風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

京極夏彦 『邪魅の雫』 4

2006-10-31 18:56:28 | 

「僕にとってお前はただの下僕だし、世の中にとってお前はただのお調子者だ。それでいいのだ。そして世の中にとって僕は探偵だが、僕にとって僕は僕なのだ」
「それじゃあ―――」
今回のことは。
「お前のことはお前の中で決着を着けろ。僕のことは―――僕が決着をつける」

(京極夏彦『邪魅の雫』p666)


榎さんも、殆ど出番はなかったけど良かった!いつもとちょっと違う面も垣間見れたし。やっぱり魅力ありますねー。
最後のシーンの榎さんが、私はとても好き。

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京極夏彦 『邪魅の雫』 3

2006-10-30 17:55:01 | 

人の顔と云うものは、無理をして作り上げなければ機嫌良くはならないものなのである。関口の陰陰滅滅とした冴えない顔を見る度に益田はそう思う。
否、益田自身、少しでも気を抜くと陰気な容貌になってしまっているのだ。その方が楽だし、自然だなと思うことも多い。人なんて所詮は微っ暗いものなのだろうと―――思わないでもない。

(京極夏彦『邪魅の雫』p401)


益田君も、普段軽薄そうに振る舞っているけれど、実は繊細な人ですよねぇ。
彼と関口君のコンビもなかなか好きです。

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京極夏彦 『邪魅の雫』 2

2006-10-29 19:13:15 | 
「人と人との関係じゃないんだよきっと。自分と自分以外の関係なんだよ。自分が自分以外の凡てと同じ質量を持っているような錯覚をしてるんだろうなあ、僕なんかの場合は。能く考えてみれば解ることなんだが―――要するにそれって自己が肥大してる訳だろう、無限大に。そうすると他人と云うのは自分以外の一要素に過ぎなくなる。要素なんだから人格やなんかは邪魔臭い。でもそりゃ勘違いだろう。勘違いだと解るとな、たかが一要素の筈が、自分と同じかそれ以上の質量を持っていることに気付く。その時それが重たくなるんだ、きっと」
「排除したくなる?」
「面倒になるんじゃないかなあ。解り合ったり通じ合ったりすることは不可能だと、僕のような人間は知ってるから」

(京極夏彦『邪魅の雫』p615)

関君って、肝心な部分をちゃんと心得ているんですよねぇ。
だからこそ、京極堂や榎さんは彼と長年友達でいるんだろうな。
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京極夏彦 『邪魅の雫』 1

2006-10-27 22:51:36 | 



「普通の人はどうなのか、それは僕には解らないんだが、僕なんかにはね―――」
……人は重いんだよ、と関口は云った。

(京極夏彦『邪魅の雫』p402)


※明らかなネタバレはありません

面白かった~~~。
期待を裏切られなくて嬉しいです!
今までで一番読みにくかったけど(途中で図を描きたくなった)……。
ミステリとしてはかなり微妙だし、ストーリー自体も正直イマイチなんだけど……。

じゃあ何が良いって、関口君ですよ!
白樺湖の事件でまたちょっと逞しくなったような。でも相変わらず鬱で。
そんな関君の言葉がほんとよかった。
いつもは京極堂の言葉にやられるのだけれど、今回の関君の一連の言葉は個人的にとても好きです。
自分に頼らない榎さんに対してちょっと不機嫌になる所もグーでした。
このシリーズの人気の一番の理由は間違いなく彼にあると思う。

それにしても京極シリーズは、私の日常の行動範囲がよく舞台になるので読後が楽しいです。中野、神保町、逗子、平塚、大磯、箱根etc。

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奈良~平城宮跡と会津八一

2006-10-24 22:57:31 | 旅・散歩



はたなかの かれたるしばに たつひとの
うごくともなし ものもふらしも

(畑の中の枯れた大極芝に立つ人は、動こうともしないが、きっと物思いに耽っているのであろう)


関西出張の帰りに、奈良の平城宮跡へ行ってきました。
いつもは近鉄電車の中から眺めるのみで、ちゃんと訪れたのは今回が初めてでしたが、いいところですねぇ~。
今回はすっきりとした秋晴れのなかを歩いたのですが、次は夕暮れ時に訪れてみたいなぁ。しっとりと古代ロマンに想いを馳せることができそう。
上記は会津八一が平城宮跡についてうたった歌。この歌も、夕暮れ時がよく似合う。

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細木数子も女子アナも・・・

2006-10-03 22:37:35 | 日々いろいろ

おいおいおい・・・・・・・・・。まじですか・・・?

