シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ディス/コネクト

2015-01-28 | シネマ た行

レンタルで見ました。ワタクシがとても好きなタイプの群像劇で登場人物が少しずつS字フックのように関わり合いを持ちつつ、それぞれの物語が進行していくタイプのドラマです。

中学生のジェイソンディクソンコリンフォードは友達と悪ふざけばかりしていて、暗いタイプで音楽が好きなベンボイドジョナボボのフェイスブックのページにジェシカという女生徒になりすましてベンに好意があるふりをするメッセージを送ってベンを馬鹿にしていた。ある日、ジェシカからヌード写真をベンに送り、ベンにもヌード写真を送るように言う。ベンは裸になり口紅で「愛の奴隷」と体に書いた写真をジェシカ宛に送り、それをジェイソンたちはネット上に公開してしまう。全校生徒にそんな写真を見られてしまったベンは自殺を計る。たまたまその場に居合わせた姉アビーヘイリーラムに助けられ一命は取り留めるが意識不明の重体に陥ってしまう。ベンの父リッチジェイソンベイトマンは弁護士で仕事が忙しく家族を顧みることがあまりなかったが、息子の自殺の原因を必死で探ろうとする。

そのリッチが弁護士を務めるテレビ局のキャスター・ニーナダナンアンドレアライズブローは、インターネットを通じてポルノ行為を見せるサイトで働く未成年たちの取材をしようとそのサイトで働くカイルマックスシエリオットに近づく。

いたずらの加害者ジェイソンの父親マイクフランクグリロは元警察でインターネット犯罪の捜査に関わっていたが、妻を亡くして以来息子と過ごす時間を増やすためインターネット専門の探偵になった。そんな彼のところにネット犯罪でカード番号や個人情報を盗まれた夫婦デレックハルアレキサンダースカルスゲルドとシンディポーラパットンから依頼を受ける。

この3つの物語が同時に進行していくのですが、きっかけはすべてインターネット上のことではあるのですが、物語の内容としてはとても巧みにそれぞれの登場人物の内面が描かれるようになっています。

ジェイソンのしたことはもちろん許しがたい行為だし、そのせいでベンは自殺未遂をしてしまったのですが、ジェシカになりすましてベンとチャットしていたときのジェイソンはとても素直に父親との関係などを吐露していて、友達の手前否定はしていましたが、本当は少しベンと共感し合っていた面があったようだった。自殺の真相を知ろうとするベンの父親ともジェシカになりすましたままチャットを続けていて、そこでもベンを思いやるリッチの心情に触れいたたまれなくなるジェイソンが映し出されていきます。

テレビ局のキャスター・ニーナは始めは自分の仕事の手柄のためだけにカイルに近づきますが、そのうち本当にカイルの身上を気にし始め、なんとかカイルを助けようとして自分が窮地に立たされます。

ネット犯罪被害者になってしまった夫婦は幼い子供を亡くして以来関係がぎくしゃくしており、夫はオンラインギャンブルにハマり、妻は同じ苦しみを分かち合うサイトにハマっていき、捜査のためパソコンを調べたマイクからお互いにその事実を聞かされ、容疑者シューマッカーミカエルニクヴィストを共に追ううちに夫婦の絆を取り戻そうとしていきます。

他人のネット犯罪を調べていたマイクは自分の息子が実はネットいじめの加害者になっていたことを知り愕然とします。元警官として、探偵として息子ジェイソンのしたことにどう対処するのかと注目して見ていましたが、ここではマイクは愚かな一人の父となり、息子のパソコンからそのいじめの形跡をすべて消し去ろうとします。

全体的に切ないトーンが貫かれていてこれまた大好きな映画「クラッシュ」を彷彿とさせました。特にやはり息子の自殺の真相を必死で追い、それに必死になるあまりまた家族をないがしろにしてしまう父親像リッチの姿が印象的だったし、自分のやってしまったことの大きさに押しつぶされそうになりながらも告白することはできずにいる少年ジェイソンが切なかった。

出番はそんなに多くないですが、ベンのお姉ちゃんがベンとは正反対の学校の人気者でスポーツ好きっぽい雰囲気を持っていて事件前特にベンと仲良しってふうでもなかったけど、自殺未遂のあとずっと病室のベンにつきっきりで、そんな状態を思いやりもしない友達には唾をかけたのが強烈でした。ベンのことでケンカをする両親を前に「あんな2人と私だけ置いてけぼりにしないでよ」とベンにつぶやくシーンが妙にリアルでした。

それぞれの登場人物の内面に非常にうまく触れながらも、3つの事件も結構スリリングに進行するので食い入るように見ていたら、すべてのクライマックスがストップモーションからスローモーションで演出され一瞬息をするのを忘れてしまいました。ネットのもめごとに端を発したあの生身の人間同士のぶつかりあいのシーンの演出はとても効果的だったと思います。

映画ファンが見ると、登場人物ほぼ全員「あ、知ってる」って感じの役者さんたちなんですが、映画ファンでない方には初見の人ばかりかもしれませんが、物語そのものは面白いのでオススメします。この作品のヘンリーアレックスルビン監督の1作目「マーダーボール」も評価の高かった作品ですので、見てみようと思います。



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