風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

歌舞伎座新開場こけら落 十二月大歌舞伎 『七段目』 『十一段目』(12月19日)

2013-12-24 02:35:33 | 歌舞伎
というわけで、赤坂見附から電車で15分。
歌舞伎座にて、七段目から幕見いたしました。今月2回目の鑑賞です。


【七段目】
派手な錦絵のような海老蔵の平右衛門&玉さまのおかる(5日と比べてちょっとお疲れのように見えましたが…)を見ながら、歌舞伎って最後は「役者の華>演技」なのではなかろうか、とふと思った。
TVドラマなどではおそらく「演技>俳優の華」だと思いますが、歌舞伎の場合は最後に求められるのは逆なのではなかろうか、と。
もちろん海老蔵&玉さまの演技がどうこうという意味ではなく、ただ二人の姿があまりに眩しかったので、ちょっとそんな風に感じたのでございます。

※今回気付いたこと。
「シジュウヨニンの者どもは、親に別れ子に離れ…」という台詞、四十四人だと勘違いしてずっと不思議に思っていたのですが、四十余人だったのですね。すっきり。
あと今回は小山三さんが台詞を言う時に拍手が被ってしまっていて、ちょっと気の毒でした。拍手で応援はよいのですが、タイミングは大事ですよね。せっかくの数少ない台詞なのですから、しっかり聞きたかったな。。


【十一段目】
獅童、とっても頑張っていました。
5日は泉水の立回りでは拍手をしなかった私ですが、この夜はいっぱいしました。大向うも客席もみんな応援してあげている感じでした。
相変わらず武士には見えませんでしたが^^;、この夜のような拍手はしてあげていいと思う。本人も客も、拍手の意味は十分にわかっているのですから。歌舞伎の温かさだと思います。
あとは今回、幕切れの幸四郎さんの表情がいいなぁと思いました。これは吉右衛門さんでも思いましたが。仇討ちが成った喜びというよりも、大きな大きな仕事をやり遂げたリーダーの色々な想いの入り混じった表情に見えました。

※今回気付いたこと。
判官の位牌を置く台、浪士が炭小屋の中から出してくるのですね、驚。不自然すぎる。。。黒衣さんの方がまだマシだと思う。。。

外に出たら冷たい雨。
ミヤネ屋のカメラ(この夜は獅童さんのお母様のお通夜でした)を全力で避けながら、地下鉄へ下りました。


これで本当の本当の観劇納めです。
この一年、歌舞伎からどれほど沢山の幸せをもらったことでしょう。
役者の方々、裏方さん、歌舞伎への愛に溢れたお客さん達(マナーのいい方達限定で…)、そしてこの超初心者の好き放題で、おそらく間違いもいっぱいな呟きにお付き合いくださった皆さま、大感謝です。
ありがとうございました。
来年も皆さまが素敵な舞台にいっぱい出会えますように。
どうぞ良いお年をお迎え下さい。


※12月5日鑑賞時の感想
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「主税と右衛門七」「弥作の鎌腹」「忠臣蔵形容画合」 @国立劇場(12月19日) 

2013-12-24 02:23:48 | 歌舞伎



最初に純粋な若者の気持ちを、続いて人を思う心の尊さを感じていただき、最後は大笑いをして暮れを迎えていただければ有難いなと思っております。
(中村吉右衛門)

先日の歌舞伎座で今年の観劇納めにするつもりが、行ってしまいました、国立劇場
そして半蔵門からの道で思い出したのであるが、私が人生で初めて歌舞伎を観たのはこの劇場なのでございました。といっても学校の行事で連れて行かれたため、團十郎さんが出演されていたこと以外、演目も含めまったく記憶がないのですけれども(たぶん勧進帳だったと思ふ・・・)。
しかし改めて観るとこの劇場、とっても観やすいですね。3階席からも花道がちゃんと見えるし、舞台が近い!
お値段も良心的ですし、ハマりそうです。でも歌舞伎を楽しむには少々立地が上品すぎるかな^^;

さて肝心の舞台の方はというと、大満足でございました。楽しかった~!
2500円の席だったので、コスパ的にも大満足。


【主税と右衛門七(ちからとえもしち)】
当時10代だった幸四郎さん&吉右衛門さんご兄弟のために書かれた新作歌舞伎で、45年ぶりの上演とのこと。
まったく期待していなかったのですが、とってもよかったです。
歌舞伎で初めて、若いっていいなぁ、としみじみ思いました。

何より、この歌昇が見られただけで、国立行ってよかった。
彼、すごくいい表情をするんですね。何度泣かされそうになったことか。。。
17歳という大人でもなく子供でもない微妙な年齢を、あそこまで繊細に演じるとは。

母親から預かった包みを主税に渡すときの、弟を気に掛けるような表情。
そんな彼が、お美津の琴の音に吸い寄せられるように母屋へと歩いていく(この回り舞台の演出、よかった)。討入に臨む覚悟は揺らがないはずなのに、彼の若さは幸福で温かなものにどうしても惹かれてしまう。お美津から渡された鈴を椿の枝にそっと掛けて去ろうとするとき、風に揺れて音をたててしまうそれを両手で抑えながら一人嗚咽を漏らし泣く姿が、本当に可哀想で…。
一方で離れに戻り、「討入りが恐ろしい」と心の内を吐露する主税(隼人)を、静かにじっと見つめる目。彼の中にも同じ気持ちがあるのに、2歳下の主税に対しては自然に年上の少年になる。
でも主税を励ますために酒を交わすとき、自分の盃を見つめて一瞬動きをとめ、それから未練を断ち切るように飲み干す。こういう演技が全然クサくならないなんて、すごいぞ歌昇。
そして圧巻は、主税を元気づけようと踊りを踊る場面(ここで踊るのが足軽の踊りというのがまた泣ける…。しかも上手いし)。主税の鼓に合わせて踊っていると、再びお美津の琴の音が聴こえてきて、涙が溢れて踊れなくなってしまう――。
二人とも、まだ15歳と17歳なんですよ…泣。もう、なんでこんな可哀想なことになっちゃうの!!!と腹が立ちながらも、それは空から舞い散る雪とともに息をのむほど美しい光景で。

そんな少年達の様子を下手からじっと見守る、内蔵助(歌六さん)。
どんなに歌昇が上手でも、やっぱり歌六さんの存在で途端に舞台が歌舞伎になるのは当然とはいえ流石でした。
最後のこの内蔵助あって初めて若手の魅力が存分に引き立ち、立派に〆られるお芝居なのだなぁ、と。
良くできた脚本ですねぇ。
もっとも、「武士とは悲しいものなのだ」の台詞はいらぬように思いましたけども。説明的になりがちなのは、新作歌舞伎の宿命だろうか。花道の「明日も、雪か…」で十分だと思うの。これもかなりクサい台詞ですけど、歌六さんが言うとクサくなくてよかったぞ。

