邸宅があって、今でも元妻さんとお子さん達が住んでいます(そういえば半年くらい前に偶然目の前50cmくらいでミック本人を見ました)。その目と鼻の先にはThe whoのピート・タウンゼントの家、と何げに見どころがある街。といっても、わたしは友達に聞くまでwhoが何かもしらなかった人間ですが。
しかし、さすがにいいところに住んでるなぁ。

ここに限らずよく一人で散歩してると、イギリス人の年配の夫婦や犬の散歩をしているおばちゃんなんかがニコ~ッと微笑みかけてくるんだけど、あれは「あらあら、女の子が遠いところから一人でここまで来たのねぇ」的な感じなんだろうか。黙ってるのもなんなので「Hello!」と言うと「Hello!」とまたニコニコ。自然が多い場所の散歩中に出会う人は親切な人がおおいです。

帰りにセールのお買いものもしました。定価£44のワンピースをレジに持って行ったら£30と言われ、「え、50%OFFなんじゃないんですか?」と聞いたら、「up to 50% offよ」と・・・。でも何も書いてないからどれが何%OFFかわからないんですけど!、、、結局キャッシュが足りずカードで買ったわ、、、(£25しかもってなかった)。

さて、本題。
さいきんこのブログを読みかえして(かなり恥ずかしかったが)、まぁだらだらとよくも書いたものだなと思いつつ、結局わたしがここで一番伝えたいことはひとつなんだなぁと改めておもったりしたのです。
それは、
他人に迷惑さえかけなければ、人はどんなふうに生きてもいいのだということ。
いろんな人間がいていいし、いろんな幸福の形があっていいということ。

そんなことわかってるよと言われるかもしれないけれど、日本はまだまだそういう社会には程遠いと思うから、こうしてくりかえし伝えたいとおもうのです。
子供たちですら、もしかしたら子供たちの方が、互いの多様性を認め合うことを知らないように感じるのです。それはわたしが子供のころよりひどくなっているような気さえします。

漱石は「倫敦で暮らしたる2年は最も不愉快の2年なり」と言いました。
けれど、イギリスでの2年間がなければ作家夏目漱石も誕生していないことも明らかです。
漱石がイギリスで学んだ一番のものはなんだったでしょうか。
それこそが、イギリスの個人主義でした。

では、そもそも「個人主義」とはなにか?
一人一人が他人を気にせず、自分の意見を通すことでしょうか。
すこし堅苦しい説明ですが、Wikipediaから引用しましょう。

個人主義は、個々の人間の人格の独自性と自律性を重んじる立場であり、その時々に形成された場の雰囲気に流されることのない、一個人としての一貫性のある深く統合された思想と責任ある行動を高く評価する。

個人主義は、他者の拒絶や排除によって成り立つ利己主義とは異なり、自己のみならず他者の人格をも尊重することをもって初めて達成しうるものである。他人に対するように自分を尊重し、自分に対するように他人を尊重しなければこういった考え方は十分に機能せず、エゴイズムの暴走を招くことになる。そのため高度な知性と自己統制を必要とするスタイルであるといえよう。


漱石は、大正3年11月、学習院で「私の個人主義」という講演をしました。
そこで、次のように述べています。

……近頃自我とか自覚とか唱えていくら自分の勝手な真似をしても構わないという符徴に使うようですが、その中にははなはだ怪しいのがたくさんあります。彼らは自分の自我をあくまで尊重するような事を云いながら、他人の自我に至っては毫も認めていないのです。いやしくも公平の眼を具し正義の観念をもつ以上は、自分の幸福のために自分の個性を発展して行くと同時に、その自由を他にも与えなければすまん事だと私は信じて疑わないのです。我々は他が自己の幸福のために、己れの個性を勝手に発展するのを、相当の理由なくして妨害してはならないのであります。

