風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

今年一年、ありがとうございました。

2008-12-29 17:58:18 | 倫敦うるるん滞在記


今日は大好きなリッチモンドをお散歩してきました♪
リッチモンド・パークはわたしがロンドンで一番好きな公園です。
といっても初めて行ったのが数日前なので、今日で2度目。
1年もいたのに、もっとはやく行っておけばよかったぁ・・。
駅からハムハウスまでのテムズ川沿いの散歩道では、セントラルで見るのとはちがう悠々と流れるテムズをたのしめます。写真を載せられないのが残念。。
ああいう景色のなかを歩いて、「Mom、夕陽がきれい!」なんて叫んでいる子供たちを見ていると、誰に教えてもらわなくても自然の美しさを感じられる人間に育つんだろうなぁとおもった。
ちなみにハムハウスとは400年前に建てられた洋館で、わりと有名なホーンテッドハウス(笑)。
そしてリッチモンドヒルのいっちばん眺めのいい場所にはミックジャガーが昔住んでいた邸宅があって、今でも元妻さんとお子さん達が住んでいます(そういえば半年くらい前に偶然目の前50cmくらいでミック本人を見ました)。その目と鼻の先にはThe whoのピート・タウンゼントの家、と何げに見どころがある街。といっても、わたしは友達に聞くまでwhoが何かもしらなかった人間ですが。
しかし、さすがにいいところに住んでるなぁ。

ここに限らずよく一人で散歩してると、イギリス人の年配の夫婦や犬の散歩をしているおばちゃんなんかがニコ~ッと微笑みかけてくるんだけど、あれは「あらあら、女の子が遠いところから一人でここまで来たのねぇ」的な感じなんだろうか。黙ってるのもなんなので「Hello!」と言うと「Hello!」とまたニコニコ。自然が多い場所の散歩中に出会う人は親切な人がおおいです。

帰りにセールのお買いものもしました。定価£44のワンピースをレジに持って行ったら£30と言われ、「え、50%OFFなんじゃないんですか?」と聞いたら、「up to 50% offよ」と・・・。でも何も書いてないからどれが何%OFFかわからないんですけど!、、、結局キャッシュが足りずカードで買ったわ、、、(£25しかもってなかった)。

さて、本題。
さいきんこのブログを読みかえして(かなり恥ずかしかったが)、まぁだらだらとよくも書いたものだなと思いつつ、結局わたしがここで一番伝えたいことはひとつなんだなぁと改めておもったりしたのです。
それは、
他人に迷惑さえかけなければ、人はどんなふうに生きてもいいのだということ。
いろんな人間がいていいし、いろんな幸福の形があっていいということ。

そんなことわかってるよと言われるかもしれないけれど、日本はまだまだそういう社会には程遠いと思うから、こうしてくりかえし伝えたいとおもうのです。
子供たちですら、もしかしたら子供たちの方が、互いの多様性を認め合うことを知らないように感じるのです。それはわたしが子供のころよりひどくなっているような気さえします。

漱石は「倫敦で暮らしたる2年は最も不愉快の2年なり」と言いました。
けれど、イギリスでの2年間がなければ作家夏目漱石も誕生していないことも明らかです。
漱石がイギリスで学んだ一番のものはなんだったでしょうか。
それこそが、イギリスの個人主義でした。

では、そもそも「個人主義」とはなにか?
一人一人が他人を気にせず、自分の意見を通すことでしょうか。
すこし堅苦しい説明ですが、Wikipediaから引用しましょう。

個人主義は、個々の人間の人格の独自性と自律性を重んじる立場であり、その時々に形成された場の雰囲気に流されることのない、一個人としての一貫性のある深く統合された思想と責任ある行動を高く評価する。

個人主義は、他者の拒絶や排除によって成り立つ利己主義とは異なり、自己のみならず他者の人格をも尊重することをもって初めて達成しうるものである。他人に対するように自分を尊重し、自分に対するように他人を尊重しなければこういった考え方は十分に機能せず、エゴイズムの暴走を招くことになる。そのため高度な知性と自己統制を必要とするスタイルであるといえよう。