歌昇が現在24歳、隼人が20歳。
まさに今の彼らにしか演じられない、今しか観ることのできないお芝居だったと思います。
米吉のお美津ちゃんは、台詞が時代劇を通り越して現代劇を見ているようでしたが^^;。彼もまだ20歳ですから、これからですね。しかし彼はどこからどう見ても女の子にしか見えないのがスゴイ。
米吉は琴を自分で弾いていたように見えました(弦が動いてた)。隼人も鼓を自分で打ち、謡いも自分の声。こういうの、すごくいいと思う。がんばれ若人。歌舞伎の未来は君たちにかかっている。

この演目は、雪の演出が非常に美しかったです。
真っ暗な夜空からちらちらと降ってくる雪が少年たちの清廉さと重なって、とても効果的だった。闇に沈んだ家、漏れる微かな灯り、静かに降り積もる雪の明るさ。舞台装置や照明もリアルなので、実際の討入り前夜もこんな風だったのかもしれないなぁ、と思いながら見ていました。
この日(19日)の東京は雪の降るような寒さだったので、そういう意味でもリアルに体感することができました。
やっぱり歌舞伎は季節ものがいいですね。

いいもの見させて頂きました。
大満足。

※そんな歌昇でも、七段目の由良之助には全く歯がたっていなかったのをNHKで見て(@研修発表会)、七段目の由良之助って本当に難しいのだなぁとつくづく感じました。


【弥作の鎌腹】
本公演のポスターにもなっている、大根しょって笑顔の吉右衛門さん。とってもキュートです
秀山十種の一つで、今回吉右衛門さん自らが監修し、初役の運びとなったとのこと。
というわけで、吉右衛門さんの弥作。
えぇと、あんまり朴訥なお百姓さんに見えなかったかも…(^^ゞ
助六のくゎんぺらもそうでしたが、上背があってカッコよすぎるのと、化粧と衣装で隠しきれない迫力と貫録があるのよね…。これはニザ様のくゎんぺらにも感じましたが。
そんな感じで、前半は朴訥なのに妙な迫力が透けて見える弥作と、農家の可愛い奥さんおかよ(芝雀さん)のほのぼのとしたやり取りを、気軽に楽しみました。このお二人はやっぱり安定のカップル♪

後半。
七太夫に秘密を漏らしてしまい弥五郎(又五郎さん)を連れてくると約束して家に戻るときの、花道での追い込まれた呆然とした表情、うまかったなぁ。
これ以降の吉右衛門さんは本領発揮といった感じで、とてもよかった。
弥五郎を送り出した後、師直のところへ注進に行こうとする七太夫を撃って、徐に切腹の準備を始める弥作。
その準備の一つ一つが滑稽で笑えながらも、どうしようもなく哀れ。弥作ってとても難しい役なのではないかしら。

ちょっとわかりにくかったのは、どうして弥作は武士の作法に則ろうとしたのだろう?ということ。
死ぬ理由は、わかるのです。七太夫を殺しましたから。その前に弥五郎から切腹の作法を教えてもらっているのも、もう七太夫を殺して自分も死ぬ心つもりがあったのだろうと思います。また、弥五郎を送り出したときに「若い命をむざむざ殺してしまった…」と、「自分が先に行っているから、後から来い」と泣き崩れていますから、死にゆく弟を止めることができなかった無念さもあったでしょう。あくまで武士ではなく農民の彼は、一度は弟の言葉に納得しながらも、やはり「討入りなど行くな」と言った言葉の方が本音だったろうと思う。
わざわざ武士の作法で死のうと思ったのは、彼なりの七太夫と弟に対する責任の取り方であり、また、それにはこの方法しか彼には思いつかなかったのかもしれません。弥五郎から初めて「切腹」の言葉を聞いたときの印象が、きっとずっと彼の中に残っていたのではないかな。
弥作は百姓である自分に誇りをもって百姓らしく死んでやれ!というタイプではありませんしね。ただひたすらに朴訥で素直な人のいい人間。
だから一層哀れで、滑稽なのですが。

そんな弥作を見ながら、この作品はもしかしたら、形式にこだわる武士というものの哀れさを、もっと言ってしまえば愚かさを皮肉ってもいるのではないかな、と感じました。
腹を切って「痛い」という弥作。素直な人間の反応ですよね。
どんな形で死のうと、死は死。
四十七士を皮肉っているというよりも、「武士」そのものを皮肉っているのではないかと。
切腹の準備の場面でも笑いが起きていましたが、この作品はそれでいいのだと思います。あそこはきっと笑っていい場面。いっぱい笑って、そして観終わった後に単純な面白さだけじゃない切なさが観客の心に残れば、きっとそれで成功なのではないかな。
(非常に現実的な見方をしてしまえば、あの切腹場面こそが一番の可笑しみ所で、残りの物語はそのために作られた、と思えなくもないですし^^;)
行燈に貼られた切腹の作法。その光景だけでも、なんとも皮肉な切なさが胸に残る作品でした。

だけどさ――。
一人残されるおかよのことは一体どう思ってるのよ弥作!!!!!
まったく歌舞伎の男ってどいつもこいつも。。。。

※先崎弥五郎が先月の歌舞伎座と同じ又五郎さんなのが、サービス配役でした♪


【忠臣蔵形容画合(ちゅうしんぐらすがたのえあわせ)~七段返し~】
前2作が「武士って哀れだな…」な後味だったので、最後は明るく打ち出しです。
なんと60年ぶりの上演だそうです。
筋書の又五郎さんの言葉をお借りすれば、開けてびっくり玉手箱
これまた予想に反して、ものすごく楽しかったです!!
まさに忠臣蔵の彩絵巻。上演時間も1時間20分とたっぷりですよ。
さすが黙阿弥というか、単なるストーリーのダイジェストではなく一捻りあるところが最高。
舞台セットの転換も、紙芝居みたいでワクワクしました(しかもセットも背景も全段本家をそっくり真似!)。
この演目、かなりのお気に入りです♪また観たい!

『大序』
なんと口上人形まで出てくる手の込みよう。しかもこの口上が妙に上手い、笑。
言い回し、ぐるんと回る首、柝の音と共にゆっくり開く定式幕、何から何まで手を抜かずに徹底的にパロってます。
舞台には、人形身の師直(又五郎さん)、若狭之助(歌昇)、判官(種之助)。立ち位置も首の上げ方も本家と全く同じ。
三人の前には、ちょこんと金ピカの兜がひとつ。
そして直義不在のまま勝手に始まるケンカ、笑。
判官が二人を止める見得まで、きっちりパロ。
でも役者さん達はとても真剣にやっているので、本当の舞台をこの配役で観ているみたいですごくお得な気分♪

『二段目』
桃井館前。
おお、歌舞伎座で見られなかった二段目!でも、館前の掃除場面て・・・笑。さすが黙阿弥さん。
前段の三人が衣装を引抜いて、桃井家の奴に早変わり。
ここ、めっちゃカッコよかった!とくに若狭之助→奴の歌昇、ニッコリ笑って奴になる変化がカッコよすぎです
昨日の八幡宮での主人の話題(あんたら三人がたった今まで演じてたでしょーに、笑)に華を咲かせながら、三人ともご機嫌で掃除しながら踊っちゃいます。やがて仕事ほったらかしで、酒を飲み始めるダメ人間達。
泣き上戸の歌昇、笑い上戸の種之助、怒り上戸の又五郎さん。親子3人、可愛すぎるっての!