……英吉利(イギリス)という国は大変自由を尊ぶ国であります。それほど自由を愛する国でありながら、また英吉利ほど秩序の調った国はありません。実をいうと私は英吉利を好かないのです。嫌いではあるが事実だから仕方なしに申し上げます。あれほど自由でそうしてあれほど秩序の行き届いた国は恐らく世界中にないでしょう。日本などはとうてい比較にもなりません。しかし彼らはただ
自由なのではありません。自分の自由を愛するとともに他の自由を尊敬するように、小供の時分から社会的教育をちゃんと受けているのです。だから彼らの自由の背後にはきっと義務という観念が伴っています。

……個人の自由は個性の発展上極めて必要なものであって、その個性の発展がまたあなたがたの幸福に非常な関係を及ぼすのだから、どうしても他に影響のない限り、僕は左を向く、君は右を向いても差支ないくらいの自由は、自分でも把持し、他人にも附与しなくてはなるまいかと考えられます。それがとりも直さず私のいう個人主義なのです。


この100年前の漱石の言葉で、今年の締めとしたいと思います。
シンプルなサイトにしようと決めたばかりなのに、結局最後まで文字だらけの更新になってしまった。。

これがイギリスからの最後の更新です。
次回は日本から^^
この一年間、愚痴も含め言いたい放題な文章に付き合っていただいて、本当にありがとうございました。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします。
よいお年を(^_^)!

リッチモンドもいいけれど、イーストエンドのテムズの眺めも私は大好き。この辺はいま再開発の真っ最中なので、あと何年かしたらこの眺めも変わってしまうのかもしれないなぁ。

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Merry Christmas!!!

2008-12-25 12:49:46 | 倫敦うるるん滞在記

みなさま、Merry Christamas!!!

いよいよ帰国まであと一週間となりました。
みなさま、今年はどんな一年でしたか?
私は、例年になく色々な体験ができたとても充実した一年でした。
これから日本へ帰って大変なことはたくさんあるだろうけど、思い切ってイギリスへ来て本当によかったなと思います。

さて、これ↓は今日12月25日のロンドンの天気予報。

 

本日の日の出8:05日の入15:56
これが冬のイギリスでございます。
国立公園などへハイキングへ行く時は、この日の入の時間を意識しておかないと大変なことになります。3時には夕陽ですからね^^;

最後のラストスパートとばかりに毎日観光しているんですが、カメラがぶっ壊れた(正しくはぶっ壊した)ので写真をアップできなくて残念。
仕方がないので日本に帰ってからですね。
毎日どこかしら出かけてます。
イギリスの鉄道代は高いというけれど、そうでもないと思う。
先日もロンドンから2時間かけてイギリス南部の海岸まで行きましたけど、往復で£11(学生料金ですが)でした。今のレートでいうと1500円くらい。

さて、本日25日はロンドンは全交通網がサービス停止です。チューブもバスも。
どこかへ行きたいならマイカーか、マイカーのない人は徒歩のみ。
日本では考えられませんね。これがイギリスのクリスマス。
その代りNew Year's Eveの夜から新年の朝にかけてはノンストップで運行し、なんと全線無料。これがイギリスのNew Year。

本日のTransport for londonのサイトより↓。


全線planned closure. 面白いから記念に残しておきます。
でも、festive periodの案内の絵は可愛いなぁ。
今Tubeの駅には"We wish you all a merry christmas. "の綺麗なポスターが貼られています。
大不況でも、そんなどうしても必要とはいえないポスターを刷っちゃったり、人通りの少ない倉庫エリアにも一晩中イルミネーションを絶やさなかったり。イギリスのそういう人間らしい遊び心がある面は大好き。特に何も考えていないだけかもしれないが、笑。
いずれにしても「不況だから」とすぐに一喜一憂して街のイルミネーションをやめてしまう日本とは大違い(首都圏の某市のハナシ)。
不況だからこそ、多少お金を使ってでも街をイルミネーションで飾って明るい年末&新年を迎えてみせる、そんな心意気はないものか。
江戸ッ子よ、どこへ行った?