漱石は、大正3年11月、学習院で「私の個人主義」という講演をしました。
そこで、次のように述べています。

……近頃自我とか自覚とか唱えていくら自分の勝手な真似をしても構わないという符徴に使うようですが、その中にははなはだ怪しいのがたくさんあります。彼らは自分の自我をあくまで尊重するような事を云いながら、他人の自我に至っては毫も認めていないのです。いやしくも公平の眼を具し正義の観念をもつ以上は、自分の幸福のために自分の個性を発展して行くと同時に、その自由を他にも与えなければすまん事だと私は信じて疑わないのです。我々は他が自己の幸福のために、己れの個性を勝手に発展するのを、相当の理由なくして妨害してはならないのであります。

……英吉利(イギリス)という国は大変自由を尊ぶ国であります。それほど自由を愛する国でありながら、また英吉利ほど秩序の調った国はありません。実をいうと私は英吉利を好かないのです。嫌いではあるが事実だから仕方なしに申し上げます。あれほど自由でそうしてあれほど秩序の行き届いた国は恐らく世界中にないでしょう。日本などはとうてい比較にもなりません。しかし彼らはただ
自由なのではありません。自分の自由を愛するとともに他の自由を尊敬するように、小供の時分から社会的教育をちゃんと受けているのです。だから彼らの自由の背後にはきっと義務という観念が伴っています。

……個人の自由は個性の発展上極めて必要なものであって、その個性の発展がまたあなたがたの幸福に非常な関係を及ぼすのだから、どうしても他に影響のない限り、僕は左を向く、君は右を向いても差支ないくらいの自由は、自分でも把持し、他人にも附与しなくてはなるまいかと考えられます。それがとりも直さず私のいう個人主義なのです。


この100年前の漱石の言葉で、今年の締めとしたいと思います。
シンプルなサイトにしようと決めたばかりなのに、結局最後まで文字だらけの更新になってしまった。。

これがイギリスからの最後の更新です。
次回は日本から^^
この一年間、愚痴も含め言いたい放題な文章に付き合っていただいて、本当にありがとうございました。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします。
よいお年を(^_^)!

リッチモンドもいいけれど、イーストエンドのテムズの眺めも私は大好き。この辺はいま再開発の真っ最中なので、あと何年かしたらこの眺めも変わってしまうのかもしれないなぁ。

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アンネ・フランク、ゴッホ、飾り窓 @アムステルダム

2008-12-27 21:38:07 | 旅・散歩

このいまわしい戦争もいつかは終わるでしょう。
いつかはきっとわたしたちがただのユダヤ人ではなく、一個の人間となれる日がくるはずです。
わたしたちが、ただのオランダ人や、ただのイギリス人になれるわけはありません。
いつも、ユダヤ人ではあるのです。
でも、その時には、ユダヤ人でありたいと願うことでしょう。

(アンネ・フランク 1944年4月9日)



今日は大学時代の友達の家でおでんパーティでしたー。
わたしが日本へ帰る前にと招待してくれたのです。
ビール3杯と白ワイン3杯と、だいぶ飲んだな。。
料理もとってもおいしかった^^
友達の奥さんは昔単身エジプトへ渡りガイドをしていた、とっても素敵な女性。
楽しい時間をありがとう、Oちゃん!

さてさて。
先週は、ベルギーへ4日間ほど旅行してきました。
ユーロスター+ホテルで£180(約2万5千円)。
ヨーロッパ内の旅行はほんと安い。
うち一日、鉄道でオランダのアムステルダムへ行ってきました。
アムステルダムには、アンネ・フランクの家があります。
本を読んで知ってはいても、実際に訪れてみると、その空間のもつ独特の空気は衝撃的です。
あそこで窓も開けられずに2年間の籠城生活・・・。
どんなに軽い気持ちで訪れた人でも、何かしら感じずにはいられないような、そんな場所でした。
上のアンネの言葉は、リーフレットより。

アムステルダムではまた、ゴッホ、レンブラント、フェルメールを堪能。
ゴッホが自殺直前の時期に描いた「鴉の飛ぶ麦畑」。
青空の麦畑に嵐をはらむ雲が浮く「荒れ模様の空の麦畑」。
不吉ですが、とても惹きつけられる絵だった。
今回の旅で出会った数々の絵の中でも、お気に入りの2枚です。ポストカードも買った♪
フェルメールの青、レンブラントの黒、ゴッホの黄色。
こういう絵の前では、言葉は不要ですね。
そしてこれだけの名作揃いにもかかわらず、あの人の空き具合。
誰にも迷惑をかけずに気が済むまでお気に入りの絵を眺めていられるあの至福。
すばらしいね、ヨーロッパ。