『三段目』
足利館門外。
これまた貴重な、おかる(米吉)&勘平(隼人)の逢引場面です
美男美女にうっとり。もちろん伴内さん(吉之助さん)の邪魔も入りますよ~。

『四段目』
ところかわって判官の館。刃傷後です。
こちらも歌舞伎座で観られなかった、華献上。
魁春さんが出られると、やっぱり舞台が締まります~。華やか衣装の四段目の顔世が見られるのが嬉しい
この度の殿の件は自分に責任があると悔やむ顔世に、力弥(11月の歌舞伎座と同じ鷹之資)が桜花を話題に慰めます。
鷹之資の動きがやたらと美しい!

『五段目』
真っ暗な山崎街道。
花道から、定九郎(歌六さん)が「あの老人は大金を持ってる」的なことを呟きながら歩いてきますよ。
って歌六さん、かっこえ~!!まさかのクールビューティー歌六さん!!国立来てよかった!!
で、定九郎、与市兵衛を待ち構えるために稲叢に隠れます。
そこに花道からやってくる与市兵衛。笠で顔を隠したまま草叢に引っ込みます(この方は、歌六さんが衣装を着替えるまでの時間稼ぎですね)。
そして、あらびっくり。草叢から与市兵衛(歌六さん)が登場です!でも化粧が定九郎のままだから怖い、笑。本家同様ぶつぶつと一人言で状況説明していると、稲叢からぬっと白い手がでて引き込まれます。
そして稲叢の中から現れたのは、定九郎(歌六さん)。なにこれ楽しすぎる、笑。そしてお決まり「五十両…」。歌六さんの五十両、痺れます!!
立ち去ろうとしたそのとき、死んだはずの与市兵衛(最初の与市兵衛の役者さんですね)がまさかの猪姿で復活
なにこのシュールな展開・・・。りびんぐでっど・・・?※国立劇場による増補だそうです
なんとか倒すも、猪を狙った鉄砲に撃たれ、定九郎すっぽんから退場。
歌六さん、最後までカッコよかったです!

『六段目』
与市兵衛と勘平が死んで14日、今日は盆。
与市兵衛の家では、おかや(東蔵さん)が村の衆(松江さん、歌昇種之助)に盆踊りの振りを教えています
先月の歌舞伎座と同じ東蔵さんのおかや。悲しみに打ちひしがれながらも、お元気に生きている姿に救われます!ちゃきちゃき踊ってるし、笑。
踊りながら目をまわして倒れてしまったポーズは、勘平のパロディ?

『七段目』
祇園一力茶屋。
前半は、おかる(芝雀さん)&平右衛門(錦之助さん)の人形振り。お二人ともお見事
芝雀さんの丸っこいおかる、またお会いできて嬉しいです~*^^*
錦之助さんの平右衛門、超イケメン
この二人の兄妹も、なんかとってもいい~。
そして一番の御馳走、吉右衛門さんの由良之助(紫衣装の方だ~♪)が堂々奥からご登場。由良さまぁ~~~~ 弥作とのギャップがたまらん。
ここで人形振りは終わり。
由良之助は心底を見極めたことを告げ、平右衛門の東下りを許します。
そして仲居や太鼓持ちも加わり、今宵ばかりは憂き世を忘れ、みんなで浮かれ騒ぐのでした(ビジュアルは完全マツケンサンバ♪)。

以上、最後までご機嫌な七段返し。
お腹いっぱい楽しませていただきました!!!

千穐楽まであと3日ですが、今月の国立劇場、オススメですよ~^^


16時半終演。
そのまま赤坂見附まで歩き、日比谷線で東銀座へ


吉右衛門が公演への思いを語りました~国立劇場12月歌舞伎公演

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国民の品格

2013-12-14 23:05:17 | 日々いろいろ


※英国ケンブリッジのトリニティカレッジ


昨今の我が国は自らをクールジャパンと称して悦に入っておるようですが、正直申しまして自らをクールなどと呼ぶことに、私は違和感を禁じ得ないのでございます。そういうのは人から言われてナンボのものでございましょう。まるで自分の会社を御社と言ってしまう新入社員のようで、あまりみっともいいこととは思えませぬ。
その影響なのかどうなのか昨今は巷でも「ニッポン大好き!」な自己愛が充満しておるようで、それ自体は結構なことなのですが、困ったことにそれだけでは飽き足らぬ人々も思いのほか多いようで。
自己の価値を上げるために他者を下げる必要は本来どこにもないはずですが、そうしないと自分に自信を持てない人々が世の中には多いのでしょう。
またタチが悪いのは、自身の頭で考えることをせずに大きな声の意見やメディアの情報を無条件に信じ込み、反対意見には一切耳を傾けようとしない、安易で軽率な人間がとても多いように思われることです。

今日は12月14日、赤穂浪士の討入りの日。
私が初めて歌舞伎座で歌舞伎を観たのは、さよなら公演の『元禄忠臣蔵』でした。
その日の記事を読み返しながら、あの夜内蔵助を演じられた團十郎さんのことを思いながら、『利休にたずねよ』に関して映画の感想以前のコメント(上げコメも下げコメも両方)で炎上のようになっているツイッター&レビューを眺めながら、日本人について色々と考えないではいられない一日でした。

日本は一体、いつの間にこんな風になってしまったのでしょう。
いつの間に、そう本当にいつの間に、です。
少なくとも私の知っている限り、ほんのここ数年の間です。
あまりの変化に、何か目に見えない力が働いているようにしか、そういう部分に関して未成熟な国民の性質を誰かが冷静に利用しているようにしか、私には思えません。
そして“そういう種類”の目に見えない大きな力に関しては、案外中国や韓国の国民の方が日本人よりもずっと冷静で醒めた目を持っているのではないかと、この頃の感情的な日本人の姿を見ながら思います。
日本人:5人、中国人:36人、韓国人:42人。
2009年にハーバード大学に学部入学した人数です。日本人の留学者数は激減する一方で、中国人韓国人は増加の一方だそうです。
彼らは日本人が思っているほど日本のことなど気にしておらず、世界に目を向けています。

私は、もし嫌いな国があるなら、そういう人こそ、積極的にその国の文化を知り、その国の人達と交わってみるべきだと思います。思想の偏りなく、幅広く。
相手を知らなくては、戦うことはできません。まず相手を知ることです。良い面も、悪い面も。伝聞ではなく、自分自身の目と耳で。
そうした経験を積むことで異なった考え、異なった文化を持つ人々を相手にする対話力がつき、交渉力がつき、世界の人々と同じテーブルにつく力がつき、結果的に自国の国力を上げることにも繋がるのだと思います。

知性と理性と品を失っては、世界から馬鹿にされるだけ。
他人(他国)を貶めている人達は、同時に自分(自国)も貶めているということに、気付くべきです。
知性と理性と品をもって、偏ることなく様々な立場からの意見に耳を傾け、自分の頭で考え、咀嚼し、言うべきことは他人の言葉ではなく自分の言葉で言う。
それこそが、このグローバル社会を生きる国際人のあるべき姿でしょう。
本気で世界で生き残るつもりなら、世界を味方につけたいなら、世界からクールな国と認められたいなら、まずは自分自身がクールでいることです。