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Cultural Gap

2008-11-01 23:41:46 | 倫敦うるるん滞在記




もー、なんというか、来年1月日本に帰るのがどんどんつらくなってきた・・・・。
わたし、日本も大好きですよ。文化も、歴史も、食べ物もおいしいし、治安もまぁいいし、待っていてくれる友達もいますしね。
でもね・・、イギリスもいいところがほんとうに沢山あるんですよ。
もちろん住んでいれば嫌な思いも沢山しますし、いいところばかりでは決してないんですけど、それでも、いいところがほんとうに沢山あるのです。

イギリスの一番好きなところは、基本的に人間がほんとうに気さくなところ。まぁアメリカ人のようなアメリカ~ンな気さくさではないですし、スペイン人に言わせれば全然だそうですが、それでも日本人に比べたらずーっと気さくです。人と人との間に壁がない。

先日もTUBEに乗っていたら、自分の降りる駅を乗り過ごしちゃった男性が、隣に座っていた私に「あれだよねー、TUBEはさ、ドアが閉まるのが早すぎるよね。気づいておりようとしたのに、もうダメなんだもんな~」と笑顔でペラペラ話しかけてきました。

夏には、これはイギリス人じゃないですが(たぶんアメリカ人。手に「LONDON」っていうガイドブックを持ってた)、TUBEで向いに座っていた若い男の子が「毎日あっついよねー。こんな暑い日にはイギリス人は水浴びしたりするの?」とニコニコ話しかけてきました。「ごめん、わからない。わたし、イギリス人じゃないから」と言ったら、「えっ、そうなの?!ごめんね」となぜか驚かれました(どこからどう見てもイギリス人には見えないだろうに)。

読み終わった新聞を持ってると「それ、わたしが読んでも良い?」みたいに話しかけてくる人もいるし。

TUBEやバスで、お年寄りやベビーカーを押しているお母さんがゆっくりゆっくり降りようとしていると、どんなにドアが閉まってしまいそうになっても、後ろの人は押しのけたりしません。まずほとんどの人はのんびり後ろに立って待っています。「急いでくれないかなぁ!」というような顔もしません。

昨日は、やはりTUBEで降りる駅に着いたとき、立っていた私がバッグを抱えなおしたのと同時に、前に座っていたイギリス人の兄ちゃんが立とうとして、私はその兄ちゃんの頭に思いきり肘鉄をくらわしてしまったんですよ。それで「わっ、Sorry~~~!!」と謝ったら、ユーモアのある顔でニコニコ笑って「That's OK!!」って片手をあげてくれました。ほんと、こっちの人達のこういうときの笑顔にはいつも感心します。みんな、いい笑顔するんだよなぁ。
これもイギリスでは別におどろかないですけど、これが東京だったら・・・・・・と思ったら悲しくなった・・・・・・(;;)。
日本にいたころ、散々東京で通勤ラッシュの電車に乗りましたが、カバンがちょっとぶつかっただけで何度にらまれたことか。ちょっと肩が触れただけで何度舌打ちされたことか。謝っているのに嫌な顔をされたことも数知れず(嫌な顔を示さないと損とばかりに)・・・。
ああ、どうしてこんな国になってしまったのだろう、日本は。
自己中と個人の尊重は別物だよ。

海外に出てみることに興味を示さない&価値を見出さない日本人は沢山いますが、ほんと、島国の日本人はやはり一度海外を見てみる経験が必要だと私は思います。旅行でもいいから(できればツアー以外で)。
日本の良さも悪さも、知ることができる。
それはとても大切なことだと思うのです。
国がどうこうじゃなく、人として。

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ロンドンに初雪!

2008-10-30 10:07:55 | 倫敦うるるん滞在記


Two days after British Summertime ends, Londoners get to grips with earliest snowfall since 1934

サマータイムが終了してまだ2日しかたっていないというのに、昨夜(28日)ロンドンに初雪が降りました!
10時頃、なんか深々と冷え込むなぁと部屋の窓から外を見たら・・・見たら・・・、降ってるわ降ってるわ。
イギリスの気まぐれな天気には慣れたつもりだった私も、さすがにあんぐり。。。
今日イギリス人の家主に「これって普通なの?」と聞いたところ、「とんでもない、異常だ!ロンドンでは雪自体めったに降らない」とのことで、「1934年以来のことだよ。You are lucky!」と言っていました。
1934年以来かぁ。70年に一度の瞬間に出会えたとは、たしかにluckyか。
お仕事もなかったので、家でのんびり雪を楽しみました。
もっとも、今朝は残雪のために空気がすごーく冷たかったです。。。

上記写真はthelondonpaperのサイトより拝借しました。綺麗ですよね。

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ピーターパンの舞台を歩こう

2008-10-29 12:43:17 | 倫敦うるるん滞在記

"But who is he, my pet?"
"He is Peter Pan, you know, mother."