夕飯を作りながらテレビを流してたら、TBSで「細木数子のズバリ言うわよ!4時間スペシャル」ってのをやってて、なんとなく片手間に観てたんですよ。
そしたら、びっくり。
大丈夫か、TBS?

観ていなかった方のために説明しますと、あるコーナーでTBS系列の女子アナに「結婚しないで仕事に生きる一生もありだと思うか?」と質問したところ、33人中24人がYESと答えたのです。
司会者「高い割合ですね~!」
そうか…?私はまずこの割合の低さに吃驚よ。
そういう生き方をしたいか?じゃなくて、そういう生き方もアリか?っていう質問に、9人も「NO」って答えるとは…。

そしてある女子アナが「好きではない人と結婚するよりは、自分一人で仕事をしながら生きていくのもいいと思う」と発言し、そんな彼女達に対し、数子ちゃんがいつものように自説を繰り広げたわけですよ。
「あなたたちはエリートだから難しい話をするけど、ゲーテは『結婚はすべての始まりである』と言っていますよ」
→ゲーテの引用程度で『難しい話』って……。女子アナ程度で『エリート』って……(-_-;。それにゲーテが言ったから正しいわけでもないし。

「結婚しない、子供はいらない。それで?国はどうなるの?滅ぼすつもり?」
→じゃあ結婚したくないという個人の幸福を犠牲にして、『国のために』結婚しろって?恐ろしいことを言いますねアナタ……。

「40過ぎて結婚していない女が一人でちびちび酒のんで仕事の愚痴ばかり言っている姿、その辺でいっぱい見ますよ。みっともない!」
→そうでない独身女性もいっぱいいますし、40過ぎた既婚の女が暇さえあれば夫や子供の愚痴や自慢ばかり言ってる姿も、その辺でいっぱい見ますよ。みっともないです。

とまあ、毎日頑張って仕事してる独身女性達にけちをつけ続ける数子ちゃんに対して言いたいことは山ほどありますが。
でもまあそれが彼女の意見なのでしょうから、それはそれで別にいいです。
私が驚いたのはですね、それに対する女子アナの反応ですよ。
殆ど全員が真剣にうんうん頷き始め、果ては涙を流す女子アナまで・・・!
おいおいおい。ちょっとちょっとー。。。数子ちゃんの意見、よく考えてみな?どう考えたってかなり極端でしょ?
タレントならともかく、自由主義の国のアナウンサーが揃いも揃って『国のための結婚』なんて考えに涙しちゃまずいでしょー。個人の幸福のために国があるんでしょ。国の幸福のために個人があるんじゃないでしょ。大丈夫か、TBS…。なんかとても頭悪そうですよ、あなたの局の女子アナたち…。

さて。以下、個人的意見ですけど。
国民の幸福を犠牲にしなければ滅びるようなら、そんな国は滅んでしまっていいと思います。大丈夫、日本が滅びても世界の人口は爆発的に増えていますから。そしてたとえ女性が子供を産まないために人類が滅びる日が来るとしても、それも一つの終わり方なんじゃないのかなと思います、私は。それでも大丈夫、他の生物は残るよ。人間という一つの生命体がいなくなっただけで、美しい生命の星地球は残ります。案外人類がいなくなった方が地球自体にはいいのかもしれません。
とまあ、これくらい気楽に考えて、私達は自分の好きなように生きればそれでいいんじゃないのかな。

「人に迷惑さえかけなければ、どんな生き方もアリ」。
結婚するのもアリ。しないのもアリ。子供を産むのもアリ。産まないのもアリ。趣味に生きるのもアリ。仕事に生きるのもアリ。恋愛に生きるのもアリ。オタクもあり。ゲイもアリ。レズもアリ。
いろんな人がいて、いろんな幸福の形があって、みんながその多様性を認める。
みんなが肩肘張らずに楽しく生きて死ねる。
そんな「ふつう」の国に日本がなればいいなと、心から思います。
それでもこの国は滅びないと、私は思いますヨ。

それにしてもほんと、ろくなテレビ番組がないな最近・・・。ていうか今HP見て知ったけど、これって視聴率20.7%の人気番組だったんだ・・・。日本人の5人に1人以上が毎週こんなくだらない番組を喜んで観てたなんて、なんか空しい・・・。普段あまりテレビを観ない私だけど、ますます観たくなくなった。

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