※ソウルの昌徳宮


※鎌倉の明月院のお庭


※同上

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボクらの時代 ~市川海老蔵×伊勢谷友介×中谷美紀

2013-12-14 14:35:27 | 歌舞伎




「自分のためだけに頑張るのはもう疲れてしまった」と自身の仕事について語る中谷さんと伊勢谷さんに、「俺はそういうのは全くない」と海老蔵。

中谷:でもお嬢さんがいたりとか…。

海老蔵:それは家族がいるからね、プラスアルファですけど。僕なんかはやっぱり…、伝統だからかな…。

伊勢谷:でも演者としては必ず観てくださる人達がいて、その人達が喜んでくれなかったらこっちの文化はあってもしょうがないものになっていっちゃうじゃない。

海老蔵:そこらへんだよね。もちろんお客様がいらっしゃって、楽しんでくださって、それはもう最低限ないと成り立たない職業なんですけど、お客様が一人も観なかったとしてもこの時期はそれを凌がなければならぬ、伝統っていうことを運ぶDNAとしてみれば。だから家族がいる、他の人のため、そういうこともあるんだけど、もう一個手前に「続けなくちゃいけない」というのがどっか子供のときからあるから。だから飽きるとか、自分のためとかが根っから元々題材として上がってこない。

海老蔵:すっごい厳しい稽古だったの。それも父親が教えるわけじゃなくて、曽祖父から伝わっているお弟子さんが僕の首根っこ掴まえて稽古するわけ。

中谷:普通に扇子が飛んできたりしますでしょ。

海老蔵:扇子どころじゃないよねぇ。そんなものより、70代くらいの…歌舞伎ってやっぱり世襲だから、坊ちゃん連中がいい役をやるわけよ、御曹司が。最近の風習ですけど。外から入ってくるとなかなかうまくいかないっていう時代の方が、曽祖父七代目松本幸四郎っていう方のお弟子さんでいて。『勧進帳』っていう演目があって、弁慶がいて富樫がいて義経がいて、四天王っていうのがあって、番卒っていうのがあるの。それでね、四天王までだったら俺はできるんじゃないかなって思って必死こいて修行した方がいらっしゃったの。歌舞伎のことは何でも知っている方。でも番卒止まりで終わったの。で、「俺が人生として生きてるのはお前に教えるためにやってるんだ」って70のお爺ちゃんが鬘かぶって、頭こうやって持ちながら、涙流しながら切々と語るわけ。子供心だよ。8歳とか9歳とか。泣くんだよ、70のお爺さん、ぼろぼろぼろぼろ。「俺はお前に教えるために人生がある」って泣かれるともうね、耐えられない…。だから、やらざるを得ない。ぶっかえるしかない。もう隠してる場合じゃない。そういうようなことだったの。
実の親っていうのは現代社会でもそうだけど、なかなか自分の子供に対して強い教育ができないよね。歌舞伎の世界でいいなって思うのは、子供を預けるんだよね。能楽の世界もそうらしいけど。預けることによってちゃんとした教育を…
、まぁ俺は教育ができてないけど、そういう歌舞伎の芸をばーんとぶつけるわけ。もし自分の子供だったら、あ、泣いちゃったな、とか手加減が絶対出るわけでしょ。俺が感謝してるのは、その人にばーんってやられたの。


録画を失敗したため、後半からしか観ていませんが。
伊勢谷さん、意外と真面目なのね~。中谷さん、やっぱり美人やわ~(私と同い年)、言葉遣いも綺麗~。海老蔵、中谷さんの話を遮るんじゃない!麻央さんとの馴れ初めはもう一万回くらい聞いた!と朝食の胡桃トーストを頬張りながらぽやぽやと観ていたら。
上の海老蔵の話に図らずも目を潤ませられることに。。。

海老蔵って私生活でどんなに色々あろうと歌舞伎に対してだけは真剣なのだなと最初に彼の舞台を観たとき(玉さまの天守物語)に感じたのだけれど、ときどきやっぱり「この人大丈夫か…」と彼の歌舞伎に対する姿勢が不安になるときもあり、でもまたその舞台を観たりTV(ナイナイの岡村さんとの番組とか。って、あれ歌舞伎座開場前だったのか。感慨深い…)で話すのを聴いたりすると「ああ、やっぱり大丈夫みたい」と安心したり、と私の中でなんとも不思議な位置にいる役者なのですが。

そもそもこの天守物語のときからしてそうでした。あれは旧歌舞伎座でのこと。
夜の部を観終わって駅へ行く途中で、楽屋口前に10人くらいの人だかりができておりました。で、私にとって最初で最後の出待ち(といっても私達は離れた場所から様子見していただけですが)というやつをやってみたわけですが、まず最初に出てきたのは獅童。まあファンサービスの素晴らしかったこと。かなり長い時間ファンの方達と一緒に写真を撮ってあげたり、サインをしてあげたり、握手をしてあげたりと笑顔を絶やさず。この一件で、私の彼に対する好感度はすっかりアップでございます。
で、次に現れたのは海老蔵。まあ、すごかったですよ。ファンの人達も声をかけられないのですよ、その雰囲気に。スタスタと楽屋口を出て、一切の笑顔も見せず、一切ファンと目を合わせないまま、まっすぐに車へ直行。車に乗った後も信号待ちの間獅童はずっと手を振っていたけれど、海老蔵はファン=空気とばかりにそっぽを向きっぱなし。昔の自分について彼自身も言っているとおり「舞台でちゃんとやりゃあ文句ねーだろ!?」という気持ちだったのでしょうねぇ。
で、結局玉さまはなかなか出てくる気配がなかったため、私達の出待ちもそれで終了。

たぶん子供がそのまま大人になってしまったような、不器用な人なんだろうなと思います。でもやっぱりマスコミではなくファンに対して(しかもちゃんと彼の本業の歌舞伎を観に来た人達に対して)ああいう態度をした役者というのは、今はどうであれ、また理由はどうであれ、私はやはり単純に好きにはなりきれないのも正直なところ。
なので純粋に「海老蔵大好き!」という風にはおそらく今後もなれないとは思いますが、それでも繰り返しこのページでも書いているとおり、決して嫌いになることもないと思います。理由はただ一つ。彼の舞台が私に感動をくれたからです。
海老蔵に限りません。
たった一度でもその生の舞台で感動をくれたことのある役者を、たとえその後何があろうと、私は感謝こそすれ、心から嫌いになることはないでしょうし、できないと思います。

と、なぜか番組について書くつもりが海老蔵について語ってしまった^^;
この番組で海老蔵がみせた涙は、本物だったと思う。
他の話ではなく歌舞伎の話で泣かれると…、クるなぁ。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Season's Greetings from Everyone at The Royal Opera House

2013-12-09 22:41:15 | バレエ



こちらは地球の裏側より、ロイヤルオペラハウスから^^
今日とどきました。


Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歌舞伎座からメリークリスマス

2013-12-09 22:31:22 | 歌舞伎




一足早く歌舞伎座からメリークリスマス♪

先日、木挽町広場でみつけました

みなさまが来年もいっぱい素敵な舞台に出会えますように(*^_^*)