(『Peter and Wendy』 J.M.Barrie)



イギリスはレッド・ツェッペリンやローリング・ストーンズを生み出したロックの国であって、シェークスピアやディケンズを生み出した文学の国であって、そして、なんといっても数々の名作を生み出したファンタジーの国でもあります。
ハリー・ポッター、指輪物語(ロードオブザリング)、不思議の国のアリス、くまのプーさんとあげればきりがなく、ロンドンからちょっと足を伸ばせば今も変わらず残る舞台となった景色に出会うことができます。

さて、今回はロンドンが舞台のこのお話。
『ピーターパン』。
ピーターパンとティンカーベルが住んでいるのはロンドンの中心地にある広大な公園、ケンジントンガーデン。
ウェンディ一家が住んでいるのは、そのケンジントンガーデンから少し北のノッティングヒルの住宅街。
すべて徒歩で周れるので、一日あればピーターパンの見どころはすべて周れてしまうのです。


まずはKensington Gardensから。
ジョニー・デップ主演の『Never Land』もここで撮影されました。
彼が座っていた形のベンチもあちこちにありますよ^^



Kensington Gardensの一角にあるピーターパンの像。
公園内の地図にも書いてあるので、すぐにわかります。
ところでここを訪れるなら、『リヴィエラ』の場合と同じく絶対に秋・冬をおすすめします。イメージにぴったり。
逆に夏はイメージが崩れるのでお勧めしません。。


Kensington Gardensから北のBayswater Roadを一本はさんだところにある、作者J.M.Barrieの家。


漱石の家と同じく、ここにもブループラークがあります。
(・・・って、今気づいたけど、私、漱石が一番長く住んだ最後のクラッパムコモンの下宿先の写真、あげてなかったですね。すっかり忘れてた。近いうちにあげ・・・られればいいなぁ・・・)


バリーの家からてくてくと北西へ歩いて行くと、ノッティングヒルの高級住宅街のど真ん中、その名もKensington Park Gardensという通りにウェンディ一家の家のモデルとなったデイヴィス家があります。
ここの屋根裏部屋の窓からピーター達はネバーランドへと飛び立ったのですね^^
雑雑としたポートベローマーケットから一本奥に入っただけとは思えない、イメージ通りのとても素敵な通りです。


にゃんこ^^
とても人懐こくて、ずーっと後ろをついてきました。

以上、ピーターパンを巡る旅でした^^
あ、番外でもう一つ。
ピーターパンやウェンディの気分を味わえる一番のアトラクションといえば、これ!
そう、London Eyeです。
お値段はちょーっと(かなり?)高めですが、その夜景の美しさは抜群!
乗る価値アリですよ。
旅の思い出にぜひどうぞ^^
よく長時間待ちと言われますが、私が乗ったときは5分待ちくらいで乗れました。





テムズ川とビッグベンを見下ろす。

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サマータイム終了

2008-10-26 10:16:11 | 倫敦うるるん滞在記
サマータイムなんて面倒くさいだけではあるけれど。
はじめてサマータイムの開始と終了を体験したら、おもいのほか面白い気分をあじわえた。

サマータイム終了のことをすっかり忘れていて、さっきまでネットで遊んでいたんですが、もう2時だからいい加減に寝なきゃ・・・と思ってふとパソコンの時計を見たところ、午前2時になるその瞬間に時刻が「1:00」に変わった(パソコンの時計はサマータイム対応なのである)!
なんかすごい得した気分。おもっていたより長く寝られるではないか。
サマータイム開始時は損した気分がしたものだけど、終了時はこういう気分が味わえるのか。
とはいえこれで一気にくら~い冬に突入です(昨日までの18時の暗さが、今日からは17時になるんだものねー)。

そして腕時計から目覚まし時計から、ぜんぶ1時間早めなきゃならないのは超めんどくさいぞ。。。!

