シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ウィンブルドン

2007-02-07 | シネマ あ行
これはもの凄いベタなラブコメディですね。そんなベタなラブコメにキルステンダンストポールベタニーが出演するなんてなんだか意外。キルステンダンストって色んなタイプの作品に出てるけど、ここまでストレートなラブコメってなかったような気がするし、ポールベタニーはファンの人には悪いけど、恋愛ものの主役はるような顔ではとても、、、って感じですよね。いや、ワタクシは好きですけど、どっちかって言えばちょっと怖い顔つきですもんね。ラブコメって基本的に主人公を演じる俳優が嫌いだとちょっと入り込みにくいので、この二人が嫌いな人はバカバカしくて見てられないかも。

ポールベタニーはベテランのテニス選手ピーターでもう落ち目で引退を考えてるっていう役で年齢的にも合ってますし、ちょっと情けない感じのひょろさ加減と表情もぴったりです。かたや、キルステンのほうは、とどまることを知らない勢いで世界ランキングを赤丸上昇中の新人テニスプレーヤーリジーを演じます。この正反対の二人の恋愛模様が軽いタッチで描かれるのです。

この二人、置かれている状況も正反対なら、性格もかなり反対。ポールはテニスよりも友情や家族が大事。おうちも結構金持ちですが、それを鼻にかけるようなところはまったく、ハングリー精神に欠け、根っからのポケッとしたおぼっちゃんタイプ。リジーは教育パパにテニスの英才教育を受け、人の気持ちなんか踏み倒しても試合に勝つことが大事。そして、その英才教育のせいでちょっと屈折していて、教育パパへの反抗のために、簡単に男と寝てしまうというちょっとアダルトチルドレン気味な女の子。

この二人の対照的なところは衣装にも表れていますね。ピーターはイギリスのお堅い感じのフレッドペリー。リジーは今どきな感じのプーマのユニフォームを着ています。

さてこの二人ですが、リジーの軽さゆえ、二人は出会って速攻でそういう関係になります。二人ともウィンブルドンというテニス界でもっとも大切なトーナメントの真っ最中だから、「(おつきあいは)軽くね」と言いつつ、どちらともなく夢中になり、、、

そして、互いに夢中になればなるほど、ポールは成績があがるのに、リジーのテニスは乱れていく。(恋をするとファーストサーブが乱れるらしい)テニスが乱れたことによってパパにも恋愛中ということがすっかりバレて、当然猛反対に合うし、マスコミは騒ぐし。さて、どうなるこの二人?っていう典型的な展開。

リジーの尻の軽さを父への反抗ゆえと分析したワタクシは彼女に対してイヤな感情を抱かなかったけど、違う捉え方をした人には彼女の好感度は低いかも。父親に反対されても「大人なんだから自分で決めろよ」という部分をもうちょっと掘り下げてくれれば最高の作品になったかなという思いがありつつも、リジーのキュートで頑固なところとポールの誠実でストレートなところが可愛くて、見る前はこの二人の組み合わせはありえないカップリングと思っていたのに、ラストシーンではもの凄くお似合いに見えました。こういう単純なラブコメ好きなんですよ~

リジーがちょっとした会話でもすぐに下ネタのダブルミーニングを持った言葉を言ったりするのが、彼女のあけっぴろげな性格をさりげなく表していたり、ポールのエージェントジョンファブローが実はいい人だったり、(ウィンブルドンでの決勝戦のときの彼が最高)ポールのパパバーナードヒルとママのケンカや仲直りも可愛らしく描かれていて好きだなぁ。スポーツを世界レベルでやってる人からしたら、こんな大きな大会の最中にふざけんなって言うかもしれんけど、その辺はご愛嬌。まぁ、固いことは言わんといたって下さいな。

オマケ1テニスのファンには嬉しいサービスとして元一流テニスプレーヤーのクリスエバートとジョンマッケンローがアナウンサーと解説者として登場していますね。でも、この二人ってこういうのに出るのが好きなんかな。よくカメオ出演とかしてますね。

オマケ2ワタクシは昔、シュテフィグラフのファンでずっとテニスを深夜に起きて見ていた時代がありました。彼女は打つときにまったく声を出さずにクールに試合をする選手で今でも史上最高のタイトルをたくさん持っています。今は、特に好きな選手はいなくってテニス観戦からも遠ざかっていますが、この映画を見たらなんだかまたテニスが見たくなりました。(この映画のテニスシーンはへちょいんですけどね

オマケ3そんなわけで、ちょっとテニス界のこともいっとき詳しかったんですが、ウィンブルドンって世界4大大会の中でももっとも伝統と格式を重んじる大会で、出場選手は白のユニフォームしか着ちゃいけないんですよね。(この映画の中の選手のユニフォームに注目してみてください。)観客も格式を重んじていて、この映画であるようにあんなふうに大声で叫んだり、みんなで選手の名前をコールしたりってことはワタクシが知る限りでは考えられないです。だから、この映画をウィンブルドン側が協力してセンターコートまで貸してくれたというのは少し驚きです。