シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

危険なメソッド

2012-11-08 | シネマ か行

1904年、ユングマイケルファスベンダーはロシアからやってきたサビーナキーラナイトレイというヒステリー症状の女性をフロイトヴィゴモーテンセンが提唱する談話療法で治療を行い、原因を追究する。彼女の症例をきっかけにフロイトと会うことができたユング。二人は初めての出会いで13時間ぶっ続けで語り合い、師弟関係を結ぶ。

回復したサビーナは医科大学に入り、精神科医の道を目指す。彼女の治療を続けていたユングはついに彼女への欲望を抑えきれず彼女と一線を越えてしまう。その背景にはユングがフロイトから任された患者オットーグロスヴァンサンカッセルの存在があった。オットーグロスは自らの欲望を抑えるということを一切せず、彼自身も精神科医でありながら患者と次々に愛人関係になっているような男であった。そのオットーからサビーナへの欲望を抑えるなと言われたユングは背中を押された形になり、彼女と一線を越えてしまう。

サラガドンのいるユングはサビーナとの関係をひた隠しにし、師匠であるフロイトに関係を聞かれたときも否定する。

一時は自分の後継者にユングをと公言するほどだったフロイトとユングの関係も、フロイトの権威主義と、ユングの神話主義がお互いに反発を覚えるきっかけとなり二人は決別していく。

実際に談話療法を見せられているかのように、「ユングとサビーナ」「ユングとフロイト」「ユングとオットー」の会話や、それぞれの手紙のやりとりが延々続きます。ユングとサビーナのシーンだけは時折ベッドシーンとSMシーンがありますが、そんなにきわどい映像のものではないので、特にそちらに意識が邪魔されることなく談話療法が続いていくような感じです。

監督がデイヴィッドクローネンバーグでしかもフロイトだユングだSMだ、が絡む物語ですから、もっと刺激的な映像を期待して見に行った方はがっかりする内容だったと思います。会話も学者同士だからか、もって回ったような会話が多いし、退屈と感じる人もいるかもしれません。

ワタクシはどちらかと言うと物語そのものよりも途中からはマイケルファスベンダーとヴィゴモーテンセンの演技合戦に集中していました。マイケルファスベンダーは最近飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍ぶりで、あのジョージクルーニーが後継者を見つけたよとジョークを飛ばすくらいセクシーなイメージがある人なので、こんな地味な役どころでここまで説得力のある演技ができるとは嬉しい驚きでしたし、ヴィゴだってクローネンバーグの作品では暴力的でセクシーな男というイメージがあったので、今回のフロイトには驚かされました。しかも二人とも精神医学における性の位置づけみたいのをやたらと語るもんだから、こんなセクシーな俳優二人が“むっつりスケベ”に見えてくるという不思議な感覚を味わいました。キーラナイトレイに関してはもちろん演技力の高い女優さんだけど、ちょっと今回のはいかにも賞レース狙いな感じがイヤだったな。

時間だけは、何か月後、何年後と飛んでいきますが、全体の雰囲気が全然変わらないので一体いつのことなのかというのがすごく分かりにくいですね。フロイトとユングが二人でアメリカに渡るシーンがあるので、何かアメリカで起こるのかと思ったらそういうこともなく結構初めから終わりまで一本調子な感じはしました。上映時間が99分だったのでまだ耐えられたというところでしょうか。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