
母親モニークには身体的虐待を受け、父親には性的虐待を受けて育つ16歳のクレアリースプレシャスジョーンズガボレイシディベがこの最悪の状況を抜け出そうとする物語。
プレシャスは2度目の妊娠(2度とも実の父親の子)のせいで学校を退学になってしまう。そこで、フリースクールであるTOEOという組織で読み書きを習い始め、そこでの先生であるミズレインポーラハットンに出会ったことから、本気でいまの状況を抜け出すことを考え始める。
プレシャスの唯一の趣味は妄想。自分がスターになってドレスを着て多くの人から歓声を浴びるところを想像する。そんなプレシャスの妄想はいつも母親の怒号にかき消される。それでも、TOEOの先生や仲間たちといるときプレシャスは幸せを感じることができ、その幸せを実際にずっと持続させようと思うようになったのではないかなと思う。
ただ、映画の運びとしてはあまりうまくないように思われる箇所が多々あった。ひとつひとつのエピソードのつなぎがあまり上手じゃない。アカデミー助演女優賞を受賞したモニークを始め、ガボレイシディベは素人とは思えない演技だし、先生役のポーラハットンも素晴らしい演技だった。その素晴らしい演技のおかげでなんとか支えられてはいるのだけど、ひとつのエピソードに感情移入しかけると、そのエピソードがぷつっと終わってしまってもう次のエピソードに進んでいるという感じで全体が進んで行ってどうにも上滑りしている感があった。
プレシャスがソーシャルワーカーのミセスワイスマライアキャリーに突如として家庭内の真実を語り始めたのも、もちろんTOEOでの経験からだと思うんだけど、もうちょっとその辺の心境の変化というものを丁寧に描いて欲しかったかな。一応描かれてはいるんだろうけど、なんか物足りなかった。
ミズレインが父親との確執を語るシーンでも、深いところに触れるかと思いきや触れないし。先生が16歳の生徒に悩みを相談するってこともないだろうけど、それならもう少し別の形で見せるか何かして欲しかった。レニークラビッツが演じていた男性看護師との交流もなんか中身があるのかと思いきやたいしてないし。ちょっと全体的に演出が中途半端でしたね。
モニークは最後の告白での演技で賞を取ったんだろうな。あのシーンは本当に吐き気がするシーンだ。結局あの女は本気であんなふうに自分が可哀想な女だと思ってるんだろうな。自分がプレシャスにしてきたことは仕方なかったと、多分本気で思ってるんだろうな。あんな奴にどれだけ説教してもなにしてもムダだよね。あんな奴はどこかでのたれ死んでしまえばいいと本気で思う。
プレシャスは最後に一人目の子モンゴを取り返し、二人目の子も連れて両親の毒牙から逃れて強く生きていくことを選択する。プレシャスはこれから先もまさに"Why me?"という運命を背負って生きていかなくはいけないけど、彼女の決意と周囲の理解で幸せになってくれることを祈りたい。
オマケせめて最後にダウン症のためプレシャスにさえ「モンゴ」と呼ばれていた子の本当の名前を知りたかったな。
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