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漱石の散歩道(下宿~バタシーパーク~カーライル博物館)

2008-10-01 19:19:59 | 倫敦うるるん滞在記


バタシーパークからテムズ河をはさんで対岸のチェルシーをのぞむ


 余は晩餐前に公園を散歩するたびに川縁椅子に腰を卸して向側をめる。
倫敦に固有なる濃霧はことに岸辺に多い。余が桜の杖にえて真正面を見ていると、かに対岸の往来い廻る霧の影は次第に濃くなって五階の町続きの下からぜんぜんこの揺曳くもののに薄れ去って来る。しまいには遠き未来の世を眼前に引きしたるように窈然(ようぜん)たる空の中(うち)にとりとめのつかぬ鳶色の影が残る。その時この鳶色の奥にぽたりぽたりと鈍き光りがるように見え初める。三層四層五層瓦斯(ガス)を点じたのである。余は桜の杖をついて下宿の方へ帰る。

 カーライルはおらぬ。演説者も死んだであろう。しかしチェルシーは以前のごとく存在している。否(いな)彼の多年住み古した家屋敷さえ今なお儼然(げんぜん)と保存せられてある。千七百八年チェイン・ロウが出来てより以来幾多の主人を迎え幾多の主人を送ったかは知らぬがとにかく今日まで昔のままで残っている。・・・・・・

 毎日のように川をてて霧の中にチェルシーをめた余はある朝ついに橋を渡ってその有名なるりをいた。

(夏目漱石 『
カーライル博物館より)


全然更新していないにもかかわらず、最近カウンターがものすごい勢いで回っているのはなぜだろう。。。
NHK大河効果とか?
(今年の大河は観たかったよー。正月にイギリスに来て、正月に日本へ帰る私にはまったく不可能なことだったが)。

更新していないのは書くことがないわけではなく、書きたいことは山ほどあるんだけど、時間がないのです;;
最近ではスコットランドへ行ったり(偶然、漱石の滞在していた街も行きましたよ^^)、あと一昨日、秋晴れの中、漱石の散歩道をそのまま辿ってみました。
クラッパムコモンの下宿先~ラヴェンダーヒル~バタシーパーク、そして、橋を渡ってチェルシーのカーライル博物館まで。
すごく楽しかったですよ。

カーライル博物館では、『カーライル博物館』の漱石よろしく、イギリス人のスタッフの方と漱石&カーライルについて2時間以上もお話してしまいました。最後は博物館の外にまで出てきてくれて、周りの文学者にゆかりのある建物を紹介してくれました。
昔訪れた高知の青山文庫にしてもそうですけど(←展示していないものでもリクエストしたら奥から出してきてくれて、坂本竜馬の手紙を見せてくれました。挙句、ぜんざいまでご馳走になってしまった)、小さな博物館はアットホームでいいですねぇ。

カーライル博物館は漱石好きには超お勧めですよ。
漱石がここを訪れてから100年。
博物館前の道(チェイン・ロウ)も、博物館の建物(1708年築!)も、展示物も、今も全く変わらず残っているのですから。
すばらしいことですよね。
作中で漱石がカーライルの銀牌と銅牌を眺めながら、むやみにかちかちしていつまでも平気に残っているのを、もろうた者の煙のごとき寿命と対照して考えると妙な感じがする』と言っていますが、まったく同じ感覚を私は漱石に対しておぼえました。100年前この牌を前にそんな風に感じた漱石も今はもういなくて、今度は私がこの牌の前にこうして立っている。100年後、この牌を前に同じように感慨にふける日本人がきっといるだろう。そのとき私はもういない。
おもしろいですねぇ。
そういえば、そのスタッフの方が私のデジカメを見て、「日本のカメラはすごいねえ。撮った写真をカメラで確かめて、消したりもできちゃうんだろう?いやぁ、すごいよ」としきりに感心していました。日本が100年後にはイギリス人にこんな風に言われるようになったことを知ったら、漱石はどう思うかな?なんて想像すると楽しいです。