あ、そうそう。
有名な飾り窓地帯も行ってきましたよ。
友達が「夜の方が雰囲気が出てるんじゃない?」というので夜に行ってみた。
噂にたがわず、見ごたえあったわ。。
タイプもいろいろで、「この家は、、、デブ専?ここは、、、ゲテ専?」と超失礼なことをいいつつ通り過ぎた私たちでした(だって、ほんとすごかったんだもの・・・)。
この飾り窓、オランダが一番有名ですがベルギーにもあって、アントワープへ行く列車の窓から見えました。



アンネ・フランクの家


家の前の眺め


ブリュッセルのグラン・プラス。
ヴィクトル・ユーゴーが「世界で最も美しい広場」と称えたというこの広場。
ヨーロッパの街はすこし見飽きていた私達も「おぉ。。。」とみとれてしまった美しさでした。
建築がすばらしいのですよ。

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村上春樹 『海辺のカフカ』

2008-12-26 00:13:49 | 



だからね、俺が言いたいのは、つまり相手がどんなものであれ、人がこうして生きている限り、まわりにあるすべてのものとのあいだに自然に意味が生まれるということだ。いちばん大事なのはそれが自然かどうかっていうことなんだ。頭がいいとか悪いとかそういうことじゃないんだ。それを自分の目を使って見るか見ないか、それだけのことだよ。

(村上春樹 『海辺のカフカ』)


いま、英語版をがんばって読んでいるのです。
この人の小説は昔読んであまり好きじゃなかったのですが(フィッツジェラルドの翻訳はよかった)、これは好きです。
大島さんがカッコイイ。。

ところで今、このブログを”本”のカテゴリーでなにげなく読み返してみたら、あまりの文字の多さに吐き気がしてきた。。。
特に去年のはロンドンでも好きな小説の言葉を読めるようにと長文をコピペしているものだから、1ページ読み返すだけで頭がくらくら。
加えて、私もだらだらと書きすぎ。
一気に読んでくださっている方にはもうしわけないかぎり。。。

来年の抱負は、"Simple"でいきます!

写真:King's college @ Cambridge

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Merry Christmas!!!

2008-12-25 12:49:46 | 倫敦うるるん滞在記

みなさま、Merry Christamas!!!

いよいよ帰国まであと一週間となりました。
みなさま、今年はどんな一年でしたか?
私は、例年になく色々な体験ができたとても充実した一年でした。
これから日本へ帰って大変なことはたくさんあるだろうけど、思い切ってイギリスへ来て本当によかったなと思います。

さて、これ↓は今日12月25日のロンドンの天気予報。

 

本日の日の出8:05日の入15:56
これが冬のイギリスでございます。
国立公園などへハイキングへ行く時は、この日の入の時間を意識しておかないと大変なことになります。3時には夕陽ですからね^^;

最後のラストスパートとばかりに毎日観光しているんですが、カメラがぶっ壊れた(正しくはぶっ壊した)ので写真をアップできなくて残念。
仕方がないので日本に帰ってからですね。
毎日どこかしら出かけてます。
イギリスの鉄道代は高いというけれど、そうでもないと思う。
先日もロンドンから2時間かけてイギリス南部の海岸まで行きましたけど、往復で£11(学生料金ですが)でした。今のレートでいうと1500円くらい。

さて、本日25日はロンドンは全交通網がサービス停止です。チューブもバスも。
どこかへ行きたいならマイカーか、マイカーのない人は徒歩のみ。
日本では考えられませんね。これがイギリスのクリスマス。
その代りNew Year's Eveの夜から新年の朝にかけてはノンストップで運行し、なんと全線無料。これがイギリスのNew Year。

本日のTransport for londonのサイトより↓。


全線planned closure. 面白いから記念に残しておきます。
でも、festive periodの案内の絵は可愛いなぁ。
今Tubeの駅には"We wish you all a merry christmas. "の綺麗なポスターが貼られています。
大不況でも、そんなどうしても必要とはいえないポスターを刷っちゃったり、人通りの少ない倉庫エリアにも一晩中イルミネーションを絶やさなかったり。イギリスのそういう人間らしい遊び心がある面は大好き。特に何も考えていないだけかもしれないが、笑。
いずれにしても「不況だから」とすぐに一喜一憂して街のイルミネーションをやめてしまう日本とは大違い(首都圏の某市のハナシ)。
不況だからこそ、多少お金を使ってでも街をイルミネーションで飾って明るい年末&新年を迎えてみせる、そんな心意気はないものか。
江戸ッ子よ、どこへ行った?

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