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歌舞伎座新開場こけら落 十二月大歌舞伎(12月5日)

2013-12-08 22:12:19 | 歌舞伎




三津五郎さん、仁左衛門さんに続き、福助さんも長期療養ですか…。
先月10日はお声が掠れていてしんどそうだったのでお風邪かなとは思っておりましたが、脳内出血とは…。
命あっての物種、健康あっての芸です。襲名など延期すればよろしいのです。
とにかく今はしっかりお休みされて、療養くださいませ。。。

さて、今月は行かない予定だった歌舞伎座ですが、急遽戻りで購入した昼の部を鑑賞→上野のターナー展へ→再び東銀座で七段目から幕見、というハードスケジュールを強行してまいりました。

…なんと申しますか…。
二ヶ月連続同演目というかけ方をしたのは「さあ存分に観比べてください」という意味だと思うので、今回は思い切り比べて構わないのだとは思いますが、マイナスな感想は一切読みたくないという方は、以下はご覧になりませぬよう。。。
あくまで超初心者の勝手な覚書であることをご了解くださいませm(__)m

※昼の部:3階3列中央、七段目&十一段目:幕見


【大序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場 / 三段目 足利館門前進物の場・松の間刃傷の場】

染五郎も菊之助も海老蔵も、とても頑張っているのは伝わってきたのですが。。。
先月の役者さん達が何気なく演じているように見えたものが、実は全然「何気ない」シロモノではなかったのだということが、今月の舞台を見てわかりました。ほぼ同じ台詞、同じ動きのはずなのに、こんなに違うのかと。。
歌舞伎って本当に一筋縄ではいかない芸なのだなぁ、と妙な感動をしてしまった。
しかし芸の深みは父ちゃんズに適わないとしても、大序~三段目のピリピリした緊張感は若手なだけに期待していたのだけれど、、、それも先月に及ばず。。

巳之助の直義。
ごめん、みっくん。。。 弱い。。。 同じ舞台の花形に比べて若いせいもあるかもしれないけれど、先月の七之助が同じく大御所に囲まれて健闘していたことを考えると。。

染五郎の若狭之助。
人形身の伏せ目の顔が、とても美人さんでした。
全体的に若い短気さが出ていて良かったのですが、どういえばいいのか、、、「芸」が表に出てしまっているように感じたときが時折。内側からの短気さに見えないというか。。。顔立ちのせいかしら。でもそれなら梅玉さんはもっと不利だったはずだし。うーむ。。。

菊之助の判官。
人形身のとき一人だけあまり頭が下がっていなかったので、お人形さんに見えなかったです^^;
それと、割とふつうに短気な判官なので(仮名手本のおっとり判官というよりリアル判官に近い感じ)、美しい割に悲痛さが少なく、刃傷→切腹→討入りに先月より共感しにくかったな。。 悔しさや怒りは沢山伝わってきましたけれど。。 この感じ、7月のお岩さんを思い出すわ。。
菊ちゃんは先々月の義経先月の巡業が素晴らしかったので、私も期待しすぎたかも。。でも悪くはなかったですよ。大序で一番良いなと感じたのは菊之助でした。特に幕切れは、お父さんと同じくとても美しかった。

海老蔵の師直。
師直ってあんなにニラミあったっけ…(拍手起きてた…)。
こせこせした師直がなかなか面白かったですが、個人的にはもうちょっと重みのある演じ方の方が好みかなぁ。
それと、ただ座っているときなどに緊張が途切れるのか、手持無沙汰そうに視線が彷徨っていることが時々あり(素に戻ってた感じ)、そのため顔世に執着している気持ちが私にはあまり感じられませんでした。自分の見せ場のときはちゃんとそれらしき演技をしているのですが、それがずっと続いていないというか…。

刃傷前の判官と師直の山場は、二人ともちょっとうるさく感じました…。
声を張り上げる=迫力、熱演ではないと思うの…。これは今月の他の役者さん達にも感じたことですけれど。
しかし声を上げれば上げるほど客席からの拍手も増えるという……。皆さん、ああいう安易でわかりやすいだけの演技を本当に観たいのですか…?


【四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場・表門城明渡しの場】

三段目に続きピィンと張りつめた空気がもうひとつで、別に通さん場にしなくてもよいのでは?と思ってしまった。。

でもここの菊ちゃんは、菊五郎さんと違うタイプの良さがありました。力弥との対面は、菊五郎さんは情感たっぷりで優しさで力弥を包み込むようだったけれど、菊ちゃんは飽くまで凛としていて、これはこれで武士らしくて素敵だった。

この四段目で一番気になったのは、判官と由良之助の間に気持ちの交感が見られなかったことです。
先月の二人がものすごく濃密だったせいもあるけれど、それにしても菊ちゃんと幸四郎さんは、それぞれがそれぞれのしたい演技をバラバラにしているように見えた…。菊ちゃん判官は由良之助を待ってはいるのだけれど、それは別に幸四郎さん由良でなくてもいい感じで、「由良之助を待ちわびている」演技を熱演しているだけに見え…。同様に由良之助も判官の元に駆けつけて涙を流しているのだけれど、それは別にこの判官でなくてもいい感じで……。万事そんな風なので、「形見…仇…」で二人で遠くを見つめるところも、同じ気持ちを共有しているのではなく、それぞれが勝手に思い入れしているようにしか見えず、これではどんなに熱演されても感動できませぬ。。。

そんなすっかり乾いてしまった私の心をウェットにしてくれたのは、七之助の顔世さま。
これはよかった。愛する人を亡くした心の空洞が伝わってきて、纏う空気が未亡人そのもの。かつ、大名の妻の雰囲気もあり。七之助って本当に薄幸な役が似合うねぇ。
腰元達の目が痛くなるような真っ白な衣装も、顔世の哀れさを際立たせています。

幸四郎さんの由良之助。
すみません、感想は控えます。。たぶん個人の好みの問題です。。

亀蔵さんの薬師寺、染五郎の石堂。
軽かった。。。(毒舌御免!)