ちなみに漱石の下宿からバタシーパークまではそれなりに距離がありました。片道30分以上はかかったんじゃないかなぁ。
その距離を「晩餐前に散歩」していた漱石。
ほんと昔の人は健脚ですよねぇ。
写真もたくさんとって来たのですけど、アップする時間がないので、一枚だけ。

ではでは、また。
ロンドンは今、紅葉が綺麗です。
カーライル博物館の庭の蔦も綺麗に紅葉していて、趣がありましたよ^^

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Never mind! なイギリス

2008-08-23 23:20:44 | 倫敦うるるん滞在記



なんでもNever mind!
そんな困ったこの国が結構好きになってしまったかもしれない今日この頃。

1)湖水地方ニアソーリー村にて
朝の散歩でエスウェイト湖へ向う途中、ピーターラビットそっくりのウサギをみつけた友達と私。B&Bに帰ってオーナーのおじちゃんに興奮して報告すると、「この辺にはたくさんいるよ。あれ、シチューにするとすごくうまいんだよ!」とニコニコ。え、殺しちゃうの?!「銃で撃つのさ~」。……へぇ……。


2)Keighley→Haworthの保存鉄道内にて①
まっ白い頭髪とまっ白い長ーい髭を生やした、世界の車窓からまんまの制服を着たおじいちゃんの車掌さん。
むっつりした顔で、「切符を拝見します」。
私(カメラ片手に)「あ、はい、これ」と切符を見せる。
車掌さん、ちょいちょいと手招き。一緒に写真に写ってあげよう、という意思表示らしい。
「あ、じゃあ」と友達にカメラを渡し、立ち上がって隣に並ぶと、今度は「切符はここ」と切符切りの間にセットさせられる。私だけ笑顔でハイ、チーズ。
友達が「私も!」と言うと「あいたたたた。足が……」とかがみこむ車掌さん。まぁまぁそう言わずに~となだめて、パチリ。私&友達「ありがとうございます!」。しかし立ち去らない車掌さん。今度はこっちこっちと窓から外を見せようとする。シャッターチャンスがあるらしい。お、確かにきれいな景色が。パチッと写そうとすると「まだ!」と。あ、はい、すみません。「まだ、まだ、はい、いま!」パチッ。おお~、いい写真が撮れた。が、まだ立ち去らない車掌さん。他の客の切符の点検はいいのかい?と心配になる。するとぽつりと「となりはビュッフェカーなんだ。ビールが飲める」と一言。「へぇ~。あとで行ってみます!」と答えたのに、立ち去らない車掌さん。仕方がないからビュッフェカーに行ってみる。その間無言で荷物を見ていてくれる車掌さん。その後やっと他の客の切符の点検に向かったかと思ったら、下車したHaworthで動き出したホームから列車を見送っていると、ボックス席に座って客とお話ししてる姿が(笑)。おいおい、仕事はいいんかい。ちなみに、最初から最後まで一度も笑わずむっつり顔でした(笑)。


3)Keighley→Haworthの保存鉄道内にて②
車掌さんに勧められビュッフェカーへ向かった友達と私。
カウンターの奥にはやはり世界の車窓からに出てきそうなおじいちゃんと地元の知り合いっぽいおじいちゃん達が歓談中。友達が「cokeひとつ」と頼むと、ちょいちょいとカウンターの中に手招きするおじいちゃん。ビールを入れさせてくれて、飲ませてくれました。私が「この列車、どれくらい古いんですか?」と聞くと、「60年以上古いねー。昔はロンドン―エジンバラ間を走ってたんだよ。でも、もう古くなって引退して、こうして保存鉄道として走ってるのさ。車両もリタイアなら、乗ってるスタッフもallリタイアばかりさ」とおじいちゃんたち爆笑。そこへ反対側の線路にさらに古い型の列車がすれ違った。「あれに比べたら、この列車はまだまだBabyだね!」とまた爆笑。いいねぇ、こういうユーモアのあるおじいちゃんたち。


