ローレンスオリビエケネスブラナーが監督・主演を務める「王子と踊子」の撮影のためにイギリスにやってきたマリリンモンローミシェルウィリアムス。精神的に不安定な彼女を世話した第3助監督のコリンエディレッドメインの回想をもとにした作品。
ワタクシはマリリンモンローが好きなので、この作品にはとても興味がありました。中でもミシェルウィリアムスがどのようにマリリンモンローを演じるのかということに一番興味がありました。彼女は実際顔がマリリンに似ているというわけではありませんが、喋り方や仕草などとても似せていました。彼女をリアルタイムで知らなくて映画に興味のない人は写真でしかマリリンモンローを見たことがないという人が多いと思いますが、写真で見るモンローと映画で動いているモンローとは実はちょっと印象が違うと思うんですよねー。映画の中のモンローは写真で見るモンローより幼くて可愛らしいイメージです。あの顔の雰囲気と体のイメージが結構開きがあって、そのギャップがまた彼女の魅力だったんじゃないかなぁと思います。
この作品の中でもローレンスオリビエがモンローの映画スターとしての輝きに嫉妬を示すシーンがあります。それだけ彼女には生まれながらのスター性があったのでしょう。そして、彼女自身は自分で世間がイメージするキャラクターを作り上げていたということが分かるウィンザー城でのシーンがありました。コリンと遊びに行ったウィンザー城でスタッフに囲まれたとき「“彼女”になるわ」と言ってポーズをしてみせる姿はとても印象的でした。彼女は自分でそのキャラクターを作り上げておきながら、そのキャラクターに苦しめられもしたという矛盾を抱えていたのでしょう。“セクシー女優”というレッテルと戦うためにそのころアメリカで流行しはじめたメソッド演技を取り入れるために勉強していたようです。この作品の中でもイギリスの古典的な演技の方法とアメリカのメソッド演技法がぶつかるシーンも少し描かれています。
結婚したばかりのアーサーミラーダグレイスコットと喧嘩をしてアーサーはアメリカに帰ってしまい、精神的に不安定になったマリリンを支えたのがコリンだった。コリンはデートしはじめたばかりの衣装係ルーシーエマワトソンがいながらも、マリリンのことが気になって仕方がない。この時コリンは23歳、マリリン30歳。23歳の青年からすれば“おばさん”と言ってもおかしくないマリリンだけど、コリンはどうしてもマリリンを守りたいという気持ちになってしまう。とても無邪気に裸で一緒に泳いでしまったりするんですよねー。ベッドで一緒に寝たりとか。それで、そこで昔の男の思い出とか語っちゃったり…どう見ても悪い女なんですけどねー。
仕事には大遅刻したり、新婚(すでに3度目の結婚)でありながらこんなウブな青年を誘惑したり、夜中にコリンを呼びつけたりとわがままし放題のマリリンで、周囲は怒ってはいるんだけど、結局最後には彼女を許してしまう。彼女のセックスアピールにやられてしまう男性だけではなくて、女性もなぜか彼女を許してしまう。ジュディディンチが演じていた大御所の女優さんは誰にでも優しい印象の人だったけど、コリンを取られたルーシーも相手がマリリンとなるとどことなく諦めているふしがあったし、夫ローレンスオリビエがマリリンに夢中で嫉妬しているヴィヴィアンリージュリアオーモンドでさえ降参している感じだった。どこかとても不思議な魅力のあった人なんだろうなぁと思う。
ただ映画のストーリーとか作りとしては正直すごく良いと言える作品ではないと思いました。ワタクシはやっぱりマリリンが好きなので、リアルタイムで彼女を知らないくせにまるで彼女との思い出に浸るような時間でした。マリリンモンローに多少なりとも思い入れがある人でないと楽しめない作品なのかも。
人気ブログランキングへ
「映画」もいいけど「犬」も好き。という方はこちらもヨロシクです。我が家の犬日記「トラが3びき。+ぶち。」