以下、先月と違った主な箇所の覚書。
・顔世の出が、先月は判官の遺体を駕籠に乗せた後だったけど、今回は前。
・焼香の香りが三階席までいっぱいに匂ってきて楽しかった♪ 一階より三階の方が香りが届くのかな。 
・吉右衛門さん由良は焼香の後に背中で悲しみを表現していたけれど、幸四郎さんはここはさらりと流していた。
・門外。吉右衛門さん由良は提灯の枠を門の下に置いて引き道具と一緒に片付けていたけれど、幸四郎さんは元の場所に枠を残して花道へ。門は遠ざかっているのに枠だけ同じ位置にあるのは少々不自然なので、私は門と一緒に遠ざかる方が好みですかね。視覚的にも美しいし。まぁ些細なことですが。


【浄瑠璃 道行旅路の花聟】

菊ちゃんの判官と、この玉三郎さん&海老蔵の落人が観たかったので、夜の部ではなく昼の部を買ったのですが。
二人が不思議なほど恋人同士に見えませんでした。。。
外見の話じゃないですよ(玉さまの外見は永遠の花形!!)。情感的な話です。
勘平はまぁ状況が状況なので百歩譲ってお軽への愛情が見えなくても構わないのですが、お軽に「勘平スキスキ」な感情が薄いのは……うーん……。
玉さまの華やかさも貫録も流石でしたが、玉三郎さんが海老蔵をリードしているのが表に出てしまっていて、残念でしたが私の心に響く道行ではありませんでした。。

先月との違い。
時蔵さんは紫の矢絣だったけど、玉三郎さんは紫の地に刺繍模様(といえばいいのかしら・・・)。どちらもお似合いでしたが、矢絣の方は衣装としては地味かな。

結局昼の部は先月の仮名手本がいかに良かったかの確認作業のようになってしまい、モヤモヤした気分のまま歌舞伎座を後にすることに。とてもそのまま家に帰る気になれず、上野へ行きターナー展を鑑賞。ここですっかり気持ちがリセットされ、これが数々の素晴らしい舞台を観てきた今年の観劇納めになるなどあり得ぬ!と再び東銀座へ。




七段目開始の30分前でしたが、ぎりぎり幕見で座ることができました。しかも私的最高の席(上手の通路の上)。


【七段目 祇園一力茶屋の場】

昼の部であまり感動することができなかったのは、神様が私にこの七段目を観せるためだったのだろう、と本気で思いました。
だって――。


玉さま


玉さまのお軽!!!
可愛い!艶やか!華やか!健気!いじらしい!切ない!でもオモロい!
玉さまの魅力全開
夜の部でこんな玉さまが見られるとは、昼の部で帰らずに七段目を見て本当によかった。。。。。

出の瞬間から玉さまオーラ全開。
すべてが計算し尽くされた美しさ。なのにその計算をまったく感じさせない。“美そのもの”が目の前に。
ここからラストまで、殆どオペラグラスを下ろすことができませんでした。
背景の桃色の壁がとてもよく似合う。
団扇で顔を隠したお姿のなんと風情のあること。
団扇を気だるく煽ぐ艶やかさも、首から肩への華奢な線も、手摺に寄りかかる姿勢の絵のような美しさも、梯子からのピョンッっていう飛び降りも、両手をすとんと下ろしたペタンコ座りも、テテテ…な女の子歩きも、花道での怖がり方も、すべてがどうしようっていうくらい可愛い。
ペタンコ座りで甘えるように顔を傾けて立役を見上げる玉さまは、いつもながら殺人的です。
しかし玉さまのスゴいところは、可愛らしいだけでなく、これぞ立女形な貫録!
先月の吉右衛門さん由良と同様に、何度心の中で「立派だなぁ…」と呟いたことか。。。
七段目を引っ張っていたのは、間違いなくこの玉さまだったと思います。
そしてさらにスゴいところは、その貫録と矛盾しない軽み!
こういう可愛いらしいだけでなく、ちょっと気が強くてトんでる面白い玉さまが大好き!
そしてそして、最後にはちゃんと泣かせてくれる。。。
玉さまもまた、間違いなく世界遺産でございます。

海老蔵の平右衛門。
今月彼が演じた三役の中で、この平右衛門が一番良かった。海老蔵って、こういうちょっと情けない感じの役が意外と合うんですよね。玉さまともちゃんと兄妹に見えました。
本当に昼の『道行』と同じ二人か?と思うほど、二人とも華やかで眩しかった。
ただやっぱり時々平右衛門ではなく海老蔵に見えてしまいましたが。
そして今回の舞台を観て、ものすごーーーーーく仁左さま@平右衛門、玉さま@お軽、吉右衛門さん@由良さんで七段目を観たいっ(><)と思ったのだけれど――。
2007年にやっているんですね!?
……2007年か……。2008年なら日本にいなかったから仕方ないと思えたのに……

結局、先月今月と計3人のお軽@七段目を観たわけですが、同じ台詞同じ動きをしているのに三人三様全く性格の違うお軽で、とても興味深かったです。

幸四郎さんも、四段目よりこの七段目の方が良かった。酔っぱらったフリして唄うように台詞を言うところ、雰囲気ありました。
そうそう、仲居の中に小山三さんがおられて、拍手が起きていました。台詞もしっかりされてて、役者さんの休演が続く中で、その元気なお姿にこちらも元気をもらえました。なんか、歌舞伎っていいなぁ、と感じた。

先月との違い。
・幸四郎さん由良は、吉右衛門さん由良と比べて本心を表に出していることが多かったです。例えば身請けを喜ぶお軽に「それほど嬉しいか?」のところは、吉右衛門さんはそっと苦しい表情を見せるにとどまっていたけれど、幸四郎さんははっきりと不憫な気持ちを表現。蛸を口にするときも、吉右衛門さんは平然とした顔で口に入れるけれど、幸四郎さんは葛藤をかなりはっきりと表現していました(あんなに顔に出したら九太夫に気づかれるのではないかしら…)。好みの問題ですが、私はやはり吉右衛門さんの演じ方の方がしっくりきました。仇討ちの覚悟を固めている以上、内心の動揺を表に出さないくらいのことはどんなに苦しくてもやってのける、そんな由良之助の方がカッコいいし、由良之助は自分だけでなく浪士数十名の命も預かっているわけですから、それぐらいの覚悟はあってほしいなぁ、と。


【十一段目 高家表門討入りの場・奥庭泉水の場・炭部屋本懐の場】

先月との一番の違いは泉水の立ち回り…でしょうか。
私、獅童は好きなのですけれども…・・、平八郎が全然武士に見えませんでした…。
また松也と獅童の息が合っておらず(これは今後良くなるのかも)、とても迫力不足な立ち合いに…。動きも美しくないし…。の割にやたらと声を上げて「迫力ありますよ!」アピールをしているので、客席から拍手は起きるのですが、例によって私は「皆さんこういうわかりやすい迫力が好きなのね…」となんだか醒めてしまった…。

その他、先月との違い。
・浅葱幕が落ちたとき力弥は既に裏門にまわっている設定なので、始めに舞台にいる人数が先月より少ない。
・師直が発見されて駆けつけるとき、吉右衛門さんは下手から、幸四郎さんは上手から。
・師直の首を斬った後、先月はそのまま鬨を上げて終わりだったけれど、今月は判官の位牌の前に首を置き、仇討ちが成ったことを報告。


以上、今月は玉さまのお軽が観られただけで、8000円も全く惜しくはなかったです!
もっかい幕見行きたい。

※東京新聞インタビュー:玉三郎、師走は「おかる」 華やか「道行」哀愁「遊女」を





ずっと以前、玉三郎さんにお会いしたとき、七段目のおかるを見ることは、日本人が四季折々を楽しむことと似てないかしら、と言った言葉が心に残っている。遊女になり切ったはずのおかるが、兄平右衛門に会った途端にあの草深い藁葺屋根に暮らしていたころの妹の顔になる。素朴な田舎娘に戻ったおかるが、後光が射すようだ、と兄に褒められて悦に入り、また廓の女の顔になる。一人の女がこの一幕でパラッパラッパラッと、四季の移ろいのような顔を見せるのが面白い、ということだった。