4)Haworthのパブ「Old White Lion」にて
夕食に向かった友達&私。まずはビールを頼もうとカウンターへ。ニアソーリーのパブ「Tower Bank Arms」で飲んだローカルビールHawksheadが大変美味だったので、ここでもローカルビールを探す。『Yorkshire BEST』と書かれたのがあったので「これ、ビールですか?」とカウンターのお兄ちゃんに聞いた途端、周りにいた地元のおじちゃん達が「それは最悪だ!やめておけ!」と大騒ぎ。「こっちにしなさい。これは美味い!」と別のビールを勧める。店員の前でそんなこと言っちゃっていいの?とカウンターのお兄ちゃんを見ると、彼もウンウンと頷いている。おいおい、そんなにまずいビールを自分のパブで出しちゃうのか(笑)。「そんなに不味いの?」と聞くと「最悪だ。トイレの水をジャーっと流したような味だ」と水を流すジェスチャーまでする客たち。「でもBESTって書いてあるんだけど…」と言うと、「BESTじゃない。あれはBEASTだ!」と大爆笑。あはは(^^;)。どんなに不味いのか興味があったけど、おとなしくおじちゃん達お勧めのビールにしておきました。


5)ロンドン郊外の八百屋にて
見たことのない珍しい果物が売っていたので、興味津々の私。黄色いのと赤いのがあって、どっちが食べごろなのかがわからない。そこで八百屋の中東系のお兄ちゃんに「黄色いのと赤いの、どっちが食べごろなの?」と聞いたところ、「わからない」と一言。え?とキョトンとしていると、「おれは、それを食べないんだ。それ、嫌いなんだ」と苦い顔。自分の店で売ってる野菜をそんな風に言っちゃうのね(笑)。後で調べたところ、どうやらサボテンの実だったらしい。味はおいしかったけど(スイカみたいな味)、種が多すぎてどこをどう食べればよいのやら、でした。


6)ロンドンのPicadilly circus駅にて
TUBEはこの手の話題に事欠かないけど(突然電車の行先が変わったり、駅の行先の電光掲示板に「行先は電車の車体を見て確認してください」と出たり、突然止まるべき駅をすっとばしてしまったり)、一番面白かったのはこれ。
ある日Picadilly circus駅からBakerloo lineに乗ろうとしていた私。しかし突然TUBEのスタッフがエスカレーターにテープを引き「Bakerloo lineは停止します。代替輸送をご利用ください!」と。またかよ…、今利用できる代替輸送ってどれよ…とTUBEのinformationのお姉ちゃんに「○○駅に行きたいんだけど、どうやって行けばいい?」と聞くと「Bakerloo lineに乗ればいいわよ」と笑顔。「え、そのBakeloo lineがサービス停止してるんでしょ?」と私が言うと、お姉ちゃん「ええ!本当!?」と仰天。「うん、あんたの所のスタッフがそこで案内してるよ」と私が教えてあげると、「やだ、私、前の人達にもBakeloo lineを案内しちゃったわ!」と。そして周りのスタッフ達に「Bakerloo lineがストップしてるって知ってる?」と聞くと周りも「ええっ!」状態。いや、だからあんたのところのスタッフがすぐそこでテープ貼ってるから……。結局「じゃあ、Paddington駅まで行きなさい。そこから北はBakeloo lineも動いてるから」と回答されたけど、信用できず「本当なのね?本当にPaddingtonより北は動いてるのね?」と確認すると「ちょっと待って…」と電話で確認し、「大丈夫よ!」と。
そして電車を乗り継ぎPaddingtonへ着いた私が目にしたものは、「Bakerloo line全線サービス停止していま~す!」の声…。結局バスで帰りました。夜10時過ぎてるのに……。


そんな困ったイギリス人達がどうにも憎めない今日この頃。
日本にいる頃はイギリス人ってもっと真面目なイメージがあったんだけどなぁ。なんか全然ちがったなぁ。
住まないとわからないこの国の不思議な味。
Never mind!な国、イギリス。
困ったことに結構好きかもしれない。

日本にもどったら逆カルチャーショックになりそうだ。

★写真:カーライル―リーズ間を結ぶセトル・カーライル鉄道の駅。明るすぎない赤とこのデザイン。すばらしきセンスの良さ。。。
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Hard Rock Calling 2008 @ Hyde Park

