シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ジェインオースティン~秘められた恋

2009-11-12 | シネマ さ行

ジェインオースティンに最初に触れたのはいつだっただろう。ワタクシが英語で小説を読み始めて初期のころだったと思う。英文学といえば有名な小説家はたくさんいるが、やはりジェインオースティンは外せない。と、偉そうなことを言ってはみたけど、読んだのは6作中、「分別と多感」「プライドと偏見」「エマ」の3作だ。なによりも、つたない英語力の人間が英語で小説を読むという無謀な行為に対して、映像化されている作品がとても多いジェインオースティンの作品は、使われる単語や文法が少し古めのイギリス英語ということを考慮してもとても読みやすい。分からなければ、ドラマや映画を先に見ればいいのだから。

というわけで映像作品にしろ、原作にしろ彼女の作品には触れる機会は多かったが、彼女自身がどんな人だったのかは考えたこともなかったので、今回公開が待ち遠しい作品だった。

ジェインオースティンアンハサウェイは、まさに彼女の小説に登場するようなイギリスの中産階級の生まれで、母親ジュリーウォルターズは父ジェームズクロムウェルとは恋愛結婚で結ばれたが、貧乏で苦労をしているため、娘にはそのような苦労はさせたくないとお金のある男性との結婚を薦めている。しかし、ジェインは兄の友人で財産のない法学生トムルフロイジェームズマカヴォイと恋に落ちる。

結局、トムが大叔父からもらうお金で暮らしているトムの家族の幸せを考えると、駆け落ちして無一文になるわけにはいかないとジェインは身を引く。男性でさえ、後ろ盾がなければ簡単に良い仕事になど就けない時代であったろうし、ましてや女性であるジェインが本を書いて家族を養うなんて現実離れしたお話。

この作品で描かれるジェインとトムの恋がすべて本当の話ではないんだろうけど、この二人が恋をしていたということはどうやら間違いないらしい。ジェインが人生に一度の恋を実らせることができず、その後独身を貫き、自らの小説の登場人物たちを次々に幸せにしていったというところがとても切なかった。ジェインが身を引く決心をするときのアンハサウェイの演技には泣かされたなぁ。ジェインに求婚していたウィスリー氏ローレンスフォックスも結構良い人だったけど、やっぱりジェインにはトムしかいなかったんだね。

うまく現実の話と小説に登場する人物の元ネタの人?みたいなのをうまく絡めて描いているところは「恋におちたシェイクスピア」の手法と似ているかもしれませんね。

ジェインオースティンほどのイギリスを代表する人物をアメリカ人のアンハサウェイが演じるのは相当の勇気がいっただろうと思うのだけど、なぜわざわざアメリカ人だったんだろうねぇ。いや、ワタクシはアンハサウェイがやっても全然いいと思うんだけどね。現代のイギリスを代表するキャラクターであるブリジットジョーンズだってアメリカ人がやっちゃってるしね。(ブリジットジョーンズ自体もかなりジェインオースティンの影響を受けていると言っていい)そういう垣根はなくなりつつあると考えていいのかもしれませんね。当のイギリス人たちはどう思っているのか分からないけど、ワタクシはどっちもすごく良かったと思うし。でも、今回意外だったのはアンハサウェイがそこまで強くイギリスアクセントを気にしてる感じじゃなかったことかなぁ。こちらもアメリカ人であるグウィネスパルトローがイギリス人を演じるときのようなかなり濃厚なイギリスアクセントは感じなかった。わざとなのかどうか分かんないけど。そういえばグウィネスはジェインオースティンの作品である「エマ」で初主演を飾っていますね。このブログでは取り上げてないですが。「エマ」を見るならグウィネスのほうよりもアリシアシルバーストーンが現代版を演じた「クルーレス」を見るほうがずっと面白いです。「いつか晴れた日に」も取り上げてないですが、こちらは「分別と多感」の映画化でまだ初々しいケイトウィンスレットが見られます。

オマケトムルフロイはその後結婚し、長女にジェインという名前をつけたそうですが、これってこの作品を見ている観客にとってはなんだかジーンとくる話ですが、現実にもいますよね、自分の初恋の人の名前を子供につける人、それってパートナーとしては複雑な気持ちですよね~。



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