(関容子 『芸づくし忠臣蔵』より)




写真は、上野公園の黄昏時の銀杏と、飛行機雲。
ターナーは玉三郎さんもお好きな画家とのこと(エッセイ「風景画の前で」)。
一見何気ないけれど、よく見ると細部まで完璧な美、というところが玉三郎さんの舞台と重なるように思いました。
ところでこのエッセイ↑、41歳のときに書かれているんですね。。。なんというか、、、毎日ぼんやり生きてる自分をちょっと反省。。。


私たちはこの世に生まれ、現実を一身に浴び、天から吊りさがった一本のデカダンスという糸に引っ張られ、人生を送っているような気がします。

(5代目 坂東玉三郎)


※12月19日の感想(七段目、十一段目)

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吉例顔見世大歌舞伎 夜の部 @歌舞伎座(11月10、21日)

2013-12-01 18:03:37 | 歌舞伎




今年は正月休みが長いせいか年の瀬の行事(忘年会)も例年より早く、何かと慌ただしくしていたら気付けば師走。
十二月の初日も始まってしまいましたが、遅ればせながら11月夜の部の感想を。

※10日(3階10列上手)、21日(幕見)


【五段目 山崎街道鉄砲渡しの場・二つ玉の場/六段目 与市兵衛内勘平腹切の場】
雷と風雨の轟きを表す大太鼓の幕開きがカッコいい
これから何が起こるんだろう…とワクワクいたしました。

松緑の定九郎。
『四谷怪談』の直助が凄みの点でイマヒトツだったので、こういう屈折した役は合わないのかなと思っていたのですが、いやいや、とてもよかったです。
ひとつひとつの動きが美しく、ゾクっとする不気味な凄みを醸し出していました。
人けのない雨の夜に絶対に遭遇したくないタイプの人間。「どうか命だけは!」という懇願なんかまったく通じなそう。

菊五郎さんの勘平。
じわじわとくる切なさがたまらなかった。。。基本はいつものあっさり演技なだけに、余計キた。。。泣
昼の部の最後が『道行』で、夜の部の最初が庶民の家が舞台となっている所は先月と全く同じ構成で、六段目の後半など絵面は『すし屋』と瓜二つなわけですが、決定的に違うのは勘平が「武士」であること。権太と勘平。その二人が守ろうとしたものの違いを思ったとき、涙腺崩壊でございました。
勘平が守ろうとしたもの。それは愛する女房のお軽ではなく、主への忠義。武士であることの誇り。
色恋に耽って主の一大事に側におらず、猪と間違えて人を撃って後で義父だったとわかり(しかもこれも勘違い)大後悔するなど、そんなどうしようもなく軽率で情けなくて人間臭い勘平だけど、それでもやっぱり彼は「武士」なのですよね。それは意地でもなんでもなく、そうでなくなったら彼は生きてはいけないのだと思います。武士とはそういう生き物なのでしょう。
着替えた紋服の袖の紋を見る勘平の眼差し。菊五郎さんの勘平は、自身が武士であることに強い誇りと喜びを持っていることがはっきりわかります。

勘平の望みはただ一つ。主への不忠を許され、連判に加えてもらうこと。
彼はきっと、そのことだけを支えに今日まで生きてきたのだと思います。
しかし由良之助は彼の不忠を許すことなく、金を返した。
この時点で、勘平の生きている理由は失われたのです。
彼は義父を殺してしまったから切腹したわけではないでしょう。討入りに加わる最後の望みが絶たれたから切腹したのだと思います。
ですから、もしこの五~六段目の件がなかったとしても、勘平はやはり遅かれ早かれ自ら死を選んでいたろうと思います。別の形で由良之助から討入りへの参加を拒否された時点で。あるいは昔の仲間たちが討入りをし、その後切腹したことを知った時点で。
連判に加わることが許され死んでゆく最後の勘平の、静かな、満ち足りた表情。それは猟師のそれではなく、まぎれもなく武士の顔でした。

ところで。
菊五郎さん&時蔵さんって、ベストカップルでございますねぇ←いつもながら、いきなり不純ですみませぬ。
あっさり属性with妙な色気×2。
勘平とおかるの最後の別れの抱擁、すごく色っぽくてよかった。。。軽く18禁だった。。。
時蔵さんって、意外と相手を選ばない女方さんですね。
昼の部の梅玉さんともいい感じでしたし、三津五郎さんともベストカップルでしたし、映像でしか観たことないですが仁左さまともお似合いでしたし。梅枝にしても、父子揃ってエブリバディカモーンな女方なのですね(褒めてます)。
時蔵さんのお軽、『道行』に続き、勘平への愛情が強く伝わってきて切なかった。ほんとこのお軽は一途で健気だなぁ。。。
六段目を観ながら『道行』の頃のまだ明るく楽しかった二人の姿が思い出されて、切なさ倍増でございました。。。

この段は、他の配役も皆さんとてもよかったです。
魁春さんのお才。廓の女のしなやかで強かな空気が素敵でした。
又五郎さんの弥五郎。勘平への同情の気持ちが滲み出ていて、温かかった。しかしこの二人侍は、四段目の上使二人と記憶がごっちゃになって困る…。立ち位置も同じで、両方左團次さん出とるし…。
東蔵さんのおかや。まるで勘平の母親のような温かさで、勘平を責めるときも悪意ではなく「なぜ…」という大きな悲しみが伝わってきて、哀れだった。この話で一番気の毒なのは、このおかやだと思います。。
團蔵さんの源六。「冗談言っちゃいけねぇや」。重たい空気を一言で変えてしまう飄々さ、お見事でございました笑!


【七段目 祇園一力茶屋の場】
吉右衛門さん
四段目に続き、なにこれなにこれなにこれ!!!
由良さまぁ~~~~~~~~(><)!!!!!

もっとも、10日夜の吉右衛門さんはとてもお疲れのご様子で、いささか精彩を欠いた由良様でございました。しかし21日は絶好調で、10日とはまるで別人のように生き生きした由良様@七段目だったのでございます。これこそ吉右衛門さんの本領!
なので以下は21日の感想。

一力茶屋で遊ぶ吉右衛門さん、なんていい男なのでしょう。。。
吉右衛門さんの色気って、ニザさまや菊五郎さんとはまた違うタイプの色気で、たまらない。。。
お酒に酔って畳の上にしどけなく横になる二代目。なんて絵になるのかしら。。。祇園の茶屋の夜の空気そのもの。。。
そこに平右衛門がオレンジ色のお布団なんてかけてあげちゃうものだから、もう可愛さ倍増ですよ!
吉右衛門さんって『土蜘』でもそうでしたが、こういう可愛らしい色合いがほんにお似合いです。
酔って寝ている振りして願書を扇子ですっと落とすところも、可愛くて可愛くて。。。
平右衛門の東下りを認めようとしないのは、心底を見極めようとしているだけでなく、小身者なのだから主のためにその命を落とす必要はない、できるだけ多くの血は流したくない、という由良之助の優しさもあったのではないかなと感じました。
お軽が身請け話を素直に喜んでいる姿に、そっと苦しげな表情を見せるところも、とても心の温かい人なのだな、と伝わってくる。
大きくて、優しくて、頼りになって、そして男の色気もある由良様。。。結婚したい。。。
また、この由良之助があの四段目の夜に一人涙を流し判官の血を飲んだ由良之助なのだと思うと、今遊興に耽っている彼の心の奥にあるものに、胸が締め付けられる思いがいたしました。。。