2008-07-04 08:38:25 | 倫敦うるるん滞在記

先週土日は、ハイドパークで開催されたHard Rock Calling 2008に行ってきました。
ハイドパークの一角がシートで仕切られ、特設ステージが2つ建てられます。
出演バンド数は20で、15時~22時まで。
一日目のメインがEric Claptonで、2日目のメインがThe Police(the very last stage in the U.Kだそうです)。彼らのステージは20時~22時なんですが、そのひとつまえのSheryl CrowとK.T.Tunstallが始まる18時位に彼女達のファンにまぎれて移動。
努力のかいあって、ばっちり真ん前をゲットできました。

思っていたより、すごく良かった。
イギリス人たちのノリの良さもいいし、味のある面白い人たちが沢山いて、観客を見てるだけでもかなり楽しめました。
ClaptonとPolice(というかSting)については言うまでもなく。
やっぱりあそこまでのぼりつめた人間は、オーラがちがいますね。。。

そして会場内には中華やら変なおつまみやらフィッシュ&チップスやらビールやら、屋台がいっぱい!
食い意地のはってる私ははじから買いまくり。めちゃめちゃ楽しかったです。
ロンドンのハイドパークで青空の下、ビールを飲んで寝っころがりながら、大音響で音楽を聴けるあの至福。。。
ロンドンに来てほんとうによかったなぁとしみじみ感じた週末でした。



すっかりピクニック状態。
お弁当を作ってきてる人までいます。
みんなビール片手に幸せそう。


Apple Cider(リンゴ酒)とChips。
ポテトには飽き飽きしてたはずの私だけど、これはすごく美味しかった。
塩とヴィネガー(+ケチャ)をばしゃばしゃかけるのが私好み。。


Eric Clapton


The Police


Sting
めちゃめちゃいい表情するんですね、彼。
みとれてしまいました。
もちろん歌もすばらしかったです。


終わった後の会場にはビールが散乱。。。
でも次の日にはきれいに片付けられていました。

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葉加瀬太郎コンサート@Cadogan Hall

2008-06-28 09:51:27 | 倫敦うるるん滞在記

今日は、Slone SquareのCadogan Hallで行われた葉加瀬太郎さんのコンサートに行って来ました。
長年の夢だったというロンドンへ昨年移り住まれてから、これが2度目のロンドン公演です。
私の大好きなブラームスを沢山やってくれて嬉しかった。
葉加瀬さんもブラームスが大好きなのだそうです。
いやぁ、カッコよかったなぁ。
音楽が大好きでたまらない!という風に演奏されるんですね。
はじめはノリがイマイチだった観客も、どんどん引き込まれているのがわかりました。
私は一曲目のブラームス(Scherzo in C minor from Sonata FAE)が最高にカッコよかったので、最初から引き込まれてしまった。

葉加瀬さんのオリジナル曲もよかったです。
エトピリカや情熱大陸を選曲していないところに新たなステージを目指している意気込みを感じました(個人的には聴きたかった気もするけれど)。
アンコールはセリーヌディオンのTo love you moreで、これもすごく素敵だった。

観客は9割が日本人。
でもまぁそれだけ日本人に人気があるということですよね。もっとも葉加瀬さんのトークはずっと英語でした。
Cadogan Hallは15列くらいしかないとてもアットホームな会場で、真ん前で観ることができたのもよかった。
葉加瀬さんはこのホールがお気に入りらしく、またここでやりたいと言っていました。私もぜひまた行きたいな。
これからも日本で&ロンドンで、がんばってほしいと思います。
ちなみに金額は£15(3000円)。
ロンドンの芸術関係の安さはすばらしいですね。

19:30開演で22:00に終わったのですが、家まで50分くらいかかるので大急ぎで帰りました(帰り道が怖いもんなぁ)。

あした&あさっての夜はハイドパークへEric clapton&The Policeを聴きにいってきます。
3日連続の音楽づくし。
あぁ至福。。。。。
ハイドパークは野外なのでいい天気だといいな。
飲み物や食べ物のストールも出るみたいなので楽しみです^^

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