梅玉さんの平右衛門。
こんなお兄ちゃんが欲しいなぁ、というような優しいお兄ちゃんでした(妹殺そうとしますけど)。
平右衛門の役っていいですね。優しいだけじゃなくて、どこかカッコいいし。妹相手でも、二人のやりとりに思わずときめいてしまった。ここの脚本、絶対に狙ってますよね。
東下りに加えてもらえることになったときの梅玉さんの喜び様、よかったなぁ!このときの客席からの拍手、はっきりと「よかったねぇ平右衛門^^!」という気持ちの拍手だったもの。
ですが同時に、これほど嬉しそうな平右衛門の姿にすこし切なくなってしまいました。。
だって、いつか死ぬために喜んでいるようなものじゃないですか。
五~六段目に続いて、武士というものの哀れさを感じないではいられませんでした(平右衛門は足軽ですが気持ちは武士、ですよね)。

福助さんのお軽(10日)。
明らかにご体調が悪そうでしたので色々書くのは憚られますが…、一言で言うと、完全に”遊女”なお軽でした。それはそれでよいのだけれど、気になったのは纏う雰囲気がふてぶてしく見えてしまったといいますか(具合が悪く頑張られていたからかもですが)、五~六段目の健気なお軽と結びつかず。。。
この日は吉右衛門さんも本調子じゃなかったので、いつかお二人のご体調が万全のときにぜひもう一度この組み合わせを観てみたいです。
福助さん、襲名もありますし、どうぞお大事になさってください。。。

芝雀さんのお軽(21日)。
こちらは、吉右衛門さんが本調子だったせいもあるのか、安心して見ていることができました。
梯子を下りるのを怖がっているところも、可愛らしかった。筋書写真の吉右衛門さんのお顔の上機嫌なこと!
梅玉さんとも相性よく、本当の兄妹のようでした。
意外でしたが、芝雀さんってこういう廓の色っぽさも出せるんですね。下品ではない遊女の気だるさが出ていて、雰囲気ありました。

しかし再び由良様が登場すると、目は由良様に釘付け。
前半の紫のお召物も、後半の鶯のお召物も、両方ともお似合いで素敵です!
立派だなぁ。艶やかだなぁ。鮮やかだなぁ。
九太夫に詰め寄る台詞まわしの素晴らしいこと…。もう聞き惚れて、見惚れて……。。
そして最後の「水雑炊」。すごい!!
吉右衛門さんというたった一人の役者が見せる舞台の大きさ、華やかさ。
一階席から四階席まで、劇場中の空気を一人で支配してしまう役者のオーラ。
これぞ歌舞伎!!!
最高です!!!!

あと七段目は鷹之資君の力弥に大拍手でした。
歌舞伎のお客さんは温かくていいなぁ。
みんな応援してるんですね^^

そうそう、21日の見立ては「お父さん達の癒し 壇蜜」(二重舞台の階段のぼって、一段、二段、だんみっつ)で、吉右衛門さん、本気で大ウケしてて、次の台詞が言えなくなっちゃうんじゃないかと心配になったほど。笑顔全開で大喜び、笑。


【十一段目 高家表門討入りの場・奥庭泉水の場・炭部屋本懐の場】
まぁ朝11時から夜9時まで客を拘束する以上(強制はしてないけれども)、この討入り場面を見せないわけにはいかないのでしょうね^^;
正直、それまでの段の中身の濃さに比べるとオマケという感は否めませんが、そうはいっても一日通しで見てくるとやっぱり最後はこれで〆めたい気持ちも確かにございます。The忠臣蔵な場面ですものね。
明かりを落として、浅葱幕が落ちると舞台上に四十六人(より少なかったけど)が勢揃い。
さすがにこの光景は圧巻で、テンション上がります。
吉右衛門さんは体格が立派なので、こういうときも舞台映えしますねぇ*^^*
景気よく降る雪の演出もとても綺麗。
歌昇の喜多八&錦之助さんの平八郎の泉水の立ち回りが、切れも速さも迫力もあり、見た目も美しく、とても見応えがありました。カッコよかった!
ただ仕方がないのかもしれませんが、一日通しで観てきた客としては、師直はやっぱり左團次さんで観たいところ。無理な話なのはわかっておりますけども。。。
結局なんのかんの言いつつも、20分間、思いきり『忠臣蔵』な雰囲気を楽しませていただきました♪
やっぱり十一段目はあった方がいいですね。


以上、もう今回の『仮名手本』は四段目と七段目の吉右衛門さんの由良之助で、大大大満足!!!でございます。
先月の知盛とともに、ずっと心に残る舞台になると思う。
ですが先月に続いてこれだけのものを見させられると、なんだか不安にもなってしまいます。。
2月は絶対にお休みされて、初孫の和史ちゃんとご自宅でゆっくり過ごされてください!
瓔子さん、実家に赤ちゃんと一緒に帰ってあげてね。。。
でもその前に、1月の九段目、楽しみにしております♪


※昼の部の感想

※東京新聞インタビュー:中村時蔵
※東京新聞<評>:「菊吉」に平成の精華

※東京新聞インタビュー:吉右衛門、初の全段「大星」 古典ロケット打ち上げたい
「全段通す夢が叶った」という吉右衛門さん。仁左衛門さんのご休演はご休演として、今年一年頑張った吉右衛門さんへの歌舞伎の神様からのご褒美かもしれませんね。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

玉さま。。。

2013-12-01 04:42:04 | 歌舞伎

玉三郎さんの『今月のコメント』に、なんだか泣きそうに。。。。。 玉さまー。。。。。
十一月の感動を薄れさせたくなかったから十二月は行くのはよそうと思っていたけれど(十二月の配役がどうこうではなく、十一月の余韻に浸っていたいからという意味です)、玉さまのおかるを観に行こうかな。。。チケット買ってないから幕見だけど。。。

4月にも書きましたが、この杮落しはぱぁ~っと明るく目出度い!というよりも、歌舞伎に対する役者や客の色々な深い思いが強く表れた公演だったな、と改めて思います。二度とないかもしれない大顔合わせだったというだけでなく。
そんな役者さん達の特別な思いが歌舞伎初心者の私から見ても舞台にはっきりと表れていたから、「こんな舞台は次いつ観られるかわからない」とチケットを買い重ねてしまったのだけれど。今でも、そうしてよかったなぁと思います。それほど見応えのある舞台を、今年は沢山見せていただきました。

でも菊ちゃんのところにもお子さまが生まれましたし(吉右衛門さん、初孫おめでとうございます!)、明るいニュースもあります。
きっと来年も、素晴らしい舞台をいっぱい見せてもらえることでしょう。
玉さま、来年は歌舞伎の方にもいっぱい出てくださいね~。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする